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(仮称)つくば市総合運動公園基本構想
6 施設配置計画 6-1 現況把握 ①計画地北側,県道 215 号線 ・「高エネ研南」のグラウン ドと隣接している。 ②計画地北西端部 ・計画地西側に農村風景が広 がっている。 ③計画地内1(西側より) ・充実した雑木林が広がって いる。 ⑤計画地内3(西側より) ⑥計画地南西部 ⑦計画地南部 ・計画地西側区域外の雨水が放 ・敷地西側に沿って南北に高圧 ・計画地南部東側は,畑地を挟 み大穂ニュータウン(住宅 流され水溜りができている。 線が通っている。 ・南西部には農村風景が広がっ 地)と隣接している。 ている。 ④計画地内2(西側より) ・計画地西側の敷地内に高圧線 の鉄塔が建てられている。 ⑧計画地南東部 ・計画地南東部には,工場が隣 接している。 ① ② ③ ⑨計画地東側 ・計画地東側は,老人ホームを併 設した医療施設と隣接してい る。写真右側樹林地が計画地, 左側が医療機関の庭。 ④ ⑤ ⑩ ⑨ ⑥ ⑦ ⑩計画地東側 ・計画地東側は,老人ホームを併 設した医療施設と隣接してい る。写真右側樹林地が計画地, 左側が医療機関の庭。 ⑧ 64 6-2 計画位置の分析 (1) 計画位置の概況 計画位置は(独)都市再生機構の私有地であ り,まとまった樹林地となっている。(右航空 写真参照) (2) 敷地利用計画の基本的な考え方 ① 交通アクセス 隣接道路の状況から(敷地東側:国道 408 号, 敷地北側:県道長高野北条線)総合運動公園へ の出入口は敷地の北側(県道長高野北条線)が 望ましい。 国道 408 号:学園東大通り線(計画位置東側) 写真左側が計画地 県道長高野北条線(計画位置北側) 写真右側が計画地 敷地出入口の配置によっては,大 規模なイベントやスポーツ大会時 等に大量の車両が出入することが 想定され,周辺道路への影響が懸念 される。 そのため,車両の出入口について は,公共交通等の出入口とその他の 車両による来園者の出入口を分散 させることや公園利用の車両と一 般の車両の通行に配慮し,計画位置 の北西側に設けることなどが望ま しい。 ② 自然環境と周辺への配慮 敷地利用計画は,防風対策や隣接 する農地,住宅地等への防塵や光害 対策等の配慮のため,既存の樹林地 を可能な限りいかすこととする。 また,騒音等対策のため,可能な限り広めのバッファゾーンを設ける。 65 6-3 ゾーニング 総合運動公園の計画位置は,まとまった樹林地を形成していることからこの豊 かな樹林環境を活用した配置計画を目指す。樹林環境をいかすことは,舗装面等 からの放射熱の吸収や木陰等により利用者に潤いを与える。 総合運動公園のゾーニングを検討するにあたり,以下の目標を設定し,樹林地 と施設配置の関係と利用機能の2点から検討を行う。 配置計画の目標 豊かな自然環境に包まれながら,する・みる・支えるスポーツ活動を展開し, 誰もが楽しめる「つくばらしいスポーツの森」 (1) 施設点在型 項目 特徴 長所 短所 内容 ・施設を樹林地内に設けることにより,施設と緑の融合を図る。 ・中央には,筑波山の景観軸を考慮したシンボルプロムナードを配置し, スポーツ大会やイベント,地域や国際交流の活動拠点としてのつくばら しい空間整備を目指す。 ・敷地の西側へ「みるスポーツ」として競技スポーツゾーンを配置し,東 側に「するスポーツ」としてレクリエーションスポーツゾーンを配置し た空間構成とする。 ・緑陰の中でスポーツができるとともに,「みるスポーツ」を中心とした トップスポーツと「するスポーツ」を中心とした市民の日常利用が分か り易い空間構成となる。 ・交流拠点となるプロムナードにより日常利用と大会時等での利用が分断 されることにより,日常における空間利用に偏りが出る。 緑地・施設関係図 利用機能関係図 筑波山 筑波山 競技スポーツゾーン レクリエーション スポーツゾーン 景観軸 シンボルプロムナード (交流ゾーン) 66 (2) 競技スポーツ中心型 項目 特徴 内容 ・施設をそれぞれの利用特性や類似スポーツ毎に可能な限りまとめ,樹 林でゾーン分けする。 ・可能な限り樹林を残すことにより,緑陰を確保する。 ・ 「みるスポーツ」を中心としたトップスポーツ等の大規模なスポーツ大 会を行うための競技スポーツゾーンを中心に配置し,「するスポーツ」 のレクリエーションスポーツゾーンで包み込むようなイメージ。 長所 ・ 「みるスポーツ」を中心に集約させることにより,大会時にはにぎわい のある空間となる。 ・中心部に大規模スポーツ大会に適応できるスタジアムが集約されてい ることから,総合運動公園のシンボル的な空間となる。 短所 ・日常的な利用が想定されるスポーツが外周部にドーナツ状に配置され ることから,日常的な空間利用として,中心部のにぎわいがあまり見 られない空間となる可能性がある。 緑地・施設関係図 利用機能関係図 エントランスゾーン レクリエーション スポーツゾーン 競技スポーツゾーン レクリエーション スポーツゾーン 67 交流ゾーン (3) 交流中心型 項目 特徴 内容 ・ 「競技スポーツ中心型」と同様,施設をそれぞれの利用特性や類似ス ポーツ毎に可能な限りまとめ,樹林でゾーン分けする。 ・公園中央にオープンスペースを確保しながら類似施設は可能な限りま とめた空間配置とすることで,効率的な公園運営ができる。 ・公園北東側に「みるスポーツ」として競技スポーツゾーンを配置する ことにより,国道 408 号からスタジアムを望め,本公園のランドマー クとなる。 ・公園南西側へ競技スポーツゾーンを分散配置することにより,スポー ツ大会時に観戦者の分散ができ,大会の同時開催が可能となる。 長所 ・中央の空間が分散配置された各スポーツゾーンをつなぎ,交流拠点と なる。 ・レクリエーションスポーツゾーン「するスポーツ」と競技スポーツゾー ン「みるスポーツ」がそれぞれ分散配置されることにより,スポーツ 利用者の公園内の住み分けが可能となる。 ・中央空間を日常の多目的なレクリエーション交流ゾーンとすることで, 日常利用だけでなく,スポーツ以外のイベント空間,大規模大会時には, 観客等の溜まりの空間として利用され,交流することができる。 短所 ・各施設間,ゾーン間には可能な限り樹林地を確保するが,他案と比較 すると少ないことが想定される。各施設が敷地の四隅に配置されるこ とから,それぞれの利用目的に応じた入口や駐車場等を分散配置する 必要が望ましく,入口の一括管理に適していないため工夫が必要であ る。 緑地・施設関係図 利用機能関係図 エントランスゾーン 競技スポーツゾーン レクリエーション スポーツゾーン レクリエーション・交流ゾ ーン 競技スポーツゾーン レクリエーション スポーツゾーン 68 6-4 配置計画 「6-3 ゾーニング」で検討した,交流中心型のゾーニングを想定した場合の配 置計画イメージであり,今後詳細な検討を行う。 第3駐車場 第1駐車場 陸上競技場 (補助競技場) ラグビー兼サッカー場 プロムナード 体育館・屋内プール アーチェリー ・弓道場 スポーツコート (人工芝) 陸上競技場 多目的グラウンド (土系舗装) 交流広場 第2駐車場 木もれび広場 テニスコート プロム ナード 69 6-5 イメージ図 ■プロムナード ■交流広場 70 ■陸上競技場 ■スポーツコート 71 7 整備スケジュール 平成26年度 72 茨城国体・全国障害者 スポーツ大会 ラグビーワールドカップ 2019 東京 2020 オリンピッ ク・パラリンピック 都市計画決定 現況測量 基本計画・基本設計 実施設計① インフラ整備① 基盤整備① 施設整備① 駐車場整備① 実施設計② インフラ整備② 基盤整備② 施設整備② 駐車場整備② 実施設計③ 基盤整備③ 施設整備③ 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 平成 31 年度 平成32年度 平成33年度 平成34年度 平成 35 年度 平成36 年度 ● ● ● 陸上競技場・ラグビー兼サッカー場・体育館等 屋内プール・テニスコート等 その他施設 駐車場整備③ 72 8 管理運営方法について 8-1 官民連携による公園管理運営の必要性 公園サービスを含めた公共サービスの提供においては,財政環境悪化と公共 サービスの担い手不足といった課題への対応が全国的な課題となっている。 