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第4章 防災訓練と火山防災啓発

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第4章 防災訓練と火山防災啓発
第4章 防災訓練と火山防災啓発
1. 岩手山噴火対策防災訓練
1. 目的
4. 訓練組織
岩手山の噴火に伴う災害発生に備え、県及び岩手
災害対策本部の組織に準じた次の組織を設置する。
山周辺市町村と防災関係機関が一体となり、住民の参
ア 訓練岩手県災害対策本部及び同本部盛岡地
方支部
加協力のもとに実践的な訓練を実施し、有事の際に迅
イ 訓練盛岡市、雫石町、西根町、滝沢村、松
速かつ円滑な応急対策活動を行うことができるよう関係
尾村及び玉山村災害対策本部
機関相互の協力体制の確立を図り、併せて地域住民
5. 実施した主な訓練項目
等の避難体制確立及び防災意識の高揚を図ることを目
【本部運営訓練】
的とし、平成 10 年度から開催した。
開催地は、噴火の影響を受ける周辺 6 市町村の持
1)通信情報連絡訓練
ち回りとし、3 年で一巡するよう年度 2 回 ( 夏、冬 ) 開催
2)災害対策本部設置運営訓練
した。2 巡目となった平成 13 年度からは年度 1 回の開
3)職員非常招集訓練
催とし、岩手山東側でのマグマ噴火等、西側での水蒸
4)避難勧告訓練
気爆発を交互に想定し実施してきた。
5)災害救助法適用訓練
2. 主催
6)現地災害対策本部設置運営訓練
岩手県、盛岡市、雫石町、西根町、滝沢村、松尾
7)情報収集伝達訓練
村、玉山村
8)無線電話回線設定訓練
【応援要請訓練】
3. 主な参加機関
9)自衛隊派遣要請訓練
1
盛岡地方気象台
2
陸上自衛隊岩手駐屯地
10)ヘリコプター要請訓練
3
自衛隊岩手地方連絡部
11)県内市町村相互応援要請訓練
4
岩手河川国道事務所
12)放送要請訓練
5
北上川ダム統合管理事務所
6
盛岡森林管理署
7
東北管区警察局岩手県情報通信部
8
岩手県警察本部(各所轄署を含む)
14)被災状況確認訓練
9
盛岡地区広域行政事務組合消防本部
15)映像伝送回線設定訓練
10
東日本電信電話㈱岩手支店
16)先行情報収集訓練
11
㈱NTTドコモ東北盛岡支店
12
東北電力㈱岩手支店・盛岡営業所
17)衛星通信映像伝達訓練
13
東日本旅客鉄道㈱盛岡支社
14
盛岡中央郵便局、
盛岡北郵便局
15
盛岡ガス㈱
19)避難広報訓練
16
日本道路公団東北支社盛岡管理事務所
20)住民避難訓練
17
岩手県バス協会
21)避難誘導訓練
18
岩手県トラック協会
19
日本赤十字社岩手県支部
22)避難住民輸送訓練
20
岩手県医師会
21
岩手郡医師会
24)登山者避難誘導訓練
22
岩手県社会福祉協議会
25)観光客等避難訓練
23
岩手県看護協会
26)家畜輸送訓練
24
日本アマチュア無線連盟岩手県支部
25
岩手メディカルハムクラブ
26
岩手県立大学ソフトウェア情報学部柴田研究室
27
通信・放送機構岩手IT研究開発支援センター
28)応急救護所開設運営訓練
28
岩手県災害看護ネットワーク連絡協議会
29)医療救護訓練
29
消防団、
婦人消防協力隊、
交通指導隊、
防犯隊
30)応急食料炊き出し訓練
30
各市町村内小中学校 など
31)応急給水訓練
【情報連絡訓練】
13)上空・地上偵察訓練
【避難訓練】
18)交通規制訓練
23)避難者確認訓練
【災害応急対策訓練】
27)収容避難場所開設運営訓練
73
6. 訓練の概要
32)応急電源供給訓練(電気防災知識普及活動)
【第 1 回】
33)緊急物資輸送訓練
34)安否情報窓口開設運営訓練
①実施日時 1998 年 10 月 18 日(日)
35)住民相談窓口開設運営訓練
6:30 から 10:15 まで
36)健康相談窓口開設運営訓練
、
②訓練地 松尾村(さくら公園イベント広場ほか)
37)こどもの相談窓口開設運営訓練
滝沢村(陸上自衛隊岩手駐屯地・村
38)ボランティア受入窓口開設運営訓練
総合公園体育館)、雫石町(西山公
39)住民救命訓練
