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プレゼンテーション資料『人類文明の見直しと未来』

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プレゼンテーション資料『人類文明の見直しと未来』
OECD東北スクール@いわき自然の家
人類文明の見直しと未来
京都大学総長
松本 紘
人間は果たしてうまく進化できたか?
道具の変化
道具の進歩?
そして
道具に
使われて
いないか?
2
2011.3.11 大災害を契機に考える
現代文明の見直し
東日本大震災
Tsunami Damage
Fukushima 1
Nuclear Power Station
原子力災害を契機に考える
橋本佐内
洋学の義、筋合い正しく相開き候時は
その利 夥しくこれ有候えども、
は
万一杜撰に相成り候時は、その害言ふに及ばず
凡そ、大いに人を利するものは、また必ず
大いに人を害するの弊なきこと能わず
洋学御端立 明道館布令意見書
Science is Not to Blame
Fukushima 1 Nuclear Power Station
Tsunami Damage
Science, Engineering, Geophysics,
Economics, Philosophy, Legal Issues・・
… but we lack the holistic knowledge to respond
(京都大学の活動紹介例)
京都大学 大規模自然災害対策・復興 全学熟議
4月28日開催@時計台
そもそも地球は
変動するもの
「地球」は
困っていない
変動=柔軟,順応
日本関東地方の地形変化
(埼玉あたりまで海だった)
「変動」する地球に「安定」を築いてきた矛盾
困るのは「人」.そして,「現社会」
1994年UNFCCC(気候変動枠組条約)の第2条「気候系に対して、危険
な人為的干渉を及ぼすこととならない水準で温室効果ガスの濃度を
安定させる(要旨)」
固定=安定,楽,安心
科学技術をベースとした都市開発
人類のほとんどがその「都市」に居住
大学は“超”長期的、“超”多角的、“超”本質的であれ!
科学技術発展
その一方で・・・
科学技術の急速な発展
 豊かな社会, 便利な社会、高速情報通信社会
 生き方・価値観の急激な変化
ゲマインシャフトからゲゼルシャフト社会へ
 資源・エネルギーの大量の消費、建設と破壊
深刻かつ複雑な地球規模の問題
・人口爆発 ・ゲーム感覚の戦争・殺戮
・環境問題・地球温暖化 ・資源・エネルギー・食料・
水の枯渇 ・パンデミック、狂牛病(BSE)
・金融資本主義、貧富の格差拡大、貧困
将来を見据えない、読めない現代人
社会、世界をみようとしない自分中心主義
利便追求の結果……
携帯の世界が自分の社会?
群衆の中の孤独!
Gemeinschaft社会からGesellschaft社会へ
(地縁・血縁社会)(機能・利便性追求社会)
環境問題
エネルギー・資源問題
資源の枯渇
石油生産のピークは2006年
http://www.energywatchgroup.org/fileadmin/global/pdf/2008-02_EWG_Oil_Report_updated.pdf
原油の残りは165兆リットル
富士山という「でかいバケツ」で計ると何杯分残っている?
世界中の原油の残りは
富士山のバケツで・・
たったの
1
6
資源の枯渇
銀
金
石油
鉛
銅
亜鉛
天然ガス
ウラン
モリブデン
タングステン
ニッケル
鉄
石炭
アルミニウム
コバルト
クロム
マンガン
現産業に必要な資源は
残り100年以内に枯渇
100
300
700
年
地球上での人の増加ペース
2200年?億人
2100年?億人
1
6
5
0
5
億
人
BC3000
BC2000
紀元前2500年
1億人
BC1000
1
8
0
0
10
億
人
1
9
0
0
20
億
人
0
AD1000
紀元0年
2億人
1000年
3億人
1
9
6
0
30
億
人
1
9
7
4
40
億
人
1
9
8
7
50
億
人
1
9
9
9
60
億
人
AD2000
地球が抱えるエネルギー問題
先進国
発展途上国
消費生活資源
エネルギー
+
×
10億人
= 150
×
10生活トン
2.5倍!
