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平成18年度創造界隈形成推進委員会報告書

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平成18年度創造界隈形成推進委員会報告書
平成 18 年度の創造界隈形成推進事業の評価と
今後の展開について
平成 19 年 3 月
創造界隈形成推進委員会
目次
第1章
創造界隈形成推進委員会の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1
委員会の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2
創造界隈形成事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(1)
創造界隈とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2)
創造界隈形成事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
第2章
1
歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開・・・・・・・・・・・・・・・・5
事業評価についての基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2 各拠点における展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(1) BankART1929、BankART Studio NYK・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(2) BankART 桜荘・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(3) ZAIM・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
(4) 急な坂スタジオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
第3章
創造界隈形成推進のための今後の施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
1
東横線旧桜木町駅・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
2
アーツ・コミッション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
第4章
創造界隈形成に関する助言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
第1章
創造界隈形成推進委員会の役割
1 委員会の役割
第1章 創造界隈形成推進委員会の役割
1
委員会の役割
創造界隈形成推進委員会は、ナショナルアートパーク構想[平成 18 年 1 月提言]の実現に向けて、その
大きな政策のひとつである「馬車道」、「日本大通り」、「桜木町・野毛」の創造界隈モデル地区において、
文化芸術によるまちづくりの視点から、創造界隈形成の方向性や推進のための施策を検討することを目
的に設置された委員会である。
横浜市では、文化や芸術が持つ「創造性」を活かして、都市の活性化を図るクリエイティブシティ(創
造都市)という考え方に着目し、文化芸術・経済の振興といったソフト施策と、横浜らしい魅力的な都
市空間形成というハード施策を融合させた新しい都市ビジョンとして、
「文化芸術創造都市・横浜(クリ
エイティブシティ・ヨコハマ)」を掲げている。[平成16年1月「文化芸術・観光振興による都心部活性化
検討委員会」提言]
その戦略プロジェクトの一つが、
「創造界隈の形成」であり、馬車道、日本大通り、桜木町・野毛地区
を中心に、歴史的建造物や倉庫、空きオフィスなどを創造活動の場に転用し、アーティストやクリエー
ターが、創作・発表・滞在(居住)する創造界隈の形成をすすめている。
この創造界隈の形成を推進していくための大きな施策の一つとして、「都心部歴史的建造物等活用事
業」があり、それぞれの事業運営団体あるいは拠点施設を対象とした事業評価を実施し、文化芸術によ
る創造界隈形成の推進を行うための施策を策定していくための一環とする。
[事業評価の実施]
z
事業運営団体の業務評価と、その結果を踏まえた支援や助言の実施
z
創造界隈形成に向けた、都心部歴史的建造物の活用指針の確認と修正
事業評価の実施による成果を生かす
創造界隈形成推進のための施策の策定
≪委員会の役割≫
(1)活用事業対象施設の活用方針に関すること
(2)活用事業対象施設において、具体的に事業運営を行う団体(以下、「事業運営団体」という。)
の選考に関すること。
(3)活用事業対象施設の事業計画及び予算に関すること。
(4)活用事業における事業運営団体の活動評価及び助言に関すること。
(5)活用事業の評価に関すること。
(6)文化芸術による創造界隈形成の推進に関する助言に関すること。
(7)その他各号に付随する事項。
1
第1章
創造界隈形成推進委員会の役割
2 創造界隈形成推進事業の概要―(1)創造界隈とは
2
(1)
創造界隈形成事業の概要
創造界隈とは
都心臨海部において、創造的な活動を発信する拠点として活用する歴史的建造物や倉庫など中心に、
アーティストやクリエーターが、創作、発表し、滞在・居住する一定の領域感を持ったエリアを意味す
るもので、官民協働で事業を展開する。
エリア間の地域資源を活用し、核となる施設の整備やアートの創造発信拠点の拡充、創造的産業の集
積を図り、界隈としての発信性を高めるとともに、地域の活性化を目標とする。
○機能
一定のまとまりを持ったエリア間に創造機能、発信機能、育成機能、産業集積機能、市民交流活動な
どの複数の機能が相互に関連しつつ、活動が活発に行われる。
○効果
・多様な機能がエリアに密度濃く集積するため、活動に便利で、有能な人材が集まる
・質の高い活動が集約するという地区イメージが高まり、更なる人材、企業、店舗等が集積する
・交流の機会から、新たなビジネスが生まれる
・ワークショップや共同制作を通じて、市民とアーティストの交流が図られ、市民の創造的活動が促
進される
○地区の方向性
馬車道創造界隈
日本大通り創造界隈
桜木町・野毛創造界隈
他地区や外延部
地域資源が集中するエリアで創造界隈のモデル地区。BankART、東京芸大大学
院をはじめ創造発信拠点を核に映像系産業等の集積を促進。
象の鼻地区へ続く魅力的な街並みを生かした賑わいの創出。既存展示系施設の
連携や大通りの空間そのものの活用。
文化芸術による地域の活性化、賑わいづくり。地域に根ざした文化の育成と舞台芸
術を中心とした創造・育成機能の強化。
上記3地区での試みを先導とし、他地区での展開や、各創造界隈を補完する特定
の機能などの都心外延部での確保を目指す。
○創造界隈形成のための事業[※本委員会での議論の対象となる事業はア、ウのみ]
創造界隈の形成
ア 都心部歴史的建造物等活用事業
イ クリエーター等立地促進助成事業
ウ アーツ・コミッション
・海外とのアーティスト交流事業
・芸術不動産
ほか
2
第1章
創造界隈形成推進委員会の役割
2 創造界隈形成推進事業の概要―(2)各事業の概要
(2)
ア
各事業の概要
都心部歴史的建造物等活用事業
歴史的建造物や倉庫・空きオフィス等を活用し、文化芸術活動の振興及び文化芸術によるまちづくり
を推進するための拠点を形成することにより、横浜都心部の活性化を図る。
平成 16 年 2 月からはじまり、平成 18 年 3 月に終了した「都心部における歴史的建築物等の文化・芸
術活用実験事業」
(旧第一銀行と日本郵船倉庫/事業運営団体 BankART1929)における様々な事業を展開