つくば市では,財政運営を適切に行っていくために公の施設の管理運営につい ては「今後も市民サービスの向上や効率的な運営の視点から,民間活力の導入を 積極的に進めていく必要がある」としている(つくば市中期財政見通し 平成 24 年2月)。 また,「2005 つくば市都市計画マスタープラン」では,「都市における多様 な緑は,市民に潤いをもたらすだけでなく,市民が憩い,生涯学習,健康づくり にいかされる場として重要な役割を担っている。こうしたことから,身近にある 豊かな緑環境を守り育てることために,適正な維持管理を推進することが必要で ある」としている。 こうした時代に整備がされる大規模総合運動公園の管理運営においても,官民 連携策について十分に検討を行うことが重要である。 8-2 つくば市の都市公園管理運営の現状 (1) つくば市の都市公園 市内には 158 箇所の市営の都市公園がある。 (H25.4 現在) 公園種別 茨城県営公園 (箇所数) つくば市営公園 (箇所数) 合計 (箇所数) 総合公園 1 0 1 運動公園 0 2 2 地区公園 1 4 5 近隣公園 0 34 34 街区公園 0 92 92 都市緑地 0 26 26 2 158 160 合 計 73 (2) 民間事業者との連携による公園管理の現状 ① アダプト・ア・パーク つくば市が管理している公園緑地を対象として,5人以上の者で構成され た団体がボランティアで公園の環境美化を行う制度を有している。ごみ等の 清掃,除草,花壇づくり,施設破損個所の市への通報などの活動内容である。 公園名 団体 公園名 団体 1 梅園公園 老人会 18 竹園公園 NPO 法人 2 桜山児童公園 自治会 19 桜台団地公園 地域の住民 3 川口公園 地域の団体 20 中根ふれあい 地域の住民 公園 4 東新井緑地公園 会社従業員 21 いちょうの丘 地域の住民 公園 5 小野崎ポンプ場 会社従業員 横道路緑地 22 高野台公園 地域の団体 6 手代木児童公園 地域の住民 23 大清水公園 会社従業員 7 竹園サンパーク 児童クラブ 24 高野台公園 地域の住民 8 けやき公園 子ども会 25 川口公園 地域の団体 9 けやき公園 子ども会 26 松代公園 地域の住民 10 つくば学園台児 地域の団体 童公園 27 大久保公園 児童クラブ 11 大清水公園 社会福祉法 人 28 並木公園 地域の住民 12 大久保公園 社会福祉法 人 29 桜が丘団地内 地域の住民 公園(A~E) 13 反町の森公園 自治会 30 大清水公園 会社従業員 14 二本松児童公園 地域の住民 31 観察の森公園 地域の住民 15 山鳩公園 地域の住民 32 科学万博記念 会社従業員 公園 16 大久保・台山・高 野 台 ・ 反 町 ・ 大 社団法人 池・中山・稲荷原 33 台町 3 号公園 17 中央公園 地域の団体 74 地域の住民 ② 指定管理者制度 施設の管理運営に民間事業者のノウハウを活用して良質な利用者サービ スの提供と効果的・効率的な管理運営を目指す指定管理者制度によって,24 の公園が管理運営されている。 指定管理者が管理運営する都市公園(北部グループ) 公園名 所在地 1 花畑近隣公園 花畑3丁目 11 番5 2 筑波北部公園 北原1番 3 東光台運動公園 東光台5丁目1番2 4 かつらぎ公園 春日2丁目 39 番3 5 小貝川スポーツ公園 高良田 455 番1 6 松見公園 天久保1丁目4番 7 大池公園 北条 1477 番1 8 台山公園 緑ヶ原2丁目4番 9 大崎公園 緑ヶ原4丁目5番 10 さくら公園 豊里の杜2丁目 87 番 48 11 研究学園駅前公園 葛城根崎 160 番2 指定管理者が管理運営する都市公園(南部グループ) 公園名 所在地 1 羽成公園 観音台1丁目 27 番 2 二の宮公園 二の宮1丁目 15 番 3 手代木公園 松代5丁目 11 番 4 科学万博記念公園 御幸が丘6番 5 松代公園 松代3丁目2番 6 中央公園 吾妻2丁目7番5 7 さくら運動公園 金田 1603 番 8 さくら交通公園 吾妻4丁目3番3 9 桜南スポーツ公園 並木3丁目 21 番2 10 竹園東公園 竹園3丁目7番 11 大清水公園 竹園1丁目5番2 12 茎崎ファミリースポーツ公園 菅間 269 番1 13 茎崎運動公園 下岩崎 2160 番 10 75 8-3 都市公園の管理運営の近年の動向 つくば市においては,官民連携策としてアダプト・ア・パークと指定管理者の 取組が進められているが,他都市においては以下のような取り組みも進められて いる。 