Comments
Description
Transcript
GRB 130427A からの 高エネルギーガンマ線放射
GRB 130427A からの 高エネルギーガンマ線放射 2013.06.10 雑誌会 大野 比較的近傍(z=0.34)で起きた非常に明るいガンマ線バースト GRB 130427A から、104 s 以上にわたってGeVガンマ線が検出された。 この放射起源はなんだろうか?近傍で明るいのでこれまで難しかった 逆コンプトン散乱成分が検出されていないだろうか? 参考論文 Fan et al., 2013 arXiv1305.1261v2 High Energy Emission of GRB130427A: Evidence for Inverse Compton Radiation Tam et al., 2013 arXiv1305.3217v2 Discovery of an Extra Hard Spectral Component in the High-Energy Afterglow Emission Of GRB130427A ※どちらも5/16ぐらい(GRB発生後 2w)で astro-ph にv1が上がる。早すぎ。。。 ※2: Fermi チームの論文はまだ出てないのであまり深くは突っ込めないです。。 2013.06.10 広島大学 雑誌会 1 GRB からのGeVガンマ線放射 GeV long-lived emission Pre-Femi era GRB940217(Hurley et al. 94) Ghisellini et al. 2010 Fermi era GeV放射は 数100秒以上は 続いている De Pasquale et al., ApJL 709, 146 (2010) 2013.06.10 外部衝撃波で加速 された電子からの シンクロトロン放射 ではないか。 広島大学 雑誌会 2 GeV long-lived emission from external shock GeV 放射が external synchrotron だとしたら、逆コンプトン散乱もあっていいはず (seed photon は prompt γ:EIC/external shock のX:SSC) 検出できれば、jet component や、放射機構に強い制限 ただし、GeV放射のphoton数があまりにも少ないので、満足な議論できず (高エネルギー過ぎる/遠すぎだとEBLで届かない) そこそこ近場で、やたら明るい GRBが起きるとチャンス(でもそんなのはレア) 2013.06.10 広島大学 雑誌会 3 そこそこ近場で、やたら明るい GRB 130427A • GBM trigger 07:47:06.42 UTC • Fermi slewed to this GRB by ARR • Many space telescope detected (Fermi, Swift, AGILE, Konus, RHESSI, INTEGRAL) • Ra,Dec=(173.1367, 27.6989) LATで 90GeVのガンマ線検出! LATの放射は 1日続く (Zhu et al. GCN) • z=0.34 そこそこ近場 • Eiso= 1054erg やたら明るい ※(近場(z<0.5)では史上最強の明るさ • Association with type Ic SN 2013cq 2013.06.10 広島大学 雑誌会 4 LAT data analysis • Data from Fermi FSSC web page • LAT standard analysis tool (Science tools v9r27p1) • Unbinned likelihoold (gtlike) with P7SOURCE_V6 IRF (いたって普通の解析) スペクトルの時間変化 100MeV-100GeV flux の時間変化 (Fan et al. 2013より) ライトカーブに特に構造はなし。 べき 1 の減光。 2013.06.10 広島大学 雑誌会 (Tam et al. 2013より) 最後のビンが曲がっているように見える 5 LAT data analysis Tam+2013 Tam+2013 スペクトルが単一べきでない有意度は 大きくても3.5σ そこまで有意ではないが、折れ曲がって いるのでは?と主張している 100s 以降に高エネルギー光子(>40GeV) が多く検出されている このようなスペクトルは、シンクロトロンだけで 説明できるのか? 2013.06.10 広島大学 雑誌会 6 Evidence of IC radiation (色々計算すると)全体のフラックスはシンクロトロン放射と考えても説明できそう。 ただし、(95.3, 47.3, 41.4, 38.5, 32) GeV photon はシンクロトロン放射とは 考えにくい シンクロトロン放射によるエネルギー損失により、加速電子のエネルギー上限 (=シンクロトロン光子のエネルギー上限)が決まる (Cheng & Wei 1996) E_sync = 20 GeV E1/8k,54n-1/8-2t-3/82(1+z/1.34)-5/8 (ISMの場合) 15 GeV E1/4k,54A-1/4-2t-1/42(1+z/1.34)1/4 (windの場合) E_k (ジェットの運動エネルギー)や、n(周辺密度)、A(wind parameter)への依存性は 軽微なので、20GeV以上の光子はシンクロトロン放射では出ないと考えられる ただし、今回は1日オーダーでGeV photon が検出されているので、時間の依存性は チェックする必要有り 2013.06.10 広島大学 雑誌会 7 これらの光子はシンクロトロンで許されるエネルギーを 超過している 時間(s) 上記、5 つの高エネルギー光子は、逆コンプトン散乱起源と考えると自然であろう 2013.06.10 広島大学 雑誌会 8 GeV-TeV emission by Inverse Compton 1. 