...

参考資料 - 経済産業省 東北経済産業局

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

参考資料 - 経済産業省 東北経済産業局
参考資料
1)再生可能エネルギーアドバイザリーボード
議事要旨
(1) 第1回再生可能エネルギーアドバイザリーボード
・日 時 :平成 24 年 6 月 15 日(金)13:30∼15:-30
・場 所 :仙台第2合同庁舎8階 関東東北産業保安監督部 会議室
・参加者 :
(敬称略)
【委員】
・中田俊彦(委員長、東北大学大学院工学研究科 教授)
・正代尊久(日本電信電話株式会社 研究企画部門 環境・エネルギー
プロデュース)
・高篠重毅(日本政策金融公庫 仙台支店 東北創業支援センター 所長)
・高橋幸司(山形大学大学院理工学研究科 教授)
・松田從三(北海道大学名誉教授)
・望月孝(株式会社プロジェクト地域活性 代表取締役社長)
【委託者】
・山本(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・柏(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・伊東(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
【事務局】
・原(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
・横山(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
○FITを活用した自治体による発電事業
Ø
メガソーラーのプロジェクトにおいて、
SPCで東京の大手資本と地元資本が連携して
会社を設置して、
それで税金とエネルギーシステムのノウハウを被災地で共有しながら
進めている。
Ø
現実的には津波で被災し、従来の活用が困難となった土地を活用し、FITで収益を得
るというのは手堅い収益源である。
特にその他の選択肢がまだなかなか見つからないた
め、多くの自治体がプランを盛り込んできているようだ。
○再生可能エネルギーの大量導入のために必要な送電網
Ø
宮城県岩沼市∼福島県南相馬市の間のほとんどの自治体が、
津波で被災した沿岸部にお
けるメガソーラーのプロジェクトを掲げている。しかし、これらのメガソーラーを売電
99
するために必要な送電線(特に高圧の特高送電)は、内陸部に5kmほど入らないとな
い。現在、これらの地域の沿岸部にある(特高ではない)送電線は、数メガワットまで
なら受け入れが可能なようだが、沿岸部の自治体が全てメガソーラープロジェクトを始
めると、送電網がパンクしてしまう。その時には風力発電のように抽選になる可能性が
高い。
Ø
そもそも沿岸部は風の影響や塩害から、一般的に送電線を引くことは少ないようで、山
の尾根沿いに引くことが多いようだ。電圧のレベルにもよるが、電圧レベルが高いと地
上に対する補償も大きくなってしまうため、
経済性の観点から山の上を通すことが多い
ことに加え、沿岸部に大きな需要地がないというのが大きな要因と考えられる。
Ø
国で「送電線をもう一度整備しよう」という機運が高まれば、また状況は変わってくる
かもしれない。
Ø
岩手県∼宮城県にかけての三陸沿岸は、仙台以南よりも送電網が貧弱で、特高の送電網
は盛岡くらいまで行かないとなかったと認識している。一方で、仙台より南については
少し内陸に入ればかなり強い特高の送電網が整備されていると認識している。
○ガイドラインの作成の方向性
Ø
第3回のアドバイザリーボードまでに「ガイドライン」を作るということであるが、
「ガ
イドライン」を東北だけでなく、これから再生可能エネルギーを活用したまちづくりを
進めようとする他地域でも参考にできるようにするのであれば、
地方中核都市である仙
台市の取り組みを入れるべきではないか。
Ø
「ガイドライン」を作成する上でのキーポイントの1つは、どのような指標を設定する
かである。その切り口を間違えてしまうと、
「ガイドライン」自体のまとまりがなくな
ってしまう。したがって、このアドバイザリーボードのどこかで議論する機会を設ける
必要がある。
Ø
そこに、
「都市」や「農村」
「漁村」というライフスタイルやアクティビティの違いも盛
り込みながら、整合性が取れるように整理をしていく必要があると考える。
Ø
仙台市の場合は、津波で被災したのは宮城野区と若林区のごく一部のエリアであり、こ
れらの被災地域の住民を、
震災前から計画中だった区画整理事業地区に集団移転させて、
その区画整理事業地区に新たなエネルギーシステムを導入していくという計画である。
Ø
したがって、石巻・気仙沼のように市の中心部が被災してしまった地域とは全く状況が
異なっている。市の中心部が被災しているのかどうかも、ガイドラインを検討する上で
の1つのポイントなのではないか。
Ø
今回は津波被災地が対象になっているが、山形・秋田・青森も一緒に苦労した仲間なの
で、そこも将来的には検討をしていく必要があるだろう。特に山形県は県としてのスマ
ートコミュニティに関連する取り組みも、他の県と比べて進んでいる。こういったとこ
ろのチェックも並行して進めていく必要がある。
100
2) 第2回再生可能エネルギーアドバイザリーボード
・日 時 :平成 24 年 10 月 24 日(金)13:00∼15:-10
・場 所 :仙台第1合同庁舎6階 東北経済産業局 第1・第2会議室
・参加者 :
(敬称略)
【委員】
・中田俊彦(委員長、東北大学大学院工学研究科 教授)
・正代尊久(日本電信電話株式会社研究企画部門環境・エネルギープロデュース)
・高篠重毅(日本政策金融公庫 仙台支店 東北創業支援センター 所長)
・高橋幸司(山形大学大学院理工学研究科 教授)
・松田從三(北海道大学名誉教授)
・望月孝(株式会社プロジェクト地域活性 代表取締役社長)
【委託者】
・柏(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・成田(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
【事務局】
・原(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
・横山(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
①宮古市スマートコミュニティマスタープラン
説明者: 宮古市 総務企画部復興推進室 木村
Ø
剛様
官民が連携しながら、これまでに50回近くにわたって、会議を開催してきた。週に1
~2回は膝を交えて協議検討を行ってきた。
Ø
「スマートコミュニティ」は、復興計画に掲げる目標を実現するための具体策という位
置づけで取り組んできた。このことを通じて、市民が生涯住み続けたいと思う自立した
元気のあるまちを目指している。
Ø
全市を対象にした「CEMS(地域エネルギーマネジメントシステム)」の構築を目指し
た。また、
「BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)
」や「ESCO 型サービス」
などを取り入れて省エネを図るとともに、太陽光・バイオマス・小水力等の再生可能エ
ネルギーによる「発電設備」を入れていくこととした。
Ø
小水力発電は、
河川法の許認可の関係でスマートコミュニティ導入促進事業の対象期間
内に間に合わないため、河川法の許認可に抵触しない部分での実現を検討している。
Ø
また、地産エネルギーの有効な消費先として、「植物工場」を推進している。また、都
氏の将来像を象徴し、復興を発信する生産拠点としての役割も期待されている。さらに
植物工場を対象とした
「コジェネレーション/トリジェネレーション」
を検討している。
Ø
さらに、EV と PHV による「カーシェアリング」と EV 等の「給電設備」も導入して
101
いる。最後に CEMS との連携した「蓄電設備」を導入している。
Ø
震災を契機とし、その経験を活かしつつ、最適な需給バランスを実現した再生可能エネ
ルギーの地産地消モデルである「宮古市版スマートコミュニティ」の積極的な取り組み
を推進していきたい。
<委員からのコメント等>
○バイオマスの取り組み
Ø
エネルギーフローの中では、バイオマスが大きなウエイトを占めている。現在、バイオ
マスの取り組みとしてどんなものがあり、2015 年までにどのような計画があるのかを
教えてほしい。
⇒林野庁の補助金で 5000KW の設備の導入が決まっている。昨年の第3次補正で獲得
してこれから稼働するところである。14カ月の施工を経て来年稼働する方向となっ
ている。また、現在計画中ではあるが 3000KW、10~20MW の施設も検討している
(宮古市)
。
○規制緩和要望
Ø
国の規制に関する緩和の要望事項があればぜひ教えてほしい。
⇒小水力、特に河川法の適用を受ける場合の協議に非常に時間がかかることである。市
内を流れる川があるが、環境面での検討や漁業との協議も必要である(宮古市)
。
○地元企業の巻き込み
Ø
スマートコミュニティマスタープランのワーキンググループには大手企業が多い。地元
に本社のある企業をこの事業を通じていかに育てていくかが重要だと思う。
植物工場に
は農業法人が入っていると思うが、今後どのように巻き込んでいくつもりなのか?
