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第19 非常警報設備

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第19 非常警報設備
第4章 消防用設備等の技術基準
第 19 非常警報設備
1 設置を要する防火対象物(令第 24 条、条例第 47 条)
第 19-1表
設置
基準
防火
対象物
の区分
3項
一
イ
ロ
イ
ロ
ハ
ニ
イ
ロ
般
地階及び無窓階
50 人以上
非常ベル及び放送設備
又は
自動式サイレン及び放送設備
300 人以上
非常ベル及び放送設備
又は
自動式サイレン及び放送設備
地階の階数が 以上
2項
非常ベル等
条例第 47 条
地階を除く階数が 以上
1項
令 第 24 条
3
11
4項
5項
6項
イ
ロ
イ
ロ
ハ
ニ
7項
8項
9項
20 人以上 注1
50 人以上
20 人以上 注1
800 人以上
300 人以上
50 人以上 注1
20 人以上
50 人以上
イ
ロ
20 人以上
800 人以上
注3
300 人以上
10 項
11 項
12 項
13 項
地下に設置する車両の停車場
イ
ロ
イ
ロ
50 人以上
-
14 項
15 項
イ 50 人以上 注2
500 人以上 注4
ロ
注5
16 の2項
全部
50 人以上
16 の3項
17 項
-
注1 就寝を伴う施設については、非常ベル、自動式サイレン又は放送設備のうち努めて放送設備を設置するよう指
導すること。
(S62.4.10 消防予第 54 号)
注2 収容人員の合計が 50 人以上の場合は、防火対象物全体に設置が必要となる。また、収容人員の合計が 50 人未
満の場合は、令9の適用を受けるため(5)項イ、(6)項イ又は(9)項イが存するものは、各用途ごとに収容人員 20
人以上で設置の必要がある。
注3 地階の収容人員と無窓階の収容人員の合計(20 人以上の場合は、防火対象物全体に設置が必要となる。
)
注4 収容人員の合計が 500 人以上の場合は、防火対象物全体に設置が必要となる。また、収容人員の合計が 500 人
未満の場合は、令9の適用を受けるため(1)項~(4)項、(5)項イ、(6)項又は(9)項イが存するものは、各用途ごと
に収容人員 300 人以上で設置の必要がある。
注5 令9の適用を受けるため(5)項ロ、(7)項又は(8)項が存するものは、各用途ごとに収容人員 800 人以上で設置の
必要がある。
412
16 項
第 19 非常警報設備
2 設置の緩和
(1)非常ベル、自動式サイレン又は放送設備のいずれかの設置を要する防火対象物で、
自動火災報知設備が設置されているときは、当該設備の有効範囲内の部分について、
設置しないことができる。
(2)非常ベル及び放送設備又は自動式サイレン及び放送設備の設置を要する防火対象
物で、自動火災報知設備又は非常ベル若しくは自動式サイレンと同等以上の音響を
発する装置を附加した放送設備を設置したときは、その有効範囲内の部分について、
非常ベル又は自動式サイレンを設置しないことができる。
3 非常ベル又は自動式サイレン
非常ベル又は自動式サイレンとは、起動装置、音響装置、表示灯、電源及び配線に
より構成されているものをいう。
(第 19-1図参照)
〔単体組み合わせ〕
表示灯
常用電源
操 作 部
(非常電源内蔵)
音 響 装 置
(ベル又はサイレン)
起動装置
〔一体型〕
一体型とは、起動装置、表示灯、音響装置を任意に組み合わせ一体として構成
したものをいう。
一 体 型
常用電源
操 作 部
(非常電源内蔵)
表示灯
起動装置
音 響 装 置
(ベル又はサイレン)
〔複合装置〕
複合装置とは、起動装置、表示灯、音響装置を任意に組み合わせ一体として構
成したものに非常電源を内蔵したものをいう。
複 合 装 置
常用電源
表示灯
非常電源
起動装置
音 響 装 置
(ベル又はサイレン)
第 19-1図
413
第4章 消防用設備等の技術基準
(1)音響装置
音響装置とは、起動装置又は操作部から火災である旨の信号を受信し、自動的に
火災である旨の警報ベル、サイレン又はこれと同等以上の音響を発することができ、
かつ、必要な音量で報知できる装置をいい、次によること。
ア 設置位置
(ア)各階ごとに、その階の各部分から1の音響装置までの水平距離が 25m以下と
