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1 試験分類 効率的農業生産技術確立対策試験
1 2 3 試験分類 優良品種等導入対策試験 課 題 名 野菜品種地域適応調査(ホウレンソウ) 実施期間 新規・継続(平成21年度~22) 4 担 当 地産地消推進係 5 目的 道では平成21年度より「道産野菜シェア奪還緊急対策」としてホウレンソウの「野菜 品種地域適応性調査」を実施しています。 これは道立農業試験場と市町村農業技術センター等の連携で行われ産地間競争を勝ち抜くための有用 品種の探査及び地域適合性を検討するものです。 また、ホウレンソウは、ベト病のレース6が発生するなど以前では見られないレースが道内で発生 しており,今後のべと病対策としても重要な調査といえる。 6 平成22年度の結果 (1) 試験方法 ア 耕種概要 実施場所 :札幌市農業支援センター内 ハウス圃場 土質・土性:褐色低地土・粘土質 試験規模 :1区 0.75 ㎡、2反復 播種方法 :手まき、2粒点播、間引き 出荷基準 :草丈20cm~ 表 1 耕種概要 作期 播種期 植栽様式 植栽株数 施肥量 堆肥の 間引き日 (cm) (株/a) (kg/a) 施用量 (月/日) 畝間 株間 N P2O5 K2O (kg/a) (月日) Ⅰ 6/4 15 7 9523 1.2 0 0 6/16 Ⅱ 8/4 15 7 9523 1.2 0 0 8/12 ※1 堆肥は前年秋に施用 作期 殺虫剤と使用回数 遮光資材と遮光期間 Ⅰ 殺虫剤 2 回 Ⅱ 殺虫剤 3 回 メガクール(ネット )7/27~ イ 生育概要 作期Ⅰ:播種直後の気温は平年より高く推移し、ハウス内も高温となった。このため、出芽や生育 の停滞が懸念されたが、供試品種・系統は、概ね順調に収穫期に達した。また、生育期間 中の気象により、土壌が乾燥しやすく、灌水を5回実施した。収穫期における抽だいは、 いずれの品種・系統も発生しなかった。 作期Ⅱ:播種前から気温が平年より高く経過していたため、7/27 から調査収量までの期間、遮熱 資材をハウスに被覆した。出芽は、いずれの品種・系統も概ね良好であったが、一部の試 験区で立枯病が発生し少量多灌水で対応した。8 月末頃からアザミウマ及びシロオビノメ イガによる食害を確認したことから、薬剤防除を実施した。また、生育後期には一部の 品種・系統において、葉柄基部が水浸状となり、茶褐色に変色する症状が発生した。 (2) 結果の概要 ア 作期Ⅰ(春夏まき) 表2 作期Ⅰ生育調査 抽台 収穫時における 出芽 品種・系統名 良否 始 期 障害の 発生程度 (指数) (月/日) (月/日) 種類 (指数) SC7-405(標準) (3) - - - 5 スーパースター 4 - - - 5 サンホープセブン 4 - - - 5 SC8-422 4 - - - 5 サイクロン 4 - - - 5 シュマイザー7 4 - - - 5 ノースグリーン 4 - - - 5 良:5~不 良:1 無:5~ 甚:1 表3 作期Ⅰ収量調査 品種・系統名 SC7-405(標準) スーパースター サンホープセブン SC8-422 サイクロン シュマイザー7 ノースグリーン 規格内 収量 (kg/a) 同左 標準対比 (%) 平均 一株重 (g) 262 304 277 375 298 292 288 100 116 106 143 114 112 110 28.2 33.6 30.7 41.5 32.1 33.7 31.8 葉身欠刻 (指数) 葉色 (SPAD) 2 4 3 2 2 2 2 丸:5 ~ 剣:1 61.6 51.4 51.9 63.5 52.0 48.7 47.0 調整後重量 株数割合 規格内 抽だい 病虫害 規格外 (%) (%) (%) (%) 100 0 0 0 98 0 0 2 95 0 0 5 98 0 0 2 100 0 0 0 94 0 0 6 98 0 0 2 優先順位 規格内>抽だい>病虫害>規格外 (抽だい1cm以上) 欠株率 (%) 3 3 0 3 3 5 3 表4 作期Ⅰ特性調査 品種・系統名 草姿 (指数) SC7-405(標準) スーパースター サンホープセブン SC8-422 サイクロン シュマイザー7 ノースグリーン 4 5 4 4 4 3 4 立:5 ~ 開:1 生育 栽培の 速度 容易 (指 (指 数) 数) (34日) (3) 3 4 3 4 1 3 3 4 3 4 3 4 早:5 易:5 ~ ~ 遅:1 難:1 収穫 作業性 (指 数) (3) 4 4 3 3 2 2 易:5 ~ 難:1 品質 (指 数) 総合 評価 (3) 3 3 3 3 2 2 良:5 ~ 否:1 (3) 4 4 3 4 2 2 良:5 ~ 否:1 kg/a 作期Ⅰ 出芽:出芽の揃い、出芽勢はいず 375 400 れも標準品種より良好であった。 