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別添3 - 内閣府

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別添3 - 内閣府
(別添3)
政策別評価書
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
市場開放問題、政府調達に係る苦情処理を通じた市場アクセスの改善
2
政策分野
経済財政政策
3
担当部局名
政策統括官(経済財政−運営担当)
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
輸入手続等を含む市場開放問題に関する苦情処理並びに物品及びサービスの政府調達
に関する苦情処理を通じて、我が国の市場アクセスの改善を図る。
6
政策の内容
輸入や対日投資の障壁となっている具体的政府規制等に関する個別苦情を内外の企業等
から受け付け、改善の措置や、誤解の解消を通じて、日本の市場アクセスを改善する(市場
開放問題苦情処理体制(OTO))
。
○
苦情処理を通じた市場アクセスの推進
・
適切かつ迅速な苦情処理
・
OTO関連冊子の発行
・
OTO関連調査の実施
○
7
OTO体制活用に関する普及啓発
・
パンフレットの作成、配布
・
地域OTO連絡会議、輸入関連企業等との意見交換会の開催
・
ホームページへの掲載
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度
市場開放問題苦情処
理に必要な経費
政府調達苦情処理に
必要な経費
計
8
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
102
102
102
83
39
38
37
31
141
140
139
114
政策評価の観点及び基準
・苦情処理を通じて、我が国の市場アクセスの改善を図るという本政策の目的が、内外の
企業等のニーズからみて必要かという観点。
・適切かつ迅速に個別苦情の処理が行われているかという観点。
・普及・啓蒙活動を通して本制度が国民に有効に活用されているかという観点。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
○
苦情処理を通じた市場アクセスの推進
(1)苦情解決比率(適切かつ迅速な苦情処理)
OTOに申し立てられた苦情が、どの程度解決されているかを示す比率。単年度及び過
去からの累計において分析。
14 年度 17/23(73.9%
過年度申立案件の解決 9 件を含む)
累計 651/660(98.6%)
(2)輸入促進的な苦情処理が行われた件数(適切かつ迅速な苦情処理)
解決がはかられた苦情のうち、輸入促進的な苦情処理が行われた件数(処理分類がA(改
善措置を講ずるもの)及びCa(事実関係等についての誤解を解いたもののうち、輸入
促進的な効果を生じたもの)であるもの)。
14 年度 9 件、累計 356 件
(3)OTO関連冊子の発行部数
苦情処理の状況等の成果について取りまとめたOTO関連冊子の発行部数。
市場開放問題苦情処理本部苦情受付・処理状況
1,000 冊
OTO案件の総点検
○
1,200 冊
OTO案件の総点検調査票
100 冊
OTO案件の総点検関連資料
100 冊
OTO体制活用に関する普及啓発
(4)OTO及び政府調達苦情処理体制に関するパンフレットの発行部数
OTO及び政府調達苦情処理体制(CHANS)の概要に関するパンフレットの発行部
数。
OTOパンフレット
輸入障壁等でお困りの方へ
CHANSパンフレット
政府調達でお困りの方へ
1,600 部
2,000 部
(5)OTO連絡会議の実施件数
OTO体制活用の便宜に資することを目的とした、国内各地に設置されているOTO窓
口(各税関の税関相談官(室)、地方経済産業局、検疫所、動物検疫所、植物検疫所、地
方運輸局等)や地域の商工会議所との連絡会議の開催件数。
14 年度 8 箇所(北海道、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、広島、北九州)
(6)ホームページへのアクセス状況
OTO体制及びCHANS体制の認知度を知る一つのバロメーターとしてのホームペー
ジへのアクセス状況。
OTO 10,633 件、CHANS 8,308 件
○
その他の参考指標
(7)苦情申立(受付)件数
OTOに対して苦情が申し立てられた(受け付けられた)件数。
個別苦情
14 年度 14 件、累計
660 件
10
問題提起
14 年度
合
14 年度 14 件、累計 1,043 件
計
− 、累計 383 件
学識経験を有する者の知見の活用
・個別の苦情案件に関する制度や個別案件に共通する事項等について、必要に応じてOT
O対策本部(政府)に意見を提出するために、日本を代表する有識者及び外国人からな
るOTO推進会議(議長:大河原良雄 (財)世界平和研究所理事長)を設置している。
(平成 14 年 11 月 11 日、平成 15 年 3 月 13 日実施)
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
・OTO案件の総点検:OTO推進会議
(基準・認証制度等に係る市場開放問題についての意見)
・苦情受付・処理状況:OTO対策本部
12
政策評価の結果
<必要性>
OTOは市場アクセスを改善し、我が国市場を国際的に開かれたものにするため、1982 年
1 月 30 日の「経済対策閣僚会議」決定に基づき創設され、1994 年 2 月 1 日の閣議決定により
一層の体制整備がなされた。過去 20 年にわたって個別苦情・問題提起プロセスあわせて 1,000
件以上の案件が寄せられた。14 年度についても、新たに 14 件の苦情が寄せられている。また、
後述するように、処理済案件の中には、OTOの提言を踏まえた措置の施行が遅れていたり、
同趣旨の苦情が繰り返し寄せられるなど、引き続き苦情解決に向けた努力が必要な案件も少
なからずあることから、処理済案件を継続的にフォローしていくことも重要である。
<有効性>
◎
OTOが処理してきた案件は、その多くが提言に沿った対応が行われてきた。しかし、
案件の中には必ずしも速やかにかつ着実な対応が行われていないものもあり、それらの案件
を放置しておくのではなく、速やかにかつ着実な対応を求めていくことが重要である。この
ような状況を踏まえ、14 年度においては、平成 9 年 11 月以降のOTO案件(231 件 280 項目)
について、日本を代表する有識者及び外国人からなるOTO推進会議においてOTO案件の
総点検(フォローアップ)を行った(資料1参照)。
280 項目のうち、「輸入促進的な措置を行う」となった項目数は 158 である。このうち、
①「措置が全て施行済みである」項目数は 107 項目、②「一部施行されている」項目数は 46
項目、③「措置の施行が遅れている」項目数は5項目である。
「輸入促進的な措置を行う」以
外の項目数は 122 である。このうち、当初の対処方針にない新たな改善措置が講じられた項
目数は 11 である。
「輸入促進的な措置を行う」となった項目のうち、①「措置が全て施行済みである」につ
いては一応の解決を見たと考えることができる項目である。
「輸入促進的な措置を行う」とな
った項目の中で、67.7%になる。
一方、「輸入促進的な措置を行う」158 項目の中で、②と③の項目については、未だ措置が
全て施行済みになっていない項目であり、これらの項目と「輸入促進的な措置を行う」以外
の 122 項目、あわせて 173 項目ついては、OTOとしては引き続き苦情の解決に向けて努力
していくべきものである。
231 件:項目数 280 の苦情の中で、
(1)所管省庁によって「輸入促進的な措置を行う」となった項目数は 158 である。
① 措置が全て施行済みである項目数は 107
② 一部施行されている項目数は 46
③ 措置の施行が遅れている項目数は5
(2)(1)以外の項目数は 122 である。
所管省庁によって当初の対処方針にない新たな改善措置が講じられた項目数は 11
OTOとしては、引き続き苦情の解決に向けて努力していくべき 173 項目の中で、
① 同趣旨の苦情が現在まで繰り返し寄せられているなど、苦情解決の要望が大きいもの
② 措置が行われているものの有効に機能していない恐れのあるもの
③ 市場アクセスの改善ばかりでなく、高コスト構造の是正や経済の効率化の促進等、経済
活性化の効果が期待できるもの、IT化、電子化(電子政府への対応)に資するもの
の観点から、更なる検討が必要な9テーマ(18 項目・16 案件)に絞り、OTO専門家会議で
検討を進め、具体的な提言を行った。
◎
このようなOTOの取り組みが契機となって処理が進んだ具体的な事例は、資料2のと
おり。
以上のように、OTOの取り組みは、輸入手続等に関する苦情の解決、我が国の市場アク
セスの改善に関し、着実に成果をあげてきた。一方、OTO案件の総点検の結果、OTOと
して引き続き苦情の解決に向けて努力すべき案件も少なからずあることが明らかになったこ
とから、その中の重要案件について更なる検討を進め、具体的提言を行ったところである。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
OTO案件の総点検においては、今後OTO案件の処理を進める際に考慮すべき重要課題
として以下のような指摘を行った。
OTOとしては、以下の重要課題を踏まえて今後の苦情処理を進めていく。
〈重要課題〉
◎重点的に取り組むべきテーマ
(1)基準・認証制度に係る課題
政府における規格・基準の国際的整合化の努力にもかかわらず、内外の事業者等からは実
際にはそれほど改善していないのではないかとの不満は多い。このような遅れが、国際的に
は様々な摩擦の原因にもなっている。
例えば、広く海外で流通し、安全性が確認されているにもかかわらず、国内の規格・基準
が国際規格に整合化していないために、日本では流通できなくなっているケースや、日本の
制度が実際の運用も含めて海外評価機関の活用を阻害しているケースなどである。
―行政主導による見直しー
国際規格への整合化が進まなかった背景としては、個別事業者からの具体的要請を待って
承認をする要請主義にある。事業者等からの具体的な申請を持つまでもなく、行政主導で積
極的に見直しを行うことが必要である。
―英語による申請・標準処理期間の設定―
海外の評価機関をいかに活用していくかは重要な視点である。海外の評価機関が日本の制
度上の評価機関として承認されやすくするためには、承認申請の内容等に応じ、英語による
申請を積極的に認めるとともに承認申請に必要な標準処理期間の設定を設けることが必要
である。
―国際的な規格・基準策定への積極的対応―
国際的な規格・基準が存在しない分野においても、国際規格策定に向けて、各国に対する
働きかけを行い、イニシアティブを発揮していく等、積極的な対応を行うべきである。
―相互承認の仕組みの推進―
主要国との間の相互承認の推進について包括的な枠組みの整備も含め、積極的な対応が重
要である。
(2)「24 時間、365 日世界に対して開かれた日本」の実現
先進的な国際港湾等を有する近隣諸国において主要な物流拠点の整備が進んでいる一方、
我が国は物流拠点としての地位を低下させている。通関・検疫、港湾荷役作業、港湾ゲート
等、海外と直接アクセスを行う業務について、関税の徴収、社会悪物品等の取り締まり等、
従来業務の視点に固執するばかりでは不十分である。これら海外と直接アクセスを行う業務
を我が国物流の重要な要素として新たに捕らえ直し、
「24 時間、365 日世界に対して開かれた
日本」の実現を図ることは、市場アクセスの改善ばかりでなく、物流面における効率化を促
し、物流拠点としての再活性化をもたらすものである。
「24 時間、365 日世界に対して開かれた日本」が実現することで、今度は、その状況を所
与の経済環境とした新たな物流システムが構築され、日本の物流の一層の効率化を促進させ
るものである。
(3)輸入手続の簡素化、迅速化
―利用者の視点からの不断の見直し―
我が国における物流面の効率化を促し、時間的、経済的コストを削減するためには、輸入
手続の簡素化・迅速化を図ることが重要である。輸入関連手続の簡素化、迅速化に係る苦情
は、多種多様なものであるが、1件 1 件、利用者の要望に耳を傾け、利用者の視点からの不
断の見直しを行うことが重要である。
―IT化、電子化の推進―
輸入手続の簡素化・迅速化を促す観点から、輸入の諸手続に関するIT化、電子化の推進
は、利用者の利便性を向上させるばかりでなく、輸入関連手続のコストを直接削減させるた
めの重要な要素である。
◎OTOの取り組みを一層効果的にするための課題
(4)繰り返し検証を行うことの重要性
所管省庁が行うべき対応が着実に実施されているかを検証するために、
「OTO案件の総点
検」としてフォローアップを行ってきた。しかし、ここで終わりにしてはその効果は限定的
である。重要なのは、所期の成果が着実に上がり、苦情そのものが解決に至ったかどうか、
最終段階までフォローしていくことにある。
OTO推進会議としては、「行うべき対応が行われているか」「その対応が施策の実施段階
まで至ったのか」「実施された施策は成果を挙げているのか」を繰り返し検証するとともに、
対応があまりに遅いため、あるいは内容が不十分であるため、所期の成果が十分上がってい
ない場合には、その成果が一刻も早く実現できるよう、積極的に働きかけていくこととする。
(5)OTO体制活用に関する普及啓発の推進
今回のOTO案件の総点検に特に指摘されていないものの、普及啓発活動については、国
内各地に設置されているOTO窓口(各税関の税関相談官(室)、地方経済産業局、検疫所、
動物検疫所、植物検疫所、地方運輸局等)や地域の商工会議所との連絡会議を重ね、パンフ
レットの配布、ホームページ掲載等を行っていく。
資料1
「OTO案件の総点検」報告書(概要)
平成 15 年3月
内閣府市場開放苦情処理対策室
1
「OTO案件の総点検」
市場アクセスを改善し、我が国市場を国際的に開かれたものにするため、O
TOは、過去 20 年にわたって所管省庁が行うべき対応を提言してきた。多くの
案件については、その提言に沿った対応が行われてきたが、案件の中には、必
ずしも速やかにかつ着実な対応が行われていないものがある。それらの案件に
関して放置しておくのではなく、速やかにかつ着実な対応を求めていくことが
重要。
本年度のOTOプロセスにおいては、このような状況を踏まえ、OTO案件
の総点検(フォローアップ)を行った。フォローアップの範囲としては、
「OT
O案件の総点検」
(平成 10 年 12 月取りまとめ)以降の、本格的にフォローアッ
プが行われていない 231 件を対象としている。(なお、フォローアップの対象
期間は平成 9 年 11 月∼平成 14 年8月である。)
(措置状況)
231 件:項目数 280 の苦情の中で、
(1)所管省庁によって「輸入促進的な措置を行う」となった項目数は 158 で
ある。
① 措置が全て施行済みである項目数は 107
② 一部施行されている項目数は 46
③ 措置の施行が遅れている項目数は5
(2)(1)以外の項目数は 122 である。
所管省庁によって当初の対処方針にない新たな改善措置が講じられた項
目数は 11
「OTO案件の総点検」においては、上記に掲げた、OTOとしては引き続き
苦情の解決に向けて努力していくべき 173 項目の中で、
① 同趣旨の苦情が現在まで繰り返し寄せられているもの
② 措置が行われているものの有効に機能していない恐れのあるもの
③ 市場アクセスの改善ばかりでなく、高コスト構造の是正や経済の効率化の
促進、IT化、電子化(電子政府への対応)に資するもの
の観点から、
−1−
更なる検討が必要な9テーマ(18 項目・16 案件)に絞り、OTO専門家会議
で検討を進め、具体的な提言を行った。
2 「OTO案件の総点検」における重要課題
(1)基準・認証制度に係る課題
政府における規格・基準の国際的整合化の努力にもかかわらず、内外の事業
者等からは実際にはそれほど改善していないのではないかとの不満は多い。こ
のような遅れが、国際的には様々な摩擦の原因にもなっている。
―行政主導による見直しー
国際規格への整合化が進まなかった背景としては、個別事業者からの具体的
要請を待って承認をする要請主義にある。事業者等からの具体的な申請を持つ
までもなく、行政主導で積極的に見直しを行うことが必要。
―英語による申請・標準処理期間の設定―
海外の評価機関をいかに活用していくかは重要な視点。海外の評価機関が日
本の制度上の評価機関として承認されやすくするためには、承認申請の内容等
に応じ、英語による申請を積極的に認めるとともに承認申請に必要な標準処理
期間の設定を設けることが必要。
―国際的な規格・基準策定への積極的対応―
国際的な規格・基準が存在しない分野においても、国際規格策定に向けて、
各国に対する働きかけを行い、イニシアティブを発揮していく等、積極的な対
応を行うべき。
―相互承認の仕組みの推進―
主要国との間の相互承認の推進について包括的な枠組みの整備も含め、積極
的な対応が重要。
(2)「24 時間、365 日世界に対して開かれた日本」の実現
通関・検疫、港湾荷役作業、港湾ゲート等、海外と直接アクセスを行う業務
について、関税の徴収、社会悪物品等の取り締まり等、従来業務の視点に固執
するばかりでは不十分。
これら海外と直接アクセスを行う業務を我が国物流の重要な要素として新た
に捕らえ直し、
「24 時間、365 日世界に対して開かれた日本」の実現を図ること
は、市場アクセスの改善ばかりでなく、物流面における効率化を促し、物流拠
点としての再活性化をもたらすもの。
「24 時間、365 日世界に対して開かれた日本」が実現することで、今度は、
その状況を所与の経済環境とした新たな物流システムが構築され、日本の物流
の一層の効率化を促進させるもの。
−2−
(3) 輸入手続の簡素化、迅速化
―利用者の視点からの不断の見直し―
我が国における物流面の効率化を促し、時間的、経済的コストを削減するた
めには、輸入手続の簡素化・迅速化を図ることが重要。輸入関連手続の簡素化、
迅速化に係る苦情は、多種多様なものであるが、1件 1 件、利用者の要望に耳
を傾け、利用者の視点からの不断の見直しを行うことが重要。
―IT化、電子化の推進―
輸入手続の簡素化・迅速化を促す観点から、輸入の諸手続に関するIT化、
電子化の推進は、利用者の利便性を向上させるばかりでなく、輸入関連手続の
コストを直接削減させるための重要な要素。
(4)繰り返し検証を行うことの重要性
所管省庁が行うべき対応が着実に実施されているかを検証するために、
「OT
O案件の総点検」としてフォローアップを行ってきた。しかし、ここで終わり
にしてはその効果は限定的。重要なのは、所期の成果が着実に上がり、苦情そ
のものが解決に至ったかどうか、最終段階までフォローしていくこと。
OTO推進会議としては、「行うべき対応が行われているか」「その対応が施
策の実施段階まで至ったのか」
「実施された施策は成果を挙げているのか」を繰
り返し検証するとともに、対応があまりに遅いため、あるいは内容が不十分で
あるため、所期の成果が十分上がっていない場合には、その成果が一刻も早く
実現できるよう、積極的に働きかけていく。
−3−
具体的な提言を行った 9 テーマ
「基準・認証制度に係る案件」
−規格・基準の策定に係る課題−
○
外国で流通する食品添加物の開放
○
食薬区分の見直し
−規格・基準への適合性評価に係る課題−
○
輸入建材等の検査での海外検査データの活用
○
JAS制度の見直し
「24 時間、365 日世界に開かれた日本の実現」
○
通関・検疫業務の 24 時間、365 日営業の実現
○
港湾業務への市場原理の導入
「輸入手続の簡素化・迅速化等」
○
輸入手続の簡素化・迅速化
・簡易申告制度の改善
・ワンストップサービス(シングルウィンドウ化)の推進
○
NACCS料金の低廉化
「その他」
○
けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度の改正等
−4−
1 外国で流通する食品添加物の開放
(厚生労働省:食品衛生法)
[課題]
・ 外国から食品を輸入する場合、その成分に厚生労働大臣が指定した以外の
食品添加物が入っていると輸入が認められない。外国で安全が確認された食
品添加物の入っている食品については、輸入を認めるべきである。
[検討結果]
・ 広く海外で流通し、安全性が確認されている食品添加物が日本では制度上
流通できないことは大きな輸入障壁であり、国際的整合性に欠けている。こ
れまでの制度では、個別事業者からの具体的要請を待って承認をするという
要請主義を採用しており、輸入を必要としている中小企業にとって、多くの
時間とコストがかかり、要請をすることが困難な状況。要請主義から行政主
導による積極的指定への転換が必要。
・ 今回の総点検作業においては、所管省により具体的に審議・検討が予定さ
れている 46 品目の未指定添加物以外にも、広く海外で流通し、安全性が確認
されている食品添加物の存在について指摘がなされている。46 品目の未指定
添加物に併せて、それ以外の未指定添加物についても審議・検討を行い、そ
の結果に基づき積極的に指定を行っていくべき。
[具体的提言]
○
広く海外で流通し、安全が確認されているような一定の条件にあった食品添
加物については、事業者等からの具体的申請を待つことなく、行政主導で、海
外の安全データなどを参考に内部調査等必要な審議・検討を行い、日本で流通
できない明確な理由がないものについては積極的に指定していくべきである。
また、審議・検討にあたっては、その内容について一層の情報開示を図るべき
である。
○ 具体的に審議・検討が予定されている 46 品目の未指定添加物については、
行政主導で速やかに審議・検討を行い、その結果に基づき指定を行うべきであ
る。また、46 品目以外の未指定添加物についても、一定の条件にあった要望の
多いものについては、行政主導で引き続き審議・検討を行い、その結果に基づ
き積極的に追加指定を行っていくべきである。この追加指定に際しては、具体
的な対象品目、指定基準、スケジュール等について事前周知すべきである。
2 食薬区分の見直し
(厚生労働省:薬事法、食品衛生法)
[課題]
・ 外国から健康食品等を輸入する場合、含有成分が日本の薬事法上専ら医薬
品として使用される成分に区分されていると食品として輸入できない(例:
L−カルニチン)。また、食薬区分が見直されたとしても、食品添加物の指定
を受けないと食品として流通・販売できない場合がある。通常海外で食品と
して流通・販売されているものについては食薬区分の見直しや食品添加物指
定等を積極的に行い食品として支障なく流通・販売できるようにして欲しい。
[検討結果]
・ 現行の食薬区分のうち「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)
リスト」の中には、アメリカ、EU等の諸外国では食品成分として扱われて
おり、安全性の観点からも、専ら医薬品として使用される成分とする必要の
ないものが依然として存在。通常海外で食品として流通・販売されているも
のが日本では制度上薬品としてしか流通できないことは大きな輸入障壁であ
り、国際的整合性に欠けている。行政主導による積極的な見直しを行うべき。
・ 食薬区分の見直しが図られても、食品衛生法における食品添加物として認
められないと、事実上食品として流通・販売できない。食薬区分の見直しと
併せて、それらの物質が食品添加物として指定を受ける等、食品として支障
なく流通・販売できるように措置すべき。
[具体的提言]
○
今回食品として流通できるようになったL−カルニチンと同様、通常海外で
食品として流通・販売されているにもかかわらず我が国では「専ら医薬品とし
て使用される成分本質(原材料)リスト」に収載されている成分本質(原材料)
については、当該成分の食品成分としての含有量、安全性、機能に関する情報
等を整理し、科学的な見地から必要な検討を行った上で、行政主導で食薬区分
の積極的な見直しを行うべきである。また、リストについては、速やかに見直
しの具体的な対象品目、スケジュール等について明示すべきである。
○ 食薬区分の見直しと併せて、それらの物質が食品添加物として指定を受ける
等、食品として支障なく流通・販売できるように措置すべきである。
3 輸入建材等の検査での海外検査データの活用
(国土交通省:建築基準法)
[課題]
・ 外国の規格認証を得た製品であっても改めて日本の基準への適合検査が必
要となり、その検査に多大の費用がかかる。
簡便に日本の基準への適合が認められ、輸入できるように改善して欲しい。
[検討結果]
・ 平成 10 年の建築基準法改正により、新たに「承認認定機関」等の制度が設
けられ、当該機関として国土交通大臣から承認された外国の検査機関等を活
用することにより、建築基準法上の審査を受けることが可能となった。
しかし、この承認認定機関等として承認を受けた機関は皆無であり、外国
事業者は、承認認定機関制度等を活用することができない状況。
・ 承認認定機関等という法的枠組みが設けられても、実際に当該機関として
承認されたものが存在しなければ全く意味がなく、多くの外国検査機関等が
承認申請を行い、かつ、迅速に多くの機関が承認され、当該制度が有効に活
用されるものとなることが必要。
[具体的提言]
○
承認申請に係る標準処理期間を設定かつ公示し、手続きの透明性を確保する
とともに、迅速な処理を図るべきである。
○ 承認申請に必要な書類について、外国検査機関等の申請負担の軽減を図り、
承認申請を促進するため、英語での提出を認める書類を速やかに検討し、直ち
に実施すべきである。
○ 当該制度の有用性について、積極的かつ効果的な PR 活動を行うべきであり、
その際には、承認申請に係る申請手続きの流れ、提出書類(様式等を含む)、
相談窓口等を記載した申請者にとって分かり易い申請手続きマニュアル(手引
書)を英文で作成し、配布・ホームページ上等で公開するべきである。
○ 利用者の負担を軽減し、利便性を向上させることにより、一層の市場アクセ
スの向上を図るため、建築資材について、主要貿易国との間で相互承認を実現
するための方策について検討すべきである。
4 JAS制度の見直し
(農林水産省:JAS法)
[課題]
・ 有機JASに係る「登録外国認定機関」の登録の遅れにより、輸入業者は、
平成 13 年4月1日(改正 JAS 法施行日)以降においても有機 JAS 表示がなさ
れた物資の輸入ができず、多大の損害を被ったところ。
所管省は、登録外国認定機関を増加させ、登録外国認定機関制度が有効に
活用されるものとなるよう必要な措置を講ずるべき。
[検討結果]
○ 英語による申請
・ 登録外国認定機関の増加を図る観点から、登録申請に必要な書類等の一部
について、英語による記載を認める等登録外国認定機関の登録を容易にする
ための具体的措置を検討すべき。
昨年度の対策本部決定から既に約1年が経過しており、未だ検討中とする
所管省の対応は、遅きに失するものである。
○ 「JAS 制度と同等の制度を有する国」要件の見直し
・ 所管省は、JAS 制度と同等制度を有する国として指定されていない国の機関
についても、十分な認定能力を有する機関については、登録外国認定機関と
しての登録審査を受けることが可能となるよう門戸を開くべきとする本会議
による提言の趣旨を踏まえ、検討結果を出すことが必要。
[具体的提言]
○ 登録外国認定機関の申請に必要な書類について、外国機関等の申請負担の軽
減を図り、登録申請を促進するため、英語での提出を認める書類についての検
討結果を速やかに出し、直ちに実施すべきである。
○ 「JAS 制度と同等制度を有する国」を要件としないこと、またその場合には、
国際的に信頼性が確立している機関(例えば IOAS)に登録されている機関を活
用すること等 JAS 法の改正についての検討結果を出すべきである。また、その
際には、JAS 制度見直しの中で、JAS 制度と同等制度を有する国として指定さ
れていない国の認定機関等であっても、十分な認定能力を有する認定機関につ
いては、登録外国認定機関として登録されることが可能となるための方策につ
いての検討結果を示すべきである。
5
通関・検疫業務の24時間、365日営業の実現
(財務省、厚生労働省、農林水産省:関税法、食品衛生法、植物防疫法、家畜伝染予
防法)
〔課題〕
・ ニーズの高い港湾、空港について 24 時間輸入手続が可能となるよう迅速に実施す
べき。時間外手数料自体を廃止すべき。
・ 通関業務のみならず検疫業務についても 24 時間・365 日の実施を図るべき。
〔検討結果〕
・ 全国の港湾・空港において、通関・検疫業務の 24 時間、365 日体制の実現を図る
ことは、利用者の利便性に資するばかりでなく、物流面の効率性を促すもの。少
なくとも恒常的に需要が見込まれる地域において、積極的に対応すべき。
・ 港湾管理者等関係機関とのネットワークを強化して、現時点における需要予測を
的確に行うとともに、現時点では顕在化していない需要を予測することが重要。
・ 勤務時間・体制等の見直しとともに、業務の迅速化、省力化を推進するためには、
民間への業務の外部化やIT化を促進することが重要。
・ 時間外手数料は物流コストを増加させる一因。物流コストの面から、執務時間外
手数料のあり方について見直しを行い、手数料の撤廃を含め、その額の軽減を検
討するべき。
〔具体的提言〕
○
我が国の通関・検疫業務が国際的に遜色のない水準であるように、全国の主な港湾、
空港において、通関・検疫業務の 24 時間、365 日実施を検討し、的確に需要を判断し、
できる限り速やかに必要な対応を行うべきである。勤務時間・体制等の見直しを行う
とともに、可能な限り業務の外部化や、IT化の一層の促進により、業務の更なる効
率化・省力化を推進し、速やかに講じるべき措置の具体化に取り組むべきである。
○ 通関・検疫業務の 24 時間、365 日実施の効果が十分発揮されるものとなるよう、所
管各省は、密接に連携を図るべきであり、少なくとも恒常的に需要が見込まれる地域
においては、積極的に対応すべきである。
○
15 年 3 月末まで税関の執務時間外における通関体制の試行を実施している7港湾に
ついては、引き続き実施すべきである。検疫業務については、通関業務と密接に連携
を図るべきである。
○
執務時間外の手数料について、24 時間、365 日体制の整備に伴い、手数料の撤廃を
含め、その額の軽減を検討し、所要の措置を講じるべきである。
6 港湾業務への市場原理の導入
(国土交通省:港湾運送事業法)
[課題]
・ 日本の港湾業務の荷役料や運送料は高く、その処理速度は遅い。港湾業務
に市場原理を導入し、港湾の荷役・輸送コストを縮減し、業務の迅速化を図
るべきである。
・ 港湾運送事業の免許制を許可制へ(需給調整規制の廃止)、料金の認可制を
届出制へ移行する規制緩和措置が主要9港(京浜、千葉、清水、名古屋、四
日市、大阪、神戸、関門、博多)については実施されたが、主要9港以外の
地方港についても規制緩和を図るべきである。
[検討結果]
○ 主要9港以外の地方港については、「規制改革3か年計画(改定)」におい
て、「速やかに検討を開始し、平成 15 年度中に結論を得る」とされており、
現在、規制緩和の影響調査、関係者の意見聴取等が進められている。地方港
についての規制緩和要望は強く、遅れは許されない。
○ 現在、日本の港湾は、荷役作業は 24 時間化が図られているものの、ゲート
作業は、8:30∼20:00(一部7港は 21:00 まで)の実施となっている。一方、
海外の主要港ではゲート作業も 24 時間化が図られており、国際物流拠点と
して日本の港湾の地位を向上させるためには、ゲートの 24 時間フルオープ
ン化及び通関業務等行政手続の 24 時間化を実現することが必要不可欠。
[具体的提言]
○
主要9港以外の地方港の規制緩和について、所管省は、確実に平成 15 年度
中に検討の結論を出し、その結論を直ちに実施するための措置を講ずるべきで
ある。
○ 我が国の港湾が国際競争力を有する国際物流拠点としての地位を取得する
よう、港湾の 24 時間フルオープン化の早期実現に向けて、①港湾ゲートの 24
時間フルオープン化についての検討結果を出す時期を明示し着実に実施され
るものとするべきであり、②官民関係者が連携して港湾ゲートのフルオープン
化の早期実施に取り組むための具体的措置を講ずるべきである。また、③通
関・検疫業務との連携を強化し、利便性の向上を図るべきである。
7
輸入手続の簡素化・迅速化
(財務省:関税法、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律)
〔課題〕
・ 「過去 1 年間 24 回以上輸入許可を受けた貨物」という要件では、相当頻繁に輸入
を行わなければ、簡易申告制度を利用できない。この要件を緩和すべき。
・ 輸入手続の電子化を促す観点から、ワンストップサービスを進めることが重要。
〔検討結果〕
○簡易申告制度の改善
・ 輸入手続の簡素化・迅速化の観点からも、簡易申告制度は利用価値が大きい制度
である割に、十分に利用されていない。「直近1年間に 24 回以上の輸入許可」に
係る要件が相当厳しい要件であるので、多くの輸入業者が利用できるよう、でき
る限り速やかに貨物の指定等に係る要件を見直すべき。
○ワンストップサービス(シングルウィンドウ化)の推進
・ 輸入手続に関する電子化の推進は、利用者の利便性を向上させるばかりでなく、
輸入関連手続のコストを直接削減させるための重要な要素。
・ 利用者ができるだけ早く利用できるように、輸出入・港湾関連手続のワンストップ
サービスの供用開始を少しでも繰り上げて早期に実現すべき。
・ 既存のシステムの相互接続にとどまらず、利用者の利便性の観点から、重複業務
の見直し、手続の簡素化等全ての手続を徹底的に見直すべき。供用開始後も引き
続き、利用者の視点から見直しを行うべき。
〔具体的提言〕
○
多くの輸入業者が簡易申告制度を利用できるようにするため、貨物の指定、担保
の提供等に係る要件を速やかに見直すべきであり、特に輸入許可の要件に関して
は、「直近1年間に 24 回以上輸入許可を受けた貨物」との指定を「直近1年間に6
回以上」に見直すべきである。
○
輸入手続の簡素化・迅速化を図るためには、行政手続の電子化の観点から、関係
府省と連携、協力しつつ、輸出入・港湾関連手続のワンストップサービス(シングル
ウィンドウ化)を積極的に進めるべきである。ワンストップサービス(シングルウ
ィンドウ化)の供用開始を少しでも繰り上げて早期に実現すべきであり、遅くとも
平成 15 年7月中には供用を開始すべきである。さらに、既存システムの相互接続に
とどまらず、利便性の観点から、重複業務の見直し、手続の簡素化等全ての手続の
徹底した見直しを行うとともに、システムの供用開始後も、引き続き、利用者の視
点から見直しを行うべきである。
8
NACCS の利用料金の低廉化
(財務省:電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律)
〔課題〕
・ NACCS の料金は総経費を賄うように決められるため、コスト削減のインセンティ
ヴが働きにくい。総経費を削減して、利用料金の低廉化を図るべき。
・ 料金に対して情報公開を進めて、透明性を高めるともに、料金体系について多角
的な視点から慎重に検討を行う中立的な機関を設置するべきである。
〔検討結果〕
・ システム開発・運営等の事業費を更に削減させると同時に、人件費が大宗を占め
ている一般管理費についても、できる限り削減を図るべき。
・ 現行の利用料金の見直し方法では、迅速性に欠け、柔軟な対応が十分できていな
い。さらに、多額の剰余金・引当金が生じた時に、利用者に還元させるための明
確なルールがない。
・ コスト削減の方策、規模の経済性に配慮した料金体系等、見直しの方向性等を検
討するために、Air-NACCS の利用料金に関する有識者及び利用者による第三者機関
をできるだけ早い時期に設置すべき。検討の際には、議事録の公開、必要に応じ
てオブザーバー参加を認めるなど、中立性・透明性を確保すべき。さらに、
Sea-NACCS についても、同様の機関を設けるべき。
〔具体的提言〕
○
情報公開を一層進め、利用料金の透明性を高めるとともに、システム開発に係る
競争入札の徹底、業務の外部化等を通じて速やかに講ずべき措置の具体化に取り組
むことにより、業務の実施について更なる効率化・適正化を推進し、さらに、シス
テムの開発・運営において費用対効果の視点から十分に検討を行う等、一般管理費
を含め一層の総経費削減策を図るべきである。
また、利用料金について、時々の経済事情、財務事情に応じて柔軟に料金の見直
しを行うべきであり、その際、剰余金・引当金を利用者に還元するためのルールを
明確にするとともに、諸経費の削減の成果を速やかに利用料金に反映させ、利用料
金の一層の低廉化を実現するべきである。
○ Air-NACCS の利用料金に関する有識者及び利用者による第三者機関を平成 15 年度
のできる限り早い時期に設置すべきである。その第三者機関において、コスト削減
の方策、規模の経済性に配慮しつつ合理的な料金設定の在り方等、今後の検討内容、
見直しの方向性等について検討を行うべきである。その検討を行う際には、広く情
報を公開し、例えば議事録の公開や必要に応じてオブザーバー参加を認めるなど、
中立性、透明性を確保すべきである。
さらに、Sea-NACCS に関しても、多角的な視点から中立的な立場で利用料金の在
り方について検討するため、Air-NACCS と同様な有識者及び利用者による第三者機
関をできる限り早期に設置すべきである。
9 けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度の改正等
(国土交通省:道路運送車両法)
[課題]
・ 我が国の現行車検制度では、キャンプ用トレーラー(被けん引自動車)は
けん引する自動車と連結した状態での検査が求められ、キャンプ用トレーラ
ーをけん引できる自動車は、予め個別に車検証に記載された車名・型式の自
動車に限定されている。
このことから、自己の保有する自動車に、レンタルしたキャンプ用トレー
ラーを連結させて走行することは、事実上、不可能となっている。
・ キャンピングトレーラーを予め登録した自動車以外のものでもけん引を可
能とするために、個々の自動車に、その自動車がけん引可能な車両の重量の
上限を自動車製作者が表示するという欧米型の方式を導入することの可否を
含めて、キャンピングトレーラーの登録時の手続きの簡素化について、直ち
に検討を開始し、遅くとも平成 12 年中にはその検討結果を出すべきである。
[検討結果]
・ 所管省は、
「キャンピングトレーラー登録時の手続きの簡素化について、有
識者等による検討会を設置し検討を行ったところ、平成 12 年 12 月に検討結
果を取りまとめている。」とし、現在は、この検討結果において課題とされた
点について、具体的な検討を引き続き行っているところとしている。
・ しかし、検討会の検討結果が出されてから2年以上を経過した現在、未だ
簡素化の措置は実施されていないことから、問題提起者からも速やかな実施
が求められており、所管省は実施に向けた迅速な対応をとるべきことが必要
となっている。
[具体的提言]
○
けん引自動車及び被けん引自動車に係る車検制度の改正について、パブリッ
クコメントの募集時期や WTO 通報等の手続き時期等実施に向けた具体的な作業
工程を公表し、遅くとも平成 15 年度中には確実に実施するよう、迅速な対応
をとるべきである。
OTOの取り組みが契機となって処理が進んだ事例
資料2
―動植物・食品関係―
○ アルコールフリーワインの殺菌方法の殺菌基準の適合(97557)
(措置の概要)
清涼飲料水の製造基準のうち、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料
水並びに冷凍果実飲料であって密栓型全自動搾汁機以外により搾汁されたもの
については、除菌による製造方法を認めることを食品衛生調査会食料規格部会
で検討。
(所管省庁の対応)
検討結果、平成 11 年 7 月 22 日に告示の改正を行い、清涼飲料水の製造基準
のうち、ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料
水並びに冷凍果実飲料であって密栓型全自動搾汁機以外により搾汁されたもの
については、除菌による製造方法を認めた。
―医薬品・医療用具・化粧品関係―
○ 化粧品の成分規制におけるEU方式との同一化(51203)
(措置の概要)
化粧品規制については平成 8 年 12 月に化粧品のあり方に関する検討会を設置
し、中間とりまとめにおいて欧米と同様の方式を取り入れることが示され、現
在、その際の具体的課題について検討中。最終報告については、平成 10 年 5 月
に公表予定。
(所管省庁の対応)
検討会の最終報告を踏まえ、承認制を原則廃止し、ポジティブリスト方式及
びネガティブリスト方式による成分規制の下、販売名を届け出ることにより自
由に製造・輸入ができるようにした。(平成 13 年 4 月)
―工業関係等―
○ 化学物質審査手続の簡素化(61302)
(措置の概要)
化審法に基づく新規化学物質の届出、少量新規化学物質の申出については、
届出手続きの簡素化を図るため、現在、電子媒体を用いた届出システムを構築
1
しているところであり、平成 12 年度から電子媒体を用いた届出の受付を開始
する予定。
(所管省庁の対応)
化審法に基づく新規化学物質の届出については平成 14 年度より、少量新規化
学物質の申出については平成 13 年 6 月より、電子媒体を用いた受付を開始し、
届出手続の簡素化を図った。
○ 放射性同位元素トリチウムを塗料に使用した時計及び時計部品に対する規
制の緩和(98574)
(措置の概要)
夜光塗料として時計に使用されているトリチウムの規制については欧米諸国
において、ISO 規格に従い高い数量が規制免除数量とされている実態等があり、
現在放射線審議会で時計の完成品に使用されているトリチウムに関し技術的な
検討を行っており、その結果を受けて必要な規制体系の見直しを行う。
(所管省庁の対応)
一般的なトリチウムとは別に、国際標準化機構(ISO)が定めた規格を満たす
夜光時計の完成品に使用されているトリチウムに関しては、放射線障害防止法
の規制の緩和を行っても問題がないことを確認し、平成 10 年 9 月 29 日に規制
緩和は妥当であると答申し、放射線を放出する同位元素の数量等を定める告示
を平成 10 年 10 月 30 日に改正し、放射性同位元素等による放射線障害の防止に
関する法律の規制を緩和した。
―運輸・交通関係―
○ モーターホーム(大型キャンピングカー)に係る保管場所証明の基準等の見
直し(60403)
(措置の概要)
一定の保管管理がなされている場所を使用本拠の位置として認定し、保管場
所証明が取得できるかを検討し、問題なければ平成 12 年中に措置。
(所管省庁の対応)
平成 12 年 12 月警察庁都市交通対策課長通達(「キャンピング・トレーラーに
係る使用の本拠の位置の特例について」)を発出し、自動車の保有者からの委託
を受けて業として自動車の保管管理を行なうこと、管理人は指定されており自
動車の出入庫の状況が台帳等により記録されていること、の基準に適合する自
動車保管施設に、一定期間継続してその保管管理が委託されているものについ
ては、この自動車保管施設を使用本拠の位置として認定。
2
○ けん引免許の区分化(60405、98569)
(措置の概要)
けん引免許について、被けん引車両の重量等に応じた区分を設けることの必
要性の有無を検討し、平成 12 年中に結論をだす。具体的には 750kgを超え、
2t 未満の小型トレーラーとその他の被けん引車の事故率、運転技術上の差違の
調査を早急に行なう。
(所管省庁の対応)
車両総重量 750kgを超え、2t未満までの小型トレーラーに限定したけん引
免許を新設する道路交通法施行規則の一部改正を平成 14 年6月 1 日から施行。
○ 自動二輪に関する規制緩和(98566)
(措置の概要)
高速自動車国道の自動二輪車の最高時速を 80km毎時から 100km毎時に改
める。
(所管省庁の対応)
道路交通法施行令の一部を改正する政令を平成 12 年 10 月 1 日から施行。
―建設関係―
○ 建築用合わせガラスの強度基準の見直し(98571)
(措置の概要)
高層建築物に用いる合わせガラス・複層ガラス等の耐風設計基準について、
合わせガラスの耐風設計基準に関しては、薄い方のガラスの厚さを基準とする
方式からガラスの呼び厚さの合計を基準とする計算方法に変更し、実質的に合
わせガラスの強度基準を緩和することとした。
(所管省庁の対応)
平成 12 年5月 31 日に改正を行い平成 12 年建設省告示第 1458 号第1項第二
号において、構成するそれぞれのガラスの合計の厚さを取ることができる計算
方式に改めたところ。
―情報・通信関係―
○ 無電極ランプに対する高周波出力規制の見直し(98570)
(措置の概要)
高周波利用設備として総務大臣の個別の設置許可が必要であった、出力 50W
3
を超える無電極ランプに関しては、型式の基礎となる技術基準の策定のために
省令改正等必要な手続きを進め、現在の個別許可から型式による認証に移行す
ることを検討。
(所管省庁の対応)
無電極放電ランプからの妨害波が無線設備等へ与える影響については、測定
等を実施したところ問題がないことが確認出来たため、型式指定に追加し、型
式指定を受けた無電極放電ランプについては、個別の設置許可を不要とし、電
波法施行規則の一部を改正する省令を平成 11 年7月 28 日付で施行
―輸入手続関係―
○ コンテナ全量検査のためのX線検査機の導入(00617)
(措置の概要)
コンテナを輸送トラックに載せたまま内部の貨物を透視検査できる大型のX
線検査装置を早急に導入。
(所管省庁の対応)
平成 13 年 2 月横浜港、14 年 3 月神戸港、大阪港に導入。14 年度中に東京港、
名古屋港、博多港に導入予定
―その他―
○ 上陸審査基準の見直し(60801、98584)
(措置の概要)
在留資格「投資・経営」に係る基準においては、必ずしも現地人二人の雇用
がなくても、
「その程度の規模」の投資があれば、投資・経営者としての上陸が
許可されるが、規模を明確化するため、2 人を雇用しない場合の合理的な審査上
のガイドラインを平成 12 年中に作成する。
(所管省庁の対応)
平成 12 年 12 月、2 人以上の常勤職員を雇用しない場合には、そのガイドラ
インを「新規事業を開始しようとする場合の投資額が年間 500 万円以上」と定
め運用している。
* 外国人の在留資格に関する類似案件として、平成 14 年 10 月に決定された
「構造改革特区推進のためのプログラム」においても、特区内の研究機関にお
いて研究業務に従事するために入国する外国人に対しては在留期間の延長を講
じることとしている。
4
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
国内の経済動向の分析(定例インタビュー)
2
政策分野
経済財政政策
3
担当部局
政策統括官(経済財政−景気判断・政策分析担当)
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
経済統計だけでは実態の把握に時間がかかったり限界があったりするため、企業関係者
からの意見聴取を定期的に行い、景気判断の迅速性、的確性を高める。
6
政策の内容
定例インタビューでは、上記目標を達成するために、景気動向を把握する上で重要だと
考えられる業種・分野について毎月関係者を呼んでヒアリングを行っている。
運営方法については、ヒアリングの充実・効率化を図るため、平成 14 年4月から以下
のように改善した。
(1)聴取先の見直し
産業構造が変化していることに伴い、ヒアリング先業種を見直し。
(2)ヒアリングの効率化
当日の議論を効率的に行えるよう、質問票を事前にヒアリング先に送付。
(3)隔月ヒアリングの導入
限られた時間でより多くの業種からヒアリングができるように、偶数月と奇数月の2つ
のグループに分け、ヒアリングを隔月に行なう業種も設定。
(4)構造問題の聴取
足元の景気問題のみならず、各業種のトピックスや構造上の問題などについてもあわせ
て聴取するように聴取内容を拡大。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度
内国経済事情調査
諸謝金内
8
約2
平成 12 年度
約2
平成 13 年度
約2
平成 14 年度
約2
政策評価の観点及び基準
本インタビューにより、景気判断の迅速性、的確性に寄与しているかという観点から評
価を行う。特に、経済統計だけでは実態の把握に時間がかかったり限界があったりするた
め、経済統計を補充するような情報収集が必要とされているが、定例インタビューがその
必要性を適切に満たしているか評価を行なう。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1)定量的方法
・ヒアリング対象業種の経済全体における位置。
・ヒアリング対象業種の動向と景気の先行きとの関係。
(2)定性的方法
・月例経済報告等への活用。
・景気分析への活用(例えば「今週の指標」)
。
10
学識経験を有する者の知見の活用
評価の客観性担保及び専門知識の活用を目的として、部内に設置した「定例インタビュー
専門家検討会」において、目標設定段階(2002 年6月 28 日)及び評価結果作成段階(2003
年5月 15 日)で審議した。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
(1)月例経済報告関連資料
①月例経済報告本体
②月例経済報告関係閣僚会議資料
③主要経済指標
④今週の指標
(2)定例インタビュー関連資料
①内閣府送付質問票
②委員配布資料
(3)その他
①産業連関表
②景気動向指数
③各種統計
12
政策評価の結果
<必要性>
景気判断を行なううえでは経済実態を迅速にかつ的確に把握する必要がある。しかしなが
ら、経済統計では集計等の時間から2ヶ月程度の遅れが生じ、また、統計や新聞等で得られ
る情報だけではなく、なるべく現場に近い声を収集することが必要である。定例インタビュ
ーは、こうした観点から、毎月各業界・分野の現状等についてヒアリングを行ない必要な情
報を収集するものである。
このように、定例インタビューは月例経済報告をはじめとする景気判断の迅速性、的確性
を高めるために必要不可欠である。また、定例インタビューを景気判断担当部局が自ら行う
ことは、他の主体が行ったインタビューを政府が利用することに伴う時間的ロス、情報ロス
を回避することを可能とすることから、景気判断の迅速性、的確性の確保にとって重要であ
る。
<効率性;迅速性・的確性への寄与>
(1)定量的方法
●ヒアリング対象業種の経済全体における位置
従来のインタビュー対象業種は第1表の A 欄のとおりであった。業種をみると、製造業
と非製造業とをカバーしているが、製造業では重化学工業のウエイトが大きく、非製造業
でも小売業の代表として百貨店を採用するなど伝統的な業態のウエイトが大きかった。
しかし、経済が発展し、産業構造が多様化してくるのに伴い、製造業では輸送用機械、
電気機械、精密機械等の機械産業のウエイトが拡大するとともに、非製造業でも商業では
スーパーといった業態が、また、対事業所サービスの中ではリースといった業種が大きく
成長した。こうした状況を踏まえ、平成 14 年度においては、B 欄のように、新しく発展、
成長している業種を含むように対象業種を見直した。
さらに、構造変化・構造改革のなかで、雇用動向・金融情勢の的確な把握が求められて
おり、こうした課題に応えるため、B欄にあるように、企業収益・企業動向や雇用動向を
専門とする調査研究機関を、同じく平成 14 年度からインタビュー対象に含めることとし
た。
定例インタビューで新たにヒアリング対象とすることになった業種が景気動向を捉え
るのに適切であったことは、産業連関表における感応度係数と影響力係数をみることによ
っても確認できる(別紙1)。両係数の組み合わせによって、各業種と経済全体との関係
について類型化できるが、ヒアリング対象業種は、いずれの類型をもカバーするものにな
っている。すなわち、各業種の動向をフォローすることによって、景気全体の動向を多角
的に把握することができるような業種選定となっていることが分かる。
第1表
定例インタビュー対象業種の変更
A欄
B欄
C欄
13 年度まで
14 年度(偶数月)
14 年度(奇数月)
位置付け
×鉄鋼
―
―
Ⅰ
×化学製品
―
―
Ⅰ
×商業(商社)
―
―
Ⅱ
○輸送機械
○輸送機械
○輸送機械
Ⅰ
○電気機械
○電気機械
○電気機械
Ⅳ
○一般機械
―
○一般機械
Ⅳ
○商業(百貨店)
○商業(百貨店)
―
―
☆商業(スーパー)
Ⅱ
○建設
―
○建設
Ⅱ
―
☆対事業所サービス(リース)
―
Ⅳ
―
☆不動産
―
Ⅲ
―
調査研究機関
―
―
調査研究機関
―
Ⅱ
(企業収益・金融動向)
―
―
(雇用動向)
※ ○は見直し前後とも対象企業となっているもの、×は見直しによって対象外としたも
の、☆は見直し後に対象としてもの。
●ヒアリング対象業種の動向と景気の先行きとの関係
定例インタビューでは、景気動向指数における先行系列に該当する、新規求人数や機械
受注、新設住宅着工床面積、消費者態度指数といった指標に関連する情報を直接関係者か
ら聴取することができる。特に、平成 14 年4月の業種入れ替えにより新規求人数が新た
にヒアリング対象に加わるとともに、住宅着工床面積と消費者態度指数については、より
重層的に捉えることができるようになっている(第2表)
。なお、定例インタビューを通
じて、百貨店販売額と営業利益についても聴取しているが、両者とも景気動向指数の一致
系列として採用されている。
第2表
景気動向指数の系列名
先行系列
一致系列
最終需要財在庫率指数
生産指数(鉱工業)
鉱工業生産財在庫指数
鉱工業生産財出荷指数
○新規求人数(除く学卒)
大口電力使用量
○実質機械受注(船舶・電力を除く民需)
稼働率指数(製造業)
○新設住宅着工床面積
所定外労働時間指数(製造業)
耐久消費財出荷指数(前年同月比)
○消費者態度指数
投資財出荷指数(除輸送機械)
○百貨店販売額(卸売業)
日経商品指数(42 種総合)
長短金利差
商業販売額指数(卸売業)
○営業利益
東証株価指数(前年同月比)
中小企業売上高(製造業)
投資環境指数(製造業)
有効求人倍率(除学卒)
中小企業業況判断来期見通し(全産業)
○は定例インタビューの聴取対象分野
(2)定性的方法
●月例経済報告等への活用
定例インタビューにおけるヒアリングを通じて、統計が公表される前に実態面の変化に
ついて把握することができるほか、統計からとれない情報や業種に大きな影響を及ぼす可
能性の高いイベント等についての情報を入手することもできるようになった。そうした例
としては、以下のようなものがあげられる。
①好調な輸出仕向地や不調な地域、商品
a.米国やアジア、ヨーロッパ向けの輸出や輸入の増加・減少要因とその原因
(昨年秋に米国で港湾ストがあったために輸出に影響があったなど)
→月例経済報告(平成 14 年 12 月):「輸入」の説明文に反映
b.旧正月(2月から3月、年によって異なる)のためにアジア地域の税関が停止する
期間が輸出・輸入時期に与える影響
→月例経済報告(平成 15 年3月):「輸出」の説明文に反映
②百貨店やスーパーの販売動向
a.年末年始やゴールデンウィークの商戦の速報とその背景。
b.衣料品の夏物や冬物の売り出し開始時期の変化と消費に与える影響。
c.お中元やお歳暮商戦の前倒しと消費に与える影響。
d.気温や気候の変化による消費行動の変化。
→月例経済報告(平成 14 年5月,9月,12 月):「個人消費」の説明文に反映
e.自動車の販売動向が好調な車種とその原因。
(最近は小型車が人気であることや、買い替えのサイクルなど)
③大型建設プロジェクトの動向、統計への影響
a.当該会社に入ってくる発注・設計等の動向。
b.マンションや大型冷熱機などの受注動向。
c.生産動向や建設状況のうち大型案件の存在とこれが数値に与える影響。
④ワールドカップの経済的影響
ワールドカップ(平成 14 年6月開催)による経済効果もあるとの予想もあったが、実
際には思ったより外出を控えていることがインタビューにより判明(別紙2:月例経済
報告 2002 年7月の「今月のトピック1」)。
⑤半導体の需要
IT関連財の輸出、生産,在庫の動向について指摘を受けた(別紙3:2002 年 11 月
月例経済報告等に関する関係閣僚会議配布資料など)。
●景気分析への活用(例えば「今週の指標」
)
定例インタビューを通じて得た情報は、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」にお
いて関係閣僚に報告する他、景気分析に活用しており、その成果も、例えば「今週の指標」
を通じて広く公表している。
①米国向け自動車輸出
ゼロ金利キャンペーンが米国国内販売や輸出にどのように影響を与えるかについて情
報を得ることができ、各種統計で裏付けをとることができた(別紙4:今週の指標 No.421
など)。
②マンション着工戸数
年後半にかけて徐々にマンション在庫が増加するとの見通しが述べられたことを受
け、マンション着工の抑制要因に早くから注目することができた(別紙5:今週の指標
No.391 など)。
<学識経験者の評価>
平成 15 年 5 月 15 日に開催された「定例インタビュー専門家検討会」において、学識
経験者から定例インタビューの有効性、必要性等について次のとおり発言があった。
・ 2百万円という少ない予算にもかかわらず、統計にない情報を早期に効率的に収集し、
得られた情報を月例経済報告等に関する関係閣僚会議に提出するなど、効果を得られ
ているといえる。
・ 統計をみて景気が良い悪いと評価しても現場をみないとわからないという声がある。
現場はサンプル1つの調査と解釈できる一方、統計にはない情報を得られるうえに訴
える力がある。こうした情報を取り入れて実際に活用している例をみると、政策評価
としては高く評価できる。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
政策評価の結果、必要性・効率性が確認されたため、15 年度においても引き続き行なう
こととした。
(注)感応度係数と影響力係数
感応度係数
産業連関表の逆行列の行和係数表は、各産業に1単位の最終需要(単位需要)があ
ったとき、ある産業が各産業から受ける影響の大きさを表わす。感応度係数はこれを
全産業の平均で除したものであり、産業全体から受ける影響がどの産業で大きいかを
表わす。この係数が1より大きい産業では感応度が平均より大きく、1より小さい産
業では平均より小さいことを示す。
影響力係数
産業連関表の逆行列の列和係数表は、ある産業に 1 単位の最終需要があったとき、
全産業に与える影響の大きさを表わす。影響力係数はこれを全産業の平均で除したも
のであり、産業全体に与える影響がどの産業で大きいかを表わす。この係数が1より
大きい産業では影響力が平均より大きく、1より小さい産業では平均より小さいこと
を示す。
したがって、この組み合わせを表にすると、産業の経済における位置付けがわかる。
Ⅰ.経済に与える影響が大きく、経済から受ける影響も大きい産業(景気一致型)
Ⅱ.経済に与える影響は小さいが、経済から受ける影響が大きい産業(景気感応型)
Ⅲ.経済に与える影響も小さく、経済から受ける影響も小さい産業(独立型)
Ⅳ.経済に与える影響は大きいが、経済から受ける影響は小さい産業(景気主導型)
(別紙2)
[今月のトピック1] ワールドカップサッカー大会の経済効果
1.5月31日から6月30日まで日韓共同開催でワールドカップサッカー大会が開かれた。
ワールドカップサッカーが個人消費に与えた影響の一例としては以下が考えられる。
(1)テレビの販売金額が5月には前年比38.0%増(43億円増)となり、一時的なプラス効果が
伺われる(図1)。
(2)6月の景気ウォッチャー調査では、ワールドカップの影響についてコメントした
景気ウォッチャーの割合が高かった飲食関連を中心に、現状判断DIが低くなった。
コメント内容をみると、「ワールドカップにより外出を控える人が多く、客数が減少し
た」
とマイナスの影響を指摘するものが多かった(図2)。
2.なお、外国人入国者数は前年同時期に比べ約3万人増加した(図3)。日本銀行「国際収
支
統計」等から、日本への入国者の日本国内での平均支出額を機械的に計算すると、約13万
円
(図1)テレビ販売金額の推移
(前年比、%)
60
50
38.0
40
30
20
7.4
10
0
-10
-20
-29.6
-30
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5
2000
01
02
(年月)
(備考) 日本電気大型店協会資料により作成。
(図2)ワールドカップについてコメントした景気ウオッチャーの割合
(DI)
48.0
46.0
(%)
45.0
ワールドカップ関連コメント者数/総回答者数(目盛右)
38.0
36.0
35.0
やや悪くなっている
42.0
40.0
40.0
悪くなっている
現状判断DI(目盛左)
44.0
30.0
25.0
変わらない
20.0
良くなっている
やや良くなっている
15.0
34.0
10.0
32.0
5.0
30.0
0.0
合計
家計動向関連
小売関連
飲食関連
サービス関連
(備考)内閣府「景気ウオッチャー調査(2002年6月)」により作成。
(図3)大会期間中の日本入国者数及び
日本における試合実施国入国者数
(人)
600,000
昨年同時期
500,000
(参考)日本における1次グループ
リーグ実施国入国者数
(人)
30,000
25,000
大会期間中
400,000
20,000
昨年同時期
15,000
300,000
カメルーン
サウジアラビア
チュニジア
ナイジェリア
クロアチア
アルゼンチン
エクアドル
ベルギー
スウェーデン
(備考)法務省資料により作成。
イタリア
日本における試合
実施国入国者数
ロシア
日本入国者
アイルランド
0
ドイツ
100,000
メキシコ
5,000
イングランド
200,000
0
大会期間中
10,000
2002年W杯サッカーの経済効果
(参考)事前予想
1.各機関の推計
(1)電通総研・社会工学研究所
(2)第一生命経済研究所
(3)BNPパリバ証券
・2002年FIFAワールドカップTM日本開催の経済波及効果
…平成13年12月20日
・2002年サッカー・ワールドカップの経済効果
…平成14年1月9日
(日経新聞の取材への回答)…公表資料無し
「2002年4−6月期に、約833億円の新規需要が
「日本国内の建設投資及び消費支出の合計は1兆4188 「日韓共催W杯に伴う国内への経済波及効果は、 発生する(名目GDPの0.1%弱)。」
億円と推計され、その2.33倍の3兆3049億円の生産を 3,700億円程度が見込まれる。これは、名目GDP (内訳)
誘発するものと予測される。(日本がベスト8に進出し の約0.1%に相当する額である。」
国内の支出増 :499億円
たケース)」
外国人の来日による需要増:334億円
・推計の前提
【建設投資額】
2002年度に期待される経済効果は、国内外の観戦 ※「個人消費分を対象とし、大会運営費等は考慮
・W杯のために特別に建設・整備されるもの
客による宿泊・交通・飲食関連費等の支出や大会関 していない。」
・W杯開催に間に合うようにこれまでの計画や
係費である。
構想を前倒しして建設・整備されるもの
(1)会場来訪者:約160万人
(単位:百万円、%)
(4)その他試算
(国内120万人、海外から約40万人)
支出額 構成比
項目
スタジアム等公共投資
356,170
62.4
(2)ケース
その他の公共投資
69,275
12.1
国内観戦客:2泊3日の観光プラン
・日本銀行新潟支店(平成13年5月)
民間施設等建設投資
77,684
13.6
開催地小計
503,130
88.1
宿泊費…@9,300円/泊
「新潟県内で、715∼1,000億円以上」
67,957
11.9
キャンプ地建設投資
飲食代・交通費・土産等…各約1万円
※直接効果∼二次波及効果を含む
総計
571,087 100.0
訪日観戦客:平均滞在日数約8日
【消費支出額】
平均消費額…@21,000円/日
・日本銀行大分支店(平成13年7月)
・大会運営経費、チーム滞在費、観戦客他の関連支出 旅客輸送額…約58,000円/人
「大分県内で、直接効果は約60億円」
(単位:百万円、%)
※内部試算値を、支店長記者会見時に
日本チームベスト8 日本チーム予選敗退
日本チーム優勝
項目
支出額 構成比 支出額 構成比 支出額 構成比 ・結果
口頭で説明したもの
JAWOC等主催者支出
106,116
12.5 105,846
13.4 106,251
10.8
経済波及効果額 :約3,690億円
観戦客等消費支出
191,198
22.6 185,331
23.5 194,296
19.7
・浜銀総合研究所(平成11年8月)
家計消費支出
513,789
60.6 462,477
58.5 651,124
65.9 直接的支出増加額:約2,330億円
スポンサー企業等支出
36,657
4.3
36,657
4.6
36,657
3.7
(同上内訳)
「横浜市内への経済波及効果は、約257億円」
(単位:億円)
総計
847,760 100.0 790,311
100.0 988,328 100.0
【波及効果合計】
項目
生産誘発額
投資
消費
総計
付加価値誘発額
投資
消費
総計
雇用者所得誘発額 投資
消費
総計
(単位:百万円)
ベスト8
1,440,708
1,864,210
3,304,917
718,595
942,399
1,660,993
426,345
493,676
920,021
予選敗退
1,440,708
1,742,131
3,182,838
718,595
878,525
1,597,120
426,345
462,125
888,470
優勝
1,440,708
2,162,890
3,603,597
718,595
1,098,116
1,816,711
426,345
570,604
996,949
注:日本代表チームの国際試合やプレ大会等は、本大会運営のリハーサル
と位置付けて、経済波及効果の推計対象とした。
個人観戦関連費
費目別内訳
宿泊関係費
飲食関係費
交通関係費
観光関係費
その他関連支出
観戦客別内訳
国内観戦客支出額
海外観戦客支出額
大会関係費
1,730
470
240
460
320
240
830