50年後
×
億生活トン人
+
×
×
= 370
地球が抱える問題
人口の爆発
資源の枯渇
豊かさの追求
環境問題
地球が抱える問題
人口の爆発
資源の枯渇
豊かさの追求
環境問題
滅亡の追求
100年前の未来予想
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
無線電信及電話
遠距離の写真
野獣の滅亡
サハラ砂漠
七日間世界一周
空中軍艦空中砲台
蚊及蚤の滅亡
暑寒知らず
植物と電気
人声十里に達す
写真電話
買物便法
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
二十世紀の豫言
報知新聞1901年1月2,3日
電気の世界
鉄道の速力
市街鉄道
鉄道の聯絡
暴風を防ぐ
人の身幹
医術の進歩
自動車の世
人と獣との會話自在
幼稚園の廃止
電気の輸送
人類共通の課題
●人口増加、南北問題
2050年には90億人
●地球温暖化、環境劣化
平均気温上昇予測+1.8~4℃
●エネルギー、水、食糧問題
2025年に40億人が水ストレス
●グローバル化とITの深化
国際相互依存性高、格差拡大
環境
問題
資源
枯渇
複合的原因
犯人不在
地球規模
感染
危機
自鍛 自樹 自恃
自鍛自恃
「自鍛」=自らを鍛える
「自恃」=自らに恃むべし
他人に頼らず自らを頼って自分を鍛える
国民に自信を持っていいと励ますのが
指導者の役目、指導者の大きな使命
多くの試練や
困難に出会っ
た時
困難を厭わず、困難を乗り越えて、
自らを鍛えるチャンスと捉えよう
【誇り高き人】 を目標としてほしい
人類文明の過去・現状・未来
人口爆発+経済成長
人口爆発
温暖化
技術
科学
学術
滅
亡
欧米流 MMK
M
(E) More
M
(E) Never enough
K
(E) Kill for Win
人類文明の過去・現状・未来
人口爆発+経済成長
人口爆発
温暖化
技術
科学
理解・支援
哲学
学術
共生の心
ともいき
滅
亡
(と
も
い
き)
日本流共生之心
What One Has Is All One Needs
M
もったいない
(中) 珍惜
(韓) 아깝다
(英)Prudence
M
みっともない
(中) 矜持
(韓) 꼴사납다
(英)Self-Respect
吾唯足知
われ ただ たるを しる
I earnestly sense satisfaction.
京都・竜安寺 蹲踞
K
かたじけない
(中) 感恩
(韓) 송구스럽다
(英)Gratitude
これからの学問は学際的
今,学術と我々の知恵は人類を
“生存”へと導かなければならない!
地球温暖化
収奪的資源利用
人間生活圏の手詰まり
化石資源の枯渇
生存学
Sustainable → Survivable
●欲望の暴走を抑制
●「科学技術」と「こころ・精神文化」の調和
●「日本的調和のこころ」と「東洋的共存の哲学」
29
推進?
反対?
脱原発?
賛成?
反対?
脱原発?
二極対立ではなく、冷静に、科学的に
議論を進め、あるべき姿を描くことが重要
エネルギー問題の解決策
省エネ
改エネ
できるだけ低エネ 現状のエネルギー
ルギーで稼働
変換効率を向上
ハイブリッド車
超電導送電
新エネ
新たなエネル
ギーを創出
メタンハイドレード
エネルギー問題の解決策
省エネ
改エネ
できるだけ低エネ 現状のエネルギー
変換効率を向上
ルギーで稼働
外エネ
新エネ
新たなエネル
ギーを創出
宇宙を拓く
→ 宇宙太陽発電
宇宙を知る
プラズマ理論
宇宙を視る
衛星・ロケット実験・観測
宇宙を再現
計算機実験
SPS
Space Solar Power Station
宇宙太陽発電システム(SPS)の特徴
CO2フリーな電源
SPS:
20 g-CO2/kWh (建設時のみCO2排出)
石油火力発電 : 846 g-CO2/kWh
原子力発電 : 22 g-CO2/kWh
基幹エネルギー源
昼夜・雨に無関係の発電⇒地上太陽光の5.5~7倍kWh
既存技術の延長で実現
異なる視点での開発(高効率・軽量・超巨大等)は必要
マイクロ波送電 飛行船実験
2008年3月5日 @京都大学
37
マイクロ波エネルギービーム
高効率・高精度送電装置(京大2010)
SPS用
フェーズドアンテナと
半導体マイクロ波
発信機
•256素子
•1.5kW
•GaN
FET F級増幅
(7W, >70%)
• 5bit移相器
エネルギービームを
目標に正確に制御する
フェーズドアレー
38
フェイズド・アレイ
アンテナにより正確に
かつ瞬時に送電方向を
制御
マ
イ
ク
ロ
波
送
電
器
実現に向けて技術的課題
直径数kmの送電アンテナ
数十億素子以上のアンテナ
重さ1万トン程度
の宇宙システム!!
現在最大の宇宙アンテナ 直径13m程度
世界最大素子数のアンテナ
475素子 (地上, 京大レーダー)
数千素子?(パトリオット)
地上
現在最大の宇宙システム
国際宇宙ステーション150トン程度
直径数kmの受電ア
ンテナ(レクテナ)
現在最大の地上アンテナ
直径103m (地上, 京大レーダー)
人類社会の将来を見越した
新しい宇宙産業
宇宙技術者
月の資源を地球に!
