Comments
Description
Transcript
四国遍路旅・前篇を読む
私の四国遍路旅 前篇 YWV11 期・安藤氏が寄稿 2013年6月11日 退職後に四国を 1 周するということを、何年か前に高群逸枝の巡礼の本を読み何となく考えていた。今回ベト ナムから帰って、時間が出来たので、この機会に実行しようとともかく出発した。持っていたのは、へんろみち 保存協会の地図編。時間的に 1 回で周ることができないので、第 1 回目として、3 週間をめどに 1 番寺霊山寺か ら始めた。私の四国遍路を旅の間に書きとめたものを、写真とまとめてみた。今回の旅で雨に降られたのが、19 日間中 3 日間だけで天気に恵まれたのは、幸いだった。歩いた日数は 19 日、距離は 485km、費用は交通費を入 れて 200,000 円。やはり現代の歩き遍路は、時間とお金のかかる贅沢な遊びと感じられた。2 回目は、荷物を軽 くして、できるだけ距離を伸ばす方法で秋には周り終わるようにしたい。 遍路地図は、このホームページを見るとイメージがつかめる。http://homepage1.nifty.com/cw/henrotizu.htm 4 月 18(木) 25km 4 月 17 日 JR 高速バス ドリーム徳島号で新宿発 21 時 50 分。新宿―鳴門 8800 円。座席は 3 列でスペースがあ って、快適。次はプレミアムシートで横になるのも良いか。6 時 20 分に高速鳴門着。ここから歩き始める。金 比羅神社-木津-姫田。JR 池之谷駅で食堂を探すがない。コンビニで弁当を買い食べる。これがこれからの遍 路旅の昼の食事となる。霊山寺 1 番札所で巡礼上着、納経書、勤行次 5500 円買う。極楽寺 2 番札所に 1 時半。 金泉寺をへて、2 時半に今日の宿「ばんどう旅館」へ。板野駅前。宿代 9,100 円 2 番札所極楽寺 長命杉 7 番札所十楽寺 4 月 19 日(金) 25.8km 7 時 40 分肌寒く風の強い中、宿を出る。相当風が強く、襟巻き、手袋をする。新緑がきれいに山を覆っている。 4 番札所の大日寺は大分、谷を登る。5 百羅漢をみて、5 番札所の地蔵寺へ。9 時半。古い街並みが続く道を 6 番札所安楽寺まで。7 番十楽寺で昼となり、寺の前のうどん屋へ入る。たらいうどん 650 円。8 番札所熊谷寺へ のんびりと歩くが、途中で道を違え、1 時 30 分。本堂まで山門から道が長い。車で巡礼をしている夫婦が多い。 9 番法輪寺までは、下り坂で順調に進むが足の裏が痛くなる。10 番切藩寺は長い石段が 350 段あり 3 時半。 「八 幡旅館」に 4 時 10 分着く。ビール代を入れ 8,000 円。 4 月 20 日(土) 24.3km 旅館発、7 時 15 分。川島橋の土手。吉野川の潜水橋を渡る。9 時 10 分 11 番藤井寺着。山裾の普通の寺。そこ から山路に入る。長戸庵までは長い登り。10 時 40 分。途中見晴らしの良い休憩所が有りパンを食べる。吉野川 と昨日の切幡寺が見える。柳水庵 11 時 40 分。善根宿で布団がある。ヒノキ林の薄暗い中を 1 本杉に 50 分で登 る。焼山寺への登りで 7 丁目。2 時 40 分。細かい雨が降り出す。12 番焼山寺。3 時。本格的に雨が降り出し、 寒い。 「なべいわ荘」に 3 時 20 分着。宿代 7,560 円 吉野川 川島橋 11 番札所 藤井寺 4 月 21 日(日) 35.5km 昨夜来の雨が上がったが、空は雲に覆われている。気温は 10 度以下で寒い。7 時出発。なべいわ荘の向かい側 の林道を登って行く。途中で山路となる。玉ケ峠には、お堂があって巡礼宿として使っている。鮎喰川まで延々 と舗装された林道を下る。阿川の橋で 9 時。川沿いの車道を 3 時間歩いて 13 番大日寺へたどり着く。ここから 14 番常楽寺、15 番国分寺、16 番観音寺、17 番井戸寺と 6km の間に 5 つの札所がある。バス巡礼が多い。国分 寺で歩き巡礼者にだけ、煎餅とコーヒーをご接待。2 時に観音寺の近くでうどん屋を見つけて、昼食。結局、こ の日は徳島市内まで歩いた。旅館「近藤」に 5 時半。行動した時間は、10 時間半。宿代 6,000 円。 