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明治の自社内競争戦略 ~きのこの山とたけのこの里~
~~ 物語をつくる の自社内競争戦略 と ~ 福山市立大学 都市経営学部 Team モグスン 羽田ゼミ 目次 1. なぜ「きのこの山」と「たけのこの里」の2つが 販売され続けるのか? 2. 仮説 3. 企業・業界分析 4. 戦略の発見 5. 「きのこの山」・「たけのこの里」が成熟するまで 6. 物語性の創出 7. 結論 8. 今後の課題 9. 参考文献 2 3 4 5 6 7 8 9 なぜ 「 」と「 」の 2つが販売され続けるのか? 類似した商品 カニバリゼーション (共食い)の発生!? しかし明治では 両商品ともに人気!! 両商品が 人気(ロングセラー)商品 となるような戦略が とられているのではないか? 1 3 4 5 仮説 6 7 8 9 ①明治には両商品が売れる仕組みがある。 ②二つの商品があったからこそ 人気(ロングセラー)商品になった。 1 2 4 5 6 7 企業・業界分析 8 9 チョコレート業界の市場占有率 (国内生産額) 2008年 2007年 その他, 27.6% 不二家, 2.0% ロッテ, 18.5% 2009年 その他, 25.3% 森永製 江崎グリコ, 8.2% 菓, 10.0% 明治, 29.6% ネスレ, 6.0% 江崎グリコ, 10.8% 森永製菓, 11.0% ネスレ, 6.0% その他, 24.4% 明治, 30.1% 江崎グリコ, 9.5% 森永製菓, 10.7% 連続 トップ! 2010年 明治, 30.5% ロッテ, 20.0% その他, 25.1% ロッテ, 19.8% 明治, 30.5% ネスレ, 6.0% 江崎グリコ, 8.0% 森永製菓, 9.5% ロッテ, 20.9% 出所:全日本菓子協会 「きのこの山」と「たけのこの里」の割合 明治 菓子部門の売上高内訳 1商品 あたり 5.4億円 (0.4%) きのこの 山・たけ のこの里 190億円 (14%) 合計 1392億円 (256商品) ※売上高は2010年、商品数は2013/10/31現 在。 出所:筆者らが作成。 「 」・「 」 は売上高に14%貢献! 「 」・「 」 は 明治の主力商品 といっても過言ではない! 1 2 3 5 6 7 戦略の発見 8 9 常に競争の存在があった における 「自社内競争戦略」 1 2 「 3 4 6 7 」・「 が成熟するまで 8 」 9 1975年「きのこの山」発売 ニーズが把握できず、 商品を乱発する時代の なかで発売された。 斬新で常識を覆した。 コンセプト 「チョコレートをクラッ カーとともに楽しんで いただける商品」 1979年「たけのこの里」発売 「きのこの山」が好評 のため発売された。 コンセプト 「クッキーをチョコレー トとともに楽しんでい ただける商品」 明確なコンセプトづけにより カニバリゼーションを防いだ。 2001年 “きのこ・たけのこ総選挙キャンペーン” どちらが好きか、投票による呼びかけ。 ナンチャンがきのこ党党首、 ウッチャンがたけのこ党党首として出演。 投票数は100万票以上。 たけのこの里が勝利した。 コンセプト きのこの山 「愛」 たけのこの里「夢」 “きのこ・たけのこ 総選挙キャンペーン” 投票数 たけの きのこ この里 の山 55% 45% 出所:日本食糧新聞(2001年12年3日) 2004年 “プッカ姫を救え!!きのこ・たけのこ プロポーズ大作戦!” 「 」 岡村 「 」 矢部 結婚を夢見て“センチメン樽”に閉じこもってしまった プッカ姫にプロポーズをする。 応援が多い方が姫と結婚する。 きのこの山が勝利した。 コンセプト 応援の多かった方が 結婚できる。 キャンペーンで 話題性を呼んだ。 互いに競争をし合いながらも 成熟ブランドとして成長。 しかし 市場の縮小により売上が減売した。 市場の成熟化が進んでいる。 新しい方向性が必要となる。 1 2 3 4 5 7 物語性の創出 8 9 キャラクターづくり キャラクターの投入 2008年 きの山さん 2009年 たけ里ブラザーズ キャラクター効果 1. 認知効果 2. 販売効果 3. 販売促進効果 4. イメージアップ 5. ターゲットコミュニケーション効果 キャラクター効果 1. 認知効果 2. 販売効果 3. 販売促進効果 4. イメージアップ 5. ターゲットコミュニケーション効果 2009~2010年 “あなたはどっち派キャンペーン” 「きのこの山」と「たけのこの」のどちらが 好きかという人気投票。 投票結果は世間に公表されなかった。 CMによる間接的表現。 顧客に結果を想像をさせる仕組み。 顧客一人ひとりのイメージを より強化させた。 物語性の創出 商品に対して顧客一人ひとりが自由な イメージを持てるようにした。 “自分だけ”のチョコレートの創造。 自分の物語を創造させる。 