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1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン

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1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン
SIDS in HPV programme & CCAP
SIAM 29, 20/10/2009
初期評価プロファイル(SIAP)
1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン
物 質 名:1,1,1,3,3,3-Hexamethyldisilazane(HMDZ)
CAS No.:999-97-3
SIARの結論の要旨
物理-化学的特性
削減された試験の根拠
1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)は、水の存在下で急速に加水分解する;pH7、1.5℃での半
減期は < 0.5分である。HMDZの化学構造に基づき、この加水分解はアンモニア(CAS No.7664-41-7)とト
リメチルシラノール(CAS No.1066-40-6)を生成すると予期される。アンモニアは以前にOECD HPV化学
品プログラムで評価された。HMDZは加水分解的に不安定なので、水溶解度および分配係数は測定されなか
った;モデル化された値が与えられている。水溶液中でのHMDZのばく露は一時的であり、観察された毒性
は主に加水分解物による可能性が高い。
U.S. Environmental Protection AgencyとSyracuse Research Corporationにより開発されたEPISuiteプ
ログラム(v.4.0)は、分子構造中にシロキサンを含む化学物質について検証されていない(いくつかの測定
データが練習用データセットに含まれているが)
;したがって、推定値に関連する不確かさがあり、推定値を
報告する際はいつでも注意して用いられるべきである。
HMDZは、融点が-76.2+/-1.9 ℃、沸点が125 ℃(1013 hPa)ならびに蒸気圧測定値が22 hPa(25 ℃)
の液体である。推定オクタノール-水分解係数(log Kow)は2.62、水溶解度は761 mg/L(25 ℃)である。水
溶解度およびlog Kowの値はこの化学物質が加水分解的に不安定なので適用できないかもしれない。
ヒトの健康
HMDZのトキシコキネティクス、代謝、分布に関するデータは入手できない。
OECD TG 403 試験で、蒸気雰囲気へ全身ばく露した際の、HMDZの6 hr LC50 はラットで10 mg/Lであっ
た。7.8 mg/L群の動物について報告された臨床的所見は、呼吸器系と神経系への影響と一致した。同様な徴
候が、5.9 mg/Lでも観察された。OECD TG 402 類似の手法で行われた2つの試験で、ウサギの24-hr 経皮
LD50 は、一つの試験で547 mg/kg bw(雌)および589 mg/kg bw(雄)、二つ目の試験で1350 mg/kg bw(雌
雄合わせて)と報告された。臨床徴候は神経系影響と一致した;局所皮膚影響には重篤な刺激性と壊死が含
まれた。OECD TG 401 に類似の手法で行われた一つの試験で、HMDZの経口LD50 はラットで1416 mg/kg
bw(雄)と1904 mg/kg bw(雌)であった。臨床徴候は神経系影響と毒性の一般的な徴候と一致した。もう
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一方のラットでの試験で、急性経口LD50は774 mg/kg bwであった;臨床徴候は神経系影響と毒性の一般的徴
候と一致した。最後のラットによる急性経口試験で、経口LD50 は851 mg/kg bwと決定された。臨床徴候は、
体重減少と一般的な不健康な状態並びに、> 774 mg/kg bw/dでの神経系影響と一致した。
OECD TG 404の試験で、HMDZはウサギの皮膚を刺激しなかった。米国の運輸省(U.S. Department of
Transportation) 規則に沿って閉塞状態下で行われた3つの4 hr試験で、この物質は皮膚の腐食を生じた;
閉塞カバーの使用は影響の重篤性を増加させた可能性がある。HMDZは、動物の標準的な刺激性試験(OECD
