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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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日本経済の失われた10年と企業再生 : 藤月会論集第10号
京都大学経済学部藤井ゼミナール論文編集委員会
藤月会論集 (2001), 10
2001-03
http://hdl.handle.net/2433/24375
Right
Type
Textversion
Research Paper
publisher
Kyoto University
Lost10YearsinJapaneseEconomyandBusinessReconstruction
日本 経 済 の 失 わ れ た10年
と企 業 再 生
藤 月会 論 集 第10号
2001年3月
京都大学経済学部
藤井 ゼ ミナール論文集編集委 員会
H.FujiiSeminar,FacultyofEconomics
KyotoUniversity,Japan
刊 行 の こ とば
この 数 年 の 「
刊 行 の こ と ば 」 を 見 ま す と 、 判 で 押 した よ う に 日本 経 済 の 停 滞 が 語 ら
れ て い ま す 。今 年 こそ 日本 経 済 再 生 の 年 に な れ ば と い う淡 い期 待 を 込 め て 私 自身 は 「
刊
行 の こ と ば 」 を 書 い て き た の で す が 、 結 局 の と こ ろ 、 この 期 待 は 毎 年 、 裏 切 られ 続 け
て き ま した。そ して、 つ いに最近 で は、 「
失 わ れ た10年
」 と い う言 葉 が 使 わ れ る よ う
に な り ま した 。
世 界 は21世
紀 を 迎 え ま した が 、 日本 経 済 は バ ブ ル 崩 壊 後 の 約10年
間、再 生 の糸 口
を 見 出 せ ず 混 迷 を 続 け て き ま した 。 経 済 構 造 の 改 革 問題 に し て も 、 不 良 債 権 の 処 理 問
題 に し て も 、 見 る べ き 成 果 は な く、 い た ず ら に 時 間 だ け を 空 費 し て き た こ と に な り ま
す 。 こ う し た 現 状 に 対 す る 焦 燥 感 と危 機 感 が 、 「
失 わ れ た10年
れ て い る よ うで す 。IMFやG8で
」 と い う言 葉 に 込 め ら
は 日本 経 済 は 「
世 界 経 済 の懸 念 材 料 」 と され 、 ア メ
リカ の格 付 け機 関 は そ ろ って 日本 国 債 の 格 下 げ に 踏 み 切 り ま した 。
こ う し た 厳 し い 経 済 環 境 の も とで 、 日本 企 業 の 現 場 で は 一 体 何 が 起 こ つ て い る の か 。
こ う し た 素 朴 な 問 題 意 識 か ら今 年 度 の 共 同 研 究 は 始 ま り ま した 。 現 実 は 実 に様 々 で す
が 、 あ え て 現 状 を類 型 化 し ま す と、(1)先 見 性 あ る 経 営 者 の リー ダ ー シ ッ プ の も とで の
自 力 再 生 、(2)外 資 に よ る 日本 企 業 の 再 生 、(3)非効 率 企 業 の 淘 汰 と い う3つ
のケ ー ス に
分 け る こ と が で き る よ う に 思 わ れ ま す 。(1)の ケ ー ス は ま だ 少 数 で あ り、 ま た 昨 年 の 共
同研 究 で そ の 一 部 を 取 り上 げ ま した の で 、今 年 度 は 、(2)と(3)の ケ ー ス を取 り上 げ る こ
と に し ま した 。 具 体 的 に は 、 「
ゴ ニ ン革 命 」 の も とで 急 速 に(少 な く と も表 面 上 の)業 績
を 回 復 し つ つ あ る 日産 を(2)の 事 例 に 、 本 年 度 最 大 の 倒 産 で 世 間 の 注 目 を浴 び た そ ご う
を(3)の 事 例 に 、 そ れ ぞ れ 取 り上 げ ま し た 。
私 が 文 部 省(現 文 部 科 学 省)在 外 研 究 員 と して 平 成12年7月
まで イ ギ リス に 出 張 し て
い た 関 係 で 、 本 年 度 の ゼ ミ は後 期 の み の 開 講 と な り ま した 。 しか も 一 昨 年 度 は 新 ゼ ミ
生 の募 集 を行 っ て い ま せ ん か ら、2回 生 と4回
ま り、 こ う した2重
生 だ けで構 成 された 変則 ゼ ミです 。 つ
の 制 約 の も とで 、 本 年 度 の 共 同 研 究 は 進 め られ た わ け で す 。 そ の
よ う な 次 第 で す か ら、 恒 例 の 立 命 館 大 学 ゼ ミ との 交 流 シ ンポ ジ ウ ム も 本 年 度 は 開 催 さ
れ ませ んで した。
論 文 の 出 来 に つ い て は 、 読 者 の 皆 さ ん の 評 価 を待 つ し か あ り ま せ ん 。 こ こで は 、 と
りあ え ず 、 論 文 作 成 で 中 心 的 役 割 を担 っ た2回
生 諸 君 の 労 を 称 え て お き た い と思 い ま
す 。 そ して 、 私 の在 外 研 究 の た め 一 時 休 刊 と した 藤 月 会 論 集 が 、 じ つ は 一 度 も 休 刊 す
る こ とな く発 刊 さ れ 続 け た こ とを 、 ゼ ミ 生 諸 君 と と も に慶 び た い と思 い ます 。
平成13年3月5日
大学研究室 にて
京都大学大学院経済学研究科教授
藤井
秀樹
目 次
刊行の ことば
2000年 度 共 同論文集
そ ごうの経営破綻 に見 る流通 業界
国際的再編 下の 自動車産 業∼ 日産 の再 生 と再編∼
一年 を振 り返 って∼ゼ ミ生の回想 ∼
編集後記
1
36
85
2000年
度 共 同論 文
そ ご うの経 営 破 綻 に見 る流 通 業 界
板橋
雄大
大西
洋平
エンクバヤル ・バデ ィア
末松
喜吉
杉山
浩達
斎藤
栄慶
坂本
知子
友野
裕充
張
一1一
慶
流 通 革 命 ∼ そ ご うの 事 例 か ら∼
構成
は じめ に
1そ ご う の 歴 史 と外 部 環 境 の 動 向
(1)そ
ご うの 歴 史
(2)外
部環 境 の分析
① 景 気 変 動 と構 造 改 革
② 流 通 革 命 と他 業 態 の 動 向
③ 規 制 緩 和 と海 外 資 本 の 動 向
IIそ ご う の 経 営 戦 略
(1)マ
ーチ ャ ンダイ ジ ング戦 略
(2)プ
(3)出
ロモ ー シ ョ ン戦 略
店 ・立 地 戦 略
(4)内
部組 織
皿そ ご うの財 務 分 析
IV再 編 の 構 図
(1)そ
(2)外
お わ りに
ご う 、 西 武 を 中 心 と した 再 編 の 構 図
資参 入後 の再 編 の構 図
は じめ に
バ ブ ル 経 済 が 崩 壊 して か ら とい う も の 、 過 剰 な 設 備 投 資 を行 っ て い た 企 業 は 不 良 債
権 の 償 却 に追 わ れ る な ど、 今 まで 溜 め て き た膿 の 部 分 が 一 度 に 露 呈 さ れ て し ま っ た 。
そ れ に よ っ て バ ブ ル 期 以 前 の 日本 で は 到 底 考 え られ な か っ た 大 企 業 の倒 産 が 相 次 い だ 。
これ らの 企 業 は 単 な る不 況 が 原 因 で 偶 然 に 倒 産 し た わ け で は な く、 様 々 な 要 因 が 絡 ま
りあ っ て 必 然 的 に 倒 産 した の で あ る 。 した が って 倒 産 し た 企 業 を分 析 し、 そ の 倒 産 し
た 様 々 な 票 因 を 分 析 す る こ とに よ って 、 バ ブ ル 経 済 崩 壊 後 の この 「失 わ れ た10年 」 の
根 底 に あ る 原 因 が 見 え て くる の で は な い だ ろ うか 。
本 論 文 で は 民 事 再 生 法 の 適 用 を 申請 し事 実 上 倒 産 した 大 手 百 貨 店 そ ご う を 分 析 対 象
と し、 業 界 事 情 を踏 ま え た 上 で 、 倒 産 要 因 を外 的 要 因 と内 的 要 因 に 分 け て 分 析 す る 。
そ して 、 そ ご う の 倒 産 分 析 に よ っ て 、 こ の 「失 わ れ た10年 」 を 繰 り返 さ な い た め に は
ど う す れ ば よ い の か を 模 索 し、 さ ら に こ れ か ら の 百 貨 店 業 界 の展 望 つ い て 考 察 して い
く。
一2一
1そ ごうの歴 史 と外部 環境 の動 向
(1)そ
ご うの 歴 史
1830年(天
保 元 年)、 大 阪 に1軒 の 古 着 屋 が 最 初 に 開 業 した 。 これ が そ ご う(十 合)
の歴 史 の 始 ま りで あ っ た 。 店 主 の 伊 兵 衛 は 次 第 に 古 着 屋 を 実 用 衣 料 か ら高 級 衣 料 ま で
の ひ ろ くあ らゆ る 衣 料 を扱 う店 に 発 展 させ た 。1870年
に 一 族 は は じめ て 公 に 十 合 の 姓
を な の っ た 。 二 代 伊 兵 衛 は 呉 服 店 へ の 転 業 を した 。1884年 に京 都 に 仕 入 れ 店 を 開 設 、
1897年 に神 戸 支 店 を 開 設 、1900年 に は 大 阪 本 店 に シ ョ}ウ イ ン ドー を設 置 した 。1908
年 、 大 阪 本 店 は 新 築 開 店 し、 百 貨 店 営 業 を 目指 す こ と に な り、 同年 商 号 を 合 名 会 社 十
合 呉 服 店 と変 更 した 。1919年
、 大 阪 本 店 は 増 築 開 店 し、 百 貨 店 の 営 業 を 開 始 した 。 同
年 、 会 社 目的 を 物 品 販 売 業 とす る株 式 会 社 十 合 呉 服 店 を 設 立 、1921年
ざ らへ 売 り出 しを 創 始 、1924年
、 大阪 本店 は蔵
に 日本 百 貨 店 協 会 加 盟 を果 た した 。1946年 、 会 社 組 織
機 構 抜 本 的 に 改 革 し、 同 年 大 阪 本 店 は 進 駐 軍 の 接 収 命 令 を 受 け る 。1958年
、 東京店 開
店 。1962年 、 水 島社 長 が 就 任 した 。1967年 、千 葉 そ ご うが オ ー プ ン。.1969年 、 商 号 を
株 式 会 社 そ ご う と変 更 、 同 年 に株 式 会 社 横 浜 そ ご う を 設 立 、1979年 、 十 店 舗 目の 黒 崎
そ ご う を設 立 、1987年 、 水 島 広 雄 会 長 は 台 湾 に20店 舗 目の 太 平 洋 そ ご う を 設 立 した 。
1987年 、そ ご う は 百 貨 店 業 界9位 、 そ して 全 小 売 業 界 の24位 を 達 成 した 。そ ご うグ ル
ー プ は 日本 国 内 で は 北 か ら数 え て 、札 幌 そ ご う、大 宮 そ ご う、千 葉 そ ご う 、柏 そ ご う、
船 橋 そ ご う、横 浜 そ ご う、 八 王 子 そ ご う、サ カ モ トそ ご う、長 野 そ ご う、徳 島 そ ご う、
い よ て つ そ ご う 、 広 島 そ ご う、 黒 崎 そ ご う と大 阪 店 、 東 京 店 、 神 戸 店 を 加 え た 布 陣 は
日本 列 島 す べ て に ま た が る一 方 、 海 外 で は タ イ そ ご う、 シ ン ガ ポ ー ル そ ご う、 香 港 そ
ご う台 湾 大 平 洋 そ ご う が 展 開 さ れ て い た 。 水 島 帝 国 は ど ん ど ん 業 績 を伸 ば して い っ た
が 、1990年
代 に 入 っ て か ら 日本 経 済 の バ ブ ル が は じけ 、 日本 経 済 が 低 迷 期 に 入 りそ ご
うは 大 き な 打 撃 を 受 け た 。1990年 代 後 半 に な る と、 これ ま で 各 地 で 展 開 して い た店 舗
の 多 くが 赤 字 経 営 に転 落 し、民 事 再 生 法 の 適 用 を 申請 す る に い た り、事 実 上 破 産 した 。
2000年10月25日
、 そ ご う グ ル ー プ は 民 事 再 生 法 に よ る再 生 計 画 案 を策 定 、 提 出 し ま
した 。
こ の 計 画 に よ る そ ご う グ ル ー プ店 舗 の 営 業 に つ い て は
営 業 継続 店 …
神 戸 店 、 大 宮 そ ご う、 千 葉 そ ご う、 柏 そ ご う、 広 島 そ ご う、 徳 島 そ
ご う 、 八 王 子 そ ご う、 横 浜 そ ご う、 呉 そ ご う、 西 神 そ ご う、 川 口 そ ご う
2000年25日
をも って の閉鎖店 …
黒 崎 そ ご う、 船 橋 そ ご う、 豊 田 そ ご う、 加 古 川 そ
ご う、 奈 良 そ ご う 、 福 山 そ ご う 、 小 倉 そ ご う、 錦 糸 町 そ ご う
(そ ご う大 阪 店 は2000年12月25日
を も っ て 一 時 閉 店 、 札 幌 そ ご う の食 品 フ ロ ア は
2000年12月31日
まで 営 業 、 船 橋 そ ご う は2001年1月31日
まで営業 、加 古 川 そ ごう
は 食 品 を 中心 にBlF及
び1Fの
生 鮮 売 場 は2000年12月31日
一 部 に っ き2000年12月31日
ま で 営 業)
(2)外 部環 境 の分 析
①景気変動 と構造改革
1.バ
ブル経済の発生
一3一
まで営 業 奈 良そ ごうの
バ ブ ル とは 、 簡 単 に 言 え ば 各 種 の 資 産 価 格 が 、 投 機 目的 で 異 常 に跳 ね 上 が る こ と
で あ る 。 そ して そ の 結 果 、 そ れ らの 資 産 額 が 膨 らみ 、 大 き な 評 価 益 が 発 生 して い る
か の よ う に見 え る 状 況 で あ る 。平 成 バ ブ ル の 経 済 全 体 と して の 規 模 を推 測 す る の に、
経 済 企 画 庁 の 「国 民 経 済 計 算 」 内 の 、 土 地 と株 の 年 末 残 高 を 用 い て み る 。
年度
資産残高の推移
土地残高
1985
1004.7(兆
表1
円)
対前年比増価率
8.1(%)
株式残高
241.9(兆
円)
対前年比増価率
18.9(%)
1986
1257.2
25.2
374.7
1987
1672.7
33.0
472.9
26.1
1988
1839.4
10.0
669.0
41.4
1989
2153.0
17.0
899.9
1990
2338.2
1991
2173.2
一7
1994
1823.5
一2
表2
54.9
33.0
594.5
一33
.1
586.5
一1
.2
458.4
12.4
計GDP
計GNP
8.6
.2
.4
資産残高の増価額 とGDPの 比較
年度
土地増価額
株増価額
1985
75.7(兆
38.6(兆
円)
円)
114.1(兆
円)
321.5(兆
1986
253.2
132.8
386.0
335.9
1987
415.5
98.2
513.7
350.5
1988
166.7
196.1
362.8
373.7
1989
313.6
536.5
399.9
1990
185.2
1991
一165
1994
一41
表1は
222.9
一295
一295
.0
一110
.4
一173
.4
50.6
.0
430.0
.0
458.9
9.6
土 地 と株 式 の 残 高 を 示 して お り、 表2は
比 較 した もの で あ る。 表2で
.2
見 る よ う に1985年
円)
479.0
そ れ を 各 年 のGDP(GNP)の
大 きさと
の 土 地 ・株 式 の 資 産 額 増 加 分 は 、 こ の
年 のGNPよ り小 さ い 。1985年9月22日
のG7プ ラ ザ 合 意 に よ っ て 、 円 高 推 進 が 合 意 さ
れ 、 そ れ に よ る 円 高 不 況 が 懸 念 さ れ る よ う に な っ た 。 日銀 は1986年1月30日
に公定
歩 合 を 引 き下 げ る(5%か
ら4.5%)。
引 き下 げ は 、1987年2月
の2 .5%ま で7日 に わ
た り、 超 金 融 緩 和 状 態 に 入 っ た 。 この 超 金 融 緩 和 と 、 円 高 防 止 の ドル 買 い 行 動 は 、 マ
ネ ー サ プ ラ イ の増 加 を 引 き起 こ し、 円高 不 況 は1987年
に は 円高 好 況 に変 わ っ た 。企 業
業 績 は 回 復 し、 株 価 も上 昇 し続 け た 。 ピ ー ク は 、1989年 代 の 大 納 会 の38、915円
。こ
う し た株 価 の 連 続 的 上 昇 で 、 エ ク イ テ ィ ・フ ァイ ナ ンス な どの 企 業 財 テ ク が 広 が り、
株 式 指 数 先 物 取 引 の 開 始 も あ り、 株 式 ブ ー ム とな っ た 。 そ れ に よ っ て 東 京 株 式 市 場 の
売 買額 が 世 界1に な る と、 東 京 都 心 を 中 心 と した オ フ ィ ス ビ ル 需 要 の 増 大 、 土 地 関 連
銀 行 融 資 の 激 増(ノ ン バ ン ク経 由 も含 め)、 リゾ ー ト法 の 制 定 な どで 地 価 が 高 騰 した 。
日銀 は 対 応:策と して 、1989年5月
を 皮 切 りに3回 の 公 定 歩 合 の 引 き 上 げ を行 っ た 。 こ
一4一
れ に よ り トリ プ ル 安 が 生 じた が 景 気 拡 大 は 継 続 した 。 しか し1990年3月8月
と、 都 合
5回 引 き上 げ た 結 果 公 定 歩 合 が6%に
な る とさ す が に持 ち こ た え られ ず10月 に株 価 の
暴 落 が 発 生 、 バ ブ ル は 崩 壊 した の で あ る 。
2.バ
ブ ル 崩 壊 と橋 本 首 相 の 「六 大 改 革 」
1990年
に 入 りバ ブ ル は 実 質 上 崩 壊 した 、 こ の 後 に現 在 ま で 続 く複 合 不 況 が 始 ま る わ
け で あ る(2000年10月
現 在)。 この 不 況 は 宮 崎 義 一 著 「複 合 不 況 」(1992年6月)が
流 行 した こ とで 複 合 不 況 と呼 ば れ て い る 。 この 不 況 の 原 因 の ひ とつ に 実 物 経 済 の 面 で
の 過 剰 生 産 と そ の 過 剰 生 産 を も た ら した過 剰 設 備 の 問 題 が あ る 。そ の 証 拠 に1988年 ∼
1990年
6%強
の3年 間 に わ た っ て 民 間 設 備 投 資 は14%前
、1992年
は 一4.3%と
後 の 伸 び を 示 し た が 、1991年
には
落 ち 込 ん だ 。 こ れ が 今 回 の 不 況 の循 環 的 要 因 で あ る 。 一
方 、 も う ひ とつ の 要 因 と言 え る の が 金 融 的 要 因 で あ る。 これ が バ ブ ル の 崩 壊 な の で あ
る 。 宮 崎 氏 は こ れ を 「ス トッ ク の調 整 過 程 」 と言 う'。こ こ で 言 う ス トッ ク とは 。 土 地
や 株 、 建 物 な どの 資 産 の こ とで 、 こ れ らの 価 格 が 異 常 に 高 くな っ て い る の を修 正 し調
整 す る の が バ ブ ル 崩 壊 で あ る とい う の で あ る。 バ ブ ル が 膨 張 して い る 間 は 企 業 は 設 備
投 資 資 金 調 達 が 非 常 に 安 い 資 金 コ ス トで 可 能 だ っ た 。 しか し、 バ ブ ル が 崩 壊 す る と資
金 の 返 済 が 困 難 に な り、高 利 で 返 済 の た め の 資 金 調 達 を しな くて は な らな くな っ た り、
損 を覚悟 で土 地 な どの 資産 を売却 す る必要 が 発生 す る。そ の ため資 金面 で 設備 が コス
トに合 わ な くな る。 設 備 が 需 要 に 対 して 過 剰 な だ け で な く、 収 益 計 算 の 上 で 引 き合 わ
な くな っ て しま う の で あ る 。 宮 崎 説 で は こ う した バ ブ ル の 形 成 と崩 壊 は 国 際 的 な金 融
自 由化 の 結 果 と して 生 じた も の で 、 そ れ を コ ン トロ ー ル す る の は 一 国 の 政 策 だ け で は
き わ め て 困 難 で あ り、 在 来 型 の 経 済 政 策 だ け で は 有 効 で な い と して い る が 、 日本 型 経 響
済 シ ス テ ム 崩 壊 の 原 因 は 高 度 成 長 期 以 降 、 国 内 市 場 を 海 外 市 場 か ら隔 離 しつ つ 、 加 工
型 貿 易 に よ っ て 付 加 価 値 を 生 産 して き た体 制 が 長 期 の 円 高 で 限 界 に 達 し多 くの 製 造 業
企 業 が 海 外 に 拠 点 を 移 し産 業 の 空 洞 化 を 招 い た 。 そ して そ の 流 れ の 中 で 日本 経 済 の 規
模 が 大 き くな り国 際 舞 台 で の プ レゼ ン ス が 高 ま る に 連 れ て 海 外 に 開 か れ た シ ス テ ム へ
の 転 換 を 迫 られ 、 バ ブ ル 期 ま で は 余 裕 の あ る 部 分 的 な 開 放 に と ど ま っ て い た が 、 バ ブ
ル の 崩 壊 に伴 っ て 発 生 した 不 良 債 権 の 重 圧 に よ り、 一 挙 に 身 動 き が 不 自 由 な 逼 塞 状 況
に陥 った等 で あ る。
これ は 、 日本 型 経 済 シ ス テ ム が 有 効 に機 能 し う る の は 、 労 使 関 係(年
用 な どの 雇 用 シ ス テ ム)、 下 請 け 関 係(企
株 式 持 合 い 、 顧 客 関係 、 行 政 指 導(公
功 賃 金 ・終 身雇
業 系 列 ・取 引 慣 行 等)、 メ ー ンバ ン ク 関 係 、
的規 制)と
い った 日本型経 済 システ ムを是正 す
る た め に 考 え 出 さ れ た の が 橋 本 首 相 の 「六 大 改 革 」 で あ る 。 六 分 野 とは 行 政 、 経 済 構
造 、 財 政 構 造 、 社 会 保 障 、 金 融 制 度 、 教 育 で あ る。 金 融 制 度 に 関 して は 「金 融 ビ ッ グ
バ ン」 を 、 行 政 改 革 に つ い て は 省 庁 再 編 等 が 行 わ れ た 。
4.経
済構 造 改革 の進 展
経 済 構 造 改 革 は2001年 現 在 ま だ 完 成 に は 程 遠 く、お そ ら く当 初 予 定 よ り大 幅 に遅 れ て
い る 。 特 に 、 民 間 部 門 は 遅 れ て お り、 これ は ひ と え に 「失 わ れ た10年 間 」 に よ る と思
わ れ る 。 「失 わ れ た10年
間 」 に よ っ て 、 失 わ れ た の は 、 時 だ け で は な か っ た 。 そ こで
は 、 経 済 の 成 長 率 を こ と ご と く外 し、 常 に 日本 経 済 は 緩 や か な 回 復 期 に あ る と言 っ て
き た 政 府 に 対 す る信 頼 も 失 わ れ て し ま っ た の で あ る 。 こ う した 信 頼 感 の 喪 失 が 、 体 力
の 低 下 と と も に 民 間 部 門 の 経 済 構 造 改 革 の 遅 れ の 要 因 と な って し ま っ て い る の で は な
い だ ろ うか。
一5一
しか し、経 済 構 造 改 革 は 公 共 部 門 で は 進 展 を 見 て お り、省 庁 再 編 や 、電 力 の 自 由化 、
NTTの 再 編 な ど大 きな 影 響 の あ る改 革 も実 行 さ れ て い る 。こ う した 改 革 は 日本 経 済 に 必
ず 大 き な 影 響 を 与 え る だ ろ う し、 も うす で に 与 え は じめ て い る も の も多 い 。
②流通革命 と他業態の動向
流通 革命 につい て
・1960年 代 の 流 通 革 命
1960年 代 、 ダ イ エ ー 、 イ トー ヨ ー カ 堂 な どス ー パ ー が 台 頭 しは じめ 、 そ れ ま で 安 泰
だ った百貨 店 の地 位 を脅 か す よ うにな った。 旧来 の 流通 システ ム は業種 別 システ ムで
あ りメ ー カ ー 主 導 の タ テ 型 シ ス テ ムで あ っ た た め 小 売 店 は メ ー カ ー の 定 め た価 格 に し
た が っ て 販 売 活 動 を して い た が 、 ス ー パ ー は 独 自の 流 通 シ ス テ ム を 持 ち 、 チ ェー ン店
化 に よ る強 大 な 購 買 力 で 価 格 決 定 力 を 握 る こ とで 価 格 破 壊 を 押 し進 め た 。 つ ま り小 売
業 主 導 の ヨ コ 型 流 通 シ ス テ ム を も た ら した の で あ る 。 こ う い っ た 「川 上 か ら川 下 へ 」
の 流 通 構 造 の 変 化 を 一 般 に流 通 革 命 と 呼 ぶ 。
・現 在 の 流 通 革 命
しか しそ う い っ た ス ー パ ー も 現 在 、 チ ェ ー ン展 開 の 過 剰 さ 、 管 理 費 ・人 件 費 の 増 加
に伴 う 高 コ ス ト体 質 な ど多 くの悩 み を 抱 え て お りか つ て の よ う な 勢 い は な い 。 現 在 ス
ー パ ー に代 わ っ て 小 売 業 界 を リー ドす る の は コ ン ビ ニ エ ン ス ス トア や デ ィ ス カ ウ ン ト
ス トア な どで あ る 。 近 年 の 小 売 業 界 の 傾 向 を見 る と、 か な らず しも 安 売 りで な くて は
受 け 入 れ られ な い と い うわ け で は な い 。 例 え ば コ ン ビニ エ ンス ス トア は ほ と ん ど が 定
価 で の 販 売 で あ る 。な ぜ コ ン ビニ エ ンス ス トア が 現 在 の よ う に成 長 した か を 考 え る と、
ひ とつ に は コ ン ビ ニ エ ン ス ス トア が 消 費 者 に と っ て 利 用 しや す い 場 所 に 出店 して い る
こ とが あ げ られ る だ ろ う 。 つ ま り現 在 に お い て は か つ て の ス ー パ ー 以 上 に 消 費 者 の 立
場 に 立 っ た 業 態 が 求 め られ て い る の で あ る 。 か つ て 流 通 構 造 の 主 体 が メ ー カ ー か ら小
売 業 者 に移 っ た の と 同 じ よ う に、 現 在 で は 小 売 業 者 か ら消 費 者 へ とそ の 主 体 が 移 っ て
き て お り、 そ うい っ た 点 で 現 在 も 流 通 革 命 が起 きて い る と考 え る こ と もで き る 。
具体例
・チ ェ ー ン ス トア 化
各 支 店 ご と に 店 舗 の 運 営 ・経 営 を す る の で な く多 店 舗 経 営 の た め の 経 営 ・運 営 は 本
部 が 行 い 、 各 支 店 は 販 売 ・個 店 運 営 に専 念 す る業 態 の こ と。 標 準 化 に よ る 一 括 仕 入 れ
が 可 能 で 低 価 格 で 仕 入 れ で き る 。 ま たPB商
品 の 開 発 や 売 れ 筋 情 報 の 入 手 な どが 容 易
に な る 。 大 手 ス ー パ ー な ど資 本 が 単 一 の レギ ュ ラー チ ェー ン 、 コ ン ビニ エ ンス ス トア
な ど本 部 は 企 業 だ が 加 盟 店 を 募 る フ ラ ンチ ャ イ ズ チ ェ ー ン、 資 本 の 独 立 した 中 小 の 小
売 店 が 共 同 で 仕 入 れ や 販 売 活 動 を す る ボ ラ ン タ リー チ ェ ー ン な どが あ る 。
・ マ`.ケ
テ ィ ン グ
一6一
消 費 者 の ニ ー ズ を 正 確 に読 み 取 り、 対 応 す る た め に は 販 売 計 画 や 市 場 調 査 が 必 要 と
な る 。 具 体 的 に は 商 圏 や 立 地 条 件 、 顧 客 層 な ど を 把 握 して 、 業 態 や 売 場 、 商 品 の 仕 入.
