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ダウンロード - 情報規格調査会

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ダウンロード - 情報規格調査会
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冊
(2006 年度 専門委員会関係活動報告)
No. 74
別冊
2007 年 7 月
目
次
技術活動関係委員会一覧 ................................................................... 2
第 1 種専門委員会および関係機関の国内委員会
アクセシビリティ SWG 小委員会 ............................................................. 3
Web サービス SWG 小委員会.................................................................. 3
SC 2 専門委員会(符号化文字集合).......................................................... 4
SC 6 専門委員会(通信とシステム間の情報交換) .............................................. 5
SC 7 専門委員会(ソフトウェア技術)........................................................ 7
SC 17 国内委員会(カード及び個人識別).................................................... 11
SC 22 専門委員会(プログラム言語,その環境およびシステムソフトウェアインタフェース) ...... 13
SC 23 専門委員会(情報交換用ディジタル記録媒体) .......................................... 16
SC 24 専門委員会(コンピュータグラフィクス,画像処理および環境データ表現) ................ 17
SC 25 専門委員会(情報機器間の相互接続) .................................................. 18
SC 27 専門委員会(セキュリティ技術)...................................................... 21
SC 28 国内委員会(オフィス機器).......................................................... 23
SC 29 専門委員会(音声,画像,マルチメディア,ハイパーメディア情報符号化) ................ 25
SC 31 専門委員会(自動認識およびデータ取得技術) .......................................... 30
SC 32 専門委員会(データ管理および交換) .................................................. 32
SC 34 専門委員会(文書の記述と処理の言語) ................................................ 35
SC 35 専門委員会(ユーザインタフェース) .................................................. 38
SC 36 専門委員会(学習,教育,研修のための情報技術) ...................................... 41
SC 37 専門委員会(バイオメトリクス)...................................................... 43
第 2 種専門委員会
学会試行標準専門委員会 ................................................................... 47
メタモデル相互運用枠組み標準化専門委員会 ................................................. 48
第 3 種専門委員会
国際符号化文字集合 JIS 改正原案作成委員会 ................................................. 49
オープン分散処理 -- 統一モデリング言語 JIS 原案作成委員会 ................................. 49
プログラム言語 C# JIS 改正原案作成委員会 .................................................. 50
プログラム言語 Fortran JIS 原案作成委員会................................................. 51
オフィス文書のためのオープンな文書形式(OpenDocument) v1.0 JIS 原案作成委員会 .............. 51
その他
ISO 2375 登録委員会....................................................................... 52
技 術 活 動 関 係 委 員 会
委員会(テーマ)
技術委員会関係
技術委員会 (情報技術)
FDT-SWG (形式記述技法)
アクセシビリティ SWG
Web サービス SWG
第 1 種専門委員会関係
SC2 (符号化文字集合)
SC6 (通信とシステム間の情報交換)
WG1 (物理層およびデータリンク層)
WG7 (ネットワーク層およびトランスポート層)
WG8 (ディレクトリおよび ASN.1)
SC7 (ソフトウェア技術)
WG2 (ソフトウェアシステムの文書化)
WG6 (評価とメトリクス)
WG7 (ライフサイクル管理)
WG10 (プロセス評価)
WG12 (機能的規模測定法)
WG19 (IT システムの仕様化技術)
WG19/ODP SG
WG20 (ソフトウェア工学知識体系)
WG21 (ソフトウェア資産管理プロセス)
WG23 (システム品質の運営管理)
WG24 (小企業向けソフトウェアライフサイクル)
WG25 (IT サービス管理)
SC22 (プログラム言語,その環境およびシステムソフトウェア
インタフェース)
COBOL WG (WG4)
Fortran WG (WG5)
Ada WG (WG9)
言語共通 WG (WG11)
C WG (WG14)
LISP WG (WG16)
Prolog WG (WG17)
C++ WG (WG21)
SC23 (情報交換及び保存用ディジタル記録再生媒体)
ファイルフォーマット SG (ボリュームとファイル構造)
SC24 (コンピュータグラフィクス,画像処理および環境
データ表現)
WG6 (マルチメディアによるプレゼンテーションおよび交換)
SC25 (情報機器間の相互接続)
WG1 (ホームエレクトロニックシステム)
WG3 (商用構内配線)
WG4 (計算機システムおよび周辺機器間の相互接続)
WG4/SG1 (チャネルレベルインタフェース)
WG4/SG2 (デバイスレベルインタフェース)
WG4/SG3 (ファイバチャネル)
WG4/レスポンシブ・リンク標準化 SG
WG4/マイクロプロセッサシステム SG
SC27 (セキュリティ技術)
WG1 (セキュリティ要求条件,セキュリティサービスとそのガイ
ドライン)
WG2 (セキュリティ技術とメカニズム)
委員長/主査
石崎
俊
二木 厚吉
高田 秀之
成田 博和
大蒔 和仁
今井 和雄
山下 博之
脇野
淳
山口 純一
山本 喜一
山本 喜一
東
基衞
村上 憲稔
小川
清
高橋 光裕
篠木 裕ニ
田中
明
松本 吉弘
高橋 快昇
高橋 宗雄
伏見
諭
平野 芳行
石畑
清
(2007 年 3 月現在)
委員会(テーマ)
委員長/主査
WG3 (セキュリティ評価基準)
田渕 治樹
WG4 (セキュリティ管理とサービス)
中尾 康二
WG5 (ID 管理とプライバシー技術)
佐藤 慶浩
SC29 (音声,画像,マルチメディア,ハイパーメディア情報符号化) 小林 直樹
WG1 (静止画像符号化)
小野 文孝
WG11/VIDEO (動画像符号化/動画)
八島 吉幸
WG11/AUDIO (動画像符号化/音声)
山崎 芳男
WG11/MPEG-7 (動画像符号化/MPEG-7)
渡部 秀一
WG11/MPEG OICI (動画像符号化/MPEG 知財コン
金子
格
テンツ情報)
SC31 (自動認識およびデータ取得技術)
柴田
彰
SC32 (データ管理および交換)
芝野 耕司
WG1 (e-ビジネス)
森田 勝弘
WG2 (メタデータ)
堀内
一
WG3 (データベース言語)
芝野 耕司
WG4 (SQL マルチメディア・アプリケーションパッケージ)
鈴木 健司
SC34 (文書の記述と処理の言語)
小町 祐史
WG2(文書情報表現)
小町 祐史
WG3(情報関連付け)
内藤
求
SC35 (ユーザインタフェース)
山本 喜一
WG8(ユニバーサルリモートコンソール)
山本 喜一
SC36 (学習,教育,研修のための情報技術)
仲林
清
WG2 (協調技術)
池田
満
SC37 (バイオメトリクス)
瀬戸 洋一
WG1 (バイオメトリック専門用語)
溝口 正典
WG2 (バイオメトリック テクニカル インタフェース)
中村 敏男
WG3 (バイオメトリックデータ交換フォーマット)
新崎
卓
WG4 (バイオメトリック機能アーキテクチャーと関連プロファイル)
道坂
修
WG5 (バイオメトリック技術の試験および報告)
鷲見 和彦
WG6 (社会的課題)
池野 修一
高木
渉
田中
稔
石畑
清
筧
捷彦
野田
誠 第 2 種専門委員会
湯淺 太一 学会試行標準
WG1 (情報技術用語)
中村 克彦
WG2 (文字図形識別情報)
林田 聖司
WG3 (解析・生成用日本語電子化辞書形式)
山下
経
WG4 (音声言語処理インタフェース)
後藤 芳稔
WG5 (符号化文字基本集合(BUCS))
青野 雅樹
WG6 (レスポンシブリンク)
光ディスク用語
青野 雅樹
山本 和幸 メタモデル相互運用枠組み標準化
山本
上村
脇村
若林
森
親泊
松井
脇村
和幸
郁應
慶明
弘雄
宗正
肇
俊浩
慶明
寶木
中尾
和夫
康ニ
櫻井
幸一
第 3 種専門委員会
国際符号化文字集合 JIS 改正原案作成
オープン分散処理 - 統一モデリング言語 JIS 原案作成
プログラム言語 C# JIS 改正原案作成
プログラム言語 Fortran JIS 原案作成
オフィス文書のためのオープンな文書形 JIS 原案作成
大蒔 和仁
薮田 和夫
黒川 利明
田中
稔
村田
真
その他
ISO 2375 登録
三上
注:第 1 種専門委員会:ISO/IEC JTC1 傘下の SWG/SCs に対応
第 2 種専門委員会:標準化の提案を準備、または標準化活動を支援
第 3 種専門委員会:経済産業省または日本規格協会の委託により,国際規格 JIS 化の原案作成
SC17 (カード及び個人識別) (社)ビジネス機械・情報システム産業協会担当
(社)ビジネス機械・情報システム産業協会担当
SC28 (オフィス機器)
石崎
俊
大野 義夫
古家 時雄
橋本三奈子
新田 恒雄
松岡 榮志
山崎 信行
金澤 安矩
堀内
一
SC31 傘下の WG
SC35 傘下の WG
(社)電子情報技術産業協会担当
(社)ビジネス機械・情報システム産業協会担当
喜貴
<第 1 種専門委員会および関係機関の国内委員会>
■ アクセシビリティ SWG 小委員会(JTC 1 SWG on
Accessibility)
主査 高田 秀之((株)日立製作所)
1. 概要
アクセシビリティ SWG 小委員会(以下,SWG-A と称
す)は,情報技術分野におけるアクセシビリティに関
するユーザニーズの整理とアクセシビリティ関連の
標準規格のユーザニーズに対するギャップを分析し,
そのギャップを埋めるべく標準開発団体に働きかけ,
また,JTC 1 に情報アクセシビリティに関する標準化
すべき項目を報告し,情報技術分野のアクセシビリテ
ィ関連規格の充実を図るために,2005 年 4 月に設置
された.
参加は誰でも可能で,参加者には,JTC 1/SC 7,SC
28,SC 29,SC 35,SC 36,SC 37,ISO/TC 159,ITU-T
SG 16 , Telecommunications and Electronic and
Information Technology Advisory Committee (TEITAC
( 508 条 技 術 基 準 改 定 に 関 わ る 諮 問 委 員 会 ) ) ,
CEN/ISSS , DATSCG , ETSI/HF , EUAIN , ITI , Free
Standards Group , W3C/WAI , Visual Impairment
Knowledge Centre などのメンバがいる.
会議資料などは,http://www.jtc1access.org/に公
開されている.
SWG-A は,2006 年 9 月に第 4 回総会(8 カ国,43 名,
うち日本 7 名参加)をベルギーのブラッセルで開催し,
User Needs Summary Version 1.0 , Accessibility
Standards Inventory Version 2.0,Introduction to
the User Needs Summary を完成し,今後これらの完
成度を高めることを決議した.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
(1)ユーザニーズの整備
情報アクセシビリティに関するユーザニーズの一
覧表を User Needs Summary Version 1.0 として,完
成 し た . ユ ー ザ ニ ー ズ を , Perceive visual
information , Perceive auditory information ,
Perceive existence and location of actionable
components , Perceive status of controls and
indicators など 16 のカテゴリーに整理して分類して
いる.
(文書番号 N212)
2007 年 4 月会合において,User Needs Summary
Version 1.0 を用いて,Guide71,ISO 9241-20,JIS X
8341-5,ISO 9241-171,WCAG 2.0, UAAG 1.0 and ATAG
2.0,Section 508,ISO/IEC 24751,FSG Keyboard I/O
and FSG AT SPI specification,Section 255,ITU-T
F.700,E.135,EN 1332-4 について,実施したギャッ
プ分析結果を反映し,ユーザニーズの一覧表の更新を
行う.
また,2007 年 4 月会合において,ユーザニーズの
解説となる資料一覧表のフォーマットを決定する.
(2) 規格の整理とギャップ分析の実施
アクセシビリティ関連の標準規格の一覧表を
Accessibility Standards Inventory Version 2.0 と
して,完成した.対象分野は,コンピュータハード,
ソフト(AP 含む),通信(ユーザに関係した)
,公共端
末,Consumer Electronics(マルチメディア含む).
(文書番号 N211)
ギャップ分析を行う意義および方法を解説した
Introduction to the User Needs Summary を完成し
た.これを用いて,今後も,各標準規格作成団体に,
ギャップ分析の実施をお願いし,ユーザニーズの一覧
表の更新を行う.
3. その他
SWG-A の活動成果が見えてきたので,その成果をど
のように公表するか,今後の活動をどうするかが,次
回総会(4 月,ノルウエー)の大きなテーマとなる.
本委員会にて,日本は,JIS X 8341 シリーズを紹
介し,JIS X 8341 シリーズの国際標準化活動を支援
した.
■ Web サービス SWG 小委員会
主査
成田博和(富士通(株))
1.概要
Web サービス SWG 小委員会は,以下の二つの役割を
果たすために 2006 年 4 月に技術委員会直下に設置さ
れた.
・ JTC 1 での Web サービスに関わる審議案件につい
て,日本のポジション(投票)案について取りま
とめ,情報規格調査会技術委員会の審議に付す.
・ JTC 1 WSSG(Web Services Study Group)に動
きがあれば日本の対応窓口となり,活動に参画
する.
国際にはこの小委員会に直接的に対応する委員会
はないが,前記の JTC 1 WSSG は 2003 年 11 月の JTC 1
シンガポール総会で Web サービスの標準化に関する
JTC 1 の貢献戦略を検討するために設置されて以来,
毎年 JTC 1 総会で継続が決議されている.
WSSG の議長は設立以来,米国の Deutsch 氏,セク
レタリはカナダの Coallier 氏が務めている.
2006 年 10 月に開催された WSSG 電話会議では,
WS-I(Web Services Interoperability Organization)
から PAS 提案された Web サービス関連プロファイル仕
様について,特定の SC に割り当てるのではなく,JTC
1 で直接対応することを JTC 1 に提案することを決め,
JTC 1 総会で WSSG の提案通り承認された.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
(1) WS-I PAS 提案対応
2006 年度は WS-I から 3 件の PAS 提案があり,2007
年 6 月 18 日の投票期限に向けて日本のポジション(投
票)案作成の検討を行っている.
・ DIS 29361(Basic Profile Version 1.1)
・ DIS 29362(Attachments Profile Version 1.0)
・ DIS 29363(Simple SOAP Binding Profile Version
1.0)
(2) Web Services Inventory Database 構築
Web サービスに関する標準の inventory の作成は
WSSG のトッププライオリティに位置付けられている
活動であるため,Web サービス SWG 小委員会では,Web
Services Inventory Database 構築に関する協議を実
施し,Database のデータとなる「Web Services 標準
文書の状況」を日本から WSSG に 2006 年 10 月に,さ
らにその更新版を 2007 年 2 月に提供した.この日本
の貢献文書は WSSG の WEB サイトから公開されている.
(http://wssg.logti.etsmtl.ca/index_e_frameset.
html)
「Web Services 標準文書の状況」は最新の標準文
書の開発状況を反映して定期的に日本から提供して
いく予定である.
■ SC 2 専 門 委 員 会 ( 符 号 化 文 字 集 合 / Coded
Character Sets)
委員長 大蒔和仁(独立行政法人産業技術総合研究所)
1. 概要
SC 2 は,世界中の国や地域で使用されている符号
化文字集合および文字列の照合順番を担当している.
JTC 1 の中でも最も長期にわたって活動している.日
本は,SC 2 の議長および幹事国を継続的に引き受け
るなど,主導的な役割を果たしている.
SC 2 には,複数オクテット符号化文字集合の規格
(ISO/IEC 10646)を開発している WG 2 があり,WG 2
の下には,主に漢字使用国が集まって漢字に関連する
事柄を担当している表意文字ラポータグループ
(IRG:Ideographic Rapporteur Group)がある.SC 2
では,単一オクテット符号化文字集合,制御機能,国
際文字列照合順番などの規格も担当しているが,これ
らについては WG を組織せず SC が直接担当している.
(ただし,国際文字列照合順番の規格である ISO/IEC
14651 の規格の編集作業については,OWG-SORT を設置
して担当させている.)
国内の組織は,SC 2 専門委員会が SC 2 およびその
配下のすべての活動に対応している.特定の技術的内
容に関して詳しい検討が必要な場合,随時アドホック
グループを編成して対応することとしているが,2006
年度は,特にアドホックグループを編成しなかった.
2006 年度の国際会議の状況は,4 月にアメリカで
SC 2 総会および WG 2 が,9 月に日本で WG 2 が,なら
びに 6 月および 11 月にそれぞれベトナムおよび中国
で IRG が,それぞれ開催された.日本からの参加者(*)
は,それぞれこの順に,2 人,6 人,4 人,2 人であっ
た.
(*)SC 2 議長,およびセクレタリとしての参加者は除
く.
2006 年度には,ISO/IEC 10646:2003/Amd.2,ISO/IEC
14651:2001/Amd.3 が発行された.規格審議は,NP 0
件,PDAM 3 件,FCD 1 件,FPDAM 0 件および FDAM 1
件であった.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 2(複数オクテット符号化文字集合)
WG 2 は 国 際 符 号 化 文 字 集 合 ISO/IEC 10646
Universal Multiple-Octet Coded Character Set(UCS)
の開発と保守を担当している.現在の SC 2 の活動は,
本標準が中心となっている.最初の規格化は ISO/IEC
10646-1:1993 だが,その後も活発に追補・改版が行
われており,2003 年度末にはパート構成を廃した
ISO/IEC 10646:2003 として規格を再整理した.その
後,現在も継続的に文字の追加を行ない,追補の開発
を行っている.現在,追補 3 および 4 の開発が進めら
れている.
審議待ちの提案が何件かあることに加えて,今後も
新規の提案が行われる見込みがある.しかし,いわゆ
る主要な言語については,ほとんどの文字についてす
でに規格化が完了しており,今後提案・規格化される
文字の大部分は,利用者人口の少ないものや用途が特
殊なものが中心になると思われる.この種の文字は,
検討を行なえる人材も限られるため,検討体制に課題
がある.
2.2 IRG(漢字ラポータグループ)
IRG は WG 2 の下で,漢字に関する部分の検討を行
なっている.
2002 年から,漢字部分に関する第 3 次の拡張にあ
たる拡張 C と呼ばれる拡張漢字集合の検討を行なっ
ており,日本も中心的な役割を果たしているが,当初
の予定を大幅に越えて開発に時間がかかっていた.
2006 年前半に,ついに拡張 C の素案が IRG でまと
まり,同年 9 月の WG 2 会議で 10646 追補 4 に含める
ことが合意された.
追補 4 は,最初の PDAM 投票が 2007
年 3 月に締め切られたが,拡張 C に関して多くの技術
的コメントが寄せられており,規格化までにもう少し
時間がかかりそうである.
また,拡張 C の素案の完成を急ぐために,たくさん
の候補の漢字を先送りにしていたが,これをまとめて
拡張 D とすることが合意されたが,完成時期は不明確
である.
2.3 単一オクテット符号化文字集合
2006 年度中には,単一オクテット符号化文字集合
に関する審議はなかった.
2.4 国際文字列照合順番
ISO/IEC 10646 に対する文字の追加と一致するよう
に,ISO/IEC 14651 を保守することが主要な活動であ
る.2006 年度には,追補 3 を発行したほか,ISO/IEC
14651:2001,同 Amd.1:2002,Amd.2:2005,Amd.3:2006
を統合するとともに,規格の構成を再整理して
ISO/IEC 14651 の改版を行うことが合意され,FCD 投
票が行われた.
3. その他
前述の通り,近年の ISO/IEC 10646 (UCS) に関す
る標準化作業の中心は,利用人口の少ない文字 (例え
ば少数民族固有の文字や古代の文字など) になって
いる.IRG でも,それが中心というわけではないが、
甲骨文字の符号化の検討が行われている.
この種の文字の検討は,符号化文字集合の専門家と
いうよりは個々の文字の専門家 (その分野の学術研
究者) が中心となって行われている.WG 2 などの国
際会議では,個々の文字の内容については立ち入らず,
符号化文字としての技術面のチェックを行って規格
原案としてとりまとめている.日本が積極的に参加し,
規格作成に貢献するには,個々の文字についての国内
の専門家の参画が必要となる.しかし,現在の SC 2
専門委員会は,それに応えられる体制になっていない.
今後の課題と認識している.
■ SC 6 専門委員会(通信とシステム間の情報交換
/Telecommunications and Information Exchange
Between Systems)
委員長
今井 和雄((株)NTT ドコモ)
1. 概要
SC 6 は,汎用計算機/ワークステーション/パソ
コンなどの情報処理装置,情報通信家電や IC カード
関連機器,マルチメディア情報を含む各種情報転送に
必要となるネットワークシステム相互間の下位層お
よび上位層の通信プロトコル,および PBX などの私設
統合サービス網(PISN)の標準化を担当している.特
に,上位層プロトコルは,旧 SC 33 より引き継いだプ
ロジェクトであり,ITU-T との協調作業が進められて
いる.ニーズにあった規格をタイムリーに標準化する
ため,ITU-T に加えて,IEEE,Ecma,IETF などとリエ
ゾンをとりながら活動を進めている.
2006 年度には,2003 年度から開始されている NFCIP
( Near Field Communication - Interface and
Protocol ) に 関 す る , 我 が 国 発 で Ecma 経 由 の
Fast-Track 手続きに基づく標準化作業を精力的に実
施した.また,無線 LAN 関連の通信プロトコルに関す
る標準化作業が前年度に引き続き活発に行われた.さ
らに,ASN.1 およびディレクトリ関連の活動も継続し
て活発に行われた.
2. 主なプロジェクトの進行状況
2.1 WG 1(物理層およびデータリンク層)
2.1.1 近 距 離 無 線 通 信 プ ロ ト コ ル (Near Field
Communication - Interface and Protocol)
非接触 IC カードなどに応用されている近距離無線
通信プロトコルについて,Ecma からの Fast-Track に
よる DIS 投票 1 件(NFC ワイヤード・インタフェース)
が実施され,日本は賛成投票を行った.これは,もと
もと日本企業から Ecma に提案されて Ecma 標準となっ
た一連の標準に属するものである.投票の結果,賛成
多数で承認された後,コメント解決会合を経て,出版
手続きに入った.
2.1.2 HDLC ( High Level Data Link Control
Procedure)
既にメンテナンスモードに入っており,議論は無か
った.
2.1.3 LAN/MAN
韓国の提案に基づき,高速電力線通信(High-Speed
Power Line Communication)システムにおける MAC/PHY
プロトコルの NP 投票が行われた.日本は,高速電力
線通信推進協議会(PLC-J)等と調整しつつ検討を行い,
IEEE や ETSI で既に議論されていることや,国際無線
障害特別委員会(CISPR)において既存無線局への妨
害許容値や測定法の検討がなされていること,また,
我が国においても法制化作業中であることから,新た
な標準化作業はこれまでの議論に混乱を来す恐れが
あることなどを理由に反対投票し,反対多数で否決さ
れた.
2.1.4 無線 LAN
前年度に一本化の調整がまとまらず共に DIS 投票
にかけられた,無線 LAN におけるセキュリティ拡張に
関する 2 つの対立する規格,IEEE 802 委員会提案の
Medium Access Control (MAC) Security Enhancements
[IEEE Std 802.11i]と,中国提案の Specifications
for Enhanced Security -- WLAN Authentication and
Privacy Infrastructure (WAPI)に関する投票結果(前
者は賛成多数で可決,後者は反対多数で否決)に対す
るコメント解決会議が開催された.日本は後者に反対
投票を行っていたことから同会合に参加し,議論の結
果,前者は出版手続きに入り,後者は廃案となった.
UWB (Ultra Wideband)無線通信に関する Ecma から
の Fast-Track による DTR 投票 2 件が行われた.日本
は,UWB に関する検討を行っている総務省や MMAC フ
ォーラム等にも意見照会した上で,干渉回避機能に関
する十分な情報が含まれていないことなどを理由に
反対投票を行ったが,賛成多数で可決され,その後出
版された.
韓国の提案に基づき,メッシュ型センサ網における
MAC/PHY プロトコルに関する NP 投票が行われ,必要
性が不明確であることと,既に関連規格の標準化活動
を実施中の IEEE802.11s や IEEE802.15.4 との整合化
を図る必要があることなどを理由に日本は反対投票
を行い,反対多数で否決された.
2.1.5 スコープの拡張
前年度に韓国より提案された,物理層およびデータ
リンク層上のアプリケーションにまで WG 1 のスコー
プを拡張する件に関しては,特段の進展はなかった.
2.2 旧 PISN-SG(私設統合サービス網)
旧 WG 6 の 作 業 の 継 続 と し て , CTN (Corporate
Telecommunication
Networks) , NGCN
(Next
Generation Corporate Networks)に関する,Ecma か
らの Fast-Track DTR 投票 2 件に対する検討を行った.
前者については,日本国内の検討グループが 2004 年
度に解散していることから棄権投票を,後者について
は,アーキテクチャの不備を指摘する条件付反対投票
を,それぞれ行ったが,何れも賛成多数で承認された.
2.3 WG 7(ネットワーク層およびトランスポート層)
2.3.1 ネットワーク層プロトコル
既にメンテナンスモードに入っており,特に議論は
無かった.
2.3.2 トランスポート層プロトコル
マルチキャスト通信関連の他は,既にメンテナンス
モードに入っており,特に議論は無かった.
全 6 パートで構成される拡張トランスポートプロ
トコルについて,2 件の FCD 投票が行われた.パート
1,2 は,それぞれ 2002 年,2003 年に IS 化されてい
たが,ようやく今回,パート 3,5 が FCD 投票に付さ
れた.FCD 投票については,技術的に問題が無いこと
から,日本は賛成投票を行った.
他のマルチキャスト通信関連では,マルチキャスト
中継プロトコルとグループ管理/セッション管理プ
ロトコル,モバイルマルチキャスト通信が審議継続中
であるが,日本で普及する見込みが無いため,日本と
しては積極的に議論には参画していない.
2.4 WG 8(ディレクトリ,ASN.1)
2.4.1 ディレクトリ
(1) 拡張作業
ディレクトリでは第 4 版(2001 年版)に対する次
の 4 拡張を技術課題として議論してきた.
①DSP(Directory System Protocol)上のページ結果機
能の提供
②フレンドリー属性
③LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)と
の整合最大化
④公開かぎ証明書および属性証明書の拡張
これらの拡張を反映したディレクトリ標準全 10 パ
ートの FDIS 投票が 2005 年度末に実施され,2006 年
度初めの編集会議(韓国・済州島)にて第 5 版として
発行することが決定された.
日本は,上記拡張に対し NP 段階から積極的にコメ
ント対応,編集会議を通じて問題解決をしてきており,
上記 FDIS については,解決済み FPDAM を反映したも
のであることから賛成した.
(2) 維持管理作業
ディレクトリ規格の維持作業としては,新たに改定
された第 5 版並びに既存の稼働中システムとの互換
性を考慮して第 4 版とを維持管理中である.
技術課題として,パート 8(公開かぎ証明書および
属性証明書の枠組み)において,①CRL 解釈の誤り,
②名前制限拡張の制約条件の問題等が指摘され,DTC
投票にかけられ,問題解決が図られた.
日本は,①については適切な修正として賛成した.
②については重要な修正漏れを指摘して反対投票し,
コメント反映をもって賛成とした.
2.4.2 ASN.1
(1) 拡張作業
ASN.1 の記法および符号化規則に対する次の拡張を
技術課題として議論してきた.
①ISO8601:2004 の時間型記法との整合
②PER 符号化命令の登録と適用
③XML スキーママッピング(8825-5)の効率性強化
① は ISO 8601:2004 の 時 間 型 ( TIME , DATE ,
TIME-OF-DAY,DURATION)の記法を取り込む拡張であ
り,関連パート(8824-1:基本記法,8825-1:BER,DER,
CER,8825-2:PER,8825-3:ECN,8825-4:XER)に反映
する FDAM 投票が実施された.日本は,初期段階から
積極的にコメント対応してきており,問題解決されて
いること,完成度も高いことから賛成対応した.
②は,軽微な符号化規則修正を行う記法として拡張
XER で導入されている符号化命令の概念を PER に導入
するものであり,新たなパート(8825-6:PER 符号化
命令)の FCD 投票,関連パート(8824-1:基本記法,
8825-2:PER,8825-4:XER)の FDAM 投票が実施された.
日本は,技術的・手続き的に問題ないことから賛成投
票している.
③は,マッピング処理の変換効率と変換後の転送効
率の向上を目的とする修正である.日本は,既存規格
との互換性が疑われることから反対投票し,修正内容
の明確化を求めている.
(2) Web サービスへの対応
技術課題として Fast Infoset があり,次の 3 パー
トで議論中である.
①Fast Infoset(FDIS 24824-1)
②Fast Web サービス(FDIS 24824-2)
③Fast Infoset セキュリティ(FCD 24824-3)
①は,XML 情報集合(InfoSet)を ASN.1 定義し,
これに適用する ECN 符号化規則を定義する.この符号
化規則を使うことにより転送高速化を目的とする.
②は,W3C で開発された SOAP(Simple Object Access
Protocol)を ASN.1 定義し,これに適用する ASN.1 符
号化規則(①で規定する ECN,または PER)を規定する.
③は,XML 情報集合(Infoset)に XML 署名,XML 暗
号化を適用する規格であり,通信の安全強化を目的と
する.
①②は FDIS 投票,③は FCD 投票が実施された.日
本は,これまでのコメント対応で問題は解決しており,
技術的問題がないことから賛成している.
(3) NP 案件
技術課題として次の 3 つ NP 提案が議論された.
①ASN.1 にけるオブジェクト階層名のデータ値ドメイ
ンサポート
②PER の符号化命令のデータ値ドメインサポート
③(RFID を含む)ID ベースの応用およびサービスの
識別方法の登録
①は,オブジェクト識別子の識別手段として,現在
の 自 然 数 に 加 え て ISO/IEC10646 文 字 列 に よ る
Unicode ラベルを使用可能にする.
②は,PER の軽微な変更を指定できるようにする概
念を導入する.
③は,特に RFID 関連の ID ベースの応用やサービス
の た め に 長 さ の 短 い OID を {joint-iso-itu-t(2)
nid(27)}の配下に規定する.
日本は,いずれも検討の意義があるとの立場で作業
に参加を表明した.
(4) 維持管理作業
技術課題として,8824-2(情報オブジェクト記法)
における①情報オブジェクト集合の使用法の曖昧さ,
8824-4(パラメータ化記法)における②ダミー参照の
有効範囲の曖昧さ,8825-1(BER,DER,CER)におけ
る③CER の断片化処理の曖昧さ,
がそれぞれ指摘され,
DTC 投票にかけられ,問題解決が図られた.日本は,
いずれも適切な修正として賛成した.
3. その他
(1) IEEE802 委員会との協調作業の見直し
無線 LAN セキュリティ拡張の DIS 投票に関する IEEE
と中国との対立の延長として,LAN/MAN 分野の標準化
項目を対象に従来から行ってきた,IEEE802 委員会と
の協調作業に関する見直しの提案が中国より提起さ
れた.今後,議論が本格化するものとみられるが,日
本は,従来の作業方法を踏襲する,という基本方針で
対応する予定である.
(2) 韓国・中国からの新規提案の活発化傾向
近年,韓国から WG 1 に対する新規提案が多かった
が,引き続きこの傾向が見られると共に,ごく最近で
は,中国からの新規提案も活発になりつつある.標準
化活動は,標準アーキテクチャの一貫性を維持しなが
ら,効率的に進められるべきであると考える.日本と
しては,今後とも,JTC 1 および関連組織による標準
化活動全体のスコープを考慮しつつ,是々非々の立場
から注視・対応していきたい.
■ SC 7 専門委員会(ソフトウェア技術/Software and
System Engineering)
委員長
山本 喜一(慶応義塾大学)
1. 概要
SC 7 は,ソフトウェア開発に関連したソフトウェ
ア技術の標準化に取り組んでいる.現在は 14 の WG で
次の主要なテーマを検討している.
ソフトウェアのドキュメンテーション(WG 2),ツ
ールと CASE(*1)環境(WG 4),ソフトウェア製品の評
価とメトリックス(WG 6),ライフサイクル管理(WG 7)
,
プロセス評価(WG 10),機能的規模測定法(WG 12),
IT システムの仕様化技術
(WG 19),SWEBOK(*2)(WG 20),
ソフトウェア資産管理(WG 21),ソフトウェアとシス
テムの用語(WG 22),ISO 9000 品質マネジメントガ
イドライン(WG 23),小企業向けソフトウェアライフ
サイクル(WG 24),IT 運用(WG 25),アーキテクチ
ャ(WG 42).この他に,SWG として,管理と将来計画
(SWG 1),規格の構成(SWG 5)があり,活発に活動
している.
