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恒常的な集客力・販売力を高めるために取組む 共同店舗・商店街等事例
平成26年度 「恒常的な集客力・販売力を高めるために取組む 共同店舗・商店街等事例調査研究」 平成27年3月 協同組合 全国共同店舗連盟 はしがき 共同店舗・商店街等中小小売商業者は、地域に密着した商業地として魅力を 高め、地域住民による利用拡大を図る事業により取組むことが重要で、そこで 暮らす人々の大切な財産です。 これからの共同店舗・商店街等は、集客力・販売力を高め、お客様が「あの店 で買い物したい」とわざわざ足を運びたくなるような魅力のある「店」づくりを 促進し、共同店舗・商店街全体の繁栄につながる仕組みが重要です。 そのために、継続的な集客力、販売力を高めるため、今回は、平成25年度 補正予算事業の「にぎわい補助金」を活用して、参加者、地域の人々が共に楽 しめる個性・話題性を有するイベント開催等の取組み、地域経済のみならず地 域社会の活性化を図っている共同店舗・商店街等の事例を調査し、成功要因と 必要な条件を分析したものをとりまとめたものです。 目 次 恒常的な集客力・販売力を高めるために取組む共同店舗・商店街等 事例調査研究 一.協同組合メイト [岐阜県] 二.協同組合横田ショッピングセンター [島根県] 三.岡山駅前商店街振興組合 [岡山県] 四.久留米南ショッピングセンター協同組合 [福岡県] 五.協同組合鹿本ショッピングセンター [熊本県] 六.協同組合秋田市民市場 [秋田県] 一.協同組合メイト Ⅰ.共同店舗の概要 企 業 名 協同組合メイト 代 表 者 河瀬 所 〒509-6101 岐阜県瑞浪市土岐町26-1 L 0572-67-2323 F A X 0572-67-2323 創 業 年 月 昭和 61 年3月 設立年月 昭和 60 年5月 HP http://www.wonder.jp.net/ E-mail [email protected] 売 場 面 積 1,500 ㎡ 住 T E 進 組 合 員 数 7名、テナント1名 業 食品スーパー、衣料品、靴、玩具、生花、百均、整体、フィットネス 種 Ⅱ.特質すべき事業内容 1.共同店舗の特徴 当店舗(以下メイト)は、岐阜県東部、瑞浪市(人口約 39.500 人)の駅前商店街に隣 接する地域密着型共同店舗で、昭和 61 年 3 月、高度化資金を活用して地元小売業者 10 名により開店しました。 メイトの立地はJR中央本線と土岐川に挟まれた 旧市街地に位置しており、 国道 19 号線瑞浪バイパスの整備に伴い人口の郊外化が進展し、平成9年頃を境に瑞浪市商業は 大きく変貌することになりました。 右表は平成 19 年度商業統計調査 商業統計調査 (H19年度) 事業所数 大店舗数 大店舗内 年間商品 従業者数 売場面積 事業所数 販売額 (人) (百万円) (㎡) の数値ですが、平成9年に 14 か所あ 瑞浪市計 425 った商業集積が6か所に減少し、瑞 商業集積地計 162 浪市西部発展会ピアゴへの販売額が 瑞浪本町商店街振興組合 16 瑞浪駅前商店街振興組合 30 - 栄町商栄会 27 10 9 - 25 集積していることが分かります。 (メ イトは栄町商栄会に所属) 平成 18 年以降ケーズデンキ、バロ ー、エイデンなどの大型店の出店が もとまち交流会 瑞浪浪花通り商店街振興組合 瑞浪市西部発展会 6 2,428 46,308 49,621 24 1,213 23,147 31,804 - 59 336 845 93 738 2,057 107 1,658 3,112 182 574 8 - 19 145 421 72 14 910 20,088 24,795 相次ぎましたが、開店以来 28 年間に数多くの競合店の進出を受けながら、組合員の団 結で乗り越え健全な組合運営を 行ってきました。直近ではメイ トから 400mの至近距離に当地 域最大の敷地面積 49.000 ㎡の 超大型商業集積が開店しました が、対抗策を講じた結果、翌年 の 売 上 を 約 38% 伸 ば し て お り ます。 また、メイトは中心市街地の 他の大型店が倒産や郊外移転に 店 舗の外観 1 より、中心市街地の唯一の大型店となっており、地域住民の買物の場やコミュニテイの 場としてなくてはならない店舗となっています。 競 合店の分 布 2.賑わい事業の背景 計画的に造られたモール形態の店舗とは異なり、メイトの店舗規模では競合関係には なりませんが、利便性の面では一店舗で十分機能することができませんので、中心商業 街区に位置する瑞浪本町商店街振興組合、瑞浪駅前商店街と連携して 瑞浪市商店街連合 会として組織的活動を展開することになりました。 瑞浪市商店街連合会は、JR 中央線瑞浪駅を中心に東に延びる駅前商店街振興組合と西 に延びる本町商店街振興組合及び協同組合メイトがメンバーとなって構成され 、利便性 においては公共交通機関の集中する至便な場所にあります。 しかし、瑞浪市の少子高齢化現象は急激に進捗しており、瑞浪市の統計資料では年少 人口 15 歳未満と生産年齢人口は、平成 18 年に対し平成 22 年では6%減少、逆に 65 歳 以上の高齢層は3%増加しています。 また、競合については、幹線道路である国道 19 号線沿いに郊外型のチェーン店や大 型店の進出があり、商圏における競争は厳しさを増しています。瑞浪市における昼間人 口は、流入人口 0.7 万人、流出人口 0.9 万人となっており、昼間人口は総人口の 93%と 昼夜の人口差が少ない傾向にあります。 当商店街連合会における消費の中心は地元の中高齢者 (中でも高齢者が多い )であり、 通勤や通学による流入人口を十分取り込めない状況です。地元住民のニーズは地元高齢 者向けサービス、駅利用者が利用しやすいサービス、若者向けサービス (駅を利用する 人の多くは若年層)、環境、省エネ、健康、安全・安心といったキーワードなどが想定 でき、そのような課題について十分な対応が取られているとはいえませんでした。 特に近年顕著になってきている空き店舗や駐車場の活用、アーケード等ハード面と経 営者の高齢化、後継者不足等のソフト面において課題がある ことを痛感するところとな りました。 2 商店街と同様にメイト店内にも空き区画が発生したため、「健康」をテーマに女性専 用フィットネスジムの導入を計画し、現在は組合直営で営業展開しております。カーブ スなどチェーン化している事業所への出店の依頼も検討しましたが、ライセンス料を考 慮すると安定した会員数の確保 には時間を要することになるの で、理事長自らが企画設計をして 実現することにして、売上を重視 するよりは毎日の来店を促進す ることに重点をおく運営としま した。 健康一つを考えても健康補助 食品を飲むことより、運動機能を 直 営 フィットネスクラ 強化して食事を手作りする意欲 ブ の醸成と安全・安心な食材を摂取することの意味を理解していただく場として、フィッ トネスジムを運営して手応えを感じました。 計画的なモールにあって商店街にないものは何かと考え、それは「企画力」の差にあ ると感じ、企画力を創出するには商店街の三種の神器と言われている「100 円商店街」 を実践することを連合会の事業といたしました。お客様と一緒に商業者自らがまちを再 発見することを基本的なテーマとしました。 3.賑わい事業実施のポイント 大凡5年程前に連合会は結成されましたが、隣接する商店街ほど町内会の意識が強く 働き、瑞浪のイベントとして浸透している「バサラカーニバル(日本全国から 7,000 名 余りの踊り子が集結し、華麗な衣装や奇抜な仮装・コスプレで大乱舞し 、美味い物安い 物満載のおかみさん横丁や 3,000 人のビンゴ大会も行われます)」などへの参画意識は 共有できますが、商売と関連する事業では足並みはなかなか揃わないもので した。 メイト理事長が地元商工会議所副会頭(商店街の活性化を中心に活動することを条件 として平成 24 年 11 月に受理した)に選出されたことを機に、実質的な連携を模索する 機運が醸成され、賑わい事業補助金の支援の後押しもあり事業に着手することに なりま した。課題は賑わい事業を推進するマネジメント( 企画と運営と実行)です。 賑わい事業の円滑な推進を図るための行動部隊として「みずなみにぎわい事業プロジ ェクト」を立上げ、瑞浪市役所、瑞浪商工会議所、飲食業組合、おかみさんの会、青年 部などを構成員とし、メイト理事長がプロジェクトのリーダーを引き受け ることになり ました。 全体統括は商店街連合会会長加藤博が行い、メイト理事長が連合会会長を補佐し、実 行委員長に商店街連合会専務理事である安藤良一が就任し、連合会理事全員と各単組の 理事長とみずなみにぎわいプロジェクトメンバーが補佐をする体制となりました。 賑わい事業の取組みの特徴は、今までは補助金を個別商店街毎に活用していましたが、 相互に連携して行われないため地域の生活者へのインパクトに欠ける内容になること 3 も多々あり、運営方針を一本化しつつ補助申請は個別に行い、単独の効果を倍加する方 策を採りました。 中心市街地に行くと何か楽しいイベントが連続して用意されているという感覚を、地 域の生活者に植付けるシナリオを考え、賑わい事業の補助申請を行いました。 ◆協同組合メイト :ほっと!ホットみずなみ 30.50.60 ◆瑞浪市瑞浪駅前商店街(振):瑞浪市駅前商店街七夕祭りにぎわい事業 ◆瑞浪市瑞浪本町商店(振) :げんきなみずなみハッピーイルミネーション 50・50・60 ◆瑞浪市商店街連合会 :瑞浪駅前周辺商店街におけるマーケティング調査事業 ◆瑞浪市商店街連合会 :あついぜ!みずなみあきんど 50・60 の5事業が採択されました。 今回の賑わい事業の特徴の一つに、賑わい事業を実施することにより賑わいを創出す ると共に、事業実施に先行して マーケティング調査を行い、まちの方向性を商業者及び 地域生活者が相互に探求し、まちの姿を描く調査事業を実施することにありました。 