⇒期間が短かったことと専門性が高いことから、今回はまず、地元企業には宮古商工会
議所にワーキンググループに入っていただいた。今後は、SPC の中に市内の事業者
や市民に発信をして、巻き込んでいく形を取っていきたいと思っている。例えば漁協
からは、漁業に関するプロジェクトへのアドバイスもいただいている。漁協は、需要
家としての側面だけでなく、植物工場での販路での連携先という側面もあり、地元の
関係者との連携は不可欠であると考えている。商工会議所は参加しているが、それぞ
れ企業において次の後継者になる若手を、計画が固まる前に入れていくことを意識し
てほしい。
本当はそういった人材を今回のマスタープランの段階で入れていくべきだ
ったと思う。特に 30∼50 代の農商工分野における各事業者の参加は重要である。も
う1つは今後伸びる可能性がある技術にとっては、
東北の企業にぜひ移転をする仕組
みを考えてほしい(宮古市)
。
102
○植物工場の事業化
Ø
植物工場は全国でもほとんど採算が取れていない。トリジェネレーションを入れて、パ
プリカを生産する取り組みは確かに日本で稼働している唯一の工場かもしれない。しか
し種はオランダ等からの輸入になる。宮古の地域特性を生かして、魚介類を養殖するよ
うなものにするとより個性が出てくるのではないか。
⇒植物工場から養殖の材料を提供する事業は、
実際にマスタープランに策定された事業を
手がけるコンソーシアムにおいて、現在検討している。また地域特性を活かすという意
味では、ある漁協は電動漁船などにも関心を持っており、こういった取り組みも宮古市
の個性を発揮する取り組みとして取り入れていきたいと考えている。
さらに宮古市では、
今まで農業は多品種少量の自家的な農業がほとんどだった。
そこを変えるきっかけとし
て植物工場に取り組んでいくことは、将来的に法人経営型の農業を根付かせることにも
つながるのではないかと考えている(宮古市)
。
②気仙沼市スマートコミュニティマスタープラン
説明者: イーソリューションズ株式会社 スマートシティ事業部 青山 英明様
市民生活部環境課課長 村上 信光様
<委員からのコメント等>
○エネルギー源の多様化
Ø
私も北海道で酪農家から生じるバイオガスを使った電力供給事業の検討を行っている
が、北海道では今、本州の資本によって大量のメガソーラープロジェクトが申請されて
いる関係で、送電網をこれ以上使用できない状況に陥っている。
Ø
経済的な面を考えると、FITで売って改めて買い直すという仕組みの方が、上手くい
くのではないかと思う。
Ø
太陽光はほとんど作る時しか雇用が生まれない。再生可能エネルギー源としては、もっ
と多様なエネルギーを考えるべきではないか。特に水産加工場というフィールドを考え
ると、水産加工残渣の導入を考えていくべきではないか。
⇒FITで行くのか、自己消費で行くのかは大きな話である。今回、マスタープランの
中で検討を行った5つのグリッドパターンのうち、2つは自己消費、3つはFITを
使うモデルである。FITで売電する場合、今回のスキームではPPSの荏原環境プ
ラントへの売電を想定している(イーソリューションズ)
。
⇒既に魚由来の水産加工残渣はリサイクルがされており、それらをさらにバイオマスエ
ネルギーとして活用していくことは難しい状況である。
木質バイオマスの熱電供給の
プロジェクトも別途進めている。現在、ちょうど会社が立ちあがったところである
(気
仙沼市)
。
103
○独立型エネルギーシステムの事業性
Ø
デマンドレスポンスは5年で回収できるが、
独立型エネルギーシステムになると途端に
IRRが厳しくなるのは本当か。独立型エネルギーシステムになると、自営線を引かな
ければならなくなるだけではないか。
⇒人件費や送電のためのインフラ、
託送料金がランニングコストとして効いてくる点が
大きなポイントである。これらの費用は、1kwhあたり約4円が上乗せされる形に
なる(イーソリューションズ)
。
○水産加工業のサプライチェーン
Ø
津波によって水産加工業の壊滅し、
サプライチェーンが崩れているという話をよく聞く。
すなわち、サプライチェーンの一部だけが回復しても、全体が復活しないと元には戻ら
ないのではないか。
Ø
今回、加工に絞って9社が連携しているが、倉庫・魚市場などのサプライチェーンの他
の部分とも連携した方が本当は良かったのではないか?
