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フェリーの旅を変えた

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フェリーの旅を変えた
99.95%の定刻出航を実現。
混雑解消。
フェリーの旅を変えた、
ーの旅を変えた、
RFID。
国際都市シンガポールにある4つのフェリーターミナルを運営しているシンガポ
ナルを運営しているシンガポール・クルーズ・センターは、
フェリー
ターミナルの大改装を機にITシステムを全面リニューアルしました。
それに伴い、NECのRFIDを活用した旅客管理
システムを新たに導入。乗船手続きの簡素化を図るとともに、
リアルタイムでの乗船状況の確認を可能にし、業務の
効率化と顧客サービスレベルの向上、
さらにはコスト削減を実現しています。
シンガポール・クルーズ・センター
Cheong Teow Cheng 社長
事 業 環 境・課 題・導 入 の 目 的
紙の乗船券を発行し、
チェックインカウンターで多くの係員
脹らむ利用客、対策は急務。
によって乗り降りの管理を行っていましたが、利用客が船
フェリーターミナルを運営するシンガポール・クルーズ・
を間違えたり、
ロストバゲージなどのトラブルを防ぐことは困
センター。
国内に3つあるフェリーターミナル
(所有する4つ
難な状態にありました。
また、乗客の積み荷目録を作成す
のターミナルのうち1か所はクルーズターミナル)
の合計で
る作業に手間がかかり、出船時間が遅れることも珍しくな
は20分に6回以上もの船が着岸し、年間600万人余の
く、煩雑な出入国管理業務の簡素化も求められていまし
利用客が乗降します。
そのため、
ラッシュタイムには、乗船
た。
乗客の乗船確認や荷物の確認でフェリーの出発に遅
券の発券所、
バゲージクレーム、
出国審査ゲート、
出国審
延がでれば収益のロスにもつながるからです。
さらには、近
査、乗船ゲートなどそれぞれのチェックポイントで長蛇の列
年、
テロに対する脅威が増し、
乗客に対するサービスの一
が出来ることも稀ではありませんでした。毎回使い捨ての
環としてセキュリティ対策も急務となっていました。
シ ス テ ム 概 要・導 入 効 果・将 来 展 望
Operating System)
がアジアで初めて導入されました。
情報を用途にあわせて書き込め、
くり返し使える乗船カード。
その中で、乗船客に対する乗船カードの発券から乗船ま
での業務処理を行うのがRFIDを用いたシステムです。乗
ITシステムの全面リニューアルにあたり、NECの旅客
船客には、RFIDタグの付いた乗船カードが発行されます。
管理システム、SPOS(Sea Passenger Terminal
このカードは、
メモリーチップを内蔵しており、個人を特定
1
する情報を記録させておくことができ、
しかも繰り返し使う
乗船客を歩いて探していましたが、今ではお名前を特定し
ことが出来ます。
この乗船カードがリーダ/ライタを設置し
てアナウンスし、名前を聞いた乗船客はただちにどこに行
た各ポイントを通過するたびに、全乗客とそのバゲージの
けばよいのかが分かるというシステムになりました」
。
所在がわかります。
これにより、荷物の取り違いや別の人
また、
セキュリティの面においても効果は絶大です。乗
が乗船するといった問題を防げるばかりでなく、他人にな
船客の正確なモニタリングが可能になっただけでなく、
りすまして乗船したり、荷物だけ預けて乗船しない利用客
を特定することを可能にしています。
(図A)
「荷物を特定し、
それをすぐに持ち主の乗客と結びつける
ことができるようになりました。例えばフェリーの乗客が乗
船していないと分かった場合、
その乗客の荷物は、
たとえ
定刻出船率がアップ。
乗船客にも経営側にも大きなプラス
小さな荷物でもそれを特定して船から降ろすことができま
す。
これはテロ対策上でも有効です」。
さらに、人的コストの削減にも貢献したとCheong社長
新システムの導入は、劇的な効果を生み出しました。
は語ります。
「マンパワーを節約できるようになったのは明
まず、経営面においてCheong社長が取り上げたのは
白です。乗船プロセスにかかる時間が短くなり効率性が
「船が定刻通りに出発する率が、99.95%になったこと」
