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食道静脈瘤
2013年6月7日 救急部カンファレンス 食道静脈瘤 肝胆膵センター 佐々木由子 食道・胃静脈瘤 食道・胃静脈瘤 食道・胃静脈瘤は、門脈ー大循環系に生じる側副血行路である。 →発生には門脈圧の上昇が関与する(12mmHg以上) 門脈圧亢進をきたす疾患 肝硬変など慢性肝疾患 ウイルス性肝炎(HBV, HCV) 原発性胆汁性肝硬変(PBC) 原発性硬化性胆管炎(PSC) 自己免疫性肝炎(AIH) アルコール性、非アルコール性脂肪肝 特発性門脈圧亢進症(IPH) Budd-Chiari症候群 膵炎 肝臓癌、膵臓癌 食道静脈瘤の供血路 1. 左胃静脈 2. 後胃静脈 3. 短胃静脈 食道静脈瘤内視鏡所見記載基準 Location(占拠部位) Ls:superior 上部食道まで認める Lm:middle 中部食道まで及ぶ Li: inferior 下部食道に限局 Form(形態) F0 静脈瘤なし F1 直線的静脈瘤 F2 連珠状静脈瘤 F3 結節・腫瘤状静脈瘤 Color(色調) Cw: 白色 静脈瘤(white) Cb: 青色静脈留(blue) Red color sign(発赤所見) RC0 RC1 RC2 RC3 Bleeding sign(出血所見) spurting bleeding(噴出性) oozing(にじみ出る) red plug(赤色栓) white plug(白色栓) Mucosal finding(粘膜所見) Erosion ulcer scar 食道静脈瘤 Li, F1,Cb,RC0 Lm, F2,Cb,RC1 Lm, F3,Cb,RC3 治療適応 ①出血所見を認める静脈瘤 ②出血既往のある静脈瘤 ③形態がF2以上もしくはRC sign 2以上 食道静脈瘤(破裂時)の治療 ①バルーンタンポナーゼ法 S-B tube ②内視鏡治療 1.内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL) 2.内視鏡的硬化療法(EIS) 3.組織接着剤注入法Histoacryl/CA法 ③血管内治療 TIPS(経皮的肝内門脈シャント術) ④薬物療法 Propranolol, vasopressin, nitroglycerin ⑤外科治療 直達治療(Hassab), 選択的シャント手術 静脈瘤破裂時の緊急止血術 ①バルーンタンポナーゼ法:S-B tube S-B tubeで80%以上の症例で有効に止血されるが、 止血は一時的である。 Vasopressinなどの薬物治療療法に比して成績はよい。 50%以上の症例でバルーンをdeflateすると再出血を生じ たという報告がある また肝機能予備能が少ない患者の方が再出血率が高い ②内視鏡治療:EVL, EIS 胃静脈瘤に対しては組織接着剤注入法(Histoacryl/CA法) 後にBRTOやEIS追加する バルーンタンポナーゼ法:S-B TUBE 合併症:誤嚥、食道破裂、食道びらん、粘膜壊死など 静脈瘤破裂 確実な止血が目標 静脈瘤破裂を生じた患者の30%~40%は2~3以内に再出血する。 EVL:内視鏡的静脈瘤結紮術 EVL:内視鏡的静脈瘤結紮術 <利点> 安全・簡便な手技とされている 他臓器障害の可能性が低い 内視鏡室で施行可能であり、人員もあまり必要とはされない <欠点> 根治性に関してはEISに劣る 加療後の出血例では止血部位に 結紮できないことがある EIS: 内視鏡的硬化療法 <利点> 硬化剤(5% EO)を血管内注入し、血管内皮障害を起こし供血路の血栓化を促す。 施行中の造影検査で精密な血行動態を把握できる。 EVIS(静脈瘤造影) EIS後の血栓化した静脈瘤 BRTO (バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術) 胃静脈瘤のうち流出路が 左腎静脈や下大静脈へ注 いでいるものは内視鏡的 治療では効果が期待しに くい。 B-RTOでは、胃腎シャン トを使用し、バルーンで 流出路を閉塞させ、硬化 剤を静脈瘤内に停滞させ ることで塞栓効果を発揮 します。 吐血への対応 1.バイタルサインの把握 意識レベル、血圧、脈拍、呼吸など ショックの5徴(蒼白、虚脱、冷汗、脈拍触知不能、呼吸不全) 症状(高度脱水、高度貧血、頻回の嘔吐、肝硬変、腹壁緊張、腹膜刺激徴候) ショック指数 重症度 出血量 0.5~1.0 軽症 1000ml以下 ~1.5 中等症 約1500ml ~2.0 重症 約2000ml 2.血管確保し、十分な輸液、輸血を考慮し 循環動態の安定に努める。 救急搬送における重症度・緊急度判断基準作成委員会報 告 書