なるように設けること。
(イ)音響及び音色が他の設備等の音響又は騒音等と明確に判別できるように設け
ること。
(ウ)ダンスホール、カラオケボックスその他これらに類するもので、室内又は室
外の音響が聞き取りにくい場所に設ける場合にあっては、当該場所において他
の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができるように措置するこ
と。
a 室内又は室外の音響が聞き取りにくい場所とは、次の場所をいう。
(a)ダンスホール、ディスコ、ライブハウス、コンサートホール、パチンコ
H20.8.28
消防予第 200 号
店舗等の室内の音響が大きいため、他の音響が聞き取りにくい場所
(b)カラオケボックス等で、壁、防音設備等により室外の音響が聞き取りに
くい場所
b 他の警報音又は騒音と明らかに区分して聞き取ることができるとは、任意
の場所で 65dB以上の音圧があることをいうものであるが、暗騒音が 65dB
以上ある場合は、次のいずれかの措置又はこれと同等以上の効果のある措置
H20.8.28
消防予第 200 号
H22,2.5
事務連絡(質疑応答)
を講ずること。
「パチンコ店における同
(a)警報装置の音圧が、当該場所における暗騒音よりも6dB以上強くなる
よう確保されていること。
(b)非常警報設備の警報装置の作動と連動して警報装置の音以外の音が自動
的に停止し、又は常時人がいる場所に操作部等を設置することにより、警
報装置が鳴動した場合に警報装置以外の音が手動で停止できるものである
こと。
(エ)(2)項ニ、(16)項イ、(16 の 2)項及び(16 の 3)項の防火対象物((16)項イ、
(16 の 2)項及び(16 の 3)項の防火対象物にあっては、(2)項ニの防火対象物の用
途に供される部分に限る。
)のうち、遊興のためにヘッドホン、イヤホンその他
これらに類する物品を客に利用させる役務の用に供する個室(これに類する施設
を含む。
)があるものにあっては、当該役務を提供している間においても、当該
個室において警報音を確実に聞き取ることができるように、次の措置がされて
いること。
a 任意の場所で 65dB以上の警報音を確保すること。
414
等以上の効果ある措置」
第 19 非常警報設備
b 暗騒音(ヘッドホン等から流れる音を含む。
)が 65dB以上ある場合は、
次のいずれかの措置又はこれと同等以上の効果のある措置を講ずること。
(a)個室における警報装置の音圧が、通常の使用状態においてヘッドホン等
から流れる最大音圧(音響機器自体において一定以上音圧が上がらないよ
う制限されている場合や、利用者に音圧を一定以上に上げないよう周知徹
底がなされている場合等においては、当該音圧をいう。
)よりも6dB以上
強くなるよう確保されていること。
(b)非常警報設備の警報装置の作動と連動して警報装置の音以外の音が自動
的に停止又は低減し、又は常時人がいる場所に受信機又は火災表示盤等を
設置することにより、警報装置が鳴動した場合に警報装置以外の音が手動
で停止又は低減できるものであること。
(オ)取付け面の高さは、天井面から 0.3m以上で、床面から 1.5m以上の位置に
設けること。ただし、起動装置と一体となっているものは、起動装置の基準に
より設けること。
(カ)屋上部分を不特定多数の者が出入りする遊技場、ビアガーデン等の目的に使
川崎市運用基準
用する防火対象物は、当該部分にも音響装置を設けること。
イ 機 器
(ア)非常警報設備の基準に適合するものとし、認定品を使用すること。
(イ)取付けられた音響装置の中心から1m離れた位置で 90dB以上であること。
(ウ)雨水又は腐食性ガス等の影響を受けるおそれのある場所に設置する機器は、
適切な防水措置等を講じたものであること。
(エ)可燃性ガス又は粉じん等が対流するおそれのある場所に設ける機器は、防爆
構造のものであること。
ウ 鳴動方式
(ア)全区域に警報を発すること。
(イ)地階を除く階数が5以上で、延べ面積が 3000 ㎡を超える防火対象物にあっ
ては、第 13 自動火災報知設備8(1)オを準用すること。
(2)起動装置
起動装置とは、火災が発生した際、手動操作により音響装置を鳴動させる装置を
いう。
ア 設置位置
(ア)各階ごとに、その階の各部分から1の起動装置までの歩行距離が 50m以下と