TG 405または類似)で、眼を軽度に刺激した、あるいは刺激しなかった。HMDZの急性吸入試験は、その物
質が気道刺激性物質であることを示唆する。OECD TG 403 試験で、6 時間にわたり5.9 mg/L 以上にばく露
されたラットは、緩慢な/雑音のある呼吸を示した。DOT(運輸省)ガイドラインに従った試験で、ラット5
匹/性の一群が、約 6.7 mg/L に1時間ばく露された。毒性の臨床徴候は、ばく露期間中だけ観察され、それ
としては呼吸困難(複式呼吸)があった。皮膚感作性に関する試験データは入手できない。
HMDZの反復投与毒性試験は、反復投与/生殖/発生毒性スクリーニング試験(OECD TG 422)で吸入経路
によって調べられている。被験物質は、ラット10 匹/性の群に全身蒸気ばく露により、6 時間/日、7日/週で、
0(濾過空気)、25、100および400 ppm(0.16、0.66、2.66 mg/L)の設定濃度で投与された。雄は交配前15
日間、交配期そして交配後の期間、合計で少なくとも4週間ばく露された。雌は交配前から交配期、妊娠期そ
して授乳期を通し、離乳4日(または交配しなかった雌は剖検時)までばく露された。非交配の雌は試験の反
復投与の部分で用いられた。臨床徴候は、2.66 mg/Lでのばく露直後に神経系への影響と一致した。有意な体
重減少[15 %]と摂餌量の低下が2.66 mg/Lで観察され、また0.66 mg/L 雌の絶対体重が減少[7 %;p<0.02]し
た。血液と血清生化学パラメータへの影響が2.66 mg/Lで指摘された。2.66 mg/L 雄の絶対的副睾丸重量の減
少、および2.66 mg/L 雌の絶対的肺重量の減少が見られた。相対的腎臓重量の増加が0.66と2.66 mg/L(雌)、
また2.66 mg/L(雄)で見られた。相対的肝臓重量の増加が2.66 mg/L の雌で見られた。2.66 mg/L の雌の肝臓
における小葉中心性肥大だけが顕微鏡検査の所見であった。全身吸入ばく露後の臨床所見、体重変化、血清化
学、血液学および組織学的所見に基づき、全身毒性のNOAECは0.66 mg/L、LOAECは2.66 mg/Lであった。
Salmonella typhimuriumとE.coliによる微生物復帰突然変異試験で、HMDZは代謝活性化系の有無に係わ
らず陰性であった。マウスリンパ細胞L5178Yによる哺乳動物遺伝子突然変異試験は代謝活性化系の有無に係
わらず陰性であった。HMDZを使う、一件のin vitro 染色体異常試験は代謝活性化系の有無に係わらず陰性
だった。これらの結果に基づき、HMDZはin vitroで非遺伝毒性であると考えられる。
HMDZの発がん性に関するデータは入手できない。
HMDZの併合反復投与/生殖/発生毒性スクリーニング試験[OECD TG 422]で、HMDZの生殖/発生毒性の
NOAECは2.66 mg/L(試験された最高用量)であった。母獣毒性のNOAECは0.66 mg/Lであった。総じて、
スクリーニングレベルデータに基づき、HMDZは生殖/発生毒性の証拠を示さなかった。
HMDZはヒトの健康に有害性を示す特性(急性と反復投与毒性、皮膚と気道の刺激性)を有する。OECD
HPVプログラムの目的のために、ヒトの健康有害性を特徴付けるのに適切なスクリーニングレベルのデータ
が利用可能である。
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環境
HMDZの加水分解による半減期は、OECD TG 111 に従って < 0.5 分(1.5 ℃、pH7)である。HMDZは
アンモニアとトリメチルシラノールを生成すると予期される。大気中で、ヒドロキシラジカルとの反応によ
る間接的光-酸化は11.9日の半減期を伴って生じると予期される。HMDZの生分解性はEU 指令92/69/EEC、
C.4-Eに従って調べられた;HMDZは、28日で15.3 %の分解割合に達し、被験物質が易生分解性ではないこ
とを示唆している。この結果は親物質の生分解性よりもトリメチルシラノールの生分解性を反映している可
能性がより高い。
大気、水ならびに土壌コンパートメントへの等量および連続分配によるフガシティーモデルレベルⅢ予測
は、HMDZが主に土壌コンパートメント(70.8
%)、少量が水コンパートメント(21.8 %)、無視し得る量
が大気コンパートメント(7.08 %)ならびに底質コンパートメント(0.31 %)に分布することを示唆する。
しかし、HMDZは加水分解的に不安定なので、この物質は環境中に検出される可能性は低い。8.69 × 10 -5