れ 、 販 売 方 法 な ど を 検 討 す る 。 小 売 業 者 は 適 正 な 商 品 を適 正 な 場 所 、 時 期 、 数 量 、 価
格 で 販 売す る こ とが絶 対必 要 に な って きて い る。
・情 報 管 理
,
消 費 者 ニ ー ズ や 売 れ 筋 、 物 流 な ど の 情 報 を 活 用 す る た め に情 報 を 管 理 す る 必 要 が あ
る 。 商 品 につ い て い るJANコ
ー ドを レ ジ で 読 み 取 っ た 際 に リア ル タ イ ム に そ の 情 報
が チ ェー一ン本 部 に 送 られ 集 計 さ れ て い くPOS(PointofSales)シ
ステ ム や、 小売
店 と卸 売 業 、 メ ー カ ー 間 を 結 ぶ 受 発 注 デ ー タ 交 換 シ ス テ ム で あ るEOS(Electric
OrderSyste皿)、 あ る い は 製 販 同盟 の考 え 方 か ら、 そ れ らを 統 合 し ノ ウ ハ ウ を共 有 す る
こ とで 流 通 経 路 全 体 の 効 率 化 を 図 るECR(EfficientCusto皿erResponse)な
どが実
用 化 され て い る。
成 長 して い る業 態
・コ ン ビ ニ エ ン ス ス トア
売 場 面 積 は100㎡
前 後 、 若 者 や 単 身 者 を タ ー ゲ ヅ ト、 住 宅 地 に 進 出 、24時 閤 営 業 な
どが コ ン ビ ニ エ ン ス ス トア の 一 般 的 な 特 徴 で あ る 。 大 店 法 の 規 制 を 受 け な い 小 さ な 店
舗 の た め 多 くの 店 を 出 店 す る こ とが で き 品揃 え や 経 営 方 法 の標 準 化 が 容 易 で あ っ た 。
そ の た め 効 率 化 の 恩 恵 を 大 き く受 け る こ とが で き た 。 ま た 公 共 料 金 の 支 払 代 行 や 情 報
端 末 を 用 い た各 種 サ ー ビス の 販 売 な ど 地 域 密 着 型 の 利 便 性 を 向 上 さ せ て い く こ とで 顧
客 を つ か ん で い る 。 も っ と も近 年 は 店 舗 数 が 過 剰 気 味 で あ り他 チ ェー ン と の 淘 汰 は 激
し くな っ て い る 。
・デ ィ ス カ ウ ン トス トア
「ポ ス ト ・ス ー パ ー 」 と して 一 層 の低 価 格 を 追 求 した 業 態 。1990年
代 に 入 り、 一 時
的 な 安 売 りで な くロ ー コ ス ト体 質 に裏 づ け さ れ た 「エ ブ リデ イ ロ ー プ ラ イ ス 」 が 確 立
さ れ た 。 しか し他 業 態 に つ い て も低 価 格 販 売 は 一 般 化 して き た た め 、 安 い だ け で は な
い 業 態 を 目指 して カ テ ゴ リー キ ラ ー や ドラ ッ グ ス トア 、 ホ ー ム セ ン タ ー な ど に 分 化 し
て きて い る 。
・シ ョ ッ ピ ン グ セ ン タ ー
開 発 業 者 が 一 切 の運 営 を管 理 す る商 業 ・サ ー ビ ス 施 設 の 集 合 体 。 総 合 ス ー パ ー や 百
貨 店 、 デ ィ ス カ ウ ン トス トア な どが 軸 とな っ て 各 種 店 舗 が テ ナ ン トと して 集 合 して い
る こ と が 多 い 。 消 費 者 の 多 彩 な ニ ー ズ に 応 え られ る ワ ン ス トッ プ ・シ ョ ッ ピ ン グ を 可
能 に して い る。
流 通 革 命 と百 貨 店 の 現 状
1960年 代 に ス ー パ ー が 登 場 し1972年
1位 に な っ た 。 ま た1992年
に は ダ イ エ ー が 三 越 を抜 い て 小 売 業 の 売 上 高
か ら売 上 高 前 年 割 れ が 頻 繁 に 起 きて お り、 百 貨 店 に と っ て
苦 しい 状 況 は 続 い て い る 。
百 貨 店 は 今 ま で 「流 通 革 命 」 に 対 応 す る た め の 対 策 を 十 分 に と る こ とが で きて い な
か っ た 。 委 託 販 売 方 式 の た め 売 れ 残 り リス ク に対 す る認 識 が 低 くマ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略
が甘 い 。高 級路 線 の た め低価 格 化競 争 へ の参 入 がで きず、 また各店 舗独 立 経営 のた め
一7一
チ ェ ー ンス トア化 に よ る経 営 効 率 化 も行 え な か っ た 。 い ろ い ろ な 意 味 で 、 消 費 者 に と
って魅 力 的 な店舗 経 営 とい う ものが不 十 分 だ った のだ 。百 貨店 の今後 は、 そ うい った
課 題 に ど う対 処 して い くか に か か っ て い る と 言 え る だ ろ う。
③規制緩和 と海外資本の動向
大規模 小売店舗 立地 法 について
概要
百貨店業界 をとりま く環境変化 として、2000年5月31日
、流通業界全体 に大 きな影
響 を与えて きた大規模 小売店舗法(以 下大店法)が 廃止され、同年6月1日 、大規模
小売店舗立地法(以 下大店立地法)が 施行 されたことがあげ られる。
従来の大店法は、 中小小売業保護 を重視 した 「利害調整型」の法律であ り、大規模
小売店舗や海外流通業 に対する参入障壁 ともなっていた。一方大店立地法 は、地域住
民の生活環境保護 を重視 した「企業の社会 的責任履行型」の法律 とい うことができる。
この規制緩和 によ り、国内流通業 の再編が促進 されるだけではな く、海外資本参入
による国際的競争の激化 も予想 され る。
特徴
大 店 立地 法 は、① 目的、② 調整 対 象 、③ 運用 者 、④ 法 手続 きの点 にお いて、 従来 の
大 店 法 とは 異 な る特 徴 を有 して い る 。(資 料1参
1.目 的
照)
大 店 法 で は 、 中 小 小 売 業 の 事 業 機 会 の 確 保 ・消 費 者 利 益 の 保 護 が 目 的 と な っ て い た
の に 対 し、 大 店 立 地 法 で は 、 周 辺 地 域 の 生 活 環 境 の 保 持 を 目的 と して い る 。 こ の 点 か
ら、 大 店 法 が 経 済 的 規 制 で あ っ た の に 対 し、 大 店 立 地 法 は 社 会 的 規 制 とい う こ と が で
きる。
2.調 整 対 象
大 店 法 で は 、 店 舗 面 積 、 閉 店 時 刻 、 休 業 日数 と い っ た 経 済 的 項 目 が 重 視 さ れ て い た
が 、 大 店 立 地 法 で は 、 駐 車 ・駐 輪 場 、 騒 音 、 廃 棄 物 とい っ た 生 活 環 境 に 関 す る項 目 が
重視 され る よ うにな った。
3.運
用者
国 か ら都 道 府 県(ま た は 政 令 指 定 都 市)へ 運 用 者 が 変 化 した 。 これ に よ り、 法 の 運
用 は 地 方 に 一 任(自 治 事 務)さ れ 、国 の 作 成 す る指 針 の枠 内 で 独 自判 断 が 可 能 とな り、
地 域 の 実 状 に即 して 地 方 分 権 が 推 進 され る 。
4.法 手 続 き
情 報 開 示 と して 手 続 き内 容 を 全 て 公 開 し、 大 型 店 設 置 者 及 び 運 用 者 の 説 明 責 任 を 求
め て い る 。 特 に 市 町 村 、 地 域 住 民 の合 意 を 得 る こ と に 重 点 が 置 か れ 、 住 民 参 加 型 の 手
続 き を経 る こ と とな る 。
小売業 に求 め られ る意 識改革
流通業 を規制する法律 は、 中小小売業 と大規模 小売業 の格差 を是正 し、競争を回避
するための 「大規模小売店舗法」か ら、大規模 小売店舗 と地域住民 との関係 を重視 し
生活環境保護 を求める 「大規模小売店舗立地法」へ と、大 きな方向転換が行われた。
これは、競争 を回避する 「企業の論理」か ら、消費者の利便 を最優先する 「消費者の
一g一
論 理 」 へ 転 換 した こ と を 意 味 す る 。
今 まで 、 地 域 住 民 の 生 活 環 境 に 関 心 の低 か っ た 日本 の 企 業 に とっ て は 、 大 店 立 地 法
は 、 新 規 出 店 に 多 大 な 追 加 コ ス トを 要 す る や っ か い な 法 律 か も しれ な い 。 しか し、21
世 紀 に世 界 を 相 手 に 勝 ち残 る の は 、 こ れ を 企 業 が 果 た す べ き 当 然 の 社 会 的 責 任 と と ら
え、 地 域 住 民 との 共 存 共 栄 を 真 に 望 む 企 業 な の で あ ろ う。
資料1大
規模小売店舗法 と大規模 小売店舗立地法
大規模小売店舗法
目的
大規模小売店舗 立地法
周辺地域の生活環境の保持
中小小売業 の事業機会の確保
消費者利益の保護
対象 となる
店舗面積500㎡ 超の小売業を行 店 舗 面 積1000㎡
超 の 小 売 業 を行
大規模小売店舗 う店舗
う店 舗
一 種(3000㎡
以 上)は 通 産 大 臣 都道府 県、政令指定都市
運用主体
二 種(3000㎡
未 満)は 知 事
調整(審査)項 目 店舗面積、閉店時刻、休業 日数 駐 車 ・駐 輪 場 、 渋 滞 、 騒 音 、 廃 棄
物等
等
調整手続 き
①建物設置者の届 出
①大型店の新増設の届 出
②地元説明
②地域住民への説明
③住民、市町村の意見申出
③小売業者の届出
④ 県の意見の提示
④大店審 による意見聴取
⑤ 商工会議 所等 に よる意見 集 ⑤設置者 による対応策の提出
約
⑥ 県による勧告
⑥大店審審議 ・答 申
10月 以 内
調整(審査)期 間 最長1年
調整(審 査)の 方 通産大 臣または知事は、大規模 ・通 産 大 臣 は 、 大 規 模 小 売 店 舗
法
小売店舗の出店等が、周辺の中 の 立 地 に 関 して 配 慮 す べ き 事 項 に
小小売業者 に相 当程 度の影響 関 す る指 針 を定 め 、公 表 す る 。(交
を及 ぼす恐れが あ ると認 める 通 ・生 活 環 境 等)
ときは、大店審の意見を聴 き、 ・県 は 、地 元 意 見 を勘 案 し、指 針
調整項 目について勧告を行 う。 に照 ら しつ つ 、 地 域 生 活 環 境 の 保
持 の 見 地 か ら意 見 を述 べ る 。
・十 分 な 対 応 が な さ れ ず 、 周 辺
の 生 活 環 境 に 著 しい 影 響 が あ る場
合 は 、 勧 告 を 行 う。
規制の性格
キー ワー ド
経済的規制
社会的規制
中 小 小 売 店 保 護 、 中央 集 権 、企 環 境 、 地 方 分 権 、 情 報 開 示 、 説 明
責 任 、住 民参 加
業 主 導、 住 民不 在
一9一
外資系小売業 の動向
動向
従 来 、 外 資 系 小 売 業 の 日 本 進 出 は 困 難 と考 え られ て き た 。 小 売 業 は 消 費 パ タ ー ンが
地 域 に よ っ て きわ め て 多 様 で あ り、 さ ら に 日本 で は 、 複 雑 な 流 通 段 階 や 商 慣 行 が あ っ
た か らだ 。 しか し今 や 、 小 売 業 にお い て も グ ロー バ ル 化 が 進 む 中 、 日本 を と りま く状
況 も大 き く変 わ りつ つ あ る 。
マ ク ドナ ル ド、 トイ ザ ら ス 、GAPと い っ た 専 門 店 だ け で は な く、世 界 規 模 の ス ー パ ー
ま で も が 、 日本 へ の 出 店 計 画 を 発 表 した 。1999年 の コ ス コ 出 店 に 続 き、2000年11月
に は カ ル フ ー ル が 日本 進 出 を 果 た し、 そ の 後2号 店 、3号 店 の 出 店 も決 ま って い る 。
さ ら に、 ウ ォ ル マ ー ト、 メ トロ、 ア ホ ー ル ド とい っ た 有 力 世 界 企 業 の 上 陸 も見 込 ま れ
て い る。
こ こ で は 、 百 貨 店 を と りま く外 部 環 境 と して 、 外 資 系 小 売 業 の 特 徴 を 考 察 した い 。
大 手 外 資 系 小 売 業 の経 営 戦 略
世 界 の 大 手 小 売 業 は 、世 界 各 地 に 店 舗 を持 ち 、多 額 の 売 上 を記 録 して い る 。例 え ば 、
1998年 の ウ ォ ル マ ー トの 年 商 は 約15兆 円 だ が 、 この 額 は 、 同年 の ダ イ エ ー の 年 商(単
体)の 約6倍 、 高 島 屋 の 約10倍 とい う膨 大 な 額 で あ る 。
ま た 、 世 界 大 手 流 通 企 業 の 進 出 国 数 を見 る と、10か 国 以 上 に進 出 して い る 企 業 も多
い 。 そ れ で は 、 ど の よ う に して 海 外 進 出 を果 た して き た の だ ろ う か 。 米 国 の ウ ォ ル マ
ー トを 例 に
、 そ の 海 外 戦 略 を考 察 す る 。
ウ ォ ル マ ー トは 、1991年 に メ キ シ コ に 出 店 した の を 皮 切 りに海 外 戦 略 を ス タ ー トさ
せ た 。1994年 に は カ ナ ダ の デ ィ ス カ ウ ン トス トア 「ウ ー ル コ 」 を 買 収 し、 ウ オ ル マ ー
トへ の 改 装 を行 う こ とで カ ナ ダ 進 出 を 果 た した 。1995年 に は ブ ラ ジル ・ア ル ゼ ンチ ン
に 出店 、1996年 に は 中 国 へ の 出 店 を果 た した 。 そ の 後 、1997年 に は メ キ シ コ の 「シ フ
ラ 」 を 買 収 。1998年
に は 韓 国 の 「マ ク ロ 」、 ドイ ヅの 「ベ ル トカ ウ フ 」 を 買 収 して 欧 州
に も進 出 した 。 さ らに 、1999年
に は 、 ドイ ツ の 「イ ン タ ー ス パ ー 」、 イ ギ リス の 「ア ス
ダ 」 を 買 収 した 。
こ こ で 注 目す べ き こ とは 、 ウ ォ ル マ ー トの 海 外 進 出 が 、 単 な る海 外 で の 出店 で は な
く・ 現 地 企 業 の 買 収 を 伴 って い る 場 合 が 多 い 点 で あ る 。 特 に1998年
以降 は、全 て現 地
企 業 の買収 に よる海外 進 出 を行 って い る。
企 業 の 合 併 ・買 収 と い っ た い わ ゆ る 「M&A」の 経 営 手 法 は 、 欧 米 で は 一 般 的 で あ り、
カ ル フ ー ル 、 メ トロ、 ア ホ ー ル ド等 も この 方 法 で 海 外 戦 略 を展 開 して き た 。M蝕 に 対 す
る 意 識 や 株 主 重 視 の 姿 勢 か ら、 企 業 の 時 価 総 額 を経 営 指 標 の 目標 と して 掲 げ る 企 業 も
多 い。
外資 系小売業 の経営 の特徴
カ ル フー ル 、 ウ ォル マ ー トを 中 心 に、 外 資 系 ス ー パ ー の 経 営 の 特 徴 を 、 日本 企 業 と
比較 す る。
・価 格
海 外 小 売 業 の 第 一 の 特 徴 は 徹 底 した 低 価 格 で あ る 。 「エ ブ リデ イ ロー プ ラ イ ス 」を ス
ロー ガ ン に、 バ ー ゲ ン に よ る 一 時 的 な 安 売 りで は な く常 に 低 価 格 で 利 益 が 出 る 「仕 組
一10一
み 」を持 っ て い る 。利 益 率 を 低 く抑 え る こ とに 加 え、卸 中 抜 き に よ る 直 接 大 量 仕 入 れ 、
リベ ー トや 返 品 制 とい っ た 日本 的 商 慣 行 を 無 視 した 合 理 的 商 取 引 の 断 行 、EDI・SCM(サ
プ ラ イ チ ェ ー ン マ ネ ジ メ ン ト)等 に よ る 情 報 技 術 を 用 い た 省 力 化 ・効 率 化 等 に よ り、
仕 入 れ 価 格 も 引 き下 げ て い る 。
・マ ー チ ャ ン ダ イ ジ ン グ
海 外 小 売 業 で は 、1万 ㎡以 上 とい う広 大 な 売 場 に 多 様 な 商 品 を揃 え て い る 。そ の 品揃
え は 、 食 品 が 半 分 近 くを 占 め 、 衣 料 品 、DIY、 カ ー 用 品 、 家 電 製 品 、 書 籍 等 、 カ テ ゴ リ
ー キ ラー を一 堂 に 見 る観 さ え あ り、 ワ ンス ト ップ ・シ ョ ッ ピ ン グ の ニ ー ズ に 応 え て い
る 。出店 国 の 実 状 に 合 わ せ 、消 費 者 の ニ ー ズ を反 映 した 店 舗 独 自の 品揃 え も見 られ る 。
ま た 、PB(プ
ラ イ ベ ー トブ ラ ン ド)商 品 も 日本 以 上 に 多 く見 られ 、 低 価 格 化 に拍 車
をか けてい る。
・プ ロ モ ー シ ョ ン
日 本 の プ ロ モ ー シ ョ ン は 、 部 門 や 品 種 単 位 の 販 促 が 主 で 、 そ の性 格 は 、 デ ッ ドス ト
ッ ク 品 の バ ー ゲ ン と して 、 「ク リア ラ ンス 」 の 性 格 が 強 い 。 一 方 欧 米 で は 、 ク リア ラ ン
ス で は な く品 目単 位 の 「セ ー ル 」 が 中 心 で あ る 。膨 大 な 品揃 え の 中 で 、消 費 者 に 「今 、
何 を 売 ろ う と して い る か 」 を 明 確 に 打 ち 出 して い る 。 さ ら に 、 バ ー ゲ ン を 行 わ な い 代
わ りに、 優 良 顧 客 だ け に 常 に 割 引 価 格 で 提 供 す る 、 フ リー ク エ ン ト ・シ ョ ヅパ ー ズ ・
プpグ ラ ム を 導 入 して い る企 業 も あ る 。
ま た 、 陳 列 方 法 に も工 夫 を凝 ら し、 パ リの 露 店 市 を イ メ ー ジ した フ ル ー ヅ 売 場 や ボ
ー トを 利 用 した 鮮 魚 売 場 、 対 面 販 売 を 重 視 した 精 肉 売 場 等 、 売 る だ け で は な く、 来 店
者 が 見 て 楽 しめ る 工 夫 が 店 内 の 各 所 に 見 られ る。
・出 店 ・店 舗 施 設
先 述 の よ う に 、M&Aを 中 心 と して 、 グ ロ ー バ ル な 出 店 を行 って い る。 これ に よ り、世
界 規 模 で の ネ ッ トワー ク が 形 成 さ れ 、 多 大 な 情 報 力 や 規 模 の 経 済 性 を 発 揮 して い る。
さ ら に、 広 大 な駐 車 場 の 確 保 は も ち ろ ん 、 広 い 通 路 幅 、 高 い 天 井 、 部 門 ご と に 色 分
け され た 床 、 大 型 カ ー ト等 、 買 物 の 快 適 さ を 追 求 して い る 。 レ ジ 数 を増 加 し待 ち 時 間
減 少 を 図 る 店 舗 も あ り、 消 費 者 重 視 の店 舗 施 設 で あ る と言 え る 。
・内 部 組 織
雇 用 の 面 で は 、実 力 主 義 に基 づ き性 別 や 年 齢 に 関係 な く責 任 あ る仕 事 を任 せ て い る 。
こ の た め 、 女 性 の 店 長 や 幹 部 も 多 い 。 さ ら に 、 詳 細 な マ ニ ュ ア ル に 基 づ く接 客 サ ー ビ
ス の 向 上 や 、 従 業 員 教 育 に よ る モ ラ ー ル 向 上 も 図 られ て い る 。
日本 上 陸 の 脅 威
世 界 トヅ プ ク ラ ス の 小 売 業 の 戦 略 を 見 る と、 徹 底 した 「消 費 者 利 益 優 先 」 の 姿 勢 が
伺 え る 。 日本 の 小 売 業 は 、 特 約 店 制 度 や リベ ー ト制 、 大 規 模 小 売 店 舗 法 とい っ た 様 々
な 規 制 に 守 られ 、 消 費 者 重 視 へ の 努 力 が 不 十 分 に な っ て は い な か っ た だ ろ う か 。
さ らに 日本 の 企 業 はM&Aの
対 象 とな る こ とへ の 意 識 が 低 く、 企 業 の 時 価 総 額 は 驚 く
ほ ど低 い こ とか ら、 海 外 流 通 業 が 日本 進 出 に 本 腰 を 入 れ て くれ ば 、 日本 の 小 売 企 業 は
半 減 す る と ま で 言 わ れ て い る 。 一 消 費 者 の 立 場 か ら言 え ば 、 外 資 の 参 入 は む しろ 歓 迎
す べ き こ と な の か も しれ な い 。
一11一
IIそ
(1)マ
ご うの経 営 戦 略
ーチ ャ ンダイジ ング戦 略
ブ ラ ン ド依 存 に よ る 顧 客 離 れ
「百 貨 店 は 見 物 に は 楽 しい が 、 買 物 を す る と少 し損 を した よ う な 気 分 に な り、 魅 力 に
乏 しい 。」と通 産 相 が コ メ ン ト し物 議 を か も した よ う に、食 料 品 売 り場 、バ ー ゲ ン会 場 、
レス トラ ン街 以 外 は 見 向 き も しな い 客 が 目立 つ の が 、 今 日 の 百 貨 店 の 現 状 で あ る 。
百 貨 店 各 社 は バ ブ ル 期 を 全 盛 に シ ャ ネ ル 、 エ ル メ ス 、 グ ッ チ とい っ た 海 外 ブ ラ ン ド
の 導 入 を 目玉 と し、 品 揃 え 、 売 場 作 りを競 い 合 い 、 そ ご うで も近 年 大 阪 店 に 、 「バ ー バ
リー 」の 大 型 シ ョ ッ プ を は じめ 各 種 の 新 ブ ラ ン ドの 導 入 を 図 る な ど して 消 費 者 に ア ピ
ー ル して き た が 思 う よ うな 成 果 を あ げ る こ と が で きて い な い
。
薄 ら ぐ売 場 の メ リ ッ ト
この よ う に 百 貨 店 か ら消 費 者 の 足 が 遠 の い て し ま う原 因 と して 、 第 一 に 売 場 の 同 質
化 と い う弊 害 が あ げ られ る 。1階 の グ ラ ン ドフ ロ ア ー に 海 外 ブ ラ ン ドを ち りば め た 結
果 、 ど の 店 も個 性 に 乏 しい とい う印 象 を 与 え る 結 果 を招 い て し ま っ た 。
第 二 に 、 バ ブ ル 期 を 中 心 に 「ワ ン ラ ン ク上 の 生 活 」を う た い 、 店 の 敷 居 を高 め た い き
さ つ が あ る 。こ の た め に 特 売 品 や 食 料 品 以 外 に 庶 民 が 買 え る 商 品 は 少 な い とい う イ メ
ー ジ が 消 費 者 の 間 に 定 着 して しま っ た
。
第 三 に 販 路 の拡 大 で あ る 。 こ こ数 年 で 総 合 ス ー パ ー や デ ィ ス カ ウ ン トス トア に ま で
海 外 ブ ラ ン ド商 品 の 販 路 が 急 速 に 形 成 さ れ た 。OLや 女 子 高 生 まで も が ブ ラ ン ドに 飛 び
つ く とい う 日本 の 特 殊 性 に 着 目 した 並 行 輸 入 業 者 に よ っ て 形 成 さ れ た販 路 で あ る。ま
た 、 ア ウ トレ ッ トス トア や ア ジ ア へ の 買 物 ツ ア ー の 流 行 も見 逃 せ な い 。
以 上 の よ う に 百 貨 店 の 売 場 で 海 外 有 名 ブ ラ ン ドを 購 入 す る メ リ ッ トが 薄 れ つ つ あ る
ので あ る。
品揃 え の課 題
各 百 貨 店 に 共 通 して 言 え る こ と は 、 個 性 的 な 商 品 戦 略 を 地 道 に 行 い 、 そ れ らの 商 品
に つ い て の 告 知 力 を高 め る こ とで あ る。仕 入 担 当 者 が 直 接 現 地 に 出 向 き商 品 を探 した
り、 輸 入 品 で も、 直 輸 入 の 比 率 を 高 め て 、 価 格 設 定 を低 く抑 え た りす る、 さ ら に そ う
い っ た 知 名 度 の 低 い 商 品 の 優 れ た 品 質 を 説 明 す る こ と が で き る販 売 員 を養 成 す る とい
っ た 企 業 努 力 が 必 要 とな る。そ ご うで は 全 国 一 律 料 金 の ギ フ ト商 品 を増 や す な ど商 品
力 を 強 化 した り、「オ ン リー ・ア ッ ト ・そ ご う商 品 」とい う 自社 ブ ラ ン ドを作 る な どの 戦
略 を行 って い る。
三 越 、 伊勢 丹、 高 島屋 の例
本 店 が 全 社 の 売 上 の 約 半 分 を 占 め る 典 型 的 な 本 店 依 存 型 の 三 越 で は 、 『ミニ 本 店 』 と
呼 ば れ る 本 店 を 真 似 た 商 品 区 分 で 多 種 多 様 な も の を 少 しず つ と い う品 揃 え か ら、 「百
貨 」へ の こだ わ り を捨 て 、例 え ば 夏 に は 婦 人 服 売 り場 に 水 着 を 置 き 、季 節 に よ っ て 重 点
的 に販 売 す る 商 品 を 臨 機 応 変 に 入 れ 替 る な ど、 営 業 形 態 を店 ご と に専 門 化 して い る。
伊 勢 丹 で は 、 店 頭 販 売 員 に仕 入 の 権 限 を 持 た せ 、 実 際 に 海 外 に 行 か せ る 試 み を は じ
め て い る。仕 入 額 の 上 限 設 定 や 仕 入 値 の 交 渉 な どは バ イ ヤ ー が 担 当 す る が 、買 い付 け る
商 品 の 決 定 権 は 販 売 員 が 持 つ の で あ る 。お 客 が 何 をほ しが っ て い る か 、売 り逃 した と き
に何 が 商 品 に か け て い る の か を 知 っ て い る 販 売 員 が 仕 入 を行 う こ とで 顧 客 の 細 か い ニ
ー12一
一 ズ に 応 え る こ とが で き る
。
高 島 屋 で は 、 新 しい 売 場 作 りや 商 品 の 開 発 に使 う 予 算 と して 『商 品 開 発 費 』 が 設 け
られ た 。社 内 の 誰 で も ア イ デ ア が 認 め られ れ ば こ の 予 算 を 使 っ た 開 発 に 参 加 で きる 。利
益 志 向 が 強 ま る 中 で も 新 しい も の を見 つ け る 挑 戦 が で き る よ う に す る の が ね らい で 、
研 究 開 発 費 を 使 っ た 新 しい コ ンセ プ トの 売 場 も展 開 さ れ て い る。
(2)プ
ロモ ー シ ョ ン戦 略
特 売 戦 略 の 限 界 と顧 客 の 囲 い 込 み
1997年 か ら1998年 上 期 に か け て 、バ ブ ル 経 済 期 に計 画 さ れ た 大 型 店 が 開業 した こ と
も影 響 して 、百 貨 店 は 出 店 飽 和 の 状 態 に あ り、総 合 ス ー パ ー や 専 門店 も 台 頭 して きて 、
競 争 が 激 し くな っ て い る 。競 争 の 激 化 は 値 下 げ 合 戦 を 生 み 、利 益 を圧 迫 して い る。消 費
者 の 選 択 の 余 地 が 広 が る こ とで 、 従 来 の 定 期 的 に チ ラ シ を 配 り特 売 を 行 う 方 法(ハ イ
ア ン ドロー 戦 術)で は 目玉 商 品 しか 買 わ な い バ ー ゲ ンハ ン タ ー を 生 み 、 利 益 率 の 高 い
得 意 客 の サ ー ビ ス 分 まで 奪 っ て い る 。 そ こ で 特 売 を 行 っ て 不 特 定 多 数 の 消 費 者 を 呼 び
込 も う とす る の で は な く、 常 に 自店 の 商 品 を購 入 して くれ る 顧 客 を 囲 い 込 も う と い う
戦 略 が生 まれ る。
FSPに よ る 顧 客 管 理
FSPと は フ リー クエ ン ト ・シ ョ ッパ ー ズ ・プ ロ グ ラ ム の 略 で 多 頻 度 顧 客 の た め の サ ー
ビ ス プ ロ グ ラ ム で あ る 。 これ は1980年
代 に ア メ リカ ンエ ア ー ラ イ ン が は じめ たFFPと
呼 ば れ る戦 略 を ヒ ン トに 、 流 通 業 界 が 導 入 を 試 み て い る も の で あ る 。
FSP導 入 が 必 要 とな る 背 景 と して そ こで 買 物 金 額 や 回 数 に 応 じて 顧 客 を優 遇 し、固 定
客 の 育 成 や 維 持 を し よ う とい う政 策 が 生 ま れ て くる 。
FSPは さ ま ざ ま な形 態 を と る が 、 基 本 的 に は カ ー ド発 行 に よ る ポ イ ン トシ ス テ ム で 、
1.メ ー カ ー と連 携 す る こ とで 、販 促 の 方 向 転 換 を 行 い顧 客 に 対 して 十 分 な イ ン セ ン テ
2.販
ィ ブ を提 供 す る 。
売 に よ っ て 得 られ た 顧 客 情 報 を 活 用 す る こ とで 品 揃 え の ニ ー ズ 対 応 を実 現 す る 。
とい う2つ の 大 きな 目 的 が あ る 。
具 体 的 に は 各 顧 客 にICカ ー ドを発 行 し、 そ の購 買履 歴 か ら、 一 人 一 人 の ニ ー ズ を 読
み 、 次 回 来 店 時 に顧 客 専 用 の ク ー ポ ン 案 を い くつ か 提 示 し、 選 択 して も ら う。 こ の 際
た だ 値 引 き を行 うだ け で は な く、 購 買 金 額 を ポ イ ン ト と して 蓄 積 す る こ とで 、 顧 客 の
好 み に 応 じた魅 力 の あ る 景 品 へ の 交 換 な ど さ ま ざ ま な 工 夫 が 可 能 に な る 。
顧 客 の 情 報 分 析 の 代 表 的 な 手 法 と して の デ シ ル 分 析
こ れ は 顧 客 を ひ とつ の 大 き な 塊 と して と ら え る の で は な くポ イ ン トカ ー ドに よ って
蓄 積 した 購 買 履 歴 か ら、購 買 金 額 に した が っ て 顧 客 を デ シ ル とい う10個
の 区 分 に分 け
る とい う も の で あ る 。
デ シル 分析 の手 順
1.売 上 の 高 い 順 に 顧 客 リス トを 並 べ る
2.会
員 総 数 を10等
分 し た客 数 を 求 め る
3.区
4.全
分 ご との 売 上 を 客 数 で 割 っ て 一 人 あ た りの 販 売 額 を 求 め る
体 の 一 人 あ た り販 売 額 を1と した ラ ン ク別 の 購 買 力 指 数 を 求 め る
こ う して 求 め られ た 指 数 に よ っ て どの 購 買 層 が 店 の 売 上 に 貢 献 して い る の か が 分 か り、
一13一
貢 献 度 の 高 い 顧 客 に、 よ り重 点 的 に サ ー ビス を 提 供 す る こ とで 、 そ の 顧 客 と よ り強 い
つ な が りを 結 ぶ こ と が で き る 。
そ ご うの場 合
カ ー ド戦 略 と して 再 建 支 援 に参 画 した ク レデ ィ セ ゾ ン が 西 武 百 貨 店 と共 同 で そ ご う
側 に 人 員 を派 遣 し、 カ ー ド事 業 や 顧 客 管 理 の ノ ウハ ウ を提 供 す る こ と に な っ て い る 。
そ ご う の 自社 カ ー ド 「そ ご う カ ー ド」 は 各 店 舗 が 個 別 に 管 理 ・運 用 して い る こ とな ど
か ら、 利 用 率 が 低 く顧 客 の 固定 化 や 集 客 力 向 上 に 効 果 を 上 げ て い な い 。 ポ イ ン トア ヅ
プ ウ ィー ク を 開 催 す る な ど して い る が そ ご う グ ル ー プ全 体 で カ ー ド会 員 は 、 外 商 顧 客
を 中 心 に30万
人 程 度 に と ど ま って い る 。
ま た 買 上 に応 じて10%を
還 元 す るr春 の わ くわ くキ ャ ンペ ー ン 』 な ど各 種 特 色 の あ
る 催 事 を行 っ て い る が 顧 客 拡 大 、 販 売 拡 大 に は い た っ て い な い 。
(3)出
店 ・立 地 戦 略
平 均 差 の 検 定 ∼1㎡
あ た り売 上 高 に つ い て ∼
そ ご う21店 舗 を 存 続 店 と2000年12月25日
閉鎖 店(以 下 単 に 閉 鎖 店 とい う)と の
2つ の グ ル ー プ に分 類 し、 そ れ ぞ れ の グ ル ー プ の1㎡ 当 りの 売 上 高 の 平 均 を 求 め る と、
存 続 店 の 平 均 が1、562、235円
、 閉 鎖 店 の 平 均 が905、147円
とな っ た 。 こ の2つ の 数
値 に は 随 分 差 が あ る よ う に 思 わ れ る 。 そ こで 、 こ の 両 グ ル ー プ の 母 集 団 の 平 均 値 の 差
が 有 意 で あ る か 否 か を調 べ る た め に 平 均 差 の 検 定 を行 っ た と こ ろ 、 七値 が3.63と い う
結 果 が得 られ た 。 した が っ て 、 両 グ ル ー プ の1㎡ 当 りの 売 上 高 の 平 均 に は 有 意 な 差 が
あ る と考 え る こ とが で き る 。 しか し、 こ の 差 が 何 に よ っ て も た ら さ れ る も の な の か は
こ れ だ け で は 分 か ら な い 。 そ こ で 、1㎡ 当 りの 売 上 高 を従 属 変 数 とす る 回 帰 分 析 を 行
い 、 両 グ ル ー プ の1㎡ 当 りの 売 上 高 の 平 均 に 差 を生 む 要 因 に な っ て い る も の が 何 か を
探 る こ と に した 。
単 回帰 分 析
ま ず 、 存 続 店 ・閉 鎖 店 そ れ ぞ れ に つ い て1㎡
当 りの 売 上 高 を従 属 変 数 と し、 店 舗 面
積 ・駐 車 場 収 容 台 数 ・開 店 年 ・人 口 ・売 上 高 を そ れ ぞ れ 独 立 変 数 と す る単 回 帰 分 析 を
試 み た 。 しか し、 決 定 係 数 の 値 が 低 く、1㎡ 当 りの 売 上 高 との 問 に何 らか の 関 係 が あ
る こ と を 説 明 す る の に 十 分 な 結 果 は 得 られ な か っ た 。 そ こ で 次 に、 独 立 変 数 を2個 に
増 や して 重 回 帰 分 析 を行 う こ と に した 。
重 回帰 分析
ま ず 、 重 回 帰 分 析 を 行 う に あ た っ て 多 重 共 線 性 を 排 除 す る た め に、 開 店 年 ・店 舗 面
積 ・売 上 高 ・駐 車 場 収 容 台 数 ・人 口 に つ い て そ れ ぞ れ の相 関 係 数(表 ① 参 照)を 調 べ 、
相 関 が な い 組 み 合 わ せ を独 立 変 数 と して 用 い た 。 そ の 結 果 、 い くつ か の 組 み 合 わ せ に
つ い て 十 分 高 い 決 定 係 数 の 値 が 得 られ た 。
閉 鎖 店 の1㎡
当 りの 売 土 高(Y)を
従 属 変 数 に 、 駐 車 場 収 容 台 数(A)と
人 口(B)を
独 立 変 数 に して 重 回 帰 分 析 を 行 っ た と こ ろ 、
Y=1406188-95.96A-16509.5BR2=0.843
(切 片 ・A・Bの 係 数 のt値 は そ れ ぞ れ9.78、 一1.54、 一2.90で あ っ た 。)
とい う結 果 に な っ た 。 決 定 係 数 は 十 分 に 高 く、 説 明 力 は8割 を 超 え て い る 。
一14一
こ の 式 か ら、 駐 車 場 収 容 台 数 の 多 い 店 舗 ほ ど1㎡ 当 りの 売 上 高 が 小 さ く、 店 舗 所 在
市 区 の 人 口 が 多 い 店 舗 ほ どlm当
りの 売 上 高 が 小 さ い とい う こ と が 分 か る 。 こ の こ と
か ら、 閉 鎖 店 の1㎡ 当 りの 売 上 高 の 平 均 が 存 続 店 に 比 べ 小 さ い 要 因 と して 、 広 い駐 車
場 が 必 要 な ほ ど交 通 の 便 が 悪 い 場 所 に 立 地 して い る 、 若 し くは 競 争 圏 内 の 交 通 の便 の
良 い と こ ろ に 大 きな 商 業 集 積 地 が あ る とい う 可 能 性 や 、 そ ご う各 店 舗 の 近 くに競 合 店
が 存 在 す る 可 能 性 を あ げ る こ とが で き る 。
ま た 、 開 店 年(C)と
人 口(B)を
独 立 変 数 と した と こ ろ 、
Y=22160831-10492.8C-15734.2BR2=0.846
(切 片 ・C・Bの 係 数 の 七値 は そ れ ぞ れ1.68、 一1.58、 一2.70で あ っ た 。)
と い う結 果 に な っ た 。 こ の 決 定 係 数 は 十 分 に 高 く、 説 明 力 は8割 を 超 え て い る 。
この 式 か ら、 新 し く出店 し た店 舗 ほ ど1㎡ 当 りの 売 上 高 が 小 さ く、 店 舗 所 在 市 区 の
人 口が 多 い 店 舗 ほ ど1㎡
閉 鎖 店 の1㎡
当 りの 売 上 高 が 小 さ い とい う こ と が 分 か る 。 こ の こ とか ら、
当 りの 売 上 高 の 平 均 が 存 続 店 に 比 べ 小 さ い 要 因 と して 、 バ ブ ル 期 に 百 貨
店 の 立 地 に 適 して い な い 場 所 へ の 無 理 な 出 店 が 行 わ れ た 可 能 性 や 、 競 合 店 が す で に 出
店 して い た か 若 し くは そ ご う の 出店 後 競 合 店 の 進 出 が あ っ た 可 能 性 を あ げ る こ とが で
きる。
一方
、 存 続 店 に つ い て は 、 十 分 に高 い 決 定 係 数 の 値 を 得 る こ とが で き ず 、 立 地 ・出
店 戦 略 の観 点 か ら見 た成 功 点 を う か が う こ とは で き な か っ た 。
表①
相 関係 数
存続店
店舗面積
売上高
駐車場収容台数
店舗面積
売上高
駐車場台数
人口
1
0.92667
1
一〇
一〇
人口
一〇
.4855
一〇
開店年
0.07926
一〇.159231
一〇.32904
0.4783
店舗面積
売上高
駐車場台数
人口
閉鎖店
店舗面積
売上高
駐車場収容台数
.1488
1
.157281
1
0.2350719
.63761
1
開店年
1
0.73543
1
0.22095
一〇
人口
0.04407
一〇
0.3582215
開店年
0.77452
0.244963
0.2539823
店舗名
開店年
1
.23695
.58035
1
〔1〕
(2)
そ ごう大阪店
八王子そ ご う
横浜そ ご う
31,768
58,914
27,158
42,142
74,846
145,513
川 口そご う
39,149
34,349
大宮 そ ごう
千葉 そ ごう
33,335
52,365
1,570,871
1987
61,000
100,781
1,652,148
1993
〔3〕
1,854.50811933
1,551.73411983
1,944.1651
877,392
一15一
1
0.4272
〔4〕
(5)
(6)
340
329
人
0
8万 人
700
44万 人
1985
1990
6万 人
947万
1,500
40万 人
0
17万 人
柏 そ ごう
そ ごう神 戸店
西神 そ ごう
広 島そ ごう※
呉そ ご う
徳島そ ご う
札 幌そ ご う
錦糸 町そ ご う
豊 田そ ごう
奈良 そ ごう
加古川 そ ごう
福 山そ ごう
小倉そ ごう
黒崎そ ご う
船橋 そ ご う
35,477
43,001
1,212,081
1973
1,500
31万 人
40,909
88,808
2,170,867
1899
1,300
12万 人
i5,000
n.a.
n.a.
1990
0
16万 人
57,839
95,357
21.3951
18,636
1990
108
22万 人
22,500
41,200
1,831,111
1983
4401
26万 人
28,428
31,392
1,104,263
1978
600
18万 人
260
22万 人
33,957
1,648,663
871,045
n.a.
33,442
n.a.
23,700
35,000
708,690
n.a.
n.a.
1974
1,200
1997
13万 人
1988
2,000
33万 人
1989
2,500
35万 人
27,937
23,197
830,333
1989
760
24万 人
34,400
43,774
25,142
730,872
1992
457
37万 人
500
20万 人
23,026
24,592
0
25万 人
43,280
25,394
988.71511993
1,068.01011979
n.a.11981
n.a.
