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障害に寄り添う - 青森県発達障害者支援センター「ステップ」

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障害に寄り添う - 青森県発達障害者支援センター「ステップ」
青森県 『障害者歯科セミナ-』
プログラム
テーマ
「障害に寄り添う」
日 時:平成28 年8 月28 日(日)9:00~14:00
会 場:八戸パ-クホテル
〒031-8570
青森県八戸市吹上1-15-90
TEL 0178-43-1111
まえがき
日本障害者歯科学会では、スペシャルニーズのある人たちの多様な歯科医療ニーズに対応する
ため、地域の大学病院や歯科口腔保健センターなどを歯科医療機関の中核として、地域病院歯科
や歯科診療所と連携した連携医療システムの構築を推進してきました。しかし、地方では障害者歯
科に取り組んでいるセンターなどの施設がない地域やその医療資源が十分機能していない地域、
さらには本学会指導医や認定医がいない地域など、障害者歯科の地域格差がみられます。この障
害者歯科の地域格差に対する取り組みとして、本学会では昨年度より地域の歯科医療従事者を対
象に、障害者歯科の啓発と普及を目的とした「障害者歯科セミナー」を地域歯科医師会との共催で
開催し,今年度は青森県八戸市で開催する運びとなりました。
地域の歯科医院で治療の対象になる障害者は比較的軽度から中度の症例になりますが、プライマ
リーケアを目的とした場合はその対象の幅は広がります。意思の疎通が困難でも学習効果を期待し
た対応法で治療椅子に座れるようになり、開口してくれる症例も少なくありません。地域で診る障害
者歯科の基本は、医療面接を行い、学習効果を期待した対応法で取り組むことが大切です。今回
のセミナーは「障がい児者の歯科診療に積極的に関わる歯科医師の養成」に加え、「障がい児者歯
科支援ネットワーク」の立ち上げなど、地域医療に積極的に取り組まれている青森県歯科医師会、
三戸郡歯科医師会および本学会の共催で準備して参りました。セミナー講師は本学会地域医療推
進委員会委員を中心に人選し、プログラムは「地域で診る障害者歯科」を十分に意識して企画致し
ました。
今回、このセミナーを開催するにあたり、ご尽力賜りました青森県歯科医師会並びに三戸郡歯科医
師会の関係者の皆様には深く感謝し、厚くお礼を申し上げます。
今回のセミナーが青森県における障害者歯科医療の発展につながることを祈念いたします。
一般社団法人日本障害者歯科学会
地域医療推進委員会委員長 平塚正雄
あいさつ
青森県歯科医師会の障がい児者歯科支援ネットワーク
障がい児者に対する歯科診療は、その特殊性から障がい児者に対する全身管理、行動管理およ
び安全管理等に細心の注意を払いながら、歯科疾患・口腔疾患の診療に当たらなければならず、
専門的な知識技術や時間を要するなど、障がい児者の歯科保健医療体制や専門職の育成が求め
られています。
しかし青森県には障がい児者を専門に診療する病院歯科や歯科保健センターがなく、障がい児
者の歯科治療を積極的に行っている歯科医院も限られています。そのため場合によっては県外の
専門施設に出向いて障がい児者の歯科診療が行われているケースも少なくありません。
そこで青森県歯科医師会は青森県の障がい児者歯科保健支援体制強化事業の一環として、障
がい児者の歯科診療に積極的に関わる歯科医師を養成するとともに、障がい児者の歯科疾患の予
防および適切な歯科診療、障がい児者に対する歯科保健医療体制を確立することで障がい児者
の受診の機会を確保し、障がい児者の歯科保健医療の推進に寄与することを目的として、「障がい
児者歯科支援ネットワーク」を平成24年4月1日に立ち上げました。
本ネットワークを利用しての障がい児者の紹介は徐々に増えてはきているものの、会員へのシステ
ムの周知徹底不足は否めず、順調に推移しているとは言いがたいのが現状です。
一方、国の地域医療再生臨時特例交付金(青森県地域医療再生計画)を活用して平成26年4月
8日に青森県あすなろ療育福祉センター内に歯科診療科(障がい児者歯科保健センター)を開設し