民館)、西根町(西根中学校)
40)臨時郵便局開設運営訓練
③参加機関 37 機関
41)特設公衆電話設置訓練
④訓練項目 38 項目
42)移動通信復旧・通信確保訓練
⑤参加人員 5,657 人
43)災害用伝言ダイヤル「171」運用訓練
⑥災害想定の概要
44)道路降灰物除去・交通確保訓練
ア 10 月18日雫石町で震度 5 弱の地震が発生。
45)架橋及び応急築堤訓練
イ 岩手山西側大地獄谷で水蒸気爆発。
46)LP ガス容器撤去及び積載訓練
ウ 大雨により大規模な土石流が発生し被災。
⑦訓練の特色
【救出救護訓練】
ア 岩手山の噴火を想定した初めての訓練であっ
47)臨時ヘリポート開設運営訓練
たこと。
48)ヘリコプター救出救護訓練
イ 初めて村を主会場として行ったこと。
(総合
49)孤立者救出訓練
防災訓練は都市部が会場である。)
50)倒壊建物救出訓練
ウ 災害発生直後における本部運営、初動対応、
51)救急搬送訓練
避難・救護を主に訓練を実施したこと。
【災害医療対策訓練】
⑧実施結果
52)医療機関負傷者受け入れ訓練
訓練当日は、県内全域に暴風警報が発令されてい
【災害復旧訓練】
53)下水道管調査訓練
る中で行ったが、より地域住民に密着した実践的
54)上水道施設復旧訓練
な訓練内容としたことから、関係機関等においても、
55)都市ガス臨時供給訓練
火山災害に対する備えが充実・強化され、概ね、
56)仮設住宅配管施工訓練
所期の目的を達成したといえる。
⑨主な反省点
【講演等】
ア 暴風雨のため、防災ヘリコプターによる救出・
57)火山災害体験者講演会
救助訓練ができなかったことから、今後何
58)火山活動の現状についての講演会
らかの代替策を検討する必要がある。
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⑧今回初めて実施した訓練
ア 自衛隊雪上車を利用した避難住民移送訓練。
イ 県警小型雪上車を利用した孤立者救出訓練。
ウ 避難勧告後、住民の避難を戸別確認する避
難確認訓練。
エ 避難所で避難住民名簿を作成し、外部からの
安否確認に対応する安否情報窓口開設訓練。
オ 避難所運営にあたり、避難者による自治会を組
織し、自治会において避難者の相談窓口を開
設する避難者の生活相談窓口開設訓練。
カ テレビ会議システムを活用し、有識者との
意見交換を行った。
キ デジタルカメラ、イリジウム衛星携帯電話
イ 強風下での衛星通信車「ぎんが号」の運用
を活用し、情報伝達手段の確保を図った。
面での可能性を検討する必要がある。
⑨主な反省点
ウ 現地対応職員に、火山災害対応時の装備が
ア 現地災害対策本部内での関係機関による情
必要である。(防塵メガネ〔ゴーグル〕・防
報交換などの活動が少なかったことから、
塵マスク・ヘルメット・雨具等)
運営の在り方を検討する必要がある。
【第 2 回】
イ 住民からは、防災行政無線の屋外拡声器や広
①実施日時 1999 年 1 月 29 日
(金)
10:30 から 13:30 まで
報車による避難勧告などの情報が窓を締めて
(火山活動に対応した情報伝達訓練
いたため聞こえなかったとの声があった。
ウ 県の防災行政無線の回線が輻輳した場合、
等は、1 月 27 日 15:00 から開始。)
本部から地方支部と庁内への円滑な情報伝
②訓 練 地 滝沢村(北部コミュニティセンター、
達ができるよう工夫する必要がある。
一本木中学校、東部体育館ほか)
【第 3 回】
③参加機関 30 機関
④訓練項目 39 項目
①実施日時 1999年10月24日(日)
⑤参加人員 5,126 人
8:00から11:00まで
⑥災害想定の概要
(火山活動に対応した情報伝達訓練は、
10 月21日15:00 から開始。)
ア 1 月 27 日雫石町で震度 3 の地震が発生する
②訓 練 地 西根町(町立西根中学校、町民体育
とともに火山性地震が増加。
館、町民センター)
イ 1 月 29 日岩手山東側山頂で噴火。火山泥流
③参加機関 31機関
が発生し被災。
④訓練項目 39項目
⑦訓練の特色
⑤参加人員 3,828人
ア 積雪期において特定の地域に火山泥流が発
