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生活者と店・企業のコミュニケーション』~「お客様は神様」「消費者は弱者

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生活者と店・企業のコミュニケーション』~「お客様は神様」「消費者は弱者
2008年 11 月
関東・関西の 20~69 歳の男女 800 名に聞いた
『生活者と店・企業のコミュニケーション』
~「お客様は神様」「消費者は弱者」「クレーマーの増加」は事実なのか?~
第一生命保険相互会社(社長 斎藤 勝利)のシンクタンク、(株)第一生命経済研究所
(社長 小山 正之)では、関東・関西在住の 20~69 歳の男女 800 名を対象に、標記につい
てのアンケート調査(商品・サービス購入にかかわるコミュニケーション調査)を実施いたし
ました。
この程、その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。
商品・サービス購入時の問題・不満の実態(P2~3)
z 商品・サービス購入の問題・不満の経験者は9割近くで、「食品・飲料」がトップ。
z 申し出先は「購入・利用したところ」が最多で、方法は「電話」が上位2位までを占める。
商品・サービスの問題・不満の申し出た際の状況・感触と、申し出なかった理由(P4~5)
z 申し出なかった理由は「もう買わない・使わなければいい」。
商品・サービスの問題・不満情報を誰に伝達するか(P6)
z 9割以上が家族に、8割弱が友人・知人に伝達。20 代だとネットに情報をのせる人が 22.7%。
商品・サービス購入時のコミュニケーションと行動・意識(P7~9)
z 9割近くが「企業と消費者は信頼しあうべき」と考えており、「消費者は弱者」「消費者は神様」と考
える人は多くない。
z 9割が店員には笑顔を求めるが、「コミュニケーションは最低限で」と考える人が半数強。
z 75.8%は「商品・サービスに多少の不備があってもその後の対応がきちんとしていれば」再購入。
業種別にみた消費者とのコミュニケーションのイメージ(P10)
z イメージがよいのは上位から「百貨店、デパート」「ホテル、旅館」「美容院、理容院」「旅行会社」。
消費に関して「信頼できる情報源」と情報の判別方法(P11~12)
z 全体でのトップは「新聞記事」だが、女性に限ってみると「口コミ」がダントツ1位。
ネットへの情報発信とその理由(P13)
z ネットに情報発信する人の理由のトップは「自分の情報を役立ててもらいたいから」。
消費者庁の認知度と期待(P14~15)
z 3割強が「知らない」としており、「期待する」とした人は約半数。
<お問い合わせ先>
㈱第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
研究開発室 広報担当(室井・新井)
TEL.03-5221-4771
FAX.03-3212-4470
【アドレス】http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi
≪調査実施の背景≫
近年、さまざまな消費者問題やトラブルが生じ、企業側の信頼性が低下する一方で、
消費者の「悪質クレーマー」や「モンスター化」などが指摘されるなど、消費者と企業
との信頼関係が揺らいでいます。
これらに対し、我々をとりまく消費者環境の見直しが迫られています。今日、消費者
庁の創設や関連法の整備・改正といった「行政側」の対応をはじめ、コンプライアンス
や CSR といった「企業側」の体質の見直しや改善・対策が注目を集めています。こうし
た中、「消費者」はどのような意識を持って商品やサービスの提供側である企業と接し
ているのでしょうか。
そこで、一般の生活者が、日頃、商品やサービスの購入にあたり、店や企業とどのよ
うにコミュニケーションを図っているのかについて調査を実施しました。
≪調査の実施概要≫
1.調査地域と対象
関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)と関西(大阪・
京都・奈良・兵庫・)に在住する 20~69 歳の男女
2.サンプル数
800 名
3.有効回収数(率)
755 名(94.3%)
4.サンプル抽出方法
第一生命経済研究所生活調査モニターのうち、本人
または家族の年齢が該当する人
5.調査方法
質問紙郵送調査法
6.実施時期
2008 年8月
7.回答者の属性
男性
女性
計
20 代
人
%
37
4.9
73
9.7
110 14.6
30 代
人
%
70
9.3
82 10.9
152 20.1
40 代
人
%
70
9.3
84 11.1
154 20.4
1
50 代
人
%
75
9.9
112 14.8
187 24.8
60 代
人
%
75
9.9
77 10.2
152 20.1
計
人
327
428
755
%
45.3
56.5
100.0
商品・サービス購入時の問題・不満経験と種類
商品・サービス購入の問題・不満の経験者は9割近く。
最も問題・不満を感じたことが多かったのは「食品・飲料」。
図表1 商品・サービス購入時の問題・不満経験と種類