なるように設けること。
(イ)床面からの高さが 0.8m以上、1.5m以下の箇所に設けること。
(ウ)多数の者の目にふれやすく、かつ、火災の際に、すみやかに操作できる箇所
に設けること。
415
S48.2.10
消防庁告示第6号
第4章 消防用設備等の技術基準
(エ)操作上支障となる障害物がない箇所に設けること。
(オ)原則として階段への出入口付近に設けること。階段相互の距離が、歩行距離
50mを超える場合は、各階の階段付近ごとに設けること。
イ 機 器
前3(1)イ(ア)
、
(ウ)及び(エ)を準用すること。
ウ 表示灯
(ア)起動装置の上方に設けること。
(イ)赤色の灯火で取付け面と 15 度以上の角度となる方向に沿って、10m離れたと
ころから点灯していることが容易に識別できるものであること。
(ウ)通行に支障のない場所で、かつ、多数の者の目にふれやすい位置に設けるこ
と。
(3)操作部
操作部とは、起動装置から火災である旨の信号を受信し、火災である旨の警報を
必要な階に自動的又は手動操作により報知できる装置をいい、主電源を監視する装
置、火災灯及び非常電源として蓄電池設備を用いる場合は、非常電源の良否が試験
できる装置が設けられたものをいう。
ア 設置位置
(ア)点検に便利で、かつ、防火上有効な措置を講じた位置に設けること。
(イ)温度、湿度、衝撃、振動等の影響を受けるおそれのない場所に設けること。
(ウ)起動装置の設けられた操作部にあっては、操作の容易な場所に設けること。
(エ)多回線用(操作部に、回線ごとの複数の地区表示灯等を有するものをいう。
)
の操作部又は地区表示灯を設けたものは、防災センター等に設けること。
イ 機 器
(ア)前3(1)イ(ア)
、
(ウ)及び(エ)を準用すること。
(イ)1回線に接続できる表示灯又は音響装置の個数は、各々15 個以下とすること。
ウ 表 示
多回線用の操作部又は地区表示灯を設けた複合装置の地区表示灯窓には、報知
区域の名称等を適正に記入すること。
4 放送設備
放送設備とは、起動装置、表示灯、スピーカー、操作部(遠隔操作器を含む。
)
、増
幅器、電源及び配線で構成されるもの(自動火災報知設備と連動するものは、起動装
置及び表示灯を省略したものを含む。
)をいう。
(第 19-2図参照)
416
川崎市運用基準
第 19 非常警報設備
表示灯
押ボタン
又は
非常電話
(起動装置)
操作部
遠隔操作器
増幅器
スピーカー
非常電話
(親機)
又は
自動火災報知設備
通話設備
通話設備
第 19-2図
※ 自動火災報知設備と連動した場合は、起動装置を省略することができるが、規則
第 25 条の2第2項第2号又は条例第 47 条の規定により非常電話の設置を要する場
合は、これを省略することはできない。
(1)増幅器等
増幅器等とは、起動装置又は自動火災報知設備から階別信号又は火災確認信号を
受信し、スイッチ等を自動的に又は手動により操作して、音声警報による感知器発
報放送、火災放送、非火災放送若しくはマイクロホン放送をスピーカーを通じ、有
効な音量で必要な階に行う増幅器、操作部及び遠隔操作器をいう。
ア 設置位置等
(ア)操作部又は遠隔操作器のうち1のものは、防災センター等に設けること。
(イ)点検に便利で、かつ、防火上有効な措置を講じた位置に設けること。
なお、防火上有効な措置を講じた位置とは、次のいずれかの場所をいう。
a 避難階の避難上有効な出入口付近の場所
b 安全に避難ができ、かつ、壁、床及び天井が不燃材料で造られており、開
口部に防火戸を設けた場所
(ウ)温度、湿度、衝撃、振動等の影響を受けるおそれのない場所に設けること。
(エ)分割型増幅器等(増幅器と操作部の部分を分離して設置する機器をいう。
)の
増幅器及び操作部は、防災センター等の同一居室内に設置すること。
(オ)他の電気回路によって、誘導障害が生じないように設けること。
(カ)地震等の振動による障害がないよう堅ろうに、かつ、傾きのないように設け
ること。
(キ)操作上又は点検上必要な空間を確保すること。
(第 19-3図参照)
417
第4章 消防用設備等の技術基準
(壁掛型)
(自立型)
(自立型)
0.6m以上(注)
0.3m
0.3m
以上 1m以上 以上
0.6m以上(注)
0.5m
以上
0.5m
以上
0.5m
以上
2m以上
(点線内は、必要な空間)