⇒今回、水産加工団地になったのは、市内の中で最速で復興できる場所だったためであ
る。確かにサプライチェーンの他の部分が復活しないと、産業として復活しづらいと
いう問題はあるが、
とりあえず最速で復興できるところをモデルとして整備していこ
うという考えで取り組んだ次第である(気仙沼市)
。
③石巻市スマートコミュニティマスタープラン
説明者: 石巻市 震災復興部協働プロジェクト推進課 近藤 順一様
株式会社東芝 スマートコミュニティ事業統括部 松井 祥子様
<委員からのコメント等>
○安全・安心のまちづくりとスマートコミュニティ
Ø
スマートコミュニティに取り組む上で「安全・安心のまちづくり」として、災害時にも
電気を供給することは非常に重要だと思う。
災害時にも灯りが途切れないような工夫を
どのようにしているのか、可能な範囲で教えてほしい。
⇒石巻市の場合は、
「防災集団移転」との連動、
「売電を取り入れない」という点が特徴
だと思う。グリーンニューディールを活用して、主要な施設に再生可能エネルギーを
搭載する考えを持っている。各施設が、太陽光と蓄電池を持って連携することが特徴
と言える。新蛇田地区に大規模な住宅が集まるという話があったが、今回のCEMS
は国策として進んでいる再生可能エネルギーが大量導入された時に、
地区の面の中で
どうやって再生可能エネルギーの安定化を図るかが焦点となってくる。系統に対する
逆潮流に対して、
どう対応し、その中で蓄電池をどう使っていくのかが不可欠である。
104
平常時の電源安定化と非常時の電源導入の双方に寄与するものを考えている。
⇒グリーンニューディールを活用した公共施設への再生可能エネルギーを東北大学と
しても支援させていただいている。またICTとの連携についても、データをやり取
りする上でのプロトコルの部分で大学としての知見を活用させていただく機会をい
ただいている。
⇒災害公営住宅については、指針の中に「太陽光」と「蓄電池」を入れることを位置付
けている。一部は市の単費でも入れることも考えている。
○実現のための時間軸
Ø
資料の P5 の取り組みには時間軸が入っていない点が気になる。
Ø
おそらく「石巻復興協働プロジェクト協議会」で最終的に絞り込んだ 10 の事業の中に
は、国の事業が取れればやっていく部分、単費でも入れる部分があるだろうと思うが、
その仕分けの方向性を教えてほしい。
⇒今回はマスタープランの内容説明が中心だったので、時間軸は入れなかった。10 の
事業の中での優先順位は既にある程度固まっている。できるだけ国などと連携しなが
ら、スタートを早く切っていこうと思っている。実際に、絞り込んだ 10 の事業のう
ち6割は既に着手している状況である。国の補助事業の多くは、基本的には震災前の
姿に戻すことを前提にしており、新しい取り組みには補助を受けづらいという実態も
ある。
○バイオマスの利活用
Ø
私はバイオマスに関する研究に長年取り組んでいる。
Ø
国においても今後のエネルギー戦略の方向性として、生ゴミや廃棄物の中でも取り組み
が位置付けられている。例えば、ガレキなどを活用した燃料回収・エネルギー回収とい
うのも可能性があるのではないか。
⇒石巻市も既に 1000kW クラスの木質バイオマスの導入を取り入れている状況である。
また熱は日本製紙の工場が立地する関係から、実は排熱が有り余っている状況である。
⇒石巻市の場合は、マスタープランに盛り込まれない部分においても、様々なプロジェ
クトの検討を行っている。
<全体での意見交換>
○バイオマスの利活用に関する検討(気仙沼市)
Ø
バイオマスについては、下水道を使ったメタウォーター活用も検討した。しかし、下水
道の処理施設自体が被害を受けたことから、
その再建を図っていくことがまずは優先で
ある。
105
Ø
生ゴミの回収によるバイオマス利用も、
採算性の面から現時点では少し厳しいという感
触をえている。
○既存の技術を活用すればできるものと地域での新しいチャレンジが必要なものの切り分け
Ø
「太陽電池を屋根に載せれば誰でもできるもの」と「地域でチャレンジしてやっていく
もの(バイオマスなど)
」の2つに分けて考えた方が良いかもしれない。今回の事業は、
「事業として成り立たせる」ことが重視されているので、技術的にはローテクなもので
も良かったのだと思う。しかし、大学の研究で新しく取り組むようなものを組み合わせ
て進めていくことが重要ではないか。
○各市町村にとって最適なエネルギーの仕組みづくりの難しさ
Ø
また、
「東北の各地域にとって最適なマイクロなエネルギーの仕組み」を構築するため
には、実は東南アジアで大規模なプラントを設置するよりも、プラントを構築する上で
の難易度が高いのではないか。太陽光や燃料電池は規模の経済がほとんどない。それに
対してバイオマスなどは規模の経済が大きく働く。
このあたりも踏まえて事業性を検討
していく必要があるだろう。
○地域にとって最適な事業の選択
Ø
もう1つは、市町村は国や県の行動原理である「縦割り」を気にしないで、地域にとっ
て最適な事業を選ぶことができる点である。1つ1つの補助事業はあくまでも「1枚の
下敷き」であって、それらの「下敷き」を5∼6重にも重ね合わせていくことで、最終
的に理想的な地域のあり様が実現できれば良いのではないか。また「下敷き」を重ね合
わせた議論ができる点が、この会議の良いところだと思う。
⇒国の補助金を取りに行くと、本当は地域にとっては必要のない「余計なもの」まで付
いてきてしまうのが実態である。
⇒木質バイオマスの利活用については、
特に間伐材や未利用材の搬出にあたっては四国
からアドバイザーを読んで、未利用材の搬出システムの構築に取り組んでいる。専業
の林家だけでなく、兼業の方々も巻き込みながら、時間をかけて仕組みをつくってい
く必要があると思っている。四国の人から言わせれば、
「北上の山はなだらか」とい
うことである。
「命の道路」として三陸道の整備などで山を切り崩している。その残
渣の利用についても国土交通省などから協力をいただきつつある。
○実証成果の世界への発信
Ø
他の市町村も苦労してやってきていることがよく分かった。
Ø
我々は、スマートコミュニティを起点にして広がりを持たせていきたいと思っている。
Ø
東日本大震災をきっかけに世界各国みなさまからも支援をしている。
宮古市で取り組ん
106
だスマートコミュニティの成果は、宮古のものだけではなく、全世界で共有をしていき
たいと考える。
○市町村間や事業間相互の意見交換の必要性
Ø
できればもう少し総合的に、
市町村や各事業に取り組んでいる事業者の皆様が意見交換
をして、より良いソリューションを構築していくための努力をすべきだと思う。極論を
言えば、
「オールジャパン」で取り組むべきだと感じている。
Ø
「スマートコミュニティ」の成功のカギは、いかに日本の持っている既存技術をブラッ
シュアップして、良いところ取りをしていくかだと思っている。今は得意ではないとこ
ろも1社でやらなければならない状況である。
Ø
良いコンセプトが出てきたら、それらに関する情報を皆で共有し、それらを各地域に当
てはめていくための仕組みを検討すべきではないか。そうなれば、これから始めようと
する地域への導入もより円滑に進んでいくものと考える。
Ø
「自分たちの地域から発信したい」という気持ちはよく分かるが、「スマートコミュニ
ティ」に関する技術的な部分は、地域に応じたそれほど大きく変わるものではない。む
しろ、地域特性に応じて技術の取り入れていく部分で、地域の個性を発揮すれば良いの
ではないか。その方が、コストパフォーマンスという意味でも意義があるだろう。
107
3) 第3回再生可能エネルギーアドバイザリーボード
・日 時 :平成 25 年 2 月 28 日(木)15:00∼17:00
・場 所 :仙台第1合同庁舎6階 東北経済産業局 第1・第2会議室
・参加者 :
(敬称略)
【委員】
・中田俊彦(委員長、東北大学大学院工学研究科 教授)
・正代尊久(日本電信電話株式会社研究企画部門環境・エネルギープロデュース)
・高篠重毅(日本政策金融公庫 仙台支店 東北創業支援センター 所長)
・高橋幸司(山形大学大学院理工学研究科 教授)
・松田從三(北海道大学名誉教授)
・望月孝(株式会社プロジェクト地域活性 代表取締役社長)
【委託者】