公園名 長井海の手公園 管理者 制度 対象施設 横須賀市 PFI 方式 公園全域 三木総合防災公園 兵庫県 ネーミングライツ 屋内テニス場 なぎさ公園 大津市 都市公園法等 オープンカフェ (1) 横須賀市 在 地 横須賀市長井4丁目 地内 公 園 名 称 横須賀市立長井海の手公園 所 公 園 種 別 総合公園 公 園 面 積 約 20.1ha 管 理 運 営 ㈱横須賀ファーム 事 業 種 別 都市公園事業(PFI) 運 営 時 間 3月〜11 月:9時〜18 時 12 月〜2月:9時 30 分〜17 時 利 用 料 金 入園無料 ◆施設の特徴 新鮮な農産物や魚介類が並ぶ市場など豊かな食文化が栄え,ヨーロッパ有 数のリゾート地としても人気の高いプロヴァンス。「ソレイユの丘」はこの プロヴァンス地方の景観をモチーフに,美しい街並と緑の牧場が魅力であ る。 「農業体験」や「動物ふれあい体験」,パンやソーセージが手作りできる 「食の体験」など家族一緒に楽しめる総合公園である。「ソレイユ」とは, フランス語で太陽を表し,明るく開放的な公園を表現している。園内では, 「農業体験」のほかパンやソーセージ,バターなどを手作りして,できたて の味が楽しめる「食の体験」など,さまざまな体験プログラムに参加できる。 また,相模湾を望むレストランや露天風呂もある。 ◆民間資金等の導入について この公園は,PFI方式(民間の資金や技術を活用した公共施設の整備方法) で整備した。公園施設については,施設の収益性やPFI事業者における柔軟 な運営体制の確保等の観点から, BOT方式(民間事業者が公園施設を建設し, 事業期間中,所有及び運営維持管理業務を遂行した後,市に所有権を移転す る方式)及びBTO方式(民間事業者が公園施設を建設し,竣工後速やかに市 に所有権を移転し,事業期間中,運営維持管理業務を遂行する方式)の2方 式を事業手法として整備を行った。建設費は約36億円で,運営維持費は年間 約4億円。 76 (2) 兵庫県 在 地 兵庫県三木市志染町三津田 1708 公 園 名 称 三木総合防災公園 所 公 園 種 別 広域公園 公 園 面 積 202.4ha 施 設 規 模 ドーム型屋内テニス場 延床面積約 16,167 ㎡ 事 業 種 別 ネーミングライツ 管 理 運 営 屋内テニス場:㈱ブルボン ◆施設の特徴 平成7年の阪神・淡路大震災の経験と教訓をいかした広域防災拠点であ る。広域防災センター(消防学校等)や防災研究機関と都市公園が一体的に 配置されており,普段から連携のとれた体制で管理している。 通常は陸上競技場,野球場,テニス場といった運動施設として利用できる。 ◆民間資金等の導入について センターコート1面,サブコート8面を有する屋内テニス場はネーミング ライツを導入し,株式会社ブルボンが「ブルボンビーンズドーム」として支 援している。災害時には活動要員の集結・宿泊,物資の集積・仕分けに使用 される。 「ブルボンビーズドーム」で行うジュニア強化事業はネーミングライツ料 で運営している。 ネーミングライツ料:2,100万円/年(H20.12~H24.3) 出典:三木総合防災公園 (公益財団法人 兵庫県園芸・公園協会) 77 出典:ブルボンビーズドームホー ムページ(㈱ブルボン) (3) 大津市 公 園 名 称 大津湖岸なぎさ公園 所 在 地 大津市打出浜 15 番地先 公 園 種 別 都市緑地 公 園 面 積 29.2ha 施 設 用 途 展示施設 事 業 種 別 都市公園法(第 5 条)等 建物床面積 約 400 ㎡ 管 理 運 営 株式会社まちづくり大津 ◆施設の特徴 大津市の中心市街地活性化基本計画の先導的な事業として 2008 年に実 現。