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外因性内分泌かく乱物質 (通称:環境ホルモン)とは
UCHIDA PLASTIC 外因性内分泌かく乱物質 (通称:環境ホルモン)とは 環境ホルモンの意味と種類 環境ホルモンとは、生物の体内に入ると、体内に存在するさまざまなホルモンと似たように行動し、結果的に内分泌機能 を阻害し、生殖機能などに悪影響を与える化学物質の総称。正式には「外因性内分泌かく乱物質」といいます。 環境省では、環境ホルモン作用が疑われたことのある化学物質として、農薬のDDT、絶縁体などとして使われたPCB(ポリ 塩化ビフェニール)、船底塗料の有機スズなど67種をリストしています。ごみ焼却場からの排出が問題となっている非意図 的生成物のダイオキシンもその一つです。又、生体や環境への作用力や蓄積残留性が全く違い、これらと同列に論じること は間違いですが、ポリカーボネート(PC)製食器などに含まれるビスフェノールA、カップ麺容器(発泡スチレン)のスチレ ンズ、そして塩化ビニールなどプラスチックの可塑剤に使われるフタル酸エステル類も挙げられています。 これらの化学物質以外にも、 環境中に放出される内分泌かく乱物質は色々とあります。 区分すると下記のようになります。 1) 人間など大型動物の尿として排泄される女性ホルモン 英国河川の魚の雌化は、下水処理場の排水に含まれる人間の女性ホルモンや洗剤中の表面活性剤ノニルフェノールが疑 われた。 (英国環境省調査) 2) 豆科などに含まれる植物エストロゲン オーストラリアの羊の繁殖力低下の原因は、豆科のクローバーが原因 3) 内分泌かく乱作用を持つ化学物質 ⅰ.非意図的に生成され自然界への影響が懸念されるダイオキシン ⅱ.合成女性ホルモンなど医薬品(DESは生産中止) ⅲ.自然界への異常現象が懸念され規制対象のDDT、PCB、有機スズ化合物 ⅳ.実験的に女性ホルモン作用が認められたとの報文はあるが、自然界への影響の懸念は少ないビスフェノールA、フタ ル酸エステル類、スチレンズなど 自然界への影響と衛生専門機関の取り組み 外因性内分泌かく乱物質の影響が疑われる具体的な自然界への影響の例としては、上記通り、DDTによる米・フロリダ半 島の野生のワ二のペニスの短小化、天然女性ホルモン(排尿)か洗剤の表面活性剤に使われるノエルフェノールか議論のあ る雌雄の区別のはっきりしない魚の発生、豆科の植物(クローバー)の天然エストラジオールによる羊の生殖異常、日本で も船底塗料の有機スズが原因の巻き貝の雌にペニスができる生殖異常が、確認されています。 上記以外では、明らかな自然界への異常現象の知見は今のところ無いが、われわれの身の回りにはざっと10万種類とも いわれる化学物質が存在し、そのすべてについての「安全チェック」など不可能な状態とされます。作用力や蓄積残留性の 強い化学物質から、どのような影響を与えるのかを、今後、科学的に調査解明して行くことが社会的課題となっています。 WHOを始めとする世界中の衛生専門機関で、この取り組みが始まっており、日本でも平成10年以降環境省・厚生労働省を 始めとした行政でも予算化され、調査研究が始まっています。 日本では、WWF( 世界自然保護基金)科学顧問のシーア・コルボーン博士らによる、 「 奪われし未来(OUR STOLEN FUTURE)の邦訳が発刊されてから、マスコミに取り上げられ急速に関心が高まっています。そして、一部のプラスチック製 品排斥騒動となっていますが、欧米ではこの様な現象は見られません。今、科学的で冷静な調査解明を押し進めなくては、 この新たな環境汚染問題の本質を誤ることになりかねません。 外因性内分泌かく乱物質(通称:環境ホルモン)とは① 安全・品質・環境 プラスチック製食品容器の安全衛生 食品衛生法による安全基準に適合する限り、安全性は世界中の衛生専門機関が再評価しています。環境ホルモンのビス フェノールA(略号BPA)が含まれているとされる学校給食他に使用されるポリカーボネート(略号PC)食器を例に取れば、 下記の通りです。 1) 生態系への影響が懸念されている物質と違い、作用力が弱く蓄積残留が少ない。 既に、1936年頃妊婦流産防止や避妊薬など合成女性ホルモンの医薬品開発過程で、弱いエストロゲン作用があることの 報告(800mg/Kg/日=体重50kgの人間40g/日で有効)がありますが、最大でも天然女性ホルモンの1万分の1又、植物エスト ロゲンの10分の1の作用力しかないことが明らかになってます。また、排泄され生体内に蓄積されず、環境への残留性も低 いとされています。 2) 科学的データーに基づく世界共通の安全基準と厳しい日本の食品衛生法規格基準 生殖異常も含むラットの動物実験結果により無作用量は50mg/kg/日と算出され、これに安全係数1/1,000を掛け、安全 基準として2.5μg/ml(ppm)を欧米各国では採用しています。日本では、食品衛生法告示18号でPC製品の個別規格を、平成 6年に定められました(最終改訂:平成18年3月31日)。溶出規格は欧米と同基準ですが、更に、500μg/g(ppm)の材質規格 が追加され、厳しくなっています。 3) 世界中の衛生専門機関は、現行基準による安全性を再評価。 欧米では、英国保健省、独環境省、米国FDAなどが、この安全基準を再評価しています(1995・96年)。 食品衛生調査会見解H10.3.13 政府国会答弁H10.7.28 厚生労働省内分泌攪乱化学物質の健康影響に関する検討会中 間報告H10.11.9などで、使用禁止措置をとる必要はないとの結論を日本の厚生労働省は発表し、環境省は、メダカを用いた 魚類への評価結果H16.7.27を踏まえ、環境中の濃度から実際のリスクは低いとしています。 尚、食器からの各種溶出試験(国衛研・横浜市教委他)でも、不検出又はごく微量で、5ppb∼0.5ppb(検出限界)以下とさ れ、食品衛生法規格基準2.5μg/ml(pph)の5百∼5千分の1以下です。 外因性内分泌かく乱物質(通称:環境ホルモン)とは② 安全・品質・環境