吉田(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・柏(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・成田(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
【事務局】
・原(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
・横山(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
○スマートコミュニティの事業性
Ø
宮古や田子西などで見えてきている課題を共有させていただきたい。
Ø
スマートコミュニティではビジネスがなかなか見えない。FITであがった利益を使っ
て住民向けのサービスを提供するというビジネスにならざるをえない。ただしFITを
前提にすると、将来的にビジネスモデルの構築が崩れる可能性が高いが、現実的には難
しい。
○自治体・売り込み側双方の人材不足
Ø
人材不足もある。自治体の人材不足もあるが、売り込み側の人材も不足している状況で
ある。まちづくりの視点で全てに精通した人はいないのが実情である。まちづくりは
10∼20 年の期間を要する話である。しかも、作ったマスタープラン通りにはいかない
のが実情である。しかしそのようなランニングコストを発生させながら、長期戦に耐え
られる企業がいないのが実情である。
○企業内での新会社設置におけるハードル
Ø
SPCの立ち上げは、大手企業にとってもハードルが高い。社内でぎくしゃくしてしま
う部分があるのも実情である。
108
○ネットワーク等のプラットフォーム構築の難しさ
Ø
分散型エネルギーをつないでDRなどでビジネスをしようとするが、
そのためにはIT
のネットワークが必要であるが、被災自治体の全世帯には強制させられないのが実情で
ある。プラットフォームをどのように構築するのかが非常に悩ましい。
○他の補助事業との競合
Ø
また、他の助成制度との競合もある。経済産業省は 2 分の 1 助成だが、環境省のグリ
ーンニューディールは 100%補助という点も大きい。
○北海道における再生可能エネルギーの実状
Ø
北海道では、FITを活用した再生可能エネルギー活用事業の大半は太陽光で、そのほ
とんどは道内企業が全く関与していない。十勝のように日照の良いところは大手企業の
参入が激しく、既に設備認定を取り、北海道電力と契約を結んでいる。しかも導入する
太陽光パネルは中国製ばかりである。さらに送電網にはほとんどキャパシティがなくな
っており、地元企業が入る余地がない。
Ø
バイオマスでは設備認定を取っている企業が 15 箇所くらいあるが、それでFITを活
用しようとしても、送電線がない状況である。
Ø
下川町で木質バイオマス発電なども計画はされている。
木質系が最も雇用創出が大きい
ため、それを一番望んでいるが、5000kW 以上の発電所でないと採算取れない。そう
すると年間 7∼10 万t集める必要がある。それが実現できているのは、福島県の会津
グリーンパワーだけである。
Ø
太陽光は建てる時の雇用しか発生しない。雇用創出があるような再生可能エネルギーで
なければ根付かないだろう。
○東北の地場企業の育成の必要性
Ø
報告書の提言がどうしても、
東北の産業ビジネスを当事者の視線で考えていないように
見える。
Ø
スマートコミュニティ分野を、
東北の産業をどうやって作るかという視点が書く必要が
ある。おそらく東北では、先進国型のビジネスモデルと発展途上国型のビジネスモデル
を同時に取り組んでいく必要があるのではないか。具体的には電力抑制しながら、分散
型電源等を導入していく仕組みを構築する必要がある。
Ø
今のままでは、大手企業は単なるノウハウを蓄積するだけで、当事者として企業や産業
を育てていく必要がある。東北で新しい産業を立ち上げるチャンスがある。そのために
は、一部は大手企業の力を借りながら、経営者と技術者を育てていく必要がある。
Ø
少なくとも地場の企業を育てるような仕組みをあわせて考える必要がある。
109
Ø
発展途上国への人口規模に対応して、考えていく必要があるのではないか。例えば非常
に人口規模の小さいところでは、大手では対応できないので、そういうところこそ中小
企業が考えるべきところではないか。
Ø
アルプス電気が良い例である。アルプス電気が技術者を育てて、東北は電子部品の会社
が増えた。30年前からやっている。それを今、東北で新たに取り組もうとしているの
がトヨタ自動車である。地場企業育成のためのプログラムを新たに作ろうとしている。
Ø
再生可能エネルギーもそうではないか。今は、東北に再生可能エネルギーのシーズが集
中しているので、非常にチャンスである。大学では再生可能エネルギーの技術者のカリ
キュラムを作るポテンシャルがある。そういったものも事例として入れても良いのでは
ないか。
○熱の有効活用の可能性
Ø
地域のエネルギー供給会社などができてきて、そこにお金を払う仕組みができてくるの
ではないか。
Ø
デンマークは 1902 年から地域熱供給をしている。また EU の“Energy 2020”という
プロジェクトに沿って、2020 年までに全て再生可能エネルギーに切り替える計画を持
っている。デンマークのバイオマスは全国の8割がメタン発酵で賄い、約6割は輸入の
木質を使っている。
Ø
北海道や東北は、実は電気よりも熱供給の方が効率が良い。東北は熱を供給するという
考え方を表に出した方が良いと思っている。ドイツにおいてもバイオガスプラントが
8000 基ある。ドイツはFITがだんだん厳しくなっており、熱を上手く使わないと厳
しくなってきている。
Ø
津波被災地の高台移転の際には、熱供給を組み合わせていくべきだと思う。
○スマートコミュニティ導入促進事業・スマートコミュニティ構想普及事業の成果の支援
Ø
今の東北の現状は、2011 年・2011 年のスマートコミュニティ導入促進事業・スマート
コミュニティ構想普及事業をあわせると約 30 の取り組みが行われている。
Ø
また東日本大震災による停電などを通じた「課題の先進地域」であり、既にたくさんの
モデルができつつある。
Ø
例えば宮古市のマスタープランなどのように、再生可能エネルギー等を活用しながら、
さらに雇用も創出するようなモデルを、全国にも発信していきたい。また、今後はファ
ンドを組んで地域の特産品づくりに再生可能エネルギーを使うような取り組みも考え
られる。
○今後のスマートコミュニティのあり方
Ø
スマートコミュニティを検討する上で、
人口規模や人口密度は大きなファクターになっ
110
ている。また、その地域に流れているお金の量も重要である。ランニングコストもでき
るだけ小さくしていかなければならない。
Ø
インフラという面で考えると、集合住宅を基調にした「コンパクトなまちづくり」が重
要である。熱供給のインフラについても、コンパクトだと供給しやすい。点々と戸建と
分散しているのではないことが重要である。
Ø
熱供給の先進地であるドイツでも、先進的な中層住宅を多数供給している。
Ø
マンションだけだと平準化は難しい。いろいろな電力使用パターンや熱使用パターンを
持つ家庭が、地域にたくさん住んでいることが重要だと思っている。
Ø
北海道では、三笠や夕張などの財政の厳しい自治体においても、人々は分散して住んで
おり、除雪などに多額の費用がかかっている。そういう地域においても灯油を供給する
必要がある。例えば、冬だけでも中心部に出てきてもらって集まって住んでもらうこと
で、除雪費も大きく削減することができると思う。
Ø
エネルギーは分散型だけど、住む方は集中させる方がいいということかもしれない。
Ø
コンパクトシティの方がスマートコミュニティは構築しやすいということだと思う。
た
だし地方には、ゆったりと住むことに価値を置く部分もある。そこをいかに両立させる
モデルを構築するのかが重要だと思う。
Ø
熱を有効利用できるとスマートコミュニティのビジネスモデルの構築もだいぶ楽にな
ると思う。
○バイオマスと地域資源の利活用
Ø
私はバイオマスこそ再生可能エネルギーの中で最も取り組むべきだと考えているが、
一
番の問題は「バイオマスは人が多いところに少なく人が少ない」点である。そのような
問題点をなんとか工夫で解決しなければならないだろう。
Ø
ただし汚泥を使えれば、人口が多いところほど多いという特徴である。新庄のバイオソ