ました。現在は毎週火曜日の午前9時から12時までと水曜日の午後1時から4時まで、岩手医科大
学歯科医療センター障がい者歯科1名・弘前大学医学部歯科口腔外科1名・青森県歯科医師会協
力歯科医師(公募会員)10名・公募非常勤歯科衛生士3名で、あすなろ療育福祉センター入所者・
通所者・整形外来通院者および「障がい児者歯科支援ネットワーク」を通じての外来患者の診療に
当たっています。将来的には全身麻酔下での歯科診療や、外来診療日を増やし、一般外来の歯科
診療も開始したいと考えています(常勤歯科医師と常勤衛生士を雇用し、週5日体制の歯科診療が
可能になることが理想です)が、青森県・あすなろ療育福祉センターの事情もあり一朝一夕には事
は運ばないのも事実です。
「障がい児者歯科支援ネットワーク」の充実を図り、会員へシステムを周知徹底させ、将来的には
青森県あすなろ療育福祉センター歯科診療科とを組み合わせた新たな「障がい児者歯科支援ネッ
トワーク」が構築できれば、青森県の障がい児者の歯科保健医療体制はかなり充実したものになっ
ていくと思います。
一般社団法人 青森県歯科医師会常務理事 波多野厚緑
我々の地域では障害児・者を専門に診療する保健センターなどはなく、紹介で病院歯科にお願
いしているのが現状です。青森県歯科医師会には「障がい児者歯科支援ネットワーク」なるもの
がありますが、今まで、このような「障害者歯科セミナー」などはなかったように思います。県内で
初めての「障害者歯科セミナー」が、日本障害者歯科学会、青森県歯科医師会と我々三戸郡歯
科医師会が共催で開催できることは、非常に光栄なことと思っております。
初めての試みということですので、高望みすることなく、まずは障害児・者歯科の専門の先生方と
交流し、会場の皆様と意見交換を行いたいと考えております。障がい者を取り巻く環境は決して
良い状況とはいえませんが、障がいを持っておられる方、そしてその方々を支援している人たち
との交流ができ、障害児・者の歯科治療が円滑に行われていくことを期待しまして、あいさつとい
たします。
三戸郡歯科医師会会長 船越良一

青森県『障害者歯科セミナ-』タイムスケジュ-ル
司会: 三戸郡歯科医師会 佐藤 綾香 先生
①開会
9:00〜
青森県歯科医師会会長
三戸歯科医師会会長
日本障害者歯科学会
地域医療推進委員会委員長
山口 勝弘 先生
船越 良一 先生
平塚 正雄 先生
(セミナ-趣旨説明)
②講演会
座長:三戸郡歯科医師会 船越 朋輝 先生
9:30~ 10:00
江面 陽子 先生
『開業医の立場から、知的障害者への歯科治療時の対応と工夫』
10:10~ 10:40
河瀬 聡一朗 先生
『地域で障がい児・者の口をどう守るか』
10:50~ 11:20
高満 幸宜 先生
『自閉症スペクトラムの子どもの歯科治療』
(各演者が自院で対応した症例1から2例について講演)
③『教育講演』
11:30~11:50
障害者差別解消法について 緒方 克也 先生
④お昼休み
⑤ シンポジウム
12:00~12:40 (ホテル駐車場で歯科支援車を見学できます)
12:40~14:00
『日々の障害者歯科治療』について
座長 三戸郡歯科医師会
赤穂 和広 先生
岩手医大 歯科医療センタ-
久慈 昭慶
先生
えづら歯科クリニック 院長 栃木県佐野市開業
江面 陽子
先生
石巻市雄勝歯科診療所宮城県石巻市開業
河瀬 聡一朗 先生
青森県歯科医師会地域医療保健委員長
波多野 厚緑 先生
日本障害者歯科学会 地域医療推進委員会 委員長
(福岡リハビリテ-ション病院歯科)
平塚
正雄
先生
開業医の立場から、知的障害者への歯科治療時の対応と工夫
えづら歯科クリニック
江面 陽子
栃木県佐野市という平均的中堅地方都市で、開業して11年目を迎えています。クリニックではた
またまニーズがあり、障害者の歯科治療を始めました。開業前は高次医療機関で治療する側におり
ましたが、開業後は一次医療機関側へと立場が変わって、私は色々と考えさせられました。
障害者の歯科治療は時間がかかるとか、事故が心配だとか等、まずは面倒だと近隣の先生方によ
く言われました。障害者歯科治療を行うには一般的な歯科治療技術とともに、様々な障害に対して
の全身管理、行動管理や社会的背景などを考え、トータルな患者管理を要求されます。そしてクリ