2006 年度は,5 月にタイのバンコクで第 19 回総会
(以下,バンコク会議)と各 WG の会議を開催した.バ
ンコク会議のドラフティング委員会には,日本から岡
崎靖子が参加し,その活動に謝辞を送られている.ま
た,各 WG はバンコク会議以外にそれぞれにさらに 1
∼2 回の国際会議を開催し,活発に活動を行っている.
バンコク会議には,24 カ国から 190 名を超す代表
が集まり,懸案事項を熱心に審議し,多くの成果をあ
げた.日本からは 16 名の代表が参加し,提出した寄
書及び国際会議における意見交換において多くの貢
献を行った.
日本の貢献は,人的な面でも大きく,WG 6,及び
WG 23 のコンビーナ,WG 6 のセクレタリ,プロジェク
トエディタ 14 名を提供し,ISO/TC176, JTC 1/SC22,
JTC 1/SC 27 とのリエゾンを担当している.また,日
常的には多くの寄書により価値及び質の高い貢献を
行っている.本年度の投票は,NP 8 件,CD 登録 2 件,
CD 6 件,FCD 5 件,DIS 1 件,FDIS 6 件,PDTR 3 件,
DTR 1 件,PDAM 1 件の計 33 件であった.
(*1)CASE: Computer Aided Software Engineering
(*2)SWEBOK: Software Engineering Body of Knowledge
2. 各 WG の活動状況
2.1 WG 2 (ドキュメンテーション:documentation of
software and systems)
WG 2 は,昨年度まとめた Study Group 報告に基づ
き,ドキュメンテーション関連規格の再構成を開始し,
ITTF から 26500∼26599 までの 100 個の規格番号を割
り当てられた.本年度は,昨年から作業を継続してい
る FCD 26541 ソフトウェア及びシステム技術 ― 管理
者のための利用者文書の要求事項 (Software and
Systems Engineering -- User documentation
requirements for managers)及び CD 登録 26511 ソフ
トウェア及びシステム技術 ―文書の設計者及び開発
者のための利用者文書の要求事項 (Software and
Systems Engineering -- User documentation
requirements for documentation designers and
developers)の投票が終了した.残りの 6 件の規格に
ついても,順次作業に取り掛かる予定である.
5 月のバンコク会議,10 月のソウル会議には山本が
参加した.
2.2 WG 4 ( ツ ー ル と CASE 環 境 : Tool and CASE
Environment)
WG 4 では,CASE ツール評価及び選択のための指針
(Guidelines for evaluation and selection of CASE
tools)と CASE ツール導入のための指針(Guidelines
for adoption of CASE tools)の改定エディタを引き
受け,関連する他規格の現状を踏まえた内容修正を行
っ て い る . 要 求 工 学 ツ ー ル の 要 件 ( Requirement
Engineering Tool Requirements),構成管理ツールの
要件(Configuration Management Tool Requirements)
については有益な規格とするために,規格の意義を明
確にして再構成するよう働きかけている.なお,昨年
度制定したソフトウェア工学環境サービスを JIS 化
する予定である.日本は,複数の文書のコエディタを
担当し,役に立つ規格作りに貢献している.
2.3 WG 6(ソフトウェア製品の評価とメトリクス:
software products evaluation and metrics)
WG 6 では,ソフトウェア品質評価の次世代マルチ
パ ー ト 規 格 ISO/IEC 25000 シ リ ー ズ (SQuaRE:
Software product quality requirements and
evaluation)の原案作成の審議を行った.SQuaRE は,
日本からの提案による,コアパート(15 規格)及び
拡張パートから成る規格群である.前年度までに,
ISO/IEC 25000 (Guide to SQuaRE) , ISO/IEC
25051(Requirements for quality of COTS(*3) and
instructions
for
testing) 及 び
ISO/IEC
25062(Common industry format for usability test
reports)が IS として出版されている.
新規作業項目に関しては,Common industry format
for usability 関連規格の拡張に関する NP 提案が出
され,ISO TC159/SC4 と JTC 1/SC 7 が JWG で作業を
行うことを含めて了承され,作業に着手した.また,
オーストラリアから提案された Evaluation module
for recoverability について,Study Group を設置し
て必要性を検討し,NP 提案を行うことが合意された.
個別案件に関しては,ISO/IEC 25001(Planning and
management)の FDIS 投票が賛成多数で承認され,IS
が出版された.ISO/IEC 25020(Quality measurement
reference model and guide ) 及 び ISO/IEC
25021(Quality measure elements)は,それぞれ FIDS
及び DTR 投票を行い,賛成多数で承認され,IS 出版
に 向 け た 最 終 原 稿 を 作 成 し た . ISO/IEC
25010(Quality model)は,WD&CD 登録投票を行い,賛
成多数で承認され,CD の審議を行った.ISO/IEC 25012
(Data quality model),25030(Quality requirements)
及び 25040(Evaluation reference model and guide)
は,それぞれ,3rd CD,FIDS 及び 1st CD 投票に進め
た.また,ISO/IEC 25022(Measurement of internal
quality),25023(Measurement of external quality)
及び 25024(Measurement of quality in use)の WD 作
成作業を開始した.上記一連のプロジェクトについて,
日本からは,国内委員会での審議結果をベースに多く
のコメントを出し,国際会議への参画及び Email ベー
スでのやり取りを通して,規格原案の質的向上に寄与
している.
WG 6 では,日本から,東(早大)がコンビーナ及び
SQuaRE シリーズ全体のプライムエディタを,込山
(NEC)がセクレタリを,江崎(荏原),坂本(NTT データ),
谷津(日本 IBM)及び山田(東芝)がプロジェクトエディ
タを務めている.5 月のバンコク会議には,東,込山,
江崎,坂本,谷津,山田の 6 名が,10 月のサルバド
ール会議には,東,込山,谷津,山田の 4 名が参加し,
技術面並びに運営面で大きく貢献した.
(*3) COTS: commercial-off-the-shelf
2.4 WG 7 ( ラ イ フ サ イ ク ル 管 理 : Life cycle
Management)
WG 7 では,ソフトウェアやシステムに携わる多く
の関係者が 共通の言葉 で話せるように,契約/管
理/企画/開発/運用/保守といった様々な観点か
ら,ライフサイクルプロセス(活動)を定義する規格
作りを進めている.これらの規格は,関係者間での相
互の意思伝達,取引内容や役割分担の明確化及びプロ
セス改善などに活用されている.今年度は国内審議及
びバンコック会議(5 月)
,ソウル会議(10 月)を行
い,下記の活動を進めてきた.
(1) ライフサイクルプロセス規格(ISO/IEC 12207 改
定及び ISO/IEC 15288 改定)の審議
ライフサイクルプロセス規格は,ソフトウェア向け
(ISO/IEC 12207)とシステム向け(ISO/IEC 15288)
がある.システムとソフトウェアの両方を使いたいな
どの要望に応えるため,将来のハーモナイゼーション
をにらんで,二つの規格を組み合わせる方法で改訂が
進んでいる.すなわち,ISO/IEC 12207 改定は,ソフ
トウェアのプロセス群だけではなく,システム文脈の
プロセス群(ISO/IEC 15288 の要素)も含め,システム
からソフトに至るまでのプロセスを選択できるよう
にしている.
併せて ISO/IEC 15288 改定は,従前通り,
ソフトウェアの色彩が薄い時のプロセス規格として
用語の整合性も併せて改訂中である.いずれの規格案
も,9 月の CD 投票では日本はいずれもコメント付反
対としていたが,ソウル会議にて日本提案が受入れら
れたので賛成に回り,年度末の FCD 投票へと進展した.
また,これら共通のガイド(TR 24748)の開発も進みつ
つあるが,二つの規格に対応した従前のガイドとの関
係や改訂版での両者の使い方を規格のスコープを明
確にする旨のコメントを付けて PDTR 投票を行った.
(2) ISO/IEC DTR 24774 ( Guidelines for process
definition)
この規格は,ライフサイクルに関連するプロセスを
定義するときの統一スタイルを定めるものである.例
えば,プロセスには,目的,成果,アクティビティ,
タスクの様式をとり,その属性を定義している.ライ
フサイクルプロセスのプロセス定義は,基本はすでに
このガイドラインに準じており,これまで審議して来
た内容は盛り込まれているため,DTR 投票では賛成に
回った.
(3) DIS 26702 ファストトラック投票
IEEE standard 1220 Application and Management of
System Engineering Process(2005 年改訂)につい
ては,8 月ファストトラック投票が賛成多数で可決さ
れた.これは,システムライフサイクルプロセス
ISO/IEC 15288 の下位水準の規格として位置づけられ,
プロセス定義を具体化する手順や詳細工程での適用
方法などを示す有効なものとして受入れられた.
(4) 関連規格
測定プロセス規格(ISO/IEC 15939)は,対象を従
前のソフトウェアからシステムへ拡張されたことに
伴う改訂が進み,ソウル会議で FCD コメント処理を完
了し,FDIS へと進んだ.また,米国から提案された
プロジェクト管理(ISO/IEC 16326)の WD&CDR 投票は,
ISO のプロジェクト管理 IS 化の動きを見て進める必
要があるなど,コメント付反対とした.
2.5 WG10(プロセス評価:process assessment)
WG 10 は,ソフトウェアの開発のプロセスに着目し
て調達及び改善に役立てる評価方法の枠組みの標準
化を進めてきた.この標準は 5 部から成るマルチパー
トの ISO/IEC 15504 シリーズを発行している.TR の
Type2 の審議,国際的な試行,9 部構成の TR の発行,
TR の試用に基づいた IS の審議と発行という実際の経
験に基づいた規格の作成を行ってきた.バンコク会議
では,2 人の日本のコエディタを含む 13 人のエディ
タチームへの謝辞を送られた.IS の発行に伴い,
ISO/IEC 15288,アメリカの SEI の CMMI(*4)の Staged
表現のような,既存の文書との関係を明確にするため
に,新たに二つの TR を審議中である.
審議中の TR Part
6 は,ISO/IEC 15288 を範囲とするアセスメントモデ
ル例で,INCOSE(*5)のリエゾンにより,日本がコエデ
ィタを引き受けて進めており,2007 年 4 月 10 日に DTR
投票が行われている.また,TR Part 7 については,
連続モデルの段階表現のガイドを作成する作業を行
っており,日本と米国の SEI のメンバがコエディタを
引き受けて勧めている.また,日本は,国際会議への
メンバの派遣,TR Part 6,TR Part 7 コエディタの
供給など多くの貢献を行っている.
(*4)CMMI: Capability Maturity Model Integration
(*5)INCOSE: International Council on Systems
Engineering
2.6 WG 12 ( 機 能 規 模 測 定 :functional size
measurement)
WG 12 は,機能規模測定に関する規格群の審議を担
当しており,2006 年度には,10 回の委員会を開催し
た.
国際の場では,ISO/IEC 14143-1:1998(機能規模測
定―概念の定義)を再構成する改定案を 5 月に行われ
た SC 7 バンコク会議にて提案した(審議の結果,残念
ながら,日本案は採択されなかった).6 月には,日
本が NP 提案国としてプロジェクトエディタ及びコエ
ディタを務めた ISO/IEC 14143-6(同 関連規格の利
用ガイド)が発行された.これにより,14143 シリー
ズを中心とした機能規模測定関連の IS/TR 制定は,ぼ
ぼ終了したため,今年度は秋の国際会議は開催されな
かった.また,2007 年 5 月の SC 7 ロシア会議にて,
WG 12 の閉鎖が決定される見通しである.
WG 12 国内委員会では,今年度は,14143-1 改訂に
伴う 14143-2(同 適合性検証)の改訂案の検討,
ISO/IEC 19761(COSMIC-FFP 法)改訂の NP 審議,FiSMA
の PAS Submitter 申請の審議,PAS として提案された
DIS 29881(FiSMA FSM 法)の審議を行った.
2.7 WG19(IT システムの仕様化技術:Techniques for
Specifying IT Systems)
WG 19 は,モデリング言語,メタデータ,ODP(*6)
フレームワーク及びその構成要素の標準化に取り組
んでいる.ODP については,ODP への UML 適用(Use of
UML for ODP system specifications)で一部の文書
を担当するとともに,完成度の高い規格となるよう国
内での ODP 利用や専門家の意見をもとにしたコメン
トを多数出している.また ODP 参照モデルの第 2 部,
第 3 部の改定も進めている.モデリング言語では
High-Level Petri Nets の第 1 部及び開発手法ための
標準メタモデル(SEMDM)の IS 化を完了し,High-Level
Petri Nets の第 2 部は,CASE データ交換形式の実証
実験の経験を活かし実用的な転送規格となるようア
ドバイスを行った.11 月に WG 19 の中間会議を京都
で開催し 7 カ国 14 名の参加者で活発な議論を行うこ
とができ,また ODP SG を設立し効率的な WG 運営を図
っている.
(*6) ODP:Open Distributed Processing
2.8 WG 20(ソフトウェア技術知識体系:SWEBOK)
WG 20 の役割は,大別して,(1)ソフトウェアエン
ジニアリング基礎知識体系 (ISO/IEC TR 19759:2005)
の改善(4 年ごと改訂を目標),及び(2)ソフトウェア
エンジニアリング・専門職業人(professionals)認証
のための規格の策定である.前者に関しては,今年度
は活動していない.後者に関しては,ワーキングドラ
フ ト を 作 成 し た . こ れ は , ISO/IEC 17024:2003
Conformity Assessment -- General requirements for
bodies operating certification of persons や
ISO/IEC TR 19759:2005 Software Engineering -Guide to the Software Engineering Body of
Knowledge (SWEBOK)などを利用しながら,各国や各団
体で採用している qualification と certification の
ためのスキームを比較できるようなフレームワーク
を規格化しようとするものである.日本は,ワーキン
グドラフトに対して審議を行って多くのコメントを
出すと共に,5 月のバンコック会議,10 月のマドリッ
ド会議に参加し規格作りに貢献した.また,このプロ
ジェクトのエディタは日,米,豪の 3 名であり,エデ
ィタを介した積極的な貢献も行った.2007 年 2 月に
ワーキングドラフト (ISO/IEC WD 24773)は,CD 登録
投票にかけられ,日本は,いくつかの技術的な修正を
要求した.2007 年 5 月モスクワ会議で,解決方法が
協議される予定である.
2.9 WG 21(ソフトウェア資産管理:software asset
management process)
WG 21 は,日本における「ソフトウェア資産管理コ
ンソーシアム(SAMCon)」と協力して活動しているが,
2006 年度の主な活動は以下の通り.
(1)「ソフトウェア資産管理基準」の改版
2001 年 10 月に SAMCon で作成されていた「ソフト
ウェア資産管理基準」は,実際にソフトウェア資産管
理を行う場合の実務的な指針を与える観点で作成さ
れているが,2006 年 5 月に公開された管理プロセス
の国際標準を規定している「ISO/IEC 19770-1」と整
合性のあるものに改版した(ドラフト版が完成).
(2) ISO/IEC 19770-1 の普及活動
ISO/IEC 19770-1 の普及を目的とし,全国 4 拠点(東
京・大阪・名古屋・福岡)で「国際標準化機構(ISO)
のソフトウェア資産管理(SAM)標準化記念セミナー」
を実施した.
(3) ISO 19770-2 の NP 提案に対しての投票(2007 年
1 月)
ソフトウェア資産管理のための TAB 標準化 NP 提案
が行われ,基本的に賛同する投票を行った.
2.10 WG 22(ソフトウェアとシステムの用語:Software
and Systems Engineering Consolidated Vocabulary)
WG 22 は , 2005 年 の SC 7 総 会 ( 2005-05
Helsinki/FINLAND)から作業が本格的に開始されたも
のであり,ISO/IEC,IEEE 等の関連する標準の中の語
彙を蓄積したデータベースシステムを検討するもの
である.2005 年度に議論されたデータベースシステ
ムの構築,及びその編集・改訂・調整の手順に沿って,
オンラインデータベースシステムのプロトタイプが
IEEE Computer Society の協力によって提供され,2006
年 5 月のバンコク会議では,その構成内容についての
議論を行った.その後,今後の登録・編集作業にあた
り,複数のソース(標準)による同一異義語・類義語
の扱い/優先順位の問題,語彙登録の対象となる標準
規格及びその登録対象となる標準文書の審議段階,著
作権上の問題,公開範囲等,本システムによる語彙の
登録規定・維持管理規定についての議論を行った.
同年 10 月のソウル会議では,IEEE-CS 及び WG 22
のメンバで開発・準備した初期バージョンのシステム
について,デモンストレーションを行いながら確認を
行った.その時点で,データベースに登録されている,
SC 7 及び IEEE Standards 等をソースとする定義の総
数は,約 3200 に及ぶ.また現行のデータベースでは,
検索,画面表示,印刷機能の実装が完了されており,
全ての定義・頁に対してコピーライト表示が示される
ようになっている.バンコク会議で論議された
PMI(*7) 及 び Standards Board of Canada か ら の
TERMIUM System については,それら本体組織の意向
及び知的所有権上の問題も考慮した上で決定するこ
とになっていたが,後者については,合意が取れずス
コープから落とすことになった.前者についてはスコ
ープ内とする方向で進んでおり,現在リエゾン関係に
ある PMI からの最終的な合意待ちの状態にある.日本
としては,一昨年度同様,昨年度も上記の一連のシス
テム構築,レビュー作業に継続的な貢献を行っている.
(*7) PMI: Project Management Institute
2.11 WG 23(ISO 9000 品質マネジメントガイドライ
ン:systems quality management)
WG 23 は,コンビーナを日本から出しており,ISO
9000 と ISO/IEC 15288 に関するガイドの編集,審議
を行っている.国内委員会は 6 回の委員会を開催した.
国内の対応委員会として,1996 年 5 月に行われた SC 7
総会に併せて開催した WG 23 で審議する PDTR 14783
の投票に対する検討を行い,いくつかの技術的な修正
を要求した.その後 11 月の釜山会議において,PDTR
の投票結果(賛成多数)を受けて DTR が作成され,JTC
1 レベルの投票に回されたので,その対応を審議し,
2,3 の技術的修正を要求する投票案を作成した.
2.12 WG 24(小企業向けソフトウェアライフサイクル:
software life cycles for very small enterprises)
WG 24 は,小企業向けソフトウェアライフサイクル
を扱う新設の WG である.国際的には 2005 年に活動開
始し,2006 年度は 6 月のバンコク会議に続き,11 月
にルクセンブルグで行われた会議で予定している ISP
及び TR のドラフト討議が行われた.コンビーナはタ
イであり,日本も技術面,WG 運営面で協力している.
国内委員会は 2007 年 3 月に設置され,5 月初旬から
活動を開始した.
2.13 WG 25(IT 運用:IT Operations)
WG 25 は,ISO/IEC 20000(IT-サービスマネジメン
ト)の標準化を担当している.一昨年 BS 15000-1/-2
が英国からのファストトラック提案に基づき国際標
準化が承認され,伊・バリでの BRM 会議でその完成度
の問題から日本を含めた主要国が早期改訂の必要性
を提案した.その結果,NP 投票にかけられ,承認さ
れた.2006 年 5 月のバンコク総会で,主査及び Editor
を Jenny Dugmore(英)として WG 25 の設置が正式に
承認された.また,その議論の結果,第 1 部,第 2 部
の他に,それに追加する新たな部の作成を視野にいれ
た決議がなされ,JTC 1 でのプロジェクト変更の承認
も行われた.ただし,追加されるべき新たな部につい
て,当初の Audit scoping guidance の提案の表題
及び適用範囲は議論が必要と考えていた.10 月末か
らのソウル会議で,ISO/IEC 2000 について本格的な
改訂の議論が開始されたところである.第1部の改訂
のために,SC 7 及びマネージメント関係の規格との
整合性などについて検討を行った.第 1 部の WD 及び
第 3 部の素案が提出され,2007 年 5 月の次回モスク
ワ会議で議論される.また,この WG の発足と共に検
討を開始した ICT ガバナンスの Study Group では,オ
ーストラリア標準 AS8015 のファストトラック手続で
の投票を開始(2007-07-01 期限)と共に各国での現
状について調査中である.
2.14 WG 42(アーキテクチャ:Architecture)
WG 42 では,IEEE 1741 Recommended practice for
architectural description of software-intensive
systems の DIS 投票を行っている.日本からは Study グ
ループでの検討が十分ではないことと,この文書が TR
に相当すべきだということで反対投票を行っている.
■ SC 17 国内委員会(カード及び個人識別/Cards
and Personal Identification)
委員長
廣川 勝久((株)電子商取引安全技術研究所)
1. 概要
ISO/IEC JTC 1/SC 17 は,カードと個人識別を対象
とし,各種カードの要素技術から利用システム(クレ
ジット・IC 旅券・運転免許証等)までを含む国際互
換性に関する標準化と登録管理を担当している.SC
17 国内委員会には,国際 WG に対応する国内 WG に加
えて,国内関係機関との連携強化を図るためのサブ
WG を設置している.SC 17 とこれらの WG 及びサブ WG
は単独または共同で,更に,関係委員会・関係機関と
連携して国際標準化を推進している.
後述の国際役職貢献とともに国際貢献の一環とし
て例年どおり,林義昭幹事長原案・木澤誠顧問監修の
日本国ナショナルレポートを SC 17 総会に提出した.
本年度は,
・ IC 旅券用のバイオメトリクス技術の精度向上に
ついて
・ 出入国管理及び難民認定法の改正に伴うバイオ
メトリクス技術の利用について
・ バイオメトリクスを応用した本人確認に関する
基本調査について
・ バイオメトリクス等の大量データ対応のための
コマンドの検討について
・ Tactile Identifier Mark (TIM,旧 Self-Mark)
の推進について
を紹介した.
SC 17 国内委員会体制のうち国際 WG 11(バイオメ
トリクス応用)案件への対応体制を見直した結果,
2006 年 11 月に WG 11 国内委員会を解散し,サブ WG
(WG 4/SWG 4)を ISO/IEC 7816-11(IC カード−第
11 部:生体認証手法を用いた個人照合)
及び国際 WG 11
案件への対応国内体制と位置付けることを決定し,同
サブ WG を再編成した.
なお,上記以外で対応国内委員会を設置していない
国際 WG 7(金融取引カード)案件,対応国内委員会
が休会中の国際 WG 9(光メモリカード)案件及び SC 17
共通事項への対応案は SC 17 国内運営委員会で策定し
ている.
また,SC 17 国内委員会会議・同運営委員会会議の
年間開催予定を技術委員会(JTC 1 国内委員会)に連
動するよう設定することによって,各 WG での案件審
議時間を柔軟に確保できるようにしている.
引続き日本意見の反映を優先課題とし,ISO 国際会
議派遣旅費の支出削減を行うよう運営しつつも SC 17
総会と各 WG 会議,TF 会議及び WG 間合同会議に委員
が積極的に出席し,国際規格の制定活動に貢献した.
第 19 回 SC 17 総会はパリ(仏)で開催され,我が
国からは後述の 7 名が出席した.
今年度も,日本提案の NP について国内外関係機関
と連携して推進に努めるとともに,IC 旅券・運転免
許証に関する標準化活動を主導している.
日本が NP 提案を行い,谷内田益義氏がプロジェク
トエディタを務めた ISO/IEC 7816-13(IC カード−第
13 部:マルチアプリケーション環境におけるアプリ
ケーション管理のためのコマンド)が 2007 年 3 月 9
日付けで国際標準として制定発行された.
同じく日本が NP 提案を行い,中澤明氏がプロジェ
クトエディタを務める ISO/IEC 7811-9(識別カード
−第 9 部:Tactile Identifier Mark[TIM,旧 7811-1/
Amd 1 Self-Mark])は 2007 年 3 月までに CD 投票に伴
うコメント処理を完了し,FCD 段階に進んでいる.
WG 3/TF 4(IC 旅券の試験方法)では榊純一氏が引
続き国際コンビーナを務め,IC 旅券に関する国際互
換性確保のための活動を推進している.また,WG 10
(運転免許証)では榊純一氏が国際セクレタリを務め,
運転免許証に関する国際標準化を推進している.アメ
リカ提案の ISO/IEC 24727(IC カード−プログラミン
グ・インタフェース)シリーズの審議では,日本国内
の公的な IC カードシステムがこの規格の範囲内でも
稼動可能であり,また将来の発展を阻害しないような
機能を持つように提案している.
1.1 国際会議及び出席者数等
(1)SC 17 総会(パリ[仏],2006 年 10 月 04 日∼06 日)
参加国数/出席者数: 20 ヵ国,4 リエゾン/計
68 名(以下本項では敬称略)
議長(Richard Mabbott,英),セクレタリ(Freda
Bennett,Chris Starr,英)
,豪(1),オーストリア(1),
加(1),中(4),デンマーク(1),仏(6),独(3),イス
ラエル(1),日(7-廣川勝久[委員長/ECSEC],谷内田益
義[副委員長/東工大/リコー],中澤明[日本電産サン
キョー],寄本義一[凸版印刷],榊純一[松下電器産業],
井出野敦弘[全銀協],坂本静生[NEC]), 韓(5),マレ
ーシア(7),ニュージーランド(2),ノルウェー(1),
ポーランド(1),シンガポール(2),南ア(3),スペイ
ン(2),スウェーデン(3),英(2),米(8),リエゾン
(4-Visa,UATP,ICMA,MasterCard)
なお,セクレタリを 18 年間務めた Bennett 氏が今
回で最後の総会出席となり,Starr 氏が後任のセクレ
タリになることが報告された.
(2)各 WG 等の国際会議回数及び日本からの出席者数
WG 1(9 回,15 名),WG 3(9 回,18 名),WG 4(7
回,16 名),WG 5(2 回,2 名),WG 8(6 回,16 名),WG
10(4 回,13 名),WG 11(2 回,3 名),その他(6 回,
8 名)であった.
なお,WG 10 対応については,(社)新交通管理シ
ステム協会に委託の上合同で推進中である.
1.2 規格投票件数
今年度に行った規格への投票は,次のとおりである.
NP 5 件,CD 10 件,FCD 11 件,DIS 0 件,FDIS 10 件,
IS 成立 7 件.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
年間の活動として,我が国が規格に反映するために
努力した主要案件,今後影響を与える可能性のある案
件は,次のとおりである.
2.1 我が国の SC 17 関連規格活動への役職貢献
我が国が目指す「多目的 IC カードに関する管理用
コマンド」の早期規格化,及び我が国の技術を「運転
免許証 IC カード」の規格に反映させるため,国際役
職を継続している(以下本項では敬称略).
1) WG 3/TF 4(IC 旅券の試験方法)コンビーナ:
榊純一(松下電器産業)−2004 年より継続
2) WG 4(IC カード)ISO/IEC 7816-13(マルチア
プリケーション環境におけるアプリケーション
管理のためのコマンド)プロジェクトエディタ:
谷内田益義(東工大/リコー)−2004 年より継続,
2007 年 IS 化達成
3) WG 10(運転免許証)セクレタリ:榊純一(松下
電器産業)−2004 年より継続
4) WG 1(ID カードの物理的特性及び試験方法)
ISO/IEC 7811-9(Tactile Identifier Mark - TIM)
プロジェクトエディタ:中澤明(日本電産サンキ
ョー)−2006 年就任
5) SC 17 総会の起草委員:廣川勝久(SC 17/ECSEC)
−1995 年より継続
2.2 「Tactile Identifier Mark (TIM,旧 Self-Mark)」
の標準化
国内 SC 17/WG 1 は,ISO/IEC 7810(識別カード−
物理的特性)に定められた ID-1 カード(国際クレジ
ット等で使用されているカード)のエンボス領域の右
下端に点字 3 文字分のスペースによる,視覚障害及び
高齢のカード所持者自身が判断できるマーク(点字)
を加工する方法につき,「共用品推進機構」と協力し
て国際標準化の提案を推進した.日本からの NP 提案
が承認され,ISO/IEC 7811 の新パートとして 7811-9
(Tactile Identifier Mark -TIM)の標準化が開始され
た.中澤 WG 1 国内主査(日本電産サンキョー)がプ
ロジェクトエディタに就任して推進した結果,2007
年 3 月までに CD 投票に伴うコメント処理を完了し,
FCD 段階に進んでいる.
2.3 IC 旅券(eMRP)の標準化
ICAO/NTWG が中心になり標準化を進めている IC 旅
券 (eMRP)の技術レポート(ICAO-TR)作成に,我が国は
外務省と共に積極的に参加して旅券への PICC(近接型
非接触 IC カード)を利用した仕様策定に貢献してき
た.国際的な運用では,このシステムを構成する IC
旅券及び読取装置の国際互換性のための統一仕様及
び品質評価のための試験方法が必要となる.SC 17/WG
3 では,試験方法に対する TF を設けて ICAO の協力の
下に標準化を進めており,榊 WG 3 国内主査(松下電
器産業)が WG 3/TF 4 コンビーナを務めている.現在,
IC 旅券のテスト規格は出版段階に至っている.
2.4 関係委員会との連携
ISO/IEC JTC 1/SC 27(情報セキュリティ)で審議
中の ISO/IEC 24761(Authentication Context for
Biometrics - ACBio)については,前年度の SC 間調
整の結果,略語としての重複を避けることが出来る
ACBio が定められた.更に,SC 17 との間で国際 WG レ
ベルのリエゾン関係も構築されたことから,IC カー
ド利用時の ACBio 適用について検討を進めることが
可能な環境となった.
2.5 バイオメトリクス応用への対応
シンガポールより提案され既に NP として認められ
た,カード上で生体情報(指紋等)の入力・照合を行
うための作業項目(ISO/IEC 24787)に関しては,
ISO/IEC JTC 1/SC 37(バイオメトリクス)・同 SC 27
(情報セキュリティ)との連携が必要であるとともに,
SC 17 内でも複数 WG の連携が必要である.このため,
国内では前述のとおりサブ WG(WG 4/SWG 4)の再編
成を行い,国内の関係活動への影響をも考慮しつつ効
率的に対応することとしている.
3. 来年度への重要な課題
(1) IC カードの基本的な要素技術以外で,ISO/IEC
24727 シリーズのように利用システムに関わる標準化
が求められている.その一方で,利用システムからの
要求に基づき要素技術についても機能や性能に関わ
る追加提案が増加する傾向が続いている.今後,カー
ドの製造・発行・利用に係わる関係機関・関係企業の
より積極的な理解と参画を得て,利用者個人の利益を
考慮しつつ,我が国の技術力を踏まえた要素技術と利
用技術の両面から対応していく必要がある.
(2) IC 旅券の国際試験仕様(耐久性・プロトコル)
の開発が本格化しており継続的に対応する.
(3) 日本提案の「TIM」の標準化を推進する.
(4) マルチアプリケーション環境に対応した,カード
不発行スキームへの IIN(Issuer Identification
Number)付与を含めた ISO/IEC 7812(識別カード−
発行者の識別)シリーズの改定を継続して推進する.
(5) 日本意見を反映した国際標準化のためのエキス
パート養成が急務である.
■ SC 22 専門委員会(プログラム言語,その環境お
よびシステムソフトウェアインタフェース/
Programming languages, their Environments and
System Software Interfaces)
幹事
後藤 志津雄((株)日立製作所)
1. 概要
SC 22 では,各プログラム言語の規格,言語共通の
規格,プログラミング環境やシステムソフトウェアと
のインタフェースに関する規格の開発を行っている.
現在の国際の SC 22 の構成は,COBOL,Fortran,C,
Ada,Lisp,Prolog,C++,VDM-SL と Z(仕様記述用言
語)を担当する WG があり,そのほかに言語共通事項
(データ型,算術,手続き呼出し,結合方法など)を
扱う WG がある.APL,BASIC,Modula-2,Pascal,PCTE
(Portable Common Tool Environment),POSIX,国際
化機能は,保守フェーズに入っている.
SC 22 の総会は,2006 年 9 月に英国ロンドンで開催
され,
日本からは 4 名が参加した.WG 関係では,COBOL,
Fortran,Ada,言語共通,Lisp,C++ の WG に積極的
に参加した.
なお,2006 年度に投票した NP は 2 件,PDTR 4 件,
CD 4 件,FCD 1 件,FPDAM 1 件,DIS 1 件,FDIS 0 件,
FDAM 1 件,DTR 1 件,国際規格の出版は,IS 12 件,
TR 4 件,AMD 1 件,COR 3 件であった.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 COBOL WG(WG 4)
2008 年を目標に COBOL 規格の改定作業を進めている.
