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エネルギーキーデバイスとして注目される 電気二重層キャパシタ

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エネルギーキーデバイスとして注目される 電気二重層キャパシタ
解説
エネルギーキーデバイスとして注目される
電気二重層キャパシタ
Remarkable Electric Double Layer Capacitor as Energy Key Device
長谷部 章雄 NEC トーキン(株)
スーパーキャパシタは,環境に優しいエネルギーデバイスとして注目され,最近多くの場面で目に
する機会が増えている.スーパーキャパシタは,非常に大きな静電容量を有する蓄電デバイスであ
り,商品化から約 30 年の間に幅広い分野で,主にメモリ IC 等のバックアップ電源用途で使用さ
れてきた.最近では,小型で低抵抗の製品がディジタル・情報機器のピーク電力アシストの用途へ
展開され,さらには次世代と呼ばれるキャパシタの開発が進展し新たな局面を迎えようとしている.
スーパーキャパシタの原理から応用および開発動向を解説する.
スーパーキャパシタの市場と応用
使用されてきている.
スーパーキャパシタのワールドワイドの市場規模は
最近,
「スーパーキャパシタ」あるいは「ウルトラキャ
現在およそ 150 ~ 200 億円といわれている.その用途別
パシタ」という言葉を,いろいろな紙面で目にする機会
の比率は,数量ベースではあるが,図 -2 に示すように,
が増えている.この
「スーパーキャパシタ」
「ウルトラキ
0.01F ~数 F 程度の静電容量の小型品が使用されるバッ
ャパシタ」という言葉は,電気二重層キャパシタ
(EDLC:
クアップ電源用途が約 80%を占め,数 F 以上の静電容
Electric Double Layer Capacitor)の呼称として,従来の
量の中・大型品が使用されるパワーアシスト・供給電源
誘電体をベースとしたコンデンサと区別し一般に広く使
用途が残りの 20%を占める.
用されている.
スーパーキャパシタが使用されている機器は,バック
電気二重層キャパシタ(以下,
「スーパーキャパシタ」
アップ電源用途としては,携帯電話をはじめとする携帯
と記す)は,数十ミリファラッド(mF)から数十ファラッ
機器,ディジタルスチルカメラ,AV 機器,家電製品等
ド(F)以上の非常に大きな静電容量を有し,充放電サイ
のコンシューマ機器,プリンタ,コピー機等の OA 機器,
クル特性(寿命)や急速充放電にすぐれた特徴を持つ蓄
FA 制御機器,カーオーディオの車載機器など,非常に
電デバイスであり,約 30 年前に日本で商品化された比
較的新しいデバイスである.その蓄電デバイスとしての
性能を図 -1 に示した.横軸は単位重量あたりに取り出
10000
せるエネルギーを示すエネルギー密度(Wh/kg),縦軸
(W/kg)として表した.スーパーキャパシタは,図に示
したようにアルミ電解コンデンサと二次電池のほぼ中間
1)
の領域に位置する .
主な用途としては,電気・電子機器の電源供給停止時
アルミ電解
コンデンサ
パワー密度(W/kg)
は単位重量あたりに出力できるパワーを示すパワー密度
スーパー
キャパシタ
1000
ニ次電池
100
に,RTC(リアルタイムクロック)
,メモリ IC やマイコ
ンの動作を保持するための電力供給源としてのバック
アップ電源用途や,機器のアクチュエータ・モーター等
の起動・運転時のパワーアシスト・電源用途などである.
10
0.01
0.1
1
10
100
1000
エネルギー密度(Wh/kg)
また,最近ではミリ秒オーダーの非常に短い時間で,瞬
時にアンペアオーダーのピークパワーを必要とされるピ
ークアシスト用途
(無線通信,ディジタル電子機器等)
に
図 -1 アルミ電解コンデンサ,スーパーキャパシタ,二次電池の
エネルギー密度とパワー密度の関係
IPSJ Magazine Vol.47 No.12 Dec. 2006
1365
中・大型
その他(中・大型)
5%
自動車
3%
玩具
4.3%
その他(小型)
3%
電話機 家電
FAX/ コピー機
3%
FA 機器
(UPS, 他)
携帯電話
28.1%
FA 機器
カーオーディオ
9.0%
255 百万個
(2003 年)
DSC/DVC
12.4%
オーディオ
27.1%
PDA
2.5%
小型
図 -2 スーパーキャパシタの用途別シェア
幅広く多岐にわたり,電力アシスト・供給電源用途とし
ては,玩具,自動車,FA 機器,さらにはソーラ応用製
電池電圧
ベース電圧
品などである(図 -2)
.