:増幅器等
0.5m
以上
2m以上
(注)背面に扉のないものは必要なし
第 19-3図
(ク)操作部及び遠隔操作器の操作スイッチは、床面からの高さが 0.8m(いすに
座って操作するものにあっては0.6m)以上 1.5m以下の箇所に設けること。
(ケ)自動火災報知設備の受信機又は副受信機と併設すること。
川崎市運用基準
イ 機 器
(ア)非常警報設備の基準に適合するものとし、認定品を使用すること。
(イ)増幅器の出力とスピーカー等の合成インピーダンスは、次式aを満足し整合
(インピーダンスマッチング)したものであること。ただし、増幅器の定格出
力時の音声信号電圧が 100Vに統一されたハイインピーダンス方式(線路損失
の少ない方式)を用いたものは、次式bによることができる。
a 算定式
P:増幅器の定格出力
P(W)≧
E2 (V)
Z(Ω)
E:スピーカーの回路電圧
Z:スピーカー等の合成インピーダンス
《スピーカー等の合成インピーダンスを求める計算式》
(a)並列接続の場合
1
Z0=
1
1
1
1
+
+
…+
Z1
Z2
Z3
Zn
Z0 :合成インピーダンス
Z1 ~Zn:スピーカーのインピーダンス
(スピーカーの合成インピーダンスの例)
100W 100
AMP
400
25W
400
25W
400
25W
400
25W
50W 200
50W 200
100W 100
(b)直列接続の場合
Z0=Z1+Z2+Z3…+Zn
418
S48.2.10
消防庁告示第6号
第 19 非常警報設備
b 算定式
P(W)≧S(W)
S:スピーカーの定格入力の合計
(ウ)操作部及び遠隔操作器は、起動装置又は自動火災報知設備の作動と連動して、
当該起動装置又は自動火災報知設備の作動した階又は区域を表示できるもので
あること。
(エ)他の設備と共用するものにあっては、火災の際非常警報以外の放送(地震動
予報等に係る放送であって、これに要する時間が短時間であり、かつ、火災の
発生を有効に報知することを妨げないものを除く。
)を遮断できる機能を有す
るものであること。
(オ)1の防火対象物において、非常用の放送設備以外の業務を目的とした放送設
川崎市運用基準
備が独立して設けられている場合は、非常用の放送設備を操作した際、音声警
報が有効に聞こえる措置を講じること。
(カ)1の防火対象物に2以上の操作部又は遠隔操作器が設けられているときは、
これらの操作部又は遠隔操作器のある場所相互で同時に通話できる設備(イン
ターホン等)を設けており、かつ、いずれの操作部又は遠隔操作器からも当該
防火対象物の全域に火災を報知することができるものであること。
ただし、全区域に火災を報知することができる操作部又は遠隔操作器(以下
「遠隔操作器等」という。
)が1以上防災センター等に設けられている防火対
象物で、次の場合は、遠隔操作器等から報知できる区域を防火対象物の全区域
としないことができる。
a 管理区分又は用途が異なる1の防火対象物で、遠隔操作器等から遠隔操作
器等が設けられた管理区分の部分又は用途の部分全体に火災を報知すること
ができるよう措置された場合(第 19-4図(a)参照)
b 防火対象物の構造、使用形態等から判断して、火災発生時の避難が防火対
象物の部分ごとに独立して行われると考えられる場合であって、独立した部
分に設けられた遠隔操作器等が当該独立した部分全体に火災を報知すること
ができるよう措置された場合(第 19-4図(b)参照)
c ナースステーション等に遠隔操作器等を設けて病室の入院患者等の避難誘
導を行うこととしている等のように防火対象物の一定の場所のみを避難誘導
の対象とすることが適切と考えられる場合であって、避難誘導の対象場所全
体に火災を報知することができるよう措置された場合
(第 19-4図(c)参照)
419
H6.2.1
消防予第 22 号
第4章 消防用設備等の技術基準
各科内放送用
(ナースステーション内)
(ホテル)
ホテル内
放送用
外科
(B棟)
(A棟)
内科
(店舗)
A棟内
放送用
B棟内
放送用
小児科
全館放送用
(防災センター内)
全館放送用
全館放送用
(防災センター内)
(防災センター内)
(a)
(b)
(c)
第 19-4図
(キ)自動火災報知設備等との連動は、無電圧メーク接点により、相互の機能に異
常を生じないものであること。
(ク)起動は、次によること。