とその評価を踏まえ、平成 18 年度より「都心部歴史的建造物等活用事業」として本格実施した。
○対象施設の概要
名称
所在地
面積
所有者
財産
形態
事業
運営
団体
BankART
1929 Yokohama
旧第一銀行
横浜支店
BankART
Studio NYK
BankART 桜荘
ZAIM
急な坂スタジオ
日本郵船海岸通倉庫
初黄・日ノ出町
文化芸術振興拠点
旧関東財務局、
旧労働基準局
旧老松会館
中区本町 6-50-1
中区海岸通 3-9
中区黄金町 2-7-2
中区日本大通 34
西区老松町 26-1
約 2,000 ㎡
約 1,800 ㎡
約 50 ㎡
約 5,200 ㎡
約 1,500 ㎡
横浜市
(都市経営局、
市民活力推進局)
横浜市
(都市経営局)
横浜市
(都市整備局)
市所有
市所有
横浜市
(都市経営局)
日本郵船(株)
民間
市所有
日本郵船と賃貸借契
約締結
(~平成 21 年度)
中区が民間と賃貸
借契約
(~平成 21 年度)
開館
イ
(旧労働基準局は
市民活力推進局所
管)
アートネットワ
ーク・ジャパンと
ST スポット
・管理運営、事業助成
・管理運営委託
(無償)
(平成 18~
21 年度)
・目的外使用許可
・活用に関する基本
協定締結
・管理運営・事業助
成
・無償貸付契約
・管理運営・事業
助成
平成 16 年 2 月
平成 18 年 6 月
平成 18 年 6 月
平成 18 年 10 月
・無償貸付契約(平成 18~20 年度)
平成 17 年 1 月
中区桜木町
市所有
横浜市芸術文化振
興財団
BankART1929
東急東横線
旧桜木町駅
今後検討
―
クリエーター等立地促進助成制度
関内・関外地区の既存の民間建築物に新たに入居するクリエイター・アーティストに、事業所等の立
地に必要となる初期費用の一部を助成することで、都心部の活性化及び創造的産業の振興を図る。
○助成対象
・対象者
法人(株式会社等)又は個人事業者で 2 年以上主として別表(※1)に定める分野を主たる業務とし
て営む事業所等(NPO にあっては、指定の条件を満たし、別表に定める分野を主たる活動分野とし
て行う事業所等)を設置するクリエーター等であって、申請を行い、助成金交付を適当と認められ
たもの
3
第1章
創造界隈形成推進委員会の役割
2 創造界隈形成推進事業の概要―(2)各事業の概要
・平成 18 年度の申請条件
平成 18 年 4 月 1 日から 19 年 3 月 31 日までの間に、新たに対象区域[関内・関外地区の一部、別
図](※2)の既存の民間建築物に入居し、指定分野で主として営業(活動)する事業所等[本社、事
業所、スタジオ、アトリエ、研究所等(倉庫・保管場所、連絡員事務所、住居その他は除く)]に係
る賃貸借契約を締結し、事業所等を設置し、事業を開始したもの
※1 別表〈指定分野〉
分野
映像コンテンツ制作
デザイン制作
芸術活動
※2 別図〈平成 18 年度対象区域〉
具体的な事業例
アニメーション、コンピュータグラフィックス、
実写映像、ゲーム、WEB等制作
ビジュアルデザイン、グラフィックデザイン、建
築デザイン、WEBデザイン等制作
美術家、舞台芸術家、音楽家等
○助成内容
事業所等の立地に必要となる初期費用の一部として、賃借する事業所等の面積(住居用途部分等を
除く)に応じて、3.3 ㎡当たり 16,000 円(上限 100 万円)を助成する。ただし、助成金額の合計が予
算を上回る場合、助成金は予算の範囲内で按分、減額して交付する。
○助成実績
平成 17 年度:3 件、平成 18 年度:12 件
ウ
アーツ・コミッション
都心部へのアーティスト・クリエーター等の集積を図ることを目的として、アーティスト等に対する
相談・情報提供等の活動支援を行うアーツ・コミッションを設置する。
・海外とのアーティスト交流事業
アジアを中心とした各都市との交流を図ることを目的としてアーティスト・イン・レジデンス交流
事業(長期滞在による作品制作)を実施。平成 18 年度は、台北(台湾国際芸術村)との相互交流及
び北京からアーティストを招聘。
・芸術不動産
アーツ・コミッションの事業の一つとして、横浜都心部を対象に、空きオフィスや倉庫等の実際に
使える空間を調査するとともに、こうした物件についてオーナーとアーティスト等をコーディネー
トする「芸術不動産事業」の仕組みづくりを検討する。
4
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
1 事業評価に関する基本的な考え方
第2章 歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
1
事業評価に関する基本的な考え方
都心部歴史的建造物等活用事業において各拠点の運営団体が担っているのは、以前には類似する事業
や活動が行われていなかったところで新しい活動を生み出すことである。本委員会では事業評価にあた
って、既存文化施設の管理運営評価のような事業実施数や動員数などの細目の数値を検討する方法では
なく、この事業の特性を十分に踏まえた上で、目的に沿った活動や運営ができているか、創造界隈形成
に寄与しているか等を検討していく視点が必要であると考える。
ここでの事業評価は、点数をつけて良し悪しを判断するのが目的ではなく、どのようにしたらクリエ
イティブシティの実現や都市の活性化、芸術文化振興ができるのかを検討するのが目的であり、そのた
めに委員会としての意見を述べるという観点で評価に臨むものとする。
○評価を行う前に―施設の活用指針の確認
・ 今年度から運営が始まった施設については、評価を行う前に、横浜市の示した施設の活用指針
およびその基本構想であるクリエイティブシティ・ヨコハマ構想、ナショナルアートパーク構
想、各創造界隈形成の方針と、各拠点運営団体が設定し明文化されている事業・運営の基本方
針や達成目標との間に齟齬がないか、また、それが実態と合ったものになっているかを確認し、
本委員会、運営団体、市の三者で十分に共有する必要がある。
・ 基本的には、施設の活用指針、それに即して設定された方針・目標を踏まえ、方針に沿った事
業が行われたかどうか、目標に対して達成したこと等の検討を行う。ただし、市が提示した施
設の活用方針以外でも、運営団体の提案する事業や運営に特に評価できる点があれば言及する。
・ BankART 1929 Yokohama および BankART Studio NYK については、昨年度までの 2 年間の実験
事業に対する事業評価の中で、すでに共有化された事業・運営計画がたてられており、前年度
までの実績をふまえた目標として確認する。
○評価の視点(各拠点の展開)
・ BankART 桜荘、ZAIM、急な坂スタジオは、開館して 1 年未満の施設であるため管理面等につい
ての厳密な評価は難しく、今年度はネガティブチェックのみを行う。
・ 運営を開始してまもない団体に対する短期的な評価では、使命達成度を評価するのは難しい。
今年度の評価については、具体的に設定した目標に対する達成度に注目する。
・ 本事業の特性を踏まえ、各拠点の事業実施については実施数などの数に注目するのではなく、
事業の新しさ、使命と密接に結びついた事業かどうかを評価の基準とする。
・ 次の目標設定につなげていくために動向を把握することが評価の趣旨であり、そのためには、
「新たな創造がなされた」「今までの横浜市がやってきた文化政策の中にはなかったものが生
まれた」という波及効果や派生効果の部分について、重きを置いて考える必要がある。
・ 基本的に、各運営団体が行う自己評価を重視し、評価していく。
5
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
1 事業評価に関する基本的な考え方
○評価の視点(創造界隈)
・ 都心部歴史的建造物等活用事業の各拠点に対する具体的な評価と助言のみでは、創造界隈全体