琵琶湖の景色を眺めながら飲食が可能な施設を整備した。 事業の基本的な方針として①広域的な集客力を持つ拠点づくり,②琵琶湖 をいかす新しい観光まちづくり,③なぎさ公園等周辺と一体となる活性化, ④大津らしさを発揮する個性的魅力的空間づくり,⑤環境・健康・観光の複 合効果に適合したテナントリーシングなど。 株式会社まちづくり大津が事業主体となり,民間のスピード感をもって事 業を推進している。2008 年度中に設計,テナントリーシング,工事等を完 了し,2009 年4月にオープンした。 ◆民間資金等の導入について 大津市が 20.8%,大津商工会議所 10.4%,民間等 68.8%の出資割合で株 式会社まちづくり大津を設置した。 大津市が所有する都市公園内に㈱まちづくり大津が占有許可に基づいて 店舗(建物)を建設し,テナントが内装を行い,カフェ・飲食業等の収益事 業を実施している。 出典:なぎさのテラスホームページ(㈱まちづくり大津) 78 8-4 官民連携方策の導入方法例 (1) 都市公園への民間資金等の導入の可能性について ケース 導入可 能性 検討事項 ・行政の直轄整備,運営と比較してコスト縮減や効率化, スピードアップ等が特に図れるか。 等 行政の代替 ・時代のニーズに対応できるか。 民間にしかできな ・価値の多様化に対応できるか。 いもの ・独自のコンテンツやアイデアの提供ができるか。 可 可 等 ・公の施設たる都市公園にふさわしくない事業内容である。 導入が不適なもの ・公園及び周囲の自然環境や景観の阻害要因になる。 ・防犯や利用者の安全に問題がある。 等 不可 (2) 基本的な取組姿勢 民間資金等の導入に当たっては,次のような視点が重要である。 ① 導入によって当該公園にどのようなメリットをもたらすか ② 効率的かつ質の高いサービスの提供が可能か ③ 市民,民間事業者,行政の三者いずれもがメリットを享受できるか 適切な募集・ 契約条件 行 政 民間事業者 適切な競争に よるコスト削減 行政コスト削減 公的サービス向上に よる住民満足度向上 低コスト・高品質公 的サービス提供 市 民 高品質な 公的サービス享受 行政コスト削減 79 高品質な公的サービス 事業拡大 提供 経済波及効果 (3) 公園整備運営と民間事業のすりあわせについて 民間事業者が都市公園という公の施設で事業を実施する場合は,民間事業者 のビジネスモデルと都市公園が有する公益的な機能の調和を図ることが極め て重要である。都市公園において民間資金等の導入を企画・検討するに当たり, 配慮すべき事項を整理すると次のようになる。 立地条件(交通,周辺土地利用等) 事業採算性(事業期間) 既存施設の状況 地域経済への波及効果 当該地及び周辺自然条件 民間資金等導入 による公園整備 事業コスト ・管理 歴史的条件,経緯 市の財政負担の軽減 上位計画及び関連計画 社会・経済状況 周辺施設,地域との連携 (4) 管理運営のための民間資金等の導入策 ~基本的な考え方~ 都市公園における民間資金等導入を考える際,都市公園の「機能の増進」 「公 園の活性化」について着目して検討することが必要である。民間資金等導入に よる都市公園の機能増進の主な内容と範囲,活性化の考え方についてまとめる と次のようになる。 ① 機能の増進とは (ア)回復,再生 ・公園内や周辺地域にかつて存在した施設や機能,歴史・文化,生態環 境,景観などの回復や再生 (イ)質の向上 ・公園の施設や機能,サービスの質的向上,自然度の向上(エコアップ), 景観の向上など (ウ)魅力の向上 ・魅力の発掘や伸長,新しい魅力の創出や演出,新しいサービスの実施, ニーズや流行への対応など (エ)多様化 ・利用やサービスメニューの多様化,公園関連施設との複合化,自然環 境の多様化など 80 ②公園の活性化とは 公園の活性化とは,公園の機能増進が図られることにより,公園の利用が促 進され,また地域の発展に寄与し,その結果,公園の価値上昇や収益等が還元 され,それらがさらなる機能の増進につながり持続的に発展していくことと考 える。 