加えて、みずなみにぎわい事業プロジェクトに参画している 瑞浪市及び瑞浪商工会議 所からは、人的支援及び資金的助成を含め全面的支援を受けることができたことも、事 業成功の一因になりました。 各事業に付けられている数字は、「50 とは瑞浪商工会議所 50 周年」「60 とは瑞浪市制 60 周年」を意味しており、「30 とは協同組合メイト 30 周年」を表現して、参画者の共 通認識としました。 4.賑わい事業の内容 (1)協同組合メイト「ほっと!ホットみずなみ 30.50.60」 1)狙い:現在、当市内の大型店はすべて郊外にあり、当組合の役割は大変重要となっ ています。地域密着型店舗として買物の場としての役割だけではなく、コミ ニュティの役割も重要であり、イベント等を通じアットホームな店舗にする ことが大事になると考えました。 2)実施時期:平成 26 年 7 月 15 日~平成 26 年 10 月 26 日 3)実施内容: ①トリックアート展開催 瑞浪市からは、今から 2000 万~1500 万年前の新生代の化石がたくさん見つかっ ています。メイトが地域のお 客様に瑞浪市を再発見してい ただくためにこの化石の中の 一つ、化石哺乳類のデスモス チルスから連想して恐竜と瑞 浪化石博物館のイメージキャ ラクター(みずなみMio ちゃ ん)とコラボしたトリックア ートを作成しました。 恐 竜トリックアート 4 メイト店内を美術館に見立て壁、床、ケース上段にトリックアートを展示して来 店者に楽しみながら瑞浪市を再発見していただくロングラーンイベントとして開催 しました。期間中にはみずなみMio ちゃんをプリントしたTシャツを従業員全員が 着用してイベントの雰囲気づくりにも努めました。 ②初日にはオープニングイベントを開催し、大道芸 人でオープンを盛り上げ、先着 200 名様に瑞浪特 産のみずなみ焼きの陶器の湯呑みを進呈しま した。 ③期間中のトリックアートとお客様が一緒に写真撮 影をして、その写真を応募していただき展示、優 秀撮影者には景品としてみずなみ焼きのセットを 景品として差し上げました。夏休み期間中は、子 供達に大変な人気イベントとなり、すばらしい夏 の思い出づくりができたと感じているという感想 を多くいただきました。 (2)瑞浪市商店街連合会:あついぜ!みずなみあきんど 50・60 1)狙い:当連合会には、各商店の奥様方で組織された「おかみさん会」があり商店街の 各種イベント、個店への支援など幅広く活躍しています。一方、青年メンバー を中心に「まちなかにぎわい事業プロジェクト」を組織し、マンネリ化した事 業の見直しや空き店舗活用、高齢者にやさしく回遊しやすい街づくり事業を計 画し実行しています。 今回の事業を介して、おかみさん会と青年部共に、「マツケン大繁盛 in みず なみ 100 円商店街実行委員会」に参加、おかみさん会を中心に積極的に意見 交換をし、第 1 回 100 円商店街実施に向け集中的にコミュニケーションを交 わすと共に、飲みにケーションで親睦を深めました。30 回を超すにぎわい事 業プロジェクトのワーキンググループの活動を通して、日頃商店街活動では 発揮する機会のない人達にも闊達な発言ができる雰囲気での交流 の場が提供 され、参加者の意欲と能力を育てる場となりました 。 2)実施時期:平成 26 年9月 14 日~平成 26 年 12 月 20 日 3)実施内容:100 円商店街と松平 健 ( マ ツ ケ ン )の シ ョ ーをコラボしたイベ ントを開催しました。 日頃は閑散とした感 の否めない商店街を 活性化するため、継 続性があり売上に結 び付けることが可能 マ ツケン瑞 浪駅前会 場 な「100 円商店街」を 5 開催し、メイトと2商店街でチラシに指定された場所でスタンプを押すラ リー方式により商店街を回遊しながら、100 円の商品・サービスと店に触れ ながら商店街を再発見した後に、マツケンのCDを抽選で進呈するイベン トが実施され、同時にマツケンが瑞浪商店街 2か所でショーを行い、約 2,000 人の来街を創出することができました。 この事業はマツケン が瑞浪商店街の活性化の ためにノーギャラで出 演し、 『商売大繁盛』とい う景気のいい歌を歌って、 瑞浪商店街と地域住民を 元気にする試みになりま した。 商店街に人だかりができ 籤 引き瑞浪 駅前会場 るのは、やはり食べ物を 店前で提供する店舗で、店内にどのように引き込む ことができたのかを検証 する必要があります。 5.賑わい事業の効果 補助金を前提にした賑わい事業 は一過性に終わることが多 く、今回 の事業実施により集客力を実現し た商業者に向けられた目は明らか に変わっていました。 これまでは店内から商店外を見 ていましたので、見える範囲も限定 されていましたが、NPO法 人や学 生が 100 縁 商店 街 に参 画し て まち を再発 見す る姿 を目 の当 たりに し、 駅 前商店街 (振) 商店外から店舗を見直す絶好の機 Sinnkou 会に商店街構成員はなりました。 100 縁商店街の産みの親である斎 藤理事長の助言指導もあり、売上の 規模では測ることのできない実績 を達成することが、第一回 100 縁商 店街ではできました。一過性には 終 わらせない動きが始まっており、に ぎわい事業プロジェクトの活動が 本 年 度 も 4 月 、 8 月、 11 月 の 3 回 100 縁 商店街 ワークショップ 6 実施されることになり、実行委員長は商店街から選出されることになりました。 今回のプロジェクト活動では、飲食店、写真館 など商店街活動とは縁のなかった人が積極 性を発揮し、人の輪の中心的な存在になっていました。 「人づくり」と「人の輪づくり」ができると、必ず「応援部隊」が参加して力になってく れました。これまでの商店街活動でも回遊性 が向上するという指摘はありましたが、強力な イベントを実施して「客溜まり」をつくり、商店街に流れて行く仕掛け(今回はスタンプラ リー)に工夫を凝らし、歩かせるこ とに意味と意義がありました。 最近はポイントカードにポイン トを貯めることが楽しみの一つに なっており、ポイントカードは当り 前になっています。少し前はスタン プでした。スタンプは 台紙にスタン プを貼るので、目に見えて貯まるこ とがわかります。磁気カードより貯 メ ート店内 売場 める楽しさがあります。 スタンプラリーも1日3つは楽しく歩ける範囲で貯まるので、各店が趣向を凝らして考え た 100 円商品に触れながら店舗を多くの人 は再認識して帰られました。 商店街並びに窯っ 子スタンプ加盟店等 70 店舗が参加登録、約 5,000 人の賑わいを創出し、各個店での来 店者も増加し売上げアッブにつながりました。 6.今後の取組み 今回の賑わい事業の実施により多くの地域生活者に商店街を再確認し ていただく気運 が生まれ、課題は継続することにあることを「まちなかにぎわい事業プロジェクト」に 参画した人たちは感じていました。 100 縁商店街による「縁」は生まれましたので、商店街の個店が縁を固いものにする 日頃のお付き合いが肝要になります。 中心市街地には文化センター、交流センター及び病院など公共施設が多く立地して、 生活利便施設に向けた来街行動の延長線上に商店街連合会構成員の店舗が位置してい ることになります。 イベントによる回遊行動から糸口を探り、日頃の個店の営業活動が「結び目」となっ て、「縁」を連続させていく意識と意欲が求められます。 「まちなかにぎわい事業プロジェクト」の継続的な活動に先駆け、河瀬理事長は商店 街自立支援事業の活用により、ポケットパークと駐車場をメイトに近接する地区に 設置 し、日常的な語らいの場を設えることを計画し、実現できることになりました。 商店街を回遊する行動から、交流する行動へと生活者の意識を発展させる試みが始ま ったことになります。 7 8 二.協同組合横田ショッピングセンター Ⅰ.共同店舗の概要 企 業 名 協同組合横田ショッピングセンター(横田蔵市) 代 表 者 森 田 俊 寛 所 〒699-1822 L 0854-52-3300 F A X 0854-52-3301 創 業 年 月 平成7年3月(現店舗) 設立年月 昭和46年1月 HP http//www2.crosstalk.or.jp/ E-mail w-[email protected] 組 合 員 数 5名・テナント4名 売場面積 業 青果・一般食料品、鮮魚・惣菜、精肉、薬、化粧品、時計、衣料 品他 住 T E 種 島根県仁多郡奥出雲町下横田84 1,686 ㎡ Ⅱ.特質すべき事業内容 1.共同店舗の現状 当組合は昭和 46 年1月に設立され、旧横田町大市商店街に売場面積 190 坪にて共同 店舗を開店、順調に推移し、昭和 52 年には2回目の高度化資金の活用により、売場面 積を 360 坪に増床・リニュアルを行ないました。 その後、競合するAコープが 110 坪に増床したことを機に、店舗の老朽化や駐車場不 足が痛感され、昭和 61 年をピークに売上は横ばい状態が続きました。 そのため昭和 63 年より新店舗の計画に着手、平成2年に準備会を発足し、敷地面積の 制約などから店舗規模の拡大が困難な状況にあり、旧横田町市街地に近接する国道 314 号線沿いの当地(敷地面積 14,864 ㎡)に移転し、平成7年3月に売場面積 1,686 ㎡、 駐車台数 350 台収容、組合員5名、テナント2名にて開店しました。 平成 15 年には近接地にホーム センター・ジュンテンドーが出店、 平成 19 年には店舗前面駐車場に ガソリンスタンドを併設するな ど、地域顧客に利便性のある商業 集積地づくりに努めてきました。 旧横田町は出雲市寄りの旧仁 多町と平成 17 年3月に合併、奥 出雲町と町名を変更し、旧横田町 は、国道 314 号線で出雲市方面、 店 舗外観 国道 432 号線で松江市方面に連絡 しており、時間距離は 1 時間程度の位置にあって、日常生活に必要な商品の地元購入率 は 80%程度の水準を維持しています。 