⑥災害想定の概要
生し、人家等に被害が及ぶことを想定し、
ア 10 月 21 日地震が急増。
地域ぐるみの参加訓練とする。
イ 滝沢村が現地災害対策本部を設置した。
イ 10 月 24 日雫石町で震度 3 の地震が発生。
ウ 避難・救援訓練(避難誘導、避難確認、避
ウ 岩手山東側山頂で噴火。火山泥流が発生し
被災。
難所開設・運営、災害弱者対策)を徹底し、
⑦訓練の特色
減災を図るための実践的な訓練とした。
ア 積雪期に目視では確認できない中で噴火し、
エ 特定の地域で複数の避難所を開設、運営す
る訓練を行い、この訓練に関係する各種訓
火山泥流が特定の地域に発生し、人家等に被
練を防災関係機関の参加のもとに実施した。
害が及ぶことを想定した実践的な訓練とする。
75
イ「緊急対策ガイドライン」に基づき作成した
④訓練項目 39項目
マニュアルにより、県から市町村へ電話会
⑤参加人員 3,140人
議システムにより対策の助言を行う訓練、
⑥災害想定の概要
ア 2 月 20 日空気振動、火山性微動、有感地震
現地対策本部において関係機関が情報の共
を観測した。
有化を図るなどの運営訓練を実施した。
イ 岩手山西側大地獄谷で水蒸気爆発が発生。
ウ 倒壊建物からの救助、医療救護、救急搬送
ウ 大雨による大規模な土石流が発生し被災。
など関係機関が連携する訓練を実施した。
⑦訓練の特色
エ 相互応援協定に基づき青森県防災ヘリによる
ア 目視では確認できない中で水蒸気爆発が発生、
孤立者救出訓練、救急搬送訓練を実施した。
その後の降雨により土石流の発生の危険性が
高くなり、人家等に被害が及ぶことを想定し、
災対本部の設置、情報収集・伝達、避難訓
練を中心とした実践的な内容とした。
イ「緊急対策ガイドライン」に基づき作成した
マニュアルにより、現地災害対策本部にお
いて関係機関が情報の共有化及び連携に重
点を置いた訓練を実施した。
ウ 倒壊建物からの救助、医療救護、救急搬送
など関係機関が連携する訓練を実施した。
エ 相互応援協定に基づき宮城県防災ヘリによる
孤立者救出訓練、救急搬送訓練を実施した。
⑧今回初めて実施した訓練
⑧今回初めて実施した訓練
ア 知事が県内に不在の際の通信手段の確保を
図るため、NTT 東日本・西日本の協力をい
ア 知事が不在のため、携帯電話と電話会議シ
ただき、テレビ会議システムを稼動した。
ステムを活用し本部員会議を開催した。
イ 現地において災害救助活動の担当地区を明
イ 電話会議システムを活用し、市町村との意
確にし、救助訓練を行い、共通の救護所に
見交換を行った。
搬送し、トリアージを行うなど連携に努め
ウ 現地本部において関係機関が同一のテーブ
るとともに、情報の共有化を図った。
ルに着席し、情報の共有化を図った。
⑨主な反省点
エ 救急搬送訓練の際、防災ヘリからドクターカー
衛星携帯電話が通信不能、防災無線電話が塞がっ
に重症者を引継ぐ訓練を実施した。
ていたりと、情報伝達に手間取った。
オ 県医師会、日本赤十字社による相互協力の
もとの医療救護訓練を実施した。
⑨主な反省点
ア 現地対策本部からの県災害対策本部への情
報発信がなかった。
イ 進行シナリオが定められた訓練でなく、抜
き打ち訓練を実施すべき。
【第 4 回】
①実施日時 2000年2月20日(日)
8:30から12:00 まで
【第 5 回】
②訓 練 地 雫石町(西山公民館、西山運動場、
①実施日時 2000年8月27日(日)
西山保育所)
8:00から12:00まで
③参加機関 30機関
76
イ 避難住民に対する避難場所の周知、自主防
②訓 練 地 盛岡市(厨川中学校、青山小学校
ほか)
災組織が未形成である地区の弱者の搬送方
③参加機関 37 機関
法の確立、参加住民の参加態度などに不備
④訓練項目 50 項目
があり、住民の防災意識の向上を更に促進
⑤参加人員 4,849 人
する必要がある。
【第 6 回】
⑥災害想定の概要
①実施日時 2001 年 2 月 18 日(日)
ア 7 月 21 日岩手山東側山頂で噴火後、活動が
8:30 から 12:00 まで
小康状態。
②訓 練 地 玉山村(玉山村文化会館、渋民小学