6,000
53万 人
※広 島そ ごうには広 島そ ご う新館 を含 む
〔1〕店舗 面積
〔2〕1997年
単位:㎡
度 売上高
単 位:百
万
円
〔3〕1997年
度1㎡
あ た り売 上 高
〔1〕 ∼ 〔3〕
単 位:円
日 本 経 済 新 聞 社r流
通 経 済 の 手 引1999年
版 』(1998)
より
た だ し 〔3〕 の 大 宮 そ ご う ・徳 島 そ ご うは 『週 刊 東 洋 経 済'98日
の 会 社85、400』
より
本
〔4〕 開 店 年
〔5〕 駐 車 場 収 容 台 数
〔4〕 ∼ 〔5〕・ 〔2〕 の 大 宮 そ ご う ・徳 島 そ ご うr週
国 大 型 小 売 店 総 覧'98』
〔6〕 平 成 二 年(1990年)時
刊 東洋経済
全
よ り
点 で の 人 口(店
舗 所 在 市 区 単 位)国
勢調査 よ り
(4)内
部組織
各 次 に そ ご う の 内 部 組 織 は ど う で あ っ た か に つ い て 述 べ て い き た い 。 そ ご うの 倒 産 が
誌 で 発 表 さ れ た と き に、 各 誌 は倒 産 の原 因 は 「水 島廣 雄 ・前 会 長 を 中'L、
とす る ワ ン
マ ン経 営 」 に あ る と 口 を揃 え て 報 じて い た 。 こ の 「ワ ンマ ン経 営 」 とい う言 葉 は そ ご
うの 組 織 形 態 を述 べ る の に は ず せ な い キ ー ワ ー ドで あ る 。 な ぜ ワ ンマ ン経 営 が 倒 産 へ
と導
が
らい た の か 、 な ぜ ワ ンマ ン経 営 は 良 くな い と言 わ れ る の か 、 以 上 の こ と を踏 ま え な
・ そ ご う の 内 部 組 織 に つ い て そ ご う破 綻 へ の 経 緯 を 追 い つ つ 分 析 を 進 め た い と思
う。
百 貨 店 の 中 で も老 舗 の そ ご う は 、急 速 に全 国 各 地 に 進 出 して 多 店 舗 化 を 図 っ て き た
バイイ
。
ン グ=パ ワー を 確 保 し価 格 決 定 の イ ニ シ ア テ ィ ブ を 握 る こ と は
基本
、流 通 小 売業 の
で あ る。(大 量 に仕 入 れ る こ と に よ っ て 、低 価 格 で 仕 入 れ す る こ とが で き、 ま た値
下 げ を 飲 ませ る こ と も容 易 に な る と い う こ と)し か し、 多 店 舗 化 が そ の ま ま収 益 改 善
一16一
に繋 が るわ け で な く、初 期 投 資 が 膨 らめ ぱ 膨 らむ ほ ど に借 金 体 質 に 陥 る リス ク もあ る 。
そ ご うの 場 合 が そ れ で あ っ た 。
多 店 舗 化 に走 らせ た 最 大 の 理 由 は 、 高 度 成 長 神 話 とバ ブル 神 話 に あ る 。 土 地 や 不 動
産 に 巨 大 な 初 期 投 資 を 行 っ て も、 地 価 上 昇 に よ る 資 産 増 加 で ペ イ す る とい う判 断 が働
い て い た の で あ る 。 せ め て 当時 か ら不 動 産 の 小 口 証 券 化 に よ る 有 利 子 負 債 圧 縮 を 図 っ
て い れ ば よ か っ た が 、 含 み 益 を 基 礎 に した 再 借 り入 れ な ど で 有 利 子 負 債 を 雪 だ る ま式
に 膨 らま せ て し ま っ た 。 加 え て 、 百 貨 店 は 「フ ロ ア 貸 し」 と呼 ば れ る他 力 本 願 な 経 営
を行 っ て き た 。 フ ロア の 大 部 分 に 有 名 ブ ラ ン ド店 な どの テ ナ ン トを 誘 致 して 、 そ の 高
い 賃 料 を 収 入 の 当 て に して き た の で あ る。 しか し消 費 不 況 や ブ ラ ン ド同 士 の 競 合 な ど
で テ ナ ン トの 多 くは 賃 料 が 重 荷 に な り、 フ ロ ア に 穴 を 空 け られ な い 百 貨 店 は 引 き留 め
に 躍 起 とい う構 図 に 変 わ 、 今 や 共 倒 れ の 危 機 も招 い て い る 。 有 利 子 負 債 の 圧 縮 と、 賃
料 依 存 か らの脱 却 は 、 国 内 百 貨 店 の い ず れ も が 抱 い て い る課 題 で あ り、 不 採 算 店 の 閉
鎖 や 人 員 削 減 は 避 け られ ず 、 五 十 貨 店 へ の 経 営 特 化 な ど も 迫 られ て い る。 そ の 破 綻 第
一号 が
、 そ ごう にな って しまっ たので あ る。
百 貨 店 は 長 い 間 「装 置 産 業 」 と言 わ れ て い た 。 集 客 マ シ ー ン と して の 装 置(入 れ 物)
を作 れ ば 、 勝 手 に 客 が 集 ま っ て 、 勝 手 に 商 品 が 売 れ て い っ た 時 代 の 用 語 で あ る 。 国 民
の 多 くに 中 流 意 識 が 芽 生 え、 百 貨 店 を利 用 す る こ と が ス テ ー タ ス だ っ た 時 代 で あ る 。
そ う い う時 代 で あ れ ば 、 地 方 都 市 へ 進 出 して も、 フ ロア 貸 し依 存 で あ っ て も、 さ ほ ど
苦 労 な く販 売 額 が 増 え 利 益 も積 み 上 が っ た 。 しか し、 大 型 ス ー パ ー の 百 貨 店 化 や 、 カ
テ ゴ リー キ ラ ー の 大 型 店 出 現 な ど が 、 百 貨 店 の 優 位 性 を 奪 い 、 加 え て 、 消 費 者 も高 い
だ け で 実 体 を 伴 わ な い 百 貨 店 経 営 の あ り方 に背 を 向 け は じめ た 。も は や 装 置 で は な く、
商 品 や サ ー ビ ス の 良 さ こ そ が 集 客 の キ ー ポ イ ン トに 移 り変 わ っ て い る 。 そ ご う は最 後
ま で 装 置 主 義 を 捨 て き れ な か っ た の で あ る 。 地 方 の 駅 前 立 地 が 確 保 で き る と、 そ こへ
迷 わ ず 進 出 し、 地 上 げ さ れ た 土 地 、 区 画 整 理 の 進 ん だ 土 地 、 採 算 性 度 外 視 で 銀 行 や 自
治 体 の 持 ち 込 ん だ 案 件 に 飛 び つ き、 次 々 に店 舗 を 出 し た 。 しか し、 い ず れ もが 赤 字 で
あ り、 負 債 は 減 らず 積 み 上 が る ば か り。 そ れ で も旗 艦 店 と呼 ば れ る都 心 大 型 店 が 好 調
で あ っ た こ とで 、 そ の 地 方 店 の 健 全 化 に メ ス は 入 らな か っ た 。 さ ら に不 幸 な こ と に ワ
ンマ ン社 長 を戴 き、 不 透 明 な グ ル ー プ 会 社 に よ る 際 限 な い 多 店 舗 化 が 続 け られ た 。 上
場 して い る本 体 が 店 舗 を 出 す の で あ れ ば銀 行 や 株 主 の チ ェ ッ ク が 入 る が 、 不 透 明 な 持
ち 合 い 株 式 な ど で 複 雑 に 事 実 を 隠 蔽 さ れ た グ ル ー プ 店 舗 が20数 店 舗 に膨 れ あ が りそ こ
が 多 店 舗 化 を 行 っ た こ と で 不 良 債 権 化 して しま っ た 。(本 体 の 保 有 店 舗 は 、 大 阪 ・神
戸 ・東 京 の3店
舗 の み)。 ワ ンマ ン故 に 暴 走 は 止 ま らな か っ た 。
以 上 の よ う に そ ご う の倒 産 の 経 緯 に つ い て 追 っ て き た が 、 水 島 前 会 長 は そ ご う 内 部
だ け で は な く金 融 機 関 に ま で 影 響 力 を 深 め た ほ ど の ワ ン マ ン ぶ りで あ っ た 。 ワ ンマ ン
経 営 の利 点 と して 意 思 決 定 力 の 早 さ 、 処 理 の 迅 速 性 とい う こ とが あ げ られ るが 、 バ ブ
ル期 に は 投 資 す れ ば そ の 分 ほ ぼ確 実 に 利 益 が 返 っ て くる よ うな 時 代 だ っ た の で 、 こ の
意 思 決 定 の 早 さ ・処 理 の 迅 速 性 とい う 利 点 を 生 か して 、 ワ ンマ ン経 営 で は な い 企 業 よ
りも よ り急 速 な 成 長 を 遂 げ る こ とが で き た 。 しか しバ ブ ル が は じけ た 後 、 企 業 体 と し
て 意 思 決 定 の 早 さ に 加 え 、 確 実 性 も必 要 と さ れ る よ う に な っ た 。 つ ま り何 を や っ て も
儲 か って い た 時 代 が 終 わ り、 本 当 に良 い 戦 略 だ け が 消 費 者 に受 け る よ う に な っ た の で
あ る 。 百 貨 店 とい え ば こ うで あ る と い っ た よ う な どの 百 貨 店 も横 並 び の 時 代 か ら、 百
貨 店 ご との 個 性 を重 視 した 時 代 へ と変 わ っ て い っ た の で あ る 。 個 性 の 時 代 に 変 わ っ た
こ とで 、 長 年 の ワ ンマ ン経 営 に よ っ て 、 水 島 前 会 長 以 外 考 え る こ と を しな くな っ た経
一17一
営 陣 に こ の 流 れ を 読 み 取 る こ とは で き な か っ た の で あ る 。
ワ ンマ ン経 営 とは 上 述 した よ う に 意 思 決 定 の 早 さ ・処 理 の 迅 速 性 とい う利 点 が あ る
が 、 一 人 の 人 間 に 全 て を 任 せ る と い う 意 味 で ハ イ リス ク を背 負 っ て し ま う と い う欠 点
が あ る 。 ワ ン マ ン経 営 が 一 概 に 悪 い と は 言 え な い が 、 ハ イ リス ク ・ハ イ リタ ー ン方 の
経 営 な の で 安 定 性 に 関 して は ワ ン マ ン経 営 で な い 企 業 に 比 べ て 劣 っ て い る 。 ワ ン マ ン
経 営 の 欠 点 の 方 が 全 面 的 に 露 呈 して しま っ た の が 今 回 の そ ご う の破 綻 で あ る と言 え る。
これ か らの 時 代 は 迅 速 性 と確 実 性 が 要 求 さ れ る の で 、 安 定 性 の な い ワ ン マ ン経 営 よ り
安 定 性 の あ る 集 団 経 営 で 、 さ らに 効 率 性 を考 え て い き 、 集 団経 営 の 中 で 迅 速 化 を 図 る
組 織 作 りと い う こ とが 、 こ れ か らの 時 代 に よ り適 合 した 組 織 形 態 に な っ て い くの で は
ない だ ろ うか。
一18一
HIそ
ご うの財 務 分 析
収 益性 の分 析
収 益 性 の 分 析 は 、 以 下 の 式 を使 っ て 行 な って い る 。
自己 資 本 利 益 率=当 期 純 利 益 率 ÷ 自己 資 本 ×100
売 上 高 純 利 益 率=当 期 純 利 益 率 ÷売 上 高 ×100
自己 資 本 回 転 率=売 上 高 ÷ 自 己 資 本
こ の 式 か ら も と ま る 数 値 に よ っ て 、 出 資 者 た る株 主 の 観 点 か ら の 収 益 性 につ い て
見 る こ とが で き る 。 百 貨 店 業 界 の 平 均 を 見 て 見 る と、 売 上 高 純 利 益 率 に つ い て は 、 こ
こ5年 間1996年 を抜 い て マ イ ナ ス の値 で あ り、 自己 資 本 回 転 率 に つ い て は 、 大 体 毎 年
4.5回 転 で あ る 。 こ れ を 前 提 に して 、5社 を 比較 して 見 る と、売 上 高 純 利 益 率 につ い て
は 、 大 丸 が お よ そ0.2%、
伊 勢 丹 が お よ そ0.5%と
、 相 対 的 に 安 定 して い る と言 え る 。
ほ か の3社 に つ い て は 、 マ イ ナ ス の 年 が 多 く見 られ る 。 自 己 資 本 回 転 率 に つ い て は 、
三 越 が10回 転 以 上 と飛 び ぬ け て お り、 大 丸 は 、 ほ ぼ10回 転 、 ま た 、 伊 勢 丹 は 、 業 界
の 平 均 と ほ ぼ 同 じで あ る 。 他 の2社
に つ い て も、 業 界 の 平 均 よ り も高 い 値 を 見 せ て い
る 。 そ ご う に 関 して 詳 し く見 て み る な らば 、 収 益 性 に 関 して は 、 倒 産 直 前 の 年 度 あ た
りの1997年
ま で 安 定 して は い る もの の 、 そ れ ほ ど、 収 益 を 上 げ て い る とは 言 え ず 、 優
良 と考 え られ る企 業 に 劣 っ て い た と考 え られ る 。
安全 性 の 分析
安 全 性 の 分 析 は 、 以 下 の 式 を使 っ て 行 な って い る 。
流 動 比 率=流 動 資 産 ÷流 動 負 債 ×100
当 座 比 率=当 座 資 産 ÷流 動 負 債 ×100
負 債 比 率=他 人 資 本 ÷ 自 己 資 本 ×100
自己 資 本 比 率=自 己 資 本 ÷総 資 本 ×100
固定 比 率 二固定 資 産 ÷ 自己 資 本 ×100
固 定 長 期 適 合 率=固 定 資 産 ÷(自 己 資 本+固 定 負 債)×100
イ ン タ レス ト ・カ バ レ ッ ジ ・レ シ オ=(営
業 利 益+受 取 利 息)÷
支払利 息 等
こ の 式 か ら も と ま る 数 値 に よ って 、 企 業 の 債 務 返 済 能 力 や 、 財 務 的 な 健 全 性 の 観 点
か ら の 企 業 が 倒 産 す る か 否 か を 見 て い くこ と が で き る 。業 界 平 均 に つ い て 見 て い く と、
流 動 比 率 は ほ ぼ70%、
当 座 比 率:はほ ぼ40%、
負 債 比 率 は200%、
固 定 比 率 も200%、
固定 長 期 適 合 率 は ほ ぼi20%で
あ る 。 これ を前 提 に 見 て い く と、 流 動 比 率 、 当座 比 率 に
つ い て 見 て み る と大 丸 、 伊 勢 丹 は 、 平 均 よ り上 か ほ ぼ 同 じで あ る の に 対 して 、 他 の企
業 は そ れ を下 回 って し ま っ て い る 。 次 に 負 債 比 率 、 固定 比 率 、 固定 長 期 適 合 率 に つ い
て 見 て み る と、 そ ご う 、 三 越 に 関 して は 、 大 き く平 均 を上 回 って し ま っ て い る 。 こ こ
か ら、 各 企 業 の 財 務 状 態 の 良 否 が は っ き りと見 て 取 れ て い る 。 ま た 、 そ ご う に 関 して
詳 し く見 て み る な ら ば 、 倒 産 の 直 前 で あ る こ と を 考 慮 した と して も 、 流 動 比 率 の 低 さ
な どか ら考 え て も 、 安 全 な 企 業 経 営 を 、 行 っ て い た とは 考 え に くい 。
効 率性 の分 析
効 率性 の分 析 は、 以下 の式 を使 って行 な って い る。
売 上 債 権 回 転 率=売 上 高 ÷売 上 債 権
棚 卸 資 産 回 転 率=売 上 高 ÷棚 卸 資 産
固定 資 産 回 転 率=売 上 高 ÷ 固 定 資 産
一19一
この 式 か ら も と ま る数 値 に よ っ て 、 有 効 に 資 産 を活 用 して い る か を 見 て い くこ とが
で き る 。 業 界 平 均 に つ い て 見 て み る と、 棚 卸 資 産 回 転 率 ほ ぼ8回
転、 売 上債 権 回転率
は ほ ぼ12回 転 、 固 定 資 産 回 転 率 は ほ ぼ2回 転 で あ る 。 こ れ を 前 提 に各 企 業 を 見 て い く
と、各 企 業 と も、平 均 を 上 回 っ て い る 。 た だ 、そ ご う に 関 して 詳 し く見 て み る な らば 、
売 上 債 権 率 、 棚 卸 資 産 回 転 率 は 、 他 とそ れ ほ ど劣 りは しな い もの の 、 固 定 資 産 回 転 率
は 、 以 上 に 低 い こ とか ら、 そ ご う は 固 定 資 産 を う ま く利 用 で きて い な い と言 う こ と が
言 え る。
成 長性 の分 析
成 長 性 の 分 析 にお い て は 、 各 企 業 の1株
あ た りの利 益 額 を 見 て い く こ と に す る 。 ま
ず 、 業 界 の 平 均 に つ い て 見 て み る と、1996年 を 除 い て 、 マ イ ナ ス とな っ て し ま っ て い
る。こ れ を 前 提 に 、各 企 業 を見 て い く と、伊 勢 丹(1995年 を 除 い て) 、大 丸 に 関 して は 、
今 ま で の 分 析 結 果 か ら も推 測 で き る よ う に、 プ ラ ス の値 を 維 持 して い る 。 他 に 関 して
言 え ば 、 平 均 を 大 き く上 回 る マ イ ナ ス の値 を と って し ま っ て い る 。 ま た、 そ ご う に 関
して 詳 し く見 て み る な らば 、1997年 ま で は 、 プ ラ ス の 値 で あ っ た が 、1998年 、1999
年 に は ・ マ イ ナ ス に 転 じて し ま っ て い る 。 こ こ か ら、 そ ご う の 成 長 が ど ん どん お ち て
きて い た こ とが は っ き り表 れ て い る 。
生 産性 の分 析
生 産性 の分 析 は、 以下 の式 を使 って行 な って い る。
付 加 価 値 額=人
件 費+賃 借 料+金 融 費 用+減 価 償 却 費+租 税 公 課+税 引 前 当 期 純 利 益
この 式 か ら も と ま る 数 値 に よ っ て 、 各 企 業 の 、 新 た に 生 み 出 した価 値 が 見 て 取 れ 、
収 益 を生 み 出 す た め の 、 企 業 の 生 産 活 動 の 良 否 を 見 て い くこ と が で き る 。 業 界 平 均 に
つ い て 見 て み る と、1998年 ま で は 、 ほ ぼ60、000で
あ っ た が 、1999年 に は11、978に
まで 減 少 して い る 。 次 に 、 各 企 業 に つ い て 見 て い く と、 ど の企 業 も プ ラ ス の 値 を 出 し
て い る が、三 越 、大 丸 が 、特 に大 き な 付 加 価 値 を生 み 出 して い る こ と が 分 か る。 ま た 、
そ ご う に 関 して 詳 し く見 て み る と、1998年 、1999年
てい る こ とが分 か る。
一20一
と、 生 み 出 した 付 加 価 値 が 減 少 し
《そごう》
決算年度
1995
1996
1997
収益性の分析
自己 資本利益率
売上高純利益率
自己資本回転 率(回)
効率性の分析
棚卸資産回転率
売上債権回転率
固定資産 回転 率
安全性の分析
流動比率
当座比率
負憤比率
12.63%
3.05%
4.14
os2z
air%
4.72
1.53%
0.35%
4.40
11.70
4.25
0.67
17.82
11.54
0.73
17.90
12.94
0.71
38.60%
17.77%
36.15%
9.18%
806.26%
794.62%
61722%
350.64%
固定比 率
固定長期適合率
インル ストか ベレッジ レシオ
一2.os%
646.83%
342.74%
84.14%
1998
一163 .96%
一15 .42%
19991
112.80%
一88 .71%
一1
16.97
13.30
oar
17.49
13.37
1.62
.27
25.35%
sss%
一236 .00%
一78 .50%
一86 .46%
62.96%
54.48%
69.34%
3.78
一171 .53
一919 .33
成長性の分析
一株 あたりの利益 率(
027
35,752
32,631
32,717
4,808
効率性の分析
棚卸資産回転率
売上債権回転率
固定資産 回転 率
安全性の分析
流動比率
当座比 率
負憤比率
固定比 率
固定長 期適合率
インタレスト
加 ベレッシ'レ
シオ
1996
1997
1998
一3.25%
一t.05%
一59 .86%
一〇.25%
一〇.os%
一116 .13%
一3 .81%
12.87
13.76
30.48
51.03
15.90
13.81
2.39
16.91
15.33
13.67
2.98
s2.22x
32.55%
s7s.oa%
432.48%
186.84%
141.12%
15.12
14.34
2.86
68.59%
30.45%
710.51%
481.33%
143.73%
293.96%
収益性の分析
自己 資本 利益率
売上高 純利益 率
自己資本回転 箪(回)
効率性の分析
棚卸資産回転率
売上債権回転率
一1.17%
14.38
2.57
55.20%
51.98%
30.74%
32.11%
1770.78% 2884.22%
1275.51% 1983.40%
158.62%
182.76%
一9 .14%
106.06%
4.18
7.09
一71 .92
一51 .30
188,829
184,458
143,751
163,194
1995
1996
1997
1998
一27 .17%
一5.58%
4.87
4.40%
0.86%
5.13
2.14%
0.43%
4.93
2.68%
0.55%
4.90
16.66
8.17
2.00
16.59
8.77
90.53%
65.51%
インル スト
加ベレッジレシオ
2η.90%
74.03%
55.43%
312.74%
255.38%
129.76%
319.10%
89.64%
固定比 率
固定長期 適合率
76.2296
56.17%
324.24%
264.67%
126.77%
当座比率
負債比率
フ0.62%
339.56%
246.10%
〉>osi%
309.82%
1.94
2aass%
252.91%
108.86%
302.34%
13.76
12.86
1.71
15.23
10.53
1.35
16.46
13.71
1.45
66.05%
44.25%
400.27%
329.71%
139.03%
13621%
49.66%
35.19%
541.46%
423.24%
214.92%
106.03%
45.60%
33.43%
1965.41%
1431.09%
210.68%
99.60%
44.62%
30.49%
722.34%
597.08%
189.17%
a2ao%
一53 .86
一193 .75
31.04
58,637
4,543
90,189
sa.n%
48.68%
380.18%
307.53%
136.17%
103.40%
固定資産回転 率
安全性の分析
流動比率
当座比率
負債比率
固定比率
固定長期適合率
インタレスト加ベレップレシオ
一株 あた りの利益 率(円
6.67
sss
,243
付 加価値額(百万円)
74,691
75,069
有 価証券報告 書各年度 版より作成
1999
25.43%
0.70%
36.49
19.13
15.13
2.63
56.94%
34.09%
1929.03%
1385.38%
149.19%
190.51%
決算年度
収益性の分析
自己資本 利益率
売上 高純 利益 率
自己資本回転 率(回)
効率性の分析
棚卸資産回転率
売上債権回転率
固定資産 回転 率
安全性の分析
流動比率
当座比率
負債比率
固定比 率
固定長期 適合率
インタレストカパレッゾレシオ
1995
1996
1997
1998
19991
9.11%
0.84%
10.83
2.87%
0.24%
〉〉.as
1.95%
0.16%
12.38
0.42%
0.04%
11.05
3.02%
ozs%
10.49
19.99
io.os
3.85
20.46
10.17
3.53
20.75
10.12
3.49
23.12
10.15
3.27
24.58
10.78
3.25
74.19%
50.65%
417.63%
281.44%
140.36%
190.85%
67.37%
44.94%
490.96%
335.88%
156.83%
233.95%
64.87%
42.27%
514.32%
354.86%
164.63%
206.38%
73.71%
49.68%
475.19%
338.58%
133.32%
215.29%
71.21%
50.18%
426.92%
322.33%
134.30%
420.65%
フ.87
一株 あた りの利益 率(円
18.82
8.92
7.90
sso
7.82
166967
付 加価値額(百万円)
110,344
117,363
122,846
133,636
125,337
有 価証券報 告書各年度 版より作成
1999
《百貨店業 界平均》
決算年度
一株 あた りの利益 率(円 一143
2.23%
0.56%
3.97
自己資本 利益率
売上高純 利益率
自己資本回転 率(回)
17.33
8.83
1.80
効率性の分析
棚卸資産回転率
売上債 権回転 率
固定資産 回転 率
安全性の分析
流動比宰
94.87%
70.39%
232.69%
22101%
104.45%
231.11%
当座比率
負債比率
固定比率
固定長期 適合率
1995
一〇.94%
一〇zo%
4.7
1996
2.83%
0.59%
4.79
1997
一5%
一1.07%
.88
23.93
80,581
85,608
〉>s2
14.28
14.47
86,204
49,599
生産性の分析
85,994
有価 証券報告 書各 年度版より作成
一21一
1998'
一13 .51%
一zas%
1999
一4.20%
一〇ss%
4.67
4.91
4.94
8.76
12.72
2.24
8.16
11.52
8.28
1t28
2.32
2.23
8.4
11.16
2.14
8.28
10β
2.03
72.50%
46.20%
230.50%
211.30%
127.20%
79.30%
49.10%
216.30%
201.30%
117.50%
72.60%
44.80%
240.80%
217.90%
127.10%
69.10%
403眺
276.10%
243.90%
132%
ss.20x
36.30%
263.60%
242.90%
128.40%
一23.9
一ss
インル スト加ペレッジレシ才
成長性の分析
成長性の分析
付 加価値額(百万円)
13.38
13.18
1.78
12.69
11.46
1.77
効率性の分析
棚卸資産回転率
売上債権回転率
収益性の分析
17.32
7.85
2.oi
固定資産 回転 率
25.09%
2ss%
ase
生産性の分析
15.11
8.31
1.84
安全性の分析
流動比率
19.38
5.88
有価証券報 告書各 年度版より作 成
《伊勢丹 》
決算年度
7.23
一〇z2%
5.45
生産性の分析
一113
生産性の分析
付 加価値額(百万円)
一2.95%
一〇.34%
自己資本 利益率
売上高純 利益率
自己 資本回転率(回)
成長性の分析
成長性の分析
一株 あたりの利 益率(円
1999
《大丸》
1995
収益性の分析
自己 資本 利益 率
売上 高純利益 率
自己資本回転 率(回)
1998
一248 .14%
一12 .82%
一t27%
有価証券報 告書各 年度版 より作 成
《三越》
決算年度
1997
一21 .31%
1996
一1 .86%
成長性の分析
33.57
生産性の分析
付 加価値額(百万円)
1995
収益性の分析
10.63
35.08%
34.06%
8.05%
6.99%
785.86% 2081.26%
822.22% 1498.82%
844.96%
463.39%
《東急百貨 店》
決 算年度
一株 あた りの利益 率(円
一1 .9
生産 性 の分析
63,321
付加価 値額(百万 円)
5.6
ss,oサ
一9 .9
60,203
52,399
11,978
有価 証券報告書 各年度 版より作 成
そ ごう
《
連結貸借対照表》(単
決算年度
■
金
額
・比率
流動資産会計
当座資産合計
現金及び預金
受取手形及び売掛金
有価証券
棚卸資産
その他の流動資産合計
短期貸付金
その他の流動資産
貸倒引当金
固定資産合計
有形固定資産合計
償却対象固定資産
土地
建設仮勘定
無形固定資産合計
投資その他 の資産合計
投資有価証券
長期貸付金
その他の投資資産
貸倒引当余
資産合計
流動負債合計
支払手形及び買掛金
短期借入金
その他の流動負債
固定負債合計
社債
長期借入金
引当金合計
その他の固定負債
負債合計
資本合計
資本金
資本準備金
利益準備金
その他の剰余金
.自
己株式
負債・
資本合計
位 '百万円
1995
金額
構成比
iizoos
31.01%
100.00%
14.28%
ioo.ooss
3.01%
100.00%
1Q88%
1DO.00%
0.38%
100.〔X隅
3.95%
10a〔 〕(罵
13.07%
100.00%
12.09%
100.00%
ossgs
100.00%
-0.44%
10000艶
68.9_9961100.00%
16.65%
10aoO瓢
9.38%
100.00%
6.39%
100.00%
o.eass
10α00%
o.io%
100.00%
52.24%
100.00%
2.75%
10aoO瓢
46.79%
1αaoO瓢
13.64%
10aoO%
一10
.93%
100.00%
ioo.ooss
10aoo瓢
80.32%
10000%
7.67%
100.00%
67.24%
100.OD%
5.47%
ioo.oogs
8.5096 ioo.oo%
51,567
io,aee
39,30.5
1,374
14,276
47,227
43,6フ3
3,554
-1
,60.5
249,223
60,140
33,884
23,078
3.17fi
370
188,713
9,938
169,009
49,260
-39 ,496
361,229
290,751
27,709
242,894
19,546
30,699
zisoa
3,970
4,896
231
320,851
40,378
14,440
2t701
2,007
2,229
a
361,229
趨勢廿:
5.98%
ioo.ooss
1.10瓢
100.〔X胱
1.3696
ioo.oogs
0.asss
86.82%
itiass
4.0096
6.01%
0.56%
α62瓢
o.aogs
100.00%
100.00%
iw.ooss
100.00%
Boa〔x跳
10G.00%
100,096
10aoO箔
#DIV/0!
10aoO瓢
■
金額
1Q5.300
26,747
9,047
16,581
1,119
1996
構成比
28.63%
727%
z.as%
4.51%
0.30%
1α744
zszas
68,769
18.6996
61,952
t6.84%
α817
-960
1.85%
一〇
.26%
262,549
71.37%
70,993
19.30%
46,849
12.74%
24,085
6.55%
56
371
181,184
9,95フ
α02覧
a1眺
49.25%
2.71%
177,665
48.3D%
33,104
-29
,543
9.00%
一8
.03%
367,849
291,247
2tO88
252,262
17,894
36,012
21,600
842
418
550
327,259
40,590
14,440
21701
2,007
2,441
0
367,849
100.oo%
7918%
5.73%
68.58%
4.86%
9.79%
5.87%
z.aa%
1.34%
0.15%
88.97%
11.03%
3.93%
5.90f6
0.55%
D.6696
0〔X罵
100.00%
、%、%)
1997
1998
趨勢比
金額
構成比
趨塾比
94.01%
51.87%
83.09%
42.19%
81.44%i
75.26%1
145.61%
141.85%
191.81%
59.81%
105.35%
178.Q5%
138.26%
104.3696
1.76%
.100.27%
96.01%
100.19%
105.12%
67.20%
74.8096
10193%
100.38%
76.11%
103.86%
91.55%
117.3196
108,675
24,925
8,945
14,00fi
1,974
10,127
74,624
66,335
8289
-1 ,001
256,485
69,090
45,134
23,898
56
352
187,043
7,870
175,704
32,619
-29 ,513
365,160
309,809
15,646
282,798
41,362
14,129
0
8,369
4,787
973
323,939
41,221
14,440
21,701
2,007
3,072
0
365,160
2976%
97.03%
683%
48.3496
2.45%
82.15%
100.00%
225.24%
ioo.45覧
238.10%
102.00%
700.5396
ioo.ooss
100.00%
iw.oogs
109.51%
#DIV/01
101.83%
金額
1999
構成比
禮勢比
106,571
31.29%
95.15%
21,884
6.42%
42.44%
2.66%
sa.oess
3.66%
31.75%
9,046
3.84%
35.63%
0.54%
143.67%
2-77%
7α94%
9,785
20.4496
158.01%
8生140
18.17%
151.89%
79,924
23.4696
-2
iz.aao
358
2.27%
一〇27斑
233.23%
62.3796
4,216
-9
,238
70.2496
102.91%
234,055
D.1196
26.06%
2.87%
66.54%
247〔ns
178.16%
193.01艶
1.24%1
.71%
118.63%
575.58%
68.71%1
93.91%
金額
構成比
趨勢比
70,143
19,340
6,570
11,604
166
8,868
86,776
83,223
3,553
-aa .eai
95,768
42.28961
11.66%
3.96%
sssss
o.ioss
5.35%
52.30%
50.16%
2.14%
-2703%
62.62%1
37.50%1
60.34%1
29.52%
iz.osw
62.12%
183.74%
190.56%
99.97%
2793.83%
38.43%
57.72%
ies2ss
114.88%
66,660
19.57%
110.84%
64,021
38.59%
10a45艶
12.36%
133.20%
42,709
12.54%
12ao4%
4029可
24.28%
118.91%
6.54%
丁03.55%1
23,895
7.02%
103.54%
23,728
14.30%
102.82%
D.02%
1.フ6%
ω0瓢
51.22%
2.16%
48.12%
8.93%
一8 .0896
100〔X跳
sasass
4.28%
77.44%
11.33%
3.8796
95.14%
99.12%
7919%
103.96%
ssz2%
74.72%
ioi.osss
106.78%
56.47%
116.43%
21161瓢
46.02%
0.0096
210.81%
1.31%
97.77%
Q27覧
421.21%
86.71%'. 100.96%
11zsrsi 102.09%
3.95%
1ααoo%
5.94%
100.00%
0.55%
10aoo%
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137、82瓢
0〔牒
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100.00%
101.09%
o.oogs
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56
337
167.Q57
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174ρ57
32,258
-46
,691
340,627
312,925
ia.os2
zez.oiz
16,818
12,084
0
6,767
4,479
937
325,01D
issis
14,440
21,701
2007
-22 ,531
0
340,627
α02瓢
1.7696
o.ioss
91.08瓢
49.04%
86.52%
2.18瓢
7476%
51.1〔}瓢
102.99%
9.47%
一13
.71%
0
65.49%
118.22%
100.00%
94.30%
91.87%
107.8596
4.1496
50.86%
82.79%
116.10%
4.94%
8604飴
3.55%
39.36%
o.ooss
o.oogs
7.99%
17α45男
1.31%
91.48%
0.25%
362.34%
95.42%
101、3(耶
4.58%
38.67%
4.24%
ioo.ooss
6.37%
iw.oogs
0.5996
loaOO%
-6 .61% -101α81%
o.oogs #DIVノα
100.00%
94.30%
o.〔x遇
263
31,484
5,195
145,982
71.08%
18.98%
issa%
3.73%
52.27%
87.99%
30,965
-150
,660
86.38%
18.66%
一sosiss
165,912
276674
13,443
248,314
iasis
11,229
62.86%
381.46%
100.00%
45.93%
166.76%
95.36%
e.ioss
48.51%
149.67%
702.23%
8.99%
76.31%
6.77%
36.58%
o〔胱
o.oogs
3.58%
149.47%
2.37%
8015%
0.83%
592.64%
173.53%189.73%
0
5,934
3,924
可369
287,903
一121
α〔X漏
o.is%
一73 .53%1-302.12%
.991
14,440
21,701
a
-158 ,132
a
165,972
8.70%1100.00%
13.08%1100.00%1
0.oossio.oo%
一95 .31%1-7094.30%
o.oogs#DIV/a
100.00%145.93%
有価証券報告書各年度版より作成
{連 書益計算書》
1995
1996
・
上
766.999
も
上1
の
宮
131.6
退職給与引当金繰入額
地代家賃
の
△冒
受取利息・
配当金
の
△曇
支払利息 ・
社債利息
の
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資産処分益
の のI
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の のI
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1
100.00瓢
78
35.376
の歯
100.00覧
1.723
1.00路
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5.33瓢
100.00覧
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100.00瓢
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22.63覧
一3
,12瓢
100.CO瓢
7,921
474覧
10D.oo瓢
5.048
3.02瓢
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1フ
100.00瓢
42.3
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4.111
37,797
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,208
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10.fi
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100.00瓢
6,36瓢
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467覧
100.00覧
1,69瓢
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一7910
17678
10.59%
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100.00覧
14.995
683
5
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3.26%
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100.00%
57
4.317
787
7.568
5.099
197.416
145.665
45.751
1.781
46.380
421
5.401
40.558
1148
sssi
3.729
3.25
7.775
5.796
1379
354
246
246
0
237
109
a
128
363
152
0
211
100.00覧
7610瓢
23-90瓢
0.93%
2423覧
α22馬
2.82覧
21.19覧
060瓢
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195瓢
1.70瓢
4.06%
3.03覧
1.03瓢
018覧
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0
α12瓢
006鶉
Q(鵬
QO7瓢
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1997
181292
100.(X罵
108.56瓢
110.67%
137.683
75.95%
104.60%
129.33%
43.069
23-76瓢
121.75覧
103.37%
109.64瑞
1,678
44.633
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131.38%
10フ.30%
一22
.04%
0.93%
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572
0.32%
5,362
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38.699
21.35%
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1Q5.51%
145.18覧
13Q43瓢
0.36%
102.39瓢
一12
.48瓢
86.13%
6.157
3.40%
77.73%
73.8796
2,653
1.46%
52.56%
3.504
1.93%
121.96%
73.20%
6.30fi
3.4896
59.37%
74.29%
5.246
2.89%
67-24瓢
7018瓢
一a
.asss
竃060
0.58%
37.59%
一6 .37%
1.39%
2.569
113.19%
1.64%
650
504
o.zsss
1.42%
301
o〔x跳
2.268
4.35%
2.351
5.61%
931
a17麗
o.oogs
0
14.53%
2.0編
1.25%
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1.3096
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0.51%
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47.89%
Q〔x罵
49.81%
1,420
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552.53%
8.41%
720
040瓢
16.68%
19.31%
90
QO5瓢
11.44%
0.00%
Qoo瓢
o.oogs
4.14%
0
630
0.35%
(単位=百 万 円 、%%)
1999
1998
114.62%
12.36%
166.025
125.685
40.367
1.911
41.85fi
655
5.5Q5
35,696
419
6.366
2.367
3999
s.iio
5.114
996
676
278
8
270
zs,as2
0
25,800
632
-25 .477
127
0
-25 ,604
ioo.ooss
99.42%1
155,1211100.00%
95.49%1
117,496175
75.70%1
2431瓢
1.15瓢
106.3696
110.91%
2,0.53i1.32%
119.15%
9895瓢
39,225125.29%
α39覧
了66.24%
3.32瓢
133.9196
21.50%
33,455121.57%
σ25瓢
3.紹 鶉
80.3フ 勝
5,67913.66%
1-43瓢
46.89%
2.62311.69%
2.4!鴨
139.19瓢
3,68瓢
57.52%
561213.6296
3.08覧
65.55%
4.43212.8696
060艶
35.32%
一8
.55%
α17瓢
5,00413.23%
2,36411.52%
15.54%
794.58%
45.91%
一590 .16%
α08瓢
Q〔X端
一15
.4296
145413193
o.oo3s
0.38%
一15 .35%
56.81%
x.55%
41.6896
33.37%
88.71%
.74%
2669.11%
2.5796
4330.15%
4,76313.07%
1853.31%1
一3185
.68%1
一137,5261-88.66%
8210.05%
一137
証
22
52.83%
41.84%
140,60D(90.64%
o.ooss
.74%1
51.96%
5010.03%
16.14%
-502
71.70%
106.37%
51810.33%
フ368475%
α00瓢
一8.64%
1180Q76瓢
QO5瓢
485.17%
86.51%
3056i1.97%
1.5796
α16晃
87.56%
131.96%
450Q29瓢
10.06%
QOO覧
92.73%
345〔122覧
5.425i3.50%
94,44%
一8 .0.5%
15.92覧
89.27%
3_7,625124.26%
25.21%
Q41瓢
92.89%
.74%
114.11%
10.42%
OiO.00%
o.ooss
-2698
,6081-88.71%
ロ
sよ
り
.73%I
三越
《達 結 貸 借 対 照 表 》
決算 年度
(単 位:百
1995
.
構 成比
金 額 ・比 率
流 動資産合 計
当座資産 合計
現金及び預 金
受取手形 及び売掛 金
有価証 券
棚卸資 産
その 他の流 動資 産合計
貸倒 引当金
固定 賓産合計
有形 固定資 産合計
建 物・
構 築物等
建 設仮勘定
無形固定 資産合計
投資そ の他の 資産合 計
投資有 価証券
破産再 建・
更 正債権
長期前 払費用
敷金・差 入保証金
貸倒引 当金
繰延 資産
為替 調整勘 定資産
資 産合計
流 動負債合 計
支 払手形 及び 買掛 金
短 期借入 金
その 他の流 動負債
固定 負債合計
社債
長期 借入金
引 当金合計
そ の他の 固定 負債
少 数株キ持 分
負 債合計
資 本合計
資 本金
資 本準備 金
連 結剰余 金
自己株 式
負債-資本 合計
zssssz
139,657
34,096
構成比
趨勢 比
金額
構 成比
40.08%
91.43%
195,069
31.22%
108,641
17.39%
ioo.oo%
244,099
108,359
23,791
72,127
12,441
68,381
71,701
-4 ,342
361,683
234,915
231,186
3,729
6,310
120,458
10D.00%
127,615
20.95%
10D.00%
22.77%
100.00%
ioo.oo%
74,454
31,107
12.14%
66,412
65,780
-4 ,866
342,205
223,571
219,299
4,272
szos
112.42fi
114,793
D
a
a
-2 ,367
7
4,099
613,292
429,086
58,663
216,922
153,501
104,024
12,015
53,283
34,150
4,576
10.83%
100.OO%
10.73%
一〇.79%
100.00覧
1,056
534,166
79.12fi
37,404
33,572
8,154
-3
613,292
5.07覧
100.00%
ioo.ooss
100.00%
55.80%
36.45%
35.76%
0.joss
i.oi%
18.33%
18.72%
o.oo%
o.oo%
o.ooss
-0 .39%
0.00%
067%
10000%
69.96%
9.57%
35.37%
25.03%
16.96%
1.96%
8.69%
5.57%
0.75%
017%
87.10%
12.90%
6.10%
10000%
5.47%
1.33%
000%
100.00%
100.00%
ioo.oo%
100.OO覧
100.OO覧
ioo.ooss
=
一
100.00瓢
100.00%
100.00%
100.00%
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0
0
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609,043
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108,874
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12,015
122,757
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7,739
1,506
533,889
75,143
37,404
33,572
4,170
-1
609,043
77.59%
69.78%
96.87%
39.99%
102.96%
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89.23%
105.69%
105.07%
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87.29%
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107.14%
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17.79%
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11.84%
2.04%
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11.77%
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38.57%
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12.34%
6.14%
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0.68%
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302.37%
57.14%
79.46%
99.31%
82.94%
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89.27%
70.93%
169.66%
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230.39%
99.49%
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142.61%
99.95%
94.97%
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51.14%
33.33%
99.37%
1998
1997
「
金額
43.53%
5.56%
lass
-
趨勢 比
趨勢 比
73.06%
77.79%
69.4296
98.98%
36.26%
96.39%
39.74%
76.59%
124.50%
106.96%
108.26%
3.79%
23,671
フ3,691
11.79%
11,279
1.81%
64,016
10.24%
26,139
-3
,72フ
一〇一6096
4.18%
426,033
239,130
237,405
.1,725
6,334
180,569
31,793
49,045
6,193
100,051
-6 ,513
540
3,218
624,860
353,380
57,153
188,713
109,969
68.18%
38.27%
37.99%
40.38%
102.03%
160.61%
27.70%
ozs%
1.01麗
28.90%
5.09%
7.85%
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16.01%
一1
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235,183
12,015
145,332
69,468
8,368
2,895
591,458
33,401
37,404
33,572
-37 ,572
-2
o.os%
051%
100.00%
56.55%
9.15%
30.20%
17.60%
37.6496
1.92%
23.26%
11.12%
1.34%
0.46%
94.65%
5.35%
5.99%
5.37%
一6
.01瓢
OOO粥
100.00%
624,860
金額
187,042
115,523
38,514
67,709
9,301
57,600
16,943
-3 ,024
378,572
255,280
252,090
3,190
6,374
116,918
6.76%
1.63%
10.11%
2.97%
一〇
.5396
66.46%
162,533
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18.28%169.67%
25,072
4.71%173.53%
11.88%184.95%
1.69%128.88%
940%175.35%
3.35%127.15%
一〇.50%154.95%1
68.28%
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46.36%
44.26%
114.95覧
246,036
46.22%
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74.67%
1.12%
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一9 .15%
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83.86%
63.17%
9.35%
90.81%
92.29%
35.15%
69.28%
18.67%
33.01%
180.78%
55.72%
1.18%
24.28%
259.54%
101.24%
6.07%
185.58%
1.49%
046%1250.28%
96.65%1103.06%
3.35%124.12%
85,028
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532,295
285,468
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133,118
103,126
217,367
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172,054
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10,605
3,226
506,061
26,234
37,404
33,571
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5.89%1100.00%
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資産処 分損
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53.6396
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32.32%
5.26%
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95.07%
4.93%
7.03%
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一
2229.11%
3900.00%
147.52%
86.79%
66.53%
83.9096
61.37%
67.18%
208.96%
55.7296
322.91%
82.02%
231.75%
305.49%
94.74%
33.15%
100.00%
6.31%
100.00%
一8 .4196
一548 .69%
0.oo%
ioo.ooss
33.33%
86,79覧
%)
1.018.135
732.933
支 払利息・社債利 息
の
o.ooss
15.97%
一9
.91%
101.03%
98.17%
23.8096
有 価証券 報告書各 年度版より作成
《運結損 益計算書》
受取利 息・配当金
資産 処分益
の
106.21%
110.39%
112.19%
17.72%
0.14%
50,782
124%
15.95%
趨勢比
30.53%160.88%
114.18%
3.81%
■
構 成比
44.82%
20.53%
569,598
余額
63,250
90.94%
8,984
29.90%
50,043
86.73%
25.7696
17,857
-2
62.15%
,674
110.63%
363,440
11.89%
21,693
49,408
7,087
90,823
-52 ,093
275.16%
7714.29%
392
78.51%
3,592
101.89%
569,598
82.36% 359,816
97.43%
53,269
87.00%
200,201
71.64%
106,346
226.09%
188,052
ioo.ooss
6,695
272.75%
138,291
203.42%
34,573
182.87%
8,492
274.15%
2,643
110.73% 550,512
42.21%
1908フ
ioo.oo%
37,404
100.00%
33,572
一460 .78%
-51 ,887
-1
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101.89%
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112.96%
20.28%
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-
フOO6覧
32.84%
万 円 、%、%)
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.
