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「メタボ対策」輸出 で国際貢献 - メタボリックシンドローム・ネット

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「メタボ対策」輸出 で国際貢献 - メタボリックシンドローム・ネット
CON TEN TS
2面
7面
日本動脈硬化学会
総会・学術集会
佐藤靖史
大会長に聞く
16
5面
食とカラダ
糖尿病でも
食べられる
フレンチ
日本糖尿病学会年次学術集会レポート
「メタボ対策」輸出で国際貢献
生活習慣病予防対策プラン作成にあたり、課題と対策について議論する津下氏
(中央)
と各国の研修生ら
=あいち健康の森健康科学総合センター
メタボ撲滅委実行委員
あいち健康の森
健康科学総合センター長
津下 一代
を昼食として業者が売りに来る現状
を紹介した。
アイバン氏は「日本の学校では、
つした・かずよ
名古屋大学医学部卒業。同大学第一内科、愛
知県総合保健センターを経て、2011年、あい
ち健康の森健康科学総合センター長に就任。
厚生労働省の委員として特定健診・保健指導
の制度設計に携わったほか、膨大なデータ分
析から「標準体重まで減量しなくても、3%以
上の減量で生活習慣病が抑制できる」
という
従来の常識を変える重要な発見を行った。
世界の先頭を走る日本のメタボ対策が海外に輸出され、新たな国際貢献
給 食を含めた食 育 がきちんと行 わ
として大きな注目を浴びている。糖尿病などの生活習慣病がアジアをはじ
れていることに感銘を受けた」とし
め世界で増加する中、各国の専門家に日本で予防対策を学んでもらう事業
たうえで、帰国後のプランとして「3
をJICA
(国際協力機構)
中部が実施。最も適した研修の場として2000年の
つ の 学 校 の 1 3 〜 1 5 歳 の 生 徒と先
スタート時から受け入れを行ってきたのが、津下一代氏(メタボ撲滅委実行
生、保護者をメインターゲットに、食
とだ。その考えに基づき、研修のプ
育を中心とした10カ月のプログラム
ログラムには講義のほか、糖尿病の
を行う」
と提示。まず、生徒、先生、保
教育入院や地域の健康づくり活動
護者それぞれに向けた写真つきの
の現 場の視 察、小 学 校での学 校 給
カロリー表などを作成、期間内に8
食の体験などを組み込む。
委員)
がトップを務めるあいち健康の森健康科学総合センター
(愛知県東浦
町)
だ。
(山本雅人)
JICA研 修生を受け入れ
割の生徒が食育の知識を持つよう
また、市 民 向 けの 同 センター の
にするとともに、健 康によくない 食
健康づくり施設を利用して、研修生
べ物を校内で売ることをやめさせた
にも運動プログラムを行ってもらう。
「スリランカ国民の3分の1が運動
「食事は生きるために必要なもの
不足だが、そもそも運動が体にいい
であって、何でもいいから食べる。バ
という認識すらなく、一人で運動しよ
ランスがどうとか、悪いと生活習慣
発 表 に対し、座 長 役 の 津 下 氏 は
改善がどれだけ予防に効果的か実
うものなら変人扱いされる」。1カ月
病になるといったことを考える国民
プランの具 体 性を高く評 価し、
「給
感してもらえ、帰国後に国民に啓発
に及ぶ研修最終日の6月12日、帰国
はいない」
と話したのは、ソロモン諸
食のシステムなど、日ごろ気づきに
を行う際にも実感を持って伝えられ
後に実行予定の予防対策プランの
島 保 健・医 療 省 の 生 活 習 慣 病コー
くい日本のよさを知る機会にもなっ
る」
とメリットを強調する。研修生自
発 表 会 が 行 われ 、同 国 中 部 地 方 保
ディネーター、アイバン・クレメント
た」
と総括した。
身も太りぎみの人が多く、
トレーニン
いと語った。
健局から参加の医師、
クムドゥ・バン
氏。同氏は、給食のシステムや弁当
それぞ れ の 国 に戻ったらすぐに
ダラ氏が語ると、会場から驚きの声
の習慣のないソロモンの学校で、休
実践に移せる研修を―受け入れに
が上がった。
み時間に砂糖のたくさん入った菓子
際し、津下氏が最も意識しているこ
「自ら実 行 することで、生 活 習 慣 の
グによりHbA1cの数値が1%以上下
がった人もいるという。
2面に続く
2
第47回 日本動脈硬化学会
総会・学術集会
30年ぶり東北で 佐藤靖史大会長(東北大教授)
に聞く
血管生物学的視点…新たな潮流を
日本動脈硬化学会の第47回総会・学術集会が7月9・
さとう・やすふみ
10の両日、仙台市青葉区の仙台国際センターで開催され
1 9 7 8 年、神 戸 大 学 医 学 部 卒
業 。大 分 医 科 大 学 第 1 内 科 、
ニューヨーク大学細胞生物学
教室留学などを経て、1994年
から現職。2012年から東北大
学総長特別補佐を兼務。2010
年から4年間、日本血管生物医
学会理事長、昨年4月から日本
動脈硬化学会理事長。
る。今回のテーマは「動脈硬化研究の新機軸」で、学会理
事長に昨年就任した佐藤靖史・東北大学加齢医学研究
所教授が大会長を務める。
「脂質代謝異常の治療・研究
という従来の流れに新たな潮流をプラスしたい」
と語る佐
藤氏に、見どころなどについて聞いた。
「動 脈 硬 化の残 余リスク
へ の 対 応 には、さまざまな