売上高50%増 ※売上高は、『日本食料新聞』2008年10月10日 「チョコレート特集:メーカー動向=明治製菓」を参照 1 2 3 4 5 結論 6 8 9 製品マネジメント 明確なコンセプトづけ 話題性(キャンペーン)づくり ブランドの活性化 製品マネジメントで 菓子業界での地位を築いた。 顧客マネジメント 曖昧なコンセプトづけ 物語性づくり 物語を創造させることで 顧客は“自分だけ”のチョコレートを 応援し続ける。 における 「自社内競争戦略」とは? 自社内競争戦略に関する概念図 顧客マネジメント 製品マネジメント 競争 (バリエーション、CM、 キャンペーン) (物語性) 出所:筆者らが作成。 製品マネジメント 顧客マネジメント 明確なコンセプト 曖昧なコンセプト にとっての 「自社内競争戦略」 市場における 「きのこの山」「たけのこの」の ①ポジションの確立 ②リポジショニング に必要であった。 1 2 3 4 5 7 今後の課題 9 菓子業界の更なる成熟化 物語性が重要となる。 物語に関するキャンペーン 2012年 2013年 “大連立プレゼントキャンペーン” 「大人のきのこの山」 「大人のたけのこの里」発売 全年代が参加する 新しい物語へ 「自社内競争戦略」は常に変化し続けて いる。 課題 一貫した明治の戦略体系を 研究していくこと。 1 2 3 4 5 6 参考文献 7 8 参考文献 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 「朝日新聞社広告局」〈http://adv.asahi.com/modules/keyword/index.php/content0006.html〉(2013/11/11アクセス) フィリップ・コトラー(2000)『コトラーの戦略的マーケティング』ダイヤモンド社 フィリップ・コトラー(2002)『コトラー 新マーケティング原論』翔泳社 フィリップ・コトラー(2003)『コトラーのマーケティング・コンセプト』東洋経済新報社 グロービス・マネジメント・インスティチュート(2009)『グロービス MBAマーケティング』グロービス経営大学院 「株式会社 明治 HP」〈http://www.meiji.co.jp/〉(2013/11/11アクセス) 株式会社 明治 『有価証券報告書』各年度 マイケル・E・ポーター(1999)『競争戦略論Ⅰ』ダイヤモンド社 「明治ホールディングス HP」〈http://www.meiji.com/index.html〉(2013/11/11アクセス) 明治ホールディングス株式会社 アニュアルレポート 2009~2013年 明治ホールディングス株式会社 有価証券報告書 2009~2013年度 明治製菓株式会社 アニュアルレポート 2003~2008年 明治製菓㈱社史編集委員会(2006)『明治製菓の歩み 創業から90年 1916-2006』明治製菓株式会社 明治製菓株式会社 有価証券報告書 2004~2010年度 森田克徳(2000)『争覇の経営戦略 製菓産業史』慶応義塾大学出版会 日本経済新聞出版社(2009)『日経 市場占有率 2010年版』日本経済新聞出版社 日本経済新聞出版社(2011)『日経シェア調査 195 2012年版』日本経済新聞出版社 日本経済新聞出版社(2013)『日経業界地図2014年版』日本経済新聞出版社 『日本食糧新聞』1994年7月6日「秋の菓子戦略 明治製菓「おいしさ・わくわく」スローガンに新ブランド導入」 同上、2001年7月16日「明治製菓中部統括支店、秋冬物の新商材50品発表、菓子売場を活性化」 同上、2001年8月10日「明治製菓キャンペーン、きのこ党VSたけのこ党で総選挙に突入」 同上、2001年12月3日「明治製菓、きのこ・たけのこ総選挙「たけのこ党」が勝利、2つの公約履行へ」 同上、2002年2月18日「明治製菓、春・夏シーズン菓子市場導入戦略、大型ブランドをパワーアップ」 同上、2002年7月3日「明治製菓、秋・冬季史上戦略を発表、積極的にマーケティング展開」 同上、2002年8月12日「明治製菓がきのこ党臨時大会、南原党首公約掲げ100万人党員募集キャンペーン」 同上、2002年8月28日「大手菓子メーカーの秋需戦略:明治製菓、 “おいしさOPEN Meiji”で」 同上、2003年8月1日「「たけのこの里」発売(明治製菓)」 同上、2003年8月18日「大手菓子メーカーの秋需戦略:明治製菓、「おいしさopen! Meiji」」 同上、2004年3月29日「明治製菓、「きのこの山」などチョコスナックをリニューアル、4月から全国発売」 同上、2004年8月25日「大手菓子メーカーの秋需戦略:明治製菓、売り筋は「ショパン」」 同上、2008年10月10日「チョコレート特集:メーカー動向=明治製菓」 同上、2013年7月19日「明治の秋季菓子戦略“おとな消費”軸にブランド再活用し提案」 同上、2013年9月16日「菓子秋需戦略特集:猛暑・デフレ・原材料コスト増…逆風の中、シーズンイン」 田中洋(2002)『企業を高めるブランド戦略』 講談社現代新書 『読売新聞』2011年03年1日朝刊「ブランド列伝」 ご清聴ありがとうございました!