を考える役割を見失ってしまいがちである。一つ一つの施設にとどまらない、全体の形成に関
わるような議論についても積極的に行うべきである。
・ 各施設の具体的な議論を進める中でも、施設間の関係性について討議すれば都市全体をどうす
るかという議論に発展するはずである。個々のネットワークをきちんと見ていくことで、広域
への展開につなげていけることが望ましい。
・ 地域との連携や波及効果といったことは、実質的には拠点だけではなくて行政の役割も重要で
ある。行政は拠点と地域を結び付けることを誘導していくべきであると考える。
・ 創造界隈の創造拠点は、全く性格の違う施設・組織があり、さまざまなジャンルの組織が、共
通のテーマを持って何かプロジェクトを考えて実行していくようなことができたら面白い。そ
の際には、各拠点が中心となり、行政がバックアップする形となるのが望ましい。行政と各拠
点の運営団体の協働を期待したい。
・ 各拠点運営団体も、他の施設・組織にはない拠点ならではの特徴(特色)、強みを明確にして
いくことで、界隈全体の活性化に寄与できる部分がある。
・ 各拠点の運営団体の協働で行われる事業については、その評価を、明確に責任を区分して行う
のは難しい。協働という関係の中で結果としてうどう連携がとれたか、対外的な効果はどうか
という点に着目し、また、運営団体の間にズレがあればその指摘を挙げる、という評価方法を
採る。
6
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開
2
各拠点における展開
委員会設置要綱に基づき、また前項の考え方に従って、各拠点における事業展開に対する評価を以下
の 4 点に整理した。
ア
活用指針と事業目標の確認
・市の掲げる各拠点施設の活用指針(およびその基本構想)と、各運営団体の掲げる事業目標の間
に齟齬がないかどうかの確認を行う。
・必要に応じて、活用指針および事業目標について、今年度の活動実態を踏まえた上での見直しを
行う。
・ただし、BankART 1929 Yokohama と BankART Studio NYK については、昨年度までの実験事業の成
果を踏まえた事業目標が設定されているため、その確認に留める。
イ
運営団体による自己評価(今年度の活動実績)
・今年度の活動実績と、それに対する運営団体による自己評価。
・今年度の活動実績についての主要な定量データ。
ウ
活動実績と自己評価を踏まえた今後の課題
・【総評】基本方針・運営目標に沿った適切な運営がなされているかどうかの確認を行う。
・【特に評価する点】
・【課題・問題点】
エ
来年度の運営・事業計画・評価手法についての助言
・来年度以降の運営・事業計画・評価手法(各団体の自己評価も含む)についての助言を行う。
7
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(1) BankART1929Yokohama, BankART Studio NYK
(1) BankART1929、BankART Studio NYK
ア
事業目標の確認
BankART1929 および Studio NYK については、昨年度(平成 17 年度)まで実験事業として運営が行われ
ており、今年度からの運営方針や事業展開についても、横浜市の設置する委員会において承認を得たも
のである。その内容は以下のとおりである。
施設の活用指針
※昨年度まで設置された委員会により「実験事業をふまえた今後の課題」としてまとめられている内容
[「委員会からの提言~18 年度以降の課題」
(平成 18 年 3 月、都市整備局)より抜粋]
1 市民参加型プログラムの構築
2 世界へ向けての情報発信
3 交流の場の更なる拡大
4 施設の立地や特性を活かした効果的活用
5 活動拠点の確保と創造的産業の誘導
6 さらなる効果的効率的運営と創造的産業の誘導
運営団体(BankART1929)の掲げる基本方針
運営方針(3 年計画)
① 経済的な自立
【組織変換】【協賛金・助成金の取得】【外部からの仕事の受注】
② 他都市及び国際的なネットワークの構築
【国際関係】【Web 情報発信の合理化と強化】【覚え書き BankART(季刊誌)の発刊】
③ 創造界隈プロジェクトのパイオニア的存在としての自覚
【NPO やその他の団体、チームとの連携】
【地域との連携】
【トリエンナーレとの強いリンク】
【拠点を街にひろげていくこと~レジデンススペースの確保とサテライト】【内水面への展開】
具体的な展開(新規展開)
BankART Info(BankART Club の設立)
BankART School(継続展開、インターンコース・昼間の学校の新規設立)
BankART Pub & Café(フードメニューの強化)
Café Lib(再構築)
Artist in Studio(アーティスト・イン・レジデンスへ)
BankART Shop(業務提携事業を展開、アートブックのフェアの定期開催、グッズの扱い)
BankART Contents(さらなる展開/出版、マルチプル作品のプロデュース)
主催事業(継続展開、ゲストキュレーターの登用)
コーディネート事業(館外でのコーディネート事業、商業レンタル事業の合理化)
8
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(1)BankART 1929 Yokohama, BankART Studio NYK
イ
今年度の活動実績と運営団体による自己評価
運営団体による自己評価
BankART 1929 は約二年の実験活用期間を経て、本年度から 3 年間、「経済的な自立」、「他都
市及び国際的なネットワークの構築」、「創造界隈プロジェクトのパイオニア的存在としての自
覚」の三つを指針として、本格事業へ歩み出した。今年度は 3 年計画の初年度にあたり、プレ
的・イントロダクション的な動きが多かったが、その概要を振り返ると以下のようにまとめら
れる。また、平成 19 年 4 月に NPO 法人の認証が受けられる予定。
□経済的な自立
・ベースメント事業の安定化と展開
・館外でのコーディネート事業の実施
BankART の屋台骨である、受付業務、ショップ、スクール、カフェ&パブ、スタジオ、コンテンツの各事業は、基
本的に路線は変更せず、その安定化、展開に努めた。マイナーチェンジを常に行い、軌道修正、活性化を試みた。
受付業務で新しく付加したのは、広く BankART をサポートして下さる人を募る BankART Club の発足。登録システム
立ち上げに、手間取ったが、現在は少しずつだが、会員数が増え始めている。
BankART スクールはアシスタント制を採用した。これまでもスクールは半額減免の記録係を置いていたが、今年は
より積極的に全額減免のスクールアシスタントを設けた。結果、まだこちらのハンドリングが十分とはいえなが、
記録はもちろんのこと、授業のアシスト、講師のアテンド、報告の一部を担ってもらうことができるようになり、
三十数名のスタッフ予備軍が育ち始めている。スクールで特筆すべきことは、自発的なアフタースクールミーティ
ングを通しての雑誌の自主出版。
(福住簾の美術批評ゼミ)BankART スクールの目的のひとつ、学生同士による活動
が発酵し始めている。BankART 側としても印刷費を補助する等、リスポンスしている。
BankART パブは、交流機能を高めるポジションとして基本的には安定した運営は継続している。しかし、日替わり
のアルバイトスタッフ体制になっていることが関係していると思われるが、全体的に客足が減り、それにともない
売上も伸び悩んでいる。懸案事項だった食事対応は、土曜日の野菜ソムリエによる ASAKO’S BAR が定番化し、ある
一定の成果をだせている。
BankART ショップは、アイテム数を増やし、2F売り場を拡大したことで充実したが、売上は伸び悩んでいる。また
予定していたブックフェアが今年度は諸事情で開催できず、話題性に欠けた。新しい動きとしては、オフニブロー