リッドエナジーは汚泥を固形燃料化しているが、出口探しに苦慮している状況である。
Ø
日本なので、地下水を上手く使うことが重要だと思う。また、温泉熱の有効活用も重要
だろう。
Ø
地中熱などであれば、
各家庭が共同利用するような形にすれば上手く活用できるのでは
ないか。
Ø
東北の他地域に比べた時の強みは、農業用水と温泉だと思っている。東北は小高い山地
が多いため、農業用水も多い。
Ø
ただし農業用水は冬場は凍ってしまい、田植の時期は良いが、それ以外の時期はほとん
ど流れない点は問題である。
111
2)スマートグリッド研究会
議事要旨
(1) 第1回スマートグリッド研究会
・日 時 :平成 24 年 6 月 29 日(金)15:00∼17:00
・場 所 :仙台第2合同庁舎8階 関東東北産業保安監督部 会議室
・参加者 :
(敬称略)
【委員】
・田路和幸(委員長、東北大学大学院環境科学研究科 教授)
・内海康雄(副委員長、仙台高等専門学校 副校長)
・岩瀬次郎(会津大学 理事)
・木下晴喜(株式会社東芝 東北復興推進室復興推進技術部参事)
・佐藤淳(鶴岡工業高等専門学校 電気電子工学科 教授)
・平山雅之(日本大学理工学部 電子情報工学科 教授)
・古川柳蔵(東北大学環境科学研究科 准教授)
・村上英明(オムロン株式会社 環境事業推進本部ソリューション開発部 主査)
・門田浩(社団法人組込みシステム技術協会 専務理事)
・保田和成(有限会社エボテック 代表取締役)
【委託者】
・山本(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・柏(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・伊東(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
【事務局】
・原(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
・横山(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
○産業育成における中小企業の重要性
Ø
私は、
「東北の企業が売上をあげなければ、地元には一円も残らない。それはあまりに
も寂しいから何とかしよう」ということを申し上げている。一番は外に発信する項目を
どれだけ出せるかである。
Ø
被災地では今、電気工事のための技術者が圧倒的に足りていない。北海道から九州まで
各地の技術者が集めてこざるを得ない状況となっている。
○中小企業と連携した研究開発プロジェクトの推進におけるポイント
Ø
プロジェクトに参画する中小企業を選ぶ上では、
「これからの展開を視野に入れ、オン
リーワンを目指している企業」であることが重要だと思っている。さらに、固有の技術
を持っていることと、それをグループの仲間が皆で認めることが重要だと思っている。
112
Ø
グランドプランと「明日何をするのか」の双方を、できるだけ具体的に提示していくこ
とが重要だと思う。
Ø
スマートコミュニティというテーマは、中小企業が参画するには「成果が出るまでの時
間軸が長い」という点と「テーマが壮大すぎる」という点で、課題があると思う。
Ø
中小企業は、スマートコミュニティに対して「やっぱり我々には手が出ない」という感
想を持ってしまうのではないか。「お金の臭いがしない」という感覚を描いてしまうの
も無理ない。中小企業は「明日∼1ヶ月後の資金繰りをどうするのか」に必死になって
いる状況であり、震災特需に流れてしまうのも当然である。
Ø
ただ通常、大企業が手がけないくらいの数千オーダーの規模の発注であれば、逆に中小
企業のビジネスチャンスにもなる部分であり、こういった領域での情報を「見えるよう
にすること」が重要なのではないか。
Ø
提案の1つは「地方自治体のニーズ」というレベルではなく、「スマートコミュニティ
に参画している大企業がどういう部品を必要としているか」
という視点からニーズを掘
り起こし、そこから情報を発信していくアプローチの方が良いのではないか。
Ø
もう1つの提案は、実際に展開したものをメンテナンス・一斉展開をする時リソースが
大きな問題になる。
地元企業にメンテナンスの育成ニーズを調べることも重要ではない
か。
Ø
私もセンサー屋であるが、実は地域の企業のセンサーを買わせていただき、それを商品
にするケースはこれまでにもある。
Ø
きちんと知的財産権を管理すれば、自分たちの権利は守りながら、大企業が持つ大きな
販路を利用することも可能になる。まずは、そういったビジネスに載せるための地力を
蓄えることが何よりも重要なのではないか。
Ø
スマートグリッド研究会の中でも、過去2年間にわたって様々な調査をしているので、
そういった成果の中からニーズを引っ張りだすことはできないのか?
○スマートコミュニティの中小企業への敷居の高さ
Ø
何回か意見交換をしていて感じたのは、
「スマートグリッド」という言葉そのものが、
中小企業にとって非常に敷居が高いと感じられていることである。
Ø
一昨年は「スマートグリッド」自体が全く知られていなかったので、かえって情報連絡
会議を開催しても一定の参加があったが、昨年は震災で「スマートグリッド」そのもの
が多少有名になったので、中小企業にとって「取りつく島がない」という印象を余計に
強くする結果となったのではないか?
Ø
自分の会社の魅力を認識している企業であれば来て得るものはあるかもしれないが、
何
となく商売になるかもしれないという感じで参加すると、「何も得るものがなかった」
という感想を抱くことになるのではないか?
113
○必要な技術情報のオープン化の限界
Ø
昨年まで2年間、弊社では中小企業との意見交換の機会もあったが、多くの中小企業は
「自分のところで何ができるのか分からない」のが実情だったと思う。
Ø
確かにビジネスの立ち上がりは、必要なパーツごとに集めたりする方が明らかに早いだ
ろう。ただ、その時の判断基準が非常に難しくなるのも課題だと思う。情報をオープン
にしたからと言って、必ずしも必要とするものが集まってくるとは限らない。いかに、
パーツを切り出して情報を出していくかが非常に難しい。
○大企業への期待
Ø
震災以降、
地域側からは大企業にリソースを投入してまちづくりを進めてほしいという
ニーズは高まっているが、現実的には「大企業が事業を背負って立つ」というケースは
あまり出てきていない。
Ø
大学が表に立ってコンソーシアムを作り、そこに企業が入っていくという形態を取れば、
企業にとってもハードルが低くなる。ただ、その形態だと大企業は結局「お客様」にと
どまってしまう。
Ø
東北では今後も国プロ等がいくつも立ち上がっていくだろうと思う。まずは、そういっ
たところの相互の情報交換をさせていただき、必要に応じて新しいプロジェクトを作っ
ていければと思う。
Ø
私は、大企業にとっては「優秀な下請けをどれだけ抱えているのかが大企業の価値」で
あって、実は自社内ではほとんど開発していないのではないか、と疑問を感じることが
ある。
Ø
そういった会社は、
自分のところでは手を動かさずにほとんどコンサルのような存在に
なっていると思う。
Ø
確かにそういった一面は現実であるが、
各々の下請けの中小企業が手がけたものを統合
して生産面や技術面で管理をしたり、下請けの中小企業のアウトプットを評価するため
の技術力は必要である。
Ø
私は現実を逆手に取ることも必要だと思う。
大企業の販路やネットワークを中小企業が
活用して、自社の成長につなげていくことも1つの考え方ではないか。
Ø
環境やエネルギーは時流に乗っており、国のお金も付きやすいので、それを1つの機会
にすることも必要だろう。
○パイロットプロジェクトの重要性
Ø
「実際にイメージできるもの」
「まがりなりにも動いている事例」が必要である。それ
が中小企業を動かすために必要なことなのではないか。
Ø
イメージできるものができた段階でスペックを決めて、
それを中小企業各社に調達して、
各社が合同で実際のフィールドで組み立てて動かしていくというプロセスを取ること
114
になるだろう。
Ø
そのきっかけを作っていくための出だしは「競争的資金」
を活用せざるを得ないだろう。
115
2) 第2回スマートグリッド研究会
・日 時 :平成 24 年 10 月 24 日(金)15:10∼17:30