15 番札所 国分寺 19 番札所 立江寺 仏塔 4 月 22 日(月) 24.5km 7 時半旅館を出発。山裾の 138 号線を二軒屋まで行き、高知への国道 55 号線を小松島市へ。気温が低く 8 度位 で風が冷たい。昨日の長い歩きで足の薬指と小指に豆ができている。国道の車用の案内板で行った為、遠回りで 18 番恩山寺へ行く。11 時。お京塚で、遍路シールを見落としてしまい、立江寺が分からなくなる。人がおらず 辺りを見回すと五重塔が見えそれを目指した。立江寺は立派なお寺で、四国 88 寺の指導役もしているとのこと。 寺の向かいのお婆さんがベンチで話しかけて、本堂が焼けた時、大変だった話をしてくれた。出がけにご接待で 綿の手拭きを貰った。12 時半出発。2 時半に茶屋で羊羹のお接待。そこで、そばを頼む。4 時に「金子屋」に着 く。2日前の宿で一緒だった人とまた会った。日程はほぼ一緒のことを考えている。7,000 円 4 月 23 日(火) 33.3km 金子屋を 7 時 10 分に出発。前のスーパーでジャムパンを買う。鶴林寺へ登り。急登が続く。8 時 15 分鶴林寺着。 下山道を探していた人と石道標を見つけて、急な階段を下りる。山間の静かな那賀川を渡る橋の休憩所で休む。 太龍寺への林道で若杉の放棄部落へ行く老夫婦と挨拶をかわす。ここには辰砂(HgS)赤の釉薬の産地がある。太 龍寺 10 時半。ロープウェイ駅がすぐしたにある。太龍寺山経由で中山部落へおりる。道の駅「わじき」でポン カンを買うが、あまり甘くない。1 時半大根峠を通って平等寺へ。外人遍路が二人いた。遅かったが由岐目指し て 3 時に出発。月夜見水庵 4 時。そこまでは、平坦な道で順調だったが、その後上り下りのアスファルト道路で、 由岐への下りで 6 時となる。町へついて民宿がわからず、おばあさんへ案内してもらう。6 時 20 分着。民宿「ゆ き」は湾の突端にある宿で、風呂から由岐漁港が一望できる。その民宿には、7 人泊まっていて、韓国人(日本語 がうまい)女性 2 人きていた。韓国でも四国八十八寺の巡礼は、本があるそうでそれを頼りに来ている。7,000 円 21 番札所 太龍寺 4 月でシャクナゲの花が咲いていた。 4 月 24 日(水) 12.2km 今日で一週間の遍路旅。あいにくの雨の天気。昨夜から風が強くなり、時々雨が降っていた。8 時 10 分出発。 由岐の町を過ぎると、本降りとなり、木岐を過ぎると土砂降りとなった。俳句道を通り、日和佐湾におりた。え びす洞を通ると、台風並みの風で、全く雨具が役に立たない。下着まで濡れてくる。道は雨が川となって流れて くる。日和佐で泊まることにして、宿を駅前のケアンズにする。日和佐は朝ドラのウェルカメの舞台になったと ころで、国人宿舎「うみがめ荘」があり、ここの砂浜で 6 月ごろ海亀が卵を産みに来る。宿泊 4,500 円。 4 月 25 日(木) 34km 今日は日和佐から宍喰まで 33.6km の長旅。朝 6 時 20 分出発。晴天で気温は低いが太陽が眩しい。打越寺 7 時 40 分、小松太師手前 9 時。牟岐から遍路道の大阪峠、松坂峠を通る。峠から太平洋が見える。古江の湾で 3 人 の釣り人が海岸で糸を垂れている。今日は釣れないそうだ。餌に生きた鯵を使っている。大砂海岸は海水浴場、 浅川港は、引き潮で船着場から 1m 下に漁船があり、何とものんびりした漁港。暑い日差しの中、海南市のお遍 路休憩所第一号でオロナミン C がご接待でおいてあり、ありがたくいただく。2 時。那佐湾は、島の一方を堤防 で塞いだ人工の湾。でも水が清んできれい。宍喰の手前に「はるる亭」があり、温泉がある。宍喰は道の駅にも 温泉があった。4 時民宿「ぬしま」着。足が痛くなり、ゆっくりと町の散歩をする。5,500 円 大阪峠より室戸方面 ロッジおざきから日の出 4 月 26 日(金) 26.1km 今日はロッジおざきまでの 26.1km と短い。右足が小指とふくらはぎの外側が突っ張った状態で、歩くと痛い。 今日はゆっくり行くことにして、7 時に朝を食べ、7 時 20 分ごろ出発。長いトンネルで自転車の通学生とすれ違 いながら、甲浦へ。この甲浦が第 3 セクターの阿佐東線の終点。大きな漁船があって、ドックもある。明徳時 10 時。野根の街を通ると、有名和菓子屋が忙がしく饅頭を作っていた。