ルのデザイン部門、古本屋の新しいスタイル、ブックピックオーケストラをインショップとしてオープンしたこと
である。
アーティストインスタジオに関しては、今年は初めて公募制を敷いた。スタジオ入室することをとてもよろこんで
いただける作家と、逆に BankART の対応に不満を申し立てる作家も何人かいる。コンペの方法、主催者側の体制、
仕組みを再度検討しなければいけない時期にきている。
コンテンツ事業は、石山朔展カタログ、ARICA の DVD など、引き続き積極的に発行している。トータルで 21 アイテ
ム。外部販売に向けての積極的な努力が欠けていたのが反省点。
コーディネート事業は、3 年目をむかえ、安定した経営、運営の時期に入りたかったが、残念ながら、NYK の方の使
用が 3 月中旬まで決定できず、苦渋のスタートを強いられた。後半になって活発化し始め、最終的には順調に推移
したともいえるが、スケジュール的にも作業的にも後手後手になってしまった事は否めない。またもっと細かい調
整を行い、稼働率をあげる余地はあったと思う。スタッフの慣れにも起因するが、主催者側とのコミュニケーショ
ン不足でトラブルが生じたイベントがいくつかある。
「1,000 のオファーに対しても 1 対 1 で対応」、「入口は低く、
出口は少し高く」の基本理念に立ち戻り、活動を継続していきたい。
館外でのコーディネート事業であるが、実際に経済の動く仕事がいくつか派生してきた。URの自転車ラックのコ
ンペ事業の広報や審査員の推薦、一次審査の委員担当などの事務局業務の協力。本町ビル 45(シゴカイ)のプロジ
ェクトでは、コーディネートフィーの代わりに、金庫室を含む共用部の使用権を無償でいただいた。
(約 100 平米)
9
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(1) BankART1929Yokohama, BankART Studio NYK
その他関内の居酒屋/ギャラリー「山科」
(36.7℃デザイン)や慶応大学新設の大学院 DMC のロビー(小泉アトリエ
デザイン)のインテリアのコーディネート等々。
□他都市及び国際的なネットワークの構築
・大地の芸術祭 2006 参加作品「BankART 妻有」での活動
・「開港五都市モボモガを探せ!」の展開
・国際関係事業の増加
【他都市及び国際的なネットワークの構築】を意識した主催関連事業が多かった。例えば、新潟の大地の芸術祭 2006
の参加作品、
「BankART 妻有」のスタート。これはみかんぐみが担当してくれた BankART スクールの夏期合宿等など、
セミナーハウスとして企画したものだが、結果として、横浜市新潟市のサミット誘致事業とも連動した。芸術祭の
会場のひとつキナーレで行われた横浜市プレゼンテーションコーナーの構成、BankART 妻有にて泊まりでおこなっ
た、横浜・新潟親子交流プロジェクト。会期中、来訪者は延べ 1.7 万人を越えた(平均 350 人/日)
横濱モボモガを探せ!を展開した「開港五都市モボモガを探せ!」を、長崎での開港五都市会議参加をきっかけに
スタートさせた。新潟、神戸、長崎、函館の各都市に何人かのキーマンが生まれつつあり、今後の展開が期待でき
そうだ。
国際関係のプログラムも数多くあった。また海外の様々な機関からの視察、オファーも多かった。フランスの建築
家ドミニクペロー、ボルタンスキーの講演会。ヌーボーシルク、オブジェボランの紹介、オーストラリアからの YUMI
+MOIRA のダンスイベント、オフニブロールの北京+台北のアーティストを招いてのプログラム。大野一雄氏の生
誕 100 年を記念して開催される様々な海外公演の協力。また ISEA(国際電子芸術会議)等が開催されたアメリカのサ
ンノゼにおける横浜市、東京芸大と共同のプレゼンテーションにも参加した。横浜市と台北市が昨年から推進して
いる交流事業だが、今年度も渡台北する日本人アーティストの公募事業、台北からのアーティスト賴 珮瑜氏の滞在
と発表のコーディネート等を担当した。まだまだ小規模のものが多いが、国際関係事業は確実に増えてきている。
□創造界隈プロジェクトのパイオニア的存在としての自覚
・北仲アフターへの寄与[本町ビル 45(シゴカイ)へ、BankART 本体・周辺へ]
・BankART 桜荘との連動
・「緑陰銀行」(松本秋則氏によるインスタレーション)、
「石山朔大回顧展」等の企画・実施
【創造界隈プロジェクトのパイオニア的存在としての自覚】に対応する動きで、最も重要なものは、本町ビル 45(シ
ゴカイ)のスタートであろう。北仲アフターのクリエイター達に対する場所の提供は ZAIM でも一部成されたが、こ
のプログラムでは、建築系の優秀な人たちを横浜拠点に留めることに寄与することができたと思う。また BankART
金庫室もオープンした。その他、拠点の定まらなかった作家やチームも様々な形態で、BankART 本体、周辺に誘致
した。丸山純子、高橋永二郎は NYK の小部屋、サンディ・フラスタジオは 1929 スペース(土日)
、深沢アート研究
所も 1929 スペース(木金)
、ブックピックオーケストラ、ニブロールコレクションは Yokohama の 3F、EV ホールで
の店舗化。また BankART 桜荘の事業に参画したことも重要なターニングポイントだろう。BankART ゾーンとは少し
離れている初黄・日の出町地区だからこそ、BankART 本体との連動性をテーマとすることで、より広がりのある創
造界隈形成展開が図られる可能性がある。
その他、街への展開ということでは、回遊型の映像イベント「EIZONE」の企画段階での参画、
「EIZONE@BankART」と
しての実際の参加。
「Restaurant1929〜食と現代美術 part3」における街の顔のレストラン主人等を招いてのトーク
&食事のイベントの開催。また連日 60 食のランチタイムバイキングを開催する等、地域に門戸を広げた。街への展
開の事業の集大成として、
「Landmark Project 2」では横浜にとってターニングポイントにあたる事業やプロジェク
トを顕在化、推進し、ネットワークする試みを行った。
最後に、界隈形成のパイオニアという位置づけに入るかどうかわからないが、昨年夏、静かなブームになった、松
本秋則氏の竹のインスタレーション「緑陰銀行」
。無料で 1929 ホールを開放し、束の間の緑陰を多くの人々に楽し
んでいただいた。また 86 才の横浜在住の作家、石山朔の大回顧展を企画したことは横浜ローカルの問題を越えて、
様々な可能性を示せたのではないだろうか。
10
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(1)BankART 1929 Yokohama, BankART Studio NYK
地域との関係構築など、まだまだ不十分な領域もあるが、上記のように三つの指針を基に、
街から知恵や力をもらい、運営団体自身も発信し続けてきたと思う。来年度は第二段階。今年
度の反省を踏まえて計画をたてたい。
主な定量データ(2007 年 3 月末現在)
主催イベント総数
55 本
コーディネートイベント総数
350 本
BankART ショップ売上
670 万
BankART カフェ+パブ売上
1,170 万
スタジオ入居数
51 チーム
スクール学生数(開催数)
450 人(31 ゼミ)
入場者数
約 7.1 万
視察件数
80 件
プレス掲載数
150 件
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(1) BankART1929Yokohama, BankART Studio NYK
ウ
活動実績と自己評価をふまえた評価と今後の課題
【総評】
・実験事業の実績を生かし、かつ運営方針に沿った適切な事業・運営がなされている。
・昨年度までの実験事業から今年度にかけて、BankART studio NYK の使用の継続が決まらず企画立案