0%
20%
40%
60%
80%
100%
89.1
n=755
10.7
ある
0
ない
20
無回答
40
80
65.4
44.1
外食・喫茶
40.1
衣料品・バッグ・宝飾品
38.6
家庭用電化製品
27.9
宿泊(ホテル、旅館など)
(n=673)
<複数回答>
24.4
金融・保険・投資
23.4
生活雑貨・食器・文具
運輸(引越し、交通機関、宅配、旅行など)
23.0
理容・美容(理髪、パーマ、エステなど)
22.8
22.5
クリーニング
情報通信(電話、通信ネットワーク、プロバイダなど)
化粧品・医薬品・美容健康関連
21.2
20.3
18.8
自動車・バイク・自転車
15.2
不動産(土地、住宅)
13.6
家具・インテリア
出版物(新聞、書籍、雑誌など) 13.4
学習塾、習い事、語学スクール
13.1
娯楽(映画、遊園地、スポーツ施設など)
9.5
冠婚葬祭
9.1
ペット、植物
(%)
60
食品・飲料
レンタルサービス
0.1
3.9
3.3
「これまでに、日常生活において自分が買った商品やサービスに、問題や気になること
があったり、不満をもったことがありますか?」との問に対し、「ある」と回答した人は
89.1%でした(図表1)
。
問題や気になることがあったり、不満をもった経験のある具体的な商品・サービスにつ
いて、複数回答で尋ねたところ、
「食品・飲料」が 65.4%でトップに上げられました。2位
に「外食・喫茶」があげられたことからも、生活者の「食」に対する高い意識が感じられ
ます。
図表は省略していますが、性別に比較すると、「食品・飲料」「衣料品・バッグ・宝飾品」
「理容・美容」「クリーニング」「化粧品・医薬品・美容健康関連」については女性で特に
多くあげられています。
2
商品・サービスの問題・不満の申し出場所と方法
問題・不満は「購入・利用したところ」へ申し出る人が最多。
申し出の仕方としては「電話」が上位2位までを占める。
図表2 商品・サービスの問題・不満の申し出先<複数回答>
0
20
(%)
40
60
購入・利用したところ(販売店、営業所、利用先)
80
68.9
製造元・メーカー、販売・提供元、本社のお客様相談室やコールセンター
49.3
購入・利用した際の担当者・販売員・勧誘員
28.9
製造元・メーカー、販売・提供元、本社の社長や管理職、責任者
(n=673)
6.4
国民生活センター、消費生活センターなどの行政の相談窓口
5.2
弁護士などの専門家
1.0
業界団体、消費者団体
0.9
どこにも申し出たことはない
13.5
図表3 商品・サービスの問題・不満の申し出方法<複数回答>
0
10
20
30
40
(%)
50
60
70
62.0
自分が利用した店・場所に電話をかけて伝える
51.3
本社や相談窓口、コールセンターに電話をかけて伝える
42.9
その場で伝える
37.3
自分が利用した店・場所に出向いて伝える
(n=581)
13.4
手紙やハガキ、ファックスで伝える
メールで伝える(企業や店のホームページへの書き込みを
含む)
次に関係者(店の人など)に会ったときに伝える
11.2
9.8
4.5
本社や相談窓口に出向いて伝える
2.9
知り合いに関係者がいるなど、伝える機会があれば伝える
0.7
その他
注:「どこにも申し出たことはない」を除く
商品・サービスの問題・不満の申し出先としては、
「購入・利用したところ」が 68.9%で
トップにあげられました(図表2)
。これに「製造元・メーカー、販売・提供元、本社のお
客様相談室やコールセンター」が 49.3%で続いています。「どこにも申し出たことはない」
とした人は 13.5%となっていました。
申し出方法についてみると、
「自分が利用した店・場所に電話をかけて伝える」(62.0%)、
「本社や相談窓口、コールセンターに電話をかけて伝える」(51.3%)と、上位2位までが
「電話」という手段となっていました(図表3)。
3
商品・サービスについて申し出た際の状況・感触
クレームは企業や世のなかのためになると思っている人が9割以上。
男性は女性よりきつい口調になりがち。
図表4 商品・サービスについて申し出た際の状況・感触
0%
20%
商品・サービスについて生じた問題についてどこかに申し出
ることは、企業や世の中のためにもなると思う
最初は商品やサービスのことについて話していたのに、い
つのまにか相手の応対に不満を抱いていることがある
40%
60%
48.6
80%
100%
45.3
0.7
5.4
15.9
48.7
29.7
5.7
35.8
自分が相手に迷惑がられているのではないかと感じる
45.5
5.9
12.8
必要以上に相手から気をつかわれたり、謝られていると感じ
ることがある
33.2
51.3
11.5
4.0
28.8
きつい口調で話したり、どなってしまう
41.8
23.7
5.7
自分が相手から「悪質なクレーマー」だと思われているので
はないかと気になる
19.1
42.3
34.8
3.8
非常に
あてはまる
やや
あてはまる
あまりあてはまらない
まったくあてはまらない
【「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計(全体、性別、年代別)】