奥出雲町の人口は、平成 22 年度国勢調査によると 14,456 人、4,733 世帯、1世帯当 り人口 3.07 人となっており、少子化・高齢化の進展に伴う消費購買力の縮小が危惧さ れ、奥出雲町の小売年間販売額は平成9年をピークに、平成 19 年には 106 億 75 百万円、 9 平成9年対比 41 億 48 百万円(28.0%)減少しています。 奥出雲町の立地条件を活かしながら店舗の営業基盤強化を図る視点から、地元農業法 人と農商連携事業の取り組みとして農産物直売所を設置し、平成 22 年3月 11 日にリニ ュアルオープン、食品部門の販売実績は平成 15 年度の水準を回復する成果をあげまし た。 リニュアルから3年を経過し、ますます少子化高齢化が進展するなか、イオン系列の ドラッグストア㈱ウエルネス湖北がホームセンターに隣接して平成 25 年5月 15 日に開 店、医薬品、雑貨、一般食品などの品目での競合が激化している状況にあります。 2.環境変化に対応し実施した地域連携事業 当店舗の位置する奥出雲町横田地区の人口は 75 百人、世帯数 23 百世帯であり、減少 したとはいえ就業構成に占める農業従事者の割合は 20%台を維持しています。極めて限 定された商圏内での営業の場合は、地域との関連性を意識しつつ蜜な関係を維持してい く必要があり、第一の施策として「農商連携事業」に取組みました。 生ごみを排出する事業者として、食品リサイクル法対策の検討は今後の重要な環境問 題となること、また農業従事者としては、有害な農薬・化学肥料等の使用禁止による「食 の安全・安心」を消費者に提供できるように、減農薬・無農薬農産物を栽培し、 農産物 のブランド化を推進したい思いで、当組合と農業従事者の思いが一致し、平成 15 年N PO法人コスモ銀河計画がメンバー14 名で設立されました。 当組合企業から毎日排出される生ごみを堆肥化し、地元農家でこの肥料 (名称マイク ロベース)を農産物栽培に使用し、生産者グループと農産物栽培状況について定期的に 情報交換会を行っています。循環型社会事業としての肥料の生産は、毎日組合員企業か ら排出される魚のアラや内臓、野菜のくず、レストランや惣菜店から出される食品残渣 等の生ごみを有機微生物(内城菌)と共に処理機に入れ土壌改良剤(有機肥料)を製造、町 内の農業法人及び野菜生産グループに安価で販売し、土壌改良剤の評価が定期的に行わ れています。 「食の安全・安心」が強く求められている現在、地元生産農家と当組合との連携によ る循環型社会形成は、NPO法人の活動として結実し、生産者と共同店舗による連携 (ネ ットワーク)が構築され、奥出雲ブランドの商品開発へと事業が推進されています。 当店舗から排出される生ごみの量は年間 120 トンに達し、土地改良剤として年間 65 トンが製造され、生ごみ処理はゼロに近い状態にあります。この取組みのベースになっ ておりますNPO法人の肥料販売先は、㈲コスモ 21 へ 59.7t、会員へ 3.5t、一般農 家へ 1.8tとなっており、販売価格は会員へは 15kg1袋 630 円、一般 1,260 円で提供 しています。㈲コスモ 21 では、自然 有機農法により生産された米を「仁多 米こしひかり」として、さつまいもは 焼酎に加工して「安人」として販売し ています。 10 さらに農商連携事業は進展 し、農業法人による直売所を店 舗前面に設え、農家の生産物を 販売して、店内の青果と相乗の 効果を発揮しています。設置さ れた直売所は単なる売場ではな く、農業生産者はJA雲南及び 農業法人のどちらにも関係する 立場にあり、奥出雲町2千弱の 農 産物直売 所前 農業経営体のうちJA雲南直売 所に 650 が登録しているので、農業生産者の高い販売能力に対応できる販売 体制の整備 が求められていたことの反映でした。 奥 出雲 地 区 で は J A 雲 南 の 直 売 所 売 上 は 6 億 円 を 超 す 販 売 実 績 と そ れ を 実 現 す る受 発注等情報管理システムが構築され、JA雲南と農業生産者との一体的な運営が実現さ れているので、JA雲南からの商品供給を前提に安定した事業推進が可能になっていま す。 第二は、買物弱者対策です。店舗は顧客の来店を前提に運営されていますが、奥出雲 町では世帯数に占める高齢者のいる世帯比率は 70%台であり、旧横田町では4分の3が 高齢者のいる世帯になっています。 世帯人員でみると、独居世帯及び高齢者世帯の割合が高齢者のいる世帯の 40.9%を占 め、高齢世帯の顧客に商品・サービスを提供する仕組みづくりの必要性が増大している といえ、買物弱者の視点での対応策が急務と なり、平成 24 年 10 月から買物弱者対策の 一つとして、クロネコヤマトと提携して配達業務 (有料)を開始しています。 また、高齢者に占める要支援・要介護者人口は 15.5%、800 人程度で推移し、当店で は奥出雲町と平成 25 年2月「見守り協定」を締結しており、宅配事業の対象となる人 口は、要支援の 180 名が該当するものと想定されます。 限定商圏での営業を持続させていくには、単なる物の提供ではなく、生活支援の視点 からの店舗運営が望まれており、「連携」する施策を講じてはい ますが、高齢者との接 点が多い施策となっていたため、日頃来店することのない客層との接点を模索して「賑 わい創出事業」に取組むことになり、テーマは「お客さまとお店との再発見」でした。 3.賑わい創出事業 平成9年を境に小売販売額は減少を続け、お客様の感心は長く価格指向になり、買い 物をする楽しみ、店舗で実施される催事の興奮などを忘れかけていました。 当店舗では昨年 12 月に「横田蔵市ほっとハートキャンペーン」と名付けてイルミネ ーションの装飾並びに点灯セレモニーイベントを実施し 、賑わい創出事業を船出しまし た。雪深い地域にあってお客様に店頭部分にLED照明を利用したイルミネーション装 飾により、明るさと暖かい気持ちを醸成する試みを行いました。 夏の賑わいを創出する事業の第一弾として、「土曜夜市」を復活、第二弾として「100 11 縁まつり」を実施しました。 (1)土曜夜市 1)実施日:平成 26 年7月 26 日と8月2日の土曜日 2)実施内容:20 数年前まで「夏の風物詩」として地元のお客様に親しまれていいま したが、店舗の立地移転後、土曜夜市イベントを中止していました。時代の移り変 わりとともに、今、地元のお客様に昔懐かしい「土曜夜市・縁日」を楽しんでいた だけるイベント(わた菓 子・ボールすくい・射的ゲ ーム・昭和の横田市街地ス ライドショー等)を復活さ せました。 併せて特設でビアガーデ ンも開設し、集客を高める ための広報手段としてチラ シ・のぼり・パンフレット・ 告知放送等により広く広報 土 曜夜市( 店前駐 車場) 活動を行い、イベントとし て、アーチストによるライブコンサート、お楽しみ抽選会、地元和太鼓演奏、バル ーンアート等により縁日ムードを演出し効果ある企画といたしました。 (2)100 縁まつり 1)実施日:平成 26 年 10 月 26 日(日曜日) 2)実施内容:組合員・テナント企業9社が共同企画として「100 円商店街」の手法を 熟知したうえで、知恵を出し合って各売場が魅力ある 100 円商品あるいは 100 円サ ービス等のアイデアを結集して、集客を高めお客様とお店との「縁」を結ぶ商品・ サービスを提供しました。 ◆時計・宝石店では、椎茸ごはんを 100 円商品として販売しました。いつも販売し ている商品を 100 円商品にしなければならない決まりはなく、100 円商品はその 店を知ってもらう「きっかけ」の役割にしました。 ◆クリーニング屋では割引券ガチャとして1回 100 円で子供が楽しめる工夫をしま した。子供が楽しめる 100 円商品を考えるというテーマを具体化しました。 ◆食品コーナーでは、シジミ、サザエ、赤貝、ジャコの袋詰め放題を 100 円で提供 しました。15 分でほとんど売り切れてしまう盛況ぶりでした。 ◆薬局では、100 円でじゃんけんをして勝てばティッシュペーパーを貰え、負けて も商品の詰め合わせが貰える「体験型」の 100 円商品を考えました。体験型です ので、大人も子供も参加しやすい状況を演出することができます。 ◆店外では体験型の 100 円商品「ビン立てゲーム」で、成功したら賞金が貰え、失 敗してもお菓子が貰える、モノだけでなく達成感という喜びを商品にするもので、 柔軟な発想から生まれた 100 円商品です。 ◆メインのステージでは、今回の目玉商品である 100 円スクーターの抽選会が行わ 12 れ、多くのお客様と縁を結ぶことになりました。来店する楽 しみは大きいほど良 い。 ◆メインステージではもう一つ「チャリティ 100 円オークション」が行われ、商品 によっては 1,500 円まで値上がりする商品もみられました。 4.取組みのポイント 100 円商店街は山形県新庄市で平成 16 年7月始まり、いまや商店街活性化の三種の神 器の一つになっており、NPO法人-アンプ斉藤理事長の指導により、勉強会を1回・ ワークショップを2回開催して、後継者候補を中心とした組合青年部( 20 代から 40 代 を中心、女性含む)が主体となって本事業を実施しました。 斉藤理事長は、「単に人を集めるイベントを実施するだけでなく、それ以上の仕掛け を作って個店が儲かる支援が必要であること」や「お客さんは商店街の個別の店には入 りにくい。入ると必ず何か買わないと出にくいと思っていること」、 「個店が本来持って いた“ お客さんとのコミュニケーション” こそ大手ショッピングセンターに真似ので きない商店街の魅力であること」などに気付き、これらの考えを一つの形にまとめたも のが“100 円商店街” でした。 具体的には、「商店街全体をひとつの 100 円ショップに見立てて、一定期間、各個店 が何がしかの商品を一斉に 100 円で販売する」という極めてシンプルな取り組みです。 