900
600
(別紙3)
[今月のトピック] 鉱工業生産と輸出におけるIT関連品目の動向
<ポイント>
1.鉱工業生産は、IT関連品目等の輸出を中心に増加してきたものの、
最近は持ち直しの動きが緩やかになっている(図1)。
2.また、輸出も半導体等電子部品を中心としたIT関連財が減少する
など、このところ弱含んでいる(図2)。
3.IT関連財をはじめとした輸出の鈍化にともない、鉱工業生産もIT
関連品目を中心にさらに伸びが鈍化している。足元ではIT関連など
の最終需要の伸びが世界的に鈍化してきており、今後の鉱工業生産の
先行きには注視を要する。
図1 鉱工業生産におけるIT関連品目の寄与
(季節調整済前期比:%)
4
3
非IT関連品目
2
1
0
-1
-2
-3
IT関連品目
鉱工業全体
-4
-5
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ (期)
(年)
98
99
00
01
02
(備考) 1.経済産業省「経済産業統計」により作成。
2.IT関連品目は、通信機械、通信・電子部品、半導体素子、集積回路、
半導体部品、電子計算機及び電池の合計。
図2 輸出におけるIT関連財の寄与
(季節調整済前期比:%)
10
8
6
非IT関連財
4
輸出全体
2
0
-2
IT関連財
-4
-6
-8
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
98
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
99
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
00
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
01
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
02
Ⅲ (期)
(年)
(備考) 1.財務省「貿易統計」により作成。
2.IT関連財は、半導体等電子部品、事務用機器、通信機、科学光学機器の合計。
(別紙4)
今週の指標 No.421
2003 年 4 月 14 日
弱含む自動車生産
<ポイント>
1. 我が国の自動車生産は、01 年後半以降増加基調で推移してきたが、このところ弱含んでいる。(図1)
2. これは、販促策などにより好調を維持してきたアメリカの自動車販売にこのところ息切れ感が出てきたことを背景に、我が国からの自動車輸出が弱い
動きとなっていることを反映している。(図2)
3. 日銀短観によると、自動車産業(大企業)の業況感は、03年1−3月期、4−6月期(先行き)ともに悪化しており(図3)、足下での生産の弱い動きを反映
するとともに、アメリカ経済をはじめ世界経済に対する不透明感が先行きに対する見方を慎重なものにしていることが読みとれる。
4. ある産業に対する需要変動が全ての産業に対してどの程度の影響を及ぼすかを、産業連関表の影響力係数を用いてみると、自動車は他産業への影
響度が最も高い部門に分類される。(図4)今後、アメリカの自動車販売が軟調に推移した場合には、輸出の減少を通じて自動車生産が押し下げられ、
ひいては生産全体を下押しする要因となっていくことが懸念される。
(図1)自動車生産の推移
(図2)自動車輸出台数の推移とアメリカ向けの寄与度
(%,3ヶ月移動平均3ヶ月前比)
(95年=100,季節調整値)
120
5
115
4
110
3
(万台)
45
自動車輸出台数(右目盛)
40
35
105
2
30
100
1
95
25
-1
うち
アメリカ向け
自動車輸出全体
90
1
4
7
10
1
00
4
7
10
1
4
7
01
10
1
02
03
(備考)経済産業省「鉱工業生産指数」により作成。
(図3)自動車産業の業況
先行き
(D.I. 「良い」−「悪い」 %ポイント )
-2
20
1
4
7
10
1
4
7
10
1
4
7
10
1
00
01
02
03
(備考)日本自動車工業会「自動車輸出概況」により作成。
(図4)影響力係数
<71部門中 上位10部門>
30
1
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
25
乗 用 車
20
鋼 材
15
その他の自動車
10
その他の鉄鋼製品
5
銑鉄・粗鋼
0
-5
プラスチック製品
-10
民生用電子・電気機器
-15
有機化学製品
-20
事務用・サービス用機器
Ⅰ
Ⅲ
00
Ⅰ
Ⅲ
Ⅰ
01
(備考)日銀「短観」の大企業(自動車)を使用。
Ⅲ
02
Ⅰ
03
一般産業機械
(備考)経済産業省「平成13年簡易延長産業連関表」により作成。
担当:参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 山本洋男 直通 03-3581-0806 [email protected]
(別紙5)
今週の指標 No.391
平成14年12月16日
弱含んでいるマンション着工
<ポイント>
1. 2000年以降、振れを伴いつつも年率22万戸程度で推移していた共同建分譲住宅(マン
ション)の着工が、今年度に入り弱含んでいる(図1)。
2. 我が国のマンション市場の半分以上を占める首都圏での供給状況を見ると、販売在庫数
は増加し続けており、10月は46ヶ月振りに1万戸を超えた(図2)。また、新規契約率(新規
発売戸数に対する契約戸数の比)も、このところ弱含みとなっている。
3. 首都圏マンションの在庫循環を見ると、現在、在庫調整局面にあり、その調整には時間
がかかっている(図3)。
図1 共同建分譲住宅の着工の推移
(年率:万戸)
30
26
22
18
14
10
4
7
10
97
1
4
7
10
1
98
4
7
10
1
99
4
7
10
00
1
4
7
10
1
01
4
7
10
02
(備考)1.国土交通省「建築着工統計」により作成。
2.数値は季節調整済み年率換算値による。
3.太線は3ヵ月移動平均、細線は単月値。
図2 首都圏マンションの新規契約率と在庫戸数
(%)
(戸)
90
12,000
在庫戸数(目盛右)
85
契約率(目盛左)
11,000
10,000
80
9,000
75
8,000
70
7,000
65
6,000
60
5,000
1
4
7
98
(備考)
10
1
4
7
99
10
1
4
7
00
(株)不動産経済研究所資料により作成。
10
1
4
7
01
10
1
4
7
02
10
(月)
(年)
(別紙5)
図3 首都圏マンションの在庫循環図
(%)
40
00Ⅱ
30
99Ⅳ
00Ⅳ
20
01
99
着 10
工
前
年 0
同
期
比 -10
00Ⅰ
02Ⅰ
00
01Ⅱ
98Ⅰ
01Ⅰ
99Ⅰ
98Ⅲ
99Ⅱ
98Ⅱ
01Ⅳ
98Ⅳ
-20
02Ⅱ
-30
02
-40
-40
-30
-20
-10
0
10
20
在庫前年同期末比
(備考)
30
40
(%)
国土交通省「建築着工統計」、(株)不動産経済研究所資料により作成。
○概念図
在庫積み増し局面
在庫積み上がり局面
45度
回復局面
在庫調整局面
在庫前年同期比
担当:参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 今井 秀紀 直通03-3581-9527
[email protected]
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
経済活動及び社会活動についての経済理論その他これに類する理論を用いた研究の推進
2
政策分野
経済財政政策
3
担当部局名
経済社会総合研究所
4
評価方式
実績方式
5
政策の目標・目的
資源・エネルギー・環境という諸課題への対応について総合的な国際共同研究を実施し、
経済社会を持続可能な成長経路へ乗せるための戦略の企画立案に資する論文集を作成する。
6
政策の内容
経済社会を持続可能な成長経路へ乗せるための戦略の企画立案に資する論文集の作成と
いう目標を達成するため、国内外の研究機関・研究者グループのうちから、世界的にも資源・
エネルギー・環境という諸課題に対して最も有効な解を導き得ると思われる機関・グループ
複数を選択し、研究の競合・共有を図るという観点より、それらの機関・グループと国際共
同研究を実施する。その際、研究論文の報告と議論の場として、また、研究成果の情報発信
の場として、「国際共同研究プロジェクト研究報告会」を開催する。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
平成 11 年度
予算事項名
持続可能な成長経路への戦略研究
8
平成 12 年度 平成 13 年度 平成 14 年度
−
−
−
179.9
政策評価の観点及び基準
わが国が置かれた経済・社会情勢に照らして本共同研究が必要かという観点から評価を行
う。
また、本共同研究により得られた研究論文が、経済社会を持続可能な成長経路へ乗せるため
の戦略の企画立案にどの程度有効かという点から評価を行う。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
論文を精読し、「8
10
政策評価の観点及び基準」に基づいてその内容を評価する。
学識経験を有する者の知見の活用
評価の客観性担保及び専門知識の活用を目的として、経済社会総合研究所アドバイザリ
ー・グループにおける本研究に関する議論を評価に活用する。
(注)「経済社会総合研究所アドバイザリー・グループ」は、学識経験を有する者からなり、
当研究所の研究・業務計画の策定等の重要事項について評価、助言を得ることを目的と
している。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
平成 15 年2月に開催された中間報告会における議論及び報告書
12
政策評価の結果
<必要性>
21 世紀のわが国において、世界的な環境問題の深刻化といった問題は、早急な取り組みを
要請されている。このような状況下、わが国の経済を経済的厚生の水準を下げることなく、安
定的に持続可能な成長経路へ乗せていくための戦略を確立することが重要な課題となってい
る。しかし、これらの問題は、海外において既に研究が行われている場合や、あるいは日本単
独では解決できない点も多く、国際的な比較検討や議論が必要とされているため、国内外の研
究機関による「国際共同研究」を実施し、様々な視点からこれらの問題について研究を行って
いく必要がある。
<有効性>
本研究は、2年計画であり、本年はその一年目であるため、目標としている最終論文集は作
成途中であるが、中間報告会として、「国際共同研究プロジェクト研究報告会」(平成 15 年2
月 27 日から3月1日)を開催し、現段階の研究成果を中間報告書として取りまとめた(概要
については別添参照)。
中間報告会では、資源・エネルギー・環境と経済社会の持続可能性との関係について、先行
研究との比較による新規性、成果の政策企画立案へのインプリケーション等の観点より、これ
まで行ってきた地球温暖化ガス削減の国際的な枠組みの問題、自動車等の個別排出源の対策、
技術開発、貿易と環境のルールの調査の問題等への取り組み、各国の事例や先進的な理論、考
え方についての研究成果の発表が行われ、有識者の間で貴重な意見交換が行われた。同会議で
は、国際共同研究参加者以外にも、環境政策研究などの外部有識者からもコメンテータとなり、
意見を聴取した。
各研究報告は、各国の経験的事実を丹念に整理した研究や、持続可能な成長の達成に必要な
燃料効率についての具体的なシナリオを提示している研究、またサーベイ論文と制度論的アプ
ローチによる考察に基づく研究など様々な観点よりなされ、会議に出席した有識者からは、政
府における政策審議、企画立案に貢献する資料として、資料的価値、文献的価値は非常に高い
との指摘を受けた。
(学識経験を有する者の意見)
平成 14 年5月 31 日に開催されたアドバイザリー・グループでは、立ち上げ段階にあった本
研究に対し、ポリシーオプションと結びつけるべき、1つ1つの研究テーマについて問題意識
を明確にすべき、などの指摘がなされた。当研究所としても、こうした指摘を踏まえるよう、
共同研究機関に要請を行っているところである。
また、今後の研究の方向性を議論した中間報告会のクロージングセッションにおいては、今
後の検討課題として、環境税導入効果とその可能性についての詳細な分析、検討を進めること
に加えて、再生可能なエネルギーの導入への投資コストや二酸化炭素排出削減に関するモデル
分析についても、より多くの国に対象に広げて分析を続ける必要性があるとの指摘があった。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
本国際共同研究は、平成 14 年度から平成 15 年度にかけての2年間のプロジェクトであ
り、平成 14 年度の研究成果は中間報告としての位置付けである。15 年度は、昨年度のア
ドバイザリーグループ会合及び中間報告会において指摘された点、8月に開催予定のアド
バイザリー・グループ会合での評価を踏まえ、研究テーマの問題意識、政策企画立案への
インプリケーションをより明確にしていく。研究報告については、10 月を目途に、独・
ベルリンで独ブッパタール研究所との共催で平成 15 年度国際共同研究プロジェクト研究
報告会を開催し、当研究に携わる各研究者との意見交換を行う予定である。最終報告は、
この報告会での議論を踏まえ、とりまとめていく。
16 年3月には、14 年度に引き続き、
「国際共同研究最終報告会」を東京で開催すること
を予定している。本会合では、資源・エネルギー・環境について、参加機関・研究グルー
プ関係者に加え、国内外より広く参加者を募り、各 共同研究についてのポリシー・オプシ
ョン、政策企画立案へのインプリケーションを盛り込んだ形で最終論文を報告し、議論す
るとともに、最終的な研究成果の情報発信の場としていく予定である。
(参考1)
<国際共同研究
参加研究者・研究機関
(国別アイウエオ順)>
・アイルランド
Frank J. Convery 教授(アイルランド国立大学ダブリン校)研究グループ
・アメリカ
Molly K.Macauley 研究員(未来のための資源研究所(RFF))研究グループ
Don Fullerton 教授 (テキサス大学)研究グループ
・イタリア
Carlo Carraro 教授(ベネチア大学)研究グループ
・オーストリア
Leo Schrattenholzer 研究員(国際応用システム研究所(IIASA))
研究グループ
・ドイツ
Peter Hennicke 所長
(ブッパタール環境・気候・エネルギー研究所)研究グループ)
・ベルギー
Chiristian Egenhofer 研究員(欧州政策研究所(CEPS))研究グループ
・日本
小宮山宏
教授(東京大学)研究グループ
植田和弘
教授(京都大学)研究グループ
野村総合研究所
三菱総合研究所
<国際共同研究中間報告会の概要>
○テーマ:持続的成長と社会システム改革(地球環境問題への取り組み、循環型社会の形成)
○日
程:平成 15 年 2 月 27 日(木)∼3 月 1 日(土)
○場
所:東京
○出席者:約 70 名(国際共同研究機関以外からの参加者については別紙参照)
○各セッションのテーマ及び概要:
2 月 27 日(木)
(1)オープニング・セッション
挨拶:牛嶋
俊一郎(内閣府経済社会総合研究所次長)
(2) Schrattenholzer 博士(国際応用システム研究所(IIASA、墺)(10:20∼11:30)
①テーマ;
「長期的持続可能な成長における技術の役割:自動車セクターにおけるグロバルなエネルギーシステムのシナリオ」
②ポイント;自動車セクターに焦点を当て、持続可能な成長に今後必要な燃料電池など
の技術について、省エネや排出削減への効果等を定量的に評価し、こ れらの技術の普
及を促進する政策と手法について検討。
(3) Bleishwitz 博士(ブッパタール研究所(WI、独))(13:00∼14:10)
①テーマ;「持続可能な成長のための統治:気候保護、エネルギー供給の分散化、環境
効率性における企業統治と政治的統治の共働に向けて」
②ポイント;ケーススタディを通じて企業の環境保護への取り組みの可能性と限界等に
ついて分析を行い、気候保護、エネルギー供給の分散化、環境効率性(eco-efficiency)
の政策協調について検討。
(4) Shih 博士(未来のための資源研究所(RFF、米))(14:20∼15:30)
①テーマ;「電力発電における炭素政策と技術変化の消費者余剰への影響」
②ポイント;電力市場モデルによるシミュレーション分析により、米国における再生可
能エネルギーの普及、技術開発に基づく二酸化炭素の排出削減に必要な政策について
検討。
(5) Fullerton 教授(テキサス大学、米)(16:00∼17:10)
①テーマ;「日米両国におけるセカンドベストな自動車排出ガスの抑制」
②ポイント;日米両国での自動車の選択、走行についてのモデル分析により、温室効
果ガスの有力な発生源となっている自動車排出ガス抑制のための自動車への環境規
制やガソリン税等について検討。
2 月 28 日(金)
(6)野城教授(東京大学)(9:30∼10:40)
①テーマ;「循環型経済社会に関する知識の構造化」
②ポイント;循環型経済社会の構築に不可欠な、組織化された情報に基づく意思決定
に資するための情報・知識基盤の構造化を建築系資材、プラスチック系資材の知識
を例に検討。
(7) Convery 教授(ダブリン大学(UCD、アイルランド))(10:50∼12:00)
①テーマ;「気候変動政策のシナリオ実現の際の政策手段の役割」
②ポイント;気候変動問題に関して想定されるシナリオに対し、経済的手法を中心に
有効かつ導入可能な政策手法とその役割について分析。
(8) Carraro 教授(ベネチア大学、伊)(13:20∼14:30)
①テーマ;「気候変動政策の枠組み、国際貿易と経済成長」
②ポイント;京都議定書の枠組みから米国が脱退したという現状を踏まえ、モデルシ
ミュレーションにより、気候変動に関する現行の枠組みの発展や国際貿易協定の気
候変動への影響等を検討。
(9) Egenhofer 上席研究員(欧州政策研究所(CEPS、白))(14:40∼15:50)
①テーマ;「気候変動の国際的枠組みのオプションの分析、国際貿易、企業行動との連
関性」
②ポイント;政府間交渉や国際貿易、企業行動との連関性の切り口から、環境保全の
ための実効性のある協定がなされるかどうかを検証。
(10)特別講演・自由討論
①林主任研究員(三菱総合研究所)(16:10∼16:50)
「環境税の国際的取組み」
②森田領域長(国立環境研究所)(16:50∼17:30)
「インドと中国の温室効果ガス排出シナリオの比較」
3月1日(土)
(11)長山主任研究員(三菱総合研究所)(9:30∼10:40)
①テーマ;「再生可能なエネルギーによる持続発展可能な社会形成に関する研究」
②ポイント;太陽発電を中心としたアジア地域への再生可能エネルギーの導入と地球
環境への影響を人工衛星データ等を用い検討。
(12)皆川副主任コンサルタント(野村総合研究所)(10:50∼12:00)
①テーマ;
「グローバル・エコノミーにおける持続可能な発展:中国の WTO 加盟の持続
可能な発展への影響」
②ポイント;WTO 加盟で注目される中国を取り上げ、貿易の自由化が環境に及ぼす影
響や環境規制の見直しの可能性の観点から持続可能な発展のための課題を検討。
(13)植田教授(京都大学)(13:30∼14:40)
①テーマ;
「地球温暖化対策のグローバルシナリオと国内対策:アジア・中国を視野に
入れた日本の立場」
②ポイント;地球温暖化対策のあり方をめぐるグローバルな取組みと日本国内での対
策といった両面において、ありうべきシナリオとその経済的影響・効果についてモ
デルにより実証的に分析。
(14)
自由討議(14:40∼15:40)
(15)
クロージング・セッション(15:40∼15:50)
報告者:牛嶋
俊一郎(内閣府経済社会総合研究所次長)
ポイント:今後の研究の方向性について意見交換が行われた。また、大変意義深い研
究との指摘があった。
(参考2)
International Forum of Collaboration Projects 2002 by ESRI
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
Executive Director
Researcher
Chief Representative
Research Associate
General Manager
Professor
Fellow
Assistant Fellow
Associate
Senior Analyst
Manager
Senior Analyst
Analyst
Bank of Japan
Japan Bank for International Cooperation
Global Industrial and Social Progress Research Institute
Mitsui Knowledge Industry Co, Ltd
Fujitsu Research Institute
Japan Association of Corporate Executives
Tokyo University of Science
National Institute for Environmental Studies
National Institute for Environmental Studies
UFJ Institute Ltd.
Daiwa Institute of Research
Japan Association of Corporate Executives
NLI Research Institute
UFJ Institute Ltd.
PARTICIPANTS LIST
13
Economist
Gakushuin University
【
Observers】
14
Professor
Organization
15
Graduate Student
Title
16
(参考3)
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
原子力研究開発利用の推進
2
政策分野
科学技術政策
3
担当部局名
政策統括官(科学技術政策担当)
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
国民に対して原子力政策に関する説明責任を徹底するため、原子力委員会の諸活動につい
て、原子力委員会事務局として、これまで以上に情報公開を実施することや、原子力政策の
推進に必要な調査の結果を公表することによって原子力研究開発利用の推進に資する。
6
政策の内容
(1)情報公開のさらなる実施
①原子力委員会定例会及び専門部会資料を原子力委員会ホームページで公開、閲覧可能
にする。
②過去に発行された原子力委員会月報(昭和31年∼平成8年)を電子化し、原子力委
員会ホームページで閲覧可能にする。
③過去に発行された原子力白書を電子化し、原子力委員会ホームページで閲覧可能にす
る。
(2)調査内容の公表
①原子力委員会の調査審議を補助するために平成14年度に実施した調査について、調
査の成果物を公表する。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
情報処理業務庁費
−
−
42
21
科学技術基礎調査
−
−
97
90
−
−
139
111
等委託費
計
8
政策評価の観点及び基準
原子力委員会の諸活動に関する情報公開の推進が、上位の行政目的や国民のニーズに照らし
て妥当かという必要性の観点から評価を行う。
また、原子力委員会資料の公開分量または公開頻度を評価基準として、有効性に関する評価
を行う。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1) 情報公開の推進
指標の性質
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
定例会資料の
72 回中
77 回中
72 回中
56 回中
39 回中
公開件数
72 回
77 回
72 回
56 回
39 回
専門部会・懇談
26 回中
68 回中
57 回中
18 回中
35 回中
会等資料の公
26 回
68 回
57 回
18 回
35 回
−
−
−
14 件
0件
開件数
情報公開開示
請求に対する
(情報公開
公開件数
請求無し)
(参考指標)
116 冊
117 冊
(昭和 31 年
(昭和 41 年
∼昭和 40 年
∼昭和 50 年
分)
分)
41 冊
※なし
電子化
(昭和 31 年
(既刊白書
(参考指標)
∼ 平 成 10
は全て電子
年)
化終了)
合計 29,020
合計 44,805
ームページカウ
回
回
ンター数(*1)
(平成 13 年
(参考指標)
7 月より)
原子力委員会
−
−
−
月報の電子化
原子力白書の
原子力委員会ホ
原子力委員会ホ
−
−
−
−
−
−
−
−
−
総
計
総
計
ームページ総ア
8,298,279
10,209,318
クセス数(*2)
回
回
合 計 28 件
合 計 30 件
ームページに対
(うち質問
(うち質問
する質問・意見数
23 件 中 23
23 件 中 20
(参考指標)
件回答済み) 件回答済み)
(参考指標)
原子力委員会ホ
−
−
−
(注)(*1)トップページに対するアクセス数。
(*2)全ページに対する、延べアクセス数
(2)調査内容の公表
原子力委員会の調査審議を補助するために平成14年度に実施した調査について、以下の調
査の成果物を公表した。
○世界の原子力事情に関する調査
○ アジア地域原子力協力に関する調査
10
学識経験を有する者の知見の活用
① 原子力委員会の下に置かれた有識者からなる会議(長期計画策定会議第一分科会等)に
おける議論を必要性に関する評価に活用。
② 情報公開の推進のあり方について、原子力委員会委員の意見を反映。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
①原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民参加の促進について(平成8年9月2
5日原子力委員会決定)
②今後の原子力政策の展開にあたって(平成8年10月11日原子力委員会決定)
③原子力の開発、利用及び研究に関する長期計画(平成12年11月24日原子力委員会決
定)
12
政策評価の結果
<必要性>
原子力委員会が策定した原子力長期計画(平成12年11月24日原子力委員会決定)等に
おいて、原子力政策における情報公開および政策決定過程における国民参加が求められてお
り、原子力委員会資料の公開等を促進することはこうした方針に適うものである。
具体的には、平成10年度以降、原子力委員会における審議は原則公開を前提に行っている
ことから、原子力委員会会議資料を引き続き公開することが必要と考えられる。また、原子力
委員会の調査審議を補助するために行った調査内容を公表することは、原子力政策の決定過程
の透明性を確保するために必要と考えられる。
(有識者からの意見)
原子力長期計画の策定時に開かれた長期計画策定会議の第一分科会報告書等において、「適
時、的確かつ信頼性の高い情報公開」
、
「インターネット等の新たな媒体を用いた情報提供の実
施」等の必要性が指摘されている。
<有効性>
(1) 原子力委員会定例会及び専門部会の資料はすべて原子力委員会ホームページ上で公開さ
れ閲覧可能となっており、情報公開が徹底されている。また、原子力委員会月報について平
成 14 年度までに昭和 31 年から 50 年までの 20 年分の電子化が完了し、原子力白書につい
ても既刊のものについては平成 13 年度までにすべて電子化を完了しており、いずれも原子
力委員会ホームページで閲覧可能となっている。このように、原子力委員会の諸活動につい
て着実に情報の公開が進んでいる。
また、原子力委員会の審議の基礎となった調査の結果を公表することは、原子力政策の審
議内容や政策決定過程における透明性の向上に寄与するものである。
(2) 公開した情報の周知という点でも、原子力委員会ホームページ(トップページ)には1日
平均100件以上のアクセスがあり、同ホームページに対する総アクセス件数も多数にのぼ
るとともに、これら件数は増加傾向にある。また、原子力委員会ホームページに対する質問・
意見もここ 2 年間で毎年 30 件ほど寄せられている。このように、インターネットを活用し
た情報公開は、国民への情報提供という意味で一定の成果をあげている。今後とも、同ホー
ムページへのアクセスを促進し、インターネットを通じた情報公開が一層効果的なものとな
るよう、工夫することが重要である。
(3) これまでの原子力委員会ホームページは、3年以上前に設計・作成されたものを随時継ぎ
足して運営してきたため、ホームページの改訂の必要性が感じられた。
改訂が必要な点を分析し、有識者の意見を反映した結果、以下の問題点が明らかになった。
①ホームページのデザイン
・最近の他省庁、法人、企業等のホームページに比べて見劣りする。
・昔の PC の性能に見合った技術しか採用していないため、機能的に不便さを感じる
②ファイルの構造
・どこに何があるのかわかりにくい(欲しい資料に到達するまでの操作が多い、同様の資
料が分散して配置されている)。
・トップページのアイコンが一画面に表示されず、閲覧性が悪い。
③掲載コンテンツの内容
・会議資料や議事録をリンクしているだけのページがほとんどであり、具体的な活動内容
や現状がよくわからない。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
(1)情報公開関連
政策評価により明らかになった問題点を解消し、原子力委員会ホームページが情報公開の媒
体としてより効果的に機能するように、以下の検討を行う。
①最新の技術である、Macromedia Flash をメニューに導入し、視覚的に動きのあるサイトに
する。
②メニュー構造を再編し、全ての資料にトップページから容易にたどり着けるようにする。
③現状コンテンツのほとんど全てのページに説明文を追加する。
(2)調査内容の公表
調査内容の報告書は原子力公開資料センターで公開されているが、今後、国民に対して調査
結果をより広く効果的に公表するための方法を検討することが必要。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
沖縄の戦後処理対策
2
政策分野
沖縄対策、沖縄の振興への取組
3
担当部局名
沖縄振興局
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
沖縄の戦後処理業務の一環として、不発弾等対策を推進する。
6
政策の内容
先の大戦において激しい戦闘が展開された沖縄県には、激戦の副産物として相当数の不
発弾が埋没しており、死傷者をだす爆発事故が発生している。不発弾のその殺傷力、破壊
力は戦後50数年を経た今なお変わりなく、沖縄県民の生命、財産に大きな脅威をもたら
し続けている。
本施策は、埋没不発弾等による事故の再発防止のため、戦後処理業務の一環として、不
発弾等処理対策を実施する。
具体的には、沖縄県に不発弾等処理交付金を交付し、県民からの情報に基づき、不発弾
等の探査・発掘等(不発弾等処理事業、広域探査発掘事業)を実施するとともに、市町村
が実施する公共事業に先だって実施する不発弾等の探査・発掘に対する支援(市町村支援
事業)を行う。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円。上段は当初予算、下段括弧内は補正後。)
予算事項名
平成 11 年度
不発弾等対策経費
うち不発弾等
処理交付金
8
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
324
324
325
475
[323]
[323]
[325]
[474]
313
313
313
463
[313]
[313]
[313]
[463]
政策評価の観点及び基準
不発弾等の処理対策として、国はむろんのこと沖縄県、自衛隊、警察、市町村及び関係
諸団体さらに地域住民の方々が、多大な努力を払い、今日まで多くの不発弾が処理されて
きたが、不発弾の発見届け出数は、依然として高い水準にあり今日でもなお、多くの不発
弾が地中に埋没しているものと推測され、その処理は不発弾による事故防止等のために重
要で、今後も事業を推進することが必要である。埋没不発弾等の探査・発掘が有効的に実
施されているか、また、必要性という観点から評価を行う。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1) 不発弾等の探査、発掘の計画的実施
①
不発弾等処理事業(1件当たり 100 ㎡以内の狭い範囲の探査)の実施件数(件)
指標の性質
参考指標(ア
平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度 平成 14 年度
20
16
15
16
15
ウトプット)
平成 14 年度
②
15 箇所で実施
発見埋没弾
617.7 ㎏
広域探査発掘事業(広い範囲の探査)の実施地区数
指標の性質
参考指標(ア
平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度 平成 14 年度
6
6
5
5
5
ウトプット)
平成 14 年度
5地区(20 箇所)で実施
発見埋没弾
2,612.5 ㎏
(参考)これまでの広域探査発掘事業実施実績(完了地区)
西原町翁長地区(平成元年度∼4年度)
、那覇市小禄地区(平成元年度∼11 年度)
豊見城村豊見城地区(平成元年度∼11 年度)、勝連町南風原地区(平成3年、4年
度)、糸満市山城地区(平成4年度)
、与那原町与那原地区(平成4年度∼6年度)
、
浦添市浦添地区(平成7年度∼12 年度)
③
市町村支援事業の実施件数(件)
指標の性質
参考指標(ア
平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度 平成 14 年度
−
−
−
−
14
ウトプット)
平成 14 年度 14 箇所で実施、発見埋没弾
3箇所
76 ㎏
(2) 不発弾等の探査、発掘の効果的実施
本政策により、不発弾等を探査した結果、発掘した不発弾等の重量(トン)
指標の性質
参考指標(ア
平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度 平成 14 年度
5.0
3.7
2.3
4.6
3.3
ウトプット)
10
学識経験を有する者の知見の活用
施策の必要性、有効性について、上原方成琉球大学名誉教授、眞榮城守定琉球大学教育
学部教授の意見を聴取した。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
特になし。
12
政策評価の結果
<必要性>
沖縄県は、先の大戦において激しい艦砲射撃、砲爆弾を受けたことに加え、日本で唯一の
熾烈な地上戦闘の場となったため、戦後 50 数年経った今日でも、不発弾の発見件数は依然と
して高い水準にあり、今なお数多くの不発弾等が埋没していると推定され、これらの不発弾
は、地中等に埋没してから 50 数年が経過しているものの、その殺傷力、破壊力は、全く変わ
りなく極めて危険である。
昭和 49 年には、那覇市で死傷者を伴う爆発事故も発生している。また、平成7年 11 月の
民家庭先での爆破事故、平成 13 年6月の中城湾港マリンタウン埋め立て地で、黄燐弾の発火爆発事
故等が起き、県民の生命をおびやかすものとなっている。
本事業は、昭和 49 年の爆発事故を契機として、この種の事故の再発防止に本格的に取り組
み、地域住民の生活の安全に資することを目的として、関係省庁及び沖縄県の代表者による
合同会議を設け、国、県及び市町村が一体となって不発弾等の処理に当たるとの方針が決定
され、計画的に事業を行っているものであり、国民の生命及び財産を保護するという観点か
ら緊要性の高い施策である。
<有効性>
本事業は、昭和 49 年の実施以来県内における埋没弾の処理は、平成 13 年度まで件数 883
件、重量で約 107.9 トンの処理実績がある。平成 14 年度は、49 箇所で調査を行い、その内
26 箇所で不発弾が発見され、発見主弾種は 250 ㎏爆弾や5インチ艦砲弾、88 ㎜追撃砲など、
467 発で重量約3.3トンの処理を行った。また、広域探査発掘事業は、平成元年度以来、不
発弾等が埋没している可能性が高い地域を対象に計画的に探査・発掘を行っており、これま
でに、西原町翁長地区(平成元年度∼4年度)、那覇市小禄地区(平成元年度∼11 年度)、豊見城
村豊見城地区(平成元年度∼11 年度)、勝連町南風原地区(平成3,4年度)、糸満市山城地区(平
成4年度)、与那原町与那原地区(平成4年度∼6年度)、浦添市浦添地区(平成7年度∼12 年度)
が完了しており、爆発事故の未然防止をはじめ、確実に国民の安全・安心に貢献している。
平成 14 年度から新規に実施した市町村支援事業については、対象となった 14 件の探査・
発掘により不発弾が3件(76 ㎏)発掘されており、爆発事故の未然防止という意味で当該事業
が有効であることが明らかになった。
(学識経験を有する者の意見)
施策の必要性、有効性について、平成15年6月に上原琉球大学名誉教授、真栄城琉球大
学教育学部教授城から意見を聴取した結果、本事業については、沖縄が、先の大戦で大きな
戦禍をうけ、沖縄が不発弾に対し特別な地域であることから、市民の安全性確保のためにも
必要であること、また、本事業により、多くの不発弾が発見・処理されていることから、必
要性・有効性について、大きな評価を得た。
今後、沖縄の地域開発が、区画整理等の面整備により街づくりが実施されて行く事から、
沖縄の発展のためにも本事業の継続は重要であるとの意見があった。
埋没不発弾の情報収集事業においては、情報保有者が高齢化するために、情報収集を速や
かに実施する事や、多くの情報を得るために情報収集の方法をもっと工夫する事が意見とし
て出された。
さらに、不発弾に関する啓蒙活動に積極的に取り組み、不発弾の対処方法等について、PR
し、県民に広く認識するように努める事が必要である事が意見として出された。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
①
まだ多くの、不発弾が発見されていることから、本事業を継続し実施する。
②
情報収集事業について、情報保有者の高齢化等に対応した方法を検討する。
③
不発弾の啓発活動について、積極的に取り組み不発弾の取り扱い方法について、県民
に PR する。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
沖縄の特殊事情に伴う特別対策
2
政策分野
沖縄対策、沖縄の振興への取組
3
担当部局名
沖縄振興局
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
沖縄の特殊な自然的要因等によって引き起こされる赤土等流出問題に対し、発生源対
策を講じるための調査・研究等を進めること等により、赤土等流出の抑制を促進する。
6
政策の内容
(1)「沖縄における赤土等の発生源対策推進事業」の実施
平成9年度に沖縄政策協議会において、赤土対策については発生源対策を重視すべ
きであると提言されたことから、赤土等の発生源における流出防止対策のための調
査・研究を中心とした事業(「沖縄における赤土等の発生源対策推進事業」)を実施し
ている。
(平成 14 年度事業)
①赤土等流出実態調査
②粒度分布や沈降特性を考慮した土壌分布把握調査
③団粒化した赤土等の活用等による赤土等流出防止対策の実証調査
④流域環境保全農業確立体制整備モデル事業
(2)「沖縄県における赤土等流出問題に関する関係府省庁連絡会議」の開催
「沖縄県における赤土等流出問題に関する関係府省庁連絡会議」を設置し、関係機関
の連絡体制の整備を図っている。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度
沖縄における赤土等の
発生源対策推進事業
8
平成 12 年度
98
平成 13 年度
115
平成 14 年度
196
政策評価の観点及び基準
赤土等の流出防止対策をより効果的・効率的に推進する上において、この事業が如何に有
益な調査結果を提供できるか、またそれが如何にして赤土等流出防止対策事業に利活用さ
れうるかという観点から評価。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
赤土等流出防止対策は、国、沖縄県及び関係事業者等がそれぞれ事業を行う中で実施す
べきものであり、内閣府が実施する本施策は、赤土等流出防止対策のために必要な調査や
対策のノウハウを開発・蓄積し、広く一般に供するものである。よって、本施策による効
果は定量的に計れるものではなく、費用対効果の分析も困難である。
しかしながら、本施策により、赤土等流出防止対策事業を実施する沖縄県が、よりきめ
細やかな対策を講じることが可能となり、その効果を導き出す点において、貢献度は大で
ある。よって、沖縄県の実施する赤土等流出防止対策事業を間接的に補助するという意味
で、①赤土等流出防止に関する情報のDBの活用状況、②赤土等個別対策技術(グリーン
ベルト)の活用の実績、③赤土関係普及啓発活動(流域協議会設立に向けての説明会等)
の実績、④河川海域の赤土等流出量調査結果、を指標として掲げるものである。
また、②赤土等流出防止に関する情報のDBの CD-ROM を試験場、図書館等の関係機関
26 ヶ所に配布し、閲覧・貸出を行うほか、本事業による調査・研究成果を県の行政情報セ
ンターに配布したり、赤土等流出防止対策等を掲載した普及啓発用パンフレット(4 千部/
年)を関係機関等に配布するなど広く一般の用に供している。
(1)赤土等流出防止に関する情報のDBの活用状況
赤土等流出防止に関するDBは、平成 12年4月から沖縄県衛生環境研究所の HP に掲載
されており、現在、総アクセス数は 4 万件を超えている。
平成 12年4月
指標の性質
平成 13 年 6 月
平成 14 年 6 月
∼平成 13 年 5 月 ∼平成 14 年 5 月 ∼平成 15 年 5 月
活用実績(HP 約 6,200 件
14,400 件
19,600 件
へのアクセス件数) (約 443 件/月)
(1,200 件/月)
(1,633 件/月)
(アウトカム)
(参考)沖縄県衛生環境研究所 HP 総アクセス件数結果
(2)赤土等個別対策技術(グリーンベルト)の活用の実績
沖縄県農林水産部において実施している水質保全対策事業(耕土流出防止型)の事業採
択地区において、本事業によりその効果が実証されたグリーンベルトの対策工法が積極的
に導入されている。
平成 14 年度
平成 15 年度
達 成 目 標 ( 事 4 事業地区中 3 事業地区中 5 事業地区中 5 事業地区中
5 事業地区中
指標の性質
業採択地区
の GB
導入実績)
(アウトカム)
平成 11 年度
1件
(実績値)
平成 12 年度
0件
(実績値)
平成 13 年度
4件
(実績値)
4件
(実績値)
5件
(目標値)
(3) 赤土関係普及啓発活動の推移
指標の性質
参考指標
(アウトプット)
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
1
2
2
1
4
(実績値)
(実績値)
(実績値)
(実績値)
(実績値)
(4) 赤土等推定年間流出量の推移(参考)
指標の性質
平成5年
平成8年
平成 13 年
平成 16 年
達成目標
52 万t/年
35 万t/年
29.9 万t/年
20 万t/年
(アウトカム)
(実績値)
(実績値)
(実績値)
(目標値)
(出所)沖縄県年間流出量推算結果(沖縄県作成)
※平成 16 年度の数値は沖縄県の達成目標値
10
学識経験を有する者の知見の活用
沖縄振興審議会委員である黒川洸氏((財)計量計画研究所理事長)から評価書(案)
について意見を聴取した。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
(1) 赤土等流出防止対策事業関係
「沖縄県における赤土等流出の近況について」
(沖縄県文化環境部環境保全課)
(2)平成 14 年度流域赤土流出防止等対策事業報告書(沖縄県への委託事業)
・団粒化した赤土等の活用による赤土等流出防止対策の実証調査
・赤土等流出実態調査報告書
・流域協議会試行調査実施事業報告書
・粒度分布や沈降特性を考慮した土壌分布把握推進事業報告書
12 政策評価の結果
<必要性>
赤土とは、沖縄県の土壌の約7割を占める赤色系の特殊土壌を指し、この赤土が河川を通
じて周辺海域に流出することにより、サンゴ礁などの自然環境、水産業及び観光産業などに
も悪影響が生ずるなど、沖縄県においては、重要な問題となっている。
また、沖縄の青い海や白い砂浜、サンゴ礁などの亜熱帯に特有の動植物等は、沖縄県だけ
でなく、我が国に残された貴重な自然財産であり、国民全体で保全すべきものであることか
ら、その保護育成を図るため、政府としても積極的に関与する必要がある。
赤土等流出防止対策は、国、沖縄県及び関係事業者等がそれぞれ事業を行う中で実施すべ
きものであるが、そのために必要な調査や対策のノウハウを開発・蓄積し、環境規制に用い
たり、広く一般に供したりすることは、国において行うことが適当であると考えるものであ
る。
<有効性>
赤土等流出防止対策については、これまで実施された対策事業により一定の効果は上げて
きているが、依然として赤土等流出は続いているため、本調査事業等を実施することにより、
①赤土等流出調査や土壌分布把握調査により赤土等の堆積状況及びサンゴ礁等海域環境を把
握し、地域ごとの状況に応じた赤土対策が実施可能となる、②グリーンベルト、敷草マルチ
ングなどの例にみられるとおり、団粒化した赤土等の活用など個別対策技術の検証により一
般に普及しやすい赤土等流出防止対策技術の確立を図ることが可能となる、③流域協議会に
おいて農家、地域住民及び関係者が一体となって流域環境保全モデル事業を実施することに
より、県全体として流域協議会の基本的方向性・推進計画等を示し、地域住民を中心にその
地域の特性に応じた赤土対策の取組みが可能となる、などよりきめ細やかな赤土対策を講じ
ることが可能となる。
また、「沖縄県における赤土等流出問題に関する関係府省庁連絡会議」を開催することで、
関係府省庁間で赤土等流出問題についての情報、意見の交換を行い、より総合的で効果的な
赤土等流出防止対策を図ることができるものである。
(学識経験者を有する者の意見)
施策の必要性、有効性について、平成 15 年 6 月に沖縄振興審議会の黒川洸委員から意見を
聴取した結果、施策の有効性について高い評価は得たが、今後の要望もあった。
<要
望>
①国や地方自治体だけの取組みではなく、地域住民の参加が必要不可欠であり、地域住民側
の立場にたった赤土等流出防止対策が重要である。よって NPO のような民間団体による活
発な対策活動が必要であり、それらを国や地方公共団体が支援していくことが肝要である。
②地元の学識経験者の知見をもっと有効に活用することができないか。例えば琉球大学等の
赤土問題の専門家に、赤土対策のための研究費を供出し、プロジェクトチームにより赤土
に関する基礎的側面から実務的側面に至る研究を実施し、それを対策に活かしてはどうか。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
沖縄のサンゴ礁などの亜熱帯地域に特有の環境資源は、沖縄県だけでなく国民全体で保全
すべき財産といえるものであり、今後とも、国、沖縄県及び関係事業者等が協力して赤土等
流出防止対策に取り組んでいくことが必要である。内閣府としても、引き続き、赤土等の流
出調査等を行い、赤土の現状を把握しより適切な対策事業を展開する上で有益な情報の提供
を行うこと、また、グリーンベルト及び敷草マルチング等の対策工法で成果が見られたよう
に、各種赤土等発生源対策技術を確立し、その実用化に向けた取組みを行うことが必要であ
る。さらに、流域協議会等の活動による赤土問題対策についての普及・啓発活動を通じて、
地域住民を中心にその地域の特性に応じた赤土問題対策を行うことが必要である。
最終的には、農地における赤土等流出削減計画、開発行為における削減計画及び米軍基地
における削減計画を網羅した「赤土等流出防止対策基本計画」を策定することが望まれるも
のである。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
青年国際交流の推進
2
政策分野
青少年健全育成
3
担当部局名
政策統括官(総合企画調整担当)
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
事業の実施を通じて青少年を健全育成するとともに、日本と諸外国の青少年の相互理解
と友好の増進を図る。
6
政策の内容
青少年を健全育成し、日本と諸外国の青少年の相互理解と友好の増進を図るため、以下の
活動を実施。
(1) 国際青年育成交流事業
① 青年海外派遣
団長・副団長を含む日本青年72名を世界6か国に23日間派遣。
② 外国青年招へい
世界11か国から外国青年100名を24日間招へい。
(2) 青年の船事業
① 世界青年の船
世界12か国の青年135名が日本国内活動をした後、日本青年121名と45日
間船内で共同生活をしながら各種の交流活動を行い、また、訪問国で現地青年と交流
活動を行う。
② 東南アジア青年の船
ASEAN10か国の青年280名と日本青年39名が44日間船内で共同生活
をしながら、ASEAN各国及び日本を訪問し、現地青年と交流活動を行う。
(3) 青少年国際交流事業の活動充実強化
国際青年の村の実施、既参加青年の活動の推進等。
(4) 日本・中国青年親善交流事業
日本青年30名を19日間派遣、中国青年団30名を20日間招へい。
(5) 日本・韓国青年親善交流事業
日本青年30名を15日間派遣、韓国青年40名を16日間招へい。
(6) 21 世紀ルネッサンス青年リーダー招へい事業
既参加青年を中心とした世界20か国の青年リーダー80名を14日間招へいし、日本
青年リーダーとの討議、交流を実施。
(7) 青年社会活動コアリーダー育成プログラム
社会活動の中核を担う日本青年リーダー15名を世界3か国に10日間派遣、外国青年
39名を14日間招へいし、討議、交流を実施。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円。上段は当初予算、下段括弧内は補正後。)
予算事項名
平成 11 年度
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
国際青年育成交流
105
105
105
105
事業(青年海外派
[102]
[102]
[102]
[102]
国際青年育成交流
142
143
143
108
事業(外国青年招へ
[135]
[136]
[136]
[103]
664
670
674
645
[652]
[658]
[662]
[635]
610
614
617
622
[600]
[604]
[607]
[613]
141
140
135
124
[120]
[118]
[117]
[106]
23
23
23
23
[21]
[21]
[21]
[21]
24
24
24
24
[22]
[22]
[22]
[22]
―
―
200
86
[188]
[81]
―
118
遣)
い)
世界青年の船
東南アジア青年の
船
青少年国際交流事
業の活動充実強化
日本・中国青年親善
交流事業
日本・韓国青年親善
交流事業
21 世紀ルネッサン
ス青年リーダー招
へい事業
―
青年社会活動コア
―
[108]
リーダー育成プロ
グラム
1,800
1,810
1,920
1,855
[1,737]
[1,747]
[1,855]
[1,789]
計
注:平成 11 年度及び 12 年度の合計額には、
「アジア太平洋青年招へい事業」に要した経費を含む。
8
政策評価の観点及び基準
・
青年国際交流を通じた「青少年の健全育成」「日本と諸外国の青少年の相互理解と友好の
増進を図る」という本政策の目標に照らして、本政策の必要性があるかどうかという観点
から評価。
・
本政策の実施が、青年国際交流を通じた「青少年の健全育成」「日本と諸外国の青少年の
相互理解と友好の増進を図る」という本政策の目標に照らして、効果がどの程度あったか
という有効性の観点から評価。
9
(1)
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
国民の声
文化交流で重点を置くべき分野(内閣府大臣官房政府広報室「外交に関する世論調査」より) (2つまでの複数回答)
29.2%
29.0%
青少年の交流
スポーツ交流
17.5%
17.0%
学者、芸術家、文化人などの交流
17.1%
17.3%
留学生の交流
14.1%
現代日本の紹介(公演・展示・映像等を通じ、現代の日本の姿を海外に正しく伝える)
海外の遺跡・文化財などの保存の為の協力
15.6%
12.3%
7.7%
12.2%
13.2%
市民団体、地方自治体などによる地域レベルの交流
伝統的日本文化の紹介(生け花、お茶、歌舞伎など)
10.7%
8.6%
海外の文化の日本への紹介
9.4%
知的交流(セミナー・シンポジウムの開催、研究機関相互の交流など)
9.3%
6.0%
日本語の普及
4.2%
海外における日本研究の振興
2.2%
文化活動に関する機材を購入するための無償資金援助
その他
28.5%
21.5%
11.8%
12.5%
8.3%
7.1%
4.0%
0.1%
0.2%
わからない
0.0%
8.0%
5.0%
9.2%
10.0%
15.0%
平成12年調査
20.0%
25.0%
30.0%
平成14年調査
国際化を推進するために地域で行うべきこと(内閣府大臣官房政府広報室「社会意識に関する世論調査」) (複数回答)
28.1%
外国人が日本の文化や歴史を学ぶ機会の提供
26.4%
27.2%
国際交流を行うグループを育成・援助する
29.5%
25.9%
青少年や留学生の家庭滞在を促進する
28.2%
23.3%
国際的なスポーツ大会や音楽会などを開催する
27.3%
23.3%
外国人のための相談窓口などの増設
24.4%
21.6%
外国の文化や歴史を紹介する
22.7%
17.1%
18.1%
外国語による標識などの増設
6.0%
6.1%
国際会議などを開催する
その他
0.3%
0.5%
12.4%
12.2%
特にない
10.7%
わからない
0.0%
9.3%
5.0%
10.0%
15.0%
平成8年調査
平成12年調査
20.0%
25.0%
30.0%
(2)
参加者の人数
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
達成目標(ア 派遣青年
派遣青年
派遣青年
派遣青年
派遣青年
ウトプット) 291人
303人
297人
298人
300人
招へい青年
招へい青年
招へい青年
招へい青年
招へい青年
766人
699人
726人
774人
694人
指標の性質
平成 10 年
平成 14 年度派遣実績
・
国際青年育成交流事業
71 人
世界青年の船事業外国参加青年
117 人
38 人
東南アジア青年の船事業日本参加青年
日中友好親善交流事業派遣日本青年
30 人
日韓友好親善交流事業派遣日本青年
29 人
青年社会活動コアリーダー育成プログラム
合計
15 人
300 人を派遣
平成 14 年度招へい実績
・
国際青年育成交流事業
98 人
世界青年の船事業外国参加青年
130 人
東南アジア青年の船事業外国参加青年
279 人
日中友好親善交流事業招へい外国青年
28 人
日韓友好親善交流事業招へい外国青年
40 人
21 世紀ルネッサンス青年リーダー招へい事業
青年社会活動コアリーダー育成プログラム
合計
(3)
78 人
39 人
694 人を招へい
青年国際交流事業参加青年アンケート調査
①参加者アンケート調査において、日本と諸外国との相互理解が深まったと思う者の割合
指標の性質
平成 10 年
達成目標(ア −
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
−
−
−
67%以上
ウトカム)
(目標値)
(出所)参加青年アンケート調査(内閣府)
83.1%
国際青年育成交流事業派遣日本青年
95.5%
国際青年育成交流事業招へい外国青年
世界青年の船事業日本参加青年
88.4%
世界青年の船事業外国参加青年
98.2%
東南アジア青年の船事業日本参加青年
97.0%
東南アジア青年の船事業外国参加青年
91.0%
日中友好親善交流事業派遣日本青年
64.0%
日韓友好親善交流事業派遣日本青年
91.7%
21 世紀ルネッサンス青年リーダー招へい事業招へい青年 89.8%
青年社会活動コアリーダー育成プログラム派遣日本青年
80.0%
②参加者アンケート調査において、日本と諸外国の友好が深まったと思う者の割合
指標の性質
平成 10 年
達成目標(ア −
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
−
−
−
67%以上
ウトカム)
(目標値)
(出所)参加青年アンケート調査(内閣府)
84.7%
国際青年育成交流事業派遣日本青年
94.3%
国際青年育成交流事業招へい外国青年
世界青年の船事業日本参加青年
88.4%
世界青年の船事業外国参加青年
98.3%
東南アジア青年の船事業日本参加青年
100.0%
東南アジア青年の船事業外国参加青年
94.9%
日中友好親善交流事業派遣日本青年
72.0%
日韓友好親善交流事業派遣日本青年
87.5%
21 世紀ルネッサンス青年リーダー招へい事業招へい青年 93.6%
青年社会活動コアリーダー育成プログラム派遣日本青年
90.0%
③参加者アンケート調査において、これらの事業が本人の将来に役立ったと思う者の割合
指標の性質
平成 10 年
達成目標(ア −
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
−
−
−
67%以上
ウトカム)
(目標値)
(出所)参加青年アンケート調査(内閣府)
79.7%
国際青年育成交流事業派遣日本青年
81.8%
国際青年育成交流事業招へい外国青年
世界青年の船事業日本参加青年
96.4%
世界青年の船事業外国参加青年
75.9%
東南アジア青年の船事業日本参加青年
97.0%
東南アジア青年の船事業外国参加青年
80.5%
日中友好親善交流事業派遣日本青年
92.0%
日韓友好親善交流事業派遣日本青年
100.0%
21 世紀ルネッサンス青年リーダー招へい事業招へい青年 93.6%
青年社会活動コアリーダー育成プログラム派遣日本青年
(4)
100.0%
事業参加青年の事後活動団体への参加率
指標の性質
平成 10 年
達成目標(ア 98.3%
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
95.0%
97.3%
97.0%
90 % 以 上
ウトカム)
国際青年育成交流事業
(目標値)
71 人中、65 人が会員(うち3人は、事業参加前から事後活動団
体の会員)
世界青年の船事業外国参加青年
117 人中、117 人が会員(うち2人は、もともと会員)
38 人中、38 人が会員(うち9人は、もともと会
東南アジア青年の船事業日本参加青年
員)
日中友好親善交流事業派遣日本青年
30 人中、30 人が会員(うち3人は、もともと会員)
日韓友好親善交流事業派遣日本青年
29 人、29 人が会員(うち1人は、もともと会員)
15 人中、8 人が会員(うち2人は、もとも
青年社会活動コアリーダー育成プログラム
と会員)
計 300 人中、287 人が会員(参加率 95.7%)
(もともと会員となっていた者を除くと、280 人中、267 人が加入(加入率 95.4%))
(5)
派遣先又は招へい元における参加青年の活動実績
内閣府の青年国際交流事業は、各国の地元紙で取り上げられている。例えば、国際青年育
成交流事業では、メキシコ派遣団が、ヴェラクルーズ市を訪れたときには、8紙から取り上
げられた。また、東南アジア青年の船事業がベトナム活動中には、ベトナム有数の全国紙
Tuoi Tre(若い世代)紙において1面で掲載され、ベトナム通信社のホームページにも取り
上げられた。
一方、事業参加後の青年達が、さまざまな形で事業の価値を公にしている。ニュージーラ
ンドの既参加青年の団体は、「世界青年の船事業」の前身の「青年の船」に参加した経験を
持つクラーク首相を後援者に迎えており、クラーク首相が14年5月2日の小泉総理との晩
餐会で事業の意義について述べている。また、オーストラリア民主党のバートレット議員は、
既参加青年の働きかけにより、10 月 21 日にオーストラリアの上院における演説で、「世界
青年の船」について評価している。また、13 年度の世界青年の船事業参加者は、バーレー
ン、ケニア、米国等で、その体験を新聞に寄稿するなどの活動を行っている。さらに、アラ
ブ首長国連邦の世界青年の船参加青年達は、ドバイのムハンマド皇太子の指示を受け、自主
的に各国の参加者を招待し、同窓会を開催している。
10
学識経験を有する者の知見の活用
明治学院大学教授の川上和久氏及び産能大学講師の森田正英氏から評価書(案)について
意見を聴取し、アンケート調査結果の適正な活用等評価の客観性の確保を図った。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
外交に関する世論調査(平成14年10月及び平成12年10月)
社会意識に関する世論調査(平成12年12月)
青年国際交流事業参加青年アンケート調査
12
政策評価の結果
<必要性>
内閣府大臣官房政府広報室の行った、外交に関する世論調査(平成14年10月)では、諸
外国との文化交流を進める上で、どの分野に重点を置くべきだと思うか聞いたところ、「青少
年の交流」を挙げた者の割合が 29.2%と最も多かった。平成12年における同調査において
も 29.0%で最も多く、国民の変わらぬ必要性の認識がうかがわれる。また、社会意識に関す
る世論調査(平成12年12月)によれば、国際化を推進するために、自分の住む地域では,
今後どのようなことを行っていくべきだと考えるか聞いたところ、「外国人が日本の文化や歴
史を学ぶ機会の提供」を挙げた者の割合が 28.1%,
「国際交流を行うグループを育成・援助す
る」を挙げた者の割合が 27.2%,
「青少年や留学生の家庭滞在を促進する」を挙げた者の割合
が 25.9%となっている。
以上より、青年の国際交流は、諸外国との文化交流を進めるため、また、地域の国際化を図
るために必要であるという国民の声が、世論調査により明らかになっている。一方で、都道府
県や市町村による青年の国際交流事業は、伝統ある信州青年洋上セミナーが13年度までに廃
止になったように、減少しているという現実がある。このような状況においては、ノウハウを
蓄積し、既参加青年の支援を受けた国が、外交的見地を始めとする他の要素も取り入れつつ国
際交流事業を行う必要性は、いよいよ高まっているということが言える。
また、参加青年の自己評価においても、内閣府の青年国際交流事業は、日本と諸外国との相
互理解を深め、日本と諸外国との間の友好に役立ち、また、参加青年の将来にとっても有意義
なものであると理解されている。
<有効性>
内閣府の国際交流事業は、昭和34年度に、当時皇太子殿下であられた天皇陛下の御成婚を
記念して始められたものであり、また、総理の下で行っている事業であるという一般からの認
識を背景に、内外に抜群の知名度を誇っている。また、40年余りの間に、延べ約2万8千人
を対象に行ってきているという伝統は、我が国にとって大きな資産となっており、初期の参加
者は各国で親日的な政治家や外交官としても働いている。さらに、既参加青年達は、ボランテ
ィア精神に基づき、事後活動団体に参加して事業の円滑な遂行を支えるなど、社会的な活動を
行っているが、これは、青年達に社会参加の場を提供することに限らず、伝統ある事業である
がゆえに、世代、年齢、地域、職業等を異にする、多様な立場の人との交流の場を提供するこ
とになっている。これらの人的資産のネットワークは、内外の青年の健全な育成に大きく役立
っていると言える。
また、都道府県ごとに、個別の事業の間の壁を越えた事後活動団体があることをいかし、日
本に招へいした外国青年には、必ずホームステイをさせており、また、外国人が日本の文化や
歴史を学ぶ機会を提供している。このように、「社会意識に関する世論調査」で明らかになっ
た、国際化推進のために地域で行うべきことが実践されている。さらに、内閣府は、事後活動
団体の活動を支援するため、ブロックごとの国際交流事業関係者連絡会議や、事業報告会など
を開くことによって、交流事業をその場限りのものとしない工夫をしており、地域で活動する
他の民間団体とも連携を進め、地域の継続的な国際化に役立っている。
(学識経験を有する者の意見)
施策の必要性、有効性について、学識経験を有する者から意見を聴取した結果、青年国際
交流事業の必要性及び有効性について、担当の評価とおおむね同旨の評価が得られた。
必要性については、川上氏から、「国際交流の必要性を理解し、パブリック・マインドをも
って、国際交流のアクションを実際に起こす人材、なおかつそのための手段に通暁している人
材を育成していくことが、政府に求められている。」との指摘があった。また、森田氏からは、
「1.同事業に参加した全国各地の同世代の青年との交流による地域交流意識、2.同事業
に参加した異世代の事業参加者による世代間交流意識と世代責任意識、3.個人旅行では体
験できない公式の場所の訪問や多様な人物との意見交換による自己啓発意識、4.訪問先に
おける日本代表団という扱いを受けることによる日本を代表しているという意識」を高める
場としても、青年国際交流事業は必要であるとの指摘があった。
有効性については、川上氏から、「事業を通して、国内外の青年のコミュニケーション・ネ
ットワークが構築され、事業後のお互いの情報交換なども通して、我が国の青年にとっては、
我が国と世界各国、それぞれの地域と世界各国との国際交流の核となり、かつ、今後国際交流
を志す後進の指導にあたることが、アンケート調査結果からも期待されるし、実際に、事業を
通して問題意識を啓発され、事後活動を活発に行っている青年たちが数多くいる。」との指摘
があった。また、森田氏からは、
「1.交流の日数、2.多国の外国人との共通生活体験、3.