a 自動火災報知設備との連動により起動する場合
(a)自動火災報知設備の感知器が作動した旨の信号により起動する場合は、
自動的に感知器発報放送を行うこと。
(b)感知器が作動した旨の信号を受信した後、次のいずれかの信号を受信し
た場合、自動的に火災放送を行うこと。
① 発信機又は非常電話からの信号
② 火災信号を感知器ごとに区分できる自動火災報知設備にあっては、
第1報の感知器以外の感知器が作動した旨の信号
③ その他火災が発生した旨又は火災が発生した可能性が高い旨の信号
火災が発生した旨又は火災が発生した可能性が高い旨の信号とは、
感知器発報放送が起動してからタイマーにより作動する一定の時間を
H6.2.1
消防予第 22 号
経過した旨の信号とし、一定の時間については、防火対象物の規模、
利用形態、管理形態、内装制限の実施状況、現場確認に必要な時間等
を勘案して、概ね2分から5分までとすること。
なお、原則として次のⅠからⅢによること。
Ⅰ 放送設備を設置した防火対象物の全域にスプリンクラー設備等の
自動消火設備(以下「スプリンクラー設備等」という。
)が設けら
れている場合は、5分以内とする。
Ⅱ 放送設備を設置した防火対象物の過半にわたり、スプリンクラー
設備等が設けられている場合は、4分以内とする。ただし、スプリ
ンクラー設備等が設けられていない部分に、他の消火設備が設けら
れていない場合には、3分以内とする。
Ⅲ 前Ⅰ及びⅡ以外の防火対象物は、2分以内とする。
420
川崎市運用基準
第 19 非常警報設備
b 発信機又は非常電話により起動する場合
自動的に感知器発報放送を行った後、直ちに、かつ自動的に火災放送を行
うこと。ただし、防火対象物の用途、規模、防火管理体制を勘案して、感知
器発報放送を省略して、直接、火災放送を行うことができる。
(ケ)音声警報音による放送中にマイクロホンによる放送を行う場合は、自動的に
音声警報音を停止できるものであること。なお、マイクロホンによる放送を中
止した場合には、自動的に音声警報音による放送が再開すること。
(コ)表示等
放送階選択スイッチの部分には、報知区域の名称等が適正に記入されている
こと。
(2)鳴動方式
ア 起動装置又は自動火災報知設備との連動により行う場合
出火階が2階以上の場合にあっては出火階及びその直上階、出火階が1階の場
合にあっては出火階とその直上階及び地階、出火階が地階の場合にあっては出火
階とその直上階及びその他の地階に限って、警報を発することができるものであ
ること。
なお、出火階が地下1階以外の地階の場合であっても、地階部分と同時に1階
部分も警報を発することができるものであること。
(第 19-2表参照)
この場合において、一定の時間が経過した場合又は新たな火災信号を受信した
場合には、当該設備を設置した防火対象物又はその部分の全区域に自動的に警報
を発するように措置されていること。
なお、一定の時間が経過した場合又は新たな火災信号を受信した場合とは、第
13 自動火災報知設備8(1)エ(ア)及び(イ)によること。
第 19-2表
(例1)
(例2)
(例3)
(例4)
(例5)
〇
◎
〇
〇
〇
〇
◎
〇
〇
×
〇
〇
◎
〇
×
〇
〇
〇
◎
5 F
4 F
3 F
2 F
1 F
B1F
B2F
B3F
〇
◎
(注) ◎ 印 :出火階を示す。
○ 印 :同時に警報を発する階を示す。
× 印 :地階部分と同時に警報を発する階を示す。
○
イ 操作部の各スイッチの手動操作により行う場合
421
川崎市運用基準
第4章 消防用設備等の技術基準
(ア)一斉作動スイッチを操作することにより全館に放送できること。
(イ)放送階選択スイッチを操作することにより、当該スイッチに連動する任意な
報知区域への放送ができること。
(ウ)感知器発報放送、火災放送及び非火災放送を選択して放送できること。
(3)音声警報のメッセージの内容
ア 音声警報のメッセージの内容は、次の文例又はこれに準ずるものとすること。
(ア)感知器発報放送
「ただいま○階の火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、
次の放送にご注意ください。
」
(イ)火災放送
「火事です。火事です。○階で火災が発生しました。落ち着いて避難してく
ださい。
」
(ウ)非火災放送