ニックのスタッフ教育や医院経営も考えなくてはなりません。障害者歯科診療を安易に始める事を
お勧めするわけではありませんが、障害の有無ではなく目の前の患者さんのかかりつけ医として、
障害者歯科治療を安全にスムーズに行い、患者さんの口から健康増進に寄与し、歯科医師業務の
拡大、歯科医院のイメージアップや患者さんの増加へもつながっているとも思います。現在クリニッ
クでどのように障害者歯科を行っているのか、対応と工夫についてお話しさせていただきます。
「地域で障がい児・者の口をどう守るか」
河瀬 聡一朗
宮城県石巻市は仙台に次ぐ第2の都市です。しかしながら、1次歯科医療機関で診ることの難しい障
がい児・者を受け入れられる高次歯科医療機関が無く、障がい児・者が専門的な歯科治療を受ける
場合、約2時間を要し仙台まで行かなければなりませんでした。
演者は2011年3月に発生した東日本大震災で大規模な被災を受けた宮城県石巻市に松本歯科大
学障害者歯科学講座を退職し、2012年4月より石巻市行政歯科医として石巻市雄勝歯科診療所に
赴任しました。
赴任後、石巻市雄勝歯科診療所において障がい児・者を積極的に受け入れていますが、石巻中心
部より約1時間程度を要する被災地にあること、近隣に緊急対応が可能な高次医療機関も無いことよ
り障がい児・者が通院をするのに適した環境とは決していえません。
そこで、石巻市中心部で障がい児・者歯科診療所の設立に向け、演者が設立当初より関わった愛知
県蒲郡市障がい者歯科診療所を参考に、石巻市の各関係機関と協議し進めています。
現在、蒲郡市障がい者歯科診療所は蒲郡市から蒲郡市歯科医師会への委託事業として運営されて
います。既存の休日診療所を一部改装し、2次歯科医療機関として、2009年より1ヵ月に3回、1次歯
科医療機関で診ることができない障がい児・者を受け入れ、障害者歯科指導医と地域の1次歯科医
療機関の歯科医師が歯科的対応を行なっています。行動調整法は、障がいの種類、程度、外部評
価より判断し、トレーニングから静脈麻酔まで行っています。また、蒲郡市障がい者歯科診療所で診
ることができない患者に関しては、3次歯科医療機関を紹介しています。
1、2、3次歯科医療機関の役割分担を明確にし、連携を図ることで歯科医療従事者への負担の軽減、
安全な歯科医療の提供、そして患者や患者家族からも満足を得ていることがアンケートの結果で明
らかになっています。
現在、石巻中心部での障がい児・者歯科診療所設立に向け、石巻市歯科医師会内でも障がい児・
者歯科医療への関心が高まりをみせています。
まだ石巻市でも障がい者歯科診療の確立とまでは至っていませんが、今回この様な貴重な機会を頂
いたので、各地域の特徴をお聞きしながら、地域に合った障がい児・者歯科のあり方について会場
の皆様と考えていきたいと思っております。
「自閉症スペクトルの子どもの歯科治療」~視覚支援を用いて~
高満歯科医院
高満
幸宜
自閉症スペクトラムのお子さんも定型発達のお子さんと同様、様々な病気に罹患し、多くの
医療機関を受診することとなります。しかし、医療機関では、見た目が定型発達のお子さん
と変わらないため特別な配慮をすることなく診療に当たっていることもあるようです。このよう
に自閉症スペクトラムであるにもかかわらず、適切な対応をして診療を行うことができないこ
とは、双方にとってとても大きなマイナスとなります。そのため、自閉症スペクトラムのお子さ
んやその家族は、特に歯科治療に対して大きな不安を持って受診していると思われます。
医療機関の歯科医師やスタッフは、思いやりをもって各自に適切な対応をすることで問題
行動を起こさずしっかりとした治療が可能と思われますが、現状ではまだ十分とは言えない
ようです。例えば視覚認知が優れているため、『絵カード』や『パソコン』あるいは、『ipad』な
どで治療の手順を説明したり、実物の提示を行うことなど『ちょっとした工夫』で効率的診療
が可能となります。そこで、今回は、自閉症スペクトラムのお子さんたちへのちょっとした工
夫をみなさんにお話しすることで医療機関と患者さんの良好な関係を構築していただけれ
ばと思っております。
障害者歯科と障害者差別解消法
―青森県の障害者歯科の充実のために-
一般社団法人日本障害者歯科学会