イ 8 月 25 日火山性地震が増加。
校、玉山村総合福祉センターほか)
ウ 8 月 25 日再び噴火。火山泥流が発生し被災。
③参加機関 36 機関
⑦訓練の特色
④訓練項目 45 項目
ア 岩手山の噴火後、小康状態の中で再び噴火し、
火山泥流等の発生の危険性が高くなり、再
⑤参加人員 2,634 人
び住民を避難させることを想定した。
⑥災害想定の概要
ア 2 月 16 日有感地震のほか火山性地震が増加。
イ 倒壊建物からの救助、医療救護、緊急輸送な
イ 2 月 18 日岩手山東側山頂直下の火山性地震、
ど防災関係機関が連携した訓練を実施した。
火山性微動が増加。
ウ 相互応援協定に基づき青森県の防災ヘリに
ウ 噴火による融雪型火山泥流が発生し被災。
よる孤立者救出訓練を実施した。
⑦訓練の特色
エ 有珠山噴火の教訓を生かし、下記の新しい
ア 積雪時で、かつ目視では山の状況が確認で
訓練項目を実施した。
きない中で、火山活動が切迫し、噴火の可
⑧今回初めて実施した訓練
ア 学識者によるヘリ上空偵察等の訓練。
能性が高まったことから、住民を事前に避
イ 陸上自衛隊ヘリによる画像を災害対策本部
難させる事態を想定した。
イ 倒壊建物からの救助、医療救護、緊急輸送な
及び避難所に伝送する訓練及び架橋訓練。
ど防災関係機関が連携した訓練を実施した。
ウ 避難勧告放送要請訓練。
ウ 相互応援協定に基づき山形県の防災ヘリに
エ 災害弱者の避難所への移送、災害弱者に配
よる孤立者救出、緊急搬送訓練を実施した。
慮した避難所運営、健康相談窓口開設の訓練。
⑧今回初めて実施した訓練
オ 上水道施設復旧訓練、下水管調査訓練、都
ア 火山活動の切迫段階に応じた避難訓練。
市ガス臨時供給訓練、仮設住宅配管施工訓練。
(災害弱者の事前避難)
⑨主な反省点
イ 全ての避難所 (9 箇所)を対象とした避難所
ア 訓練のポイントを絞った、より実戦的な訓
開設訓練及び避難住民受入れ訓練。
練を検討する必要がある。
ウ 防災ヘリによる避難広報訓練。
エ 火山活動の様々な局面に応じ「岩手山の火山
活動に関する検討会」とテレビ会議を実施。
オ いわて情報ハイウェイのテレビ会議による
市町村長への避難勧告の助言。
カ アマチュア無線を活用した医療・救護訓練。
キ 畜産農家が飼育している家畜を避難させる想
定で、情報伝達や畜産農家への配車の訓練。
⑨主な反省点
ア 災害体験コーナーなどの「感覚的」に知ら
せるものがほしい。
77
体験やパネル展示など住民が体感できるコー
イ 各組織ごとではなく連携した訓練とするべ
ナーの実施。
き。
イ 他市町村、振興局からの避難所運営への応
ウ 医療救護訓練について、あらかじめ傷病者
援。
の重傷度が設定している、医師等に被害状
ウ 警察・自衛隊等と地元消防団が連携する倒
況の情報伝達がない、医療材料提供訓練が
壊建物救助訓練。
盛り込まれていないなどの問題があり、改
エ 登山者の安全を確保するための避難誘導の
善が必要である。
実施。
オ 自衛隊の架柱橋を活用した救助訓練の実施。
カ より実災害に近い河川敷を会場とした、救出・
救護訓練を実施。
⑨主な反省点
ア 住民の参加が少なく意識改善が必要である。
イ 展示・体験コーナーをより住民参加型へ変
える工夫が必要である。
ウ トリアージの実施方法に改善が必要である。
【第 7 回】
①実施日時 2001 年 11 月 18 日(日)
8:00 から 12:00 まで
②訓 練 地 雫石町(西山公民館、葛根田川河川
敷、町営西山運動場)
③参加機関 30 機関
④訓練項目 48 項目
⑤参加人員 2,188 人
⑥災害想定の概要
ア 11 月18日有感地震が発生。
イ 岩手山西側で水蒸気爆発が発生。
【第 8 回】
ウ 大雨による大規模な土石流が発生し被災。
①実施日時 2002 年 12 月 15 日(日)
⑦訓練の特色
8:30 から 12:00 まで
ア 荒天であり、目視では確認できない中で岩
②訓 練 地 西根町(田頭小学校、西根中学校、
手山西側で水蒸気爆発が起こり、大雨によ
る土石流被害の可能性が高まったことから、
松川河川敷、岩手山焼走り国際交流
住民を事前に避難させる事態を想定した。