事業内容」の3点について有効性があるとの指摘があった。
なお、川上氏からは、「期間の問題から、国際交流に貢献することに強い意志を持った青年
であっても、会社を辞めるなどしなければ事業に参加する時間が取れない例も多く見られ、
今後の国際交流に貢献する意志を持った優秀な人材に、より幅広く参加してもらえるような
枠組み作りは、今後の課題となろう。」との指摘があった。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
政府は、国際社会の一員として、我が国の国際化を更に進めていく必要がある。そのために
も、内閣府は、外務省を中心とした各省と国際交流の推進について密接な連絡、情報交換、協
議等を行いつつ、青年の国際交流を通じた健全育成を、これまでの資産を有効活用し、引き続
き行っていくことが適当である。その際、事業ごとの特色をより生かしたものにし、また、企
業や団体の協力を得て、多様な青年の需要にこたえられるようなものにしたい。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
2
政策分野
男女共同参画社会の形成の促進
3
担当部局名
男女共同参画局
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
(1)国の審議会等における女性委員の割合を平成 17 年度末までのできるだけ早い時期に
30%の目標達成を促進する。
(2)女性国家公務員の採用・登用等を促進する。
6
政策の内容
(1)国の審議会等委員への女性の参画の促進
①
男女共同参画推進本部が平成12年8月に決定した「平成17年(西暦2005
年)度末までのできるだけ早い時期に」
「30%を達成する」という目標に向けて、各
審議会の女性委員の人数・比率等を定期的に調査・分析・公表し、各府省の取組を推
進する。
②
人材データベースへの女性学識者の情報を拡充し、各府省に対し情報提供すること
により、女性委員の登用率の増加に資する。
③
あらゆる機会を用いて、各府省に対し取組の推進を呼びかける。
(2)女性国家公務員の採用・登用等の促進
①
男女共同参画基本計画や人事院の指針を受け、男女共同参画推進本部が行った「各
府省において、女性の採用・登用等の促進に向けた計画を策定するなど、総合的かつ
計画的に取組を推進する」旨の決定を踏まえ、各府省の取組を推進する。
②
「女性の政策決定参画状況調べ」などにより、女性国家公務員の採用・登用の状況
について公表する。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度
女性人材データ
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
4.327
4.327
4.327
4.327
4.327
4.327
4.327
4.327
ベース管理費
計
8
政策評価の観点及び基準
政策・方針決定過程への女性の参画の拡大を図ることについて、必要性の観点から評価
を実施。
国の審議会等委員への女性の登用促進や女性国家公務員の採用・登用等の促進に係る施
策について、有効性の観点から評価を実施。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1) 「国の審議会等における女性委員の参画状況調べ」(内閣府)
平成 10 年
指標の性質
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
達成指標(ア 18.3% 19.8% 20.9% 24.7% 25.0%
ウトカム)
平成17年度末までのできるだけ早い時期に30%とすることが、男女共同参画推進
本部の目標として設定されている。
(2) 国家公務員行政職(一)のうち女性国家公務員の割合
指標の性質
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
参考指標
17.1% 17.1% 17.1% 17.1%
平成 14 年
−
(出所)
「一般職の国家公務員の任用状況調査報告」(人事院)
(3) 国家公務員指定職及び行政職(一)9級以上の女性の割合
指標の性質
参考指標
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
1.1%
1.2%
1.3%
1.4%
平成 14 年
−
(出所)
「一般職の国家公務員の任用状況調査報告」(人事院)
(4)Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種試験の合格者・採用者に占める女性の割合
試験年度
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
Ⅰ
合格者
14.2%
14.4%
14.8%
15.2%
14.6%
種
採用者
12.6%
16.0%
15.6%
15.9%
16.6%
Ⅱ
合格者
26.7%
27.0%
26.8%
26.2%
25.4%
種
採用者
24.6%
25.3%
25.5%
25.7%
26.4%
Ⅲ
合格者
40.5%
39.8%
38.3%
36.9%
42.9%
種
採用者
40.3%
38.8%
36.8%
36.1%
−
指標の性質
参考指標
(出所)各府省の「女性職員の採用・登用拡大計画」の取組状況について(人事院)
(5) 各府省の「女性職員の採用・登用拡大計画」の取組状況(参考指標。下記「12 政策評価
の結果」参照)
10
学識経験を有する者の知見の活用
男女共同参画会議議員であり苦情処理・監視専門調査会長の古橋源六郎氏の知見を活用。
また、
「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視に
ついて(平成13年度)
」
(平成 14 年7月
男女共同参画会議決定)における「国の審議会
等委員への女性の参画の促進」及び「女性国家公務員の採用・登用等の促進」に関する意
見を活用。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
(1)国連開発計画人間開発報告書における「人間開発指数」「ジェンダー・エンパワーメン
ト指数」(平成13年)
(2)ナイロビ将来戦略勧告(平成2年5月24日
国連経済社会理事会採択)
(3)男女共同参画推進本部決定
「女性国家公務員の採用・登用等の促進について」(平成 13 年 6 月 5 日)
「国の審議会等における女性委員の登用の促進について」
(平成 12 年 8 月 15 日)
(4)男女共同参画社会基本法(平成 11 年法律第 78 号)
(5)男女共同参画基本計画(平成 12 年 12 月
閣議決定)
(6)男女共同参画白書(平成 14 年6月閣議決定)
(7)女性国家公務員の採用・登用等の拡大に関する指針(平成 13 年 5 月
人事院事務総長
通知)
(8)各府省における女性国家公務員の採用・登用計画(平成13年)
(9)女性の政策決定参画状況調べ(平成 14 年 8 月
内閣府)
(10)地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成
14 年 8 月
内閣府)
(11)
「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視につい
て(平成13年度)」(平成 14 年7月
男女共同参画会議決定)
(12)各府省の「女性職員の採用・登用拡大計画」の取組状況について(平成 14 年 12 月
人
事院)
12
政策評価の結果
<必要性>
(1)人間開発に関する指標の国際比較(平成 14 年版男女共同参画白書)
平成 13 年に国連開発計画が発表した「人間開発報告書」によると、基本的な人間の能力
がどこまで伸びたかを示すHDI(人間開発指数)は 162 か国中 9 位だが、政治及び経
済への女性の参画の程度を示すGEM(ジェンダーエンパワーメント指数)は 64 か国中
31 位と低位にある。つまり、我が国は、基本的な能力の開発は進んでいるものの、女性
が能力を発揮する機会は十分でないといえる。
(2)ナイロビ将来戦略勧告(平成2年、国連経済社会理事会採択)では、「政府、政党、労
働組合、職業団体、その他の代表的団体は、それぞれ西暦2000年までに男女の平等
参加を達成するため、指導的地位に就く婦人の割合を、1995年までに少なくとも3
0%にまで増やすという目標を目指し、それらの地位に婦人が就けるための募集及び訓
練プログラムを定めるべきである。
」とされている。この目標達成期限を既に経過してい
ることなどを考慮しても、目標値を早期に達成するためにも、更なる努力が必要とされ
ている。
(3)国の審議会等における女性委員の登用の促進について(平成 12 年 8 月 15 日
男女共同
参画推進本部決定)では、平成 17 年(西暦 2005 年)度末までのできるだけ早い時期に、
ナイロビ将来戦略勧告で示された国際的な目標である「30%」を達成するよう鋭意努め
ること、審議会等における臨時委員、特別委員、専門委員等についても、女性の積極的
な登用に努めること、さらに、こうした取組を計画的に進めるため、各審議会の女性委
員の人数及び比率等を定期的に調査・分析・公表することが定められている。
(4)男女共同参画社会基本法では、男女共同参画社会の形成についての基本理念の1つとし
て、
「政策等の立案及び決定への共同参画」を掲げている。さらに、男女共同参画社会基
本法に定める責務として、国は、基本理念を含めた施策の総合的な策定、実施の責務を
負うことが規定されており、その施策の中には積極的改善措置(ポジティブ・アクショ
ン)が含まれている。
(5)男女共同参画基本計画(平成 12 年 12 月
閣議決定)では、11 の重点目標の 1 つとし
て「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」を掲げ、
「施策の基本的方向」として「国
の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」や「調査の実施及び情報・資料の収集、
提供」等、長期的な政策の方向性を記述し、また、「具体的施策」において、「国の審議
会等委員への女性の参画の促進」並びに「国家公務員の採用・登用等の促進」、及び「政
策・方針決定参画に関する調査・研究の実施」等が記述されている。
(6)女性国家公務員の採用・登用等の拡大に関する指針(平成 13 年 5 月
人事院事務総長
通知)では、①各省ごとに女性の採用・登用等の促進に向けた目標の設定、②①の内容
を盛り込んだ採用・登用のための計画の策定、③計画の進捗状況の点検・評価を行うこ
ととされている。
(7)女性国家公務員の採用・登用等の促進について(平成 13 年 6 月 5 日
男女共同参画推
進本部決定)では、男女共同参画基本計画や人事院が策定した「女性国家公務員の採用・
登用の拡大に関する指針」を踏まえ、各府省において、女性の採用・登用等の促進に向
けた計画を策定するなど、総合的かつ計画的に取組を推進することが定められている。
(8)女性国家公務員の割合等
人事院「一般職の国家公務員の任用状況調査」によると、平成 14 年 3 月末現在で、国
家公務員行政職(一)のうち女性国家公務員の割合は 17%、また、指定職及び俸給9級
以上の割合は 1.4%と非常に少なく、今後、一層の取組の促進が必要である。
(9)男女共同参画会議が決定し、内閣総理大臣及び全閣僚へ意見を述べた「政府が実施する
男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について(平成13年
度)」(平成 14 年7月
男女共同参画会議決定)では、「国の審議会等委員への女性の参
画の促進」については、
「進展が見られるものの、目標の早期達成のためには、今後一層
の努力が必要」、また、
「女性国家公務員の採用・登用等の促進」については、
「全府省が
一体となって具体的取組が開始されたことは評価できる」が、
「採用・登用が進んでいな
いところは一層の努力が求められる」とされている。
<有効性>
①
国の審議会等における女性委員の参画状況調べ
平成14年9月末現在における、国の審議会等における女性委員の割合は、25.0%であ
った。なお、平成13年9月末現在は 24.7%であり、0.3%の伸びを示している。
本調査は昭和 50 年から実施しており、調査開始以来、女性の登用率は着実な伸びを示
していること、また、平成14年度は新たな委員の改選が少なかったと思われるにもかか
わらず伸びが見られることからも、本施策は有効に機能しているといえる。(図1参照)
図1
国の審議会等における女性委員の登用状況の推移
(%)
30
14年9月30日現在
25.0
25
24.7
20.9
20
19.8
18.3
17.4
16.1
14.1
15
10
7.9
5
4.0 4.1 4.3
2.8 3.5
2.4 2.6
4.3
4.9
6.6
5.8 6.3
5.25.5
9.09.6
11.3
10.4
6.7
0
昭 昭 昭昭 昭 昭 昭 昭昭 昭 昭 昭 昭昭 平 平 平 平 平平 平 平 平 平平 平 平 平 平平 平 平
和 和 和和 和 和 和 和和 和 和 和 和和 成 成 成 成 成成 成 成 成 成成 成 成 成 成成 成 成
5051 5253 54 55 56 5758 59 60 61 6263 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 12 13 14 151617 18
年 年 年年 年 年 年 年年 年 年 年 年年 年 年 年 年 年年 年 年 年 年年 年 年 年 年年 年 年
②
女性人材データベースの拡充
平成14年度には、約600人分のデータを追加し、総計約2600人分のデータを
各府省に提供している。
③
女性国家公務員の採用・登用等の促進
(1) 国家公務員採用試験の合格者割合と採用者割合
国家公務員採用Ⅰ種、Ⅱ種及びⅢ種合格者に占める女性の割合と、採用者(合格者
のうち最終的に各府省に採用された者)に占める女性の割合を比較してみると、Ⅰ種
については、近年は採用者割合の方が高くなっている。これは、女性の登用の増加に
もつながるⅠ種職員について、各府省において女性の積極的な採用に努めていること
を示している。
また、Ⅱ種についても、平成14年度は採用者割合の方が高い。なお、Ⅲ種につい
ては、採用者の割合が低くなっている。
(2) 「各府省の『女性職員の採用・登用拡大計画』の取組状況について(平成 14 年 12
月
人事院)
各府省の計画の取組状況を把握するため、人事院が行った調査では、以下のような
結果が出ている。
①
平成14年度の採用状況
昨年同期と比べ、Ⅰ種は12機関で増加、Ⅱ種は13機関で増加、Ⅲ種では14
機関で増加している。
増加
横ばい
減少
採用なし等
Ⅰ
種
12(38.7%)
8(25.8%)
3(9.7%)
8(25.8%)
Ⅱ
種
13(41.9%)
11(35.5%)
3(9.7%)
4(12.9%)
Ⅲ
種
14(45.1%)
5(16.1%)
6(19.4%)
6(19.4%)
②
採用に関する計画における目標との関係
上記採用状況については、計画の目標との関係では、
「進んでいる」とみている機
関が半数強を占めている。
進んでいる
機関数
③
17(54.8%)
変化なし
6(19.4%)
進んでいない
2(6.4%)
評価困難
6(19.4%)
平成14年度の登用状況
前年と比べ、係長級については、約半数の機関が増加しており、課長補佐級では、
約3割の機関が増加している。
増加
横ばい
減少
今後把握等
係長級
15(48.4%)
6(19.4%)
1(3.2%)
9(29.0%)
補佐級
9(29.0%)
9(29.0%)
3(9.7%)
10(32.3%)
これらの結果からは、各府省がそれぞれの実情に応じ、女性職員の採用・登用の拡大
に向け、計画的に取り組んでいることがうかがえる。
(3) 国家公務員指定職及び行政職(一)9級以上に占める女性の割合は徐々に増加してお
り、各府省がより上位の役職への女性の登用に取り組んでいることがうかがえる。
(4) 平成 11 年度以降、国家公務員行政職(一)のうち女性の占める割合は横ばいとなっ
ている。したがって、採用状況だけでなく、他の要因にも目を配ることが重要である。
以上のように、各府省において、2005 年度までの目標を定めた「女性職員の採用・登用拡
大計画」を策定し、計画的に女性職員の採用・登用の拡大に向けて取り組んでいることが、
全体としてみれば一定の成果をあげているといえる。
これらの成果については、職員の採用・登用自体の決定権は各府省それぞれにあることか
ら、必ずしも「当府の施策のみに帰するもの」とすることは困難であるが、
「政策・方針決定
過程への女性の参画の拡大」のための取組が、有効に機能していることを間接的に示してい
ると考えられる。
(学識経験を有する者の意見)
男女共同参画会議議員、苦情処理・監視専門調査会会長
古橋源六郎氏の意見
<国の審議会等委員への女性の参画の促進について>
・ 内閣府が各府省の現状について毎年調査・公表することは、ある種のチェック機能であり、
今後も続けてもらいたい。また、取組が進んでいない府省には、その原因を調査・分析し、
一層努力するよう要請して欲しい。
・ 審議会の統合等で委員の人数が少なくなる中で、30%の目標達成には相当の努力が必要
になる。男女共同参画会議の意見を受けた目標達成のための取組について、具体的に検討
し、実施する必要がある。
<女性国家公務員の採用・登用等の促進について>
・ 内閣府が各府省の現状について毎年調査・公表することは各府省の進捗状況を明らかにす
るための有効な手段であり、今後も続けてもらいたい。
・ 各府省において、採用・登用拡大のための計画を策定し、計画的に進めていることは一定
の評価ができるが、抽象的な目標にとどまらず、数値目標等の具体的な目標を掲げること
が重要であり、内閣府からの働きかけが必要である。登用率の低い府省については、その
原因を調査・分析し、一層努力するよう要請して欲しい。
・ 女性の登用を進めていくためには働き方の改善が必要であり、内閣府も各府省の官房長等
人事責任者に対し啓蒙をしていく必要がある。
なお、男女共同参画会議では、
「国の審議会等委員への女性の参画の促進」及び「女性国家
公務員の採用・登用等の促進」について、平成13年度の実施状況の監視を行い、平成14
年7月に、
「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視に
ついて(平成13年度)
」
(平成 14 年7月
男女共同参画会議決定)を決定し、内閣総理大臣
及び全国務大臣に対し、以下のような意見を述べた。
1
国の審議会等委員への女性の参画の促進
進展が見られるものの、目標の早期達成を図るためには、今後一層の努力が必要。
<取組上の留意点>
・専門分野における女性の学識経験者数が少ないことについて、短期的には女性委員
の割合を高める取組を推進するとともに、中長期的な人材育成策を検討。
・女性委員の占める割合が低い団体推薦委員について、関係団体に対する一層の協力
要請。
・職務指定委員について、必然性について検討し、柔軟な対応を図る。
・女性人材データベースの改善を図るとともに、利用者の視点を反映する。
2
女性国家公務員の採用・登用等の促進
今般、全府省が一体となって現状把握及び分析を行い、課題を認識した上で目標を
掲げ、初めての具体的取組が開始されたことは評価。
しかし、各府省における取組状況は様々であり、進んでいないところは一層の努力
が求められる。今後、男女共同参画会議は計画の進捗状況についてできる限り定量的
な評価に努めていくことが必要。
<取組上の留意点>
・級別平均年齢や退職状況も踏まえた現状分析の実施
・取組状況の把握・評価及び必要に応じた計画の見直し
・職員に対する男女共同参画に関する意識啓発
・勤務時間管理や仕事と家庭の両立支援策の情報提供など、職場環境の充実
・男女共同参画会議において取組状況を把握
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
国の審議会等における女性委員の登用の促進については、今後とも、男女共同参画推進本
部で設定した目標値(30%)の早期達成に努め、男女共同参画会議における平成13年度
の監視結果も踏まえながら、引き続き、調査・公表、各府省に対する要請、女性人材データ
ベースへの女性学識者の情報の拡充に努める。特に、平成15、16年度は委員の改選が多
いと思われることから、各府省に対する積極的な働きかけに努める。
女性国家公務員の採用・登用等の促進については、男女共同参画会議における平成13年
度の監視結果も踏まえながら、政府全体としての取組を推進するとともに、各府省における
取組状況の把握に努める。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けた取組
2
政策分野
男女共同参画社会の形成の促進
3
担当部局名
男女共同参画局
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
(1)「女性に対する暴力をなくす運動」を活用するなど、女性に対する暴力根絶のための広
報啓発活動を実施し、この問題についての社会的認識を徹底する。
(2)配偶者暴力防止法の円滑な施行に努め、調査研究や職務関係者に対する研修を実施する。
(3)地方公共団体、民間団体との有機的な連携を確立する。
6
政策の内容
(1) 女性に対する暴力根絶のための広報啓発活動の実施
「女性に対する暴力をなくす運動」(11 月 12 日∼25 日)の実施
①
期間中に、「女性に対する暴力に関するシンポジウム」を開催するなど、女性に対す
る暴力の問題に関する取組の一層強化の強化や、女性の人権の尊重のための意識啓発や
教育の充実を図る。
②
「女性に対する暴力根絶のためのシンボルマーク」の制定
女性に対する暴力の問題に対する社会における認識を深めるため、「女性に対する暴
力根絶のためのシンボルマーク」を制定。
(2) 配偶者暴力防止法の円滑な施行
①
女性に対する暴力に関する調査研究の実施
本年度においては、配偶者からの暴力の被害実態を把握するための調査と、加害者更
生に関する調査研究を行う。
②
女性センター管理職に対する研修の開催(平成 15 年2月)
男女共同参画・女性のための総合的な施設(以下「女性センター」という。)の職
員が相談実務を行う上で必要な知識、技術、企画立案能力の向上に資するよう、女性
センターの相談事業を統括する立場にある管理職を対象に研修を実施。
③
全国配偶者暴力相談支援センター担当者連絡会議の開催(平成 14 年 10 月)
各都道府県の配偶者暴力相談支援センターの担当者に対し、運用上の留意事項や業務
に役立つ情報等を提供するとともに、都道府県における取組に関する情報提供・意見交
換を行うことにより、各都道府県における配偶者暴力相談支援センター業務のより円滑
な遂行に資することを目的に開催。
(3) 地方公共団体・民間団体との有機的な連携の確立
女性に対する暴力対策に携わる都道府県関係者の連絡会議の開催や、女性に対する暴力
対策に関係する民間団体からの意見の聴取及びそれらの団体に対して情報の提供を行う。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円。上段は当初予算、下段括弧内は補正後。)
平成 11 年度
予算事項名
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
7.748
7.733
7.733
7.733
[6.631]
[6.618]
[7.551]
[6.618]
女性に対す暴力対策情
報提供事業委託費
−
−
18.918
18.918
[16.080]
[16.080]
女性に対する暴力に関
13.933
13.664
−
13.435
[12.380]
[11.615]
21.681
21.397
26.651
40.086
[19.011]
[18.233]
[23.631]
[34.118]
女性に対する暴力に関
する研究協議会経費
する実態調査等経費
計
8
[11.420]
政策評価の観点及び基準
(1)女性に対する暴力根絶のための広報啓発活動に関する施策について、必要性の観点から
評価を実施。
(2)各種広報啓発活動の実施により期待される、女性に対する暴力に関する国民の理解を深
める効果が得られるかの基準により、有効性の観点から評価を実施。
(3)各種研修等により、配偶者暴力防止法の円滑な施行に資することができたかとの基準に
より、有効性の観点から評価を実施。
(4)各種連絡会議等により、地方公共団体や民間団体との有機的な連携を確保できたかの基
準により、有効性の観点から評価を実施。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1)「女性に対する暴力に関するシンポジウム」におけるアンケート調査
上記調査において、
「会議の内容について」との問に対し、「満足」と答えた者の割合
指標の性質
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
参考指標
平成 14 年
52.9%
(アウトカム)
(出所)
「女性に対する暴力に関するシンポジウム」におけるアンケート(内閣府)
(2)「配偶者等からの暴力に関する調査」報告書の作成
「配偶者等からの暴力に関する調査」報告書
1,500 部
「配偶者等からの暴力に関する調査(概要)」
3,000 部
(3)「配偶者からの暴力の加害者更生に関する調査研究」報告書の作成
「配偶者からの暴力の加害者更生に関する調査研究」報告書 1,500 部
(4)男女共同参画に関する「相談研修」におけるアンケート調査
上記調査において、
「研修全体について」との問に対し、「満足」と答えた者の割合
指標の性質
参考指標
(アウトカム)
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
57.8%
(出所)男女共同参画に関する「相談研修」に関するアンケート(内閣府)
(5)連絡会議におけるアンケート調査
上記調査において、
「会議の内容について」との問に対し、「満足」と答えた者の割合
指標の性質
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
参考指標
平成 14 年
17.0%
(アウトカム)
(出所)連絡会議におけるアンケート調査(内閣府)
10
学識経験を有する者の知見の活用
男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会・島野穹子会長(つくば国際大学
教授)に評価を依頼。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
(1)男女共同参画社会基本法(平成 11 年法律第 78 号)
(2)男女間における暴力に関する調査(平成 12 年2月
(3)男女共同参画基本計画(平成 12 年 12 月
内閣府)
閣議決定)
(4)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成 13 年法律第 31 号)
(5)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の円滑な施行に向けた意見(平
成 13 年 10 月
男女共同参画会議決定)
(6)配偶者等からの暴力に関する事例調査(平成 13 年 11 月
内閣府)
(7)配偶者等からの暴力に関する有識者アンケート調査(平成 14 年2月
内閣府)
(8)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の円滑な施行に向けた意見(そ
の2)(平成 14 年 4 月
男女共同参画会議決定)
(9)配偶者等からの暴力に関する調査(平成 15 年4月
内閣府)
12 政策評価の結果
<必要性>
(1)夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカ
ー行為等女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害するものであり、男女共同参画社
会を形成していく上で克服すべき重要な課題である。男女共同参画基本計画(平成 12 年
12 月
閣議決定)では、11 の重点目標の一つとして「女性に対するあらゆる暴力の根絶」
を掲げ、「施策の基本的方向」として、女性に対する暴力を根絶するためには、それが犯
罪にも該当する決して許さないものであるとの認識を広く社会に徹底するための広報啓
発活動を一層推進することを、また、
「具体的施策」において、
「女性に対する暴力をなく
す運動」を定着させることや「人権週間」等を通じて、国民の意識啓発のための活動を行
うことを掲げている。
(2)女性に対する暴力への社会的認識の徹底を図るため、平成 13 年6月、男女共同参画推
進本部において、毎年 11 月 12 日から 25 日(国連が定めた「女性に対する暴力撤廃国際
日」)までの2週間にかけて、
「女性に対する暴力をなくす運動」を実施することが決定さ
れている。
(3)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成 13 年法律第 31 号)第
24 条において、国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止に関する国民の理解を
深めるための教育及び啓発に努めることとされている。
(4)「配偶者等からの暴力に関する有識者アンケート調査」(平成 14 年1月∼2月実施)に
おいて、政府が重点的に行うべき事項として、「国民の理解が深まるよう、教育や意識啓
発に努める」を挙げた者が約7割と最も高く、国民も政府が「女性に対する暴力」に関す
る教育・広報啓発活動に重点的に取り組むことを期待している。
(5)配偶者暴力防止法に基づき、平成 14 年4月から業務を開始した配偶者暴力相談支援セ
ンターには、毎月 3,000 件前後の相談が寄せられ、警察も、毎月 1,200 件前後の相談等に
応じている。また、裁判所による加害者に対する保護命令も月 100 件前後発令されてい
る。このように、配偶者からの暴力の現状は、未だ深刻な状況にあり、今後とも暴力の防
止及び被害者の保護に関する広報啓発活動に取り組む必要がある。
(6)配偶者からの暴力の問題については、それを防止する社会の認識が重要となるが、多く
の人が「配偶者からの暴力は犯罪とならない」
「一部の人の問題である」
「被害者にも悪い
点がある」「夫婦げんかだから他人がかかわるべきではない」などといった誤った認識を
有しているのが現状であり、これを是正していく必要がある。このような意識は時代とと
もに変わりつつあるものの、国民個々の生活にはいまだに根強く残っていることから、国
民すべてに男女の人権尊重の意識を深く根付かせるための広報啓発活動を積極的に展開
する必要があり、行政が取り組むべき課題である。
<有効性>
(1)「女性に対する暴力をなくす運動」の実施
平成 14 年 11 月 25 日に開催した、「女性に対する暴力に関するシンポジウム」には、
約 400 人が参加したが、同シンポジウムの実施状況について、参加者に対しアンケート
調査を実施した結果、
会議全体の内容に「満足した」との回答が 52.9%、
「普通」との回答が 25.9%であり,
①
半数以上から肯定的な評価を得ている。なお、全体についての意見として、下記のよう
なことがあげられた。
・今後も積極的にこのようなシンポジウムを開催してもらいたい。
・シンポジウムの開催をもっと広く知らしめてほしい。
・女性に対する暴力は、社会全体で取り組むべき問題であることを認識した。
・とてもよい勉強の機会となった。
②
一方,改善すべき点として、下記のようなことがあげられており,これらの問題点の
解決に取り組んでいく必要がある。
・有識者による講演の時間が短く、シンポジウム全体の時間配分を考え直してほしい。
・扱う内容が多岐に渡っていたので、対象をもう少し絞り込んでほしい。
・説明の際に、図やパネルを使用してほしかった。
(2)「女性に対する暴力根絶のためのシンボルマーク」の制定
「女性に対する暴力根絶のためのシンボルマーク」は、内閣府のみならず、内閣府男
女共同参画局の許諾の下、地方公共団体、関係団体等の広報活動に活用されており、平
成 14 年度は約 130 のパンフレット等にこのシンボルマークが使用された。
(3)配偶者等からの暴力に関する調査の実施
平成 14 年 10 月から 11 月にかけて全国の 20 歳以上の男女 4,500 人を対象に、「配偶
者等からの暴力に関する調査」を実施した。
今回の調査結果について、平成 11 年に実施された「男女間における暴力に関する調
査」結果と比較したところ、“平手で打つ”“なぐるふりをしておどす”などの 11 の行
為について、夫婦の間で行われた場合に暴力だと思うかを聞いた問では、いずれの行為
についても「どんな場合でも暴力にあたると思う」と答えた人が増え、夫婦間で行われ
た行為について、警察や公的な機関などが、解決に向けてかかわるべきかを聞いた問で
は、「かかわるべき」と考える人が増えている。3年前に比べると、配偶者からの暴力
に対する国民の認識は高まっており、国民に対する意識啓発のための活動に努めた結果
が現れたものと考えられる。
本調査結果は、「女性に対する暴力をなくす運動」をはじめとする広報啓発活動や職
務関係者に対する研修等において実態を理解するためなどに活用する。また、配偶者暴
力防止法は、その附則に法施行後 3 年(平成 16 年)を目途に見直すことが規定されて
おり、本調査結果は、この見直しの検討の際の参考資料となる。
(4)配偶者からの暴力の加害者更生に関する調査研究の実施
平成 14 年6月に有識者7人からなる研究会を立ち上げ、合計5回の研究会を開催し、
関係者からのヒアリングや議論を行った。また、イギリス、ドイツ、韓国、台湾の4か
国・地域の海外調査も実施した。
本調査結果は、「女性に対する暴力をなくす運動」をはじめとする広報啓発活動や職
務関係者に対する研修等において実態を理解するためなどに活用する。また、配偶者暴
力防止法は、その附則に法施行後 3 年(平成 16 年)を目途に見直すことが規定されて
おり、本調査結果は、この見直しの検討の際の参考資料となる。
(5)配偶者暴力防止法の周知度
「配偶者等からの暴力に関する調査」(平成 14 年 10 月∼11 月実施)において、配偶者
暴力防止法について、「法律の成立も、その内容も知っている」人は 18.9%,「法律の成
立は知っているが、内容はよく知らない」人は 53.6%で、72.5%の人は、法律の成立を知
っており、国民に対する意識・啓発活動に努めた結果が現れたものと考えられる。
(6)男女共同参画に関する「相談研修」の開催
平成15年2月17日∼18日に女性センターの相談事業を統括する立場にある管理職を
対象に行った研修には、全国から約70名の参加があった。参加者にアンケート調査を
実施した結果、
①
研修全体について「満足」という回答は57.8%、「普通」は29.7%、「不満」は6.3%
であり,半数以上から肯定的な評価を得ている。なお、全体についての意見として、
下記のようなことが挙げられた。
・最新の情報や考え方を学ぶことができた。
・相談事業の意義、課題等について、系統的に学ぶことができてよかった。
・具体的な研修でとてもよかった。
②
一方,改善すべき点として、下記のようなことが挙げられており,これらの問題点
の解決に取り組んでいく必要がある。
・他施設の事例についてもっと意見交換したかった。
・女性センターの求められる機能は同じであっても、県レベルと市レベルでは微妙に役
割が違うと思うので、そのあたりを深められる研修をしてほしい。
(7)全国配偶者暴力相談支援センター担当者連絡会議の開催
全国配偶者暴力相談支援センター担当者連絡会議の出席者に対しアンケート調査を実
施した結果、
① 会議の内容について、「満足」との回答が 17.0%、「普通」が 60.4%、「不満」が
9.4%であった。なお、内容に関する意見として、下記のようなことが挙げられた。
・内容は盛りだくさんであったが、もう少しテーマを絞って現場で役立つ内容にしてほ
しい。
・各都道府県の発表が 15 分ずつだったが、質疑の時間を含めてもう少し時間があった
方がよい。
各都道府県の担当者が集まる機会は年2回であり、時間も限られていることから,
このような結果となったと考えられる。今後とも会議内容の充実に努め、より有意義
かつ多くの情報を提供していく必要がある。
②
基調講演について、
「満足」との回答が 50.9%、
「普通」が 47.2%、
「不満」が
0.0%
であり,おおむね良い評価を得ている。
③
今後取り上げてほしい項目について、主な内容は下記のとおりであった。
・分科会等を行って、他の都道府県と意見や情報の交換のできる場を提供してほしい。
・一時保護の同伴児童への対応について。
・支援センターの専門機関としてのあり方。
④
その他意見
・交通機関の関係で、会議の開始、終了時間を考慮してほしい。
(8)民間団体との有機的な連携について
平成 14 年度から、インターネットの内閣府ホームページにおいて、配偶者からの暴
力被害者を支援する相談員用の情報を提供している。相談員にとって必要な最新の情報
を入手できるよう、研究会を設置し、検討を行った。研究会での検討に当たっては、平
成 14 年9月にホームページの使用者モニター調査を実施し、地方公共団体、民間団体
等から 132 件の回答が寄せられた。また、研究会構成員である民間団体からも意見を
聴取し、活用した。主な意見は下記のとおりである。
①
子どもの問題についてもう少し言及してほしい。
②
被害者を保護し支援するための関係機関のつながりを説明している「支援マップ」
は、支援が総合的で多岐にわたるということがわかる。
(学識経験を有する者の意見)
女性に対する暴力に関する専門調査会・島野穹子会長
内閣府として様々な取組を実施しており、一定の効果は得られていると感じている。今後
も一人でも多くの被害者に適切な支援が行き届くよう、都道府県職員その他関係者への研修
及び一般の人に対する広報啓発活動をより積極的に行うことを希望する。また、配偶者暴力
防止法の見直しに関する議論も進められていることから、同法の施行上の問題点について的
確に把握するよう努めてもらいたい。
13
今後の政策等の反映すべき事項及び今後の取組方針
(1)
「女性に対する暴力をなくす運動」については、
「女性に対する暴力に関するシンポジウ
ム」を始めとする各種取組について、広く国民に周知を図るため、政府公報、ホームペー
ジ等を活用し、積極的な広報活動に努める。
(2)配偶者暴力防止法の円滑な施行について
①
配偶者暴力防止法については、法律の成立は知っていてもその内容を知らない人が
多いことから、内容も含めた周知の徹底を図っていく。
②
配偶者からの暴力の実態把握を行うことは、的確な施策を実施する上での基礎とな
るものであり、社会の問題意識を高めるためにも、定期的な実態把握が必要である。
引き続き、配偶者からの暴力に関する調査研究を実施する。
③
配偶者からの暴力について的確に対応するためには、対応に携わる職務関係者が配
偶者からの暴力の特性を十分に理解していることが不可欠である。アンケート調査の
結果も参考に職務関係者のニーズに見合った研修を実施する。
(3)全国配偶者暴力相談支援センター担当者連絡会議については、来年度以降も引き続き実
施し、必要な情報の提供や、各県の取組の好事例などの紹介、情報交換に努める。
なお、都道府県出席者に対し行ったアンケート結果を参考に、各都道府県の支援センタ
ー担当者に役立つ内容となるよう調整していく。
(4)民間団体へは、インターネットの内閣府ホームページ上で、配偶者からの暴力被害者を
支援する情報を、適宜、拡充し、提供するよう努める。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
物価関連施策の推進
2
政策分野
国民生活行政
3
担当部局名
国民生活局
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
公共料金関連各分野において、
(1)参入規制の緩和・撤廃により競争を促進させる
(2)価格設定方式の弾力化により事業効率化のインセンティブを与える
(3)情報公開の徹底により利用者の目による監視を強める
ことにより、我が国経済の高コスト構造を是正し経済活動の活性化を図り、
「公共料金の低
廉化」を目指す。
6
政策の内容
上記目的の達成に向けて、以下の活動を実施。
(1)公共料金分野における構造改革への取り組み
・
平成 6 年の閣議了解などを受け、物価安定政策会議特別部会の下に基本問題検討会
が設置され、事業の効率化、料金の低廉化へ向けて検討、報告書「公共料金の価格設
定のあり方等について」
(第1次、平成 8 年 3 月)、報告書「公共料金分野への競争導
入を中心として」(第 2 次、平成 9 年 3 月)を公表。
・ 平成 13 年 5 月から 14 年 5 月にかけて第 3 次基本問題検討会を開催(11 回)。報告書
「公共料金の構造改革:現状と課題」(平成 14 年 6 月)を公表し、これまでの提言が
どの程度実施されてきたかについて点検するとともに、将来へ向けた課題を整理。
(2)公共料金分野における情報公開の促進への取り組み
((1)の内訳であるが本年度重点的に取り組む活動として特記)
・
公共料金に関する情報公開の推進については、第 2 次基本問題検討会の報告書「公
共料金の情報公開の在り方」
(平成 9 年 7 月)を受け、新たに物価安定政策会議特別部
会に設置された公共料金情報公開検討委員会において「公共料金分野における事業横
断的な情報公開ガイドラインに関する報告書」
(平成 12 年 8 月)を公表。
・ 平成 14 年 10 月から平成 15 年 3 月にかけて、物価安定政策会議及び公共料金情報公
開推進検討会を開催。上記報告書に示された方向に沿って、個別事業分野における情
報公開ガイドラインの策定がなされているかなどについてフォローアップを行い、報
告書「公共料金分野における情報公開の現状と課題
こと」へ∼」
(平成 15 年 3 月)を公表。
∼「知ること」から「参加する
(3)内閣府における公共料金に関する情報公開((2)の内訳)
・
ハンドブックをはじめとした様々なツールを用いて、公共料金に係る制度等を国民
に分かりやすく解説。
(なお、平成 14 年度に実施した主要施策の詳細については、別紙参照)
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
物価安定政策に必要
な経費のうち、公共料
54
50
49
49
金関係費の計
8
政策評価の観点及び基準
<必要性>
本施策の行政目的が国民や社会のニーズやより上位の行政目的に照らして妥当性を有し
ているか等の必要性の観点から評価を実施。
<有効性>
公共料金各分野における参入規制の緩和、料金設定方式の見直し等に関する構造改革の
方向性が示されてきたかどうか、また、情報公開の取り組みの進捗状況といった観点から
有効性に関する評価を実施。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1)公共料金分野における構造改革への取り組み
(参考指標)
①アウトプット指標
・物価安定政策会議特別部会基本問題検討会報告書の発行(平成 14 年 7 月)、配布(各
省庁等へ 300 部)及び市販(1000 部)
②アウトカム指標
・公共料金各分野における制度改革への取組状況(「12 政策評価の結果」参照)
(2)公共料金分野における情報公開の促進への取り組み
(参考指標)
①アウトプット指標
・地方公共料金ワーキンググループ報告書のとりまとめ及び配布(各事業主体等に約
7000 部)
・物価安定政策会議公共料金情報公開フォローアップ報告書の発行(平成 15 年 3 月)、
配布(各省庁等へ 700 部)及び市販(1000 部)
②アウトカム指標
・平成 14 年度国民生活モニター調査実績及び結果(「12 政策評価の結果」参照)
・公共料金各分野における情報公開に関するガイドラインの策定状況(「12
価の結果」参照)
政策評
(3)内閣府における公共料金に関する情報公開
(参考指標(アウトプット))
・公共料金ハンドブックの発行(平成 14 年 8 月)、配布(各省庁等へ 500 部)及び市販
(2500 部)
・ホームページ「公共料金の窓」の更新(平成 14 年 8 月に全面更新)
(4)各種閣議決定等への反映
(参考指標(アウトプット))
・「規制改革推進 3 か年計画(再改定)」(平成 15 年 3 月 28 日閣議決定)
同計画において、「民間事業者に係る公共料金制度について、低廉で良質なサービ
スの確保を図るため、
「今後の公共料金の取扱いについて」
(平成 6 年 11 月 18 日閣議
了解)を踏まえ、競争的環境の整備、事業の効率化の促進に併せ、事業の内容・性格
等を勘案しつつ、価格設定の在り方の見直し、料金の多様化、弾力化を推進する。」
と定められている。
・「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2002」(平成 14 年 6 月 25 日閣議決定)
本方針中「経済活性化戦略」において、公共料金関連分野の競争環境の整備などが
謳われている。
10
学識経験を有する者の知見の活用
評価の客観性担保を目的として、学識経験者から目標設定段階及び評価結果作成段階で
意見聴取を実施。
目標設定段階において、平成 14 年 1 月に堀部政男氏(中央大学法学部教授)
、東海幹夫
氏(青山学院大学経営学部教授)へ上記 9 の指標の妥当性等について意見を聴取。
評価結果作成段階においては、平成 15 年 4 月に上記両氏に対し、指標に基づく施策の効
果、有効性等を分析した政策評価の結果を報告するとともに、その妥当性について意見を
聴取。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
(1)公共料金分野における構造改革への取り組み
・
物価安定政策会議特別部会基本問題検討会報告書「公共料金の構造改革−現状と課
題−」(平成 14 年 7 月)
(2)公共料金分野における情報公開の促進への取り組み
・
公共料金ハンドブック「教えて!公共料金 2002」(平成 14 年 8 月)
・
ホームページ「公共料金の窓」
・
物価安定政策会議公共料金情報公開フォローアップ報告書「公共料金分野における
情報公開の現状と課題∼「知ること」から「参加すること」へ∼」(平成 15 年 3 月)
(3)その他
・ 平成 13 年度「公共料金の内外価格差報告書」(内閣府委託調査)
・ 平成 14 年度国民生活モニター調査結果
(9 月、12 月実施)
−公共料金の情報公開に関する意識調査−
12
政策評価の結果
<必要性>
エネルギー、交通などの公共料金分野の制度改革は、政府が不退転の決意で取り組んで
いる「構造改革」の一部であるとともに、その縮図でもある。
第一に、この制度改革が構造改革全体の主要なアプローチを網羅している。
・市場における競争が十分働くように規制改革や民営化を進めること
・不採算な事業への補助金を見直すこと
・IT化のメリットを生かすこと
等
第二に、公共料金は人々の暮らしに直結し、家計に大きなウェイトを占めるため、その
改革の一つひとつは国民生活の見通しを決定的に左右するものである。
第三に、我が国の高コスト構造を是正することは、産業の競争力を高め経済を成長軌道
に乗せるための重要な戦略であるにもかかわらず、公共料金分野においては依然として内
外価格差が広く存在するため、その改革こそが日本経済再生の鍵となるものである。
内閣府としては、競争が少ないため効率化インセンティブが弱く、事業効率化が遅れ、
国際的に割高な我が国の公共料金の問題点として、
1.参入規制の緩和・撤廃など競争条件の整備
2.効率化インセンティブを付与する料金設定方式の導入
3.情報公開の徹底
の3本柱を基本とした制度改革の促進に努めているところである。
【参考指標】
(1) 公共料金の消費者物価指数におけるウェイト
公共料金は、日常生活に大きな関わりをもつ身近な存在であり、平成 12 年の家計の支出
に占める公共料金の割合は 18.5%となっており、家計支出の 1/5∼1/6 を占めている。
消費者物価(総合)
公共料金
10,000
1,854
(備考)総務省「消費者物価指数」
(平成 12 年基準)による。
(2) 公共料金の消費者物価指数における対前年度比の推移
最近の公共料金の動きを、消費者物価指数の対前年度増減率の動きでみると、公共料金
は平成 11、12 年度と低下し、13 年度は横ばいとなっている。なお、消費者物価(総合)は
11 年度以降低下傾向で推移している。
平成 11 年度
平成 12 年度
平成 13 年度
(参考)平成 14 年
消費者物価(総合)
△0.5
△0.5
△1.0
△0.9
公共料金
△0.8
△0.2
0.0
△0.4
(備考)
1.総務省「消費者物価指数」(平成 12 年基準)による。
2.平成 14 年のみ暦年。
(注)
公共料金は低下傾向にあるものの、消費者物価全体として下落しており、持続的な
物価下落という意味において、緩やかなデフレ動向にあることに留意する必要があ
る。
(3) 公共料金の内外価格差の現状
日本の公共料金の欧米との内外価格差をみると、総じて割高なものは、電気料金、ガス
料金、郵便料金、バス・タクシー運賃である。
(日本を 100 とした各国の水準)
種
エネルギー・水
アメリカ
イギリス
フランス
電気(280kWh 使用時)
94
55
46
68
ガス(55 万 kcal 使用時)
49
29
45
49
上水道
44
90
66
171
下水道
119
99
―
217
国内手紙 1 通
52
59
56
76
国内はがき 1 枚
51
91
89
111
小包(2 ㎏)
185
226
91
78
市内通話
242
260
225
113
長距離通話(100 ㎞)
76
129
157
101
国際電話(日本着)
56
94
57
107
公衆電話
102
70
89
111
携帯電話
66
105
70
83
ISP
118
132
100
167
ADSL
134
131
101
124
国内航
普通運賃
190
130
111
125
空旅客
割引運賃(最低)
79
25
43
49
郵便
通
信
電話
類
ドイツ
インターネット
交
通
特急(500 ㎞)
246
125
44
103
普通(30 ㎞)
70
253
110
127
115
165
88
73
バス
92
88
71
58
タクシー(5 ㎞)
52
74
35
62
68
39
−
−
鉄道
地下鉄(初乗り)
公営住宅家賃
(備考)
1.平成 13 年度内閣府委託調査
2.日本は東京、アメリカはニューヨーク、イギリスはロンドン、フランスはパリ、
ドイツはフランクフルトを対象。
ただし、「鉄道―普通(30 ㎞)」のうちアメリカについては、日本との比較対象を
考慮しサンフランシスコを対象。
3.為替レートは、アメリカ:1 ドル=122.31 円、イギリス:1 ポンド=175.72 円、
フランス:1 フラン=16.56 円、ドイツ 1 マルク=55.54 円を上記すべての料金に適
用。
4.「電話−国際電話」については、日本着と日本発の値で比較。
(注)
為替レートの変動に大きく左右されること、料金体系やサービスの質、補助金の有
無などが各国によって異なることに留意する必要がある。
<有効性>
以下の(1)、(2)①∼③の各表に示されるように、公共料金分野の制度改革は、参入規制
の緩和、料金設定方式の見直し、情報公開を基本的方向として進められ、一定の成果が現
れてきているものと評価できる。
なお、これらの成果については、必ずしも「当府の施策のみに帰するもの」とすること
は困難であるが、
「物価関連施策の推進」のための取り組みが、有効に機能していることを
間接的に示していると考えられる。
学識経験者からの意見聴取においても「一連の施策が各分野に対して少なからぬ影響を
及ぼし、政策目標に向けて促進の方向にある」との評価を受けているところである。
(1)各分野における制度改革への取り組みの具体例
参入規制緩和については、エネルギー分野の大口自由化や交通分野での需給調整規制撤
廃など広範に進んでいる。その結果、分野により差はあるものの新規参入者の登場で競争
圧力が高まったといえる。
料金設定方式の見直しについては、上限認可制や届出制への移行(特に引下げ時)が進
み、競争が激しい分野では料金届出制の下での低廉化とともに、多くの分野で料金メニュ
ーが多様化し選択の幅が広がってきている。インセンティブ規制として、プライスキャッ
プ規制を導入しているのは電気通信だけであるが、ヤードスティック査定は広く導入され
つつある。
[平成 14 年度中に実施された主な例]
分野
内容
総合資源エネルギー調査会電気事業分科会において電
実施時期
平成 15 年 2 月
気事業の小売自由化範囲の拡大などを内容とする報告書
電気
がとりまとめられた。
なお、電気事業分野の制度改革を実施するため「電気事
平成 15 年 3 月
業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案」が国会
に提出されている。
総合資源エネルギー調査会都市熱エネルギー部会にお
平成 15 年 2 月
いて都市ガス事業の小売自由化範囲の拡大などを内容と
都市ガス
する報告書がとりまとめられた。
なお、都市ガス事業分野の制度改革を実施するため「電
平成 15 年 3 月
気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案」が
国会に提出されている。
以下の1、2等を内容とする改正水道法が施行。
水道
1
水道事業者による第三者への業務委託の制度化
2
利用者への情報提供の推進
平成 14 年 4 月
以下の1、2を国土交通省において公開。
鉄道
1
「鉄軌道業における情報提供の実施状況」
2 「鉄道版コンシューマー・レポート」
情報通信審議会において新規参入の促進や消費者支援
平成 14 年 7 月
平成 14 年 12 月
平成 14 年 8 月
強化などを内容とする答申がとりまとめられた。
電気通信
第一種電気通信事業及び第二種電気通信事業の事業区
分の廃止等のため「電気通信事業法及び日本電信電話株式
平成 15 年 3 月
会社等に関する法律の一部を改正する法律案」が国会に提
出されている。
道路関係四公団民営化推進委員会において四公団の民
高速道路
平成 14 年 12 月
営化を前提とした新たな組織等に関する事項について調
査・審議が行われ、意見書が取りまとめられた。
1
郵政三事業の郵政公社化(日本郵政公社法等の施行) 1 ∼ 3 い ず れ も
2
郵便料金の設定を原則法定制から認可、届出制に移行
郵便
(改正郵便法の施行)
3
民間事業者による信書便事業の解禁(信書便法の施
行)
平成 15 年 4 月
(なお、関係法律
の一部は平成 14
年度中に施行)
(参考)[これまでに実施された主な例]
分野
電気
都市ガス
国内航空
水道
乗合バス
内容
実施時期
ヤードスティック査定
平成 8 年 1 月
小売供給における部分自由化
平成 12 年 3 月
託送ルールの整備
平成 12 年 3 月
料金引下げ時届出制
平成 12 年 3 月
小売供給での大口部門の部分自由化
平成 7 年 3 月
ヤードスティック査定
平成 8 年 1 月
託送ルールの整備
平成 11 年 11 月
料金引下げ時届出制
平成 11 年 11 月
運賃の事前届出制への移行
平成 12 年 2 月
需給調整規制廃止、事業者ごとの参入許可制への移行
平成 12 年 2 月
資産維持費の算定におけるレートベース的考え方の導入
平成 9 年 10 月
運賃の上限認可制への移行
平成 14 年 2 月
需給調整規制廃止、事業者ごとの参入許可制・退出届出制
平成 14 年 2 月
への移行
料金規制の改革
タクシー
Ⅰ
ゾーン運賃制・初乗距離短縮運賃
平成 9 年 4 月
Ⅱ
道路運送法改正
平成 14 年 2 月
需給調整規制廃止、事業者ごとの参入許可制への移行
平成 14 年 2 月
運賃上限認可制への移行(含む原価計算期間の複数年度
平成 9 年 1 月
化)
鉄道
ヤードスティック査定
平成 9 年 1 月
需給調整規制廃止、参入許可制・退出届出制(1 年前まで
平成 12 年 3 月
の事前届出)への移行
料金規制緩和(全面的届出制、プライスキャップ規制)
平成 10 年 11 月
(固定)
第一種指定電気通信設備に関する接続ルール整備(接続
電気通信
平成 9 年 6 月
料引下げ促進による競争を通じた利用者利便の向上)
・接続会計の導入(会計分離)
平成 9 年 6 月
・長期増分費用方式による接続料の算定
平成 12 年 11 月
(携帯)
第二種指定電気通信設備に関する接続ルール整備
平成 13 年 11 月
(2)各分野における情報公開への取り組みの具体例
①情報公開に関するガイドラインの策定状況
物価安定政策会議により行われた情報公開フォローアップにおける点検作業におい
て、検討対象とした 12 分野のうち電気、都市ガス、電気通信、鉄道、バス、タクシー、
航空、水道、下水道の 9 分野について情報公開に関するガイドラインの策定が認められ
た。
分野
内容
策定時期
電気
電気料金情報公開ガイドライン
平成 11 年 2 月
都市ガス
ガス料金情報公開ガイドライン
平成 13 年 3 月
電気通信
新たな料金制度の運用等の在り方に関する研究会報
告書
平成 10 年 9 月
平成 8 年 12 月
鉄道
鉄軌道業の情報提供ガイドライン
バス
乗合バス事業の情報提供ガイドライン
平成 13 年 12 月
タクシー
タクシー事業の情報提供ガイドライン
平成 10 年 3 月
航空
航空輸送サービスに係る情報公開の実施要領
平成 12 年 2 月
水道
経営情報公開のガイドライン(日本水道協会)
平成 11 年 9 月
下水道
経営情報公開のガイドライン(日本下水道協会)
平成 12 年 6 月
(平成 13 年 11 月改定)
②行政、事業者等のホームページによる参考事例
物価安定政策会議により行われた情報公開フォローアップにおける点検作業におい
て、行政、事業者等のホームページによる参考事例について調査したところ、各分野で
模範的な内容が認められた。
分野
提供主体
内容
電気
東京電力
省エネのガイド
都市ガス
東邦ガス
料金の選択メニュー
下水道
横須賀市
公的負担の仕組み
都市ガス
電気通信
電気
各地方経済
産業局
電気通信事
業者協会
原 子 力 安
家庭用のガス料金一覧表
事業者別の電話料金の推移
保安に関する統計
模範的な点
分かりやすい説明
比較対照情報
全・保安院
鉄道
国土交通省
バリアフリー化の状況
航空
国土交通省
航空輸送サービスに係る情報
郵便
郵政事業庁
事業効率性の国際比較
公営住宅
東京都
住情報のリンク集
高速道路
日本道路公
団
ワンストップサービス
路線別収支状況
詳細な情報
水道、下水道等
総務省
決算データ
水道
東京都
経営計画の達成状況とその評価
鉄道
国土交通省
ガイドラインの実施状況
電気通信
総務省
電気通信消費者情報コーナー
バス
京王バス
運行中のバスの運行状況
運行状況
優良ランク法人事業者リスト
ランキング制度
タクシー
水道
東京タクシ
ーセンター
西宮市
経営情報について
情報公開の実施状況の
把握
苦情・相談についての
情報
ガイドラインに忠実な
情報公開
(備考)
必ずしも網羅的なものではないが、模範的な事例を含め、今後の参考となるものを選定。
③平成 14 年度国民生活モニター調査結果
※平成 7 年度物価モニター調査(前回調査)との比較部分を抜粋
「公共料金が改定されるときの情報で、改定について十分納得のいく説明がなされて
いると思うか」との問いに対して、「説明が足りない」(59%)が「納得のいく説明がな
されている」
(21%)を上回っている。しかしながら、平成 7 年度調査と比べると、「説
明が足りない」の割合が低下(70%→59%)している一方、
「納得のいく説明がなされて
いる」の割合が上昇(14%→21%)している。
このように、公共料金に係る情報公開に対する消費者の評価は、水準は低いが方向とし
ては改善していると考えられる。
今回調査
納得のいく説明が
なされている
21%
分からない
20%
説明が足りない
59%
平成7年度調査
納得のいく説明が
なされている
14%
分からない
16%
説明が足りない
70%
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取り組み方針
(1) 公共料金分野における構造改革への取り組み
公共料金分野の制度改革には一定の成果があるものの、一層の低廉化を図るためには以
下のような課題がある。
第一に、参入規制の緩和については、それを活発な競争につなげることが重要である。
そのため、事業に参入する上で必要不可欠なボトルネック施設等の在り方を見直す必要が
ある。もちろん、電気・都市ガスにおける自由化範囲の拡大などを含め、規制の残された
分野で緩和・撤廃の可能性を探っていくべきことはいうまでもない。加えて、ユニバーサ
ル・サービスの在り方も再検討が必要である。
第二に、これまで公的主体が直接事業を経営してきた分野では、経営形態の在り方の見
直しによる一層の効率化の推進が求められている。
第三に、料金規制についても、インセンティブ規制の適用対象の拡大を含めて、更なる
工夫が必要である。
これらの課題に基づき、関係省庁や事業者等において公共料金分野の特性に応じて、さ
らに具体的に検討することが望まれる。また、今後、必要に応じて物価安定政策会議の開
催を求め、その審議の際に、これらの課題への具体的な取り組み状況を十分チェックする
とともに、内閣府から関係省庁等に対して必要な要請をしていく。
(2) 公共料金分野における情報公開の促進への取り組み
情報公開については、平成 15 年 3 月に公表した公共料金情報公開フォローアップ報告書
の中で、以下の提言が行われている。
1.情報公開の方法の改善
平易な表現、窓口の一元化、適切なタイミング等
2.重点的に公開すべき詳細情報
料金の根拠についての定量的説明、的確な会計情報(区分経理情報)等
3.分野別ガイドラインの整備・活用
新規作成、改訂等
4.消費者の実質的参加を保障する仕組み
既存の消費者団体等への期待+新たな仕組みの検討(消費者代表機関)
内閣府としては、関係省庁に対し、これらの課題を含め引き続き情報公開を推進するよ
う要請しており、その実現に努めていく。
(別紙)
物価関連施策の推進に係る平成 14 年度主要施策
(1)公共料金分野における構造改革への取り組み
① 物価安定政策会議特別部会基本問題検討会(第 10 回、平成 14 年 4 月 9 日)、(第
11 回、平成 14 年 5 月 21 日)を開催。
基本問題検討会報告書案「公共料金の構造改革:現状と課題」の取りまとめ。
②
物価安定政策会議特別部会(第 86 回、平成 14 年 6 月 25 日)を開催。
基本問題検討会報告書「公共料金の構造改革:現状と課題」の審議、承認。
③
物価安定政策会議特別部会基本問題検討会報告書「公共料金の構造改革−現状と
課題−」の各省庁等への配布(300 部)、市販(1,000 部)、平成 14 年 7 月発行。
(2)公共料金分野における情報公開の促進への取り組み
①
物価安定政策会議総会(第 32 回、平成 14 年 10 月 5 日)、(第 33 回、平成 15 年 3
月 6 日)を開催。
公共料金の現状、公共料金分野における事業横断的な情報公開ガイドライン、フ
ォローアップの進め方(案)について審議。
②
公共料金情報公開推進検討会(第 1 回∼第 11 回、平成 14 年 10 月 15 日∼平成 15
年 2 月 24 日)を開催。
具体的な対象分野を電気、都市ガス、電気通信、鉄道、バス、タクシー、航空、
高速道路、郵便、上水道、下水道、公営住宅の 12 分野とし、関係省庁及び事業者等
からのヒアリング、海外現地調査等により情報公開フォローアップ実施。
その中で、事業分野別ガイドラインの内容が事業横断的ガイドラインに沿ったも
のであるか、行政及び事業者による実際に情報公開がこれらのガイドラインに沿っ
たものであるかを点検し、その結果及びガイドライン策定後の環境変化等を踏まえ、
情報公開推進に向けた今後の課題について掲示。
③ 地方公共料金ワーキンググループ(第 1 回∼第 3 回、平成 14 年 10 月 9 日∼12 月
20 日)を開催。
上記①及び②における情報公開フォローアップの中で、情報公開の実態把握とし
て、事業者数が多く実態把握が難しい上水道、下水道、公営住宅の 3 分野について、
アンケート調査等を実施しワーキンググループ報告書を取りまとめ。
④
地方公共料金ワーキンググループ報告書を各事業主体等に配布(約 7,000 部)。
⑤
平成 14 年度国民生活モニター調査(公共料金の情報公開に関する意識調査)を 9
