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歯科から見た睡眠医学と睡眠医療

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歯科から見た睡眠医学と睡眠医療
歯科から見た睡眠医学と睡眠医療
加藤隆史(Takafumi Kato)
大阪大学大学院歯学研究科
高次脳口腔機能学講座
歯科医師法
• 第1条 歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆
衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するも
のとする。
• 第9条 歯科医師国家試験は、臨床上必要な歯科医学及び口腔衛生に
関して、歯科医師として具有すべき知識及び技能について、これを行う。
• 第17条 歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。
• 第18条 歯科医師でなければ、歯科医師又はこれに紛らわしい名称を用
いてはならない。
歯科医師の基本的なキャリアパス
大学歯学部
歯科大学
(6年)
歯科医師国家試験
臨床研修制度
(1 or 2年)
大学院
勤務医
大学教員
勤務医
開業医
大学教員
歯科の診療科?
• 歯科補綴学:冠架工義歯学、部分床義歯学、全部床義歯学
入れ歯とかぶせ物
• 歯科保存学:歯内治療学、歯周病学、保存修復学
歯の詰め物と歯周病と歯の中の治療
• 小児歯科学
• 矯正歯科学
歯並び
• 口腔外科学
歯を抜く、外科矯正、顎の骨折・腫瘍
• 歯科麻酔学
• 歯科放射線学
•
•
•
•
障害者歯科学(小児歯科系)
高齢者歯科学(補綴系)
インプラント科(補綴系、外科系、保存系)
顎口腔機能治療部(阪大)
歯科の標榜科
•
•
•
•
歯科
矯正歯科
小児歯科
歯科口腔外科
歯科医師免許があれば全部標榜可能
第1回「歯科医師の需給に関する検討会」
議事要旨(H9年)
臨床に携わらない教育研究従事者は減少している。基礎系の研究等に従事する歯科医師は外国と比較しても著しく少
臨床に携わらない教育研究従事者は減少している。基礎系の研究等に従事する歯科医師は外国と比較しても著しく少
なく、歯学教育における悩みの一つとなっている。
○患者が歯科医を選ぶ時代になってきたように感じる。歯科診療所によって患者数に差が見られるが、患者数が多い
○患者が歯科医を選ぶ時代になってきたように感じる。歯科診療所によって患者数に差が見られるが、患者数が多い
要因、少ない要因について調査分析したデータはない。
要因、少ない要因について調査分析したデータはない。
○開業医としての経験だが、昭和30年代には、100人以上の患者が来ていたが、今は30人位になっている
。新しい
○開業医としての経験だが、昭和30年代には、100人以上の患者が来ていたが、今は30人位になっている。新しい
機械や材料が開発され、治療技術が向上したことで再治療が減ったことも一因だが、近隣に多くの診療所が開設され
たことが患者数に影響している。○歯科診療所の新規開業が困難な状況にあるため、病院歯科に勤務を希望する歯科
医師は増加していると思うが、病院歯科はむしろ規模を縮小するような傾向
もあり、就職も一層困難となっている。歯科
医師は増加していると思うが、病院歯科はむしろ規模を縮小するような傾向もあり、就職も一層困難となっている。歯科
学生も不安に感じていると思われるので、少し希望のもてる見通しが必要
と考える。○東京の都心では、資金を豊富に
学生も不安に感じていると思われるので、少し希望のもてる見通しが必要と考える。○東京の都心では、資金を豊富に
持ついわゆるチェーン組織でないと、歯科診療所の開業は困難となっている。そういう診療所には、若い歯科医師の応
募が多く、ある程度の生活を保障出来れば、給料については拘らない傾向にあるため、コストを抑えて募集できる状況
にある。しかし、臨床の指導者が多数勤務しているとも思われないので、かならずしも十分な技術修得ができて いると
も思えない。○歯科医師の年齢構成グラフを見ると、35歳から40歳に多く、高齢者は少ない。このような状況にある歯
科医師の需給調整を行うには長い期間を要すると思われる。
•
•
•
合格率
95
90
2009年度:受験者数 3.531名 合格者数 2.383名
合格率:67.5%
85
80
75
日本歯科医師会+国会議員
国立大学の定員を減らしましょう!!
70
65
60
55
50
H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
OSAへの口腔内装置の歯科保険適用
–
–
–
2004年4月より保険適用
軽度の症例もしくは他の治療をドロップアウトした患者
医師の診断(睡眠検査)が必要
ある意味、歯科医師には青天の霹靂
(一体、なんのこっちゃ?)
口腔内装置(OA)
• 基本的メカニズム
– 機械的
• 上気道空隙を拡大・閉塞を防止
• 下顎・舌の前方移動
– 生理学的
• 上気道周囲筋の筋緊張増加
前方位で上下顎間関係の固定
最大前方突出量の50~70%
口腔内装置の歯科的副作用
• 短期的(装着直後1~数週間)
–
–
–
–
痛み・不快感:咀嚼筋(~40%)、顎関節(~30%)、歯(~59%)
かみ合わせの異常感(~44%)
口腔乾燥(~86%)
唾液分泌過多(~55%)
• 長期的(6ヶ月~3年)
– 前歯傾斜、overbite/overjet↓、下顎第一大臼歯前方移動
– 咬合変化、下顎位の後方回転、下顔面高↑、下顎頭位置変化
• コンプライアンス
– 50-100%(数週間~数ヶ月)
– 32% (4年)
Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2006 129:205-13.