n=
商品・サービスについて生じた問題についてどこかに申し出
ることは、企業や世の中のためにもなると思う
最初は商品やサービスのことについて話していたのに、いつ
のまにか相手の応対に不満を抱いていることがある
自分が相手に迷惑がられているのではないかと感じる
必要以上に相手から気をつかわれたり、謝られていると感じ
ることがある
きつい口調で話したり、どなってしまう
自分が相手から「悪質なクレーマー」だと思われているので
はないかと気になる
(%)
全体
男性
女性
20 代
30 代
40 代
50 代
581
240
341
70
124
120
146
93.9
95.0
93.2
95.7
89.4
92.4
97.3
64.6
69.7
60.9
60.6
64.5
68.3
66.4
41.7
40.2
42.7
52.1
38.0
48.3
40.7
37.2
36.7
37.5
40.8
32.2
35.3
31.9
34.5
43.8
27.9
32.4
32.5
33.3
35.4
22.9
23.8
22.3
23.9
27.9
25.8
22.8
注:無回答を除く
商品・サービスについて申し出た際の状況や感触についてそれぞれ尋ねたところ、「商
品・サービスについて生じた問題についてどこかに申し出ることは、企業や世のなかのた
めにもなると思う」とした人が 93.9%(「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計、
以下同じ)となっていました(図表4)。また、「最初は商品やサービスのことについて話
していたのに、いつのまにか相手の応対に不満を抱いていることがある」とした人は 64.6%
となっていました。さらに、性別にみると、男性は女性よりも「きつい口調で話したり、
どなってしまう」とした人が多いことがわかりました。
4
商品・サービスの問題・不満を申し出なかった理由
申し出なかった理由のトップは「もう買わない・使わなければいい」。
20 代は恥ずかしさやクレーマー視されることへの抵抗も。
図表5 商品・サービスの問題・不満を申し出なかった理由<複数回答>
0
20
40
次回からもう買わなければよい/利用しなければよいと思ったから
63.8
59.8
申し出るほどではないささいな問題だったから、金額が低かったから
時間や手間がかかるから、面倒くさいから
48.5
38.4
申し出ても仕方がないと思ったから
申し出ようとしていたが、そのうちに忘れてしまった/そのままになっ
てしまった
自分の不注意かもしれないと思ったから
(n=673)
21.9
13.4
「クレーマー」だと思われるのがいやだったから
9.8
8.5
申し出たかったが、どこに申し出ていいのかわからなかったから
なんだか恥ずかしいから
申し出たかったが、申し出を受け付けている時間帯に申し出ることが
できなかったから
相手に迷惑がかかると思ったから
どこかに申し出るよりも、ネットなどに情報を書き込むほうがよいと
思ったから
その他
(%)
80
60
8.3
6.7
1.9
1.3
3.3
5.8
問題や気になること・不満は、いつも申し出ている
【年代別】
(%)
n=
次回からもう買わなければよい/利用しなければよいと思った
申し出るほどではないささいな問題だったから、金額が低かった
時間や手間がかかるから、面倒くさい
申し出ても仕方がないと思った
申し出ようとしていたが、そのうちに忘れてしまった/そのままになってしまった
自分の不注意かもしれないと思った
「クレーマー」だと思われるのがいやだった
申し出たかったが、どこに申し出ていいのかわからなかった
なんだか恥ずかしい
申し出たかったが、申し出を受け付けている時間帯に申し出ることができなかった
相手に迷惑がかかると思った
どこかに申し出るよりも、ネットなどに情報を書き込むほうがよいと思った
その他
問題や気になること・不満は、いつも申し出ている
20 代
97
63.9
68.0
58.8
43.3
21.6
11.3
14.4
7.2
15.5
3.1
3.1
3.1
7.2
3.1
30 代
136
56.6
66.2
48.5
36.0
21.3
10.3
8.8
11.0
8.8
5.9
6.6
2.9
2.2
1.5
40 代
138
59.4
60.1
48.6
43.5
23.2
14.5
8.0
10.1
10.1
9.4
6.5
2.9
0.7
0.7
50 代
165
66.7
53.9
44.8
38.2
23.6
13.3
10.3
9.1
5.5
7.9
4.8
3.6
1.2
1.2
60 代
137
72.1
54.4
45.6
32.4
19.1
16.9
8.8
4.4
4.4
5.9
7.4
3.7
0.0
0.7
全員に対し、商品やサービスに問題や気になること・不満を感じたのに、どこにも申し
出なかったことがある場合の理由について尋ねたところ、最も多かったのは「次回からも
う買わなければよい/利用しなければよいと思った」(63.8%)となりました(図表5)。
以下、「申し出るほどではないささいな問題だったから、金額が低かったから」「時間や手
間がかかるから、面倒くさい」などが続いています。