304 298 292 288 277 262 300 抽だい:いずれの品種も収穫期に おいて、抽だい株の発生はなか 200 った。 100 収量性:いずれの品種も標準品種 より多収であった。とくに、収 0 穫期までに日数を要した「SC8422」の収量性が優れた。 収穫作業性:草姿が立性である「 スーパースター」 、 「サンホープ セブン」の収穫作業性が優れた。 図1作期Ⅰ規格内収量表 品質:標準品種より優れる品種は なかった。 しかし、茎葉のバランスとボリ ューム感は、 「サンホープセブン」 、 「SC8-422」 、 「サイクロン」 、 「シュマイザー7」が良好であった。また、葉色は、 「SC8-422」が 標準品種より濃かった。 総合評価:抽だいの発生がなかったため、抽だい性の評価は除き、収量性、収穫作業性、品質か ら「スーパースター」 、 「サンホープセブン」、 「サイクロン」を標準品種より高く評価した。 イ 作期Ⅱ(夏まき) 表 5 作期Ⅱ生育調査 表 6 作期Ⅱ収量調査 kg/a 表 7 作期Ⅱ特性調査 500 400 300 200 100 0 図2 作期Ⅱ規格内収量表 作期Ⅱ 出芽: 「プロキオン」 、 「イーハセブン」 、「エアグリーン」は、出芽勢がとくに優れていた。 収量性:標準品種より多収な品種は、順に「SC8-422」、「トリトン」、「サイクロン」、「晩抽サンホー プ」 、 「イーハセブン」 、 「サンホープセブン」であった。 栽培の難易: 「晩抽サンホープ」 、 「サンホープセブン」、「ミラージュ」、 「サイクロン」、 「イーハーセブ ン」は、欠株および収穫期の障害が少なかったため高く評価した。また、 「ミラージュ」は、生育速 度が早く高温条件下での生育に優れていた。 品質:標準品種より葉色の濃い「SC8-422」を高く評価した。 「ミラージュ」 、 「プロキオン」、 「エアグ リーン」 、 「スペードワン」は、葉色がやや淡く、 「AR-243」は株のボリューム感がやや不足してい たため、評価を下げた。 総合評価: 「晩抽サンホープ」 、 「サンホープセブン」 、「トリトン」、 「サイクロン」、「イーハセブン」は、 標準品種より栽培が容易で収量性も優れていたため高く評価した。 7 考察 作期Ⅰ(春夏まき)は、晩抽特性が重要であるが、いずれの品種も抽だい発生がみられなか った。この結果が、本年の天候の影響とも考えられ評価が難しい。 総合評価で高く評価した「スーパースター」、 「サンホープセブン」、「サイクロン」は、生育 が順調で品質、収量性ともに高評価である。 作期Ⅱ(夏まき)は、高温時期における発芽ぞろいが重要であるが、 「晩抽サンホープ」 、 「サ ンホープセブン」 、 「トリトン」 、 「サイクロン」、「イーハセブン」は、十分な特性を備えている。 作期Ⅰ・Ⅱともに現在、生産される品種を上回る評価が確認されたことから、ホウレンソウ生 産者へ情報提供を行う。 1 調査項目、調査方法および供試品種 (1)品種の特性 調査項目 出芽良否出芽の揃い、出芽勢の程度を観察(良 5~不良 1) 抽だい期 40~50%の株が抽だいした日(作期Ⅰにのみ記載) 出芽率出芽個体数/播種粒数(作期Ⅱにのみ記載) 収穫期における 障害の種類 発生程度 5:無 発生が認められない 4:微 10%未満の株に発生 3:少 10~20%未満の株に発生 2:多 20~40%未満の株に発生 1:甚 40%以上の株に発生 草姿立 5~中 3~開 1 葉形丸 5~中 3~剣 1 葉色(SPAD) SPAD での測定値 葉身縮み強 5~中 3~弱 1 葉身欠刻深 5~中 3~浅 1 葉数収穫期における規格内株の葉長 2.5cm 以上の葉数 草丈収穫期における規格内株の草丈 生育速度収穫到達日数で評価 5: 早 標準品種に比べて 5 日以上早い 4:やや早 標準品種に比べて 2~4 日早い 3: 並 標準品種と同時期(-1~+1 日) 2:やや遅 標準品種に比べて 2~4 日遅い 1: 遅 標準品種に比べて 5 日以上遅い 栽培の難易出芽、生育の揃い、障害の発生等から 易 5~中 3~難 1 で評価 収穫作業性実際の収穫作業性(草姿や株のつくり等)から 易 5~中 3~難 1 で評価 品質葉色、株のボリューム感等から 良 5~中 3~否 1 で評価 総合評価特性を総合的に 良 5~中 3~否 1 で評価