(山本雅人)
会になると思う」
と話す。
さらに、
「高齢社会となる
角度からの研究が必要」と
中、血管の健康を維持でき
幅を広げることの意義を強
ても最 後 に 血 管 の 老 化 が
調 する佐 藤 氏 。昨 年 3 月ま
来る」
との考えから、シンポ
で日 本 血 管 生 物 医 学 会 の
「血 管 老 化 研 究の最 先 端」
理 事 長 を 務 めた 経 歴 を 生
(10日午後4時10分〜)も
むことができる研 究として
時半〜)を盛り込んだ。東北
のセミナー」を今 回 新たに
臨床応用が待たれている。
大学は日本で唯一、医学・工
設け、第1日(9日)の第8会
佐藤氏は大学卒業後、糖
さらに「この 因 子 の 制 御 が
学連携の研究科(大学院医
場のプログラムはすべて研
尿病の臨床医として血管合
動脈硬化治療にも応用でき
工学研究科、2008年創設)
修医向けとなる。同会場で
併症の治療や成因を研究。
る」
(佐 藤 氏)として研 究を
があることから、同研究科の
はラン チョン セミナー( 午
その後、1 9 9 4 年に東 北 大
続けており、今回、動脈硬化
西條芳文教授による超音波
後12時10分〜)も、学会元
また、招聘講演(9日午後
学 に転じ、現 在、血 管 内 皮
研究・治療の新たな流れと
での血管の3次元イメージン
理 事 長 の 北 徹・神 戸 市 立
2時10分〜)の演者として、
の分子生物学、特に血管新
して一連のプログラムにも
グなどの研究や、名古屋工
医 療 センター 中 央 市 民 病
ベルギーから血管生物学の
生と老化についての研究を
反映されている。
業大学機械工学科の松本健
院長が「研究生活における
世界的権威、ピーター・カメ
行っている。
郎教授による「動脈硬化の
出 会 い」のタイトルで講 演
力学特性―本当に『硬化』
し
し、ふだんのランチョンセミ
さらに、自然科学や病態
ているのか?」
といった新た
ナーとはひと味違ったもの
となる。
かし、同学会とのジョイント
シンポジウム(9日午前9時
〜、英語)を行う。
カメリエ博士来日
設定された。
医工連携も
リエ博 士 が 来日する。血 管
その過 程で2 0 0 4 年、内
の分野で最近のトピックで
皮細胞がつくる血管新生の
ある、内皮細胞の代謝の特
抑制因子、バソヒビン1を、
研究など各分野のフロント
な切り口の演題も用意され
異 性 や 病 態との 関 係 につ
06年には、逆に促進因子と
ランナーを招き講演しても
ている。
いての研究の第一人者で、
なるバソヒビン2を発見。新
らうフィーチャードセッション
佐藤氏は「脂質代謝異常
に関するプログラムももち
北徹氏も研究語る
ろん 充 実しており、新たな
生 抑 制の「1」を活 性 化し、
(9日午後4時40分~)や、
「血 管 生 物 学 的に動 脈 硬
促進の「2」をブロックするこ
東北大学の特色を生かした
また、研修医に動脈硬化
面と合わせ皆さんの研究に
化研究がどのように行われ
とで、がん細胞が増殖する
シンポ「動脈硬化への医工
治療・研究の魅力を知って
生かしてもらえれば」
と話し
ているかを紹介するいい機
際の栄養の補給路を抑え込
学からの挑戦」
( 10日午前8
もらおうと、
「研修医のため
ている。
ジョイントシンポと合わせ、
データと経験踏まえ説得力
1面から続く
や保健指導のスキルを伝授したり、
開発途上国も疾患構造が感染症
小学校での健康教育なども行った。
から生活習慣病へシフトしているだ
これを受け、石家庄疾病予防コン
けに人材育成が急がれるが、これま
トロール センターでは 健 康 指 導 員
での16年間で計32カ国、116人の
向けの教材が作成され、これまでに
研修生が来日し、帰国後、それぞれ
4000人近い指導員が養成されるな
の現場で活躍。今年は12人が参加
ど、具体的な成果が表れている。
した。
自らがトップを務める
「あいち
健 康 の 森 健 康 科 学 総 合セン
ター」
は健康長寿の拠点として
全国的に有名だ
そんな津下氏は、国内では、膨大
その 一 方で津 下 氏 は、あいち健
なデータを基に精密で、
しかも医療
康の森健康科学総合センターがこ
の現場で実践しやすい研究成果を
画期的なもので、国際的にもよく知
た人に比べ年間外来医療費が男性
れまで 培ってきたノウハウを 生 か
出すことで定評がある。
られている。
で5 3 4 0 円、女 性で7 5 5 0 円も少な
し、JICAが後押しする「JICA草の根
特に、
「体 重の3 % 以 上の減 量で
特定健診・保健指導の分野では、
かったことを明らかにした。
技 術 協 力 事 業」
(2 0 1 1 〜 1 4 年 度)
血圧、血糖、脂質などの数値が改善
厚生労働省の委員などを通じて制
昨年からは宿泊型の保健指導の
の指導的立場として河北省石家庄
し、生 活 習 慣 病 の 抑 制 に効 果 があ
度 設 計 に参 画 。現 在 は 同 健 診 の 1
研 究 班 長となり、全 国で2 3 の 試 行
市を訪問。
「健診データに基づく一
る」との 研 究 は 大きな 反 響 を 呼 ん
期目の集積データを分析し、
「積極
事 業を行う。
「1 時 間 の 面 接ではな
人 ひとりに合った生 活 習 慣 の 改 善
だ。それまで〝BMI22の標準体重に
