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news27 - 全国就労支援事業者機構
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-10-9 特定非営利活動法人 全国就労支援事業者機構 電話 03-3225-0545 FAX 03-3225-0381 e-メール[email protected] http://www.siensha-kiko.net/ 就労への支援を重ねて Vol. 27 平成28年4月 愛媛県 株式会社雁飯店 大岩 行雄 就労支援事業者機構への期待 この青年で何人目の受入れになるだろうか。久々に御縁あって、またお引き受けすることとなっ た。多少の緊張感と、新しい出会いに対する喜びに胸高まる思いで、その初日を迎えた。 思えば、どの青年に対しても、その都度新たな思いで、店のスタッフ一同、皆精一杯寄り添う覚悟 で接してきた。しかし、残念ながら現在のところ、我が店に残ってくれている青年はいない。 それでも、いまだに親御さんと年賀状で情報交換し、そして、時折の風の便りに、元気で社会人とし て、また子供たちの親として生活している様子に、「更生への足掛かりに、少しはなれたのだろう か」と思う。 このたびの出会いでも、彼の心の中で、「この職場に自分はなくてはならない存在なのだ」と実感 できるまで、誰かが常にピタッと寄り添い、目を離さず、手を徐々に少しずつ放していく。そうすれば 自ずとその立ち位置が決まり、彼なりの伸びが得られると信じている。 どんな形であれ人様に危害を与えてしまい、それ以上に本人自らが傷ついているに違いないと思 う。「何があっても常に君のことを心配している我々がいるんだぞ」といつも強く訴え掛け、彼の心の 中に温かいものが芽生えるのが一番大切ではないかと考える。 店のスタッフによると、「彼は澄んだ目をしている。そして料理を差し出す折の『お願いします』の 声に真心がある」、「自分にできそうな仕事を見付けては『自分にさせてください』と、やる気を見せ てくれている」とのこと。 さあ明日の朝、目覚めた瞬間、その日一日の仕事が彼の頭に浮かんでくるだろうか。店のスタッ フと気持ちのいい挨拶が交わせるだろうか。彼の人生の再出発に祈る思いでエールを送りながら、 あの快い「ハイ」の声を楽しみにする日々である。 《あとがき》今年は東京では例年より早く桜が咲きました。皆様のところは如何でしょう か。全国機構も全国更生保護就労支援会と合併し新たなスタートとなりました。 ところで、都道府県機構の長野からの報告にありますが、DVDの「HAND」が就労支援 の広報用に極めて有効であることから、全国機構では日本ケーブルテレビ連盟への働きか けを行った結果、「全国コンテンツ流通システム(AJC-CMS)」を通じて全国のケーブル テレビ事業者(300社)が視聴・配信できるようになりました。地方自治体とタイアップす ることなどを通じて就労支援への理解が深まるようご活用ください。(K・Y) National Organization for Employment of Offenders NPO法人全国就労支援事業者機構 更生保護法人 日本更生保護協会 副理事長 大林 宏 日本更生保護協会は、その前身である財団法人輔成会が大正3年に設立されて以来、わが国の更生 保護事業の発展のためにセンター的役割を果たしてきましたが、平成26年7月に100周年を迎え記念 式典を開催した他、同年12月には「100年史」を発刊しました。 この度、寄稿を依頼されたのを機にわが国の更生保護事業の歴史を振り返ってみて、一つの気付きが ありました。 それは罪を犯した者の改善更生には就労が重要であると言う認識が一貫してあったということで す。わが国最初の更生保護施設といわれている静岡県出獄人保護会社の設立趣意書には「出獄者ヲ保 護シ彼等ヲシテ社会ノ門戸ニ入リ正当ナル職業に就カシメ内ハ以テ吾人ノ幸福ヲ増進シ外ハ以テ社会 ノ安寧ヲ維持セント欲ス」とあります。正に「就労なければ更生なし」で更生保護関係者が対象者の 就労のために永年尽力してきました。 輔成会においては、青少年の農業訓練所を茨城県内に所有したり、保護対象者の就職を促進するた め、保険会社と契約して雇用主に対する信用保険を行い、保険料は輔成会が負担するなどしておりま した。 