WG 4 では改定すべき項目と方針を決め,米国の INCITS
(InterNational
Committee
for
Information
Technology Standards)/J4 (COBOL 規格委員会) が委
託を受けて,規格原案を作成している.主要な改定項
目のうち次の三つについては,先行して現行の 2002 年
版規格に対する Type 2 TR として発行し,その後で次
期規格に追加するその他の仕様との整合性をとりなが
ら,次期の規格案本体に仕様を取り込む方針である.
(1) ISO/IEC TR 19755, Object finalization for
programming language COBOL( オ ブ ジ ェ ク ト 指 向 の
Finalization 機能):2003 年 12 月に発行済みの Type
2 TR である.日本の高木渉(日立)がエディタを務め
ている.
(2) DTR 24716, Native COBOL Syntax for XML Support
(COBOL ファイル入出力仕様に似た文法で XML データ
をアクセスする機能):2007 年 4 月に承認された(日
本はコメント付き賛成投票).
(3) DTR 24717, COBOL collection classes (オブジ
ェクト指向の collection を扱うクラス):2007 年 6
月締切りで投票中である.2007 年 6 月の WG 4 会議で,
これらの TR 仕様を含めて,次期規格に取り込む仕様
範囲を再度議論して決定する予定である.
なお,2002 年版 COBOL 国際規格に対する Technical
Corrigendum 1 と 2 が,2006 年 6 月に発行された.
2.2 Fortran WG(WG 5)
2006 年度の主な作業は,2004 年に改正発行された
第 1 部 ( 通 称 Fortran 2003 ) の Technical
Corrigendum 第 2 版の作成および第 1 部の次期改正
(2009 年 8 月改正版発行を予定)に向けた仕様検討
であった.Technical Corrigendum 第 2 版は,10 月
締切りの投票で承認された(日本はコメントなし賛成
投票).第 1 部の改正作業は,WG 5 で決めた要求仕様
に基づき,原案作成母体の米国 INCITS/J3 が詳細な仕
様検討を行い,その作業内容を WG 5 会議にてチェッ
クするという形で進めている.また,既存の第 1 部に
盛り込まれているプログラム言語 C との相互運用性
機能の仕様拡張を検討するための NP 提案の投票が
2007 年 1 月締切りで行われ,賛成多数で承認された
(日本はコメント付き賛成投票).
国内委員会は,WG 5 の国際的活動に直接関与しな
がら活動を続けている.2006 年度は開催されなかっ
たが,通常年 1∼2 回開催されるこの WG 5 会議には
日本からも代表者を毎回派遣し,第 1 部改正作業や
Technical Corrigendum 原案作成作業などの議論に直
接参加し,大きく貢献している.また,国内では,国
際規格の改訂に併せて,JIS X 3001-1 の改正原案を
作成する作業を継続して進めている.
2.3 Ada WG(WG 9)
Ada 言語規格(ISO/IEC 8652:1995)の改訂作業が
完了して,Amendment として発行された.WG 9 は,次
の活動として ASIS(ISO/IEC 15291:1999,Ada Semantic
Interface Specification)の改訂,Posix binding の
見直し,container などの API の拡充を挙げているが,
具体的な規格案には至っていない状況である.
2.4 言語共通 WG(WG 11)
WG 11 の各プロジェクトの状況は,次のとおりである.
(1) FCD 10967-3 LIA-3
一連の LIA(Language-Independent Arithmetic, 言
語共通算術)規格の最後にあたる複素数演算および関
数(Complex integer and floating point arithmetic
and complex elementary numerical functions ) の
FDIS 投票が 2006 年 1 月締切りで行われた.日本は,
FCD の時にも大量のコメントをして受け入れられたが,
FDIS 投票においても新たに大量のコメントが見つか
った ので反対投票を行ったが,賛成国も多く承認さ
れ,2006 年 5 月に発行された.日本のコメントは次
期改訂時に取り込まれる.
(2) ISO/IEC 11404 Datatypes
5 年見直しの機会を捉えて改訂を加え,XML 等の新
しい規格での需要に応じる作業を開始し,2005 年 5
月締切りで FCD 投票が行われた.日本は技術内容や編
集上の大量のコメントも添えて反対の投票を行った
が,承認された.現在,FDIS 投票の開始に向けて議
論が行われている.
2.5 C WG(WG 14)
WG 14 では,
C 言語の 1999 年規格 ISO/IEC 9899:1999
に対する次の改訂に向けて,以下の TR の検討が進ん
でいる.
(1) TR 18037 Embedded C(2004 年 7 月発行)
組込みプロセッサの特性を最適に引き出すような
プログラムを可搬性のある C 言語で開発することを
可能とするように,既存 C 言語の構文と意味規則に対
して拡張を施す Type 2 TR.
(2) TR 19769 new character data types(2004 年 7
月発行)
UTF 16 でエンコードされた文字をそのまま内部デ
ータとして扱えるビット幅固定の新データ型を導入
する Type 2 TR.
(3) TR 24731-1 Extensions to the C Library, Part
1: bounds checking interfaces
C のライブラリ関数が潜在的に持っているセキュリ
ティ脆弱性を解決するためにライブラリ関数の拡張
を行う type 2 TR.新関数は,既存関数と機能的には
同等だが,バッファ長を示す新規のパラメータを持つ.
これにより既存のプログラムは,アルゴリズムを変え
ずに関数の置き換えを行う程度で配列の境界チェッ
クが可能となり,脆弱性への対処ができる.2006 年 8
月に DTR 投票(日本はコメントなし賛成)が可決され,
WG 14 が TR 発行の作業を進めている.
(4) TR 24732 decimal floating-point arithmetic
IEEE-754R に基づく 10 進浮動小数点計算に対応可
能とするための拡張を行う Type 2 TR.2006 年 9 月に
PDTR 登録投票 (日本は積極的に賛成する理由がない
ため,棄権)が承認された.
(5) TR 24747 Mathematical Special Functions
ISO 31-11:1992 Quantities and units - Part 11
に定義されている全ての数学特殊関数を標準ライブ
ラリに追加する Type 2 TR.2006 年 11 月に PDTR 登録
投票(日本は賛成)が承認され,WG 14 が DTR 投票の
準備を進めている.
(6) TR 24731-2 Extensions to the C Library, Part
2: Dynamic Allocation Functions
文字列のコピーなどでのバッファオーバフローを
防ぐ Secure C Library の第 2 部.第 1 部(TR 24731-1)
は,既存の関数と置き換え可能な,境界チェックを行
う関数の提案だけだったが,第 2 部は,動的にバッフ
ァを確保する関数の提案である.これらの新関数は,
処理の後でメモリ解放などを行う必要があるため,単
に関数の置換えをするだけでは済まないため,新規に
開発するプログラムに適用されることを意図してい
る.2007 年 4 月に PDTR 登録投票(日本は賛成)が承
認され,WG 14 が DTR 投票の準備を進めている.
2.6 Lisp WG(WG 16)
Lisp 系言語の国際規格である ISLISP(ISO/IEC
13816,JIS 規格は JIS X 3012「プログラム言語 ISLISP」
1998 年制定)は,1997 年に制定された.
2002 年 9 月に日本の Lisp WG 主査の湯淺(京大)
が WG 16 の新しい Convenor となったのを機会に,JIS
規格作成時に明らかとなった国際規格の Defects を
改めるため,
日本の Lisp WG が Technical Corrigendum
および Revised Report の作成作業を開始した.その
後,WG 16 の Project Editor(米)との詳細打ち合せ,
フランス等のメンバ国とのメール議論を経て,両ドキ
ュメントが 2004 年 7 月に完成した.2006 年 8 月締切
りで Revised Report の FCD 投票が行われ,承認され
た.その際に,ITTF から体裁に関するコメントが届
き,それに従って体裁を改訂し,DIS へ進む作業を完
了した.
2.7 Prolog WG(WG 17)
Prolog 言語の国際規格として 1995 年に ISO/IEC
13211-1 Prolog-Part 1: General Core が,また 2000
年に ISO/IEC 13211-2 Prolog-Part 2: Module が制定
された.Prolog-Part 1 に対する JIS として「JIS X 3013
プログラム言語 Prolog‐ 第 1 部:基本部」
(要約 JIS)
が 2001 年に制定されている.
WG 17 は,これらの規格の見直しに加えて,付加機
能および実際に使われている多くの組み込み述語の
標準化作業を進めており,マルチスレッドとユニコー
ドに関する作業を開始することが決定された.付加機
能のうち,確定節文法(DCG)については 2006 年に
ISO/IEC 13211 Part 3 の Technical Report とするこ
とが投票によって承認された.また,日本の WG が先
に提出した大域変数と配列機能の付加機能について
審議され,次段階のドラフトの提出が求められている.
2.8 C++ WG(WG 21)
C++ 言 語 の 国 際 規 格 は , 1998 年 に ISO/IEC
14882:1998 として制定された.5 年後に改訂された版
ISO/IEC 14882:2003 は,defects の修正を目的とし,
大幅な言語仕様の改訂は行っていない.現在,2009
年度の改訂を目標として,ライブラリおよび言語仕様
の大幅な追加や修正が検討されている.
(1) ライブラリ仕様
正規表現を始めとする様々なライブラリの追加が
検討されている.提案された仕様は,Type 2 TR (TR
19768, TR 24737)として検討して まとめられ, その
中から次期改訂に追加する仕様を選択する.
(2) 言語仕様
従来のリファレンスを拡張した Rvalue Reference,
template の引数の型に対する要求仕様を明確化する
Concepts や マルチスレッドなどの追加や修正が提
案されており, 活発に検討が行われている.
(3) その他
日本が中心となって提案した performance に関す
る Type 2 TR (ISO/IEC TR 18015)は,2006 年 9 月に
発行された.
3. その他
3.1 Linux 規格の FSG からの PAS 提案の出版
PAS 提案者の FSG(the Free Standards Group)か
ら,LSB(Linux Standards Base)規格が提案され,
2005 年に PAS 投票(DIS 23360)が行われた.日本を
含め各国からの多数の反対コメントがあったがそれ
らに対する FSG の Disposition を各国が受け入れ,
2005 年 11 月に承認された.その後,発行手続きが遅
れていたが,8 部のマルチパート規格として 2006 年
12 月に発行された.
ISO/IEC 23360-1:2006 Linux Standard Base(LSB)
core specification 3.1
-- Part 1: Generic specification
-- Part 2: Specification for IA32 architecture
-- Part 3: Specification for IA64 architecture
-- Part 4: Specification for AMD64 architecture
-- Part 5: Specification for PPC32 architecture
-- Part 6: Specification for PPC64 architecture
-- Part 7: Specification for S390 architecture
-- Part 8: Specification for S390X architecture
3.2 Ecma からの Fast Track 提案の出版
2006 年度に投票があり承認された次の 5 件の Ecma
規格が国際規格として出版された.
(1) ISO/IEC 23270 C# Language Specification
ISO/IEC 23270:2003 の改訂版であり,Generics 機
能などが新たに追加された.
(2) ISO/IEC 23271 Common Language Infrastructure
C#, COBOL, Eiffel などの共通言語基盤の規格であ
り,ISO/IEC 23271:2003 の改訂版である.
(3)
ISO/IEC
TR
23272
Common
Language
Infrastructure (CLI), TR Information from
Partition IV XML File
ISO/IEC TR 23272:2003 の改訂版である.XML 情報
をまとめた TR であり,日本は賛成投票を行った.
(4) ISO/IEC 25436 Eiffel Analysis, Design and
Programming Language
Eiffel と称する言語規格の新規提案である.
(5)
ISO/IEC
TR
25438
Common
Language
Infrastructure(CLI), TR Common Generics
Eiffel のための CLI の拡張である.
3.3 Ecma からの Fast Track 提案の廃棄: ISO/IEC
26926 C++/CLI Language Specification
C++言語規格(ISO/IEC 14882)を CLI 環境で動作さ
せるための C++言語の拡張規格である.2006 年 8 月締
切りで投票が開始され,日本は SC 22 専門委員会内に
アドホック委員会を設けて審議を行い,多数のコメン
トを付け「条件付き反対」の投票をしたが,最重要コ
メントは,C++言語規格との乖離が大きいので C++と
いう名前を使うべきではないというものであった.日
本および欧米の 9 カ国が同様のコメントを出して反
対したため,反対多数で承認されなかった.2007 年 4
月の Ballot Resolution 会議での解決が図られたが,
Ecma は,反対コメントへの対応案を提案できないと
してこのプロジェクトは廃棄された.
■ SC 23 専門委員会(情報交換及び保存用ディジタ
ル 記 録 再 生 媒 体 / Digitally Recorded Media for
Information Interchange and Storage)
委員長
山下 経((株)日立製作所)
1. 概要
SC 23 は,情報交換用ディジタル記録媒体(光記録
方式の媒体およびハードディスクを除く磁気記録方
式の媒体)および光ディスク用ファイルフォーマット
の標準化等を担当している.P メンバは日本,オラン
ダなど 10 カ国,O メンバは 16 カ国,議長および幹事
国は日本が担当している.
2. 内容
2.1. スコープの改定
2005 年度には SC 23 総会でスコープに寿命評価関
係とホログラム記録技術を含めることが決定された.
2006 年 11 月に南アフリカのクルーガパークで開催さ
れた JTC 1 総会で,
これらも含めることが承認された.
2.2. 光ディスクの誤り監視規格に関する NP 提案
SC 23 スコープ改定を受けて,専門委員会では記録
済み光ディスクでのデータ記録の誤り状態を監視す
る規格の作成を開始した.Editor は竹島秀治(三菱
化学メディア)が担当し,基礎となるデータは
DCAj(Digital Content Association of Japan: (財)
デジタルコンテンツ協会)の行った加速寿命評価試験
結果を利用した.光ディスクの誤り率の程度を 4 段階
に分離して,段階ごとに記録情報の処理手順概要を規
定する方法である.原案が完成して Data migration
method for DVD-R,DVD-RW, DVD-RAM, +R and +RW の
タイトルで 2007 年 2 月 9 日に SC 23 事務局に提出し,
5 月 13 日締め切りで各国投票中である.今後具体的
審議に入る予定である.
3. SC 23 プロジェクト進捗
2006 年度には以下の規格作成の進捗があった.
3.1 130mm 関係
・ ISO/IEC 17345 Data Interchange on 130 mm
Rewritable and Write Once Read Many Ultra
Density Optical (UDO) Disk Cartridges -Capacity: 30 Gbytes per Cartridge -- First
generation (Ecma よりのファストトラック提
案)(出版:2006-12-01)
3.2 120mm 関係
・ ISO/IEC 17341 Data Interchange on 120 mm and
80 mm Optical Disk using +RW Format -Capacity: 4,7 Gbytes and 1,46 Gbytes per Side
(Recording speed up to 4X) (Ecma よりのファ
ストトラック提案)(出版:2006-12-01)
・ ISO/IEC 17344 Data Interchange on 120 mm and
80 mm Optical Disk using +R Format -Capacity: 4,7 and 1,46 Gbytes per side
(Recording speed up to 16X) (Ecma よりのファ
ストトラック提案)(出版:2006-12-01)
・ ISO/IEC 25434 Data interchange on 120 mm and
80 mm Optical Disk using +R DL Format -Capacity: 8,55 and 2,66 Gbytes per Side
(Recording speed 2,4x) (Ecma よりのファスト
トラック提案)(出版:2006-05-01)
・ ISO/IEC 26925 Information technology -- Data
Interchange on 120 mm and 80 mm Optical Disk
using +RW HS Format -- Capacity: 4,7 and 1,46
Gbytes per Side (Recording speed 8X) (Ecma
よ り の フ ァ ス ト ト ラ ッ ク 提 案 )( 出
版:2006-11-01)
・ DIS 29642 Information technology -- Data
interchange on 120 mm and 80 mm optical disk
using +RW DL format -- Capacity: 8,55 Gbytes
and 2,66 Gbytes per side (recording speed
2,4x) (Ecma よりのファストトラック提案)(投票
期限:2007-07-07)
3.3 60mm 関係
・ ISO/IEC 25435 Data Interchange on 60 mm
Read-Only ODC -- Capacity: 1,8 Gbytes (UMDTM)
Ecma よ り の フ ァ ス ト ト ラ ッ ク 提 案 ) ( 出
版:2006-06-01)
4.SC 23 専門委員会組織変更
専門委員会委員長の田中邦麿(帝京平成大學)の 2
期目の任期終了が,国際委員会の議長が戸島知之(NTT
エレクトロニクス)から三橋慶喜(独立行政法人科学
技術振興機構)へと交代した時期と重なり,また,専
門委員会の活動方向が田中を中心にして寿命試験規
格開発に大きく方向転換した直後であるとの理由か
ら田中が委員長を留任したことを前年度に報告した
が,今年度は状況が安定したので,2006 年 12 月に専
門委員会委員長を山下経(日立製作所)に交代した.
5.その他関連事項
加速寿命試験規格の SC 23 対外状況報告
米国の OSTA で NIST を中心にして開始された加速寿
命試験規格の開発は Ecma-TC31 委員会に提案され
Test Method for the Estimation of the Archival
Lifetime of Optical Media のタイトルで審議され
ている.従来の CD-R 用寿命評価規格と違い,試験期
間が短い,寿命推定手法にブートストラップ法を用い
ている点に特徴がある.
■ SC 24 専門委員会(コンピュータグラフィクス,
画像処理及び環境データ表現/Computer graphics,
image
processing
and
environmental
data
representation)
委員長
青野 雅樹(国立大学法人豊橋技術科学大学)
1.概要
本委員会に対応する国際組織は,ISO/IEC JTC 1/SC
24 であり,担当範囲は,
・ コンピュータグラフィクス
・ 画像処理
・ 仮想現実
・ 環境データ表現
・ 情報の表示と対話
に関する情報技術応用システムのための各種インタ
フェースを標準化することであるが,
・ 文字および画像の符号化
・ マルチメディア/ハイパーメディア文書の交換
形式の符号化
・ JTC 1 での利用者システムインタフェースおよび
文書表現
・ ISO/C 207 の環境マネージメント
・ ISO/TC 211 の地理情報
・ JTC 1/SC 22 のソフトウェア環境
は,除外する.
国際では,
・ WG 6(マルチメディアによるプレゼンテーショ
ンと交換)
・ WG 7(画像の処理と交換,登録)
・ WG 8(環境表現)
の WG が存続しており,国内でも WG 6 関係の案件には
・ WG 6 小委員会
を設けて対応しているが,これまで設置していた国内
の WG 7(画像処理およびレジストレーション小委員
会)は,作業量の減少等を考慮して解散し,WG 7 案
件は,これまでも小委員会を設置していなかった WG 8
案件と同様に,専門委員会が直接担当することとなっ
ている.
主な国際会議および参加の状況であるが,昨年は,
6 月にチェコの首都プラハで開催され,日本からは当
時の委員長(藤村是明氏)が参加した.2006 年度の
主な SC 24 の審議案件としては,
・ NP 投票 5 件(賛成)
・ CD 投票 1 件(賛成)
・ FCD 投票 2 件(コメント付き賛成,条件付反対)
・ FDIS 投票 10 件(賛成 9,反対 1)
・ FDAM 投票 1 件(賛成)
・ PDAM 投票 3 件(賛成)
がある(カッコ内は日本の投票内容).
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 6 小委員会
仮想現実モデル化言語 VRML97 (ISO/IEC 14772)の
後継規格で Web3D コンソーシアムと共同開発の X3D
(基本機能仕様は ISO/IEC 19775-1/2:2004)の第1
世代に関しては,2005 年度中に XML 符号化および
VRML 風符号化(ISO/IEC 19776-1 および 2)が出版さ
れ,言語結合(19777-1 および 2)が 2006 年の 3 月まで
の FDIS 投票で可決された後,2006 年 5 月に出版され
た.第 1 世代への第 1 次機能拡張は,基本機能部分
(19775-1/Amd.1),XML 符号化(19776-1/Amd.1),VRML
風符号化(19776-2/Amd.1)が,FPDAM 投票を終え,
いずれも承認された段階である.符号化に関しては,
2006 年度に圧縮バイナリ符号化(19776-3)の FCD 投票
が行われた.さらに,第 2 次機能拡張の代わりにこれ
までの追補をまとめた基本機能部分の改訂版
(19775-1/rv1)の CD 投票が行われ承認され,2007
年度には FCD 投票が予定されている.
VRML97 および X3D と連動して使われる,人間,蜘
蛛,ロボットなどの 3 次元多関節物体のアニメーショ
ン記述方式で,同じく Web3D コンソーシアムと共同開
発の Humanoid Animation (H-Anim,ISO/IEC 19774)
は,FDIS 投票で可決され出版された.
2.2 専門委員会直轄プロジェクト
2005 年度に SC 24 内の小委員会としては解散した
WG 7 は専門委員会直轄プロジェクトに位置づけられ
るが,レジストレーション(9973)に関する FCD 投票
と FDIS 投票が 2006 年に行われ,年末には出版された.
これにより,WG 7 の作業はすべて完了したので,日
本は,WG 7 は解散すべきものと考え,解散に向けて
対応していく予定である.
国 際 の WG 8 で 作 業 が 進 め ら れ て い る SEDRIS
(Synthetic Environment Data Representation and
Interchange Specification)は,飛行訓練などの地
理座標依存情報を用いたシミュレーション対応の標
準化である.具体的には,基本となるデータクラスを
規定する SEDRIS 本体(18023-1),地理・宇宙空間用の
各種座標系を扱う空間参照モデル(SRM,18026),環
境シミュレーション関係のオブジェクトおよび属性
のコード化(EDCS,18025)の 3 本の柱から成り,そ
れぞれに,データ交換と応用プログラムインターフェ
イス(API)の規格と言語結合の規格が含まれている.
2006 年度には,SRM(18026,18042-4)が FDIS 投
票を経て出版された.SEDRIS 関係では,言語結合
(18024-4)のほか,SEDRIS のデータ交換インタフェー
ス規格(18023-1,18023-2,18023-3)が FDIS 投票を
経て出版された.これで,当初計画していた作業は,
すべて終了したが,管理・維持の作業として,登録項
目の追加,SRM の修正(Amendment),および SEDRIS
本体に対する利用ガイド(TR)の開発が残っており,
日本としては,これまでと同様に取り組んでいく予定
である.
■ SC 25 専 門 委 員 会 ( 情 報 機 器 間 の 相 互 接 続 /
Interconnection
of
Information
Technology
Equipment)
委員長
山本 和幸
1. 概要
SC 25 は情報機器間の相互接続を標準化の対象とし,
ホームエレクトロニクス(WG 1),構内情報機器間の
配線システム(WG 3),計算機システムおよび周辺機
器間の相互接続(WG 4)の標準化活動を行っている.
議長国はドイツ.
2006 年度の主な成果:本年度の投票は NP 32 件,
CD/PDTR 5 件,FCD/FPDAM 13 件,FDIS/FDAM 13 件,
DTR 1 件,IS 7 件,TR 0 件であった.
2. SC 25 総会関連
2.1 会議概要
2006 年度の総会はベルリンで 9 月 22 日に開催され,
20 カ国,約 60 名が参加した.日本からは山本,鳥羽,
渡辺の 3 名が参加した.2005 年のエジンバラ総会は,
SC 25 セクレが欧州からの規格提案の推進を狙いとし,
運営ルールを無視した極めて異常なものであった.今
回は JTC 1 議長(Scott Jameson)が出席したため,正
常な総会となり,これまで実施したことのなかった
Program Work,ビジネスプランの確認,決議案の再確
認など極めてオーソドックスな総会運営であった.
2.2 議事要約
(1) JTC 1 関連の文書のナンバリング問題,セクレタ
リアート権限の拡大を目的とした承認手続きの
Directives 修正問題(NP と FCD の同時投票),WG 5
問題(インテリジェントホーム)等 JTC 1 への提案案
件が報告された.
(2) ホームネットワークに関して IEC/TC 100,JTC
1/SC 6 とスコープを摺り合わせ,審議の重複問題が
顕在化してきた.SC 6 と SC 25 の関係ではスコープ
の重複に関し SC 6/WG 1 のスコープ拡大反対する説明
がなされた.またホームネットワークに関して,SC 25
がキーとなり ITU-T,IEC/TC100 その他の組織とコラ
ボを歓迎すると報告された.
(3) PTCC ( Project Team Converged networks for
Customer premises, Project 25.05.03 未承認)の登
録についてエジンバラ総会で議題になっていないと
米国が発言したが,ミュンヘン会合(欧州勢だけの
ITU,IEC,JTC 1 の三者会合)で承認されたとして議
論は終了し,実質スタートした.
(4) 9 月 23 日に SC 25,IEC/TC100,ITU 関係者を集
めたインテリジェント・ホームとネットワーク・コン
バージェンスの合同会議が開催された.
(5) 2007 年総会の韓国(済州島)招致,WG 1 会合での
出席者の約半数を占めるアジア勢の拡大など,ホーム
ネットワークを主体としたアジア勢の台頭が著しい.
3. WG の活動
3.1 WG 1(Home Electronic Systems)
(1) 概要
WG 1 は住宅情報機器,電子機器システム,特にホー
ムネットワークに関する標準化を行っており,2006 年
度はベルリン会議(2006-09-18/21,12 カ国,39 名)
,
ツール会議(2007-03-26/30,10 カ国,26 名)の 2 回の
会議が開催され,主なテーマと審議経過は以下のとおり.
なお WG 1 会議は 90 年代後半から 2004 年頃までは
議論が低調であったが,2005 年 3 月 CENELEC の KONNEX
規格提案から議論が騒がしくなった.2005 年 9 月の
エジンバラ会議で KONNEX 提案の単独 IS 化阻止を目的
として,日本(山本)より各国提案規格を容認するマル
チ標準化原則を提案し,容認された.
この結果,各国からの提案が容認され易くなり,中
国から IGRS,iTopHOME,米国から LonWorks,日本か
らエコーネットのフル仕様が提案された.また提案の
増大により,参加国および審議メンバが倍増し,議論
が 活 性 化 し た . こ の マ ル チ 標 準 化 原 則 は Marke
Relevance:市場適合性の議論を実質的に実現し,そ
の意義は大きい.
(2) エコーネット審議
(a) セキュアー通信プロトコル提案(CD 24767-1,2)
日本からの白物家電制御ネットワーク:エコーネッ
ト(セキュアー・コミュニケーション・レイヤー)提
案(Part 1:汎用文書,Part 2:住宅内規格文書)は
CD が承認され,FCD 文書を提出することになった.
(b) エコーネット・フル仕様提案(14543-4-1,2)
日本からのエコーネット・フル仕様 NP 提案が承認
され,CD 投票が決定した.
(3) KONNEX 規格(14543-2-1,3-1,2,3,4,5,6,7)
CENELEC のビル制御ネットワーク/KONNEX 規格提案
は日本,米国等主要国の反対コメントを無視して欧州
の賛成多数で全て FDIS 投票が承認され IS となった.
(4) 中国のホームネットワーク規格提案
(a) IGRS 提 案 ( AV/IP 系 ホ ー ム ネ ッ ト ワ ー ク
14543-5-1)
SC 6 で否決された WAPI 規格を引用していた IGRS
提案は NP 提案が承認され,日本からの WAPI 規格引用
の削除コメントを受け入れ CD 審議に入ったが,Part
2,3,5,6 の NP/CD 文書が提出されていないため,全文
書がそろってから CD 審議再開となった.
(b) iTOPHOME 規格 NP 提案(家電系制御ホームネット
ワーク)
iTOPHOME 規格提案の NP 投票は欧州の反対で否決さ
れた.
(5) 米国提案(LonWorks の NP 提案, 14543-6-1,2,3)
ビル制御ネットワークの LonWorksNP 提案は欧州の
反対で否決された.
(6) UPNP(米)の PAS Submitter 投票
UPNP の DIS 提案を目的とした PAS Submitter 投票
が行われ,承認された.この結果,UPNP の DIS 投票
が開始された.これにより中国提案の IGRS と審議ス
ケジュールが逆転したため,今後紛糾する可能性が出
てきた.
(7) Residential Gateway Part 2 審議(15045)
米国がホームゲートウェイの標準化に熱心である
が,提案内容には問題があり FCD 投票で主要国の反対
が多く再審議となった.
(8) Guidelines for product Interoperability Part
2:相互接続性(18012-2)
マルチ標準化原則が認められたため審議の重要性
が高まり,提案が活発化してきた.
(9) ホームゲートウェイの遠隔集中管理規格提案
韓国からユビキタス・ホームネットワーク・サービ
スのための集中管理プロトコルの提案,
CMP(Centralized Management Protocol)提案があり
NP 投票で承認された.
(10) WG 5 新設問題
WG 5 新設問題は,SC 25 セクレが WG 1 米国コンビ
ーナの審議の進め方に不満を持っており,2005 年エ
ジンバラ総会でシーメンスの部下を対立候補に立て
た.しかし,僅差で否決されるや,突然この部下をコ
ンビーナとし,WG 1 とスコープの類似した WG 5 新設
を提案した.これも否決されるや,この否決された
WG 新設の可否を議論する TF/タスクフォース設立の
成否を取らずに決定した.これを受け欧州メンバだけ
でミュンヘン TF を開催したが,結論として WG 5 設立
は当面見送りとなった.
今回のベルリン会議では,この承認されていない
WG 5 を強行開催し,既成事実の積み上げを図ってい
る.この WG 5 新設提案は KONNEX 規格をベースにプラ
ント用制御ネットワークなどを審議する欧州規格の
展開を狙っており,今後も動向に注意が必要である.
(11) リエゾン関連
IEC/TC100 との関係が議論となっており,審議の重
複には反対し,SC 25 の審議結果の尊重と規格の矛盾
をなくすよう要請するとの結論となっている.特に
Residential Gateway に関しては,各国とも IEC/TC100
は AV マルチメディア系の審議のみに限定すべきであ
り,ホームネットワークは SC 25 の審議対象であると
主張している.
また IEC/TC100/TA9 とのリエゾンとして 3 月 1 日北
京でのコーディネーション会議が報告された.
3.2 PTCC ( Project Team Convergence and
Cooperation)
インテリジェント・ホームの用語:Terminology for
intelligent homes と 分 類 体 系 化 : Taxonomy of
specifications の審議のための PT 発足が承認され,
インテリジェント・ホームとネットワーク・コンバー
ジェンスに関する JTC 1/SC 25,IEC/TC100,ITU 関係
者を集めた合同会議が 9 月 23 日,ベルリン総会の翌
日開催された.
この PT 発足は WG 5 と関係があり,WG 5 コンビー
ナを予定していた人物がコンビーナを務め,WG 5 が
正式発足するまでの予備的審議組織の役割を持ち,
CENELEC/KONNEX 規格をさらに展開規格化する狙いが
あるものと思われる.このため,この動きに警戒して,
総会では WG 1 コンビーナが PT では特別の標準は作ら
ないとの言質を PT コンビーナより得ている.
3.3 WG 3(Customer Premises Cabling)
(1) 概要
WG 3 は構内配線アーキテクチャ,ケーブル/コネク
タから成るリンクの仕様,ケーブル設置スペース規程
など構内配線システムの標準化を行っており,2006
年度は,ベルリン会議(2006-09-18/21,19 カ国,50
名出席),コナ会議(2007-02-26/3-2,21 カ国,53 名
出席)の 2 回の会議が開催された.主なテーマと検討
内容は以下のとおり.
(2) 光ファイバケーブルの試験方法(TR 14763-3)
構内光配線の敷設現場での試験方法について,2006
年 5 月に投票の結果可決され,2006 年 6 月に発行さ
れた.
(3) 工業用配線(ISO/IEC 24702 )
ISO/IEC 11801 の拡張規格としての産業用構内配線
規格 ISO/IEC 24702 の投票を 2006 年 7 月実施し,賛
成 23,反対 0,棄権 4,無投票 1 で可決され,2006 年
10 月に発行された.継続して POF 関連の追記に関す
る Amendment として日本提案の NP として SC25N1284
が可決された.
(4) ISO/IEC 11801 の Amendment1.1(クラス E,F の
高周波領域のチャネル規定)
これまで,10BASE-T 対応のチャネル特性を審議し,
UTP/FTP/STP における EMC クラスの検討を行ってきた.
現行のクラス E,F 以上の周波数領域における性能規
定 EA(500MHz),FA(1000MHz)について検討するととも
に,敷設されたクラス E,F ケーブルを高周波数領域
で評価するための手法について審議した.ドラフト
SC25N1255 の FPDAM 投票の結果は賛成 15,反対 9 で否
決となった.主な否決理由は,各種規格値の審議不足
であり内容的に各国の同意がとれるレベルに達して
おらず,継続審議となった.