月、12 月にそれぞれ実施。
上記①及び②における情報公開フォローアップの中で、情報公開の進展状況を点
検する作業の一環として、
「公共料金の改定について納得のいく説明がなされている
か」など消費者意識についてアンケート調査。
⑥
物価安定政策会議公共料金情報公開フォローアップ報告書「公共料金分野におけ
る情報公開の現状と課題∼「知ること」から「参加すること」へ∼」を各省庁等に
配布(700 部)、市販(1,000 部)、平成 15 年 3 月発行。
(3)内閣府における公共料金に関する情報公開
①
公共料金ハンドブック「教えて!公共料金 2002」の作成、各省庁等への配布(500
部)、市販(2,500 部)、平成 14 年 8 月発行。
② ホームページ「公共料金の窓」の全面更新(平成 14 年 8 月)を行い、提供。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
災害復旧・復興に関する施策の推進
2
政策分野
防災行政
3
担当部局名
政策統括官(防災担当)
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
被災地域の復旧・復興を、被災地方公共団体が中心となって迅速かつ円滑に進められる
よう、阪神・淡路大震災等の教訓を活かして地方公共団体、国民等の災害復旧・復興対策
に関する意識の向上を図るとともに、内閣府が災害復旧・復興に係る調査研究を進め、そ
れらを普及し、地方公共団体の事前の準備の充実を図る。
6
政策の内容
(1) 災害復旧・復興に関する調査研究の実施
代表的な復興事例の調査、復興の前提条件の把握、復興に有効な施策・計画づくりに関
する調査検討により、被災した地方公共団体が復興計画を策定したり、復興対策を実施す
る上で指針となる復興対策マニュアルを整備。調査結果については、報告書を地方公共団
体に配布するとともに、内閣府ホームページ上でも公開。
○「都市型大規模地震」
、
「大規模火山災害」、
「風水害」及び「津波災害」といった災害
類型別に復興施策検討調査を実施(平成8年度∼11 年度)
○より具体的、実践的な諸条件を加味した復興シミュレーションとして、「南関東地域
直下の地震に対する復興準備計画の策定に関する調査」及び「東海地震等からの復興
準備計画検証調査」を実施(平成 10 年度、11 年度)
○予め選択可能な多様な復興施策等メニューを分野別に取りまとめ、各々の施策につい
ての実施に関する詳細な手順や配慮事項、発災前に検討しておくべき事項等を集約し
た総合復興手引書を検討・作成(平成 12 年度以降実施中)
(2) 災害の被害認定基準等の適正な運用の確保
平成 13 年6月に改訂された「災害に係る住家の被害認定基準」にしたがって地方公共
団体等が迅速かつ的確に被害認定事務を実施できるよう、その運用指針を整備するととも
に、地方公共団体の一般職員等を対象として被災者生活再建支援法の解説と併せて講習等
を実施。
(3) 阪神・淡路地域の防災関係情報の活用
阪神・淡路大震災に係る初動、緊急・応急復旧から本格的な復興に至る既存情報の収集・
分析を行うことにより、大震災に係る新たな教訓を体系的に見出すとともに、その成果を
データベースとして整理し、平成 12 年度から「阪神・淡路大震災教訓情報資料集ホーム
ページ」として公開。平成 14 年8月には、同ホームページを全面的にリニューアルし、
その後の調査による教訓情報等を増補。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円、上段は当初予算、下段括弧内は補正後)
予算事項名
復興対策に必要な経費
阪神・淡路地域の防災関係
情報の活用に要する経費
計
8
平成11年度
35
[31]
−
[−]
35
[31]
平成12年度
33
[30]
16
[14]
49
[44]
平成13年度
44
[39]
16
[14]
60
[53]
平成14年度
43
[38]
14
[13]
57
[51]
政策評価の観点及び基準
災害復旧・復興に係る地方公共団体における事前準備の充実及び国民の災害復旧・復興対
策に関する意識の向上という本政策の目標・目的が、上位の行政目的や国民のニーズに照ら
して妥当か、また国が関与する必要があるかという必要性の観点から評価。
また、本政策の実施により上記目標がどの程度達成されたかという有効性の観点から評
価。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
地方公共団体の災害復旧・復興対策の現状に関する全国調査(平成 15 年3月、内閣府)
の結果や阪神・淡路大震災教訓情報資料集ホームページの活用状況等を参考指標として、
政策効果を検証した(下記「12
10
政策評価の結果」及び別紙表4∼11 参照)。
学識経験を有する者の知見の活用
本施策の必要性について評価するにあたり、伊藤善市前帝京大学大学院経済学研究所教
授の意見(震災対策国際総合検証事業(平成12年8月)
)及び林春男京都大学教授の意見
(「地震災害からの復興過程とその対策計画」、
『地学雑誌』2001.11)を参照した。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
『防災と情報に関する世論調査』(平成 11 年6月、総理府)
『防災に関する世論調査』(平成 14 年9月、内閣府)
損害保険料率算出機構資料
『防災基本計画』(昭和 38 年6月、平成7年7月、平成 14 年4月)
「セキュリティ産業新聞」(2002 年8月 10 日号)
12
政策評価の結果
<必要性>
(1)背景
災害復旧・復興対策については、国においても従来から取り組んできたところである
が、災害が長期化した雲仙岳噴火災害(平成3年)、地域に壊滅的な打撃を与えた北海道
南西沖地震災害(平成5年)等の経験から、被災者の生活再建及び施設の復旧等を通じ
た被災地域の復興を図るため、必要な施策を強力に推進する必要性が強く認識された。
特に、わが国災害史上まれに見る被害をもたらした平成7年1月の阪神・淡路大震災は、
災害予防・応急対策のみならず、災害復旧・復興対策においても数多くの経験と教訓を
残すこととなった。また、経済社会の発展に伴う災害の態様等の変化により、災害対応
の初動期から、被災地域の再建・復興を重視した施策を推進することが必要となってき
ている。
こうした中、平成 10 年5月には被災者生活再建支援法が成立し、住家を失った世帯等
に対して生活必需品の購入費が支給されるようになるなど、被災者に対する生活再建支
援等について、ますます重要かつ必要性の高い施策として認識されるに至っている。
なお、林春男京都大学教授(「地震災害からの復興過程とその対策計画」、『地学雑誌』
2001.11)が指摘しているように、災害復興といえば、従来は「基本的に都市の物理的な
再建」を意味していたが、阪神・淡路大震災を大きな境として災害復興の考え方も「震
災前にもどりたい」から更に進めた「よりよいまちを作りたい」というような変化を見
せており、
「適切かつ速やかな災害復旧・復興」の重要性は高まっているものと考えられ
る。
特に、阪神・淡路大震災については、兵庫県及び震災対策国際総合検証会議が行った
「震災対策国際総合検証事業(平成12年8月)」において、前帝京大学大学院経済学研
究所教授の伊藤善市氏は災害復興について、
「復興事業は時間との戦いであり、とくに倒
壊、焼失した大量の住宅の早期建設による生活再建、ついで、倒壊した工場、事業所、
破損した設備等の復興による産業の再建、そして、港湾、高速道路等、破壊した都市イ
ンフラストラクチャーの復興による都市機能の回復などによるこれまでの生活や文化、
企業活動を継続させつつ、新しく発展させていくことが緊急の課題である。」と述べ、災
害復興の重要性を強調している。
(2)防災基本計画における取り組みの強化
我が国における防災行政の基本となる防災基本計画は、阪神・淡路大震災の経験・教訓
を踏まえ、平成7年7月に抜本的修正が行われた。この修正によって内容が大幅に充実し、
必要な災害対策の基本について、国、地方公共団体、公共機関、事業者、住民それぞれの
役割を明らかにしつつ、具体的かつ実践的に定められるとともに、災害復旧・復興に関す
る規定も大幅に取り入れられた。
また、内閣府が行うべき災害復旧・復興対策として、
「内閣府は、被災地方公共団体が復
興計画を作成するための指針となる災害復興マニュアルの整備について研究を行うもの
とする。」
(震災対策編、風水害対策編、火山災害対策編、雪害対策編、その他の災害に共
通する対策編)、
「東海地震等あらかじめ大規模災害が予想されている場合について、事前
復興計画の作成、復興シミュレーションの実施についての研究を行うものとする。
」
(地震
対策編)と規定された。
(3)災害復旧・復興対策に対する国民の関心・ニーズ
下記の世論調査結果等からは、国民の大規模災害への関心が高まるとともに、災害が
発生した後のことを想定した備え等についても認識が高まりつつあることがうかがわ
れ、国民一般の意識の面においても災害復旧・復興対策の重要性が認識されてきている
ことを示すものと考えられる。
①地震災害に対する関心度
・阪神・淡路大震災のような大地震に対するここ1∼2年程度の間の関心の変化につい
ては、56.1%の人が「関心が高くなった」と回答しており、
「関心が低くなった」と答
えたのは 8.1%にとどまる(表1、
『防災に関する世論調査』
、平成 14 年9月、内閣府)。
・平成 13 年度末の全国の地震保険世帯加入率は 16.2%と必ずしも高くはないが、平成
9年度末の加入率は 14.2%であり、わずかながらではあるが、着実に年々増加してい
る(表2、損害保険料率算出機構資料)。
②地震災害時の災害復旧・復興対策へのニーズ
地震対策として事前対応(避難や防災活動のための広い道路や公園の整備などの災
害予防対策)と事後対応(災害時の消防などの災害応急対策や被災施設の復旧、被災
者の生活再建支援などの災害復旧対策)のどちらに力をいれるべきだと思うかとの質
問に対して、
「事後対応に力をいれるべき」、
「どちらかというと事後対応に力をいれる
べき」及び「事前対応と事後対応の両方同じように力をいれるべき」とする者の合計
は 53.4%である(表3、
『防災に関する世論調査』、平成 14 年9月、内閣府)。
(4)国が災害復旧・復興に係る調査研究を行う必要性
地方公共団体の災害復旧・復興に関する準備状況は、一部の地方公共団体においては
積極的に取り組んでいるものの、未だ多くの地方公共団体の取り組みは十分であるとは
いえない状況にある(表6(詳細は後述))。このため、国が積極的にこうした課題に取
り組み、情報提供するなど地方公共団体を支援していく必要がある。
また、我が国は災害の多い国であるといっても、個々の地方公共団体の立場からみれ
ば、大規模な災害を経験することはまれである。このため、地方公共団体が独自に災害
復旧・復興に関する調査研究を行うことは容易ではないものと考えられる。これに対し、
国はこれまで多くの大規模災害への対応経験を有しており、このような災害からの復
旧・復興に関する調査研究を行うべき主体として最も適しているものといえる。
地方公共団体からも、災害復旧・復興への備えの取り組みのために必要な支援内容と
して「マニュアル等作成方法の支援」や「先進地方公共団体等の情報提供に関わる支援」
といった意見が寄せられており(表7(詳細は後述))、こうしたニーズに対して国とし
てしっかり応えていく必要がある。
<有効性・効率性>
(1)「地方公共団体の災害復旧・復興対策の現状に関する調査」からみた評価
(注:本調査は、内閣府の行っている災害復旧・復興に関する施策が、その第1のユ
ーザーである地方公共団体においてどのように活かされ、評価されているか等を把
握するため、全都道府県・政令指定都市及び一部の市町村を対象にアンケートを行
ったもの。なお、本評価書においては、都道府県レベルの集計結果を引用している。)
①「地域防災計画」における災害復旧・復興関連項目の改訂経緯(表4)
地域防災計画は、国の策定する防災基本計画に基づいて各地方公共団体が作成する
ものである(災害対策基本法第 40 条)。地域防災計画における当該部分に関する記述
の改訂経緯をみることにより、国の行ってきた施策の地方公共団体への浸透の度合い
を知ることができる。
「地域防災計画」における「災害復旧・復興関連項目」
(編・章・節・項立て)につ
いて、過去 10 年間の改訂年度を問う設問に対しては、平成8年度の 15 団体が最も多
く、概ね同年を頂点として前後になだらかに減少している。平成8年度がピークとな
っているのは、平成7年の阪神・淡路大震災や同年の防災基本計画の修正の影響が強
いものと考えられる。一方、平成8年度以前と以後では、明らかに後者のほうが改訂
を行った地方公共団体数が多くなっており、地方公共団体の災害復旧・復興に関する
意識の高まりを表すものといえる。
②「地域防災計画」への対応状況(「地域防災計画」への記載等)(表5)
災害からの「復興準備計画」
(災害発生後に策定する復興計画に備えて、予め準備し
ておく計画)に記述する必要があると思われる主な項目について、それらの項目が各
地方公共団体の現行の地域防災計画にどの程度掲載されているかという趣旨の設問に
対しては、
「生活再建支援」
(79%)、
「被災状況調査」
(66%)が多くの地方公共団体の
地域防災計画に記載されているとの回答があった。こうした項目については、従来か
ら内閣府としても重視して取り組んできた分野であり、これまでの取り組みが効果を
あげているものと思われる。
地域防災計画への反映があまりなされていない項目も少なくないものの、ほとんど
の項目について「当該項目の必要性あり」と回答している地方公共団体が70%以上で
ある。このことは、いまだ、災害復旧・復興に関連する項目を十分な形で地域防災計
画に位置付けるには至っていないものの、これらの項目の重要性自体は認識している
地方公共団体が多いことを示している。
③「復興準備計画」に関する事前対策の実施状況に関する評価(表6)
「復興準備計画」に関する事前対策として想定される主な項目について、これらの
対策ごとの実施状況に関する評価を問う趣旨の設問に対して、事前対策の項目別で「十
分できている」、
「ある程度できている」という回答の多い項目は「被災状況調査」、
「生
活再建支援」等であり、前述の「地域防災計画への対応状況」と同様の傾向が見られ
る。
全体的傾向としては、
「十分できている+ある程度できている」と回答した項目数が
10以下の地方公共団体がかなりの数に上っているが、その一方で、一部の地方公共団
体ではかなりの項目数について対応できていると回答しており、こうした取り組みを
他の多くの地方公共団体に広げていく必要がある。
④「復興準備計画」に関する事前対策を実施するために必要な支援内容(表7)
「復興準備計画」に関する事前対策の具体的取組みを実施するために必要な支援内
容について質問したところ、個別の対策に関して様々な意見が寄せられたほか、事前
対策全般に関する内容としては、
「マニュアル等の作成方法の支援」や「先進地方公共
団体等の情報提供に関わる支援」が挙げられている。
地方公共団体の取り組みについては、近年に大規模災害を経験した地方公共団体や、
また大規模災害の発生するおそれの高い地方公共団体の取り組みが、それ以外の地方
公共団体の取り組みに対しても大きな影響をもつものと考えられ、上述のような「先
進地方公共団体等の情報提供に関わる支援」を望む声も踏まえ、先進的取り組みを行
っている地方公共団体の影響をうまく活用すべきである。
(「マニュアル等の作成方法の支援」については、下記⑤にて後述)
⑤内閣府が取り組んできた調査報告書についての認知度(表8)
阪神・淡路大震災以降、内閣府が取り組んできた調査報告書(複数例示)について、
その認知度を質問したところ、「中身も十分に理解」「中身も多少は理解」と回答した
地方公共団体は15∼25%ある。
一方、北海道、神奈川県、静岡県等は「中身も十分理解している」と回答したもの
が多いが、これらの地方公共団体からは、生活再建支援や産業・経済再建などに関す
る報告書の内容が地域防災計画やその他の関連する計画に反映されるなど、当該地方
公共団体の業務に役に立ったという意見のほか、例えば、火山や津波災害の特徴と復
興の基本的な考え方、計画的な復興の進め方に関する内容などについて、アンケート
回答担当者個人の意見としても参考になったとの意見など、報告書の内容について評
価する意見が多く寄せられており、比較的高い評価を得ている。また、これらの地方
公共団体の多くにおいては、
「復興準備計画」に関する事前対策が概して他に比べて進
んでいるといえる(上記③及び表6参照)。
このように、当該報告書は、地方公共団体に対して災害復旧・復興対策の重要性を
啓発していく際に有効に活用することが可能であるとともに、地方公共団体の災害復
旧・復興対策の推進に一定の効果をあげてきているものといえる。上述の通り、地方
公共団体からは「復興準備計画」に関する事前対策実施のための支援として「マニュ
アル等の作成方法の支援」を求める声もあることから(上記④及び表7参照)、当該報
告書の内容の一層の普及に努めることが重要である。
⑥内閣府の取り組みに関する情報伝達方法(表9)
内閣府の取り組みに関して、特に効果的と思われる情報伝達方法について質問した
ところ、
「会議・研修」が最も多く(45%)、次いでインターネットとなっている(30%)。
内閣府は、これまで、被災者生活再建支援法の施行に係る事務や災害に係る住家の
被害認定基準運用指針等に関する資料を作成し、これを全国の地方公共団体に配布す
るとともに、講習を随時開催している。また、主要な報告書等や阪神・淡路大震災教
訓情報資料集(下記参照)についてもこれを関係地方公共団体等に配布するとともに、
インターネットを通じて情報発信してきたところである。上記アンケート結果は、こ
れらが情報伝達方法として適切であったことを示している。これらのホームページは、
「セキュリティ産業新聞」
(2002 年8月 10 日号)でも紹介されるなど、マスコミでも
高い評価を受けているところである。
(2)「阪神・淡路大震災教訓情報資料集ホームページ」に関する評価
本ホームページに対する平成 14 年度のアクセス状況は以下のとおりである。
①アクセス数の概要(表 10)
月別のアクセス総数、1日平均ともに、平成 15 年1月が一番多く、次いで、平成
14 年 12 月である。1日のアクセス数は、平成 15 年1月 17 日(阪神・淡路大震災8
周年)が一番多い。また、平成 14 年8月1日にホームページをリニューアルし、教訓
情報の更新を行ったが、この日以降、相対的にアクセス数は増えている。防災の日(9
月1日)前後も、アクセス件数が相対的に多い。
②アクセス元の概要(表 11)
全体の傾向としては、一般プロバイダからのアクセスが約 65%を占めた。その他の
アクセス元としては、学校関係、政府機関、地方公共団体等が相対的に多い。また、
民間企業からのアクセスも多数あった。これらは、総合教育などの学校教育、国、地
方公共団体、民間企業等の防災関係に使用されているものと推測される。
③ホームページ閲覧者の反応について
本ホームページでは、閲覧者からの「ご意見・ご感想」を受け付けている。具体的
な内容としては、ホームページ掲載内容の更なる詳細情報を求めるものが多いが、こ
れは、閲覧者がホームページの記載内容について関心を深めていることによるものと
考えられる。
これらの結果から、以下のようなことがいえる。
まず、国民は一年中防災について関心を持っているわけではなく、阪神・淡路大震災
発災日や防災の日前後といった特定の時期に意識が高まりやすいことから、こうした機
会を逃さず情報提供を行う必要があるが、インターネット上での情報の公開はこうした
ニーズにも的確に応えているものといえる。
また、一般プロバイダからのアクセスが多いということから、防災に関係する行政機
関や研究機関ではない一般の国民からのアクセスが多いことが推測される。これは、内
閣府が日常業務で接触する機会の少ない一般国民層への情報提供手段として有効に機能
していることを示すものである。
さらに、ホームページを閲覧し、阪神・淡路大震災の教訓を学ぶことが、さらに深く
関心をもつことに繋がっていくという機能も有しており、国民の災害に対する意識を高
める役割も果たしているものと考えられる。例えば、
『防災と情報に関する世論調査』
(平
成 11 年6月、総理府)によれば、家庭において地震対策をとるために参考になった情報
として、
「これまで各地で発生した災害の教訓」を挙げた者の割合が 49.5%と、マスコミ
報道(53.8%)に次いで高くなっており、過去の災害の教訓を学ぶことが災害に備えた
具体的行動を促す効果があることがわかる(表 12)。
以上の検討から、災害予防や災害応急対策に比べ、地方公共団体の災害復旧・復興対策へ
の取り組みは必ずしも十分とはいえないものの、内閣府の行う施策が一定の成果を収めてき
たことがわかる。
その内容については、災害復旧・復興対策に関して先進的な取り組みを行っている地方公
共団体からは高い評価を得ており、他の地方公共団体の取り組みを推進していく際にも役に
立つものであるといえる。なお、内閣府としても先進的な地方公共団体の取り組みを取り込
んで各種の施策に活かしており、こうした地方公共団体の活動が内閣府の施策をより効果的
なものとしている面もある。
また、インターネットの積極的な活用により、これら施策の成果がより効果的なものとな
っているといえる。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組み方針
これまで見てきたように、内閣府の様々な取り組みにもかかわらず、災害復旧・復興対
策への取り組みが未だ十分とはいえない地方公共団体も少なくない。今後は、内閣府の行
う施策に対して更に理解を深めてもらい、災害復旧・復興対策の実施に積極的に取り組む
地方公共団体が増えるよう、以下の取組みを行っていくことが必要である。
(1)「地域防災計画」の内容(災害復旧・復興関連部分)の充実
「地域防災計画」に災害復旧・復興を位置付けている地方公共団体はかなり増加して
いるが、その記載内容については、地方公共団体によってかなり差が見られる。今後は、
記載内容のより一層の充実に向けて内閣府としての調査研究に取り組み、その成果の普
及を図っていく必要がある。
(2)「地域防災計画」等への「復興準備計画」の位置付けの推進
災害発生後に必要となる復興計画の策定に予め備えておく「復興準備計画」について
は、その必要性を認識している地方公共団体は多いものの、実際に対応できている地方
公共団体は少ない。今後は、各地方公共団体が実際に復興準備計画を地域防災計画、そ
の他のプログラム等に位置付けていけるよう支援することが必要である。
(3)先進的地方公共団体の取組みに関する情報提供
現在、大規模災害を経験した地方公共団体やその危険性が指摘されている一部の地方
公共団体においては、災害復旧・復興対策についても、充実した取組みがなされている
ところであるが、その他の多くの地方公共団体の取組み状況は十分とはいえない。今後
は、こうした地方公共団体に対して先進的な地方公共団体の取組みを紹介していくこと
により、災害復旧・復興対策に関する意識の啓発を行っていくことが必要である。
(4)災害復旧・復興対策に係るマニュアルや手引書の充実及び普及
災害復旧・復興対策に係るマニュアルや手引書については、これまでも作成し、各地
方公共団体に配布してきたところであるが、今回のアンケート調査でも高いニーズがあ
ることが明らかになった。このため、引き続き災害復旧・復興対策に係るマニュアルや
手引書等の作成や内容の充実に努めるとともに、研修やインターネットの活用等(下記
参照)を通じてその成果の普及を図っていくことが必要である。
(5)災害復旧・復興対策に係る会議や研修の開催
これまでも、被災者生活再建支援法の運用等に関する講習会を開催するなどしてきた
ところであるが、これらに対するニーズも高いことから、引き続き、災害復旧・復興対
策に係る会議、研修等の充実に努めることが必要である。
(6)インターネット等による情報発信の強化
情報発信手段としてのインターネットの活用については、これまでも内閣府ホームペ
ージや「阪神・淡路大震災教訓情報資料集ホームページ」を開設・運用するなどしてき
たが、引き続きその内容の充実に努めることが必要である。
<必要性>
大震災に対する関心度の変化(表−1)
(%)
総数
男性
女性
関心が高くなった
56.1
53.8
58.2
変わらない
35.1
37.7
32.8
関心が低くなった
8.1
7.8
8.3
わからない
0.7
0.7
0.7
地震保険への加入率の推移(表−2)
(%)
合計
平成9年度末
平成10年度末
平成11年度末
平成12年度末
平成13年度末
14.2
14.8
15.4
16.0
16.2
地震災害時の事前対応と事後対応(表−3)
(%)
事前対応としての災害予防対策に力をいれるべ
きだと思う
どちらかというと事前対応としての災害予防対
策に力をいれるべきだと思う
事前対応と事後対応の両方同じように力をいれ
るべきだと思う
その他
わからない
どちらかというと事後対応としての災害応急対
策や災害復旧対策に力をいれるべきだと思う
事後対応としての災害応急対策や災害復旧対策
に力をいれるべきだと思う
総数
男性
女性
31.1
31.4
30.9
11.5
11.8
11.1
36.6
34.6
38.3
0.1
3.9
0.1
2.5
0.2
5.1
9.3
10.3
8.3
7.5
9.2
6.1
<有効性・効率性>
「地域防災計画」における災害復旧・復興関連項目の改訂経緯(表−4)
(地方公共団体数)
平成4年度
1
平成10年度
9
平成5年度
2
平成11年度
11
平成6年度
5
平成12年度
10
平成7年度
7
平成13年度
7
平成8年度
15
その他
7
平成9年度
11
なし
4
「地域防災計画」への対応状況(
「地域防災計画」への記載等)(表−5)
「地域防災計画」
への記載あり
件数
比率
当該項目の必要性あり
件数
比率
1.総則
1-1.計画の目的
29
62%
37
79%
1-2.計画の位置付け
20
43%
34
72%
1-3.計画の前提
17
36%
32
68%
1-4.復興体制
15
32%
32
68%
1-5.復興財源の確保
19
40%
34
72%
2-1.被災現状調査
31
66%
38
81%
2-2.復興計画の策定
25
53%
37
79%
2-3.市街地・集落の復興
18
38%
33
70%
2-4.都市基盤の復興
28
60%
38
81%
2-5.生活再建支援
37
79%
38
81%
2-6.地域経済復興支援
31
66%
37
79%
2-7.医療・保健・福祉の復興
18
38%
36
77%
2-8.教育・文化の復興
17
36%
35
74%
2-9.情報発信・相談業務
26
55%
36
77%
4
9%
28
60%
2.分野別事項
3.地区類型別の復興対策上の
課題、留意点、重点施策
「復興準備計画」に関する事前対策の実施状況に関する評価(表−6)
「十分できている+ 地方公共
「十分できている+あ 項目数
ある程度できている」 団体数
る程度できている」と回
と回答した項目数
答した数の多い地方公
共団体
16 以上
3
東京都
20
11∼15
4
静岡県
18
6∼10
18
兵庫県
17
1∼5
16
北海道
13
0
3
大阪府
12
無回答等
3
山形県
11
埼玉県
11
(表−6)の質問の際に「事前対策」として設けた設問例
1
復興本部の設置に関する条例の制定
2
復興本部運営方法の検討
3
復興対策に係る財政需要の事前検討
4
地方公共団体内部の調査人員配分の検討
5
地方公共団体外部との連携体制の確立
6
応急危険度判定士の育成及び調査実施体制の確立
7
復興計画策定に係る学識経験者等の選定
8
復興整備条例の事前検討
9
まちづくり協議会の結成の支援・誘導
10
集団移転による新市街地候補地の検討
11
被害軽減のための防災施設整備事業の実施(砂防・治山治水施設、河川・海岸施設等)
12
応急仮設住宅供給量の恒常的な把握
13
応急仮設住宅の建設資材の在庫・生産状況の把握方法や供給システムの検討
14
応急仮設住宅の建設候補地に関するデータの恒常的な把握
15
民間住宅の借上基準の作成
16
民間賃貸住宅の空家状況の把握
17
建設業協会等との協定の締結
18
被災者が自力で実施する応急修理の支援策の検討
19
公営住宅供給量の恒常的な把握
20
公営住宅の建設候補地に関するデータの恒常的な把握
21
アドバイザーの養成、派遣に係る仕組み・協定などの検討
22
既存不適格建築物の再建支援方法の検討
23
ボランティア活動の支援策の検討
24
ボランティアの育成
25
産業構造の転換や都市計画との連携を考慮した産業復興策の検討
26
産業復興需要の地元還元策の検討(住宅建設を含む)
27
火山資源等自然災害の痕跡を観光開発に生かす方策の検討
28
地区類型別の復興対策上の課題、留意点、重点施策の検討
「復興準備計画」に関する事前対策の具体的取組みを
実施するために必要な支援内容(表−7)
実施するために必要な支援内容
団体数
マニュアル等の作成方法の支援
4
先進地方公共団体等の情報提供に関わる支援
2
財政支援
1
法制度等整備に関わる支援
1
「内閣府災害復旧・復興担当が取り組んできた調査報告書についての認知度(表−8)
(地方公共団体数)
報
告
書
名
平成8年度復興施策検討調査報告書
(都市型大規模地震対策編)
平成9年度復興施策検討調査報告書
(大規模火山災害対策編)
平成10年度復興施策検討調査報告書
(風水害対策編)
南関東地域直下の地震に対する
復興準備計画の策定に関する調査
平成11年度復興施策検討調査報告書
(津波災害対策編)
東海地震等からの復興準備計画
検証調査報告書
中身も十 中身も多
報告書を
名前程度
分に理解 少は理解
知らない
無回答
3
6
26
9
3
3
3
30
8
3
3
8
25
8
3
2
8
23
11
3
3
8
26
7
3
3
8
26
7
3
内閣府災害復旧・復興担当の取り組みに関する情報伝達方法(表−9)
効果的と思われる情報伝達方法
会議・研修
インターネット
報告書の郵送
その他(「無回答」「不明」を含む)
比率
45%
30%
11%
14%
「阪神・淡路大震災教訓情報資料集ホームページ」へのアクセスの分析による評価と課題
アクセス数の概要(表−10)
(件数)
月合計
1日平均 平日平均 土・日・祝平均
平成14年4月
2,382
79.4
90.3
53.9
平成14年5月
3,172
102.3
120.8
63.6
平成14年6月
3,526
117.5
141.7
69.2
平成14年7月
3,546
114.4
134.1
57.8
平成14年8月
4,151
133.9
152.5
88.4
平成14年9月
4,830
161.0
196.1
100.4
平成14年10月
6,481
209.1
263.1
77.0
平成14年11月
7,463
248.8
327.6
91.2
平成14年12月
7,832
252.6
352.2
95.1
平成15年1月
11,131
359.1
473.6
177.7
平成15年2月
5,215
186.3
215.5
124.6
平成15年3月
3,806
122.8
155.2
63.8
174.1
218.5
88.5
年間計(平成14年度)
63,535
平成13年度末までの累計
42,765
HP公開からの累計
106,300
平均(平成14年度)
5,295
アクセス元の概要(表−11)
一般プロバイダー等
学 校 等
民会会社等
地方公共団体等
非営利団体等
政府機関等
海 外
そ の 他
合 計
件 数
比 率
11,683
64.7%
1,026
5.7%
781
4.3%
742
4.1%
425
2.4%
265
1.5%
1
0.0%
3,130
17.3%
18,053 100.0%
備
考
ne.jp など
ac.jp、ed.jp など
co.jp など
都道府県・市町村名
or.jp など
go.jp など
.gov、.uk など
gr.jp、ad.jp、.net、.com、IP アドレスなど
大地震に備えた対策をとるため参考になったこと(表−12)
(複数回答)
項
目
比率(%)
テレビ・ラジオ・新聞等のマスコミ報道
53.8
これまで各地で発生した災害の教訓
49.5
広報誌やパンフレット
23.3
家族や知人の話
19.9
防災訓練などのイベント
15.8
被害を受けたり危険を感じた体験
14.0
災害に関する本
7.6
学校での学習
5.3
その他
0.7
わからない
2.5
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
原子力の安全確保に関する知的基盤の整備
2
政策分野
原子力安全対策
3
担当部局名
原子力安全委員会事務局
4
評価方法
実績評価
5
政策の目標・目的
原子力施設の安全確保、原子力災害対策等に必要な技術的知見・経験を獲得・蓄積する。
6
政策の内容
(1) 安全規制等に的確に反映すべき知見の獲得
・安全規制等に的確に反映させるべく、原子力の事故故障・トラブルや放射線、放射性同位元素
に係るトラブルの原因の調査・分析等を行うとともに、安全規制全般に係る知見を計画的かつ
体系的に獲得する。
(2) 国際協力の推進
・国際機関の活動への協力や政府間協力を通じて、各国における原子力安全に関わる知見・経験
の共有を促進する。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
平成 11 年度
予算事項名
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
審議会等に必要な経費及
び原子力利用の安全確保
−
−
183
192
に必要な経費
8
政策評価の観点及び基準
必要性、効率性、有効性の観点から定性的評価を行う。
9 政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1)安全規制等に的確に反映すべき知見の獲得
①
安全規制等に反映させるため、専門部会等において作成された報告書、計画等の件数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
―
平成12年度
―
平成13年度
平成14年度
12
24
トプット)
<平成14年度>
○ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料加工施設に対する仮想的な臨界事故の評価
○使用済燃料中間貯蔵施設における金属製乾式キャスクとその収容物の長期健全性について
○安全審査指針の体系化について
○高レベル放射性廃棄物処分の概要調査地区選定段階において考慮すべき環境要件について
○核燃料使用施設(照射済燃料及び材料を取り扱う施設)におけるクリアランスレベルについ
て
○地域の三次被ばく医療機関が担う役割等について
○原子力災害時におけるメンタルヘルス対策のあり方について
○放射性物質及び放射線の関係する事故・トラブルについて
○中部電力株式会社浜岡原子力発電所1号機における事故・故障に関する調査報告書
②
等
原子力安全規制に反映させるため、外部の研究機関等において行われた調査件数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
平成12年度
16
―
平成13年度
23
平成14年度
27
トプット)
<平成14年度>
○原子力施設の耐震安全性に関する調査、安全審査解析
③
等
合計27件
原子力事故故障・トラブルに関する国内外の事例を新たに蓄積する件数
指標の性質
平成10年度
31
参考指標(アウ
平成11年度
平成12年度
47
40
平成13年度
26
平成14年度
17
トプット)
<平成14年度>
○平成14年8月22日、東京電力㈱福島第一原子力発電所3号機の制御棒駆動水圧系配管にひび
が入っていることが判明し、配管を全て交換した。
④
等
放射線、放射性同位元素に係るトラブルに関する国内外の事例を新たに蓄積する件数
指標の性質
平成10年度
16
参考指標(アウ
平成11年度
19
平成12年度
23
平成13年度
14
平成14年度
13
トプット)
○平成14年5月、北海道国立札幌病院においてイリジウム192線源が紛失。
○平成14年7月、石川県金沢大学附属病院において、放射線の過剰照射により患者に重症者が
出たことが判明。
等
(2)国際協力の推進
国際会議等への参画回数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
―
平成12年度
8
平成13年度
17
平成14年度
21
トプット)
○原子力安全委員会委員、専門部会委員、事務局職員及び技術参与が参加した国際会議及び現
地調査の総数
10
学識経験を有する者の知見の活用
6名の学識経験者を構成員とする原子力安全委員会政策評価会議を開催し(平成15年6月5
日)、政策評価に関するコメントをいただいた。原子力安全委員会政策評価会議のメンバーは
以下のとおり。
大橋
秀雄
日本工学会会長・工学院大学理事長
大宅
映子
評論家
グレゴリー・クラーク
小早川
村上
光郎
山之内
陽一郎
11
秀一郎
多摩大学名誉学長
東京大学教授
国際基督教大学教授
宇宙開発事業団理事長
(敬称略
五十音順)
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
特になし。
12
政策評価の結果
<必要性>
・高いレベルでの安全規制体制の実現・維持のためには、原子力施設の安全審査の判断等の際に
用いる各種指針類やデータ、原子力災害のための対策、原子力施設の設置許可後の規制調査等に
活用できる知見の整備において、常に最新の技術的知見を獲得すること、安全確保の基礎となる
知見を蓄積することが必要である。
<効率性>
・安全規制の知見に係る報告書の作成等については、検討内容に応じた専門家により構成される
専門部会や分科会を設け、安全上重要な事項について最新の技術的知見に基づいた検討を行って
いる。ここでは、幅広い専門分野にわたる専門家の技術的知見・経験等を活かし、様々な角度か
ら効率よく調査審議が行われている。また、必要に応じて、適時適切な外部機関に調査を委託す
ることで効率よく知見を獲得・集積している。
<有効性>
・安全規制の知見に係る報告書の作成等に当たっては、検討内容に応じて、幅広い専門分野にわ
たる専門家からなる専門部会や分科会を設け、最新の技術的知見を把握し、これらの知見に基づ
いた検討を行っており、平成14年度には報告書等を24件とりまとめた。また、必要に応じて外部
機関への調査委託も行っており、14年度は27件の実績がある。トラブルに関する国内外の事例の
集積については、14年度中に、原子力事故故障・トラブルの関係で17件、放射線・放射性同位元
素に係るトラブルの関係では13件の事例が新たに追加された。こうしたことなどにより、原子力
施設の安全確保、原子力災害対策等に必要な技術的知見の獲得は着実に進んでいる。
・さらに、各国の規制当局トップの会合への参画を進めており、14年度には21の国際会議・現地調
査に参加した。こうした場において、事故事象の背後にある共通原因、安全規制の実効性の向上
等に係る意見交換や高レベル廃棄物の最終処分の先進事例に関する情報を収集するなど、国際協
力を推進することによって有効に、最新の知見の獲得・蓄積が行われている。
(学識経験を有する者の意見)
・安全に対する認識がもっと国民の間に広がっていくように、長期的な視点から取り組んでいく
必要がある。いわば、安全リテラシーとでも云うべきものの普及に留意すべきである。
・リスクの概念は科学的・合理的側面からアクセスできる確率的統計等を社会に受け入れられる
ための努力は必要だが、典型的な日本の文化や歴史のような伝統的価値観(社会構成)によって
作られるリスク感、社会不安についても対処していく必要がある。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
・新たな施設整備等にあわせて、適切なタイミングで安全基準・指針類の整備を行うため、今後
とも常に最新の技術的知見を収集していく。また、国内外の原子力事故・故障の事例や原因究明
及び対策について今後とも調査審議を行う。
・国際機関の活動への協力や政府間協力を通じて、各国における原子力安全に関わる知見・経験
の共有を促進し、広く世間に伝えていく必要がある。
・放射線障害防止に関する事項について、新しい知見の収集、国際的な活動への参画を継続的に
実施する。
・安全目標が社会に理解され、受容されるための方策を検討する。
・絶対安全はあり得ないと言いつつも、実際には安全上の保守性を重視するあまり、絶対安全を
守っていると社会的に受け取られかねないような対応等が行われているところがある。リスク情
報に基づいて、設備の安全性能が維持される範囲を的確に把握し、それらに対する安全確保のた
めの活動が適正に行われていることを監視・確認するリスク・インフォームド型規制の早期導入
に向け、必要な検討を行う。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
原子力施設の安全確保
2
政策分野
原子力安全対策
3
担当部局名
原子力安全委員会事務局
4
評価方法
実績評価
5
政策の目標・目的
我が国の多重補完的な安全確保体制の下で、安全確保に万全を期す。
6
政策の内容
(1) 原子力の安全確保に関する基本的な政策の立案
・我が国における安全文化、安全社会システムの在り方等に関する調査などを行い、原子力の
安全確保に関する基本的な政策を立案する。また、原子力施設の安全確保を担う原子力安全
委員会は、原子力の安全確保に関する基本的な政策の立案等のため、原子力安全委員会決定
又は原子力安全委員会了承を行う。
(2) 安全基準・指針類の整備
・安全確保に関する知的基盤を踏まえ、安全基準・指針類を整備し、安全審査の客観性・合理
性を高める。
(3) 規制調査の実施
・規制行政庁による設置許可等の後の安全規制(後続規制)の実施状況について、その規制行
為が適切に維持されていることを監視・確認し、その結果を公開することにより規制情報の
透明性の向上を図る。
(4) 申告に対する適切な処理
・核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の規定に基づく原子力安全委員会へ
の申告に対して的確に処理する。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
審議会等に必要な経費及
び原子力利用の安全確保
−
−
に必要な経費
8
政策評価の観点及び基準
必要性、効率性、有効性の観点から定性的評価を行う。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1) 原子力の安全確保に関する基本的な政策の立案
715
558
①
原子力安全委員会の開催回数
指標の性質
平成10年度
平成11年度
82
参考指標(アウ
平成12年度
85
92
平成13年度
平成14年度
90
83
トプット)
②
専門部会、調査会等の開催回数
指標の性質
平成10年度
平成11年度
30
参考指標(アウ
平成12年度
34
32
平成13年度
平成14年度
40
44
トプット)
③
原子力安全委員会決定及び原子力安全委員会了承の件数
指標の性質
平成10年度
平成11年度
36
参考指標(アウ
平成12年度
33
33
平成13年度
平成14年度
15
52
トプット)
◆安全基準・指針類の策定に係る原子力安全委員会決定は数値より除く
<平成14年度>
○原子力発電施設における自主点検記録の不正等に対する対応について
○原子力安全の信頼回復に関する勧告
○電気事業法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律並びに原子力委員会
及び原子力安全委員会設置法改正に伴う原子力安全委員会の機能強化について
○一次行政庁からの諮問に対する原子力安全委員会からの答申(10件)
○規制調査の実施方針について
④
等
安全文化に係る現場との意見交換の実施回数
指標の性質
参考指標(アウ
平成10年度
―
平成11年度
―
平成12年度
―
平成13年度
10
平成14年度
4
トプット)
◆平成14年度において意見交換会の実施回数が減少しているのは、原子力発電所における自主点
検記録の不正等の問題や、高速増殖原型炉「もんじゅ」の控訴審判決等があり、委員長が非常
に多忙になってしまったため、現場に赴くことが非常に難しくなったから。
○全国の原子力施設において、原子力安全委員会委員長と現場の技術者達との安全文化の重要性
等に関する意見交換会を実施
(2) 安全基準・指針類の整備
①
新たに整備・改訂した安全基準・指針類数
指標の性質
平成10年度
平成11年度
0
参考指標(アウ
0
平成12年度
19
平成13年度
平成14年度
1
3
トカム)
◆平成12年度は国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を取り入れ、関係指針17件を一斉改訂
<平成14年度>
○発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針
○ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料加工施設安全審査指針
○金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針
② 安全基準・指針類を整備・改訂する際の、「設置された分科会の開催回数」×「分科会専門
委員数」
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
―
平成12年度
366
平成13年度
76
平成14年度
506
トプット)
③ 安全基準・指針類(過去5年以内に制改定したもの)に基づいて行われた諮問件数
指標の性質
平成10年度
平成11年度
2
参考指標(アウ
3
平成12年度
0
平成13年度
6
平成14年度
14
トカム)
④ 規制行政庁が行う安全審査のうち、審査に安全基準・指針類(過去5年以内に制改訂したも
の)が使用されたものの割合
指標の性質
平成10年度
2/9
参考指標(アウ
平成11年度
3/14
平成12年度
0/6
平成13年度
6/10
平成14年度
14/14
トカム)
○行政庁からの諮問のうち、当該年度において制定・改訂した指針を用いた申請数の割合
(3)規制調査の実施
規制行政庁による設計及び工事の方法の認可等についての報告聴取の総件数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
―
平成12年度
551
平成13年度
831
平成14年度
776
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した建設・運転段階の安全規制について、その実施状況を把握及び確認。ま
た、JCO事故を契機として導入された保安検査など、その時点における安全規制を巡る状
況を踏まえ、詳細な調査を実施。
◇建設段階(設計及び工事の方法の認可、使用前検査、保安規定の認可等)については、設
置許可等に関する安全審査の際の基本設計ないし基本的設計方針に係る考え方が的確に実
現されていることを確認するため、詳細な調査を実施。
◇運転段階(施設定期検査、保安検査等)については、技術的能力の維持を含め、安全確保
対策が適切になされていることを確認するため、詳細な調査を実施。
(規制調査の内訳)
a) 設計及び工事の方法の認可又は変更認可及び工事計画の認可又は変更認可についての報告聴
取の件数
[報告聴取対象施設:実用発電用原子炉施設、試験研究の用に供する原子炉施設、研究開発段階
にある原子炉施設(発電の用に供するもの)、加工施設、再処理施設、廃棄物管理施設]
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
平成12年度
平成13年度
92
―
81
平成14年度
71
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した当該事項について、その実施状況を把握及び確認。また、事故の再発防
止策としてのもんじゅ2次系温度計に係る設計及び工事の方法の認可について詳細な調査を実施
し、安全審査の際の考え方が的確に実現されていることを確認。
b) 使用前検査等の合格についての報告聴取の件数
[報告聴取対象施設:実用発電用原子炉施設、試験研究の用に供する原子炉施設、研究開発段階
にある原子炉施設(発電の用に供するもの)、加工施設、再処理施設、廃棄物管理施設、核燃
料物質の使用施設]
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
―
平成12年度
106
平成13年度
193
平成14年度
141
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した当該事項について、その実施状況を把握及び確認。また、我が国初の高
温ガス炉の使用前検査について詳細な調査を実施し、安全審査の際の考え方が的確に実現されて
いることを確認。
c) 保安規定の認可又は変更認可についての報告聴取の件数
[報告聴取対象施設:実用発電用原子炉施設、試験研究の用に供する原子炉施設、研究開発段階
にある原子炉施設(発電の用に供するもの)、加工施設、再処理施設、廃棄物管理施設、廃
棄物埋設施設、核燃料物質の使用施設]
指標の性質
参考指標(アウ
平成10年度
―
平成11年度
―
平成12年度
82
平成13年度
133
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した当該事項について、その実施状況を把握及び確認。
平成14年度
97
d) 定期検査及び施設定期検査の合格についての報告聴取の件数
[報告聴取対象施設:実用発電用原子炉施設、試験研究の用に供する原子炉施設、研究開発段階
にある原子炉施設(発電の用に供するもの)、加工施設、再処理施設、廃棄物管理施設]
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
平成12年度
平成13年度
24
―
81
平成14年度
67
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した当該事項について、その実施状況を把握及び確認。
e) 保安検査の結果についての報告聴取の件数
[報告聴取対象施設:実用発電用原子炉施設、試験研究の用に供する原子炉施設、研究開発段階
にある原子炉施設(発電の用に供するもの)、加工施設、再処理施設、廃棄物管理施設、廃
棄物埋設施設、核燃料物質の使用施設]
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
平成12年度
平成13年度
117
―
238
平成14年度
236
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した当該事項について、その実施状況を把握及び確認。また、JCO事故を
踏まえ導入された事業者が守るべき施設の安全上の重要事項を定めた保安規定の遵守状況の検査
(保安検査)について、実用炉、試験研究炉、研究開発段階炉、再処理施設、廃棄物管理施設の
詳細な調査を実施し、安全確保対策が適切になされていることを確認。
f) 燃料体設計の認可及び燃料体検査についての報告聴取の件数
[報告聴取対象施設:実用発電用原子炉施設]
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
平成12年度
平成13年度
52
―
83
平成14年度
152
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した当該事項について、その実施状況を把握及び確認。
g) 核燃料物質の使用の許可又は変更許可についての報告聴取の件数
[報告聴取対象施設:核燃料物質の使用施設]
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
―
平成12年度
72
平成13年度
22
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した当該事項について、その実施状況を把握及び確認。
平成14年度
12
h) 廃棄物埋設施設に関する確認についての報告聴取の件数
[報告聴取対象施設:廃棄物埋設施設]
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
平成12年度
平成13年度
6
―
0
平成14年度
0
トプット)
<平成14年度>
○規制行政庁が実施した当該事項について、その実施状況を把握及び確認
◆平成13年度、14年度の報告が無いのは、以下の理由のため。
現在、廃棄物埋設事業の許可を受けているのは、日本原燃及び日本原子力研究所の2事業者
のみ。
このうち日本原燃は原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物を対象として埋設を行
っている。原子力発電所から発生する当該廃棄物については、近年、発生量が少なくなってお
り、それに伴い、日本原燃の廃棄物の受入量も減少しているため、平成13年度及び14年度の当
該確認は行われていない。
また、日本原子力研究所においては、JPDRの解体に伴う極低レベル放射性廃棄物の埋設を対
象としており、全て埋設済であるため、当該確認は行われていない。
(4) 申告に対する適切な処理
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の規定に基づく原子力安全委員会
への申告に対して的確に処理した件数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
平成12年度
―
平成13年度
―
―
平成14年度
0
トカム)
※平成15年3月17日の原子炉等規制法の施行により、原子力安全委員会に対して申告が2件寄せ
られている。これについては、平成14年度末現在調査中であり、数値として計上していない。
10
学識経験を有する者の知見の活用
6名の学識経験者を構成員とする原子力安全委員会政策評価会議を開催し(平成15年6月5
日)、政
策評価に関するコメントをいただいた。原子力安全委員会政策評価会議のメンバーは
以下のとおり。
大橋
秀雄
日本工学会会長・工学院大学理事長
大宅
映子
評論家
グレゴリー・クラーク
小早川
村上
光郎
山之内
陽一郎
11
秀一郎
多摩大学名誉学長
東京大学教授
国際基督教大学教授
宇宙開発事業団理事長
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
特になし。
(敬称略
五十音順)
12
政策評価の結果
<必要性>
・我が国における原子力安全規制体制では、経済産業省等の規制行政庁が原子力事業者を直接規
制し、原子力安全委員会が独自の立場から安全性を確認するというダブルチェック体制がとら
れており、原子力安全委員会が、規制行政庁の安全規制活動全般を的確に把握し、原子力安全
確保に向けて積極的にダブルチェック機能を果たし、安全確保に万全を期すことが求められて
いる。
<効率性>
・安全基準・指針類の策定・改訂等に当たっては、検討内容に応じて、幅広い専門分野にわたる
専門家からなる専門部会や分科会を設け、安全上重要な事項について最新の技術的知見に基づ
き効率的な調査審議を行っている。また、約千件に及ぶ規制調査案件に対して、報告聴取や現
地調査を案件の重要度に応じて行うなど効率的に調査を実施している。
<有効性>
・安全基準・指針類については、平成14年度に3件の策定・改定を行うなど、その整備を着実に
進めてきている。その策定・改定等に当たっては、検討内容に応じて、幅広い専門分野にわた
る専門家からなる専門部会や分科会を設け、安全上重要な事項に対して最新の技術的知見を把
握し、これらの知見に基づき検討を行っており、原子力施設の安全確保に向けた取組みの客観
性・合理性を高める上で有効である。
・規制調査については、規制行政庁とは独立した立場の原子力安全委員会が、規制行政庁による
後続規制活動に監視の目を配る活動を実施することにより、事業者と規制行政庁、規制行政庁
と原子力安全委員会の間の適切な緊張感の維持及び意思疎通の円滑化が図られる点から、有効
である。調査を行った範囲においては、規制行政庁の個々の規制活動に特段の問題はなかった
が、規制行政庁において引き続き努力を継続すべき事項や安全規制を行うにあたって留意すべ
き事項などについて、原子力安全委員会による規制調査結果をとりまとめた報告書や原子力安
全委員会本会議の場等において積極的に意見や見解を示しており、規制の実効性向上を図る上
で有効に機能している。
・原子力発電施設の自主点検記録の不正等を踏まえ、炉心シュラウドや再循環系配管のひび割れ
について、安全性を評価するために、原子力発電施設安全性評価プロジェクトチームを設置
し、原子力安全・保安院から聴取をしている。原子力安全委員会は独自の立場からこの報告を
踏まえ、順次各プラントについて、現地調査、安全性の解析等を実施し、評価等を行っている
ところであり、原子力安全を確保する観点で有効である。
(学識経験を有する者の意見)
・技術者は、社会に対してある明示した約束を示して、その集団に属する人はそれに従うという
という、見える責任の取り方をするメカニズムが余りにも不足していいるので、技術者の中で
プロフェションというものを確立していって、そのプロフェッションの集団が社会にどういう
約束をし、どういう責任を取っていくかということを明確にしていくことを長期的視点から整
備していく必要がある。
・ 日本社会では申告の処理に慣れていないため、申告者を保護しつつ申告処理手法を検討する必
要がある。
・ 日本においては隠蔽が起き易い体質のため、申告制度はもっと強化すべきで、申告に対しては
奨励制度が必要であり、責任者の辞任が必要。
・ 組織として情報を外に出す前に、自らの組織の内部で透明性を確保することが究極の課題であ
るが、これはトップマネジメントが決意をして、2、3年ぐらいかけて徹底的な社内運動として
やらないとできない。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
・常に最新の科学的知見を安全基準・指針類に反映し、適時適切に指針の見直しを行うことに努
め、安全審査の客観性、合理性を高めるとともに国民の安全確保のための原子力施設の安全確
保を確実なものとしていく。
・新たな施設整備等にあわせて、適切なタイミングで、安全基準、指針類の整備を行う。
・原子力安全委員会は、平成14年10月に、一連の原子力発電施設の不正問題を受けて、規制調査
のあり方を抜本的に見直すことを決定した。また、12月に規制行政庁が行う後続規制の実施状
況の四半期毎の報告を義務化するなどの原子炉等規制法等の法律改正が行われた。これは、規
制行政庁の安全規制に対する委員会の監視機能に関する国民の負託の大きさを反映したものと
考えられる。その趣旨を踏まえ、平成15年3月により一層の実効的かつ適切な規制調査を行う
ため、委員会は、規制行政庁が行う後続規制活動が適正かどうかを監視・監査し、不断の改善
・向上を促すことを目的として
・主として、規制行政庁による後続規制における安全確保上の共通的な課題や重要事項を抽
出して、調査分析を行い、必要な意見を示す。
・上記に加え、後続規制における重要な個別の行政処分や、設置許可時の安全審査の際に指
摘した重要事項に関して、その内容の調査分析を行い、必要な意見を示す
ことなどの実施方針を決定した。
JCO事故や昨年の原子力発電施設の不正問題に見られるように、原子力施設における安全確
保については、運転段階での安全確保に重要性の比重が移ってきている。このため、今後と
も、原子力安全委員会が独立した立場から、規制行政庁による後続規制活動を監視・監査する
役割を果たしていくため、この実施方針に従って規制調査を効果的に実施していく。
・検査データの不正処理等の再発防止には、情報の透明性への一層の配慮が欠かせない。事業者
及び規制行政庁のこの点に関する取り組みについて、委員会決定や報告の形で、その緊要性を
指摘したところであり、今後とも、その実施状況に応じて、必要な勧告等を行う。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
原子力災害対策
2
政策分野
原子力安全対策
3
担当部局名
原子力安全委員会事務局
4
評価方法
実績評価
5
政策の目標・目的
より実効性のある原子力防災体制を構築する。
6
政策の内容
(1) 原子力災害対策特別措置法への対応
・関係機関と連携の下、緊急時対応が一層有効に機能するように、訓練等へ積極的に参画する。
(2) 原子力災害対策に係る防災に関する指針類の改訂
・安全確保に関する知的基盤を踏まえ、原子力災害対策に係る防災に関する指針類の必要な改善
を行う。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
平成 11 年度
予算事項名
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
79
159
審議会等に必要な経費及
び原子力利用の安全確保
−
−
に必要な経費
8
政策評価の観点及び基準
必要性、効率性、有効性の観点から定性的評価を行う。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1) 原子力災害対策特別措置法への対応
①
緊急技術助言組織会合及び原子力艦災害対策緊急助言組織の延べ参加人数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
−
平成11年度
84
平成12年度
83
平成13年度
155
平成14年度
145
トプット)
○緊急助言組織会合及び緊急助言組織のグループ別活動検討会
②
原子力防災訓練への延べ参画人数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
―
平成11年度
―
平成12年度
346
平成13年度
720
平成14年度
721
トプット)
○国及び地方公共団体主催の原子力防災訓練、原子力安全委員会主催の参集訓練、現地派遣訓
練、通報訓練
③
当委員会が参画する原子力防災訓練の地域数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
平成12年度
平成13年度
9
―
平成14年度
5
11
トプット)
○国及び地方公共団体主催の原子力防災訓練、原子力安全委員会主催の参集訓練、現地派遣訓
練、通報訓練
(2) 原子力災害対策に係る防災に関する指針類の改訂
指標の性質
平成10年度
平成11年度
1
参考指標(アウ
平成12年度
1
平成13年度
2
平成14年度
1
2
トカム)
<平成14年度>
○地域の三次被ばく医療機関が担う役割等について
○原子力災害時におけるメンタルヘルス対策のあり方について
10
学識経験を有する者の知見の活用
6名の学識経験者を構成員とする原子力安全委員会政策評価会議を開催し(平成15年6月5
日)、政策評価に関するコメントをいただいた。原子力安全委員会政策評価会議のメンバーは以
下のとおり。
大橋
秀雄
日本工学会会長・工学院大学理事長
大宅
映子
評論家
グレゴリー・クラーク
小早川
村上
光郎
陽一郎
山之内
秀一郎
多摩大学名誉学長
東京大学教授
国際基督教大学教授
宇宙開発事業団理事長
(敬称略
五十音順)
11 政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
特になし。
12 政策評価の結果
<必要性>
・原子力災害の直接原因となる放射線は、五感に感じられないため、適切な防災対策を行うため
には専門的な知見や特別な装備が求められるといった特殊性があることから、国が果たすべき
役割と責任は大きい。このような認識の下、原子力災害対策特別措置法が策定されたが、ここ
では万が一原子力災害或はその可能性が発生した場合の原子力安全委員会の役割や、緊急事態
応急対策調査委員の設置が法定されている。同措置法の実効性を確保するためには、国、地方
公共団体、原子力事業者等が連携をとりつつ、原子力災害時において、総力を挙げて緊急事態
応急対策を実施するための実効的な原子力防災体制を構築することが必要である。
<効率性>
・机上の検討のみでなく、実働による訓練を行うことにより、緊急時対応能力の効率の向上が図
られている。また、幅広い専門家の知見を活用しつつ、緊急被ばく医療体制の整備やメンタル
ヘルス対策等のための指針を効率的に整備している。
<有効性>
・原子力防災訓練への参画を積極的に進めており、平成14年度には11地域における訓練に原子力