・場 所 :仙台第1合同庁舎6階 東北経済産業局 第1・第2会議室
・参加者 :
(敬称略)
【委員】
・田路和幸(委員長、東北大学大学院環境科学研究科 教授)
・内海康雄(副委員長、仙台高等専門学校 副校長)
・岩瀬次郎(会津大学 理事)
・神本正行(弘前大学 北日本新エネルギー研究所長)
・木下晴喜(株式会社東芝 東北復興推進室復興推進技術部参事)
・佐藤淳(鶴岡工業高等専門学校 電気電子工学科 教授)
・平山雅之(日本大学理工学部 電子情報工学科 教授)
・古川柳蔵(東北大学環境科学研究科 准教授)
・保田和成(有限会社エボテック 代表取締役)
【委託者】
・柏(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・成田(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
【事務局】
・原(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
・横山(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
<委員からのコメント等 (多賀城市)>
①多賀城市
説明者: 多賀城市 市長公室震災復興推進局 菊地様
Ø
多賀城市は人口6万人で、19k㎡の小さな都市である。東日本大震災においては、市
域の約3分の1が津波によって浸水した。
Ø
今まで一度も津波が来たことのないエリアであったが、実際には浸水してしまった。
Ø
仙台港の大半は仙台市のエリアで、多賀城市が面している部分はほとんどないが、その
数少ない海に面している工業地帯が大きな被害を被った。
Ø
仙台港に2つの変電所が被災したため、工場の高圧電源が供給できず、工業団地には工
業用の電力供給が5ヶ月間途絶した。このため、一部の企業には多賀城市内の工業団地
を去る動きも見られた。市としても工業団地からは「もっと企業が抜ける」という危機
感も非常に強く抱いた。
Ø
ぜひ「地元でエネルギーを生産し、地元で消費する仕組み」を作って、多賀城の工業地
116
帯をより魅力的にできないかと考えている。
Ø
地元のエネルギー関係の事業者が、
林野庁の補助金を活用して木質バイオマスの検討を
行っていた。しかし、稼働までに3年ほどの時間がかかる上、現時点ではガレキの処分
がほとんど終わってしまったため、ほとんど立ち消え状態になっている。
Ø
ガスタービンエンジンによるトリジェネレーションシステムを設けるとともに、
工業団
地に併設する形で植物工場を作るというアイディアもあった。
Ø
その他にも「下水処理場の下水汚泥バイオマスの利用」や、
「臨海部エネルギー関連企
業による地域エネルギー供給」
、
「交通量の多さを活かした振動による発電」などを検討
している。
Ø
ただ、実際には既存の企業は自分で電源を持っているところが多く、残った企業側にど
のくらいのニーズがあるのかは未知数である。既存の場所でスマートコミュニティを形
成するのは非常に難しさを感じている。
○工業団地におけるスマートコミュニティの可能性
Ø
工場などのデマンドサイドから「こういった電気がほしい」
「こういった熱がほしい」
という企業側の情報を集めて、
それをもとに必要なエネルギー供給をしていくという考
え方があるのではないか。
Ø
熱の融通はこれまでにも、
各地で取り組みがあるが、
需要家側の熱需要が明確になれば、
電気だけではない形での地域エネルギー供給が検討の俎上に乗るのではないか?
Ø
需要家側が自家発電をたくさん導入しているのであれば、その電力を PPS などで集め
て再配分するという考え方もあるかもしれない。スマートグリッドはそもそも、電気と
熱の需要を一致させることが究極の目的だと思う。
Ø
既存に大きな工業団地を抱えているのであれば、
高圧線の引き込みは比較的容易であり、
再生可能エネルギーの導入とそれに伴う地域エネルギー供給のポテンシャルは非常に
高いのではないか?
○他の市町村との連携
Ø
多賀城市の場合は仙台市との関係が特に強いため、
他の市町村と合わせた形の連携をし
やすいのではないか。
Ø
またデマンドサイド(需要家側)に大きなエネルギー需要があるということであれば、
他の市町村と連携しながら、
スケールメリットを生かす形でエネルギー供給の事業を検
討することも一案ではないか?
Ø
私は、中田先生が宮古市で作られたエネルギーフロー図を多賀城市でも作成し、そこを
もと周辺の市町村との連携も含めた戦略を構築していくべきではないかと思う。
117
○下水処理場との連携
Ø
下水処理場は、再生可能エネルギーを取り出す場として有望だと思う。
Ø
下水処理と生ゴミ処理と連携させながらメタン発酵を行うと、単体で取り組む場合の何
倍ものバイオガスを得ることができる。
Ø
多賀城市にある下水処理場は、残念ながら宮城県の施設である。しかしまだこの下水処
理場には、
生ゴミ処理との連携やメタン発酵によるバイオガス生成といった話は全くな
い。
○情報網の維持
Ø
スマートグリッドの実現のためには、情報網が不可欠である。しかし、災害時には情報
網が非常に弱い。今後、地域でのエネルギー供給を考える際には、情報網の維持管理も
含めて対策を考える必要があるだろう。
Ø
工業地帯に近いところであれば、北九州において新日鉄が取り組んでいるような「マイ
クログリッド」も考えられると思う。
Ø
また東日本大震災の時には、夜間の照明と携帯電話の充電が被災時には必要だった。工
業団地における電源供給の体制構築だけでなく、
多賀城市内の住民のための避難拠点の
拡充も必要だろう。
②いわき市
説明者: いわき市 生活環境部環境企画課 蛭田様
Ø
相双地区からの避難民で、震災によって人口が増加した。また、原発事故処理のための
最前線として、多くの作業員がいる状況である。
Ø
原発事故を踏まえて、福島県全域で「脱原発」を進めようとしているところである。
Ø
FITを活用して、
メガソーラーなどに取り組むという計画などもかなりの相談が寄せ
られている。
Ø
常磐火力発電所は、現在は輸入の石炭を使っているが、今後はIGCCというより効率
的な火力発電による実証実験にも取り組んでいる。
Ø
太陽光発電に対する市民の興味も急激に高まっており、
震災前は年間200件程度だっ
た申請が、震災後には600∼700件近くまで増えた。
Ø
洋上風力については、いわき市の職員を国にも送りこんで推進に携わっているが、漁業
権の調整など、実施以前の調整で難航しているように聞いている。
Ø
今回構想普及支援事業で、2つのコンサルから提案をもらっているのは、
「電気自動車
を使ったまちづくり」と「小名浜地区の工場跡地のにぎわいまちづくり(アクアマリン
ふくしまなど)
」の2つのテーマがある。後者については、イオンを中心としたまちづ
くりの中に、スマートコミュニティの要素を入れるという話がある。
118
Ø
また、津波被災地の防災集団移転の中でも、スマートコミュニティの要素を入れる方向
で検討している。
Ø
市内には17の大小の工業団地もあり、古河電池のようなエネルギー事業者もいる。そ
の工業団地においてもFEMSの導入を検討しているところである
Ø
補助事業を活用して再生可能エネルギーを導入する場合は、
FITを使えないケースも
あるようで、そこが悩みどころである。
Ø
復興についてはスピード感も求められている。来年から集団移転の土地造成もしようと
しているところであり、工業団地の中にはFEMSを導入する計画も検討している。
<委員からのコメント等 (いわき市)>
○FIT(固定価格買取制度)を活用したモデルの脆弱性
Ø
FITを活用した「売電」は国の施策であり、いつ施策が終了してしまうのか不透明と
いう問題がある。
Ø
また太陽光パネルなどで発電した電気も、電力会社が購入した後は、使い道がほとんど
ない実状である。今後、再生可能エネルギーが大量に導入されると、今はほとんど使わ
れていない再生可能エネルギーの電気を、安定的に消費する方法を検討していく必要性
が強まるだろう。
Ø
太陽光発電の寿命は 20∼30 年であるが、
「売電」を前提にすると本当に 20 年先までの
展望を描けるのかが個人的には疑問である。
「売電」がなくなっても、成立するような
中長期のモデルを、今のうちからあわせて検討しておく必要があるのではないか?