年代別にみると、20 代では「面倒くさい」「仕方がない」といったあきらめ的な理由や、
「恥ずかしい」「クレーマーと思われたくない」という抵抗感を理由にあげる割合が他の年
代より高いことがわかります。
5
商品・サービスの問題・不満情報を誰に伝達するか
9割以上が家族に、8割弱が友人・知人に話す。
20 代だとネットに情報をのせる人が 22.7%。
図表6 商品・サービス情報を誰に伝達するか<複数回答>
0
20
40
60
(%)
100
80
91.8
87.1
家族
78.6
71.0
84.2
友人・知人
8.3
ネットに情報をのせる
マスコミ
その他
誰にも伝えない
7.3
6.4
1.6
2.8
1.3
9.7
10.1
3.6
1.6
95.3
全体(n=673)
男性(n=286)
女性(n=387)
1.7
4.9
【年代別】
n=
家族
友人・知人
ネットに情報をのせる
マスコミ
その他
誰にも伝えない
20 代
97
88.7
86.6
22.7
5.2
1.0
3.1
30 代
136
94.1
75.0
11.0
3.7
1.5
1.5
(%)
40 代
138
89.9
73.2
8.7
8.0
1.4
5.1
50 代
165
92.1
76.8
1.2
6.7
3.7
3.0
60 代
137
93.4
83.9
3.6
8.0
0.0
0.7
問題や気になること・不満を感じた時に、それを伝える相手としては、
「家族」が 91.8%
で最上位にあげられました(図表6)。これに「友人・知人」が 78.6%で続いています。
性別にみると、特に女性は「家族」「友人・知人」共に男性よりも高い割合を示しており、
女性の「口コミ力」がうかがえる結果となりました。
年代別にみると、「家族」は 30 代で最も多いのに対し、「友人・知人」は 20 代で多いと
いう傾向がみられました。さらに、
「ネットに情報をのせる」をあげた人は 20 代で最も多
く、22.7%を占めています。
今回、商品・サービスに非常に満足した際のコミュニケーションについても調査をしま
した。それによると、満足情報も不満情報と同様に「家族」「友人・知人」の順で伝達する
割合が高くなっていますが、特に満足情報については「友人・知人」に伝達する度合いが
不満情報より高いようです(図表省略)。
6
商品・サービス購入時のコミュニケーション<その1>
9割近くが「企業と消費者は互いに信頼しあう関係を築くべき」。
「消費者は弱者」「消費者は神様」と考える人は多くない。
図表7 商品・サービス購入時のコミュニケーション ~社会・企業全般について~
0
20
企業にはなるべく意見を言ったほうが、よい商品・サービスがで
きると思う
企業への苦情やクレームは、以前と比べると全体件数が増え
ていると思う
企業への苦情やクレームは、以前と比べると悪質なものが増え
ていると思う
11.3
84.6
45.3
21.2
どの企業も一般的に不正を行っていると思う
87.8
56.2
37.1
13.8
(%)
100
80
42.6
28.5
マスコミによる企業たたきが激しいと感じる
消費者は弱者で、企業が強者であると思う
60
45.2
企業と消費者は互いに信頼しあう関係を築くべきだと思う
企業は利益追求ばかりで、本当は消費者のことを真剣には考
えていないと思う
消費者は、企業に苦情を言ったりクレームをつけすぎだと感じ
る
40
65.7
44.5
50.6
36.8
44.5
33.2
7.8
31.0
9.3
25.8
8.3
25.6
82.4
38.8
(n=755)
35.1
33.9
企業への「ごね得」はある(文句を言い続ければ何か得るもの
33.9
28.5
がある)と思う
5.4
企業に意見を言っても、検討や改善にはなかなかつながらない
20.4
26.6
と思う
6.2
企業にクレームで負担をかけすぎることは、消費者のデメリット
25.6
21.6
につながると思う
4.0
22.0
16.4
「消費者は神様である」という考え方である
5.6
消費者は「守られるべきもの」で、自ら防御したり戦ったりするも
21.9
5.7 16.2
のではないと思う
非常に
あてはまる
やや
あてはまる
注:グラフ右の数値は「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計値
普段の商品・サービス購入にかかわるコミュニケーションの評価や感覚について尋ねま
した(図表7)。
まず、社会・企業全般に対する考え方について、「非常にあてはまる」と「ややあてはま
る」の合計値が最も高かったのは「企業と消費者は互いに信頼しあう関係を築くべきだと
思う」で、87.8%を占めました。これに、「企業にはなるべく意見を言ったほうが、よい商
品・サービスができると思う」が 84.6%で続いています。
「企業への苦情やクレームは、以前と比べると全体件数が増えていると思う」について
は 82.4%、「以前と比べると悪質なものが増えていると思う」については 65.7%となりま
した。
「消費者は弱者で、企業が強者であると思う」「『消費者は神様である』という考え方で
ある」について肯定する意見は多くありませんでしたが、
「どちらともいえない」を選んだ
人がそれぞれ 40.1%、36.4%いました(図表省略)。