安全委員等が延べ721人参加した。このような取り組みなどを通じて、原子力災害時等の関係省
庁との連携はより一層強固なものとなっており、より実効性のある原子力防災体制の構築の前提
となる緊急時対応能力の向上が図られている。
・また、緊急被ばく医療等原子力防災に関する最新の知見を踏まえつつ原子力災害対策に係る防
災に関する指針類の策定・改定を進めており、平成14年度には2件の策定・改定を行った。こ
れらは国の関係機関や地方公共団体等で広く活用されており、より実効性のある原子力防災体
制の構築において、有効に機能している。
(学識経験を有する者の意見)
・事故が起きた後には、情報を明快に、遅滞なく、タイミング良く正確な情報を流すことが、科
学的に非合理的な不信感を作らない上で重要。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
・引き続き各種訓練を実施し、緊急技術助言組織の対応能力の向上を図る。また、緊急技術助言
組織がより実践的に対応できるように、専門グループ別の会合、助言訓練等を実施する。
・各種防護対策の解除に関する基準策定、屋内退避・避難の防護対策等について、検討を行い、
防災指針類がさらに実効的なものとなるよう見直しを行っていく。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
原子力安全に関する国民との対話の促進
2
政策分野
原子力安全対策
3
担当部局名
原子力安全委員会事務局
4
評価方法
実績評価
5
政策の目標・目的
国民の双方向との意思疎通を通じて、原子力安全に関する国民との対話の促進を図る。
6
政策の内容
(1) 国民との直接対話の場の活用
・地域原子力安全シンポジウム、公開ヒアリング及びワークショップ等の開催により、原子力
安全に関する国民の声の把握に努めるとともに、原子力安全への取組みなどについて理解を
深める。あわせて、専門部会等の報告書等について広く国民より意見募集を行い、寄せられ
た意見を検討した上で、必要に応じて報告書等に反映する。
(2) 適切な広報活動の実施
・原子力安全委員会の活動に関し、適切な広報活動を実施する。
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
平成 11 年度
予算事項名
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
審議会等に必要な経費及
−
び原子力利用の安全確保
−
188
122
に必要な経費
8
政策評価の観点及び基準
必要性、効率性、有効性の観点から定性的評価を行う。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1) 国民との直接対話の場の活用
①
国民との直接対話を行う場の開催回数
指標の性質
参考指標(アウ
平成10年度
―
平成11年度
―
平成12年度
2
平成13年度
4
平成14年度
10
トプット)
○地域原子力安全シンポジウム、公開ヒアリング、安全目標に関するパネル討論会、HLW安
全調査ワークショップの開催、放射線影響に関する討論会、公開討論会
②
国民との直接対話を行う場への来場者数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
平成12年度
平成13年度
618
―
平成14年度
859
2431
トカム)
○地域原子力安全シンポジウム、公開ヒアリング、安全目標に関するパネル討論会、HLW安
全調査ワークショップの開催、放射線影響に関する討論会、公開討論会
③
パブリック・コメント又は意見公募に付した報告書、計画等の件数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
―
平成12年度
平成13年度
9
平成14年度
4
14
トプット)
◆安全基準・指針類を策定する際にはこれらの案をパブリック・コメントに一定期間付してお
り、委員会の施策に反映している。
<平成14年度>
・ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料加工施設に対する仮想的な臨界事故の評価について
・使用済燃料中間貯蔵施設における金属製乾式キャスクとその収用物の長期健全性について
・安全審査指針の体系化について
・一次行政庁からの諮問に対する原子力安全委員会からの答申に対する意見公募
・高レベル放射性廃棄物処分の概要調査地区選定段階において考慮すべき環境要件について
・核燃料使用施設(照射済燃料及び材料を取り扱う施設)におけるクリアランスレベルについ
て
④
等
パブリック・コメント又は意見公募に寄せられた質問数
指標の性質
参考指標(アウ
平成10年度
―
平成11年度
―
平成12年度
平成13年度
359
63
平成14年度
134
トカム)
(2)適切な広報活動の実施
①
原子力安全・意見質問箱へ寄せられた意見・質問への回答数
指標の性質
参考指標(アウ
平成10年度
―
平成11年度
―
平成12年度
17
平成13年度
58
平成14年度
46
トプット)
②
原子力公開資料センターの保管資料数
指標の性質
参考指標(アウ
平成10年度
4750
平成11年度
6050
平成12年度
7752
平成13年度
8896
平成14年度
9951
トプット)
○原子力施設許認可申請書類、原子力安全委員会及び各専門部会等の関連資料、関係省庁関連
資料
③
原子力安全委員会HPへの新規掲載件数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
平成12年度
195
―
平成13年度
354
平成14年度
332
トプット)
○原子力安全委員会決定、審査指針類、各種報告書、原子力安全白書、月報、会議開催案内、
地域原子力安全シンポジウム関連資料、政策評価書
④
等
原子力安全委員会を通じて公開した資料等の案件数
指標の性質
平成10年度
平成11年度
254
参考指標(アウ
平成12年度
224
283
平成13年度
265
平成14年度
300
トプット)
⑤
原子力安全委員会に設置された専門部会等から公開された資料数
指標の性質
平成10年度
参考指標(アウ
平成11年度
―
平成12年度
―
―
平成13年度
924
平成14年度
682
トプット)
10
学識経験を有する者の知見の活用
6名の学識経験者を構成員とする原子力安全委員会政策評価会議を開催し(平成15年6月5
日)、政策評価に関するコメントをいただいた。原子力安全委員会政策評価会議のメンバーは以
下のとおり。
大橋
秀雄
日本工学会会長・工学院大学理事長
大宅
映子
評論家
グレゴリー・クラーク
小早川
村上
光郎
陽一郎
山之内
11
秀一郎
多摩大学名誉学長
東京大学教授
国際基督教大学教授
宇宙開発事業団理事長
(敬称略
五十音順)
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
特になし。
12
政策評価の結果
<必要性>
・原子力の利用において安全確保は大前提となるものであり、原子力の安全に係る情報を公開
し、広く国民に意見を述べる機会を提供する必要がある。このため、主要な調査審議の結果に
ついての説明会や意見交換会の開催、地元自治体等が主催する同種の会合等への参加や、原子
力公開資料センターやインターネットによる情報公開などを通じて、国民との双方向の対話の
促進に努める必要性が高い。
<効率性>
・地域原子力安全シンポジウム、公開ヒアリング及びワークショップ等を開催することにより、
原子力安全に関する国民との対話を促進することができ、原子力安全委員会としても安全審査
に参酌すべき多くの意見を効率よく聴取できた。
<有効性>
・国民と原子力安全委員会委員との直接対話の場として、国民の関心の高いテーマを取り上げ、
十分な意見交換のための時間を確保するよう努めつつ、地域原子力安全シンポジウム、公開ヒ
アリング及びワークショップ等を開催している。平成14年度には10回開催し、延べ2431名が来
場した。このような会合の開催などにより、原子力安全に対する国民との対話の促進が図られ
ている。
・国民の関心が極めて高い原子力安全に係る情報公開に積極的に取り組むことによって、原子力安
全に対する国民との対話の促進が図られている。以下に原子力安全委員会が行っている施策をあ
げる。
・原子力安全委員会のホームページによる情報の発信
・パブリック・コメントの募集
・原子力安全白書の刊行
・公開資料センターにおける資料の公開
等
・国民からの原子力安全委員会への意見・質問を受け付けるために開設されている「原子力安全
意見・質問箱」に関しては、事務処理上の不手際から、平成14年度に寄せられたメールに対す
る回答が大幅に遅延し、有効に機能を果たすことができなかった。
・名古屋高等裁判所金沢支部において、高速増殖原型炉「もんじゅ」の設置許可を無効とする判
決が下された。原子力安全委員会としては、設置許可時の安全審査の結論は、現在の科学技術
的知見を踏まえても、なお妥当であると判断し、判決の論旨には、科学的合理性に欠ける点が
散見されること、「もんじゅ」判決に関する国民の関心が高く、科学技術的観点から見解を示
すことが社会的に要請されていると思われることから、判決において指摘されている諸点に関
する見解を3月26日に表明した。また、原子力学会の年会等において、同判決に対する原子力
安全委員会の見解を説明した。
(学識経験を有する者の意見)
・ 委員長を初めとする委員がいろいろなところで積極的に発言しており、顔の見える原子力安全
委員会として十分な努力をしている。
・ 安全委員会の月報「Safety&Dialog」の内容は、専門家には情報が足りないが、素人には多す
ぎて中途半端であり、情報提供なのかPRなのか分からない。
・ 国民が情報が欲しいと思った時にすぐ必要な情報が取れることが重要である。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
・主に立地県における地域原子力安全シンポジウム、公開ヒアリング及びワークショップ等の開
催を通じて、国民の関心の高いテーマに関して、一般を対象とした国民との直性対話の場の活
用を図っていくとともに、適切な広報活動を実施する。
・原子力安全白書の刊行やホームページによる情報の発信等、今後とも原子力安全委員会の活動
に関する情報公開の一層の充実を図っていく。
・原子力安全意見・質問箱に寄せられたメール等を確実に受理できるような万全のメール受入れ
システムを作成する。また、原子力安全委員会のホームページの改善を行い、見やすく使い易
いホームページを作成する。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
北方領土問題の解決促進のための施策の推進
2
政策分野
北方領土問題の解決促進
3
担当部局名
北方対策本部
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
北方領土の返還の実現に向けて一致した国民世論の高揚とその持続、北方領土在住ロシ
ア人との交流を通じた日露間の相互理解の増進等を図る。
6
政策の内容
(1) 都道府県に置かれた県民会議や推進委員による地域での各種啓発活動の共催・支援
(2) 北方領土返還要求運動連絡協議会に加盟する全国規模の各種民間団体(青年、婦人、
労働団体等)と連携、これらの団体が行う各種啓発活動の共催・支援
特に、総理、関係閣僚、政党代表等を一同に集めて、北方領土返還を求める「北方領
土返還要求全国大会」を毎年2月7日に東京で開催
(3) 2月及び8月を「北方領土返還運動全国強調月間」とし、各種啓発活動を推進
(4) 北方領土返還要求運動の原点の地である北海道根室市における啓発環境の整備
(5) 教育関係者(社会科担当教諭等)、青少年(小・中学生、高校生、大学生)など重点的
な啓発対象を根室市に集めて研修会等を実施
(6) 元島民、運動関係者、報道関係者、学術・文化・社会等の専門家による旅券・査証な
しでの北方領土への訪問
7
など
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度 平成 14 年度
啓もう宣伝等事業費
563
394
399
357
北方四島交流推進経費等
211
213
216
202
774
607
615
559
計
8
政策評価の観点及び基準
<必要性>
歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方領土の返還の実現に向けて一致した国民世
論の高揚とその持続、日本国民と北方領土在住ロシア人との交流を通じた日露間の相互理
解の増進等を図る必要性の観点。
<有効性>
北方領土返還要求署名者数や全国各地の北方領土返還を求める大会等に見られるよう
に、都道府県の県民会議や各種団体との連携による官民一体となった返還要求運動によ
り、国民世論の高揚とその持続が図られているかという観点。
また、北方四島との交流(訪問事業)の実績や北方四島との交流での意見交換会の内容
に見られるように、元島民、運動関係者等による北方領土への訪問が、北方領土問題に関
する日露間の相互理解を図るなどの趣旨に沿って行われているかという観点。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1) 北方領土返還要求署名者数
(2) 全国各地の北方領土返還を求める大会
(3) 北方領土問題啓発施設「北方館」の入館者数
(4) 北方四島との交流(訪問事業)の実績
(5) 北方四島との交流における意見交換会の内容
10
学識経験を有する者の知見の活用
杉山茂雄氏(法政大学名誉教授)に評価書(案)について意見を聴取し、評価結果の客
観性の確保を図った。
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
(1)「「北方領土の日」について」(昭和 56 年1月6日
閣議了解)
(2)「我が国国民の北方領土への訪問について」
(平成3年 10 月 29 日閣議了解及び平成 10
年4月 17 日閣議了解)
(3)
12
関連新聞記事(抄)
政策評価の結果
<必要性>
歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方領土は、日本人によって開拓され、日本人
が住み続けた島々である。これら北方四島は、昭和 20 年8月の第二次世界大戦終了直後、
旧ソ連軍により不法に占拠され、日本人が住めない島々になってしまった。
しかしながら、北方四島は、歴史的に見ても一度も外国の領土になったことがない我が
国固有の領土であり、また、1855 年の日露通好条約をはじめとする国際的諸取決めから
見ても、我が国に帰属すべき領土であることは疑う余地もない。
北方領土問題は、ロシアの不法占拠下にある我が国固有の領土である北方四島の返還を
一日も早く実現するという、国家の主権に関わる問題である。
現在、北方四島の帰属の問題を解決して日露平和条約を締結し、両国間に真の相互理解
に基づく安定した関係を確立するという一貫した基本方針の下、政府による外交交渉が行
われている。
北方領土返還の早期実現のためには、外交交渉を支える一致した国民世論の高揚とその
持続を図ることが必要であり、そのための国民世論の啓発を着実に進めていく必要がある
(終戦後1万7千人余りいた元島民も、平成 15 年3月末現在、約 8,600 人と半数になり、
平均年齢も 70 歳を超えている。現在、その2世、3世が後継者として運動に参加するよ
うになっている。)。
また、北方領土返還のための環境整備として、日本国民と北方領土在住ロシア人との相
互理解の増進を図るとともに、北方領土問題や北方領土の現状等に対する日本国民の関心
を高めていくことが必要であり、そのための北方四島との交流(訪問事業)を着実に実施
していく必要がある。
(参考)衆・沖縄及び北方問題に関する特別委員会(平成 15 年 2 月 25 日)
○細田国務大臣
「我が国固有の領土である北方領土が、終戦後、旧ソ連軍によって占領され、戦後半
世紀以上を経た今も、なおロシアの不法な占拠のもとに置かれていることは、まことに
遺憾であります。北方四島の帰属の問題を解決して、日ロ平和条約を締結し、両国間に
真の相互理解に基づく安定した関係を確立することは、我が国の一貫した基本方針であ
り、ことし1月の日ロ首脳会談においても、領土問題が今後の両国関係の重要な柱の一
つとして位置づけられております。
私は、昨年 12 月 26 日に根室を訪問し、納沙布岬から北方領土を視察し、四島返還は
我が国として当然の権利であると決意を新たにするとともに、地元関係者の方々からお
話を伺い、島を追われた元島民の皆様の御苦労や四島返還の切実な願い、そして北方領
土隣接地域の厳しい現状について、肌で感じてまいりました。
現在、北方四島の早期返還を目指して強力な国民運動が展開されております。北方領
土の日である2月7日には、仲村委員長、委員の皆様を初め多くの方々の御参加を得て、
北方領土返還要求全国大会が官民共催により開催されました。この日を中心として、全
国各地で県民大会などさまざまな活動が展開されたところであります。
私といたしましては、引き続き全国民的な返還要求運動の推進を支援していくととも
に、特に、次代を担う青少年への啓発事業を重点的に進めてまいります。」
<有効性>
(1) 北方領土返還要求運動は、着実に国民運動として定着している。昭和 62 年、全都道府
県に北方領土返還のための県民会議が設置されるとともに、県民会議をはじめとする各
種団体等による大会、講演会、署名活動等を通じて、地域住民の運動参加が図られてい
る。
また、昭和 40 年から開始された北方領土返還要求署名者数は、民間団体等の積極的
な活動により、平成 14 年度までに 7,500 万人を突破している。
(2) 「「北方領土の日」について」
(昭和 56 年1月6日閣議了解)により、毎年2月7日が
「北方領土の日」とされた。この日、総理、関係閣僚、政党代表等を一同に集めて、北
方領土返還を求める「北方領土返還要求全国大会」が毎年東京で開催されている(平成
15 年で 23 回目)ほか、各地で大会、講演会、署名活動等が行われている。
(2月7日は、1855 年、日露通好条約(下田条約)が調印され、日露両国の国境線が
択捉島と得撫島の間とされた日)
(3) 教育関係者、青少年など重点的な啓発対象を集めた研修会等の実施により、北方領土
問題や北方領土の歴史的経緯・現状等に対する関心も高まっており、北方領土問題啓発
施設「北方館」
(北海道根室市)の入館者数は、平成 14 年度までに 1,070 万人となって
いる。
(4) 北方領土在住ロシア人も、次第に日本人の考え方や生活・文化等を理解するようにな
り、
「我が国国民の北方領土への訪問について」
(平成3年 10 月 29 日閣議了解)に基づ
き平成4年度に北方四島との交流(訪問事業)が開始された時以前と比較して、両者の
緊張感も著しく緩和されている。
現在までの当該事業による北方領土への訪問者は、平成 14 年度までに 5,000 人を超
えている。
(5) 北方四島との交流における意見交換会は、日本国民と北方領土在住ロシア人が、北方
領土問題に関する互いの考えを述べ合う唯一の公的な機会であるが、最近は、ロシア人
の北方領土問題や日本人に対する率直な意見も見られる(その他の発言等については、
別添の関連新聞記事(抄)を参考)。
(例)
○
平成 14 年度の択捉島への訪問時のロシア人の発言(抄)
「北方領土問題というものが原則的に存在しているということは、皆が知っている
と思います。具体的にはビザなし交流が行われるようになった時からだと思いま
す。」
○
平成 14 年度の国後島からの受入時のロシア人の発言(抄)
「学校の中で北方領土問題について特に授業をするということはありません。け
れども、みんなこの問題が存在していて、解決しなければならないということは知
っています。」
○
平成 14 年度の択捉島等からの受入時のロシア人の発言(抄)
「最初 1992 年に交流が始まった当時は、確かにお互いに緊張感があり警戒してい
るようなところがあったのではないかと思います。除々に交流がなされていくごと
にお互いが心を開けるようになったのではないかと思います。」
このように、民間団体等との連携による官民一体となった返還要求運動により、北方領
土の返還の実現に向けて一致した国民世論の高揚とその持続が図られているとともに、日
本国民と北方領土在住ロシア人との交流を通じて、日露間の相互理解の増進等が図られて
いる。
なお、学識経験を有する者からも、おおむね同旨の意見を頂いている。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
北方領土返還要求運動は、今後も着実に行っていくべき課題であり、民間団体等との連
携の強化や、次代を担う若い世代に対する啓発に努める必要がある。
また、北方四島との交流(訪問事業)においては、今後も意見交換会等の交流内容を工
夫し、北方領土問題に関する日本側の主張及び北方領土の歴史的経緯が正しく理解される
ように努める必要がある。
(資料1)
「北方領土の日」について
昭和 56 年1月6日
閣 議 了 解
1
趣
旨
北方領土問題に対する国民の関心と理解を更に深め、全国的な北方領土返還運動の一
層の推進を図るため「北方領土の日」を設ける。
2
期
日
毎年2月7日とする。
3
行
事
北方領土問題関係機関、民間団体等の協力を得て集会、講演会、研修会その他この日
の趣旨に沿った行事を全国的に実施するものとする。
「北方領土の日」設定の理由書
我が国固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島は、戦後35
年を経過した今日、なおソ連の不当な占拠下にある。
これら北方領土の一括返還を実現して日ソ平和条約を締結し、両国の友好関係を真に安
定した基礎の上に発展させるという政府の基本方針を支える最大の力は、一致した粘り強
い国民世論の盛り上がりである。
最近、北方領土問題に対する国民の関心と理解は、着実に深まりつつあるが、全国的観
点にたてば、なお一層の啓発を図る必要がある。
このような現状にかんがみ、毎年2月7日を「北方領土の日」とし、この日を中心とし
て全国的に集会、講演会、研修会等の行事を行い、この問題に対する国民の関心と理解を
更に深め、全国的な北方領土返還運動の一層強力な推進を図ることといたしたい。
なお、2月7日は、1855 年(安政元年 12 月 21 日)日露通好条約が調印された日である。
(資料2)
我が国国民の北方領土への訪問について
平 成 3 年 10月 29日
閣
議
了
解
平成12年12月26日一部改正
(平成13年1月6日施行)
我が国国民の北方領土への入域については、政府は、「我が国国民の北方領土入域
問題について」(平成元年9月19日閣議了解)により、北方領土問題の解決までの間、
これを行わないよう、国民に対し要請してきたところである。
政府としては、平成3年4月18日の日ソ共同声明第4項において、歯舞群島、色丹
島、国後島及び択捉島の北方四島が平和条約において解決すべき領土問題の対象であ
ることが明確に認められ、領土問題の解決を含む平和条約の準備を完了させるための
作業を加速することが第一義的に重要であることが確認されたとの新たな状況を踏ま
え、北方領土に居住するソ連邦国民との交流の新しい枠組みを策定すべくソ連邦側と
交渉を行ってきた。
今般、平成3年10月14日付け日ソ両国外相間の往復書簡により、領土問題の解決を
含む日ソ間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もっ
てそのような問題の解決に寄与することを目的として、かつ、いずれの一方の側の法
的立場をも害するものとみなしてはならないとの共通の理解の下に、我が国国民の北
方領土への訪問を、旅券・査証なしで行うこと等を内容とする新しい枠組みが作られ
た。
政府としては、このような趣旨を踏まえれば、当分の間、新しい枠組みの下での北
方領土への訪問は、北方領土に居住していた者(これに準ずる者を含む。)、北方領
土返還要求運動関係者及び報道関係者で、内閣総理大臣及び外務大臣が適当と認める
ものが内閣総理大臣及び外務大臣が定める手続に従い、団体で実施されることが必要
であると考える。
北方領土への入域は、今後、本件枠組みの下での訪問及び昭和61年7月2日付け日
ソ双方の口上書に基づく墓参のための訪問のみとし、これら以外の北方領土への入域
については、引き続き前記平成元年9月19日付け閣議了解に従って対処するよう国民
各位の理解と協力を要請する。
(注)平成12年12月26日の一部改正は、中央省庁改革に伴い「総務庁長官」を「内閣
総理大臣」に改めた。
(資料3)
我が国国民の北方領土への訪問について
平 成 10年 4 月 17日
閣
議
了
解
平成12年12月26日一部改正
(平成13年1月6日施行)
我が国国民の北方領土への入域については、政府は、「我が国国民の北方領土入域問題につい
て」(平成元年9月19日閣議了解)により、北方領土問題の解決までの間、これを行わないよう、
国民に対し要請してきたところである。
政府は、平成3年10月14日付け日ソ両国外相間の往復書簡により、領土問題の解決を含む日ソ間
の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってそのような問題の解決
に寄与することを目的として、かつ、いずれの一方の側の法的立場をも害するものとみなしてはな
らないとの共通の理解の下に、我が国国民の北方領土への訪問を、旅券・査証なしで行うこと等を
内容とする枠組みを設定した。この関連で、政府としては、このような趣旨を踏まえれば、当分の
間、この枠組みの下での北方領土への訪問は、北方領土に居住していた者(これに準ずる者を含
む。)、北方領土返還要求運動関係者及び報道関係者で、内閣総理大臣及び外務大臣が適当と認め
るものが内閣総理大臣及び外務大臣が定める手続に従い、団体で実施されることが必要であると考
え、平成3年10月29日付け「我が国国民の北方領土への訪問について」の閣議了解を行った。
その後、平成5年10月13日付けの日露関係に関する東京宣言第2項において、両国政府は、北方
領土問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則
を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、もって両国間の関
係を完全に正常化すべきことに合意し、また、上記の往復書簡により設定された枠組みの下で行わ
れてきている歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島に現に居住している住民と日本国の
住民との間の相互訪問を一層円滑化することをはじめ、相互理解の増進へ向けた一連の措置を採る
ことに同意した。さらに、我が国国民の北方領土への訪問を旅券・査証なしで行うこと等を内容と
する前記の枠組みは、平成4年に開始されて以来過去の6年間順調に発展し、北方領土問題解決の
ための環境整備の一環として相互理解の増進を図る上で相当の役割を果してきた。
以上を踏まえ、政府としては、この枠組みによる訪問を更に拡充することとした。このため、当
分の間、この枠組みによる北方領土への訪問は、前記の者に加え、この訪問の目的に資する活動を
行う専門家で、内閣総理大臣及び外務大臣が適当と認めるものにより、内閣総理大臣及び外務大臣
が定める手続に従い、団体で実施されることとする。
北方領土への入域は、今後とも、本件枠組みの下での訪問及び昭和61年7月2日付け日ソ双方の
口上書に基づく墓参のための訪問のみとし、これら以外の北方領土への入域については、引き続き
前記平成元年9月19日付け閣議了解に従って対処するよう国民各位の理解と協力を要請する。
(注)平成12年12月26日の一部改正は、中央省庁改革に伴い「総務庁長官」を「内閣総理大臣」に
改めた。
(資料4)
○
1
関連新聞記事(抄)
国民世論啓発
①
北方領土問題対策協会(東京)は、7日、北方領土問題についての「青少年現地研
修会」と「教育指導者研修会」を根室市で開いた。青少年研修には 36 人の中高生が、
教育指導者研修には 71 の教職員が全国各地から参加。両研修会とも、納沙布岬から
北方領土を視察したほか、歯舞群島出身の元島民の話を聞いた。
(平成 14 年8月9日、全国紙)
道や関係団体 45 団体で構成する実行委員会主催の「2002 北方領土返還要求北海
②
道・東北国民大会」が 29 日、札幌市内で開かれた。大会には元島民や返還運動関係
者ら約 600 人が参加し、北方四島一括返還の基本姿勢を堅持し、不退転の決意で返還
運動を推進することを確認しあった。
(平成 14 年8月 30 日、地方紙)
③ 「第 33 回北方領土復帰促進婦人・青年交流集会」と「第2回北方領土ゼミナール」
が 31 日、根室市内で開かれ、全国の婦人、青年団体のリーダーや大学生約 140 人が
参加した。領土返還運動の将来を探るため、北方領土問題対策協会(東京)などが主
催した。
交流集会では、有識者が、領土問題の現状と展望について講演。ゼミナールでも領
土紛争の他の事例を紹介したり、レポートを課すなどし、学生たちが真剣に取り組ん
でいた。
(平成 14 年9月1日、地方紙)
日本労働組合総連合会(連合)の「北方領土返還要求 2002 平和行動 IN 根室」が
④
19 日から道立北方四島交流センターで始まった。大会には全国から連合加盟の組合
員ら約 850 人が参加、セミナーで北方領土に対する理解を深めた。
連合の平和活動は 20 日午前 10 時 30 分から、納沙布岬の望郷の岬公園で 1,500 人
規模の集会を開き、北方領土の早期返還の集会決議を行う。
(平成 14 年9月 20 日、地方紙)
⑤
細田博之沖縄・北方担当相は 26 日、北方領土視察のため根室市を訪れ、藤原弘根
室市長らの領土早期返還などの要望に対し、
「領土の一日も早い返還と平和条約締結
のため、来年1月の日ロ首脳会談では、小泉純一郎首相には強い姿勢で臨んでもら
う」と述べた。
細田担当相は納沙布岬から北方領土を視察した後会見し、日ロ首脳会談で協議さ
れる予定の日ロ行動計画について「幅広い日ロ関係を全体として進めていく中で、
平和条約締結も前進が図られると認識している」と述べた。
(平成 14 年 12 月 27 日、地方紙)
⑥
小泉純一郎首相は、7日、都内で開いた北方領土返還要求全国大会であいさつし、
「これからの日ロ関係を発展させていく中で、いかに北方領土問題を解決して平和
条約を締結するかが戦後最大の課題の一つだ」との認識を示したうえで「情勢がか
つてのソ連時代からロシアの変わり、大きく変化した。その変化に対応する日本側
の変化も必要ではないか」と語った。
1月の日ロ首脳会談では、中長期的な日ロ関係の方向性を打ち出した日ロ行動計
画で合意。首相は「あらゆる分野で信頼関係を醸成させて領土問題を解決する基盤
をつくる」とした。
⑦
(平成 15 年 2 月7日、全国紙)
「北方領土の日」の7日、根室管内住民大会が市総合文化会館で開かれた。集ま
った返還要求運動関係者ら約 1,000 人は、故郷の地を再び踏むことなく他界した元
島民らに黙とうをささげ、領土問題の早期解決へ向けて決意を新たにした。
大会では、色丹島三世が「祖父母の望郷の願いを実現するためにも、歴史的使命
を自覚し、返還運動に取り組んでいきたい。」と決意表明した。また、管内一市四町
の中学生9人が参加した弁論発表では、最優秀賞の内閣府北方対策本部長賞に根室
市の中学3年生が選ばれた。
2
(平成 15 年2月8日、地方紙)
北方四島との交流
①
ビザなし交流で国後島に滞在している日本側訪問団は 26 日、ロシア人島民と領土
問題をテーマに意見交換会を開いた。参加した尾身幸次・沖縄北方担当相が「1855
年の日ロ通好条約以来、北方四島が外国領土だったことは一度もない」と飛び入り
で反論するシーンもあった。
尾身氏は、
「日本の閣僚として一言申し上げたい」と切り出し、国際法や国際政治
上、四島が日本の領土として認められてきた歴史的経緯を強調した。
(平成 14 年5月 27 日、全国紙)
北方四島への専門家交流事業で、6月 11 日から7月3日まで国後島に日本語講師
②
として派遣されていた2人の講師が3日、根室港に戻った。千島会館で会見した2
人は「日本語に対するロシア人島民の関心は高かった。98 人が受講した」と語った。
受講者は、それぞれ既習者、未習者に、子どもは年齢に分けて、子どもは 40 分か
ら 50 分、大人は夕方 60 分程度にして自己紹介から家族の紹介ができるよう、また、
ビザなし交流で役立てるよう、それぞれに合わせて指導した。
(平成 14 年7月5日、地方紙)
③
北方四島とのビザなし交流で、26 日から択捉島を訪問していた訪問団(62 人)は、
29 日午後、根室港に戻った。歴史学習会や意見交換、各分野に分かれての相互理解
促進セミナーなどを行い、交流を深めた。
帰港後、千島会館で記者会見が行われた。訪問団の団長は、意見交換での領土問
題では、「歴史認識の違いはあるが、率直に意見を交わせるようになった」と述べる
とともに「この認識を縮めるため、さらに四島との交流を続けていく必要がある」
との認識を示した。
(平成 14 年7月 30 日、地方紙)
北方四島とのビザなし交流で、今月 16 日から色丹島を訪れていた青少年訪問団(65
④
人)が 19 日午後零時半、根室港に戻った。青少年訪問団は元島民三世の中学生、高
校生のほか根室管内や富山、愛知、岐阜等の各県や東京都から中学生、高校生が 45
人、同行者ら。ホームステイをしながら斜古丹やマタコタン、穴澗地区でスポーツ
交流や歴史学習会、ロシア語講座に参加した。また、日本人墓地での墓参や水産加
工場などの見学も行われた。
札幌の高校二年生は「ホームステイ先のロシア人の話を聞き、島民の中には領土
の返還に前向きな考えを持っている人も多いことがわかった」。旭川市の高校二年生
は「温かく迎えてくれて感激しました」とそれぞれの感想を述べた。
(平成 14 年8月 20 日、地方紙)
北方四島への日本側のビザなし交流訪問団(一行 62 人)が5日、色丹島から根室
⑤
港に帰港した。一行は歴史学習会や意見交換、餅つきや童謡・唱歌などで交流を深
めた。
歴史学習会では、根室市内の中学社会科教諭が「北方四島教育」の取り組みを紹
介し、歴史的経緯からも四島は日本の固有の領土と主張した。ロシア側の教諭は「終
戦当時のソ連軍が武力で(北方四島の)日本人を追い払ったことは間違っていたと
思う」と、日本側の主張に理解は示した。しかし「現在、島に住む人は悪いことを
したわけではないし、(終戦当時とは)関係ない人たちだ」と語り、とまどいの表情
を見せた。
⑥
(平成 14 年9月6日、全国紙)
北方四島とのビザなし交流で、今年度の日本側からは最後となる全国教育関係者
色丹島訪問団が 22 日、根室港に戻った。19 日に出港し、20 日と 21 日に色丹島の穴
澗、斜古丹に入り、幼稚園や中等学校訪問、墓参、現地教育関係者と交流、また穴
澗では水産加工場も視察した。
訪問団の団長(中学校校長)は「四島問題解決まで風化させてはならない。島民
との友好も大事だが、学校長の立場で今回の訪問を通じて、四島の不法占拠、主権
と領土問題、水産問題を『学校だより』に連載し、地域にも周知したい」と述べた。
副団長(中学校教諭)は「中学校で1年では地理、2年、3年では歴史分野で過
去の背景、公民では主権の観点で取り上げたい」と第一線での社会科教諭として今
回の訪問を現場で生かす用意を見せた。
(平成 14 年9月 24 日、地方紙)
平成14年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
社会連帯等の国民運動
2
政策分野
社会連帯等の国民運動
3
担当部局名
大臣官房企画調整課
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
安心して暮らせる豊かで住みよい社会の実現を目指し、様々な国民的課題の解
決に資するための国民運動の推進を図る。
6
政策の内容
本政策の目標・目的の達成へ向けて、各地で行われている国民の自主的な活動を支
援するため、主な事業として以下の事業を実施。
○ 地域で活動する集団への支援
・ 地域活動に関する都道府県大会の開催
・ 地域活動を推進するリーダーの養成
・ あしたの日本を創る運動全国大会の開催
・ 地域で活動する集団に関する調査
・ 各地の活動集団への情報提供
○ 各種国民運動の推進
・ 豊かなふるさとづくり全国フォーラムの開催
・ ふるさとづくり賞の贈呈
・ 安全なコミュニティづくり運動推進集団の育成
・ 安全なコミュニティづくり研究集会の開催
・ 地球環境と資源エネルギーを大切にする国民運動全国集会の開催
・ 地球環境都道府県フォーラムの開催
・ 子育て環境クリエーター講座の開催
・ こどもの活力を育むシンポジウムの開催
・ 小さな親切運動全国フォーラムの開催
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
地域社会運動
豊かな社会づくり
その他
計
8
平 成 11年 度
平 成 12年 度
123
平 成 13年 度
平 成 14年 度
120
98
35
123
35
35
52
8
8
8
10
166
166
163
160
政策評価の観点及び基準
・ 国民運動の推進を図るという本政策が、社会のニーズ等からみて必要であるか
どうかという観点から評価
・ 国民運動の推進が、国民的課題の解決をはかる上で効果があるか、また、本施
策が国民運動の推進に効果をあげているかという有効性の観点から評価。
9
・
・
・
・
政策効果の把握の手法又は指標
行事参加者へのアンケート調査結果(参考指標)
運動ネットワークホームページへのアクセス数(参考指標)
地球環境問題に対する国民意識の推移の数値(参考指標)
各地での活動人員及び地域的な広がりの状況(参考指標)
10
学識経験を有する者の知見の活用
・ 環境保全活動の活性化方策について(中間報告)
〔 平 成 14年 12月 17日 中 央 環 境 審 議 会 〕
・ 省エネルギー部会報告書−今後の省エネルギー対策のあり方について−
〔 2001年 6 月 総 合 資 源 エ ネ ル ギ ー 調 査 会 省 エ ネ ル ギ ー 部 会 〕
・ 高橋勇悦教授(大妻女子大)及び江上渉教授(成蹊大学)のコメント
11
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
「地球温暖化問題に関する世論調査」(平成9年6月総理府調査)
「 地 球 環 境 と ラ イ フ ス タ イ ル に 関 す る 世 論 調 査 」 ( 平 成 10年 11月 総 理 府 調 査 )
「地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査」
( 平 成 13年 7 月 内 閣 府 調 査 )
・ 「 社 会 意 識 に 関 す る 世 論 調 査 」 ( 平 成 14年 12月 内 閣 府 調 査 )
・
・
・
12
政策評価の結果
<必要性>
・ 現在、我が国は省資源・省エネルギー問題、環境問題、高齢・少子化問題、防災問
題など、解決しなければならない幾多の重要課題を抱えているが、これらの多く
は、国民一人一人の日々の生活や地域の草の根レベルにおける対応や取組がその問
題の解決の重要な鍵となるものである。
これらの問題を解決するためには、行政施策として取り組むことはもとよりである
が、同時に、地域に暮らす国民一人一人がその生活や地域の中で問題意識を持ち、
育て、自主的に取り組むことや地域レベルでの共同、協力した対応、つまり国民運
動としての取組が必要不可欠であるが、地球環境問題等の国民的課題の解決に資す
るための国民運動の推進を図るという本施策は、課題自体が、外部性ないし公共財
的性格を有していることから、民間の自主的活動のみにたよることは適当ではな
く、運動の方向性を示すなど、行政の関与が必要である。
・
国民的課題の解決をはかるうえで、その問題に対する国民(民間)の自主的な取組
がいかに必要かつ不可欠であるかは、有識者により構成されている審議会等からも
指摘されている。
○環境保全活動の活性化方策について(中間報告)
〔 平 成 14年 12月 17日 中 央 環 境 審 議 会 〕 − 抜 粋 −
4.具体的施策の考え方
・ 基本的な考え方
∼略∼ 進展が期待される自発的な環境保全活動は、各地域において、
地域住民や民間団体、社会貢献活動を行おうとする企業などの主体
が、それぞれの役割を認識し、それぞれの使命感や問題意識に応じ
て自発的に取組を行うことが基本である。 ∼略∼
○省エネルギー部会報告書−今後の省エネルギー対策のあり方について−
〔 2001年 6 月 総 合 資 源 エ ネ ル ギ ー 調 査 会 省 エ ネ ル ギ ー 部 会 〕 − 抜 粋 −
2.今後の省エネルギー対策の検討に当たっての基本的考え方
・国民の省エネ行動を支援する視点
∼略∼ 昨今のエネルギー需要動向を見ると、国民一人一人が原因者
である家計部門の需要の伸びが企業部門に比べより高くなっており
、更なる対策においては、国民一人一人から省エネルギーのための
協力を引き出していくことが不可欠である。∼略∼
・
国民運動は、国民の自主的な意欲(運動に参加し、社会に貢献する意欲)があって
はじめて効果的に推進されるものであるが、その国民の意欲(社会のニーズ)がど
う あ る か に つ い て 「 社 会 意 識 に 関 す る 世 論 調 査 」 ( 平 成 14年 12月 内 閣 府 調 査 ) に よ
り検証してみると、
問
国民は、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」という意見と、
「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」という意見がありますが、あな
たのお考えは、このうちどちらの意見に近いですか。
国や社会のことにもっと目を向けるべきだ
個人生活の充実をもっと重視すべきだ
一概に言えない
わからない
問
( 44.7% )
(33.9% )
(17.9% )
( 3.5% )
あなたは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思
っていますか。それとも、あまりそのようなことは考えていませんか。
思っている
あまり考えていない
わからない
(58.9% )
(37.5% )
( 3.7% )
となっており、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」と思っている者が
45% に の ぼ り 、 「 個 人 生 活 の 充 実 を も っ と 重 視 す べ き だ 」 と 思 っ て い る 者 を 10%
以上上回っている。また、「日頃、社会の一員として、社会のために役立ちたいと
思 っ て い る 」 者 は 59% で 、 「 あ ま り 考 え て い な い 」 者 の 38% を 大 幅 に 上 回 っ て お
り、過半数の国民が、社会に貢献したいという意欲を持っていることが伺える。
<有効性>
・ 行事参加者へのアンケート調査結果
主な行事へ参加した者を対象に実施したアンケート調査結果によると、各行事に
対して、回答者の9割程度が肯定的な意見であり、参加者から高い評価を得て
いることがわかる。
・
あしたの日本を創る運動全国大会
家庭や地域社会が当面している問題(子育て、学校5日制と地域社会、熟年者の
社会参加、介護、循環型社会への転換等)を取り上げ、パネルディスカッショ
ン、分科会、全体討議などを行うことにより、これらの問題の解決を目指す具体
的 な 活 動 方 策 等 に つ い て 研 究 、 討 議 す る こ と を 目 的 に 、 平 成 14年 9 月 に 東 京 に お
いて開催。
○大会の評価(回答者:193)
問
あなたは全国大会に参加してよかったと思いますか。
非常によかった
よかった
あまりよくなかった
非常によくなかった
どちらともいえない
( 24.9% )
( 64.8% )
( 6.7% )
(
)
( 3.6% )
・
豊かなふるさとづくり全国フォーラム
住み良い地域社会の創造を目指して、個性豊かな地域づくり運動に取り組む集団
の活動を広く国民にアピールするとともに、地域づくりを実践している者の交流を
促進し、今後の地域づくり活動の在り方等について研鑚を深めることを目的に、平
成 14年 11月 に 静 岡 県 に お い て 開 催 。
○全国フォーラムの評価(回答者:87)
問
あなたは全国フォーラムに参加してよかったと思いますか。
非常によかった
よかった
あまりよくなかった
非常によくなかった
どちらともいえない
・
( 29.9% )
( 66.7% )
(
)
(
)
( 3.4% )
こどもの活力を育むシンポジウム
子どもを取り巻く諸問題の現状、家庭や地域として取り組むべき課題等について
検討を行い、こどものための地域教育力を回復する方策を探るとともに、この問題
に対する地域の関心を高め、運動への参加を促進することを目的に、福井県(平成
14年 7 月 ) 、 茨 城 県 ( 平 成 14年 11月 ) に お い て 開 催 。
○シンポジウムの評価(回答者:150)
問
シンポジウムの内容についてはいかがでしたか。
参考になった
参考にならなかった
どちらともいえない
・
( 89.3% )
( 2.0% )
( 8.7% )
運動ネットワークホームページへのアクセス数
全国の活動集団への情報提供を目的とする国民運動情報システムを通じて、全国
各地の活動事例、活動集団プロフィール、活動を支援するする者を紹介するアドバ
イザー情報、活動を行う上でのノウハウなど、各地で行われている活動を支援する
情報を提供しているが、このネットワークへのアクセス数も着実に増加しており、
各地における運動が着実に進展していることが伺える。
(ネットワークへのアクセス数)
・
平 成 12年 度
平 成 13年 度
平 成 14年 度
18,429
22,312
37,374
地球環境問題に対する国民意識の推移
国民的課題を解決するためには、国民一人一人が問題意識を持ち、自主的に取り
組むことが重要な鍵となるが、その国民意識の推移について、「地球温暖化防止と
ラ イ フ ス タ イ ル に 関 す る 世 論 調 査 ( 平 成 13年 7 月 内 閣 府 調 査 ) 」 、 「 地 球 環 境 と
ラ イ フ ス タ イ ル に 関 す る 世 論 調 査 ( 平 成 10年 11月 総 理 府 調 査 ) 」 及 び 「 地 球 温 暖
化問題に関する世論調査(平成9年6月総理府調査)」の結果を比較してみると、
以下のようになる。
問
あなたは、地球温暖化防止のため、個人の日常生活における取り組に
ついて、どのようにお考えになりますか。あなたのお考えに最も近いも
のをこの中から1つだけお答えください。
( 平 成 10年 ) ( 平 成 13年 )
積極的に取り組む
7.7%
9.6%
できる部分があれば取り組む
66.4%
70.4%
問
地球の温暖化は、国民一人ひとりが省エネルギーの努力を行うことに
よって、かなりの程度防止することができると言われています。あなた
は、ご自身が省エネルギーを行うことによって地球温暖化の防止に貢献
できるということを知っていますか。
( 平 成 9 年 ) ( 平 成 13年 )
知っていた(知っている)
78.3%
81.5%
・
関係省庁との連携
国民運動は、取り組む課題が多肢にわたるため、関係する他の省庁との連携が必
要となるが、行事等を行うに際しては、適宜関係省庁の協力を得て、運動の効
果的・効率的な推進に努めている。
○ふるさとづくり賞の贈呈
審査委員として、総務省、経済産業省の協力を得る。
○地球環境と資源エネルギーを大切にする国民運動全国集会
幹事会オブザーバー、検討委員会委員等として、環境省、経済産業省の協
力を得る。
○あしたの日本を創る運動全国大会
アドバイザーとして、厚生労働省、環境省、農林水産省、文部科学省、パ
ネリストとして環境省の協力を得る。
・ 各地での活動人員及び地域的な広がりの状況
本施策の有効性についての一つの指標として、活動に携わる人の数、地域的な
広がりの程度が考えられる。
各地において、省資源・省エネルギー、子育て、高齢化などの諸問題に自主的
に取り組み、地域における活動の中核的存在でもある「生活学校」、「生活会
議 」 ( 通 称 ) に つ い て み て み る と 、 「 生 活 学 校 」 は 、 全 国 で 1,000 を 超 え る 集 団 、
約 50,000 人 が 自 主 的 に 活 動 し て お り 、 「 生 活 会 議 」 も 同 様 に 30,000 人 を 超 え
る者が活動に携わっている。
ま た 、 平 成 14年 度 に お け る 本 施 策 に か か る 主 な 関 連 事 業 の 内 容 、 開 催 地 、 参 加 人
数等は別紙のとおりであり、全国各地で多くの人により運動が展開されている
状況が伺える。
(学識経験を有する者の意見)
○高橋勇悦大妻女子大学教授(都市社会学・地域社会学)
・ 世界の問題状況は地域の日常生活に大きくかかわる。現在は、グローバル社会
における「地域社会」の時代であり、今後一層「地域社会」の重要性が大きくな
る 。 21世 紀 は 「 地 域 社 会 」 の 時 代 で な け れ ば な ら な い 。
・ 地域住民の自主的な活動を支援する施策は必要。住民の側もそれを求めている
部分がある(社会に貢献したい意欲があってもきっかけがない、何をすれば良い
のかわからない等)。
・ 国の支援は必要であるが、いわゆる官主導型は好ましくない。縦割りの弊害を
排除し、効率的に行うことが必要。
・ 活動集団が自立するための支援は必要であるが、自立した活動集団に対して
は、行政のパートナーとして対応すべき。
・ 現在行われている「ふるさとづくり賞」などは、その応募書類だけを見ても、
各地で行われている活動実態のデータとして貴重。
・ 住民活動の中心テーマとしては、環境保全(環境の保全・保護、資源活用、リ
サイクル)、安全・安心(犯罪・災害・食品・疫病等の問題に対する防犯・防衛
活動)、交流・ふれあい(子育て問題、介護問題、外国人問題)などがあるが、
安全・安心は地域社会に住むすべての人間の共通の問題。
○江上渉成蹊大学教授(都市社会学)
・ 国が住民活動を主導する時代ではない。官主導から衣替えをし、国は国民の自
主的・自立的な活動を支援する形が望ましい。
・ 内閣府が支援してきた各地の活動集団(生活学校、生活会議)が、地域づくり
に果たしてきた役割は大きい。地域におけるコミュニティ活動の重要な資源。
・ 活動集団にとって、他で行われている活動を知る意味は大きい。活動を相対化
することによって、初めて自分たちの活動を知ることになる。その意味で、各地
で活動している集団の情報を提供することは重要。今後は、活動集団相互に情報
交換が可能な体制を整えることが必要。
・ 活動集団は、外部から評価を受ける機会が少ない。「ふるさとづくり賞」など
は、各地で地域づくり活動を行っている集団の活性化を図る上でも有効。
・ 住民活動を研究するための調査を行うにしても、調査票による調査を行うだけ
では不十分。実態を把握するためには、一定の期間調査員をはりつけるなどの工
夫が必要。
・ 同様の活動を行っている集団に対し、一律に支援を行うことは非効率。内容等
を勘案し、必要なところに必要な支援を行うことが望ましい。
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
活動テーマの適宜の見直し
支援を行う活動については、地球環境、省資源・省エネルギー、安全の確保、
少子化問題等その解決に国民の協力が不可欠なもの、時代に即応したものとし、
適宜見直しを行う。
・ 国民(社会)のニーズの把握
地域住民及び実際に活動に参加している者の意識等の把握に努め、国民(社
会)のニーズも踏まえた運動の推進を図る。
・ 効果的な情報の提供
各地で自主的に行われている活動の内容等の一層の把握に努めるとともに、そ
れらを含めて活動集団に提供する情報の充実を図る。
・ 関係省庁、関係部局等との連携
・
運動を効果的・効率的に支援するため、各課題に関係する省庁、部局等との一
層の連携を図る。
別
紙
平成14年度主な事業の内容等
1.地域で活動する集団への支援
・
地域活動等に関する都道府県大会の開催
(内容)
国民的課題の解決にむけての地域活動方策等について、地域で実際
に活動に携わっている者による検討・討議等を行う。
( 14年 度 実 績 )
・
〔開催地〕
全国22都道府県
[参加者〕
約6,000名(総数)
地域活動を推進するリーダーの養成
(内容)
地域活動団体のリーダーを養成するため、対処すべき課題やその取
組み方策等についての講座を開催。
( 14年 度 実 績 )
・
〔開催地〕
秋田県、栃木県、滋賀県
[参加者〕
111名(総数)
あしたの日本を創る運動全国大会の開催
( 14年 度 実 績 )
・
〔開催地〕
東京都
[参加者〕
440名
地域活動集団に関する調査
(内容)
大都市、中小都市、町村等からモデル地区を選び、各種の活動集団、
NPO、ボランティア団体、自治会、町内会等がいかなる機能を果
たし、地域社会からいかなる評価を受けているか、今後どのような
役割を期待されているか等の調査を行う。
( 14年 度 実 施 地 区 )
東京都北区、東京都立川市、秋田県秋田市、新潟県巻町、大阪府熊
取町
2.各種国民運動の推進
・
豊かなふるさとづくり運動の推進
・
豊かなふるさとづくり全国フォーラムの開催
( 14年 度 実 績 )
・
〔開催地〕
静岡県
[参加者〕
327名
ふるさとづくり賞の贈呈
(内容)
地域づくり運動において、大きな成果を挙げた集団等に対し、そ
の功績を顕彰するとともに、その活動を広く周知することを目的
に実施。
( 14年 度 実 績 )
応募総数:196件
○内閣総理大臣賞
出雲歌舞伎むらくも座
岐阜県山岡町
小島プレス工業株式会社
○内閣官房長官賞
栃工高国際ボランティアネットワーク
石川県尾口村
・
安全なコミュニティづくり運動の推進
・
安全なコミュニティづくり運動推進集団の育成
(内容)
全ての住民が安全に安心して生活できるコミュニティの実現を目
指して、安全なコミュニティづくりに自主的に取り組む集団を支
援するため、専門家の派遣、情報の提供等を行う。
( 14年 度 選 定 集 団 )
・
秋田県
由利町リサイクル婦人の会生活学校
茨城県
塙山学区すみよいまちをつくる会
東京都
多摩市しあわせ生活学校
神奈川県
共に生き支え合うふるさとづくりを目指す会
新潟県
小出中央コミュニティ協議会
新潟県
新潟市・坂井輪小学校区自主防災会
宮崎県
大塚地区生活会議
安全なコミュニティづくり研究集会
(内容)
安全なコミュニティづくり運動に取り組む集団の関係者が、それ
ぞれの活動実績を発表するなど、相互に情報交換を行い、運動の
進め方等について研究、討議を行う。
( 14年 度 実 績 )
〔開催地〕
東京都
[参加者〕
110名
・
地球環境と資源エネルギーを大切にする運動の推進
・
地球環境と資源エネルギーを大切にする国民運動全国集会の開催
(内容)
地球温暖化防止や省資源・省エネルギー運動を推進している関係
者等が一堂に会し、地球温暖化対策の進展と拡大を図る方策を考
察し、その重要性を周知・啓発する。
( 14年 度 実 績 )
・
〔開催地〕
東京都
[参加者〕
243名
地球環境都道府県フォーラムの開催
( 14年 度 実 績 )
〔開催地〕
全国13都府県
[参加者〕
約3,700名
・
子どもの活力を育む運動の推進
・
子育て環境クリエーター講座の開催
(内容)
子どもをめぐる様々な問題の解決には、地域の人々の理解と協力
が不可欠である。子育て中の者を対象に、子育てに関する知識や
仲間づくりのノウハウ、行政や地域団体との連携方策等について
の講座を開催し、地域のより良い子育て環境を創りだす人材の育
成を支援する。
( 14年 度 実 績 )
・
〔開催地〕
茨城県、福井県
[参加者〕
67名(総数)
子どもの活力を育むシンポジウムの開催
( 14年 度 実 績 )
・
〔開催地〕
茨城県、福井県
[参加者〕
317名(総数)
小さな親切運動の推進
(内容)
広く国民の間に「小さな親切」の実践を呼びかけ「小さな親切」
を前提とする新たな社会道義の確立を目指すことを目的として、
全国で展開されている小さな親切運動を促進するため、各地の運
動関係者による全国フォーラムを開催。
( 14年 度 実 績 )
〔開催地〕
東京都
[参加者〕
1200名
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
世論の調査
2
政策分野
政府広報・広聴活動
3
担当部局名
大臣官房政府広報室
4
評価方式
実績評価
5
政策の目標・目的
世論調査の実施により,国民の基本的な意識の動向及び政府の重要施策に関する国民の
意識を公正,中立かつ正確に把握し,国政モニター制度により,政府の重要施策等に対す
る一般国民からの幅広い意見,要望などを聴取することで,政府施策の企画立案等に資す
る。
6
政策の内容
(1) 国民の基本的な意識の動向及び政府の重要施策に関する国民の意識を公正,中立かつ正
確に把握し,政府施策の企画立案等に資するため世論調査を実施。(平成 14 年度実施分
を中心に評価)
①
証券投資に関する世論調査の実施
②
国民生活に関する世論調査の実施
③
男女共同参画社会に関する世論調査の実施
④
臓器移植に関する世論調査の実施
⑤
児童の性的搾取に関する世論調査の実施
⑥
防災に関する世論調査の実施
⑦
外交に関する世論調査の実施
⑧
社会意識に関する世論調査の実施
⑨
自衛隊・防衛問題に関する世論調査の実施
⑩
人権擁護に関する世論調査の実施
⑪
公的年金制度に関する世論調査の実施
(2) 政府の重要施策等に対する一般からの幅広い意見要望を聴取するために国政モニター
制度を運用。
①
随時報告の実施
②
課題報告の実施
③
モニター会議の実施
7
予算事項名及び予算額(単位:百万円)
予算事項名
平成 11 年度
世論調査委託費
平成 14 年度
322
322
227
22
22
22
22
344
344
344
249
務費(モニター)
8
平成 13 年度
322
政府広報一般事
計
平成 12 年度
政策評価の観点及び基準
(1) 世論調査について
国民のニーズを把握する施策世論調査について,関係府省の調査ニーズの観点から施策の
必要性を評価。
調査手法の適切性と適切と考えられる調査手法を採用した場合の調査実施の価格の観点
から施策の効率性を評価。
行政府における世論調査結果の利活用状況及び民間における調査結果の利活用状況,調査
手法,客体数,調査票の中立性,回収率,調査結果の提供サービスの観点から有効性を評
価。
(2) 国政モニター制度について
国民から政府の施策に対する意見要望を聴く施策国政モニター制度について,意見要望等
の聴取状況及び各府省への配付実績等の観点から施策の必要性を評価。
国政モニターの募集方法,選定方法,国政モニター会議開催方法の観点から有効性を評価。
9
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
(1) 世論調査
① アウトプット指標
・各府省からの世論調査の要望実績
指標の性質
参考指標
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
要望件数
47 件
38 件
29 件
24 件
21 件
実施件数
12 件
14 件
14 件
14 件
11 件
(出所)内閣府にて集計
・ 世論調査の回収率(全世論調査の単純平均)
指標の性質
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
70.4%
70.4%
70.3%
69.7%
70.3%
達成目標
(70%以上)
(出所)内閣府にて集計
(考慮されるべき外部要因)プライバシー意識の高まり等による調査環境の悪化
② アウトカム指標
・各府省の世論調査結果の利活用の実績・予定
(参考指標)下記「12
定」参照
政策評価の結果」及び別紙4「調査結果の利活用実績及び利活用予
・世論調査ホームページのアクセス件数(ページビュー)
指標の性質
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
参考指標
−
−
−
63 万件
108 万件
(出所)内閣府にて集計
・報告書の配布・貸し出し件数
指標の性質
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
参考指標
1,464 件
1,628 件
1,385 件
1,465 件
1,132 件
(出所)内閣府にて集計
(考慮されるべき外部要因)14 年度よりインターネット掲載情報の充実
(2) 国政モニター
①アウトプット指標
・国政モニター(随時報告)の報告件数及び関係府省への配布件数(重複分を含む)
指標の性質
報告件数
参考指標
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年
平成14年
2222件
3355件
2642件
1901件
2086件
(1人平均) (4.0件) (6.1件) (4.8件) (3.5件) (3.8件)
配布件数
−
−
−
4720件
4533件
(出所)内閣府にて集計
・国政モニター(課題報告)の報告件数(=関係府省への配布件数)
指標の性質
参考指標
総件数
(1課題平均)
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年
平成14年
1110件
772件
1152件
2565件
1404件
(278件) (257件) (230件) (321件) (351件)
(出所)内閣府にて集計
②アウトカム指標
・各府省の課題報告結果の利活用の状況
(参考指標)下記「12
政策評価の結果」及び別紙8「国政モニター課題報告の目的及び利
活用」参照
・国政モニターホームページのアクセス件数(ページビュー)
指標の性質
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
参考指標
−
−
−
−
8 万8千件
(出所)内閣府にて集計
(考慮されるべき外部要因)14 年度よりインターネット掲載を開始
10
学識経験を有する者の知見の活用
(1) 下記からなる世論の調査評価委員会を設置し,調査の必要性及び有効性(調査の必要
性,調査方法の妥当性,標本数の妥当性,調査票の中立性,報告書の質),国政モニター
の必要性及び有効性(随時報告・課題報告・国政モニター会議の必要性,公募による募集
方法・募集人員・任期・都道府県別職種別割り当て人数・国政モニター会議の開催方法の
妥当性)に対して意見聴取(別紙2,7)
(2) 同時に,改善事項等について意見聴取(別紙5,9)
<世論の調査評価委員会メンバー>
11
飽戸
弘
東洋英和女学院大学教授
川上
和久
明治学院大学教授
小林
和夫
(株)リサーチインターナショナル・ジャパン相談役
鈴木
孝雄
(社)日本新聞協会営業業務部長
鈴木
榮
日本アイ・ビー・エム株式会社顧問
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
・世論調査,課題報告の各省庁における利活用の状況
・世論調査やモニター制度の必要性に関する世論調査結果(別紙 1)
・国内有力調査会社からの調査経費見積り(別紙3)
・『世論調査の現況』(平成 14 年度版)
12
政策評価の結果
(1) 世論の調査の必要性
世論調査や国政モニター制度などの「世論の調査」は,国民や社会のニーズを反映した政
策を行うためにこれらを把握する広聴活動と位置付けられており,言うまでもなく,その目的
は国民や社会のニーズに適っている。
また,政府が国民や社会のニーズを反映した政策を企画立案するにあたり国民世論の動向
を把握することは,政策を実施する主体として政府が自ら行うべき不可欠な活動である。
(2) 世論調査の必要性
①
政府広報室が実施する世論調査の役割
政府広報室が実施する世論調査については,原則として各府省の要望に基づき調査を実
施する。調査の実施にあたっては,施策に対して中立な立場である政府広報室が調査事項
を調整することで,偏りのない調査を企画することができること,政府施策の調査を集中
して実施することから効率的で正確な調査を実施することができる。
②
各府省からの世論調査の要請実績
政府広報室世論調査は各府省から要望のある調査テーマについて,関連する政策の重要
性や具体的利活用の予定等を考慮し,調査実施テーマを選定している。
平成 14 年度の世論調査実施件数は 11 件であるが,実際には各府省から実施件数の約倍
にあたる 21 件の調査実施の要請があり,国民の意見を把握を政策に反映させるための手段
である世論調査に対する行政機関のニーズは依然として高い。
なお,近年世論調査の要望件数は減少傾向にあったが,平成 15 年度調査の要望は 23 件