副理事長 緒方克也
地域の障害歯科医療は1966年に大阪府歯科医師会が取り組み始めて50年の歴史を重
ねてきました。現在130か所を超える全国の歯科医師会の口腔保健センターによる障害歯
科医療の取り組みによって、全国の障害者の歯科疾患は相当に改善されました。
2014年2月に国連の障害権利条約を批准した我が国は、2016年4月1日に障害差別解
消法を施行し、障害を理由とした差別に対してこれを禁止し、合理的配慮をもって対応しな
ければならないとしました。このことは地域の歯科医療の中で障害者が診療を求めた場合、
それを拒否できないことであり、受け入れたうえで必要な情報と処置を提供しなければなら
ないことを意味します。しかし、地域の歯科診療所では障害者に必要な歯科医療のすべて
を用意することはできません。そこで、地域の後方支援となる高次の歯科医療機関を整備し
つつ、地域は地域に必要な障害歯科を行い、歯科医師としての社会的責任を果たすことが
求められています。
そこで、我が国の基本方針である共生の社会の実践として、青森県の隅々で地域の障害
歯科が取り組まれるための基準となる考え方を基調講演としてお話しします。
河瀬 聡一朗(かわせ そういちろう)
現職
石巻市雄勝歯科診療所 所長
松本歯科大学 障害者歯科学講座 非常勤講師
略歴
2003年
2004年
2006年
2008年
2009年
2010年
2012年
2012年
松本歯科大学卒業
松本歯科大学 障害者歯科学講座 入局
松本歯科大学 大学院 入学
松本歯科大学 障害者歯科学講座 医局長
愛知県蒲郡市障がい者歯科センター 指導医
松本歯科大学 大学院 卒業 学位取得
松本歯科大学 障害者歯科学講座 講師 退職
石巻市雄勝歯科診療所 所長
・歯科臨床研修医 指導医
・日本障害者歯科学会 認定医 指導医 代議員
・日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 認定士
・石巻圏摂食嚥下研究会 代表
・男の介護教室 代表
江面 陽子(えづら ようこ)
略歴
昭和63年
東北歯科大学歯学部卒業
昭和63年~平成2年 東京医科歯科大学歯学部附属病院研修医
平成 2年~平成5年 東京医科歯科大学歯学部附属病院医員(歯科麻酔科)
平成 6年~平成9年 埼玉県総合リハビリテーションセンター歯科診療部医員
平成 9年~平成11年 東京都老人医療センター歯科口腔外科非常勤医員
平成 9年~平成22年 全国心身障害児福祉財団歯科診療室非常勤歯科医師
平成11年~平成17年 医療法人隆仁会 山王病院歯科
平成17年 10月
えづら歯科クリニック 開業
・資格
日本歯科麻酔学会認定医
日本障害者歯科学会認定医・指導医
介護支援専門員
労働衛生コンサルタント
高満 幸宜(たかまん こうぎ)
略歴
昭和54.3 青森県立青森高校卒業
昭和60.3 神奈川歯科大学 歯学部歯学科 卒業
昭和 60.5 青森県立青森中央病院 歯科口腔外科 入局
昭和62.8 高満歯科医院 開業 (青森県 五所川原市)
平成20.4 神奈川歯科大学 生態管理医学講座 障害者歯科分野 臨床講師
日本障害者歯科 学会 認定医 ・代議員
緒方克也
1947年熊本市生まれ
略歴
1971年 神奈川歯科大学卒業
神奈川歯科大学助手(麻酔学教室)
1979年 緒方小児歯科医院開設(現医療法人発達歯科会)
2000年 社会福祉法人JOY明日への息吹 理事長
2007年 中央福祉学院入学
2009年 中央福祉学院卒業 社会福祉主事任用資格取得
2011年 第27回日本障害者歯科学術学会大会長
2012年 一般社団法人日本障害者歯科学会 理事長
2013年 福岡県障害者相談支援専門員
2015年 一般社団法人日本障害者歯科学会 副理事長
専門医推進委員会委員長
現職2016年4月1日現在
新潟大学歯学部非常勤講師(小児歯科)
広島大学歯学部非常勤講師(歯科麻酔)
岡山大学歯学部臨床教授(障害者歯科)
松本歯科大学臨床教授(障害者歯科)
九州歯科大学臨床教授(障害者歯科)
神奈川歯科大学客員教授(障害者歯科)
九州看護福祉大学非常勤講師(障害歯科)
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