向上し、人が介入する部分が少なくなりました。
これらは全
でした。人がキーボードで入力し時間がかかっていたバ
てコスト削減につながります。人件費が益々高くなる傾向
ゲージクレームタグと積み荷リストの作成は、
RFIDの情報
にある時代に、人的作業が技術によってカバーされるの
を元にすばやく印刷できるようになり、定刻出発率の向上
は素晴らしいことです」。
につながったといいます。
また、RFIDタグ付きの乗船カードだからこそ実現出来
乗船業務全般にわたる時間短縮にも効果があったと
たことがあります。
「以前は紙の乗船券を利用していたの
Cheong社長は語ります。
「新システム導入によって、乗
で、一度使うと捨てるしかありませんでした。RFIDタグ付き
船客の誰が乗船していないか、誰がイミグレーションを通
の乗船カード は、
リユースが可能なので環境に優しいも
過していないかを、
いつでも正確に把握することができる
のですし、
また、
メモリーチップを内蔵しているので、私ども
ようになりました。乗船客が、乗船カードの発券から乗船ま
のビジネスでは欠かせないお客様の情報を保存できる点
での各段階のどこにいるのかが分かります。以前なら係
についても、有意義です」
と、Cheong社長は語ります。
員が、乗船していない、
あるいは入国管理を行っていない
(図A)
周辺国にひろがれば、
フェリー利用がよりスムーズに。
シンガポールを発着するフェリーの寄港先である他の
ターミナルが同様のシステムを導入すれば、乗船客の利
便性はさらに高まるとCheong社長は考えています。
そうし
た思いに呼応するように、
インドネシアからは担当官が派
遣され、
シンガポール・クルーズ・センターのシステムを見
学しているとのこと。
「フェリーはインドネシアに向けても出航しています。
イン
ドネシアには独自の入国管理システムがあり、
まだ手続き
に時間がかかっているようです。
もし私たちと同じシステム
を導入すれば、彼らの作業効率が飛躍的に向上し、時間
短縮を実現できることは間違いありません」。
各国の事情に合わせたシステムを提供できれば、
フェ
リーの乗船客は乗船カードの発券から下船した国の入国
続きに至るまで、
これまで以上に快適な時間を過ごせるは
ずです。
業務の効率化と乗船客の利便性の向上をともに実現
した今回のシステム構築を担当したNECに対して、
「全
体として、NECは私たちのリクエストにプロフェッショナル
かつ責 任を持った姿 勢で応えてくださっています」
と
Cheong社長からは高い評価をいただきました。将来につ
いても、
「効率性や快適性をさらに追求するソリューション
を提供いただけるのであれば、私たちはさらなる新技術の
導入に関してオープンマインドで取り組みたいと思ってい
ます」
と期待を寄せていただきました。技術は前進するた
めのツールであると断言するCheong社長。
「NECが開発したソリューションなら、
それは私たちの将
来にもつながるものとして注目していきたいと思います」
と、
熱のこもった言葉をいただきました。
NEC Asiaの
RFIDへの
取り組 み
NECだけが提案したRFIDを用いたシステム。
将来を見据えた場合、
さまざまな課題に対してソリューションを提供できるのは、
RFIDだと確信していました。
NEC ASIA
CEO
八木 智裕
運航管理を画期的に変える、
RFIDを適用したシステム
試作モデルとROIをともに提案
シンガポール・クルーズ・センター様が、新しいシステム
が何を狙っているのかを、
より鮮明に伝えることができまし
た。同時に、長期的に見ると高額な投資ではないこと、新
システム導入によって実現できる効率化によって、
コスト
削減にもつながることをご理解いただけました。
を構築するにあたって最初に検討されたのは、事業課題
はなにかということでした。9.11以降、
セキュリティ管理の
強化が急務だったのですが、船の場合には、乗客の動き
を飛行機ほど正確に管理できないという事業上の制約
再利用可能な乗船カード
乗船客の動向も瞬時に把握
条件がありました。
そこで我々はRFIDという新しいテクノ
業務の流れですが、
まずカウンターで乗船カードを発行
ロジーを用いることで、
リアルタイムに乗船客の状況を把
します。次に乗船客の本人確認を出国審査に移動する
握でき、
出船時間を守り、