の要請があり要望数は増加している。(9「各府省からの世論調査の要望実績」指標参照)
③
世論調査に関する世論調査の結果
中央調査社が実施する個別面接聴取法によるオムニバス調査を活用して,国や地方自治
体の世論調査の必要性について調査した結果,国や地方自治体の世論調査が必要であると
した者の割合は 84.1%(「必要である」37.2%+「ある程度は必要である」46.9%),必要
でないとした者の割合は 9.3%(「あまり必要ではない」6.5%+「必要ではない」2.7%)
となっており,約 8 割の者が必要であるとの評価を行っており,国民や社会のニーズに適
っていることを示している。(別紙1「オムニバス調査の結果」)
また,意見や要望を国政に反映させるための方法として充実してもらいたい事項とし
て「世論調査などの調査活動の充実」をあげた者が 35.5%と最も高くなっている。
(別紙 1
「世論調査やモニター制度の必要性に関する世論調査結果」参照)
④
各調査の必要性に対する評価委員からの意見
調査ごとに評価委員に対して実施した調査の必要性に対するアンケート調査の結果はほ
とんどの調査でほとんどの委員から「必要である」との回答を得ており,その必要性が概
ね承認された。(別紙2「評価委員アンケート結果」)
⑤
世論調査ホームページのアクセス件数
世論調査の結果は報告書にまとめられ各府省に配布され政策の企画立案等に利活用にさ
れると同時にホームページに調査結果を掲載し,一般にも広く利用できるよう配慮してい
る。
平成 13 年度中のホームページアクセス件数は,1 年で 63 万ページビューのアクセスがあ
った。平成 14 年度中のホームページアクセス件数は,1年で 108 万ページビューのアクセ
スがあり,一般にも調査結果が活用されている。
なお,平成 14 年度初期に平成 8 年度以降の調査結果しか掲載していなかったものを平成
元年以降の調査結果まで掲載し,より一層の情報提供に努めたために,平成 14 年度のアク
セス件数が増加したものと判断している。(9「世論調査ホームページのアクセス件数」指
標参照)
⑥
報告書貸し出し・配布件数
世論調査の結果は一般にも広く利用できるように図書館等へ報告書を配布すると同時に
政府広報室においても報告書の配布・貸し出しを行っている。
平成 14 年度の貸し出し・配布件数は 1132 件であり,一般においても調査結果が活用さ
れている。なお,平成 13 年度中の政府広報室からの貸し出し・配布件数(1465 件)から減
少しているが,これは,ホームページを充実したことと,調査実施件数が少なかったこと
によるものと考えている。(9「報告書の配布・貸し出し件数」指標参照)
(3) 世論調査の効率性
世論把握の手法と妥当な調査手法の調査会社からの見積り額と落札価格
「世論」を把握する手段として,当室が採用している個別面接聴取法による世論調査の
ほかに,面接面前記入法,面接留置法,面接郵送回収法,郵送調査,電話調査,インター
ネット調査などの手段があり,それぞれの調査にはメリットデメリット両面がある。一般
的にこれらの調査手法より個別面接聴取法による調査の方が高価であるが,昭和 51 年のN
HKの研究「調査方式の比較研究−個人面接法など4方式の実験調査−」における個別面
接聴取法,面接面前記入法,面接留置法,面接郵送回収法の比較によると,回収の有効率
(回収数から回答違反を除く有効回収)はこれらの4調査の中で個別面接聴取法がもっと
も高い。さらに個別面接聴取法に近い電話調査も内閣府施策調査のような施策に対する意
見を聴取する設問の難易度の高い調査の調査方法には向いていない。郵送法は回収の確保
が困難であり,インターネット調査は母集団に課題が残っている。よって個別面接聴取法
が内閣府世論調査としてふさわしい手法であると考えられる。
実際に調査ごとに評価委員に対して実施した調査手法の妥当性に対するアンケート調査
の結果はほとんどの調査でほとんどの委員から「妥当である」との回答を得ており,個別
面接聴取法が内閣府世論調査の調査手法として妥当であるとの評価を得ている。(別紙2
「評価委員アンケート結果」)
この妥当な調査手法を採用し,当該手法による全国規模の実査及び集計を民間に委託す
るにあたっては,①全国に拠点を有しており②過去2年のうちで個別面接聴取法による全
国調査の実績がある調査会社による一般競争入札により委託先を選定している。平成 14 年
度調査についても同様な手続きを行っているところではあるが,落札価格を評価するため
に応札業者以外の見積価格を収集し比較した結果,落札価格が最も安価であり,入札が適
正に機能し,効率的な価格で調査を実施していると判断される。
(別紙3「10,000 サンプル
個別面接聴取法による調査の応札価格及び見積価格」)
(3) 世論調査の有効性
①
各府省の施策世論調査結果の利活用の実績と利活用の予定
各府省から要請され実施された世論調査の結果は,各府省においてそれぞれの政策の企
画立案作業や広報活動等の基礎資料として利活用されることとなる。本年度実施した世論
調査のうち,結果公表後半年を過ぎある程度の利活用を行う時間が与えられている世論調
査についてその利活用の実態,半年を過ぎていない世論調査についてはその利活用の利活
用の予定を以下に示す(詳細は別紙4「調査結果の利活用実績及び利活用予定」)。各府省
において実際に結果が十分活用されている又は十分に活用される予定となっている。なお,
国民生活に関する世論調査と社会意識に関する世論調査は政府広報室が独自に企画実施し
ている世論調査である。
(ア) 証券投資に関する世論調査(金融庁における主な活用)
調査結果等を踏まえ、平成 14 年 8 月に「証券市場の改革促進プログラム」を策定し、
「銀行と証券会社の共同店舗の解禁」のために内閣府令の改正を行ったほか,「証券取
引法の一部を改正する法律(案)」を国会に提出するなど、証券市場を投資しやすく、
信頼性の高いものとするための対応を行った。
(イ) 男女共同参画社会に関する世論調査(内閣府における主な活用)
男女共同参画会議での「女性のチャレンジ支援策」の検討の基礎資料としたほか,男
女共同参画白書や国際比較調査の日本調査分として活用した。
(ウ) 臓器移植に関する世論調査(厚生労働省における主な活用の実態)
15 歳未満の臓器提供等臓器移植をめぐる諸課題について、厚生科学審議会疾病対策部
会臓器移植委員会等において検討を行う際の基礎資料としたほか、「臓器の移植に関す
る法律」の附帯決議に基づく国会報告の資料として活用した。
(エ) 児童の性的搾取に関する世論調査(活用の実態)
「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法
律」(案)を作成する際の基礎資料とした。
(オ) 防災に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
防災教育及び防災情報の共有化の分野において,中央防災会議の専門調査会で具体的
な施策をとりまとめる予定であり最終とりまとめの検討資料として活用するほか防災
白書の基礎資料とする予定である。
(カ) 外交に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
外交政策の企画立案のための基礎資料とする。外務省本省及び在外公館における外交
政策の企画・立案のための参考資料,各種資料の作成(外交青書,広報パンフレット等)
,
在京各国大使館や在外公館において外交に関する日本国民の意識を対外的に説明する
ための資料,要人訪日(また日本の要人による外国訪問)の際の参考資料などに幅広く
活用する予定である。
(キ) 自衛隊・防衛問題に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
防衛政策の立案等のための基礎資料にするとともに、広報施策の立案等のための参考
資料として活用している。また、防衛庁ホームページ等に調査結果を掲載して情報提供
を実施した。今後は、防衛白書への掲載も予定している。
(ク) 人権擁護に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成 12 年法律第 147 号)」の第7条の規
定で策定された「人権教育・啓発に関する基本計画(平成 14 年 3 月閣議決定)」に基づ
くフォローアップ実施の基礎資料とする予定である。
(ケ) 公的年金制度に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
少子高齢化の進行等を踏まえ、平成 16 年に公的年金制度改正が予定されており,そ
の検討の際の基礎資料とする。
②
サンプルサイズの妥当性に対する評価委員からの意見
調査ごとに評価委員会に対して実施したサンプルサイズの妥当性に対するアンケート調
査の結果はほとんどの調査でほとんどの委員から「妥当である」との回答を得ており,そ
の妥当性が概ね認められた。(別紙2「評価委員アンケート結果」)
③
調査票の中立性に対する評価委員からの意見
調査ごとに評価委員会に対して実施した調査票の中立性に対するアンケート調査の結果
はほとんどの調査でほとんどの委員から「中立である」との回答を得ており,調査票の中
立性が概ね認められた。
(別紙2「評価委員アンケート結果」)
なお,評価委員から個別調査ごとに調査票の質の向上のための提案があったことから,来
年度以降,同様の調査を行う場合,当該意見を参考にして調査票を作成する。
(別紙5「評
価委員からの指摘事項」
)
④
回収率
回収率は調査結果の正確性を測る一つの指標であり,調査の信頼性を高めるためにその水
準を適正に保つ必要がある。一方で,近年のプライバシー意識の高まり等から調査の実施
環境は悪化の一途をたどっている。さらに,政府広報室が実施する世論調査はその中立性
を確保する観点から調査対象者に内閣府調査であることを原則として示すことなく実施し
ており,回収率を高いレベルで維持することが困難となっている。
このような状況の中で,政府広報室は入札仕様書の中で回収率 70%の確保を受託会社の
努力既定として設け,回収率 70%以上を目標としている。
平成 14 年度の調査については回収率の単純平均で 70.3%となっており,70%の水準を維
持している。
(9「世論調査の回収率(全世論調査の単純平均)」指標参照)
個別調査の回収率は以下のとおりの結果となっており,11 の調査のうち8つ調査で 70%
を達成しているが,一部調査において 70%を下回ったものもあり,今後,回収率の向上を
受託会社に求めるとともに,実施主体として設問の分量軽減等,回収率の維持に努めるよ
う努力する。
・証券投資に関する世論調査
中央調査社
71.7%
・国民生活に関する世論調査
中央調査社
72.5%
・男女共同参画社会に関する世論調査
中央調査社
71.2%
・臓器移植に関する世論調査
新情報センター
70.0%
・児童の性的搾取に関する世論調査
新情報センター
64.9%
・防災に関する世論調査
中央調査社
71.8%
・外交に関する世論調査
中央調査社
70.9%
・社会意識に関する世論調査
新情報センター
68.9%
・自衛隊・防衛問題に関する世論調査
新情報センター
70.9%
・人権擁護に関する世論調査
日本リサーチセンター
68.6%
・公的年金制度に関する世論調査
中央調査社
71.6%
一方で,政府広報室が別途取りまとめを行っている「全国世論調査の現況」による平成
13 年度中に全国で実施された調査のうち無作為抽出で個別面接聴取法による調査(全国調
査でないものを含む)の平均回収率は 73.4%であり,一般の調査と比較しても遜色のない
水準を維持している。
⑤ 調査報告書のクオリティー及び調査報告書のクオリティーに対する評価委員からの意見
調査報告書は必要と思われるフェースシート及び質問同士のクロスを行い,詳細な分析を
行うことができるよう十分配慮し,概ね各調査で 600 クロス程度を準備している。
さらに,調査結果の公表の中立性の観点に配慮し,特定の質問の結果を誇張することなく,
中立的な表現で結果紹介を行うこととしている。
加えて,調査ごとに評価委員会に対して実施した調査報告書の質に対するアンケート調査
の結果はほとんどの調査でほとんどの委員から「良い」との回答を得ており,報告書の質
について概ね認められた。(別紙2「評価委員アンケート結果」)
なお,評価委員から個別調査ごとに報告書の質の向上のための提案があったことから,来
年度以降,同様の調査を行う場合,当該意見を参考にして報告書を作成する。
(別紙5「評
価委員からの指摘事項」
)
(5) 国政モニター制度の必要性
①
政府広報室が実施する必要性
国政モニター制度は,「国の重要政策等に関して,広く一般国民から意見,要望などを聴
取し,国の行政施策の企画,立案及び実施のための参考とする。」ことを目的に実施してい
る。このような政府施策全般にわたる国民の意見などを聴き,各府省の施策の参考とする
モニター制度は,内閣府政府広報室が実施することにより,中立的な立場からの聴取や各
府省に対する横断的な立場からの聴取が可能となり,効率的な広聴が実施できる。
また,国政モニター制度を常時維持することにより,国民各層から随時に,又は行政が必
要とする時期,テーマについての意見・要望等が得られ,効率的である。
さらに,国民の視点から見ても,政府と国民とのコミュニケーションを確保し,政府施策
全般を網羅した国民モニター制度は,国民の行政参加の役割を担っており,国民の期待に
応えているものといえる。
②
モニターに関する意識調査の結果
中央調査社が実施する個別面接聴取法によるオムニバス調査を活用して,国や地方自治体
のモニター制度の必要性について調査した結果,必要であるとした者の割合は
79.1%
(「必要である」32.6%+「ある程度は必要である」46.5%),必要でないとした者の割合
は 12.0%(「あまり必要でない」8.4%+「必要でない」3.7%)となっており,約8割の者
が必要であるとの評価を行っており,国民や社会のニーズに適していることをしめしてい
る。
また,意見や要望を国政に反映させるための方法として充実してもらいたい事項として
「意見・要望やアンケート調査を行う『モニター制度』」を挙げたものの割合が 35.5%と最
も高くなっている。
(別紙1「世論調査やモニター制度の必要性に関する世論調査結果」参
照)
③
随時報告及び課題報告の必要性
国の行政施策について,国政モニター自身が日常の生活の中で気付いた意見・要望等であ
る随時報告は地方の生活の実体験に基づく意見であり,所定の用紙に国民自らの言葉を文
章で記述することにより行われるため,他のアンケート形式の調査に比べて,国民の意見
などが明確に表れ,国民のニーズを的確に把握することが容易である。さらに少数意見を
活用することも可能であり,効率的,効果的制度である。平成 14 年度は国政モニターから
2,086 件の報告があり,一人当たりでは年間平均 3.8 件の報告があった。
(9「国政モニタ
ー(随時報告)の報告件数及び関係府省への配布件数(重複分を含む)」指標参照)
なお,平成14年度には,国政モニターに,「国政モニター月報」,「時の動き」,
「cab
iネット」,「官報資料版」などを参考資料として毎月送付し,行政施策に対する広報・啓
発を行い,行政に理解と関心を深めさせ,より国政に参考となる意見を提出してもらえる
よう配慮しているところである。
また,あらかじめ内閣府がテーマを設定する課題報告は原則として各府省の要望に基づき
実施するため,行政が必要な時期に特定のテーマの報告を得られ,施策を企画,立案,実
施の際の参考資料,評価資料として,効率的な利活用がなされている。
平成 14 年度は各府省から4課題の要望実績があり,国政モニターへの行政のニーズが認
められる。なお,「ペイオフ解禁について」(金融庁),「土地の固定資産税の税負担につい
て」(総務省)「薬物乱用防止対策について」(警察庁)「男女共同参画社会の実現に向けて
の方策について」(内閣府)4課題を実施して,1,404 件の報告件数(一課題平均 351 件)
があった。(9「国政モニター(課題報告)の報告件数(=関係府省への配布件数)」指標
参照)
④
国政モニター会議の必要性
国政モニター会議は書面では十分意を尽くせない事項などについて,政府広報室職員や関
係省庁との懇談を通じて意見,提言等を聴取するものである。このため,書面による随時
報告や課題報告にはない,国政モニターと政府職員との直接対話の場になっているため,
国民の国政モニター会議への参加意欲は高く,意見聴取の手法として期待されており,行
政への理解を促進する機会ともなっている。
⑤
随時報告,課題報告及び国政モニター会議の必要性に対する評価委員からの意見
評価委員に対して実施した随時報告,課題報告の必要性に対するアンケート調査の結果は
全員の委員から「必要である」との回答を得ており,その必要性が承認された。
また,国政モニター会議の必要性に対するアンケート調査の結果はほとんどの委員から
「必要である」との回答を得ており,その必要性が概ね承認された。
(別紙6「国政モニタ
ー制度評価委員アンケート結果」)
⑥
国政モニターホームページのアクセス件数
国政モニターからの報告等は「国政モニター月報」にまとめられ,各府省,都道府県,政
令指定都市に配布され,行政施策の企画立案等の際に参考として利活用にされるとともに,
平成 14 年度から内閣府ホームページに概要を掲載し,国民にも広く利用できるよう配慮し
ている。これらは,国政モニターの意見等を「国民の生の声」として,広く国民にフィー
ドバックすることにより,なお一層国民の国政への関心,参加意欲の向上につながってい
くものと考えられる。
平成 14年度中のホームページアクセス件数は,1 年で 8 万 8 千ページビューのアクセス
があり,国民にも活用されている。(9「国政モニターホームページのアクセス件数」指標
参照)
(6) 国政モニター制度の有効性
①
国政モニターの募集方法・選定方法及び募集結果
国政モニターの募集は公募により行われている。公募方法は新聞記事下掲載(全国76紙
に掲載),ホームページ掲載等により,全国の国民に認知される最も適切な手段をとってい
る。また,応募手段ははがきを用いており,最も国民の多くが使用可能な手段である。こ
のようなことから,平成 14 年度は約 16,000 人の応募があり,国民だれもが応募できる手
法を用いている効果があることを示している。
(別紙7「国政モニターの応募状況」)
また,国政モニターの応募資格は国の行政に関心を持ち,国政モニターとしての熱意と識
見を有する者とし,国勢調査の都道府県別人口(20 歳以上),職業分類別人口(20 歳以上,
除く公務員)を基礎として,都道府県別,職種(従業上の地位)別に人数配分している『国
政モニターの都道府県別及び職種別配分基準』
,性別,年齢を考慮の上,選定している。こ
れにより,一部の層に偏ることない意見の聴取が可能となっている。
② 国政モニターの募集方法等の妥当性に対する評価委員からの意見
評価委員に対して実施した公募による募集方法,募集人員,都道府県別割り当て人数の妥
当性に対するアンケート調査の結果は全員の委員から「妥当である」との回答を得ており,
その妥当性が承認された。
また,任期の妥当性に対するアンケート調査の結果は過半数委員から「妥当である」との
回答を得ており,その妥当性が概ね承認されたが,任期を 2 年とし,半数を入れ替えると
いう意見があった。(別紙6「国政モニター制度評価委員アンケート結果」)
③
関係府省への配布件数
随時報告の各府省への配布は重複分を含めて 4,533 件であった。配付先府省の実績は全府
省である。(9「国政モニター(随時報告)の報告件数及び関係府省への配布件数」指標参
照)
④
関係府省の利活用の状況
各府省に国政モニターからの随時報告を配布する際に,月毎の事項別報告件数,報告内容
の概要の資料を毎月配布(「各府省広報担当者会議」が開かれる場合はその席上で説明)す
るなど,各府省における行政施策への反映を促している。
各府省の利活用状況について,随時報告では,各府省は国政モニター報告を受理した後,
広聴担当の部局や施策担当部局内で回覧するなどして周知徹底を図っている。しかし,随
時報告では,国政という特徴から,それぞれをすぐに個別に対応することは難しく,各府
省のホームページなどに寄せられた意見と合わせて,企画立案の際の参考資料とするとい
う抽象的な利活用に止まることが多い。
課題報告については,府省からの要望により実施していることから,具体的に利活用の機
会,時期があらかじめ決まっている。その調査結果はとりまとめをして,計画の策定や審
議会の場で活用されている。(詳細は別紙8「国政モニター課題報告の目的及び利活用」)
(ア) ペイオフ解禁について
預金保険制度の浸透及び周知に向けて,制度の広報を効果的かつ効率的に実施する際
の参考として活用した。
(イ) 土地の固定資産税の税負担について
平成 15 年度税制改正の基本的な方向を検討する際の基礎資料として,引き続き負担
水準の均衡化を促進する現行の負担調整措置の維持を決定する際に活用した。
(ウ) 薬物乱用防止対策について
薬物問題に対する国民の認識と国民が望む諸対策の在り方等を把握し,薬物事犯の取
締りや広報啓発活動等の薬物対策を推進するための参考資料として活用した。
(エ) 男女共同参画社会の実現に向けての方策について
男女共同参画会議において,「女性のチャレンジ支援策」について検討する際や「配
偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の施行状況等を検討する際の基
礎資料にするなど,具体的施策推進のための基礎資料として活用した。
⑤
国政モニター会議の開催実績
平成 14 年度は従来の原則 3 年毎,平日開催を踏襲しつつ,隣接県の合同開催を増やし,2
県及び 4 県合同の会議を日曜日とし(2回開催),平日開催と合わせ全国10か所で開催し
た。これにより,従来は 16 都府県の国政モニターが対象であったものを,14 年度は 21 都
府県 251 人(国政モニター定数は全国で 550 人)が対象になり,国政モニター会議に参加
をする機会が増加し,より多くの意見を聴取できた。
また,会議時間を 30 分延長し,前半は重要かつ緊急性の高い課題で,国民生活に密接に
関連したテーマを選定し,そのテーマに関する意見聴取を導入し,後半は国の行政一般に
ついての意見を聴取した。14 年度は「地球温暖化防止と日常の取組について」(環境省),
「市町村合併について」(総務省),「子育て支援について」(厚生労働省)の3つテーマを
取り上げた。テーマについては所管府省のパンフレットなどの提供を受け,それらを国政
モニター会議開催通知と併せ国政モニターに送付し,さらに所管府省職員の会議出席等の
協力も得られたことにより,意見交換が活発に行われ,より質の高い意見を聴取でき,そ
れらの意見に関する議事要旨を関係府省に配付することで,各府省で施策の参考とされて
いるところである。
⑥
国政モニター会議開催方法の妥当性に対する評価委員からの意見
評価委員に対して実施した国政モニター会議開催方法の妥当性に対するアンケート調査
の結果はほとんどの委員から「妥当である」との回答を得ており,その妥当性が概ね承認
された。(別紙6「国政モニター制度評価委員アンケート結果」)
13
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取り組み方針
(1) 世論調査の回収率については,その平均が目標とする 70%を確保することができたが,
一部調査では 70%を下回っていることから,平成 15 年度は抽出を早く行い,事前に調査協
力を依頼するはがきを調査対象者に送付するとともに,過去 3 年間回収率が 70%を下回っ
ている社会意識に関する世論調査等については実施主体を明らかにして調査を行うことを
15 年度に検討する。
(2) 評価委員から調査個別に調査手法,調査内容,報告書の内容に関する提案を受けている
ことから,15 年度以降再び同じテーマで調査を行う場合は時系列だけの理由で同様の調査
手法,調査内容,報告書の内容を採用するのではなく,再度それぞれについて検討を加え
る。(別紙5「調査ごとの評価委員の指摘事項」参照)
(3) 評価委員会から世論調査の調査研究を積極的に実施すべきであるとの指摘を受けたこと
を踏まえ,平成 15 年度以降,機動的に実施する世論調査や現在の調査環境を鑑みてあらゆ
る調査手法を検討すること等の調査研究を実施する。
(4) 評価委員会からマイクロデータの提供を行うべきであるとの指摘を受けたことを踏ま
え,マイクロデータを提供した場合の社会的影響,情報公開法との関連,個人情報保護法
との関連,統計法との関連などの観点から,マイクロデータの提供について 15 年度に検討
する。
(5) 評価委員会から全国の世論調査のデータベースを整備すべきとの指摘を受けたことを踏
まえ,政府広報室の世論調査を含めて全国の世論調査を取りまとめている全国世論調査の
現況の情報を格納できるデータベースを整備することについて対応を講ずる。
(6) 国政モニター随時報告については,活用可能な具体的な意見を聴取するために,15 年度
から政府広報刊行物の配布や政府広報オンラインの情報提供と合わせて,政府の施策につ
いて各府省から資料提供を受けるなど,更に情報提供を充実させることより,国政モニタ
ーへの啓発を行い,資質の向上と活性化を図る。
(7) 国政モニター会議については,年度の前半開催の方が後半開催と比べて出席率が高いた
め,9 月までに全て実施することとし,出席率向上のため日曜日開催の回数を 15 年度は2
回から4回に増加する。
(8) 国政モニターの募集については,国民の利便性を考慮し,幅の広い各層からのモニター
候補者を得るため,15 年度のモニター募集からインターネットで直接応募できるようにす
る。
(9) 評価委員から現在の国政モニター制度に加えて,インターネットを通じてのモニター制
度の創設について指摘を受けたことを踏まえ,インターネットモニターについて実施に向
けた調査研究を行い,国民のニーズにあった国政モニター制度の充実強化の検討を 15 年度
に行う。
(10)評価委員から提案のあった国政モニターの任期の延長などについては,上記インターネ
ットモニターの実施と合わせて検討を 15 年度に行う。(別紙9「国政モニター制度につい
て評価委員からの意見」参照)
別紙 1
世論調査やモニター制度の必要性に関する世論調査の結果
1
2
調査の設計
1)地域
2)調査対象
3)標本数
4)抽出方法
5)調査方法
6)実施期間
7)調査機関
全国
20 歳以上の男女
2000
層化2段無作為抽出法
調査員による個別面接聴取法
2003 年 3 月 7 日∼10 日
中央調査社
※中央調査社が実施するオムニバス調査を活用
回収結果
1)サンプル数
2000
2)回収数(率)
1420(71.0%)
3)回収不能数(率) 580(29.0%)
4)回収不能内訳
転居(率)
26( 1.3%)
長期不在(率) 35( 1.8%)
一時不在(率) 250(12.5%)
住所不明(率) 17( 0.9%)
拒否
(率) 236(11.8%)
その他 (率) 16( 0.8%)
3.調査結果
○あなたは,国や地方自治体などの世論調査は社会に必要だと思いますか、それとも必要で
はないと思いますか。この中から1つあげてください。
(37.2)(ア)必要である → SQa
(46.9)(イ)ある程度は必要である → SQa
( 6.5)(ウ)あまり必要ではない → SQb
( 2.7)(エ)必要ではない → SQb
( 6.6)
わからない
○(SQa)あなたが,世論調査は必要であると思う理由は何ですか。この中からいくつで
もあげてください。
(56.2)(ア)行政などに意見を反映させることができる
(64.8)(イ)社会全体の意識などを知ることができる
(31.2)(ウ)社会の基本的な指標となる
(49.4)(エ)人々の意見の変化を見ることができる
( 7.9)(オ)調査・研究や学業で利用できる
( 3.3)(カ)仕事で利用できる
( 7.5)(キ)ボランティア活動・地域活動などに利用できる
( 0.3)
その他(
)
( 1.6)
なんとなく
( 0.4)
わからない
○(SQb)あなたが,世論調査は必要ではないと思う理由は何ですか。この中からいくつ
でもあげてください。
(65.9)(ア)調べても行政などに意見が反映されない
(12.1)(イ)調査に協力する多くの人々の時間が無駄
(15.2)(ウ)調査に協力するのがめんどう
(17.4)(エ)調査をする費用をその他のもっと有意義な分野に回すべき
(24.2)(オ)調査結果が信頼できない
( 1.5)
その他(
)
( 5.3)
なんとなく
( 0.0)
わからない
○行政に関する意見・要望などを聴くため,国や地方自治体は,例えば「国政モニター」,
「消
費者モニター」などのモニター制度を設けています。あなたはこのような国や地方自治体の
モニター制度は必要だと思いますか,それとも必要ではないと思いますか。この中から1つ
あげてください。
(32.6)(ア)必要である
(46.5)(イ)ある程度は必要である
( 8.4)(ウ)あまり必要でない
( 3.7)(エ)必要ではない
( 8.9)わからない
○あなたの意見や要望を国政に反映させるために,どのようなことを充実させてほしいです
か。この中からいくつでもあげてください。
(35.5)(ア)世論調査などの調査活動の充実
(35.5)(イ)行政に関する意見・要望やアンケート調査を行う「モニター制度」の充実
(28.0)(ウ)タウンミーティングなど国民と大臣などが直接対話をする場の充実
(32.7)(エ)国民の意見や要望を国の各機関の職員が直接聴く制度の充実
(25.2)(オ)国民の意見や要望を葉書や手紙,FAXで聴く制度の充実
(25.2)(カ)国民の意見や要望をインターネットで聴く制度の充実
( 0.2)
その他(
)
(14.4)
わからない
別紙2
調査の必要性について(評価委員アンケート)
必要である
必要でない
無回答
証券投資に関する世論調査
4
1
国民生活に関する世論調査
5
男女共同参画社会に関する世論調査
5
臓器移植に関する世論調査
4
1
児童の性的搾取に関する世論調査
3
2
防災に関する世論調査
5
外交に関する世論調査
5
社会意識に関する世論調査
5
自衛隊・防衛問題に関する世論調査
4
1
人権擁護に関する世論調査
3
2
公的年金制度に関する世論調査
4
1
調査手法の妥当性について(評価委員アンケート)
妥当である
妥当でない
無回答
証券投資に関する世論調査
5
国民生活に関する世論調査
5
男女共同参画社会に関する世論調査
5
臓器移植に関する世論調査
5
児童の性的搾取に関する世論調査
5
防災に関する世論調査
5
外交に関する世論調査
5
社会意識に関する世論調査
4
自衛隊・防衛問題に関する世論調査
4
1
人権擁護に関する世論調査
3
2
公的年金制度に関する世論調査
3
2
1
1
サンプルサイズの妥当性について(評価委員アンケート)
標本数
妥当である
妥当でない
証券投資に関する世論調査
3000
4
1
国民生活に関する世論調査
10000
5
男女共同参画社会に関する世論調査
5000
4
臓器移植に関する世論調査
3000
5
児童の性的搾取に関する世論調査
5000
4
防災に関する世論調査
3000
5
外交に関する世論調査
3000
5
社会意識に関する世論調査
10000
5
自衛隊・防衛問題に関する世論調査
3000
5
人権擁護に関する世論調査
3000
5
公的年金制度に関する世論調査
5000
5
無回答
1
1
調査票の中立性について(評価委員アンケート)
中立である
中立でない
無回答
証券投資に関する世論調査
4
1
国民生活に関する世論調査
5
男女共同参画社会に関する世論調査
5
臓器移植に関する世論調査
5
児童の性的搾取に関する世論調査
4
防災に関する世論調査
5
外交に関する世論調査
5
社会意識に関する世論調査
5
自衛隊・防衛問題に関する世論調査
3
2
人権擁護に関する世論調査
3
2
公的年金制度に関する世論調査
4
1
1
報告書の質について(評価委員アンケート)
良い
悪い
無回答
証券投資に関する世論調査
4
1
国民生活に関する世論調査
5
男女共同参画社会に関する世論調査
5
臓器移植に関する世論調査
4
1
児童の性的搾取に関する世論調査
4
1
防災に関する世論調査
5
外交に関する世論調査
5
社会意識に関する世論調査
4
自衛隊・防衛問題に関する世論調査
−
−
−
人権擁護に関する世論調査
−
−
−
公的年金制度に関する世論調査
−
−
−
1
注.自衛隊・防衛問題に関する世論調査,人権擁護に関する世論調査,公的年金制度に関
する世論調査は第4回評価委員会の開催時にできていなかったためアンケートを行わな
かった。
別紙 3
10000 サンプル個別面接聴取法による調査の応札価格及び見積価格
応札会社,見積り会社
応札価格,見積り価格
落札会社 A
24,045,000円
応札会社 B
24,654,000円
応札会社 C
34,258,802円
応札会社 D
28,875,000円
見積り会社 E
49,040,393円
見積り会社 F
84,603,750円
注1)応札会社 A,B,C の価格は6月実施の 10000 サンプル調査の応札価格,応札会社 D
の価格は 12 月実施の 10000 サンプル調査の応札価格,見積り会社 E,F の価格は6月
実施の 10000 サンプル調査想定の見積価格である。
注2)各社はそれぞれ,(株)インテージ,(社)新情報センター,(社)中央調査社,
(株)電通,(株)日経リサーチ,(株)日本リサーチセンター(アイウエオ順)であ
る。
別紙 4
各府省での調査結果の利活用実績及び予定
(1) 証券投資に関する世論調査(金融庁における主な活用の実態)
○
「証券市場の改革促進プログラム(証券市場の構造改革第2弾)
」を策定する際、当
該世論調査の結果において、証券会社は身近な存在ではないと思う人が 68%を占めた
こと,証券投資を行う場合の取引先では銀行・信用金庫等の金融機関と答えた人が 22%
で最も高くなっていること等を踏まえ,「証券仲介業制度の導入」,「銀行と証券会社の
共同店舗の解禁」,「協同組織金融機関への有価証券売買の書面取次ぎの解禁」などの
施策を盛り込み,9 月に「銀行と証券会社の共同店舗の解禁」のために内閣府令の改正
を行ったほか,他の2点については「証券取引法等の一部を改正する法律(案)
」によ
り制度改正を行った。
○
証券会社の信頼性について、信頼できないとの回答が4割を超えていることなどを
踏まえ、証券会社に対してヒアリングを行い,証券会社の信頼性向上に向けた業務の
あり方の検証を行ったほか、証券会社等について主要株主ルールを導入する制度改正
を行った。
○
さらに、株式投資を行わない理由のトップとして、「株式投資の知識を持っていな
いから」ということが挙げられたことや、学校教育において金融・証券に関する基本
的な知識を教える必要があると回答した者が 66%にも達したことを踏まえ、金融庁と
しても、投資知識の普及の重要性を再認識したことから、11 月には文部科学省に対し、
学校教育における一層の推進について要請したほか、ETFを含めた投資信託の周知
度が低かったこと等を踏まえ、日本証券業協会や投資信託協会などの関係団体に対し、
累投、ミニ株、ETFの普及活動、投資信託の周知・普及のためのイベント開催等の
要請等も行ったところである。
○
金融審議会金融分科会第一部会において「証券市場の改革促進プログラム」を説明
した際に使用したほか、政府税制調査会基礎問題小委員会において、検討用資料とし
て使用された。
(2) 男女共同参画社会に関する世論調査(内閣府における主な活用の実態)
○
男女共同参画に関する世論調査の結果として,
「様々な職業分野で女性が増える方が
よい」と答えた者の割合が 78%となるなど,女性が様々な職業分野に進出することに
対する国民の期待が高いことなどに応えるため,現在,男女共同参画会議では,
「女性
のチャレンジ支援策」について検討を行っている。
また,平成 14 年 10 月に公表された「中間まとめ」では,ポジティブアクションの
積極的推進や女性の企業支援などについての現状説明資料として引用されており、ま
た調査結果を踏まえた施策の方向性も盛り込まれている。
なお,実際の「女性のチャレンジ支援策」でも十分に活用される予定である。
○
「社会通念・慣習・しきたりなどにおける男女の地位の平等感」について,「男性の
方が優遇されている」とする者が 73%と,依然として男性優位の社会通念や慣習が広
く残っている現状を踏まえ,国民の間でより一層男女共同参画社会基本法などの理念
の周知をはかるため,男女共同参画週間を実施した。
また,無職の女性で将来働きたいとの意向を持つものが,20 代,30 代の子育て期の
女性で 80%を越え,さらに,家庭生活における家事分担について,いずれも 8 割が妻
が担っているとの調査結果も踏まえ,20 代,30 代の職場復帰の環境整備や家事などの
男性の参画を促すなど,男女共同参画社会の一層の推進に資するため,いわゆる女性
の労働力率にみるM字カーブや男性の家事時間などについてパンフレットなどを作成
し,国民の意識啓発を図れるよう広く配布した。
○
平成14年度に実施する「男女共同参画社会に関する国際比較調査」において、我
が国調査分として当該世論調査結果を用いており、この結果を基に、平成15年6月
に閣議報告を予定している平成15年男女共同参画白書において、女性の参画状況や
背景となる制度・意識について我が国と諸外国を比較・分析する予定である。
○
平成14年10月22日の参議院本会議において,民主党千葉恵子君が調査結果を
引用して,官房長官に対し質疑を行った。
また,同年9月12日の参議院決算委員会において,民主党神本美恵子君の質問に
対し,調査結果を引用して,官房長官が答弁を行っている。
○
男女共同参画社会の実現に資するために調査結果を引用して「男女共同参画社会の
実現を目指して 2003」(局パンフレット),「Women in Japan Today 2003」
(対海外向け
英文広報誌)パンフレットを作成するとともに,専門誌(男女共同参画推進本部ニュ
ース「えがりて146号(2002.11.15)」)に調査結果のポイントを掲載した。
○
男女共同参画社会の実現に向けた広報啓発活動の一環として男女共同参画局ホーム
ページに調査結果へのリンクを掲載し一層の情報提供を行うこととした。
○
男女共同参画社会の実現に向けた地方公共団体等の取組を支援するための情報提供
の一環として,調査結果報告書を,都道府県・政令指定都市の男女共同参画担当課,
男女共同参画宣言都市,各省庁男女共同参画担当課,有識者等,計250部を配布し,
それぞれの地方公共団体や組織で調査結果を活用した独自の取組の展開を支援した。
(3) 臓器移植に関する世論調査(厚生労働省における主な活用の実態)
○
臓器の移植に関する法律附則第二条に「この法律による臓器の移植については,こ
の法律の施行後三年を目途として,この法律の施行の状況を勘案しその全般について
検討が加えられ,その結果に基づいて必要な措置か講ぜられるべきものとする。」,第
二条の2で「政府はドナーカードの普及及び臓器移植ネットワークの整備のための方
策に関し検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との規定
がある。
厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において,15 歳未満の臓器移植につい
て「移植ができるようにすべきだ」とする者が約 60%を占めた一方、脳死下臓器提供
について「本人の提供する意思表示と家族の承諾が共にあること」を条件とすべきと
する者が 54%となったことなどを踏まえ,15 歳未満の臓器移植を行えるようにした場
合にどのような問題点が発生するのか整理するなど,15 歳未満の臓器移植について議
論が行われている。
また,厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において,臓器提供意思表示カ
ードについて知っている者が平成 12 年調査から減少し約 69%となったこと(平成 12
年約 81%),意思表示カードの入手方法を知っている者が平成 12 年調査から減少し約
36%となったこと(平成 12 年約 43%)などを踏まえ,今後の普及戦略について検討中
である。なお,意思表示カード等の普及アイデアを一般から平成 14 年 10 月から 11 月
にかけて公募し 55 件のアイデアが寄せられ,現在,
(社)日本臓器移植ネットワーク
広報委員会において,具体的な普及啓発方法について検討中である。
○
厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において,脳死からの臓器提供施設の
数について増やした方が良いと考える者が約 53%となった結果をも踏まえ,臓器提供
施設の拡大等について議論を深めているところである。
○
臓器の移植に関する法律については,「移植医療について国民の理解を深めるため,
臓器移植の実施状況,移植結果等(臓器配分の公平性の状況を把握するための調査の
結果を含む。)について,毎年,国会に報告書を提出すること。」が附帯決議となって
おり,政府は国会に対し毎年報告を行わなければならないこととなっている。
今回の世論調査に基づき,カードの周知状況,普及状況,脳死移植の条件,15 歳未
満の脳死による臓器移植への考えなどが国会に対し報告されている。
○
都道府県は臓器提供意思表示カード等の普及活動を行っている。平成 15 年 1 月 30
日の全国健康関係主管課長会議において,当該調査結果の周知度が低いことを踏まえ,
「・・・臓器提供意思表示カードの認知度が前回調査に比べ低下してきており,カード及
びシールの入手方法を知らないという方が 6 割を超える状況であり,国民への認知度
を高める観点からも,各地方公共団体が運営する公共施設の窓口等に設置するなど,
引き続きこれらのカード及びシールの普及についてご尽力をお願いしたい。」と各都道
府県の会議資料に掲載し,一層の普及努力を要請した。
また,各都道府県にカード等の一層の普及啓発を行うための基礎として活用しても
らうため,主管課長会議資料に世論調査全ての問の結果を掲載した。
○
臓器移植で政府が力を入れるべき対策で「臓器移植に関する教育の推進」が 44.9%
と2番目に高いことなどを踏まえ,今後,高校生向けの学校配布用パンフレットを作
成する予定である。なお,教育を始める段階について「小学校」46%,「中学校」44%
と比較的低い学年となったことから,当該パンフレットは中学生でも理解できるわか
りやすい内容とする予定である。
○
平成 14 年 10 月 23 日,平成 14 年 11 月 18 日,平成 14 年 12 月 19 日、平成 15 年3
月 27 日に開催された厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において当該調査結
果を引用した資料が提出された。
(4) 児童の性的搾取に関する世論調査(活用の実態)
「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」
(案)については,出会い系サイトを経由した児童売春事件等が急増する中で,
「児童の
性的搾取に関する世論調査」の結果,出会い系サイトを 18 歳未満の者が利用することに
ついて,何らかの規制が必要であるとの意見となったことなどから,警察庁で児童を性
交等の相手方となるように誘引する行為等を禁止するとともに,児童によるインターネ
ット異性紹介事業の利用を防止するための措置を行う法律案を作成し,平成 15 年 3 月 14
日に閣議決定され,国会提出した。
出会い系サイトを18歳未満の者が利用することについてどう思いますか。この中から1
つお答えください。
・利用することはかまわないと思う
10.4%
・条件付きであれば利用することはかまわないと思う
17.9%
・とにかく利用することはよくないと思う
59.7%
(5) 防災に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
防災教育及び防災情報の共有化の分野において,中央防災会議の専門調査会で具体的
な施策をとりまとめる予定であり,最終とりまとめの検討資料として活用されている。
また,住宅や防災上重要な公共建築物の耐震化や「自助」
「共助」も含めた地域の防災
対策の強化の分野において,政府としても強力に対策を推進していく予定であり、その
際の検討資料として活用する。
さらに,防災白書や政策評価の分野においても調査結果を十分に利用する予定である。
(6) 外交に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
外交政策の企画立案のための基礎資料とする。具体的な利活用の予定としては,外務
省本省及び在外公館における外交政策の企画・立案のための参考資料,各種資料の作成
(外交青書,広報パンフレット等)
,在京各国大使館や在外公館において外交に関する日
本国民の意識を対外的に説明するための資料,外交に関する講演会の基調講演や質疑応
答時の基礎資料,要人訪日,また総理外遊をはじめとする日本の要人による外国訪問の
際のブリーフィング・参考資料,国会議員への説明資料などに幅広く活用する予定であ
る。
(7) 自衛隊・防衛問題に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
防衛政策の立案等のための基礎資料にするとともに、広報施策の立案等のための参考
資料として活用している。また、防衛庁ホームページ等に調査結果を掲載して情報提供
を実施した。今後は、防衛白書(平成15年版)への掲載を予定するとともに、各種業
務の参考として幅広く活用していく予定である。
(8) 人権擁護に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成 12 年法律第 147 号)
」(以下,人権教
育・啓発推進法)という。
」第7条の規定に基づく「人権教育・啓発に関する基本計画(平
成 14 年 3 月閣議決定)」
(以下,「基本計画」という。)が策定され,同基本計画において
「我が国の人権をめぐる諸状況や人権教育・啓発の現状及び国民の意識等について把握
するよう努める」とされたことを受け調査を実施。具体的な利活用の予定としては,関
係府省庁等における人権教育及び人権啓発に関する施策の推進のための基礎資料,人権
教育・啓発中央省庁連絡協議会(議長:法務事務次官)における協議のための基礎資料
とするほか,人権教育・啓発推進法第8条の規定に基づく「人権教育及び人権啓発に関
する施策についての年次報告」(平成14年度版)に登載する予定である。
(9) 公的年金制度に関する世論調査(目的及び結果活用の予定)
公的年金については,平成 16 年度に将来の給付と負担の状況を見通して財政状況を検
証すること(財政再計算)が義務付けられており,一層の少子高齢化の進行,厳しい経
済情勢,女性の社会進出や就業形態の多様化などの状況に対応した,持続可能な年金制
度の構築を目指して改革に取り組んでいく必要がある。
厚生労働省が平成14年12月に公表した「年金改革の骨格に関する方向性と論点」
についての意識を踏まえ,社会保障審議会年金部会での審議をはじめ、厚生労働省とし
て改革案をとりまとめる際の基礎材料とする予定である。
別紙 5
評価委員からの指摘事項
1.証券投資に関する世論調査
・証券投資に関心がない者に聞くには難しい設問があるのではないか。(調査票)
・現役の投資家グループ,個人投資家予備グループ,個人投資家引退グループ,無関心
グループでの分析があってもよかったのではないか。(報告書)
・実際の個人投資家の意識をより正確に把握するため,投資経験者がより多く抽出でき
る標本設計を行う方がよいのではないか。(抽出方法)
・Q2,Q2SQ1a∼Q2SQ2b が Q4 に影響を与えた可能性がある。
(調査票)
・Q5SQ1,Q5SQ2 は Q5 で「以前は利用したことがある」と答えた者も回答することとした
方がよいのではないか。
(調査票)
・Q5 は同じ質問を銀行,信用金庫等に対しても行った方がよいのではないか。(調査票)
・Q17 で「金融・証券」としているが,この金融はない方がよいのではないか。
(調査票)
・Q2,Q2SQ の集計では,
「株式を現在保有している」,
「株式を以前保有していた」
,
「株式
を保有していない」別のように証券の種類ごとの保有状況別分析が行える集計の方が
よいのではないか。(報告書)
・Q10 と Q16 は重複しており,問の役割をそれぞれ明確化した方がよいのではないか。
(調
査票)
・ほとんどの者は関心がないため,有識者調査を前提とした方がよいのではないか。(調
査手法)
・3000 サンプルも必要はなかったのではないか。(標本数)
・Q5SQ1,SQ2 の「法令遵守に問題があったか」という言葉の法令順守は日常会話では用
いられないので「法律などで決められたルールを守ってきたか,守ってこなかったか」
という表現の方がよいのではないか。(調査票)
・「等」ではなく「など」と表現した方がよいのではないか。(調査票)
・Q9 の選択肢「業界団体の窓口」,
「消費者団体」はイメージが浮かばないため,
「○○業
界団体の窓口」,「○○などの消費者団体」などの実際の名前を用いた方がよいのでは
ないか。(調査票)
・Q16 は「証券投資について何か知識を得ようとする場合」など口語的な表現とした方が
よいのではないか。(調査票)
・Q17 は「子どもが大きくなって社会に出る前に学校で,…」など口語的な表現とした方
がよいのではないか。(調査票)
2.国民生活に関する世論調査
・Q11 の表現は昭和 40∼50 年代の表現であるので,改めることを検討した方がよいので
はないか。(調査票)
・Q15 では SQ で辛さの内容を調査しているのだから,楽しさの内容を調査してもよいの
ではないか。
(調査票)
・辛さの内容に社会生活上の問題「病気」,「偏食」,「親子・兄弟姉妹関係」,「いじめ」,
「進学」などがり,これらを加えた方がよいのではないか。(調査票)
・報告書はクロス集計だけでなく,多変量解析や時系列分析などの高度な分析手法を用
いた分析報告書とした方がよいのではないか。
3.男女共同参画社会に関する世論調査
・男女別の時系列分析があってもよかったのではないか。
(報告書)
・Q5 の「…女性は男性に比べて不当に差別されていると思いますか。
」の「不当に」とい
う表現は強すぎるのではないか。(調査票)
・Q5SQ は有職者全員に質問した方がよいのではないか。(調査票)
・子育てに関する質問をした方がよいのではないか。(調査票)
・「生まれ変わるとしたら次は男になりたいか女になりたいか」という自らの性への満足
度を推し量る質問を行い,男女の地位の平等感や役割分担の分析の一助とした方がよ
いのではないか。(調査票,報告書)
・5000 サンプルも必要ないのではないか。(標本数)
4.臓器移植に関する世論調査
・最初に脳死や臓器移植の周知度,知名度を調査した方がよいのではないか。(調査票)
・Q2 と Q3 の順序を逆にしないと Q3 の選択しアに回答が集中するのではないか。
(調査票)
・Q3 の選択肢は複雑で分かりにくく全てのケースを把握していないため,改めた方がよ
いのではないか。Q21 も同様。(調査票)
・Q10 は登録制度の実施組織,管理される情報,更新の方法等を説明した上で賛否を質問
した方がよかったのではないか。(調査票)
・Q18,Q19 は資料 C だけでは正確に判断ができないのではないか。(調査票)
・Q22SQ は全員に質問した方がよいのではないか。(調査票)
・一部の設問で二重否定等があるため,検討が必要なのではないか。
(調査票)
・フェースで家族構成を調査し Q15 とクロスした方がよいのではないか。(調査票,報告
書)
・Q4 の設問に「臓器を提供しない意思を表示していない場合」という二重否定を用いて
いるため,より分かりやすい表現とした方がよいのではないか。(調査票)
・内容が難しく一般的な事項ではないので,有識者調査とした方がよいのではないか。
5.児童の性的搾取に関する世論調査
・Q9 以降,設問中に未成年者は理解が難しいと思われる用語が多い。
(調査票)
・Q11∼Q14 の後に Q15 以降の規制の考えを聞くと,前の設問の影響を受ける。
(調査票)
・Q8,Q9 の後に Q10,Q11 を聞くと,前の設問の影響を受ける。(調査票)
・インターネットを通じての意見収集も同時に行った方がよかったのではないか。(調査
手法)
・資料 A はない方がよいのではないか。(調査票)
・児童ポルノの規制の種類が多いため,まとめて設問した方がよいのではないか。(調査
票)
・ネットカウントの割合が重要であり,Q1 で接続割合の集計を行った方がよいのではな
いか。(報告書)
・Q1,Q2 と各質問とのクロスの結果を概要で記述した方がよいのではないか。
(報告書)
・Q2 と Q4 と Q6 の関連でデータクリーニングが徹底していない。(報告書)
・表現の自由や広告の自由の観点から実施について慎重に対応した方がよいのではない
か。(調査票)
・一部の設問については,答えにくいと思われるので聴取ではなく記入にして封入する
方法を併用した方がよかったのではないか。(調査手法)
・カードの説明が難しくなっているため,正確性を捨てて,分かりやすさをとるべきで
はないか。(調査票)
・資料 C は正確さより分かりやすさに重点をおいてもっと平易な表現とした方がよいの
ではないか。
(調査票)
・児童ポルノの定義を記憶するのは困難であり,児童と 18 歳未満の概念が調査対象者は
一致していない可能性があるため,Q11,Q12,Q13,Q14 は「児童や 18 歳未満の者」と
いう表現を用い,児童ポルノを「児童や 18 歳未満の少年少女のみだらな刺激的な姿を
写した写真やビデオテープなどの児童ポルノ」と表現した方がよいのではないか。(調
査票)
・Q15SQb,Q17 は具体的にどのようなものを示すかが明確でないため,モニターに写真
を見せて判断するなど別の方法を用いた方がよいのではないか。(調査票)
・Q18 は児童ポルノに該当する絵画やイラストなのか,児童が対象になっている絵画やイ
ラスト一般なのかわからない。(調査票)
・調査の内容から本心を正確に聞くことはできないと考えられ,分析は慎重に行った方
がよいのではないか。
・5000 標本も必要ないのではないか。
6.防災に関する世論調査
・Q11,Q12,Q15 は専門家でないと判断できない難しすぎる問題であり,世論調査にはな
じまないのではないか。
・Q11,Q11SQ の「民間等」,「補助等」の等は何か一般の人にはわからないので「民間や
自治体など」
,「補助や貸与など」とした方がよいのではないか。また,
「民間の施設に
補助を行う」とした方がよいのではないか。
7.外交に関する世論調査
・Q2 は地域のくくりで回答が難しいのではないか。(調査票)
・Q1,Q2 では例示の影響が大きいため,地図を表示した方がよいのではないか。
(調査票)
・Q1,Q2 で北朝鮮,台湾を聞いた方がよいのではないか。
(調査票)
・Q1,Q2 の概要に関係国と日本の主な歴史的経緯を掲載した方がよいのではないか。
(報
告書)
・Q6 の「現在程度で良い」に対する SQ を設定した方がよいのではないか。また,SQ と
せず全員に「増やす」,
「減らす」の SQ の選択肢をすべて設問として意見の強弱を把握
した方がよいのではないか。同様のことが Q9 でも言える。
(調査票)
・毎年行うことの必然性を検証した方がよいのではないか。
・国連が果たす役割や機能,実際の国連活動に対する評価についても設問した方がよい
のではないか。(調査票)
8.社会意識に関する世論調査
・Q18 はやや誘導的ではないか。(調査票)
・Q7SQ は全員に聞いた方がよいのではないか。
(調査票)
・Q15 では SQ で辛さの内容を調査しているのだから,楽しさの内容を調査してもよいの
ではないか。
(調査票)
・辛さの内容に社会生活上の問題「病気」,「偏食」,「親子・兄弟姉妹関係」,「いじめ」,
「進学」などがり,これらを加えた方がよいのではないか。(調査票)
・Q9 と Q10 は概要で両方の結果を合わせて記述を行った方がよいのではないか。
(報告書)
・Q11 と Q12 は概要で両方の選択肢の結果を差し引きするなど,合わせて分析し,記述を
行った方がよいのではないか。(報告書)
・子供の数について,F4SQ1,F4SQ2,Q13,Q14 の回答の関係を分析し,記述を行った方
がよいのではないか。(報告書)
・調査事項の変更は最小限とした方がよいのではないか。仮に変更する場合はじっくり
と検討する必要がある(調査票)
・「会社(仕事)」に対する意識も長期的に調査した方がよいのではないか。(調査票)
・当該調査の必要性は調査事項に依存するものであり,当該調査の利用の性質を考慮す
る場合,必要性の観点から調査事項は一般ユーザーの意見を聞く手続きをとった方が
よいのではないか。(調査票)
・報告書はクロス集計だけでなく,多変量解析や時系列分析などの高度な分析手法を用
いた分析報告書とした方がよいのではないか。
9.自衛隊・防衛問題に関する世論調査
・国防意識と自衛隊への評価のバランスをいかに取るかが重要であるが,自衛隊の評価
が前面に出すぎているので,国防意識にもっとウエイトを置いた方が良い。(調査票)
・Q11,Q12,Q13 はいずれも質問が長いのでカードで説明したうえで質問する形式の方が
よいのではないか。(調査票)
・Q19 の質問は教育で何を採り上げるのか不明でなので明確にした方がよいのではないか。
(調査票)
・Q19 が教育の場で国を守る気持ちを育てるための教育を想定しているのであれば,先ず
国民が国を守る気持ちを持つことの必要性に対する質問をした方がよいのではないか。
(調査票)
10.人権擁護に関する世論調査
・かなり長い調査票で,同じ形式の質問が個々の人権課題に繰り返されているため,将
来的に何年おきのローテーションを導入した方がよいのではないか。
(調査票)
・「等」が多く用いられているため「など」とするか,「等」を取り去り代表例について
設問することとした方がよいのではないか。(調査票)
・Q20 の「親族」は「家族など」とした方がよいのではないか。(調査票)
・Q19 の「治療費」で感染者,患者,元患者及びその家族以外の者に治療費を援助するこ
とが本来必要なのか検討した方がよいのではないか。(調査票)
・Q5 の選択肢の中で「同和問題」と「インターネットによる人権侵害」だけが異質であ
り,選択肢を「女性に対する人権侵害」,「子どもに対する人権侵害」,・・・,「同和問
題」,・・・,「インターネットによる人権侵害」とした方がよいのではないか。(調査票)
・Q5 の「日本における人権侵害」は抽象的であり会話としても不自然なので,
「最近,人
権が侵害されるケースとして,どのようなことが問題になっていますか」とした方が
よいのではないか。(調査票)
・Q6,Q8,Q10 の「・・・に関する事柄で,人権上問題があると思われる・・・」は会話として
不自然なので,「・・・の人権を守る立場から,問題があると思われるのはどのようなこ
とですか。」とした方がよいのではないか。(調査票)
・Q12,Q14SQ1,Q15SQ1,Q18,Q20,Q22 の「・・・に関し,現在,どのような人権問題が・・・」
は会話として不自然なので,「・・・に対する人権侵害として,現在,どのような問題
が・・・」とした方がよいのではないか。(調査票)
・Q14 の前に「同和問題を知っているかどうか」を設問した方がよいのではないか。(調
査票)
・Q24 は「・・・インターネットによる人権侵害として,・・・」とした方がよいのではないか。
(調査票)
・Q26 は「どのような催し物に出かけていってもよいと思っているか」を聞いた方がよい
のではないか。(調査票)
11.公的年金制度に関する世論調査
・調査内容が専門的なことに対する判断を求めており,調査対象者が意味を正確に理解
して答えたのか懸念がある。(調査票)
・Q8,Q9 は唐突で,予備知識がないと答えられないのではないか。
(調査票)
・年金財源の使途,年金財源の運用に関して設問した方がよいのではないか。(調査票)
・公的年金を理解していない者がいると思われるので,加入している年金制度を聞くな
ど公的年金を十分認識させた上で質問を行う設計とした方がよいのではないか。
(調査票)
・Q3 はレベルが異なる選択肢が混在しているので,もっと整理した方がよいのではない
か。(調査票)
・Q12 はアが肯定,イ,ウ,エが否定であるが,イ∼エを否定として加算することは危険。
(報告書)
・Q11,Q14 ,Q15 は行政のテクニックの話であり,国民はあまり関心がないため,それ
ぞれの賛否の理由の意見に同意するか否かを質問した方がよいのではないか。
(調査票)
・Q13,Q14 は「専業主婦等」,「老後等」の「等」は削除した方がよいのではないか。
(調査票)
12.全体的な事項
・2次分析に資するため,研究者等に対するマイクロデータの提供を行う必要がある。
・政府広報室は世論調査の中心的役割を演じる必要があり,調査研究を推進するなど,
社会調査の研究を発展させる必要がある。
・政府広報室は国内で実施されている世論調査を総括するようなデータベースを構築す
る必要がある。
・政府広報室は政府調査等の調査に対するコンサルタント活動を行う必要がある。
・SQ は多用すべきではない。
・MA は多用すべきではない。
・民間の報告書には通常2∼3枚のサマリーがあるので報告書に要旨を付けた方がよい
のではないか。
別紙
6
国政モニター制度評価委員アンケート結果
随時報告,課題報告,国政モニター会議の必要性
必要である
随時報告の必要性
5人
課題報告の必要性
5人
国政モニター会議の必要性
4人
必要でない
評価不能
1人
募集方法等の妥当性
妥当である
妥当でない
公募による募集方法
5人
募集人員
4人
1人
任
3人
2人
期
都道府県別,職種別割り当て人数
評価不能
5人
国政モニター会議開催方法の妥当性
妥当である
国政モニター会議開催方法の妥当性
4人
妥当でない
評価不能
1人
(別紙 7)
国政モニター応募状況
10年度
応募者数
16,867人
11年度
14,175人
12年度
11,825人
※ 年度は募集年度。応募者数は記載不備の者、重複者などを除いた有効応募者数。
13年度
13,340人
14年度
15,597人
別紙8
国政モニター課題報告の目的及び利活用
(1) ペイオフ解禁について
①
預金保険制度は,万が一金融機関が破綻した場合に国民の基本的な貯蓄手段である
預金等の保護や資金決済の履行の確保を図ることによって,信用秩序を維持すること
を目的としている。したがって,制度の内容を広く国民一般に周知し,理解してもら
う必要がある。
②
ペイオフに関しては、
イ
平成8年以降平成14年3月末までは全額保護
ロ
平成14年4月以降、定期預金等については,1,000 万円までとその利息が保護、
流動性預金(当座預金、普通預金、別段預金)については,平成15年3月末ま
で全額保護
ハ
平成15年4月以降,付保預金についての保護は 1,000 万円までとその利息
となっていた。
③
上記のように移り変わっていく中,国政モニターを実施し,ご意見等を賜り,平成
15 年 4 月以降のペイオフ実施に向け,検討及び準備を行っていたところ,平成14年
12月に預金保険法の改正が行われ,流動性預金(当座預金、普通預金、別段預金)
については,平成17年3月までは全額保護,定期預金等については,従前どおり,
1,000 万円とその利息までが保護されることとなり,制度改正の周知及び制度の更なる
浸透に向けて広報活動を実施することが必要となった。
④
したがって,国政モニターの内容等を再度検討し,以下のとおり広報を実施した。
「テレビ,ラジオ,新聞等マスメディアの積極活用」
→
政府広報を含めたテレビ,ラジオ,新聞,雑誌等のメディアを活用した
「市町村が行う広報との協力」
→
地方自治体の広報誌への記事掲載(3,044 自治体で実施),地方自治体の庁舎への
ポスター掲示(8,727 箇所、約 17,000 枚)
⑤
現在,広報の効果もあり,新しい制度の誤解や不知による混乱は起きていない。な
お,上記のとおり,流動性預金(当座預金、普通預金、定期預金)の全額保護は平成
17年3月までとされており,平成17年4月以降は,決済用預金(「無利息、要求払
い,決済サービスを提供できること」の3条件を満たすもの)が全額保護の対象とな
るため,平成16年度に行われる国政モニターを再度活用したいと考えている。
(2) 土地の固定資産税の税負担について
平成 15 年度地方税制改正に当たり,公正な税負担を実現する観点から平成 15 年度か
ら平成 17 年度までの土地に係る固定資産税の税負担のあり方について検討を行う過程に
おいて,国政モニターからの意見を踏まえ,議論を行ったところであるが,税負担の公
平の観点から負担水準が低い土地について税負担を引き上げるべきかどうかということ