ができないという問題があったにも関わらず、運営団体としては期待以上の成果を上げている。
・実験事業開始当初に比べ、地元に浸透してきている。
【特に評価する点】
○他都市及び国際的なネットワークの構築
・国際的なネットワークや創造都市間ネットワークを構築してきたことが、世界的に見ても大変高く
評価されてきている。
○創造界隈プロジェクトのパイオニア的存在としての自覚
・創造界隈プロジェクトのパイオニア的存在として、BankART という施設にとどまることなく、『北仲
BRICK & 北仲 WHITE』の受け皿施設『本町ビル 45(シゴカイ)』のコーディネートなど、街の中へ出
ていったことは今期の実績として評価できる。
【課題・問題点】
□事業の継続性への対処
・BankART studio NYK について、これまで施設使用の契約が単年度だった為、長期的な事業計画の立
案が困難であり大きな課題であった。特に昨年度は建物の使用の決定が遅れ、事業の立ち上がりが
約半年間遅れた。今後は事業の継続性を保つための支障がないよう、対処については出来る限り留
意されたい。
□市内の文化施設・文化事業とのコミュニケーションの不足
・他の拠点に先駆けて実験事業を行ってきた BankART から浮かび上がる市全体の課題として、市内の
ネットワークが少ないことが挙げられる。ZAIM や急な坂スタジオ等既存文化を含め、今後生じるで
あろう各種文化施設や文化事業とのコミュニケーションの場の整備が必要である。
□建物外観の見せ方について
・BankART 1929 Yokohama、BankART Studio NYK ともに外部へのアピールがもう一工夫欲しい。前者は、
イベント開催時に外から垣間見える雰囲気はよいが、通常は重厚なビルの外観からは活動内容が伝
わらない。後者も海側から見ると、それなりの雰囲気や風情があるが。歴史的建造物の外観に大き
く手を入れることは難しいが、何らかの方法はあると思うので、積極的に検討して欲しい。
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(1)BankART 1929 Yokohama, BankART Studio NYK
エ
来年度の運営・事業についての助言
○地元との結びつきについて
・これまでの 2 年間限定の実験事業という位置づけであり、期間限定のプロジェクトでは地元と付き
合い、つながりを作るのは困難であることは明らかだった。そういった意味では今年度からが本当
の評価の始まりとなる。
・
「産業やまちづくりへの展開」
「創造“界隈”」を考えると、地元との結びつきは軽視できない。もっ
と一般の方に分ってもらうように事業面、広報面での工夫が必要。アートがものづくりと結びつく
と一般の方に分りやすくなると思うので、そういった工夫をして欲しい。
○市との連携について
・BankART Studio NYK のある港湾のエリアは、かつては運輸のために公共的であった場所だが、これ
からは市民のための公共空間として重要になってくる。そういった場所をどのように確保し、利用
していくか、非常に重要な問題として市も運営団体も意識してほしい。
○経済的な自立という目標について
・重要なのは、経済的な自立の達成ではなく、ここで何が実現されていくかということ。内容の充実
を図って欲しい。
・完全に経済的に独立した経営を目指すのでなければ、具体的な数値目標を立て、それを市と共有す
ることが大切。
・サポーターの仕組み(BankART Club)を構築しているが、それを促進することも経済的な自立への
一助になると思う。
○来年度の事業計画について
・大きな催し物については BankART の定番といったものが出来てきてよい。このままの方向で事業を
進めて欲しい。
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(2)BankART 桜荘
(2) BankART 桜荘
ア
活用指針と事業目標の確認
横浜市の掲げる活用指針(運営団体公募要綱より)
文化芸術を活用し、まちのにぎわいの創出やアーティストが活動しやすい環境づく
り等をめざす。
(1) まちのにぎわいの創出
(2) アーティストが活動しやすい環境づくり
(3) まちの特色の打ち出し
(4) 地域と一体になったまちづくりの推進
運営団体(BankART1929)の掲げる基本方針
会話する生きられた家へ―ふたつの日常の挿入
①
建物の地域への開放と協働
②
アーティストがまちに住む
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(2)BankART 桜荘
イ
今年度の活動実績と運営団体による自己評価
桜荘基本情報
初黄・日ノ出地区のまちづくり活動のひとつとして、かつての飲食店を改修し、文化芸術拠点へと転換。改修
設計施工は、みかんぐみの曽我部昌史氏が率いる神奈川大学建築学科が担当。1F はガラス張りの開放的な座敷と
光天井、2F はコンパクトな居住空間、桜色の階段等、小粒ながらキュートな表情を見せている。建物の地域への
開放と協働をテーマとし、1F は昼間は常にオープンにし、誰もが立ち寄れる空間に、2F はアーティストの居住空
間として活用。毎週金曜日の「これからどうする?」というミーティング、地域の要人を招いての「桜荘夜話」、
「桜荘ニュース」の発行等、スローペースだが、この地域の財産を活かすとともに外からの視点も取り入れ、活
性化していく活動を行っている。
運営団体による自己評価
2006 年 6 月末にオープンしたばかりの BankART 桜荘のあるこの界隈も、春の訪れとともににぎやかになってき
た。この 4 月には、橋、船着き場、遊歩道の一部、大きなマンションが一挙にオープンする。横浜市大、黄金町
プロジェクトも近々、居を構える。にわか建築ラッシュだ。一方、BankART 桜荘では、淺井裕介、賴 珮瑜はじめ、
おっとりとした性格のアーティストが、いいリズムで制作や生活をしてくれている。彼らを訪ねる友人や有識人
も徐々に増えてきており、2 月 22 日には、神奈川大学曽我部研究室や鍋会などで 100 人以上もの来客があった。
新聞やテレビ番組でも、桜プロジェクトや淺井氏が特集されるなど、ざわざわしてきた。でも BankART 桜荘は、
当初の計画通りゆっくりやっていきたいと思う。
『桜荘夜話』や『これからどうする?』をベースに日常を取り戻
し、今後も街とあせることなく、おつきあいしていきたいと考えている。
主な定量データ(2007 年 3 月末現在)
主な滞在アーティスト
ヤング荘
2006 年 9 月 15 日~12 月 31 日
淺井裕介
2007 年 1 月 1 日~3 月 31 日
(予定)
その他の宿泊
※台北市横浜市アーティスト交
流事業
※BankART スクール
「ヨゼフ・ボイス」講師
※BankART スクール
「ヨゼフ・ボイス」講師
※BankART1929 主催展
「食と現代美術 part3」
打ち合わせほか
賴 珮瑜(台北)
2007 年 1 月 15 日〜3 月 31 日
山本和弘
(栃木県立美術館)
白川昌生
(美術家)
柳 幸典
(現代美術家)
2006 年 10 月 5 日
前田真理
(パフォーマンス)
12 月 14~16 日、18 日
※主催公演 ARICA「KIOSK」出演
武藤 勇
2007 年 2 月 1 日~5 日ほか
ティファニー・チュ
ン(アメリカ)
2 月 2~4 日、6~12 日
※イベント「SHOW CASE」開催の
ため
※「Happy Hours」出品のため
会場:ZAIM
10 月 12 日
10 月 12 日
その他多数
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(2)BankART 桜荘
主なイベント
桜プロジェクト
淺井裕介
Landmark Project 2 と桜プロジェクトの文脈で天井画を作成
これからどうする?