趨勢 比
構 成比
274.630
10.572
11020
3.946
54
7.020
14.994
10,288
4.707
6.598
51
51
0
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5.178
156
314
4,223
228
100.OO%
700.OD%
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100,00%
034.19fi
743.065
91,131
273.738
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8.718
5,919
100.00%
100.00%
100.00瓢
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100.00%
100.00%
100.14%
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99.59%
84.0
101.45%
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51.14%
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82.78%
1.332
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99.98%
1.017.950
343
6.74
12995
7.930
5.065
13.115
304
304
7.447
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100.00%
100.00覧
100.00%
goo.oo%
10D.0096
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8.426
6.570
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4993
6.850
iii
87
327
106.0896
6.353
61.75%
4.062
86.30%
4.113
62.34%
8.944
229
157.97%
126.88%
1189.74%
379.98%
162.21%
75.00%
43.94%
173.01%
635.19%
69.46%
1D.415
8.715
100.OO覧
33、76斑
50.080
5.296
44.783
-37
.023
3.029
-195
37
107
973.92fi
704.880
269.046
270.269
-1 .223
7.296
630
17537.25%
449.02%
95.66%
96.17%
94.34%
98.41%
一11
.57%
66.2196
15.97瓢
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8.047
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4.208
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11,438
152
18.63fi
7.761
10.874
-11 .670
1.385
-293
119
1.45fi
94.96%
フ1.34%
63.0796
89.40%
一70
-08瓢
22725.49%
22427.45%
349.38%
149.88%
6970.51%
一888
.13%
32.80%
一128 .51%
60.10%
189.83%
7.468
11.296
6.290
5.004
8.156
35.950
35,275
spa
3452
3.707
31.245
9.153
2.505
-24
655.27%
71.59%
20028.85%
696.58%
59.32%
一70 .53%
O.oar
o.ooss
有価 証券報告 書各年度 版より作 成
23
伊勢丹
《
連結 貸借対照表》(単
■
決算年度
金額・
比率
流動資産合計
当座資 産合計
現金及び預金
受取手 形及び預 金
有価証 券
棚卸資産
その他の流動資産合計
貸倒引 当金
固定資産合計
有形固定資産合 計
償却対象固定資 産
土地
建設仮勘定
無形固定資産合計
連結調整勘定
投資その他 の資産合計
投資有価証券
長期貸付金
その他の投資 資産
貸倒引当金
為替調整勘定姿産
資産合計
流動負債合計
支払手形及び買掛金
短期借入金
その他の流軌.負債
固定 負債合 計
社債
長期借入金
引 当金合計
その他の固定負倍
少数株主持分
負債合計
資本合計
資本金
資本準備金
連結剰余金
自己株式
負債・資本合計
位
:百万円、%、%)
199511996
余額
185,523
136,732
41,497
68,405
26,830
37,599
13,674
-2 ,485
308,860
159,528
94,952
57,439
7,136
8,699
a
140,632
51,807
27,597
80,615
-19 ,389
696
495,080
243,410
54,030
130,248
5フ,008
126,940
39278
58,100
23,フ01
5,859
8,031
378,382
116,698
34,823
41,492
40,383
-1
495,080
構成比
趨勢比
■
1997
金額
構成比
縞 勢比
37.45%
62.39%
100.00%1185,151
100.00%
138,630
100.00%
47,365
100.00%
78,348
100.00%
12,917
100.OD%
35,514
ioa.00%
13,008
-2 ,003
ioo.ooss
100.00%
305,919
99.80%
101.39%
114.14%
114.54%
48.14%
94.45%
95.13%
80.60%
99.05%
32.22%
100.0眺
161,994
32.77%
701.55%
19.18%
ioo.oo%
105,246
21.29%
110.84%
11.60%
可00.00%
56,734
11.48%
98.77%
o.oo%
0.17%
37.47%
27.62%
8.38%
13.82%
5.42%
7.59%
2:76%
一〇.50%
1.44%
100.00%
1.76%
o.ooss
100.00%
12
8,616
a
2.61%
7.18%
2.63%
一〇.47%
6188%
0.00%
135,309
27.37%
100.00%
53,359
10.79%
100.00覧
34,684
7.02%
ioa.00%
76」49
-28
,883
15.40%
一5 .84%
O.67%
ioo.oo%
50.59%
5.5796
16.28%
一3
.92%
100.00艶
100.OD%
ioo.oo%
iao.oo%
1DD.0096
100.00%
100.00%
10000%
7.03%
100.00%
8.38%
100.OO覧
8.16覧
100.00%
o.oo%
10000%
3,335
494,406
250,177
56,447
141,611
50,337
115,972
34,268
60,874
15,101
5,728
8,539
374,629
119,788
34,829
47,497
43,453
-2
100-oo%
494.40fi
ioo.ooss
100,00覧
100.00%
10000瓢
10D.DO%
100.00%
100.00%
100.00%
15.85%
100.00%
10.46%
0.14%
100.OD%
491フ%
10.91%
26.31%
11.51%
25.64%
7.93%
11.74%
4.79%
i.is%
1.62%
76.43%
23.57%
9.58%
1.74%
-
28.47%
28.04%
金額
99.05%
224,705
177,037
96,145
72,274
8,617
35,439
14,494
-2 ,265
294,652
160,038
103,206
56,562
zss
7,958
a
126,656
44,129
36,657
76,587
-30 ,720
6,915
526,273
250,682
50,808
142,903
54,512
146,651
60,085
64,726
16,185
5,653
9,211
406,545
119,728
一
11.42%
96.21%
103.00%
725.68%
94.46%
148.97%
479.17%
99.86%
102.76%
104.47%
108.72%
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1998
構成比
趨勢比
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構成比
趨塾比
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5:351
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-1 ,722
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isi.iso
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-1
480,572
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趨勢比
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100.00%
有価証券報告書各年度版より作成
《
連結損益計 算書》
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(単 位:百 万 円 、%、%)
1995
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72.577
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5.816
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6,004
1,358
z.iso
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一〇
.04%1-60.87%
o.oo%iooo%io.oo%
0.56%1-10.14%
有価証券報告書 各年度版 より作成
24
東急百貨店
(単位:百 万 円,%,%)
22.0396
18.36覧
4.98弘
7.62×
8。90覧
5.5幅
7.70覧
§.68弘
6.4196
6.16覧
z.ozz
O.73×
1.29'K
-0 .15覧
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0.00覧
2.6396
-O .55覧
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1a95弘
2t12鮪
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無形固定資産合計
投資その他の資産含計
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0.68弘
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9.70曳
10.24×
4.20覧
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-3 .58X
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O.68%
一12.3096
0.001
その他の剰余金
負債 ・
資本合計
100.00%
版 より作
(単位:百 万円,%,%)
《連結横益計算書》
金
365.690
116.294
2.11×
0.34%1100.0096
0.92%100.OOR
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O.oox100.ooz
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913
591
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11
7,512
7.085
1,689
724
4.682
12.221
7,971
168
94
3.988
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O.8396
1.4491
0.ooz
18
3.898
益又は
o.oox
53.30×
12.51覧
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83.00'K
o.oox
78.26覧
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10,371
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750.76%
1317.79×
4.748
na
11
3.959
10611
6,320
76
4.222
-346
0.03%1100.00%
goo.oox
O.23%1100.00%
9.143
7,323
1.820
0.8fi'K 375.53X
-221覧
-744 .4496
39フ0
584
一〇
.138
-0
.34X
-709
-i ,iss
69.83%
o.oox
330.43覧
一1
-15
,380
一〇22覧
一zssx
0.00覧
56.17×
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0
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61
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62.OOR
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0.0096
0.00瓢
51.73X
4.674
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789
100.00鴨
o.oox
-o .iarc
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35.79×
613
2.445
71.39%
一10.47%
9,255
益
3.059
45.42'K
O.239f
90.95×
-62 .476
3588.5191
版より作
25
大丸
《
連結貸借対照表》(単
1決算年度
金額・
比率
流動資産合計
当座資産合計
現金及び預金
受取手形及び預金
有価証券
棚卸資産
その他の流動資産合計
前渡金・
前払費用
その他の流動資産
貸倒引当金
.固定資産合計
有形固定資産合計.
償却対象固定資産
土地
建設仮勘定
無形固定資産合計
投資その他の資産合計
投資有価証券
長期貸付金
その他の投資資産
貸倒引当金
達結碧製勘定
為替調整勘定登産
資産合計
流動負oat
支払手形及び買掛金
短期借入金
その他の流動負債
固定負債合計
社債
長期借入金
引当金合計
その他の固定負債
少数株主持分
負債合計
資本合計
資本金
資本準備金
連結剰余金
自己株式
負債・
資本合計
位:百万円、%、%)
1995
金額
構成比
172,564
117,809
38,007
79,399
463
39,779
16,417
1,344
15,073
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206,714
108,344
67,477
40,666
200
2,982
95,387
34,225
9,644
55,005
3,487
578
334
380,191
232,608
80,363
85,928
66,314
73,822
40,712
19,563
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金額
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1999
構成比
趨勢比
41.10%
金額
構成比
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0.66%
1.266
0.15%1-827.45%
2.879
0.37%
.0096
350
-1 .349
-1iii
30
O.OD%1150.00%
62
0.01%121.53%
一〇.14%1372.82%
309
23
o.oa%ias2%
0〔x跳
a
0〔x隅
O
o.〔胱
2.263
証
26
1.86瓢
98.84%
96.55%
105.86%
102.69%
197.33%
74.86%
77.33%
73.61%
135.29%
79.36%
o.〔胱
o〔 蹄
0.29%
ロ
115.00%
33.83%
's.
より
財務諸表の鳥鰍分析
そ ごう
連 結貸 借 対 照 表
全 体 と して こ こ5年
し、1999年
間 に お い て 、 趨 勢 比 値 で 見 る と総 資 産 は 減 少 傾 向 に あ る 。 た だ
の 倒 産 の 準 備 で 、 半 分 以 上 に 減 少 して い る こ と に は 留 意 して お く こ とが 必
要 で あ る。次 に、個 別 に見 て い くこ とにす る。
流 動 資 産 に つ い て は 、 当 座 資 産 の 大 幅 な 減 少 に よ っ て 、 趨 勢 比 値 で 、100%か
62.62%に
ら
ま で 減 少 して い る 。 固 定 資 産 に つ い て は 、投 資 有 価 証 券 の 減 少 、 貸 倒 引 当金
の 多 額 の 計 上 に よ っ て 、 趨 勢 比 値 で 、100%か ら38.43%に
まで 減 少 して い る 。 これ は 、
不 良 債 権 の 表 れ と言 え る 。ま た、 こ れ は 、補 足 だ が 、1995年 の 建 設 仮 勘 定 の 多 い の は 、
神 戸 大 震 災 に よ り影 響 を 受 け た 、 店 舗 改 築 の た め で あ る 。
流 動 負 債 に つ い て は 、 支 払 手 形 及 び 買 掛 金 の 減 少 が 目立 つ も の の 、 全 体 と して は 、
5年 前 と比 べ て 大 きな 変 化 は な い 。 固 定 負 債 につ い て は 、1997年
て 、 趨 勢 比 値 で100%か
ら36.58%に
の社債 の償 還 に よっ
ま で 減 少 して い る 。
資 本 の 部 に つ い て は 、そ の 他 の 剰 余 金 の 大 幅 な マ イ ナ ス に よ っ て 、趨 勢 比 値 で100%
か ら-302.12%に
ま で 減 少 して い る 。
連 結 損 益 計 算書
売 上 高 は、 こ こ5年 間 減 少 傾 向 に あ り、 趨 勢 比 値 で100%か
ら92.89%に
まで 減 少 し
て い る 。 しか し、 そ れ 以 上 の 売 上 原 価 の 減 少 が 見 られ る た め に 、 売 上 総 利 益 は 増 加 傾
向 に あ る 。 さ らに 、 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 の 減 少 、 有 価 証 券 や 社 債 の 減 少 に よ り経 常
利 益 も黒 字 で あ るが 、 貸 倒 引 当 金 の 多 額 の 計 上 に よ る 特 別 損 失 の額 が 大 き くな り当期
純 利 益 の レ ベ ル で は マ イ ナ ス に な って い る 。
伊 勢丹
連 結貸 借 対照 表
全 体 と して 、 こ こ5年 間 総 資 産 は 、 ぱ らつ きは あ る も の の 減 少 傾 向 に あ り、 趨 勢 比
値 で100%か
ら97.07%に
な っ て い る 。 次 に個 々 につ い て 見 て い く こ と に す る 。
流 動 資 産 に つ い て は 、全 体 と して こ こ5年 間 減 少 傾 向 に あ り、趨 勢 比 値 で100%か
84.80%に
ら
まで 減 少 して い る。 内訳 に つ い て 見 て み る と、 だ い だ い と して は 全 体 と同 じ
変 化 を して い る が 、受 取 手 形 ・
売 掛 金 は 趨 勢 比 値 で94.84%と
有 価 証 券 は 趨 勢 比 値 で57.30%と
中、 趨 勢 比 値 で103.36%と
他 と比 べ て 大 き く、ま た 、
半 減 して い る 。固 定 資 産 に つ い て は 、総 資 産 の 減 少 の
増 加 して い る 。 中で も、 有 形 固定 資 産 の 伸 び が 大 き い 。 ま
一27
た 、 金 額 的 に は 小 さ い も の の 無 形 固 定 資 産 も増 加 して い る 。 さ らに 長 期 貸 付 金 は 、 こ
こ5年 間 減 少 して い っ て い る 。 ま た 、1998年
の建 設仮 勘定 の増加 は、 組織 の再整 備、
海 外 店 舗 の オ ー プ ン等 の た め で あ る 。
流 動 負 債 につ い て は 、趨 勢 比 値 で100%か
ら68.12%と
減 少 の 幅 が 大 きい 。 中 で も短
期 借 入 金 が 趨 勢 比 値 で 半 減 して い る 。 固 定 負 債 に つ い て は 、 趨 勢 比 値 で100%か
126・98%と 増 加 して い る 。な か で も、社 債 ・転 換 社 債 が 趨 勢 比 値 で100%か
ら
ら203 .89%
と大 き く増 加 して い る 。
資 本 の 部 に 関 して は 、 全 体 と して 趨 勢 比 値 で100%か
る 。 これ は 、 連 結 剰 余 金 が こ こ5年
ら123.78%に
ま で 増 加 して い
間増 加 傾 向 に あ る か らで あ る 。
連結 損 益 計 算書
売 上 高 は 、い っ た ん増 加 は した も の の 、再 び 減 少 して い る 。売 上 原 価 が1999年
あ ま り抑 え る こ とが で き な か っ た た め、売 上 総 利 益 は 趨 勢 比 値 で98.94%と
には、
減 少 して い
る 。 しか し、 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 が減 少 した た め 営 業 利 益 は 、 趨 勢 比 値 で103 .86%
と増 加 して い る。 営 業 外 収 益 に 関 して は 、 前 期 ま で 高 か っ た が 、 当 期 に は 減 少 して い
る 。 営 業 外 費 用 は こ こ5年 間 減 少 傾 向 で あ る 。 こ の こ とか ら、 経 常 利 益 が や や 減 少 し
た 。ま た、前 期 ま で 増 加 傾 向 に あ っ た 、特 別 利 益 ・特 別 損 益 と も に趨 勢 比 値 で40 .92%、
10・24%と 大 幅 に 減 少 して い る 。最 後 に 、 こ こ2年 間 は 、 子 会 社 の 営 業 の 悪 化 に よ り少
数 株 主 持 分 が 、 減 少 して お り、 連 結 ベ ー ス で の 当期 純 利 益 を 小 さ くす る よ う に働 い て
い る。 だが 、伊 勢 丹 は、毎 期 ほぼ 一定 の利 益 が 出て い る。
大 丸
連 結 貸借 対照 表
全 体 と して 、 総 資 産 は1997年
転 じて お り、 趨 勢 比 値 で100%か
ま で 増 加 して い た が 、1998年
ら103.85%に
、1999年
と減 少傾 向 に
な って い る 。 次 に個 別 に見 て い くこ と
にす る。
流 動 資 産 に つ い て は 、1997年 ま で 減 少 傾 向 に あ っ た が 、1998年 、1999年 に か け て 大
き く減 少 し、 趨 勢 比 値 で100%か
ら88.55%に
まで 減 少 して い る 。 中 で も、 当 座 資 産 と
棚 卸 資 産 が と も に減 少 して い る 。特 に 老 の 中 で も、有 価 証 券 が 、0に な っ て い るの が 特
徴 的 で あ る 。 固定 資 産 に つ い て は 、 減 少 は して い る も の の 、 以 前 趨 勢 比 値 で116 .84%
と多 い 。 内 訳 に つ い て 見 て い く と、 有 形 固定 資 産 の 増 加 が 目 立 っ て い る 。 ま た、 金 額
的 に は 小 さ い も の の 建 設 仮 勘 定 や 無 形 固 定 資 産 も増 加 して い る 。 さ ら に、 長 期 貸 付 金
も趨 勢 比 値 で277.82%と
大 幅 な増 加 を見 せ て い る 。 ま た 、1996、1997年
の 多 い の は 、 そ ご う と 同 じ く神 戸 大 震 災 の 影 響 で あ る 。
一28
の建設 仮勘定
流 動 負 債 に つ い て は 、 全 体 的 に も、 内 訳 的 に も減 少 して お り、 ど れ も ほ ぼ 、 趨 勢 比
値 で100%か
ら90%程
度 に減 少 して い る 。 た だ 、 短 期 借 入 金 の 減 少 の 幅 が 大 き い 。 固
定 負 債 に つ い て は 、1998年 、1999年
と大 き く増 加 して い る 。 こ れ は 、 社 債 ・転 換 社 債
は 減 少 した も の の 、 長 期 借 入 金 が 、 趨 勢 比 値 で382.73%と
増 加 して い る た め で あ る。
資 本 の 部 に 関 して は 、 こ こ5年 間 大 きな 変 化 は な い 。
連結 損 益 計 算書
売 上 高 は 、1997年 ま で 伸 び て い た が 、1998年 、1999年 と減 少 傾 向 に あ る。た だ、1999
年 に 関 して 言 え ば 、 売 上 原 価 の 押 さ え もで きて い る た め 、 売 上 総 利 益 は5年
前 よ りも
高 くな っ て い る 。さ らに 、販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 も抑 え られ て い る た め 、営 業 利 益 は 、
趨 勢 比 値 で100%か
ら197.33%と
方 、 営 業 外 費 用 は い っ た ん1998年
増 加 して い る 。 次 に 、 営 業 外 収 益 が 減 少 して い る 一
に減 少 した も の の 、 再 び増 加 した た め 、 経 常 利 益 の
増 加 が 抑 え られ る こ と とな っ て い る 。 ま た 、 相 変 わ らず 、 特 別 利 益 、 特 別 損 益 は 多 く
計 上 され て い る 。 しか し、営 業 利 益 の伸 び が 響 い て 、1996年 か ら1998年
の利 益 の減 少
傾 向が、 打破 され てい る。
三越
連結 貸借 対 照表
全 体 と して 、 こ こ5年 間 総 資 産 は 減 少 傾 向 に あ り、 趨 勢 比 値 で100%か
ら86.79%へ
と減 少 して い る。 次 に 個 別 に 見 て い くこ と に す る 。
流 動 資 産 に つ い て は 、全 体 と して 、 こ こ5年 間 減 少 して お り、趨 勢 比値 で100%か
60.88%に
う
減 少 して い る。 そ の 内 訳 と して は 、 当座 資 産 の 減 少 が 大 き い 。 さ ら に細 か く
見 る な らば 、有 価 証 券 が 趨 勢 比 値 で100%か
ら28.88%と
大 幅 に減 少 して い る。 固 定 資
産 に つ い て は 、 有 形 固 定 資 産 の 増 加 に よ っ て 、 全 体 と して 、5年
る 。 た だ 、 そ れ 以 外 に投 資 有 価 証 券 の 、趨 勢 比 値 で23.80%へ
前 よ り も増 加 して い
の 減 少 や 、建 設 仮 勘 定 の
減 少 傾 向 が 見 られ る 。
流 動 負 債 に つ い て は 、短 期 借 入 金 の 趨 勢 比 値 で61.37%へ
趨 勢 比 値 で66.53%に
減 少 して い る 。 固定 負 債 に つ い て は 、社 債 ・転 換 社 債 は 減 少 した
も の の 、 長 期 借 入 金 の 趨 勢 比 値 で322.91%へ
208.96%に
の 減 少 も あ り、全 体 と して 、
の 増 加 に伴 い 、 全 体 と して 趨 勢 比 値 で 、
ま で 増 加 して い る 。
資 本 の 部 に 関 して は 、 連 結 剰 余 金 の マ イ ナ ス の 値 に よ り、 趨 勢 比 値 で100%か
33.15%に
ら
ま で 減 少 して い る。
連 結 損益 計 算 書
売 上 高 は 、 こ こ5年 間 減 少 傾 向 に あ り、趨 勢 比 値 で100%か
一29一
ら94.02%に
まで減 少 し
て い る 。 売 上 原 価 も減 少 は して い る も の の 、 全 体 と して 減 少 傾 向 の 中 に あ る た め 、 売
上 総 利 益 は 減 少 して い る 。 ま た 、 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 に つ い て 見 れ ば 、 そ れ に 関 す
る 費 用 が 、 低 く抑 え られ て い る た め 、 営 業 利 益 は 、 趨 勢 比 値 ベ ー ス で は 、107.89%と
増 加 して い る 。 次 に、 営 業 外 収 益 、 営 業 外 費 用 に 関 して は 、 毎 期 営 業 外 収 益 よ り多 い
た め 利 益 を 圧 迫 す る こ と とな っ て い る 、 さ らに 、 特 別 損 益 は 、 い ま だ 、 多 額 に 計 上 さ
れ て い る 。 ま た 、 特 別 利 益 は 、1999年
に 多 額 に 計 上 さ れ て お り、 そ の 結 果 、 当期 利 益
を、 よ うや く前 期 の マ イ ナ ス か ら プ ラ ス に転 じさ せ て い る 。
東急 百貨店
連 結貸 借 対 照 表
全 体 と して 、こ こ5年 間 、総 資 産 は 、増 加 傾 向 に あ り、趨 勢 比 値 で100%か
ら107.76%
に ま で 増 加 して い る 。 次 に 個 別 に つ い て 見 て い くこ と に す る 。
流 動 資 産 につ い て は 、 総 資 産 の 増 加 の 中、 趨 勢 比 値 で100%か
ら81.34%と
減 少 して
い る 。 中 で も 、 当 座 資 産 が 全 体 と して 減 少 し て い る 。 ま た 、 棚 卸 資 産 も趨 勢 比 値 で
77.27%に
減 少 して い る 。 固 定 資 産 につ い て は 、 有 形 固定 資 産 の 増 加 、 特 に 土 地 の 増 加
に よ る、 趨 勢 比 値 で123.63%へ
体 と して 、 趨 勢 比 値 で122.16%に
比 値 で13.14%に
の 増 加 や 、 投 資 有 価 証 券 の114.60%の
増 加 に伴 い 、 全
増 加 して い る 。 た だ 、 長 期 貸 付 金 に つ い て は 、 趨 勢
ま で 減 少 して い る 。 ま た 、1998年
の建 設仮 勘定 の増 加 は、 イ ンター
ネ ッ トを 活 用 した ネ ッ ト事 業 の 整 備 の た め で あ る 。
流 動 負 債 につ い て は 、 短 期 借 入 金 の 趨 勢 比 値 べ 一 ス で 、132.25%へ
全 体 と して 、125.36%に
増 加 して い る 。 固 定 負 債 に つ い て は 、 社 債 ・転 換 社 債 が1996
年 の 償 還 以 来 発 行 が行 わ れ て い な い た め4.99%と
比 値 で180.78%に
の 増 加 に よ り、
少 ない 一方 で、 長期借 入 金 が、趨 勢
ま で 増 加 しい て い る 。
資 本 の 部 に 関 して は 、 そ の他 の 剰 余 金 が 、 マ イ ナ ス の 値 を と っ て い る た め 、 趨 勢 比
値 で62.92%と
減 少 して い る 。
連 結損 益 計 算 書
1998年
に 減 少 は した も の の 、1999年
に再 び 、 売 上 高 は 増 加 して い る。 そ の 一 方 で 、
売 上 原 価 は 抑 え られ て お り、 売 上 総 利 益 は 増 加 して い る 。 だ が 、 販 売 費 及 び 一 般 管 理
費 が 、 抑 え られ て い な い た め 営 業 利 益 は 、 以 前 と比 べ 減 少 して い る 。 次 に 、 営 業 外 収
益 に つ い て は こ こ5年 間 減 少 して い る もの の 、 営 業 外 費 用 の 減 少 が 、 そ れ よ り も小 さ
い た め 、 経 常 利 益 は マ イ ナ ス に な っ て し ま っ て い る 。 しか し、 特 別 利 益 を 多 額 に 計 上
す る こ と に よ っ て 、 当期 利 益 を プ ラ ス に 変 化 さ せ て い る 。
ま とめ
一30一
以 上 の こ とか ら、 こ こ に あ げ た5社
に つ い て 総 合 的 に 見 て み る と、 大 体 総 資 産 は 減
少 傾 向 に あ り、そ の 内 訳 と して は 、有 価 証 券 や 棚 卸 資 産 の 減 少 が 目 立 っ て い る 。一 方 、
固定 資 産 に つ い て は 、 や や 、 増 加 傾 向 に あ る 。 ま た 、 負 債 の 部 に つ い て は 、 短 期 よ り
も 長 期 の 借 入 金 が 目 立 っ て お り、 企 業 が 短 期 よ りも 長 期 的 な 投 資 を 行 な っ て い る こ と
が 推 測 さ れ る 。 ま た 、 損 益 計 算 書 に つ い て は 、'どの 企 業 も特 別 利 益 や 、 不 良 債 権 の 表
れ で あ る と考 え られ る 特 別 損 失 の 計 上 が 多 く見 られ る 。 これ は 、 最 近 の 新 会 計 基 準 に
よ る時 価 会 計 へ の 移 行 の 表 れ と考 え られ る 。
一31一
N再
(1)合
編 の構 図
併 に伴 う再 編
こ こ で は 、 最 初 に そ ご う と西 武 百 貨 店 の 抱 え て い る 問 題 に つ い て 見 て い き
、 そ こか
らな ぜ 合 併 とい う結 果 に 話 が 進 む か に つ い て 見 て い き た い と思 う。
ま ず 、 そ ご う に つ い て で あ る が 、 そ ビ う は 大 阪 、 神 戸 、 千 葉 を 中 心 と した業 務 展 開
を して き て お り、 ま た そ れ が 、 駅 前 進 出 と い っ た 立 地 戦 略 を と っ て い る 点 に お い て 、
ハ ー ドの 面 で は 、 非 常 に い い も の を 持 っ て い る と言 え る 。 た だ 、 ソ フ トの 面 を 見 て み
る な らば 、 百 貨 店 業 界 につ き も の の 、個 店 主 義(店 舗 の 大 き さ や 立 地 条 件 が 異 な る 百 貨
店 の 場 合 、 そ の 地 域 に 見 合 っ た 店 舗 戦 略 が 必 要 と い う考 え 方)が 蔓 延 し、 地 域 ご と に ば
らば らな 店 作 りが お こ な わ れ て い る 。 さ ら に は 、 そ ご う の 倒 産 を 水 島 会 長 の 責 任 に す
る とい っ た 企 業 内 の 腐 敗 、 退 廃 が 進 ん で お り、 コ ー ポ レー トカ ル チ ャ ー の 刷 新 が 求 め
られ て い た と言 え る 。
次 に ・西 武 百 貨 店 に つ い て で あ る が 、西 武 百 貨 店 は 営 業 効 率 が1999年
あ り、業 界 平 均 の0.72%、
伊 勢 丹 の1.59%、
大 丸 の0.89%な
に は2 .03%で
ど、他 と比 べ て 非 常 に 高
い 収 益 率 を 上 げ て お り、 ソ フ トの 面 で は か な り評 価 は 高 い と考 え られ る
。 ところが、
セ ゾ ングル ー プで の 西洋 環境 開 発 の処 理 の ため に よる財務 環 境 の悪化 のた め
、 大 阪地
方 を 中 心 と した 事 業 の 展 開 が 思 っ た 以 上 に 行 わ れ ず 、 主 に 、 東 日本 中 心 の み の 事 業 展
開 が 行 わ れ る結 果 と な っ て し ま っ て お り、 西 武 百 貨 店 の さ らな る 拡 大 が 抑 え られ て し
ま っ て い る 。 ま た 、 西 武 百 貨 店 は 、 個 店 主 義 を捨 て 、 各 店 舗 の チ ェー ン化 を 図 り大 き
な 成 果 を 収 め て い た が 、PB商
品(自 主 開 発 商 品)を 導 入 す る た め の 店 舗 の 拡 大 と不 採
算 店 の ス ク ラ ップ が 、 そ の 前 提 とな る 資 金 不 足 に よ りお こ な え ず 、 そ の 次 の過 程 で あ
る、商 品 の標 準化 に進 めな い状 態 にあ った。
こ れ らの 両 者 の 問 題 点 を解 決 す る手 段 と して 、 そ ご う と西 武 百 貨 店 の 合 併 は 非 常 に
有 効 な も の と 言 え る の で あ る 。つ ま り、そ ご うの 立 地 と そ の 規 模 の 大 き さ とい っ た 『ハ
ー ド』 の 面 と
、 西 武 百 貨 店 の 製 品 開 発 と い っ た 『ソ フ ト』 の 面 が 統 合 す る こ とで 、 こ
れ まで に な い 百 貨 店 が 作 り出 さ れ る こ と に な る し、 西 武 百 貨 店 も 、 資 本 の 再 構築 が お
こ な え る の で あ る 。 さ ら に、 合 併 に よ り規 模 の経 済 も 得 られ る こ と に な る の で あ る
。
これ は 、 配 送 所 の 統 合 や 、 用 度 品 や 仕 器 備 品 の共 同 購 入 に よ り人 件 費 や 仕 入 れ の コ ス
トを 下 げ る こ とが で き る よ う に な り、 ま た 、 お 互 い の 企 業 の 異 質 で 有 能 な 人 材 を 即 座
に 確 保 す る こ と が で き る な ど の 効 果 が 得 られ る こ と に な る 。 そ して 、 そ ご う は 、 西 武
百 貨 店 が 行 な って 成 功 して い る サ プ ラ イ チ ェ ー ンマ ネ ジ メ ン トの 構 築 に よ っ て 取 引 先
一32一
と一 体 とな っ た シ ス テ ム の 共 同 開 発 や 、 個 店 主 義 を捨 て 、 本 部 の 統 制 の 元 に各 店 舗 を
共 通 化 して 効 率 化 を 図 るチ ェ ー・
ン オ ペ レー シ ョ ン化 を 進 め て い く こ とが 考 え られ る 。
ま た 、 こ の こ と に付 随 して メ イ ン バ ン ク で あ る興 銀 や 第 一 勧 銀 、 富 士 銀 行 の 統 合 に
よ るみ ず ほ フ ィナ ン シ ャ ル グ ル ー プ の 結 成 も進 み 財 産 規 模 が 大 き くな っ て お り、 リス
トラ や 赤 字 店 の 閉 鎖 に 伴 う 資 金 の 借 り入 れ 、 これ か ら の 商 品 開 発 に か か る 費 用 な どの
面 で 、 こ の 両 者 の 合 併 に よ る発 展 へ の 信 用 性 が 資 金 面 で の バ ッ ク ボ ー ン を作 り出 す も
の と思 わ れ る。 こ の よ う に 、 そ ご う と西 武 百 貨 店 の 合 併 に よ る シ ナ ジ ー 効 果 に よ る、
さ ら な る 発 展 の 達 成 、 新 しい 世 の 中 に貢 献 で き る経 営 シ ス テ ム の創 造 、 発 展 に よ り、
百 貨 店 業 界 の 中 に お け る熾 烈 な 戦 い に勝 ち 抜 い て い け る と 思 わ れ る 。
た だ 、 こ の合 併 に よ り、 負 債 の 額 が 巨額 に な る こ と、 不 採 算 店 舗 の ス ク ラ ッ プ に よ
るそ の 地 域 の 受 け る 影 響 や 、 そ ご う の ブ ラ ン ドの イ メ ー ジ が な くな る な どの 問 題 が 生
じる こ と も 考 慮 して お く必 要 が あ る 。
(2)外
資 参 入 に よ る再 編
こ こ で は 、 外 資 の 参 入 に伴 う再 編 に つ い て 見 て い き た い と思 う。 まず 、 参 入 す る側
に つ い て は 、 自 国 内 に お い て 国 内 需 要 の 飽 和 を む か え て い る 、 売 上 高 を外 国 で 確 実 に
上 げ て い る な ど の 場 合 に 日本 に も 進 出 して く る 可 能 性 が あ る と考 え られ る 。 これ に 関
して は 、 す で に 、 ア メ リカ 等 を 中 心 と して 海 外 展 開 して い って い る こ と か ら も可 能 性
が 高 い と考 え られ る。
次 に 、 参 入 さ れ る側 の 日本 に つ い て で あ る が 、 外 国 の 企 業 が 参 入 して くる に あ た っ
て 、 日本 の 不 動 産 コ ス ト(保 証 金 、共 益 費)の 高 さ や 、 日本 企 業 に 特 有 の代 理 店 性 や 、
特 約 店 法 な ど商 品 取 引 契 約 と物 流 の 面 で 外 資 に と っ て 参 入 しに くい状 況 に あ る と言 え
る。 こ の よ う な ロー カ ル コ ン デ ィ シ ョ ンの こ とを 考 慮 して 外 資 が 参 入 して くる こ とが
考 え られ る 。
一33一
お わ りに
日本 経 済 に 明 る い 兆 しが 見 え つ つ あ る に もか か わ らず 、 依 然 と して 百 貨 店 業 界 に は
明 る い 話 題 は 少 な い 。 そ ご う を 中 心 に 日本 の 百 貨 店 を 分 析 して きた が 、 欧 米 と比 較 し
た 場 合 、 百 貨 店 だ け で は な く、 日本 の 流 通 業 全 体 が さ らな る合 理 化 を 迫 られ て い る 。
そ ご う は 、 「個 店 の合 理 化 」 す ら ま ま な らず 、 凋 落 を余 儀 な くさ れ た 。 そ の 他 の 目本
の 百 貨 店 も、 チ ェー ン オ ペ レ ー シ ョ ン を 重 視 した 「ヨ コ の 合 理 化 」 に と ど ま って い る
の が 現 状 で あ ろ う。 欧 米 の 流 通 業 に見 られ る の は 、 製 ・配 ・販 す べ て の 段 階 で の 連 携
を 強 化 す る、 い わ ゆ る 「タ テ の 合 理 化 」 で あ る 。 こ れ は 、 価 格 を 中 心 と し た消 費 者 満
足 の 視 点 か らは 、 大 変 あ りが た い こ とで あ る 。