については,公平性を優先すべきとする意見と,税負担に配慮すべきとする意見が拮抗
していたことから,今回の税制改正においては現行制度を維持することとした。
(3) 薬物乱用防止対策について
「薬物乱用防止五か年戦略」策定後 5 年間の薬物対策を検証し,今後の方針を検討す
る必要があった。このため,薬物問題に対する国民の認識と国民が望む諸対策のあり方
等を把握し,薬物事犯の取締りや広報啓発活動等の薬物対策を推進するための参考資料
として活用した。
(4) 男女共同参画社会の実現に向けての方策について
女性が政策・方針決定過程へ十分に参画できていないことや女性に対する暴力の問題
など男女共同参画社会の実現のためには,依然と克服するべき課題は多い。このため,
これらにどのような施策が必要であるかについての国民の意見を把握し,男女共同参画
会議などにおいて検討する際の基礎資料にするなど,具体的施策推進のための基礎資料
とした。
〇
女性のチャレンジを支援する具体的な方策について
平成 14 年 1 月の男女共同参画会議において,小泉内閣総理大臣より「女性のチャ
レンジ支援策」について検討するよう指示を受け,同会議の下に設置されている基
本部問題専門調査会は,様々な分野へのチャレンジ支援策について検討を行い,平成
15 年 4 月に最終報告を取りまとめた。当該専門調査会で検討を行う際に,意見,要望
等を適宜活用した。
〇
配偶者からの暴力を根絶するために必要な方策について
現在,男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会は,配偶者暴力防止
法の施行状況等について調査検討を行っており,その際に意見,要望等を適宜利用し
ている。なお,配偶者暴力防止法の施行状況等についての報告書は 6 月を目途に取り
まとめる予定である。
〇
男女共同参画社会の実現のためにとるべき方策について
内閣府男女共同参画局では,男女共同参画社会の実現のために,地方公共団体,
NPO等とも連携しつつ,様々な施策を推進しており,その際に意見,要望等を適宜
活用している。
別紙
9
国政モニター制度について評価委員からの意見
1
随時報告の必要性
○ 各省庁が,所管事項に関するモニターを設けているケースも多々あり,随時報告の意義
は,あまりない。しかし、課題報告以外の報告をすべてシャットアウトするのも問題で
ある。全ての報告を関係省庁にあげるのではなく,「これは」と思われる報告のみを提
供するようにしたらどうか。
○ 随時報告は,モニター自身が自発的にテーマを発見・選択し,意見,要望を報告するも
のであるから,モニターの新鮮な視点からの発言として行政にとり貴重な刺激を与える
ことが期待できる。また,モニターが取上げるテーマの傾向から国民の関心領域がどこ
にあるかにつき示唆を得ることが出来る。更に「国政モニター月報」を通して行政当局
からの「回答」もあり,モニター(国民)と行政当局との双方向の対話を行なう仕組み
がある。
○ モニターもさまざまな属性があり,それぞれの立場からの意見も貴重なので,随時報告
は必要である。
○ 随時報告は国民の主要な関心事をフォローしていくには適切な方法でよい。
2
課題報告の必要性
○ 課題報告の件数を見ると,モニターの生活に密着したテーマについては反応が高いよう
です。そういった意味ではテーマ選定についての一工夫も二工夫も必要です。モニター
は新規に定量調査を行う際のプリテスト対象者といった位置づけも必要ではないでし
ょうか。民間は予算の関係で,プリテストを省力,ぶっつけ本番で調査に臨むことが常
態となっています。民間が使えるようにしてもらえるとありがたいのですが,いかがで
すか。
○ 課題報告は,行政側が予め設定した行政課題についてモニターが意見、要望を報告する
ものであるから,行政側の課題についての背景説明と質問の仕方が適切であれば,適確
で通り一遍でない回答・報告が期待できる。また一課題当り 300−400 件の報告がある
とのことであるから,厳密ではないがモニターを通した国民の意見,要望の傾向を知る
ことが出来る。
○ 政府の施策,その方向性などについて,政府が重要かつ優先順位が高いと判断した事項
について,なるべく幅広い層の意見を集め,検討に資することが必要である。
3
国政モニター会議
○ 国政モニター会議は行政庁の行政庁による「お話」を承る,といった形式に流れるので
あれば必要ないのかもしれません。
「臓器」
「国民生活」などの貴重な調査結果があるの
ですから,データの裏側にある生身の意識や考え方を聴取する場,とした方が効率的で
す。
○ 様々な通信手段が利用できる現代社会においても,またそうした社会であるからこそ
「生の声」を聞きそれに答えることの出来る対面コミュニケーションの機会を提供する
ことは大切である。
○ オフラインで出てくる意見もあるが,地域で固まってというよりも,テレビ会議のよう
な形で,幅広く集める方が,異なった立場の意見も聞きながら,意見が活性化するかも
しれない。
○ 国政モニターからの直接の意見を補足的に聞く機会を持つことは,結構である。アンケ
ート結果と対比させてその裏づけとなるような発言が得られればとてもよいと思う。
4
国政モニターの募集方法
○ 応募倍率,選考の実態についての情報がないので判断が難しいが,国が行なう募集方法
としては,現行の方法以上の方法はないであろう。
○ 応募の少ない属性に到達しやすい媒体についても配慮しつつ公募することが望ましい。
5
国政モニターの募集人員
○ 現行の仕組み,すなわち随時報告および課題報告がありそれらが共に記述式であること,
そして国政モニター会議も年 10 回程度開催すること,を考えるとモニター数 550 人は
妥当な人数であろう。
○ 予算の余裕があれば,増員が望ましい。
○ 課題報告で 300∼400 件というのは少ない。予算の制約もありやむを得ないであろう。
できれば,もう少し増やせるといいと思う。
6
国政モニターの任期
○ 一人当たり報告件数の実績をみると,平均 6−8 件である。報告の長さは 1 回当り 1000
字弱程度のようである。普段の生活に加えてこれだけ負担するのであるから,任期 1 年
は妥当であろう。
○ 政府の施策についての知識も要求され,一度経験すると 5 年間の除外期間があることを
考えると,2 年間の任期(半数ずつ交互に)でいいのではないか。
○ 1 年は妥当であろう。あまり長いとプロ化するので。
7
国政モニターの都道府県別,職種別割り当て人数
○ 全体としてバランスがとれた配分基準は妥当である。ただ,結果として 40 歳代以下の
男性と 60 歳代以上の女性が相対的に少ない。
○ 国勢調査の人口比配分であれば,公正性は担保される。
8
国政モニター会議開催方法
○ 開催方法は妥当である。平成 14 年に行なった 2 つの試み,すなわち日曜日開催,30 分
の時間延長の成果を見守りたい。
なお,国政モニター月報に掲載された会議の写真によるとフォーマルで堅苦しい,真面
目過ぎる雰囲気が感じられる。どちらかといえば,くつろいだ自由な雰囲気を作り出す
ことの出来るような会場設営と会議の運営が望ましい。
9
今後の国政モニター制度のあり方
○
世論調査の動向調査のように,内閣府独自で考えた大きなテーマについて,年 1 回程
度のアンケート方式でモニターの意見を聞き,その結果によりモニターの集団として
の意見の動向をとらえる。一方,このテーマについて随時意見を提出できるようにし,
これらのアンケートの結果や随時報告は,モニター月報等でモニターに知らせ,その
テーマに関する意見形成の参考になるようにし,その後の報告やアンケートに反映さ
せる。これにより,そのテーマに関する世論の動向を予測するとともに,それを動か
す要因を模索する。
○
上記のように世論の動向を見るためには,2∼3年継続して同一の集団を観察する必
要がある。そこで,モニターの任期を2∼3 年にして,毎年その 1/2 または 1/3 を新
しく入れ替えるようにしたらどうか。また,このような方法を採ることにより,モニ
ター任命の手続きが省力化されるとともに,モニターが在任中にモニター会議に出席
できる可能性が大きくなる。
○
モニターの OB でパソコンを持ち,希望する者には,無報酬のインターネットモニタ
ーになってもらい,インターネットにより,時事問題についてのアンケートをしたり,
随時報告をしてもらう。
○ 現在の国政モニター制度に加えて,インターネットを通じてのモニター制度を立ち上げ
る時期に来ていると思う。インターネットによる場合には,現在より 2 ケタ多いモニタ
ーを選抜して,より頻繁に行政課題について要望,意見を聞き処理することが可能であ
る。特に現行の制度に比べ若い人々を容易にモニターに選抜することが出来る。
○ 今後,政府の施策の方向性について,より広報活動を強化していく必要性が高まってい
くと思われる。
説明責任を果たしていく中で,車輪の両輪である広聴についても強化する必要がある。
従来の国政モニターに加え,機動性を確保するために,メールアドレス所持者について,
ネット国政モニターとして,ホームページ等も参照しつつ,意見を求める制度も必要で
はないか。
○
モニターで出てきたことが,世論調査のテーマとなり,また世論調査の結果をモニタ
ーでさらに追跡し,解析を深めていくというように,モニターと世論調査を連携させ
活用できるといいと思う。
平成 14 年度政策評価書(事後評価)
1
政策名
障害者施策の総合的推進(障害者基本計画)
2
政策分野
障害者施策
3
担当部局名
政策統括官(総合企画調整担当)
4
評価方式
総合評価
5
政策の目標・目的
障害者が障害のない人々と同じように普通の社会の中で普通に生活できるというノー
マライゼーションの理念に基づき、障害者の自立と社会、経済、文化その他あらゆる分
野への参加を促進する。
6
政策の内容
「リハビリテーション」、「ノーマライゼーション」の理念の下、障害者基本計画に基
づき、下記の施策分野にわたり各種施策を展開している。
(1) 啓発広報
「障害者の日」を中心に、広報活動、福祉教育及びボランティア活動を推進
(2) 教育・育成
障害の重度・重複化等の状況の変化に対応した、障害児の成長のあらゆる段
階における障害の特性に応じた多様で弾力的な教育・育成の展開
(3) 雇用・就業
・障害の特性に応じたきめ細かな障害種別対策
・職業能力開発の充実等実効ある職業リハビリテーション
・一般雇用に就く事が困難な者のための、授産施設等の整備、多様な就業の
場の確保等
(4) 保健・医療
・心身障害に係る研究の推進
・障害の予防、早期発見、早期治療、根本的治療のための対策、リハビリテ
ーション医療等の充実
・精神障害者の人権に配慮した医療の確保、社会復帰の促進等
(5) 福祉
・ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス等の在宅サービス
事業の充実等
・地域に開かれた施設の整備等
・福祉機器の研究開発及び普及
(6) 生活環境
・ 建築物、道路、交通機関等における物理的な障害の除去
・ 障害者向けの住宅の確保
・ 情報提供の充実等
(7) スポーツ、レクリエーション及び文化
・施設整備、指導者の育成等
(8) 国際協力
・特にアジア太平洋地域における技術・情報の交流、技術指導者の養成等による
国際協力の促進
7
政策評価の観点及び基準
「障害者対策に関する新長期計画」に基づいて、
・計画の理念と目標に沿って施策が実施されているかどうか
・施策の総合的な推進が全般的に有効に機能しているかどうか
などの観点から総合的に評価を行う。
8
政策効果の把握の手法又は指標(及びその結果)
「障害者対策に関する新長期計画」の重点施策実施計画として策定された「障害者プラン」
において設定された目標の達成状況等について、関係省庁と連携を取りながら総合的な評
価を加える。
9
学識経験を有する者の知見の活用
京極高宣氏(日本社会事業大学学長)及び板山賢治氏(「アジア太平洋障害者の十年」最
終年記念フォーラム実行委員長)より「障害者対策に関する新長期計画」に関する意見を
聴取し、評価の客観性の確保を図った。
10
政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報
・
「障害者対策に関する新長期計画の実績」
(「平成13年度障害者のために講じた施策
の概況に関する年次報告について」第2編)
・「障害者対策に関する新長期計画」の実施状況
・障害者プランの進捗状況
11
政策評価の結果
<必要性>
「障害者対策に関する新長期計画(以下「新長期計画」という)
」を策定するまでの 10 年
間に実施されていた「障害者対策に関する長期計画」(1983 年∼1992 年)においては、保健
医療、福祉、教育、雇用等の各分野において制度の創設、改正を含めて、着実な施策の進展
が図られ、成果が上げられてきた。しかしながら、施策の中にはモデル的に行われているも
のも多く、その厚みと広がりはなお不十分であり、
「完全参加と平等」に向けての緒についた
ばかりとの意見があった。また、各種施策の充実が図られる中で、福祉、教育、雇用、生活
環境等の施策の相互連携の不十分さ等の残された課題が指摘されていたほか、障害の重度化、
重複化、障害者の高齢化の進展や障害者による社会参加の進展に伴って新たな課題も生じて
いたことから、障害者の「完全参加と平等」を目指すとの観点からは、十分な状態が達成さ
れているとは言えず、施策の一層の推進を図っていく必要性があった。
これを踏まえ、新長期計画は、ライフステージのすべての段階において、全人間的復権を
目指す「リハビリテーション」と、障害をもつ人が障害をもたない人と同等に生活し活動す
る社会を目指す「ノーマライゼーション」を理念に掲げるとともに、
「完全参加と平等」の目
標に向けて「障害者の主体性・自立性の確立」、「すべての人の参加によるすべての人のため
の平等な社会づくり」等を重点施策に掲げ、平成5年度からおよそ 10 年間にわたる障害者施
策の基本的方向を示すものとして策定されたものであり、都道府県及び市町村が障害者計画
を策定するに当たっての参考として必要不可欠なものとなった。
障害者施策は新長期計画の理念と目標に沿って、主に別紙1のとおり行われてきたところ
である。
さらに、新長期計画では「すべての人の参加によるすべての人のための平等な社会づくり」
という基本的な考え方の中において、
「障害を取り巻く社会環境においては、交通機関、建築
物等における物理的な障壁、資格制限等による制度的な障壁、点字や手話サービスの欠如に
よる文化・情報面の障壁、障害者を庇護されるべき存在としてとらえる等の意識上の障壁」
を「四つの障壁」としてとらえられており、それらの障壁の除去に向け、各種施策を計画的
に推進してきた。
なお、平成5年には、心身障害者対策基本法を全面的に改正した「障害者基本法」が制定
され、精神障害者が身体障害者や知的障害者と並んで法の対象に位置付けられた。この基本
法において、施策の総合化、計画的推進を図るため、国に障害者のための施策に関する基本
計画の策定が義務付けられた(本法の附則において、既に策定されていた新長期計画を、国
の「障害者基本計画」とみなすこととされた)
。また、障害者基本法は、都道府県や市町村に
も、障害者計画策定の努力義務を課している。
また、平成 13 年1月6日の中央省庁再編を機に、内閣に内閣総理大臣を本部長、内閣官房
長官を副本部長、他のすべての国務大臣を本部員とする「障害者施策推進本部」が設置され、
関連施策の総合的かつ効果的な推進を図ることとした。
<有効性>
新長期計画における「四つの障壁」の障壁の除去に向け、以下のような各種施策を計画的
に推進してきた。
①
物理的な障壁
・
障害のある人が自立して生活し、積極的に社会参加していく上で、まち全体を障
害のある人にとって利用しやすいものへと変えていくことが重要であるとの認識に
立ち、総合的かつ計画的なまちづくりを積極的に支援してきた。
・ 官庁施設のバリアフリー化推進については、昭和 48 年度以降肢体不自由者用トイ
レの設置、スロープの設置等所要の措置を講じてきた。
・ 不特定多数の者が利用する建築物については、平成6年に「高齢者、身体障害者等
が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(いわゆるハートビル法)
が制定された。
公共交通機関に関しても、平成 12 年に「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を
・
利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(いわゆる交通バリアフリー法)が制定
された。
・
これらのことから、物理的な空間・環境におけるバリアフリーへの取組は着実に
進んでいるといえる。
②
制度的な障壁
・
各種の資格試験や免許制度では欠格事由が設けられており、障害のあることを理
由に資格・免許等の付与を制限したり、特定の業務への従事等を制限・禁止してい
たものも少なくなかった。
・ 平成 11 年 8 月の障害者施策推進本部決定「障害者に係る欠格条項の見直しについ
て」に沿って見直しに取り組んでいるところであり、平成 14 年度末現在、対象 63
制度中 62 制度が見直しを終了しており、残る1制度について、平成 14 年度末現在、
国会審議中(出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案)である。
平成 13 年6月、障害者施策推進本部において、「障害者に係る欠格条項見直しに
・
伴う教育、就業環境等の整備について」の申合せが行われた。
③
文化・情報面での障壁
・ 高度情報化社会の進展する中、発信される情報は視覚及び聴覚で得るものがほとん
どであり、視覚・聴覚障害者にとって情報を入手することは非常に困難な状況にある。
・
こういった文化・情報面の障壁の除去は、テープ・点字書籍等による情報の提供、
「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関
する法律」に基づく字幕番組等への助成などによって推進している。
④
意識上の障壁
・ 国民に広く障害のある人についての関心と理解を深めるため、障害者基本法に定め
られた障害者の日(12 月 9 日)等に集中的な広報啓発活動を国、地方公共団体及び民間
団体を挙げて実施するとともに、学校教育においても交流教育の実施等社会福祉につ
いての正しい理解を深めるための指導等を行っている。
・ 平成 13 年度に実施された「障害者に関する世論調査」では、障害のある人が身近で
普通に生活しているのが当たり前であるというノーマライゼーションの考え方を肯
定する者の割合が 80%を超える結果が出ている。
また、国では、
「市町村障害者計画策定指針」の作成や「障害者保健福祉圏域計画推進事業」
の実施等により、市町村における障害者計画の策定を支援しているが、平成 13 年度末現在の
策定状況をみると、計画を策定した市町村は全体の 83.7%に達している。
さらに、新長期計画は障害分野における初の法定計画であり、政府の総合的計画となった
が、その重点施策実施計画として、数値目標を盛り込むなど具体的施策目標を示す「障害者
プラン」を策定し新長期計画の具体化を図ることにより、より効果的に新長期計画を推進し
てきたところである。
障害者プランは、新長期計画の理念、基本的考え方を継承し、期間は新長期計画の終期に
合わせ、平成8年度から 14 年度までの 7 か年とされた。これは、障害者の社会参加に向けた
「バリアフリー化社会」への道標となったといえる。
障害者プランの特色として、以下の4点が挙げられる。
①
数値目標の設定等施策の具体的目標を内容に盛り込み、サービスの実現に責任を
もって取り組むという姿勢を示した。
②
障害のある人のための施策は、ライフステージのすべての段階かつ生活全般に関
連することから、関係する行政分野が広範に及び、保健福祉分野にとどまらず、教
育、雇用、生活環境、交通、情報通信、防犯・防災など幅広い施策分野について、次
の 7 つの視点から総合的・横断的に取り組み、関係省庁が連携協力して施策を効
果的に推進していくこととした。
●地域で共に生活するために
●社会的自立を促進するために
●バリアフリー化を促進するために
●生活の質(QOL)の向上を目指して
●安全な暮らしを確保するために
●心のバリアを取り除くために
●我が国にふさわしい国際協力・国際交流を
③
地域社会の中でノーマライゼーションの理念を実現していくため、住民に最も身
近な行政主体である市町村中心のサービス体系への施策の再編の検討と、施策の効果
的・効率的な推進を図っていくために障害の種別や程度、障害のある人の年齢を踏ま
えつつ、障害者関係施設の総合的利用の促進等を図るとの考え方をプランに盛り込ん
だ。
④
プランの着実な推進を図るため、進ちょく状況の定期的なフォローアップと社会
経済状況の変化等に対応したプランの見直しを明示した。
この障害者プランでは、障害のある人が地域で自立した生活を送るための生活基盤として
のグループホーム、福祉ホーム等の整備、在宅介護サービスの充実、遅れていた精神障害者
社会復帰施策の促進などに数値目標を設定する等具体的な目標を掲げている。
政府が実施している各種の施策の状況に関する情報を積極的に提供することは、国民全体
の理解を得ながら障害者施策を進める上では欠くことのできないものであることから、
「障害
者プランの進捗状況」についても毎年調査公表した。
なお、広範な分野にわたる障害者施策のうち関連する分野の施策が効果的かつ効率的に実
施されるよう関係行政機関相互の連携を強化してきた。
これらの成果として、障害者プランの平成 13 年度末の進ちょく状況によると、精神科デイ
ケア施設(109%)、日帰り介護事業(105%)
、知的障害者更正施設(106%)の各項目が既に
目標値を達成しているほか、グループホーム及び福祉ホーム(94%)
、授産施設及び福祉工場
(98%)、精神障害者生活訓練施設(82%)、短期入所生活介護事業(81%)、身体障害者療護
施設(97%)の各項目が目標値に対し 80%以上の整備水準にある。他方、精神障害者地域生活
支援センターなど一部の事業について整備に立ち遅れが見られるが、これは、これらの事業
が比較的新しい事業であることから、事業の普及に時間を要していること等が理由と考えら
れる。その他の事項についても、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにおけるト
イレ等障害者用施設の整備が 100%である等着実に整備が進められており、全体としてはおお
むね順調に進んでいるといえる。(別紙2参照)
このことから、新長期計画及び障害者プランの策定は、障害者の自立と社会、経済、文化
その他あらゆる分野への参加を促進することに有効に寄与してきたものと考えられる。
なお、学識経験を有する者からは、おおむね同旨の意見をいただいている。
12
今後の政策等に反映すべき事項及び今後の取組方針
平成 14 年 12 月、障害者の社会への参加、参画に向けた施策の一層の推進を図るため、平
成 15 年度から 24 年度までの 10 年間に講ずべき障害者施策の基本的方向について定めるもの
として新しい「障害者基本計画」(以下「基本計画」という)を策定したところである。
わが国の障害者施策は新長期計画に沿って「リハビリテーション」と「ノーマライゼーシ
ョン」の理念の下に着実に推進されてきたが、基本計画においては、これらの理念を継承す
るとともに、基本的な考え方として、
「障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性
を尊重し支え合う共生社会の理念の下に、障害者が社会の対等な構成員として人権を尊重さ
れ、自己選択と自己決定の下に社会活動に参加、参画し、社会の一員としての責任を分かち
合う社会の実現を目指す」ことを打ち出しており、このような考え方に立って、政府が関係
者の理解と協力の下に取り組むべき障害者施策の基本的方向を定めている。
また、基本計画においては、
①
横断的な視点として、「社会のバリアフリー化」、「利用者本位の支援」、「障害の
特性を踏まえた施策の展開」、「総合的かつ効果的な施策の推進」の4つの視点を取り
上げ、
②
重点的に取り組むべき課題としては、「活動し、参加する力の向上」、「活動し、
参加する基盤の整備」、「精神障害者施策の総合的な取組」、「アジア太平洋地域におけ
る域内協力の強化」の4つの課題を取り上げた上で、
各分野別の施策の基本的方向について詳しく定めている。
なお、基本計画と併せて、同計画の前期5年間に重点的に行う施策とその達成目標を定め
た「重点施策実施5か年計画」を策定するとともに、障害者施策推進本部を中心とした関係
行政機関の間の施策の連携を強化、基本計画の推進状況を継続的に点検し必要に応じて計画
を見直すこと等により、障害者施策の着実な実施が図られるよう取組を進めていくこととし
ている。
第2編
障害者対策に関する新長期計画の実績
施策内容等
1 啓発広報
a啓発広報の推進
実施事業等
<ノーマライゼーションの理念を社会に定着させ「完全参加と平等」の目標を実現す
るためには,障害のある人に対する国民一人ひとりの理解と認識を深めるため
の啓発広報が極めて重要なことから,内閣府では,以下のような措置を講じて
きた(内閣府)>
¡「障害者の日・記念の集い」開催(昭和57年∼)
毎年12月9日,一般市民,ボランティアの参加を得て開催
¡心の輪を広げる障害者理解促進事業
地方公共団体と共催。「記念の集い」において優秀作品を表彰
「心の輪を広げる体験作文」募集(平成元年度∼)
「障害者の日のポスター」募集(平成5年度∼)
¡「障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告」の作成(平成6年
度∼)
国会に提出するとともに,いわゆる「障害者白書」として公表
<法務省の人権擁護機関は,国民の間にノーマライゼーションの理念を一層定着さ
せ,障害のある人の自立と社会参加を更に促進するために,以下の啓発活動に
取り組んでいる(法務省)>
「人権週間」(毎年12月4日∼10日)(平成10年は「世界人権宣言50周
年・人権擁護委員制度50周年記念月間」
(12月1日∼12月31日)
)における
強調事項の一つに「障害のある人の完全参加と平等を実現しよう」を掲げ
て,全国的な啓発活動を実施(昭和56年∼)
<ノーマライゼーションの理念を社会に定着させ「完全参加と平等」の目標を実現
するためには,障害のある人に対する国民一人ひとりの理解と認識を深めるた
めの啓発広報・各種諸行事の実施が極めて重要であることから,厚生労働省で
は,これまでに以下のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡バリアフリーのまちづくり活動事業の実施(平成13年度∼)
(平成2年度
∼5年度:住みよい福祉のまちづくり,平成6年度∼12年度:障害者や高
齢者にやさしいまちづくり推進事業)
¡障害者自立更生等の厚生労働大臣表彰の実施
身体障害者等であって自らその障害を克服し,現在自立更生して障害者
の模範とするに足り得ると認められる者等に対して実施
¡「障害者の明るいくらし」促進事業のメニュー事業として啓発普及事業の
実施(平成2年度∼)
障害の正しい理解と障害者に対する偏見,差別を是正するための普及啓
発活動を実施
¡「国連・障害者の十年」を記念する施設として,障害者の国際交流及び社
会参加活動の拠点となる「国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)
」を
開設(平成13年)
¡精神保健福祉全国大会等を含む,精神保健福祉普及運動の実施(昭和28年∼)
都道府県・市町村の協力を得て開催し,精神保健に関する地域住民の理
解を深めるための啓発広報を実施
¡精神保健福祉に関する教育及び広報活動の実施
保健所において,精神保健福祉クリニックを通じ,また,資料,図書,
その他の教育資材等を整備,展示,提供して,精神保健福祉に関する教育
及び広報活動を実施
¡障害者雇用促進月間実施(昭和38年∼,毎年9月)
全国障害者雇用促進大会を開催し,障害者雇用に理解のある事業所等に
対して大臣表彰等を行い,障害者雇用に関する関心と理解を深めるため啓
125
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
発・広報を実施
<保健所,精神保健福祉センター等の福祉,保健サービスの実施機関と連携しなが
ら,地域住民等の理解を深めるような啓発広報を展開した(厚生労働省)>
¡精神保健福祉相談の実施
保健所や精神保健福祉センターにおいて,アルコール問題,思春期問題
等についての相談を実施
¡精神保健福祉全国大会等を含む,精神保健福祉普及運動の実施(昭和28年∼)
都道府県・市町村の協力を得て開催し,精神保健に関する地域住民の理
解を深めるための啓発広報を実施
s福祉教育の推進
<障害者問題に対する国民の理解を促進するためには,幼少時からの啓発広報が重
要である。このため,小・中学校等の学校教育において,例えば継続的な交流教
育の推進を図る等により,障害者問題に対する理解を深める教育を積極的に推進
するため,文部科学省では以下のような措置を講じてきた(文部科学省)>
¡障害児理解推進校の指定,障害児理解推進指導者講習会の開催等を行い,
小・中学校等の児童生徒が障害のある児童生徒に対する理解認識を深める
ための教育を推進(昭和54年度∼平成8年度)
¡盲・聾・養護学校の児童生徒と地域の人々との交流を図る交流活動地域推
進研究校の指定や交流活動地域推進指導者講習会を行い,交流教育を積極
的に推進(昭和62年度∼平成8年度)
¡交流教育及び障害のある児童生徒に対する理解認識を深めるための教育を
総合的に行うため,交流教育地域推進事業を各都道府県において実施し,
交流教育地域推進指導者講習会を行うなど,各学校や地域の実態に応じた
多様で継続的な交流教育を一層推進するとともに,小・中学校等の児童生
徒が障害のある児童生徒に対する理解認識を深めるための教育を推進(平
成9年度∼平成12年度)
¡小・中学校等の教員が障害のある児童生徒に対する理解認識を深めるた
め,理解推進指導資料を作成配布(昭和54年度∼)
¡小・中学校の児童生徒等や地域の人々との交流については,盲・聾・養護
学校の教育要領・学習指導要領においてその意義を明確に示すとともに,
幼稚園教育要領,小・中・高等学校の学習指導要領においても配慮事項と
して示している
¡特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議第一次報告を受け,各
都道府県教育委員会等に,各学校や地域の実態に応じた多様で継続的な交
流教育を一層推進するよう通知(平成8年度)
¡盲・聾・養護学校の児童生徒が,同年代の児童生徒を含めた地域の人々と
交流を図るため,障害のある児童生徒の交流活動事業を実施し,様々な活
動を通して自立し,社会参加するための方策について実践的な研究を実施
(平成13年度∼)
第
2
編
<子どもたちが障害のある人に対する正しい理解を深めることは極めて重要である
ことから,学校教育においては,小・中・高等学校を通じ,道徳,特別活動,
社会科等において,福祉の重要性について理解させ,思いやりのある心や奉仕
の精神を育てるとともに,障害のある子どもと障害のない子どもが共に活動す
る交流教育を実施している(文部科学省)>
学習指導要領の改訂(小・中学校は平成10年12月に告示,高等学校は平
成11年3月に告示)
小・中・高等学校の新しい学習指導要領について,障害のある児童生徒
との交流に関する事項を新たに明記し,障害のある人とふれあう活動の充
126
第2編
施策内容等
実施事業等
実を図った
dボランティア活動の推進
<地域住民等のボランティア活動に対する理解を深め,その活動を支援するよう努
めるとともに,企業等による社会貢献活動との連携にも配慮して実施した(厚
生労働省)>
¡市区町村の社会福祉協議会のボランティアセンターにおいて,ボランテ
ィア情報誌の発行,ボランティア活動に関する相談,ボランティア活動
に意欲のある人の登録・あっせん・入門講座,ボランティア活動を行う
ための拠点づくり等を行う「ボランティア養成等事業」を実施(平成13
年度∼。昭和60年度∼平成5年度は「福祉ボランティアの町づくり事業」
,
平成6年度∼平成12年度は「市区町村ボランティアセンター活動事業」
として実施)
¡都道府県・指定都市の社会福祉協議会のボランティアセンターにおいて,
小・中・高校生を対象とした学童・生徒のボランティア活動普及事業,社
会人を対象とした福祉活動体験事業,ボランティア活動を推進するリーダ
ーやコーディネーターの養成・研修事業,ボランティア団体の組織化・育
成事業等を行う「ボランティア振興事業」を実施(平成13年度∼。昭和52
年度∼平成5年度は「学童・生徒のボランティア活動普及事業」
,平成6
年度∼平成12年度は「都道府県指定都市ボランティアセンター活動事業」
として実施)
¡全国社会福祉協議会の全国ボランティア活動振興センターにおいて,シン
ポジウムの開催,ボランティアセンターに対する情報提供,全国ボランテ
ィアフェスティバルの開催等を行う全国ボランティア活動振興センター運
営事業を実施(昭和51年度∼)
¡福祉分野等のボランティア活動を永年率先して行っている者,又は永年に
わたりボランティア活動への支援を行っている者に対し,厚生労働大臣表
彰を実施(平成元年度∼)
¡ボランティア団体等の育成を図る地域組織の活動等の支援を実施
「地域精神保健福祉対策促進事業」として,地域の実情に応じて支援
(平成7年度∼。平成10年に「障害者の明るいくらし」促進事業等へ統
合)
<あらゆる層の人々が,これまでの学習活動の成果や能力を地域における諸活動の
中で生かすことができるような環境の整備を図るため,各種ボランティア活動
を支援する事業を行う都道府県に対し助成するとともに,全国情報提供・相談
窓口を設置し,人々のボランティア活動に参加する動機づけを促進し,希望に
沿った活動に結びつける機会を提供,平成14年度以降は,協議会やセンターの
設置等,全国的な体制整備を行うため,文部科学省では以下のような施策を行
っている(文部科学省)>
¡全国ボランティア情報提供・相談窓口を開設(平成3年度∼13年度)
¡生涯学習ボランティア活動総合推進事業(平成3年度∼10年度)
¡地域生涯学習ボランティアコーディネイトシステム整備充実事業(平成11
年度∼13年度)
¡学校内外を通じた奉仕活動・体験活動推進事業(平成14年度新規)
青少年のボランティア活動など社会奉仕体験活動,自然体験活動等の体
験活動の推進を図るため,国,都道府県,市町村において幅広い関係機
関・団体と連携等を図る協議会を組織するとともに,情報提供やコーディ
ネイト等を行う支援センターを設置。全国的な普及啓発を図るための全国
フォーラムを開催
127
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
<障害者問題に対する理解を深め,災害弱者対策を推進するためには,地域住民等
が各種のボランティア活動へ積極的に参加することが重要であるため,消防庁
においては,以下のような措置を講じた(総務省)>
¡自主防災組織,ボランティア等と連携した災害弱者対策のあり方に関する
調査研究(平成9年度)
地方公共団体において自主防災組織,ボランティア等と連携した災害弱
者対策を推進している事例について調査研究を実施,その結果を報告書に
まとめ,都道府県及び政令指定都市に配布
2 教育・育成
a心身障害児に対する教
育施策の充実
<障害児の教育については,福祉施策と併せて実施することが重要であることから,
厚生労働省では,これまでに以下のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡心身障害児(者)地域療育拠点施設事業(平成2年度∼7年度)
施設に在宅福祉を担当するコーディネーターを配置
¡障害児(者)地域療育等支援事業(平成8年度∼)
在宅の障害児,知的障害者及びその保護者に対して身近なところでの相
談,指導及びサービスの利用援助等の提供を総合的に実施
<心身障害児に対する早期対応においては,家庭の果たす役割が重要であることか
ら,保護者に対する早期からの継続的な支援体制の整備について検討を行うと
ともに,特殊教育センター,特殊教育諸学校,特殊学級等を置く小・中学校,
医療機関,心身障害児関係施設,児童相談所等において,心身障害児をもつ保
護者が早期から教育相談や指導を受けることができるよう,その体制の整備を
図るため,文部科学省では以下のような措置を講じてきた(文部科学省)>
盲・聾・養護学校においては,障害のある幼児児童生徒やその保護者に
対して教育相談を行うなど,教師の専門性や施設・設備を活かした地域に
おける特殊教育に関する相談のセンターとしての役割を果たすよう努める
必要があることを,教育要領・学習指導要領において示している
<心身障害児に対する教育の形態に応じて,教育内容・方法の一層の改善,担当教
職員の指導力の向上,心身障害児の教育に係る研究の充実等,その一層の質的充
実を図るため,文部科学省では以下のような措置を講じてきた(文部科学省)>
第
2
編
¡盲・聾・養護学校の教育課程の基準については,教育課程審議会答申(平
成10年7月)を踏まえ,幼稚園,小・中・高等学校の教育課程の基準の改
善に準じた改善を図るとともに,幼児児童生徒の障害の重度・重複化や社
会の変化等を踏まえ,一人ひとりの障害の状態等に応じたきめ細かな指導
を一層充実する観点から,学校教育法施行規則等の一部を改正し,また
盲・聾・養護学校の教育要領・学習指導要領を改訂(平成11年3月)
¡新しい盲・聾・養護学校の学習指導要領等について,その趣旨の説明及び
必要な研究協議を行うため,盲・聾・養護学校新教育課程説明会(中央説
明会,都道府県説明会,衛星通信による説明会)を実施(平成11年度∼平
成14年度)
¡新しい盲・聾・養護学校の学習指導要領等において,障害の状態を改善・
克服するための指導領域である「養護・訓練」については,自立を目指し
た主体的な活動であることを一層明確にする観点から,その名称を改めた
ことなどを踏まえ,今後の自立活動の取組の改善・充実を図るために,
「自立活動フォーラム」を開催(平成11年12月)
¡特殊学級における教育及び通級による指導については,教師間の連携に努
め,効果的な指導を行う必要があることを,小・中学校の学習指導要領に
おいて示している
¡教職員の現職研修
128
第2編
施策内容等
実施事業等
q盲学校,聾学校及び養護学校新教育課程説明会等各種講習会の開催,国立
大学における現職教育の実施,教員の海外派遣,各都道府県の行う特殊教
育新任担当教員研修に対する補助を行うなど,その資質の向上に努力
w独立行政法人国立特殊教育総合研究所において,教育内容・方法に関す
る実際的研究を行うとともに,現職教員を対象として長期(1年)
,短
期(3か月)の研修を実施(昭和47年度∼)
¡特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の第二次報告を受け,
各都道府県教育委員会等に,q特殊教育担当教員の免許取得の促進,w適
材確保のための採用・人事配置等の改善,e今日的な諸課題に対応した現
職研修の改善,r小・中学校教員等の特殊教育に関する養成課程における
体験の充実について,教員の資質向上のために取り組むための方策につい
て通知(平成9年度)
<学校教育全体で心身障害児を受け止めるという観点から,交流教育,教職員の人
事交流等により特殊教育諸学校と小・中学校との連携を図るため,文部科学省
では以下のような措置を講じてきた(文部科学省)>
¡障害児理解推進校の指定,障害児理解推進指導者講習会の開催等を行い,
小・中学校等の児童生徒が障害のある児童生徒に対する理解認識を深める
ための教育を推進(昭和54年度∼平成8年度)
¡盲・聾・養護学校の児童生徒と地域の人々との交流を図る交流活動地域推
進研究校の指定や交流活動地域推進指導者講習会を行い,交流教育を積極
的に推進(昭和62年度∼平成8年度)
¡交流教育及び障害のある児童生徒に対する理解認識を深めるための教育を
総合的に行うため,交流教育地域推進事業を各都道府県において実施し,
交流教育地域推進指導者講習会を行うなど,各学校や地域の実態に応じた
多様で継続的な交流教育を一層推進するとともに,小・中学校等の児童生
徒が障害のある児童生徒に対する理解認識を深めるための教育を推進(平
成9年度∼平成12年度)
¡特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議第一次報告を受け,各
都道府県教育委員会等に,各学校や地域の実態に応じた多様で継続的な交
流教育を一層推進するよう通知(平成8年度)
¡小・中学校の児童生徒等や地域の人々との交流については,盲・聾・養護
学校の教育要領・学習指導要領においてその意義を明確に示すとともに,
幼稚園教育要領,小・中・高等学校の学習指導要領においても配慮事項と
して示している
¡盲・聾・養護学校の児童生徒が,同年代の児童生徒を含めた地域の人々と
交流を図るため,障害のある児童生徒の交流活動事業を実施し,様々な活
動を通して自立し,社会参加するための方策について実践的な研究を実施
(平成13年度∼)
<義務教育終了後の心身障害児の進路については,その能力・適性や障害の状態等
に応じて,特殊教育諸学校の高等部等への進学だけでなく,職業能力開発校,
福祉施設,授産施設への入所,就職等多様な進路が用意されることが基本であ
る。心身障害児に対して義務教育終了後の多様な進路を用意するという観点か
ら,各都道府県における養護学校高等部の整備・充実を図るとともに,高等学
校において教育を受けることが可能な者については,国・公・私立高等学校の
それぞれにおいて,その受入れのための条件整備に努める必要があり,文部科
学省では以下のような措置を講じてきた(文部科学省)>
¡特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の第一次報告を受け,
各都道府県教育委員会等に,盲学校,聾学校及び養護学校の高等部の拡充
129
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
整備と訪問教育の試行的実施体制を整えるよう通知(平成8年度)
¡盲・聾・養護学校高等部における訪問教育については,平成9年度から試
行的実施の状況等を踏まえ,学習指導要領上の規定を整備(平成11年3月)
当該規定が平成12年度から適用できるよう移行措置について通知(平成
11年6月)
¡特殊教育諸学校等の卒業者の進路指導
各学校において,生徒の障害の状態,適性等に応じ,地域障害者職業セ
ンター,公共職業安定所とも連携を保ちつつ,適切な指導を実施
<高等部における職業教育等については,作業所,企業等での現場実習及び社会福
祉施設等での体験を重視する等,その教育内容の一層の充実を図る。そのため,
職業教育,進路指導の充実とともに,各都道府県,学校と,公共職業安定所,
公共職業能力開発施設,地域障害者職業センター,各企業等との連携を強化す
るよう努める必要があるため,文部科学省では以下のような措置を講じてきた
(文部科学省)>
¡職業教育の充実
職業教育担当教員の資質の向上に資する目的から,職業教育等担当教員
講習会等を開催(昭和53年度∼)
,また職業教育に関する手引書の作成等
¡雇用環境の変化や時代の要請に対応した職業教育・進路指導の在り方及び
労働・福祉等関係機関との連携の在り方についての調査研究を都道府県教
育委員会に委嘱(昭和63年度∼平成5年度)
¡社会の変化や生徒の実態の多様化等に対応した職業教育等の在り方につい
ての調査研究を実施(平成6年度∼平成7年度)
¡調査研究協力者会議の報告を受け,都道府県教育委員会等に対し,職業教
育等の一層の改善・充実について通知(平成7年度)
¡盲・聾・養護学校の生徒の卒業後の就業を促進するため,労働・福祉関係
機関,企業等と連携した効果的な職業教育及び進路指導等の在り方につい
て都道府県教育委員会に実践研究を委嘱(平成8年度∼平成12年度)
¡障害のある生徒の障害の特性等に応じた新たな職域を開拓するため,新た
な職域・職種についての職務分析,労働関係機関等との連携の在り方,職
業教育の改善等について調査研究を実施(平成10年度∼平成11年度)
¡社会の変化等に対応した教育内容の充実を図るため,盲・聾・養護学校の
学習指導要領を改訂(平成11年3月)
。特に,知的障害養護学校高等部の
専門教科として,
「家政」
,
「農業」及び「工業」
(平成元年の改訂において
新設)のほか,
「流通・サービス」を新設。また,盲学校,聾学校,肢体
不自由養護学校及び病弱養護学校においても,多様な教科・科目を設け,
進路等に応じた適切な履修ができるよう改善
¡障害のある生徒一人ひとりに応じたきめ細かな就業支援の充実を図るた
め,教育と労働が一体となった就業支援の充実方策等について調査研究を
実施(平成13年度)
¡学校と公共職業安定所や障害者就業・生活支援センター等の関係機関,企
業等が連携した継続的な就業支援の組織や体制づくり,能力開発の観点を
踏まえた生徒一人ひとりの将来の就業に向けた個別の就業支援計画の開発
等のための実践研究事業を実施(平成14年度∼)
第
2
編
<心身障害児に対する教育における教職員の役割の重要性にかんがみ,教職員の養
成・現職研修の一層の充実を図るため,文部科学省では以下のような措置を講
じてきた(文部科学省)>
¡特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の第二次報告を受け,
各都道府県教育委員会等に,q特殊教育担当教員の免許取得の促進,w適
130
第2編
施策内容等
実施事業等
材確保のための採用・人事配置等の改善,e今日的な諸課題に対応した現
職研修の改善,r小・中学校教員等の特殊教育に関する養成課程における
体験の充実について,教員の資質向上のために取り組むための方策につい
て通知(平成9年度)
¡教職員の現職研修
q盲学校,聾学校及び養護学校新教育課程説明会等各種講習会の開催,
国立大学における現職教育の実施,教員の海外派遣,各都道府県の行
う特殊教育新任担当教員研修に対する補助を行うなど,その資質の向
上に努力
w独立行政法人国立特殊教育総合研究所において,教育内容・方法に関す
る実際的研究を行うとともに,現職教員を対象として長期(1年)
,短
期(3か月)の研修を実施(昭和47年度∼)
e独立行政法人国立特殊教育総合研究所において,
「通級による指導」担
当者の指導力の向上を図り,各地域における「通級による指導」の円滑
な運営に資するため講習会を実施(平成5年度∼)
r独立行政法人国立特殊教育総合研究所において,学習障害についての理解
を深め,学習障害又はこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒に対
する指導方法等について,指導的立場に立つ者の指導力の向上を図り,そ
の充実に資することを目的とする講習会を実施(平成7年度∼)
t独立行政法人国立特殊教育総合研究所において,全国の特殊教育諸学校
等の新任の校長・教頭を対象として,特殊教育諸学校等の運営上の諸問
題について職務に必要な研修を行い,識見を高め,指導力の向上を図る
ことを目的とした講習会を実施(昭和58年度∼)
y独立行政法人国立特殊教育総合研究所において,特殊教育センター等の
障害のある子どもについての教育相談を担当している職員の資質の向上
を図り,教育相談業務の円滑な運営に資することを目的とする講習会を
実施(昭和61年度∼)
¡職業教育担当教員の資質の向上を図り,教育内容の改善充実に資する目的
から,筑波大学等との共催により,盲学校高等部理療科担当教員講習会等
を開催(昭和53年度∼)
¡障害の状態等により通学して教育を受けることが困難な児童生徒に対し,
家庭,児童福祉施設,医療機関等を訪問して教育を行う教員を対象に,専
門的な知識及び技術の習得,その指導力の向上を図る訪問教育担当教員講
習会を実施。また,独立行政法人国立特殊教育総合研究所の短期研修にお
いて,訪問教育についての実践事例について発表,情報交換等を行う訪問
教育研究協議会を実施(平成11年度∼)
¡全国の特殊教育諸学校の寄宿舎における幼児児童生徒の指導に関して指導
的立場にある寮母等の専門性の向上並びに寄宿舎における指導の充実を図
ることを目的として,盲・聾・養護学校寮母指導者講習会を実施(平成10
年度∼)
¡放送大学において,特殊教育教諭免許状取得のための科目を開設すること
としたほか,免許法認定講習や校内研修プログラムの開発,多様な人材を
活用した専門性の高い指導体制の構築等について研究することを内容とす
る,盲・聾・養護学校の専門性向上推進モデル事業を実施(平成14年度∼)
<心身障害児を学校全体で受けとめ,多様な教育を展開するという観点から,すべ
ての教員が心身障害児について正しい理解と認識をもつようにするため,教員
養成段階を含めた方策及び教員の人事配置の在り方について検討するため,文
部科学省では以下のような措置を講じてきた(文部科学省)>
¡障害児理解推進校の指定,障害児理解推進指導者講習会の開催等を行い,
131
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
小・中学校等の児童生徒が障害のある児童生徒に対する理解認識を深める
ための教育を推進(昭和54年度∼平成8年度)
¡盲・聾・養護学校の児童生徒と地域の人々との交流を図る交流活動地域推
進研究校の指定や交流活動地域推進指導者講習会を行い,交流教育を積極
的に推進(昭和62年度∼平成8年度)
¡交流教育及び障害のある児童生徒に対する理解認識を深めるための教育を
総合的に行うため,交流教育地域推進事業を各都道府県において実施し,
交流教育地域推進指導者講習会を行うなど,各学校や地域の実態に応じた
多様で継続的な交流教育を一層推進するとともに,小・中学校等の児童生
徒が障害のある児童生徒に対する理解認識を深めるための教育を推進(平
成9年度∼平成12年度)
¡特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の第二次報告を受け,
各都道府県教育委員会等に,q特殊教育担当教員の免許取得の促進,w適
材確保のための採用・人事配置等の改善,e今日的な諸課題に対応した現
職研修の改善,r小・中学校教員等の特殊教育に関する養成課程における
体験の充実について,教員の資質向上のために取り組むための方策につい
て通知(平成9年度)
<国立学校施設においては,障害のある学生や教職員等が円滑に利用できるよう,
施設の新増改築・改修等の事業に併せて,スロープ,エレベータ,手すり及び
身障者用トイレ等の整備を実施している(文部科学省)>
¡国立学校施設整備事業(昭和39年度∼)
毎年度の施設整備事業に併せて必要な身障者対策を実施
<文部科学省では,学校施設の基本的な整備の方針や,計画・設計上の留意事項を
示した学校施設整備指針を各学校種別ごとに策定し,これに基づき,学校施設の
整備において必要に応じ障害者のための配慮を行うよう指導(文部科学省)>
¡小学校施設整備指針 平成4年3月31日策定(平成13年3月30日改訂)
¡中学校施設整備指針 平成4年3月31日策定(平成13年3月30日改訂)
¡幼稚園施設整備指針 平成5年3月31日策定(平成14年3月28日改訂)
¡高等学校施設整備指針 平成6年3月策定
¡盲学校,聾学校及び養護学校施設整備指針 平成8年1月25日策定(平成
11年4月1日一部改正)
<障害があることにより,通常の学級における指導だけではその能力を十分に伸ば
すことが困難な子どもについては,その能力や可能性を最大限に伸ばし,自立
し,社会参加するために必要な力を培うため,一人ひとりの障害の種類や程度
に応じ,特別な配慮の下に,より手厚く,きめ細かな教育を行うことが必要で
あることから,文部科学省では,これまでに以下のような措置を講じてきた
(文部科学省)>
第
2
編
¡特殊教育就学奨励費負担金等(昭和3年∼)
盲・聾・養護学校又は特殊学級等への就学を奨励するため,就学に当た
って必要な交通費,学校給食費,寄宿舎居住費等を保護者等に支給
¡学校教育設備整備費等補助(特殊教育設備整備費等 昭和32年∼)
盲・聾・養護学校又は特殊学級等において,障害に適応した教育を実施
するに当たり特別に必要となる設備,一人ひとりの障害に対応した最新の
情報機器,障害による種々の困難に特別に配慮した安全管理に必要な設備
を整備する経費並びに巡回就学相談活動及び定期的相談・指導活動を実施
するために必要な経費について一部を補助
¡私立高等学校等経常費助成費補助金(特殊教育諸学校等運営費 昭和53年∼)
132
第2編
施策内容等
実施事業等
私立特殊教育諸学校等の経常費に対して一部を補助
<障害のある人の地域における学習機会の充実・確保,関連施設等の整備を図り,
地域における学習活動に参加しやすい環境を整備するため,文部科学省は,こ
れまでに以下のような施策を講じてきた(文部科学省)>
¡社会教育施設の整備に当たっては,スロープ,専用トイレ等の整備など,
障害者に対して配慮するよう地方公共団体に対し指導
¡学習活動支援設備事業(平成9年度∼)
都道府県・市町村が公民館等社会教育施設の機能の高度化を図り,質の
高い学習活動が可能となるよう施設を整備する学習活動支援設備事業の中
で,障害者の学習活動を支援するために簡易昇降機,点訳本作成機等の整
備等に対し補助
¡地域社会教育活動総合事業(平成7年度∼)
市町村が公民館等社会教育施設において地域の実情やニーズに応じ,目
的別・対象別の事業を体系的に実施する地域社会活動総合事業の中で,障
害者と地域住民との交流事業等を実施し,障害者が学習活動に参加しやす
いよう配慮するとともに,市町村が社会教育施設において点字図書,大型
活字本,拡大読書器などの整備を行う事業等に対して補助
s心身障害児に対する育
成施策の充実
<障害児の育成については,障害の早期発見に引き続き,早期療育として適切な治
療,指導訓練等を行うことによって心身のよりよい発達を促し,将来,社会生
活に参加できるように,在宅施策及び施設施策を総合的に推進し,障害児及び
その家族のニーズに的確に対応することが重要であることから,厚生労働省で
は,これまでに以下のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡障害児通園(デイサービス)事業(昭和47年度∼)
市町村が障害のある幼児のために福祉センター,公民館等に通園の場
(利用人数おおむね5人以上)を設置して,日常の生活における基本動作の
指導,集団生活への適応の訓練を行う。平成10年度より利用年齢の引上げ
¡重症心身障害児(者)通園事業(平成8年度∼)
在宅の重症心身障害児(者)のために通園療育の場を設け,療育,訓練,
指導を実施
¡障害児(者)地域療育等支援事業(平成8年度∼)
在宅の障害児,知的障害者及びその保護者に対して身近な所での相談・
指導及び在宅サービスの利用援助等の提供を総合的に実施
¡ショートステイ制度の対象者を中軽度まで拡大(平成5年度∼)
¡ショートステイ制度に日中受入れを導入(平成12年度∼)
¡自閉症・発達障害支援センターの設置(平成14年度∼)
3 雇用・就業
a障害種類別対策の推進
<精神障害,視聴覚障害等障害を理由とする各種の資格制限が障害者の社会参加を
不当に拒む障害要因とならないよう,国土交通省では,海上運送事業等におけ
る欠格条項の撤廃等の措置を講じてきた(国土交通省)>
<ノーマライゼーションの理念に即して障害者等の権利を擁護するための法的基盤
の整備の一環として,以下の措置を講じた(法務省)>
検察審査員について,
「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法
律の整備等に関する法律」
(平成11年法律第151号,平成11年12月8日公布,
平成12年4月1日施行)により,検察審査会法(昭和23年法律第147号)
第5条第3号を削除し,障害を理由とする欠格条項の廃止の措置を行った
<精神障害,視聴覚障害等障害を理由とする各種の資格制限が障害者の社会参加を
不当に阻む障害要因とならないよう,必要な見直しについて検討を行い,農林
133
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
水産省ではこれまで以下の措置を講じてきた(農林水産省)>
¡家畜人工授精師免許
家畜改良増殖法の改正を行い,障害者に係る欠格条項の見直しを行った
(平成14年5月7日成立,5月15日公布)
¡獣医師免許
獣医師法の改正を行い,障害者に係る欠格条項の見直しを行った(平成
14年5月7日成立,5月15日公布)
<障害者等によるITの利用は,地理的な制約,年齢・身体的な条件による情報の利
用・活用の格差を解消するだけでなく,障害者等の生きがいの創出,自立・社会参
加の促進等様々な観点から重要であり,総務省では,ITを活用した障害者等の就業
機会の拡大を図るため,障害者・高齢者等によるテレワーク,情報リテラシーの向
上等を可能とする地域におけるIT利用拠点の整備を推進してきた(総務省)>
¡IT生きがい・ふれあい支援センター施設整備事業の実施(平成10年度∼)
障害者・高齢者向け情報通信利用装置等を設置したセンター施設を整備
する地方公共団体等に対する補助を実施し,全国5か所に施設を整備
※平成13年度までは情報バリアフリ−・テレワークセンター施設整備事
業として実施
<身体障害者等に係る欠格事由を見直すとともに,障害を有する運転免許取得希望
者に配慮した以下のような施策を実施した(警察庁)>
¡運転免許の欠格事由の見直し
「道路交通法の一部を改正する法律」
(平成13年6月20日公布,平成14年
6月1日施行)により,身体障害者等に係る自動車等の運転免許の欠格事
由について,見直しを行った
¡指定自動車教習所に対する指導
○身体障害者の利便を考慮した持込み車両やオートマチック車による教習
の実施
○身体障害者用車両の整備その他施設の改善
¡運転免許試験場等における施策
○持込み車両による運転免許試験の実施
○身体障害者用車両の整備その他施設・資機材の改善
○手話通訳員の配置
○運転適性相談室の施設改善,適性相談員の育成等
<障害者全般の雇用状況については相当改善されてきているものの,重度身体障害
者,知的障害者及び精神障害者については,必ずしも十分に改善されていない
状況にあったことから,厚生労働省では,これまでに以下のような障害種類別
の特性に応じたきめ細かな対策を講じてきたところである(厚生労働省)>
第
2
編
¡法定雇用率達成のための厳正な指導の実施
障害者実雇用率1.41%(平成5年)/1.49%(平成13年)
¡就労が困難な視覚障害者及び肢体不自由者を対象とした就労支援機器の計
画的開発(平成5年度∼)
視覚障害者用ウィンドウズ読み上げソフト,上肢障害者用特殊キーボー
ド等の開発
¡障害者雇用支援機器の貸出し(平成6年度∼)
事業主に対して,障害者の作業や通勤を容易にするための機器の貸与を実施
¡身体障害者職業自立等啓発事業の実施(平成14年度∼)
視覚障害者や重度身体障害者の自営を含む職業的自立の推進のため,相
談あるいは専門的情報の提供等を実施
134
第2編
施策内容等
実施事業等
¡知的障害者を含む障害者雇用率の設定(平成10年度∼)
平成9年の障害者雇用促進法の一部改正により,知的障害者を法定雇用
率の算定基礎に加えることとした(平成10年7月1日施行)
¡知的障害者職業自立等啓発事業の実施(平成6年度∼)
知的障害者の保護者等に対し,雇用に関する理解の促進を図るセミナー
の開催等を実施
¡知的障害者への職業訓練の実施
障害者職業能力開発校等において,知的障害者の職業訓練機会の増加を
図るため訓練科の増設を実施 (平成13年度現在:15校26科)
¡精神障害者である短時間労働者についても事業主助成金を支給
平成9年の障害者雇用促進法の一部改正により,助成金の支給業務の対
象に精神障害者である短時間労働者を追加(平成10年4月1日施行)
¡医療機関等と連携した精神障害者の実践的な求職活動指導(ジョブガイダ
ンス)事業の充実(平成10年度∼)
医療機関等の利用者のうち就職意欲の高い精神障害者を対象に,就職活
動に関する知識や方法を実践的に示す事業の実施
¡精神障害者職業自立等啓発事業の実施(平成14年度∼)
精神障害者とその家族及び医療,法律,福祉等の関係者に対して雇用に
関する理解の促進を図るセミナーの開催等を実施
<障害者が働きやすい施設・設備等の職場環境や通勤・住宅等の障害者の職業生活
にかかわる社会環境を整備すること等により,障害者の職業的自立を進めるこ
とが重要であることから,そのための支援策の強化として,厚生労働省は,こ
れまでに以下のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡知的障害者通所援護事業(昭和52年度∼)
知的障害者の特性に応じた作業指導・生活訓練等を実施
¡在宅重度障害者通所援護事業(昭和62年度∼)
就労の機会等を得難い在宅の重度身体障害者を対象に,小規模な通所の
作業所における軽作業等を実施
¡授産施設,福祉工場の計画的整備の推進(平成8年度∼)
<知的障害者の雇用の円滑化のためには,企業において雇用関係に入る以前に学校
教育又は社会福祉施設での指導・訓練において職業人として必要な基本的知
識・技能・態度等を身につけるための現場実習が重要であるので,今後もその
充実を図る必要があるため,文部科学省では以下のような措置を講じてきた
(文部科学省)>
¡社会の変化等に対応した教育内容の充実を図るため,盲・聾・養護学校の
学習指導要領を改訂(平成11年3月)
。知的障害養護学校高等部の専門教
科として,
「家政」
,
「農業」及び「工業」
(平成元年の改訂において新設)
のほか,
「流通・サービス」を新設するなど,職業教育を充実。また,就
業にかかわる体験的な学習の指導を適切に行い,生徒に勤労観,職業観を
育成することを求めている
¡社会の変化や生徒の実態の多様化等に対応した職業教育等の在り方につい
ての調査研究を実施(平成6年度∼平成7年度)
¡調査研究協力者会議の報告を受け,都道府県教育委員会等に対し,職業教
育等の一層の改善・充実について通知(平成7年度)
¡盲・聾・養護学校の生徒の卒業後の就業を促進するため,労働・福祉関係
機関,企業等と連携した効果的な職業教育及び進路指導等の在り方につい
て都道府県に実践研究を委嘱(平成8年度∼平成12年度)
¡盲・聾・養護学校の生徒の障害の特性等に応じた新たな職域を開拓するた
135
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
め,職業教育の在り方等について,厚生労働省と連携して調査研究を実施
(平成10年度∼平成11年度)
¡障害のある生徒一人ひとりに応じたきめ細かな就業支援の充実を図るた
め,教育と労働が一体となった就業支援の充実方策等について調査研究を
実施(平成13年度)
¡学校と公共職業安定所や障害者就業・生活支援センター等の関係機関,企
業等が連携した継続的な就業支援の組織や体制づくり,能力開発の観点を
踏まえた生徒一人ひとりの将来の就業に向けた個別の就業支援計画の開発
等のための実践研究事業を実施(平成14年度∼)
s重度障害者対策の推進
<障害者の雇用施策については,重度障害者に重点を置き,障害者が可能な限り一
般雇用につくことができるよう,厚生労働省では,これまでに以下のような障
害種類別の特性に応じたきめ細かな対策を講じてきたところである(厚生労働
省)>
¡第3セクターによる重度障害者雇用企業の設置(平成5年∼)
重度障害者等障害の種類,程度に応じた対策を強化するため,地方公共
団体と民間企業の共同出資による重度障害者多数雇用企業の育成
¡障害者の雇用に特別の配慮をした特例子会社の設立の促進
平成9年の障害者雇用促進法の一部改正により,特例子会社の認定基準
を緩和(平成9年10月1日施行)
¡情報機器の活用による重度障害者の社会参加・就労支援モデル事業の実施
(平成12年度∼13年度)
重度障害者の在宅雇用・就業への可能性を広げる支援の試行的実施
¡重度障害者在宅就労推進事業の実施(平成14年度∼)
社会福祉法人等による重度障害者の在宅雇用・就業に向けた支援の本格
実施
¡障害者緊急雇用安定プロジェクトの実施(平成10年度∼12年度)
¡障害者雇用機会創出事業の実施(平成13年度∼)
短期間の試行雇用(トライアル雇用)を活用した障害者雇用のきっかけ
づくりを推進
<一般雇用が困難な者に対する施策の推進
¡授産施設及び福祉向上の計画的整備,適切な施設利用の確保,職住分離,生産
性の向上等により,一般雇用が困難な者に対する施策の一層の充実を図った。
¡多様な就労の確保に努めた(厚生労働省)>
¡精神障害者授産施設に入所型を導入(平成3年度)
¡精神障害者社会復帰施設として精神障害者福祉工場の整備を開始(平成5
年度)
¡精神障害者社会適応訓練事業を実施(昭和57年度∼)
¡精神障害者小規模作業所の助成
d職業リハビリテーション
第
2
編
<障害の高度化や,障害の高齢化が進展する中で,以下に重点を置いた職業リハビ
リテーションの措置を総合的かつ効果的に実施してきたところである(厚生労
働省)>
¡職業開発援助事業の実施(平成4年度∼13年度)
