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生物多様性と天然資源管理 ~世界銀行ラテンアメリカ

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生物多様性と天然資源管理 ~世界銀行ラテンアメリカ
生物多様性と天然資源管理
~世界銀行ラテンアメリカ・カリブ海地域の地球環境ファシリティ(GEF)融資
プロジェクトについて~
ラテンアメリカ・カリブ海地域は世界の中でも最も生物多様性の豊富な地域です。
アマゾン、パタゴニア、ガイアナ保護区は美しさと多様性を誇る数少ない地域の
一つです。また、中米、カリブ海の海洋地区、ブラジルの大西洋森林は生物多様
性のホットスポットです。
世界銀行は、GEF 融資とともに天然資源管理を含めた生物多様性の保護に取り組
んでいます。この取組みには、現地の生活の支援および資源と生態系を結ぶ回廊
作り、生物多様性に優しい生産物や市場のためのセクター・政策整備、各国の遺
伝子組み換え生物による影響分析の支援、ラテンアメリカの保護地区の指定、強
化が含まれています。
ラテンアメリカ・カリブ海地域は世界銀行の GEF 融資の中で最も大きなポートフ
ォリオを占めています。現在実施中のプロジェクトポートフォリオ(27 プロジ
ェクト合計約 2 億 4000 万ドルおよび世銀融資も同額ほど)には、先住民コミュ
ニティなど様々な市民団体とともに活動するプログラムおよび政策レベル主流の
オペレーションが含まれています。また、中央アメリカや南米のアマゾン地帯を
含む国々の山から岩礁にいたるまで、地形重視の保護アプローチが用いられてい
ます。
ユカタン半島の熱帯林では、蜂蜜生産を行う小規模農家が数多く見られます。メ
キシコは、世界で 6 番目の生産国で、また第 3 番目の輸出国となっています。し
かし、小規模農家にとって生産物を市場に売り込むことは難しいことです。女性
の小規模蜂蜜生産者グループ代表のロサさんにとって、メキシコ中米生物回廊プ
ロジェクト(Mexico Mesoamerican Biological Corridor Project)の支援を受
けて、ビジネスを立ち上げ、発展させることはとても貴重な機会でした。小額の
グラントと十分な技術支援により、中間業者に蜂蜜を売るのではなく、生産機器
に直接投資し、商品の缶詰め及びラベル付けを行いました。その結果、蜂蜜のそ
れぞれに価格を付け、収入を増やすことができました。養蜂家にとって回廊につ
ながる保護地区は明らかな利点となります。蜂蜜の質と種類は、蜂が活動する地
域の生態系の状態と生物多様性に直接関係しています。2002 年に立ち上げられ
た中米生物回廊プロジェクト(Mesoamerican Biological Corridor Project)は、
このようなメキシコ南東部の山地や沿岸沿いにある小規模農家に着目しています。
このプロジェクトは、革新的な生物回廊保護概念を世界で最も早く適用した例の
一つで、長期の支援を目指し、生産活動を生態系の天然許容範囲内におさえ、
「破壊しない」環境管理のもとにステークホルダーが開発しています。新たに作
られた5回廊(陸 670 万ヘクタール、海面 44 万 9000 ヘクタール)は、メキシコ
南東部 4 つの州にわたり、持続可能な牧場経営から生物多様性に配慮したコーヒ
ー栽培など、何百もの生産活動に及び、8 万人の個人、原住民、女性の生活を改
善しています。インセンティブと合意ベースの管理はプロジェクトの原則です。
様々なステークホルダー(政府、民間セクター、NGO、小規模生産者やコミュニ
ティ)が生物回廊の審議会に参加し、プロジェクト活動を指導し、回廊の保護に
努めます。現在審議会はメキシコ政府の融資を受け、これまでの成功事例を協力
と合意作成に役立てています。これは地域の計画イニシアティブの持続可能性に
関する活動を促進しています。生産者の生活を支援するため、同プロジェクトは
回廊地域において公共投資の 3000 万ドルをより生物多様性に配慮した生産活動
に再配分しています。また、同時に回廊地域の生物モニタリングネットワーク
(www.cbmm.gob.mx)によって新たに作られた「情報文化」は地域開発戦略の情
報ベース調査に役立ちました。また、森林伐採の削減に貢献し、重要な種の生息
に関するデータを作成し、回廊の生態系を守る開発活動を計画しました。
この地域の複雑な社会的、環境的な性質を考えれば、メキシコ中米生物回廊プロ
ジェクト(Mexico Mesoamerican Biological Corridor Project)は、影響力と
コンセンサスがあり、トップダウンの運営戦略主動、コミュニティ主動の開発を