シンプルですが、そこには緻密な仕掛けが随所に用意されている 、それが「“100 円商 店街” 三か条」です。 そ の 第 一 は 、「 100 円 商 品 は 必 ず 店 頭 に 陳 列 す る こ と 」。 そ う す ることで、どんなお客さんも気軽 に 100 円商品を目にしたり、手に 触れたりできるようになります。 第 二 は 、「 必 ず 店 員 が 接 客 し な が ら 販 売 す る こ と 」。 お 客 さ ん と 対面して会話することで、100 円 100 縁まつり 勉強会 商品や自店の良さをアピールで きるだけでなく、店主や店員の顔 を覚えてもらい、親しみを持って もらえれば、リピーターになって もらえる可能性が高くなります。 第 三 は 、「 商 品 は 必 ず 店 内 で 精 算 す る こ と 」。 お 客 さ ん を 店 内 に 引き込むことで、店の雰囲気や 100 円 商 品 以 外 の 品 揃 え を 知 っ てもらえる。また、一度入店して 100 縁まつり ワークショップ もらえば、次回から入りやすくな 13 ります。このことがリピート化につながる効果が期待できる仕掛けになります。 勉強会では、100 円商店街”の理念と目的、効果などを正しく理解して、開催の意思 を明確にしました。 ワークショップでは、100 円商品の考え方を6名程度で1チームを構成し、必ず女性 を1名参画させることを心がけ、経営者と従業員、年齢層も混在して同質な発想になら ないように留意し、お客様に楽しんでもらうことを第一に商品・サービスを発想するこ とにしました。鳥取・島根両県には 100 円商店街の事例がないのですから、参加者の意 識は高くなりました。 過去 10 年間の指導実績のある斎藤理事長は、100 円商品・サービスを発想する宝の箱 的存在であり、全国を歩いていることで地域の違いを理解する姿勢が醸成され、地産地 創の視点からの助言が、参加者にお客様が求めていることを気付かせたものと思われま す。 5.取組みの効果 100 縁まつりは奥出雲町ならではのネーミングで、縁を結ぶことに徹底しましたが、 店内をみると、かなりの活況を呈していました。 100 縁まつり実施日と昨年 10 月 27 日(第四日曜日)とを比較 してみると、全体では売上高 14.1%増、客数 13.4%増という 実績になっており、買物行動に も結びついた結果になっていま す。 業種では衣料品、書籍などに は波及効果が少なく、落ち着い 店 内SMレ ジ前 た雰囲気で商品を選択したい願 望があるので、やや喧騒のなかでは購買に結びつかなかったものと思料されます。 組合では業種別、部門別、品目別に販売実績を精査して いるので、詳細にヒット率な どから個々の戦術の立て方を見 直す努力が必要となります。 しかし、お客さまの購買行動 ばかりではなく、日常的には高 齢者に特化した印象のある当店 舗に、いわゆるファミリーと呼 ばれる世代も多く来店しており、 店舗を認知していただけたもの と思われます。 100 縁まつり 出店 また、消防署、警察署の関係 者、店前の出店へ参加者等にも当店を再確認していただく機会ともなり、今後に期待で 14 きるものと思われます。 6.今後の取組み 実施後には実施効果の検証と、次からの開催をより良いものにするための振り返りを 必ず行わなければなりません。 組合ではお客様アンケートを実施しており、回答者は女性、回答数に占める 60 歳代 以上の割合が過半数を上回り、 100 縁まつりを大部分の人がチ ラシで知ったと回答、来店は車 を使用、大満足 20%、満足 70% という結果になりました。 しかし、お褒めの言葉とは別 に、今後に繋がる運営上貴重な 意見も多く寄せられました。 消 防はしご 車からの 景観 ・新聞の広告をもっと大きく したらよかったと思う。 ・駐車場が遠い(足の悪い人などにはつらい) ・混雑で買い物するので精いっぱい。 ・すぐ売り切れになるものが多かった。 ・外に屋根のある場所も作ってほしかった。 ・店内にも外のイベントの音が入ればもっと良かったと思う。 ・詰め放題の場所が狭いし、商品も取りづらかった。 ・POPを大きくしてほしい。 ・通路が狭くて歩けない。 ・体験型のものが複数あるところは、場所をバラけさせた方がよかったと思う。 ・目当ての商品を買うのに精いっぱいで、よくわからない。 加えて、従業員アンケートも実施しており、概ね縁結びの 100 円商品の販売は好調と いう結果になっており、仕掛け はお客様に満足感をもたらした 結果になっていました。 課題は継続する意欲・意思で あり、従業員のなかにある課題 を解決する意識を顕在化する反 省会などを適切に実施すること が望まれます。 15 ◆100 縁商店街のチラシ 16 三.岡山駅前商店街振興組合 Ⅰ.商店街の概要 企 業 名 岡山駅前商店街振興組合 代 表 者 土居 所 〒700-0023 岡山県岡山市駅前町 1-6-11 住 T E L 創 業 年 月 靖典 086-222-4106 昭和 42 年 10 月 HP F A X 086-206-5670 設立年月 昭和 42 年 10 月 E-mail [email protected] 売 場 面 積 13,517 ㎡ 組 合 員 数 74 名 業 物販9、飲食・サービス他 65 種 Ⅱ.特質すべき事業内容 1.商店街の環境 当商店街は、岡山駅東口から東へ延びる桃太郎通り北側に面するビッグカメラ、ドレ ミの街に隣接して北側の走る幅員7m、街区延長 280mの商店街です。 戦後駅前に闇市と形成されたマー ケットが、岡山駅を中心とする駅広 イオ ンモー ル などの都市整備に伴い、街区として の景観を整えていき、桃太郎通りを 軸としてひと筋内側に入る意味から、 中筋商店街の名称がつけられたもの と思われます。 ドレミの街 当商店街の東側西川沿いには、昭 高島屋 ビッグカメラ 岡 山駅 和 21 年9月に岡山マーケットとし てオープン、通称「岡ビル」と呼ば 駅 前商店街 (振 ) れている建物が昭和 26 年 10 月に竣 工して、職住一体型商業施設として完成しました。 当時は画期的な商業施設として地元新聞でも報じ られ、商圏は郊外郡部にまで及び高い集客力を発 揮していました。 現在は空き区画が増え、周辺には多くの大型小 売店があるなど厳しい状況にありますが、近隣住 民の台所として根強い人気を維持して、業者と取 引も行う仲卸機能を備えた小売市場(築地)を指 向し生き残りを模索しています。 駅前地区の不燃化が推進され、岡山駅前中筋商 店街の一角を含む岡山駅前再開発事業の第 6 ブロ ックとして建設された再開発ビルには、開業時に 17 岡 山駅東口 からの外 観 はダイエーが核店舗として出店していました。施設規模は地上7階、地下2階で、敷地 面積 4,371 ㎡、建築面積 3,966 ㎡、 延床面積 33,059 ㎡で、売場として営 業しているのは地下1階から7階で あり、地下2階は 50 台の駐車場にな っています。 平成 17 年 11 月末にダイエー岡山 店が撤退し、平成 18 年3月には天満 屋ストアなどが出店、6階のクリニ ックモールや7階の保育園、フット ド レミの街( 旧ダイエー跡 地) サル施設の開設など様々な試みが話 題を呼びました。 平成 19 年 11 月 20 日には東口駅前の岡山会館にビッグカメラが 11,000 ㎡で出店し、 中心街区の顧客の流れが大きく変わると共に、当商店街の性格も大きく変化することに なりました。 2.商店街の環境変化への対応 駅から近い立地条件の良さから、飲食店、理髪店、ホテル等のサービス業の店舗が多 く、また大型電気店、大型スーパーも商店街にあり、近くの映画館などの集客力も助け となって発展してきました。 一番の特徴は飲食店が多い点で、夕方からは学生や仕事帰りの会社員の姿も見られま す。現在のアーケードは平成 13 年に 改修され、入口にはスカイモール2 1という文字が刻まれています。 当商店街は、戦後の混乱期から、 西川緑道公園を挟んだ「岡山市民の 台所」として食の面から支えてきた 岡ビル市場とともに、岡山駅利用者 の増加にあわせ発展してきました。 昭和 50 年代には映画劇場がつぎつ 映 画館メル パ ぎと開館し、にぎやかな街並みがつ くられましたが、今ではメルパ1館のみとなりましたが、当時の名残を残すたたずまい が今も感じられます。 ダイエーの撤退に象徴されるように、まちなかでの物販店の営業方法は、車社会の到 来に伴い郊外への大規模モールの建設により、休日の繁華街の通行客の減退は著しいも のがありました。旧林原の跡地にイオンモールが昨年 12 月5日に開業して、桃太郎通 り南側街区にやや商業の重心が移動する状況が生まれつつあります。 岡ビルやドレミの街の求心力に支えられた物販店は 、最近では空き店舗になっている か夜間性飲食店に変わっているため、昼間は岡山駅を起点に行動す る人達の通過交通中 18 中心の来街行動になっていました。 街 区 内 北 面 に は 150m に 渡 り ビ ッ グ カ メ ラ 及 び ド レ ミ の 街 の 壁 面 が 続 き 、 物 販 店 は 薬・化粧品、ドラッグストア、靴、バ ッグ、宝石、呉服、和紙、毛糸・手芸 など 10 店舗前後になり、夜間性飲食の 増加に伴い昼の賑わいが徐々に失われ つつありました。 当商店街の構成員は 74 名、アーケー ドを改修した平成 13 年に振興組合を 設立していますが、運営は中筋商業協 同組合が母体となっており、世代交代 西 川側入口 が徐々に進行しておりました。 平成 22 年の暮れに青年部が立ち上 げられ、平成 23 年前4月にまちなかコンパを実施する企画が持ち上がりましたが、折 しも東日本大震災により急遽中止になり、11 月にまちなかコンパを開催しました。 ビッグカメラの出店に伴い若者や男性客の来街が増加したこともあり、自ら企画した イベントが一定の評価を得ることができたため、何かをしようという想いが青年部内に 強くなり、15 年前に休止した(店の後継者不足や高齢化などで、平成8年を最後に途絶 えた)土曜夜市を復活、開催することになり、平成 23 年8月の最終土曜日に実施しま した。 