また,近年は,エネルギーや環境問題の観点から,ス
ーパーキャパシタがハイブリッド自動車や自然エネルギ
ーの蓄電用途への適用で注目され,1000F を超える大容
量タイプの開発・実用検討が進められており,スーパー
電圧降下
2A
-340mV
電池電流
キャパシタのさらなる市場拡大が期待されている.
次に, ピー ク アシ スト 用 途の 一例 とし て, 携帯 端
末 機 器 の 無 線 回 路 ブ ロ ッ ク の 電 源 に 対 す る 低 ESR
(Equivalent Series Resistance)のスーパーキャパシタを
用いた電源技術の応用検討例を示す
0A
送信期間
受信期間
2)
,3)
.
TDMA 方式の携帯電話においては,バッテリーの電
図 -3 GSM 携帯電話における通信動作波形(データ送信時)
源インピーダンスの影響で,電波の送受信動作での電流
変動に応じ送受信タイミングに同期して電源電圧が変動
する.図 -3 に GSM 携帯電話における通信動作波形を
ーブロックの電源として接続する構成となっている.こ
示す.送信期間(消費電流:約 2A)においてバッテリー
の試作機において評価した動作波形を図 -5 に示す.電
電圧が約 340mV 降下する.一般的に携帯電話は,動作
気二重層キャパシタモジュールによりバッテリー電流は
電圧の下限電圧に近づくと充電警告やシャットダウンな
0.9A に制限されるため,送信期間におけるバッテリー
どの動作を行う.そのため,送信期間中に発生する電
電圧降下が約 150mV に減少し,スーパーキャパシタを
圧降下でのバッテリーの放電効率の低下を減少させるこ
用いない場合よりも電圧降下は抑制され,バッテリーの
とを目的に,送信期間の電力を供給するために低 ESR
放電効率が向上する.携帯電話のみならず,大容量通信
(約 120mΩ)の薄型のスーパーキャパシタ(4.2V‐47mF
の進展による電源負荷の増大,ディジタル機器における
タイプ)を搭載した GSM 携帯電話の試作機の模式図を
平常時省電力化と瞬時大電力化のギャップの拡大等が予
図 -4 に示す.試作機では,バッテリーがスーパーキャ
想され,今後も電源技術においてスーパーキャパシタの
パシタのモジュールブロックを経由してトランスミッタ
応用の拡大が期待される.
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47 巻 12 号 情報処理 2006 年 12 月
SIM接続端子
SIM
トランスミッター
ブロック
(パワーアンプ)
ヘルムホルツ面
&M
+
−
−
+
+
−
−
+
−
+
+
+
−
−
+
−
+
−
&
+
L
& 0+& 1
制御回路
V
Vc
−
+
−
+
−
+
−
+
−
電池電流
0
Qc
■二次電池の充放電曲線
スーパーキャパシタの原理
+
+ −
+ −
●基準電位を持つ
エネルギー量
U =Q cV ac
U
図 -5 スーパーキャパシタを搭載した GSM 携帯電話における通
信動作波形(データ送信時)
+ −
−
★蓄電メカニズム:イオンの吸脱着
圧
受信期間
+ −
+ −
+
+
+ −
& 0ー & 1
Vc
V
a
電 V ac
送信期間
+
+ −
U =1/2Q cV c =1/2CV c2
電気量(電荷)
0A
−
+ −
エネルギー量
U
0
トランスミッターブロック
(パワーアンプ)
電流
+
−
−
●基準電位を持たない
0.9A
0.9A
0A
+
−
■キャパシタの充放電曲線
電
圧
電池電圧
−
図 -6 スーパーキャパシタの原理
図 -4 スーパーキャパシタを搭載した GSM 携帯電話の試作機
(スケッチ図)
電圧降下
150mV
−
+
D
GSM方式携帯電話
(折りたたみ型)
基板
+
0
0
Q
Qc
★蓄電メカニズム:酸化還元反応
電気量(電荷)
図 -7 スーパーキャパシタと二次電池の違い
図 -6 に示したように,スーパーキャパシタでは充放電に
伴って内部の電位φが変化し,そのため電解質イオンが
一般に,固体電極と電解質溶液のように 2 つの異なる
溶液内を移動し電極界面に吸脱着するだけであるために,
相が接触すると電位差が生じ,その界面には,正,負の
電極での化学反応を伴う二次電池と比較して特性の劣化
電荷が非常に短い距離で配列した層が形成される.これ
がきわめて少ないのが大きな特徴である.また,実際の
を電気化学の分野では電気二重層と呼んでいる.スーパ
スーパーキャパシタは,1,000m /g を超える比表面積を
ーキャパシタはこの電気二重層という界面現象を蓄電に
有する活性炭を材料とする電極と,水あるいは有機溶剤
利用したキャパシタであり,その現象が「電気二重層キ
を溶媒とする電解液で構成され,電極の大きな比表面積
ャパシタ」の名前の由来になっている.図 -6 にヘルムホ
を利用しファラッド級の大きな静電容量を実現している.