(5) ISO/IEC 11801 の Amendment1.2(クラス E,F の
高周波領域のコンポーネント規定)
これまで審議をしてきた,10BASE-T 対応のチャネ
ル特性(amendment1.1)の規格に追加して,コンポー
ネントに関する性能規定として審議開始.
(6) Power over Ethernet
POE に関する要求値は ISO/IEC 11801 amendment1.2
に記載される予定.また POE を適用する配線システム
の施工ガイドを NP とする予定である.
(7) Cabling Installation Task Group (CITG)
ケ ー ブ ル の 施 工 に 関 す る 国 際 規 格 (ISO/IEC
14763-2)の改定を行うために発足した TG.継続審議
中.
3.4 WG 4(計算機システム及び周辺機器間の相互接続
/Interconnection of Computer Systems and Attached
Equipment)関連
(1) 概要
2006 年度の総会が 9 月にベルリンで開催され,3 カ
国 7 名(日本から 1 名)の参加で行われた.各プロジ
ェクトの状況確認を行い,5 年目の見直しや陳腐化し
た標準の withdraw などを行った.日本提案のレスポ
ンシブリンクについては,FCD 投票の結果,賛成多数
による承認が得られ FDIS 投票に進むことになった.
以下にプロジェクト毎の 2006 年度の活動状況を報告
する.
(2) チャンネルレベルインタフェース
(a)ファイバチャンネル(FC)
ベ ル リ ン 会 議 に て Fabric Generic Requirement
(FC-FG)を withdraw した.また Fabric Application
Interface Standard(FAIS) , Security Protocols
(FC-SP)を NP 投票にかけることを決定した.国内委員
会 に お い て Fabric Switch-3(FC-SW-3) , Fabric
Switch-4(FC-SW-4),Generic Service-5(FC GS-5),
Fibre Channel BaseT,Single-byte command sets-3
mapping protpcol(FC-SB-3),Backbone 3(FC-BB-3),
Physical Interface-2(FC-PI-2) , Framing and
Signaling-2(FC-FS-2),Arbitrated Loop 2;Amendment
(FC-AL-2),Signal Modeling(FCSM),Fibre Chnanel
Protocol for SCSI,Third Version(FCP-3),Device
attach(FC-DA) , Methologies for interconnects-2
(FC-MI-2),Fabric Host Bus Adapter(SM-HBA)の 14
件の NP 投票に賛成投票した.
(b) FDDI (Fibre Distributed Data Interface)
ベルリン会議にて Hybrid Ring Control(HRC),
Physical Layer Medium Dependent Abstract Test
Suite(PMD-ATS),Media Access Control Conformance
Test(MAC-ATS)の 3 件を reaffirm した.
(c)HIPPI
ベルリン会議にて Physical Layer(HIPPI-PH),Link
Encapsulation(HIPPI-LE) , HIPPI-6400 Physical
Layer(HIPPI-6400-PH)を reaffirm した.
(3) デバイスレベルインタフェース
(a) SCSI(Small Computer System Interface)
ベルリン会議にて Serial Bus Protocol 3(SBP-3),
Signal Modeling-2(SSM-2)を withdraw した.また
SCSI-2 , Serial Bus Protocol 2(SBP-2) の 2 件 を
reaffirm した.国内委員会において SCSI Primary
Commands 3(SPC-3)の NP 投票に賛成投票した.また
Passive Interconnect Performance(PIP)の FCD 投票
に賛成投票した. 更に Architecture Model-3(SAM-3)
の FDIS 投票に賛成投票した.
(b) ATA/ATAPI7
国内委員会において FCD 投票に賛成投票した.
(4)マイクロプロセッサシステム
ベ ル リ ン 会 議 に て Binary floating-point
arithmetic for microprocessor systems を reaffirm
した.国内委員会において Rapid IO Interconnect
Specification(改版)の NP 投票に賛成投票した.
(5)レスポンシブリンク
FCD 投票にかけ,賛成 14 カ国,棄権 5 カ国により承
認された.現在 FDIS 投票の準備を進めている.
(6)その他
WG 4 会議への参加国が少なく,ベルリン会議で WG 4
の活性化に関する議論をした.現状 WG 4 の案件の多
く が 米 国 内 の 標 準 仕 様 策 定 組 織 INCITS
(InterNational
Committee
for
Information
Technology Standards)で作成されたものが ANSI で
標準化され WG 4 に提案されている.INCITS には米国
に限らず日本,中国,フランス,カナダなどの国の企
業が参加している.WG 4 としては仕様開発への貢献
は少ないものの,仕様開発段階で関係国が審議に参加
していることから現状を継続するとした.
■ SC 27 専門委員会(セキュリティ技術/Security
Techniques)
委員長
寳木 和夫((株)日立製作所)
1. 概要
SC 27 は複数の TC/SC に共通する情報セキュリティ
の要素,システム,および,サービス技術の標準化を
担当している.ここでは,2006 年度の活動とその総
括となる 2007 年 5 月サンクトペテルブルグで行われ
た SC 27 国際会議の結果について報告する.
2006 年度(カッコ内は 2005 年度)に行われた
CD/PDAM /PDTR 投票は 18 件(3 件),FCD/FPDAM 投票は
5 件(10 件),DTR 投票は 0 件(1 件),FDIS/FDAM 投票
は 6 件(17 件),IS/TR 出版は 12 件(18 件)であり,
引き続き活発に標準化が行われている.
2007 年 5 月にロシアのサンクトペテルブルグで開
催された SC 27 総会には議長(W. Fumy,独)他,22 カ
国から約 40 名が参加した.参加国はオーストラリア,
オーストリア,ベルギー,カナダ,中国,キプロス,
ドイツ,日本,韓国,マレーシア,オランダ,ニュー
ジーランド,ノルウェイ,ポーランド,ロシア,南ア
フリカ,シンガポール,スウェーデン,スペイン,ス
イス,英国,米国であり,このうち,中国とキプロス
が,今回,初めて総会へ参加した.日本から寳木和夫
(HoD,日立), 竜田敏男(情報セキュリティ大学院大),
中尾康二(KDDI),櫻井幸一(九大),佐藤慶浩(日本 HP) ,
平野芳行(NEC),苗村憲司(WG2 コンビーナ,情報セ
キュリティ大学院大),近澤武(WG2 事務局,IPA/三菱)
が出席した.この会議で日本が特に注意した点は,WG
2 での暗号メカニズムの形式検証など新規作業項目と
新規の暗号/プロトコル追加提案の扱い,WG 3,WG 5
でそれぞれ日本が提案するバイオメトリクス標準へ
の対処,WG 4 で審議が始まった Cyber Security 他 ISMS
以外のセキュリティ管理技術の進展であった.さらに,
ID 管理,プライバシー技術など新しい標準化を行う
WG 5 の新コンビーナ決定について反対意見が出され
たのでその扱いについても慎重な態度で臨んだ.
その結果,日本からの提案は概ね受け入れられ順調
に進展した.ただし,一部,新規に提案された暗号の
扱い等について課題が残った.また,WG5 コンビーナ
選出については,米国候補が辞退し,ドイツ Kei
Rannenberg 氏が新コンビーナに決定した.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(情報セキュリティ要求条件と統合技術)
(1) 情報セキュリティマネジメント関連の標準化
(a) 情報セキュリティマネジメントシステム ISMS の
う ち , ISO/IEC 27001
Information security
management systems -- Requirements (2005 年 IS
発 行 ) , ISO/IEC 17799
Code of practice for
information security management(2005 年 IS 発行,
ただし,2007 年 4 月から ISO/IEC 27002 に改番号)
,
ISO/IEC 27006 Requirements for the accreditation
of bodies providing certification of information
security management systems (2007 年 3 月 IS 発
行) は IS 文書が出版された.ISO/IEC 27003∼27005,
および,27007,27011 は標準化審議が進んだ.
以下の記述において,ISO/IEC 番号を示すとき,
ISO/IEC を省略して単に番号のみを記す.
(b) 27000 ISMS fundamentals and vocabulary は
新規に多数の用語を盛り込んで 2nd CD に進むことが
決定された.27000 のコエディタは原田敬(日立)が
務めている.
(c) 27003 Information Security Management Systems
-- Implementation Guidance については,3rd WD
が提出され審議が行われたが,文書の品質がまだ十分
でなく,4th WD を作成し事務局に送付することとな
った.山崎哲(IBCS)がコエディタを務めている.
(d) 27004
Information Security Management
Measurement については,コメントが多数挙げられ,
技術的な変更が必要なことから,2nd CD が作成され
ることとなった.
(e) 27005 Information Security Risk Management
については,FCD が提出され審議が行われたが,大幅
かつ重要な技術的変更が必要なことから,2nd FCD が
作成されることとなった.
(f) 27007
Guidelines for Information Security
Management Systems Auditing については,Study
Period が終了し,27007 として NP 投票に付されるこ
とになった.
(g) 27011 "Information Security Management
Guidelines for Telecommunications"については,
2006 年 11 月,南アフリカ会議にて NP 提案された
ITU-T 作成標準の ISO/IEC 版作成のためのプロジェク
トとして進め,今回 NP と同時に提出された WD に対す
るコメント処理を行い,改訂版として FCD を作成する
ことになった.中尾がエディタを務めている.
(2) その他の WG 1 標準化項目
特 定 分 野 向 け ISMS 標 準 と し て World Lottery
Association 及 び Automotive Industry に 関 す る
Study period は 6 ヶ月延長することとなった.
2.2 WG 2(セキュリティ技術とメカニズム)
WG 2 は苗村コンビーナのもと,これまで,暗号ア
ルゴリズム,エンティティ認証等のセキュリティ基盤
技術の標準化を進めてきた.モスクワ会議では,11
カ国から 28 名の参加を得てさらに審議を進めた.
(1) 14888-3 Amendment
Digital signature with
appendix -- Part 3: Discrete logarithm based
mechanisms に関して,ロシアからロシア国内規格
(2001 年に作成され,CIS(旧ソ連圏)で使用)の楕円
曲線暗号利用方式を追加することが提案された.提案
の背景としてロシアより,ロシアの WTO 加盟に向け国
際標準と整合をとる必要があるとの説明があり,審議
の結果,Amendment の作成に着手することとなった.
(2) 18033-3 Corrigendum Encryption algorithms -Part 3: Block ciphers に関して,TC68(金融サー
ビス)から 2-key Triple DES の安全性に関する注記
(footnote)を見直すことが要求された.検討結果,
問題の記述を本文から削除し,暗号アルゴリズムや鍵
長などの安全性に関する事例を Standing Document
(SD12)にまとめて記述することになった.
(3) 18014-1 "Time stamp services -- Part 1:
Framework"は,順調に進捗し,FDIS に進展した.市
川忠昭(アマノ)および宮地充子(北陸先端大)がコエ
ディタを務めている.
(4) 15946-1/5 Cryptographic Techniques Based on
Elliptic Curves -- Part 1: General / Part 5:
Elliptic Curve Generation はそれぞれ FDIS,CD に
進展した.宮地がエディタを務めている.
(5) 9798-2
Entity Authentication -- Part 2:
Mechanisms
Using
Symmetric
Encipherment
Algorithms は,CD に進んだ.竜田がエディタを務
めている.
(6) 13888-3 Non-repudiation ? Part 3: Mechanisms
Using Asymmetric Techniques は,2nd CD に進んだ.
渡辺創(産総研)がエディタを務めている.
(7) 10118-2
Hash-functions -- Part 2:
Hash-functions Using an n-bit Block Cipher に関
し,日本提案のアルゴリズム(DHF1)を追加することに
ついて議論したが,その発表が比較的最近であり安全
性の評価結果が知られていないことなどの理由から
継続検討となった.改版を担当するエディタに吉田博
隆(日立),コエディタに近澤が指名された.
(8) 18033-4
Encryption Algorithms -- Part 4:
Stream Ciphers にストリーム暗号のアルゴリズム
(KCipher-2)を追加することに関して日本のエキスパ
ート(KDDI)から提案が行われた.これまでは欧州の E
ストリームで検討されているアルゴリズムを中心とし
て検討してきたことから,比較的知られていない新た
なアルゴリズムを追加することについてエディタ(デ
ンマーク)から反対意見が示され,継続課題となった.
(9) その他の WG 2 標準化項目
(a) 中国からエンティティ認証に関する追加提案(3
者間エンティティ認証プロトコル)がなされた.詳細
内容は示されなかったが,専門家の間で協議した結果,
検討の価値があると判断されたので,新たな Study
Period として検討を開始することとなった.
(b) 2006 年 11 月,南アフリカ会議で新たな作業項目
の候補とされたサインクリプション技術およびディ
ジタル署名規格(9796, 14888)の統合については WG 2
Study Period を次回まで継続することとなった.
(c) 暗号メカニズムの形式検証技術について,日本か
ら寄書が提案された.その内容が WG 3 の担当範囲に
近いとの意見が多かったので,WG 3 で新作業項目と
して投票にかけることになった.
(d) JTC 1 から指示された低電力暗号技術については,
これまでの検討結果を報告するとともに,引き続き寄
書を募集することとなった.
2.3 WG 3(セキュリティ評価基準)
(1) 15408-1 Evaluation Criteria for IT Security
-- Part 1: Introduction and General Model だけが,
15408 シリーズで FCD 投票にかかっていなかったため,
エディタに文書を出すよう要請することになった.
(2) 15292
Protection Profile Registration
Procedures について,廃止する案が出されたものの,
継続要求が 3 カ国からあったため見直すこととなった.
再度,Protection Profile の登録機関を募集する.
(3) 15443-3 A Framework for IT Security Assurance
(FRITSA) -- Part 3: Analysis of Assurance Models
は,DTR 投票時のコメント処理が行われ,TR 文書に反
映させるようエディタに文書を送付することとなった.
(4) 24759
Test Requirements for Cryptographic
Modules は FCD へ進むこととなった.
(5) 19792 "Security Evaluation of Biometrics"は FCD
に進んだ.三村昌弘(日立)がコエディタを務めている.
(6) その他の WG 3 標準化項目
(a) セキュアシステムデザインについて新たに Study
Period を起こすこととなった.
(b) WG 2 で提案された日本寄書を Verification of
Cryptographic Protocols として規格化作業を開始す
ることとなった.Acting Editor として宮崎邦彦(日
立)が指名された.
2.4 WG 4(セキュリティの管理とサービス)
(1) 24762 Guidelines for ICT Disaster Recovery
Services は FDIS へ進むことになった.
(2) 18028 IT Network Security について,新たな
技術進歩等に対応するために改訂が行われることとな
り,
新 Part 1/2 として WD が作成されることとなった.
(3) その他の WG 4 標準化項目
Application Security,ICT Readiness for Business
Continuity,および,Cyber Security の Study Period
が終了し,NP に進むこととなった.
2.5 WG 5(ID 管理とプライバシー技術)
(1) 24745
Biometric Template Protection につ
いて,当初予定していた 枠組み の規格化からバイ
オ技術を利用した保護技術へと次第にシフトしてい
ったが,実現の困難性の観点等から見直しが必要との
結論に達した.これに対し SC 37 に必要性を問いかけ
た後,さらに要請がなければ打ち切る方向となった.
(2) 24761 Authentication Context for Biometrics
は 3rd CD が作成されることとなった.エディタは才
所敏明(東芝ソリューション)から山田朝彦(東芝ソ
リューション)に交代した.
(3) 29100 Privacy Framework は,2nd WD が作成
されることとなった.
(4) 29101
Privacy Reference Architecture は,
NP29101 に対するコメントが処理され 1st WD が作成
されることとなった.
(5) 29115 "Authentication Assurance"は,1st WD
が作成されることとなった.
(6) 24760 "A Framework for Identity Management"
は 3rd WD が作成されることとなった.
(7) その他の WG 5 標準化項目
(a) WG 5 設立直後のため,あるいは,プライバシー
特有のバリエーションが存在するため多数の機関と
リエゾンを結ぶこととなった.
(b) 次回,2007 年 10 月のスイス会合前に ITU-T と合
同ワークショップ開催する予定.
3. SC 27 直下の作業
(1) WG 5 Convener 選出について,ドイツと米国の両
候補に対する投票に際して,種々のコメントが出され
たので,それらを解決するため会議が開かれた.結果
と し て 米 国 の 候 補 者 が 辞 退 し , ド イ ツ の Kai
Rannenberg が新 Convener に選出された.
(2) SC 27 Chairman の再任に関し,Fumy 委員長の続
投について議論があり,どこからも異論が出なかった.
ただし,Fumy 委員長の場合,JTC 1 Directives に書
かれている任期 3 年 2 回までを超えての続投になるの
で,他に立候補がなく続投に全会一致で賛成と議事録
に明記し,JTC 1 の反応を見ることとなった.
(3) WG 2 Convener については,1 回目の任期 3 年が
満了となったが,審議の結果,従来と同じく苗村
Convener の再任となった.
4. その他(今後の進め方に関する特記事項)
4.1 プライバシーの国際標準化について
プライバシーの国際標準化を SC 27 で検討するよう
JTC 1 から指示が出てから,SC 27 内で議論を積み重
ねて,ようやく一応の体制ができた.ただし,検討範
囲が広く合意を得るのは簡単でない内容を多く含む
可能性がある.引き続き多くの識者の意見も参考にし
ながら,プライバシー国際標準化に関与していく.
4.2 ISMS 以外のセキュリティ管理,サービス標準に
ついて
新設された WG 4 で,審議が開始される Application
security,ICT Readiness for Business Continuity,
および,Cyber Security などは,今後,大きな影響
が生じ得る技術分野である.日本としては既にビジネ
スを展開している ISMS との関係で,これらの新規技
術をうまく位置付けし対処していくことが重要と考
えられる.
4.3 新規の暗号提案の扱い
今回,ロシアから 1 件,中国から 1 件,日本から 2
件の暗号/プロトコル提案がなされた.暗号/プロトコ
ルの新規追加提案に対する考え方を日本としても整
理し,適切に臨んでいく必要がある.
■ SC 28 国内委員会(事務機器/ Office Equipment)
委員長
三橋 慶喜
1. 概要
SC 28 の担当範囲は下記に示される.
Standardization of basic characteristics, test
methods and other related items, excluding such
interfaces
as
user
system
interfaces,
communication interfaces and protocols, of office
equipment and products such as: Printers, Copying
Equipments, Digital scanners. Facsimile equipment
and systems composed of combinations of office
equipment.
国際 SC 28 は,12 カ国の P メンバと 15 カ国の O メ
ンバから構成されている.昨年度にはカザフスタンが
P メンバへの参加を表明した,加えてオーストラリア
が P メンバへの登録を予定している.議長および幹事
国業務は日本が引き受けている.現在の SC 28 は 4 つ
の WG と 1 つの SIG から構成されている.中長期戦略
を議論する Advisory Group(AWG: WG01),消耗品イ
ールド:WG 2,機器の生産性:WG 3,画像品質:WG 4
がそれぞれのテーマを担当している.加えて色彩比較
を担当する SIG(Special Interest Group)の設立が,
昨年 5 月に開催された第 17 回総会で承認された.
一方国内 SC 28 委員会は従来通り社団法人ビジネス
機械・情報システム産業協会(JBMIA)において運営さ
れ,6 WGs 体制で審議を行っている.
本年度に発行された国際標準は 4 件である.
本年度に開催された国際会議は米国・レキンシント
ンにおける第 17 回総会・WGs 会議(2006-05-15/19 出
席総数 7 カ国 1 機関 42 名,内日本人 16 名参加)と,
米国・バンクーバーでの WG 2 会議 (2006-10-31/11-01
出席総数 4 カ国 18 名,内日本人 3 名参加), 米国・サ
ンノゼでの AWG 会議(2007-01-27 出席総数 5 カ国 14
名,内日本人 4 名参加),WG 3 会議(2007-01-27/28
出席総数 5 カ国 20 名,内日本人 3 名参加),および
WG 4 会議(2007-01-28 出席総数 6 カ国 16 名,内日
本人 4 名参加)である.このほか,日本・京都におい
て Ecma 主体の BRM for DIS 28360(2007-03-28 出席
総数 4 カ国 1 機関 14 名,内日本人 9 名参加)があっ
た.また,経産省の支援もあって JBMIA が主体となっ
て P メンバへの参加勧誘を目的に SC 28 国際標準化フ
ォーラムがオーストラリア・シドニーにおいて開催さ
れた(2006-10-25/26).
1.1 議長,幹事国業務の引き受け
2002 年より幹事国業務を,また 2003 年より国際議
長を日本が引き受けている.幹事国業務は SC 28 国内
委員会参加の主要企業の持ち回りとすることが決め
られ,2006 年 5 月から,移行期間を含めて今後 3 年
間は(株)リコーが担当する.国際幹事は 2006 年 10 月
にこれまでのキヤノン(株)の出井克人から(株)リコ
ーの熊倉和正に正式に交代した.国際議長はコンサル
タントの斉藤輝であり任期の 3 年目であったが,2006
年 11 月開催の JTC 1 総会において,引き続いて 2 期
目の就任が承認された.議長のリーダシップと公正な
態度は,参加各国から高く評価され,SC 28 国際標準
化活動は順調に推移している.
1.2 第 17 回 SC 28 レキシントン総会
第 16 回総会は例年の 5 月開催から 9 月と変更にな
って,中国・北京で開催されたが,第 17 回総会は元
の 5 月に戻り,米国・ケンタッキー州・レキシントン
で開催された(2006.05.15/19).7 カ国 1 機関 42 名
が参加した(豪 1 名,中 3 名,独 1 名,日 13 名,韓
4 名,蘭 1 名,米 15 名,Ecma 1 名,国際議長と幹事
2 名).今回の総会では,全体会議と AWG,WG 2(消耗
品イールド)
,WG 3(生産性)
,SIG-IQ(画質評価)が
行われた.米国提案のアピアランスベース画像品質の
NP 提案が通過しなかったため,予定されていた WG 4
(IQ:Image Quality)が設立出来なくなり SIG-IQ と
して会議を行った(その後投票期間中であった日本提
案の画質測定の 13660 改定が通過し,WG 4 は成立)
.
総会では,日本から NP 提案をするエネルギ消費と
13660 改訂についての説明と,提案を予定しているア
クセシビリティ(JIS X 8341-5)の事前説明を行った.
オフィス標準光源について,ドイツの D65 と日本の
D50 の主張とが今回も対立した.その解決のため
SIG-CC(Colour Comparison 色彩比較)を作り検討を
進めることになった.また,関係する他の国際標準化
委員会へのリエゾン等の再確認を行ったほか,新たに
アンバサダー制度を新設した.これは SC 28 の活性
化・P メンバ国の新規勧誘などを目的とするもので,
最初のアンバサダーとして,JBMIA の櫻井穆が任命さ
れた.次回の第 18 回総会は 2007 年 5 月 28 日∼6 月 1
日の間,長野県松本市で開催予定である.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
本年度に発行された国際標準は次の 4 件である.
・ ISO/IEC 19798 : 2006
Method for the
determination of toner cartridge yield for
colour printers and multi-function devices
that contain printer components
・ ISO/IEC 19799 : 2007 Method of measuring
gloss uniformity on printed pages
・ ISO/IEC 24711 : 2006
Method for the
determination of ink cartridge yield for
colour inkjet printers and multi-function
devices that contain printer components
・ ISO/IEC 24712:2006 Colour Test Pages for
Measurement of Office Equipment Supply Yield
2.1 AWG(コンビーナ: C. W. Kim,韓)
AWG の使命は現在と将来のマーケットニーズを分析・
予測,SC 28 の作業を分類し,短期・中期ロードマップ
の策定と見直しを行うことと,SC 28 の作業範囲を見直
し修正を提案することである.第 1 版のロードマップを
作成し,さらに改訂版の検討が進められている.
2.2 WG 2(Consumable Yield/消耗品イールド,コン
ビーナ: P. Jeran,米)
複写機,プリンタ,ファックス,複合機の消耗品(ト
ナー/インク)の寿命(使用可能枚数)決定方法の審
議を行っている.本年度に 3 件の IS が発行された
(ISO/IEC 19798,ISO/IEC 24711,ISO/IEC 24712).
新しく韓国から 2 件の NP が提案され承認された.カ
ラーフォトイールドに関するもので日本は業界規格
を JBMS として発行しており,韓国の NP 提案の中にこ
の規格の内容を盛り込むことが合意された.
・ WD 29102: カラーフォトイールド測定方法
・ WD 29103: カラーフォトイールド・テストチャート
2.3 WG 3(Productivity 生産性,コンビーナ: Y. Ng,
米)
・ WD 24735:ディジタル複写機生産性測定方法
・ WD 24734:プリンタ生産性測定方法
について審議している. WD 24735 のプロジェクトエ
ディタは日本が担当する予定である. 複写機生産性
の規格の中にインクジェット(IJ)方式の複写機も取
り込むこととし JEITA に検討依頼している.なお WD
24734 は JEITA で作業中である.
昨年 5 月のレキシントン総会において,上記両プロ
ジェクトの CD 移行期限を 18 ヶ月延長することが決め
られた.プリンタの 3 つの市場(Office-Simple,
Office-Complex, Advertising)に対応したカテゴリ
テストを簡素化する方向性が得られた.一方で,評価
の際に印刷指示を行うアプリケーションと評価のラ
ンレングスの議論に関しては欧米と日本の意見・思惑
にやや乖離があり,継続的な議論が必要である.
日本は 2005 年に複写機・複合機・プリンタの消費
電力測定法の NP 提案をしたが,投票総数が不足して
承認が得られなかった.その後,複写機・複合機とプ
リンタとの 2 つの異なるパートに分けて NP 再提案を
した.内容は,広く用いられている Energy Star がオ
フィスでの使用状況の実体を反映していないことを
改善する提案だったが理解を得られず,再び承認が得
られなかった.
2.4 WG 4(Image Quality Working Group/画像品質,
コンビーナ: E. Zeise,米)
本年度に 1 件の IS が発行された
(ISO/IEC 19799)
.
日本から提案の NP 投票案件(画質属性測定規格
ISO/IEC 13660 改訂)が成立したことで WG 4 が設立さ
れた.プロジェクトエディタを日本が担当する予定で
ある.韓国のプリンタ解像力の状況や,米国の画質属
性測定規格開発状況を把握し,協調可能性を検討して
いる.米国提案のアピアランスに基づいたプリンタ画
質規格は専門性が高く,4 カ国しか専門家の参加が得
られなかったため承認されなかった.近い将来の再提
案が検討されている.
・ WD 24790 :ハードコピー出力の画質属性測定―
2 値単色のテキストおよびグラフィック画像
2.5 SIG-CC(Colour Comparison/色彩比較,リーダー:
T. Schmeltzer,独)
2005 年の北京総会において議論が紛糾した標準光
源の件はカラーマネジメントに関連する事項であり,
多くの国際標準化委員会に関係している.SC 28 国内
委員会では,SC 28 ではなく,CIE を中心とした審議
に委ねるべきとの意見がまとめられ,SC 28 レキシン
トン総会(2006-05)に向けて寄書を提出した.一方
SCIT 東京会合において,オフィスとホームにおける
観察環境に関する検討を SC 28 が分担することが勧告
された.このため,レキシントン総会において SIG-CC
(Colour Comparison 色彩比較)の設立が決議された.
2007 年秋には SCIT と並行して標準光源に関するシン
ポジウムの開催が決められている.2007 年 5 月開催
予定の SC 28 松本総会において対応を検討する.
2.6 Fast-track 提案
2.6.1 VOC (揮発性有機化合物): ISO/IEC DIS 28360
Determination of Chemical Emission Rates from
Electronic Equipment
2006 年 5 月開催の第 17 回レキシントン総会で Ecma
International から事前説明があった後,Fast Track
提案された.DIS 28360 の投票は多数で承認されたが,
日本と US が反対し,コメント処理のため BRM が 2007
年 3 月 28 日に京都で開催された(4 カ国 1 機関 16 名
参加,内日本代表 9 名).日本のコメントは 40 と非常
に多かったがそのほとんどは認められた.合意された
内容が反映されて,IS が発行される予定である.こ
の件の審議については JBMIA のエミッション WG と
NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)および
JEITA の協力を得た.
2.6.2 アクセシビリティ: JIS X-8341-5 事務機器―
高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機
器,ソフトウエア及びサービス―第 5 部:事務機器
JBMIA において議論を進めた事務機器の情報アクセ
シビリティは,英文化を待って JTC 1 へ提案されるこ
とを, 2006 年 5 月開催の第 17 回レキシントン総会で
事前説明を行った.2007 年 3 月開催の技術委員会へ
JBMIA から Fast-track 提案が行われ,一部修正の上
承認された.SC 28 で審議が行われる予定である.
3. 今後の主要課題
(1) 新テ−マの発掘と提案(継続)
(2) 制定された国際規格の JBMS/JIS 化の推進(支援)
(3) 幹事国(Chairman & Secretary)業務への支援
(4) P メンバへの参加勧誘(継続)
(5) SC 28 の改革の促進
■ SC 29 専門委員会(音声,画像,マルチメディア,
ハ イ パ ー メ デ ィ ア 情 報 符 号 化 /Coding of Audio,
Picture Multimedia and Hypermedia Information)
委員長
小林 直樹(日本電信電話(株))
1. 概要
SC 29 専門委員会の中には,WG 1(JPEG,JBIG),
WG 11(MPEG)の二つの Working Group があり,主に
マルチメディア符号化技術の規格化を担当している.
2006 年度の SC 29 総会は,クラーケンフルト(オース
トリア)で,7 月 24∼25 日に行われ,日本からは,浅
井氏(議長代理),小倉セクレタリの他,JNB として
小林委員長,金子氏が出席した.今年の総会では,SC
29 のスコープ見直し,ISO パテント DB 反映の遅れへ
の対策,ARO,および投票プロセス見直し勧告の問題
点と対策についての議論が行われた.また,次期 SC 29
議長として,浅井氏(日)を推薦することが決議され
た 2007 年度の総会は,2007 年 4 月 30 日∼5 月 1 日に,
サンノゼ(米)の予定である.
SC 29 の Scope の議論では.現在,各 WG では動画,
音声などのモノメディア符号化の範囲を超えてアプ
リケーション分野に広がった標準化が精力的に進め
られているため,SC 29 総会においても今後の標準化
の方向性に関して議論されるべきであるとの意見が
出された.これを受けて,次回の AGM において議論を
行うこととした.
パテントステートメントの管理上の問題点につい
ては,特許に関する規約の変更につながる案件は JTC
1 以上のレベルで解決すべきだが,既存標準に記載さ
れた特許情報の正誤確認や投票に必要な情報の整備
など,現運営規約の執行上の問題については SC 29 か
ら JTC 1 に問題点の指摘と改善を計ることとした.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(静止画像符号化)
2.1.1 開催会議および日本からの出席者数
会
期
場
所
出席者数
2006-07-10/14 ペルージャ(イタリア) 5 名
2006-11-6/10 チェジュ(韓国)
7名
2.1.2 活動内容
「JPEG 2000(ISO/IEC 15444 シリーズ)」は,ロー
ビットレートからロスレスまでの広い範囲での高画
質プログレッシブ再生,任意エリアの優先的伝送やエ
ラー対策などの豊富な機能を有する規格である.既に
基本部といえるパート 1∼パート 6,MPEG との共通
部分を記述したパート 12,応用部のパート 8(セキ
ュリティ)
,パート 9(Interactive Protocol),パー
ト 11(ワイヤレス)は IS 化され,残された応用部で
あるパート 10(3D)は FCD に進み,日本がその発足
を主導したパート 13(An Entry Level Encoder)も
FDIS 投票に進んでいる.現在の審議の中心はそれぞ
れのパートの実用化を支援する各種 AMD の制定であ
る.また,画像検索を主題とする新課題「JPSearch
(ISO/IEC 24800 シリーズ)」については,MPEG-7 と
連携しつつ審議を進めており,現在パート 1(TR)が
DTR 投票中で,パート 2∼パート 5 についてはその構
想が決まった段階である.
2.1.3 実用化状況
JBIG2 の Amd.2(ハーフトーン符号化用拡張テンプ
レート)に関しては TC 130/WG 2 で標準化中の TIFF/IT
にそのデータストリームを導入する規格が IS 化され
た.JPEG 2000 に関しては,運転免許証やパスポート
への採用検討に続き,ディジタルシネマへの適用検討
(パート 1 Amd.1 が発行済みで Amd.2 が審議中)が進
められている.日本としては JPEG 2000 の実用化にあ
たり encoder 特許の明確化が必須と考え,パート 13
を発足させて特許声明の収集に努めている.