直接的な効果 利用増進,にぎわい,収益増,市民との協働 間接的な効果 イメージアップ,地域活性化,資産価値上昇 (5) 管理運営のための官民連携策の制度と特徴の整理 これまで示してきた官民連携策を実現するための制度と特徴を下表に整理 する。 手法 (根拠法) 指定管理 者制度 (地方自 治法) 設置許可・ 管理許可 (都市公 園法) PFI (PFI 法) ネーミン グライツ (―) 手法の概要 メリット デメリット ・民間企業を含む法人,団 ・既存の施設を前提とする ・民間の有する高いサービ 体が体育館や図書館等 ことが多いため官民の ス力が期待されたが,単 の公共施設の管理運営 役割分担が比較的容易 なる価格競争に終わる懸 を行える制度。従来,公 である。 念もある。 共施設の管理運営は,地 ・複数年の協定が可能なた ・選定手続きに時間がかか 方公共団体や第三セク め,年度ごとの委託形式 る。 ターに限定されていた と比較すると業務の一 が,この制度により民間 貫性が出しやすい。 企業,NPO 法人,任意団 ・議会の承認を得る等,公 体等も施設の管理運営 開性・公平性が高い。 を指定管理者として代 行できるようになった。 ・都市公園内において,公 ・許可の手続きが条例によ ・制度の前提として大規模 園管理者以外のものが る申請で可能となるた かつ複合的な施設を前提 倉庫や物置等の公園施 め,議会承認等が不必要 にしていない。このよう 設を設置または管理す であり,比較的短期間で な場合,本制度だけではリ る場合に公園管理者が 行うことができる。 スク分担等において問題 それを許可し,申請者か が生じる可能性が高い。 ら使用料,許可手数料を 徴収する。 ・民間企業の資金や経営 ・サービス購入型では通常 ・一定規模以上の事業でな 手法・技術力を活用し, の公共事業に比して初 ければ,企業側の資金調達 公共施設等の社会資本 期投資が抑えられ,その 面,採算面等で魅力に乏 を整備すること。官民 後の管理費等の平準化 しい。 (20〜30 億円程度が の役割分担を事前に取 が図れる。(10~20%程度 採 算 ラ イ ン と も い わ れ り決め,施設の建設や ライフサイクルコストが る) 管理を民間企業に任せ 低減される例が多い) ・確実な収益が見込めない ることで,良質な公共 ・事業リスクの一部を民間 限り,建設費でリスクを薄 サービスを効率的に提 に移転できる。 める構造となることから, 供できる。 ・運営管理の質の向上が図 建設を伴わない PFI は魅 れる。 力に乏しいとされる。 ・体育館や図書館等の公 ・企業の CSR に位置づけら ・契約期間が終われば,施 共施設にスポンサーと れた地域貢献・社会貢献 設名が変わるため,覚え なる民間企業の企業名 が可能となる。 る側はまぎらわしい。 。 やブランド名を付ける ・導入施設の多様化,契約 ・契約企業が不祥事を起こ 権利。これにより施設 内容の多様化などに対 した場合,その施設もイ 所有者が建設や管理に 応可能な事業者と連携 メージダウンが避けられ 必要な費用の一部を得 が可能となる ない。 られる。 81 9 概算事業費 9-1 整備費概算 総合運動公園整備費の概算を以下の表に示す。 なお,概算金額は,他事例における実績や現状の工事価格などを考えあわせて算 定しているが,今後の建設物価や社会動向の変動により変わる可能性がある。 施 設 名 項 目 概 算 金 額 トラック(全天候舗装) 2,800 百万 スタンド(建築) 5,200 百万 トラック(全天候舗装) 1,200 百万 第1種公認陸上競技場 補助競技場 (第3種公認陸上競技場) スタンド,器具庫等 グラウンド 150 百万 2,000 百万 ラグビー兼サッカー場 スタンド 500 百万 コート 20 面 400 百万 スタンド(クラブハウス) 150 百万 フィールド 850 百万 建屋 100 百万 テニスコート アーチェリー・弓道場 総合体育館 アリーナ,武道場等 5,600 百万 屋内プール 50m, 25m, 幼児用プール等 3,600 百万 その他のスポーツ施設 多目的グラウンド,スポーツコー ト等 800 百万 駐車場 乗用車:1,200 台(うち車いす使用 者用駐車場 14 台),バス:24 台 700 百万 その他の公園施設 芝生広場,子どものあそび場,散 策園路,便益施設,管理施設等 6,000 百万 合 計 30,050 百万 82 9-2 維持管理費概算 以下のような作業内容で管理費を概算すると,年間約3億円の維持管理費が見込 まれる。 