「宇宙太陽光発電所」
松本 紘著
平成23年6月26日発売
ディスカバー・トゥエンティーワン社
大型書店 紀伊国屋、丸善、
ジュンク堂 などにて発売中
44
・ 「哲学」とは、何をなすべきかを語る
・ 「学術・科学」は、何ができるかを示す
・ 「技術」はその科学の成果を実用化する
・ 「経済活動」はリスクとコストの観点から
技術を選択し事業化する
・ 「政治」は、意志として何をしていくかを語る
根本的問題意識
人類の英知の結晶であるべき
学問が人類の複合的課題に対
応しきれていないのではないか!?
今,先端の“枝葉”だけでなく,
“幹”を理解できる人材を
育成する必要がある!
近代大学の発祥と言われているフンボルト大学
情報学
物理学
数学
化学
農学
生物学
語学
法学
文学
経済学
歴史学
哲学
音楽・芸術
知的疑問・好奇心
医学
薬学
学問の多様化・複雑化
「素人と黒人」夏目漱石1867-1916
あるものを観察する場合に、
まず第一に眼に入るのは
その輪郭である。
次にはその局部である。
次には局部のまた局部である。
黒人の観察や研究の時間が
長ければ長いほどだんだん細か
いことが目に入って来る。
ますます小さい点に気がついてく
る。
「素人と黒人」夏目漱石1867-1916
しかし、黒人の経路は単に
大から小にうつり進んだだけで
ある。
浅い所から深い所に達しつつ
あるのでもなければ、
上部から内部に突き込んでい
きつつあるのでもない。
「素人と黒人」夏目漱石1867-1916
素人はもとより部分的の研究
なり観察に欠けている。
その代わり大きな輪郭にたい
しての第一印象は、この輪郭
のなかで金魚のようにあぶあ
ぶ浮いている黒人よりは鮮や
かに把握できる。
「素人と黒人」夏目漱石1867-1916
昔から
創始者である以上、
前例がないわけだから
その人は黒人ではなくて
素人でなければいけない。
高度に細分化された領域
務本之学
俯瞰的視野
本質の追求
これこそが “リーダーたる人材”
大学寮
@京都
9世紀頃、
平安宮の南に、四町(252メートル四方)
規模の官吏子弟の教育機関で、現在の
国立大学に相当する施設があった。
この南には大学寮で学ぶ学生のための
寄宿施設
勧学院(藤原氏)
弘文院(和気氏)
学館院(橘氏)
奨学院(王氏) があった。
「源氏物語」では光源氏が子の夕霧を
大学寮へ通わせる描写があり、
それも四位の特典を捨てさせ
下位の六位から出発させており、
その理由を、
学問と大和魂を持ち合わせた人間に
ならなくては国家の重鎮は務まらない、
と述べている。
紹介
京都大学新大学院
思 修 館
京都大学新大学院 思修館
高度な専門教育を軸とし、
諸学を束ね、
多様な現場で活躍する!!
国際的かつ総合的なプロ
ジェクト推進能力・
マネジメント力を有した
世界的リーダーの育成
⇔ 既存大学院は専門家の育成
課題の
複雑化・
重層化
●尖った強み
●論理的思考
創造的思考
●人間力、
課題解決力
●リーダーシップ
●社会性かつ
柔軟性ある
幅広い知識
グローバリ
ゼーション
価値観の
多様化
京都大学新大学院 思修館
3つの育成方針
・志と自鍛を重視
・現地実践力重視
・国際標準の知識と経験
省庁へ
企業へ
研究機関へ 国際機関へ
京都大学博士(総合学術) 英文名称Ph.D.
2年目:専門科目特別研究
5年目:プロジェクトベースラーニング
[学位論文研究]
[海外サービスラーニング]
[熟議]
●学寮制
4年目:国際実践教育(海外武者修行)
●テーラメイドカリキュラム
3年目:総合学術基盤講義
●複数指導教員制度
[学位論文研究]
●メンター制度
[総合学術基盤講義]
●各界トップリーダー
1年目:専門科目特別研究
との熟議
[学位論文研究]
[国内サービスラーニング]
[熟議]
四ガク
の
勧め
「学力」 知
「額力」 情 (思いやり・気迫)
「顎力」 言葉・健康
「楽力」 人間力
学問は真理をめぐる人間関係である
世界に負けない国際人に
論語 知之者不如好之者、好之者不如樂之者
吉田松陰:志ありき。自己の内面に問いかけ:
・黒船に乗り込もうとした
・松下村塾は、たった3年!