村、町総合運動公園)
イ 火山活動の様々な局面に応じた「岩手山の
③参加機関 34 機関
火山活動に関する検討会」とのテレビ会議
④訓練項目 42 項目
の開催及びいわて情報ハイウェイのテレビ
⑤参加人員 1,425 人
会議による市町村長への避難勧告の助言を
⑥災害想定の概要
ア 12 月 11 日火山性地震の回数増加。
実施した。
イ 12 月 15 日岩手山東側山頂直下の火山性地震、
⑧今回初めて実施した訓練
火山性微動が増加。
ア 一般住民や小学生の避難訓練のほか、火山
ウ 噴火による融雪型火山泥流が発生し被災。
災害体験コーナーの開設による、火山灰の
78
ア 12 月 14 日有感地震が発生。
⑦訓練の特色
イ 岩手山西側で水蒸気爆発が発生。
(目視では
ア 火山活動の活発化により、噴火の恐れがあ
確認できない。)
るため、岩手山麓の観光施設の観光客等を
ウ 水蒸気爆発による降灰の後、大雨による土
陸上自衛隊岩手駐屯地と連携し、大型ヘリ
石流が発生し被災。
コプターを使用して一度に多数避難させる
⑦訓練の特色
訓練の実施。
ア 土石流の発生により、松尾村内 2 箇所(八
イ 火山災害に伴う防災知識の普及を図るため、
有珠山の噴火の際に避難所に避難し生活を送っ
幡平温泉郷・松川温泉)で孤立し、救出が
た体験者の講演会を実施。
必要となった住民を、自衛隊ヘリ、防災ヘ
リにより避難させる。
(視界不良により中止)
ウ 災害発生時の災害救援ボランティアの活動
イ 平成 16 年度の入山規制解除に向け、住民に
調整や関係団体との連携の中心となる、災
火山活動の現状を正確に理解してもらうため、
害ボランティアコーディネーターを養成す
「岩手山の火山活動の現状」の講演会を開催
る研修を本訓練と併せて開催。
した。
⑧主な反省点
⑧主な反省点
ア 訓練が形式的に流れている。より実践的な
ア 関係市町村間において、テレビ会議システ
内容となるよう工夫が必要。
ムや防災 FAX の使用において多少スムー
イ 電話が不通になることが想定される災害時
の訓練という認識が不十分である。また、
ズさに欠けた。日頃から、積極的に活用す
災害時の訓練であり、タイムスケジュール
ることが必要である。
イ 様々な火山災害に適応できるよう、机上で
を作って通信情報訓練をするのではなく、
の訓練等も計画していく必要がある。
同時に入ってくる情報を整理するような訓
ウ 平成 16 年度の入山規制解除に向け、住民に
練に改善が必要。
対し安全対策調査や岩手山の現状について、
詳しい説明(講演)がなされ、効果的だった。
【第 9 回】
7. 今後の訓練について
2004 年 7 月 1 日に岩手山全山での入山規制解除を
①実施日時 2003 年 12 月 14 日
(日)
行い、1998 年 6 月 24 日以降継続していた「岩手県災
8:30 から 12:00 まで
害警戒本部」も同日をもって廃止し、岩手山の火山対
②訓 練 地 松尾村(柏台小学校、さくら公園イ
策は新たな段階に入った。
ベント広場ほか)
③参加機関 38 機関
今後は、限られた時間内で行われる実働訓練では想
④参加項目 42 項目
定しきれない、多岐にわたる火山災害の想定が可能な
⑤参加人員 1,100 人
図上訓練を中心に継続実施を計画していく。
(文責:岩手県総合防災室 菊地真司)
⑥災害想定の概要
79
2. 岩手山火山防災シンポジウム
⑤パネルディスカッション
1. 趣旨
1)コーディネーター
岩手山周辺住民が火山活動の現状を正しく認識し、
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
日頃から防災に対する心構えを持つとともに、県、関係
2)パネリスト
市町村、防災関係機関と一体となって火山活動への防
災対策を講ずることは、岩手山との共生に不可欠であり
九州大学名誉教授 太田 一也氏
火山防災対策の基本であることから、啓発事業の一つ
地熱エンジニアリング㈱取締役事業本部技師長
として開催した。
土井 宣夫氏
開催地は、噴火の影響を受ける周辺 6 市町村の持ち
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