流 通 全 体 と して 見 た場 合 、 百 貨 店 に 求 め られ て い る の は 、 「百 貨 店 」 と い う業 態 の再
定 義 で は な い だ ろ うか 。 百 貨 店 のGMS化
、SMの 百 貨 店 化 が 進 む 中、 業 態 の 垣 根 は ど ん
ど ん 低 くな っ て ゆ く。 自社 の ア イ デ ン テ ィテ ィ を う ち だ し、 独 自性 を 前 面 に 出 して い
く結 果 、 「百 貨 店 」が 「五 十 貨 店 」や 「.二
十 貨 店 」に な る こ と も必 要 な の か も しれ な い 。
〈参考文献 〉
・日経 流 通 新 聞
・販 売 革 新
・週 刊 ダ イ ヤ モ ン ド
・週 刊 東 洋 経 済
・激 流
・月刊 コ ン サ ル ピ ア
・桜 井 久 勝 著
『財 務 諸 表 分 析 』 中 央 経 済 社 、2000
・金 井 正 義 著
『図解 で わ か る 経 営 分 析 』 西 東 社 、1999
・徳 田 賢 二 著
『流 通 経 済 入 門 』 日経 文 庫 、1997
・小 山 周 三 著
『よ くわ か る 流 通 の し くみ 』 西 東 社
、1999
・LEC東 京 リー ガ ル マ イ ン ド中 小 企 業 診 断 士 試 験 部 著
『新 ・出 る 順 診 断 士
店 舗 施 設 管 理 』1997
・有 価 証 券 報 告 書1995-1999
一34一
・企 業 の 分 析(三 菱 総 研)
・ダ イ エ ー ホ ー ム ペ ー ジ
(http://www.daiei.co.jp/)
・高 島 屋 ホ ー ム ペ ー ジ
(http://www.takashi皿aya.co.jp/)
・Fortune小
売 業 売 上 高 ラ ン キ ン グ
、(http://WWW.ncb.co.jp/Internationa1/report/usa/letter/9905
・イ ン タ ー ネ ッ ト静 岡 県 商 工 労 働 部 ホ ー ム ペ ー ジ
(http://www.pref.shizuoka.jp/syoukou/)
一35一
「大 店 立 地 法 の 手 引 き 」
_1・ht皿)
2000年
度共 同論 文
国 際 的 再 編 下 の 自動 車 産 業
∼ 日産 の再 生 と再 編 ∼
一36一
板橋
雄大
大平
景士
笠島
和之
錦織
大
松本
啓
内田
朋宏
菊元
崇
角園
太一
国 際 的再 編 下 の 自動 車 産 業 一 日産 の再 生 と再 編一
一 目次 一
は じめ に
1.日
本 の 自動 車 産 業 の 歴 史
1.戦
後 か ら1979年
2.1979年
3.日
まで
か ら 日本 経 済 の バ ブ ル 崩 壊 ま で
本 経 済 の バ ブ ル 経 済 崩 壊 か ら現 在 ま で
II.比 較 制 度 分 析 を用 い た 日本 自動 車 産 業 の 分 析
皿.財 務 諸 表 分 析
IV.日
産 リ バ イ バ ル ・プ ラ ン が 導 く 将 来
は じめ に
自動 車 産 業 で は 、 先 進 国 市 場 の 成 熟 化 で 、 競 争 が 激 化 して い る上 、 環 境 対 応 を睨 ん
だ 次 世 代 技 術 の 開 発 に 巨 大 な コス トが か か り、 一 社 単 独 で の 生 き残 りが 難 し く な っ て
き て い る。 先 進 国 市 場 は 成 熟 化 して しま い 、 一 方 東 南 ア ジ ア や ロ シ ア な ど の新 興 市 場
は 経 営 不 振 で 停 滞 して し ま っ て い る 。 世 界 の 自動 車 メ ー カ ー は 、 生 産 体 制 の効 率 化 を
迫 られ て い る上 、 排 ガ ス 規 制 や 燃 料 基 準 の 強 化 で 燃 料 電 池 自動 車 な どの 開 発 も本 格 化
して お り、 一 社 単 独 で の技 術 開 発 で は 費 用 や 人 手 の 面 で 限 界 が き て い る。 こ う し た課
題 を乗 り越 え る に は 、 合 併 や 資 本 提 携 が 近 道 と の認 識 が 業 界 内 で 高 ま っ て い る。 こ の
よ うな 状 況 の 中 、 ル ノ ー と の提 携 とい う道 を た どっ た 日産 の 行 動 を分 析 し 、 そ の 未 来
を 予 測 して み た い 。 そ の た め に 、 現 在 の 日本 の 自動 車 メ ー カ ー い か に して 発 展 して き
た か を 日本 の 経 済 と 自動 車 メ ー カ ー の 歴 史 を 通 して 見 、 ま た 、 比 較 制 度 分 析 を 用 い て
そ の行 動 を分 析 して み た い と思 う。
一37一
1.日
本 の 自動 車 産 業 の 歴 史
日本 の 自動 車 産 業 は 、 終 戦 か ら急 激 な 成 長 を 遂 げ て 現 在 に 至 る。 戦 争 の 痛 手 か らの
復 興 、 国 際 経 済 社 会 へ の 復 帰 、 国 際 的 トッ プ メ ー カVへ
の躍進 、バ ブル期 の過剰 投 資
に よ る財 務 危 機 、 そ して 国 際 的 再 編 。 こ の 自動 車 産 業 の 国 際 的 再 編 を 詳 し く見 る た め
に 、 日本 自動 車 メ ー カ ー が 、国 際 的 展 開 を 開 始 した1979年
と現 在 の 財 政 危 機 を も た ら
した バ ブ ル 経 済 の崩 壊 を基 準 と して 日本 の 自動 車 産 業 の 歴 史 を 振 り返 る。
1.戦
後 か ら1979年
まで
(1)日 本 経 済 と 自動 車 産 業 の 高 度 成 長 ま で
戦 後 す ぐ は 、 自動 車 業 界 もま た 、 他 の 産 業 と同 じ く再 建 が 資 材 不 足 の た め 困 難 で あ っ
た 。 ま た ・ こ の 頃 は 、 ご く一 部 の トラ ッ ク を 除 き他 の 車 種 は 、GHQに
よ っ て製 造 が 制
限 され て い た 。1946年 に 始 ま っ た 傾 斜 生 産 方 式 に 基 づ き 日本 は 、経 済 復 興 を 開 始 す る。
自動 車 業 界 は 、 そ の 重 要 性 か ら こ の 復 興 政 策 の 中 で も重 要 な位 置 を 占 め て い く こ とに
な る。 ま た 、 こ の 時 期 日本 は 、 敗 戦 の 痛 手 に よ り弱 体 化 した 自国 の 産 業 を 保 護 す る た
め に対 外 取 引 を 厳 重 に 制 限 して い た 。
1955年 以 降 に な る と、 国 内 車 の 量 産 体 制 の確 立 、 トヨ タ の 外 資借 款 な どが 行 わ れ 自
動 車 産 業 の 基 礎 的 な 部 分 が 復 興 、 展 開 され た 。 こ の 時 代 の 主 な 製 品 は 、 トラ ッ ク で あ
り、 ま た 、 対 米 市 場 へ の 輸 出 が 始 ま る 。 これ ら を 支 え た の は 、 朝 鮮 特 需 に よ る 軍 需 で
あった。
① 大量 生産 方式 の導 入
自動 車 大 量 生 産 方 式 の 基 本 は 、H.フ ォ.___ドに よ り開 発 され た移 動 組 み 立 て 方 式 に よ
る も の で あ っ た 。 こ れ は 、1910年
代 に成 立 した 流 れ 作 業 を用 い た 自動 車 生 産 方 式 で 、
それ ま での静 止組 み 立て 方 に比 べ飛躍 的 な生 産台 数 の増加 を招 いた。
こ の 生 産 方 式 の 特 徴 は 、 以 下 の よ うに ま とめ られ る。
●
製品の標準化、部品の規格
●
工程の分割による作業の細分化
●
作業の単純化
●
作業の専門化
●
作業労働 と管理労働 の分化
●
高速生産
●
生産の同期化
一38一
これ に よ り、 自動 車 の 生 産 は 、専 門 工 を 必 要 と しな い も の と な り、 大 量 生 産 が 可 能 と
な った。
② 大量 生産 方式 の展 開
さ ら に 、1960年
代 に 入 る と、 自動 車 メ ー カVに
よ る フル ラ イ ン化 が 始 ま っ た 。 これ
は 、 一 自動 車 メ ー カ ー が 、 低 価 格 車 か ら高 価 格 車 、 大 衆 車 か ら高 級 車 な ど 、 様 々 な価
格 帯 、 排 気 量 、 用 途 の 銘 柄(モ
デ ル 、 車 種)を
行 う と い う もの で あ る。 こ の フ ル ラ イ
ン 化 を 可 能 に した 要 件 は 、 大 き く内 部 的 要 件 と外 部 的 要 件 とに 分 け られ る。
まず 外 部 的 要 件 に つ い て は 、 朝 鮮戦 争 に よ る特 需 景 気 を 経 て 、 日本 の 経 済 が 好 調 と
な っ た こ とが 挙 げ られ る。 そ れ 以 前 は 、 トラ ッ ク な ど実 務 に 用 役 を提 供 す る も の が 、
自動 車 需 要 の 中 心 で あ っ た が 、 この 好 景 気 に よ り、 国 民 の 所 得 が 上 昇 し、 一 般 家 庭 か
らの 自動 車 に 対 す る需 要 が 起 こ っ た。 ゆ え に 、 自動 車 メー カ ー は 、 多 種 多 様 な 自動 車
を生 産 す る 必 要 性 を 持 っ た 。
次 に 、 内 部 的 要 因 につ い て 。 自動 車 の 製 造 に は 、 多 くの 組 立 工 程 作 業 、 多 くの 部 品
製 造 が 必 要 とな る。 こ の 多 大 な 作 業 を 各 地 域 に分 散 して 行 うこ と は 、 時 間 的 な ロ ス を
非 常 に 発 生 させ て しま う。 ゆ え に 、 こ の 時 期 、 日本 の 自動 車 メVカ ー は 、 組 立 工 程 を
一 つ の地 域 に 集 中 させ た 。 こ の 代 表 的 な 例 が 、 トヨ タ の 三 河 地 域 集 中 で あ る。 ま た 、
部 品 の製 造 に 関 して は 、 外 部 に 発 注 を 行 っ た 。 こ の とき に製 造 され る部 品 は 、 多 くの
車 種 間 に お い て 共 有 され る も の で あ っ た 。 この こ と に よ り、 ひ とつ の部 品 ご と に 特 定
の メ ー カ ー と契 約 す る だ け で 、 自動 車 メー カ ー は 、 自動 車 製 造 に 必 要 な 部 品 を入 手 す
る こ とが で き る よ うに な っ た 。
③ トヨ タ の か ん ば ん 方 式
しか し、 前 述 の よ うに い か に 需 要 と供 給 が 増 して も、 自動 車 の 市 場 で の 流 通 が 遅 く
て は 、 結 局 自動 車 メ ー カ ・
一 に 多 大 な 在 庫 を発 生 させ る の み で あ る。 そ こで 、 考 案 され
た の が 、 トヨ タ の か ん ば ん 方 式 で あ っ た 。 これ は,販
売 業 者 か らメ ー カ.___への 購 入 者
か らの 発 注 を あ る 事 前 に 決 め られ た 基 準 日に お い て ま とめ て 行 い 、 そ れ に 対 して,メ
ー カ ー は ,一 定 の 準 備 期 間 内 に お い て,発
注 順 に 自動 車 を 生 産 して 行 く と い う も の で
あ る。
こ の 販 売 方 式 に 置 け る 基 準 日の 期 間 は 、 は じ め はffT.月 ご と とい う長 期 的 な もの で
一39一
あ っ た が 、 これ で は 、 ま だ 、 市 場 の幅 広 い 需 要 に 対 応 で き て い な か っ た 。 そ の た め 、
旬 間 、 毎 日 と次 第 に 販 売 業 者 か ら メー カ ー へ の 購 入 者 か らの 発 注 を 届 け るペ ー ス は速
まっ てい った。
しか し、 こ の 非 常 に 早 い 生 産 ペ ー ス に 対 応 す る こ と は 、 自動 車 メ ー カ,_に とっ て 困
難 で あ っ た。 そ の た め 、 自動 車 メ ー カ ー は 、 部 品 の 製 造 の み な らず 、 組 立 作 業 さ え も
外 部 に 委 託 す る こ と と な る。
こ の 委 託 先 とな っ た の が 、 中 間 組 織 とい わ れ る下 請 業 者 で あ る。
④ 下 請 業 者 との 関 係
日本 の 自動 車 産 業 の 特 徴 は 、 密 度 の濃 い 自動 車 メ ー カ ー と系 列 部 品 メ ー カ ー と の 下
請 関係 を 通 じて 、 自動 車 メ ー カ ー は 、 個 別 の企 業 集 団 ご と に 絶 え ず 合 理 化 を 徹 底 して
追 及 す る こ と に よ り コ ス トダ ウ ン を 実 現 した 。 た だ 、 こ の 分 業 生 産 自体 は 、 欧 米 で も
見 られ る 生 産 シ ス テ ム で あ る が 、 日本 の 場 合 外 製 依 存 度 が 、 欧 米 の30-40%に
70%以
比べ 、
上 と非 常 に高 い と こ ろ が 、 特 徴 的 で あ る 。
こ の 下 請 関 係 は 、 自動 車 の 下 請 産 業 を育 成 す る こ とに な っ た 。
(2)低
1963年2
成 長 経 済 体 制 下 の 日本 経 済 と 自動 車 産 業
,月のGATT11条
国(国 際 収 支 を理 由 に輸 入 制 限 で き な い 国)へ の 加 盟 を皮
切 り と して 、続 く1964年4月
に はIMF8条
国(国 際 収 支 を 理 由 に 為 替 制 限 で き な い
、国)へ の 加 盟 が 決 ま り 日本 の 貿 易 も保 護 の 時 期 に 終 わ りを告 げ た 。 これ は 、 自動 車 業
界 で は 、海 外 か らの 乗 用 車 の 自 由 化 とい う形 で あ らわ わ れ た。 ま た 、同 年 同 月 、OECD
に 加 盟 を 果 た して い た 日本 は 、 資 本 の 自 由化 も行 っ た 。
1965年 以 降 に は い る と、予 想 され た 自 由 化 の 波 を 乗 り切 る た め に 自動 車 産 業 に お け
る企 業 再 編 成 が 行 わ れ 始 め た 。 経 営 の 合 理 化 を 押 し進 め て い っ た 自動 車 産 業 は 、 徐 々
に 力 を つ け 完 全 な 量 産 体 制 を整 え 、 規 模 の 経 済 性 を 発 揮 し、 乗 用 車 の 価 格 を 引 き 下 げ
て行 っ た 。 しか し これ は 、 発 展 成 長 路 線 で あ っ た 。 こ の 路 線 に 対 す る 変 更 が 、 余 儀iな
く され た の が 、1971年
の ニ ク ソ ン ・シ ョ ッ ク(金
と ドル の 交 換 停 止)と1973年
の第
1次 石 油 危 機 で あ っ た 。 これ に よ り 日本 の 経 済 全 体 の 流 れ が 、 貿 易 と資 本 の 自由 化 を
下 地 とす る 低 成 長 経 済 体 制 へ と変 わ っ た 。
一40一
1978年
の 第2次 石 油 危 機 は 、 日本 の 自動 車 業 界 に 決 定 的 な 影 響 を 与 え た 。 原 油価 格
の 高 騰 と資 材 の 不 足 に よ り、 世 界 中 で 自動 車 の 需 要 は 不 振 に 陥 っ た 。 そ の よ うな動 き
の 中 、 日本 の 自動 車 は 燃 費 が よ く、 か つ 、 故 障 し に くい とい う特 性 の た め 、 米 国 、 欧
州 な ど各 国 に お い て 販 売 業 績 を伸 ば して 行 っ た 。
① 第2次
オ イ ル シ ョ ッ ク の 後 押 し を受 け た 日本 自動 車 メー カ ー の動 き
ホ ン ダ は 、 英 国 最 大 の 自動 車 メー カ ー の ブ リテ ィッシ ュ ・レイ ラ ン ド(B・L、
ロ ー バV、
現 在BMWの
た 乗 用 車 をB・Lが
傘 下)と
の 業 務 提 携 を行 っ た 。 提 携 骨 子 は 、 ホ ン ダ の 開 発 し
、 ノ ック ダ ウ ン 生 産(現 地 生 産)す
方 で 、 こ の 年 の9月
後の
る とい う も の で あ る。 ま た 、 一
か らオ ハ イ オ 工 場 で 四 輪 車 の 現 地 生 産 を行 うた め に事 業 化 事 前 調
査 を 開 始Lた 。 こ う して 、 こ の 年 か らホ ン ダ は 、 国 際 戦 略 を開 始 し た。
マ ツ ダ は 、 フ ォ ー ドと の 資 本 提 携 を1979年5月
タ リィー エ ン ジ ン)を
に 発 表 した 。 マ ツ ダ は 、RE(ロ
自社 の 販 売 戦 略 の 中 心 に 置 く。REは
ー
、 レシ プ ロエ ン ジ ンに 比 べ
て 運 転 性 能 が 良 く 、 しか も排 ガ ス対 策 で 最 も難 しい と され る 窒 素 酸 化 物 の 発 生 が 少 な
い とい う特 徴 を 持 っ て い た。 しか し こ の エ ン ジ ン は 、 燃 費 効 率 が 悪 か っ た た め 、 オ イ
ル シ ョ ッ ク を 乗 り越 え る こ とが で き な か っ た 。 こ う して マ ツ ダ は 、 一 気 に経 営 危 機 に
追 いや られ る こ と に な る 。 そ こ で 、 マ ツ ダ はREを
放 棄 す る こ とを 選 択 した 。 こ の 結
果 、小 型 車 の 生 産 技 術 の 高 か っ た マ ツ ダ は 、経 営 を再 建 す る。徐 々 に こ の 後 マ ツ ダ は 、
販 売 チ ャ ン ネ ル を 増 加 させ て 行 く。
トヨ タ は 、1979年
に持 ち こ ま れ たBMW買
収 の話 を け る。 こ の 時 期 、 トヨタ は 三 河
で の 自動 車集 中 生 産 が 、最 も 良 い 経 営 戦 略 で あ る と して 海 外 メ ー カ ー との 提 携 、買 収 、
ノ ック ・ダ ウ ン 生 産 を行 わ な か っ た 。 こ の よ うに 、各 社 が 国 際 戦 略 を 打 っ て 出 して い る
の に もか か わ らず 国 際 戦 略 に 対 す る 消 極 的 な 態 度 は 、 国 際 化 の 遅 れ を呼 び 現 在 に ま で
影 響 して い る。
日産 は 、 この 時 期 国 内 の 販 売 シ ェ ア,一.を30.1%か ら28.8%に
ま で 落 と して い た 。 そ
こ で 、 国 内販 売 で ト ヨ タ を 追 い 越 す こ と に 限 界 を感 じた 日産 は 、 トヨ タ の 国 際 戦 略 の
遅 れ を 逆 手 に 取 り、 い ち 早 く国 際 展 開 を 開 始 した 。1979年
ラ ック メ ー カ ー も トー ル ・
イ ベ リカ の 買 収 を1980年1月
の暮れ には 、スペ イ ンの ト
に は 、ア ル フ ァ ・ロ メ オ との イ
タ リア で の 合 弁 生 産 、 ま た 、 米 国 で の 小 型 トラ ック の 現 地 生 産 を発 表 した。11月
独 フ ォ ル ク ス ワー ゲ ン との 小 型 乗 用 車(サ
ま っ た 。 さ らに1981年1月
ン タ ナ)の
日本 で の ノ ッ ク ダ ウ ン生 産 が 決
に は 英 国 乗 用 車 工 場 の 建 設 も発 表 した 。
一41一
には
こ の 計 画 は 、 事 業 化 事 前 調 査 も不 完 全 で あ り、 か つ 人 材 不 足 か ら スペ イ ン で の 巨 額
の 赤 字 、ア ル フ ァ ・ロ メ オ との 合 弁 事 業 や フ ォ ル ク ス ワー ゲ ン 車 の ノ ック ダ ウ ン 生 産 の
失敗 、労働 組 合 の反 対 に よる英 国進 出 失敗 、 さらに米 国 工場 で は、生産 車 種 の選 択 の
失 敗 に よ る業 績 不 振 と い う結 果 に 終 わ っ た 。
② 海 外 自動 車 メ ー カ ー と の 摩 擦
第2次
オ イ ル シ ョ ッ ク に よ り 日本 の 自動 車 企 業 は 、大 き く成 長 した 。 しか し、当 然 、
副 作 用 も 起 き た 。 す で に飽 和 状 態 に あ っ た 欧 米 の 自動 車 市 場 で は 、 こ の 日本 車 を受 け
入 れ る こ と は 、 従 来 の メ ー カ ー に とっ て は 大 打 撃 で あ っ た 。 ゆ え に 、 欧 米 で は 日本 車
の輸 入 に 対 して 制 限 が 設 け られ た。 フ ラ ン ス で は 、輸 入 量 の3%、
300台
イ タ リア で は 年 間3
に規 制 され た 。 イ ギ リス で は 、 両 国 業 界 間 の話 し合 い の 結 果 、総 需 要 の10%
に抑 え られ た 。 米 国 で は 、 政 府 が 、 自動 車 メ ー カ ー に 燃 費 の 改 善 を 求 め 、 規 制 値 に 達
しな けれ ば 課 徴 金 を 取 る とい う燃 費 規 制 を 設 け た 。 こ う して 、 燃 費 を 目本 車 並 に 引 き
上 げ よ う と した。
こ の 結 果 、海 外 の 有 力 企 業 で あ る 、GM、
フ ォ ー ド、 ク ラ イ ス ラ.__..も
主力 製 品 を大
型 車 か ら小 型 車 へ と シ フ トせ ざ る を得 な か っ た 。
2.1980年
代 か ら1990年
代 の バブ ル経 済崩壊 まで
(1)バ ブ ル 経 済 下 の 自動 車 産 業
こ の 時 期 、 日本 の 経 済 自体 も好 景 気 を迎 え 始 め る。 この 好 景 気 は 、 円 高 に よ る輸 入
の 好 調 、 ま た 、80年 代 後 半 に 始 ま るい わ ゆ るバ ブ ル 経 済 を 迎 え た こ とに よ る。
こ の 時 期 、 第2次
オ イ ル シ ョ ッ ク の 後 押 し を受 け た 日本 の 自動 車 産 業 は 、 国 際 社 会
へ と進 出 して い く。しか し、こ の 進 出 は 従 来 の海 外 の 企 業 に様 々 な 問 題 を も た ら した 。
海 外 の 市 場 は 、 す で に 飽 和 を 迎 え て お り 日本 車 の 参 入 に よ る需 要 の 喪 失 は 、 海 外 の 自
動 車 メ ー カ ー に 大 き な 損 失 を 招 い た 。 この た め 、 海 外 の 自動 車 メ ー カ ー は レイ オ フ を
行 い 、 欧 米 で は 失 業 者 が 一 気 に 増 加 した 。 各 国 政 府 は 、 こ の 問 題 に対 処 す る た め に 日
本 車 の 輸 入 制 限 を行 う よ うに な っ た 。 日本 の 自動 車 メー カ ー は 、 こ の 事 態 に 対 処 す る
た め 自動 車 の海 外 現 地 生 産 を積 極 的 に 行 うよ うに な っ た。 これ に よ り、海 外 で の 失 業
一42一
者 問 題 は 改 善 され た 。 海 外 進 出 に お け る問 題 は 、 これ に留 ま ら な か っ た 。 日本 の 経 常
収 支 は 黒 字 を 計 上 す る よ うに な り、 これ は 、 米 国 の 経 常 赤 字 の 裏 返 しで あ っ た 。1985
年 に プ ラザ 合 意 が 、 結 ば れ こ の 状 態 に 変 化 が も た ら され た 。 これ に よ り、 円高 が 容 認
され る こ と と な り 日本 の 輸 出 産 業 は 、 多 大 な デ メ リ ッ トを 受 け た 。
しか し、 円高 に よ る 好 景 気 が 起 こ り、 国 内 の 需 要 が 増 加 した 。 陰 に あ る の は 、 バ ブ
ル 経 済 で あ る。 こ の バ ブ ル 経 済 も ま た 、 プ ラ ザ 合 意 を契 機 とす る 為 替 レー トの 調 整 に
よ り内 需 主 導 の 経 済 に 転 換 の結 果 で あ っ た 。
① プ ラザ合 意
1985年
に 、 ニ ュ ー ヨー ク で 開 催 され たG5(ア
ン ス 、 日本 の 五 力 国 蔵 相 会 議)に
メ リカ 、 イ ギ リス 、 西 ドイ ツ 、 フ ラ
お い て 行 わ れ た 合 意 の こ と。 合 意 内 容 は 、
・ 為 替 相 場 は 、 対 外 不 均 衡 調 整 の た め の 役 割 を 果 た す 必 要 が あ る こ と。
・
主 用 通 貨 の 米 ドル に 対 して 秩 序 あ る 上 昇 が 、 望 ま しい こ と。
・ 五 力 国 は 、 そ う し た 調 整 を促 進 す る た め に い っ そ う緊 密 に 協 力 す る 用 意 が あ る こ
と。
な どで あ っ た 。
こ の 背 景 に は 、1980年 代 初 頭 か ら ア メ リカ の 金 利 が 他 の 主 要 国 に比 して 高 水 準 で あ っ
た た め 、 ドル 高 が 続 き ア メ リカ の 経 常 収 支 赤 字 が 、 増 大 す る 一 方 、 日本 や 西 ドイ ツ な
どの 同 黒 字 が 増 加 した た め ア メ リカ 国 内 で 保 護 主 義 の 台 頭 が 懸 念 され は じめ た とい う
背 景 が あ る。
この 合 意 の 結 果 、 ドル は 円 や マ ル ク な どに 対 して 下 落傾 向 を 取 りつ づ け た 。
こ の 円高 は 、 日本 の 多 く の 輸 出 産 業 に 影 響 を 与 え た 。 そ れ は 、 も ち ろ ん 自動 車 産 業
も例外 で は、 な かっ た。
② プ ラ ザ 合 意 の影 響 受 け る 自動 車 産 業
プ ラ ザ 合 意 が 結 ば れ た 直 後 の 日本 自動 車 メ ー カ ー は 、 そ れ ま で の 輸 出 が 減 退 し厳 し
い 状 況 に 陥 る 。 しか し、 この 不 況 を 乗 り越 え させ た の は 、 日産 の シ ー マ に始 ま る国 内
の 高 級 車 ブ ー ム で あ る。 この 高 級 車 ブ`..ムは 、 日本 の バ ブ ル 経 済 に よ っ て 支 え られ た
も の で あ っ た 。 各 自動 車 メ ー カ ー は 、 こ の 高 級 車 に 始 ま る 国 内 の 多 様 な 自動 車 需 要 に
対 応 す る た め次 々 と資 産 設 備 に 投 資 を 行 っ て 行 っ た 。 これ を支 え た の は 、 バ ブ ル 経 済
に よ る 土 地 の 値 上 が りで あ っ た 。 結 局 プ ラ ザ 合 意 後 も ま た 、 日本 の 自動 車 産 業 は成 長
一43一
を 続 け る こ と に な るc3
③ 下請 メー カー の国 際化
各 自動 車 メ ー カ ー が 、 国 際 化 す る に つ れ て 下請 メ ー カ ー も海 外 展 開 す る も の が 出 て
き た 。 海 外 展 開 に お い て は 、 国 内 展 開 とは 、 違 う要 素 を 考 慮 しな くて は な ら な い 。 こ
の と き各 下 請 部 品 メ ー カ ー が 考 え た の は 、 取 引 メ ー カ ー の 現 地 工 場 と の 距 離 、 ま た 、
製 品 の性 質 自体 に つ い て で あ る。 距 離 に つ い て は 、 トヨ タ販 売 方 式 で 触 れ た 理 由 に よ
る の で こ こで は 、 後 者 に つ い て 述 べ る 。 下 請 部 品 メ ー カ ー が 考 え た の は 、 以 下 の 点 で
あ る。
・
か さば る 部 品 で あ る か ど うか
・
。
規模 の 経済性 が大 きい か小 さいか
・
労 務 費 の ウェ イ トが 大 き い か 小 さ い か
・
高機 能 でな けれ ばい け ない か
・ 国 産 化 の 比 率 を あ げ な けれ ば い け な い か ど うか
現 地 生 産 しや す い 部 品 の 特 徴 を これ に そ っ て 考 え る とか さば る 部 品 で あ り、 規 模 の 経
済 性 が 小 さ く、 労 務 費 が 安 く、 高機 能 で は な い 部 品 とな る。 この よ うな 部 品 を 製 造 し
て い た 系 列 メー カ ー も ま た 、 現 地 生 産 に 次 々 と乗 り出 して 行 っ た 。
3.バ
(1)バ
ブ ル 経 済 崩 壊 か ら現 在 ま で
ブル 経 済 崩 壊 後 の 日本 経 済 と 自動 車 産 業
1990年 代 に お い て 、 あ ま りに も過 剰 な バ ブ ル 経 済 が 発 生 した と考 え た 政 府 は 、バ ブ
ル を抑 え よ う と して 引 き 締 め 政 策 を 実 施 した 。 しか し、 これ が 原 因 とな り バ ブ ル 経 済
は 崩 壊 し 日本 経 済 は 、 長 期 の 不 況 を 迎 え る こ と に な る。 この 不 況 の 特 徴 は 、 過 剰 投 資
に よる不 良債 権 の大規模 発 生 で あ った。
① 縮 小 す る 自動 車 産 業
この 不 況 の 影 響 は 、 自動 車 産 業 に も 当然 見 られ る。 バ ブ ル 経 済 下 で は 、 有 価 証 券 と
不 動 産 の 高 騰 に よ り資 本 調 達 が 容 易 で あ り、 ま た 、 国 内 の 高 級 車 を筆 頭 とす る 乗 用 車
需 要 が 高 ま っ て い た た め 、 日本 の 自動 車 産 業 の 総 花 的 な フ ル ラ イ ン化 が 加 速 して 行 っ
た 。 こ の た め 、 自動 車 産 業 に お い て の 過 剰 投 資 は 、 工 場 の 過 剰 な設 置 と販 売 チ ャ ネ ル
一44一
の 過 剰 な 創 設 とい う形 で 現 れ た 。 バ ブ ル 経 済 下 に お い て 、 大 手 自動 車 メ ー カ ー は こ の
よ うな 経 営 戦 略 を 取 っ て き た 。
しか し、 バ ブ ル 経 済 が 崩 壊 す る と こ の 経 営 戦 略 を 支 え て い た 国 内 需 要 と有 価 証 券 、
不動 産 の 高 騰 と い う前 提 条 件 が な く な っ て しま っ た 。 そ の た め 、 上 述 の設 備 投 資 に お
い て 用 い た 資 本 は 、 不 良債 権 や 有 利 子 負 債 とな り経 営 を 逼 迫 させ た 。 ま た 、 こ の 設 備
投 資 は 、 国 内 の 市 場 が 、 不 況 に よ り縮 小 し始 め る と遊 休 しは じ め 、 そ れ に 伴 い 人 員 も
遊 休 しは じ め る こ と に な っ た 。 この よ うな 巨額 の負 債 と設 備 と人 員 の 遊 休 を い か に効
率 的 に して い く か とい う こ とが 、 経 営 の 焦 点 と な っ た 、
② 海 外 自動 車 メ ー カVの
1980年
巻 き返 し
打 以 降 の 日本 自動 車 メ ー カ ー の 海 外 進 出 に よ り海 外 の 自動 車 メ,一.カ
ー は、 日
本 の 自動 車 メ ー カVの 生 産 技 術 と経 営 方 式 を 学 び 始 め て い た 。 こ の 成 果 が 、 現 れ 始 め
た の が 、1990年
代 で あ っ た 。 これ は 、 モ ジ ュ ー ル 生 産 と呼 ば れ る も の で あ る。 これ に
よ り、 海 外 の 自動 車 メ ー カ ー は 、 競 争 力 を回 復 させ た 。
③ モ ジ ュール 生産
日本 の 自動 車 メ ー カ ー が 、 海 外 に進 出 す る以 前 の 海 外 自動 車 メ ー カ ー は 、 ど の部 品
メー カ ー と も取 引 を行 い 、 ま た 、 そ の 関 係 は 、 閉 鎖 的 で 長 期 的 な も の で は な い 水 平 的
な 分 業 関 係 に あ っ た 。 しか し、 日本 の 自動 車 産 業 業 の海 外 進 出 に伴 い こ の 分 業 関係 は
見 直 され る よ うに な っ た 。 特 に 注 目 され た の は 、 「リー ン生 産 方 式 」 と呼 ばれ る 日本 の
自動 車 メ,___.カ
ー の 特 徴 で あ る系 列 関係 を 重 視 した 経 営 方 式 で あ る。 海 外 の 自動 車 メ ー
カVは
、 こ の 生 産 方 式 を 取 り入 れ る だ け で は な く 、 独 自 の 改 良 を加 え る。 そ れ は 、 部
品 の 供 給 を 自国 内 に1次
サ プ ラ イ ヤ ー が 存 在 しな い た め 、 国 外 の 大 手1次
ー を求 め る とい う もの で あ っ た 。 さ ら に 、 こ の 国 外 の 大 手1次
サ プ ライ ヤ
サ プ ライ ヤ ー は 、 下 位
の 部 品 サ プ ラ イ ヤ ー を組 織 化 して 、 自社 に お い て 納 入 部 品 を機 能 化 す る よ うに 組 み 立
て た 後 に 自動 車 メー カ ー に納 入 す る と い う も の で あ る。 これ が 、 モ ジ ュ ー ル 生 産 と呼
ばれ る もの で あ る。
こ の 生 産 方 式 に よ り 自動 車 メー カ ー は 、 部 品 納 入 コ ス トを さ ら に 削 減 す る こ と が で
き る。 一
一方 で 、 問題 も発 生 す る。 そ れ は 、 自動 車 メVカ ー の 技 術 が 空 洞 化 、反 対 に 、1
次 サ プ ラ イ ヤ,_._..に
技 術 が 、 集 約 され て しま う とい う も の で あ る。 こ の 生 産 方 式 で は 、
一45一
自動 車 メ.__.カ
ー は 納 入 され る部 品 を 組 み 合 わ せ る だ け で 自動 車 を 製 造 で き て しま うか
ら で あ る 。 こ の よ うに 、 自動 車 メー カ ー と部 品 メー カ ー の 上 下 関 係 も変 わ り始 め て い
る。
④ 環 境 と情 報 技 術 へ の 対 応
自動 車 の 環 境 へ の 配 慮 は 、 古 くか ら存 在 して い た が 、 近 年 自動 車 排 気 ガ ス へ の 制 限
は さ らに 強 ま りこれ に 対 す る研 究 開 発 費 は 、 一 社 で は ま か な い きれ な く な っ て い る 。
ま た 、 一 方 で 情 報 技 術 へ の 研 究 開 発 費 も莫 大 な も の とな っ て い る。 これ は 、 カ ー ナ
ビ ゲ ー シ ョン シ ス テ ム な ど身 近 の もの に 留 ま らず 、 高 速 料 金 の 自動 支 払 シ ス テ ム な ど
に も 対 応 した もの で あ る。これ も 、一 社 で は ま か な うの に 不 可 能 な費 用 とな っ て い る。
II.比 較 制 度 分 析 に よ る 日本 の 自動 車 産 業 の 分 析
1970か
ら80年
代 の バ ブ ル 崩 壊 以 前 ま で 日本 の 自動 車 産 業 は 大 き な 成 功 の 時;期に あ
り、 ア メ リカ の 自動 車 産 業 に 対 して 大 き な 差 を 誇 っ て い た 。
し か し、そ れ が90年
代 バ ブ ル 崩 壊 後 そ の 立 場 は 逆 転 し、 トヨ タ ・本 田 を 除 く 自動 車
会 社 が 外 資 との 提 携 や 、 外 資 に よ る 吸 収 が 行 わ れ る こ と に な っ た 。 そ の 中 で も トヨ タ
に つ い で 業 界2位
の 位 置 に あ っ た 日産 のル ノ ー と の 提 携(吸
収)は
象徴 的 な もの で あ
った。
こ こ で は そ れ を 比 較 制 度 分 析 の 手 法 か ら、 日本 の 自動 車 産 業 、 特 に 日産 を ケー ス ス
タデ ィ._._として 見 て い き た い 。
1.比
較 制度 分析 に よる産業 構造 の 分析
(1)比 較 制 度 分 析 の 基 本 視 点
現実 の経 済 シス テ ムは 、古典 派 経済 学 が主 張す る市場 システ ム万 能 の単 純 な システ
ム と は 異 な り、 市 場 と組 織 の そ れ ぞ れ の シ ス テ ム が 絡 み 合 っ た 複 雑 な もの で あ る
。つ
ま り、 比 較 制 度 分 析 に お い て は 企 業 や 組 織 は 経 済 シ ス テ ム の 中 の た だ の 点 で は な くそ
の 中 に独 自の シ ス テ ム を もっ た 存 在 で あ り、 現 実 の 経 済 シ ス テ ム は 市 場 の 理 論 と多 数
の 組 織 の シ ス テ ム が 絡 ま りあ っ た 複 雑 な シ ス テ ム な の で あ る。 そ して 、 市 場 と組 織 の
一46一
シ ス テ ム の 絡 ま り方 、 ま た そ の 度 合 い な どは そ れ ぞ れ の 国 や 地 域 ま た 時 代 に よ っ て 異
な る シ ス テ ム を 作 り出 す こ とに な る 。
例 え ば 好 景 気 の とき 企 業 は 比 較 的 自 社 に 近 い 企 業 を 合 併 や 系 列 化 とい う形 で 自 らの
組 織 の 一 部 に 取 り込 ん だ り、 逆 に 不 景 気 に な る と、 自社 の 業 績 不 良 の 部 署 を 子 会 社 化
した り、 重 荷 に な っ た 系 列 を破 壊 した りす るの で あ る。
ま た 例 え ば 、 ア メ リカ で は 市 場 シ ス テ ム が 非 常 に 優 位 に 働 い て 組 織 の 系 列 関係 な ど
は か な り ドラ イ で あ る が 、 日本 で は 市 場 よ りも む し ろ組 織 の 系 列 的 な 関 係 が 重 要 に な
り、 系 列 の 関 係 は 基 本 的 に 非 常 に ウ ェ ッ トで あ る。
こ の よ うに現 実 の 経 済 シ ス テ ム で は 、 古 典 派 経 済 学 の 世 界 とは 異 な り、 様 々 な 経 済
シ ス テ ム が 混 在 す る こ とに な る。 以 下 で は そ の そ れ ぞ れ の 異 な っ た シ ス テ ム が なぜ 発
生 し安 定 した も の と して 定 着 す る の か を 比 較 制 度 分 析 の2つ
の 基 本 概 念 か ら見 て い く
こ とに す る。
① 補 完性
なぜ 、1つ の シ ス テ ム 内 で は比 較 的 同 質 な 制 度 が発 展 し、シ ス テ ム 同 士 を比 べ る と そ
れ ら は お 互 い 異 質 とい っ て 良 い ほ ど、多 様 性 を 持 っ て い る の か 。 この 鍵 に な る の が 「
補
完 性1で
あ る。
1つ の シ ス テ ム の 中 で1つ
の 仕 組 み の 割 合 が 増 え る ほ ど、 そ の 仕 組 み を 選 ぶ こ と が
有利 にな る こ とを 「
戦 略 的 補 完 性(strategiccomplementarity)」
が 存 在 して い る とい
う。(ナ ッ シ ュ均 衡 と して の 制 度)
他 方 、 制 度 の も う1つ の 補 完 性 と して 、 異 な る 制 度 の社 会 的 適 合 度 は 、 経 済 シ ス テ
ム が 直 面 す る 歴 史 的 ・技 術 的 ・経 済 的 環 境 に依 存 す る とい うこ とで あ り、 こ の事 を 「
経
路 依 存 性(pathdependence)」
とい う。
さ ら に 、 制 度 や 仕 組 み の 問 に も補 完 性 は 存 在 す る 。 こ の 異 な る仕 組 み の 間 に 存 在 す
る補 完 性 は 「
制 度 的 補 完 性(institutionalcomplementarity)」
とい う。1つ
の経済 シ
ス テ ム に存 在 す る 多 様 な 制 度 的 仕 組 み は 、 互 い に 制 度 補 完 の 関係 に あ る か ら こそ 、 そ
の 経 済 シ ス テ ム の 強 靭 さ を 強 め て い る の で あ る。
② 限 定 合 理 性 と適 応 的 進 化
古 典 派 や 新 古 典 派 が 仮 定 す る合 理 的 な 人 間 像 と異 な り、 「
複 雑 形 シ ス テ ム(complex
system)」 と して の 現 実 の 経 済 活 動 に お い て は 、人 間 は合 理 的 存 在 で あ りた い と思 う も
一47一
の の 、不 十 分 な 情 報 と、不 完 全 な 能 力 しか 持 た な い 「
限 定 合 理 的(boundedlyrational)」
な 存 在 で しか な い0
こ の よ うな 観 点 か ら眺 め る と 、 人 間 行 動 は 経 験 に 基 づ い た 「
型 に は ま っ た や り方
(ruleofthumb)1を
作 り出 し、直 面 す る 状 況 そ れ ぞ れ の 文 脈 に応L"て 適 切 なや り方 を
選 択 す る とい っ た 、 帰 納 的 意 思 決 定 に 近 い 意 思 決 定 に 基 づ い て い る よ うに 思 わ れ る。
社 会 慣 習 ・組 織 ・法 制 度 な どは こ の 意 思 決 定 を 助 け る と い っ た 側 面 を 持 っ て い る。
こ の よ うに 経 済 シ ス テ ム を 複 雑 系 シ ス テ ム 、 人 間 を 限 定合 理 的 な 存 在 と見 る視 点 か
らは 、 社 会 制 度 こそ 人 間 が 複雑 な 環 境 に 対 処 す る た め に 必 然 的 に生 ま れ た 仕 組 み と考
え る こ と が で き る。 よ っ て 社 会 制 度 と は 、 環 境 や 社 会 の 変 化 に 応 じて 新 しい 仕 組 み が
発 見 され 、 よ り望 ま しい仕 組 み が 残 る と い う 「
適 応 的 進 化(adaptiveevolution)」
の
プ ロセ ス に よ っ て 生 ま れ て き た と考 え られ る。
(2)企 業 内 コー デ ィネ ー シ ョン
① 資源 配 分 メカ ニ ズ ム と企 業 内 コ ー デ ィネ ー シ ョ ン
経 済 活 動 を営 ん で い る ど の よ うな 社 会 で も、 資 源 配 分 の 問 題 に 直 面 して い る 。 社 会
の 発 展 と と も に 分 業 が 行 わ れ る よ うに な る と、 資 源 配 分 に か か わ る 情 報 は 社 会 の 中 に
分 散 して 存 在 す る よ うに な り、 人 々 は 異 な る情 報 に 基 づ い て意 思 決 定 しな け れ ば な ら
な い 。 こ の た め 、 社 会 的 に 望 ま しい 資 源 配 分 を 達 成 す る に は どの よ うに 情 報 を 共 有 又
は 分 散 す れ ば い い か とい う問 題 を コ ー デ ィネ ー シ ョン とい う。
現 在 の 経 済 活 動 は 大 き な 部 分 が 巨 大 企 業 に よ っ て 占 め られ て い る こ と か ら、 資 源 配
分 に 与 え る影 響 は 価 格 メ カ ニ ズ ム よ りむ しろ 、 企 業 内 コ.__.デ
ィネー シ ョンの 方が大 き
い と考 え られ る。
② 企 業 内 コ ー デ ィネ ー シ ョン の様 々 な タ イ プ
今 す べ て の 業 務 部 門 の 業 務 に外 部 性 を 及 ぼ す よ うな 不 確 実 性 を シ ス テ ム ・シ ョ ッ ク。
各 業 務 部 門 に発 生 し、 そ れ ぞれ の 業 務 レベ ル に の み 影 響 を 与 え る不 確 実 性 を個 別 シ ョ
ック とい う こ と にす る。
企 業 にお い て 経 営 部 門 の 果 た す 役 割 は 、 各 部 門 が これ らの シ ョ ッ ク に 関 す る 情 報 の
うち 、 どれ を用 い て どの よ うな 業 務 運 営 を 行 え ば 最 適 な 企 業 活 動 達 成 され るか を 判 断
一48一
し、 実 行 す る こ とで あ る.