越ノ鼻漁港では、定置網の点検をして いる。沖には定置網のウキが点々とある。東羊町から佐喜浜まで 10km のあいだ人家が全くなく、山が海に迫る 所に国道 55 号線が走っている。津波がきたら、岩よけのフェンスを乗り越えて、崖の上に行かなければならな いが、ほとんど不可能。佐喜浜港町は、結構大きな町で、八幡宮には土佐独特のたか灯籠がある。港から 1km に渉って、10m の防波堤道が続いている。それだけ波が来るのだろう。3 時ロッジ「おざき」に着。6,500 円。 4 月 27 日(土) 22.7km ロッジおざき 7 時発。今日は津照寺まで 22.7km と短いので、双眼鏡を手にのんびりと出かける。青年大師堂 11 時 30 分。最御崎寺 12 時。室戸岬灯台で昼食。太平洋が一面に広がり、室戸岬の海には、漁船と観光船が 10 数 艘室戸岬港を目指して進んでいる。下りは車道を下りるが、室戸の町が眼下に見える。午後の暑い日のけだるい 街を延々と歩く。津照寺 2 時半。宿の「太田屋」に 3 時着。風呂は 4 時半からという事で、街にカットバンと日 焼け止めを買いにいく。室戸市のスーパーマーケットは何でもあった。8,000 円。 青年太師像と涅槃像 室戸岬灯台 4 月 28 日(日) 35.2km 7 時太田旅館出発。金剛頂寺 8 時着。不動岩に下りる。山の西斜面には、室戸特産の琵琶があり、袋掛けされて いた。ある農家で御接待に枇杷の実を 2 つもいでくれたが、甘みがあってすごく上手い。今まで枇杷とは、甘く ない印象だったが、この枇杷はうまい。今日は快晴で風も強くなく、朝は清々しい。羽根岬 11 時半、レストラ ン岬 14 時と海に突き出た岬を 3 箇所周った。奈半利町の郵便局でお金を下ろす。日曜でもキャッシングはやっ ている。今日の宿浜「吉屋」で、荷物を置いて身軽で、神峯寺へ登る。16 時到着。17 時 20 分宿着。足の調子が 心配だったが、少し豆ができるぐらい。7,000 円 27 番札所 神峯寺 神峯寺より室戸岬方面、山は新緑に覆われている 4 月 29 日(月) 24.1km ゴールデン・ウィークの前半の休み。7 時浜吉屋発。24.1km の短い距離で、余裕思った日程。朝は高知への道 路 55 号は、車が少なく静かであった。浜千鳥公園 8 時。吉良川町まで防波堤道を歩く。安芸市に入り歩道を広 くして新しくした商店街を歩く。八流山の休憩所 11 時半。防波堤道が作られているところは、防波ブロックが 積まれて、自然海岸が無くなっており、全く趣がない。一方、芸西村の海岸は自然海岸で、定置網漁をやってい た。網を鋼鉄のワイヤーをウインチで引っ張っている。その周りに、カラスと何とアオサギが何十羽と集まって いる。2 時半海辺の果樹園ホテル着。2,2000 円。 安芸市の民家 鯉のぼり 4 月 30 日(火) 17.3km 午前はリゾートホテル海辺の果樹園でのんびりと過ごす。ゴールデン・ウイークは宿の予約した方が,良いとの ことで 1 週間分を予約。8 時から雨が降り出した。高知まで電車で行くことにする。高知で帰りの夜行バスを予 約する。今日の宿を桂浜に取り、竹林寺と禅師峰寺を周る。2 時 40 分竹林寺、4 時 40 分禅師峰寺、6 時 30 分民 宿坂本へ着く。時々雨が降る状態で、傘をさして歩く。浦戸大橋はかなりの高さがあって、歩道が狭く、傘をさ しながら歩くのが、大変であった。6,500 円 5 月 1 日(水) 28.5km 6 時に桂浜へ散歩。国民宿舎「桂浜荘」まで登って、桂浜へ出る。あまり大きくはない砂浜。8 時に民宿を出て、 浦戸湾沿いに行く。雪渓寺 9 時。新川を通って、まず三十四番奥院を目指した。今日は時間があるので奥院を探 したが、探すことができなかった。種間寺へ戻ったのが 12 時。仁淀川は大きな川で、橋の長さは 700m ある。 川の堤防で休む。2 時。清滝寺まで 4km あるが、なかなか近づかない。3 時 40 分着。ビジネスイン「土佐」4 時 45 分着。7,600 円 桂浜 国民宿舎土佐より高知方面 5 月 2 日(木) 18.4km 7 時 30 分ホテル発。今日もすっきりした快晴。気温が低く、アノラックを着て出発。宇佐市に入って、郵便局 でお金を下ろす。