2.1.4 今後の課題
JPEG2000 のパート1の標準化が完了して 6 年が経
過した.この間,新たなアプリケーションにおいては
導入の動きが見られるが既存のアプリケーションに
おいては JPEG を置き換えるのが困難な状況である。
今後、上記の特許問題の明確化に加え、普及の障害を
調査し,それを取り除く努力が望まれる.
2.2 WG 11 / Video(MPEG ビデオ符号化)
2.2.1 開催会議および日本からの出席者数
会
期
場
所
出席者数
2006-04-03/07 モントルー(スイス) 20 名
2006-07-17/21 クラーケンフルト(オーストリア)
25 名
2006-10-23/27 杭州(中国)
28 名
2007-01-15/19 マラケシュ(モロッコ)24 名
2.2.2 活動内容
まず,MPEG-4 システムに関し,パート 1 では,関
連する修正票の審議投票のほか,アニメーションフレ
ームワーク拡張で規定した 3D 向け新規プロファイル
/レベルを識別する記述子のシンタックス追加を規
定する FPDAM, MPEG-4 システム規格を用い JPEG 2000
の伝送のために必要なアクセスユニット,オブジェク
ト識別子,およびデコーダ初期化記述子を規定する
FPDAM 3 の審議・投票を行った.独立したシステムパ
ートとしては,まず,14496-2(MPEG-4 Visual)およ
び 14496-10(MPEG-4 AVC)の映像符号化・復号化に
必要な要素である,変換,量子化,動き補償,可変長
符号化などのモジュールのハードウェア記述に関す
る DTR 14496-9 に関して,第 1 版出版後に追加された
モジュールを含めた改定を審議・投票した.また,シ
ーン記述及びシーン記述を解釈し描画するアプリケ
ーションエンジンパート 11 において,楽譜など音楽
特有の情報を扱う新規ノード,およびノードを扱うた
めのコマンド群の追加規定を行う FPDAM5/FDAM 5 の審
議・投票を行った.さらに,MPEG -JPEG の共通ファ
イルフォーマットを規定するパート 12 においては,
動的に更新されるメタデータの格納方法,およびアス
ペクトレシオなど画像属性情報の記述フィールドを
追加規定する FPDAM 1/FDAM 1,本メディアフォーマ
ットで格納したデータを複数同時配信するにあたり,
伝送プロトコルへのマッピングを補助するデータで
あるヒントトラックおよび,複数のメタデータを格納
するデータ形式,ストリーミングサーバに対する命令
を新たに規定する PDAM 2/FPDAM 2 を審議し投票した.
その他にも,AVC ファイルフォーマットに関して階層
符号化拡張のサポートを規定するパート 15 の PDAM 2,
アニメーションにおける 3 次元メッシュ構造の表現
方法,および影の表現など照明条件に関する拡張を規
定するパート 16 の FPDAM 1,フォント圧縮に関する
パート 18 の DCOR 1,携帯端末向けの簡易版シーン記
述を規定するパート 20 における DCOR 1 および簡易版
スケーラブルベクターグラフィクス(SVGT)1.2 版のサ
ポートに関わる FPDAM1,MPEG Java を用いてオブジェ
クトを描画する際の拡張であり 2 種類の描画 API を用
いた場合のプレーヤ動作を規定するパート 21 の FDIS,
True Type フォントの拡張版でユニコードをサポート
したフォント・フォーマットを規定するパート 22 の
FCD/FDIS に関して審議し投票を行った.
ビデオ関連においては,MPEG-4 パート 2 関連にお
いて,逆離散コサイン変換(IDCT)精度の参照先を
IEEE 1180(失効)から ISO/IEC 23002-1 への変更を
主とする修正 DCOR 2,映像データが用いる色空間を
示す情報について追加規定を行う FPDAM 3 の審議・投
票を行った.
一方,MPEG-4 パート 10 の AVC 関連では,
映像データが用いる色空間を示す情報および映像の
アスペクト比の定義について追加規定を行う FPDAM 1,
AVC を放送などハイエンドの業務用に 4:4:4 クロマ
フォーマットおよび 14bit の bit depth まで拡張する
PDAM2/FPDAM2,AVC に基づく階層符号化(SVC)に関す
る拡張について規定する PDAM3/FPDAM3 の審議・投票
を行った.
MPEG-4 適合性試験に規定するパート 4 に関しては,
IDCT 精度に関する変更
(MPEG-4 Visual の Corrigendum,
IEEE 1180 から ISO/IEC 23002-1 への変更)に対応す
る DCOR 2,AVC のコンフォーマンス検証方法規定であ
る Amd.6 の DCOR 1,AVC Fidelity Range Extensions
のコンフォーマンス検証方法規定である Amd.9 の
DCOR 1,モーフィング及びテクスチャに関する試験項
目を追加規定する FPDAM12/FDAM 12,MPEG Java を用
いてオブジェクトを描画する際の拡張を定めたパー
ト 21 の MPEG-J 描画機能拡張に対応した試験を規定す
る FPDAM 16,テキストのストリーム伝送とフォント
などの装飾および 2D グラフィクスに関する適合試験
への追加を規定する FPDAM 17,ファイルフォーマッ
ト規定のためのコンフォーマンス試験 PDAM 24,携帯
端末向けの簡易版シーン記述フォーマット(LASeR)及
び LASeR stream, ビデオ,オーディオなど,シーン
を構成する ES の多重化フォーマットのためのコンフ
ォーマンス試験 PDAM 25 の審議・投票を行った.
MPEG-4 参照ソフトウェアに関するパート 5 では,
モーフィング及びテクスチャに関する参照ソフトウ
ェアを追加規定である FPDAM 9/FDAM 9,MPEG-J 描画
機能拡張に対応した参照ソフトウェアを規定する
FPDAM 11,MPEG-4 および Motion JPEG 2000 などコ
ーデック依存部分の拡張を加えたファイルフォーマ
ットの参照ソフトウェアを規定する FPDAM 12 の審議
投票を行った.
MPEG-C 関係では,8x8 ブロックの逆離散コサイン変
換(IDCT)について IEEE1180 失効に伴ってその整数
出力を得る精度の要求条件について規定する 23002-1
の FDIS,MPEG-1/-2/-4 ビデオ規格で利用可能な固定
小数点 8x8IDCT および DCT 変換の演算方法を規定する
23002-2 の CD,MPEG-2 システム規格を用いて伝送す
る補助映像情報として立体映像の深度情報および視
差情報の表現を規定する 23002-3 の CD/FCD の審議・
投票を行った.
MPEG-2 関連では,パート 1 システム関連において,
MPEG-4 ストリーミングテキスト及び非圧縮オーディ
オを伝送するための記述子およびバッファモデルを
拡張規定する FPDAM 1,23002-3 に記載の補助映像情
報を伝送するためにストリーム識別子・ストリームタ
イプ・補助映像情報記述子を規定する FPDAM 2,
14496-17 に規定の MPEG-4 Streaming Text および
14496-3 に規定の非圧縮オーディオの伝送に関する拡
張を規定する FDAM 1,バッファサイズのシグナリン
グに関連する修正の DCOR 1 を審議し投票を行った.
また,パート 2 のビデオ関連では,IEC 61966-2-4 に
規定されている色空間を示す情報についての追加規
定である FPDAM 2/FDAM 2 の審議・投票を行った.
新しい取り組みとしては,複数カメラの映像を効率
よく圧縮する MVC(Multiview video coding)が MPEG-4
パート 10 の Amd.4 として標準化が始まっているほか,
符号化/復号のための要素ツールを組み合わせてデコ
ーダ記述を行う RVC(Reconfigurable video coding)
も MPEG-C(ビデオ関連,23002-4)および MPEG-B(シ
ステム関連,23001-4)として進められており,Working
Draft,各種コア実験などに関する議論を行った.ま
た,ロイヤリティフリー標準を視野に入れた Dual
track approach に関す議論に対しては,その必要性
や標準化を進める上での問題点を議論し,標準化を進
めるにあたっては大多数の人々が十分に納得できる
だけの根拠が事前に示される必要があるという日本
としてのスタンスをコメントとして提出した.
2.2.3 実用化状況
MPEG-2 ビジュアルおよびシステムファイルフォー
マットは,BS/CS/地上デジタルをはじめとするデジタ
ル放送や DVD など各種情報家電で利用されている.
MPEG-4 ビジュアルは,インターネットストリーミン
グや携帯電話による双方向通信サービスなどにおけ
る映像圧縮方式として利用されている.また,最新ビ
ジュアル規格であるパート 10(AVC)については,2006
年 4 月に開始された移動体/携帯向けのデジタル放
送(ワンセグ放送)用の映像圧縮方式として利用され
ている.AVC は,次世代 DVD のビジュアル規格として
も MPEG-2 などと並んで AVC が搭載されるほか,最近
では家庭用の民生用ハイビジョンビデオカメラや,ゲ
ーム機などにも AVC が利用されてきている.さらに,
AVC はその高圧縮率性が評価され,ブロードバンドネ
ットワークを利用したビデオオンデマンドサービス
やライブ中継サービス用や,IP ネットワークを利用
する IPTV 映像配信サービス向けの経済的な映像圧縮
方式として大きく期待されており,地上デジタル放送
の IP 再送信用圧縮方式としても検討が進められてい
る.AVC 規格は放送・家電・通信の分野での今後の主
力規格として,H.264 の高効率な符号化性能を十分引
き出せるような LSI,装置,ソフトウェアの開発が各
社で進んでおり,今後さらに大きな市場を創出してい
くことが期待される.
2.2.4 今後の課題
システムおよびビジュアルにおいては今後も多く
の Amendment の審議が予定されており,これらに対し
て日本として適切に対応していく.スケーラブルビデ
オ符号化 SVC については,2007 年度中に最終草案が
予定されており,それに向けてプロファイル議論を中
心として収束が図られる予定で,本委員会としても最
終技術仕様に向けた議論が重要となる.さらに,細か
い画質スケーラビリティを可能とする FGS やビット
深度のスケーラビリティを中心として,新しいフェー
ズで議論が継続される可能性が残されており,これら
の動向を把握し議論していくことも課題である.また,
マルチビュービデオ符号化 MVC についても,2007 年
度中に最終草案が予定されており,コア実験に関する
議論や技術仕様への適切な対応が重要である.AVC の
Amendment として 4:4:4 などのプロフェッショナル対
応についても,2007 年度に最終投票が予定されてお
り文書内容に関してのレビューが重要な課題となる.
RVC についても 2007 年度には本格的に標準化技術の
仕様が絞り込まれ 2008 年4月には最終仕様策定の予
定になっている.新たに標準が進められたものに対し
ては,関連するコンフォーマンスや参照ソフトウェア
の標準が,また,ロイヤリティフリーの標準方式議論
に関しては,日本としてのスタンスも含めて慎重な議
論が必要と考えられ,標準化会合での動向を見極めつ
つ対応を議論していく予定である.
2.3 WG 11/Audio(MPEG Audio,オーディオ符号化)
2.3.1 開催会議および日本からの出席者数
会
期
場
所
出席者数
2006-04-03/07 モントルー(スイス) 6 名
2006-07-17/21 クラーケンフルト(オーストリア)
5名
2006-10-23/27 杭州(中国)
4名
2007-01-15/19 マラケシュ(モロッコ) 4 名
2.3.2 活動内容
下記の投票を行った.
ISO/IEC 13818-7:2006/PDAM 1
ISO/IEC 13818-7:2006/FPDAM 1
ISO/IEC 14496-3:2005/PDAM 5,PDAM 6,PDAM 7,
PDAM 8,PDAM 9
ISO/IEC 14496-3:2005/FPDAM 1,FPDAM 5,FPDAM 7
ISO/IEC 14496-3:2005/FDAM 1
ISO/IEC 14496-4:2004/PDAM 14,PDAM 15,PDAM 18,
PDAM19,PDAM 20,PDAM 29
ISO/IEC 14496-4:2004/FPDAM 13,FPDAM 14,
FPDAM 15,FPDAM 18
FPDAM 19, FPDAM 20
ISO/IEC 14496-4:2004/FDAM 11,FDAM 13
ISO/IEC 14496-5:2001/PDAM 16
ISO/IEC 14496-5:2001/FPDAM 10
ISO/IEC 14496-5:2001/FDAM 10
ISO/IEC FCD 14496-23
ISO/IEC DTR 23000-1
ISO/IEC FDIS 23000-2
ISO/IEC FCD 23003-1
ISO/IEC FDIS 23003-1
ISO/IEC 23003-1:2006/PDAM 1,PDAM 2
他 DCOR 投票 5 件
これらの標準は主に MPEG-4 の拡張規格で無歪音響符
号化, 低遅延 AAC,立体音響符号化に関連する.立体
音響符号化は MPEG-D (ISO/IEC 23003-1) として標準
化された.メディアフォーマットに関連する
MPEG-A(ISO/IEC 23000-1,2) は他小委員会と協同で
標準案審議にあたる.無歪音響符号化や立体音響符号
化の策定には日本の機関が重要な貢献をしている.
2.3.3 実用化状況
日本国内向け衛星および地上波デジタル放送のオ
ーディオ伝送方式には MPEG-2/AAC が,ワンセグ放送,
衛星デジタル音声放送では,MPEG-2/AAC+SBR が採用
されサービスが行われている.またインターネットや
無線通信の配信,携帯音楽プレーヤにも,MPEG-4 AAC
や HE AAC (High Efficiency AAC profile)が採用さ
れ始めている.
2.3.4 今後の課題
無歪音響符号化, 立体音響符号化などのオーディ
オの拡張規格,修正に関する提案や投票を行い,標準
を策定する予定である.
2.4 WG11/MPEG-7(マルチメディア内容記述インタフ
ェース)
2.4.1 開催会議および日本からの出席者数
会
期
場
所
出席者数
2006-04-03/07 モントルー(スイス)
2名
2006-07-17/21 クラーケンフルト(オーストリア)
1名
2006-10-23/27 杭州(中国)
3名
2007-01-15/19 マラケシュ(モロッコ) 2 名
2.4.2 活動内容
MPEG-21,MPEG-A,MPEG-B 規格含め,2006 年度は下
記の MPEG-7 関連投票について投票案審議,並びに対
応を行った.
MPEG-7 (ISO/IEC 15938)
15938-3 AMD1/DCOR 2
15938-4 FDAM 2
15938-5 PDAM 3
15938-6 PDAM 2,FPDAM 2
15938-7 FPDAM 2,PDAM 3,FPDAM 3,PDAM 4
15938-8 DAM 2,PDAM 3
15938-10 DCOR 1
MPEG-21 (ISO/IEC 21000)
21000-7 FPDAM 2
21000-17 FDIS
MPEG-A (ISO/IEC 23000)
23000-3 FCD
23000-4 CD,FCD
MPEG-B (ISO/IEC 23001)
23001-1 PDAM 1,FPDAM 1,PDAM 2,DCOR 1
23001-2 CD
MPEG-7 (ISO/IEC 15938) は,映像・音声をはじめと
するマルチメディアコンテンツの内容を記述するた
めの枠組みを規定した規格である.現在 11 のパート
から構成され,記述データの語彙やその構文法を規定
し,ディジタルライブラリやマルチメディア検索・編
集などのアプリケーションの開発,普及に寄与するこ
とを目的とする.2006 年度は,パート 4/Amd.2 の規
格化に対応した.パート 4 は音響信号を特徴量形式
で記述する音響記述データ規格であり,Amd.2 では音
楽検索や楽曲推薦等に利用可能な音楽のリズムやコ
ードに関する記述ツールを追加した.また,パート 5
/Amd.3 の規格化に対応中である.パート 5 はマルチ
メディアコンテンツ全般に係る記述ツール・記述デー
タの規格であり,Amd.3 では場所記述の一要素である
地理的位置記述に「精度」
(メートル単位の位置精度)
,
「型」(面/線/点といった位置関係)属性を追加する
拡張を行っている.この他,上記パート 5/Amd.3,
及びパート 1,3 の各 Amd.(2005 年度に規格化)に
関連しパート 6∼8 の Amd.を規格化中である.パート
6 は参照ソフトウェア,パート 7 はコンフォーマンス
試験規定,パート 8 は記述データの抽出・利用方法
を記載した TR である.またパート 8 では,既存のパ
ート 3 映像記述データを組合せて実現するデジタル
写真管理方法を Amd.3 として規格化中である.
MPEG-21 (ISO/IEC 21000) は,デジタルアイテムの
管理・利用に係る各種の記述ツールを規定する.2006
年度は,パート 17 の規格化に対応した.パート 17
はマルチメディアリソースの部分的な参照を可能と
するポインタ記述形式の規格であり,MPEG-7 の記述
ツールを一部利用している.また,パート 7/Amd.2
規格化に対応中である.パート 7 は端末能力や利用
者の嗜好により再生コンテンツを適応的に変換する
ための記述ツール規格であり,Amd.2 ではストリーミ
ング等動的に変動する環境に対応したリアルタイム
適応化に必要な記述ツールを追加している.
MPEG-A (ISO/IEC 23000)は,MPEG 規格の各種ツー
ルを組合せ,MAF(Multimedia Application Format)
と呼ばれる MPEG 標準のアプリケーションフォーマッ
トを規定する.2006 年度は,パート 3,4 の規格化に
対応している.パート 3 はデジタルフォトライブラ
リ向けのアプリケーションフォーマット,パート 4
は音楽スライドショー向けアプリケーションフォー
マットであり,管理ツールとして MPEG-7 の記述ツー
ルを利用している.
MPEG-B (ISO/IEC 23001) は,各種の MPEG 規格で共
通して利用可能とされる MPEG 標準のシステムツール
を規定する.2006 年度は,
パート 1/Amd.1 及び Amd.2,
パート 2 の規格化に対応している.パート 1 は XML
文書のバイナリ圧縮技術規格であり,内容は MPEG-7
のパート 1 で規格化済の BiM (Binary format for
Multimedia descriptions) と 同 一 の も の で あ る .
Amd.1 ではコンフォーマンス試験規定と参照ソフトウ
ェア,Amd.2 では接頭辞表記とワイルドカード要素の
符号化に係る規定を追加する.パート 2 は XML 文書
を細かな単位(フラグメント)に分離し扱うマルチメ
ディア検索等のシステムにおいて,フラグメントを遣
り取りする際に利用されるフラグメント要求ユニッ
トの構文及び要素の語彙を規定する.
2.4.3 実用化状況
前述の通り,MPEG-21 や MPEG-A 規格において MPEG-7
で規定した記述ツールが採用済あるいは採用検討中
とされている.また,MPEG 外では,WG 1 (JPEG) の
検索技術標準化 JPSearch プロジェクトとの連携の他,
米国 CEA (Consumer Electronics Association) や欧
州 DVB (Digital Video Broadcasting) 規格で MPEG-7
記述データを一部採用する動きがあり,また,OMA
(Open Mobile Alliance) や W3C (World Wide Web
Consortium) ,DVB 等で,MPEG-7 で規定した XML 文書
のバイナリ圧縮技術 BiM(現在は MPEG-B パート 1)
を EPG 等のデータ圧縮に利用する動きがある.
2.4.4 今後の課題
前述の通り,幾つか実用化の動きはあるものの,
MPEG-7 規格はまだ本格的普及という段階には至って
いないというのが現状である.これには,MPEG-7 が
高い汎用性を持って作られた規格である反面,使い方
がわかりにくい/定まっていないという面が少なか
らず影響していると思われる.
そのような中,2006 年度の新たな動きとして,
MPEG-7 クエリフォーマットの規格化が始まった.こ
れは,MPEG-7 記述データを利用したマルチメディア
検索における入/出力フォーマット並びにクエリ(検
索条件)の管理に関する規格であり,WG 1 (JPEG) の
JPSearch プロジェクトとも連携して規格化が進めら
れる.2006 年 10 月に提案募集され,2007 年 1 月に応
募提案技術の第1回評価を実施,MPEG-7 の新規パー
ト 12 として 2008 年の国際規格成立を目指す.この
MPEG-7 クエリフォーマットの規格化が今後の MPEG-7
本格普及の後押しになると期待され,2007 年以降の
標準化審議に対応していく.
2.5. WG11/ OICI(MPEG 知財コンテンツ情報)
2.5.1 開催会議および日本からの出席者数
会
期
場
所
出席者数
2006-04-03/07 モントルー(スイス)
9名
2006-07-17/21 クラーケンフルト(オーストリア)
5名
2006-10-23/27 杭州(中国)
5名
2007-01-15/19 マラケシュ(モロッコ) 5 名
2.5.2 活動内容
昨年度,SC 29/WG 11/MPEG 知財コンテンツ情報小
委員会(以下 OICI 小委員会)は MPEG-21 の主要要素
に加え, MPEG-A,MPEG-B,MPEG-E の中の多くのパー
トの標準案審議を担った.これらの標準案は様々な技
術分野にまたがっており,本小委員会は縦断的にこれ
らに対応した. MPEG-21 パート 4 (IPMP Components),
パート 15 の標準化作業が完了し,これらを含め CD 7
件,FCD 4 件,FDIS 2 件,DCOR 1 件, FPDAM 4 件の投
票案を作成した.
なかでも,MPEG-A(ISO/IEC 23000-x),MPEG-B (ISO/IEC
23001-x), MPEG-E(ISO/IEC 23004-x)の標準化が活発
化した.これらは元々本小委員会が担当していた分野
をかなり超えており,今後いかにしてこれらの標準案
を技術的に適切に審議可能とするかが課題となって
いる.
OICI 関連の標準では日本は 2 名のエディタを引き
受けている.OICI 小委員会から MPEG 会合への参加者
は若干減少し,来年もこの傾向が続くと予想される.
2.5.3 実用化状況
MPEG 内では MAF の整備によって,具体的な利用状
況における MPEG-21 や IPMP 等の具体的な利用方法の
検討が進んだ.しかしこれらは想定上の設計例であり,
実際の商用利用は現状ではごく少数にとどまる.
2.5.4 今後の課題
いわゆるデジタルコンテンツ流通という分野では
オンデマンド放送,映像共有,音楽配信など新しい応
用が既存メディアを脅かす勢いで成長しており,標準
化テーマが膨張する傾向にある.一方でこの分野の
MPEG 標準の実用化例はまだ少なく,また日本企業が
標準化に費やせるエネルギーも限られている.重要度
に応じて限られた資源を効率的に使った標準化活動
が求められる状況にあると思われる.
■ SC 31 専門委員会(自動認識およびデータ取得技
術 / Automatic Identification and Data Capture
Techniques)
委員長
柴田 彰((株)デンソーウェーブ)
1. 概要
SC 31 は自動認識及びデータ取得技術を標準化の対
象としている.具体的には,1 次元シンボル,2 次元
シンボル,RFID 及びその関連機器の標準化を分担し
ている.SC 31 の議長及び事務局は米国が担当し,P
メンバ 30 カ国,O メンバ 9 カ国で構成されている.
SC 31 は下部組織として,WG 1∼WG 5 の 5 つのワーキ
ンググループがあり,WG 1(データキャリア)は 1 次
元シンボル及び 2 次元シンボル,WG 2(データストラ
クチャ)はデータキャリア(1 次元シンボル,2 次元
シンボル,RFID)へのデータの格納構造及び格納方法,
WG 3(コンフォーマンス)は 1 次元シンボル及び 2 次
元シンボルの印刷品質及び機器の試験方法を担当し
ている. WG 3 には RFID のコンフォーマンスとパフォ
ーマンス試験方法を分担する SG 1 がある.WG 4 は RFID
を担当し, 3 つの SG(SG 1,SG 3,SG 5)と電波法に関
連した規定類を分担するラポータグループ(REG)が
ある.WG 5 (RTLS)は RFID の応用である物の位置情報
を得る,リアルタイムローケーションシステムを担当
している.2006 年の SC 31 総会はモスクワで 5 月 25
日∼26 日に開催された.参加国は 13 カ国,関連機関
は 2 機関で事務局を含めると 40 名が参加し,日本か
らは 5 名が参加した.設立当初(1996 年)から議長
を勤めた Alan Haberman の最後の総会となる予定であ
ったが,直前の体調不良で参加できなかった.次期議
長候補の Charles Biss が代行を務めた.多くのプロ
ジェクトエディタの指名,新規リエゾンの構築,次期
議長として Charles Biss の推薦を行った.日本は WG
2,WG 4/SG 5 のコンビーナを担当し,WI15459-6,
WI24720,WI24791-2 のプロジェクトエディタを分担
している.日本提案規格は以下の状況である.
・ 商品用ユニーク識別(15459-4)IS
・ 商品群用ユニーク識別(15459-5)FDIS
・ FDIS ダ イ レ ク ト マ ー キ ン グ ガ イ ド ラ イ ン
(24720)DTR
・ RFID データマネージメント(24791-2)WD
2006 年はワーキンググループも含めた SC 31 全体
では 21 回の国際会議が開催され,日本からは全ての
会議に延べ 103 名を派遣した. 日本での国際会議は
2006 年 3 月に京都で,WG 1,WG 2,WG 3,WG 3/SG 1,
WG 4,WG 4/SG 3,WG 4/SG 5 などの会議を開催した.
参加人数は延べ 231 名に達した.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(Data Carrier)
WG 1 は,新たなプロジェクトとして 2 次元シンボ
ル Aztec Code(NP 24778)の審議を開始した.EAN/UCC
コンポジット(24723),マイクロ PDF-417(24728)及び
RSS(24724)の規格が新たに制定された.5 年目の見直
しが完了した 3 つの 2 次元シンボル規格,
PDF-417(15438) , QR コ ー ド (18004) 及 び
DataMatrix(16022)が,第 2 版として制定された.シ
ンボル識別子(15424)の 5 年目の見直し作業において,
RFID を示す文字の割当ては"r"と決定したが,内容詳
細はリエゾンである AIM に専門家としての検討を依
頼することになった.CD 投票 3 件 ,FCD 投票 3 件,
FDIS 投票 5 件を行った.
2.2 WG 2(Data Structure)
ユニーク識別子の構造と登録手続き規格である
15459 シリーズの Part 1 から Part 4 までは 2006 年 3
月に IS が発行されているが,引き続いて米国から提
案された Part 5(繰返し利用容器のユニーク識別)
と,日本提案である Part 6(商品群のためのユニー
ク識別)の 2 件は,2006 年 4 月と 10 月に FCD 投票が
行われ,その後の BRM も問題なく終了し,現在 FDIS
投票(∼2007-05-02)が行われている.
また,15459 シリーズは,新たな Part 提案の際に
タイトルのハーモナイズを十分に配慮していなかっ
たこともあり,Part 5 の BRM (FCD 投票)で,それ
が話題となった.9 月の Graz 会議でタイトルのハー
モナイズについて検討が行われた.どのようにハーモ
ナイズさせるかについて日本も提案を行い,日本提案
に近い形で Part 全体のタイトル構造統一が図られる
事となった.
WG 2 の主要な規格の一つに,15434(大容量 AIDC
情報媒体のシンタックス)がある.AIDC 情報媒体が
多種類に分化しデータ記録形態も多様化する中,これ
からの AIDC 情報媒体として注目されている RFID では,
この規格と十分に整合しないシンタックスの検討も
進められている.AIDC 情報媒体が,アプリケーショ
ンから見て,どれも同様に取り扱えるような仕組みを
維持しないと,システムの運用が複雑になり,普及の
阻害要因にもなる.今後は,AIDC 情報媒体全てが共
通に運用できるよう,この規格をどのように適用して
いくかの検討が重要なテーマになると考えられる.
FCD 投票 3 件 ,FDIS 投票 3 件,IS 発行 1 件を行った.
2.3 WG 3(Conformance)
WG 3 は,前コンビーナである Biss(米)の SC 31
議長への就任に伴い,新たに Barkan(米)を選出し
た.日本提案のダイレクトマーキングの指針(TR
24720)の 1 回目の DTR 投票は,規定により通過した
が,投票後のパリ会議で新たなコメントが米国から出
され,議論の結果,それらのコメントも反映して,再
度 DTR 投票を行うことになった.2 次元シンボルの検
証器(15426-2)及びスキャナ&デコーダ(15423)の
5 年目の見直し作業を進めた.2 次元シンボルの印刷
品質評価仕様(15415)の内容について修正が必要と
の意見が出され,検討を進めている.日本から NP 提
案予定の,「書換え可能な目視媒体」について,パリ
会議において,プロジェクトの概要の説明及び実際の
書換えのデモを実施し,理解を得た.DTR 投票 1 件 ,
その他の投票(5 年見直しの 5 件含む)8 件を行った.
WG 3/SG 1 は,WG 4 で審議している RFID と WG 5 で審
議している RTLS のパフォーマンスとコンフォーマン
ス試験方法をまとめている.RFID のパフォーマンス
試験方法(TR 18046)については IS 化を進めるとと
もに 3 分割して,システム/リーダライタ/タグにつ
いて,より詳細な試験方法の規定を進めている.コン
フォーマンス規格である 18047 はエアインタフェー
ス規格 18000 の改訂に対応した内容の修正を進めて
いる.また,2.45GHz の RTLS のコンフォーマンス試
験方法(24769)についての審議を開始した.NP 投票
2 件, FCD 投票 1 件,FDIS 投票 1 件を行った.
2.4 WG 4(RFID)
WG 4(RFID)は,RFID の審議を担当し,SG 1(アプリ
ケーションインタフェースプロトコル)
,SG 3(エアイン
タフェース)
,SG 5(RFID 導入ガイドライン)からなる.
SG 1 では,ホストとリーダライタ間のアプリケー
ションコマンドを規定する 15961 をマルチパート化
し,パート 2 で規定するデータ構造登録機関として,
投票により NEN(オランダ規格協会)を決定した.ま
た,新たにソフトウェアシステム基盤(24791)の審
議を開始し,ホストとリーダライタ間のデータ管理/
デバイス管理,デバイスインタフェース,セキュリテ
ィの審議を開始した.
SG 3 では,タグとリーダライタ間のエアインタフ
ェースを改訂し,電池補助とセンサ機能の追加を進め
ている.また,新たに提案された Tag Talks First 方
式については,既存の RFID システムや携帯電話への
影響が懸念されたため NP 投票で反対票を投じ,結果
として投票で否決された.
SG 5 では,RFID のラベル化やリサイクル性及びリ
ーダライタの設置方法などの審議を進めている.NP
投票 2 件, CD 投票 5 件,FCD 投票 1 件,FDIS 投票 1
件を行った.
2.5 WG 5(RTLS)
2004 年 3 月の Ad hoc 会議での審議を受け,同年 6
月の SC 31 の総会で正式に承認されて, 規格化作業が
開始された. RTLS は主として米国の自動車業界で,
工場や新車の積み出し埠頭での自動車などのロケー
ション管理に広く利用されている. そのため, 自動
車業界の委員会 (AIAG) が作成した ANSI 規格を基礎
とし, もう一方の大手ユーザである米国国防総省が
セクレタリをしている,したがって, 審議のスピード
は非常に速い.しかし,日本では電波法上使用できな
いこともあり,関心が非常に薄い.
RTLS で用いる RFID は WG 4 で審議されているパッ
シブタイプ(電池なし)ではなくアクティブタイプ(電
池内臓)であるため交信距離は 100 メートル以上にも
なる.日本では 300 MHz 帯で電波法規制外の微弱によ
る製品が提供されているが, 交信距離は 10 メートル
程度である.WG 5 での提案周波数は 433 MHz と 2.4 GHz
であるが,433MHz は日本では,コンテナ用途に限定し
て使用可能である.2.4 GHz は帯域幅が 60MHz あるた
め日本では使用できない.24730-1(API:Application
Program Interface ) は IS が 発 行 さ れ , 24730-2
(2.4GHz)も IS が発行された.24730-3(433MHz)につ
いてはプロジェクトエディタがいったん降りたため
審議が中断したが,ようやく 2007 年春に CD 投票が開
始される予定である.
24730-4(GLS:Global Locating System)は NP 提
案され,CD 作業が開始された.この規格によりロー
カルエリアシステムが GPS システム等と連動が可能
になり緯度,経度と連動したグローバルシステムにな
る.FDIS 投票 2 件,IS 発行 2 件を行った.
■ SC 32 専門委員会(データ管理および交換/Data
Management and Interchange)
委員長
芝野 耕司(東京外語大学)
1. 概要
今年度中に SC 32 総会は開催されておらず(前回の
第 10 回 SC 32 総会は 2006 年 3 月 27 日∼31 日に神戸
で開催),次回の第 11 回 SC 32 総会は 2007 年 7 月 16
日∼20 日にニューヨークで開催予定である.
本年度の IS 出版が 3 件,FDIS 投票が 7 件,FCD 投
票が 10 件,CD 投票が 13 件,NP 投票が 0 件であった.