7
商品・サービス購入時のコミュニケーション<その2>
「店員は無表情より笑顔でいてほしい」と感じる人が9割以上。
店員とのコミュニケーションを「最低限に済ませたい」人は 54%。
図表8 商品・サービス購入時のコミュニケーション ~店員・サービス従事者とのやりとりについて~
(%)
0
20
60
48.2
店員・サービス従事者は、無表情よりも笑顔でいてほしい
店員・ サービス従事者に対してあいさつをしたり、商品やサービスを
受けたときに「ありがとう」「すみません」などと言うようにしている
店員・サービス従事者と仲良くなると、いろいろよくしてもらえるように
感じる
42.6
15.6
40.0
12.8
客と店員・サービス従事者とでは、客のほうが立場が上だと思う
54.0
49.5
35.5
14.2
43.2
27.7
10.2
41.9
30.6
店員・サービス従事者に自分のことを覚えていてほしい 6.5
5.6
17.4
(n=755)
40.8
31.3
23.7
店員・サービス従事者は、とにかく高いものを買わせようとすると思う
55.6
39.3
7.7
親しげに接してくる店員・サービス従事者は苦手である
57.0
41.2
10.2
店員・サービス従事者とは、積極的に話したり買い物・サービスの相
談をしたい
店員やサービス従事者から、「○○様」と呼ばれるより「お客様」と呼
ばれるほうがいい
88.5
65.6
53.2
14.3
100
91.9
48.6
12.3
店員・サービス従事者が、気軽に話しかけてくるのはわずらわしい
80
43.7
39.9
店員・サービス従事者と話すとき、「です」「ます」などのていねい語を
使うことが多い
店員・サービス従事者とのコミュニケーションは、必要最低限にすま
せたい
店員・サービス従事者は、本当は客のことを真剣には考えていないと
思う
店員・サービス従事者に、自分(消費者)がどう思われているのか気に
なる
店員・サービス従事者からは、個人的な対応をされるより、機械的に
対応してもらうほうが気が楽だ
40
37.7
29.3
20.5
3.2
18.5
16.2
2.4
13.5
15.4
1.9
12.1 14.2
店員・サービス従事者と、目を合わせてやりとりをするのは苦手である
2.1
店員・サービス従事者に対して、そっけない話し方をしていることが多
10.9 11.3
い
0.4
店員・サービス従事者のことは信用していない
9.1 9.9
0.8
非常に
あてはまる
やや
あてはまる
注:グラフ右の数値は「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計値
続いて、店員・サービス従事者とのやりとりについての考え方を尋ねました(図表8)。
最も回答が多かったのは、
「店員・サービス従事者は、無表情よりも笑顔でいてほしい」で、
「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計値で 91.9%を占めました。これに「店
員・サービス従事者に対してあいさつをしたり、商品やサービスを受けたときに『ありが
とう』『すみません』などと言うようにしている」が 88.5%で続いています。
「店員・サービス従事者が、気軽に話しかけてくるのはわずらわしい」とした人が 57.0%、
「店員・サービス従事者とのコミュニケーションは、必要最低限にすませたい」とした人
が 54.0%、「店員・サービス従事者とは、積極的に話したり買い物・サービスの相談をした
い」とした人が 43.2%、「親しげに接してくる店員・サービス従事者は苦手である」が 40.8%
となっているなど、店員・サービス従事者とのコミュニケーションについては人によって
意見が分かれるようです。
8
商品・サービスの購入に関わる行動・意識
9割以上が「商品は手にとって確かめてから買いたい」。
75.8%が「多少の不備があっても対応がきちんとしていたら再購入」。
図表9 商品・サービスの購入に関わる行動・意識
0
20
40
60
48.7
商品は手にとって確かめてから買いたい
16.2
59.6
自分が長く使い続けたい商品やサービスについては、企業に対し
て情報提供やアドバイスなどの協力をしたい
17.2
55.4
7.4
商品やサービスの購入において、「担当者・販売員・勧誘員などの
質」よりも、「提供する企業の信頼性やブランド」を重視する
商品やサービスの購入において、「価格が安いこと」よりも、「提供
する企業の信頼性やブランド」を重視する
72.6
66.6
43.8
54.2
48.7
53.2
4.5
41.2
46.5
5.3
美容院や床屋、エステやマッサージなど、人と関わったり触られた
りするサービスは苦手である・緊張する
安いものや特売品、バーゲン品を買っているのを、顔見知りの店
員やサービス従事者に知られるのはいやだ
75.8
59.2
10.3
よく知っている店には、言いたいことを言いにくい
(%)
100
93.5
44.8
商品やサービスに多少の不備があっても、その後の対応がきちん
としていれば、また同じものを購入する
同じ商品やサービスでも、ある程度の“あたりはずれ”があるのは
仕方がない
80
(n=755)
9.4
6.4