的支援」に該当し、実際に保健指導
く、泊まりながら実際に食事や運動
の 重 要 性 を 知ってもらうことが 大
近づけなければならない〟
とされ 、
を受けた人の腹囲が半年間で男性
の指導を受けることで、さらに効果
切」と語る通り、糖尿病や高血圧患
10㌔や20㌔の減量を指導するもの
が2・2㌢、女性で3・1㌢の減、また、
が上がっているのが分かる」
と手応
者 が 爆 発 的 に増える中 国で、知 識
の、多くが脱落、
という流れを変える
保健指導を受けた人は受けなかっ
えを感じている。
3
ケーススタディ
検査値をどう見る? 東京医科歯科大学・吉田雅幸教授に聞く
運動しても高LDLが
改善されない44歳男性
Q
運動の習慣があり、体重、腹囲とも理想的な数
値ながら、悩みの種はLDL-Cの値が160を超えて
いることです。治療に入るかどうか迷っています。
どうした
らいいのでしょうか。
(東京都、情報関連会社勤務・男、44歳)
間食を見直し
のラインナップに加わる見
動脈硬化の検査を
44歳男性の検査値の推移
込みだ。
動 脈 硬 化 症 の 予 防 には
2 0 1 4 年 4月 2 0 1 5 年 4月 要経過観察
要経過観察
要経過観察
LDL-C
168
141
166
バランスの取れた食事が大
HDL-C
43
38
38
切だ 。油 物 が い けない、甘
中性脂肪
104
106
84
い物がいけないと言われる
総コレステロール
225
201
219
空腹時血糖値
87
91
87
HbA1c(N)
5.2
5.2
5.3
血圧
120~84
108~70
108~74
身長
180.5
―
―
体重
75.6
77.0
74.0
腹囲
84.4
85.3
80.5
が、それもバランスよくとれ
A
2 0 1 3 年 4月 血中脂質
東京医科歯科大
頸 動 脈 エコー、F M D 、A B I
ば大丈夫だ。ただ、高コレス
学大学院先進倫理
検査を勧めたい。会社の健
テロール血症と判明した人
医科学分野の吉田雅幸教
診 には 通 例 含まれて い な
はコレステロールの多い食
授( 日 本 動 脈 硬 化 学 会 評
いが、機会を見つけて検査
品 の 摂 取 に気 を つ けた 方
議員・監事)は日々、臨床と
すべきだ 。それによって薬
がいい。アメリカでコレステ
研 究 の 場で 動 脈 硬 化 に向
物治療を始めるかどうかが
ロール摂取制限を設けない
き合っている。この 患 者 の
判明する。
との 見 解 が 出されたが、こ
※本人の許可を得て掲載しています
野菜やキノコを
性 が 要 治 療 かどうか は 血
れは健康な人を含めた全国
食 事で 大 切 な の は 食 物
管 検 査 の 結 果 次 第で 決ま
ロール血症向けにスタチン
民のデータから分析したも
繊 維 の 多 い 野 菜 や キノコ
る。40代、50代で動脈硬化
系薬剤やコレステロール吸
のなので、高コレステロー
類 を 意 識してとることだ 。
が 原 因で心 疾 患 や 脳 卒 中
高コレステロール血症の
収機構阻害剤がある。来年
ル血症の人には参考になら
避けたいのは喫煙。HDLコ
で倒 れる人 が 少なくない。
人は生活習慣の改善を指導
にはPCSK9阻害剤やMTP
ない。日本動脈硬化学会で
レステロー ルを 減らし、ビ
この 男 性 は 自 覚 症 状 が な
するが、改善しても数値が下
阻害剤といった新薬も治療
は5月に声明を出し、誤解の
タミンCを破壊するからだ。
いからといって安易に見過
ないように警告した。
い ず れ にしても、この 男
デ ータを 見て、次 のように
解説した。
◇
薬物の場合、高コレステ
がらない 人 が いる。この男
ごすべきはない。
性はマラソン(5㌔〜10㌔)
を週2回ほど行っているとい
う。気になるのは、就寝前に
吉田教授
アイスクリームや菓子をほ
血管内皮炎症 因子同定し新薬を
見極めようと研究している」
ぼ毎日食べているということ
脂 質 異 常 症 に炎 症 が 関 わってい
だ。就寝前の間食が高コレ
ることは分かっているが、吉田教授は
血 管 内の炎 症につ いては白 血 球
ステロール血症に関与して
「なぜ、炎症が慢性化するか」
という
の作 用もあり、相 互 反 応すると炎 症
いる可能性があり、その習慣
機序に注目して、研究を進めている。
がこじれるという。吉田教授は「炎症
「血管の内皮に炎症反応が起きる
を引き起こす因子を同定すれば、動
その際、心配すべきは動
のはどのような因子が作用しているの
脈 硬 化 の 予 防 に役 立 つと思ってい
脈硬化がどこまで進んでい
か。
炎症でも治るものがあれば、
慢性化
る。ここに新薬開発の可能性が秘め
るかということだ 。動 脈 硬
するものがある。
なぜ慢性化するかを
られている」
と期待を込める。
を見直すべきだろう。
(構成 大家俊夫)
化の度合いを調べるため、
8月に大好評の糖尿病「賢島セミナー」
今年は名古屋市内で、春日氏ら講演
定 で 、人 気 が さら
に高まりそうだ。
今回のテーマは
100人規模での開催のため参
録集が後日送付されるなど、一般
「糖尿病治療薬
加 者 が 世 界 的 な 研 究 者と気 軽
の学術集会とは異なる手厚い配
によるシ ームレス
に 交 流 でき、最 新 の 研 究・治 療
