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物流等における非接触タグ(RFID)の活用と限界
物流における非接触タグの 活用と限界 2003.5.19 経済産業研究所 泉田 裕彦 RFIDを用いた航空手荷物管理システム を用いた航空手荷物管理システム (国土交通省実施) • 2001年度実証実験実施 (技術的側面) 13.56MHz 読み書き実験 タグ規格:ISO18000 特定エアラインのみで採用することを想定 • 2002年度実用化のための研究会を継続 CF.成田空港のターミナルビルの改装 実証実験 ~Mode1~ (1)日程:2001年9月17日(月)~23日(日) 1週間 → 10月4日~7日 へ変更 (2)実証実験で使用するRFID規格:ISO 18000-3 Mode1(Philips I-code) (3)RFIDタグ有効枚数:5,000枚程度 (4)対象手荷物: ①シンガポール、香港発、成田到着の手荷物 ②シンガポール、香港発、成田乗継ぎにより、 バンクーバー、サンフランシスコ到着の手荷物 ③成田発、バンクーバー、サンフランシスコ到着の手荷物 新東京国際空港/成田 チャンギ国際空港 (シンガポール) 手荷物100個/日 香港国際空港 手荷物300個/日 JL712 08:00発 15:40着 1便/日 JL730 09:50発 14:50着 1便/日 JL736 11:00発 16:00着 1便/日 ①成田到着手荷物 350個/日 ②乗継手荷物 50個/日 ③成田発行手荷物 300個/日 JL002 18:00発 +11:10着 1便/日 サンフランシスコ 国際空港 手荷物:150個/日 バンクーバー JL016 国際空港 21:00発 手荷物200個/日 +13:30着 2便/週 JL012 JL018 17:45発 or 18:00発 +10:15着 +10:30着 1便/日 1便/日 航空手荷物用RFIDタグ (参考)バーコード10桁の中身(IATAにて規格化) 項目 航空会社使用 航空会社固有番号 手荷物識別番号 データ容量 1byte 3byte 6byte データ内容 0(注) 618 296793 注) 0:オートソート 1:ソートなし 2:事故 成田空港 実証実験機器設置箇所 成田空港 第2旅客ターミナルビル内 ・RFID読取アンテナ設置箇所:3箇所 ・HT読み取り箇所 :3箇所 ①メインソータ合流手前 ライン速度 40m/分 ライン幅 120cm 【アンテナスペック】 1W、-18dB ④HTによるデータ確認 ②ソータ分岐後メイクアップコンベア手前 ライン速度 50m/分 ライン幅 120cm 【アンテナスペック】 1W、-30dB ③トランスファソータ合流手前 ライン速度 30m/分 ライン幅 120cm 【アンテナスペック】 8W、-32.2dB 実証実験結果(平成13年10月4日~7日までの平均) (1) 回路印刷タイプのタグ (搬送ライン固定アンテナ) 読取率 書込率 備 考 メインソータ合流手前 97.8% 93.5% 国内法に基づく実験局としての規格による メイクアップコンベア手前 99.2% 96.4% 国内法に基づく実験局としての規格による (ハンディターミナル(HT)) 読取率 成田乗り継ぎ分 書込率 99.4% 100.0% (2)書き込み容量の大きいタイプのタグ (搬送ライン固定アンテナ) 読取率 メイクアップコンベア手前 98.5% 書込率 97.5% 国内法に基づく実験局としての規格による (ハンディターミナル(HT)) 読取率 成田乗り継ぎ分 100.0% 備 考 書込率 97.4% 結果の評価 • RFIDにデータを書き込んでも、途中で破 壊の可能性がある。 結局、バックアップサーバが必要 • 13.56Mhzでは、通信距離に問題有り 今後の展開(航空手荷物RFID) ) 今後の展開(航空手荷物 • e-Airport構想 (手ぶら旅行の実現、バイオメトリックスの活用) http://www.e-airport.jp/ja/f_kousou/index.html • エアライン、空港当局、税関当局、宅配事業 者、コンビニ等との連携を模索 → 不特定事業者間の流通は想定せず • 技術開発研究組合設立予定(2003年7月) • 国際的に整合性のある周波数の設定 →IATA標準に物理特性が追加(900Mhz帯)2002.12 航空貨物に対するRFIDの活用 (2001年国土交通省研究会 年国土交通省研究会) 年国土交通省研究会 ~複数事業者を流通するタグのケース RFID航空貨物情報システムモデル例 輸出者 航空フォーワーダー 車両 輸出依頼 集荷指示 貨物票作成(RFID) 集荷 営業所 集荷 指示 (貨物管理番号/ 危険物認識情報 書込) 倉庫 保税 蔵置場 通関 航空会社 入庫予定 :RFID貼付 危険物チェック :RFID書込み 配車登録 チェック完了情報登録 完了登録 入庫報告 (チェック完了情報書込 貨物管理番号読取) :RFID読取 入庫登録 蔵置 空港上屋搬入 出荷指示 出荷準備 (MAWB番号/ 危険物認識情 報書込) 危険物チェック 出荷案内 出荷案内 出庫登録 搬入 チェック完了情報登録 (チェック完了 情報書込) 搬入確認 通関手続指示 (チェック完了情報/貨物管理番号/ 危険物認識情報読取) 混載仕立登録 チェック状況 確認 輸出申告 受託 チェック状況確認 輸出許可 ULDビルドアップ 搬出 一時保管 搬出確認 航空機搭載 (MAWB番号/ 読取) (チェック完了情報/ 貨物管理番号/ 危険物認識情報 読取) 2001年 国土交通省研究会の結論 2001年 国土交通省研究会の結論 • 事業者間のコスト負担と受ける便益の 調整ができずに、1年で検討中止 • 書き込みの必要性が乏しい • 書き込みを行う場合チップのコストアッ プが生じる • 実用化が可能なチップの価格 ○ 2∼5c × 50∼300円 RFIDの利用について の利用について マーケット1 マーケット2 ~複数事業者間を流通~ ~単一事業者で利用~ サーバー サーバー ICタグ ID or データ 商 流 (トレードシークレット有) ・電子シール(書き込み型RFID) 物 流 →24時間ルール、CSI対応からの要請あり 大きさ ¥2,000~¥9,000程度 取引先 ≒ 配送先 重さ ・JR東日本のSUICA等 リユースされるもの HSコード等 納品期限 ≒ 配送時間 運賃 ・航空会社のULDやJRコンテナの識別 価格 危険物か否か 荷主名 ア 商品名 ・パレットの識別 等 ク セ 利用便名 ス ン コ トロ ア クセ ス ト コン ロー ル ー ル メーカー等 物流会社 【留意点】 ・データ書き込みをしても、データ破損に備えてサーバーバック アップは必要 ・書き込み型タグは、コスト劣位で普及が難しい ・コスト負担者と便益受容者が乖離する サーバーアクセス型システムを使う場合標準化はIDのみでよい サーバーアクセス型システムを使う場合標準化は のみでよい ハードには依存しない(標準化したほうが便利ではある) ※一部、高速回線がつかえない地域は書き込み機能が必要な場合もある (参考)ULDのRFタグ取り付け位置 RFIDを取り巻く環境 • テロ対策 24時間ルール、CSI、C-TPAT →電子シールの実験を船社が開始(米国は、スマートコンテナ義務 づけか?) • 流通の効率化・防犯対策 ウォールマート、ジレットの実験(米)、書籍の防犯対策(日) • 食品安全・医療過誤防止 BSE対策 • リサイクル • 物流の効率化 航空手荷物、宅配 →e-Airport構想、流通と異なる寡占体制(宅配) 次世代シャーシ管理システム(スマートプレート構 想と一部連動) →シャーシに限ると非接触タグが有望 (費用便益 の観点) • プライバシーの保護(個人・事業者) 特に書き込み型RFIDの場合 スマートプレート 5.8GHz帯の狭域通信 Active Type RFID データ容量2000バイト 以下。 国際標準等 • 国際標準化機構(ISO) TC204, TC122, TC104, ISO/IEC JTC1 SC31 etc. (参考1)米国ANSI中心で原案作成後働きかけ (参考2)TC204(国際複合一貫輸送におけるデータエレメントの統一) →物流事業者、国土交通省関係課とも冷淡(RFID書き込みを想定しており、 ビジネスモデルが描けない。) • 国際航空運送協会(IATA) Cf. Recommended Practice 1740c RFID DATA CONTENT(2002.08) • Auto-ID (MIT) 国内標準化の議論 • Auto-ID (MIT) ネットワーク活用型 課題 UN/EDIFACTとの乖離→eb-XMLへの対応、 CII(JTRN) • ユビキタスID TRONと連動、国際的整合性は重視しない • 標準IDの提唱(経済産業省) 共通荷送り状(統一ID)の動き CF.