○送電網のキャパシティに依存するFITの問題点
Ø
北海道ではFITはもてはやされている。しかし現実的には、北海道でもメガソーラー
ばかり増えている。メガソーラーを企画する発電事業者が、土地を持っている各市町村
と契約をして、その上で北海道電力と送電契約を既に結んでいる。
Ø
しかも、
対象地の多くは既存の電力網がほとんど整備されていない遊休農地などを対象
としており、送電網の整備も含めて不透明な状況が続いている。
Ø
したがって、
酪農家などが家畜の糞尿などを活用して行うバイオガス発電を行おうとし
ても、電力会社への売電枠がほとんどなくなっているのが実情である。
Ø
現在、民主党政権が東日本大震災の経験を踏まえて「脱原発」と「再生可能エネルギー
の大量導入」を進めていこうとしている。
Ø
日本全体で再生可能エネルギーを入れていくとすれば、北海道と東北は「供給可能量」
が大きくて「需要」が小さい数少ない地域であり、この北海道と東北で導入を進めてい
かないと、民主党が描いたビジョンを達成することはそもそも難しい。
119
○スマートコミュニティと地域文化との融合
Ø
「スマートコミュニティ」はおそらく、将来的にはその地域らしさをどのように出せた
かで、評価のポイントになるだろうと思う。
Ø
いわきはフラガールなどの観光資源を持っている。
それらの地域資源と新しく導入する
技術が上手く融合する方向を考えていけば、
きっといわきオリジナルのスマートコミュ
ニティが実現してくると思う。
Ø
実際には、技術面ではどうしても似通ってしまう部分があり難しいことだと思う。文化
などの側面を「スマートコミュニティ」を形成する要素に加えていくことが、個性を出
していく上で重要な要素だと考える。
○行政と実働組織との役割分担
Ø
東松島市は環境未来都市に関連するプロジェクトの規模が大きいため、「社団」を立ち
上げて環境未来都市構想の実現を図っていくこととした。理事長が東北大学経済学研究
科の大滝先生、副理事長が八戸高専の井口先生と仙台高専の内海である。
Ø
東松島市では「超高齢化」
「環境・エネルギー」
「安全・安心」の3つのテーマについて、
環境未来都市の中で扱っている。
Ø
東松島市では、基本的には「住民が同意しないことは市として取り組まない」という方
針を掲げている。したがって、環境未来都市構想の取り組みもスピードが非常に遅いと
いうデメリットもある。そのスピードを速めるという意味もあって、今回、環境未来都
市構想の実働組織として「社団」を立ち上げた次第である。
Ø
東松島市はデンマークと協定を結んでおり、今日もデンマークから2名が来られた。外
部の力を借りながら、一方で住民の声も聞きながら、ゆっくりだけれども何かを着実に
取り組んでいるという姿を見せていくことが重要だと考えている。
○福島県でのメタン発酵プロジェクトの可能性
Ø
ドイツでは多くの場合、
「エネルギー作物と家畜糞尿」をセットでバイオガスプラント
に投入することで、バイオガスの発生を促進させるという話があった。
Ø
福島県では現在、放射能汚染の深刻な一部の農地で、食料の生産ができないケースも多
い。そこで「メタン発酵」の技術を、食料を生産できない農地を活用しながら展開する
ことはできないか?
Ø
福島では、
放射能汚染で食べられない米を使ってエタノールを作るという話もあがって
いる。ただ、この取り組みだとエタノールはせいぜい 5000kl くらいしか作れない。こ
のくらいの量だと、ほとんど使い道がないのが実情である。
Ø
私が考えるのであれば、イネを作り、イネをサイレージにしてバイオガスを作り、その
バイオガスを使って発電をして、その分は高く東京電力に買い取ってもらうという取り
組みを考える。
120
Ø
同じ1ヘクタールあたりのエネルギー収量で比較すると、バイオエタノールよりもバイ
オガスの方がずっと多いためである。
Ø
ドイツではほとんどエタノールを作っていないのは、バイオガスの方が効率が良いため
にほかならない。
今の技術ではバイオエタノールは実の方からしか作ることができない
ため効率が悪い。また、蒸留のためのエネルギーが非常にかかるため、エネルギー収支
はバイオガスの方が良い次第である。
Ø
バイオガスの生成から生じる消化液については、
放射性物質が濃縮される点が大きな問
題であるが、この問題はバイオガスもバイオエタノールも同じである。私は、消化液に
ついては溜めておくしかないと思っている。分離をして、濃い方は溜めておき、薄い方
は畑にまくという選択肢もあるかもしれない。ただし、これらについてはまだアイディ
アベースであり、まだ実際に試したことはないため、まずは実証実験で確認をしていく
必要があるだろう。
Ø
発酵槽の熱については、バイオガスはコジェネレーションで発電をするため、その排熱
を再利用することで賄うことができる。
Ø
再生可能エネルギーの問題の1つはエネルギー供給が不安定な点にあるが、
バイオガス
がコジェネレーションで安定的に発電できるのであれば、太陽光発電と組み合わせて、
そのスタビライズのツールとして使うことはできるのではないか。
Ø
出力の安定化やピークシフトのツールとして使えるのであれば、
太陽光発電の大量導入
とセットで、
誰かが負担する形でバイオガスプラントを広めていくという考え方はある
のではないかと思った。
○マニュアル農業とスマートコミュニティの連携可能性
Ø
農業においてITを活用することで、営農ノウハウなどの暗黙知を形式知化した「マニ
ュアル農業」を展開できるようになる可能性がある。
Ø
また、農業が「マニュアル化」することで、生産の効率が上がりエネルギー使用量が減
り、それぞれの地域特性に応じた最適な農業展開が可能となる。その上、小規模なエネ
ルギーであれば、再生可能エネルギーは地産地消で自家消費できるため、グリッドに載
せて逆潮流が問題になることもないだろうと思う。
121
3) 第3回スマートグリッド研究会
・日 時 :平成 25 年 2 月 21 日(木)15:00∼17:00
・場 所 :仙台第1合同庁舎6階 東北経済産業局 第1・第2会議室
・参加者 :
(敬称略)
【委員】
・田路和幸(委員長、東北大学大学院環境科学研究科 教授)
・内海康雄(副委員長、仙台高等専門学校 副校長)
・岩瀬次郎(会津大学 理事)
・神本正行(弘前大学 北日本新エネルギー研究所長)
・木下晴喜(株式会社東芝 東北復興推進室復興推進技術部参事)
・佐藤淳(鶴岡工業高等専門学校 電気電子工学科 教授)
・平山雅之(日本大学理工学部 電子情報工学科 教授)
・古川柳蔵(東北大学環境科学研究科 准教授)
・村上英明(オムロン株式会社 環境事業推進本部ソリューション開発部 主査)
・保田和成(有限会社エボテック 代表取締役)
【委託者】
・吉田(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
・柏(東北経済産業局 資源エネルギー環)
・成田(東北経済産業局 資源エネルギー環境部)
【事務局】
・原(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