歯科での口腔内装置によるOSAS診療の流れ(保険診療)
医療機関・歯科医院
自覚症状、問診、スクリーニング
睡眠検査可能医療機関
簡易検査(パルスオキシメトリ)
PSG検査(確定診断)
治療方針
CPAP
脱落症例
歯科的
外科的
AHI<20
歯科医院
口腔内装置作製・調整
フォローアップ
口腔内装置による診療の流れ
(確定診断・治療内容説明後)
口腔内診査、X線診査(セファ
ロ?)、問診、診断模型作製
適応症例
適応外
残存歯、歯周病、
顎関節症など
他医療機関
作製・調整・装着
装置使用指導
フォローアップ
主観的症状改善度
口腔内違和感
睡眠検査可能医療機関
診療報酬
口腔内装置 (上下顎) 1500x2
印象採得
225x2
咬合採得
280
装着料
300
調整料
120
特定疾患指導料(月2) 180
ということで
• 歯科医師のタイプ
1:できたら関わりたくない
A:わけがわからん(病気もわからん、制度もわからん)
B:手続きがややこしい、手間の割りに報酬が少ない
C:歯科医が主導権をもてない
2:やりましょう
A:でも保険制度だと面倒なので自費で・・・(要は医師の診断なし)
B:とりあえずOA入れたらええやん
C:どうせやるなら診断もさせるべき
(PSGもしくは簡易装置で診断もさせろ派)
OSASのみならず睡眠に関する学部教育はない。
ただし、国家試験問題にSAS・睡眠時ブラキシズムなどが出現し始める。
卒後研修方法がない(睡眠学会・睡眠歯科学会・有名人の研修会)
実は、歯科も長年に渡って睡眠関連疾患を
問題としていた!
• 睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり)
(Sleep [-related] bruxism)
Sleep related movement disorders (睡眠時運動異常症)
睡眠中に発生する歯ぎしりや、かみしめを主徴とする不随意な咀嚼
筋活動
2005年国際睡眠関連疾患分類
第2版 (ICSD2005年国際睡眠関連疾患分類第
(ICSD-II)
歯科臨床上の問題(たぶん)
- 歯の咬耗/破折
- 補綴装置・修復物の破損・脱落
- 口腔顔面疼痛:知覚過敏、顎関節症
(TMD)
- 咬合性外傷、歯周病
- 歯ぎしり雑音 → 同室者の睡眠妨害
発生率
• 歯ぎしり雑音に対する「主観的」な
評価
–
–
–
–
14 - 35% (3-10 才)
13% (10代)
5 - 10% (成人以降)
3% (over 60 yr)
(Ohyon 2001; Glaros 1981, Lavigne 1994&2001)
Canada
N=2019
• 女性 = 男性
(Lavigne 1994)
研究等の流れ (~ early 70’s)
1900
1960
1970
1980
1990
2000 2005
歴史は20世紀初頭に始まる・・・
歯科医学:
・ 精神疾患患者における歯ぎしり行動 (’20-’40)
+ 睡眠中の歯ぎしり (~1950’s)
・ブラキシズム病因論におけるドグマの確立
機械的病因論
悪循環説
生理学的研究:
・Open studies (descriptive)
要は
かみ合わせのせいで
かみ合わせのせい
歯ぎしりをする
という
睡眠を無視した概念
研究等の流れ (~ early 70’s)
1900
1960
1970
1980
1990
睡眠医学
・睡眠脳波の判定(1937)
・レム睡眠の発見 (1953)
・Pickwickian syndrome (1965)(後の睡眠時無呼吸症候群)
・Periodic leg movements (1966)
・睡眠段階の判定基準(R&K rules, 1968)
・Benzodiazepine as hypnotics (1960’s)
2000 2005
研究等の流れ
1900
1960
1970
(70’s ~ early 90’s)
1980
1990
2000 2005
睡眠医学
・睡眠時無呼吸症候群の概念・関心 (from 1970’s)
・MSLT test (1977)
・睡眠のホメオスタシス(1983)
・睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP療法 (1984)
・American Sleep Disorders Association 設立(1986)
・睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置 (1980’s)
研究等の流れ
1900
1960
1970
(90’s ~)
1980
1990
2000 2005
睡眠医学
・Sleep Heart Health Study (1995):循環器系疾患との関連
・睡眠不足、睡眠関連疾患の社会的インパクト
・PSG as a gold standard exam in USA
・ナルコレプシー患者とオレキシン
・時間遺伝子
・RBD and Parkinson’s disease
・New types of hypnotics
・American Academy of Sleep Medicine
・睡眠時無呼吸症候群への口腔内装置使用指針
・国際睡眠関連疾患分類の改訂 (ICSD-II)(2005)
研究等の流れ
1900
1960
1970
(90’s~)
1980
歯科医学:
・携帯型筋電計の研究:多サンプル、複数夜の測定
・PSG研究の増加
関連因子の定量化 (形態的, 生理学的)
リスクファクター or 代表的因子の特定
睡眠医学的研究:
・対照群比較、ランダム化
・定量化
1990
2000 2005
歯科の睡眠時ブラキシズムの見方
Sleep/
Medical
disease
Stress
vigilance
Neurotransmitters
Drugs
Genetiics
Pain
一般臨床科の理解のギャップ
睡眠時ブラキシズム
SB patients
歯や顎、歯科治療物へのダメージ
つまり
睡眠からブラキシズムを理解す
ることがなかなかできない。
顎口腔・咽頭の運動・筋活動
•
•
•
•
•
嚥下 (6~10回/時) →覚醒中30~60回/時
顔面表情(微笑・顔をしかめる)
発語・発声
ため息
咳
Normal
SB
P-value
SMA /hr
6 ·6 ± 0 ·7
10·6 ± 0·9
<0·001
SMA: sleep motor activities
OFA /hr
5 ·6 ± 0 ·6
3 ·5 ± 0 ·6
<0·05
OFA: oro-facial activities
OFA/SMA (%)
84·9 ± 2·4
30·2 ± 2·9
<0·001
RMMA /hr
1 ·0 ± 0 ·2
7 ·1 ± 0 ·4
<0·001
RMMA : rhythmic masticatory
muscle activities
SB : subjects with sleep bruxism
(Dutra et al., J Oral Rehabil 2009)
Video-polysomnographyの重要性
睡眠関連疾患
(Kato, Sleep Med Clin in press; Kato, Sleep Medicine for Dentists 2009)
睡眠時随伴症___________________ (Sforza ‘88, Tachibana ‘94, Ohayon ’97&’99 )
–
–
–
REM sleep behavior disorder
Sleep walking
Night terror
睡眠時呼吸障害__________________________
–
Obstructive sleep apnea syndrome
過眠症_________________
–
(Okeson ’91, Sjoholm ’00, Ohayon ‘01)
___(Kato, in progress)
Narcolepsy
睡眠関連運動異常症__________________ (Lavigne ’94)
–
Restless legs syndrome, Periodic leg movements during sleep
Associated with conditions classifiable elsewhere___ (Khatami ’06, Meletti ’04,
– Sleep related epilepsy
Miyawaki ’03, Herrera ’06)
– Sleep related gastroesophageal reflux
– Nocturnal groaning
Isolated symptoms______________________ (Kato ’99, Vetrugno ’02, Ng ’05)
–
–
Snoring
Sleep myoclonus
Other psychiatric and behavioral disorders___ (Ware ’88, Ohayon ’97, ’99)
–
Anxiety/mood disorders, depression
睡眠時ブラキシズムとSleep process
たとえば・・・・
1 min
80%以上がCAP A3で出現
CAP
(Macaluso J Dent Res 1998)
1 min
睡眠時ブラキシズムの管理法
行動学的アプローチの効果
•
•
•
•
•
•
喫煙
→ 禁煙指導?
アルコール
→ 就寝前の節酒?
カフェイン → コーヒーを控える?
心理的ストレス → リラクゼーション、睡眠衛生
薬物(SSRIなど) → 医師と相談
行動認知療法 → 自己暗示療法??
いろいろあると考えられるが、その効果については不明
睡眠時ブラキシズムの管理法
薬理学的アプローチの効果
カテコールアミン
- ドーパミン
- 正常なD2 レセプター濃度(非対称)
- L-dopa で30%減(RCT), Bromocriptine :効果なし(RCT)
循環系作用薬
- β遮断薬(Propranolol): 減少(1症例), 変化なし(RCT)
- αアゴニスト(Clonidine):60%減少(RCT)
坑うつ薬
- セロトニン再吸収阻害剤  医原性ブラキシズム (睡眠・覚醒)
­ L-トリプトファン (セロトニン前駆物質)・アミトリプチリン: 効果なし(RCT)
筋弛緩薬
­ メトカルバモール: SB減少
GABA
- ベンゾダイアゼピン: SB減少
抗てんかん薬
- クロナゼパム: SB減少
制酸剤:PPI,
SB減少
制酸剤
決定的な効果がないため
副作用とのバランスを考えることが重要
睡眠時ブラキシズムの管理法
歯科的アプローチ
オクルーザルスプリント、歯科用スプリント (保険上は床副子)
通常、上顎のみに装着。
(Dube J Dent Res 2004)
とりあえず歯を守れ!!
歯科医療と睡眠医療
歯科医学領域
睡眠時ブラキシズム
顎関節症・TMD
睡眠医学領域
睡眠時無呼吸症候群
いびき
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