2
ルツのモデルを用いたスーパーキャパシタの原理を示し
た.その静電容量 C は次式で表される.
-1
C =∫ε
(4 πδ) dS
スーパーキャパシタの特徴
ε : 電解液の誘電率
図 -7 にスーパーキャパシタと二次電池の違いについ
δ : 電極表面からイオン中心までの距離で電気二重層
て示した.前章で述べたように蓄電メカニズムの違いの
の厚さに相当
ために,スーパーキャパシタは,基準電位を持たず,蓄
S:電極界面の表面積
えることができるエネルギー量の表し方,放電曲線が二
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解説
エネルギーキーデバイスとして注目される電気二重層キャパシタ
二次電池パック
スーパー
キャパシタ
スーパーキャパシタ
AI 電解コンデンサ
Li イオン電池
Ni-Cd, Ni-MH 電池
鉛電池
イオンの物理吸着
誘電体分極
化学反応
化学反応
化学反応
0.5 〜 5
< 0.1
100 〜 150
50 〜 80
20 〜 30/2 〜 7
動作温度範囲(℃)
-40 〜 +85
-40 〜 +105
-10 〜 +45
-10 〜 +55
-15 〜 +50
充放電サイクル
原理的に無制限
原理的に無制限
〜 1000
〜 1000
500/5000
充電時間
数秒〜
数秒〜
10 分〜数時間
10 分〜数時間
10 分〜数時間
環境・安全
◎
◎
Li
Cd, Ni
Pb
故障モード
オープン
ショート
ショート
ショート
ショート
蓄電原理
エネルギー密度
(Wh/kg)
表 -1 スーパーキャパシタ,アルミ電解コンデンサおよび各種二次電池の特徴比較
導電性ゴム
封止用ゴム
セパレータ
活性炭+電解液
図 -8 スーパーキャパシタのセルの基本構造
図 -9 スーパーキャパシタの製品例
次電池と異なることが分かる.
スーパーキャパシタのセルの基本構成は,図 -8 に示
表 -1 にスーパーキャパシタと二次電池および他のコ
すように,セパレータを挟み,主に活性炭からなる電解
ンデンサの特徴を示した.スーパーキャパシタは,二次
液が含浸された 1 対の電極が配置され,外部と電気的に
電池と比較して,充放電のサイクル寿命が非常に長く,
コンタクトするための集電体と共にガスケットにて密閉
急速充放電が可能であり,低環境負荷の材料を使用して
された構造となっている.
いることから環境に優しいデバイスである.一方,使用
これまで,主にバックアップ電源用途向けとしては,
温度範囲は,他のコンデンサと同様の広さを持ち,電気
水系・有機系共に,2.5V ~ 5.5V の電圧帯で静電容量が
を貯める目安となるエネルギー密度で比較すると,アル
数 F までの小型品が,缶ケース,樹脂モールド,コイ
ミ電解コンデンサとは桁違いの蓄電性能を有するデバイ
ンタイプといった形状で商品化されている.一方,パワ
スである.
ーアシスト・電源用途向けとしては,数 F 以上の静電
容量の中・大型品が,水系では 10V ~ 24V 程度の高電
スーパーキャパシタの製品例
圧タイプ,有機系では,2.3V ~ 2.7V の電圧帯でアルミ
電解コンデンサに多くみられる形状であるラジアルリー
ドタイプ(円筒形の本体の片側から 2 本のリード端子が
スーパーキャパシタは,前述したように使用される電
出ている形状)の製品が主に商品化されている.