商品やサービスの購入において、「品質や材質」よりも、「提供する
企業の信頼性やブランド」を重視する
32.6
42.0
27.9
34.3
30.1
33.1
3.0
「何を買ったか」「どのサービスを受けたか」を、店員やサービス従
事者に知られるのはいやだ
31.5
27.0
4.5
店頭で人と対面で買物をするよりも、ネットショッピングや通販の方
が気楽である
25.6
30.2
4.6
レジでの会計を自分自身で機械を使って行う「セルフレジ」を利用
したい
20.7
非常に
あてはまる
やや
あてはまる
24.5
3.8
注:グラフ右の数値は「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計値
消費にかかわる行動と意識について尋ねたところ、「非常にあてはまる」と「ややあては
まる」の合計値が最も高かったのは「商品は手にとって確かめてから買いたい」(93.5%)
となっていました(図表9)。これについては、
「非常にあてはまる」だけで 48.7%を占め
ています。
また、75.8%の人が「商品やサービスに多少の不備があっても、その後の対応がきちん
としてれば、また同じものを購入する」と回答しています。これについては自由回答結果
(掲載省略)でも多々聞かれた意見で、「その後の対応に納得がいかなければその商品やサ
ービスは二度と利用しない」などとする意見が多く聞かれました。
9
業種別にみた消費者とのコミュニケーションのイメージ
コミュニケーションイメージのトップは「百貨店、デパート」で9割が支持。
2位以下は「ホテル、旅館」「美容院、理容院」「旅行会社」。
図表 10 業種別にみた消費者とのコミュニケーションのイメージ
0
20
40
60
(%)
100
80
(n=755)
百貨店、デパート
22.3
67.3
ホテル、旅館
23.8
62.8
13.8
美容院、理容院
旅行会社
81.6
66.5
13.8
75.6
71.7
57.9
スーパーマーケット 2.6
68.7
一般商店
8.1
61.3
郵便局
8.7
60.1
保険会社
7.7
コンビニエンスストア
86.6
67.8
9.1
銀行
89.6
71.3
69.4
68.8
45.7
非常によい
まあよい
53.4
44.5
47.1
2.6
【「非常によい」と「まあよい」の合計(性別)】
n=
百貨店、デパート
ホテル、旅館
美容院、理容院
旅行会社
銀行
スーパーマーケット
一般商店
郵便局
保険会社
コンビニエンスストア
男性
327
87.1
84.1
76.5
75.5
65.6
63.3
63.8
68.5
48.9
44.9
(%)
女性
428
92.5
88.8
86.1
76.4
76.6
77.8
74.4
69.5
57.5
49.6
注:グラフ右の数値は「非常によい」と「まあよい」の合計値
「以下の業種について、それぞれ消費者とのコミュニケーションがきちんとしているか
どうかの『イメージ』(よい/悪い)をそれぞれお答えください」と尋ねました(図表 10)。
コミュニケーションイメージが最もよかったのは、
「百貨店、デパート」で、89.6%が「よ
い」(「非常によい」と「まあよい」の合計、以下同じ)と回答しました。これに「ホテル、
旅館」が 86.6%で続いていますが、「非常によい」の回答だけ比べると「ホテル、旅館」が
トップとなっています。
最もコミュニケーションイメージがよくなかったのは「コンビニエンスストア」で、「よ
い」とする回答は半数を割っていました。
10
消費に関して「信頼できる情報源」
消費に関して信頼できるのは「新聞記事」で 63.2%が支持。
ただし女性に限ってみると、トップは「友人・知人・家族の話、口コミ」。
図表 11 消費に関する「情報源」として信頼しているもの<3つまで複数回答>
0
20
40
60
(%)
80
63.2
61.3
64.6
新聞記事
友人・知人・家族の話、口コミ(対面、電話、メールなどを含む)
44.9
テレビ番組
32.2
56.5
65.3
36.0
39.0
26.8
26.9
26.8
23.6
24.5
23.0
20.0
22.3
18.3
17.5
21.1
14.8
15.5
22.3
10.3
13.9
14.9
13.1
11.7
12.4
11.3
6.7
7.7
5.9
新聞広告
テレビCM
雑誌記事
書籍
インターネット上の記事(ニュースなど)
企業がインターネット上で発信している情報
個人がインターネット上で発信している情報(掲示板、SNS、ブロ
グ含む)
雑誌広告
インターネット上の広告
その他
1.9
3.1
0.9
1.2
1.2
1.2
全体(n=755)
男性(n=327)
女性(n=428)
【年代別】
n=
新聞記事
友人・知人・家族の話、口コミ
テレビ番組
新聞広告
テレビCM
雑誌記事
書籍
インターネット上の記事(ニュースなど)
企業がインターネット上で発信している情報
個人がインターネット上で発信している情報
20 代
110
41.3
62.4
33.9
13.8
20.2
22.0
22.0
22.9
21.1
22.0
30 代
152
53.4
61.5
35.8
14.9
17.6
29.7
16.2
16.9
15.5