内閣総理大臣2名、国務大臣7名、
大学の創業者2名輩出
●まず意思を持ち
心を磨き、志を立てる
●目標を定めたら、
吉田松陰像
全力で進む気迫
●やり遂げるための知力と体力
山口県文書館
●その力を決めるのは、
基礎的な能力と人間としての裾野の広さ
回り道を厭(いと)わず、あらゆることにチャレンジ
伊能忠敬: 自己の信念を貫く!
・1745年生まれ。
・17歳で伊能家に婿養子に入り、
家業の醸造、村の名主として活躍
・50歳で隠居、19歳も年下の
高橋至時(よしとき)の門下に入り、
西洋天文学、数学、西洋暦学を学び
正確な測量技術を確立。
・55歳の1800年から71歳の1816年
まで17年間全国各地を測量
精神の注ぎ候のところより
自然と妙境に入り、
至密の上の至密をも尽くし候
国立国会図書館 蔵
「大日本沿海與地全図」
過去と同じぐらいの
長さで未来を考えろ!!
未来
人類生存学
哲学
語学
対話、ネットワーク
過去
科学 文学 経済
芸術
歴史
新
精神
世界
精神世界
物質世界
狩猟
リーダーや
腕っ節の強
あこがれの人
い
農耕
宗教
産業
情報
管理能力が
長けた人
苦悩から救っ
てくれる人
(精神的に)
モノを産み
出す人
自分の考えをもち、
自分らしく生き、大
現
勢を共感させる人
ひと
最大の
関心
今日食べれ
るかどうか
代
食い物を守
れるかどう
か
死んだら天国
にいけるかどう
か
稼げるかどう
か
自分に正直か
責任
所在
状 況
モノはないけ
ど時間はあ
る。
時間的ゆとり
モノへの固執
モノ増えたが
忙しくなった
モノ豊かで
はないが時
間はある
モノ豊かだけ
ど、忙しい
有限感からく
るモノ不足、
時間あり。情
報過多
精神世界
物質世界
狩猟
リーダーや
腕っ節の強
あこがれの人
い
農耕
宗教
産業
新
精神
世界
情報
モノ(=科学・技術)信仰の終わりは、
代
同時に、科学・技術・学術の終わりか?
自分に正直か
最大の
管理能力が
長けた人
苦悩から救っ
てくれる人
(精神的に)
モノを産み
出す人
食い物を守
れるかどう
か
死んだら天国
にいけるかどう
か
稼げるかどう
か
ひと
関心
今日食べれ
るかどうか
否、違う!
自分の考えをもち、
自分らしく生き、大
現
勢を共感させる人
責任
所在
状 況
モノはないけ
ど時間はあ
る。
時間的ゆとり
モノへの固執
モノ増えたが
忙しくなった
モノ豊かで
はないが時
間はある
モノ豊かだけ
ど、忙しい
有限感からく
るモノ不足、
時間あり。情
報過多
QoL
持続可能社会
のめざすところ
Time
QoL
人口
資源
Time
QoL
悪化の速度>
人口
改良・改善の速度
(科学・技術)
資源
Time
改良・改善の速度
QoL
悪化の速度 ≒
(科学・技術)
+
生き方の転換
(欲望の抑制)
Time
改良・改善の速度
QoL
悪化の速度 ≒
(科学・技術)
+
生き方の転換
(欲望の抑制)
これからの学問(科学)のあり方 「生存学」
●「欲望の抑制」を学問する
●「科学・技術が人類を幸せにするか」を学問する
●「今の学問体系が人類を救うか」を学問する
Time
→これこそが、“提言”だけにおわらない「これまで」と「これ
から」を
アクションにむけて
新時代に追いつくだけでなく、
次の次の議論を今から!
今必要な人材を育成しても間にあうわけがない。
次の時代に必要な人材を今から育てる!
“教育”から“育人”へ!
成長 ≠ 経済成長
伝統を基礎とし,革新と想像の魅力・活力・実力のある京都大学を目指
し
て
京都大学 総長
松
サバイバビリティ
人類の持続的発展のために、
迅速に対処することが求められている!
地球温暖化
人間生活圏の手詰まり
化石資源の枯渇
収奪的資源利用
生存学
(サバイバビリティ学)
人類の生き残りのために、欲望の暴走を押さえる
「科学技術」と「こころ・精神文化」の調和が必要。
「日本的調和のこころ」と「東洋的共存の哲学」が重要。
成長とともに大きな空間へ
宇宙
世界
社会・職場
学校
地域・コミュニ
ティ
家族・親戚
母親
自
分
For Our Grandchildren’s Smile!!
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