以 下 で は 様 々 な 情 報 シ ス テ ム の タ イ プ を 歴 史 的 解 釈 の も と説 明 して い く。
i)古
典 的 ヒ エ ラ ル キ ー(classicalhierarchy)
最 も 単 純 な 情 報 シ ス テ ム で あ る。 これ は す べ て の 情 報 は経 営 部 門 が 握 り、 あ ら ゆ る
判 断 を 行 うも の で あ る。 企 業 組 織 は こ の 形 態 か ら始 ま っ た と考 え られ る。
五)分
権 的 ヒ エ ラ ル キ ー(decentralizedhierarchy)
資 本 主 義 の発 達 と教 育 の 普 及 に よ っ て 、 ヒエ ラル キ ー の 下 層 の 部 分 で 情 報 処 理 能 力
が 増 大 す る こ と に よ っ て 、 現 場 の 労 働 者 の 知 的 能 力 を利 用 す る こ と に な る。 この シ ス
テ ム で は 労 働 者 が 対 応 す る 状 況 は 、 現 場 の 個 別 環 境(個
人)に
生 じた 状 況 に 限 定 され
て い る。
こ の 情 報 シ ス テ ム は 第2次
世 界 大 戦 以 前 に ア メ リ カ で 発 展 し た 、 テ イ ラ ー ・シ ス テ
ム に 対 応 して い る。
111)情 報 同 化 シ ス テ ム(assimilatedinformation.system)
古 典 的 ヒ エ ラ ル キ ー か ら の も う1つ
の 興 味 深 い 進 化 は 、 第2次
大 戦 中 日本 に お い て
発 展 した この シ ス テ ム で あ る。 対 戦 中 の 労 働 者 不 足 か ら異 常 事 態 に 対 して 現 場 で で き
る 限 り 共 同 し て 対 処 に あ た る こ と に な り 、 ブ ル,_...・カ ラ ー と ホ ワ イ ト ・カ ラ ー の 曖 昧
化 も こ の 影 響 と 考 え ら れ る 。 こ の シ ス テ ム で は シ ス テ ム ・シ ョ ッ ク に の み 対 応 す る こ
とに な る。 こ の よ うな シ ス テ ム で は 労 働 者 に は企 業 特 殊 的 な 能 力 が つ く こ と に な る。
N)水
平 的 ヒ エ ラ ル キ ー(horizontalhierarchy)
こ の シ ス テ ム は 日本 企 業 が 情 報 同 化 シ ス テ ム を 発 展 さ せ 労 働 者 が 個 別 シ ョ ッ ク も シ
ス テ ム ・シ ョ ッ ク も と も に 対 応 す る シ ス テ ム で あ る 。 こ こ で は シ ス テ ム ・シ ョ ッ ク の
情 報 は 共 有 化 され て い る。
v)情
報 分 散 化 シ ス テ ム(decentralizedinformationsystem)
この シ ス テ ム は ア メ リカ 企 業 が 日本 企 業 か らの 脅 威 に対 して と っ た シ ス テ ム で あ り、
各 業 務 部 門 は そ れ ぞ れ の 個 別 ・シ ョ ッ ク に 加 え 、 各 々 の 視 点 か ら シ ス テ ム ・シ ョ ッ ク
に も 対 応 す る こ と に な る。
vi)情
報 異 化 シ ス テ ム(differentiatedinformationsystem)
理 論 的 に は 情 報 同 化 シ ス テ ム の 対 極 に あ る も の と し て 、 各 部 門 が シ ス テ ム ・シ ョ ッ
ク と い う同 じ シ ョ ッ ク を 観 察 す る の だ が 、 そ れ ぞ れ の 部 門 で 異 な る 誤 差 が 生 じ 、 結 果
一49一
的 に 各 部 門 で の シ ス テ ム ・シ ョ ッ ク の 観 測 値 が 異 な る シ ス テ ム で あ る 。
③情 報効 率性 の 比較 分析
上 記 の モ デ ル は 歴 史 的 に 関 係 性 が あ り、 さ ら に各 々 の シ ス テ ム が 発 展 した 地 域 に よ
っ て 深 い 関 係 性 が あ る。 そ の 関 係 を示 し た の が 〈 図 表2-1>で
あ る。
ま た 、 以 上 の モ デ ル にお い て 、 単 位 あ た りの 生 産 を よ り低 い期 待 費 用 で 実 現 で き る
情 報 シ ス テ ム を よ り情 報 効 率 的(informationa■yefficient)で
あ る とい うこ と に す る。
そ の た め企 業 の 経 営 部 門 は 企 業 内 の 情 報 シ ス テ ム を 、 代 替 的 な情 報 シ ス テ ム の 中 か ら
最 も情 報 効 率 的 な もの を 採 用 す る こ と に な る 。
しか し、 上 述 の 情 報 シ ス テ ム の 情 報 効 率 性 は 、 様 々 な パ ラ メ ー ター に 依 存 して い る
の で 、 どん な 場 合 で も 単 一 の 情 報 シ ス テ ム が 他 に 比 べ て 優 位 す る こ と は な い 。 そ れ で
は どの よ うな とき に ど の よ うな 情 報 シ ス テ ム が 情 報 効 率 的 に な る の で あ ろ うか 。 そ の
結 果 を 示 し た の が 〈 図 表2-2>で
あ る。
まず 個別 シ ョ ックが極 め て大 きい比 重 を占 める ケー スで は 、個別 シ ョ ックのみ に基
づ い て 各 部 門 が 業 務 を 遂 行 す る分 権 的 ヒエ ラル キ ー が 部 門 間 の 補 完 性 の 度 合 い に か か
わ らず 情 報 効 率 的 で あ る。 こ れ に 対 し て 、 シ ス テ ム ・シ ョ ッ ク の 比 重 が 大 き くな っ て
くる と、 部 門 同 士 が 技 術 的 に補 完 関 係 に あ る か 競 合 関 係 に あ る か で 異 な っ た 情 報 シ ス
テ ムが情 報 効率 的 にな る。
部 門 間 の 補 完 性 が 高 い 領 域 で は 、 部 門 間 の コー デ ィネ ー シ ョン が よ り重 要 に な る の
で 、 共 通 情 報 に 基 づ い た2つ
の 情 報 シ ス テ ム が 情 報 効 率 的 な シ ス テ ム と して 現 れ て く
る。 情 報 同 化 シ ス テ ム と水 平 的 ヒエ ラル キ ー で あ る。
逆 に 部 門 間 の 競 合 性 が 補 完 性 を 上 回 る 領 域 で は 、 差 異 化 され た 情 報 に 基 づ い た2つ
の 情 報 シ ス テ ム が 情 報 効 率 的 で あ る 。 す な わ ち 、 情 報 異 化 シ ス テ ム と情 報 分 散 化 シ ス
テ ム で あ る。
〈 図 表2-1情
報 シ ス テ ム の 歴 史 的 ・地 域 的 発 展 〉
一 ・
一 一
ぐ 器二
二
∴:灘
三lll
(日本 型)
一50一
〈 図 表2-2各
情 報 シ ステ ムの情 報効 率性 〉
シ ス テ ム ・シ ョ ッ ク の 比 重 大
く一 一-→
レ個 別 シ ョ ッ ク の 比 重 大
ニ
コー ア イ
ネー シ ョ
ンが重要
情 報 同化 システ ム
水 平 的 ヒエ ラ ル キ ー
情 報 異 化 シ ステ ム
情 報 分散 化 シス テ ム
分 権 的 ヒエ ラ ル キ ー
資源競合
性の解決
分 権 的 ヒエ ラ ル キ ー
が重要
2.比
較 制 度 分 析(企
(1)70-80年
業 内 コー デ ィネ..__.シ
ョン の視 点)に
よ る 自動 車 産 業 の 分 析
代 の 自動 車 産 業
そ れ 以 前 の 少 数 車 種 の 大 量 生 産 か ら、70年 代 以 降 急 速 な 製 品 の 多 様 化 そ して ニ ー ズ
の 細 分 化 が 起 こ っ た 。 こ の た め 多 様 化 した 需 要 と供 給 の ミ ス マ ッチ を 以 下 に 回 避 しつ
つ 消 費 者 を待 た せ る こ と な く供 給 を す み や か に 行 うか 、 つ ま りい か に 在 庫 を 少 な くか
つ 早 く納 品 す る リス ク の 少 な い 生 産 様 式 を 確 立 す る か が 自動 車 メ ー カ ー に と っ て 大 き
な 問題 に な っ た の で あ る。 こ の 様 な 課 題 に 対 応 す る に は 、 デ ィ ー ラ ー と メ ー カ ー 、 メ
ー カ ー 内 の 各 部 門 、 メ ー カ.一.と
下 請 け 企 業 間 の 緊 密 な コー デ ィ ネ ー シ ョ ン に よ っ て 各
部 門 間 の 情 報 共 有 や 在 庫 コ ス トの 削 減 が 必 要 に な っ た の で あ る 。 つ ま り、 自動 車 産 業
に お い て は 水 平 的 ヒ エ ラ ル キ ー こそ が 、 最 も情 報 効 率 的 な 情 報 シ ス テ ム と な る の で あ
る。
当 時 トヨ タ に 代 表 され る 日本 の 自動 車 メ ー カ ー で は 、1つ
の ライ ンで 多種 多様 な 製
品 を フ レ キ シ ブ ル か つ 効 率 的 に 作 る た め の カ ンバ ン 方 式 、 ジ ャ ス ト ・イ ン ・タ イ ム 方
式(JIT方
式)な
どの 部 品 供 給 シ ス テ ム が 導 入 され た 。 これ ら は 「リ._ン 生 産 方 式 」、
つ ま り贅 肉 の な い 生 産 方 式 と呼 ばれ 、 日本 の 自動 車 産 業 の 特 徴 とい わ れ て い る。 こ の
元 に な る の が メ ー カ ー と部 品 メ ー カ ー との 綿 密 な 垂 直 的 関 係 で あ る 。 つ ま り 日本 企 業
に お い て 中 心 的 な 水 平 的 ヒエ ラル キ ー とい う情 報 シ ス テ ム が.この70-80年
代 の 自動
車 産 業 を 取 り巻 く環 境 に ぴ っ た り と当 て は ま り、 大 き な 成 功 を収 め た と考 え られ る 。
-51一
これ に 対 し ア メ リカ の 自動 車 産 業 の 情 報 シ ス テ ム は ア メ リカ 企 業 に お い て 中 心 的 に
発 達 した 情 報 分 散 化 シ ス テ ム で あ っ た 。 こ の た め部 門 間 の 関 係 は非 常 に 薄 く ど の 部 門
も上 層 部 か ら の命 令 に 従 うだ け で 自 ら問 題 に 対 応 す る とい う事 が 非 常 に難 し く、 そ の
た め そ こ に非 常 に 多 く の コ ス トが 生 じ 日本 の 自動 車 産 業 に 対 し大 き な 遅 れ を とっ た の
であ る。
(2)90年
代 以 降 の 自動 車 産 業
しか し90年 代 に 入 っ て 国 際 的 な 自動 車 産 業 の 再 編 、 よ り一 層 の 競 争 の 激 化 、コ ス ト
の よ り一 層 の 削 減 の 必 要 が 起 こ る 中 で 状 況 は 変 わ っ て く る 。 ア メ リカ の 自動 車 業 界 は
情 報 シ ス テ ム の 情 報 分 散 化 シ ス テ ム か ら水 平 的 ヒエ ラ ル キ ー へ の 変 化 ・JITシ ス テ ム
の 導 入 そ して徹 底 した 市 場 理 論 に よ る非 常 に ドライ な 系 列 関 係 に よ っ て 徹 底 的 な コ ス
トの 削 減 を 行 う こ と で 、 非 常 に 大 き な 成 功 を収 め て い る。
これ に 対 し系 列 関係 が 非 常 に ウ ェ ッ トな 日本 の 自動 車 産 業 の な か で も比 較 的 ドラ イ
で 市 場 的 な 関 係 を も っ て い る トヨ タ 自動 車 は こ の 激 動 の90年
代 も 世 界 の 自動 車 産 業
の 中 で 確 固 と した 地 位 を 維 持 して い る。
しか し、 日産 に お い て は バ ブ ル 景 気 の 影 響 で 表 面 化 しな か っ た が
な ほ どの い わ ゆ る1ぬ
、系 列会 社 とは過剰
る ま 湯 的 関係 」 を構 築 し非 常 に ウs .ッ トな 関係 で あ っ た。 に も
か か わ らず 、 自社 内 に お い て は 売 れ る 車 と 関係 な くエ ン ジ ニ ア の 満 足 の い く車 を 開 発
す る とい う開 発 部 門 と販 売 部 門 の 分 離 が 起 こ っ て い たc極 端 な 言 い 方 を す れ ば 、 バ ブ
ル 景 気 に 油 断 し、 ぬ る ま 湯 的 関 係 の 中 で 消 費 者 か ら離 れ た 自分 た ち の 満 足 だ け を 考 え
た 車 を 開 発 ・生 産 して い た こ とに な る。 こ の つ け が バ ブ ル 崩 壊 後 顕 著 な も の に な っ て
日産 を 襲 うこ と に な る の で あ る。 つ ま り、 業 績 の 悪 化 ・過 剰 な 設 備 投 資 な ど、 様 々 な
課 題 が 目に 見 え る 形 で 迫 っ て き た の で あ る。 日産 は 当初 、 堤 オ ー ナ ー を 中 心 と して 独
自の 会 社 立 て 直 しを 図 っ た が 、 結 局 旧 来 の 体 制 を 打 破 し えず 、 そ の 経 営 立 て 直 しは ル
ノー 、 つ ま り外 資 の 手 を 借 り ざ る え な い 状 況 とな っ た の で あ る。
一52一
1皿.財 務 諸 表 分 析
1.鳥
瞼 分析
(1)日
①B/Sの
B/Sの
産 自動 車
分析
合 計 額 は1996年3月
か ら2000年3月
ま で に100。0か
ら92.4に
減 少 して
い る。 これ は 、 連 結 貸 借 対 照 表 の 資 本 の 部 に お け る 連 結 剰 余 金 の 大 幅 な マ イ ナ ス が あ
る か らだ と思 わ れ る。 そ れ も 、 連 結 損 益 計 算 書 を 見 る と一 目瞭 然 で あ り、1998年
度 ・
1999年 度 と2期 連 続 して 赤 字 を 計 上 して い る。 そ れ ゆ え 、 当 期 利 益 を加 算 して 計 算 さ
れ る連 結 剰 余 金 も 大 幅 な 落 ち込 み を 示 して い る の で あ る 。
で は 、 ま ず 資 産 の 部 か ら見 て み る。 流 動 資 産 と固 定 資 産 の 比 率 は ほ とん ど横 ば い で
推 移 して い る 。 しか し、 流 動 資 産 の 中 で は 、 現 金 ・預 金 の 大 幅 な 増 加 が 目 立つ の に 対
し、 有 価 証 券 あ る い は 棚 卸 資 産 とい っ た 項 目は 減 少 して い る。 ま た 、 固 定 資 産 を み て
も 、 償 却 対 象 有 形 固 定 資 産 と い っ た 項 目 も減 少 して い る。 こ の こ と は 、 日産 の リバ イ
バ ル ・プ ラ ン を 如 実 に 示 して い る の で は な い か と考 え られ る。 つ ま り、 不 要 な 資 産 、
そ れ は 特 に 償 却 対 象 有 形 固 定 資 産 だ が 、 そ れ を処 分 して い る の で は な い か 、 と考 え ら
れ る の で あ る。
次 に 、 負 債 の 部 を 見 て み る。 流 動 負 債 は 趨 勢 的 に 見 る と減 少 して い る の だ が 、 固 定
負 債 は 増 加 して い る。 社 債 等 は そ こ ま で劇 的 に変 化 して い な い の だ が 、 そ の 他 の 固 定
負 債 が 大 き く増 加 して い る 。 ま た 、流 動 負 債 と固 定 負 債 の 比 率 も1999年3月
ぼ2:1く
ら い の 割 合 だ っ た の が 、2000年3,月
ま た 、資 本 の 部 で は 、1999年3,月
まで はほ
に は 急 接 近 して き て い る。
と2000年3月
の 問 で 資 本 金 ・資 本 準 備 金 が 大 き く
増 加 して い るが これ は ル ノ ー の 資 金 提 供 に よ る 増 資 を 行 っ た か らで あ る。 ま た 、 最 初
に も述 べ た よ うに 、 連 結 剰 余 金 の 大 幅 な 減 少 も見 られ る。
②P/Lの
分析
まず 、 売 上 高 と売 上 原 価 の 関 係 で あ る が 、 こ の5年
間 、 構 成 比 を 見 て も ほ とん ど変
わ っ て い な い 。 そ の 結 果 と して 、 売 上 総 利 益 の 売 上 高 に 対 す る構 成 比 も25%前
定 して い る。 ま た 、 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 も23%前
後 で安
後 とい うこ とで 、 営 業 利 益 の 構 成
比 は ほ とん ど変 わ っ て い な い 。 しか し 、 営 業 外 項 目 の 区 分 で は 、 営 業 外 収 益 ・営 業 外
費 用 と も に減 少 して い るが 、 営 業 外 収 益 の減 少 の 割 合 が よ り大 き い の で 、 経 常 利 益 も
一53一
減 少 傾 向 に あ る。 そ して 、 特 別 項 目の 区 分 で は 、 先 ほ どのB/Sの
と こ ろ で も述 べ た
よ うに 、 資 産 処 分 に 関 す る項 目が 大 き く変 化 して い る。 資 産 処 分 益 は そ こ ま で 大 き く
変 化 して い な い が 、 資 産 処 分 損 あ るい は そ の他 の特 別 損 失 の 大 幅 な 増 加 が あ り、 結 果
と して 特 別 損 失 全 体 が 増 加 し、 結 局 当期 利 益 に 影 響 を 与 え て い る。 資 産 処 分 損 が 計 上
され て い る か らに は資 産 を処 分 した は ず で あ り、 これ は や は り、 リバ イ バ ル ・プ ラ ン
と関 連 付 け られ る は ず で あ る。
(2)ト
ヨ タ 自動 車
①B/Sの
分析
B/Sの
合 計 額 は1996年3月
か ら2000年3月
ま で に100.0か
ら145 .20に 増 加 して
い る 。 連 結 貸 借 対 照 表 で み る と、 どの 項 目 も 伸 び て い る の だ が 、 流 動 資 産 ・固 定 負 債
が相 対 的 に 大 き く伸 び て お り、固 定 資 産 が 相 対 的 に 見 る と伸 び が 小 さい こ とが わ か る。
ま ず 、 資 産 の 部 に 目を や る と、 流 動 資 産 と固 定 資 産 の 比 率 は ほ とん ど変 わ っ て い な
い 。 そ して 、 流 動 資 産 の 中 で も有 価 証 券 の 趨 勢 比559.49%と
い う伸 び が 目に つ く。 金
額 的 に も か な りの 部 分 を 占 め て い る項 目で あ る。 ま た 、 そ れ とは 逆 に 、 現 金 ・預 金 が
86.16と 貸 借 対 照 表 の 伸 び に反 して 、減 少 して い る。受 取 手 形 ・売 掛 金:も増 加 して い る
も の の 、 貸 借 対 照 表 の 伸 び に 比 べ る と増 加 の 幅 が 小 さい 。 次 に 、 固 定 資 産 ・投 資 そ の
他 の 資 産 を見 る と、 ま ず 建 設 仮 勘 定 の 伸 び の 大 き さ に気 づ く。 つ ま り、 い ま だ に新 し
い 建 物 を建 設 中 で あ る とい うこ とで あ る。 ま た 、 そ の 他 の 投 資 ・資 産 が793 .55に 大 幅
に 増 加 して い る が 、 これ は 税 効 果 会 計 が 採 用 され て 、 繰 延 税 金 資 産 が 計 上 され て い る
こ とに よ っ て い る。
一方
、 負 債 の 部 に 目 を転 じ る と、 流 動 負 債 ・固 定 負 債 の 比 率 も あ ま り変 わ っ て い な
い 。 流 動 負 債 の 中 で は 、 支 払 手 形 ・買 掛 金 の 伸 び が 目立 つ 。 これ は原 材 料 等 の 購i入に
充 て られ た も の と思 わ れ 、 これ が 増 加 して い る こ とは 順 調 に 生 産 が行 わ れ て い る証 で
も あ る。 さ ら に 、 短 期 借 入 金 ・未 払 金 な どが 増 加 して い る反 面 、 法 人 税 充 当 金 ・そ の
他 の 流 動 負 債 が 大 き く減 少 し て い る。 固 定 負 債 に お い て は 、 長 期 借 入 金 が 貸 借 対 照 表
の 伸 び に 比 べ る と伸 び が 小 さい 。 ま た 、 そ の 他 の 固 定 負 債 の 増 加 も先 ほ ど の そ の他 の
投 資 ・資 産 と 同様 に税 効 果 会 計 が 採 用 され て 繰 延 税 金 負 債 が 計 上 され て い る か らで あ
る。
一54一
最 後 に 、 資 本 の部 で は 、 連 結 剰 余 金 が 順 調 な 伸 び を示 して お り、 資 本 金:・資 本 準 備
金:はほ ぼ 横 ば い で あ るc
②P/Lの
分析
ま ず 、 売 上 高 が5年
間 で 約1.2倍
に な っ て い る の に 対 して 、 売 上 原 価 は1.1倍
び に 留 ま っ た 結 果 、 売 上 総 利 益 は 趨 勢 比174.16に
勢 比161.63と
な っ た が 、 販 売 費 ・一 般 管 理 費 も趨
売 上 高 を 上 回 って 伸 び て い る 。 しか し、 営 業 利 益 は 、2倍 強 に な って い
る 。構 成 比 で 見 て も、最 近4年
間 は 売 上 に 対 して6%前
を 見 る と、資 産 処 分 益 が 趨 勢 比588.02と
後 で あ る。 さ ら に 、営 業 外 収 益
大 き く伸 び て い る が 、 これ は も っ ぱ ら有 価 証
券 売 却 益 で あ る。 ま た 、 営 業 外 費 用 の 区 分 に お い て も 、資 産 処 分 損 が556.83に
い る が 、 資 産 処 分 損 が 大 部 分 を 占 め て い る。 そ して 、 当期 利 益 は 、1998年
っ た が 、1999年
(3)マ
①B/Sの
の伸
なっ て
に一回 下 が
に は ま た 持 ち 直 して い る 。
ツダ
分析
連 結 貸 借 対 照 表 の 合 計 は100.0か
ら107.41に
微 増 して い る 。 大 ま か に 見 る と、 流 動
負 債 の 伸 び が 大 き く、 流 動 資 産 ・固 定 負 債 が 逆 に 減 少 して い る。 資 本 合 計 も大 幅 に 減
少 して い る。
資 産 の 部 か ら見 て み よ う。 流 動 資 産 ・固 定 資 産 の比 率 は 、1999年
度 にお いて 、固 定
資 産 が 逆 転 した 。 ま ず 、 流 動 資 産 に つ い て だ が 、 こ こ で は 、 現 金:・預 金:と棚 卸 資 産 及
び そ の 他 の 流 動 資 産 が 大 き く増 加 して い る。 こ こ で も 、 そ の 他 の 流 動 資 産 の増 加 に税
効 果 会 計 に よ る繰 延 税 金 資 産 の 計 上 が 一 役 買 っ て い る。 そ の 反 面 、 受 取 手 形 ・売 掛 金
は ほ ぼ 半 減 、 有 価 証 券 に い た っ て は約1/3に
見 る と 、 土 地 が209.76と
ほ ぼ2倍
な っ てい る。 また 、 固定資 産 につ い て
に な っ て い る。 ま た 、 無 形 固 定 資 産 が金 額 べ 一 ス で
は そ こ ま で 大 き く な い も の の 、 趨 勢 比2332.50に
な っ て い る。 ま た 、 税 効 果 会 計 の 影
響 か ら そ の 他 の投 資 ・資 産 も大 き く伸 び て い る。 そ の 反 面 、 投 資 有 価 証 券 が 約 半 減 し
て い る。 さ ら に 、 為 替 調 整 勘 定 が 約4倍
に な っ て お り、 国 際 取 引 が 盛 ん で あ る とい う
こ と も い え よ う。
次 に 、負 債 の 部 を 見 て み よ う。流 動 負 債 ・固 定 負 債 の 比 率 は約3:1で
一55一
推 移 して い る。
しか し、 流 動 負 債 が 趨 勢 比 ベ ー ス で 増 加 して い る の に 対 して 、 固 定 負 債 は 減 少 傾 向 に
歯 止 め が か か り、よ うや く増 加 に転 じ始 め た と こ ろ で あ る。流 動 負 債 の 内 訳 を 見 る と、
全 体 的 に 流 動 負 債 の 伸 び に 比 例 して 伸 び て い る の だ が 、 そ の 中 で も 目 につ くの は 、 未
払 金 ・未 払 費 用 ・そ の 他 の流 動 負 債 で あ る。 一 方 、 固 定 負 債 で は 、 長 期 借 入 金 の 大 幅
な増 加 と社 債 の 大 幅 な 減 少 とい う現 象 が 見 られ る。 長 期 借 入 金 が 増 加 して い る こ とか
ら、設 備 投 資 に 資 金 が 運 用 され た の で は な い か と考 え る こ と が で き 、そ の 結 果 と して 、
資 産 の部 に お け る 土 地 の 増 加 が 引 き起 こ され て い る と見 る こ とが で き る 。 ま た 、 そ の
他 の 固 定 負 債 も増 加 して い る。
最 後 に 資 本 の 部 を 見 て み る 。 資 本 金 ・資 本 準 備 金 は 変 わ っ て い な い が 、 連 結 剰 余 金
は 大 幅 に 減 少 して い る 。 これ は 、 連 結 子 会 社 ・持 分 法 適 用 会 社 の 増 加 に 伴 う連 結 剰 余
金 の 減 少 が 影 響 して い る。
②P/Lの
分析
売 上 高 と売 上 原 価 の 関 係 を 見 る と、 売 上 高 は1.2倍
に な っ て い る の に対 して 、 売 上
原 価 は ほ ぼ 一 定 で あ る。 これ に よ り、 売 上 総 利 益 は 大 幅 に 増 加 して い る の だ が 、 そ の
一 方 で 販 売 費 ・一 般 管 理 費 も大 幅 に 増 加 して お り
、 結 果 と して 営 業 利 益 は あ ま り大 き
な伸 び は 示 して い な い 。 営 業 外 収 益 の 区 分 で は 、 資 産 処 分 益 が 激 減 して い る。 ま た 、
営 業 外 費 用 の 区 分 で は 、 支 払 利 息 ・割 引 料 が 減 少 して い る。 さ ら に 、 特 別 損 益 項 目の
区分 で は 、 特 別 利 益 に お け る 資 産 処 分 益 あ る い は 特 別 損 失 に お け る 資 産 処 分 損 ・評 価
損 とい っ た 項 目が 大 幅 に 増 加 して い る。 これ らの 、 資 産 処 分 損 益 の 大 半 は 、 固 定 資 産
売 却 損 益 と有 価 証 券 売 却 損 益 で あ る。1999年
度 は そ れ らが 顕 著 に 表 れ て い る
。 そ の結
果 と して 、 貸 借 対 照 表 に お い て 有 価 証 券 ・投 資 有 価 証 券 が 大 幅 に 減 少 して い た の で あ
る。 そ して 当 期 利 益 は 、1997年
は あ る が 、 利 益 の 額 は1998年
ま で の赤 字 を 脱 却 し、1998・1999年
に 比 べ て1999年
一56一
は 減 少 して い る。
と2年 連 続 黒 字 で
(4)本
①B/Sの
B/Sの
田技 研 工 業
分析
合 計 額 は 、5年
間 で100.0か
ら139.31に
流 動 資 産 ・固 定 資 産 ・流 動 負債 は ほ ぼB/Sの
債 はB/Sの
増 加 して い る。
一概 観 して み る と、
伸 び に 比 例 して 伸 び て い る が 、 固 定 負
伸 び に 反 して 減 少 して い る。 ま た 、 資 本 の部 は 、B/Sの
伸 び を上 回 っ
て 伸 び て い る。
まず 、資 産 の部 で あ る が 、流 動 資 産 ・固 定 資 産 は ほ とん ど差 が な か っ た の だ が 、2000
年3,月 に お い て 流 動 資 産 が 固 定 資 産 を逆 転 して い る。 流 動 資 産 は5年
間 で 約1.5倍
に
な っ て い る。 そ の 内訳 を 見 て み る と、 現 金 ・預 金 は ほ ぼ 比 例 して 伸 び て い る が 、 受 取
手 形 ・売 掛 金 あ るい は 棚 卸 資 産 は 流 動 資 産 の 伸 び ほ ど伸 び て い な い 。 そ れ に 比 べ て 、
5年 間 で 約2倍
に な っ て い る の が そ の 他 の 流 動 資 産 で あ る。 そ の 他 の 流 動 資 産 に は 、
繰 延 税 金 資 産 も含 ま れ て い る も の の 、 そ れ を 差 し引 い て も そ の 伸 び は 顕 著 で あ る。 一
方 の 固 定 資 産 で あ る が 、 これ は5年
間 で 約1。3倍
で あ る。 内 訳 を 見 て も、 そ こ ま で 突
出 して 伸 び て い る も の も 見 当 た らな い が 、 強 い て 言 え ば 、 投 資 そ の 他 の 資 産 が 目立 っ
て 伸 び て い る程 度 で あ る。 な お 、2000年3月
に お け るそ の 他 の 投 資 資 産 に は 税 効 果 会
計 適 用 に よ る繰 延 税 金 資 産 が含 ま れ て い る。
次 に 、 負 債 の 部 を み る。 流 動 負 債 は5年 間 増 加 し、 趨 勢 比 が145.2に
な っ て い る一
方 、 固 定 負 債 は急 激 に 減 少 して い る 。 流 動 負 債 の 内 訳 をみ る と、 支 払 手 形 ・買 掛 金 あ
る い は 短 期 借 入 金 は ほ ぼ 流 動 負 債 の 伸 び と一 致 して 伸 び て い る。 しか し、 未 払 金 ・未
払 費 用 は 少 し大 き な 伸 び を 示 し て い る し、 そ の 他 の 流 動 負 債 は 流 動 負 債 の 伸 び に 比 べ
る と大 幅 に減 少 して い る。 他 方 、 固 定 負 債 の 内 訳 を 見 る と、 社 債 ・転 換 社 債 の 大 幅 な
減 少 ・そ の 他 固 定 負 債 の 減 少 、 さ ら に は 長 期 借 入 金 の 増 加 も 少 な く 、 結 果 と して 、 固
定 負 債 が 大 幅 に 減 少 して い る。
最 後 に 、 資 本 の 部 を 見 る と、 資 本 金 ・資 本 準 備 金 は 変 わ っ て お らず 、 そ の 他 の剰 余
金 が 趨 勢 比257。56と 約2.5倍
に膨 れ 上 が っ て い る。 これ は 、毎 期 順 調 に利 益 が 生 み 出
され て い る とい う こ との 一 つ の 表 れ で あ る と もい え る。
②P/Lの
分析
売 上 高 が5年
間 で 趨 勢 比143.43、
売 上 原 価 が135.92と
一57一
い うこ とで 、 とも に伸 び て い
る こ とか ら、 順 調 に 経 営 規 模 を 拡 大 して い る こ とが うか が え る。 しか し、 最 近5年
で 言 え ば 、 ピー ク は1998年
聞
度 で あ る。 販 売 費 ・一 般 管 理 費 も 、 売 上 高 とほ ぼ 同 じ趨 勢
比 で 推 移 して い る。 そ の 結 果 、 売 上 総 利 益 あ る い は営 業 利 益 は 、1998年
度 が ピー ク で
1999年 度 は若 干 減 少 して い る。 営 業 外 収 益 の 区 分 で は 、 受 取 利 息 ・割 引料 及 び そ の 他
営 業 外 収 益 が と も に 増 加 し、 営 業 外 収 益 が3倍
近 く増 加 して い る。 これ に 対 して 、 営
業 外 費 用 の 区分 で は 、 支 払 利 息 ・割 引 料 は ほ ぼ4割 減 、 そ の 他 営 業 外 費 用 も微 増 とい
う こ とで 、 営 業 外 費 用 全 体 が2割 強 の 減 少 とな っ て い る。 そ して 、 経 常 利 益 も、1998
年 度 が ピー ク で1999年
ク で1999年
度 は 若 干 減 少 して い る。 最 後 に 、 当期 利 益 も1998年
度 が ピー
度 は 少 し減 少 した もの の そ れ で も趨 勢 比370 .64と い う大 幅 な増 加 を 見 せ
てい る。
2.経
営指標 分析
(1)収
益性 の分析
収 益 性 の 分 析 指 標 と して は 、 総 資 本 営 業 利 益 率 と株 主 資 本 利 益 率(ROE)を
用 いた。
総 資 本 営 業 利 益 率=営 業 利 益 ÷ 総 資 本 ×100%、 株 主 資 本 利 益 率=当
期 利 益 ÷株 主 資 本
×100%で
度 は数字 が落 ちて
あ る。 ま ず 、 総 資 本 営 業 利 益 率 だ が 、4社
い る。 業 界 の 平 均 値 で み て も1996年
3.04%で
あ る。 日産 は1.59%か
あ る1996年
度 の2.63%と
と も に1999年
度 を ピー ク に3年
ら 五.26%へ
と約20%減
連続 で減 少 し
、1999年
度は
で あ り、最 近5年 間 の ピー ク で
比 較 す る と半 分 弱 に落 ち込 ん で い る。 ま た 、マ ツ ダ は 大 幅 に
落 ち て い る。 こ れ は 営 業 利 益 が 約1/3に
な っ た こ と に 起 因 して い る。そ の 一 方 で 、本
田 は最 近5年 間 で 常 に トップ で あ り、1999年 度 に お い て も総 資 本 営 業 利 益 率 は
、本 田
技 研 工 業 が 一 番 よ く、2番 手 の トヨ タ の2倍 近 い 数 字 で あ る。 日産 や マ ツ ダ は業 界 平
均 と比 較 して も か な り低 い 数 字 で あ る。
さ らに 細 か く分 析 す る た め 、 総 資 本 営 業 利 益 率 を総 資 本 回 転 率(=売
X100%)と
売 上 高 営 業 利 益 率(=営
業 利 益 ÷ 売 上 高X100%)に
分 解 して み る
本 回 転 率 は 、 本 田 と マ ツ ダ が1を 超 え て お り、 日産 と トヨ タが1を
界 平 均 は 減 少 気 味 で あ り1999年
トヨ タ は1999年
度 は1.07で
。総資
下 回 っ て い る。 業
あ る。本 田 、マ ツ ダ は ほ ぼ 安 定 して お り、
度 に お い て 下 降 して い る。日産 も1999年
一58一
上 高 ÷総 資 本
度 は前年 を下 回 った もの の
、
最 近5年
間 で み る と投 資 の 効 率 性 が 若 干 改 善 され て い る こ とが うか が え る。 一 方 、 売
上 高 営 業 利 益 率 は 、本 田 ・ トヨ タが 高 い 水 準 に あ り、 日産 ・マ ツ ダ は 低 い 水 準 で あ る。
日産 は1998年
度 に お い て い っ た ん 数 字 を上 げ た が1999年
度 で は 、ま た 下 が っ て い る。
同 じ こ とは マ ツ ダ に も 言 え て 、こ ち らの 場 合 は 日産 よ り も下 げ 幅 が 大 き い 。本 田 も1998
年 度 か ら1999年
度 へ の 数 字 の 下 げ 幅 が 大 き い 。 トヨ タ で も1999年
が 、前 年 よ りマ イ ナ ス0.06ポ
度 は下が っ てい る
イ ン トと ほ ぼ 現 状 維 持 で あ る。 結 果 と して 、 トヨ タ に 次
ぐ資 本 規 模 を誇 りな が ら、 総 資 本 の 小 さい マ ツ ダ と同 じ よ うな 売 上 高 営 業 利 益 率 で あ
り、 マ ツ ダ ほ ど総 資 本 回 転 率 が 高 く な い た め 、 日産 は総 資 本 営 業 利 益 率 が 低 い の で あ
る。
次 に 、 株 主 資 本 利 益 率(ROE:ReturnofEquity)を
1999年 度 は 前 年 の4.28%か
ら一6.09%に
見 て み る 。 業 界 全 体 で み る と、
大 き く減 少 し て い る 。 これ は 、 日産 の 大 幅 な
赤 字 が 響 い て い る も の と思 わ れ る。 企 業 ご とに 見 て み る と 、 日産 は 大 き く 下 降 して お
り、 トヨ タ は上 昇 ・下 降 の 連 続 、マ ツ ダ は 最 近5年 間 上 昇 傾 向 に あ り、本 田 は1999年
度 に 数 値 を20%弱
減 ら して い る 。 これ よ り、 マ ツ ダ がROEの
善 して い る。1997年
観 点 で い え ば 、 大 き く改
度 ま で は 当期 利 益 が マ イ ナ ス で あ っ た た め 、ROEが
ス で あ っ た が 、 当期 利 益 が プ ラ ス に転 じた1998年
ず っ と々 イ ナ
度 ・1999年 度 とROEが10%を
超え
て い る。 ま た 、 トヨ タ ・本 田 は 順 調 に 利 益 を 上 げ て い るが 、 そ れ 以 上 に 株 主 資 本 、 そ
の 中 で も剰 余 金 が 増 え て い るた め 、ROEが 上 が っ た り下 が っ た り して い る。 そ して 、 日
産 は 、1999年
度 に お い て 、 大 幅 な 赤 字 を計 上 した た め 、ROEの
数値 が大 幅 にマイ ナ ス
とな っ て い る。 しか し、 日産 の リバ イ バ ル ・プ ラ ン に よ る不 要 な 資 産 の 処 分 、 す な わ