慮も。参 加 の 医 師 には日本 糖 尿
な 血 糖コントロー
を聞くことができる「糖尿病Up・
病学会の専門医の更新のための
ル―治療薬の選
D a t e 賢 島 セミナー 」が 、今 年 は
単位3単位が付与される。
択と 併 用 療 法 の
昨年のセミナー風景。今年は名古屋市内のため参加しやすいメリットも
名古屋市内(ウェスティンナゴヤ
32回目の今年は、例年会場と
す すめ 方 」。門 脇 教 授 が「 2 型 糖
行う。参加費5万円(初日夕食・2
キャッスル)で8月29・30両日に
なる三重県・賢島のホテル(志摩
尿病の病態に応じた治療薬の選
日目昼食代込み、宿泊費抜き)。
行われる。
観光ホテルクラシック)が来年の
択と併 用 療 法 の す す め 方 」、山
申し込みははがきに氏名、所属、
主 要 国 首脳 会 議(サミット)の主
口大学大学院の谷澤幸生教授が
住所、電話番号を記入し、〒455
院教授(日本糖尿病学会理事長)
会場に決定し改修工事が行われ
「S G LT 2 阻 害 薬を生 かした活 用
―8 5 3 0 名 古 屋 市 港 区 港 明 1の
が、開発中の〝夢の治療薬〟アディ
ているため、名 古 屋 の 中 心 部で
と留 意 点 」につ いて講 演 するほ
10の6 中部ろうさい病院 「糖尿
ポロンについて、未公開のデータ
開催されるが、その分、遠方で初
か、夕 食 時には国 立 国 際 医 療 研
病 U p・D a t eセミナー」事 務 局 へ
を含め紹 介 。また、各 講 座で、す
めてという人も参加しやすい環境
究センターの春日雅人総長が自
( 1 0 0 人 の 定 員 に達し次 第 締め
べての 参 加 者 からの 全 質 問( 用
といえる。来 年 以 降 は 再 び 志 摩
身の世界的な業績であるインス
切り)。問 い 合 わ せ は 同 事 務 局
紙 に記 入 )に講 師 が 回 答した記
観光ホテルクラシックで開催の予
リン 受 容 体 につ いてスピーチを
☎052・652・5511内線7174。
昨 年も門 脇 孝・東 京 大 学 大 学
4
日本医学会総会
2015関西
メタボ撲滅委員ら活躍 実質8年ぶり開催
生活習慣病克服へ「先制医療」紹介
4年に1度行われる日本医学会総会の学術講演が4月11
日〜13日、国立京都国際会館を中心とする京都市内の3会
場で開催された。前回は東日本大震災発生直後と重なり、電
子媒体などでの発表となったことから、実質的には8年ぶりの
開催となった。
今 回 は 、会 頭 を 務 め た 井 村 裕
な い 人 が い ること
夫・京 都 大 学 名 誉 教 授の強 い 意 向
から、生活習慣改善
で、高 齢 化 による医 療 費 膨 張 へ の
のモチベーションと
対 応として「先 制 医 療」がテーマに
して強 いものとなり
設定された。
にくい 欠 陥 を 指 摘
先 制 医 療 の 概 要 につ いて講 演
した。
した 科 学 技 術 振 興 機 構 研 究 開 発
先 制 医 療 は「 遺
戦 略 センター の 辻 真 博 氏 は、予 防
伝 素 因 やバイオ
医 療と先 制 医 療との違 いにつ いて
マーカーによってハ
「従来の予防医療は集団を対象
イリスクの集団を絞
に、過食、運動不足などの是正や禁
り込 ん だうえで 、リ
煙をアドバイスするものだった」と
スク に 応 じ た 介 入
解 説 。喫 煙 や 過 食でも病 気 になら
を 行うという
〝 個 〟の 医 療だ 」とし、
座長を務める松澤氏(左)
と春日氏=京都市左京区の国立京都国際会館
先制医療をテーマに最新の研究が発表された
改 善のモチベーションが 上 がる一
2 型 糖 尿 病の先 制 医 療につ いて
方 、診 断 の 超 早 期 化 が 重 要 なこと
講 演した稲 垣 暢 也・京 都 大 学 大 学
を強調した。
院 教 授 は 現 状 につ いて、
「血糖値
「 健 康 長 寿 1 0 0 歳を目 指して―
や 経 口ブドウ糖 負 荷 試 験(O G T T)
先 制 医 療 の 取 組 み 」のシンポジウ
を 上 回る 診 断 法 が な い 」と説 明 。
ムには、メタボリックシンドローム
OGT Tではβ細胞が70%減少する
撲滅委員会の松澤佑次委員長(住
まで検出できず、早期診断となり得
友 病 院 長 )と同 委オブ ザ ー バ ー の
ていないことから、京大グループが
春日雅 人・国 立 国 際 医 療 研 究セン
現 在、膵 β 細 胞 量の減 少を早 い 段
ター 総 長 が 座 長として登 場 。松 澤
階 からつ か む 手 法を研 究している
氏 は「 寝 たきりの 原 因となるアル
ことを紹介した。同氏は「早期診断
ツハイマー病 や 2 型 糖 尿 病は先 制
だ けでなく非 侵 襲とも両 立させ な
医 療 によって個 別 に発 症 予 測・予
ければならないので難しい 部 分も
防 できる可 能 性 を 持 つ 」とあ いさ
あるが、何とか 結 実させたい」と意
つ。
欲を見せた。
門脇教授、新たな研究成果紹介
栄養の「質」
と
「量」の問題提起
総会初日のランチョンセミナー
と述べた。
が 受 容 体( A d i p o R 1・R 2 )を 世
脂質摂取を減
界で 初 めて発 見した際 には「 細
らし た マ ウ ス