SC 32 では,XML を基盤とするメタモデル,データ
管理の開発が推進されると,各 WG で共通する課題も
多く,共同で開発を行うべき項目も含まれている.WG
間で共通する開発課題(メタモデル関連,XML 関連)
を SC 32 & WG 合同で開発内容の明確化,開発分担な
どを議論しつつ開発を推進する.具体的には,将来の
データベース要件及びデータベースセキュリティに
関する開発方向性を議論するワークショップ
(2007/2/5-8)を WG 2/WG 3/WG 4 の合同で開催して,
今後の対処方針を取り纏めるなど各 WG 横断的な活動
を推進している.
また,WG 1(e-ビジネス)関連では,この数年間,
リソース不足のために審議が停滞気味であった
ISO/IEC 15944 シリーズのうちの Part 2,4,5 が,
2006 年度には一気に IS 化まで漕ぎつけ,これまで凍
結状態にあった Part 3 の審議が再開できる状態とな
った.また,その間でプロジェクト分割により新たに
開始された Part 6 及び Part 7 についても,2 年以内
には,審議が終結する見込みである.今後の e-ビジ
ネス関連の標準化対象は,技術規格からコンテンツそ
のものの標準化へ焦点が移される傾向にあり,標準化
の体制面でも大きな見直しが迫られる状況にあるよ
うにうかがわれる.WG 2(メタデータ)関連では,
ISO/IEC 11179 規格の第 3 版が CD 期限を超過し,神
戸会議(2006 年 3 月)で再登録が行われた.ハンツ
ビル中間会議(2006 年 10 月)を経て引き続き審議が
行われている.メタモデル関係では,メタモデル相互
運用枠組み規格(ISO/IEC 19763)群の第 1 部,第 3
部について FDIS に漕ぎつけることができた.第 2 部,
第 4 部については,FCD と 2ndCD の段階にあり引き続
き,審議を継続している.WG 3(SQL)関連では,セキ
ュリティ対応など産業界で実応用に資する機能をサ
ブプロジェクトとして提案し,神戸会議で研究期間
(Study period)として承認されて次回のニューヨー
ク総会での WD 化を目指して活動を開始している.WG 4
(SQL マルチメディアアプリケーションパッケージ)関
連では,では,SQL/MM の新たなサブプロジェクトと
して,SQL データベース上で履歴データを扱えるよう
にする Part 7: History を 2005 年 4 月のベルリン会
議で正式に日本から提案し,現在,CD の審議を継続
している.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(eBusiness)
(1)経緯
今年度は,15944 シリーズ(Business Agreement
Semantic Descriptive Techniques ) の Part 2
(Registration of Scenarios and their Components)
,
及び Part 4(Accounting and Economic Ontology)
, 並
びに Part 5(Identification and Mapping of Various
Categories of Jurisdictional Domain)の FDIS 投票を
終え, 昨年春のベルリン会議にてプロジェクト分割が
行 わ れ た Part 6 ( Technical Introduction of
e-Business Modeling)も 2nd PDTR 投票まで進んだ.
さらに秋のロンドン会議においては,新たに Part 6
(eBusiness Vocabulary)のプロジェクト分割も行わ
れた.余勢を駆って,これまでリソース不足のために
審議凍結としていた Part 3(Open-edi Description
Techniques)の審議再開の可能性も議論され,これま
での審議停滞状況を一気に脱するに至った.
(2)開発状況
Part 6 は,もともと Part 4 に含まれていた電子取
引のビジネスモデリングの技法を,別途 TR 規格に分
離したものであるが,そのベースドキュメントを提案
した日本(森田)がエディタを担当している.すでに
2nd PDTR の状態にあり,2007 年度内には,審議完了
となる見込みである.一方,Part 7 は,15944 シリー
ズに登場する英語の用語定義に対し,仏語,中国語,
その他の参加国の訳語をできるだけ広範に収録した
ものを規格化しようとするものである.日本としては,
それを SC 32 のスコープに含めることには疑問がある
ため,プロジェクト分割の時点から,否定的な立場を
とってきているが,カナダが,米国や中国等の賛同を
得て,審議を継続している.また,この数年間エディ
タ(米)の都合により,審議凍結の状態にあった Part
3 は,他の Part の審議完了により手すきとなった米
国の別のエディタが作業を引継ぎ,審議再開の可能性
を探ることとなった.
(3)今後の取り組み
15944 の審議は,
この数年間,
進捗が思わしくなく,
停滞気味であったが,リソース制約を踏まえた審議ス
ケジュールの見直しと,電話会議による審議の補足を
行うなどの対策をとることにより,大幅な進捗改善が
達成できた.残りの Part 6 及び Part 7 もほぼ 1 年内
に審議完了の見通しであり,あとは Part 3 の審議再
開のメドが立ちさえすれば,1∼2 年内に,15944 シ
リーズ全体の IS 化が完了する見込みである.
2.2 WG 2(Meta-data)
(1)経緯
WG 2 は,データ要素の管理属性,命名規則及び登
録などに関する規格シリーズ(ISO/IEC 11179,MDR:
Meta Data Registry),モデルや情報の連携を促進す
る た め の 規 格 シ リ ー ズ ( ISO/IEC 19763, MFI :
Metamodel Framework for Interoperability:「メタ
モデル相互運用枠組み」
),さらにロジック記述法とし
て(ISO/IEC 24707: A Framework for a Family of
Logic-Based Languages),などの規格化と保守を担当
している.2002 年 5 月から,日本,中国,韓国,英
国,及びカナダによる 5 カ国共同プロジェクトにより
進められてきた「メタモデル相互運用枠組み(ISO/IEC
19763)
」規格シリーズの一部が国際規格として成立し
た.2006 年度は,2006 年 8 月 MFI スタディピリオ
ドプロジェクト会議,2006 年 10 月にハンツビル中間
会議を持った.
(2)開発状況
(a)ISO/IEC 11179 規格改定関係
第 3 版を目指して改訂作業中である.しかし,その
中核となる第 3 部(ISO/IEC 11179-3 3rd Edition)
については, CD 化期限を超過して 2006 年 3 月の神
戸会議で再提案となった.米国の XMDR プロジェクト
の成果を取り込んだオントロジ登録を目的とするメ
タモデルを審議しているが,規格改定の趣旨と範囲に
ついても議論が多く,依然として状況は進んでいない.
(b)ISO/IEC 24707 規格関係
2004 年に米国から提案された論理記述仕様の規格.
2004 年 5 月に WD 登録,2005 年 4 月ベルリン会議で
CD 登録,2005 年 9 月トロント会議で FCD,2006 年 3
月の神戸会議で FDIS 投票の承認を得たが,投票は未
だ行われていない.
(c)ISO/IEC 19763 規格関係
ISO/IEC 19763(MFI: メタモデル相互運用枠組み)
規格は,e ビジネスなどの分野で,モデルや情報要素
の登録と共有を進めるための規格群である.第 1 部か
ら第 4 部で構成され,2003 年 5 月にプロジェクト発
足.それぞれ次のような共同編集体制をとっている.
第 4 部については,2006 年 3 月の神戸会議から中国
の参加要請により共同編集体制となった.
(i)第 1 部:参照モデル(共同編集:日本,英国)
:規
格成立
規格全体の概念と狙いを明らかにし,併せて,規格各
部分の開発の在り方などを述べたもの.2006 年 11 月
FDIS 投票の結果,2007 年 2 月 1 日付けで IS となった.
(ii)第 2 部:コアモデル(共同編集:日本,韓国)
OMG の MOF/XMI をベースにその拡張として登録のメ
カニズムを提供するものである.2003 年 10 月のメル
ボルン会議で CD 登録し,2005 年 4 月のベルリン会議
で 2nd CD,2005 年 9 月のトロント中間会議で 3rdCD
となり,2006 年 3 月の神戸会議で FCD となった.
(iii)第 3 部:オントロジ登録のためのメタモデル(共
同編集:日本,中国):規格成立
第 2 部のコアモデルをベースに,ドメインごとのオン
トロジ登録のためのメタモデルを規格化するもの.本規
格開発は,特に中国との共同作業を展開するとともに,
OMG の ODM(Ontology Descriptive Metamodel)チーム
とも連携して作業を進めている.2006 年 11 月 FDIS 投
票が行われ,2007 年 3 月 1 日付けで IS となった.
(vi)第 4 部:モデルマッピングのためのメタモデル
(共同編集:日本,中国)
同じく第 2 部をベースに,異なるモデル間の対応付
けと変換ルール登録を目的とするメタモデルを規格
化する.OMG の QVT(Query View Transformation)プ
ロジェクトと連携している.第 3 部と同様,2004 年 5
月西安会議で WD を提出したが,2005 年 4 月のベルリ
ン会議で CD 登録となり,2006 年 3 月の神戸会議で 2nd
CD となった.
(v)MFI スタディピリオドプロジェクト
2006 年 3 月の神戸会議で,ISO/IEC 19763 の拡張に
関するスタディプロジェクトが設定された.プロジェ
クトは,中国からの 2 件の提案,「オントロジの進化
と管理」及び「プロセス登録」に関するもので,2006
年 8 月,そのためのプロジェクト会議を武漢(中国)
で開催した.その結果,「オントロジの進化と管理」
については ISO/IEC 9763 第 3 部の第 2 版として WD を,
次回総会(2007 年 7 月)までに準備することとなっ
た.また,「プロセスモデル登録」については,引き
続きスタディを進めることとした.
(3)今後の取り組み
日本主導で中国・韓国との連携による ISO/IEC
19763(MFI: メタモデル相互運用枠組み)規格群の一
部の IS 化が実現した.しかし,その適用と利用を促
進するためには,実装事例の創出など規格の普及活動
と合わせて,適用ガイドや「登録」そのものに関する
新たな規格も必要となる.2007 年 7 月のニューヨー
ク総会には,新たに ISO/IEC 19763 第 6 部「登録手続
き」を提案すべく準備を進めている.
2.3 WG 3(データベース言語)
(1)経緯
WG 3 で は デ ー タ ベ ー ス 言 語 SQL の 次 期 標 準
(SQL200x)の開発が進行しており,2006 年 3 月に FCD
投票を終えたところである.2003 年に制定された現
行の版(SQL2003)の特徴は,OLAP 向け問合せ機能の
導入,JavaTM 及び XML との連携,外部データ連携な
ど応用指向の開発にあったが,SQL200x の特徴は,XML
連携の強化(XQuery データモデルを扱うためのデー
タ型,XML 問合せ言語 XQuery と連携する問合せ),Web
アプリケーションとのシームレスな連携を目指す正
規表現サポート(Perl 仕様を基にした W3C XQeury
Function&Operator 仕様に準ずる),Binary/Varbinary
型(2 進オクテット表現)
のデータ型拡張などである.
(2)開発状況
ISO/IEC 9075-14:2005(SQL/XML:2005)では,本格
的な SQL での XML 対応のため,XQuery データモデル
に基づく XML 型, SQL 文中で XML 型データに対して
XQuery 問合せを実行するための XMLQuery 関数,XML
型のデータから表データを生成する XMLTable 関数な
ど の 仕 様 開 発 を 行 っ た . ISO/IEC 9075-14:200x
(SQL200x の Part14)でもこれをそのまま踏襲する.
SQL/XML:2005 で参照される XQuery1.0 は,2005 年 11
月にようやく勧告候補(Candidate Recommendation)
となったが,2007 年 1 月末には正式に W3C の勧告
(Recommendation)となった.
次期 ISO/IEC 9075-1,2,3,4,9,10,11,13,
14:200x の第二版 CD に対する投票が 2006 年 2 月から
5 月にかけて行われた.投票コメントの中の主に編集
上の問題を解決するため,6 月から 7 月上旬にかけて
サイバースペース会議(E3E 会議)が行われ,9 月に
はその他のコメントを解消するため,第二版 CD 編集
会議(URC 会議)が中国のウルムチで行われた.URC
会議では,INSTEAD OF トリガ,問合せ結果基数限定
機能など新規機能が導入された.この二つの会議を通
して,日本からのコメント 11 件を含めて全 326 件の
コメントはすべて決着した.日本からは,Part 13:
SQL/JRT の JIS 化作業で摘出された問題点を解決する
ための修正案を E3E 会議で提出し承認され,規格仕様
書の精度向上に努めた.
一方,2006 年 3 月に神戸で開催された SC 32 総会
において日本が行った SQL/Security に関する提案に
は,2007 年 7 月にニューヨークで行われる次回総会
までの研究期間(Study Period)が設定されている.
近年,情報システムのセキュリティへの社会的要求は
高まるばかりであるが,SQL データベースに関しては,
特に SQL インジェクションによる直接的な攻撃が深
刻化している.日本は,インジェクション攻撃の発見
の手段として監査証跡の取得機能,及び攻撃に対する
ダメージコントロールの手段としてアクセス行数制
限機能を優先課題として検討し,URC 会議において検
討状況を報告した.さらに,2007 年 2 月に米国クリ
アウォーターで開かれた SC 32 研究期間に関する会議
(TPA 会議)において,SQL/Security 開発提案書,検
討の状況報告書,及び機能提案書を入力した.TPA 会
議では,SC 32 で検討するべき課題を明確にするため,
データベースシステムを取り巻く環境面からセキュ
リティ機能要件の整理が行われた.機能要件に関わる
概念整理と階層付け,開発項目との関連付けが次回ニ
ューヨーク会議に向けての検討項目となった.
また,TPA 会議では W3C で規定される RDF の記述能
力を SQL システムで活用するための SQL/RDF が提案
された.SQL/RDF では,一般のグラフ構造を扱う点に
特徴がある.RDF は,三つ組(subject,verb,object)
で表現され,基本的には推論することで意味情報を導
き出すために利用される.これは古くに研究がなされ
た演繹データベースのアプローチに近く,例えば ICOT
の第 5 世代計算機において開発が行われていたが,演
繹的に導かれたゴールの整合性,妥当性など様々な課
題が解消されずに,実用に供することはなかった.
SQL/RDF でも,同様な課題を解消する必要があるもの
と考えられる.
(3)今後の取り組み
WG 3 では現行規格の枠組みの範疇での開発に専念
しているが,昨今の産業界でのセキュリティへの意識
の高まりを踏まえ,データベースのセキュリティ要件
に資するセキュリティ対応を新たなサブプロジェク
トとして,日本が提案する SQL/Security のような新
たな適用分野を開拓し,時代の要請及び現実の業務要
件から必須とされている技術課題に取り組むべきで
あると考えられる.TPA 会議において,ブレインスト
ーミングセッションを行った結果,SQL/Security へ
の要件分析を行う議論内容が情報共有できたので,こ
れらをブラッシュアップすることで,次回ニューヨー
ク会議での委員会草案の開発を目指して日本からの
開発貢献を継続する.
2.4 WG 4(SQL マルチメディアアプリケーションパッ
ケージ)
(1)経緯
SQL マルチメディアアプリケーションパッケージ
(SQL/MM と略称)は,マルチメディアアプリケーショ
ンで利用するデータを SQL データベースに格納し,操
作することを可能にするために,共通のデータ型及び
ルーチンのパッケージを定義する.
昨年度は,パート 1: Framework,パート 3: Spatial,
パート 6: Data Mining,パート 7: History の 4 つの
パートの標準化作業に取り組んだ.
(2)開発状況
2006 年 9 月にウルムチ会議が開催され,日本から
提案したパート 7: History の CD 投票結果のコメント
について検討が行われた.
(a) パート 1: Framework の進捗状況
パート 1 は,全パートで共通に用いられる概念,表
記法,及び規約を規定する.第 3 版では,各パートの
開発の進展(パート 3: Spatial,パート 6: Data
Mining)と,新たに開発途上にあるパート 7: History
に対応した用語や説明の追加を行っている.この第 3
版の FDIS 投票が行われ,IS(ISO/IEC 13249-1)が
2007 年 2 月 15 日に出版された.
(b) パート 3: Spatial の進捗状況
3 次元空間とトポロジのサポートを目的とする第 3
版の FDIS 投票が行われ,IS(ISO/IEC 13249-3)が
2006 年 11 月 1 日に出版された.
(c) パート 6: Data Mining の進捗状況
データ発掘技法にそった仕様の構成規定の変更や,
規則発見技法に連関規則発見のほかに順序規則発見
の規定の追加を行うことを目的とする第 2 版の FDIS
投票が行われ,IS(ISO/IEC 13249-6)が 2006 年 11
月 1 日に出版された
(d) パート 7: History の進捗状況
日本から提案したパート 7: History は,2006 年 3
月に神戸会議で CD に進めることになり,エディタを
日本が引き受けた.CD 投票の結果,日本,カナダ,
ドイツ,英国,米国から 234 件のコメントがあった.
ウルムチ会議で審議した結果,継続編集会議となった
が,主な論点は次の通りである.
(i)履歴をアプリケーションが設定できる History
Time とシステムが設定する Transaction Time を規定
していたが,最初の規格の適用範囲では,Transaction
Time に限定することになった.
(ii)履歴の Time Granularity を規定していたが,最
初の規格の適用範囲では規定しないことになった.
(iii)履歴表の仮想化を徹底することになった.これ
らにより,コメントの大半は解消される見通しである.
なお,会議では,米国,ドイツが問題としている WG3
の SQL/Temporal(2001 年 11 月のビクトリア会議で廃
止)との関係がある.この問題に関しては,
SQL/Temporal プロジェクトが廃止になった理由など
についてドイツを中心に理解が十分でないことに起
因すると思われ,今後,この解決に努める必要がある.
また,上記の SQL/Temporal との関係から米国は Part
7 プロジェクトの提案及び CD 化の審議において,終
始反対し続けてきたが,その状況に変わりはなく,今
後の進展においても予断が許されない状況である.
■ SC 34 専門委員会(文書の処理と記述の言語:
Document Processing and Description Languages)
委員長
小町 祐史(大阪工業大学)
1. 概要
1.1 担当範囲と組織構成
SC 34 は,広義の文書情報の交換に用いられる文書
データの構造記述,ハイパリンク記述, スタイル指定,
フォーマット済み文書記述およびそれらに必要なフ
ォ ン ト 情 報 に 関 す る 標 準 化 を 行 う . 議 長 は , J.
Mason(米).18 ヶ国の P メンバと 11 ヶ国の O メンバ
が参加して,次の WG が組織されている.
・ WG 1(マーク付け言語,コンビーナ: M. Bryan,
英)
SGML,XML に代表されるマーク付け言語およびそ
れに関連するサブセット,API,試験,登録など
の規格を担当する.
・ WG 2(文書情報表現,コンビーナ: 小町祐史,日)
文書のフォーマティング,フォント情報交換,
フォーマット済み文書記述およびそれらの API
を規定する規格を担当する.
・ WG 3(情報関連付け,コンビーナ: S. Pepper,
ノルウェー)
文書情報のリンク付け,番地付け,時間依存情
報表現,知識処理および対話処理を規定する規
格を担当する.
国内では,20 名の委員(オブザーバ 2 名を含む)で
構成される SC 34 専門委員会が,関連する国内意見の
とりまとめと国際への対応とを行っている.その傘下
に,6 名のメンバからなる SC 34/WG 2 小委員会と,7
名のメンバで構成される SC 34/WG 3 小委員会とがあ
り,それぞれフォント関連技術とトピックマップ関連
技術とに関する国際標準化の検討を行っている.
1.2 国際会議と参加状況
SC 34 総会および WG 1,WG 2,WG 3 会議(2006 年 5
月 29 日∼6 月 1 日,ソウル,韓): 8 ヶ国から 29 名(日
本から 4 名)が参加した.
WG 3 会議(2006 年 10 月 13 日∼15 日,ライプチヒ,
ドイツ): 8 ヶ国から 18 名(日本から 3 名)が参加
した.
WG 2 会議(2006 年 12 月 3 日∼5 日,ボストン,米):
3 ヶ国から 4 名(日本から 2 名)が参加した.
SC 34 総会および WG 1,WG 2,WG 3 会議(2007 年
3 月 22 日∼24 日,オスロ, ノルウェー): 11 ヶ国か
ら 37 名(日本から 6 名)が参加した.
1.3 投票等
・ FDIS 投票 2 件 (FDIS 13250-2,FDIS 13250-3)
・ FCD 投票 1 件 (FCD 19757-8)
・ CD 投 票 8 件 (CD 13250-5 , CD 19757-5 , CD
19757-7,CD 19757-8, CD 19757-9(SC34 N709,
SC34 N801),CD 18048, CD 24754)
・ NP 投票 1 件 (NP/TM による Dublin Core メタデ
ータ表現)
・ 規 格 出 版 5 件 (ISO/IEC 19757-3, ISO/IEC
19757-4, ISO/IEC 13250-2, ISO/IEC 13250-3,
ISO/IEC 26300)
1.4 国際委員会の主な変更点および変更理由
2006 年度には次のメンバ増加があった.これは,
ODF,OOXML 等のホットなトピックが SC 34 に加わり,
その議論への参加希望国が増えたことによると考え
られる.
P メンバへの新規参加(ブラジル,インド,カザフ
スタン,スウェーデン,スイス)
O メンバから P メンバへの変更(チェコ,デンマー
ク,ドイツ)
O メンバへの新規参加(チリ,香港,スペイン)
2007 年 2 月になってカナダから SC 34 セクレタリ
アートの辞意が発表され(JTC1 N8513),それに応え
て 3 月には日本がセクレタリアートを引き受ける用
意があることを公表して(JTC1 N8546),5 月 14 日を
期限とするデフォルト投票が行われている.反対がな
ければ,SC 34 セクレタリアートが日本に移る.
1.5 日本担当のエディタの変更
ISO/IEC 9541-1(Font Information Interchange Architecture)/Amd.4(Extension to font resource
archtecture)のエディタに,小熊新一および小町祐史
が指名された.
日本から Topic Maps Benchmark および Visual Topic
Maps の NP 提案を行うに先立ち,2 月 26 日の技術委員
会で NP 提案の承認を得ると共に,2 月 19 日の役員会
で F. Andres(国立情報学研究所)のプロジェクトエ
ディタ就任の承認を得た.しかし SC 34 におけるこれ
らの NP 処理が遅れていて,NP 投票は次年度になる予
定である.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(マーク付け言語)
(1) DSDL(文書スキーマ定義言語,ISO/IEC 19757)
XML 等で表現されるデータの構造,データ型,デー
タ制約の定義を行う DSDL に関して,2006 年度に進捗
があったパートの動向を次に示す.パート 3 とパート
4 は 2006 年 6 月に出版された.パート 5,7,8,9 に
ついては CD 投票が行われ,パート 8 は FCD に達した
が,それらの多くの規定内容にはまだ検討すべき課題
が含まれている.
a) パート 1(概要)
2006 年 4 月を期限とする FCD 投票で承認されたこ
とを受けて,コメント対処(SC34 N744)に示す変更を
組込んだ改訂キストを用意し,2nd FCD 投票にかける.
日本は FCD テキストに対して,引用規格の更新と URI
(Uniform
Resource
Identifier)
を
IRI
(Internationalized Resource Identifier)に変更す
ることとを要求した.
b) パート 2(正規文法に基づく妥当性検証−RELAX
NG)の Amd.1 の技術訂正(TC)
Amd.1 に関する TC 案(SC34 N736)を作成した後,
さらに日本から提出された誤り報告に応えて,投票の
ための TC 案を用意する.
c) パート 4(名前空間に基づく検証委譲言語(NVDL)
の技術訂正(TC))
JIS 化作業で明らかになった日本からの誤り報告に
応えて,投票のための TC 案を用意する.
d) パート 5(データ型)
DTLL(Datatype Library Language)に基づく CD テ
キストが 2006 年 5 月を期限とする投票で承認された
後,2007 年 3 月の会議で新たな技術課題が提案され
た.それを含めて FCD テキストを用意し,投票にかけ
る.日本は CD テキストに対して,漢字の digit string
を数値に変換する機能についてコメントした.
(備考)DTLL については,
http://www.jenitennison.com/datatypes/DTLL.html
を参照.
e) パート 6(パスに基づく一貫性制約)
XML のストリーミングに関する W3C の標準化作業を
DSDL のパート 6 として提案できるかどうかを検討し
ている.それが可能であれば,標題を"ストリームに
基づく一貫性制約"に変更する予定である.
f) パート 7(文字レパートリについての検証)
2005 年 5 月を期限とする CD 投票で承認された後,
コメント対処(SC34 N632)の変更を組込んだ 2nd CD
が 2007 年 2 月に終了した投票で承認された.
そこで,
コメント対処(SC34 N851)に示す変更を組込んで FCD
テキストを用意し,SC 2 にレビューを求めた後,投
票に入る.日本は 2nd CD テキストに対して,grapheme
cluster の削除を求めた.
g) パート 8(文書スキーマ再命名言語)
パート 8 は文書スキーマ定義言語の一つとして,
XML 文書中のタグ名・属性名などを別のものに読み替
えるための変換表について規定する.例えば日本語を
用いる XML 語彙を英語を用いる XML 語彙に読み替える
変換表を用意すれば,日本語 XML 文書を英語スキーマ
に照らして検証できる.
2006 年 5 月を期限とする CD 投票で承認された後,
FCD テキストが 2007 年 2 月の投票で承認された.コ
メント対処(SC34 N852)の変更を組込んだ FDIS テキス
トを用意して,投票にかける.日本は FCD テキストに
対して,次のコメントを提出した.
- スコープが明確ではなく,機能の取捨選択が恣意的
である.
- 処理モデルがないため,意味が不明確である.
- XML 1.0 に適合する XML プロセサを用いる限り,こ
の規格の実体宣言が無視されるのでこの規格に適合
する実装はできない.
h) パート 9(データ型および名前空間を認識する
DTD)
2006 年 5 月を期限とする CD 投票で承認されたこと
を受けて,コメント対処(SC34 N748)に示す変更を
組込んだ 2nd CD が 2007 年 2 月の投票で承認された.
そこで,コメント対処(SC34 N853)の変更を組込ん
で,FCD テキストを用意し,投票にかける.日本は 2nd
CD に対して,今さらこのような DTD 拡張を標準化し
ても意味はないとの否定的立場を示した.
i) パート 10(検証管理)
W3C の XML Processing Model(XProc)の勧告候補
ができてから,XProc の規定を用いて PDTR テキスト
を用意する.エディタは XProc 作業グループのメンバ
である.
(2) 数学用及び科学用の公開実体集合(ISO/IEC TR
9573-13 第 2 版)
PDTR テキストに対する改訂案の中で提案された実
体参照の変更に関するコメントを,エディタ候補の
K. Simonsen がレビューして,この作業課題を継続す
るかどうかを決める.
(3) 規格文書交換のための構造記述およびスタイル
指定(ISO/IEC TR 9573-11 第 2 版)の Amd.1
この Amd.1 は,ISO/IEC 9573-11 第 2 版の部分集合
に近い規定内容をもつエディタ用の構造記述および
ス タ イ ル 指 定 で あ っ て , ISO/ITSIG ( Information
Technology Strategies Implementation Group)の要
求に応えてそのプロジェクトが開始された.
SC 34 の各 WG からの要求を満たした PDAM テキスト
が作成され,それは ISO 中央事務局の出版部門と
ISO/ITSIG/XML template group 会議(2007 年 3 月)
とにレビューのため提出された.この PDAM テキスト
は WG1 でのレビューの後,投票にかけられる.
(4) ODF(オフィス応用のための開放形文書フォーマ
ット,ISO/IEC 26300)
2006 年 5 月を期限とする DIS 26300(ODF: Open
Document Format for Office Applications)の PAS
投票の結果,反対投票なしで DIS が承認された.そこ
で JTC 1 セクレタリアートの助言に従って,以前に計
画した投票結果対処の会議を取消して,OASIS の ODF
TC がこれからコメント対処を行い,改訂テキストと
コメント対処とを SC 34 セクレタリアートが各国に送
付して,30 日デフォルト投票が開始された.デフォ
ルト投票での承認を受けて,ISO/IEC 26300 は 2006
年 12 月に出版された.
その後,日本でのこの規格の JIS 化作業に際して幾
つもの問題点が明らかになり,ISO/IEC 26300 のエデ
ィタである P. Durusau が TC 案を用意して,WG 1 か
らリエゾンステートメント(SC34 N847)を OASIS に
送付することになった.
2.2 WG2(情報表示)
(1) フォント情報交換(ISO/IEC 9541)
a) パート 2(交換フォーマット)の Amd.2
昨年度に ISO/IEC 9541-2 におけるフォント参照の
拡 張 に 関 す る 利 用 者 要 求 を 受 理 し , ISO/IEC
9541-2/Amd.2(Extension to font reference)の開
発のためのプロジェクトを設けた.その後,2006 年
12 月の WG 2 会議で PDAM テキストを作成し,WG 2 メ
ンバレビューを受けた後,2007 年 3 月の WG 2 会議で
SC34 N274 を PDAM 投票にかけることを決めた.
b) パート 1(体系)の Amd.4
ISO/IEC 9541-2/Am.2 の中で使う幾つかの属性が
ISO/IEC 9541-1 の中で未定義であるため,それらを
ISO/IEC 9541-1 で定義する必要があり,2006 年 5 月
の会議で Amd.4 のプロジェクトを設けた.2006 年 12
月の WG 2 会議で PDAM テキストを作成し,WG 2 メン
バレビューを受けた後,2007 年 3 月の WG 2 会議で SC34
N275 を PDAM 投票にかけることを決めた.SC34N275 は,
次の font referencing 属性を定義している.
- Typeface Class
- Kind
- Serif Style
(2) 文書レンダリングシステムを指定する最小要件
(ISO/IEC 24754)
レンダリング結果において必要となる文書スタイ
ルを保存したまま文書を交換し合うために,レンダリ
ングシステムが共有しなければならない最小要件を
ネゴシェーションするための枠組みを規定するため,
日本からの提案によりこのプロジェクトが作られた.
WD へのコメントを反映した CD テキストが作られ,
2006 年 8 月を期限とする投票で承認された.2006 年
12 月の WG 2 会議では投票結果対処とそれを含めた
FCD テキストを完成し,2007 年 5 月を期限とする投票
に入っている.実際にこの規格に従って値を記述する
際の例示があるとさらに使いやすい規格になるとの
判断から,"実際に値を記述する際の例示を附属書(参
考)として付けることが望ましい"との日本コメント
が FCD に対して提出されている.
2.3 WG 3(情報関連付け)
(1) TM(トピックマップ. ISO/IEC 13250)マルチパ
ート
TM の規格を再構成してマルチパート化を図る作業
課題が 2003 年度から行われているが,2006 年度に進
捗があったパートの動向を次に示す.
a) パート 2(データモデル)
パート 2 は,TM の抽象的な構造と構文の解釈とを
規定し,TM の併合規則,基本的な公開主題識別子を
も定義する.それによって,TM の計算機内部での表
現方法を統一し,構文,処理環境に依存することなく
TM がもつ情報を維持・共有・交換することが可能に
なる.
2006 年 6 月の FDIS 投票には日本はコメントなしの
賛成を行い,8 月に ISO/IEC 13250-2 が出版された.
b) パート 3(XML 構文)
パート 3 は,XML 形式による TM の具体的な交換構
文を定義し,XML 構文とパート 2 のデータモデルとの
対応も定義する.TM を広く普及している XML 形式で
シリアライズし,システム間で交換することを可能に
する.
2006 年 11 月の FDIS 投票には,日本はこれまでの
要求がすべて満たされているとの判断からコメント
なしの賛成を行い,2007 年 3 月に ISO/IEC 13250-3
が出版された.
c) パート 5(参照モデル)
2006 年 5 月を期限とする 2nd CD 投票に対して,日
本は,proxies,subjects 等の属性を識別するのに
published subject を使うことなどをコメントした.
2nd CD テキストは承認され,コメント対処(SC34 N769)
に従って FCD テキストが作成される.
(2) TMQL(TM 問合せ言語, ISO/IEC 18048)
2006 年 10 月を期限とする 3rd CD 投票に対して,
日本は,既存の規格の拡張としての位置付けが明確で
ないとのコメントを提出した.この 3rd CD テキスト
は承認され,コメント対処(C34 N811)に従って FCD
テキストが作成される.
TMQL については,これまで次のように CD 投票が繰
り返されており,FCD から FDIS への早期進捗が望ま
れる.
2001-04, NP/CD 投票終了,プロジェクト成立.
2005-05, 2nd CD 終了.
2006-10, 3rd CD 終了.
2007-09, FCD(予定).
2008-03, FDIS(予定).
