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『ニューヨークの計画志向型都市づくり 東京再生に向けて(中間のまとめ)』
一般財団法人 森記念財団 都市整備研究所 ブルームバーグ前市長によるニューヨークの都市づくりを調査・分析 『ニューヨークの計画志向型都市づくり 東京再生に向けて(中間のまとめ)』 ~ 2020年東京五輪後を見据えた都市再生を目指して ~ 一般財団法人 森記念財団(理事長 伊藤 滋)都市整備研究所は、2020年の東京五輪開催に向けて、急速に 都市づくりが進む東京を、「五輪後も魅力ある空間であり続け、多くのヒト、モノ、カネを惹きつける都市にする」仕 組を提案するため、ブルームバーグ市長の大胆な市政改革によって大きく変貌を遂げたニューヨークを参照すべ き都市と捉え、その都市づくりについて調査・分析を行いましたので、概要をご報告します。 目次 はじめに 第1章 1-1 1-2 1-3 なぜニューヨークは再生できたのか 今、ニューヨークを取り上げる意味 ブルームバーグの流儀 東京へのメッセージ 第2章 2-1 2-2 ここまで変わった!ニューヨーク マイケル・ブルームバーグの業績 数字で見るニューヨークの社会と経済 第3章 3-1 3-2 3-3 3-4 蓑原 敬 p.3 蓑原 敬 p.7 p.8 p.9 p.11 藤村 龍至、森記念財団 藤村 龍至 森記念財団 p.13 p.14 p.15 ニューヨークにおける経済的な躍動的発展の戦略 ブルームバーグ市政の都市ブランド戦略 新産業育成と起業のチカラ NPO・職人・専門家の活躍 経済を支える公共交通施設整備の取り組み 森記念財団 p.27 p.28 p.29 p.31 p.32 第4章 ニューヨークにおける都市空間再編の成果 4-1 都市空間を再編する長期ビジョンとリゾーニング 4-2 都市のイメージを刷新する新たな公共空間の創出 中島 直人 p.33 p.34 p.37 第5章 5-1 5-2 5-3 5-4 5-5 藤村 龍至 p.43 p.44 p.45 p.46 p.47 p.48 リチャード・ベンダー p.49 森記念財団 p.53 建築デザインを重視したニューヨークの都市政策の展開 建築ムーブメントの発信地としてのニューヨーク 建築家の活躍と政策の関係 ブルームバーグ市政での建築政策とその背景 行政と専門家が積極的に連携するための具体的な手法 ブルームバーグ以後に向けての提言 おわりに 参考資料 既刊報告書と森記念財団概要 p.70 -1- 調査結果の主なポイント 1) データ分析(東京との比較) ① GDP :過去10年間の平均成長率は、東京の1.8倍(ニューヨーク市1.6%、東京0.9%) ※図1参照 ② 人口 :過去11年間で、ニューヨーク市は33万人増加し841万人(東京都区部906万人 2013年) 特に40歳未満人口では東京を50万人上回り、壮年層以下の人口増加が際立つ(2010年)。 ※図2~4参照 ③ 観光客 :外国人観光客数は、東京の1.7倍(ニューヨーク市1,140万人、東京681万人 2013年) ホテル稼働率は過去13年間で最高の88.3% ※図5参照 ④ 投資 :ベンチャーキャピタルによるニューヨークへの2013年の投資額は2,051億円、取引数353件 2009年に比べ、額で2.0倍、件数で2.4倍に拡大 ※図6参照 2) 上記のような結果を生んだ背景 ① 市長の優れた都市経営能力: 正確な市場調査に基づく施策実施により、市のイメージを変革 ② 民間の各種専門家(NPO、専門家集団)の市政内外での活用: 民間専門家を都市計画局長に抜擢し土地利用規制等(ゾーニング)の大幅な見直しを実施 ※図7参照 (改定地区数の4割を住宅建築不可から住宅建築可へ変更 例) 臨海工業地から住宅地へ改定) ③ 公共空間の質の高いデザイン重視: 公共施設の再編に、優れたデザイナー、クリエイティブなマインドを持つ建築家や小さな設計事務所が 参加できる仕組を導入 参考図表 % ディン キン ズ市政期 ブルームバーグ市政期 ジュリアーニ市政期 30 25 20 15 10 5 1998年8月 ヘッジファ ン ドLTCM破綻 2000年4月 ITバブ ル崩壊 2001年9月 9.11米同時多発テロ 2008年 9月 世界金融危機(リーマン ショ ック) 2012年10月 ハリケーン ・サン ディー被害 年平均成長率(1994-2001年) NYC 3.9 % 東京都 1.7 % 8.9 9.2 6.2 5.5 年平均成長率 NYC 1.6 % (2002-2012年) 東京都 0.9 % (2002-2011年) 3.2 3.1 5.0 4.1 NYC 6.3 5.8 6.6 3.7 3.1 3.2 0 -5 -5.1 -3.6 -3.3 -4.5 東京都 -6.3 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 -10 図 1.ニューヨーク市の実質経済成長率(GDP)推移 - 2 - 資料) NYC: 1991~1994 年:Monthly Report on Current Economic Conditions, 20080818/NYC 1995 年以降:Monthly Report on Current Economic Conditions, 20121108/NYC 東京都: 1996 年以降「平成 21 年度都民経済計算年報」(東京都) 1991~1995 年「平成 14 年度都民経済計算年報」 (東京都)より作成 年 万人 ディンキンズ 市政期 コッチ市政期 ジュリアーニ市政期 ブルームバーグ市政期 950 850 835 831 800 750 789 778 700 906 東京都 区部人口 841 NYC人口 895 884 900 816 830 813 789 807 801 800 818 757 732 707 650 600 550 539 1950 1960 1970 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 500 資料)NYC:Intercensal Estimates of Resident Population, U.S. Bureau of Census 年 東京都区部:「人口の動き(平成25年中)」(東京都)より作成 図 2.