atm-m3/mole(8.8 Pa -m3/ mole)のヘンリー則定数は、水相からのHMDZの蒸発が高いと予期されないこと
を示唆する。親物質の生物蓄積性は、HMDZの化学的反応性に基づき低いと考えられる。BCFBAF v3.00を
用いる推定BCF値は、24.77 L/Kg wet-wtである。
トリメチルシラノールの環境運命に関する情報は見出されていない。トリメチルシラノールは比較的安定
である。高濃度( > 5 %)のトリメチルシラノールは、ヘキサメチルジシロキサンを形成して縮合すること
が知られているが、環境に該当する濃度では、これは主要な反応経路ではないと予期される。しかし、関連
するシラノール単体の試験に基づき、トリメチルシラノールの表面への吸着が予期される。その高い水溶解
性故に、トリメチルシラノールは主に水、土壌および底質へ分布することが予期され、そして無機物表面と
結合する可能性がある。水中と土壌中でも、ゆっくりした生分解が生じるだろう。
HMDZの急速な加水分解により、水生生物は主に加水分解物、アンモニアとトリメチルシラノール、にば
く露される可能性が高い。以下の急性毒性試験結果が水生生物種について決定されている。
魚 [Brachydanio rerio]
96 h LC50 = 88
mg/L
(総有機炭素(TOC)としての測定値; EU Directive 92/69/EEC, C.1)
水生無脊椎動物 [Daphnia magna] 48 h EC50 = 80
mg/L
(TOCとしての測定値; EU Directive 92/69/EEC, C.2)
藻類 [Scenedesmus subspicatus] 72 h EbC50=19 mg/L (バイオマス)
(TOCとしての測定値; EU Directive 92/69/EEC, C.3)
藻類 [Scenedesmus subspicatus] 72 h ErC50=50
mg/L (細胞密度)
(TOCとしての測定値; EU Directive 92/69/EEC,C.3)
HMDZは環境に対して有害性を示唆する特性(急性水生毒性値が1と100 mg/L の間である)を有する。こ
の物質は易生分解性ではなく、低い生物蓄積性を有する。OECD HPV プログラムの目的のために、環境に
対して有害性を特徴付けるのに適切なスクリーニングレベルのデータが利用可能である。
ばく露
HMDZは、米国で2005年に年間製造量454-2268トンで商業的に製造されている。世界的な製造量は、2005
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年に2722-11340トン/年と推定された。
HMDZの産業用途には、中間体としてシリカの表面処理;接着促進剤またはシリル化剤として半導体産業
に販売;無機充填剤の化学的改良材;一部のシリコンシーラントの除湿剤、が含まれる。HMDZは、アルコ
ール、カルボン酸、アミン、アミド、メルカプタン、およびその他化合物の誘導体化のために使われる万能
のシリル化剤である。HMDZ は、多くの研究者がHPLC やGCのクロマトグラム担体の不活化およびコーテ
ィングに有用であると分かっている有名な単官能のシランである。HMDZ は糖類と関連物質のシリル化のた
めに通常選ばれる。HMDZ はまた、グラスウールの不活化と、GC 注入口ガラスインサートの処理に使われ
る。抗生物質を製造する医薬品工業でブロッキング剤として使われるHMDZは、完全に消費され、最終製品
の一部になることはない。他の用途では、使用中にこの物質を反応させるので、最終製品中に存在すること
は予期されない。
HMDZは閉鎖系(硬質パイプ配管)で製造され;工学的管理が常時用いられる。経皮と吸入が職業ばく露
の経路の可能性がある(製造および産業顧客)。
HMDZは、遊離型の水またはメタノールの除去剤として、家庭メンテナンス用の数種類のシリコンシーラ
ントに1-5 %添加されている。基板にシーラントとして使われる際は、HMDZは湿気と急速に反応することが
予期されるので、非常に低湿度下の環境で使われない限り、または過剰のHMDZがない限り、利用可能とは
ならない。
一部の医療用絆創膏は、HMDZをポリマーの端末キャップ(鎖の停止剤)として用いて製造されている。
これらのポリマーの製造中は、HMDZの残滓は真空除去によって取り除かれる。粘着剤中に残ると予期され
るHMDZ残滓はない。
環境中への意図的放出はない。
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