「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異常がありませんでした。
ご安心ください。
」
イ メッセージに外国語を使用する場合には、次に示す順とすること。
シグナル音
日本語メッセージ
外国語メッセージ
注 上記の繰り返しとする。
(4)スピーカー
放送区域ごとに、次のア又はイの設置基準を選択してスピーカーを設置すること。
ア スピーカーの仕様による設置基準
(ア) 音圧及び音色は、次によること。
a 種類
スピーカーは、取り付けられたスピーカーから1m離れた位置で測定した
音圧が、第 19-3表に掲げる大きさであること。
第 19-3表
種
類
音 圧 の 大 き さ
L
級
92dB以上
M
級
87dB以上 92dB未満
S
級
84dB以上 87dB未満
b ダンスホール、カラオケボックス等で、室内又は室外の音響が聞き取りに
くい場所に設ける場合の措置
前3(1)ア(ウ)を準用すること。
c (2)項ニ、(16)項イ、(16 の 2)項及び(16 の 3)項の防火対象物((16)項イ、
(16 の 2)項及び(16 の 3)項の防火対象物にあっては、(2)項ニの防火対象物
422
第 19 非常警報設備
の用途に供される部分に限る。
)のうち、遊興のためにヘッドホン、イヤホン
その他これらに類する物品を客に利用させる役務の用に供する個室(これに類
する施設を含む。
)があるものにあっては、当該役務を提供している間におい
ても、当該個室において警報音を確実に聞き取ることができるように前3
(1)ア(エ)a及びbによる措置がされていること。
(イ)設置位置等
a 階段又は傾斜路以外に設けるスピーカーの種類は、次の放送区域(防火対
象物の2以上の階にわたらず、かつ、床、壁又は戸(障子、ふすま等遮音性
能の著しく低いものを除く。
)で区画された部分をいう。以下同じ。
)の面積
に応じたものを設置すること。
(第 19-5図参照)
(a)放送区域の面積が 100 ㎡を超える場合は、L級
(b)放送区域の面積が 50 ㎡を超え 100 ㎡以下の場合は、L級又はM級
(c)放送区域の面積が 50 ㎡以下の場合は、L級、M級又はS級
(スピーカーの設置例)
:スピーカー
:半径 10m以下の距離
第 19-5図
H6.2.1
放送区域の取り扱いは、次によること。
消防予第 22 号
① 部屋の間仕切壁については、音の伝達に十分な開口部があるものを除き、
固定式か移動式かにかかわらず、壁として取り扱う。
② 障子、ふすま等遮音性の著しく低いものは、障子、ふすまのほか、カー
テン、つい立て、すだれ、格子戸又はこれらに類するものが該当する。
③ 通常は開口している移動式の壁又は戸であっても、閉鎖して使用する可
能性のあるものは、壁又は戸で区画されたものとして取り扱う。
b 前(ア)の場所に設置するスピーカーは放送区域の各部分から1のスピー
カーまでの水平距離が 10m以下となるように設けること。
ただし、居室及び居室から地上に通じる主たる廊下その他の通路にあって
423
第4章 消防用設備等の技術基準
は6㎡以下、その他の部分にあっては 30 ㎡以下の放送区域については、当該
放送区域の各部分から隣接する他の放送区域に設置されたスピーカーまでの
水平距離が8m以下となるように設けられているときは、スピーカーを設け
ないことができるものとする。
(a)居室又は居室から地上に通じる主たる廊下その他の通路以外の場所でス
ピーカーの設置を免除できる場合(第 19-6図(a)参照)
H6.2.1
消防予第 22 号
:スピーカーの設置を免除で
きる部分
:スピーカー
第 19-6図(a)
(b)居室でスピーカーの設置を免除できる場合(第 19-6図(b)参照)
H6.2.1
消防予第 22 号
:スピーカーの設置を免除で
きる部分
:スピーカー
第 19-6図(b)
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第 19 非常警報設備
c 階段又は傾斜路に設置する場合は、垂直距離 15mにつきL級のものを1
個以上設けること。
(第 19-7図参照)
第 19-7図
(ウ)寄宿舎、下宿、共同住宅の住戸部分については、住戸内の戸等の設置にかか
わらず、各住戸(メゾネット型住戸等の2以上の階にまたがるものについては
H6.2.1