当商店街に隣接する岡ビルマーケットの青年部にも声がけ、参画してもらうことにし たところ、肉屋の社長からの提案により青年部 の名物を作ろうということになりました。 岡山産の備前「晴れ豚」の串焼きを、桃太郎 伝説に由来する「うらじゃ(赤鬼)」から青年部 が開発した赤い「温羅(うら)ソース」で食べ ることが話題を産み、メディアに大々的に取り 上げられることになりました。因みに、平成 24 年度は6月~9月、25 年度は6月~8月の最終 H 25 年 7 月 28 日 土曜日に夜市は開催され、親子で楽しめる地域 Ni 日 イベントになりました。 25 「商店街に活気を取り戻そう」 「子供のころの 夜市を再現したい」とスタッフは、当日浴衣や 甚平姿で参加、ポスターやチラシでも“昭和風” を強調した土曜夜市の行動は、回を重ねるごと に出店者も増加することとなり、駅西の奉還町、 中心表町の青年部に少なからず刺激材料となり H 25 年 7 月 28 日 ました。 Ni 日 そのような状況にあって、岡山の商店街を“若い力”で盛り上げようと、岡山市中心 25 19 部の岡山駅前、奉還町、表町の3商店街の青年部有志が「岡山市商店街青年部連絡協議 会」を発足しました。 連携してイベントを行うなど相互のにぎわい創出を目指すことを目標に、商店街の “ 競 合 相 手 ” と し て で は な く 、 と も に ア イ デ ア を 出 し 合 っ て 商 店 街 の 魅 力 ア ッ プ を 図る “仲間”としてスクラムを組むことを、平成 24 年末に3商店街の青年部代表が集まり決め ました。 メンバーは各商店街の飲食店や生花店、宝飾店などの経営者や2代目など約 20 人で 構成され、平成 25 年1月 28 日には青年部長が岡 山駅前商店街近くの「国際文化交流プラザ」で顔 を合わせ、連携イベントの発案・実施、他の商店 街イベントの発信、SNS(ソーシャルネットワ ーキングサービス)活用によるメンバー間の情報 共有といった今後の取り組みを確認しました。 各商店街で青年部は活性化に向け活動すること とし、当商店街は夏の土曜夜市の復活、表町は町 おこしについて考えるセミナー、奉還町は地元の 専門学校とハロウィーンイベントなどに取り組ん でおり、こうしたノウハウも可能な限り提供し合 っていくことを確認しました。 3.商店街賑わい事業の内容 賑わいを少し取り戻しつつあるとはいえ、イオンモール岡山の開店に伴い顧客の流れ が今まで以上に南側地区に傾斜する恐れがあり、夏場期間限定の昭和の時代を想起させ る土曜夜市に加え、今の生活を支援する交流機会を創出する試みから、安心・安全な食 材を提供する「地産地消」と、東日本大震災を機に福島 から移住した人たちを支援する 心を添えて、「桃太郎市」と命名した市日を毎月第二日曜日に開催することになりまし た。 (1)桃太郎市 桃太郎市は大きな1つのコンセプトと3つのテーマを掲げ、岡山の玄関口の駅前商店 街に誕生しました。 『 地域にあるものを活かし、地域の良さを伝える 』ことを基本コンセプトとして、そ れを実現していくために『中心市街地の活性化』 『地産地消』 『被災者支援』の3つ のテーマを設定しました。 魅力的なお店が商店街に増え、毎日がワクワクするような商店街に 成長し、商店街へ 来ることそのものが楽しいひとときと感じ、生産地が明確で、生産者の顔がわかり、安 心・安全な食材がいつでも手に入るようにな り、家庭の食卓にはいつも安心・安全な食 材が並び、子供たちがそれを食べ家族の会話が弾み、岡山県以外の人たちも岡山のゆか りあるものを楽しみ、交流が活発になることにより地域が活性化し、共に協力する幸せ を感じ、その結果 “地域全体が元気に活気溢れる街になる”そんな地域を目指 すこと 20 を目標にしました。 桃太郎市は、商店主らでつくる「桃太郎プロジェクト実行委員会」が岡山の地域資源 をPRし、まちの魅力アップにつなげようと し、移住者を支援すると同時に、県外に詳 しい人の視点を岡山の魅力発掘に生かす狙いで、移住者のブースを設けた りし まし た。 他に、当商店街青年部が塩や唐辛子に県産のキビ粉を混ぜて開発した調味料「温羅(う ら)ソルト」の販売、地元音楽家のライブなどがあ り、新商品や人の発掘の機会を提供 する場ともなりました。 記念すべき第一回のイベント紹介は以下のとおり です。 ①日時(曜日)2014 年 3 月 9 日 10 時~16 時 ②場所:岡山駅前商店街 岡山市北区駅前町 ③タイトル 第一回 桃太郎市に行こう! ④参加費:無料(お買い物は有料) ⑤コメント ✦マスキングテープ販売&体験会(岡山メルパ 二階)12 時半~16 時 参加費 500 円 ✦備前焼で「オンリー椀」を作ろう!(参加費 3500 円)備前焼陶友会青年部 ✦ふらここ おかやま LIVE ✦無農薬&減農薬野菜の直売や避難移住者によ るフード&マーケット ・有機・減農薬野菜のカレー「ちやかぽこ洞」 ・太陽光発電で営む深煎りカフェの店「非電化 カフェえんがわ」 ・自家培養天然酵母パン「オぷスト」 ・菜食薬膳カレ-「いなほ屋」 ・お菓子とトルティーヤ「manimani」 ・焼き菓子、スープ「ままどーるず&まみぱん」 ・和気町の安全な野菜・果物「おかやま野菜倶楽部」 ・ドーナツ、飲み物「ぜろドーナッツ+岡山移住組」 ・草木染「naco」 第三回目からは、うなぎのつかみ取り体験などを 企画して、近くの川魚専門店が漁師の協力を得て実 施す る 体験 型イ ベ ント が教 育 委員 会の 共 感を 得て、 チラシの配布を教育委員会が率先して行うなど、地 域が一体となった催事に成長しています (2)ジャズナイト(にぎわい補助対象事業) 毎年、市商連(岡山市商店会連合会)主催でゴールデンフ ェスタ(5月第一土、日、 月)と大誓文払い(11 月第一土、日、月)が「あっち&こっち・まちを楽しむ3日間!」 21 として開催されています。 駅前、奉還町、表町の3商店街は合同チラシで参画していますが、当商店街は「海鮮 とれとれ市」「うまっうまっ商店街」「駅前マーケット」「BINGO ゲーム」「駅前まちかど ライブ」「えきまえシネマスタンプラリー」などのイベントを昨年度は実施しました。 毎年音楽イベントを企画しましたが、ジャズが商 店街に滞留し聴いていただける度合いが高いと判 断して、補助事業を活用して継続開催することにな りました。 昨年7月から 10 月までの第二、第四火曜日の6時 ~9時と7時~9時の2パターンで、演奏は3か所 で行いました。 岡山市内を拠点に活動されているジャズプレイ ヤーは多く、岡山を代表する演奏者の技術を間近で 体感できることが大好評となり、飲食店前に椅子と テーブルを設け、テイクアウトで美味しいお料理を 楽しむことができ、回を増すごとに観客は増加しま した。 当商店街では場所などの提供を行い、音楽業界に 精通する仲間が演奏者を取り仕切る人 になって、奏者も毎回異なっていたこ とも成功の大きな要因となり、演奏者 のブログからジャズナイトの感想が情 報発信され、感心度を増幅しました。 アーケードがあり天候に左右されず に、帰り道の勤め人や東横イン(元映 画館跡地である)ができてから通行客 が増え出張で宿泊するサラリーマンな ど、とおりがてらの方が立ち寄ること も多くみられました。 見て、聴いて、味わって、人の触れ合いから商店街を体感するイベントにより、当商 店街を再確認していただく、絶好の機会になりました。多くの演奏者ともイベントを通 して人の輪を構築することができました。 (3)バル&バザールin 岡山駅前銀座商店街 当商店街で3枚つづりのチケットで買い物や飲食を楽しむイベント 「バル&バザー」 ルが開かれました。 当商店街の飲食店や衣料品店、マッサージ店など 23 店舗が参加し たイベントで、 3枚つづり 2100 円のチケットを参加店で購入し、各店のさまざまなサ ービスを受けることができます。 青年部が集客力アップを狙って企画したイベントで 、買い物客はイベント限定のお得 22 な飲食メニューやサービスを楽しんでいました。 当商店街は、駅前立地という条件の良さから、近年飲食店の進出が増えてきている状 況にあって、店主の高齢化によって商店街の活動は停滞するなか、イベント等を行って いる時は通行量が増加するものの、通常時 の通行量は減少している状況にあり、イオン モールの出店による近隣商店への影響が懸念されていました。 バル&バザール実施にあたり、意欲のある経営者が個店の魅力アップと専門性を高め、 情報発信力の強化を進め入り易い店づくりを指向しないと、参加チケットの購入 には結 びつかないと考えました。全国商店街支援センターが支援する「 繁盛店づくり実践プロ グラム事業」に6店舗が参画して、自店舗の見直しを行いました。報告書の要旨は以下 のとおりです。 参加者の反省点は、 1)店内の見える化・・・・すっきりと店内外から見通しを良くして、何の店かわかるよう にするため、ガラス面のポスター類を撤去し、併せて、外から目立つ店内のビール ケースも撤去しました。(飲食店) 2)ギフト需要の誘発・・・・商品とギフトケースを一緒にディスプレイして、プレゼント のイメージをさせるようにしました。(宝飾小売店) 季節感のある店頭ディスプレイを設置することにより、季節にあった「コト消費」 をイメージさせことにしました。(生花小売店) 3)接客マナーの周知・・・・本研修を通して『接客マニュアル』を作成し社員に配布。接 客方法を細やかに記載し、ブックスタイルで携行できるようにした。(飲食店) 4)来店意欲を起こさせる店頭演出・・・・アピールしたい地ビールの「のぼり」を店頭に ディスプレイし、賑やかさを演出しました。(飲食店) ガラス面のチラシを取り除き、焼き場が店頭から見えるようにして、ライブ感を 活かすようにし、たこ焼き以外のメニューが分からなかったため、テイクアウト メニューを店頭に掲げてアピールしました。