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5/12人間学を学び楽しむ会 感想文
5月12日の「人間学を学び楽しむ会」が、昨年の忘年会に引き続き、右山昌一郎先生、 山本守之先生、平川忠雄先生という日本を代表する税理士会のレジェンド3名の先生に来 て頂き行われました。 なにしろ3名の先生方の税理士業務年数の合計が156年という、とてつもないキャリア を誇る先生方による贅沢な勉強会です。 会の進行は先ず、3名の先生方それぞれ20分ずつの講演会があり、その後、全員御登壇 頂き、30分質疑応答を行うということで進められました。 最初の講演は、右山先生で「顧問先との絆」について次のように語られました。 『 昨今、顧問先との関係がビジネスライクになりすぎて「絆」が希薄になってきているこ とを危惧しています。 そこで「顧問先との絆」を深めるポイントが3つあります。 ポイントの1つ目は、非上場会社の株式を100%所有しないで、1/3は事業協力者に 公開し譲渡すべきということです。 その協力者の一人として顧問の税理士がなることにより「絆」を深めることになります。 ポイントの2つ目は、税理士が出資者として株主総会等を通じて会社の内部から会社法上 の整備をするということです。 この役割は顧問である税理士が適任であります。 ポイントの 3 つ目は、非上場会社の形態を維持すべきということです。 大塚家具等でも、上場すると創業者が排除されることがありますが、非上場会社は、その ようなことはなく税法上の有利性も含めて、企業体の特典も多く自由がきくので「絆」を 深める方法も多岐にわたります。 』 このような 3 つのポイントを押さえていくことが、本当の意味の中小法人の事業継承対策 になり税理士の「付加価値」になるという興味深い講演でした。 つづいての山本先生は「軽減税率」について次のように語られました。 『 軽減税率の適用区分として、国民の関心が高いテーマは「飲食店において「店内」で食 べると10%、 「テイクアウト」は8%になる」という問題です。 では「テイクアウト」の客が、コンビニの「イートインコーナー」に戻ってきて店内で食 べると、差額を徴収するかどうかについて、財務省の答弁と安倍首相の見解が違っている という迷走状態に不安になり、付加価値税先進国のフランスに3月に行って、現状を視察 してきました。 フランスでは、店内では「店内飲食組」と「テイクアウト組」が半々いて「テイクアウト」 で戻って店内で食べても差額の税金は徴収してないのが実態です。 「さすが、フランス、自由の国は違う。洒落がわかるな!!」と痛感しました。 このように、わが国もフランスを見ならって、税法も「洒落」が必要で、役人が全部決め 1 ているところが、税制の遅れているところで是正すべきです。 例えば、牛一頭は、すぐに食べられないから「食品」でなく、魚は、すぐに食べられるか ら「食品」であるという、変な通達ができるということで、もっと、国民の常識に任せる べきです。また、税理士も課税当局に「認めてください」という姿勢ではなく、課税要件 が重要で、その可否を主張すべきです。 』 「税理士」の大先輩として、とても重要なアドバイスを語っていただきました。 最後の平川先生は「税理士事務所の業務を経由して、クライアントなどから教えていただ いた財務認識人生観」というテーマで、現役で第一線で活躍されている先生ならではの視 点で次のように語っていただきました。 『 顧問先の興味深い実例として次の3つを紹介します。 ① まず、顧客の不動産会社が多くの美術品を所有しているが、社長の趣味だけでなく、 いざ、資金繰りが悪化した場合は売却して、リスクヘッジにしているという事例。 ② 別荘(セカンドホーム)を利用して、趣味を実践、親族交流に役立てていて、それに 納税者納税地指定制度であるふるさと納税を活用している事例。 ③ 医師が病院経営と、セカンドビジネスとしての養護医療関係のスポンサーオーナーを しての2つの業務を経営している事例。 また事務所経営については毎日4時に起床し、事務所に8時に出社、8時40分朝礼とい う現役第一線の税理士業務を行っています。 また、いい経営者には、いいスタッフが育ち、スタッフから得ることが多いです。 全国に支店をお持ちで、地域ごとの経営者の違いで勉強になり、クライアントにより有益 な人生訓を得ることがあります。 』 やはり開業50年以上も、このような、すばらしい活躍をされている先生のとても有意義 な講演でした。 質疑応答では、 「税理士として一番良かった事と一番つらかった事は?」という質問に対し、 右山先生は、一番良かった事は平成12年の2月1日に最高裁で「ゴルフ会員権の名義変 更料に関する裁判」に勝訴したことを挙げられました。 また一番つらかった事は、7年間の「ゴルフ会員権裁判」において、 「税理士補佐人」の第 一号だったこともあり絶対に負けられない裁判で、一審・二審で敗訴した事であると答え られました。 右山先生の代表的事案であるだけに、先生の並々ならぬ思いを感じる事ができました。 山本先生は、一番良かった事は、訴訟学会の副会長としていろいろな税務訴訟で勝利した 事であり、一番悔しかったのは、平成16年の年末にいきなり年内で譲渡損失の損益通算 ができなくなるという税制改正が発表され、それを阻止できなかった事を挙げられました。 2 今でも税理士会でも改正要望の強い項目である件について、税制改正に長年携わってこら れた先生ならではの想いが伝わってきました。 平川先生が、一番良かった事は、税法をはじめいろいろな情報で理論武装し、税務当局と の交渉において訴訟に持ち込まないで、顧客の利益の為に寄与できた事を挙げられました。 長年「税制改正解説セミナー」をされてこられた先生ならではのご感想だと思います。 次の質問は、「先生方の養生訓、健康法について」でした。 右山先生の健康法は、毎日自宅にいるので、昼食の買い物と準備、風呂の準備等の規則的 な家事手伝いだそうです。大先生に家事を手伝ってもらえる奥様は、本当に幸せな方だと 思います。 山本先生の健康法は毎日一合半の晩酌と、金銭管理は奥様に任せて先生は一切しない事だ そうです。大先生の貫禄を感じます。 平川先生は、毎日早起きして事務所に出勤し、80名の事務所を第一線で経営している事 が、一番の健康法だとおしゃいました。先生の若々しいバイタリティに感服しました。 このようにして、90分の講演・座談会は、とても興味深く、おもしろく、為になる内容 で、あっという間に終了を向かえました。 税理士の後輩の一人として、素晴らしい3名の大先輩と同じ時期にビジネス会計人クラブ に所属し、素晴らしいお話しを聞けた事をとても光栄に思いますし、非常に充実した素晴 らしい「人間学を学ぶ会」だと感じた一日でした。 3