事業者間競争有り 政府の動向 • 経済産業省 「商品トレーサビリティの向上に 関する研究会」 • 農林水産省「食の安全トレーサビリティー研 究会」 • 総務省「ユビキタス時代のRFID研究会」 • 内閣官房 e-Japan基本計画 まとめ • RFIDは、複数事業者を流通するタグ型 タグ型と書 タグ型 き込みが有効な単一事業者で利用するタイ プや人と移動するカード型を峻別すべき 峻別すべき • タグ型RFIDは可能性が大きいが、幻想も 幻想も • 国際的整合性の確保を念頭に、早期のデ・ デ・ コンセンサス・スタンダードの形成を コンセンサス・スタンダード ご静聴ありがとうございました。 連絡先 E-mail: [email protected] TEL: 03-5253-8111 ext. 53341 (国土交通省貨物流通システム高度化推進調整官) FAX: 03-5253-1674 http://home.catv.ne.jp/ss/izumida/ 補足:参考 米国のコンテナ輸入 • 世界貿易の90%はコンテナ貨物 • 米国本土へは毎年1600万個輸入 ↑ 陸送、海運、航空の合計 • 海上コンテナは、毎年570万個輸入 米国の水際作戦の3本柱 • 体制整備 国土安全保障省の発足 • 制度整備 CSI (Container Security Initiative)、C-TPAT(The Customs-Trade Partnership Against Terrorism)、関税法 改正(24時間前ルール)、Operation Safe Commerce • 情報システムの見直し ACE: Automated Commercial Environment 国土安全保障省の設立 • 2001.9.11 同時多発テロ • 2001.10.8 本土安全保障会議(HSC)、本土安 全保障局(OHS)設置 • 2002.2.26 連邦下院議院で公聴会実施 連邦政府と州/地方自治体,民間企業の間の情報共有やコミュニケー ションの欠如がみられることが、指摘 • 2002.6.6 ブッシュ大統領新省設置をテレビ演説 • 2003.1.24 国土安全保障省設立 約17万人の人員、約370億ドルの予算 1947年の国防総省の創設以来、 最大の省庁再編 米国の制度対応 • CSI(Container Security Initiative) リスク基準を策定、事前チェック、技術開発、税関係官の派遣 • C-TPAT(The Customs-Trade Partnership Against Terrorism) 輸入関連企業のコンプライアンスプログラム → 迅速な輸入通関、 低い貨物抜取検査率 • 関税法改正(24時間前ルール) CSIの具体化 • Operation Safe Commerce 輸入関連企業サプライチェーンにおける脆弱性の原因究明と対策 情報システムの更新 ~ACE (Automated Commercial Environment)の導入目的∼ 1. 密輸防止率の向上 2. テロ防止 3. 利用者の輸出入手続の大幅な簡素化 4. 政府の人員・予算の据え置き ACE(Automated Commercial Environment)の概要 物流業者(陸・海・空) 船舶入出港関連申請 輸出入者 マニフェストの提出 通関情報取得 ACE 行政 ・通関業務(現行) ・乗員・乗客出入国 管理業務 ・検疫業務 ・港湾管理業務 通関情報の閲覧 通関業者 (関係当局は業務に応 じて全てACEへアクセ ス可能) ・物流セキュリティ 物流セキュリティ 管理・分析 輸出入関連申請 関税・手数料等の決済 運賃・手数料の決済 薬物・対テロ危険物 等 (情報収集) 銀 行 C-TPAT、CSIに よる制度整備 ※貿易関連業務に携わる全ての者の情報インフラ 輸出国 荷物情報C 輸入国(米国) 荷物情報B マニフェスト情報 (24hルール) 発荷主 船社 陸送業者 発荷主 船社 陸送業者 受荷主 電子シール で封印して 船積 荷物情報A 船積 受荷主 C-TPAT C-TPAT 輸出不可 不参加 参加 CHECK!! OK! NG!! CSI係員 ・X線・r線検査 ・RFIDによる積荷確認 分析・分析・・・ 危険 安全 船卸 ACE コンテナターミナル コンテナターミナル 通関 搬入 ハイリスクコンテナ情報 発荷主A 優先通関 CHECK C-TPAT情報 荷出コンテナ 検問A ブラックリスト情報 RFID付 RFIDを活用した 簡易な確認 ITSにより貨物追跡 CHECK 検問B 簡易な確認 … RFID書き込み(orデータサーバー) CHECK 物の流れ 情報の流れ 受荷主A 受荷主B