行い、生物多様性の持続可能な利用と保護を進めています。
中米バリアリーフは世界で 2 番目に大きく、中米 4 国(メキシコ、ベリーズ、グ
アテマラ、ホンデュラス)に広がっています。1 カ国ではなく、4 カ国でこの海
洋生態系を守るべく、中米バリアリーフシステム(Mesoamerican Barrier Reef
System(MBRS))プロジェクトのアプローチを採用し、資源利用において共通の政
策フレームワークを導入しました。法的なコミットメントと政策を調和した
MBRS の保護と持続可能な利用のアクションプランは、各国の環境省で承認され、
同プロジェクトは国境資源管理及び地域調整のモデルとなりました。「ペーパー
パーク」とされる公園は、管理や監査が行き届いた保護地区になりました。17
の代表的な海洋保護地区には、モニタリングツールと生態系管理の基準が設定さ
れた管理計画が立てられました。現地レベルでは、MBRS に関する学校のカリキ
ュラムや保護に関するマスメディアの報道などにより、リーフの重要性に関する
意識は高められました。ベリーズの観光開発を議論するコミュニティ会合で、現
地のダイバー協会の会長が、「これは我々のリーフであり、我々の子供達の未来
であり、生活の資源なのだ」と述べました。機関のコミットメントと MBRS の意
識向上活動は、現地のステークホルダーが経済活動に生態系保護をとり入れたプ
ロジェクトの基礎となりました。
中米に住む先住民にとっては、自然は社会の一部です。人間は生物多様性の一部
であり、傍観者や利用者ではないのです。生物多様性の保護と持続可能な天然資
源管理を行うため、GEF と世銀のプロジェクトは、コミュニティと組織の発展に
必要な要素を取り入れています。グアテマラ、ベリーズ、ホンデュラス、エルサ
ルバドル、ニカラグア及びパナマでは、400 万ドルの GEF グラントである「先住
民コミュニティの生態系管理(Integrated Ecosystem Management in Indigenous
Communities)」プロジェクトが文化価値を上げ、持続可能な土地活用をすること
により先住民コミュニティの能力を高めています。最終的には、236 の先住民コ
ミュニティがコミュニティ保護及び約 115,000 ヘクタールの土地活用に参加しま
した。これらのコミュニティ出身の生産者を戦略的なネットワーク(カカオ生産
者、コミュニティ観光業、環境サービス貿易など)でつなげることによって土地
活用を促し、保護という目標を見失うことなく持続可能な生産活動や彼らの生活
環境を強化しました。4300 のコミュニティ代表トレーニングは、各コミュニテ
ィに利益をもたらしただけでなく、より広範な先住民ネットワークにプロジェク
トの知識を広め、地域のコミュニティ重視のプロジェクトを促進しました(GEF/
世銀融資のプロジェクトはグアテマラ、ベリーズ、コスタリカなどに及びます)。
成功の秘訣は、ドナーが地域の保護活動や「持続可能な利用活動」に追加融資を
行い、先住民が活動を行ったことです。
アマゾン保護地区(ARPA)プログラムは、世界で最も大きな原始地域を対象にし
ており、また炭素貯蔵場所であるアマゾンの生物多様性の保護を支援するための
ブラジル政府のイニシアティブです。ARPA はアマゾン流域の豊かな生物多様性
を守るために作られ、この保護地区は森林伐採を防ぎ、ブラジル及び世界の気候
変動緩和に貢献しています。ARPA の炭素貯蔵量はおよそ 45 億トンと言われ、排
出量削減による貯蔵量は 18 億トンと見込まれています。ARPA プログラムのもと、
ブラジルは 2002 年から目標 1800 万ヘクタールを上回る 2400 万ヘクタールの保
護地区を作りました。政府の支援と GEF、ドイツ復興金融公庫(KfW)、世界自然
保護基金(WWF)の追加グラント融資により、ARPA はさらに既存の保護地区 865 万
ヘクタールの管理を強化しました。この 3100 万ヘクタールの生物多様性に恵ま
れた森林により、ARPA プログラムは世界で最も大きな保護地区プロジェクトと
なりました。また、今後の計画では、アメリカのすべての国立公園より大きな原
始保護地区(5000 万ヘクタール)を含む公園や保護地区の管理システムの充実
を目指します。
ARPA プログラムは、プログラムの実施や森林管理の場で公・民間のパートナー
シップおよび新制度を示しました。多くの州が新しく作られた地区に追加の融資
を活用しています。本プロジェクトは WWF や NGO と協力してアマゾンの生物多様
性を保護しています。革新的な制度は他のプロジェクトやプログラムにも活用さ
れています。
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