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雑草種子食性昆虫の探索と採食能力の評価
研究成果 休耕田の問題雑草の管理4 雑草の天敵を探す ― 雑草種子食性昆虫の探索と採食能力の評価 ― 天敵と聞くと、誰もが害虫を食べる肉食性の昆虫を思い浮かべるであろう。ところが、ヨーロッパでは 雑草の種子を食べる雑食性の昆虫が、雑草の密度を抑える働きを持つことが明らかとなり、注目を集めて いる。それでは、日本ではどうだろうか? 本研究では、雑草の種子を食べる昆虫の探索とその能力の評価を試みた。 水田畦畔に仕掛けた落とし穴トラップで捕獲された昆虫に、斑点米カメムシの餌植物 として問題となるイネ科雑草の種子を与えて、雑草種子を食べる昆虫を探索した結果、 タンボコオロギ等のコオロギ類とコゴモクムシやキベリゴモクムシ等のゴモクムシ類が イネ科雑草の種子を採食することが明らかとなった。また、これらの昆虫の採食能力を 調査した結果、1個体が 1 日に 10 粒程度の種子を採食することが明らかとなった。 タンボコオロギ ヨーロッパでは、農地の周辺に緑地帯を作り、雑草種子を採食する昆虫のすみかとす ることで、畑の中の雑草を減らす試みが行われている。今回の調査結果を基に、日本でも、 タンボコオロギやゴモクムシ類の生態をさらに解析することによって、種子食性昆虫の 働きを雑草防除に活用していくことが期待される。 (稲垣栄洋 静岡大学との共同研究) ゴモクムシ 26