29 回まで開催
桜荘夜話
BankART メンバーと地域の人とゲストとで毎回約 5〜7 人出席
桜荘夜話 1
毎週金曜日の 3 時〜5 時
小林光政(小林紙工)
2006 年 9 月 7 日
桜荘夜話 2
金子敏夫(協議会)
2006 年 11 月 25 日
桜荘夜話 3
服部三郎「高架下のこれまでと
これから」3 月 4 日(日)
協力事業
みさきの朝市(まぐろ販売)
2006 年 12 月 13 日
ひなまつり人形展
2007 年 3 月 1 日〜3 日
初黄・日の出協議会のホームページヘッダー作成
写真展(桜まつり)
3.31+4.1
その他多数(場所の提供)
その他
視察
市長、他
2006 年 10 月 19 日
印刷物
桜荘ニュース
1 号〜4 号
プレス
朝日新聞
2006 年 12 月 18 日
神奈川新聞
2007 年 1 月 9 日
読売新聞
2007 年 1 月 24 日
J-WAVE「ランデヴー」
2007 年 1 月 16 日
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(2)BankART 桜荘
ウ
活動実績と自己評価をふまえた評価と今後の課題
【総評】
・運営開始から間もないが、目標に沿った方向で適切な事業が推進されている。特に地元との連携が重
要な施設なので、慎重に配慮しながら事業を進めていく必要がある。
【特に評価する点】
・改修を市の経費でなく運営団体の負担により実施した点は大きく評価できる。また、街の状況と鑑み、
外観を変えたという意味でも、アーティストを場所に引き付けるためのインフラ整備の重要さという
意味でも上手くいっており、非常に高く評価できる。
・地域での協力者が増加しており、今後とも地域のイベントへの参加などを続けていくことが望まれる。
【課題・問題点】
・一施設ではなく面的な展開が大切な地域である。桜荘が成功したら、それをビジネスモデルとして、
横浜市がこのような事業をサポートするシステムを作ることが期待される。横浜市が全庁的に取り組
んでいく初黄・日ノ出町のプロジェクトにも期待したい。
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(2)BankART 桜荘
エ
来年度の運営・事業についての助言
○インフラ整備の重要性
・アーティスト、アート NPO 等、最もアイデアを持っている人材(組織)を、どうやってその場所に引
っ張っていくか、どう横浜に繋ぎとめるかがこの拠点においては重要。改修経費がかかるが、インフ
ラ的なことはアーティスト達にはできないので、作っていく必要がある。
○宿泊利用における配慮
・将来的には地域の環境や雰囲気も変わっていくと考えられるが、未だ問題の多い地域ではあるため、
初年度ということも念頭に、特に女性の宿泊に際しては慎重な配慮を希望する。
○他のプロジェクトとの連携の推進
・横浜市立大学で行っている、市民との安全安心のまちづくり等のプロジェクトとも連携が期待される。
・横浜市には地域全体でのプロジェクトとして力を入れていくことが望まれる。高架下のプロジェクト
や、今後設置される拠点との関係も視野に入れて事業計画を進めて頂きたい。
○来年度の事業計画について
・地域との関係をうまく築く必要がある拠点である。現在はまだ、場所や周囲をよく知るためのリーデ
ィング中であり、桜プロジェクト、ランドマークプロジェクトの結果を見て今後を検討していくため、
具体的な計画は未提出だが、十分に考慮の上、事業を推進して欲しい。
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
(3) ZAIM
ア
活用指針と事業目標の確認
横浜市の掲げる活用指針(「ZAIM 活用に関する横浜市の基本方針について」より)
トリエンナーレステーションとして市民に横浜トリエンナーレの足跡を紹介するとともに、現代美
術を始めとする芸術文化に関心を持ち、自主的に様々な活動を行う市民団体、企業等を増やし、そ
のネットワークを形成する。
その結果、次回横浜トリエンナーレ開催に向け、地元横浜市の機運を高め、合わせて横浜市の進め
る「創造界隈」形成に寄与する。
(1) トリエンナーレ次回展に向けた新たな芸術文化・創造発信
(2) アーティスト・クリエーターの創造拠点
(3) 市民がアートと交流できる場所
(4) 地域と一体になったまちづくりの推進
運営団体(横浜市芸術文化振興財団)の掲げる運営目標
① 横浜トリエンナーレ、現代美術を始めとする芸術文化に理解と関心を持つ市民の増加
② 文化団体やアーティストのネットワークが拡大する中から、新たな芸術文化活動が市内のあち
こちで誕生
③
利用者同士の共同制作によるジャンル横断的な企画など、実験的で斬新な活動が生まれ ZAIM
の独自性を発信
④ BankART の活動などとの相乗効果により、「創造界隈」の形成を促進
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
イ
今年度の活動実績と運営団体による自己評価
運営団体による自己評価
事業実施
(1) 基本方針/事業展開
初年度である 18 年度は、以下の目的を柱として、事業計画を組んだ。
①
ZAIM の存在を周知、アピールする
②
施設の使い方を例示する
③
ZAIM の運営目的に沿い、
ア
イ
ウ
④
新進アーティストの発掘・育成につなげる
独創的な新しい芸術を創造する
市民サポーターの活動を促進する
ZAIM をアトリエやオフィスとして継続的に利用する団体を募集し、ZAIM を拠点
とする創造活動、市民活動を支援する
⑤ 財団や横浜市の他の事業と連携する
(2) 主な実施事業
①ZAIM の存在周知、アピール
全館を使うフェスティバル型事業として、「オープニングフェスティバル」(4~5 月)「YOKOHAMA
EIZONE」
(7 月)
、「ZAIM de FESTA」
(3 月)を開催した。
また、外壁を装飾する「December Decoration」、建物のライトアップなどで、道行く人々の目を楽
しませ、建物の存在をアピールした。
情報発信として、特にホームページの内容充実にも力を注いだ。
②施設の使い方の例示
美術・音楽・映像・ダンスなど異ジャンルの複合・融合イベントとして、毎月 1 回「ZAIM マンスリ
ーアートフェスタ」を開催した。
③ZAIM の運営目的に合致する
ア 新進アーティストの発掘・育成
国内外の新進作家を紹介する企画展「BOUNDARY」
「HAPPY HOURS」を実施した。
また若手が参加する様々な企画提案を受け、協力事業として支援を行った。
イ 新しい芸術の創造
「ZAIM マンスリーアートフェスタ」の中で、68 チャンネル・マルチサウンドのインスタレーショ
ンを、世界初の試みとして実施した。
ウ 市民サポーターの活動促進
「ZAIM サポーターズスクール」を毎月 1 回継続的に開催した。
④ZAIM をアトリエやオフィスとして継続的に利用する団体を募集し、
ZAIM を拠点とする創造活動、市民活動を支援する
公募・選考を経て、25 組の個人・団体が入居し、活動を開始した。上記①~③の多くの企画に入居団
体が積極的に関与し、各団体の専門性やネットワークを活用した。
(参考資料「ZAIM の施設運営状況に関するアンケート調査報告書」参照)
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
⑤財団や横浜市の他の事業との連携
「YOKOHAMA EIZONE」「横濱ジャズプロムナード」「横浜学生映画祭」「創造都市交流事業」などで連
携した。また、横浜美術館・横浜市民ギャラリーと連携し、作家の滞在制作を支援した。
(3) 事業目的の達成度
事業数・事業内容としては、一部実施形態を変更したものもあるが、年度当初に計画した
事業のほとんどを実施することができた。
運営団体としては、ZAIM の運営目的に対する達成状況を、次のように考えている。
ア アーティスト・クリエーターの創造活動支援と世界に羽ばたくチャンスの提供
入居団体として、また様々な企画に出品・出演することによって、数多くの新進アーティストに
制作・発表の機会を提供することができた。
イ 創造活動を支える市民の自主的活動を広げ、交流を深める
入居団体の中に、市民活動団体も選ばれ、日常的・継続的な活動の場を確保することができた。
ウ ZAIM の空間を生かした実験的で独創的な企画の国内外への発信
数は多くないが、ZAIM の室内だけでなく、中庭や外観も活かした企画に取り組んだ。
エ 創造的産業が集積する「創造界隈」の形成と街の活性化への寄与
首都圏のアーティストやクリエーターで、横浜市の取り組みに注目する人たちが確実に増えて来
