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日本における TVホワイトスペース利用
日本における TVホワイトスペース利用 高田潤一 東京工業大学 2013年5月23日 電子情報通信学会 ソフトウェア無線研究会 パネル討論 「ホワイトスペースは本当に使えるのか?」 1 SR研の皆様へ質問 • 皆様は 「日本でTVホワイトスペースが使える」 と認識されていますか? • 私の答えは 「皆さんが思い描いていたものとは違うかもし れませんが,とりあえず使うことはできます」 です. 2 日本のTVWS TVWS利用の大原則 地上テレビジョン放送用周波数帯を利用するいず れのホワイトスペース利用システムも, • 地上テレビジョン放送へ有害な混信を生じさせ てはならず,また • 地上テレビジョン放送からの有害な混信への保 護を求めてはならない. 「有害」の定義は後で. 3 FCCとの大きな違い • 免許制:技術基準,自由に通信方式を選べない 現在までに制定された技術基準 – エリア放送 – 特定ラジオマイク • 移動不可:免許で運用場所指定(固定・可搬) 位置センサ不要... SR研的には「使える」とは言わない? 4 FCCとの保護基準の差 カバレッジ • FCC 64 dBu vs MIC 51 dBu (9 dB マージン) 同一チャネル干渉 • FCC D/U 23 dB vs MIC I/N -10 dB (~ D/U 30 dB) 干渉波伝搬モデル • FCC TM OET-91-1 (郊外地距離減衰) vs MIC 告示 640号 (地形回折・市街地補正) 総務省の保護基準の方が厳しい 5 エリア放送の技術基準 送信電力 • 標準 10 mW 以下 / 最大 130 mW cf) FCC fixed device 1 W / portable device 100 mW 保護基準 • 同一・隣接チャネル:前述 • ブースタ干渉:LNAの飽和 40 m @ 10 mW, 150m @ 130 mW 6 チャンネルスペース マップ • 市区町村役場におけるエリア放送局を想定 • EIRP 130mW・地上高20m • 伝搬モデルは未公表 – 郵政省告示640号? NNHKアイテック P-MAP? 確かに都市部では使えない 7 運用調整の仕組み 2013年1月 TV ホワイトスペース利用システム運用調整連絡会 • 地上デジタルテレビジョン放送 (primary) • エリア放送 (secondary) • 特定ラジオマイク (prioritized secondary) 他のシステムが現れるまでの過渡的な組織 • 災害向け通信(災害ロボットの制御)について は現在検討中 8 運用調整の仕組み 今は手作業 ホワイトスペース推進会議, ホワイトスペース利用システムの運用調整の仕組み 最終とりまとめ, Jan 2013 より 9 データベースへの道 1. チャンネルリスト – 上位及び同位システムに混信を与えず利用可能な周波 数を利用地点毎にリスト化 – 干渉検討シミュレーションの結果等を利用して算出 2. 干渉検討シミュレータ – システム諸元や所要離隔距離等をもとに干渉の有無を 計算 3. 利用状況データベース – ホワイトスペース利用システムの運用状況(利用日時,場 所,周波数等)を記録 ホワイトスペース推進会議, ホワイトスペース利用システムの運用調整の仕組み 最終とりまとめ, Jan 2013 より 10 なぜ放送が ホワイトスペースを? • SR研で議論してきたのは 「ダイナミックスペクトラムアクセス」 • 現状は「スタティック」 – 送信場所が固定されたエリア放送 – 運用範囲が限定された特定ラジオマイク(主に興行) – 動的なデータベースの運用も必要としていない • ラジオマイクは携帯電話のための周波数移行 • なぜエリア放送がホワイトスペースを最初に 使うことになったのか? 11 ホワイトスペースに 関する議論の経緯 2009年11月(民主党新政権下) • 新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム – ホワイトスペースの活用など電波の有効利用の促進 – 地域活性化,新産業創出及び技術革新,内需主導型の 経済成長の実現 2010年8月 • 同チーム 報告書 – エリアワンセグやデジタルサイネージなど放送型が主 – ホワイトスペース特区先行モデル~全て放送型 – 双方向通信,コグニティブ無線等は将来のサービス 12 ホワイトスペースに 関する議論の経緯 2010年9月 • ホワイトスペース推進会議 – ホワイトスペース活用の全国展開 – ホワイトスペース特区の選定・実施主体との意見交換 13 ホワイトスペースに 関する議論の経緯 2010年9月 • ホワイトスペース特区に関する提案募集 – 44件の応募 2011年4月 • ホワイトスペース特区の決定 – – – – – – ビジネスとしての継続可能性 地域活性化や新産業創出など経済的効果や社会的効果 具体性や実現可能性のある計画(当面2年間程度) 技術的、制度的課題 44件中25件採択 放送型23件,ブロードバンド1件,センサネットワーク1件 14 仮説 • エリア放送への政策誘導ではないか? 特区の募集で「速やかに実験が開始できる」ことを条件 – 事実上新しい方式・システムの取り組みは最初から 排除? ホワイトスペース共用作業班での発言 – 他のシステムを考慮することに対し,「総務省から梯子を 外された」という趣旨の発言 15 今後への期待 現在のレギュレーションの枠組み – 具体的なニーズと具体的なシステムの技術的条件が 揃って,初めて議論が始まる ⇒ 本当にホワイトスペースを通信に必要としている のは誰か? データベースと免許付与 – データベースを誰が作って動かすか?総務省はやらない. – データベースにより免許付与の仕組みは変わるのか? 変えなくてもうまくいくのか?(例)携帯電話の包括免許 – 位置情報を得ることはさほど困難ではない~GPS,携帯 16 – ホワイトスペースがスタンドアロンである必要もない.