(飲食店) これまでさまざまなイベントを実施してきましたが、飲食店のみ参加対象であったり、 「バル」の開催も単発で商店街総体の計画的なイベント実施はあまりありませんでした。 「店舗情報発信ツール づくり」を検討すると き、商店街を周知し来 街者を募る媒体(商店 街マップ)の作成は決 定しましたが、単なる マップ配布では来街の 動機として弱いという ことになりました。そ こで参加店会議での協 議の末、飲食店以外に 物販店(貴金属店・生 23 花店)も参加できる、飲食店の「バル」と物販店の「バザール」を合体した「バル&バ ザールin岡山駅前商店街」として、平成 26 年2月 23 日、商店街初の単独開催に至り ました。 「参加店会議」の最大の効果として、商店街組織の「ヨコの連携」の醸成が挙げられ 、 これまで同じ商店街の構成員ではあるものの、お互いの商売の内情に関して話題にする ことがほとんどありませんでした。 実際に各店舗を全員で見学して回るという「臨店ツアー」 を実施し、「参加店会議」 では店舗の状況を赤裸々に語ることとなり、そこで初めて商売をする者同士の意識の共 有が図られることとなりました。これにより、同業種・異業種を問わず、お互いの店舗 に対する改善の意見交換が積極的に行われるようになり、「参加店会議」以外の場でも 検討する意欲が醸成され、商店街活性化の「核」となる「ヨコの連携」が生まれました。 さらに「店舗情報の発信」の視点から、各自が臨店研修を通じて学んだ“店舗の魅力 を顧客へ発信する”という考え方を更に商店街に応用していくという取組 みで、活発で 具体的な意見が交わされ「店舗情報発信ツール」を作成していくという成果 にもつなが りました。 4.今後の取組み イオンモール岡山が昨年 12 月5日に開業し、駅前周辺地区の交通混雑が加速するも のと推測されましたが、徹底したパーク&ライドにより回遊性は確保されています。 当商店街では、西口奉還町商店街と同様に昨年 10 月 19 日に「岡山駅前商店街・イオ ンモール岡山 地域振興連携協力に関する協定書」を締結しました。 同協定の締結は、岡山市の地域の活性化及び生活環境の向上のために、岡山駅前商店 街とイオンモール岡山の双方が持つ資源を有効に活用し、2者の共働による活動を推進 することを目的とし、具体的には、①地域電子マネーポイント(仮称ピーチ)、②共同 イベント開催、③地域文化、芸術、④情報発信・PR、⑤公共交通機関利用促進、⑥そ の他両者間で必要と認める地域振興に関する事項等の取り組みを進める内容になって います。 イオンモールでの買物の際に付与されるポイントの一部が当商店街での買物の際に も使用できるものですが、日頃から来街していただく気運づくりを醸成していくため、 これまでの商店街活動を継続する意欲を堅持することが肝要になります。 24 四.久留米南ショッピングセンター協同組合 Ⅰ.共同店舗の概要 企業名 久留米南ショッピングセンター協同組合(サザンモール) 代表者 池田幸三郎 所在地 〒830-0073 創業年月 平成9年3月 設立年月 平成6年12月 組合員数 6名 売場面積 6,090 ㎡ 業種構成 ・生鮮品 福岡県久留米市大善寺町宮本456 店舗の外景 ・一般食料品 ・日用雑貨 ・実用衣料品 ・その他 Ⅱ.特質すべき事業内容 1.組合概要 当ショッピングセンターは、現在、店舗 面積 6,000 ㎡に食品スーパーを核に15の 専門店からなる共同店舗で、生鮮品、一般 食料品、日用雑貨、実用衣料品等を販売す る地域密着型ショッピングセンターとして、 地域の顧客から愛されています。 当ショッピングセンターは、久留米市の 南部に位置し、西鉄天神大牟田線大善寺駅 と安武駅の中間地点、市内北東から南西に 延びる主要道23号線と筑後川に挟まれ、 近隣には、日本三大火祭りの一つが行わ 【久留米南ショッピングセンターの位置】 れる大善寺玉垂宮(ダイゼンジタマタレグウ)や御塚、権現塚古墳など貴重な文化、歴史 遺産のある地域に立地しています。 25 【御塚・権現塚古墳】 【大善寺玉垂宮火祭り】 周囲3km圏内にはスーパー、ドラッグストア、ホームセンター等が立地。更に10k mにはゆめタウン、イオンモールの大型店2店舗が立地するなど、競合状況も激しさを増 している地域でもあります。 また当組合は、平成6年12月に17名の組合員によって設立され、平成9年3月に組 合員店舗16店とテナント1店舗により久留 米南ショッピングセンターをオープンしまし た。その後、組合員店舗やテナントの入退店を繰り返しながら現在、組合員6店舗、テナ ント9店舗の構成によって営業しています。来店客は、主婦層を中心に家族連れが多く、 半径3km圏内から車を利用しての来店が多い状況にあります。 2.若手リーダーや女性の参画 現在、当組合の執行部は、組合員店舗の後継者を中心に組織され販促企画、研修事業、 催事、空店舗対策等の組合運営を行っています。また組合員店舗には、女性従業者が多く、 イベントや施設の美化運動等積極的に参加しています。今後は、 衣料部会を中心に女性メ ンバーの参画を図り、組合組織の運営力強化と活性化を図ることとしています。本事業で は、若手後継者が中心となり企画計画立案に関与するとともに重要な役割を担い実施に当 たりました。 3.事業の内容 当ショッピングセンターは、これまで 夏祭り、寄せ植え大会といったイベント 事業に取り組んできましたが、地域住民 の高齢化や近隣大型店への買い物客の流 出というような状況が続き、当店への集 客と売上の確保が大きな課題とされてい ます。一方、当店舗が立地する大善寺・ 三瀦(ミズマ)地域は、日本史に大きな 影響を持った貴重な歴史遺産があるにも 拘らず、まちおこし等に十分活かしきれ ていない現状があります。また地域住民 【イベントオープニングセレモニー】 26 の高齢化の進展、人口の減少等から地域コミュニティの場が少なく、元気な高齢者が活躍 する場も限られてきています。 このような現状から地域の高齢者等の豊富な知識や経験を活かし、地域の歴史を活用し た子供の育成や地域住民のコミュニティづくりに当ショッピングセンターが貢献できれば ということから今回の事業に至りました。 実施体制として当組合が主体となり、特定非営利法人 NPO 経営支援ネットワーク、地 域の任意団体である「まちおこしの会大善寺」との協働により、久留米市市民文化部文化 保護課の協力を得て、地域の歴史遺産を活用した事業を展開しました。 (1)地域歴史の青空教室 ①実施日時:平成26年11月24日、平成27年1月15日~2月15日 ②実施内容 御塚、権現塚古墳、玉垂宮、鬼夜の火祭りなどの歴史遺産の現地学習教室を開催 し、40名の募集定員に対して22名参加がありました。子供たちは写生大会、大 人は写真撮影会を行い、描かれた絵や写真の展示会を当店舗内で開催、優秀作品に 対しては当店の商品を賞品として授与する というものです。 優秀作品の評価については、来店客の購買金額に応じて投票用紙を配布し、投票 してもらうことで売上の確保と向上を図り、また賞品に当店の商品を使うことで、 組合員店舗と商品の認知度の向上を図りました。 【小学生写生大会参加者】 【歴史遺産現地学習教室】 (2)歴史遺産の写真や資料映像等の展示会と体験教室(コミュニティスペースの設置) ①実施日時:平成26年11月1日~11月30日 ②実施内容 27 【大善寺、三瀦地域のまちの歴史教室】 空き店舗区画を活用し、歴史資料の展示及びコミュニティスペースを設置。地域 住民とまちの歴史研究家や歴史愛好家とのトークを楽しめる場の提供を行 いました。 また、11月3日の文化の日には、久留米大学の教授を招き「大善寺、三瀦地域の まちの歴史教室」を開催し、40名の募集定員対して70名もの参加者がありスペ ースに入りきれない程の人気でした。更に実施期間中の日曜日には、子供達にも歴 史に触れてもらうことを目的に勾玉づくり体験教室を開催し、1回目の教室では1 6名、2回目の教室では19名の子供が参加しました。 【勾玉づくり体験教室】 (3)歴史資産及び当店舗マップの作成 地域の歴史資産及び当ショッピングセンターの各店舗の店長の顔写真と一言メッセ ージ、クーポン券を掲載した店舗マップを作成し、まちの歴史教室参加者や来店客に 配布するほか、大善寺駅やコミュニティ施設等にも置き、地域の人達にも広く配布す ることで、日頃あまり来店しない顧客に対しては認知度の向上、地域の顧客に対して は当ショッピングセンターの価値を再認識して頂くことを目的に作成、配布しました。 4.事業実施の効果 事業実施の効果として今回、地域住民が中心となり地域の活性化を図ろうとして立ち上 げている「まちおこしの会」と連携をとりながら、地域住民の方々とコミュニケーション がとれたことが挙げられています。周辺地域には、地域の方々のコミュニケーション施設 等がなく、当ショッピングセンターが地域の拠点となる施設であることを認知して頂くこ 28 との一歩となりました。 当ショッピングセンターの来店客数と売上高は、事業終了後の 12 月~2月の3ヶ月と 前年 12 月~2月の3ヶ月を比較すると客数が 1,879 人の減少、売上高は 2,191千円の増 加となっています。また、事業実施前 3 ヶ月間と事業実施後 3 ヶ月間を比較すると客数は 2,113 人の増加、売上高については 25,179 千円の増加となっています。 5.今後の取組み 今回の事業については、地域の歴史や施設等の地域資源を活用し、当地における歴史を 地域の人々に広く知って頂き、併せてこれから地域を担っていく子供たちにも歴史に対し て興味を持っていただくためのきっかけ作りとして実施いたしました。そこで、事業に参 加した人達にイベント終了後にアンケートを配布し、事業内容についての感想と意見を伺 いました。その結果、事業に対する意見の他、ショッピングセンターに対する要望等も多 数寄せられました。その一部の内容について以下のとおり。 (自由意見欄への回答) ○イベントに対しての意見・要望 ・60年も住んでいるのに、こんなに素晴らしい遺跡があるなんて知らなかった ・今後も続けてください ・イベントをもっと増やしてほしい ・空きスペースを活用して、今回のようなイベントは良いと思う。 ・イベントを増やせば、もっとショッピングセンターと親密になると思います。 ・今回のようなイベントにもっと参加してみたい。 ・平日にイベントがあっても仕事で参加できないので、できれば日祭日にしてほしい。 ○ショッピングセンターに対しての意見・要望 ・コミュニケーションが大切。笑顔と新鮮さ。商品の品質が悪い、対応が悪 いと二度 と来なくなるし、人から人へ伝わってしまいます。 ・店員の教育を向上させる。 ・他の店より価格が安いのでとても助かっています。棚に商品がないところがある。 ・若者向けの洋服を置いてほしい。 以上の回答の他にもさまざまな意見が寄せられましたが、イベントに対する意見・要望 の多くは好評価で、今後も継続して頂きたいとの声が多い結果となっています。 今回の事業については、当ショッピングセンターが主催となり、地域のNPOやまちお こしの会等と連携しながら事業の企画から運営までを行いましたが、来年度につ いては、 今回の事業の実施での経験とノウハウを関係団体と共有し、街のイベントとして、街(地 域)が主催となり、当ショッピングセンターは、場の提供等に協力し事業を継続し、地域 の人達のコミュニティ拠点として、地域の活性化を図るとともにショッピングセンターの 活性化を図っていきたいとしています。 29 【歴史遺産及び店舗マップ】 鹿本町を通る国道325号線沿線には数多くの全国チェーンが進出しており、当組合の競 合状況は年々激しさを増しています。 【歴史遺産及び店舗マップ】 30 五.協同組合鹿本ショッピングセンター Ⅰ.共同店舗概要 企業名 協同組合 代表者 松見真一 所在地 〒861-0331 創業年月 昭和57年3月 設立年月 昭和56年5月 組合員数 6名・テナント2名 売場面積 1,499 ㎡ 業種 鹿本ショッピングセンター(リオ) 熊本県山鹿市鹿本町来民549-3 ・食料品小売業 ・靴小売業 ・パン・和・洋菓子小売業 ・理容業 ・ドラッグ・DPE ・酒類販売業 ・クリーニング 店舗の外景 Ⅱ.特質すべき事業内容 1.鹿本ショッピングセンター(リオ)事業 (1)組合概要 当ショッピングセンター の立地する山鹿市は、熊本 県北部の内陸に位置し福岡 県と隣接しています。当市 は、山鹿温泉や山鹿灯籠祭 り等の観光資源に恵まれた 町で、平成17年には、隣 接する鹿本町、菊鹿町、鹿 北町、鹿央町と合併し人口 約5万8千人の町となりま した。 当店は、地元食品スーパ 【鹿本ショッピングセンター(リオ)の位置】 ーを核店舗に、食品、精肉、 鮮魚、薬、酒類、靴、ベーカリー、クリーニング、理容の9店舗で構成され、最寄品主 31 体の売り場構成により地域密着型のショッピングセンターとして地域の中心的な店舗 となっています。 地域貢献としては、組合が所有する約2000坪の土地を地域のお祭りやイベントの 際に臨時駐車場として無料で開放し、また路線バスやデマンド型乗合タクシーの発着所 を駐車場内に整備し、買い物弱者への対応も行っており高い支持を得ています。 しかしながら当ショッピングセンターが立地する国道325号線沿線には数多くの全 国チェーンが進出し、競合状況は年々激しさを増しており、また山鹿市は、熊本県内で も人口の減少、少子高齢化が進んでいる地域となっており60歳以上が39.2%を占 め、15歳未満は12.5%と低い水準となっている。そのため 「みなし過疎地域」に 指定され厳しい環境となっており、今後地域の高齢者や子供達に優しい店舗づくりを行 い、日常的に人々が集うことのできる憩いの場としての機能や役割を担うことが課題と されています。 (2)若手リーダーや女性の参画 当ショッピングセンターでは、組合員店舗の次世代を担う若手代表と若手従業員等に よる青年部(女性含む)が組織されており若い人の視点を活かした販促・営業活動が行 われています。また、当店を拠点とした地域を活性化させるためのイベント等の企画・ 運営を行っており、毎年7月に行われる夏まつりや近隣 地域の清掃作業等にも積極的に 参加し、地域住民とのコミュニケーションを図っています。 (3)事業の内容 当ショッピングセンターは、地域貢献、地域密着型店舗の活動拠点となることを目指 し、店舗と隣接する約2,000坪の土地を平成25年に購入し整備を進め、整備終了 に合わせ「リオの夏祭りと秋祭り」を実施しました。 夏祭りと秋祭りの実施にあたっては、当組合の青年部が中心となり実行委員会を設置 し、組合事務局と連携しながらお祭りの目的や企画内容を検討し計画しました。 このお祭りのテーマは、 「地域との交流」として、ふれあい・憩いの広場・生活情報の 提案をキーワードに地域住民とふれあえる企画、憩える広場づくり、地域の特産・名産 品をお客様に提供するお祭りで、整備を終えた2,000坪の広場にステージやコーナ ーを設置し、地域住民参加型のイベントとしました。夏祭り、秋祭りそれぞれの内容に ついては、以下のとおりです。 ①夏祭りの内容 1)実施日時:平成 26 年 8 月 3 日(日) 2)実施内容 ○地元出店者による特産品を中心としたバザー販売(17団体参加) ○フアフアくまもん遊具コーナー ○ご当地戦隊ヒーローショー ○ステージ企画(地元ダンス 32 教室の発表会、地元歌手に よるライブ、三線演奏等) ○地元特産・名産品が当たる 鹿本うちわ抽選会 ○その他 【リオの夏祭りの様子】 ②秋祭りの内容 1)実施日時:平成 26 年 10 月 19 日(日) 2)実施内容 ○地元特産品のバザーやゲーム(21団体参加) ○フアフアくまもん遊具コーナー ○ステージ企画(ダンス教室の発表会、学校クラブ、地元バンドの演奏等) ○地元特産・名産品が当たる抽選会 ○その他 【リオの秋祭りの様子】 2.協同組合連合会ディアライフグループ事業 当ショッピングセンターは、熊本県と長崎県の共同店舗で組織されたディアライフグル ープに加盟しており、連合体としてのイベント事業も実施しました。 33 (1)組合概要 協同組合連合会ディアライフグループは、熊本県の9つの共同店舗と長崎県の2つの 共同店舗で組織された連合体です。 ディアライフグループでは、 「 地域の人々が日々の生活を楽しく過ごせることを祈って 優しく応援する」というコンセプトを掲げ、共同店舗同士が連携することの強みを活か した運営を行っています。主な共同事業として、共同宣伝、共同販売、共通商品券販売、 共同仕入れ、売上情報の共有等を実施しており、各共同店舗が有する課題の解決やお客 様への価値提供を行っています。 今回、当事業に参加した共同店舗は、11店舗中9店舗で、以下の店舗が参加しまし た。 ○鹿本ショッピングセンター 店舗面積:1,499㎡ 店舗数:9店舗 ○大矢野ショッピングプラザ 店舗面積:2,421㎡ 店舗数:12店舗 ○苓北ショッピングセンター 店舗面積:2,145㎡ 店舗数:8店舗 ○ショッピングプラザ芦北 店舗面積:1,531㎡ 店舗数:9店舗 ○南関ショッピングセンター 店舗面積:1,929㎡ 店舗数:8店舗 ○植木ショッピングプラザ 店舗面積:3,761㎡ 店舗数:23店舗 (2)若手リーダーや女性の参画 今回参加した各共同店舗内の若 手リーダーが営業部会を組織し て、日頃より情報交換や企画提案 等を行い若者の視点や考え方を 活かし、各店舗の活性化のための 活動を行っており、今回の事業に おいては、この営業部会が中心と なって事業を推進しました。 【鹿本ショッピングセンターのイルミネーション】 (3)事業内容 当事業において、これまで各店舗が単独で行ってきたイベントについて統一化を図り、 同一企画を同一の実施期間で実施し、熊本県内の広域におよぶ点から面の取り組みによ って、事業の円滑化を図りました。また、冬季にイルミネーション事業を実施すること 34 で、にぎわいを創出するとともに地域の顧客に明るく楽しく買い物をして頂くことを目 的に実施しました。 具体的には、参加各店舗がそれぞれの店舗の歴史や地域性を表現した「シンボル」 (ペ ージェント)をイルミネーションで作製するというものです。ページェントの作製にあ たっては、ディアライフグループの営業部が中心となり作製し、各店舗の駐車場や入口、 店内のフリースペース等に配置され、地域の人達がページェントの周りに集い、憩う場 を創出しました。 ○鹿本ショッピングセンター 鹿本町の象徴「石のかざぐるま」をモチーフに駐車場中央にツリー型の石のか ざぐるまのイルミネーション。 ○大矢野ショッピングプラザ 店舗のキャッチコピーである「ふれあい、ときめき、ショッピングステーショ ン」をモチーフにしたハート型のイルミネーション。 ○苓北ショッピングセンター 店名の由来である「See=海」をイメージさせるイルミネーションを駐車場内 に展示。 ○ショッピングプラザ芦北 国道に面したファサードに芦北の雄大 な海をイメージさせるイルミネーション を展示。 ○南関ショッピングセンター 店名の由来である樫の木(オーク)が 駐車場の中央に存在するため、この樫の 木をイルミネーションで装飾し展示。 ○植木ショッピングプラザ 当店舗の敷地内に設立当初に植樹され た巨木があり、この巨木をイルミネーシ ョンで装飾し展示。 また、それぞれの店舗において、ページェン トお披露目イベント、スタンプラリー抽選会、 写真コンテストなど地域顧客参加型のイベント も同時に開催し、各店舗がそれぞれの地域にお 【フォトコンテストポスター】 いてにぎわいを創出しました。 3.事業の効果 日頃、地域の人達とは、商品の売り買いの場でしか繋がりのない関係でありますが、今 回お祭りの準備から実施に至るまで密接に触れ合うことで、商売に関係なく良好な繋がり ができ、地域住民とのコミュニケーションが図られたことが最大の効果であるとしていま す。 35 また、山鹿市全域からお客様とバザーの出店者が参加し、今まで来て頂いていなかった 人たちにも広く当店を認知して頂き、お祭りの効果としては、実施期間中 1 日約 2,000 人 の集客につながりました。 