ち今 ま で 総 資 本 営 業 利 益 率 あ る い はROEを
に 処 分 して い る結 果 と して の1999年
下 げ る 一 つ の 要 因 とな っ て い た もの を 一 気
度 の 大 幅 な 赤 字 計 上 が 、資 産 処 分 に よ る 総 資 本 圧
縮 そ して そ れ に 伴 う総 資 本 営 業 利 益 率 の 上 昇 、 あ る い はROEの
上 昇 につ なが るの かが
焦 点 と言 え よ う。
(2)効
率性 の分 析
効 率 性 の 分 析 で は 、 固 定 資 産 回 転 率 に 注 目す る。 固 定 資 産 回 転 率 と は 、 売 上 高 ÷ 固
定 資 産 で 求 め られ る 指 標 で あ り、 生 産 に利 用 され る こ と に よ っ て 固 定 資 産 が どれ だ け
売 上 高 の 獲 得 に 貢 献 した か を示 す 指 標 で あ る。 逆 に い え ば 、 無 駄 な設 備 投 資 が 行 わ れ
-59一
て い れ ば 、 設 備 は 使 用 され ず 、 売 上 高 の 獲 得 に 貢 献 し な い た め 、 固 定 資 産 へ の 設 備 投
資 の 効 率 性 も示 され る こ と に な る。
ま ず 、 全 体 につ い て み る と、1996年
約8割
度 の2.30を
最 高 に1999年
度 に は1 .83に な り、
に な っ て い る。 相 対 的 に資 産 の 額 が 大 き い 日産 ・ トヨ タ に 関 して 言 え ば 固 定 資
産 回 転 率 は 数 字 が 悪 く な っ て お り、 相 対 的 に 資 産 の 額 が 小 さい マ ツ ダ ・本 田 は 数 字 が
よ く な っ て い る。 各 企 業 に つ い て み る と、 トヨ タ は 数 字 が 下 が っ て い る傾 向 に あ る。
マ ツ ダ は 、1998年
度 に い っ た ん落 ち 込 ん だ が 、1999年
度 は 回 復 の 兆 し を 見せ て い る。
本 田 は 、5年 間 に わ た っ て 上 昇 傾 向 で あ る 。 そ して 、 日産 は リバ イ バ ル ・プ ラ ン の成
果 と位 置 付 け て もい い か も しれ な い が 、1997年
は数 字 に 開 き が あ る。1999年
度 は1998年
度 ま で の3年 間 とそ れ 以 降 の2年
間で
度 に 比 べ て 数 字 は 下 が っ た とは い え 、1997
年 度 ま で に 比 べ る と依 然 と して 高 い と言 え る。 ま た 、 日産 は1998年
度 ・1999年 度 に お
い て 、 固 定 資 産 回 転 率 が トヨ タ を 上 回 っ て お り、 固 定 資 産 の 効 率 性 は 改 善 され て い る
と言 え よ う。
(3)安
全性 の分 析
安 全 性 の 分 析 に ま ず 用 い る指 標 は 、流 動 比 率(=流
動 資 産 ÷流 動 負 債 ×100%)で
あ
る。 簡 単 に 言 え ば 、 流 動 資 産 と流 動 負 債 の ど ち らが 大 き い か とい うこ と を表 す 指 標 で
あ る。 す な わ ち 、 決 算 日よ り1年 以 内 に 入 金 す る金 額 と1年 以 内 に 支 払 わ な けれ ば な
らな い 金 額 と を 比 較 して い る の で あ る。す る と、流 動 比 率 が100%を
超 え て い る と、流
動 資 産 の 方 が 流 動 負 債 よ り も大 き い こ と に な る。 こ の 指 標 で短 期 的 支 払 能 力 の 有 無 が
わ か る の で あ る 。業 界 平 均 で は 、1999年 度 に 前 年 の117 .8%か
ら144.8%と
大 き く伸 び
て い る。 各 企 業 を 見 て も 、 マ ツ ダ 以 外 の3社 は 流 動 比 率 が 伸 び て い る
。 トヨ タ は1年
ご と に 数 値 が 上 下 して お り、1999年 度 は ア ップ して い る。マ ツ ダ は1995年
に減 少 しつ づ け 、1999年
度 に は78.56%と
度 を ピー ク
業 界 平 均 の約 半 分 に ま で 落 ち 込 ん で い る
。
こ の こ とか らマ ツ ダ は 資 金 繰 りが 厳 しい と言 うこ とが 言 え る。 ホ ン ダ は 、100%を
越え
る 水 準 で 安 定 して お り、1999年 度 は 若 干 ア ップ して い る。 そ して 、 日産 は1998年
度ま
で 減 少 しつ づ け て い た が 、1999年 度 は一 気 に78 .70%か
伸ば
ら94.75%と
数 字 を約2割
して い る。 これ は 、 日産 の 財 務 的 不 安 定 性 が 改 善 され た とい う こ と で あ る が
バ ル=プ
、 リバ イ
ラ ン に よ る 固 定 資 産 の 売 却 ・処 分 等 に よ る流 動 資 産 の 増 加 とい う一 面 が 垣 間
一60一
見 えてい る。
次 に 、 自 己 資 本 比 率(=自
己 資 本 ÷ 総 資 本X100%)を
用 い て 分 析 す る。 自 己 資 本 比
率 の 値 が 大 き い ほ ど資 金 の調 達 が 返 済 の 必 要 の な い 資 金 で 行 わ れ て い る こ と を示 し て
い る の で 、 財 務 的 に 安 全 とい うこ と に な る。 す な わ ち 、 自 己 資 本 と表 裏 の 関係 に あ る
他 人 資 本 が 多 い ほ ど、 将 来 に お い て 資 金 が 社 外 に流 出 す る こ と に な り、 財 務 的 に 安 全
で な い の で あ る。 自 己 資 本 比 率 の 業 界 平 均 は 大 体50%前
後 を 推 移 して お り、 ゆ るや か
な が ら も上 昇 しつ づ け て い る 。 今 回 、 分 析 の 対 象 と した4社
て い る 。 そ の 中 で も、 トヨタ ・ホ ン ダ は と も に40%前
は全 て業界 平 均 を下 回 っ
後 を 推 移 して お り、 決 して 財 務
的 に不 安 定 とい うわ け で は な い 。 しか し な が ら、日産 ・マ ツ ダ は20%を
マ ツ ダ に 関 して は前 年 の25.55%か
ら16.72%へ
下 回 っ て お り、
と大 き く減 少 して い る。 こ の2社
につ
い て は 、財 務 的 に か な り安 全 で な い とい う こ とが い え る だ ろ う。
ま た 、 固 定 比 率(=固
定 資産 ÷ 自 己 資 本 ×100%)に
つ い て 見 て み る。 固 定 資 産 は 投
資 回 収 に 時 間 が か か る た め 、 固 定 資 産 に 対 して 投 資 を 行 う際 に は 、 返 済 の 必 要 の な い
資 金(自
己資 本)で
行 うこ と が 望 ま しい 。 従 っ て 固 定 比 率 は 、 固 定 資 産 へ の投 資 が 返
済 の 必 要 の な い 自 己 資 本 で 行 わ れ て い る か ど うか の 指 標 と な る。 自動 車 製 造 業 は 大 規
模 な 設 備 が 必 要 とな る た め 、 一 般 に 固 定 比 率 が 高 い と言 わ れ る。 そ れ を 示 す か の よ う
に 、業 界 平 均 の 固 定 比 率 は1998年
112.3%と
度 ま で は120%前
後 で 推 移 して い た が 、1999年 度 は
か な り減 少 して い る 。 固 定 比 率 を 各 企 業 に つ い て 見 て み る と 、 こ こ で も トヨ
タ ・ホ ン ダ とい う グル ー プ と 日産 ・マ ツ ダ とい うグ ル ー プ に 分 け る こ とが で き る。 固 1
定 比 率 が 一 番 安 定 して い る の は トヨタ で125%前
の158.62%か
ら1999年
年 度 の192.88%か
年 度 は 過 去5年
度 に は123.73%へ
ら1999年
度
と大 幅 に減 少 して い る 。一 方 、マ ツ ダ は1998
度 の301.68%へ
間 で 最 悪 の360.58%に
後 で あ る。 ま た 、 ホ ン ダ は1995年
の 大 幅 な 悪 化 が 見 られ る。 日産 も 、1999
ま で 落 ち 込 ん で い る。 マ ツ ダ 、 日産 と も に言 え
る こ と だ が 、 これ は 固 定 資 産 の 額 が あ ま り変 化 して い な い の に 、 自 己 資 本 の 額 が 前 年
の6割(マ
ツ ダ)、 あ る い は7割(日
産)に 落 ち込 ん で い る こ とに 原 因 が あ り、 そ れ を
つ き つ め て い く と、 マ ツ ダ は 連 結 剰 余 金 の 大 幅 な 減 少 、 日産 は 大 幅 な 赤 字 計 上 に よ る
と言 え るだ ろ う。
そ して 、 こ の 固 定 比 率 と よ く似 た 指 標 に 固 定 長 期 適 合 率(=固
固 定 負 債}×100%)が
定 資 産 ÷{自 己 資 本+
あ る。 この 指 標 は 、 固 定 比 率 の 限 界 を 補 う指 標 で あ る 。 換 言 す
れ ば 、 固 定 比 率 の 計 算 で は 、 分 母 に 自 己資 本 を 持 っ て き て 、 固 定 資 産 が 自 己 資 本 に よ
一61一
っ て 調 達 され て い る か ど うか とい うの で あ っ た の に 対 し、固 定 長 期 適 合 率 の 計 算 で は 、
分 母 に(自
己資 本+固
定 負 債)を 持 っ て く る こ と に よ っ て 、 固 定 資 産 へ の 投 資 が 返 済
の 必 要 の な い 資 金(自 己 資 本)あ る い は 返 済 が 長 期 間 に わ た っ て 行 わ れ る 固 定 負 債(長
期 資 金)に
よ っ て 行 わ れ て い るか ど うか を 見 る こ と に な る の で あ る。 ま ず 業 界 全 体 を
見 る と、1995年 度 か ら1998年
に82.5%に
度 に か け て は90%前
後 で あ っ た が 、1999年
度 には一 気
ま で 下 が っ て い る。 つ ま り、 業 界 全 体 と して は 財 務 の 安 全 性 の 方 向 に 向 か
っ て い る 。 各 企 業 につ い て 見 て み る 。 ト ヨタ は1995年
横 ば い で あ り、1999年
度 に は80%を
度 か ら1999年
度 ま で ほ とん ど
切 っ て い る。 ま た 、 ホ ン ダ も1997年
度 にい った
ん 悪 化 した も の め 、 そ の 後 は2年 続 け て 改 善 の 方 向 に 向 か っ て い る。 マ ツ ダ は 、1995
年 度 以 降 悪 化 の 一 途 を た どっ て お り、1999年 度 の121.55%は1995年
1.4倍 に も な っ て い る。 そ れ と は 対 照 的 に 日産 は 、1997年
度 の90.66%の
度 に は127 .66%で
に1998年 度 ・1999年 度 と順 調 に改 善 して き て い る。1999年 度 に は100%を
一般 に
、固 定 長 期 適 合 率 は80%く
約
あっ たの
切 っ て い る。
らい が 好 ま しい 水 準 と言 わ れ て お り、100%を 超 え て
い る 場 合 、 短 期 資 金 が 固 定 資 産 へ の 投 資 に 使 わ れ て い る こ とに な る の で 財 務 的 な バ ラ
ン ス が 崩 れ て い る と言 わ れ る。 こ の 観 点 で 言 う と、 トヨ タ は か な り好 ま しい 水 準 に あ
り、 ホ ン ダ と 日産 は ま ず まず 財 務 的 バ ラ ン ス が 取 れ て お り、 マ ツ ダ は財 務 的 バ ラ ン ス
が 大 き く崩 れ て い る とい うこ と が 言 え よ う。
最 後 に 、 イ ン タ レス ト ・カ バ レ ッジ ・レ シオ(={営
+手 形 割 引 料})と
業 利 益+受
取 利 息}÷{支 払 利 息
い う指 標 に つ い て 見 る。 イ ン タ レス ト ・カ バ レ ッ ジ ・レ シ オ は企 業
の利 息 支 払 能 力 が わ か る指 標 で あ り、 イ ン タ レス ト ・カ バ レ ッジ ・レシ オ の 数 値 が 大
き け れ ば 大 き い ほ ど企 業 の 利 息 支 払 能 力 は 高 くて 良 い とい うこ とに な り、 逆 に1を
割
っ て い る と企 業 の 利 息 支 払 能 力 に 問 題 が あ る とい う こ とに な る。 イ ン タ レ ス ト ・カ バ
レ ッ ジ ・レシ オ は ホ ン ダ が1995年
度 か ら上 昇 しつ づ け 、1999年 度 に は23.10に
っ て い る。 ま た 、 トヨ タ も1997年
度 の23 .63が ピー ク とは い え 、1999年 度 に お い て も
17.77と 高 い 水 準 を保 っ て い る。この2社
対 照 的 に 、 日産 は1997年
は 十 分 な 利 息 支 払 能 力 を 持 っ て い る と言 え る。
度 に お い て 大 き く落 ち込 券 、1998年
方 向 に は 向 か っ て はい る もの の 、1996年 度 の1.96に
度 ま で は 、 改 善 しつ づ け て い た が 、1999年
2.55か
と約4割
に な っ て い る。こ の2社
度 ・1999年 度 と改 善 の
比 較 す る とま だ ま だ 低 い 。 ま た 、
マ ツ ダ も1998年
ら1.Olへ
まで な
度 におい て一 気 に前年 の
は か ろ う じて1は 超 えて い る もの の 、
利 息 支 払 能 力 に 若 干 不 安 が 残 る とい う点 で 、 財 務 的 に 不 安 定 で あ る 。
一62一
3.ま
とめ
以 上 の よ うに 、 財 務 諸 表 の 鳥 瞼 分 析 及 び 経 営 指 標 分 析 を行 っ て き た 。 や は り、 トヨ
タ とホ ン ダ が 収 益 性 ・安 全 性 の 面 で 良 い 水 準 を 保 っ て い る 。 一 方 、 日産 とマ ツ ダ は少
し劣 っ て い る。 今 回 、 日産 の 再 編 を テ,_.マに み る とい う こ とで あ っ た が 、1999年
度に
お け る大 幅 な 資 産 処 分 、 ま た そ れ に 伴 う大 幅 な 赤 字 計 上 とい っ た リバ イ バ ル ・プ ラ ン
の 成 否 は2000年
度 の財 務 諸 表 に 大 き く反 映 す る こ とだ ろ う。 しか し、経 営 指 標 の と こ
ろ で も い くつ か 触 れ た よ うに 、 す で に リバ イ バ ル ・プ ラ ン の 成 果 とい っ て も い い 事 象
が 起 こ っ て い る。 リバ イ バ ル ・プ ラ ン は今 の とこ ろ順 調 に 進 ん で い る と言 わ れ て い る 。
来 年 あ る い は 再 来 年 に1999年
度 の 財 務 諸 表 を 見 た と き に 、 こ の 資 産 処 分 ・赤 字 計 上 が
タ ー ニ ン グ ・ポ イ ン トに な っ て い る か ど うか が 今 後 の 焦 点 と言 え る。 ま た 、 リバ イ バ
ル ・プ ラ ン に よ っ て 来 年 度(2000年
度)の 財 務 諸 表 が ど の よ うに な っ て い く の か を 注
目 した い 。
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IV.日
1.日
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自動 車 産 業 で は 、 先 進 国 市 場 の 成 熟 化 で 、 競 争 が 激 化 して い る 上 、 環 境 対 応 を 睨 ん
だ 次 世 代 技 術 の 開 発 に 巨 大 な コス トが か か り、 一 社 単 独 で の 生 き 残 りが 難 し く な っ て
き て い る。 先 進 国 市 場 は成 熟 化 して し ま い 、 一 方 東 南 ア ジ ア や ロ シ ア な ど の 新 興 市 場
は 経 営 不 振 で 停 滞 して しま っ て い る。 世 界 の 自動 車 メ ー カ ー は 、 生 産 体 制 の 効 率 化 を
迫 られ て い る 上 、 排 ガ ス 規 制 や 燃 料 基 準 の 強 化 で 燃 料 電 池 自動 車 な どの 開 発 も本 格 化
して お り、 一 社 単 独 で の 技 術 開発 で は 費 用 や 人 手 の 面 で 限 界 が き て い る。 こ う した 課
題 を 乗 り越 え る に は 、 合 併 や 資 本 提 携 が 近 道 との 認 識 が 業 界 内 で 高 ま っ て い る。 こ の
よ うな状 況 の 中 、 ル ノ ー との 提 携 とい う道 を た ど っ た 日産 の 今 後 を予 測 して み た い 。
2.日
産 の失 敗
日産 の 失 敗 は ま ず 、 消 費 者 の ニ ー ズ に 対 し て鈍 感 だ っ た こ と に あ る。 こ れ は 、 良 い
製 品 を作 れ ば 売 れ るは ず とい う思 考 に よ る も の で あ る 、 しか しな が らそ こ に は 「ど う
良 い の か 」 とい う疑 問 が 当然 生 じる。 彼 らの 考 え る 良 い 車 とい うの は 、 技 術 的 に優 れ
た 車 で あ り、 消 費 者 の 求 め て い る ニ ー ズ に 的 確 に 答 え て い る か ど うか とい う事 は 「
良
い 」 車 の 条 件 で は な か っ た の で あ る。 そ の 顕 著 な 例 が 、98年
国 内 販 売 のRV(レ
ジャ
ー 用 車)ブ ・
一 ム に 対 す る 乗 り遅 れ で あ り、 小 型 車 市 場 へ の 参 入 の 遅 れ で あ っ た 。 しか
も こ う した 考 え か ら彼 らの コ ス ト意 識 は き わ め て 低 か っ た の で あ る。
そ して 、 北 米 事 業 の 赤 字 で あ っ た 。 しか しな が ら こ の 北 米 事 業 の 赤 字 は 、 近 年 の 米
国 経 済 の 、 大 幅 な 成 長 に よ っ て 、 改 善 され 現 在 で は 黒 字 、 そ れ も ドル 箱 とい え る ほ ど
に な っ て い る 。だ が 、日本 市 場 の 低 迷 の 中 で 、日産 は販 売 を 北 米 市 場 に 傾 け つ つ あ り、
米 国 経 済 の 先 行 き不 安 感 が 増 す な か で こ う した 動 き は諸 刃 の 刃 に な りか ね な い 。だ が 、
米 国 市 場 の 好 調 の 波 に 乗 ら な けれ ば 、 日産 の 経 営 は い つ ま で も低 迷 しつ づ け て しま う
こ と も事 実 で あ り、 日産 と して は危 な い 綱 渡 りを続 け な け れ ば な ら な い の で あ る。
ま た 、 自動 車1台
あ た りの利 益 率 の 問 題 も あ る。 自動 車1台
で 比 較 す る と、 米 ゼ ネ ラ ル ・モ ー タ ー ズ や トヨ タ 自動 車 が11か
日産 は約5万
あ た りの 税 引 き前 利 益
ら18万
円なの に対 し
円 と半 分 以 下 で あ る 。 こ れ は 、 ブ ラ ン ドイ メー ジ の 問 題 と密 接 に か か わ
っ て お り、 ブ ラ ン ドイ メVジ
の 低 さが こ う した 低 利 益 を余 儀 な く させ る要 因 と な っ て
一73一
い る。
さ ら に 、 経 営 方 針 が 、 稚 拙 で あ っ た こ と も大 き な 要 因 で あ る。 国 内 販 売 が 頭 打 ち に
な っ て き て い る の に も か か わ らず 、 トヨ タ追 随 型 の 経 営 を続 け 車 種 を減 ら さず に 開 発
費 を注 ぎ込 ん で き た の で あ る。す な わ ち 、今 現 在 の 自分 た ち の 状 況 を正 確 に 把 握 し 「
今
ど うあ るべ き か 」 と い う こ と を 考 え る代 わ りに 彼 ら は 、 「ど うあ りた い か 」 を優 先 して
しま っ た の で あ る。
「
官 僚 主 義 」 の 蔓 延(部
る)こ
品会社 、販 売 会社 が 「
天 下 り先 」 と し て位 置 付 け られ て い
う した 商 品 開 発 力 の 低 下 、 低 収 益 性 、 意 思 決 定 の 遅 さ とい っ た 要 因 が 日産 の経
営 を 蝕 ん で い っ た 。そ して98年
に は2兆5千
億 円 の 負 債 を抱 え る と こ ろ ま で い っ て し
ま うの で あ る。,
3・NRP(日
(1)リ
産 リバ イ バ ル ・プ ラ ン)
バ イ バ ル ・プ ラ ン
日産 の 進 路 を 考 え 分 析 す る 為 に は 、 ま ず 日産 が 何 を 目的 と して 行 動 す る の か を想 定
しな くて は な らな い 。 現 時 点 で 日産 が た ど る の は 、 カ ル ロ ス ゴ ー ン 氏 の リバ イ バ ル ・
プ ラ ン で あ る こ とは 自明 な の で まず リバ イ バ ル ・プ ラ ン の 詳 細 を述 べ る。
リバ イ バ ル ・プ ラ ン で は 過 去 の 日産 の 業 績 不 振 の原 因 を① 利 益 追 求 の 不 徹 底 ② 顧 客
指 向 性 の 不 足 ③ 機 能 、 地 域 、 職 位 横 断 型 業 務 の 不 足 ④ 危 機 意 識 の 欠 如 ⑤ 共 有 ビ ジ ョン
や 共 通 の 長 期 計 画 の 欠 如 と して位 置 付 け た 。 つ ま り、 製 品 が 悪 くて 業 績 不 振 が 起 こ っ
た の で は な く 単 に俗 に 商 売 っ 気 と い わ れ る物 が な か っ た の で あ る と した 。
こ う した 状 況 を改 善 す る 為 に リバ イ バ ル ・プ ラ ン は 国 際 的 な 認 知 と海 外 展 開 ・世 界
最 先 端 の 生 産 技 術 ・特 定 分 野 で の 世 界 最 高 レベ ル の 先 進 技 術 ・ル ノー と の 提 携 ・優 秀
な 人 材 を 掲 げ た 。 そ して 「
利 益 あ る成 長 」 を 目標 と し、 活 動 は 新 商 品 の 投 入 ・自動 車
関 連 事 業 の展 開 ・ブ ラ ン ドア イ デ ン テ ィテ ィ の確 立 と強 化 ・リー ドタ イ ム の 短 縮 と さ
れ た。
具 体 的 に リー ドタ イ ム の 短 縮 は 車 両 、 パ ワ ー トレイ ン の 開 発 期 間 ・受 注 か ら納 車 ま
で の 期 間 ・新 車 発 売 時 期 の 地 域 間 格 差 な どに か か る 時 間 を減 らす とい うも の で あ る 。
購 買 戦 略 と して は コ ス トを3年 間 で20%減
一74一
らす の が 目標 と され た 。 そ の為 の 手 段 は
部 品 、 素 材 の集 中購 買 化 ・グ ロ,._.バ
ル 購 買 戦 略 に サ ー ビ ス を含 め る ・サ プ ラ イ ヤ ー 数
の 削 減(具
体 的 に は2002年
ま で に現 行 の 約 半 数 で あ る600に
す る)・ 競 争 力 の あ る グ
ロー バ ル サ プ ラ ー ヤ ー との パ ー トナ ー シ ップ ・「
仕 様 削 減 と標 準 化 」 へ の 挑 戦 が あ げ ら
れ る。 そ して グ ロー バ ル 生 産 に 関 して は 最 適 生 産 効 率 ・最 適 コ ス トの 達 成 が 目標 と さ
れ 、 そ の た め に 車 両 組 立 ・ユ ニ ッ ト生 産 能 力 の 適 正 化 が 行 わ れ る。 具 体 的 に は 現 在 の
稼 働 率53%を2002年
(2)販
ま で に77%ま
で 伸 ば す こ とで あ る。
売 費 お よび 一 般 管 理 費 の 分 野
これ は 、 ブ ラ ン ドパ ワー の 向 上 に よ る イ ンセ ン テ ィブ の 削 減 、 グ ロー バ ル 化 に よ る
広 告 費 の 削 減 、 販 売 網 の ス リム 化 、 固 定 費 の 削 減 を 目指 す 。 販 売 網 の ス リム 化 の た め
に は 具 体 的 に は ① 国 内 販 売 網 の 再 編(子
会 社 デ ィ ー ラ ー 数 の20%削
10%削 減 、 営 業 時 間 の延 長 、 ビ ジ ネ ス セ ン タ ー の設 置=バ
減 ・営 業 所 数 の
ッ ク オ フ ィ ス の 統 合)②
北
米 リー ジ ョナ ル 組 織 の ス リム 化(リ ー ジ ョナ ル オ フ ィ ス の ス リ ム化)③ 欧 州 デ ィ ー ラ
ー 網 の 再 編(ル ノ ー との 提 携 に よ る 共 通 ハ ブ お よび バ ッ クオ フ ィ ス の 設 置)④ ・Eビ
ジ ネ ス 分 野 で の カ ー ポ イ ン トとの 提 携 が 考 え られ て い る。
(3)財
務 コ ス ト分 野
財 務 コ ス ト削 減 の 為 に 、 グ ロー バ ル レベ ル で の 財 務 業 務 の 集 中 化(グ
ロ,_.バル 財 務
管 理1リ ス ク マ ネ ー ジ メ ン トの 実 現 、 グ ロ ー バ ル レベ ル で の 会 計 、 資 金 、 キ ャ ッシ ュ管
理 の 構築)、 戦 略 的 な 株 式 保 有 の 取 りや め 、 不 動 産 、有 価 証 券 お よ び 自動 車 関 連 以 外 の
資 産 の 売 却 、30%の
(4)研
在 庫 削 減 、 ル ノ ー との 提 携 が 考 え られ て い る。 ・
究開発
目標 は 研 究 開 発 能 力 の 有 効 活 用 で そ の た め に 、 グ ロ ー バ ル レ ベ ル で の 組 織 の 集 中 化 、
サ プ ラ イ ヤ ー と 共 同 で コ ス ト削 減 活 動 の 推 進("Nissan333"プ
ナ.___(サ プ ラ イ ヤ ー 、 購 買 、 開 発)、3年
中 近 東/ア
フ リ カ))、
間,3つ
の 地 域(ア
ロ グ ラ ム:3つ
のパ ー ト
ジ ア 、 米 州 、 ヨー ロ ッ パ/
コア テ ク ノ ロ ジ ー へ の 資 源 の 集 中 、 ル ノー と の 提 携 が 考 え ら
れ て い る。
一75一
(5)組
織分 野
目標 は 地 域 別 組 織 か ら グ ロ ー バ ル 組 織 へ の 変 遷 で あ り、 具 体 的 な 活 動 は 世 界 本 社 の 設
立(全
体 戦 略 、 企 画 、全 体 管 理 、 ブ ラ ン ドマ ネ ー ジ メ ン ト)・ グ ロー バ ル レベ ル で の機
能 別 管 理(開 発 、財 務 、 製 造 シ ステ ム 、 購 買 、 人 事)・ 機 能 横 断 生 徒 収 益 志 向 実 現 の 為
プ ロ グ ラ ム ・ダ イ レ ク タ ー を任 命 ・実 績 重 視 型 評 価 制 度:ボ
ョン 制 度 を2000年
(6)人
、 ス トッ ク オ プ シ
に 実 施 ・実 績 重 視 型 昇 進 制 度 な どで あ る。
員整理
99年
度 で148,000人(新
人)削
(7)必
ーナス
減 し 、127,000人
連 結 基 準 に よ る)の
に す る 。(グ
従 業 員 を2002年
ま でに
、14%(21,000
ロ ー バ ル レベ ル)
達 目標
2000年
度 に黒字 化
2002年
度 に 営 業 利 益4 .5%
販 売 金 融 を 除 い た 有 利 子 負 債 を2002年
に は99年
の 半 分 にす る
以 上 が リバ イ バ ル ・プ ラ ン で あ り、 日産 は こ の 方 針 に 従 っ て 動 く もの と考 え られ る
。
4.考
え られ る未 来 ・考 え られ な い 未 来
3で 述 べ た 日産 の リバ イ バ ル ・プ ラ ン を踏 ま え 、 日産 の 未 来 像 を 推 測 して み た い。
そ して そ れ らの 起 こ る確 率 を 考 え て み た い 。 しか し、 詳 細 な確 率 とい う も の は 出 せ な
い の で 、 そ の事 態 が 起 こ る確 率 が 他 の 事 態 が 起 こ る確 率 よ り大 き い か 小 さ い か とい っ
た 程 度 の 確 率 分 析 に な っ て し ま う。
(1)ル
ノ ー との 提 携
ま ず 最 も 重 要 な こ とは 、 ル ノー と の 提 携 関係 が ど うな っ て ゆ くか とい う こ とで あ る
。
つ ま り、 企 業 風 土 の 違 う2社 が 上 手 くや っ て い け る か とい うこ と で あ る
。 これ は 、 ル
ノー 自 体 が 、80年 代 に 赤 字 が 続 く経 営 不 振 に 陥 っ て お り、 そ こか ら立 ち 直 っ た 。 ル ノ
一76一
一 と 日産 で は 「
両 者 は 規 模 も同 じ程 度 で な ん とな く気 が 合 い そ う」(三菱 自動 車 首 脳)
、
日産 を支 配 し よ う と した ダ イ ム ラー ク ラ イ ス ラ ー よ り、 従 業 員 の 意 識 も違 う、 とい う
こ と か ら上 手 くい き そ うで あ る 。 しか も 、 ル ノー と の 提 携 に よ っ て 、 実 際 に は 利 益 な
どは い ま だ にマ イ ナ ス が続 い て お り、 売 上 高 自体 も2期
前3期
前 よ り下 が っ て い る に
も 関 わ らず 株 価 自体 は 順 調 に上 が っ て き て お り、市 場 が 日産 は 立 ち直 る と考 え て い る、
こ こで ル ノー との 提 携 関 係 を壊 せ ば 、 市 場 は 急 落 す る こ と に な る だ ろ う。 しか も、 ル
ノー か らの 資 金 も引 き 上 げ られ る 。 従 っ て 、 日産 が 自社 を つ ぶ し た い 、 あ るい は ほ か
の 提 携 先 を 見 つ け な い 限 り、 提 携 関係 は 続 く と考 え られ る だ ろ う。 しか も 実 際 は 、 ル
ノ憎 を捨 て て 他 の 提 携 先 と組 む の で は 結 局 同 じ こ とに な っ て しま う。 よ っ て 、提 携 関 ソ
係 は 、 日産 が 完 全 に独 立 で き る だ け の 体 力 を 作 る ま で 、100%続
足 と して 、ル ノ,_.は6050億
円 を 出 資 し 日産 の 株 式 の36.8%を
く と考 え られ る。(補
取 得 し筆 頭 株 主 で あ る 事
も付 け加 え て お く)
(2)問
題 点 の改 善 は出来 るの か
2で 述 べ た よ うに 日産 の 問 題 点 は 大 き く分 け れ ば 商 品 開 発 力 の 低 下 、 低 収 益 性 、 意 思
決 定 の 遅 さ、 官 僚 主 義 、 コ ス ト意 識 の低 さ、 で あ っ た 。
① 商 品開発 力
ま ず 、 商 品 開 発 力 す な わ ち 以 下 に 消 費 者 ニ ー ズ に こ た え た 製 品 を 作 れ る か とい う点
に つ い て で あ る 。 現 在 の 消 費 者 の ニ ー ズ は グ ロー バ ル な レベ ル で 環 境 保 護 意 識 が 高 ま
っ て い る こ と を受 け 、 大 き くfク
リー ン な 車 」 に 傾 い て い る。 当 然 完 全 な ク リー ン は
達 成 し得 な い の で 、 「
少 な く と も よ り ク リー ン で あ る車 」 が 求 め られ て い る。 これ に 関
して は 、 日産 は 世 界 ト ップ 水 準 の 技 術 力 を持 っ て お り、 既 に 世 界 で 最 も ク リー ン な ガ
ソ リン 車 を発 表 して い る 。 これ は 、 新 型 セ ダ ン 「ブ ル ー バ ー ド シ ル フ ィ」 で 、 環 境 技
術 で は 、 排 出 ガ ス 浄 化 機 能 を 大 幅 に 向 上 させ 、運 輸 省 の 低 排 出 ガ ス 車 認 定 制 度 で 最 も
ク リー ン な 「
超 低 排 出 ガ ス基 準 」 を50%以
上 下 回 っ た の で あ る。 そ して 、 日本 の 市 場
に 関 して い え ば長 引 く景 気 の 低 迷 に よ り、 安 い 車 が 人 気 とな っ て い る。 こ れ は 、 中 古
車 市 場 の活 況 や 小 型 車 の 人 気 が 物 語 って い る。 小 型 車 に 関 して い え ば 、2001年1,月
の
新 車 登 録:台数:でも そ の 人 気 が 見 え る 。(括 弧 内 は 前 年 同 月 比)。 普 通 乗 用 車 …45,869
(95.5%)・ 小 型 乗 用 車 …139,067(100.9%)軽
一77一
四輪 乗 用 車 …82,202(93.8%)・
外国 メ
一 カ ー 乗 用 車 …14
,367(104.0%)
従 っ て 、 日産 と して は 、 ど う安 い 車 で 利 益 を 上 げ る の か 、 ど う安 い 車 を 作 る の か 、
そ して 中 古 車 市 場 に ど う食 い 込 ん で い く の か とい う こ と塗 考 え な く て は な らな い 。 ま
ず 中 古 車 市 場 に 関 して は 、 日産 自身 の ホ ー ム ペ ー ジ で も販 売 す る と い う こ とで 取 り組
み を見 せ て い る。 しか も 、 自身 の 車 だ け で は な く他 企 業 の も の ま で 売 っ て お り、 こ う
した 姿 勢 は 評 価 で き る 。 しか し な が ら、 こ う した 中 古 車 市 場 へ の 参 入 は 同 時 に 自分 た
ち の 新 車 の 販 売 に悪 影 響 を 与 え る 可 能 性 も否 定 で き な い 。 現 に 平 成13年1月
車 登 録 台 数(新
規 登 録 台 数 と所 有 権 の 移 転 登 録 台 数 及 び 使 用 者 名 変 更 登 録 台 数 の3業
務 合 算 の ナ ン バ ー べ 一 ス 台 数)は
に 対 し2.3%の
の 中古
、 合 計 で339,189台
減 少 を 示 し、前 月 に 対 して は29.6%の
と な り前 年 同 月(347
,163台)
減 少 を示 して は い る もの 普 通 乗 用
車 と小 型 乗 用 車 を あ わ せ た 新 車 登 録 台 数 の 半 分 を超 え て し ま っ て い る。 日産 が 行 わ な
くて も 中 古 車 販 売 業 者 が 販 売 を続 け る 以 上 こ う した 傾 向 は 続 く と考 え られ る の で 、 日
産 も そ の利 益 を受 け る の を 止 め る 必 要 は な い。 しか し、 過 度 の 参 入 は避 け るべ き で あ
り、 あ く ま で 、 中 古 車 販 売 は 副 業 とす る べ き で あ ろ う。 行 うべ き こ と は 中 古 車 市 場 の
利 益 を 低 くす るす な わ ち製 品 の 販 売 価 格 を 下 げ る こ と で あ る 。 そ うす れ ば 中古 車 市 場
の 利 益 を新 車 市 場 に 向 か わ せ る こ と も可 能 に な る の で あ る。 こ こ で重 要 に な る の が コ
ス トで あ り、 自動 車 の 販 売 に か か る コ ス トを い か に 低 く抑 え るか と い う こ とで あ る
。
こ の コス ト管 理 は 、 収 益 構 造 改 革 の と こ ろ で 後 述 す る 。
しか し、 い く ら安 く と も魅 力 の な い 車 は 売 れ な い 。 そ の 魅 力 は 環 境 に対 す る影 響 の
軽 さ もそ うで あ る し、 デ ザ イ ン の 優 秀 さ とい うの も重 要 で あ る。 これ は 、 現 在 の 車 が
従 来 の 単 な る 交 通 手 段 と し て の もの か ら、 生 活 の 重 要 な 一 部 と し て の も の へ 変 わ っ て
き て い る こ とか ら重 要 に な っ て き て い る。 この デ ザ イ ン に 関 して 日産 は 非 常 に成 功 し
た とい え る 。 デ ザ イ ン 部 門 で の 再 建 の 大 き な 一 例 と して エ クス トレイ ル の 成 功 が あ げ
られ る。 日産 自動 車 は2000年11
,月29日 、新 型 の 小 型 ス ポ ー ツ 用 多 目的 車(SUV)
「
エ ク ス トレイ ル 」 め 受 注 台 数 が 、13日
の 発 売 か ら2週 間(26日
0台 に 達 した と発 表 した。 これ は 月 間 販 売 目標 の3000台
産 は 同 車 を製 造 して い る 九 州 工 場(福
岡 県 苅 田 町)で
、12月
現 在)で660
を 大 幅 に超 え て お り、 日
中 に4日 程 度 の 休 日出
勤 を 実 施 し増 産 体 制 を 取 る事 も決 定 され た 。 これ は 、 前 述 の デ ザ イ ン重 視 の 手 法 を採
っ て い る。 なぜ な ら、 同 時 に 日産 は エ ク ス ト レイ ル の ア ン ケ.__.トも行 っ て お り
、そこ
に は デ ザ イ ン に 関 す る ア ン ケ ー ト しか な い の で あ る。 そ して 、 この 車 の売 れ 行 き が好
一78一