浦ノ内湾の宇佐大橋は、高知の浦戸大橋と同じで高さがかなりある。浦ノ内湾は、緑色の海水 で非常にきれい。青龍寺へ旧遍路道の山路をとる。10 時半青龍寺を出て、奥の院を目指す。奥の院を少し下っ たところに、国民宿舎「土佐」があった。ここからの眺めがすばらしく、四国の主な山(石鎚山、剣山)が見え る。四国では室戸側は、隆起して海岸線が長いが、足摺側は沈降してリアス式海岸となっている。池之内まで 2 時間、海を見ながらゆっくりと登り下りの道を行く。 「旭」民宿まではスカイラインから一気に下る。池之内は、 伊勢海老の産地で、夕食に 1 匹 1kg ぐらいを刺身と、鍋にして食べる。海老込みの宿泊費 12,000 円。 5 月 3 日(金) 30.2km 7 時発。右足の小指のマメが痛く、車でスカイラインまで送ってもらう。武市半平太像まで 30 分。太平洋が朝 日を受けて、スッキリみえる。国道 23 号と合流点で 9 時。須崎の街には、大阪住友セメントの大きな工場があ る。5 月の連休で道の駅と魚菜食堂は、超満員。魚菜食堂でイベントがあり、そのテント売店で巻寿司と稲荷寿 司を買って食べる。安和までは順調に進む。焼坂峠まで、山路の急坂を登る。2 時。そこから巻道の遍路道とな り、山深い道を延々と下る。「福屋」旅館に着いたのが 4 時。隣の大谷旅館は、初節句のお祝いで貸し切り。夜 まで賑やかに騒いでいた。途中の旅館にも初節句のパーティがあった。初節句を盛んに祝うようである。 「福屋」 旅館は満室。6,500 円 武市半平太像 土佐の銅像地図 5 月 4 日(土) 22.9km 6 時半の食事。7 時には出発しようと支払いを済ませ、玄関で靴を探したが見当たらない。NorthFace の新しい 同じ形の靴があるので、たぶん間違えたのだろう。宿にいうと、早速 4 時半に出かけた人に連絡をとってくれて、 間違ったことがわかった。もどるのに車で 1 時間かかるので、それまで部屋で待っていた。今日は、岩本寺まで なので時間に余裕が有る。8 時ごろに、間違った 90 歳の老人が戻ってきて、ようやく出発できる。8 時 10 分出 発。そえみみず峠に向かう。登りは高速道路ができたため、その脇の階段を使う。階段の急登が終わると緩い登 りが続く。最高部まで行かずに、巻道となる。途中 2 箇所見晴らしの休憩所。13 時開いていた食堂に入り、チ ャーハンを食べる。昼食べて元気が出て、そこから岩本寺まで 6km 余りを一気に歩く。岩本寺 15 時。国道は、 連休で渋滞となっている。岩本寺下の果物屋で、小夏 1 箱送る。4,000 円。岩本寺宿坊 6,500 円。 5 月 5 日(日) 30.9km 6 時本堂で朝の会を行なう。宿坊では、夕方か朝にお祈りをする。来年が、弘法大師がお遍路をしてから 1200 年目とのこと。宿坊には、大阪大学のグループが先生を含め 20 人ぐらいで、お遍路に来ていた。7 時 10 分発。 峰の上を通って遍路道を行く。8 時半。今日はこどもの日で国道は車が、ビュンビュンと跳ばして行く。遍路道 は昔の道で舗装してあるが、車は全く通らず、静かで歩き良い。佐賀で 12 時。佐賀市の伊予田川には、大小の 鯉のぼりが堤防に沿って百匹以上飾られていた。 今は初鰹の季節だが、 土佐でも佐賀の 1 本釣り鰹の水揚が一番。 岬の先端にある佐賀公園は観光客で賑わっている。海沿いを歩くと、日差しが強く、暑い。15 時 40 分。海に突 き出した岬の上の民宿「みやこ」着。6,500 円 37 番札所 岩本寺 シャクヤク 5 月 6 日(月) 14.1km 7 時 15 分出発。8 時入りの松原休憩所。大方の公園は大変広く、T シャツアート展を砂浜にツナを張りやってい た。競馬馬の厩舎もあり、また結婚式場を兼ねたホテルがある。海にはサーファーが何人も出ている。大きな波 は出ていない。連休最後に日でオートキャンプ場はほぼ満車。朝の片付けをやっている。国道 56 号に出て、西 大方駅で休憩。9 時。四万十川と後川は、コンクリートを使っていない土を積み上げた堤防で、川幅が相当ある。 11 時中村駅で到着。ここで今回の遍路旅の区切りとした。中村の駅では、岩本寺で同宿の静岡からきた区切りう ちの人に会う。中村―高知 4,020 円 高知―新宿(高速バス)9,800 円 前篇完