戦後においても、更生保護施設の中には施設内作業所を設けていた施設もありました。 ところで、平成21年1月に全国就労支援事業者機構が特定非営利活動法人(NPO法人)として設立さ れ、平成22年7月までに各保護観察所単位で都道府県に50の都道府県就労支援事業者機構が設立され ましたが、その際には当協会が設立のためのお手伝いをさせていただきました。いわば機構は、当協 会あるいは都道府県単位の更生保護協会が行っていた事業のうち就労支援に関する部分を切り分けて 特化して行う組織を誕生させたともいえるものであります。 全国及び都道府県の機構が、設立以来経済界や社会の各層の協力を得て、事業内容を拡大させ、充 実させていることは、誠に喜ばしく思います。全国機構の企業の二種会員の数が320を超えるように なっていると伺っておりますが、経済界の協力と支援によって協力雇用主を支えるという考え方が次 第に浸透していることの表れであり、更生保護に関する広報の上でも意義あることと考えます。また 何よりも協力雇用主の数が年々増加し、そこに雇われる対象者等の数も増えていることは、雇用に よって改善更生を促し再犯を防止し、安全で安心な社会を実現するという大きな目標に近づいている ともいえるものであります。 加えて、貴NPO法人は、平成28年4月1日からはNPO法人全国更生保護就労支援会と合併し、身元保 証その他の事業を一元的、効果的に実施できる体制が作られたわけですから、この基盤整備の下、今 後の更なる発展を大いに期待しております。 全国就労支援事業者機構は「全国更生保護就労支援会」と合併し、 4月1日より新たに身元保証事業などを行うことになりました。 National Organization for Employment of Offenders NPO法人全国就労支援事業者機構 全国機構 ● 会員のご紹介(平成28年1月1日以降に入会いただいた会員をご紹介します。順不同、敬称略) [企業](株)ユニバンス、(株)椿本チエイン、青木あすなろ建設(株)、いすゞ自動車(株) [弁護士] 平岡秀夫、宮川光治、古田佑紀 久保裕、札幌協力雇用主連合会、岩手県更生保護協力事業主会、 四種会員 更生保護法人 斉修会、愛媛県更生保護会協力雇用主会「寿会」 二種会員 その結果、平成28年3月29日現在の会員数は次のとおりです。 役員 一種会員 二種会員(企業) 二種会員(弁護士) 二種会員(公証人) 36 6 324 109 1 50 17 41 135 719 三種会員(都道府県機構) 四種会員 賛助会員 賛助会員(弁護士) 合 計 ● 協力雇用主さんに対するアンケート調査について 全国機構では、法務省保護局の協力を得て、協力雇用主に対するアンケート調査を行い、その結 果を平成28年2月にとりまとめ3月に都道府県機構等に配付しました。その概要を紹介します。 なお、本報告書を希望される方は事務局までご連絡下さい 協力雇用主の実情(アンケート調査結果から) 《従業員数》 《事業主体》 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0.8 1.2 全 体 (N=646) 0% 100% 0.8 2.0 3.6 1.2 0.2 8.2 1000人 無回答 以上 8 1 1.2 0.2 実数 構成比(%) 7.3 38.7 28.0 13.6 全体 4人 以下 5人~ 19人 20~ 49人 50~ 99人 100~ 299人 300~ 499人 500~ 999人 646 100.0 47 7.3 250 38.7 181 28.0 88 13.6 53 8.2 13 2.0 5 0.8 2.0 1000人 無回答 以上 8 1.2 ● 川崎市が保護観察対象者を雇用 保護観察処分を受けた少年らの就労機会を広げ、社会復帰につなげようと、川崎市と市保護司 会協議会は平成28年2月22日、就労支援に関する協定を結びました。保護観察対象者を市が直接 雇用することをステップにして民間企業の受け入れ増にもつなげる狙いがあり、神奈川県内自治 体では初の取り組みで、平成28年4月1日から任用開始する予定です。