回りとし、3 年で一巡するよう年度 2 回開催した。2
予知研究観測センター長 浜口 博之氏
【第 2 回】
巡目となった平成 13 年度からは年度 1 回の開催とし、
①日 時 1999 年 1 月 31 日
(日)
講演会、パネルディスカッションのほか、会場では、噴
13:30 から 16:30 まで
石の展示、火山に関する写真展示などを実施してきた。
②場 所 雫石町総合福祉センター
2. 主催
③参加者 300 人
岩手県、盛岡市、雫石町、西根町、滝沢村、松尾
④講 演
1)
「岩手山の火山活動の現状について」
村、玉山村、盛岡地方気象台、岩手河川国道事務所
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
予知研究観測センター長 浜口 博之氏
2)
「火山活動の予測と行政 ・ 住民の対応について」
九州大学名誉教授 太田 一也氏
⑤パネルディスカッション
1)コーディネーター
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
2)パネリスト
九州大学名誉教授 太田 一也氏
地熱エンジニアリング㈱取締役事業本部技師長
土井 宣夫氏
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
予知研究観測センター長 浜口 博之氏
3. シンポジウムの概要
【第 1 回】
①日 時 1999 年 1 月 30 日
(土)
13:30 から 16:30 まで
②場 所 西根町町民センター
③参加者 450 人
④講 演
【第 3 回】
1)「岩手山の火山活動の現状について」
①日 時 1999 年 11 月 6 日(土)
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
13:30 から 16:30 まで
予知研究観測センター長 浜口 博之氏
②場 所 玉山村文化会館
2)
「火山活動の予測と行政 ・ 住民の対応について」
③参加者 360 人
九州大学名誉教授 太田 一也氏
80
④講 演
1)
「岩手山の火山活動の現状について」
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
予知研究観測センター長 浜口 博之氏
2)
「火山噴火と土砂災害」
建設省土木研究所砂防部長 松井 宗広氏
⑤パネルディスカッション
1)コーディネーター
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
② 場 所 松尾村体育館
2)パネリスト
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
③参加者 300 人
予知研究観測センター長 浜口 博之氏
④講 演
1)「岩手山の火山活動の現状について」
地熱エンジニアリング㈱取締役事業本部技師長
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
土井 宣夫氏
2)
「火山活動の予測と行政 ・ 住民の対応について」
建設省土木研究所砂防部長 松井 宗広氏
九州大学名誉教授 太田 一也氏
⑤パネルディスカッション
1)コーディネーター
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
2)パネリスト
九州大学名誉教授 太田 一也氏
地熱エンジニアリング㈱取締役事業本部技師長
土井 宣夫氏
【第 4 回】
①日 時 2000 年 2 月 12 日(土)
13:30 から 16:30 まで
②場 所 滝沢村ふるさと交流館
③参加者 300 人
④講 演
1)「岩手山の火山活動の現状について」
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
2)
「火山活動の予測と行政 ・ 住民の対応について」
九州大学名誉教授 太田 一也氏
【第 6 回】
⑤パネルディスカッション
①日 時 2000 年 10 月 29 日(日)