観測された高エネルギー光子は IC 起源か? (Fan et al. 2013) T0+120s to T0+260s に着目。 X/softγは鋭いピーク構造。 GeV-γはすでに見たように、特に構造のない Decay 両者は異なる領域で発生していると考える。 Seed photon は prompt 放射のX/ガンマ線とする (EIC) この条件から、観測された高エネルギー光子の数が、IC で説明できるか計算したい。 IC光子の数 = IC相互作用確率 x seed photon 数 x 検出器面積 IC相互作用確率は Fan & Piran 2006 により、 τ 1.4x10-9(ISM), 6x10-9(wind) と計算されている 検出器面積は、LAT の 104cm2を使う あとは、seed photon数が分かれば計算できる。 2013.06.10 広島大学 雑誌会 9 GeV-TeV emission by Inverse Compton 1. 観測された高エネルギー光子は IC 起源か? (Fan et al. 2013) 観測された高エネルギー光子の数が、IC で説明できるか計算したい。 IC光子の数 = IC相互作用確率 x seed photon 数 x 検出器面積 IC を効率的に起こすために、Kline-Nishina が効かない低エネルギー光子を考えると、 Εs < 17 keV と計算される。 - Prompt emission のスペクトル Fν=ν-0.6(観測値)を考えると、E<17keV では、 全体の1/3 のエネルギー量となる。 - F<Es = F/2 (?) 4.5 x 10-5 erg cm-2 (観測値) - 平均の光子エネルギー<Es> 1keV すると、seed photon の数は Nseed = F<Es/<Es> = 3x104 以上から、IC 光子の数は Nγ,IC = IC相互作用確率 x Nseed x 検出器面積 = 0.4/1.8 (ISM/wind) 観測量(1 2 photons)と大きく矛盾しない 2013.06.10 広島大学 雑誌会 10 GeV-TeV emission by Inverse Compton 2. スペクトルの折れ曲がりは説明できるか(Tam et al. 2013)? 折れ曲がり前(シンクロトロン)は Photon index Γ= -2.2 -2.6 折れ曲がった後(ICと考えている)は Photon index Γ = -1.4 GeV シンクロトロンモデル(Kumar+ 2009, Ghisellini+ 2010 など) によると、 シンクロトロンでは べきは Fν = -p/2 (pは電子の分布) 今回のデータに当てはめると、Γ=-(p+2)/2 P=2.2 とすると Γ=-2.1 観測値と大きく矛盾しない 10GeV 以下はシンクロトロン放射が支配的 IC モデルでは、Fν=-(p-1)/2 (Sari&Esin 2001)。今回のデータに当てはめると Γ=-(p+1)/2 : p=2.2 とすると、Γ=-1.6 今回の結果とエラーの範囲内 スペクトルの折れ曲がりも、過去の理論計算と矛盾しない 2013.06.10 広島大学 雑誌会 11 GeV-TeV emission by Inverse Compton 3. 時間変動の振る舞いはICで矛盾しないか(Tam et al. 2013)? 0.1-2 GeV で、減光のべきは -1.1(+/-0.1) 10-100 GeV で、-0.8(+/-0.2) GeV シンクロトロンモデル(Kumar+ 2009, Ghisellini+ 2010 など) によると、 シンクロトロンでは減光のべきは t-(3p-2)/4 P=2.2 とすると t-1.1: 観測値をよく説明できる 10GeV 以下はシンクロトロン放射が支配的 ICモデル(Sari&Esin2003)によると、IC成分の減光は以下。 P=2.2 とすると、 T-1.1 エラーの範囲で説明 できなくもない。 スペクトルの減光の振る舞いも、過去の理論計算と矛盾しない 2013.06.10 広島大学 雑誌会 12 まとめ 近傍の極めて明るい GRB 130427A から検出された多数の高エネルギー ガンマ線を使って、残光中の逆コンプトン散乱成分の検証を行った。 Fan et al. 2013, Tam et al. 2013 • E>40GeVの高エネルギーガンマ線は、シンクロトロン放射では説明が難しく、 逆コンプトン散乱成分と考えて矛盾しない。 • ガンマ線スペクトルに10GeV以上で別成分。スペクトル、時間変動の振る舞い いずれも逆コンプトン散乱成分と考えて矛盾しない。 これだけ聞くと、いかにも逆コンプトン散乱を発見したと思いたくなる論文。 ただし、条件によっては E 40GeVもシンクロトロンで出せうるとする話あり。 また、シンクロトロン、逆コンプトン散乱で時間変動の振る舞いが違うので ライトカーブがまっすぐにならないはず、とする計算もあるのでこのまま信じるの は危険かな、といった印象。 #それでも90GeV photon はさすがに異常なので、シンクロトロンとは別かも。 #あまりに早く archive に出た paper ですが、誤字や単位間違い、referenceの間違いが 散見されました。。 2013.06.10 広島大学 雑誌会 13