胞 生 物 学 の 大 家 から〝こん なも
の寿命が延び
の があるは ず は な い 〟と言 わ れ
たとの デ ー タ
( ア ークレ イ 株 式 会 社 共 催 )で
また、その 関 連で、先ごろ、理
は、メタボ撲滅委委員の門脇孝・
化 学 研 究 所と共 同でアディポネ
た」との エピソードも明 かした。
を 提示、
「栄養
東京大学大学院教授(内科学専
クチン受容体の立体構造を解明
創 薬 のスケジュール に関しては
素 には 量と質
攻 長 )が「 2 型 糖 尿 病 の 分 子 機
し、英科学誌『Nature』に掲載さ
「 4 年 を めどに 臨 床 試 験 に 着 手
したい」
と述べた。
の問題がある」
と語った。ただ
門脇教授
構と治 療 戦 略 」のテーマで 講 演
れたことを紹介。
「試料づくりの難
した。
しさなどから、9年かかって解明す
糖 尿 病 や メタ ボと 生 活 習 慣
「どのくらいのカロリーがよい か
東大グループが研究し、糖尿病
ることができた」と苦難の道のり
との関連については津下一代氏
や、三大栄養素の適正比率はいま
の先制医療の切り札ともいえる治
を振り返るとともに「これに合致す
(あいち健 康の森 健 康 科 学 総 合
だに明らかになっていない」
とし、
療薬「AdipoRon」について解説。
る設計の薬を作ることで効果がさ
センター長)の研究から「2〜3㌔
極端なダイエットや糖質制限に警
抗糖尿病作用を持つ善玉ホルモ
らに増すと思う」
と語った。
の減量で発症予防に大きな効果
鐘を鳴らした。
があることが 分 かった」と紹 介 。
また、糖 尿 病 治 療 の 他 の 先 制
ン、アディポネクチンの受容体に
アディポネクチンは 分 子 構 造
着目し、そこに作用する経口薬で
が 複 雑 なため、人 工 的 に作って
そのうえで東 大グル ープ の 研 究
医療として、糖尿病関連遺伝子で
あることを紹介したうえで、
「受容
直 接 投 与 するので は なく、受 容
から、高脂肪食を摂取し続けたマ
あるKCNQ1、UBE2E2の標的薬を
体 によりぴたりとはまるよう、現
体 に着 目したことが 飛 躍 の 鍵と
ウスの寿命が短くなるのに対し、
挙げ、東大グループも研究を続け
在、最適化の作業を行っている」
なったが 、門 脇 教 授 のグル ープ
摂取カロリーを減らしたマウスと
ていることを明らかにした。
5
第58回 日本糖尿病学会
年次学術集会
「ヒューマニティー」テーマに下関で開催
効果的な運動療法、最新の知見披露
日本糖尿病学会の第58回年次学術集会が2015年5月
食事指導分野での栄養士と
21日〜24日、山口県下関市で開催された。2日目のシンポ
いったような専門家やコメ
ジウム「運動を科学する―健康寿命を延ばす運動療法」
介 。今 後、研 究 の 進 展 によ
と強調した。
首都大学東京大学院の
り運 動と同 等 の 効 果 を 持
ディカル の 参 画 が 少 なく、
藤 井 宣 晴 教 授 は 、運 動 が
つ薬剤の開発や、マイオカ
では、食事療法に比べ患者の取り組みが弱い運動療法に
医師が行っているケースが
エ ネルギ ー 消 費 や 筋 肉 増
イン を 効 果 的 に 分 泌させ
ついて、効果的な啓発や病態改善のメカニズムといった
多い」ことが判明。そのこと
強のほかに、血圧低下や動
るための運動プログラム作
が患者の取り組みの弱さに
脈硬化抑制、骨密度のアッ
成などが可能となると展望
影響しているとし、
「健康運
プなどの効果を持つメカニ
を語った。
動指導士が指導している群
ズムについて解説。まだ解
ま た 、あ い ち 健 康 の 森
導していない先生が多い」
の方が患者の実施率が高
明されて い な い 複 数 の ホ
健 康 科 学 総 合 センター の
た愛 知 み ず ほ 大 学 大 学 院
と指摘した。理由として、指
いというデータも出ている」
ルモン「マイオカイン」が筋
津下一代センター長は、自
の佐藤祐造特任教授が運
導に十分時間が取れないこ
と述べた。
収縮により放出されるから
らがメンバーとなっている
動 療 法 の 現 状 につ いてま
とや適切な指導者がいない
これらから、食 事 療 法と
だろうとしたうえで、
「これ
厚 生 労 働 省の「特 定 健 診・
ず解説。運動療法はインス
との回答が多かったという。
比 べ 患 者 の 取り組 み に 差
まで 検 証 するモ デ ル が な
特定保健指導の医療費適
リン抵抗性を改善すること
患者への調査でも、34%
があることを 認 識し、時 間
かったため難しかったが、
正 化 効 果 の 検 証 のための
から予防・治療のために必
が「やっていない」
と答える
の な い 人 へ の 対 応 ▷ 取り
ショウジョウバ エを使った
ワーキンググル ープ」の 中
要 なもの の 、
「 実 際 に調 査
など、食事療法に比べ取り
組 んで いる人 には 活 動 量
私たちの研究で検証できる
間とりまとめの内容を紹介
してみると、運 動 療 法を指
組みの頻度が低く、
「例えば
を 増 や す 対 策 ― が 重 要だ
ようになった」と成 果 を 紹
した。
究をしていた」と写 真 がス
―
―ことを挙げ、会場の若い
ライドで 紹 介されると、現
研究者に対し
「これらは留学