川崎市を含め全国で38の 自治体が非常勤や臨時職員として直接雇用する取り組みを始めています。 ● 立ち直りを支える方々と語る会 平成28年2月3日(水)、総理官邸において立ち直りを支える方々と語る会が開催され、安倍首 相が谷村新司氏(社会を明るくする運動フラッグアーティスト)、野口義弘氏(協力雇用主)の ほか、保護司、更生保護女性会会員、更生保護施設職員、社会を明るくする運動作文コンテスト 法務大臣賞受賞者等9名の方と懇談され、安倍総理からは,犯罪や非行からの立ち直り支援に取 り組む方々の御尽力に対する感謝や激励のお言葉をいただきました。 その後、犯罪や非行の防止と過ちを犯した人の立ち直り支援に対し国民の協力を求める「第66 回“社会を明るくする運動”の推進に当たってのメッセージ」を交付されました。 全 体(N=646) その他 4.3 個人事業主 7.0 無回答 0.2 0.2 有限会社 21.8 1 0.2 株式会社 66.7 雇用主の事業主体は、株式会社が最も多く66.7%で、次いで有限会社、個人事業主と続 きます。「その他」が4.3%ありますが、この中には社会福祉法人、NPO法人などが含まれます。 協力雇用主の従業員数は、49人以下が全体の74%を占めています。 ● 府中刑務所を見学しました 平成28年2月17日(水)府中刑務所参観に34名の会員等の参加がありました。当日は12時に 東京駅周辺からバスで出発し1時間で現地に到着しました。冒頭手塚文哉所長から挨拶とパ ワーポイントによる説明がありました。府中刑務所のルーツは石川島人足寄場であること、我 が国最大の収容規模(2,668人)であり、現在2,021人を収容していますが、外国人が多く、64カ 国、49言語が必要とのことでした。全体に高齢化が進み(最高齢87歳)高齢者の占める割合 は17.8%でした。外国人、高齢者、暴力団関係者が多いことが特徴的でした。その後工場、舎 房等を見学し、最後に質疑応答があり、その中で、同刑務所においては平成26年7月から就労 支援に係るプロジェクトチームを発足させ、平成26年は5人、27年は15人が就職内定に至った との説明がありました。 都道府県機構 (長 野)「HAND」をケーブルテレビで放送 福岡県の田川市立中央中学校は北九州市の協力雇用主の野口石油を取材して「HAND」を作成 し、これが平成26年度のNHK全国中学校放送コンテストで最優秀賞を受賞しました。長野県機 構では、このDVDを広く観ていただくことによって就労支援に対する理解と協力が広がると考 え、長野県内のインフォメーション・ネットワーク・コミュニティ(通称:INC長野ケーブル テレビ)に依頼し、平成27年11月と12月にテストケースでINC長野局とエルシーブイの2局で放 送を開始しました。「HAND」放送のエンディングでは長野県機構から「犯罪や非行をした人 の立ち直り支援」に協力を呼びかけるメッセージを13秒程流しており、約8分の放送です。 今後さらにINCより信越サーバー(長野・新潟の映像データバンク)に登録している42局の CATVにネット配信を依頼しました。 National Organization for Employment of Offenders NPO法人全国就労支援事業者機構 中央が安倍首相、右から3人目が協力雇用主の野口さん ● 協力雇用主に対する法務大臣感謝状の贈呈 平成28年3月24日(木)、法務 省において岩城法務大臣から 全国の次の16の協力雇用主 (法人又は個人)に対して法 務大臣感謝状が贈呈されまし た。協力雇用主に対する法務 大臣感謝状は今回が初めての ことです(敬称略)。 (函館)函港作業(株)、(釧 路)(株)大江建設工業、(盛岡) 千葉龍二郎、(仙台)(有)山田 建設、(東京)(株)樹組コーポ レーション、(静岡)東海ガス 圧接(株)、(津)樋口泰行、(大 協力雇用主に対して法務大臣感謝状が贈呈されました 阪)田中康正、(神戸)筒井弘、 (和歌山)(株)阪和スタン ダードサービス、(徳島)(株) 鷹鉾組、(高松)(有)中富工 業、(松山)廣江満、(福岡) (有)野口石油、(株)吉松RC、 (宮崎)(有)平和建設 National Organization for Employment of Offenders NPO法人全国就労支援事業者機構