調 な こ とそ れ 自体 が 日産 のデ ザ イ ン が 完 全 に 生 ま れ 変 わ っ た こ と を示 して い る の で あ
る 。 現 在 で は 日産 の デ ザ イ ン は 日本 国 内 に 関 して ピ カ イ チ で あ る とい う評 価 を得 る ま
で に な っ た の で あ る。 こ う した 成 功 の 裏 に は 、 外 国 人 デ ザ イ ナ ー の 起 用 が 大 き な 要 素
を 占 め て お り、 ゴー ン 氏 の 考 え る グ ロー バ ル が 成 功 した 例 と も考 え る こ とが 出 来 る だ
ろ う。 これ に よ っ て 、 商 品 開 発 力 は デ ザ イ ン 面 、 技 術 面 と も に 完 全 に 復 活 あ るい は 改
善 され た とい っ て よい 。
従 っ て 、 製 品 開 発 力 が 日産 の 経 営 に悪 影 響 を 与 え る 可 能 性 は 低 い と考 え る こ と が 出
来 る。
② 低収 益構 造
次 の 問 題 点 で あ る低 収 益 構 造 は 高 収 益 構 造 へ の 転 換 お よび 新 市 場 の 確 立 が 必 要 とな
る。 こ う した 試 み は 、 上 手 くい っ て い る よ うで あ る。 日産 の2000年10月30日
の発
表 で は 、 業 績 は 上 方 修 正 され た 。 理 由 は 、 国 内 販 売 は 依 然 と して 不 振 に あ る も の の 、
(2000年
上 期 は 前 年 比9.4%減)輸
国 内 生 産 が3年
ぶ りに 増 加 した こ と。 部 品 購 買 コス トの 削 減 が 初 年 度 目標 を 上 回 っ た
こ とが 大 き い 。2000年
が2500億
出 が北米 、 中南米 、 ア ジア向 け を中心 に、増 加 し
通 期 の 連 結 業 績 予 想 は 売 上 高 は横 ば い に 留 ま る も の の 、 純 利 益
円 の 黒 字 、営 業 利 益 も前 期 比2.6倍
の2200億
円 に 上 方 修 正 され た 。これ は 、
経 営 が 高 収 益 体 質 に 近 づ い て い っ て い る とい うこ と で あ る 。 ま た 、 ル ノー との 提 携 に
よ っ て 開 け た 中 南 米 市 場 の 影 響 も大 き い 。 しか しな が ら 、 前 述 した よ うに 北 米 市 場 の
先 行 き は 不 透 明 で あ り、 そ の 上 北 米 市 場 で の 競 争 激 化 も発 生 して い る こ の よ うな 状 況
が あ る た め に 外 資 は ア ジ ア 市 場 に 目 を 向 け て い る の で あ り、 そ れ ゆ え にル ノー の 進 出
も あ っ た の で あ ろ う。 従 っ て 、 北 米 へ の 過 度 の 進 出 は 、 危 険 で あ る。 過 去 に お い て は
トヨ タや 本 田 技 研 工 業 が 北 米 で2000億
は約680億
円 近 くの 営 業 利 益 を 出 して い る の に対 し、日産
円 の 赤 宇 に な り、 格 付 け が 低 い 米 国 の 子 会 社 は 市 場 か ら資 金 調 達 が で き な
い 為 、 日本 か ら送 金 して い た とい う歴 史 も あ る。 しか し、繰 り返 し に な る が 日本 市 場
が低 迷 期 に あ る 現 在 北 米 市 場 は 命 綱 と い っ て も よ い 存 在 で あ り、 危 険 性 を 認 識 して は
い て も こ こ に活 路 を 見 出 す しか な い の も 事 実 で あ る 。 英 国 もユ ー ロ安 に よ る赤 字 が 大
き く な っ て い る。 北 米 へ の 傾 斜 に 関 し て の デ ー タ で は1992年
に1993年
型 の アル テ ィ
マ の 生 産 を 開 始 した こ とで 、 生 産 量 は 大 幅 に増 加 し 、 ス マ ー ナ 工場 の 敷 地 面 積 は ほ ぼ
2倍 に 拡 張 され た 。2000年7,月
に は テ ネ シ ー 州 デ カ ー ドに あ るパ ワ ー トレイ ン 生 産 設
一79一
備 の 拡 張 及 び 、 同 州 ス マ.___ナ
車 両 生 産 工 場 の 生 産 能 力 の 最 大 活 用 す る た め 、4年
10億
ドル の 投 資 を 行 うこ と を発 表 して い る。 ま た 、2000年11月
間で
に は9 .3億 ドル を 投
資 して ミ シ シ ッ ピー 州 キ ャ ン トン に 新 しい 生 産 工 場 を 建 設 す る計 画 も発 表 して い る。
な お 、 この 工 場 で の 生 産 は2003年
か ら開 始 し、 年 間 の 生 産 能 力 は 約25万
台 と な る見
込 み で あ る。 ス マ ー ナ 、 キ ャ ン トン 、 及 び メ キ シ コ2工 場 を合 わ せ る と、 日産 の 北 米
に お け る生 産 可 能 な 台 数 は 年 間 約100万
台 とな る の で あ る。
結 論 と して は 、 北 米 市 場 の好 調 が 日本 経 済 の復 活 ま で 続 くか 或 い は ほ か の 国 へ の 輸
出 が 十 分 に な る ま で 続 くか ど うか に 日産 の 未 来 もか か っ て い る と い え る 。 しか し、 こ
れ は そ の 他 の 自動 車 産 業 も 多 か れ 少 な か れ そ うで あ る。 と も あ れ 、 北 米 市 場 の 好 況 が
永 遠 に 続 か な い の と同 様 日本 市 場 の 不 況 も 永 遠 に は 続 か な い 。 従 っ て 、 そ の 時 期 が 問
題 に な る わ け で あ る が 、 日本 の 輸 出 産 業 は 米 国 に依 存 して い る 部 分 が 多 い の で 、 米 国
経 済 の 不 況 は 大 き な 痛 手 を 日本 の 輸 出 産 業 に 与 え るで あ ろ う。従 っ て 、米 国 が 不 況 に 、
或 い は 少 な く と も景 気 の 拡 大 期 が 終 わ る ま で に他 の 国 に シ フ トし て お か な け れ ば 非 常
に 大 き な ダ メ ー ジ を こ うむ っ て しま う可 能 性 が あ る。 そ して そ の 時 期 は 近 づ い て き て
い る 。IMFの
発 表 に よれ ば 、米 国 の 実 質GDP成
4.2%、2000年5.2%、
長 率(%)は1998年4
と好 調 に推 移 し て い た の が2001年
予 想 な の で あ る。しか もそ の他 の 市 場 例 え ば 英 国 も1998年2
年3.1%と
き て 、2001年
.4%、1999年
に は3 .2%と 急 速 に減 速 す る
.6%、1999年2.1%、2000
予 想2.8%と
こ ち ら も減 速 気 味 な の で あ る 。従 って 、 こ うい っ
た 先 進 国 で は な く、 比 較 的 発 展 途 中 の 国 に参 入 して い く必 要 が あ る 。 こ の 点 日産 は ル
ノ ー に よ っ て 南 米 へ の 糸 口 を つ か ん で い る た め比 較 的 ス ム ー ズ に 行 く 可 能 性 が あ る
。
しか し現 状 の よ うな 北 米 重 視 戦 略 か ら転 換 す るだ け の 体 力 が ま だ な い た め い ち早 い 回
復 が 必 要 に な る。 従 っ て 、 決 して 楽 観 は 出 来 な い 。 だ が 日産 リバ イ バ ル ・プ ラ ン の 市
場 で の 評 価 は 順 調 で 、 そ の達 成 度 合 も好 意 的 に 評 価 され て い る の で 、 資 金 面 で は 回 復
は 早 い と考 え られ る。
以 上 考 え て き た が 、 結 論 と して は 、 収 益 構 造 を 改 善 す る こ と で あ る。 具 体 的 に は
コ ス トを 抑 え る こ と、 そ して1台
あ た り利 益 を い か に 高 め るか と い う こ とで あ る。1
台 あ た り利 益 に 関 して は 、 商 品 の付 加 価 値 、 魅 力 を 高 め る こ とが 重 要 で あ る。 商 品 の
魅 力 は 、 デ ザ イ ン、 環 境 保 護 、 そ して 安 さが 現 在 重 要 視 され て お り、 こ の うちデ ザ イ
ン と 、 環 境 保 護 は 達 成 して い る とい え た。 従 っ て 、 こ こで もや は りコ ス トを抑 え る こ
とが 重 要 に な っ て く る 。 た だ し、 本 来 は ブ ラ ン ドイ メー ジ も重 要 で あ り
、 これ が 日産
一80一
の1台
あ た り利 益 を 低 く して い る原 因 伴 っ て い る の だ が 、 こ う した ブ ラ ン ドイ メー ジ
も魅 力 の あ る製 品 を 提 供 しつ づ け る こ とで 達 成 され る の で 、 同 じ事 とい え る。
③ コ ス ト削 減
コス ト削 減 に 関 して は 詳 し くは 日産 リバ イ バ ル ・プ ラ ン に 述 べ て あ る の で省 略 す る。
こ こ で は 、 そ の 成 功 と失 敗 の 可 能 性 を 見 て み た い 。 今 ま で 見 て き た よ うに コ ス トの 削
減 こそ が 、 日産 再 生 の か ぎ と も言 え る部 分 で あ り、 コ ス トの 削 減 無 く して 再 生 は あ り
え な い 。 しか し、 そ の 手 法 に は 若 干 の 疑 問 が 残 る の で あ る 。 ま ず 購 買 コ ス トの 削 減 に
サ プ ラ イ ヤ ー が ど こ ま で 絶 え られ るか 、 とい うこ と が 挙 げ られ る。 ゴ ー ン 氏 の 要 求 に
こ た え る とサ プ ライ ヤ ー は 非 常 に苦 しい 経 営 を 余 儀 な く され る 。 日産 は 、 そ の 時 点 で
の べ ヌ トな サ プ ライ ヤ ー を 求 め て お り、 従 来 の 部 品 メ ー カ ー は 他 の サ プ ラ イ ヤ ー よ り
安 く供 給 す る こ とが 求 め られ る。 そ し て そ れ が 出 来 な け れ ば 乗 り換 え られ て しま うの
で あ る。 しか し、 こ う した 方 法 で サ プ ラ イ ヤ ー に 対 して 、 過 度 に コ ス ト引 き 下 げ を 要
求 す れ ば 、 コ ス ト引 き 下 げ 努 力 の 限 界 あ るい は 、 時 間 的 限 界 を超 え る こ と に な っ て し
ま い 、 結 果 と して値 段 の 駆 け 引 き ば か りに 力 を入 れ 、 ど う コス トを 下 げ 品 質 を安 定 さ
せ る か とい う努 力 を させ な く な っ て しま う。 ま た 、 サ プ ラ イ ヤ ー の デ ザ イ ン ・イ ン シ
ス テ ム も実 行 不 可 能 に な り。 結 果 と して 、 開 発 に か か る リー ドタ イ ム な ど も増 え て し
ま う。 一 部 の サ プ ラ イ ヤ ー か らは 日産 は 最 早 取 引 相 手 と して 魅 力 的 で は な くサ プ ラ イ
ヤ ー 側 か らき っ て くれ とお 願 い して い る 、 とい う発 言 も 出 て い る。 こ の よ うな 状 況 が
続 け ば 、 日産 の 製 品 の質 の低 下 に つ な が る恐 れ も あ る。
ま た組 織 構 造 を 、 中 央 集 権 的 な も の に して し ま う と、 リス トラ な どの 大 局 的 に は適
して い る が 、 しか し従 業 員 同 士 、 各 部 門 問 な ど企 業 内 に 水 平 的 コ ー デ ィネ ー シ ョ ン が
欠 け て い る 為 、 突 発 的 に 起 こ る 様 々 な レベ ル に お け る トラ ブ ル に 対 す る柔 軟 性 が な く
全 体 的 な作 業 の 効 率 性 の悪 さが 問題 とな る。 つ ま り.コ ス ト削 減 努 力 が 逆 に コ ス トを
増 す 可 能 性 す ら あ る の で あ る。 だ が 、 組 織 構 造 改 革 に 関 して は 、 お そ ら く リ ス トラ ク
チ ュ ア リン グ が 達 成 され れ ば変 更 され る で あ ろ う。 しか しサ プ ラ イ ヤ ー に 対 す る 過 度
の:負担 は 日産 の 経 営 の 改 善 が な され た 暁 に は減 ら され る とい う保 証 が 必 要 で は な い だ
ろ うか 。
特 に 日産 リバ イ バ ル ・プ ラ ン で は そ の 大 き な 柱 と して3年 間 に22車
種 の新 車 を投入
す る とい う積 極 的 な グ ロー バ ル で の 商 品 投 入 計 画 を掲 げ て い る。こ の 内 の2車 種 は 「ブ
一81一
ル ー バ ー ド シル フ ィ」 及 び 新 型SUVの
「X-TRAIL(エ
ク ス トレイ ル)」 と して 日本
市 場 向 け に投 入 され て い る。米 国 で は2002年
ま で に 商 品 ラ イ ン ア ップ を拡 大 し、Zカ
.__.(日本 名:フ ェ ア レデ ィ ーZ)を
含 め4つ の モ デ ル を新 規 投 入 す る
。 ま た 、 日本 で
はル ノ ー との 最 初 の 共 用 プ ラ ッ トフ ォ ー ム を使 用 した マ ー チ/キ
投 入 す る。欧 州 で は2003年
ュー ブ を2002年
に
迄 に 全 て の 商 品 を モ デ ル チ ェ ン ジ し、 さ ら に 小 型 四 輪 駆 動
車 を新規 投入 す る。
従 っ て 、 こ う した 商 品 の リー ドコ ス トを 下 げ る こ とが 非 常 に 重 要 で あ り、 そ の た
め に は サ プ ライ ヤ ー と の 密 接 な 協 力 が 不 可 欠 で あ る。 そ して 、 サ プ ラ イ ヤ ー 側 に も低
価 格 を 補 うだ けの 誘 引 が 必 要 な の で あ る。 この 誘 引 は 、 現 在 、 地 域1国 毎 で 策 定 して い
る購 買 方 針 を グ ロ ー バ ル で 集 中化 して い く事 で 、 現 在 日産 に お け る 総 コス トの60%
を 占 め る購 買 コス トを3年 間 で20%削
ぶ 部 品 ・資 材 サ プ ラ イ ヤ ー を2002年
減 し、 ま た 現 在 取 引 を行 っ て い る1 ,145社 に及
度 ま で に600社
以 下 とす る事 に よ っ て 、"パ ー ト
ナ ー サ プ ライ ヤ ー"は 取 引 量 の 大 幅 な 増 加 に よ り、 よ り大 き な 利 益 を 得 る こ と と な る 、
と され て い る。 しか しそ れ で も、 や は りサ プ ライ ヤ.__..側
に と っ て は 厳 しい 状 況 が 続 く
こ と に は 変 わ りが な い 。 単 純 に 換 算 し て も、 彼 らは 約3分
換 え に倍 の 取 引 量 を 得 る こ と に な る。 しか し3分 の1の
の1の
コ ス トダ ウ ン と 引 き
コ ス トダ ウ ン は ほ とん ど不 可
能 に 近 い 厳 し さ で あ り、 倍 の 取 引 量 も 大 き な 誘 引 と は な りえ な い 、 必 然 的 に サ プ ライ
ヤ ー と して は 、前 述 の よ うに 品 質 を あ る程 度 落 とす しか な く な る の で は な い だ ろ うか 。
あ る い は 、 日産 と の 取 引 か ら撤 退 す る可 能 性 も あ る。
④ 生産 の効率 化
『日産 リバ イ バ ル ・プ ラ ン 』 に お け る コ ス ト削 減 の も う一 つ の 大 き な 柱 は 、 生 産 の
効 率 化 で あ る。 日産 の 工 場 は世 界 トップ レベ ル の 高 い 生 産 性 を誇 っ て い る が 、 そ の 一
方 で 過 剰 な 生 産 能 力 を 抱 え 、 高 い 固 定 費 を負 っ て い る。 日産 は 、 最 適 な 生 産 効 率 及 び
グ ロー バ ル で の 高 コ ス ト競 争 力 を 実 現 す る為 、 日本 国 内 の 過 剰 生 産 能 力 を 削 減 す る 。
ま た 同 時 に 、 リ.___ン
生 産/フ
レ キ シ ブ ル 生 産 シ ス テ ム 化 を さ ら に推 進 し、 市 場 の 需 要
変 化 に 対 応 で き る生 産 シ ス テ ム を構 築 して い く。 具 体 的 な 工 場 で の 車 両 お よ び パ ワ ー
トレイ ン の 生 産 中 止 は 以 下 の通 りで あ る 。 車 両組 立 工 場:村
場 、 愛 知 機 械 港 工 場(2001年3月
エ ン ジ ン 工 場(2002年3月
に 中 止)パ
山 工 場 、 日産 車 体 京 都 工
ワー トレイ ン 工 場:久
里浜 工場 、 九州
に 中 止)因 み に今 年 度 日産 の 日本 国 内 の 生 産 台 数 は128万
台 とな る 見 通 しで あ り、 工 場 の 稼 働 率 は53%と
一82
な る。 本 プ ラ ンで は 、 国 内生 産 能 力 は
30%削 減 の165万
台 と な り、2002年 度 ま で に稼 働 率 を82%に
る。 日産 は 現 在 、 国 内7工
場 で24の
ま で 引 き 上 げ る計 画 で あ
プ ラ ッ トフ ォ ー ム を も とに 車 両 を 生 産 して い る。
本 プ ラ ン で は 、2002年 度 ま で に 当社 は4工
場 、15プ ラ ッ トフ ォ ー ム と し、さ ら に2004
年 度 ま で に4工 場 、12プ ラ ッ トフ ォ ー ム とす る計 画 で あ る 。加 え て 日産 は 物 流 の グ ロ
ー バ ル 化 、 グ ロー バ ル レベ ル で の 生 産 工 場 間 の ベ ス ト ・プ ラ クテ ィ ス の 採 用 に よ り、
運 営 コ ス トの 削 減 を 図 っ て い く。 しか し な が ら、 こ う した 生 産 設 備 の 効 率 化 は 、 ビジ
ネ ス チ ャ ン ス を つ ぶ して しま うこ と に も な る。 例 え ば 、 生 産 効 率 が100%で
が あ る とす る 、 こ の100%と
あ る工場
い うの は 当 然 余 剰 生 産 力 が な い こ と を意 味 す る。 通 常 で
あ れ ば こ の 工 場 に は 無 駄 が 一 切 な い こ と に な る。 しか し 、 新 商 品 が 予 想 以 上 に 売 れ た
場 合 この 工 場 で は そ れ 以 上 の ス ピー ドで 生 産 す る こ とは 出 来 な い 、 そ して 消 費 者 は い
っ ま で た っ て も変 え な い の で 他 の 車 を 買 っ て しま う、 とい うこ と も あ りえ る の で あ る。
現 に 、 日産 の デ ザ イ ン 部 門 が 再 生 した 現 在 新 車 の 販 売 予 想 は 大 幅 に裏 切 られ る こ とが
多 くな っ て い る。 も ち ろ ん 、 最 も 売 れ る 時 期 に 合 わ せ て 遊 休 施 設 を持 っ て お くの は 愚
か だ が 、 あ る程 度 は 余 地 を 残 して お く必 要 が あ る 。 ゴー ≧氏 も'「目的 は 会 社 を 発 展 さ
せ る事 で あ り、縮 小 す る 事 で は な い 。」 と述 べ て お り、 こ う した 設 備 の 改 善 は あ く ま で
合 理 化 で あ り、 縮 小 で あ っ て は な らな い と考 え て い る。
従 っ て 、 や は り 日産 の 未 来 に 大 き な 影 響 を 与 え る の は 、 サ プ ラ イ ヤ ー と の 緊 密 な 関
係 を 結 べ る か ど うか に か か っ て い る とい え る。 こ の 緊 密 な 関係 は 、 以 前 の よ うな 「
天
下 り」 が 介 在 す る甘 い 構 造 で は な く 両 者 が 生 き残 り を賭 け て 、 相 互 共 生 、 相 互 共 栄 の
パ ー トナ ー シ ップ を結 ぶ とい う こ とで あ る。 そ の 為 に は 刹 那 的 に そ の 時 そ の 時 で ベ ス
トな サ プ ラ イ ヤ ー を選 ぶ だ け で は な く 、 長 期 的 に ベ ス トな相 手 と の 関 係 を 気 づ い て い
く こ と も 必 要 で あ る。 しか し、 こ う した コ ス ト削 減 が 日産 の 体 力 を 回 復 させ て か ら で
な くて は 長 期 的 視 野 に 立 っ た 関係 も築 け な い 、とい うの も ま た事 実 な の で あ る。だ が 、
過 酷 な 要 求 は そ う した 重 要 な サ プ ライ ヤ ー に嫌 気 を 差 させ る 可 能 性 も あ り、 サ プ ラ イ
ヤVが 撤 退 す る前 に 、 そ う した 長 期 的 関 係 を 築 くだ け の 体 力 を回 復 し な け れ ば 取 り返
しが つ か な く な る可 能 性 も あ る の で あ る 。
(3)日
産 の市場 で の評価
2000年11,月20日
に 発 表 。 連 結 営 業 利 益 は1,344億
一83一
円(12.4億
ドル 、14.1億
ユ ー一
ロ)、 売 上 高 は 前 年 同 期 比0.9%減
の3兆183億
円(279
と な り 、 連 結 売 上 高 営 業 利 益 率 は 前 年 同 期 の1.9%に
悪 化 に よ る マ イ ナ ス 影 響 は900億
対 し 今 期 は1072円
.5億
対 し4.5%と
ユ ー ロ)
な っ た。 な お 、 為 替
円 で 、 ドル 平 均 為 替 レ ー トは 前 年 同 期 の117.4円
、ユ ー ロ 平 均 為 替 レ.___トは 前 年 同 期 の129.4円
円 で あ っ た 。 税 引 後 当 期 利 益 は 、 特 別 損 益 項 目 と し て429億
ー ロ)の
ドル 、316.1億
利 益 等 を 計 上 した こ と に よ り
、1,720億
な っ た 。 今 回 の 決 算 内 容 は 、 過 去10年
円(15.9億
に
に 対 し今 期 は102.7
円(4.0億
ドル 、4 .5億 ユ
ドル 、18.0億
ユ ー ロ)と
間 で 最 高 の もの で あ る。 実 際 に 当 期 利 益 な ど
は い ま だ に マ イ ナ ス が 続 い て い て 、 売 上 高 自 体 も2期
前3期
前 よ り下 が っ て い た 状 態
で も 株 価 自 体 は 順 調 に 上 が っ て き て い た 、 つ ま り市 場 は 日産 は 立 ち 直 る と 考 え て い た
こ と を示 して い る。
(参考 文 献 ・資 料)
『有 価 証 券 報 告 書 』、 各 年 度 版
日経 ギ ア よ り財 務 諸 表 デ ー タ
桜井
久 勝 ・『財 務 諸 表 分 析 』 中央 経 済 社 、1996年
金井
正 義 『図 解 で わ か る 経 営 分 析 』 西 東 社 、2000年
『企 業 経 営 の 分 析 』 三 菱 総 合 研 究 所 、 各 年 度 版
青 木 雅 彦 ・奥 野 正 寛 編 『経 済 シ ス テ ム の 比 較 制 度 分 析 』1996東
白沢 照 雄 『自動 車 業 界 』1975教
佐 藤 正 明 『国 内 大 手5社
1999年2月1日
京 大 学 出版
育社 。
の 運 命 を変 え た く1979年 〉』 『日経 ビ ジネ ス 』
号p9-pll。
丸 山 恵 也 ・小 栗 崇 資 ・加 茂 紀 子 子 『日本 の ビ ッ グ ・イ ン ダ ス ト リー ① 自動 車 』2000
年
大 月書 店
大 島 卓 編 『現 代 日本 の 自動 車 部 品 工 業 』1993年
日本 経 済 評 論 社
日産 、 世 界 再 編 の 渦 中
朝 日新 聞1999年1月14日
日産2000億
円出資要 請 へ
円 ∼3000億
朝 日新 聞1999年1
日産 の再 生 、 改 革 次 第
朝 日新 聞1999年3月23日
日産 再 生 、 ル ノ ー 次 第
朝 日新 聞1999年3
ル ノ ー 日産 と提 携 発 表 へ
,月22日
,月11日
朝 日新 聞1999年3月17日
日産 自動 車 株 式 会 社 の 業 績 修 正 につ い て2000年10
究 所 見解
一84一
,月31日
株 式 会 社 日本 格 付 け 研
∼
平 成12年
年 を 振 り返 って ∼
日本 経 済 は 長 い 不 況 の トン ネ ル か ら未 だ 抜 け 出 して は い な か っ た 。
こ の 大 型 不 況 に よ り、 戦 後 日本 の 経 済 成 長 の 中 で 見 逃 さ れ 続 け て き た様 々 な 「よ ど み 」 が 一
挙 に 表 面 化 した 。 こ う した 澱 み は 、 行 政 の硬 直 化 、 経 済 構 造 の 不 透 明 性,国
際 基 準 との 隔 た
り,と い っ た 形 を と り 日本 経 済 に 歪 み とな っ て 蓄 積 さ れ て きて い た 物 だ っ た 。 しか し、 日本
経 済 が 好 調 の 波 に乗 っ て い る 間 は そ う した 歪 み は,逆
に 日本 経 済 の 独 自性,優
秀 性 を あ らわ
す も の と して 歓 迎 す らさ れ て き た 。 だ が 、 今 回 の 不 況 に よ っ て,日 本 の独 自性,優 秀 性 と考
え られ て い た そ う した ゆ が み が 、 実 は 日本 の 閉 鎖 性,独
り善 が りを 象 徴 して い た こ とが は っ
き り した 。 しか し、 私 に は こ の 出 口 の見 え な い構 造 不 況 は そ う した 要 因 だ け で は な い よ う に
思 え る 。 そ の 裏 に は,戦 後 我 々 が構 築 して き た経 済 シス テ ム が 否 定 さ れ て しま い 今 後 の 道 し
るべ が 見 つ け られ な い で い る こ とが あ る の で は な い だ ろ う か 。 出 口 の 見 え な い 構 造 不 況 とい
うの は 言 い換 え れ ば,出
口 が 見 つ け られ な い 構 造 不 況 とい う こ とな の で あ る 。 我 々 は,迷 子
の 子 供 な の で あ る 。 だ が 、 この 道 に は 必 ず 出 口 は あ る筈 だ し,我 々 は そ れ を 見 つ け な くて は
な らな い 。私 と して は,こ
の 「そ ご う」 と い う百 貨 店 の 事 実 上 の 倒 産 を 分 析 す る こ とで 出 口
に た ど り着 く明 か りを 手 に入 れ る こ と が 出 来 た と思 う。
(板 橋
雄 大)
こ の 一 年 間 は 、 い ま か ら思 え ば 、 就 職 活 動 が あ っ た も の の 、 殆 どが バ イ トに は ま っ て し ま っ
た よ うな 気 が し ま す 。 ゼ ミの 皆 に は そ の せ い で 大 変 な 迷 惑 を か け て しま い 大 変 申 し訳 あ りま
せ ん で した 。 こ の 一 年 間 、 大 学 の 方 には 指 で 数 え れ る く らい しか 行 っ て い な い の で 、 最 近 久
しぶ りに京 都 の 町 並 み を 歩 き ま した が 、 既 に とて も懐 か しい 感 じが し ま した 。 こ う して 考 え
て み る と学 生 生 活 を こ の 京 都 で 過 ご せ た の は とて も幸 せ な こ とだ っ た と思 い ま す 。 も う 少 し
年 を 取 っ た ら必 ず も う 一 度 京 都 の 町 並 み を 歩 い て み よ う と思 い ま す 。 最 後 に 、 ゼ ミで お 世 話
に な っ た 藤 井 先 生 や 、 い ろ い ろ と 自分 の 不 始 末 を フ ォ ロ ー して くれ た 友 達 、 並 び に 情 緒 あ ふ
れ る 京 都 の 町 や 京 都 大 学 にお 礼 を 言 い た い と思 い ま す 。 こ の4年
間 ど う もあ りが と う ご ざ い
ま した 。
(大 西
洋 平)
振 り返 れ ば 、 今 年 もあ っ とい う 間 に1年 が 過 ぎ ま した 。 今 年 は待 望 の ゼ ミの 後 輩 が で き た こ
とで 楽 し く1年 が 過 ご せ ま した 。 特 に、 今 年 の2回 生 は 僕 た ち の 学 年 よ り優 秀 で 真 面 目で 、
ゼ ミの 中 で も4回 生 形 無 しの場 面 が 何 度 か あ っ た と思 い ます 。 当初 は1学 年 分 の 間 が 空 くこ
とで 大 変 な ん じゃ な い か と い う話 も あ りま した が 、 これ な ら十 分 、 これ か らの ゼ ミ活 動 をや
っ て い け る と思 い ま す 。 頑 張 っ て くだ さ い 。
(末 松
一85一
喜 吉)
今 年 の ゼ ミの2回
生 は よ くや っ て くれ た と 思 い ま す 。 本 当 に お 疲 れ 様 で した 。 学 業 以 外 で
も得 る も の の 大 き か っ た ゼ ミ活 動 だ っ た と思 い ま す 。
(錦 織
大)
時 間 が 過 ぎ る の は 早 い も の で 、 ま た 「一 年 を 振 り返 って 」 を 書 く季 節 が や って き ま した 。
一 年 だ け で な く大 学 生 活 の 四年 を 振 り返 っ て み る とあ っ と い う 間 の こ とで
、 根 が楽 天 家 で マ
イ ペ ー ス な 私 と 言 え ど も 果 た して こ れ か らの 自分 に つ な が る 四 年 で あ っ た の だ ろ うか とい う
一 抹 の 不 安 が よ ぎ り ま す 。 そ れ は 、 き っ と私 だ け で は な く在 学 生 も含 め も うす ぐ社 会 へ 出 て
行 くこ と を余 儀 な くさ れ る世 代 の 人 間 皆 が 抱 え る不 安 な の で し ょ う 。 しか し、 我 々 の 世 代 こ
そ が こ れ か らの 日本 を 担 っ て い か な け れ ば な らず 、 担 っ て い こ う とい う不 羅 の 気 迫 を 持 た な
け れ ば な り ませ ん 。 そ こ で 、 私 自身 の 支 え と もな っ て い る私 が 好 き な 坂 本 竜 馬 の 言 葉 を皆 さ
ん に 送 っ て 締 め く く りた い と思 い ま す 。
不 安 に 押 し潰 され そ う に な っ た と き は 、こ の 言 葉 を思 い 出 す と共 に 、 「あ ん な に マ イ ペ ー ス
に生 き て る 人 間 も い た な あ 」 と思 い 出 して くだ さ れ ば 落 ち 着 くこ と請 け合 い で す 。 卒 業 生 の
皆 さん 、 社 会 に 出 て か ら も頑 張 っ て くだ さ い 。 在 学 生 の 皆 さ ん 、 先 輩 と して 大 した 事 も して
あ げ られ な くて御 免 ね 。
世の人は
われをなにともゆはばいへ
わがなすこ とは
われのみぞ しる
(松本
啓)
こ の 一 年 を振 り返 る と初 め て の こ と ば か りで 大 変 だ っ た の 一 言 に 尽 き ま す 。 レ ジ ュ メ を 作
り,人 前 で 発 表 す る こ と さ え も は じめ て で した 。 と に か く要 領 が 掴 め ず,い
ろ い ろ迷 惑 を か
け て ば か りだ っ た よ う な 気 が し ま す 。 しか し、 な ん だ か ん だ とい い な が ら一 応 論 文 を 形 に で
き て ほ っ と して い ま す 。 こ う して 振 り返 る とだ い ぶ 前 の こ との よ う に 感 じ ます 。
い や は や,一 年 は 短 い な 。
(内 田
朋 宏)
あ っ とい う 間 に 半 年 が 過 ぎ て しま っ た と い う の が 現 在 の 実 感 で あ る。 財 務 諸 表 分 析 とい う
今 回 の 論 文 の 中 で も っ と も楽 な 部 分 と思 わ れ る部 分 を 担 当 さ せ て も らい 、 他 の 人 の助 け に も
な れ た か は は な は だ 疑 問 で あ る 。 しか し、 や は り こ う で も な い と論 文 とい う の は な か な か 書
く機 会 に恵 ま れ な い もの で 、 そ うい っ た 意 味 で は い い 機 会 を 与 え て も ら え た と感 じ る 。
来 年 度 は 最 上 級 生 とな る わ け で 、 来 年 もゼ ミに 積 極 的 に 参 加 して い き た い な と思 う。 藤 井
先 生 及 び ゼ ミの 人 た ち 今 後 と も よ ろ し くお 願 い しま す 。
(菊 元
一86一
崇)
わ ず か 半 年 とい う短 い 期 間 に もか か わ ら ず 、 か な りハ ー ドに 感 じ る と き もあ っ た もの の 、
か な り自分 に と っ て 、 充 実 した も の だ っ た 。 い ま まで の 勉 強 とち が い 、 自分 で 興 味 を も った
こ とに 、 納 得 い くまで 調 べ て み る とい う新 しい経 験 が で き た か らだ と思 う。 た だ 、 ゼ ミの 中
にお い て は 、 話 す こ と に な れ て お らず 、 あ ま り発 言 もせ ず 聞 い て い る だ け で あ り、 上 回 生 の
方 々 の 発 言 の 勢 い に す ご さ を感 じて ば か りい ま した 。 僕 も 、 い ろ い ろ な こ と に疑 問 を 持 て、
積 極 的 に な っ て い け る よ う が ん ば っ て い き た い と思 い ま す 。 最 後 に 、 藤 井 先 生 や ゼ ミの み な
さ ん 、 来 年 も よ ろ し くお 願 い し ます 。
(斉 藤
栄 慶)
論 文 を 書 くの も 初 め て な ら統 計 学 的 分 析 な ど と い う も の も も ち ろ ん 初 め て で 、 わ か らな
い!!ど う・
した らい い の??こ ん な の で い い の??と ク エ ヅ シ ョ ンマ ー ク を 大 量 発 生 させ な が ら試
行 錯 誤 で 書 き上 げ た 論 文 で した 。 ま た 、 随 分 パ ソ コ ン に も い じめ られ 、 手 間 取 っ た りも しま
した 。 そ れ で も、 皆 さ ん の 適 切 な 助 言 や 協 力 ・励 ま しが あ っ た か ら こそ 何 とか 担 当 部 分 を完
成 さ せ る こ とが で き ま した 。 一 年 間 本 当 に あ りが と う ご ざ い ま した 。 来 年 も ど うぞ よ ろ し く
お願 い します 。
(坂 本
知 子)
私 は 、 今 年 サ ー ク ル 、 サ ー クル で ゼ ミで は 、 勉 強 に あ ま りつ い て い け ず 論 文 作 りで も最 後
まで み ん な に 迷 惑 か け て ば か りで した が 、 大 学 に 入 って 初 め て 、 真 剣 に試 験 以 外 の 目的 を も
って 勉 強 を し た よ うな 気 が しま す 。 そ して 、 そ れ は な か な か 貴 重 で しん ど い な が らも 楽 しい
体 験 で した 。 来 年 は サ ー ク ル の 方 も 楽 に な る の で 、 ゼ ミに しっ か り力 を 入 れ て み ん な に迷 惑
を か け な い よ う に頑 張 りた い で す 。
(角 園
太 一)
大 学 生 に な っ て あ っ とい う間 の2年 間 で した 。 や は り今 年 度 も ク ラ ブ が 忙 し く、 学 業 の ほ
う は 納 得 の い く成 果 を あ げ る こ とは で き な か っ た よ う に 思 い ま す 。 とは い え 、 昨 年 度 の 自主
ゼ ミ、 今 年 度 の 共 同研 究 を通 して 、 ち ょ っ とず つ 理 解 が 深 ま っ て い る よ う な 気 も し ます 。 来
年 度 は 気 分 を新 た に して 積 極 的 に ゼ ミに 貢 献 して い き た い と思 っ て い ま す 。
(友 野
一87
裕 充)
編集後記
論 文編 集委 員
友 野裕 充
実 際 編 集 を や って み て 、 パ ソ コ ン が 言 う こ と を 聞 い て くれ な くて 、 な か な か 思 う よ
う に進 み ませ ん で し た が 、 四 回 生 の 方 に 助 け て も ら っ て 何 と か 入 稿 に こ ぎ つ け る こ と
が で き ま した 。さ て 、 今 年 度 の テ ー マ は 流 通 と 自 動 車 業 界 と い う 身 近 な も の で 、 親 しみ
や す い 反 面 、 論 文 の 資 料 とな る よ う な 文 献 を 十 分 に 集 め る の が 困難 だ っ た の で は な い
で し ょ う か 。そ ん な と き に イ ンタ ー ネ ッ トの 情 報 は 大 変 あ りが た い も の で あ り、私 は 論
文 の 作 成 を 通 して そ の 重 要 性 を 再 認 識 しま し た 。来 年 度 は 四 回 生 な しで 論 文 を 作 成 す
る こ とにな りますが、 二 回生、 三 回生 が 力 をあわ せ て有 意義 な 活動 が で きれ ば良 い と
思 い ます。
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