なお,概算金額は,他事例を参考に算定した。 施設名 項 目 内 容 第 1 種公認陸上競技場・・・・・・・・・・・・・・・・・41 百万 5 年に 1 回陸連による競技場検定 定期管理 フィー ルド スタン ド 年 1 回冬季にオーバーシードを行う。 (インフィールド) 日常管理 トラック,アウトフィールド等部分的な汚れの洗浄や清掃 やインフィールドの芝刈りや散水(適宜)を行う。 管理運営 事務・受付等 維持管理 維持管理,清掃・機械管理,環境衛生等 保守点検 機械警備,機器類保守点検等 補助競技場(第 3 種公認陸上競技場) ・・・・・・・・・・10 百万 フィー ルド スタン ド 定期管理 5 年に 1 回陸連による競技場検定 日常管理 トラック,アウトフィールド等部分的な汚れの洗浄や清掃 やインフィールドの芝刈り(適宜)を行う。 維持管理 維持管理,清掃・機械管理,環境衛生等 保守点検 機械警備,機器類保守点検等 83 施設名 項 目 内 容 ラグビー兼サッカー場・・・・・・・・・・・・・・・・・36 百万 グラウ ンド スタン ド 定期管理 年 1 回冬季にオーバーシードを行う。 (インフィールド) 日常管理 トラック,アウトフィールド等部分的な汚れの洗浄や清掃 やインフィールドの芝刈りや散水(適宜)を行う。 管理運営 事務・受付等 維持管理 維持管理,清掃・機械管理,環境衛生等 保守点検 機械警備,機器類保守点検等 テニスコート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 百万 コート クラブ ハウス 日常管理 必要に応じた充填材(けい砂)の補充,利用後のブラッシ ング等を行う。 管理運営 事務・受付等 維持管理 維持管理,清掃・機械管理,環境衛生等 保守点検 機械警備,機器類保守点検等 アーチェリー・弓道場・・・・・・・・・・・・・・・・・10 百万 フィー ルド 射場 日常管理 利用後,弓道用的場(近的)安土の水打ちや安土の整地, 矢取り道の芝刈り(適宜)等を行う。 管理運営 事務・受付等 維持管理 維持管理,清掃・機械管理,環境衛生等 保守点検 機械警備,機器類保守点検等 84 施設名 項 目 内 容 体育館・プール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 百万 体育館 プール 管理運営 事務・受付等 維持管理 維持管理,清掃・機械管理,環境衛生等 保守点検 機械警備,機器類保守点検等 管理運営 事務・受付等 維持管理 維持管理,清掃・機械管理,環境衛生等 保守点検 機械警備,機器類保守点検等 その他のスポーツ施設・・・・・・・・・・・・・・・・・10 百万 土系グ ラウン ド 定期管理 2 年に 1 回グラウンドの掘起し(エアレーション),土の 補充,表層安定処理を行う。 日常管理 利用前のマス引き等整地,清掃等を行う。 ロング パイル 人工芝 定期管理 2~3 年に 1 回専用機器による全面ブラッシングを行う。 日常管理 必要に応じた充填材(チップ材等)の補充を行う。 その他の公園施設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60 百万 樹林地 日常管理 樹林地の巡回,高木選定など 植栽地 定期管理 季節毎の花の入れ替えなど (花壇 等を含 む) 日常管理 清掃,水やりなど 公園 定期管理 年に 1 回公園施設行協会の規定に基づく遊具の安全点検 を行う。 日常管理 目視,打診等による点検を行う。 日常管理 公園の巡回,清掃,各施設の安全点検等を行う。 遊具 その他 の施設 85