ており、ZAIM にも頻繁に見学者や訪門者があった。
(4) 運営団体による事業の自己評価
初年度の限られた時間の中で、量の面ではかなり目標に近付けたのではないかと思うが、
質の面ではまだまだ不十分であったと考える。
課題としては、
・
・
・
・
国内外のアートセンターとネットワークを結び、情報交換や人的交流を活発にする
新進アーティストの支援につながる各種制度や助成機関などに関する情報を収集し、提供でき
る体制にする
これらを通して、アーティストが市外、海外に出て行く機会を増やす
入居団体同士の交流をさらに深め、共同・連携した ZAIM 独自の活動を支援する
・ 横浜トリエンナーレ 2008 の開催前年を盛り上げるため、市民サイドの活動をさらに促進する仕
掛けをする
などを次年度の重点目標にする必要がある。
運営
(1) 施設運営
・ アーティストに自由な創造環境を提供するため、利用規則や利用条件を柔軟に設定・
運営した。年中無休で 24 時間の利用に対応し、壁や天井に直接絵を描く、外壁を装飾
する、屋上や路上も活用するなど、他施設では困難な活動も可能とした。
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
・ 施設利用を促進するため、様々なルートを通じて施設PRを図った。特に 1~3 月は今
後の施設利用の活性化につなげるため、アーティストやクリエーターの卵である美大
等の卒業制作展の開催に協力した。
・ この結果、年間利用者総数は、約 28,000 名に上る見込みである。
・ 継続的に活動する団体の入居に当たっては、必要に応じて間仕切りを設けるなど部屋
の改装を行い、環境整備に努めた。
・ 入居団体の連絡会議を定例開催し、団体同士の情報交換と交流を図った。
(2) 施設管理
・ 法定点検を始めとする各種点検、検査等を確実に行い、施設・設備の安全性と適切な
環境衛生水準を保った。
・ 施設の経年劣化に伴う各種の小破修繕に対応し、また利用者の使い勝手の向上を図る
改善も可能な限り対応した。
(3) 運営組織
・ 財団開発事業グループが所管し、事業・管理の統括と日常の庶務経理事務に当たった。
・ 運営現場は 4 名のアルバイトスタッフを早番 2 名・遅番 1 名(夜間イベントがあると
きは遅番も 2 名)のローテーション勤務で配置した。
(4) 収支予算
当初予算に比べ、施設利用料収入が伸びた。一方、修繕等で管理経費も増加し、収支差
額は 0 の見込みとなっている。
〈決算見込概算〉
収入
支出
利用料・事業収入
決算見込
9,000
13,000
市補助金等
29,000
29,000
合
38,000
42,000
人件費
10,000
9,500
事業費
12,000
12,000
管理費
16,000
20,500
38,000
42,000
合
その他
予算
計
計
日本大通り活性化委員会に入会し、オープンカフェやイルミネーション事業に参加、通
り全体の活性化に協力した。
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
主な定量データ(2007 年 3 月末現在)
年間利用者総数
約 43,000 名(別館利用者+本館入居団体関係者+カフェ来店者)
主催・共催及び協力事業数
合計 44 事業
参加者数(入場者・受講者)
合計 6,800 名
施設利用状況
利用内容
発表系
制作系
延べ件数
入場・利用者数
作品展示
20 件
8,890 人
ライブ・コンサート
14 件
1,600 人
舞台公演
7件
520 人
映画上映
16 件
890 人
講演会・交流パーティ等
21 件
980 人
複合イベント
10 件
8,950 人
作品制作
31 件
2,655 人
映像ロケ
54 件
1,650 人
26 件
1,560 人
ワークショップ
別館利用状況
利用申請数
309 件
1F ホール利用日数
134 日(利用可能日数 220 日、利用率 61%)
延べ利用施設数
延べ利用人数
3,328 件
28,610 人
広報実績
新聞
9件
(ZAIM 及び
冊子
11 件
入居団体)
テレビ放送
広報実績
(ZAIM)
6件
ウェブ
ヨコハマ経済新聞ほか多数
ホームページ閲覧数
6 月からの訪問者実数
合計 41,000 名(1 日平均 150 名)
総ページビュー
累計 313,000 件(1 日平均 1,110 件)
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
ウ
活動実績と自己評価をふまえた評価と今後の課題
【総評】
・ 開館して半年ではあるが、全体としては、活用指針にそった運営がなされている。
・ トリエンナーレ次回展のディレクターが決定していない状況の中で運営が開始されたことも
あり、トリエンナーレ関係の事業については十分な着手ができたとは言い難い。
・ また、現在明文化されている施設の活用指針に関しては見直しが必要ではないか。トリエンナ
ーレステーションであるという位置づけに付加して、入居団体の方たちの実際の活動とも整合
性のある創造界隈形成のための指針、運営目標を明確に整理し、実態に沿ったものとされたい。
【特に評価する点】
□入居団体選考
・ 入居者公募・選考の際に、アーティスト・クリエーターの創造拠点として活用するため、どの
ような人に来て欲しいかを明確に打ち出し、協働が期待でき多分野にわたる団体の選考が行わ
れた。
□広報(評価する点)
・ ウェブは英語ページや動画配信も充実していて工夫を感じる。さらなるアピールを期待する。
・ ZAIM そのものの報道記事は少ないが、ネット等において ZAIM という名前がイベント等の会場
として目につくようになってきている。運営団体と入居団体の活動の成果が露出度にも反映さ
れていると感じる。
□創造拠点としての事業運営(評価する点)
・ 個々の入居団体の活動状況や ZAIM での目標の達成度が施設の運営の評価に重なってくる。そ
の意味でアンケート調査を実施したのはよかった。
・ アンケートの結果を見ても、入居団体の自身の活動についての満足度及び ZAIM のスタッフの
対応などについての満足度が高く、良いと思う。
□トリエンナーレアーカイブ
・ トリエンナーレアーカイブについて、自由な閲覧ができるものと、長期的な収蔵資料となるも
のを、美術館と ZAIM で仕分けをすることはよい。美術館との密な連動を期待する。
□ZAIM de Festa
・ 全館フェスティバルの企画は、プロモーションにおいても統一感が生まれ、入居団体の意識に
も協働の意識が生まれると思うので、来年度もこのような努力は続けてほしい。
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第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
【課題・問題点】
□トリエンナーレステーションという位置づけと入居団体の関係
・ トリエンナーレステーションとしての活用指針が明文化されている以上は、トリエンナーレと
ZAIM の入居団体との関わりがより議論されるべきである。入居団体とも、施設活用指針、ナ
ショナルアートパーク構想、トリエンナーレの計画等、共有化していく必要がある。
□創造拠点としての事業運営(課題・問題点)
・ ほとんど ZAIM に来ない入居団体があることは問題として考えなくてはいけない。
・ アンケートでは、個々人のコミュニケーションやつながりは十分に出来ているという回答の一
方で、月例会の満足度が低いなど、二極化している。個人としてのつながりは生まれてきてい
るものの、団体として何かやるには至っていないという状況ではないか。
□施設としての一貫したイメージづくりの不足
・ 入居者は個々の団体でも、ZAIM としての統一したイメージをつくることも大切。入居してい
るアーティストやデザイナーにも声をかけて、サイン計画なども含めて、一貫したイメージを
作ってほしい。
□広報(課題・問題点)
・ ZAIM として出す印刷物などは、デザイン性の高い、クリエイティブなイメージを打ち出すも
のにして欲しい。
・ 個別の展覧会やイベント等の広報実績を増やすだけではなく、ZAIM という施設としての広報
実績を増やすことも意識して考える必要がある。
・ 新聞や雑誌等に取り上げられた実績のうち、アート系専門の媒体がない。創造拠点としての評
価を考えると、やはりプロフェッショナルな人たちからも評価されることが必要。
□外観の見せ方について
・ ZAIM は窓の位置が高いため、街を歩く人から内部の活動が見えにくいという問題点がある。