さらにセキュリティの強化を実現
前に行います。入国審査が終了すると、船着き場に行くこ
できるシステムを提案しました。従来のバーコードを使った
とができます。船が到着したら乗船エリアに進み、最終的
システムでは、
リアルタイムでの管理は不可能です。一般
に乗船します。
客用の乗船カードにRFIDを商用として用いるというのは
乗船カードには感熱タイプの印字面に便名や行き先
初めての試みになります。
また、年間400万枚*も利用さ
などがプリントされていますが、
それらの情報は120度に熱
れる大規模な乗船システムは、NECとしても初めての事
することで消去できるのでリユースが可能です。従来の紙
例です。
の乗船券は1枚あたり3セントですが、使い捨てです。
この
今回は競争入札でしたが、他社の提案はすべてバー
システムを使えば、1枚当たりの単価は高くなりますがくり
コードを使ったものでした。
そこに私たちは、乗船券の再利
返し使えるため、乗船券発行の大幅なコスト削減にもなり
用により長期間使用を可能とすることで、使い捨ての紙
ます。
また、新システムでは、全てのチェックポイントで乗船
の乗船券よりもトータルコストが安価となり、
しかも、
リアル
客の確認を行いますので、乗船客の誰がどこにいるのか
タイムマネジメントなどで経営面に革新的なメリットをもた
を瞬時に把握できるようになりました。
らすRFIDを用いたシステムを提案しました。
また、
プレゼン
テーションの段階で、私たちだけがワーキング・プロトタイ
プ(実際に稼働する試作モデル)
をお見せすることができ
たのも、採用いただいた要因だったと思います。
さらにビジネスチャンスを拡げる
RFIDの限りない可能性
採用いただいたもう一つの理由は、ROIを計算して提
今回採用したRFIDの技術は、即時性、安全性が要求
示したことではないかと考えています。
それによって私ども
される分野において、大きくビジネスチャンスを広げるもの
だと考えています。
例えば、
シンガポールでは、再来年大型カジノが2つつ
くられます。
そのさまざまな場面でRFIDの利用が考えられ
ます。例えば、
カジノの中にユニバーサルスタジオが組み
込まれますが、大阪のユニバーサルスタジオにおいては、
すでにNECのソリューションによって、人気アトラクション
の予約システムが構築されています。
シンガポールに観光
に来て、限られた時間の中でエンターテインメントを極力
楽しみたいと考える観光客にとって、予約システムなどの
サポートは利便性を提供できるものです。
そこにRFIDを活
用したCRMソリューションの展開なども考えられます。
バーコード方式と我々のRFID方式とでは、要素技術と
しては大きな違いはありません。当面のコストだけを見れ
ば、
バーコードという選択もあったでしょう。
しかし、我々は、
将来を見通した提案をしたいと考えました。
リアルタイムマ
ネジメントやセキュアマネジメントができることはもちろん、
オペレーションコストの低さや環境対策、
また、書き換えが
可能なことで実現できる今後の付加価値付けなどの面か
らも、RFIDの優位性は明らかです。
つまり、将来を見据えたトータルなソリューションの提供
こそが我々の差別化要件だと考えています。今回も、
いろ
いろな課題に向きあうことになりましたが、
「決してあきらめ
ない」
「お客様に迷惑をかけない」
というのが我々のひと
つの姿勢であり、要素技術だけを取り上げるのではなく
トータルソリューションを提供できるというのが、我々の強
みなのです。
*ターミナルの年間乗客数は600万人だが、一部航路を利用する
200万人分についてはRFIDを利用した乗船券は未適用。
お 客 様 プ ロ フィー ル
社
名
SINGAPORE CRUISE CENTRE
本
社
シンガポール
開
業
1991年
C E O
Mr. Cheong Teow Cheng
概
シンガポール政府の投資会社であるHazeltree
要
Investment (Temasek Holdings company)で、
アジア最大手のフェリークルーズターミナルを運営し
ています。
自国内をはじめ、近隣諸国へのフェリーが
発着するターミナルは、人々と物資が行き交う国際
的なハブとなっています。
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