25.0
40 代
154
67.5
49.4
42.2
26.0
22.1
17.5
16.2
18.8
16.9
8.4
50 代
187
69.9
54.8
34.9
34.9
29.6
17.2
17.7
12.4
8.6
5.4
60(%)
代
152
75.7
56.6
32.9
38.8
26.3
15.1
16.4
9.2
10.5
2.6
消費に関する情報源として信頼しているものについて尋ねたところ、最も回答が多かっ
たのは「新聞記事」(63.2%)となりました(図表 11)。
ただし、性別に比較すると女性においては「友人・知人・家族の話、口コミ」が 65.3%
でトップを占めており、ここでも女性が「口コミ」を重視する様子が顕著にあらわれまし
た。また、年代別にみると、年齢が高いほど「新聞記事」の占める割合が高く、若者では
口コミやネットを情報源とする割合が高いことがわかりました。
11
消費に関して正しいと思う情報の判別方法
約半数の人は、「多くの情報を集めて自分で総合的に判断」。
40 代以降は「信頼できると思うメディアの情報を信じる」傾向が強い。
図表 12 消費に関して正しいと思う情報の判別方法
無回答
0.9%
信頼できると
思うメディア
(テレビ、新
聞、サイトな
ど)の情報を
信じる
33.5%
その他 0.1%
(n=755)
多方面から
多くの情報を
集めて、自分
で総合的に
判断する
47.0%
信頼できると
思う「人」(専
門家を含む)
の情報を信
じる 8.9%
世の中の多
くの人が正し
い認める情
報を信じる
9.5%
【年代別】
n=
信頼できると思うメディア(テレビ、新聞、サイトなど)の情報を信じる
信頼できると思う「人」(専門家を含む)の情報を信じる
世の中の多くの人が正しい認める情報を信じる
多方面から多くの情報を集めて、自分で総合的に判断する
(%)
20 代
110
29.4
12.8
10.1
47.7
30 代
152
24.2
10.7
8.7
55.7
40 代
154
39.0
5.8
7.8
47.4
50 代
187
37.1
7.5
10.2
45.2
60 代
152
37.3
9.3
11.3
42.0
「あなたは、消費に関するたくさんの情報の中から、正しいと思える情報をどのように
選んでいますか?」と尋ねたと結果、最も多かったのは「多方面から多くの情報を集めて、
自分で総合的に判断する」(47.0%)というものでした(図表 12)。これに「信頼できると
思うメディア(テレビ、新聞、サイトなど)の情報を信じる」が 33.5%で続いています。
年代別にみると、「多方面から多くの情報を集めて、自分で総合的に判断する」について
は 30 代で最も多くあげられているのに対し、「信頼できると思うメディア(テレビ、新聞、
サイトなど)の情報を信じる」については 40 代以降で多いことがわかりました。
12
ネットへの情報発信とその理由
ネットに積極的に情報発信する人は多くない。
発信の理由は「自分の情報を役立ててもらいたいから」。
図表 13 ネットへの情報発信とその理由
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0.4
n=755
3.8
7.5
8.5
42.4
37.4
よく情報発信する
時々情報発信する
あまり情報発信しない
まったく情報発信しないが、
閲覧することはある
まったく情報発信しないし、
閲覧することもない
無回答
0
(%)
25
50
38.9
42.0
36.3
36.2 33.3
38.8
自分の情報を役立ててもらいたいから
楽しいから、好きだから、面白いから
30.2
30.4
30.0
情報を出すことで返事や反応をもらいたいから
24.8 24.6
25.0
21.5
15.9
26.3
19.0
26.1
自分も誰かから情報を得ているから(お返し的に)
自分が忘れないようにメモ代わりに
自分の情報を世の中に知らせたいから
12.5
15.4
14.5
16.3
12.8
11.6
13.8
何となく
習慣になっているから
ストレス解消、うさばらし
社会や状況を変えたいから
まちがっていると思うものに制裁を加えたいから、罰したいから
情報を出すことで感謝されたいから
情報を出すことで話題になりたい、議論を起こしたいから
その他
8.7
11.6
6.3
6.0
10.1
2.5
6.0 5.8
6.3
5.4
7.2
3.8
4.0
7.2
1.3
2.0
0.0
3.8
全体(n=149)
男性(n=69)
女性(n=80)
「あなたは普段、インターネット上の掲示板やブログ、プロフ、SNS などでの情報発信(書
き込み)をしますか?」と尋ねたところ、「よく情報発信する」は 3.8%、
「時々情報発信す
る」が 7.5%となっており、情報発信をする人は1割強でした(図表 13)。
「まったく発信しない」という人を除いて情報発信の理由を尋ねたところ、「自分の情報
を役立ててもらいたいから」(38.9%)が最も多いとの結果を得ました。
ただし、インターネット上に個人が発言したり書き込んだ情報の信頼性については、
54.8%が「信頼性の高いものと低いものが半々くらいだと思う」とし、33.8%は「信頼性
