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特 集 - 丸紅
特 集 金 属ビジネス The t rends & st rateg ies of Ma r uben i Busi ness 丸 紅ビジネスの 最 新 動 向と事 業 戦 略 ポートフォリオ増強によりさらなる 石附 武 積 成長ステージへ 金属部門長 鉄鉱石権益の獲得 丸紅は去る 3 月 30 日、豪州ロイヒル鉄鉱山開発プロ ジェクト案件への参画を発表しました。本件は、丸紅 がこれまで投資ポートフォリオの中に保有しておらず、 獲 得の機 会を窺っていた鉄 鉱石権 益を取得する悲願 の案件です。 ロイヒル鉄鉱山は、豪州鉄鉱石生産の中心地である 西豪州ピルバラ地区に位置しており、鉱物資源開発を手 掛ける豪州ハンコック・プロスペクティング社(HPPL 社) が、従来より権益を保有し開発を進めています。 同鉱山では 23 億トン超の豊富な鉱石資源量が確認 韓国の製鉄会社各社からも高い評価を得ており、既に されており、2014 年の生産開始以降 28 年間に及ぶ操 本プロジェクトの年産能力を上回る数量の引き取り意 業が可能となります。生産開始後 3 年内に年産 5,500 思が確認されています。 万トンのフル生産を達成する計画で、西豪州ピルバラ地 このような高品位鉄鉱石、高い塊鉱比率に加え、本 区単一の鉄鉱山として最大の生産量となる見込みです。 プロジェクトは先述の通りの豊富な資源量と輸送インフ 本事業は鉱山開発に加え、自社保有の専用鉄 道お ラの自社保有を誇り、かつ、低生産コストと最大マー よび港湾設備等の輸送インフラも一貫開発する大規模 ケットであるアジアへのアクセスの良さという利点も備 プロジェクトで、丸紅は韓国企業 2 社とコンソーシアム える優れた案件です。 を組 成し、事 業パートナーとして参画。 これにより、 丸 紅は本プロジェクト権 益の 12.5% を獲 得しました。 日韓コンソーシアムメンバーはそれぞれの出資比率に応 加速するポートフォリオ拡充 じた鉄鉱石引取権を取得し、丸紅は年間約 700 万トン 鉄鉱石以外でも、2011 年度には各商品分野で優良 の鉄鉱石引取権を保有することとなりました。 案件を取得しました。2011 年度は丸紅にとって金属資 ロイヒル鉄鉱山から生産される鉄鉱石は、選鉱処理 源ポートフォリオ拡充の年といえます。 を施す必要の無い高品位鉄鉱石であること、また同鉱 まず、銅事業ではチリのアントファガスタ社よりアン 山は今後希少性が増すといわれる塊鉱を高い比率で産 トコヤ銅鉱山の権益を取得し、共同開発することに合 出することから、日本の製 鉄 会社のみならず、中国、 意しました。丸 紅は、世界有数の銅生産会社である 2012 SUMMER 13 特 集 金 属ビジネス アントファガスタ社と、1997 年のチリ・ロスペランブレス 冒頭でご紹介したロイヒル鉄鉱山プロジェクトも、事業 鉱山プロジェクトへの参画以来、良好かつ長期的なパー パートナーである HPPL 社との関係は 1961 年まで遡りま トナーシップを確立しており、本事業はロスペランブレス す。同社創業者で、地質技師であったラング・ハンコック 鉱山、エスペランサ鉱山、エルテソロ鉱山、ミラドール 氏と、当社地質技師との探鉱作業協業をきっかけにその 鉱山に続く5つ目の共同プロジェクトとなります。 関係が深まり、現在に至るまで強固な信頼関係を築いて 丸紅の銅持分権益(銅地金換算)は、2011 年のエスペ おり、それが今回の権益取得に繋がったと考えています。 ランサ銅鉱山の出荷開始により 6 万 5 千トンから 12 万 5 千 トンに倍増しましたが、アントコヤ鉱山の操業が開始する 2014 年度には、さらに 15 万トンへと拡大する見込みです。 さらなる安定成長にむけて 次に石炭事 業では、カナダの炭鉱運営会社であるグ 資源ビジネスを行う上で、市況の下落リスクが付きもの ランド・キャッシュ・コール社を中国企業とともに買収し であることは言うまでもありません。 ました。 当社は 40 年以 上の 長きにわたり、 グランド・ 丸紅は過去より、全社として資源分野・非資源分野の キャッシュ炭鉱からの石炭取引に関し、日本の鉄鋼メー 最適な事業バランスを追求してきましたが、それにより市 カーのエージェントを務めてきました。さらに 20 04 年 況変動に対する耐性を高め、同時に市況による利益の積 以降は対日独占販売権を獲 得しており、優良 原料炭を み上げをも狙うことができるポートフォリオを構築してきま 産出する同炭鉱に精通すると同時に、同社 経 営陣との した。これと同様に資源ビジネスにおいても、商品ごと 強い信頼関係を構築してきました。この権益取得により、 に一様でない市況を勘案し、各資源権益からなるポート 丸 紅の石炭持 分生産能力は 580 万トンから 660 万トン フォリオを拡充していくことが、将来の安定的な成長につ に増 加。さらに同炭 鉱の拡張計画を予定しており、そ ながると考えています。 の他豪州における保有炭鉱の拡張と併せ、2013 年度に 左の棒グラフに示した通り、 ここ数年、 過 去からの は持分生産能力は 90 0 万トン超に達する見通しです。 投資が結実し、当部門収益は増益を継続してきました。 また、アルミ事業においても 1989 年より保有し、安定 2012 年度は、前年度立ち上げ期間にあったエスペランサ 操業を継続しているカナダ・アロエッテアルミ製錬所の持分 銅鉱山がほぼフル生産に達しており、この収益が大きく 権益を追加取得。今後さらに生産能力を拡張するために、 寄与する見込みです。 2012 年度より事業化調査を開始する予定です。 2013 年度以降も、銅、石炭、鉄鉱石等、順次生産開始・ 拡張完了を迎えることで、事業収益がさらに積み上がり、 近年の好調な資源市況を背景に、資源権益取得の競 より一層安定した収益基盤が出来上がる見通しです。 争環境は激化しています。その中で丸紅は、それぞれの 丸 紅 金 属部門は、引き続きポートフォリオを拡 充し、 分野における知見とパートナー企業との信頼関係を活か また資源動向に対して高いアンテナを張ることで、日本 して、相対交渉による案件獲得、既存権益の拡張、過去 への金 属資源の安定供給に資するとともに、金 属資源 から精通している案件、といった切り口で新規案件を検 業界でのプレゼンスをさらに高めていきます。 討することで、高値掴みをすることなく、ポートフォリオを 拡充させてきました。 14 2012 SUMMER 15