在、年中ネクタイ姿でいるイ
しないと難しく、臨床に戻っ
メージとの違いに、会場か
た後、
人生にとってかけがえ
らどよめきが起こった。
のない時間になると確信し
面から最新の知見が紹介された。
シンポでは、座長を務め
(山本雅人)
門脇理事長ら〝貴重な〟スライド交え……
自らの体験紹介、
「留学のすすめ」説く
2日目の午後には、
門脇孝
ている」
と留学のメリットを
理事長ら5氏が、
留学体験を
88年2月に解明の論文を
当時の写真を交えながら語
投稿する際には、
ワシントン
る特別企画「糖尿病研究留
DC郊外の研究室から
「サイ
この ほ か、下 村 伊 一 郎・
学へのいざない」が行われ
エンス」のオフィスまで、雪
大阪大学大学院教授(1994
た。
留学希望者が減る中、
谷
で地下鉄が運休となる中、
年〜2001年、米国テキサス
澤幸生大会長(山口大学大
1 3 . 5 ㌔の道を雪をかき分
大留学)が、
ノーベル賞学者
け歩いて届けたという。
のゴールドスタイン、ブラウ
学院 教 授)の肝 いりで行 わ
れたこれまでにない企画で、
短パン姿の留学時代を紹介する門脇理事長=下関市あるかぽーと岸壁停泊中の
「ぱしふぃっくびいなす」船内
語った。
当時を振り返り、臨床のこ
ン両博士のもとで過ごした
会場も今学術集会のために
た門脇理事長は留学のきっ
かった」
と述懐。留学後、イ
とを考えず研究に没頭する
思い出を、横手幸太郎・千葉
チャーターした豪華客船
「ぱ
かけについて「師匠の春日
ンスリン受容体の変異の解
期間が必要▷自分たちが切
大学大学院教授(1992年〜
しふぃっくびいなす」内のメ
雅人先生が繰り言のように
明に没入し、
「1週間に100
り開くという精神を学び、研
98年、スウェーデン国立ウ
インホールという斬新なもの
『アメリカは オ ープン でよ
時 間 働く研 究 者 が いる」と
究 の 最 先 端 を 体 験できた
プサラ大学大学院留学)は
かった』
というので、臨床の
米の雑誌にも掲載されるほ
▷ 研 究 を 通じ国 際 的 な 人
アカデミズムを大切にする
1986年〜90年に米国立
ことを考えることのない 環
どだったという。
「当 時 は 1
脈 が 広 がり、新たな 社 会・
北欧の文化に触れた得がた
衛生研究所(NIH)に留学し
境で研究に打ち込んでみた
年中、Tシャツと短パンで研
文化に触れ視野が広がった
い時間について語った。
だった。
量により、有料や無料などさまざ
2015年5月 セミナー 気軽に健康チェック
まな形態がある。ガイドラインに
「検体測定室」1年で設置1000カ所に
よると、医療機関ではないため、
結果について診断などはできな
薬局などに設置された血液の測
米国では、病気でなくても気軽
いが、結果を渡す際に健康診断の
定機器を使い、指先での自己採血
に血液検査などのセルフチェック
受診(異常値の場合はかかりつけ
により気軽に血糖値などをチェッ
を行う人が多い。一方、日本ではサ
医への相談)を勧めることになっ
クする
「検体測定室」が制度発足か
ラリーマンらの企業健診などが一
ている。
ら1年を過ぎ、全国での設置箇所
般的だが、それ以外の人が日常的
協議会では「どこでも気軽にで
が約1000カ所となった。関係者ら
にセルフチェックを行う文化はま
きるよう、全国で2万カ所の設置が
は、高齢化による医療費膨張の歯
だ根づいていない。
目標」
としたうえで、
「生活習慣病の
止めの一助になるとして、
さらなる
現在、国は、病気になってから
検体測定室に置かれている
血液のセルフチェック機器
予防のため、健康な30代から利用
普及とともに質の向上を図るため、
治療を行うのではなく、予防や「病
検体測定室連携協議会を5月27日
気にならないための医療」に施策
制緩和により検体測定室の制度
職後の人にも活用してもらいたい」
発足させ、同日、記者会見した。
をシフトさせており、昨年4月、規
がスタートした。現在、設置者の裁
と話している。
してほしいし、長寿化の中、定年退
6
Books
『病を引き受けられない人々のケア』
石井均(奈良県立医科大学糖尿病学講座教授)著、医学書院刊
生物学、哲学、経済学、医学 ……
各専門家が語る「病と生」
人は病気を抱えてどのように生きればいいのか。奈良県立医科大学の
てくる」
という。
「合併症が進んでか
石井均教授が各界の著名人との対談でその答えを探る本『病を引き受け
ら来た患 者 に『もっと早く来たらよ
られない人々のケア』
が出版された。通常では発想できないヒントが満載さ
かったのに』と言うべきか、
『よく来
れており、医療提供者には大いに参考になりそうだ。
てくれましたね』
と言うかによって患
(大家俊夫)
者の反応は大きく変わる。後者の言
石井 教 授は「病 気 がなかなか 治
らない場合があり、長期にわたって
い方だと患者さんは一生懸命に治
る」
ことだという。
JT生命誌研究館館長の中村桂
療に取り組んでくる」と患 者との人
間的な接し方を強調している。
治 療 が 続 くこ
子 氏 は「しょうが な い や つだ けど、
とがある。この
一 緒 にやっていくか」との 章で「遺
対談者はこのほか、河合隼雄、北
だ』という患 者にはずれ がある。エ
伝 子 の 研 究 が 進んだため、病 気 は
山修、中井久夫、鷲田清一、西村周