は低い」ないし「どちらかといえば低い」とするなど、信頼性は高くありませんでした(図
表省略)。
13
消費者庁の認知度と期待、消費者環境の満足度
消費者庁については、3割強が「知らない」。
期待する人、しない人が半々程度。
図表 14 消費者庁の認知度
無回答
0.1%
知らない
31.5%
図表 15 消費者庁への期待
無回答
0.1%
よく知って
いる 2.3%
まったく期
待しない
7.5%
非常に期待
する 7.9%
ある程度
知ってい
る 19.3%
あまり期待
しない
41.1%
名前だけ
聞いたこと
がある
46.8%
ある程度期
待する
43.3%
(n=755)
図表 16 今日の消費者環境についての満足度
まったく満
足してい
ない
9.5%
非常に満
足している
0.7%
無回答
0.3%
ある程度
満足して
いる
31.4%
あまり満足
していな
い 58.1%
昨今議論になっている「消費者庁」について、その認知度を尋ねたところ、「よく知って
いる」とした人は 2.3%、「ある程度知っている」とした人は 19.3%にとどまり、多くは「名
前だけ聞いたことがある」(46.8%)か、もしくは「知らない」(31.5%)と回答しました
(図表 14)。
「『消費者庁』とは、よりよい消費者環境を作るために、消費者行政を一元化するものと
して、新たに設置が検討されている行政機関です」と説明した上で、消費者庁への期待を
尋ねたところ、「非常に期待する」とした人は 7.9%、「ある程度期待する」とした人は
43.3%となっており、「期待する」と「期待しない」がほぼ半数でわかれた結果となりまし
た(図表 15)
。
今日の消費者環境についての満足度は、「あまり満足していない」が 58.1%で、全く満足
していない(9.5%)とあわせると 67.6%が不満足であることがわかりました(図表 16 )。
14
≪研究員のコメント≫
相次ぐ事件・事故により、今日の消費者環境における「信頼性」は大きく揺らいでいま
す。一方で消費者からの過剰な要求やクレームがメディア等で取り上げられ、話題になっ
ています。さらに、インターネットが普及したことで、一般の生活者がマス(大衆)に対
して自由に情報を発信できるようになり、そうした意味での消費者の発言力は高まったと
考えられます。これらの状況により、今日、「消費者 vs 企業」という構図ができあがって
いるようにも見受けられますが、今回の調査からは、消費者自身も企業との信頼性を構築
したいという意識が十分にある点が確認されました。
確かに、消費者からの悪質な要求や理不尽な苦情も存在する点は否めません。しかし多
くは「冷静な消費者」だといえます。商品やサービスに不備があったとしても、対応がき
ちんとしていればまたその商品やサービスを受け入れるとした人が多いことや、
「消費者は
弱者」「消費者は神様」と考えている人は実際にそれほど多くないこと、さらに消費関連情
報についても、メディアの情報を鵜呑みにするのではなく、多くの情報から総合的に判断
する人が多いなどの結果は、そうした傾向のあらわれといえるでしょう。
また、調査によればネット上に情報発信している人は1割程度で、実際に商品やサービ
スに関する情報を積極的にネット上に掲載している人は多くないと考えてよいでしょう。
ただし、軽視できないのは女性を中心とした口コミネットワークです。女性が商品やサー
ビス情報に関して、家族や友人・知人に対して非常に積極的に情報頒布すること、さらに
そうした口コミ情報の信頼性を高いものと感じている点が、本調査で確認されました。こ
れは、例えばネット上に誰かが掲載した情報が、それを目にした女性を介して、多くの人
に「信頼性の高い情報」として流通する可能性を示唆しています。本調査からは、ネット
上の情報そのものへの信頼性は高くないことがわかっていますが、女性を中心とした「人」
を介して情報が「ロンダリング」されることにより、出元のわからない情報が「口コミ」
となり、「信頼性の高い情報」として流れる可能性は十分にあるのです。
今後、店や企業においては、消費者とどのようにコミュニケーションをしているのかが
ますます大きな課題となります。例えば、消費者において「積極的な店員や従業員とのコ
ミュニケーション」や「親しげに接してくる店員や従業員」は賛否両論です。消費者がコ
ミュニケーション面で満足するには、画一的なコミュニケーションではなく、「その相手」
がどのような距離感を望んでいるのかを見極めるコミュニケーション能力が不可欠となり
ます。同時に、消費者側においても、店員や従業員が「人」であることを改めて意識する
べきでしょう。その上で、商品・サービスに不備や問題点があった場合には、伝えるべき
ことを伝え、補償されるべきものを補償してもらうことで信頼関係を維持・構築できるの
ではないでしょうか。
「情報化」が進んだ結果、一見便利になった「コミュニケーション」ですが、手段や選
択肢が増えた分、より複雑で難しくなった側面も多いようです。情報化が進んだからこそ、
コミュニケーション能力を一層磨く必要があるということなのかもしれません。
(研究開発室 副主任研究員 宮木由貴子)
15
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