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学生生活の充実に向けての努力

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学生生活の充実に向けての努力
学生生活の充実に向けての努力
1.自己点検・評価のこれまで
本学は、10 学部、15 研究科、12 附
置研究所及び 20 以上のセンターや施
設等を持ち、21,000 名の学生と教官
3,000 名、その他の職員 2,500 名を有
する大規模な組織であり、実に様々な
活動を行っています。これらの活動は、
ほとんど国からの予算によって支えら
れており、一般企業のように経営努力
や顧客重視の姿勢などが求められるこ
とはありませんでした。しかし、今後、
国立大学が法人化されると教育・研究の両面において実績を挙げ、魅力のある大学として
いくことが求められるようになり、本学の現状を点検・評価し、実態を認識して、より一
層改善への努力を払わなければなりません。
本学では、限られた予算を有効に使い大学の使命に即してよりよい活動を行うという認
識の下に、これまで次に示します自己点検・評価を実施してきました。
○平成 6(1994)年度:京都大学自己点検・評価報告書−自由の学風を検証する−
多岐にわたる課題を検証
○平成 12(2000)年度:京都大学自己点検・評価報告書Ⅱ
「組織と運営」、「情報の発信」、「学生の受入れと学生生活」、
「全学共通教育の在り方」、「学部教育・大学院教育の在り方」、「教育改善の努力」
○平成 13(2001)年度:京都大学自己点検・評価報告書Ⅲ
「教育・研究と社会」、「国際交流」
この延長線上で、今回(平成 14(2002)年度)は、「学生支援」というテーマで自己点
検・評価を実施することにいたしました。このテーマは教育・研究そのものとは違うこと
から、どちらかというと軽視されがちでありました。しかし、優れた学生を国内のみなら
ず世界各国から集め、将来の国際社会で活躍する人材を養成するためには、学生支援・学
生サービスが大学にとって非常に重要なテーマとなります。こうしたことから、学生・教
職員へのアンケートを含めてほぼ 1 年間をかけて種々の課題について点検・評価を行いま
した。その結果は、非常に多くの示唆を与えるものとなりました。
1. 2.学生生活の充実に向けて
大学は教育と研究の場であることはいうまでもありませんが、本学は特に研究中心の大
学として国際的に高く評価されております。この地位を維持、向上させていくためには、
教育面において、第一線で活躍できる研究者のみならず、社会の諸活動を支えこれをリー
ドしていくことのできる人材を養成しなければなりません。
本学は、建学以来、学生を一個人として尊重するという考え方を持ってきました。これ
は学生の自主性や自学自習を尊重し、教官の考え方を一方的に押し付けることなく議論を
通じて共通理解すること、真理の探究においては教官も学生もお互いに切磋琢磨すること、
といったことであります。一方、こうした考え方は、学生を自由放任し勉学に対する熱意
を喪失させてしまう危険性を持ち合わせており、実際には、そうした状況も存在すると言
わざるを得ません。
特に、近年の学生は自己確立が十分でなく、人間関係において問題があることが指摘さ
れています。このような状況にあって、大学は種々のきめの細かい対応をしなければなら
ないようになってきています。
長い歴史を持つ欧米の大学には全寮制のところがあり、また大学町が形成されているこ
ともあります。そこには、大学は勉強するところであるとともに、学生が何年かを生活す
る場・社会であるという考え方が強く存在します。学生の生活のための各種の施設が整備
され、また目に見えない諸々の制度・システムによって学生が安心して勉強し、スポーツ
や文化活動を通して豊かな学生生活を送り、精神的・肉体的に成長し、しっかりした人格
の形成が行われるような配慮がなされています。
ところが日本においては、そういった学生生活の場としての大学という観点はほとんど
な お ざ り
等閑にされてきました。今日の若人を学生として迎えれば、種々の配慮を本格的に行わね
ばならないということ、すなわち学生支援・学生サービスは、大学が学生のために当然な
すべき義務の 1 つであると認識する必要があります。
本学では、近年厳しい予算状況のなかにありながら、学生のためのキャンパスアメニテ
ィを少しでも高めるための努力をしてきましたが、学生のための学習指導・進路相談、悩
み事相談、経済的支援、課外活動のための施設や学生宿舎等の整備、身障者その他のハン
ディキャップを持つ人達のための各種の支援などについては、不十分であると言わざるを
得ないのが現状です。
3.我々のなすべきこと
今回の自己点検・評価報告書は、大学活動のなかのこういった学生支援・学生サービス
の面にメスを入れ、その実態を明らかにするとともに、我々が今後なすべきことが数多く
指摘されています。その多くは大学当局の努力によって解決すべき問題ではありますが、
大学構成員の十分な理解がなければよい結果が得られないことも事実です。教職員の皆様
におかれては、是非この報告書をよくお読みいただき、改善に対する具体的行動へのご協
力をお願いいたしたく存じます。
約 1 年間にわたってこの点検調査・評価作業に携わり、詳しい報告書を作成してくださ
った自己点検・評価等専門委員会、特に「学生支援」作業部会主査の丸山正樹教授と部会
の先生方に心よりお礼を申し上げます。
平成 15 年 3 月
京都大学総長
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