ビデンスに基づ いた医療は医療の
言 葉 を 通じて
遺 伝 子との 関 係 から説 明されるこ
三、皆藤章の各氏。
原則だが、一人一人のことは考えて
患 者 に 向 かう
とが 増 えるが 、そ れ だ けで は 人 間
石井教授は「糖尿病の治療は進
いない側面もある。そうした患者に
しか 方 法 が な
は 分 からな い 」と問 題を 提 起 。
「生
化したが、生 活 習 慣 の 改 善 や 治 療
どう接するのか。対談者が示してく
い」
との持論か
命という科学の側面だけでなく、生
が実行されるのを前提に行われて
れた含 蓄 のある答えを参 考 にして
きるというとらえ方をしないと人間
いる。
『糖尿病治療が苦しいから嫌
ほしい」
と願っている。
よう な と き は
ら、さまざまな
石井均教授
角度から話し合った。
のすべては理解できない。糖尿病は
対 談 者の一 人、解 剖 学 者で作 家
患者にとって嫌な
の養老孟司氏は「先生はそう言うけ
ものかもしれない
編集の今田氏 すべての医療者の参考に
ど、私、調子がいいんだ」
との章で、
が 、生 きて いくも
『病を引き受けられない人々のケア』は月刊誌『糖
合併症前の糖尿病患者がなかなか
ののうちの一つと
尿病診療マスター』の対談をもとに編集。今田亮平・医
病気を実感できない状況を独特の
考えれ ば、長く付
学書院医学雑誌部第4編集室長=写真=は「河合隼
感覚で表現する。
き合うことができ
「糖尿病の初期の患者さんにとっ
る」
と述べている。
雄氏との対談は患者の治療に悩む医療者の励みにな
中村桂子氏
る」
と話す。
て糖尿病はバーチャルな病気だ。合
研究のみならず、臨床現場でも糖
石井教授も糖尿病の治療に取り組まない患者のこ
併症を発症していない人たちは悪
尿病と向き合う門脇孝・東大大学院
とで悩み、心理学者の河合氏に相談。科学的に説明が
化後の症状を人ごとのように感じら
教授は「退院してしまったら、本当に
つかないが、治療がうまくいくケースが出始め、石井
れる。この状況で治療を進めていく
できるかどうかとても自信がない」
教授は「糖尿病医療学」を提唱する。今田氏は「対談に
のは、患者も医師も難しい」
との章で「いままでの治療経験から
はこうした内容が盛り込まれた。すべての医療者に参考になる」
という。対談
養老氏のアドバイスは「合併症で
患者さんにかける一言によって、病
は河合氏が2007年に亡くなる前に収録された。河合氏の遺言的な色彩も
失 明した人の話など具 体 的に伝え
気に向き合う気持ちはまったく違っ
強い。
2015年6月 米医療IT専門家が来日
電子カルテ統合で糖尿病ケアに革命
米国では仕様の異なる電子カ
→退院→自宅療養という患者の
ルテが新しいシステムによって閲
動きに対し、速やかに対応できる
覧できるようになり、糖尿病患者に
ようになったという。
リー氏は「医
対するケアでも大規模病院・家庭
療機関は入院が決まればそのと
医・専門医の連携が密になってい
きに退院の準備も始める。その経
る―。米国マサチューセッツ州に
緯や患者の状況は、ヘルスシェア
本社を置く医療システム会社、イ
を介して担当する予定の家庭医
ンターシステムズのディレクター、
にも伝えられる」
と話す。
チー・リー氏が6月に来日し、イン
インタビューで米国の
新しい制度を説明する
チー・リー氏=東京都
新宿区
患 者に異 常 があれば、その都
度、システムを通じて家庭医や専
の有無 ⑤禁煙の状況―の5つの
リー氏は「米国の平均入院日数
連邦政府の補助金を受けた医
門医に注意情報が届き、自動的に
要素を設定し、患者情報をシステ
は4.3日。再入院を避けたいの
療プロジェクト「ベーコン・コミュ
患者をフォローアップできるように
ム化して家庭医に伝え、管理状況
は医療機関と患者の願いである。
ニティー」のうち、糖尿病に特化し
なったという。
を把 握 する。管 理 状 況 が 悪 けれ
ヘルスシェアによって地域医療機
タビューで明らかにした。
たプロジェクトは15地域選定され
米国は世界3位の糖尿病大
ば、改善の必要な医師をシステム
関の緊密な連携ができるようにな
た。その中で「ヘルスシェア」
とい
国。糖尿病のリスク因子として①
が特定し、患者の管理に注意を呼
り、患 者 負 担 や 地 域 の 医 療 費 削
うシステムを使った地域では入院
HbA1c ②血圧 ③LDL-C ④鬱病
び掛ける方式だ。
減にも寄与している」
と強調した。
7
食とカ ラダ
糖尿病の人でも食べられる「フレンチ」
AU GA M I N D E TOKI O(東京・恵比寿 )
糖尿病の人は厳しい食事制限に挫折してしまうケースも少なくない。そん
な糖尿病の患者のために食材を工夫してフレンチを提供している店がある。
新進のカジュアル・フレンチ「AU GAMIN DE TOKIO」
(東京・恵比寿)
だ。
フランスで修業した木下威征シェフによるオリジナルのメニューを紹介する。
(大家俊夫)
糖質制限でステーキを
「フレンチというとクリームや 油
ふんだんに使ったミルティコロール
分が多く、糖尿病の人には一番遠い
サラダ。気をつけているのは、ここで
料理のように思われがちですが、実
も糖度の分量。
「ニンジンやビーツ
は違う。糖尿病やその予備軍の人こ
は、糖質が増えないように通常の半
そ、
うちのフレンチを食べてほしい」
