小野寺防衛大臣訓示（PDF：203KB）

平成２４年度防衛大学校卒業式
防衛大臣訓示
本日ここに、自衛隊の最高指揮官である安倍晋三内閣総理大臣の
御臨席の下、防衛大学校本科及び研究科の卒業式が挙行されるに当
たり、防衛大臣として一言申し上げます。
ご 存 じ の と お り 、昨 年 、北 朝 鮮 が 四 月 に 続 き 、十 二 月 十 二 日 に「 人
工衛星」と称するミサイルを発射しました。翌十三日には、初めて
中国機による尖閣諸島周辺への領空侵犯が発生しております。
本年に入ってからは、中国艦艇による海上自衛隊護衛艦及び艦載
ヘリコプターへの火器管制レーダーの照射事案が発生、先月七日に
はロシア機による領空侵犯、さらに、十二日には北朝鮮が核実験を
実施しています。
このように、我が国周辺の安全保障環境は一層厳しさを増してお
り ま す 。こ う し た 中 、 日 本 国 民 は 、 防 衛 省 ・ 自 衛 隊 に 対 し 、 大 き な
期待と厚い信頼を寄せております。政府としても、国民の生命・財
産、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くため、十一年
ぶりに防衛関係費の増額を図るとともに、防衛大綱を見直すことに
より、自衛隊の更なる体制強化に取り組んでまいります。
このような国民の期待と信頼に応えるべく、本日は、卒業生諸君
にとって、その卒業を祝福すべき素晴らしき日であるとともに、厳
しく崇高な任務を担う自衛官となる重大な決意の日でもあります。
諸君は、国防という崇高な使命を担う優秀な幹部自衛官となるべ
く 、 こ こ 防 衛 大 学 校 に お い て 、 ４ 年 間 の 厳 し い 教 育 訓 練 に 耐 え 、「 広
い視野、科学的思考力、豊かな人間性」を育んでこられました。
しかしながら、それは卒業をもって終わるものではありません。
今後も不断の精進を重ね、そして、ここ走 水の地で 培 った同期の絆
を生涯の財産として切磋琢磨を続け、国民から信頼される、新しい
時代を担うに相応しい堂々たる幹部自衛官として大きく成長される
ことを切望します。
ご子息ご息女をあずけて下さった御家族の皆様方に対しても、御
卒業を心からお祝い申し上げます。
また、日頃から防衛省・自衛隊、防衛大学校に対し多大なる御理
解・御協力を賜っております御来賓の皆様に対し、この機会に深く
感謝申し上げますとともに、引き続き自衛隊への温かい御支援をお
願いいたします。
自衛隊は、国の安全を守る最後の砦であり、他に代わる手段は存
在しません。そのため、常に強い力を求められる実力組織であり、
この実力組織の根幹は「人」であります。国民の痛みを自らの痛み
として、国民の生命、財産を守り、平和と独立を確保する自衛隊こ
そ 、「 人 」 を 中 心 と し た 組 織 で な け れ ば な り ま せ ん 。 そ の た め に は 高
い見識を備えた優秀な幹部自衛官が必要であり、それがまさに諸君
なのであります。私は前途洋々たる新進気鋭の諸君が自衛隊の第一
線に 加 わ る こ と を 心 か ら 歓 迎 す る も の で あ り ま す 。
国防という究極の危機管理を担う自衛隊は、他のいかなる組織よ
りも高い規律が求められています。また諸君は、多数の部下を指揮
し、その模範たる地位に就くことが期待されています。常に他の隊
員の模範となるよう、厳しい訓練に励み、人徳を涵 養し、己を厳し
く律するとともに、いかなる難局をも克服し得る精強な部隊を作り
上げられるよう強く期待しております。
諸 国 か ら の 留 学 生 の 皆 さ ん 、言 葉 や 習 慣 の 違 い を 克 服 し て 、本 日 、
無事に卒業の日を迎えられたことに心より敬意を表します。留学生
の皆さんが、わが国での経験を糧として母国において大成され、ま
た本校で 培 った友情と信頼をもとに、貴国と我が国との友好協力を
より一層推進するための架け橋となってくださることを願います。
また、研究科を卒業する諸君、最近の科学技術の進歩は著しく、
また、自衛隊の任務はますます多様化・国際化してきております。
こうした中にあって、自衛隊がその任務を有効に遂行するために、
諸君が本校で身につけた高度で専門的な知識・能力をそれぞれの持
ち場で十分に発揮し、さらに御活躍されることを期待します。
これまで学生に対し多大なる情熱と愛情をもって教育に取り組ん
でこられた國分学校長をはじめとする教職員各位に敬意を表します。
最後になりますが、優しき道や近道を選ばず、険しき道や回り道
を厭わず、勇気をもって己が信ずる正しき道を征け。この言葉を卒
業生諸君に送り、私からの訓示とさせて頂きます。
平成２５年３月１７日
防衛大臣
小野寺
五典