事業の効果として、事業を実施した8月、 10 月、12 月の月間来店客数と前年同月の来 店客数を比較したところ、店舗全体で8月が2ポイントのマイナス、10 月が4ポイントマ イナス、12 月が4ポイントのマイナスという結果でした。しかし、イベント実施月以外の 月間客数についてみると前年を大きく下回っており、今回イベントを実施したことで、客 数の減少幅を小さくすることが確認できたため、今回の事業の反省点を踏まえ、次年度は 更なる効果を得られるよう事業計画を立てていきたいとしています。 4.今後の取組み 今回、当ショッピングセンターが単独で実施した「リオの夏祭り・秋祭り」と他の共同 店舗と共に実施した「光のページェント」それぞれに対して、地域の方々や来店客から非 常に高い評価を得られ、ショッピングセンターの客数の増加、売上の向上にも効果が得ら れたことから、今後も継続して実施していきたいとしています。今回夏と秋、そして冬と 2つの事業によりイベントを開催したが、今後は一つの事業として、夏、秋、冬と季節ご とのイベントとして実施し、予算を含めた企画・運営のノウハウができれば、ディアライ フグループの他の共同店舗にも広めていきたいとしています。 【リオの夏祭り・秋祭りチラシ】 36 【リオの夏祭り・秋祭りチラシ】 37 六.協同組合秋田市民市場 Ⅰ.組合の概要 企業名 協同組合 秋田市民市場 所在地 〒010-0001 創業年月 昭和39年12月 組合員数 58名(82店舗) 秋田県秋田市中通4丁目7-35 設立年月 ・食品雑貨衣料 昭和37年4月 秋田市民市場外景 ・飲食 ・青果 ・鮮魚 ・塩干 業種 ・精肉 ・飲食・その他 Ⅱ.特質すべき事業内容 1.組合の概況 当組合は、JR秋田駅から徒歩5分の 中心市街地に位置し、周辺には商業ビル や百貨店等の大型店があり、周辺3km 圏内には、地元スーパーやコンビニエン ス・ストア等も多数立地しています。 当組合の歴史は古く、昭和20年代前 半秋田県の沿岸地域の行商人が魚や乾物 を、県南の地域の農家が野菜や果物を売 【秋田市民市場の位置】 りに秋田駅前に集まり青空市場が自然発 生的に生まれました。ここに集まった行商人が 朝倉市場に入り、秋田市民市場の前身となりま した。その後、戦後の復興期を迎え秋田駅前の 商店街が整備され大きく生まれ変わり、昭和3 7年4月に協同組合秋田市民市場が設立されま した。昭和39年12月現在地に市場を移転し 新たにオープンしました。昭和42年には、市 場の2階部分にボウリング場が増設され、市場 【秋田市民市場内の様子】 38 と共ににぎわいました。昭和50年 秋田市民市場 代になると「秋田の台所」として広 事業所数 年 度 く秋田県民に認知され、毎日県内各 大店舗内 事業所数 地から買い物客が来店するようにな H 6 年度 197 りました。昭和から平成になり建物 H 9 年度 182 の老朽化も進み、小改装を重ねなが H 1 4 年度 55 55 ら営業を続けていましたが顧客サー H 1 9 年度 56 56 従業者数年間商品販売額売場面積 (人) (百万円) 574 15,357 (㎡) 4,073 537 13,095 3,600 201 3,841 2,807 219 3,468 2,628 (経産省:商業統計) ビスの充実等も含め、平成14年よ り建物の建替えを行い、平成15年6月に飲食店、休憩スペース、ATM、コンビニエン ス・ストアを備えた新たな秋田市民市場をオープンしました。 平成24年には、当組合が100%出資した株式会社あきた市民市場メイトを設立し、 インターネットによる情報発信や通信販売等も行い顧客サービスの向上を図っています。 現在当組合は、鮮魚、塩干、青果等の生鮮食料品を中心とした専門店83店舗が入った 地域密着型の市場として、一般顧客の他、秋田市内外の小売店や 飲食店の業務用仕入に訪 れる顧客も多く、また秋田駅に近接しているため秋田県の食産物を取りそろえ、地元住民 の台所として、観光客の食の物産館としての役割も果たしています。 現状抱えている課題は、少子高齢化、人口の減少、大型店の進出が進む中、集客力の向 上が挙げられ、既存顧客の来店頻度アップと新規顧客の増加を図るための取り組みが必要 とされています。 そこで当組合では、将 来顧客となり得る子供達 や若い世代の家族との交 流を図るため、社会学習 の市場訪問や体験学習の 受入れ、 「 親子料理教室」、 「お魚教室」の実施や食 【お魚教室の風景】 育に関する情報ポスター 等を作成し、市場内に掲示、当市場を身近 なものに感じて頂くようにしています。 また、循環型社会を目指して、市場から 出される生ごみを堆肥に生成する生ごみ発 酵処理機を導入し、生成された堆肥を地元 農家に提供。そこで生産された農産物を市 場で販売する取り組みも行っています。 【生ごみリサイクルのしくみ】 2.商店街の若手リーダー、女性の参画 組合員の子供や若手従業員で構成される若手会(16名)が、様々な組合事業に積極的 に参加し、研修事業等も実施しています。また組合には20歳代で組合員になっている女 性もおり、若手メンバーの意見も積極的に取り入れ組合運営に活かされています。 39 3.事業の内容 当組合では、これまで各店毎や市場全体の売出しや毎週末のプレゼントイベント等を実 施してきましたが、人口の減少、家族構成の変化等により来店客数は、年々減少傾向にあ ります。そこで当市場の認知度向上、新規顧客の獲得、既存顧客の向上を目的にスタンプ ラリーを開催、また市場内の各店を利用して頂き市場全体並びに個店の活性化を図ること を目的に各店の「売り・自慢」の商品等を紹介するガイドブックの作成をしました。 (1)わくわくスタンプラリー ①実施時期:平成26年9月末~11月末まで ②実施内容 25年度スタンプラリーを開催し たものの参加者が予想以上に少ない 状況で終わってしまいました。その 原因は、スタンプラリー開催前だけ の告知であったため、周知徹底がな されなかったことが考えられました。 しかし、参加した顧客からの声は、 「今までに来たことのなかったお店 で買い物ができた」、「子供もゲーム 感覚で関心を持ち一緒に買い物がで きた」など評価の高いものでした。 また、「馴染みの店は何を販売し、 どの様な特徴があるかわかる」が、 【わくわくスタンプラリー】 「普段いかないお店は、情報がなくよくわからないので行きづらい」との声もあり ました。そこで、前回の反省点を踏まえ、十分な事前告知を行うとともに期間中メ ディアによる告知を行いました。 スタンプラリーで使うスタンプの台紙は、各店の紹介 をするガイドブックの巻末に付けられており、ガイドブ ックを見ながらお店を回り、買い物をするとスタンプが もらえというものです。スタンプは、全店制覇コース、 20個以上全店制覇未満コース、15個以上20個未満 コース、10個以上15個未満コース、5個以上10個 未満コースを設定。コース毎に賞品を設け、それぞれの コース参加者に抽選によって賞品をプレゼントするとい うものです。抽選の結果については、後日当選はがきを 参加者に郵送し、はがきと引き換えに賞品を手渡しする ようにし、再来店につなげました。 【ガイドブック】 (2)秋田市民市場ガイドブック ①実施時期:平成26年9月中旬 40 ②実施内容 市場内の各店舗の「売り、自慢」の 商品の写真と内容紹介文を掲載し、 「な んとなく知っている」ではなく、 「あの 店のあの商品を買いに行く」という明 確な目的をもった顧客づくりと来店頻 度の向上を図ることを目的にガイドブ ックを3,000冊作成しました。ガ イドブックは、顧客が来店する度に持 ってきて頂くことを想定し、気軽に携 帯でき、長く使って頂けるように小さ く上質な用紙で作成。お客様が来店し た時に店頭で配布するとともに駅、公 共施設やコミュニティ施設、ホテル等 【ガイドブックの内容】 で配布しました。 4.事業実施の効果 25年度に開催したスタンプラリーでの問題点と課題を踏まえ、今回スタンプラリー開 催前から地元テレビ、ラジオ、フリーペーパー、ポスター等で十分告知し、更に開催中に おいても告知宣伝を行いました。またスタンプの台紙が付いた秋田市民市場のガイドブッ クについては、市場内、市内ホテル、駅構内、市内の不動産他屋等に設置し配布したとこ ろ、作成した3,000冊全て配布し終わり、スタンプラリーには前回を大きく上回る参 加者となりました。 スタンプラリーでの当選者は500名強となり、この当選者には市場へ来店いただき当 選はがきと賞品を交換頂きましたが、その中で約20%が新規の顧客であることが分かり ました。その結果、事業実施前に比べ土曜日の来店客数が増加しており、スタンプラリー に参加した新規の顧客が土曜日に来店いただけるようになったことが考えられるとのこと です。 5.今後の取組み 過去2回のスタンプラリーを行い、事業の目的であった新規顧客の獲得、来店頻度の向 上について、効果があったため今後も継続して実施していきたいとしています。しかし、 当組合の収入は、組合員店舗及びテナントからの家賃収入と駐車場収入のみであるため、 今回のような補助金を活用し大々的なイベントを企画できないため、通常の予算の中で、 今回と同様のイベントを開催することが課題とされています。 また、これまで当市場で実施してきた地域の子供達や若い世代の家族との交流を図るた めの「親子料理教室や」、食育のための「お魚教室」等を含むイベントは、毎月1回実施し ていくほか、週末大型店へ流出していることによる客数の減少を防ぐため、毎週土曜日に は必ず小さなイベントを開催し、週末の来店客の向上を図っていくとのことです。 更に昨年、当組合は秋田市の商店街連盟に加盟できたため、今後近隣商店街との連携を 41 図りながら、商店街のイベントや連合体でのイベントに積極的に参加し、中心市街地への 集客につなげていきたいと考えています。 【食育に対する取組み】 42