(3) TM による Dublin Core メタデータ表現(ISO/IEC
TR 29111)
図書館等で広く利用されているメタデータのボキ
ャブラリの一つであるダブリンコアを TM で記述する
ことによって,ダブリンコアメタデータの主題に基づ
く分類,体系化が容易になり,その有益性を向上させ
ることができる.そこで,TM での統一された記述方
法が必要となり,TR(Type 3)の開発プロジェクトが
提案された.
この NP は 2006 年 8 月を期限とする NP 投票で承認
され,TR 29111 の開発が始まった.2007 年 9 月を目
標として PDTR が作成される.
■ SC 35 専門委員会(User Interface/ユーザイン
タフェース)
委員長
山本 喜一(慶應義塾大学)
1.概要
WG 1, 2, 4, 6 の審議は JBMIA,SC 35 及び WG 8 の
案件審議は情報処理学会という形式で審議を行って
いるが,実質的な審議は JBMIA 内で WG との合同委員
会において行っている.国際 SC 35 では,WG 3 を除
き WG 1 から WG 8 までの 7 つの WG が活動しているが,
国内では,WG 1,WG 2(WG 7 の案件を含む),WG 4,
WG 6,WG 8 の 5 つの WG でそれぞれの案件を審議し,
WG 5 については SC 35 専門委員会で対応している.
2006 年度は,アクセシビリティに関する規格案を
日本から提案するため,特に WG 6 関連の委員及び関
係者が JTC 1 SWG-A など関連の国際会議に出席すると
ともに,実質的な国際規格原案の作成を行った.
SC 35 としては,2006 年度合計 19 件の投票を行っ
た.
2006 年度は SC 35 専門委員会と WG の合同会議を 11
回(原則として月 1 回)実施した.また,国際会議総
会は各 WG 会議と合同で行い,2006 年 9 月 4 日∼8 日
に済州市(韓),2007 年 2 月 19 日∼23 日にパリ(仏)
の 2 回開催された.
済州市の総会は幹事国である AFNOR のセクレタリ
が久しぶりに出席した.パリの総会直前に AFNOR の人
事異動でセクレタリが交代し,正式な手続きが済まな
いうちに会議期日となってしまったため,パリ総会は
公式には General orientation meeting として開催さ
れたが,実質的には総会と同じである.
2. 各 WG の審議状況
2.1 WG 1(Keyboards and input interfaces)
キーボード関連の国際規格 ISO/IEC 9995 シリーズ
の Part 1: General principles governing keyboard
layouts,Part 5: Editing section,Part 6: Function
section,Part 8: Allocation of letters to the keys
of a numeric keypad の 4 件の DIS 投票には,賛成投
票を行った.これで 9995 シリーズの改訂作業は完了
したことになる.
CD 24757 Keyboard Interaction model-Machinereadable keyboard description については,編集上
の誤りが多く,日本は,反対投票を行ったが国際的に
は承認された.続いて FCD 24757 の投票が行われたが,
この案件は否決され,2nd FCD の投票を行うことにな
った.
Layout for universal alphabet input についての
NP 投票には,日本は反対投票を行い,国際的にも否
決された.
PDTR 24784 Keyboard layouts for alphanumeric
inputs--Description of ISO/IEC 9995 issues
regarding users seeds and necessary -- innovations
については,JEITA にも検討をお願いし,現在使われ
ている日本のキーボードと矛盾する記述があるとい
うので,コメント付賛成の投票を行った.
2.2 WG 2 ( Graphical User Interface and
Interaction)
(1) 済州会議(2006-09-04/08)
FDIS 24738: Icon symbols and functions for
multimedia link attributes が反対票なしで承認さ
れたことから,IS 出版へ手続きを進める.WG2 として
の懸案プロジェクトはこれで終了し,アイコン関連規
格の再構成作業を開始することになった.
WG 7 のプロジェクトである TR11580: Framework
for describing user interface, objects, actions
and attributes の DTR 投票が終了し,採択されたこ
とから TR 出版への手続きを進める.
(2)パリ会議(2007-02-19/23)
カナダの Jim Carter 委員から,SC 36 で検討され
ている Touch interface に関する NP については,SC 35
と共同で開発すべきであると提案したことが報告さ
れた.
Icon の登録に関する手順を決める必要があること
が確認され,WG 2 Convener を議長とする Study Group
を立ち上げることになった.
WG 7 のプロジェクトとして Icon 規格の再構成のた
めの NP を 2 つ,カナダの Carter 委員が準備して投票
にかけることが決まった.
(3) 国内会議
ISO/IEC 24738: Icon symbols and functions for
multimedia link attributes の FDIS 投票案を賛成と
して提出した.
WG 7 のプロジェクト TR 11580: Framework for
describing user interface, objects, actions and
attributes の DTR 投票案を賛成として提出した.
2.3. WG 4(User Interfaces for Mobile Devices)
済州会議にて ISO/IEC 24755: Icon and symbol for
the mobile communication device (日本提案規格)
の FCD 案投票結果を審議し,参加各国と協議上,
Disposition of comments(SC35 N1072)をまとめた.
FCD 投票の結果は賛成 9(伊・韓・スウェーデン・チ
ェコ・中・独・日・仏・ルーマニア),反対 1(加),
棄権 1(米)であった.コメントは 3 カ国から計 21
項目提示されたが,この内 10 項目は日本が CIAJ や
JEITA との調整を経て再提案したものである.
その他,
カナダ 1,スウェーデン 10 であった.カナダのコメ
ントは, アイコンタイトルを英語や他言語で記述す
る場合の規定削除を要求する ものであったが,これ
は本規格を幅広い言語に適用するために必要なため
拒絶した.その他,スウェーデンや日本のコメントは,
エディトリアルなものが多く,修正を行い同意された.
JTC 1 事務局から受けた IS 書式に関する指摘につい
ても会議の中で対応した.順調に進みすべてのコメン
トに対する審議及び改定作業を終了したため,本規格
は最終の FDIS 投票段階へ進めることとなった.
済州会議の Resolution 8 に従いプロジェクトエデ
ィタの松原が,Disposition of comments と FDIS 案
を AFNOR 事務局に送付したが,事務局の交代など不測
の事態もあり,JTC 1 事務局への回付が遅れ,パリ会
議までに規定の 2 ヶ月投票が完了できなかったため,
パリ会議では審議が出来ず,FDIS 投票結果の審議は,
次回カナダ会議へ持ち越しとなった.
2.4 WG 5 ( Cultural, Linguistic and User
Requirements)
文化的及び言語的適応性要求事項の分類
(Taxonomy of cultural and linguistic adaptability
user requirements) については,日本としては作業
を妨げることはしないが特に参加することもしない
という態度を取っている.
2.5 WG 6(User Interfaces for People with Special
Needs)
(1) 概況
本 WG は 3 年前から本格的な活動を開始した.2006
年度は 6 課題を審議した.2007 年 2 月のパリ会議で
は,日本からの 2 件の提案がそれぞれ NP,CD 投票に進
むことになった.
DTR 19765 : Survey of icons and symbols that
provide access to functions and facilities to
improve the use of IT products by the elderly and
disabled は DTR 投票で承認され,TR として発行の準
備をすることになった.
DTR 19766:Guidelines for the design of icons and
symbols for the use of the elderly and disabled
は,済州島会議が終わった後ただちに,11580 の TR
版と一緒に 19766 の TR 版を SC35 に送ることになった.
WD 24786 : Accessible User Interface for
Accessibility Setting on Information Devices(日
本提案規格)は,済州島会議では平成 18 年 2 月のベ
ルリン会議後の修正版について説明した.議論の結果,
ISO Directives Part 2 に従って CD としての体裁を
整えること,Part 1 と Part 2 を合わせて1つの規格
にすることになった.パリ会議では,済州島会議で提
出したドキュメントを ISO Directives Part 2 に従っ
て大幅に修正したので,各国の評判は非常によかった.
議論の結果,2007 年 3 月 15 日までに各国がエディタ
ー(関)にコメントを送り,その後 4 月 1 日までにエ
ディタが修正して SC 35 事務局に提出し,SC 35 事務
局は 4 月中に CD 投票に回すことになった.
CD 24756 : Framework for specifying a common
access profile (CAP) of needs and capabilities of
users, systems, and their environments.について
は,済州島会議においてベルリン会議でのコメントを
もとに修正したドキュメントの説明があった.タイト
ルを再び変更し,FCD 投票にかけることになった.FCD
投票の結果,7カ国賛成で,コメントはカナダの1件
のみであった.FDIS 投票のためのドキュメントを用
意することになった.
NP: Accessibility Guidelines for Information
processing equipment(日本提案規格:JIS X 8341-2)
は,済州島会議での意見として,ISO 9241-171 と重
複していること,SC 35 は implementation を提供す
べきであることなどが出された.意見をもとに修正し,
NP 提案するためのドキュメントを作成することとな
った.パリ会議で再び説明した結果,ISO 9241-171
との調和を強調したおかげで,カナダ,米国を含めた
各国の評判はよく,カナダは英文作成にも協力を申し
出てくれた.日本,カナダ,韓国,スェーデン,フラ
ンス,米国(おそらく),ドイツ(おそらく)の7カ
国の P メンバが参加を申し出た.日本は,会議でのコ
メントを基に修正し,NP4 ヶ月投票のためのドキュメ
ントを用意することになった.
済州島会議において,カナダから AT と IT の相互操
作性についての新規提案である Interoperability of
AT and IT の説明があった.この規格はもともと AT
の業界団体が作成したガイドラインであり,会議での
意見をもとに修正し,NP 提案するためのドキュメン
トを作成することとなった.
(2) 今後の主要課題
JTC 1 でのアクセシビリティに関連した SWG-A が間
もなく終了を迎える.貢献に向けて更なる活動が必要
である.また,欧米でのアクセシビリティ関連の動き
にも注意し,国内の関連団体と調整を取りながら検討
を行うことが必要である.次年度は日本提案 2 件の
NP 採択と CD としての具体的な規格内容の作成を行う.
2.6 WG 8(User Interfaces for Remote Interactions)
AIPS URC(Alternate Interface Protocol Standard
Universal Remote Console)については,国内各社か
らの支援はほとんどない状態である.Project 24752
万能遠隔コンソール(Universal remote console)
の Part 1 フレームワーク,Part 2 ユーザインターフ
ェースソケット記述,Part 3 表示テンプレート,Part
4 対象記述,Part 5 資源記述の各 FCD が提出され,WG
8 小委員会で審議の結果いくつかの編集上のコメント
はあったものの,すべての原案に対して賛成,又はコ
メント付きの賛成投票を行った.投票の結果賛成多数
で承認され,パリ会議において FDIS に進むことが承
認された.米国が主導している URC 規格では,実質的
には URC コンソーシアムが作業を行っており,現在作
成中の 24752 に基づく実装を特許として登録し,コン
ソーシアムメンバには無償で利用させる方針である
ことが明らかとなった.結局,コンソーシアムに参加
しなければ特許使用料が必要になることから,米国の
戦略が明らかになったことになる.
3. 今後の主要課題
アクセシビリティに関する関連規格として JIS
X8341-2 の NP 提案を今年度の最後に行うことができ
た.来年度は,この規格案をできるだけ早く IS 化す
るための作業を進める.
JTC 1 における日本の国際的地位を向上するために
も,国際の場において日本から積極的に要職を占める
ことが要請されており,今後とも現在の立場を確保し
つつ更に拡大する分野としてアクセシビリティ関連
の規格は大きな可能性を持っている.
4. 特記事項
2007 年 2 月のパリ会議において SC 35 福岡総会及
び WG 会議の 2008 年 2 月開催が正式に決定された.
ITSCJ 及び JBMIA の共催の形式で開催することがすで
に認められているが,実際の会議に備えて準備する必
要がある.特に,今回のパリ会議で実施した Skype を
利用した電話会議が今後も必要になると思われるこ
とから,福岡の会場でこのような会議形態が取れるこ
とを確認する必要がある.
■ SC 36 専門委員会(学習,教育,研修のための情報
技 術 /Information Technology for Learning,
Education and Training)
委員長 仲林 清(独立行政法人メディア教育開発セ
ンター)
1. 概要
SC 36 は,コンピュータを活用した教育・研修の分
野を担当し,教育コンテンツ,学習者情報,教育品質,
などに関する標準化活動を進めている.ただし,教育
の内容自体に関わるような標準化は行わない.この分
野はすでに多くの技術標準化団体が存在しており,SC
36 はこれらの団体と連携して国際標準規格を制定し
ようとしている.現在 SC 36 には 7 つの WG,ひとつ
の RG,ひとつの SWG がある.P メンバは 25 カ国,O
メンバは 7 カ国である.また,ISO/IEC 外の 7 つの団
体とリエゾンを結んでいる.議長は米国,セクレタリ
アートは英国が引き受けている.
今年度の国際会議は,2006 年 9 月 16 日∼22 日に中
国の武漢(13 ヶ国,6 団体,69 人が参加)
,2007 年 3
月 11 日∼16 日にロンドン(14 ヶ国,6 団体,65 人が
参加)で開催された.今年度,承認された CD は 1 件,
FCD は 8 件,IS 出版は 1 件である.
現在,日本は WG 2(協調技術)のコンビーナ(電
通大 岡本),セクレタリアート(大阪学院大 西田)
およびプロジェクトエディタ(ユニシス 原,日立 古
賀),WG 5(品質保証)のプロジェクトエディタ(東
洋大 平田)を引き受けている.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(ボキャブラリ)
SC 36 で制定する規格で用いられる用語の定義を行
う.2382-36 Information Technology Vocabulary―
Part 36: Learning, Education, and Training を策
定中である.2007 年 3 月ロンドン会議で FCD 投票の
BRM が行われ,FDIS 投票に進むことで合意がとられた.
現在策定中の第 1 版は掲載する用語を限定して早期
に IS 化することを目指しており,用語数を拡充した
第 2 版の策定も並行して進められている.
19781-1 および 19781-2 Registry プロジェクトは
ロンドン会議で FCD 投票の BRM が行われたが,一部の
国から,SC 36 の範囲外であるという理由でプロジェ
クトの取り下げを求める意見が強く出された.この結
果,プロジェクトの打ち切りについて投票が行われる
こととなった.
2.2 WG 2(協調技術)
日本から WG 設置を提案し,電通大 岡本コンビーナ
のもとで 3 つのプロジェクトが進行している.
19778-1 Collaborative Workplace(CW)のプロジ
ェクトはユニシスの原が,19780-1 Collaborative
Learning Communication(CLC)のプロジェクトは日
立の古賀がカナダの Norm Friesen と共にエディタを
務めている.2006 年 9 月の武漢会議で二つのプロジ
ェクトのスコープの再構成が提案されて承認された.
CW は 19778-1 Collaborative Workplace Data Model,
19778-2: Collaborative Environment Data Model,
19778-3: Collaborative Group Data Model の 3 つに
分割され,CLC は 19780-1 Text-based Communication
となった.いずれも武漢会議のあと FCD 投票が行われ,
2007 年 3 月のロンドン会議で BRM が行われた.この
結果を反映したドキュメントを作成して FDIS 投票に
進むことで合意が得られた.
19779-1 Agent to Agent Communication は韓国が
プロジェクトエディタを引き受けており WD が提出さ
れた.2007 年 9 月のトロント会議を目途に CD 化を目
指す.
その他,アメリカから新しいプロジェクトとして
SC36N1451 Process for Multilingual Semantic
Reverse Query Expansion が提案され NP 化を検討す
ることとなった.また,Intelligent Systems プロジ
ェクトに関してスタディピリオドを設けて検討を重
ねている.
2.3 WG 3(学習者情報)
この WG は学習者の学習履歴,成績,スキルなどの
情報の標準化を扱う.
学習者のスキル,能力の記述に関しては,24763 CRM
Competencies and related object が進められている.
WD を作成しているが進捗がおもわしくない.そのた
め,2007 年 3 月のロンドン会議で,日本(平田)か
ら,現存するコンピテンシーやスキルの情報モデルの
問題点を指摘し,また上記 24763 を補完するため,
Competencies and Skills Management Architecture
の検討の提案を行った.2007 年 9 月のトロント会議
までに,日本が中心となりスタディピリオドのメンバ
を募って報告する.
また,モバイル学習向けの学習者情報に関してスタ
ディピリオドを設定して検討してきたが,2007 年 3
月のロンドン会議で,カナダ,韓国,ドイツの 3 カ国
より Nomadicity and Mobile Technologies に関して
二つのパート(Part 1: Learner Reference Model for
Nomadicity,Part 2: Learner Information Extensions
for Mobile Learning)から成る NP の提案がなされた.
トロント会議までに投票ができるよう NP を提案をす
る.また,Interim 会議を 5 月もしくは 6 月に開催す
る.
19787 Participant Performance Information につ
いては,進捗が滞っている点,実用性の観点,および,
マーケティングの観点からプロジェクトの打ち切り
について投票を行うこととなった.
2.4 WG 4(学習管理)
学習リソースメタデータに関する規格として 19788
Metadata for Learning Resources の検討が進められ
ている.この規格は Part 1 Framework と Part 2 Data
Elements に分かれている.Part 1 では対象とするデ
ータ項目の範囲,記述方式のアーキテクチャを扱い,
Part 2 では記述の対象とするデータ項目を扱う.メ
タデータの規格としては,既に ISO/IEC 15836 Dublin
Core が存在し,教育分野でも IEEE 1484.12.1 LOM
(Learning Object Metadata)が存在するが,これら
との互換性を保つことを念頭に作業が進められてい
る.
Part 1 については,2006 年 9 月武漢会議での CD 投
票の BRM を受けて,現在 CD2 を作成中で,2007 年 3
月のロンドン会議でレビューが行われた.
Part 2 以降に関しては,全体を IEEE LTSC の LOM
に合わせてメタデータの大項目ごとの Part に分け,
Part ごとにデータ型定義,単純および複合要素,XML
バインディング,といった定型化された形式で規格化
を進めようとしている. Part 2 のコア要素について,
各国のメタデータプロファイルのサーベイに基づき,
どの要素をコアパートに含めるのか,必須/任意要素
の扱いをどうするか,といったことが議論された.必
須/任意要素の扱いについては,どのように選択して
も恣意性が入るため,標準規格としては必須/任意を
区別せず,サーベイに基づいて区別したものを SC 36
のプロファイルとして別に用意することになった.
2.5 WG 5(品質保証)
学習教材や教育サービスにおける品質標準を扱う.
開発プロセスに関する標準を議論しており,ISO/IEC
19796-1 Quality Management, Assurance, and
Metrics―Part 1: General Approach が IS として発
行されている.現在,
・ Part 2 品質モデル(Quality Model)
・ Part 3 参照方法と基準尺度(Reference Methods
and Metrics)
・ Part 4 実 践 ガ イ ド ( Best Practice and
Implementation Guide)
の各パートについて,それぞれ,韓国,日本(東洋大
平田),フランスが担当して進めている.日本が担当
する Part 3 については,2006 年 9 月の武漢会議後,
CD 投票が行われ,2007 年 3 月のロンドン会議で BRM
を行った.この結果,2007 年 9 月のトロント会議で
FCD 投票の BRM が行えるように進めることとなった.
また,How to use ISO/IEC 19796-1 という解説ド
キュメントを作成し,各国で翻訳を進めることとなっ
た.
2.6 WG 6(International Standardized Profiles)
WG 6 で は , 24725 Profiles of standards and
specifications プロジェクトが進められている.
24725-1
Profiles
of
standards
and
specifications -- Part 1: Framework は 2007 年 3
月ロンドン会議で CD 投票結果のレビューを実施した.
日本,フランス,カナダから反対があったが,いずれ
も,24725 の他のパートとの関係が明確でないこと,
内容が一般的過ぎ,標準化の対象が明確でないこと,
を問題にしている.次回のトロント会議までに,コメ
ントを吸収したドキュメントを用意する.
2.7 WG 7(文化,言語,利用者機能適応)
WG 7 は,24751 Individualized Adaptability and
Accessibility in E-learning Part 1-8 が進められ
てきた.このうち,Part 1-4 の FDIS 投票に際して,
規格のベースを開発した IMS と JTC 1 の間で著作権に
関する MOU が結ぶ調整が行われている.MOU が締結さ
れ次第,FDIS 投票が実施される.その他,アクセシ
ビリティ関係で Definition of Concepts for User
Actions for use in Learning, Education, and
Training Environments の NP を検討中である.
2.8 RG1(Marketing Rapporteur Group)
RG1 では SC 36 の活動を普及するための各種施策の
検討を行っている.現在,以下のような項目が検討中,
ないし,進行中である.
・ SC 36 マーケティング Web サイトへの各 WG の活
動のサマリの掲載.
・ SC 36 ブランディングのロゴの作成 .
・ 各国での規格ドキュメントの翻訳の勧告.
・ アフリカや発展途上国への SC 36 への参加の呼
びかけ.
3. その他
3.1 日本提案の進展
日本がイニシアティブを取って進めてきた WG 2 の
プロジェクトについて,今年度,FDIS 化に向けため
どをつけることができた.コンビーナ,セクレタリ,
プロジェクトエディタが各国との議論を繰り返し,各
国の協力を引き出しながら,粘り強く合意を形成して
きた努力によるところが大きい.今後の WG 2 の進め
方については,米国などから新しい提案もあり,各国
と連携しながら検討していく.
また,WG 5 でも,日本がエディタを引き受けてい
るプロジェクトに関してスムースに進捗しており,
FCD 投票を実施することが合意された.品質保証につ
いては,世界的に関心を集めているトピックであり,
WG 5 は普及活動についても力を入れていく予定であ
る.国内でも関係団体と協力して普及啓蒙を図って行
きたい.
3.2 ISO/IEC 23988 A code of practice for the use
of information technology (IT) in the delivery of
assessments の IS 化
ISO/IEC 23988 は英 BSI から Fast Track 提案され
ていたオンラインテスティングの実施に関する規格
である.2006 年 9 月武漢会議で DIS 投票の BRM を行
い,2007 年 2 月に IS 出版された.
3.3 プライバシーアドホックの設置
各国での個人情報保護に関する関心の高まりを背
景に,教育分野での個人情報保護に関わる規格の必要
性,対象を検討するプライバシーアドホックが設置さ
れた.現在,各国において教育分野でどのような個人
情報保護の取り組みが行われているかのサーベイを
行っている.
3.4 SCORM Stewardship
昨年度,米 ADL(Advanced Distributed Learning
Initiative)とのリエゾンが承認され,ADL が開発し
た SCORM(Sharable Content Object Reference Model)
規格の国際規格化の動きが進められている.SCORM 規
格は e ラーニングコンテンツの標準規格として世界
的に幅広く普及しており,日本でも多くのベンダが導
入している.SCORM 規格を単に国際規格化するだけで
なく,実際に実装,普及,などのメンテナンス活動を
行っていく SCORM Stewardship という国際活動も進め
られており,2007 年 3 月のロンドン会議と連携して 3
日間の会議が行われた.
SCORM の普及については,ADL と各国とのパートナ
シップの締結が進められており,イギリス,オースト
ラリア,カナダ,韓国,ラテンアメリカ(メキシコ)
には Partnership Lab.が設置され,現在,アジア地
域で,韓国についで,台湾,シンガポールと設置の交
渉が進められている.また,一般向けのオープンフォ
ーラムが開催された.100 名以上の参加者があり,各
国の取り組み状況などが発表された.SCORM の普及の
取り組みに関するパネルディスカッションが行われ,
日本からは,2000 年以降の国内および AEN(Asia
e-Learning Initiative)活動での SCORM に関する推
進について発表を行った.
今後,
・ SCORM の開発・普及(ベンダー支援,認証)・市
場開拓
・ 他の標準化組織を含む e ラーニング推進団体と
の連携
の二点をポイントに具体的な活動案が作成される.
2007 年 9 月のトロント総会と併設で進捗会議が行わ
れる.
日本は初期のころから SCORM の普及を国内で推進
しており,SCORM の IS 化に向けた動きをサポートし
ていきたい.
■ SC 37 専 門 委 員 会 ( バ イ オ メ ト リ ク ス /
Biometrics)
委員長
瀬戸 洋一(産業技術大学院大学)
1. 概要
SC 37(議長:Fernando Podio(米)
)は,汎用的な
バイオメトリック技術に関する標準化を担当する.
2003 年 9 月開催の第 2 回ローマ総会により,6 つの
Working Group 体制が正式に発足した.実質発足から
3 年目に入った.WG 間の規模にも負荷の格差が生じて
おり,2007 年の総会に向けて新体制の検討を行うこ
とになった.
本年度は 7 月にロンドン(英)で第 5 回総会および
第 6 回 WG,1 月にウエリントン(NZ)にて第 7 回 WG
が開催された.
日本として WG 2(テクニカルインタフェース)に
おいて貢献の要望が高まっている.1つはセキュリテ
ィインタフェース仕様,もうひとつは,コンフォーマ
ンス仕様である.日本からエディタを出し標準化案を
開発する方向で対応している.
現在,P メンバは 24 カ国,O メンバは 6 カ国である.
2005 年 7 月総会時点では 36 件のプロジェクトが審議
され,2006 年度中に 16 の IS 文書を発行した.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 SC 総会
第 5 回総会(18 カ国,7 リエゾン組織 67 名参加)
は,2006 年 7 月 10 日∼11 日に英国ロンドンで開催さ
れた.第 6 回 WG 会議も併設し開催された.7 月時点
で 9 つの IS 文書が発行され,FCD(16 件),CD(2 件),
WD(4 件),PDTR(1 件),DTR(3 件),FPDAM(2 件),NP(2
件)が開発中である.また 11 の SD が発行されている.
2004 年に加盟した P メンバの中国から今回初めて
技術者(中国科学技術院)が WG/総会へ参加した.総
会では中国市場と今後の国際標準への取り組み強化
に関する紹介があった.
2.2 WG 1(Harmonized Biometric Vocabulary/専門
用語)
WG 1(主査:Rene McIver(加))は,バイオメトリ
ック技術用語を標準化するグループである.他の ISO
標準に使用されている用語との調和を図ってバイオ
メトリック技術用語を標準化する.既存の用語や WG
審議資料を収集した Corpus の作成,用語を定義した
SD2(Standing Document 2)Harmonized Biometric
Vocabulary のドラフト作成を行っている.
第 7 回 WG 1 会議の結果 Performance および Claim
関連の用語,Personnel 関連の用語審議結果を反映し
た Standing Document 2,Version 7.0 が,回付され
ることになった.見出し語は 159 語,定義を記載した
ものは 79 語になっている.
2.3 WG 2(Biometric Technical Interfaces/バイ
オメトリック テクニカル インタフェース)
WG 2(主査:Young-Bin Kwon(韓))は,バイオメ
トリクスの共通インタフェース仕様を策定するグル
ープである.
WG 2 の主要審議案件である BioAPI(バイオメトリ
ック・アプリケーション・プログラミング・インタフ
ェース),CBEFF(コモン・バイオメトリック・エクス
チェンジ・フォーマット・フレームワーク)をはじめ
として以下の審議案件の IS 文書の発行が完了した.
・ 19784-1 BioAPI Part 1: 2006 年 5 月
・ 19784-2 BioAPI Part 2: 2007 年 2 月
・ 19785-1 CBEFF Part 1: 2006 年 5 月
・ 19785-2 CBEFF Part 2: 2006 年 5 月
・ 24709-1 BioAPI Conformance Test Part 1: 2007
年2月
・ 24709-2 BioAPI Conformance Test Part 2: 2007
年2月
日本からは以下の 4 案件に関して活動を行った.
ISO/IEC JTC 1/SC 27 において日本から提案した 24761
(Authentication Context for Biometrics(ACBio)
)
に関連したアクションとして,BioAPI 仕様や CBEFF
仕様にセキュリティ機能を追加するために,2007 年 1
月のウェリントン会議で 19784-1 BioAPI Part 1 Amd.3
と 19785-4 CBEFF Part 4 の 2 つのプロジェクトが開
始された.日本がリーダシップをとるため,山田朝彦
(東芝ソリューション)が両プロジェクトのエディタ
に就任した.
24709-4 Conformance Test Part 4 (BioAPI アプ
リケーションのためのテストアサーション)のエディ
タに栗田寛久(セキュアデザイン)が就任した.
日本提案の 19784-1 BioAPI Part 1 Amd.1 BioGUI
(BioAPI においてアプリケーションが画面制御を行
うためのインタフェース仕様)は,中村敏男(沖電気
工業)がエディタを務めており,FDAM 投票に進むこ
とが了承された.
19785-3 CBEFF Part 3 の電子パスポートへのバイ
オメトリック情報搭載に関係する項目において,
ISO/IEC JTC 1/SC 17 の関連文書との整合性を保つた
めの活動を行った.また,日本の技術である静脈技術
に関して,WG 2 関連文書への正しい記述が行われる
よう活動した.
WG 2 の審議案件の進捗状況は以下のとおりである.
・ 19784-1(FDAM) BioAPI Part 1 Amd.1
・ 19784-1(Call for contribution) BioAPI Part 1
Amd.2
・ 19784-1(WD) BioAPI Part 1 Amd.3
・ 19784-3(Call for contribution) BioAPI Part 3
・ 19785-3(FDIS) CBEFF Part 3
・ 19785-4(WD) CBEFF Part 4
・ 24708-1(FCD) BioAPI Interworking Protocol:
・ 24709-3(Call for contribution) BioAPI
Conformance Test Part 3
・ 24709-4(WD) BioAPI Conformance Test Part 4
・ 24722(DIS) Multimodal and Other Biometric
Fusion
・ 24741(DIS) Biometric Tutorial
2.4 WG 3 (Biometric Data Interchange Formats/
バイオメトリックデータ交換フォーマット)
WG 3(主査:Axel Munde(独))は,バイオメトリ
ックデータの交換形式を策定するグループである.バ
イオメトリックシステム間で認証の相互運用性
(Interoperability)確保を目的として,交換用デー
タフォーマットの策定を行っている.具体的には,認
証技術毎にパートを分けた ISO/IEC 19794(交換用デ
ータフォーマット),29794(バイオメトリックサンプ
ル品質)および 29109(準拠性,Conformance)の審
議を進めており,14 種のフォーマットを審議中であ
る.
・ 19794-1(IS):Framework
・ 19794-2(IS):指紋特徴点方式
・ 19794-3/-8(IS):指紋パターン方式
・ 19794-4(IS):指紋画像
・ 19794-5(IS):顔画像
・ 19794-6(IS):虹彩画像
・ 19794-7(FDIS):署名/サイン関係時系列
・ 19794-9(IS):血管(静脈)
・ 19794-10(FDIS):手形
・ 19794-11(WD):署名/サイン関係統計量
・ 19794-12(NP):顔特徴量データ
・ 19794-13(NP):話者認証用音声データ
・ 19794-X(NP):DNA データ(NP 投票中)
・ 19794-5 Amd1(FDAM):日本から顔画像撮影ガイ
ドラインの策定を提案
・ 19794-5 Amd2(CD 投票中):顔画像フォーマット
に顔 3D データを収容する提案
・ 19794-2 Amd1(NP):指紋特徴点を詳細に定義す
る提案
・ 29794-1(WD):バイオメトリックサンプル品質 Framework
・ 29794-4(TR,WD):バイオメトリックサンプル品
質 - 指紋画像
・ 29794-5(TR,WD):バイオメトリックサンプル品
質 - 顔画像
・ 29109-1(NP):Conformance -- Framework
・ 29109-2(NP):Conformance -- 指紋特徴点
・ 29109-3/-8(NP):Conformance -- 指紋パターン
方式
・ 29109-4(NP):Conformance -- 指紋画像
・ 29109-5(NP):Conformance -- 顔画像
・ 29109-6(NP):Conformance -- 虹彩画像
・ 29109-7(NP):Conformance -- 署名/サイン関係
時系列
・ 29109-9(NP):Conformance -- 血管(静脈)
・ 29109-10(NP):Conformance -- 手形
・ 29109-11(NP):Conformance -- 署名/サイン関
係統計量
・ 29109-13(NP):Conformance -- 話者認証用の音
声データ
重点的に取り組んでいる活動は,以下のとおりであ
る.
19794-9 血管(静脈)
(日韓で提案)
:2007 年 3 月に
IS として発行された.
19794-5 Amd.1 顔画像撮影ガイドラインの策定(日
本提案):友永哲夫(コニカミノルタテクノロジーセ
ンター)がエディタを務める.FDAM 投票に進んだ.
29109-9 Conformance - 血管(静脈):血管画像フ
ォーマットの準拠性 Conformance をテストするため
の方法を定義する.コエディタとして千野孝一(日立
情報制御ソリューションズ),浜壮一(富士通研究所)
が活動中である.