・横山(野村総合研究所 社会システムコンサルティング部)
○スマートコミュニティの多様性と定義
Ø
作成した「スマートコミュニティガイドライン」を見て感じたのは、スマートコミュニ
ティの定義は経済産業省で決めているが、コミュニティというからには「多様性」があ
る。その「多様性」をどう定義するのかが重要である。
Ø
また、エネルギーフローの分析をしているが、県や市の中にもいろいろな地域があり、
このあたりの地域性の検討も実際には踏み込んでいく必要がある。
Ø
コミュニティという言葉が、いろいろな意味で言われている。
Ø
スマートコミュニティ=再生可能エネルギーを活用したまちづくりと定義しているこ
とは繰り返し出した方が良いのではないか。
○エネルギー密度とGDPとの関係
Ø
環境未来都市の中でも、エネルギー密度とGDPとの関係性の分析が行われている。
Ø
縦軸はエネルギー密度、横軸はGDPで取ると、大都市と田舎では大きく傾向が異なっ
122
ていることが明らかになっている。
○スマートコミュニティを検討する際の単位
Ø
スマートコミュニティガイドラインが、
スマートコミュニティを設計するためのステッ
プが書いてあるとすると、まずは検討対象として「どれくらいの粒度」のエリアを対象
としたガイドラインなのかを見極めて、整理する必要ではないか。
Ø
また、スマートコミュニティを「ITシステム」としてどう設計するのかという視点が
抜けている。
○スマートコミュニティの管理主体
Ø
私は前回のスマートグリッド研究会において市町村の話を聞く限り、
スマートコミュニ
ティの管理は、ほぼ企業側に丸投げになっているという懸念を抱いた。
Ø
地域の人や企業が参画していかないと、
継続性を担保した事業にはならないと感じてい
る。
Ø
最後、作ったスマコミを誰が面倒みるのかは非常に重要な問題である。
Ø
石巻では、まちづくりとして参画しなければならないグループが、スマコミの検討の場
から外されてしまっている。エネルギーコストの部分だけを検討対象とするのでは、ス
マコミは成り立たないのではないか。
○スマートコミュニティにおいて重視すべき要素
Ø
技術からスマートコミュニティの検討に入ると、
「町の人たちの豊かさ」から遠ざかる
側面があると思う。
Ø
そうではなく、地域の視点に立脚した上で、震災によって学んだことを反映したスマー
トコミュニティの「東北モデル」を示すべきである。
Ø
スマートコミュニティによってまちづくりを推進する上では、まずは何を目的に設定す
るのかを共有することが重要である。それはすなわち、その町の復興のために何が必要
かの要素を見つけることである。
Ø
しかし「住民の総意」は民主主義においては、「絶対に取れない」ということを肝に銘
じる必要がある。その上で、焦点が定まったらそこに対応する住民が普段使いで使える
仕組みを導入していくことがベストである。
Ø
スマートコミュニティを検討する上で「粒度」は非常に重要だと思う。また、「人材育
成」も必要である。私の実感では、
「絆」が次の世代につながっていかないとダメだと
いうことに気づいてきた。
まずは目の前の課題を解決して、上手くいったことを見せて、
良くなったら次のステップに進むというプロセスが現実的だと思う。
123
○中小企業が参画可能なプラットフォームの形成
Ø
スマートグリッド研究会の委員の先生方が、
それぞれのプロジェクトに取り組みながら、
そこに中小企業を一緒に参画してもらうことが重要だと思う。中でも電気自動車の利活
用については、世間でも気運が盛り上がっている。スマートコミュニティのキーワード
にもなるのではないか。
Ø
何か中小企業を巻き込みながら、共通のプロジェクトを突き詰めていくと、必ず共通項
としてのソリューションが出てくるのではないか。
Ø
会津には優良なソフトウェアハウスが多い。会津大学を中心にブレイン集団があるが、
それがあまり知られていない。郡山にはソニーの蓄電池があり、そういうものとの連携
を考えていくというのもありだと思う。
Ø
スマートコミュニティに関する要素は東北にかなりある。隠れた資産をどう引き出して
いくのかが重要だと思っている。
○スマートコミュニティの維持管理と地域のリーダー
Ø
中国ではメガソーラーの処分などのリスクも含めて、全て国が担保する仕組みがある。
Ø
日本では、公共の利益を考えられる組織が、民間を動かす仕組みづくりがまず必要だろ
う。
Ø
その上で、
スマートコミュニティの展開についての問題点をきちんと指摘することも重
要である。
Ø
北九州市や横浜市は、強烈なリーダーがいる。その地域の企業もきちんと束ねている。
なおかつ、事業マインドを持っている人が必要である。
○分散型エネルギーの利活用と地域づくり
Ø
私は、地産地消のエネルギーシステムの導入を普及させていくためには、多少高くても
住みたいという地域づくりが重要だと思う。
Ø
エネルギーフローという話があったが、
エネルギーの意味付けや重みを使用用途別に再
検討・整理する必要があるのではないか。それをすると、事業を担うべきプレーヤーが
見えてくると思う。
Ø
防災という側面からすると、使う機器の優先順位付けも必要だろう。普段使っている機
械も「非常モード」と「一般モード」があり、それらを使い分ける必要もある。
Ø
例えば、防災のために再生可能エネルギーの導入が考えられているが、病院であればP
V付けてもエネルギーは足りない。緊急度が高くて量を使うからである。一方で、家庭
で携帯電話の充電であればPVでOKである。どういうエネルギーで使い分けるのかは
非常に重要である。
124
○スマートコミュニティから派生するサービス
Ø
技術開発主体に対するアプローチについてはスマートコミュニティを構成する技術の
どのレイヤーをターゲットに置くのかを絞り込む必要があると思う。
Ø
例えば先進国型であれば、
デマンドレスポンスシステムが売れるだろう。そのためには、
エネルギー消費のビックデータの解析にもニーズがある。
Ø
会津若松市のスマートコミュニティ構想に参画している富士通は、エネルギーコントロ
ールシステムを作った。
3∼4年後は木質バイオマスや電気自動車などの活用について、
エネルギー関連データを活用しながら、
サービス料金を取るというビジネスモデルを作
っている。ただし、木質バイオマスなどの事業を手がける本当に林業業者などがお金を
払うのかは不明である。
○CEMSを活用したエネルギーサービスの開発可能性
Ø
CEMS系の事業者は、必ず利用者から取るというモデルを考える。保険などと絡める
という話もある。
Ø
今回の検討では、社会やコミュニティをつくるという話と、地域の電源供給という話の
バランスが取れていない。
Ø
福祉は分散型電源を考える上で、非常に重要なファクターである。高齢者の命にかかわ
るものであれば、
多少高くてもいざという時の電源確保にお金を払う人々は少なからず
いるのではないか。保険屋と連携するという方策も考えられる。
Ø
そういった側面でも、CEMSは重要である。隠れている消費者のエネルギーに対する
ニーズをくみ取って、それを基に新しいサービスを作ることができる可能性がある。
125
Fly UP