解液によって,希硫酸などを使った水溶液系(以下,
「水
また,最近では瞬時のピークアシストの要求に対応し,
系」と記す)
と,プロピレンカーボネイトなどの有機溶媒
100mΩオーダーと低抵抗の小型・薄型タイプの製品が
に電解質を溶解した有機溶媒系(以下,
「有機系」と記す)
リリースされている.
のタイプに大別される.
図 -9 に製品の写真を,図 -10 に,水系および有機系
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47 巻 12 号 情報処理 2006 年 12 月
ラミネートフィルム
端子
基本セル
絶縁ケース
スリーブ
基本
セル
積層
端子
(a) 積層型
集電体
ガスケット
端子
キャップ
電解液
図 -11 薄型タイプのスーパーキャパシタの構造
ガスケット
セパレータ
電極+集電体
ケース
(b) コイン型
~ mA オーダーの電流領域の製品が適用され,パワー
アシスト・電源およびピークアシスト用途には,mA ~
A オーダーの電流領域の製品が対応される.
端子
パワーアシスト・電源用途においては,使用電圧が高
電圧,放電が長時間といった場合に対応し,製品を直列,
外装ケース
並列に接続したモジュールとして使用される場合が増加
してきている.そのため,モジュールとしての周辺回路
セパレータ
技術の開発も並行して進められている.
電極
最近の開発動向
(c) 巻回型
スーパーキャパシタは,これまで述べたように,二次
電池と比較してエネルギー密度が低いこと以外は多くの
点で優れた蓄電デバイスである.しかしながら,電気・
電子機器の小型化の急速な進展,また,新たに期待され
図 -10 スーパーキャパシタの構造
ているハイブリッド自動車などへの適用において,スー
パーキャパシタのさらなる小型化が要求され,エネルギ
ー密度のさらなる向上がスーパーキャパシタの課題とな
っている.
の代表的なスーパーキャパシタの構造を示した.水系で
スーパーキャパシタに蓄えられるエネルギー U は,
は基本セルを積層した構造により幅広い使用電圧と容量
次式で表すことができる.
特性を実現しており,有機系では,小型品はコイン型の
2
単セルおよび積層型構造,中・大型品として主に巻回型
U = 1/2CV
構造となっている.また,図 -11 に薄型タイプのスーパ
U:エネルギー(J=W・s)
ーキャパシタの構造を示した.非常に薄い電極を用いた
C:静電容量
(F)
基本セルを積層した構造により低抵抗化を実現している.
V:耐電圧(V)
スーパーキャパシタのラインナップ例を,電流値とバ
ックアップ時間を性能の指標として図 -12 に示した.
この式から,スーパーキャパシタのエネルギー密度向上
メモリ等のバックアップ電源用途には,一般に,μ A
の方策として,静電容量あるいは耐電圧の向上が効果的
IPSJ Magazine Vol.47 No.12 Dec. 2006
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解説
エネルギーキーデバイスとして注目される電気二重層キャパシタ
外装ケース
電流値
電流値で製品を選定
大容量
スーパーキャパシタ
BOX タイプ
薄型スーパー
キャパシタ
大容量
スーパーキャパシタ
HV シリーズ
スーパーキャパシタ Low インピーダンス
FA, FE, FS, FT, FME シリーズ
スーパーキャパシタ Hi インピーダンス
FG, FY, FC, FM, FR シリーズ
バックアップ時間
1 時間
1分
1日
1 週間
1 カ月 (秒)
静電容量の大きさで時間が決まる
図 -12 スーパーキャパシタの製品ラインナップ例(NEC トーキン)
であることが分かる.最近では,この観点から多くの検
この中から,ハイブリッドキャパシタについて紹介す
討がなされ,従来のスーパーキャパシタのエネルギー密
る.ハイブリッドキャパシタの中で,最近,Li イオン
度 5Wh/kg を超える,次世代と呼ばれるキャパシタが
塩を含む有機系電解液を使用したタイプで,耐電圧が
注目されている.