消防予第 22 号
各階ごとの部分)を1の放送区域として取り扱うことができる。
(エ)スピーカーの設置を免除する放送区域が存する場合は、当該放送区域とスピ
ーカーが受持つ放送区域の合計面積を算定し、その合計面積に対応する種類の
H6.2.1
消防予第 22 号
スピーカーを設置すること。
(オ)エレベーターが設置される防火対象物にあっては、努めてエレベーターのか
ご内にスピーカーを設けること。
イ スピーカーの性能による設置基準
特殊な要件(残響時間が著しく長い又は短い空間、大空間等)の放送区域にあ
っては、次により指導すること。なお、一の放送区域において、前アの規定との
併用は認められない。
(ア)スピーカーは、階段又は傾斜路以外の場所に設置する場合、放送区域ごとに
次の式によって求めた音圧レベルが当該放送区域の床面からの高さが1mの箇
所において 75dB以上となるように設けること。
P=p+10 log10
Q
4πr2
+
4(1-α)
Sα
P=音圧レベル(単位dB)
p=スピーカーの音響パワーレベル(単位dB)
Q=スピーカーの指向係数
r=当該箇所からスピーカーまでの距離(単位m)
α=放送区域の平均吸音率
S=放送区域の壁、床及び天井又は屋根の面積の合計(単位㎡)
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川崎市運用基準
第4章 消防用設備等の技術基準
(イ)スピーカーは、階段又は傾斜路以外の場所に設置する場合であって、当該放
送区域の残響時間(放送区域内の音圧レベルが定常状態にあるとき、音源停止
後から 60dB小さくなるまでの時間をいう。
)が3秒以上となるときは、当該放
送区域の床面からの高さが1mの箇所から1のスピーカーまでの距離が次の式
により求めた値以下となるように設けること。
r=
3
QSα
4
π(1-α)
r=当該箇所からスピーカーまでの距離(単位m)
Q=スピーカーの指向係数
S=放送区域の壁、床及び天井又は屋根の面積の合計(単位㎡)
α=放送区域の平均吸音率
(ウ)スピーカーは、階段又は傾斜路に設置する場合、垂直距離 15mにつきL級の
ものを1個以上設けること。
(エ)その他詳細については、
「放送設備のスピーカーの性能に応じた設置ガイドラ H11.2.2
消防予第 25 号
インについて」によること。
(オ)室内又は室外の音響が聞き取りにくい場所に設ける場合の措置
前3(1)ア(ウ)を準用すること。
ウ 音量調整器を設ける場合は、三線式配線とすること。
(5)起動装置
起動装置とは、火災が発生した際、手動操作により増幅器等に火災である旨の信
号を送ることができる非常用押ボタン(放送設備と連動している自動火災報知設備
の発信機を含む。
)及び非常電話をいい、次に適合すること。
ア 通話装置の付置
11 階以上の階、地下3階以下の階又は(16 の2)項及び(16 の3)項の防火
対象物に設ける放送設備の起動装置に、防災センター等と通話することができる
装置を付置すること。ただし、起動装置を非常電話とする場合にあっては、この
限りでない。
イ 設置位置
(ア)前3(2)アを準用すること。
(イ)非常電話機(以下「子機」という。
)にあっては、非常用エレベーターの乗
降ロビーその他これらに類する場所で、他の消防用設備等が設置されている場
所に併設すること。
ウ 機 器
(ア)前3(1)イ(ア)
、
(ウ)及び(エ)を準用すること。
(イ)子機の送受話器を持ち上げると自動的に操作部(以下「親機」という。
)へ
の発信が可能なものであること。
(ウ)非常電話には、放送設備の起動用スイッチが設けられていること。
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川崎市運用基準
第 19 非常警報設備
(エ)親機には、子機の発信により発信階が表示されるものであること。
(オ)親機は、子機の発信により増幅器等を自動的に起動して必要な階に警報音を
放送できるものであること。
(カ)親機は、子機の発信を受信した場合、送受話器を取り上げる等、簡単な操作
で親機の火災音信号を停止し、発信者と相互に同時通話できるものであること。
(キ)親機は、2以上の子機が同時に操作された場合、任意に選択が可能な機能を
有していること。この場合、遮断された回線の非常電話には、話中音が流れる