人口推移(ニューヨーク市、東京都) 万人 1,000 895万人 900 800 732万人 707万人 700 801万人 818万人 94 99 600 230 256 ブルックリン 400 300 200 100 314 301 282 425 443 万人 万人 クイーンズ 316 477 462 万人 万人 142 142 163 1980年 NYC 1990年 NYC 2000年 NYC 19.7 % 万人 2010年 NYC 12.1 % 20.2 % 30.1 % 37.0 % 33.1 % 13.5 % 11.5 % 12.8 % 316 15-39歳 412 146 65歳以上 31.4 % 31.1 % 38.7 % 17.0 % 40-64歳 33.7 % 46.1 % 43.1 % マンハッタン 12.4 % 302 40-64歳 194 187 500 56.5 % 35.3 % 東京都区部 10.8 % 95 95 15-39歳 38.6 % 15歳未満 17.8 % NYC 181 65歳以上 ブロンクス 96 21.7 % スタテン島 15歳未満 37.8 % 19.0 % 33.2 % 30.0 % 35.1 % 10.5 % 12.7 % 0 2010年 東京都区部 0% 50% 図 4.年齢階層別人口構成比(2010 年) 図 3.年齢階層別人口推移 図 3 と図 4 の資料) NYC は U.S. Census Summary File 1、東京都区部は「国勢調査報告」 (総務省、年齢不詳は判明者の構成比により按分)より作成 万人 ジュリアーニ 市政期 % ブルームバーグ市政期 1,200 1,060 訪NYC外国人旅行者数(左目盛) 1,000 800 600 1,090 1,140 970 950 訪都外国人旅行者数(左目盛) 95 NYCホテル客室稼働率(右目盛) 680 84.6 570 620 510 480 82.4 680 86.1 449 418 400 200 75.6 730 86.1 85.6 481 533 100 880 880 85.5 85.3 81.5 534 476 85.2 87.4 556 594 410 88.3 90 681 85 80 75 76.3 73.4 0 100% 70 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 年 注)ホテル客室稼働率は、調査主体PKF Consultingの定義(年間利用客室数/年間利用可能客室数)による。 資料)NYC Statistics (http://www.nycgo.com/ 掲載データより作成 図 5.外国人旅行者数とホテル客室稼働率(ニューヨーク市、東京都) - 3 - 件 億円 3,000 投資額(左目盛) 取引数(右目盛) 2013年投資予測額 400 2,766 350 353 2,480 2,500 382 300 2,000 292 220 2,051 250 191 1,500 149 1,000 1,441 200 1,388 150 1,009 100 500 50 0 0 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年上半期 注)1$=104円により換算。ニューヨークをベースとする起業家への投資を対象とする。 出典)The New York Venture Capital Almac Fall 2013(CB Insights) 図 6.ベンチャーキャピタルによる起業家への投資額と取引数(ニューヨーク) 面積単位:ha 土地利用区分 1, 2世帯住宅 2003年-2014年増加量 敷地数 敷地面積 2003年 敷地数 2014年 敷地面積 敷地数 敷地面積 面積構成比 9 0.08 356 6.26 365 6.34 3.2% 集合住宅 ELV.なし 69 2.57 1,134 26.77 1,203 29.33 14.9% 集合住宅 ELV.あり 112 15.84 70 5.73 182 21.58 10.9% 住商併用施設 158 16.58 690 15.67 848 32.25 16.3% 57 4.51 122 4.83 179 9.34 4.7% -295 -32.77 527 64.12 232 31.35 15.9% -35 -12.55 84 22.04 49 9.49 4.8% 0 0.49 75 8.59 75 9.08 4.6% 商業施設、事務所建築物 専用工場、作業所、倉庫 運輸関係施設、供給処理施設等 公共施設、学校、病院、教会等 オープンスペース、野外娯楽施設 27 8.60 19 20.09 46 28.69 14.5% -28 -2.21 188 7.17 160 4.96 2.5% -117 -1.00 262 10.89 145 9.89 5.0% その他 -32 1.66 83 3.41 51 5.07 2.6% 敷地面積計 ① -75 1.81 3,610 195.56 3,535 197.36 100.0% 陸域面積計 ② - 0.00 - 268.20 - 268.20 - 道路等面積 ②-① - -1.81 - 72.64 - 70.83 - - 27.1% - 26.4% - 駐車場 未利用地 道路等の割合 (②-①)÷②×100 注)敷地面積が不明かつ敷地の間口と奥行が判明のものは、敷地面積=間口×奥行として算出した。 資料)NYC Department of City Planning MapPluto 及び Pluto データより作成 図 7.ニューヨーク市ブルックリン区(North Side-South Side 地区)の土地利用の変化 - 4 -