¡社会福祉法人等及び小規模授産施設との連携による職域開発援助事業の実
施(平成6年度∼13年度)
¡職場適応援助者(ジョブコーチ)による就職後の人的支援パイロット事業
の実施(平成12年度∼13年度)
¡職場適応援助者(ジョブコーチ)による人的支援事業の実施(平成14年度∼)
136
第2編
施策内容等
実施事業等
パイロット事業を踏まえ,職域開発援助事業を発展改組し,職場定着に
課題を有する障害者に対し職場への適応のための支援を本格実施(平成14
年の障害者雇用促進法一部改正により,地域障害者職業センターの業務と
して実施)
¡障害者職業能力開発校における在職者訓練の実施(平成2年度∼)
障害者能力開発校において,雇用されている障害者の職務内容の変化へ
対応するための職業訓練の実施
¡広域障害者職業センターにおける対象者の拡大(平成14年度∼)
広域障害者職業センターにおいて系統的に職業リハビリテーションを受
ける対象者に身体障害者から知的障害者,精神障害者にも拡大
¡地域雇用支援ネットワークの活用による精神障害者職業自立支援事業の実
施(平成11年度∼)
職業準備訓練等の前段階の職業リハビリテーションが必要な精神障害者
に対して,対人技能訓練,作業指導等を実施
¡職業準備訓練を行う障害者雇用支援センターの設置(平成6年度)
就職が困難な障害者の職業的自立を図るため,福祉と雇用の連携を図り
ながら就職・職場定着に至るまでの相談,援助を実施
¡障害者就業・生活支援センター事業の実施(平成14年度∼)
平成14年の障害者雇用促進法の一部改正により,雇用,福祉,教育等の
関係機関が連携して障害者に対する就業面,生活面を一体的に支援する事
業を創設
4 保健・医療
a心身障害の発生予防、早
期発見及び研究の推進
<障害を受けた初期の段階で,本人及び家族に対して障害軽減に係る各種のサービ
スの紹介,精神的な支援等を行う相談指導体制の充実を図った(厚生労働省)>
¡精神障害者の社会復帰に係る相談の実施
市町村における実施,精神保健福祉センターにおける複雑・困難な事例
に係る精神保健福祉相談,思春期精神保健相談等の実施
¡各種保健福祉サービスの活用方法等の情報提供を実施
「地域精神保健福祉対策促進事業」として,地域の実情に応じて実施
(平成7年度∼。平成10年に「障害者の明るいくらし」促進事業等へ統合)
<¡障害の発生を予防し,根本的治療法等を確立するため,心身障害,精神・神経
疾患研究等の研究を一層推進する。特に精神障害,難病等原因究明が十分進
んでいない分野については,重点的に研究の推進を図った。
¡精神障害については,地域における精神保健相談,訪問指導,社会復帰に対する
支援,心の健康づくり等の地域精神保健対策を一層推進した(厚生労働省)>
¡精神・神経疾患の病態解明・発生予防等についての研究を推進
精神神経疾患委託研究において実施(昭和56年度∼)
¡保健所において,医師,精神保健福祉相談員等による精神保健福祉相談,
老人精神保健相談,訪問指導を行うとともに,患者クラブ,患者家族会等
の活動に対して必要な助言,指導等を実施
¡精神保健福祉センターにおいて,複雑・困難な事例に係る精神保健福祉相
談を実施しているほか,思春期精神保健相談等の特定相談,心の健康づく
り事業等を実施
<障害の発生予防,早期発見,根本的治療法等の確立のための心身障害等の研究を
一層推進することが極めて重要であることから,厚生労働省では,これまでに
以下のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡母子保健関係の事業等
母子保健相談・指導事業(昭和12年∼)
137
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
母子健康手帳の交付(昭和17年∼)
妊産婦健康診査(昭和23年∼)
乳幼児健康診査(昭和23年∼)
3歳児健康診査(昭和36年∼)
1歳6か月児健康診査(昭和52年∼)
先天性代謝異常等検査(昭和52年∼)
新生児聴覚検査(平成12年度∼)
周産期医療体制の整備(平成8年度∼)
¡障害児(者)を中心とした治療教育法の開発に関する研究(平成5年度∼
9年度)
¡障害児(者)地域療育等支援事業を実施(平成8年度∼)
¡難病特別対策推進事業(平成10年度∼)
難病患者とその家族に対し,医療相談,訪問相談,重症難病患者入院施
設確保事業を行うことにより,疾病等に対する不安の解消,在宅医療の促
進,安心した療養生活の確保,患者・家族のQOLの維持向上を図った
<労働災害防止等の安全対策として,農作業事故の未然防止と農作業の安全確保,
林業労働安全衛生の確保,漁船の海難事故防止と労働災害の防止について,農
林水産省ではこれまでに以下の措置を講じてきた(農林水産省)>
¡農作業安全等総合推進対策事業
農作業事故を防止するために必要な,地域農業の機械化の推進及び安全
利用の推進役となる農業機械士等に対する研修及び女性・高齢者に対する
研修の実施,地域ぐるみで農作業安全管理体制を築く「地域ぐるみ農作業
事故ゼロ運動」を推進(平成12年度∼)
¡農作業事故ゼロ運動推進事業(平成9年度∼平成11年度)
¡農作業事故防止推進事業(平成4年度∼平成8年度)
¡森林・林業労働安全衛生総合対策事業
林業に係る安全衛生推進体制の整備,作業現場への安全巡回指導の実施,
事業主を対象とした安全管理手法等の指導並びに林業振動障害の予防対策
等を推進(平成10年度∼18年度)
¡林業改善資金
安全衛生施設等の導入に必要な資金の無利子貸付けを実施(昭和51年度∼)
¡検診技術員設置費等補助金
小型漁船機関の点検・検診を行う検診技術員の設置等に対し助成(昭和
35年∼平成13年度)
¡沿岸漁業就業者確保育成事業
小型漁船の安全操業のための啓蒙普及(平成8年度∼12年度)
<身体障害者に対し,地域における福祉活動の場を利用するなどして,手話通訳員
による交通安全教室等の交通安全教育を推進するなど,日常の交通警察活動及
び全国交通安全運動等の交通安全活動を通じ,交通事故防止対策を推進してい
る(警察庁)>
s医療・リハビリテーション
第
2
編
医療の充実
<刑務所等に収容されている身体障害者等の機能回復訓練に必要な機器整備を行う
ために,法務省では,これまでに以下のような措置を講じてきた(法務省)>
医療刑務所等(計8施設)に,機能回復訓練に必要なリハビリテーショ
ン機器を更新整備(平成3年度∼)
d精神保健対策の推進
<¡精神障害者に対し適切な医療の機会が提供されるよう,精神科における救急医
療体制,重症な入院患者や身体合併症を有する者等に対する医療体制を確立
138
第2編
施策内容等
実施事業等
するとともに,リハビリテーション医療を推進した。
¡医療法に基づく各都道府県の医療計画において策定される2次医療圏を単位と
して社会復帰施設の整備を図る等社会復帰対策を一層推進するとともに,社会
復帰施設の運営に関し,他の障害者福祉施設と同様に整備が推進される方策を
講じた。また,社会復帰対策における市町村の役割について検討し,所要の措
置を講じた。
¡国民の精神的健康の保持・増進を図り,併せて精神障害者の社会復帰を促進す
るため,保健所・精神保健センター等において精神保健相談の充実,社会復
帰に対する支援等地域精神保健対策を一層推進した。
¡思春期,老年期等のライフステージに応じたきめ細かい精神保健対策を推進す
る。特に,人口の高齢化等を踏まえ,老人性痴呆疾患治療病棟,老人性痴呆疾
患療養病棟及び老人性痴呆疾患センターの整備の促進を図った(厚生労働省)>
¡精神科デイ・ケア施設の整備に対して補助を実施(昭和45年度∼)
¡精神科における救急医療体制及び身体合併症を有する精神障害者に対する
医療体制の一環として,その在り方に関する研究等を実施(平成5年度∼)
¡精神科救急医療システム整備事業を実施(平成7年度∼)
¡精神障害者社会復帰施設の整備促進を図るため,他の障害者福祉施設と同
様に社会復帰施設に係る運営費の設置者負担を解消(平成5年度)
¡国においては,こころの健康づくりの一環として,心的外傷後ストレス障
害(PTSD)専門家養成研修(平成8年度∼)及び思春期精神保健専門家
養成研修(平成13年度∼)を実施するとともに,思春期精神保健ケースマ
ネジメントモデル事業を実施(平成13年度)
¡精神保健法等の一部改正(平成5年6月)において,市町村に関し精神障
害者社会復帰施設を設置できることに加え,精神障害者地域生活援助事業
を実施できることを追加。平成7年5月の改正においては,精神障害者社
会適応訓練事業を実施できることを追加し,さらに平成11年5月の精神保
健福祉法の一部改正では,市町村が精神障害者居宅生活支援事業を実施で
きることとしたほか,施設及び事業の利用の調整を行うことができること
とした
¡保健所において精神保健福祉相談,老人精神保健相談,精神障害者デイケ
ア事業等を実施
¡精神保健福祉センターにおいて,複雑・困難な事例に係る精神保健福祉相
談や,思春期精神保健相談等の特定相談を実施
¡(財)全国精神障害者家族会連合会を精神障害者社会復帰促進センターと
して指定(平成7年度)
¡「地域精神保健福祉対策促進事業」において,地域の実情に応じた対策を
実施(平成7年度∼9年度)
¡老人性痴呆疾患治療病棟及び老人性痴呆疾患療養病棟の整備を促進
¡老人性痴呆疾患患者の鑑別診断及び相談を行う老人性痴呆疾患センターの
整備を促進
f専門従業者の確保
<保健・医療対策の推進に当たって,専門的技術を有する質の高いマンパワーの確
保が不可欠であることから,その計画的育成を図るため,厚生労働省では,こ
れまでに以下のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡精神保健福祉士国家資格化(平成10年施行)
¡精神保健福祉士養成施設の指定を以下のように行った
平成10年度
8校(定員 370名)
平成11年度
8校(定員 460名)
平成12年度
7校(定員 219名)
平成13年度
10校(定員 1,035名)
139
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
¡言語聴覚士の資格を法定化(平成10年施行)
¡理学療法士,作業療法士の計画的養成の推進
5 福祉
<¡従来から年金額の改定を行っており,平成6年の財政再計算の際には生活水準
の向上や賃金等の上昇に応じて年金額を引き上げる(平成6年10月に実施)
a生活安定のための施策
とともに,平成7年度,10年度及び11年度においては,前年の物価に応じ
の充実
て給付額を改定する自動物価スライド制により給付額を引き上げた。また,
平成8年度,12年度,13年度及び14年度においては,社会経済情勢にかん
がみ,前年の物価が下落したにもかかわらず特例法により年金額を据え置く
こととした。
¡20歳前に生じた障害に係る障害基礎年金の本人所得制限については,その限度
額を受給権者の所得の伸び等を勘案して毎年引き上げている。また,平成7年
8月から一部支給停止の仕組みを追加して所得制限を2段階制にした。
¡特別障害者手当,障害児福祉手当等についても,消費者物価指数の上昇に応じ
て引き上げるなど,年金額と同様の取扱い(厚生労働省)>
障害基礎年金(月額)
4年度
5年度
6年度
6年度
7年度
8年度
9年度
10年度
11年度
12年度
13年度
14年度
s福祉サービスの充実
1級
75,550円
76,800円
77,842円
81,250円
81,825円
81,825円
81,825円
83,283円
83,775円
83,775円
83,775円
83,775円
2級
60,442円
61,442円
62,275円
65,000円(10月改正)
65,458円
65,458円
65,458円
66,625円
67,017円
67,017円
67,017円
67,017円
<地方公共団体が民間福祉活動に適切なインセンティブを与えることや社会福祉法
人等におけるマンパワー確保を活性化すること等を目的として行う取組を促進
するために以下の措置を講じた(総務省)>
¡地方公共団体が設置する「地域福祉基金」に要する経費に対して地方財政
措置を実施(平成3年度∼平成5年度)
<地方公共団体が行う障害者等の社会参加,生きがいづくりのための施設や保健福
祉マンパワー養成のための施設整備事業を積極的に支援するために以下の措置
を講じてきた(総務省)>
地域福祉推進特別対策事業(平成3年度∼平成10年度)及び共生のまち
推進事業(平成11年度∼平成13年度)
地方公共団体が実施する地方単独事業について財政措置を実施
第
2
編
<社会福祉士,介護福祉士等の養成を推進する(厚生労働省)>
¡平成14年4月までに38校(45課程)を社会福祉士養成施設,378校(447課
程)を介護福祉士養成施設として指定
¡社会福祉士及び介護福祉士国家試験に関する事務等を行う指定試験機関等と
して,財団法人社会福祉振興・試験センターを指定し,昭和63年度から実施
¡職能団体による継続研修の実施を支援(平成11年度∼)
140
第2編
施策内容等
実施事業等
¡介護福祉士等就学資金貸付事業の実施(平成5年度∼)
¡精神保健福祉士国家試験に関する事務等を行う指定試験機関等として,財
団法人社会福祉振興・試験センターを指定し,平成10年度から実施
<障害者が社会生活を送る上での基本的な生活ニーズに対応するため,障害に応じ
た各種の福祉サービスの提供を確保すること,特に,ノーマライゼーションの
理念の具現化という観点からは,在宅福祉サービスの一層の充実を図ることが
重要であることから,厚生労働省では,これまでに以下のような措置を講じて
きた(厚生労働省)>
¡訪問介護(ホームヘルプサービス)事業の充実
ホームヘルパーの増員
ガイドヘルパー養成研修事業を実施(平成9年度∼)
知的障害者の対象者を中軽度,ひとり暮らしまで拡大(平成12年度∼)
¡短期入所(ショートステイ)事業の充実
障害児(者)の対象者を中軽度まで拡大(平成5年度∼)
障害児(者)に日中受入れ(レスパイト)を導入(平成12年度∼)
¡日帰り介護(デイサービス)事業の充実
実施か所の増
¡身体障害者及び知的障害者のデイサービスの相互利用を実施(平成10
年度∼)
¡知的障害者デイサービス事業について,公民館や学校の空き教室等で事業
が実施できるように施設要件を緩和(平成12年度∼)
¡身体障害者の訪問入浴サービスを実施(平成12年度∼)
¡知的障害者地域生活援助事業(グループホーム)の充実
¡福祉ホームの整備・充実
¡通所授産施設の整備・充実
¡身体障害者,知的障害者及び精神障害者の授産施設(通所)の相互利用を
実施(平成12年度∼)
¡市町村障害者社会参加促進事業(平成7年度∼)
障害者の社会参加を促進するために,コミュニケーション支援,情報支
援,移動支援等メニュー事業の中から地域のニーズに応じて選択して実施
¡市町村障害者生活支援事業(平成8年度∼)
在宅の障害者等に対し在宅福祉サービスの利用援助,社会資源の活用や
社会生活力を高めるための支援,当事者相談等を総合的に実施
¡障害児(者)地域療育等支援事業(平成8年度∼)
在宅の障害児,知的障害者及びその保護者に対して身近なところでの相
談,指導及びサービスの利用援助等の提供を総合的に実施
¡障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業の実施(平成12年度∼)
障害者が地域で自立した生活を送るために,生活訓練,コミュニケーシ
ョン手段及び移動支援等メニュー事業の中から,地域のニーズに応じて選
択して実施
¡自閉症・発達障害支援センターの創設(平成14年度∼)
¡身体障害者補助犬法の制定・施行(平成14年度∼)
<¡障害者の在宅福祉サービス,特に在宅の重度障害者等介護を要する障害者に対
するホームヘルプサービス事業,家族の介護負担を軽減するショートステイ
事業等の各種の在宅介護事業の充実を図った
¡在宅の精神障害者に対しては,通所が他施設の整備に加え,グループホー
ム等生活の自立を支援するための事業等の充実を図った
¡授産施設等の通所施設やデイサービスセンター,福祉ホーム等の地域にお
141
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
ける利用施設の整備・充実を図った
¡精神障害者及び知的障害者の当事者としての活動の活性化に努めた(厚生
労働省)>
¡精神障害者社会復帰施設の整備を図るため,運営費の設置者負担を解消
(平成5年度∼)
¡精神保健福祉法に基づく精神障害者社会復帰施設として通所機能付援護寮
を整備(平成5年度∼7年度)
¡地域で生活する精神障害者の日常生活を支援する精神障害者地域生活支援
センターの整備を開始(平成8年度)
¡精神障害者グループホーム及び精神障害者地域生活支援センターを法定化
(平成12年施行)
¡授産施設の相互利用の実施(知的障害者,精神障害者)
(平成11年度∼)
¡精神障害者居宅生活支援事業として,ホームヘルプ,ショートステイ,グ
ループホームの3事業を実施(平成14年度∼)
¡精神障害者授産施設,精神障害者福祉ホーム,精神障害者生活訓練施設
(援護寮)
,精神障害者ショートステイ施設,精神障害者福祉工場,精神科
デイ・ケア施設,精神障害者地域生活支援センターの整備を推進
¡保健所,精神保健福祉センターにおいて,患者クラブ,患者家族会等の活
動に対して助言,援助,指導等を実施
¡専門職員の養成
○身体障害者相談員等の相談員の活動の活性化を図るため,障害者相談員
強化事業を実施(平成10年度∼)
○社会福祉士及び介護福祉士の養成を推進(平成14年3月までに,社会福
祉士養成施設38校,介護福祉士養成施設379校を指定)
○精神保健福祉士及び言語聴覚士の資格を法定化(平成10年施行)
。また,
精神保健福祉士養成施設については,平成14年3月現在で31校を指定
¡権利擁護制度
○民法の一部を改正する法律による成年後見制度の導入に伴い,精神保健
福祉法及び知的障害者福祉法を改正して,市町村長による後見等申立が
行えるようになった
○知的障害者,精神障害者などに対して,福祉サービスの利用援助等を行
うことにより,地域において自立した生活を送れるよう,地域福祉権利
擁護事業を実施(平成11年度∼)
○福祉サービス利用援助事業を第2種社会福祉事業として社会福祉法に法
定化(平成12年度)
○成年後見制度利用支援事業の対象として知的障害者を追加
(平成14年度∼)
¡資格制限の見直し
○精神障害や視聴覚障害等を理由とする資格制限が障害者の社会参加を不
当に阻む要因とならないよう,
「障害者等に係る欠格事由の適正化等を
図るための医師法等の一部を改正する法律」
(平成13年法律第87号)に
おいて,27本の法律,31の制度を見直し
<ノーマライゼーションの理念に即して障害者等の権利を擁護するための法的基盤
の整備の一環として,以下の措置を講じた(法務省)>
第
2
編
検察審査員について,
「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法
律の整備等に関する法律」
(平成11年法律第151号,平成11年12月8日公布,
平成12年4月1日施行)により,検察審査会法(昭和23年法律第147号)
第5条第3号を削除し,障害を理由とする欠格条項の廃止の措置を行った
142
第2編
施策内容等
d福祉機器の研究開発・
普及
実施事業等
<高齢者・福祉社会に対応した標準化のため,以下のような調査研究等
を行ってきた(経済産業省)>
¡(社)日本リハビリテーション医学会において,歩行補助具及び介護機器
の標準化に関する調査研究を実施(平成7年度∼9年度)
¡日本健康福祉用具工業会において,福祉用具・システムの標準化に関する
調査研究を実施(平成10年度∼)
<障害者の自立,社会参加の促進及び介護者の負担軽減のために,日常生活を向上
させる又は身体機能回復に資する福祉用具が果たす役割は極めて重要である。
また,情報化社会において,ITの活用は障害者の経済・社会への参加,生きがい
のある生活を実現するツールとして極めて重要である。経済産業省では,福祉
用具や障害者が使いやすいIT機器の研究開発・普及促進について以下のような措
置を講じてきた(経済産業省)>
¡福祉機器関連事業
先端的高度技術を応用した福祉機器の総合的な技術開発を実施
○福祉用具実用化開発推進事業(平成5年度∼)
多様な福祉ニーズに対応した,短期間で開発可能な身近な福祉用具の
民間による開発支援
○福祉機器情報収集・分析・提供事業(平成5年度∼)
福祉機器の使用者ニーズを具現化する技術シーズの発掘とユーザーへ
のイメージ提示をする技術具現化のための調査研究及び高齢者・障害者
のニーズに合った使い勝手の良い福祉機器の研究開発を行うためのデー
タベース構築
○ウェルフェアテクノシステム研究開発(平成10年度∼平成13年度)
福祉用具研究開発施設(ウェルフェアテクノハウス等)を活用し,福
祉機器システムに関する産学官共同研究開発事業を実施
○エネルギー使用合理化在宅福祉機器システムの開発(平成11年度∼)
高齢者配慮住宅の構造特性,福祉機器システムの使用特性等を踏まえ
て,福祉機器関連施設等で行われるエネルギー有効利用型の福祉機器シ
ステムの研究開発を実施
○医療福祉機器技術研究開発(昭和51年度∼)
最先端の産業技術を駆使した,安全性・利便性に優れた医療福祉機器
の研究開発
¡福祉用具評価基盤整備・標準化関連
生産性向上及び安全性等確保のため,福祉用具の評価体制整備,国際規
格への対応,国際規格の適正化,JIS規格・SG基準作成,事故情報収
集等を推進
○福祉用具産業基盤調査等(平成7年度∼)
福祉用具の安全性・適応性等の評価を行うとともに,福祉用具の産業
基盤の確立及び普及を推進するために福祉用具に関連する各種情報の収
集と分析を実施
○福祉用具総合情報ネットの開設(平成11年度∼)
福祉用具の評価方法・基準等,利用者,国,評価機関,地方公共団体,
業界等関係機関に分散している情報をインターネット上でネットワーク化
¡障害者のIT利用促進
○「情報バリアフリープロジェクト」
(平成12年度∼)
障害者等が使いやすいIT機器・システムの開発を推進。併せて障害
者のIT利用を支援する者を養成するためのe−ラーニングを中心とし
た研修プログラムを開発
¡その他
143
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
○福祉関連機器普及促進(財投)
(平成4年度∼)
福祉機器の研究開発・製造・販売等を行う事業者に対し,低利かつ長
期の融資を実施
○共用品・共用サービスの普及促進
身体的な特性や障害にかかわりなく,より多くの人々が共に利用しや
すい製品・施設・サービスの普及を推進
○日本健康福祉用具工業会の設立(平成8年度∼)
○(財)共用品推進機構の設立(平成11年度∼)
○日本生活支援工学会の設立(平成12年度∼)
福祉分野における産学官連携及び関係学術・社会活動の知見を結集す
るための学会を設立
¡「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」の施行(平成5年度∼)
<障害者が社会生活を送る上での基本的な生活ニーズに対応するためには,障害に
応じた各種の福祉サービスの提供を確保することが必要であることから,厚生
労働省では,これまでに以下のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡福祉機器の開発(平成5年度∼)
「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」
(平成5年法律第38
号)を制定し,
(財)テクノエイド協会を通じて,民間事業者が行う研究
開発に対して助成金を交付し,福祉用具の開発普及を促進
¡補装具給付制度及び日常生活用具給付等事業
給付品目について,必要性及び福祉機器の開発状況等を踏まえ,新規種
目の追加及び内容改善等を実施
補装具給付等事業
身体障害者
昭和25年度∼
身体障害児
昭和26年度∼
日常生活用具給付等事業 身体障害者
昭和44年度∼
障害児・知的障害者 昭和47年度∼
6 生活環境
a建築物の構造の改善
<建築物における物理的な障害の除去を図るため,障害者の利用に配慮した建築物
の構造の改善について,国土交通省では,これまでに以下のような措置を講じ
てきた(国土交通省)>
¡「人にやさしいまちづくり事業」の実施(平成6年度∼)
¡「高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関
する法律(ハートビル法)
」の制定(平成6年度)
,改正(平成14年度)
¡「移動円滑化建築設備等ガイドライン・選定提案集」の策定(平成14年度)
<地方公共団体が行う高齢者・障害者にやさしいまちづくり(歩道の段差切り下げ,
階段のスロープ化等の公共施設等の改良事業等)を積極的に支援するために以
下の措置を講じてきた(総務省)>
¡地域福祉推進特別対策事業(平成3年度∼平成10年度)及び共生のまち推
進事業(平成11年度∼平成13年度)
地方公共団体が実施する地方単独事業について財政措置を実施
第
2
編
<障害のある人が安全で快適な社会生活を送ることができるよう,国や地方公共団体
が設置する建築物について,障害のある人の利用に配慮することが重要であること
から,文部科学省では,これまで以下のような措置を講じてきた(文部科学省)>
¡社会教育施設の整備に当たっては,スロープ,専用トイレ等の整備など障
害者に対して配慮するよう地方公共団体に対し指導
¡学習障害支援設備整備事業(平成9年度∼)
都道府県,市町村が公民館等社会教育施設の機能の高度化を図り,質の
144
第2編
施策内容等
実施事業等
高い学習活動が可能となるよう設備を整備する学習活動支援設備整備事業
の中で,障害者の学習活動を支援するため,簡易昇降機,点訳本作成機等
の設備整備に対し補助
<国の設置する建築物については,障害のある人の利用に対する配慮を行うことを
原則とする(法務省)>
(制度創設昭和58年∼)
¡庁舎整備
q玄関ドアの自動化,スロープの設置
w障害者専用トイレ,手すりの設置
e障害者対応エレベーターの設置
rインターホンの設置
t点字ブロックの設置
¡実施か所
昭和58年−33か所 平成10年−24か所
昭和62年−51か所 平成11年−24か所
平成4年−36か所 平成12年−28か所
平成9年−27か所 平成13年−156か所
<障害のある人の利用を考慮して,以下の施策を講じてきた(総務省)>
¡既設郵便局舎における身体障害者の利用を考慮した施設設備(平成9年度∼)
点字ブロック,スロープ,車いす使用者用駐車場等の設置
¡既設の郵政局及び事務庁舎等(事務センター等)における身体障害者の利
用を考慮した施設整備(平成12年度∼)
点字ブロック,スロープ,車いす使用者用駐車場等の設置
¡郵便貯金周知宣伝施設(メルパルク等)における身体障害者の利用を考慮
した施設整備(平成9年度∼)
主玄関の段差解消,車いす使用者が利用できるエレベータの改善,専用
トイレ等の設置
¡簡易保険加入者福祉施設における身体障害者の利用を考慮した施設整備
(昭和56年度∼)
q身体障害者用客室の機能向上
重度障害者用天井走行リフトの設置,電動ベットの配備等
w改築施設の全体バリアフリー化
玄関からロビー,エレベーター,廊下,客室,大浴場等に至るまで施
設全体をバリアフリー化
e介護専用浴室の併設
r施設職員のホームヘルパー資格の取得
ホームヘルパー2級取得者53名,3級取得者1,767名(平成13年度末
現在)
<障害者等が安心して快適に暮らせる農山漁村づくりを推進するため,広幅員の歩
道整備等障害者等に配慮した生活環境の整備について,農林水産省ではこれま
でに以下の措置を講じてきた(農林水産省)>
¡農村振興総合整備事業(高齢者福祉基盤整備)
活力ある農村社会の発展に資するため,地域の自然的,社会的条件を踏
まえつつ,農業生産基盤の整備と併せて,高齢者・障害者が安全に活動で
きるよう集落道における広幅員の歩道整備,公共施設のバリアフリー化,
生きがい農園整備等を総合的に実施(平成8年度∼)
¡漁港漁村整備事業
145
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
障害者等が安心して快適に暮らせる農山漁村づくりを推進するため,広
幅員の歩道整備,障害者用トイレ,緑地広場へのスロープの設置,障害者
用スペースを確保した駐車場等障害者等に配慮した施設整備を実施(平成
8年度∼12年度)
¡水産基盤整備事業(平成13年度∼)
s住宅整備の推進
<住宅における物理的な障害の除去を図るため,障害者が地域で生活していくため
の住宅整備の推進について,国土交通省では,これまでに以下のような措置を
講じてきた(国土交通省)>
¡新設の公共賃貸住宅における高齢者・障害者に配慮した仕様の標準化
(公営住宅:平成3年度∼/公社賃貸住宅:平成7年度∼/公団賃貸住
宅:平成3年度∼)
¡既設の公営住宅について,高齢者・障害者の利用に配慮した改善(昭和57
年度∼)
¡心身障害者世帯向公営住宅の供給(昭和46年度∼)
¡新築住宅に対する住宅金融公庫融資において,バリアフリー住宅工事割増,
高齢者等同居住宅工事特別加算を実施(平成3年度∼)
¡住宅リフォームに対する住宅金融公庫融資において,バリアフリー住宅工
事等を伴う場合について融資限度額を引上げ(平成10年度∼)
¡福祉施策との連携強化の観点から,公共賃貸住宅において福祉施設等との
併設・合築を促進(公団賃貸住宅:平成元年度∼/平成14年度より,大規
模公営住宅の建替において,併設・合築を原則化)
¡「長寿社会対応住宅設計指針」の策定(平成7年度)
¡「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」の策定(平成13年度)
<障害者や高齢者に配慮した住宅の供給を促進するため,年金資金運用基金におい
ては,以下の措置を実施してきた(厚生労働省)>
¡障害者等同居割増(昭和53年∼)
障害者,高齢者等と同居する場合,融資額に300万円を加算する割増融
資を実施
¡年金バリアフリー住宅融資(平成8年∼)
介護等を必要とする障害者等が安全で快適な生活が営めるようなバリア
フリー構造の住宅の取得・改良に要する資金の融資について,融資限度額
及び融資金利を優遇して実施
d移動・交通対策の推進
第
2
編
<道路,交通ターミナル等における物理的な障害の除去を図るため,障害者の社会
参加の機会増大や行動範囲の拡大のための移動・交通対策等の推進について,
国土交通省では,これまでに以下のような措置を講じてきた(国土交通省)>
¡「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイド
ライン」
(昭和58年策定・平成6年改訂)
¡「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」の策定(平成13
年度)
¡障害者等のためのモデル交通計画の策定(平成7年度)
¡「高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に
関する法律(交通バリアフリー法)
」の制定(平成12年度)
¡「公共交通機関の車両等に関するモデルデザイン」の策定(平成12年度)
¡「道路構造令」の改正(平成13年度)
¡「道路の移動円滑化整備ガイドライン」を策定(平成13年度)
¡「みんなが使いやすい空港旅客施設計画資料」の策定(平成13年度)
¡「ユニバーサルデザイン歩行空間整備事業」の創設(平成14年度)
146
第2編
施策内容等
実施事業等
<高齢の方,障害のある方等の視点に立って,誰もが利用しやすい交通機関の整備
を図るため,公営のバス事業又は路面電車事業へのリフト付き又は超低床型車
両の導入を促進する措置を講じている(総務省)>
¡リフト付車両及び低床型車両の導入促進対策(平成4年度)
通常車両の購入に比べて増こうする経費を一般会計が負担することがで
きるものとし,この一般会計負担に対して特別交付税を措置
<地方公共団体が行う歩行補助車の活用等やベンチ等の整備によるすべての人にや
さしい移動空間の体系的・一体的整備,公共施設・ターミナル等への移動のた
めのバス購入を積極的に支援するために措置を講じている(総務省)>
¡共生のまち推進事業(平成11年度∼平成13年度)
地方公共団体が実施する地方単独事業について財政措置を実施
<¡「高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関す
る法律」(交通バリアフリー法,平成12年5月公布,平成12年11月施行)
の制定を踏まえ,鉄道駅等の旅客施設を中心とした福祉施設等を含む地区に
おいて,バリアフリー対応型信号機の整備等,身体障害者の利用に対して配
慮した交通安全施設の整備を推進した。
¡身体障害者の社会参加の促進を図るという観点から,道路交通法を改正して,
身体障害者等の通行の保護を図るための規定の整備を行った(警察庁)>
¡身体障害者の使用する車両に対する駐車禁止規制の除外措置(昭和53年∼)
身体障害者が自動車を利用しやすいよう,都道府県公安委員会規則又は
告示を改正し,一の都道府県公安委員会から駐車禁止除外指定車標章の交
付を受けた車両については,その他の都道府県においても駐車禁止規制の
適用除外とする措置を講じた
¡バリアフリー対応型信号機の整備(平成8年度∼)
〈平成13年度末現在の設置状況〉
高齢者等感応信号機
約 3,400基
歩行者感応信号機
約
800基
視覚障害者用付加装置
約 11,100基
音響式歩行者誘導付加装置
約 1,000基
¡交通安全総点検の実施(平成9年∼)
毎年,春と秋の全国交通安全運動の時期を中心に,道路管理者,住民,
企業等の参加による交通安全総点検を実施し,その結果を踏まえた歩行空
間等の整備を推進
¡PICS(歩行者等支援情報通信システム)の運用開始(平成12年度)
身体障害者が安全に歩行できる空間を確保するため,携帯情報端末を通
じて必要な情報を提供するPICSを全国20地区で運用開始
¡「道路交通法の一部を改正する法律」
(平成13年6月20日公布,平成14年
6月1日施行)により,身体障害者標識の制度の導入等身体障害者等の通
行の保護を図るための規定の整備を行った
f情報提供の充実
<少子・高齢化の進展,福祉・介護に対するニーズの増大に対応するため,効率的
できめの細かい福祉サービスの提供,障害者・高齢者の自立・社会参加を可能
とするための情報通信システムの整備など,福祉の情報化の推進は重要な政策
課題となっている。総務省では,福祉分野におけるIT化を進め,福祉サービスの
質の向上,効率化に資する以下の施策を実施してきた(総務省)>
¡障害のある人等の自立・社会参加を支援する情報通信システムの開発・展
開(平成11年度∼)
福祉分野において求められる高度な機能を持つ情報通信システムを実現
147
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
するための研究開発を,地方公共団体等の協力を受けて実施
<IT(情報通信技術)革命の進展は,社会に大きな変革をもたらし,我が国の経済
的な繁栄,豊かな国民生活の実現をもたらすものと期待されているが,年齢・
身体的な条件に起因するIT利用の格差が生じており,すべての国民がITの恩恵を
享受できる環境の実現は重要な政策課題である。総務省では,高齢者・障害者
を含めだれもがITを利用できるよう,以下のような情報バリアフリー関係施策を
推進してきた(総務省)>
¡身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の
推進に関する法律の制定(平成5年)
¡高齢者・障害者のためのIT利用に関する調査研究の実施(平成5年∼)
¡情報通信利用機会均等整備事業の実施(平成5年∼)
高齢者・障害者又はこれらの者の介護を行う者の利便を増進する電気通
信システムを整備する者に対する融資制度
¡高齢者・障害者向け通信・放送サービス充実研究開発助成(平成9年度∼)
による支援
¡障害者等電気通信設備アクセシビリティ指針の告示(平成10年)
¡障害者,高齢者を含むだれもが円滑に利用できる電気通信設備・サービス
の普及を目的とする電気通信アクセス協議会の設立(平成10年∼)
¡身体障害者向け通信・放送役務の提供,開発等の推進(平成13年度∼)
<障害のある者に対する情報提供の充実及び利便の向上を図るため郵便局等におい
て次の事業を実施(総務省)>
第
2
編
¡年金配達サービスの実施(平成3年度∼)
郵便局等に出向けない人を対象とした郵便局による福祉サービス
¡お客様案内表示機の配備(平成4年度∼)
お客様に番号札を発行し,音声及び電光表示で順番を案内するサービス
¡点字が読める職員の養成(平成3年度∼)
郵便局の窓口職員等を対象に,点字の読める職員を養成
¡手話ができる職員の養成(平成4年度∼)
郵便局の窓口職員等を対象に,手話のできる職員を養成
¡目の不自由な方のためのくぼみ入り郵便葉書の発売(平成2年度∼)
郵便葉書の上下・表裏が容易に識別できるよう表面左下部に半円形のく
ぼみを入れた郵便葉書を発売
¡青い鳥郵便葉書として,重度の身体障害者及び重度の知的障害者に対する
くぼみ入り葉書の無償配布(昭和51年度∼,ただし重度の知的障害者に対
しては12年度∼)
¡障害のある人のための各種郵便物に対する郵便料金の減免
○盲人用点字郵便物等の無料扱い(昭和36年度∼)
○心身障害者団体の発行する定期刊行物に対する郵送料の優遇措置(昭和
50年度∼)
○図書館と重度心身障害者との間で発受される図書に対する郵送料の優遇
措置(昭和50年度∼)
○大型点字書籍の郵送料の優遇措置(昭和50年度∼)
○聴覚障害者の福祉を増進することを目的とする施設と聴覚障害者との間
で発受されるビデオテープに対する郵送料の優遇措置(平成元年度∼)
¡視覚障害のある人の利用の向上を図るための点字による各種サービスの実施
○郵便ポストに記載されている案内について点字表示(昭和59年度∼)
○点字内容証明郵便物(点字のみを掲げたものを内容とするものについて
の内容証明の取扱い)を実施(平成4年度∼)
148
第2編
施策内容等
実施事業等
○点字で表示した不在配達通知カードの使用(平成4年度∼)
○郵便切手・はがき発売機の操作面に,現金投入口及び販売品等を点字で
表示(平成2年度∼)
○定額郵便貯金等の貯金証書に表示した契約内容や貸付け・弁済状況等を
点字表示(昭和58年度∼)
○郵便貯金の満期のご案内や貸付けの取扱いに関する返済期限のご案内な
どを点字でお知らせ(平成2年度∼)
○通常貯金の取扱状況及び現在高を点字でお知らせ(昭和61年度∼)
○貯金通帳又は貯金証書に貯金種類を点字表示したシールを貼付(平成6
年度∼)
○お客さまの名前を点字表示した郵便貯金キャッシュカードの交付(昭和
59年度∼)
○点字・拡大文字版の冊子「郵便商品・サービス案内」
,
「郵便貯金のご案
内」
,
「簡易保険のご案内」の郵便局窓口配備(郵便:平成8年度∼,貯
金・保険:平成7年度∼)
○簡易保険契約の点字による契約内容のお知らせ(昭和58年度∼)
○簡易保険契約の点字による満期案内等各種通知書の送付(平成2年度∼)
¡郵政事業庁が提供するテレビ番組への字幕付加(平成5年度∼)
¡視覚障害者の利便を図るためのCD及びATMの設置(昭和57年度∼)
機械操作の音声誘導,操作部の点字表示,イヤホン等による残高確認等
<選挙における基本的な権利の行使に当たり障害のある人々の特性に配慮した十分な
情報提供が行われるよう,これまでに以下のような措置を講じてきた(総務省)>
¡国政選挙における点字による「候補者名簿及び名簿届出政党等名簿」の投
票所等への備付け並びに「選挙のお知らせ」の配布
¡参議院比例代表選出議員選挙における政見放送への手話通訳の導入(平成
7年∼)
¡衆議院小選挙区選出議員選挙における政見放送への政党の「持込みビデオ
方式」の採用(政党の判断で手話通訳を付けることが可能)
(平成8年∼)
<視覚障害者等障害者の自立した食生活の実現に向けての食生活環境の改善を推進
するため,農林水産省ではこれまでに以下の措置を講じてきた(農林水産省)>
¡カセットテープ,点字図書・大活字併用図書,インターネット等による情
報提供
月刊テープ雑誌「声の食生活情報」
,音声版食品解説「声のア・ラ・カ
ルト」
,Q&A「耳知識ー食と生活」
,
「指で読む食生活文庫」
,料理手引書
等の作成及び点字図書館等への配付(平成8年度∼)
¡障害者の食生活に関する調査(平成8年度∼)
¡障害者に配慮した食生活関連商品集の作成(平成9年度∼)
¡買物・外食の際のサポートマニュアルの作成及びサポート体制の推進(平
成11年度∼)
<字幕番組・解説番組等視聴覚障害者向け放送は,視聴覚障害者が障害のない人と
同様に放送を通して情報を入手し,楽しむ上で極めて有効な手段であり,基幹
的メディアである放送を通じた情報アクセス機会の均等化に資するものとして
重要である。そのため,総務省では,字幕放送・解説放送等の拡充に向け以下
のような取組を推進してきた(総務省)>
¡「視聴覚障害者向け放送番組の制作・流通に関する調査研究」の実施(平
成4・5年度)
¡「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業
149
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
の推進に関する法律」に基づく字幕番組・解説番組等の制作費に対する助
成(平成5年度∼)
¡「視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究」の実施(平成7
年度)
¡視聴覚障害者向け放送ソフトの制作技術の研究開発(平成8年度∼)
¡放送法及び有線テレビジョン放送法の改正により,テレビジョン放送とし
て字幕番組等を放送できるようにするとともに,放送事業者等の放送努力
義務を規定(平成9年度)
¡字幕放送普及行政の指針の策定(平成9年度)
¡視聴覚障害者向け放送番組制作施設整備事業に対する財政投融資による支
援(平成9年度∼平成13年度)
¡「次世代字幕研究会」の実施(平成13年度)
<コミュニケーションに当たってのハンディキャップの軽減を図ることが,障害者
の社会生活基礎的条件であることから,厚生労働省では,これまでに以下のよ
うな措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡バリアフリーのまちづくり活動事業の実施(平成13年度∼)
(平成2年度∼5年度:住みよい福祉のまちづくり,平成6年度∼12年
度:障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業)
¡市町村障害者社会参加促進事業の実施(平成7年度∼)
障害者の社会参加を促進するために,自動車運転免許取得・改造助成事
業,重度身体障害者移動支援事業,リフト付き福祉バス運行事業等を実施
¡障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業(都道府県)の実施(平
成12年度∼)
障害者が地域で自立した生活を送るために,生活訓練,コミュニケーシ
ョン手段及び移動の支援が必要なことから,手話奉仕員・通訳者養成・派
遣事業,点訳・朗読奉仕員養成・派遣事業,点字による即時情報ネットワ
ーク事業等を実施
¡新たな身体障害者更生援護施設の整備(平成3年度∼)
従来の点字図書館,点字出版施設等を統合して,視聴覚障害者情報提供
施設を整備
<税に関する正しい知識を広め,納税者意識の高揚を図ること及び,次代を担う児
童・生徒に対し,租税の意義や役割,使い道などを通じて,租税の必要性・重要
性を認識してもらうことは,納税環境の整備につながる重要なことであると位
置づけている。そこで国税庁広報広聴官では,障害のある人の用に供するため以
下のことを実施している(財務省)>
¡点字広報誌「私たちの税金」を作成(昭和59年度∼)
各国税局(所)
,税務署,点字図書館及び盲学校等へ設置
¡租税教育用字幕付ビデオカセットの製作(平成5年∼)
各国税局(所)において貸出し
第
2
編
<税務相談室の点字電話番号表を作成し,平成5年度に8,000部、平成6年度に
7,700部、平成7年度に4,900部、平成11年度に27,000部を配布した(財
務省)>
g防犯・防災対策の推進
<障害のある人が安心して生活を送ることができるようにするためには,火災・防
災対策が適切に講じられていることが必要であることから,災害情報等の情報
の伝達や,災害発生時における迅速な避難誘導が適切に行われるよう,消防庁
では,以下のような措置を講じた(総務省)>
150
第2編
施策内容等
実施事業等
¡春・秋季の全国火災予防運動
春・秋季の全国火災予防運動において,地域の実情に応じ,社会福祉施
設,病院等自力避難が困難な者が多数入所している施設などにおける防火
安全対策の徹底を重点目標として取り組むよう消防機関に周知
¡「風水害対策の強化について」
(平成14年6月7日消防災第82号)
障害者の避難誘導における自主防災組織等との協力体制について地方公
共団体に対し要請
¡消防庁防災業務計画(平成13年4月1日修正)
阪神・淡路大震災の経験を踏まえ,全国の地方公共団体に対し,地域防
災計画の見直しを行うに当たっては,障害者を含む災害弱者について,地
域の自主防災組織,ボランティア団体等との連携,防災知識の普及,適切
な情報提供や避難誘導,災害弱者に配慮した施設整備,支援体制を定める
よう要請
¡災害弱者施設の防災対策のあり方に関する調査検討(平成10年度)
災害弱者施設における土砂災害対策に焦点を当て,特にソフト面を中心
に対策上の課題を明らかにするとともに,課題解決に向けた新たな方向等
について調査検討し,その結果を報告書にまとめ,都道府県及び政令指定
都市に配布
¡新たな住宅防火基本方針の策定(平成13年度∼)
火災発生時に初期消火や避難などの適切な対応が困難である障害者等が
居住する住宅において,これらの人を支援するため,行政機関が福祉関係
機関等と連携し,役割に応じた防火対策等の取組を推進
¡社会福祉施設及び病院における夜間の防火管理体制指導(昭和63年度∼)
「社会福祉施設及び病院における夜間の防火管理体制指導マニュアル」
を作成(昭和63年度)して,これに基づき全国の消防機関に周知
¡「災害弱者消防緊急通報システムモデル事業」の普及促進(平成7年度∼)
障害者等の居住する住宅における火災時等の緊急通報体制の充実を図る
ため,ペンダント型無線発信装置などにより消防機関に通報できるシステ
ムを整備促進
¡火災通報装置等の設置(平成7年度∼)
障害者が入所する施設において,迅速な通報を行うための火災通報装置
等の設置を義務付け
<住民による自主防災組織の形成及び協力体制の確立等,地域における住民,
消防署,警察署等による防犯・防災ネットワークの確立に努め,障害者に対
する防犯・防災知識の普及及び災害時・事故時における障害者への援助に関
する地識の普及に努めるとともに,障害者の生活施設や障害者が居住する住
宅等における障害者の特性に配慮した防災設備の整備・充実,犯罪や事故の
発生を警戒・防止するための民間の防犯システムの普及を図るため,これま
で以下の措置を講じてきた(文部科学省,厚生労働省,国土交通省,総務省,
農林水産省)>
¡災害弱者関連施設に係る総合的な土砂災害対策の実施について(平成11年
1月29日文部省,厚生省,林野庁,建設省,自治省,消防庁)
土砂災害を受ける恐れのある災害弱者関連施設の立地条件に関する緊急
点検調査を実施し,この調査結果を踏まえ,土砂災害危険箇所及び危険区
域,避難場所警戒避難基準等土砂災害に係る情報を市町村及び災害弱者関
連施設管理者等に提供し,土砂災害の知識の向上と防災意識の高揚を図る
とともに警戒避難体制の確立などの防災体制の整備を推進
¡「急傾斜地崩壊対策事業」について,災害弱者関連施設に係る採択要件を
緩和(平成7年度,平成8年度,平成12年度)
151
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
¡土砂災害特別警戒区域で,災害弱者関連施設等の開発行為を行う場合は,
許可制とすることなどを内容とする「土砂災害警戒区域等における土砂災
害防止対策の推進に関する法律」を平成13年4月から施行
¡災害弱者関連施設に係る山地災害危険地区での治山事業の重点実施
障害者等が入居する災害弱者関連施設を山地災害から守るため,関係省
庁との連携の下,災害弱者関連施設が隣接した山地災害の恐れのある森林
等について平成10年度に緊急点検を実施し,治山事業を重点的に実施
<障害者が安心して在宅生活や社会生活を送るためには,住民による自主防犯組織
の形成及び協力体制の確立等,地域における住民,消防署,警察署等による防
犯・防災ネットワークの確立や障害者に対する防犯意識の普及及び災害時・事
故時における障害者への援助に関する知識の普及のための防犯対策が極めて重
要であることから,警察庁では,これまでに以下のような措置を講じてきた
(警察庁)>
¡安全で住みよい地域社会を実現するための地域安全活動の強化推進(平成
5年∼)
防犯協会と地域ボランティアを含む民間防犯組織の体制強化及び職域防
犯団体の結成による自主防犯体制の確立と活動の活性化
¡地域安全活動を通じて,地域住民及びボランティア組織等との協力による
防犯ネットワークの構築
7 スポーツ、レクリエ <地域においてスポーツ,レクリエーション及び文化活動に参加することができる
施設の整備を進めるとともに,その質的充実を図るため,国土交通省では,こ
ーション及び文化
れまでに以下のような措置を講じてきた(国土交通省)>
¡「みんなのための公園づくり∼ユニバーサルデザイン手法による設計指針」
の策定(平成11年度)
<地域においてスポーツ,レクリエーション及び文化活動に参加することができる
施設の整備を進めるとともに,その質的充実を図るため,農林水産省ではこれ
まで以下の措置を講じてきた(農林水産省)>
第
2
編
¡森林空間総合整備事業
森林の多面的機能の高度発揮に対する国民要請を踏まえ,不特定多数の
者を対象とする森林環境教育,健康づくり等の森林利用に対応した多様な
森林整備を実施(平成9年度∼)
¡いこいと学びの森整備事業
障害者などに配慮した森林及び山村文化保存施設を活用した交流拠点等
からなる「いこいと学びの森」を整備するとともに,障害者などに対応し
た利用プログラムを作成(平成10年度)
¡教育のもり整備事業
山村地域や都市近郊林において,子どもたちの継続的な森林体験活動を
通じた森林環境教育,市民参加や林業後継者育成に資する林業体験学習を
推進するため,森林・施設を整備(平成12年度∼)
¡森林総合利用施設におけるユニバーサルデザイン手法のガイドライン
年齢や障害の有無にかかわらずすべての利用者を想定した「ユニバーサ
ルデザイン」という考え方を踏まえて森林・施設の整備を図る場合に参考
となる技術指針を作成し,普及(平成11年12月17日策定)
¡海と緑の健康地域づくり(健康海岸)
海辺の自然を活用した健康増進に利用しやすい海岸づくりを推進(平成
12年度までに17地域を指定)
152
第2編
施策内容等
実施事業等
<スポーツへの参加は障害者の生活をより豊かにし,国民の障害者に対する理解と
関心の高揚を図り,障害者の社会参加の一層の促進に資するものである。その
参加機会の確保を図ることは極めて重要であることから,厚生労働省では,こ
れまでに以下のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
¡障害者スポーツに係る普及・啓発,調査研究,情報収集・提供,連絡協議
会の開催等障害者スポーツ振興事業に補助(平成8年度∼)
¡障害者スポーツ指導員養成事業を実施(平成9年度∼)
障害者のスポーツに関する知識,技術等を有する障害者スポーツ指導員
を講習会等の方法により養成
¡障害者スポーツ施設及び障害者スポーツ種目別競技団体に対し,
(財)日
本障害者スポーツ協会を通じて障害者スポーツ用具を無償で貸与(平成11
年度)
¡社会福祉・医療事業団に「障害者スポーツ支援基金」を設け,障害者スポ
ーツの育成・強化,地域におけるスポーツを通じた障害者の社会参加の推
進などを支援している(平成10年度∼)
。
¡全国障害者スポーツ大会の開催(平成13年度∼)
別々に開催されてきた身体障害者と知的障害者の全国大会を平成13年度
から統合し,障害者全体の振興を図る全国規模のイベントとして開催
¡障害者芸術・文化祭開催事業の実施(平成13年度∼)
全国規模で障害者の芸術・文化活動への参加を通じて,自立と社会参加
の促進に寄与するため,毎年1回,厚生労働大臣が決定する都道府県にお
いて実施
<障害のある人の自立と社会参加を促進し,生活を豊かにするためには,障害のあ
る人が障害のない人と同じように,スポーツや文化活動を楽しむことができる
機会を提供することが重要であることから,文部科学省では,これまでに以下
のような措置を講じてきた(文部科学省)>
¡地域社会教育活動推進事業(平成7∼13年度)
社会教育施設における手話指導者等を配置しての手話による解説事業や
字幕入りビデオなどの整備を行う市町村の事業に対して補助
¡国立科学博物館(平成13年4月∼:独立行政法人国立科学博物館)におい
て,必要に応じて入館料を免除 ¡国立科学博物館においては,スロープ,専用トイレ等の整備に配慮
¡国立科学博物館ニュースをカセットテープに吹き込み,貸出し(昭和63年
9月∼)
¡国立科学博物館において,教育用標本(化石セット)の貸出し(点字解説
シート付)
(平成4年度∼)
¡独立行政法人国立博物館(3館)・美術館(4館)において障害のある人
の利用に配慮した整備を実施
障害者用エレベーター(5館)
障害者用トイレ(7館)
障害者用駐車場(4館)
入口に点字表示板設置(2館)
玄関・地下連絡通路にスロープ設置(7館)
車いす(7館)
<視覚障害者・聴覚障害者のための著作権法上の例外規定の拡大
情報伝達手段の急速な発達・普及に対応し,障害のある人々による著作物の利用
をより円滑にするため,関係者間の合意形成を経て,例外的に無許諾で著作物
を利用できる範囲を拡大する著作権法改正が行われた(文部科学省)>
¡視覚障害者のために,パソコン・ネットワークを通じた点字データの送信
153
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
施策内容等
実施事業等
等を,例外的に無許諾で行える利用行為に加えた(平成12年)
¡聴覚障害者のために,政令で指定された事業者によるパソコン・ネットワ
ークを通じたテレビ音声の字幕送信を,例外的に無許諾で行える利用行為
に加えた(平成12年)
<文化活動の振興(文部科学省)>
¡近年,障害のある人によるコンサートや,障害のある人でも楽しめる舞台
芸術公演なども開催されている。
国立劇場・新国立劇場においては,障害のある人の入場料の割引を実施
しているほか,全国各地の劇場やコンサートホールなどにおいて,車いす
使用者でも利用できるトイレやエレベーターの設置等障害のある人に対す
る環境改善が進んでいる。
¡国民文化祭及び全国高等学校総合文化祭において,障害のある人も含めた
国民一般及び生徒の参加により開催されている。
8 国際協力
<国際協力分野において,国際協力を一層推進し,障害者問題についての行動計画
やガイドラインの作成等に向けた国際社会の取組に積極的に参加し,また,我
が国国内施策を積極的に諸外国に紹介等するために,これまでに以下の措置を
講じてきた(外務省)>
¡平成4年6月政府開発援助大綱(ODA大綱)を策定し,その中で政府開
発援助の効果的実施のための方策の一つとして「子ども,障害者,高齢者
等社会的弱者に十分配慮する」旨定め,a草の根無償資金協力,s各種研
修コース,プロジェクト方式技術協力,協力隊・ボランティア派遣,
dJECF(日本・ESCAP)を通しての協力,f国連障害者基金への拠出等
の協力を推進してきた
¡政府は,NGOとの連携強化の重要性にかんがみ,我が国NGO支援として
平成元年度から,NGO事業補助金を交付しており,その一環として障害
者支援事業の支援を推進してきた
¡国連や各種の国際的な非政府機関を中心として,障害者問題についての行
動計画やガイドラインの作成等の取組が行われているが,こうした取組に
積極的に参加してきた
¡我が国の国内施策を積極的に諸外国へ紹介するとともに,各国の施策の現
状に関する情報の収集,提供等に努めてきた
¡障害者による国際交流を支援してきた
<保健医療・福祉等の分野において,我が国のもつ技術や情報を途上国などの諸外
国に提供する等の国際協力を推進するため,厚生労働省では,これまでに以下
のような措置を講じてきた(厚生労働省)>
第
2
編
¡国際協力事業団(JICA)による研修コース
¡各国の障害者リハビリテーション対策関係者に対し,我が国の障害者対策
の知識及び技術の修得,並びにその資質向上に寄与するとともに参加者各
国の現状についての意見交換を通じ,相互理解を促進
¡「アジア諸国社会福祉行政官研修」
(昭和58年度∼)
国際技術協力の一環としてアジア諸国における福祉行政官を日本に招へ
いし,当該国の福祉の水準を高め,その社会開発に貢献することを主目的
とした研修を社団法人国際厚生事業団(JICWELS)を通じて実施。平成14
年度は研修生8名を受け入れ,これまでの参加者は19か国241人となった
¡「東アジア社会保障行政高級実務者会合」
社会保障分野における我が国のこれまでの経験を社会保障分野の充実に
取り組んでいる途上国等と共有することを目的として,途上国等の政策担
154
第2編
施策内容等
実施事業等
当者を対象としたセミナーを開催。平成13年度は「障害者の自立と社会経
済活動への参加」をテーマにアジア諸国(11か国)の高級実務者を招へい
した
155
障
害
者
対
策
に
関
す
る
新
長
期
計
画
の
実
績
別紙2
当面緊急に整備すべき目標の進捗状況
1. 住まいや働く場ないし活動の場の確保
(1)グループホーム・福祉ホーム
(2)授産施設・福祉工場
プラン策定時
8年度
20,000
5,347
−
9,077
10,740
12,913
15,423
18,788
68,000
41,783
−
50,813
54,626
58,601
61,583
66,693
目
グループホーム
(人分)
標
9年度
10年度
11年度
12年度
13年度
・ 福祉ホーム
授産施設・
福祉工場
(3)新たに整備する全ての公共賃貸住宅の長寿社会対応仕様化
8年度
9年度
10年度
(戸)
11年度
12年度
13年度
新規公営住宅
約 41,000
約 26,000
約 33,000
約 32,000 約 27,000
約 28,000
新規公社賃貸住宅
約
約
約
約
約
3,100
2,300
2,800
2,300 約
1,900
新規公団賃貸住宅 約 13,000 約 13,000 約 10,000 約 12,000 約 11,000
注)新規公営、新規公社賃貸分については 11 年度以降は実績見込み
1,800
約 10,000
(4)小規模作業所における助成措置の状況
助成対象作業個所数
(個所)
プラン策定時
8年度
9年度
10年度
11年度
12年度
13年度
身体障害者
517
685
798
855
912
972
972
知的障害者
494
647
760
816
873
933
933
精神障害者
400
563
686
748
810
880
880
助成措置の改善(平成 8 年度∼)
補助要件の緩和
利用定員概ね 10 名以上 → 概ね 5 名以上
単価の改善
1箇所当たり 1,000 千円 → 1,100 千円
注)なお、平成 13 年度から、小規模通所授産施設(定員 10∼19 名)に対し、助成を行っている。
2. 地域における自立の支援
(1)障害児の地域療育体制の整備
目
標
(個所)
プラン策定時
8年度
307
346
9年度
10年度
11年度
12年度
13年度
458
517
582
640
重症心身障害児(
者)等の通園事業
1,300
393
(2)全都道府県域における障害児療育拠点の整備
8年度
療育拠点施設事業
3
9年度
9
(個所)
10年度
11年度
12年度
13年度
11
15
17
20
(3)精神障害者の社会復帰の促進
目
標
(人分、個所)
プラン策定時
8年度
9年度
10年度
11年度
12年度
13年度
生活訓練施設
6,000
1,660
2,580
3,073
3,579
4,089
4,499
4,933
社会適応訓練事業
5,000
3,770
3,397
3,537
3,542
3,652
3,897
3,880
精神科デイケア施
1,000
372
471
658
758
864
968
1,087
設
注)精神科デイケア施設の単位は個所で、13 年度の数字は実績見込み
(4)障害者の総合的な相談・生活支援、障害児(者)の療育等支援、精神障害者の社会
復帰を地域で支える事業(概ね人口 30 万人当たり各 2 個所)
9年度
8年度
10年度
(個所)
11年度
12年度
13年度
市町村障害者生活支援事業
18
42
73
109
160
215
障害児(者)地域療育等支援事業
74
132
185
234
302
390
精神障害者地域生活支援センター
30
53
101
188
215
296
(5)障害者社会参加促進事業(概ね人口 5 万人規模を単位)
8年度
9年度
103
163
市町村障害者社会
(個所)
10年度
11年度
12年度
13年度
219
258
387
445
参加促進事業
3.介護サービスの充実
(1)在宅サービス
目
訪問介護員
派遣事業
(人分、個所)
標
プラン策定時
8年度
9年度
10年度
11年度
12年度
13年度
専任
45,000人
−
−
4,618
8,954
15,154
31,773
37,377
兼任
分上乗せ
−
−
24,199
33,692
24,874
6,200
19,030
4,500
1,082
−
1,746
2,044
2,711
3,013
3,636
501
−
598
679
793
918
1,052
短期入所生活
介護事業
日帰り介護事業
1,000
日帰り介護事業の単位は個所
(2)施設サービス
(人分)
目
身体障害者療護施
プラン策定時
8年度
9年度
25,000
17,169
−
20,130
21,488
95,000
84,490
−
93,408
95,310
標
10年度
11年度
12年度
13年度
22,908
23,349
24,195
97,967
99,399
101,040
設
知的障害者更生施
設
4. 障害者雇用の促進
第 3 セクターによる重度障害者雇用企業等の全都道府県域への設置
(県、企業)
8年度
9年度
10年度
11年度
12年度
13年度
既設置都道府県域
21
22
22
22
22
22
操業企業
33
34
34
34
34
34
5. バリアフリー化の促進等
(1) 公共交通ターミナルのバリアフリー化
JR、大手民鉄、営団・公営地下鉄の整備状況
エレベーター
エスカレーター
(駅)
8年度
9年度
10年度
11年度
12年度
13年度
536
625
697
825
916
1,057
(478)
(558)
(616)
(734)
(809)
1,052
1,128
1,204
1,308
1,349
(927)
1,397
(988)
(1,057)
(1,122)
(1,227)
(1,261)
(1,298)
注)( )は5m以上の段差があり、1 日当たり乗降客 5 千人以上ある駅への設置数で内数。
各年度 3 月 31 日現在
(2) 全ての新設の官庁施設等(窓口業務関係)のバリアフリー化
8年度
9年度
42
52
(施設)
10年度
11年度
12年度
13年度
スロープ、階段への両側手すり、高齢者・障害
者対応エレベータ、視覚障害者誘導用ブロックの設
64
84
92
102
置等
(3) 全てのSA、PA、「道の駅」における障害者用トイレ・駐車スペースの整備
8年度
SA
障害者用トイレ
PA
道の駅
SA
障害者用駐車スペース
PA
道の駅
9年度
10年度
(個所)
11年度
12年度
13年度
103
105
106
110
115
115
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
276
288
296
303
306
311
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
324
348
455
537
599
644
( 89%)
( 89%)
( 97%)
( 97%)
( 98%)
( 99%)
103
105
106
110
115
115
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
(100%)
275
287
295
303
306
311
( 99%)
( 99%)
( 99%)
(100%)
(100%)
(100%)
208
232
380
469
527
604
( 57%)
( 59%)
( 81%)
( 85%)
( 86%)
( 93%)
注)各年度 3 月 31 日現在
(4) 障害者からの緊急通報を受理するFAX110 番を全都道府県に整備
全都道府県に設置済
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