分ほどの量」にしている。
さきほどのステーキは 牛たたき
と木下シェフ。
考 案したメニュー のメーン は 大
風でしょうゆとの相性もよく、このサ
胆にもステーキだ。その秘訣は糖質
ラダもオリーブオイルにちりめんサ
制限にあった。
「 糖分と脂分は別物。
ンショウをかけていただくという。そ
糖質制限をきちんとすれば、糖尿病
う、
「和」を取り入れたオリジナルの
の人でも毎日でなければ、肉も大丈
フレンチが木下シェフの真骨頂だ。
夫です」
素 材 にこだ わり、一 般 的 な 赤 身
デザートも満喫
で なく、い ま 注 目 度 の 高 い「 熟 成
デザ ートはパ ルスイート使 用 の
牛 」を 使 用 。
「うち は 5 店 舗 あるの
「 抹 茶 プリン 」を 提 供 。
「 きょうは
で熟成牛を一頭買いして各店舗に
久々にお肉を食べ、甘い物も楽しむ
配 分して います。赤 身 は 焼 きすぎ
ことができた」と客には好 評のよう
るとパサパサになり、霜降りは油っ
だ。糖尿病の大半の客はワインでな
こく、糖 尿 病の人には不 向きでしょ
く、お茶で料理を楽しむという。
糖 尿 病 向 けメニューのきっか け
う」
工夫を凝らしたステーキを提供する木下シェフ
このステーキを店内で焼き、ルッ
は 、数 年 前 、北 里 大 学 北 里 研 究 所
コラ、チーズを乗 せて、サラダ 仕 立
病院糖尿病センター長の山田悟氏
入った山 田 氏 が「糖 尿 病 の 人 のた
てのタリアータとして提供。
が客としてひょっこりこの店を訪れ
めのメニューも作 れる?」と聞 いて
たことだった。料理をすっかり気に
きて、木 下 シェフ は「 は い 、できま
もう1品は根セロリなどの野菜を
す」
と即答したという。
すぐにメニューづくりに入り、試
行 錯 誤しな がら数 種 類 のメニュー
を完 成させた。もちろん、医 学 的な
見 地 は 山 田 氏 の 監 修 を 受 けて い
る。山田氏は「外でいただく
〝糖質制
限食〟 奇跡の美食レストラン」
(幻
冬舎)
という一冊に木下シェフのメ
ニューも収め、近く、新著「おいしく、
楽しく食べて、健康に ロカボバイ
山田氏
ブル」も発行予定という。
糖 尿 病 向 けのメニューはコース
(写真左)
オープンキッチンで
ステーキを焼く
(同右)
糖質を減らしたサラダ
メタボリックシンドローム撲滅委員会
委員長 松澤 佑次 (財)
住友病院院長
(日本肥満学会元理事長)
委員
門脇 孝
島本 和明
北 徹
齋藤 康
渡邊 昌
中尾 一和
東京大学大学院教授
(日本糖尿病学会理事長)
札幌医科大学学長・理事長(日本高血圧学会元理事長)
神戸市立医療センター中央市民病院院長
(日本動脈硬化学会元理事長)
千葉市病院事業管理者
(千葉大学前学長)
生命科学振興会理事長
(国立健康・栄養研究所元理事長)
京都大学大学院特任教授
(日本肥満学会前理事長)
メタボリックシンドローム撲滅委員会
で8千円程度(料理のみ)。2日前ま
での予約制(03・3444・4991)。
16
メタボリックシンドローム撲滅委員会
企画・編集:大家 俊夫、山本 雅人、勝田 剛平
発行:メタボリックシンドローム撲滅委員会
発行日:2015年7月7日
産経新聞社 東京本社
事務局 〒100-8077 東京都千代田区大手町1-7-2
03 - 3275- 8944(産経新聞社) E-Mail.
[email protected]
毎日不安に思いながらも、メタボを放置していないでしょうか。
メタボは動脈硬化をすすめ、脳卒中や心筋梗塞を引き起こします。
正しい知識を学んで、末永い健康づくりに役立てたいですね。
メタボ対 策は、知ることから。
メタボの総合情報サイト
www.metabolic-syndrome.net
【 主 催 】 メタボリックシンドローム撲滅委員会、
産経新聞社、
フジテレビジョン、
ニッポン放送、
フジサンケイ ビジネスアイ 【 後 援 】 厚生労働省/日本肥満学会、
日本血栓止血学会、
日本動脈硬化学会、
日本歯科医学会、
日本高血圧学会、
日本歯周病学会、
日本糖尿病学会、
日本抗加齢医学会、
日本循環器学会、
日本CT検診学会、
日本腎臓学会、
日本人間ドック学会、
日本心臓病学会、
日本総合健診医学会、
日本食物繊維学会、
日本プライマリ・ケア連合学会、
日本内分泌学会、
日本学校保健学会/日本医師会、
日本臨床内科医会、
日本歯科医師会、
日本栄養士会、
日本薬剤師会、健康・体力づくり事業財団、
日本健康運動指導士会、
日本フィットネス産業協会、
日本糖尿病財団、
日本心臓財団、
日本看護協会、
日本製薬工業協会、
日本OTC医薬品協会、日本生活習慣病予防協会、全国保健師長会、日本ウオーキング協会、日本健康スポーツ連盟、健康保険組合連合会、健康日本21推進全国連絡協議会、国立健康・栄養研究所、
日本学校保健会、全国学校栄養士協議会、日本食生活協会/サンケイリビング新聞社、扶桑社
【協力団体】 高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム 【特別協賛】 第一生命保険株式会社 【 協 賛 】 第一三共株式会社 【 賛 助 】 株式会社カーブスジャパン
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