1)コーディネーター
岩手大学教授 13:30 から 16:30 まで
斎藤 徳美氏
②場 所 盛岡市西部公民館
2)パネリスト
九州大学名誉教授 ③参加者 200 人
太田 一也氏
④講 演
地熱エンジニアリング㈱取締役事業本部技師長
1)「岩手山の火山活動の現状について」
土井 宣夫氏
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
予知研究観測センター長 【第 5 回】
浜口 博之氏
2)
「火山活動の予測と行政 ・ 住民の対応について」
①日 時 2000 年 10 月 28 日(土)
九州大学名誉教授 太田 一也氏
13:30 から 16:30 まで
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②パネルディスカッション
1)コーディネーター
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
2)パネリスト
九州大学名誉教授 太田 一也氏
地熱エンジニアリング㈱取締役事業本部技師長
土井 宣夫氏
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
【第 8 回】
予知研究観測センター長 浜口 博之氏
①日 時 2003 年 1 月 26 日(日)
13:30 から 16:15 まで
【第 7 回】
場 所 雫石町中央公民館
①日 時 2002 年 1 月 27 日
(日)
②参加者 300 人
13:30 から 16:30 まで
③講 演
②場 所 西根町町民センター
1)「東北の火山について」
③参加者 320 人
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火
④講 演
予知研究観測センター長 浜口 博之氏
1)「有珠山噴火と行政 ・ 住民の対応について」
2)「秋田駒ヶ岳の火山防災マップについて」
北海道大学教授 岡田 弘氏
岩手大学名誉教授 石橋 秀弘氏
2)
「火山活動の予測と行政 ・ 住民の対応について」
3)「岩手山の火山活動の現状について」
九州大学名誉教授 太田 一也氏
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
⑤パネルディスカッション
1)コーディネーター
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
2)パネリスト
九州大学名誉教授 太田 一也氏
北海道大学教授 岡田 弘氏
地熱エンジニアリング㈱取締役事業本部技師長
土井 宣夫氏
㈱岩手日報社報道部局付部長
及川 正彦氏
道の駅「にしね」駅長(西根町長)
【第 9 回】
工藤 勝治氏
①日 時 2004 年 2 月 1 日(日)
13:30 から 16:15 まで
②場 所 玉山村文化会館
③参加者 350 人
④講 演
1)「東北の活火山と噴火」
秋田大学教授 林 信太郎氏
2)「三宅島の火山噴火と住民避難」
東京都防災専門官 笹井 洋一氏
3)「岩手山の火山活動の現状」
岩手大学教授 斎藤 徳美氏
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4. 今後のシンポジウムについて
2004 年 7 月 1 日に岩手山全山での入山規制解除を
行い、1998 年 6 月 24 日以降継続していた「岩手県災
害警戒本部」も同日をもって廃止し、岩手山の火山対
策は新たな段階に入った。
入山規制が解除されたとはいえ、火山活動は継続し
ており、登山道においても通行に注意が必要な箇所が
あることから、2004 年 7 月 25日には、地域住民、登山
者等に火山活動の現状を正しく認識し、火山防災に対
する心構えを持ってもらうため、「岩手山火山防災現地
説明会」を開催した。
今後も、様々な機会を通じ、地域住民、登山者等の
意識啓発を図っていく。
(文責:岩手県総合防災室 菊地真司)
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