ものであること。また、非常電話の回線が短絡又は遮断しても、他の回線に障
害が波及しないものであること。
(ク)子機の収納箱及び親機の外箱は、厚さ 0.8mm 以上の鋼板又はこれと同等以上
の強度及び難燃性を有するものであること。
(ケ)親機と増幅器等との連動方式は、無電圧メーク接点により相互の機能に異常
を生じないものであること。
エ 表示等
(ア)子機は、収納箱に収納しその表面又は近傍に、赤地に白の1字あたり2㎝角
以上の文字で「非常電話」と表示し、また、非常電話本体正面又は収納箱表面
に設置階及び電話番号を表示すること。
(イ)親機の選択スイッチの部分には、起動階等の名称が適正に記入されているこ
と。
オ 表示灯
前3(2)ウを準用すること。
5 常用電源
第 13 自動火災報知設備2(1)を準用すること。
6 非常電源
第 30 非常電源の基準を準用すること。
7 配 線
電気工作物に係る法令の規定によるほか、次によること。
(1)電源回路と大地との間及び電源回路の配線相互間の絶縁抵抗は、直流 250Vの絶
縁抵抗計で計った値が電源回路の対地電圧が 150V以下の場合は 0.1MΩ以上、電
源回路の対地電圧が 150Vを超える場合は、0.2MΩ以上であること。
(2)配線に使用する電線とその他の電線とは、同一の管、ダクト若しくは線ぴ又はプ
ルボックス等の中に設けないこと。ただし、いずれも 60V以下の弱電回路に使用す
る電線であるときは、この限りでない。
(3)操作部若しくは起動装置からスピーカー若しくは音響装置まで又は増幅器若しく
は操作部から遠隔操作器までの配線は、第2屋内消火栓設備 11(3)を準用するこ
と。
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川崎市運用基準
第4章 消防用設備等の技術基準
(4)端子との接続は、ゆるみ、破損等がなく確実に行うこと。
(5)電線相互の接続は、はんだ付け、ねじ止め、圧縮端子等で行うこと。
(6)複合装置の常用電源の配線と連動端子間(弱電回路)の配線を同一金属管に納め
る場合は、次によること。
ア 非常警報設備以外の電線は、入れないこと。
イ 連動端子間の電線は、600V耐熱ビニル絶縁電線等を使用すること。
ウ 常用電源線と連動端子間の電線とは、色別すること。
8 総合操作盤
第 29 総合操作盤を準用すること。
9 放送設備の改修時に係る留意事項
平成6年4月1日時点において現に存する防火対象物等については、規則第 25 条の
2第2項第3号イ(イ)
、ロ及びへの規定にかかわらず従前の例によることができるも
のであるが、改修時等において努めて現行基準に適合するよう指導すること。なお、
この場合、増幅器の定格出力とスピーカー等とのインピーダンスマッチングに十分留
意する必要があること。
10 特例基準
次の各号に適合する場合には、非常警報設備の設置免除、省略又は鳴動方式の緩和
をすることができる。
(1)延べ面積が 350 ㎡以下の小規模な防火対象物で、非常警報設備の音響装置を設け
なくても火災である旨の警報を有効に行えると認められる場合は、非常警報設備を
設置しないことができる。
(2)次のア又はイに該当する防火対象物(特定防火対象物を除く。
)にあっては、令
第 24 条第3項第2号の規定にかかわらず放送設備を設置しないことができ、非常
ベル又は自動式サイレンの設置で足りるものであること。
ア 地階を除く階数が 11 以上の防火対象物で、11 階以上の部分が機械室等のみで
あり、かつ、当該部分への出入りが維持点検に限られるもの。
イ 地階の階数が3以上の防火対象物で、地下3階以下の部分が機械室等のみであ
り、当該部分への出入りが維持点検に限られるもの。
(3)聾唖者の収容施設及び高音を発する作業場等で音響装置による火災報知が有効で
ない防火対象物又はその部分については、灯火の点滅等視覚装置を有効に設けるこ
とによって非常警報設備の音響装置を設置したものとみなすことができる。
(4)令別表第1(12)項イ、(13)項又は(14)項に掲げる防火対象物又はその部分等で、
避難上支障がないものにあっては、規則第 25 条の2第2項第1号ロの規定にかか
わらず、一斉鳴動方式とすることができる。
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