3.6V 以上,エネルギー密度が従来のスーパーキャパシ
静電容量および耐電圧の改善に関しては,スーパーキ
タの 2 倍を超える 10Wh/kg 超の性能が実現されてきて
ャパシタを構成する材料の改善によるところが大きく,
いる.
特に,その中でもキーマテリアルである電解液,電極材
図 -13 に負極に黒鉛系炭素,正極に活性炭を使用した
料に関する開発がポイントとなる.
ハイブリッドキャパシタの電極電位模式図を示す.図の
電解液の観点では,常温で液体の電解質であるイオン
縦軸は Li を参照電極とした各電極の電位(E/V vs. Li/
性液体を電解液として使用することにより,耐電圧が
Li)を表し,図は左から右に行くに従い充電される様子
3.0V,エネルギー密度が約 7Wh/kg に向上したスーパ
を示し,横軸は蓄えられる電気量(C)の増加として定性
ーキャパシタが開発されている.
的に記述した.このハイブリッドキャパシタでは,負極
スーパーキャパシタ
(電気二重層キャパシタ)
は,電気
の電極電位を,負極に Li イオンをドーピング(注入)す
化学キャパシタに包括され分類されるが,その分類の中
ることにより低下させ,正極電位との差を拡大させるこ
で,スーパーキャパシタとは区別して呼ばれているキャ
とにより,全体の耐電圧を 4V 級まで向上することに成
パシタとして,電極材料に導電性高分子材料あるいは導
功している.この Li イオンを含むハイブリッドキャパ
電性酸化物を用いたレドックスキャパシタ,電極材料に
シタは,最近ではリチウムイオンキャパシタの呼称で呼
非対称の材料を用いたハイブリッドキャパシタの開発も
ばれている.
進められている.表 -2 に電気化学キャパシタの分類を
以上のように,1990 年代後半から,特に 1000F 超級
示した.
の大容量スーパーキャパシタの開発が活発に展開され,
1370
47 巻 12 号 情報処理 2006 年 12 月
電気二重層キャパシタ
レドックスキャパシタ
特 徴
●電荷貯蔵機構…電気二重層
●電極…活性炭(正極,負極)
●電荷貯蔵機構
…イオンの吸脱着反応と酸化還元反応(疑似容量)
●電極…金属酸化物,導電性高分子
●電荷貯蔵機構
ハイブリッドキャパシタ
…電気二重層と酸化還元反応
●電極…異なる材料を正・負極に使用
(金属酸化物,導電性高分子,炭素材料)+(活性炭)
表 -2 電気化学キャパシタの分類
電解液の酸化分解
4
正極:活性炭
+
E/V vs. Li /Li
-
電気二重層
3
キャパシタ
2.3V
2.3V∼3.3V
3.3V
2
ハイブリッド
キャパシタ
4.2V
負極:活性炭
1
電解液の還元分解
負極:黒鉛系炭素
0
電気量
図 -13 ハイブリッドキャパシタの電極電位図(電解液:Li イオンを含む有機系電解液)
現在は二次電池のエネルギー密度に匹敵するような次世
代の製品の開発が進展し実用化が期待されている.
Applications After 25 Years in the Business Advanced Capacitor World
Summit 2004, Advanced Capacitor World Summit 2004, Washington,
D.C. (July 14-16 2004).
スーパーキャパシタは,環境に優しいエネルギーキー
(平成 18 年 10 月 23 日受付)
デバイスとして,「自然との調和と環境の再生」
という今
世紀のキーワードのもとに,今後もさらに発展拡大して
いくものと期待される.
参考文献
1)長谷部章雄:電気二重層キャパシタとその応用,まてりあ,Vol.41,
No.6, pp.427-431 (2002).
2)佐々木浩,猪井隆之:低 ESR 電気二重層キャパシタの携帯端末機器へ
の応用,NEC TOKIN Technical Review, Vol.30, pp.9-13 (2003).
3)Saiki, Y.:New EDLC Developments for Portable Customer
長谷部 章雄
[email protected]
1987 年東北金属工業(株)(現,NEC トーキン(株))に入社,以降
磁性材料,電気二重層キャパシタの研究開発に携わり,現在に至る.
ソリューション技術部に所属.
IPSJ Magazine Vol.47 No.12 Dec. 2006
1371
解説
エネルギーキーデバイスとして注目される電気二重層キャパシタ
電気化学キャパシタの分類
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