また,新規に以下の 15 のプロジェクトが立ち上が
った(NP 投票中含む).
19794-13:話者認証用の音声データ:話者認証に用
いる音声データの交換フォーマットの提案で,対象は
音声データと特徴データである.英国およびイスラエ
ルが個別に提案したが,1つのプロジェクトとしてま
とめられた.
19794-2 Amd.1(NP):指紋特徴点を詳細に定義する
提案:指紋の端点や分岐点を詳細に定義し,特徴点方
式の交換フォーマットの互換性を向上させることを
目的としてドイツが提案した.
19794-X DNA データ:DNA の塩基配列の中に数千箇
所あるといわれる STR や SNPs で本人確認に用いる座
位と組み合わせを定義する.韓国と英国からの提案で,
現在 NP 投票中.
29109-1∼-11,-13 Conformance:19794 データフ
ォーマットへの準拠性 conformance をテストする方
法についての米国からの提案.12 パートからなるマ
ルチパートで進行中.
2.5 WG 4 (Biometric Functional Architecture and
Related Profiles/バイオメトリクス・アプリケーシ
ョンの運用仕様)
WG 4(主査:M. Hogan(米))は,バイオメトリッ
ク認証を用いるアプリケーションにおける API およ
びデータフォーマットの利用方法や運用仕様を検討
するグループである.WG 4 の取り組むプロジェクト
は,24713(互換性確保およびデータ交換の為のバイ
オメトリックプロファイル)であり,マルチパート規
格として以下を開発中である.
・ 24713-1(FDIS):バイオメトリックシステムの
共通アーキテクチャ
・ 24713-2(FCD):空港における雇用者のための物
理的アクセスコントロール
・ 24713-3(WD):船員のバイオメトリック照合およ
び識別
上記の規格は,空港システムの仕様等各国で既に運
用しているアプリケーションの仕様に影響を及ぼす
可能性があり,議論が収束せず長期間に渡り規格のス
テータスが更新されない状態が続いていた.2007 年 1
月のウエリントン会議にて,まずは規格として成立さ
せたい汎用的な仕様を優先し,規格の IS 化を急ぐ方
針となり,24713-1 は FDIS に,24713-2 は FCD に昇格
した.また仕様における争点や課題を Issue List と
して管理し,必要に応じて次の規格の見直し時の
Revise や追補として反映していくこととなった.
2.6 WG 5(Biometric Testing and Reporting/バイ
オメトリクス技術の試験および報告)
WG 5(主査:Bob Carter(英))は,バイオメトリ
ックシステムとコンポーネントの試験ならびに標準
フォーマットを用いた試験結果の報告方法に関し標
準化を検討するグループである.なお,主査の Bob
Carter は 2007 年 6 月で辞任を表明しており,後任
が英国から推挙されている.
アルゴリズムの試験(Technology Evaluation),運
用想定試験(Scenario Evaluation),および運用試験
(Operational Evaluation)までの各レベル,指紋や筆
跡などの各生体モード,出入管理などのアプリケーシ
ョンなど,全てのタイプの試験に対する試験手順の標
準化に向け,英国での試験方法標準として開発された
Best Practices in Testing and Reporting
Performance of Biometric Devices (2002 年発行)
をベースとして国際標準 19795 が策定されている.
19795 に含まれる各パートとして下記の IS 2 件,PDTR
1 件,FCD 1 件,CD 1 件,WD 1 件,NP 1 件を審議し
ている.日本から内田氏がエディタに選出され,
JIS-TR をもとに起草された Part-3 が PDTR 採用され
た.
・ 19795-1(IS): Principles and Framework (試験
方法の概念と概論)
・ 19795-2(IS): Testing Methodologies (試験の
方法論)
・ 19795-3(PDTR): Modality-Specific Testing (個
別モード試験方法)
・ 19795-4(FCD): Interoperability Performance
Testing (相互運用時の性能試験)
・ 19795-5(CD):
Scenario
Evaluation
of
Biometric Access Control Systems (出入管理
用評価方法)
・ 19795- 6 (WD): Testing Methodologies for
Operational Evaluation (運用試験方法)
・ NP: Machine Readable Test Data for biometric
testing and reporting (機械可読試験報告)
2.7 WG 6(Cross-Jurisdictional and Societal Aspect
/社会的課題)
WG 6(主査:Mario Savastano(伊))は,バイオメ
トリック技術を適用する上での社会的側面の領域に
おける標準化を行う WG である.現在,運用者がバイ
オメトリック認証システムを適切に運用する為の社
会的課題(プライバシー,法的課題,アクセシビリテ
ィ,安全性,ユーザビリティ,社会倫理,受容性)に
対 し て 考 慮 す べ き ガ イ ド ラ イ ン を 纏 め た TR ( TR
24714)を作成中.
・ 24714-1(PDTR):Guide to the accessibility,
privacy and health and safety issues in the
deployment of biometric systems for
commercial application(概論)
・ 24714-2(WD) : Practical application to
specific contexts(モダリティ毎,アプリケー
ション毎の具体的な考慮点)
この他,バイオメトリックシステムで用いられるピ
クトグラム,アイコン,シンボルの標準化作業を開始
した (WD24779).
3. その他
3.1 リエゾン体制ほか
(1) SC 37 への貢献がない Master Card International
に対するリエゾン A の取り消しが議論になっている.
(2) SC 37 の実質的体制が発足し 4 年目に入った.こ
のために,WG の構成,主査の交代などの検討を行う
Special Meeting(ワシントン DC(米)
)を 5 月に実
施することになった.また,総会に向けた開発案件の
調整のため,Ballot Resolution Meeting(ボルチモ
ア(米))を 9 月に開催することになった.
3.2 今後の開催予定
第 6 回 Plenary + 第 8 回 WG
2007-06-18/26
ベルリン(独)
第 7 回 WG 2008-01 第 2 週 (イスラエル)
<第 2 種専門委員会>
■ 学会試行標準専門委員会
委員長
石崎 俊(慶應義塾大学)
1. 経緯と最近の動向
情報処理学会試行標準は 2001 年の 11 月からスター
トした制度で,情報規格調査会が情報処理学会におけ
る研究活動との連携も考慮しながら,第 1 種の専門委
員会における従来型の標準の開発ばかりでなく,シス
テム開発や研究開発などにも役立つような標準を学
会試行標準として制定し,ホームページ
http://www.itscj.ipsj.or.jp/ipsj-ts/list.html で
公開して広く意見を求めるというものである.
この制度はスタートから 6 年目に入り,成立した学
会試行標準は 10 件に上っている.2006 年度は,2007
年 3 月に IPSJ-TS0011:2008(大規模文字集合の異体字
構造)を制定し,まもなく公開を予定している.また,
ソフトウエア単独医療機器化に関する試行標準につ
いて,厚生労働省の厚生科学研究班や日本医療画像シ
ステム工業会などとの連携,国際整合性などを含めて
基礎的な検討を続けている.その他,フォント属性の
体系化,書体分類とそのマッピングなどに関する試行
標準の基礎的な検討を行っており,まとまり次第,新
しい WG を発足させる予定である.
近年は国際標準における知的財産権の問題が特に
注目され取り上げられているが,試行標準でも規程お
よび利用上の注意について,ISO/IEC などの動き,国
内の JIS に関する動向を見ながら検討を進めている.
本委員会の具体的な活動内容として,6 つの WG に
ついて個別に説明する.
2. 作業内容
2.1 WG 1:情報技術用語(主査:大野義夫)
情報技術用語データベースとして JIS などの文書
で定義された用語を基本とし,国内外で使用されてい
る最新の用語を対象にするデータベースを開発して
いる.試験使用で送られた意見をもとにして,一部の
ユーザインタフェースを変更し,新しいデータを簡単
な操作で追加できるような仕組みを開発している.
大量の項目を含み非常に多くの追加が想定される
JIS や用語集について,分野分け,出典文書の種類や
版,出版年の区分などについて以下の項目を検討して
いる.(1)用語に付与する識別名,(2)用語の分類(分
野別,SC 別など)
,(3)用語の古い版の扱い,(4)レベ
ル表示(公的承認済,開発中など).
2.2 WG 2:文字図形識別情報(主査:古家時雄)
IPSJ-TS 0002:2002( 文 字 図 形 識 別 情 報 ) お よ び
IPSJ-TS 0010(文字図形間の構造的距離−定義とその
算出法)を既に制定・公開している.IPSJ-TS 0002 に
おける Font の PDF 化による改版および,文字の実装
に関連した JIS 化を検討している.
2.3 WG 3:日本語電子化辞書形式(主査:橋本三奈子)
日本語の自動解析に用いる電子化辞書の記述項目
を標準化し,電子化辞書の分散・共同開発を容易にす
ることを目指し, 2004 年度に,IPSJ-TS0003:2004(解
析用日本語電子化辞書の記述項目と記述形式)を制
定・公開している.
次に IPAL の動詞辞書,形容詞辞書および名詞辞書
を試行標準の形式(XML)に変換し,IPAL 解説編につ
いても WORD 化および PDF 化を行って,これらをダウ
ンロード可能にして公開した.著作権なども含めた説
明書を用意している.
2.4 WG 4:音声言語処理インタフェース(主査:新田
恒雄)
本 WG では既に IPSJ-TS0009:004(ディクテーション
に 用 い る 基 本 記 号 に 対 応 す る 読 み ) お よ び IPSJTS0011:2005(カーナビ用音声入力の性能評価のため
のガイドライン)を制定・公開している.2006 年 3 月
には NP として,マルチモーダル対話のための記述言
語 Part 1 要求仕様が技術委員会で承認され,試行標
準の番号は IPSJ-TS 0012 になった.情報処理学会誌
に紹介記事として「音声言語インタフェースのための
情報処理学会試行標準」が新田主査によって情報処理
47 巻 7 号に掲載された.
2.5 WG 5:符号化文字基本集合(主査:松岡榮志)
主査が大蒔和仁から松岡榮志に替った.IPSJ-TS
0005(符号化文字基本集合)を 2002 年に制定・公開し,
2003 年には IPSJ-TS0007:2003(符号化文字基本集合
−日本コア漢字)を制定・公開している.これは,我
が国から ISO/IEC JTC 1/SC 2 に提案されて国際標準
に向けて参加各国の協力の下に手続きが進められ,
2005 年度に成立した.
IPSJ-TS0008(大規模文字集合の異体字構造)は松岡
主査の下で試行標準化作業が進められ,2007 年 3 月
に制定され 2007 年度に入って公開される予定である.
これは,我が国における様々な漢字資料における異体
字関係と中国におけるさらに大規模な異体字関係を
総合し,相互の異体字関係を網羅した構造を標準化し
たものである.
2.6 WG 6:レスポンシブリンク(主査:山崎信行)
2003 年 9 月に,並列分散制御用のリアルタイム通
信規格であるレスポンシブリンク(Responsive Link)
を制定した(IPSJ-TS 0006). ロボットの制御などに
有効な日本独自の技術である.これは国際標準化の過
程にあるが,2006 年 11 月に発行された SC25 の資料
N1257 において FCD の承認および FDIS に回されたこ
とが分かっている.
■メタモデル相互運用枠組み専門委員会
委員長
堀内 一(東京国際大学)
1. 経緯
本専門委員会は,ISO/IEC JTC 1/SC 32(データの
管理と交換)の WG 2(メタデータ・レジストリ)に
対応しながら,メタモデル相互運用枠組み(Framework
for metamodel interoperability:ISO/IEC 19763)
の標準化を推進している.同規格の狙いは,e ビジネ
スなど企業間システム連携を容易とするために,モデ
ルや情報要素,あるいはオントロジなどを記述したメ
タモデルを登録させ,その共有を促進させることにあ
る.
2002 年 5 月のプロジェクト発足以来,SC 32 内に,
日本,中国,韓国,英国,およびカナダによる 5 カ国
共同プロジェクトとして活動を続けている.規格は,
第 1 部から第 4 部で構成され,次のような共同編集体
制をとっている.
第 1 部: 日本/英国,第 2 部: 日本/韓国,
第 3 部: 日本/中国,第 4 部: 日本/中国
本活動は,2003 年度より,経済産業省の「国際規格
共同開発事業」の一環として進めている.
2007 年 2 月 1 日,3 月 1 日に上記のうち第 1 部と第
3 部が,それぞれ規格成立(IS)となった.
2. 作業内容
(1)第 1 部: 参照モデル(ISO/IEC 19763-1)
規格全体の概念と狙いを明らかにし,併せて,規格
各部分の開発の在り方などを述べたもの.2007 年 2
月に規格成立.
(2)第 2 部:コアモデル(ISO/IEC 19763-2)
OMG ( Object Management Group ) の MOF/XMI
(Meta-Object Facility/XML Metadata Interchange)
をベースに,その拡張としてモデル及びモデル要素登
録のメカニズムを提供するものである.2006 年 3 月
の神戸会議で FCD となったが,コメントが多かったこ
とから 2nd FCD の投票中である.
(3) 第 3 部:オントロジ登録のためのメタモデル
(ISO/IEC 19763-3)
第 2 部のコアモデルをベースに,ドメインごとのオ
ントロジ登録のためのメタモデルを規格化するもの.
本規格開発は,特に,中国との共同作業を展開すると
ともに,OMG の ODM(Ontology Descriptive Metamodel)
チームとも連携して作業を進めていた.2007 年 3 月,
規格成立.
(4) 第 4 部:モデルマッピングのためのメタモデル
同じく第 2 部をベースに,異なるモデル間の対応付
けと変換ルール登録を目的とするメタモデルを規格
化する.OMG の QVT(Query View Transformation)プ
ロジェクトと連携している.第 3 部と同様,2004 年 5
月西安会議で WD を提出したが,2005 年 4 月のベルリ
ン会議で CD 登録となり,2006 年 3 月の神戸会議で 2nd
CD となり,そのコメントを調整中である.
3. その他(スタディピリオド)
2006 年 3 月の神戸会議で,中国から 2 件の新プロ
ジェクト提案がなされた.一つは,オントロジの管理
と進化活動に関するものであり,もう一つは,プロセ
ス・オントロジに関するものであった.いずれも問題
の範囲が大きいこと,プロセス・オントロジなる概念
が未確立であること,他の標準化団体との調整を要す
ることなどから,2 件を扱うスタディピリオドを置く
ことになった.
オントロジ進化と管理については,2007 年 7 月に
予定されている NY 総会に WD を提出する予定.また,
プロセスモデル登録については,目標もあいまいな状
況が続いており,2007 年 7 月の NY 総会でスタディ期
間の延長を図るか,提案を取り下げさせる.
4. 日本からの新提案
日本から新たに,規格全体に関係する「登録手続き」
を第 6 部として,NY 総会に提案する.オントロジを
含め,モデル,モデル要素,情報要素など共有可能な
情報要素の MFI 規格にそった登録を求めるものであ
る.国内の次世代電子商取引推進協議会(ECOM)と連
携し UN/CEFACT の情報要素(コアコンポーネント)な
どの登録手続きと整合性を取る予定であるが,RA の
所在などで,相当な議論を呼ぶことになりそうである.
<第 3 種専門委員会>
■ 国際符号化文字集合 JIS 改正原案作成委員会
■ オープン分散処理 -- 統一モデリング言語 JIS 原
案作成委員会
委員長 大蒔 和仁(独立行政法人産業技術総合研究所)
委員長
1. 経緯・概要
JIS X 0221 国際符号化文字集合は,ISO/IEC 10646
Universal Multiple-octet Coded Character Set の
国際一致規格である.JIS では ISO/IEC 10646-1:1993
の発行を受けて JIS X 0221:1995 を作成し制定した.
その後国際規格が第 2 版となったことを契機に
ISO/IEC 10646-1:2000 の 翻 訳 を 行 い JIS X
0221-1:2001 として制定した.
今回の改正原案は,JIS が見直しの時期を迎えるこ
とを契機として,2005 年秋から作業を開始し,2006
年 11 月に原案が完成した.近く,JIS X 0221:2007
として制定される見込みである.
2. 原案の内容
作成した JIS 原案は,次のような内容となっている.
・ 国際規格の最新の追補(ISO/IEC 10646:2003/
AMD2:2005)までの内容をすべて取り込んで規格
の最新の状態と一致させた.
・ 国際規格がパート制を廃して単独規格として再
編成されたことを反映し,JIS も部編成をやめる
こととした.
・ JIS として国際規格に対し追加していた附属書
(参考)について内容を見直し,旧附属書 1 日
本文字部分レパートリ については JIS X 0213
及び国際標準の動向を考慮して内容を変更し,
旧附属書 2 他の JIS の符号化文字集合との対応
については削除した.
・ 従来,紙に印刷した形態で提供していた詳細符
号表,文字の名前の一覧,文字についてのその
他の詳細データ等を,電子データの形で提供す
ることにした.画像を含むものは PDF の形式,
英数字のデータはプレインテキストファイルの
形式とし,CD-ROM 等に格納して規格票に添付す
ることを予定している.
薮田 和夫(富士通(株))
1. 経緯
2005 年 4 月に UML(Unified Modeling Language
Version 1.4.2)が国際規格 ISO/IEC 19501:2005 とし
て成立した.UML は元々,OMG(Object Management
Group:オブジェクト技術標準化団体)がオブジェク
ト指向分析・設計の表記法を統一モデリング言語とし
て共通化したものである.UML を広く公のモデリング
言語として普及する上で国際規格化が望まれていた.
日本では,公的試験(情報処理試験等)における利用,
特許文書における利用,学校教育における利用など,
様 々 な 利 用 が 期 待 さ れ て い る . そ こ で ISO/IEC
19501:2005 が成立した直後に JIS 化すべく準備会を
スタートし,2005 年 10 月に 13 名の委員構成で UML JIS
原案作成委員会を発足した.
原案作成委員会では 2006 年 11 月までに 13 回の委
員会と合宿形式による集中審議を 4 回延べ 6 日実施し
て,2007 年 1 月に原案を完成させた.
2. 作業内容
昨年の当レポートで述べたように,最初に JIS 化の
方針として大きく次の点を取り決めた.IS 原文は OMG
の規格文書をファストトラックで承認した仕様であ
るため,ISO の規格様式に沿っておらず,解説的内容
(情報としての説明,例示)を多く含む長大なもの(432
ページ)であること,また UML を解説した一般書籍も
多くあることから,解説的情報を削除し規定部分だけ
に絞り込んだ翻訳を行い早期の発行を目指す.翻訳に
あたっては,JIS としての適格性が確保できるように
次の点を編集方針としてきた.
・ 規格部分は原文に忠実に翻訳
・ 解説的内容のため削除した箇所はその注記
・ 原文の章立てをそのまま残す
審議中に問題となった点としては,規定の文章表現
が曖昧であったり,OMG での暗黙の了解事項が規格に
反映されていなかったりした点が多々あった.その都
度原著作者に確認し,判明した点については規格本文
中に委員会の注記として書き加えていった.
また翻訳が終わったところで,この規格を読むに当
たって,あらかじめ具体的な UML モデルに触れておい
た方が,その文法を規定している UML メタモデルを解
釈する上でよりイメージがしやすくなるであろうと
の配慮のもとに,実務的に意味のある UML 適用例とし
て分析(一部分析モデル)から実装レベルのモデルの
記述例を作成し解説書の中に加えた.
3. その他
JIS 原案を規格協会に提出した後,次の 2 点の指摘
を受けた.(a)英語表記の箇所が多く読者が混乱する
のではないか.(b)IS に記述されている著作権の確認.
(a)英語表記について
英語表記はメタモデル要素及び構文定義である.
UML のセマンティクスはメタモデルを用いて定義され
ており,メタモデル要素は JIS でも英字の要素名をそ
のまま表記しなければならない.しかしメタモデル要
素名が,人間の理解性向上の点から自然言語風の英字
名となっているため,一見すると通常の英単語と区別
が難しく,一般の読者を混乱させる可能性があること
は否めない.
たとえば「メタモデルでは,ObjectSetExpression
は,インスタンスの集合を評価される文を定義する.
ObjectSetExpression は,Action において対象インス
タンスを指定するのに一般的に使用される.」という
ような記述が随所に出てくる.
英語表記はそのタイプ/要素種別が分かるような
工夫を施すとした.英語表記のタイプとしては,(1)
メタモデル要素の名前 (2)UML 標準のステレオタイプ
又は制約名 (3)UML 及び他のプログラミング言語で使
う型名/キーワード (4)文字列文法規定の終端記号/
非終端記号 (5)一般的な式の変数 (6)その他一般的
な固有名詞が挙げられるが,これらの 6 種のタイプを
英語表記が現れるごとにどのように表すかを,過去の
類似の JIS 規格の表現方法も参考にしながら,日本規
格協会との調整のあと一括して付与することにする.
(b) IS の著作権の確認について
ISO/IEC 19501:2005 ANNEX B Legal Information
で著作権の記述がある.本来 IS を JIS 化する場合,
ISO との包括契約により個々の規格の著作権問題は発
生しないはずであるのでその確認を行う.この点につ
いては,作業が前後したが,経済産業省技術環境局情
報電子標準化推進室のご指示とご協力を仰ぎながら
確認作業を行っているところである.
■ プログラム言語 C# JIS 改正原案作成委員会
委員長
黒川 利明((株)CSK ホールディングス)
1. 経緯
C#言語は,C をベースにした本格的なオブジェクト
指向言語であり,2005 年 3 月 22 日に JIS X 3015 と
して公示された.すでに,その解説の懸案事項には,
IS 原案作成団体である Ecma TC39 TG2 における C#言
語仕様の拡張作業への対応の必要が述べられていた.
2006 年 6 月には,正式に改訂された C#言語仕様が
ECMA からファストトラック提案され,2006 年 9 月 1
日に,ISO/IEC 23270:2006 として,C#言語仕様の第 2
版が国際規格として発行された.
この国際標準の動きを受ける形で,早くも 2006 年
4 月から C# JIS 改正を検討する委員会が,実質的に
は CLI JIS 原案作成委員会を引き継ぐ形で,情報規格
調査会内に設けられた.平成 18 年度 JIS 原案作成公
募に採用されて,同年 8 月から,正式に C# JIS 改正
原案作成委員会として活動を開始した.
2007 年 6 月末には,C# JIS 改正原案を提出できる
予定である.
2. 作業内容
JIS X 3015 の英文原規格は,460 ページあったが,
今回の改訂版は 442 ページに収まっている.これは,
単純に追加機能を付け足しただけではなく,従来の原
文も見直して無駄な部分を省いた効果による.したが
って,単純に JIS X 3015:2005 文書に追加するという
わけにはいかず,文書全体を再度見直す必要がある.
さらに,JIS Z 8301 の改訂があったために,文書形
式にもかなり手を入れる必要がある.
また,英文原規格のバグはまだ残っており,従来通
り,Ecma TC39 TG2 への通知を含めて,規格自体の品
質向上も図っていく必要がある.訳語についても,基
本的には,前回用いた訳語を継承するが,英文原規格
においても,用語を改訂した部分があり,前回の訳語
についても,さらに検討を進める必要がある.
幸いなことに,前回の JIS 原案作成委員の多くが今
回の改正原案作成委員会に参加してくれたので,意識
あわせなどの作業は必要なく,ただちに,実質的な原
案作成に入ることができた.また,JIS テンプレート
の作業については,従来通り,マイクロソフト プロ
ダクト ディベロップメント リミテッドから作業支
援を頂けることになった.
現時点(2007 年 6 月)では,月 1 回の委員会で進
捗確認及び一部の原案レビューを行いながら,最終的
な改正原案とりまとめを行う予定である.
3. その他
新たに導入された「総称(generics)」機能は,型
推論など興味深い処理があり,これらの処理について
の理解がないと,仕様の妥当性を十分に判断できない.
これらの勉強にも今後ともできる限りの時間を割い
ていきたいと考えている.
なお,今回の JIS 原案作成公募に際しては,従来,
プログラム言語の JIS においては不問とされていた
項目について回答を求められ,困らされた.質問項目
は,明らかにハードウェアのことしか考えておらず,
ソフトウェアのことを分かっていない.プログラム言
語の仕様に対して,工場での生産額,輸出額など尋ね
られても答えられるわけがない.情報規格調査会にも
手伝っていただき,経済産業省の担当官にも説明し納
得いただいて無事に終わったのだが,今後のことも考
えて,特に,ソフトウェアや無形資産に関する JIS 公
募に際しては,ハードウェアとは違う取扱いができる
ようにしていただきたいと思う.従来のまともな取扱
いが,担当者が変わっておかしくなるというのは,日
本的な運用の限界を示すものかもしれない.
■プログラム言語 Fortran JIS 原案作成委員会
委員長
田中 稔(富士通(株))
1. 経緯
国際規格 ISO/IEC 1539-1(Programming languages
-- Fortran -- Part 1: Base language)が 2004 年に
改正された.
これに伴い 2005 年 4 月に国内の Fortran
標準化活動を推進する SC 22/Fortran WG 小委員会の
メンバを中心とした JIS 原案作成委員会を組織し,対
応する JIS X 3001-1 の原案の作成作業を開始した.
この Part 1 では,Fortran 基底言語で表現されるプ
ログラムの形が規定され,その解釈が与えられる.こ
の改正版は通称 Fortran 2003 と呼ばれ,旧版(通称
Fortran 95)から様々な仕様拡張が行われている.例
えば,派生型( 構造型 から用語変更を検討中)の仕
様拡張,オブジェクト指向プログラミングのサポート,
ASSOCIATED 構文の追加,データ操作の仕様拡張,入
出力の仕様拡張,手続ポインタの追加,有効範囲の仕
様拡張,IEC 60559(IEEE 754)の例外処理や算術のサ
ポート,プログラム言語 C との相互利用可能性のサ
ポート,国際利用のサポート,ホストシステムとの統
合化に関する仕様拡張などである.Fortran 2003 で
は,旧版の Fortran 95 の構文規則や解釈がそのまま
包含されており,Fortran 95 から上位互換を保ちな
がら拡張されている.ほんの一部に些細な解釈の違い
はあるものの,それらの違いを除けば,Fortran 95
に合致するプログラムは,Fortran 2003 にも合致す
る.500 ページを優に超えるほど膨大な分量があるも
のの,プログラム言語が一般に広く利用されることな
どの性格を考慮し,完全翻訳による原案作成とするこ
とにした.2006 年度は,2005 年度に開始した作業の
継続である.
2. 作業内容
原案作成作業は,2005 年度に引き続き,対応する
原国際規格を忠実に翻訳する形で作業を進めた.当初
2006 年 10 月に原案作成作業を完了させる予定として
いたが,作業量が多く各委員の作業時間も思うほど自
由にはならなかったため,実際の作業は予想以上に難
航した.年度の途中で委員追加による補強を行ったり,
原案レビューのための会議時間を増やすなどの対策
も講じ作業進捗度の改善を試みたが,結局は 2006 年
10 月での作業完了は困難と判断し,2007 年 6 月まで
作業期間を延長した.新規に追加された用語について
の訳語をある程度決めてから翻訳作業に着手したが,
翻訳作業中に新たに出現しその都度検討した訳語も
少なからずあった.また,従来から存在する用語につ
いても一部見直しを行い,いくつか訳語を変更してい
たものもある.例えば,derived type は,旧版の
Fortran 95 では構造体を表す型であったことから訳
語(用語)を構造型としていた.しかし,Fortran 2003
では,この derived type を仕様拡張することでオブ
ジェクト指向的なクラスの概念が導入されたため,
derived type の訳語を派生型に変更した方が適切で
あると判断し変更している.なお,用語の最終決定は
次年度の作業にて行う予定である.また,この原案作
成にあたっては,仕上がりの高品質化や作業効率を考
慮し,旧版の JIS 改正原案作成作業のときから使用し
ている日本語文書清書システムの環境を整備して再
利用している.併せて,WWW サーバおよび電子メール
を積極的に利用するなど情報の共有化に努め,委員を
下訳作成担当と編集専門担当に分けるなどさらなる
作業の効率化を図っている.作業中,原国際規格には
いくつかの不備も見つかっている.これらの不備は,
原国際規格の原案作成委員会である ISO/IEC JTC 1/SC
22/WG 5 に通知する予定である.
■オフィス文書のためのオープンな文書形式
(OpenDocument) v1.0 JIS 原案作成委員会
委員長
村田 真(国際大学)
1. 経緯
ODF(Open Document Format)V1.0 は,オフィス電子
文書の交換のための規格である.ODF は,OASIS から
PAS 手続きによって提案され,JTC 1 での投票によっ
て満場一致で承認されて ISO/IEC 26300:2006 となっ
た.この投票の際に,国内での JIS 化を行うことが国
内 SC 34 委員会によって推奨された.これを受けて,
ODF の JIS 原案作成を,平成 18 年度 JIS 原案作成公
募制度に従って財団法人日本規格協会規格開発部に
応募した.この応募は承認され,オフィス文書のため
のオープンな文書形式(OpenDocument)V1.0 を制定す
る第 3 種委員会が発足した.
2. 作業内容
本委員会の活動は,会議と電話会議によって行った.
翻訳作業は,機械翻訳を利用した.
2.1 会議
会議を 2006 年 9 月 8 日(金),10 月 3 日(火) ,11
月 7 日(火),12 月 25 日(月),2007 年 1 月 10 日(水),
2 月 6 日(火),3 月 30 日(金),4 月 27 日(金)の 8 回
にわたって開催した.そのほかに,電話会議を 2007
年 3 月 7 日と 4 月 17 日の 2 回にわたって行った.電
話会議の経費については日本 IBM(株)が負担した.
電話会議は通常の会議と比べて劣る点がないわけ
ではないが,物理的に集まる必要がないという利点は
大きい.本委員会においても,電話会議によって翻訳
作業を大いに進めることができた.
2.2 機械翻訳
OASIS の ODF 仕様書は,ODF 自体で書かれた ODF 文
書である.この ODF 文書から,本文だけを残し,翻訳
不要なスキーマなどを削除した.その後に本文を機械
翻訳にかけて下訳とした.各委員はこの下訳を修正す
ることによって JIS 原案を作成している.
機械翻訳にかけるためには,ODF 規格書専用のユー
ザ辞書を作成する必要がある.本委員会では,ODF 規
格書から,何度も出現する用語をプログラムによって
抜き出し,審議によって訳語を決定した.この作業に
ついては,機械翻訳を使うかどうかにかかわらず有益
であったと考えている(委員長個人意見).
機械翻訳を用いたことについての委員の評価はさ
まざまである.作業にはそれほど貢献していないとい
う意見もある一方,機械翻訳は大いに役立っていると
いう意見もある.
2.4 OASIS ODF Technical Committee 及び SC 34 への
フィードバック
翻訳の間に,ISO/IEC 26300 及び OASIS の ODF 1.0
の 欠 陥 を い く つ も 発 見 し , OASIS ODF Technical
Committee に報告している.報告が一通り終わった段
階で Defect Report を国際 SC 34 に SC 34 専門委員会
から提出する予定である.
2.5 OOXML との関係
ODF が満場一致で ISO/IEC 規格として成立した後に,
Ecma か ら Office Open XML が ISO/IEC JTC 1 へ
fast-track によって提案された.Office Open XML も,
オフィス電子文書を扱うための規格である.
Office Open XML が ISO/IEC 規格として成立するか
どうかは不明であるが,成立した場合に日本としてど
う対処するかを検討する必要がある.
3. その他
現在は,テキストの翻訳を行っている段階であるが,
今後は図・スキーマ・表も含めた JIS 原案を Word 文
書として JIS テンプレートに従って作成しなければ
ならない.ISO/IEC 26300 が 700 ページを越える長文
の仕様であることもあり,作業は難航することが予想
される.一方,図・スキーマ・表などを元々の OASIS
の ODF 仕様書から転用すれば,作業負担を軽減できる
可能性がある.
<その他>
■ ISO 2375 登録委員会
委員長
三上 喜貴(長岡技術科学大)
2006 年度初めから作業を開始した Practice of the
Registration Authority for ISO/IEC 2375 の改訂
作業を完了し,2007 年 3 月 1 日付けで正式発行した.
必 要 書 式 等 を 含 め て ISO-IR ( International
Register)の Web サイトに掲載した.
http://www.itscj.ipsj.or.jp/ISO-IR/
また SC 2 へ寄書し,N3922 として回覧された.2007
年 9 月の SC 2 総会にて RA からの報告事項として報告
する予定である.
発
行
人
社団法人 情 報 処 理 学 会
情報規格調査会
広報委員会
〒105-0011 東京都港区芝公園 3-5-8
機械振興会館 308-3
Tel: 03-3431-2808
Fax: 03-3431-6493
[email protected]
http://www.itscj.ipsj.or.jp/
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