また、通りに面して常にシャッターが閉まっている部分もあり、悪い印象を与える。一般の人
の目に多く触れる部分を、何らかの形でプレゼンテーションの場として利用することを検討し
てほしい。建物のファサードからアピールを行うことは、区役所の隣という立地も含め、市民
に対して市がこういうことをやっているというアピールにもつながる。
□運営団体の決定について(横浜市に対しての意見)
・ 市は、ZAIM の運営を横浜市芸術文化振興財団に任せることとした経緯を説明すべき。公的施
設なのでパブリックであることは必須であり、透明性・公平性のあるポリシーが公開されてい
る必要がある。
25
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
エ
来年度の運営・事業についての助言
○施設の活用指針・運営目標について
・ 活用指針の見直しが望ましい。ナショナルアートパーク構想の戦略的目標を考えれば「世界水
準の文化芸術活動の創造と発信を行う」べき施設であるが、活用指針や運営目標には、トリエ
ンナーレステーションという位置づけ、にぎわいの創出など「文化の裾野を広げる事業を行う」
という印象を受けるような内容が書かれており、基本構想との差異を感じる。
○利用の年限延長に伴う見直し事項について
・ 運営期間が、開館当初の 1 年半の予定から 3 年間になることについては了承。
・ 運営期間の延長に伴い、期待される事業内容も、評価軸も変わる。評価については中長期が重
要であることもふまえ、時間と段階的な達成目標の中で、評価の軸(目標達成度)を再検討す
る必要がある。
・ 3 年あれば基盤形成をすることは可能になる。活用指針の見直しも含め、創造拠点としての意
味づけを強化されたい。
・ 使用年限については、出来るだけ早く次のステップを明確にすべきである。日本大通りという
横浜でも重要拠点に位置しており、建物的にも歴史的価値がある。活用事業として永続性を持
たせることも可能な限り検討していただきたい。
○事業と運営、全般について
・ 事業計画では多数の事業が予定されているが、数を絞り込むことで、印象に残る事業を実施し
たり、事業費を人材に回したりすることも検討されたい。事業は利用期限の中で、徐々に大き
くしていけばよいし、イベントを多く実施するより運営団体内部の充実も大切。
・ 運営面での人員拡充を検討されたい。マネージメントは、物の管理やコントロールもあるが、
まずは人が大切。人が育てば、その人材を通して広報、ネットワークの広がりが生まれること
もある。
・ 限られた人材のなかで疲弊をおこさないよう、運営団体だけでなく行政が一緒に考えていかな
いと、達成目標が達成できないままに終わってしまう。市財産の施設なので、経費は出来うる
限り低廉で抑える努力をすべきではあるが、3 年という期間が保障されるならば、まずはきち
んとした運営体制と、それに見合ったミッションを設定していかないと評価も何もできない。
・ フェスティバル事業について、ZAIM ということを表に出すということはよいが、具体的にど
んなコンセプトかということが事業計画書からはわかりにくいので、具体的に提示してほしい。
○運営状況(人的不足・事業計画の見直し)について
・ 市民団体の協働では質の維持が困難。そこを運営団体がどう担保していくか考えるべき。
・ クリエイティブなものを創るには戦略が必要で、人や団体を育成するには相当の労力も必要。
育て活力につなげる為の戦略を考え、どう実行するかを考えなくてはいけない。
26
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
・ アート団体の疲弊の問題がよく指摘されるが、アートは長い目で見て楽しくやっていかないと
辛くなってしまう。人員を増やすことで解決されるのならば、財団職員という形にこだわらず、
市の経費負担という形になっても ZAIM の運営を専門的に考えていける人を雇いサポートして
いくべき。運営団体の負担の軽減も考えていかなくてはいけない。アルバイトやインターンの
導入も検討されてはどうか。
○利用団体、入居団体について
・ 自己評価をふまえ入居団体についても見直しをすることが必要。その結果、必要があれば、全
体のバランスを崩さない範囲で再公募し、入ってほしい方に声をかけるのがよい。
・ 再公募する際には、専門分野での利用に対して「どういう人に活用して欲しいか」効果のポイ
ントを設け目標を想定することが大事。近現代建築物としての保存活用という意味では建築関
係の方も必要だと思う。
・ 有期限のプロジェクトであるので、入居団体・アーティストが今後とも横浜に何らかの形で関
わっていく仕組みをつくる必要がある。市の芸術不動産事業とうまく連携してほしい。
・ 誰でもが平等に利用できる施設ではなく、運営団体が意図を持ち、その主旨にあった活動をコ
ーディネートしていく施設にしていかれたい。
○一貫したイメージづくりについて
・ ZAIM として「こうなっていたい」という、事業終了予定時の目標の姿をはっきりさせ、特色
やカラーを打ち出すことで、入居者とそれを共有し、それを達成していくことが重要である。
・ 月例会等で話し合い、デザイン的にも優れた共通の 1 枚チラシのようなもの作成してはどうか。
ZAIM の概要、入居団体、活動内容、今後の活動等をまとめ、入居団体が外で活動するときに
も必ずはさみ込めるようなものがあれば、入居団体同士のコミュニケーションの問題と広報の
問題を解消し、より ZAIM らしさを生み出せるかもしれない。
○広報活動について
・ ZAIM という施設としての広報実績を増やしたいという意識、ZAIM を紹介するという戦略があ
るならば、プレスリリースを作りこみ、通信社や専門誌を含めいろいろな媒体に売り込んでい
かなくてはならない。どういう媒体に何を載せてほしいのか戦略を持つことが必要。
・ 入居しているアーティストや専門家に広報を見てもらう、書いてもらうこともよい。運営団体
一者で負うのではなく、みんなで負っていける体制にしなくてはいけない。
○映画等の撮影のロケーション利用について
・ テレビや映画の撮影では建物全体を使えば一日数十万円の収入が見込めるはずなので、収入と
する方法は検討していくべき。財団としても、他の運営施設とは違うという認識を持ってほし
い。財団の定款に触れない範囲で、非営利目的、コマーシャルユース等ある種の根拠を示した
ランクを整理して稼いだらよいと思う。
27
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(3)ZAIM
○カフェについて
・ 採算も考えなければいけないが、他とは違う役割をもったカフェとして、何のためのカフェか
ということを見直し、実験的なイベントと組み合わせて使うなどを考えてほしい。ここに来れ
ばアーティストや面白い人に出会えるといったことも大切。入居者にも声をかけて企画を考え
るとよいと思う。
・ ZAIM のカフェは、施設にとって重要なプレゼンテーション空間であり、一般の人にとっては
ここに入ったら ZAIM のアクティビティがわかるというインフォメーションセンターである。
そういう認識で、重要なメッセージが出せるように考えてほしい。都市の隙間にこんなことが
出来ているという面白さが、うまく説明できるものになるとよい。
・ コモンカフェのシステムを導入する等、カフェの運営形態も含めて再考頂きたい。
○事業報告書の運営団体の自己評価について
・ 実施事業について、自主事業、支援事業の別を明確にしておかないと、事業評価も行いづらい。
・ 事業報告書の運営団体の自己評価には、施設としての設定目標に対する満足度だけでなく、
ZAIM を運営してみてどんなよい事があったか、期待通りにいかなかった点は何かなど、運営
団体である財団にとっての満足度や目標達成度ということも記載し、率直に横浜市と話し合う
ことが期待される。企業メセナにおける、企業の 3 点評価(社会にとって、芸術にとって、自
分たち企業にとってどういう意味があり、満足できたかを検証する)等の手法も参考に出来る
だろう。
○来年度の事業計画について
・ 運営期間が延長され、それに伴う運営組織の見直しも含め、2009 年 12 月まで、事業計画につ
いてはこの方向で進めていってほしい。
28
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
(4) 急な坂スタジオ
ア
活用指針と事業目標の確認
横浜市の掲げる活用指針(運営団体公募要綱より)
結婚式場として役割を終えた施設を転用し、舞台芸術を中心とした幅広い芸術活動の創造拠点、ま
た地域とアーティストが交流する拠点として再生、活用する。
さらに舞台芸術を中心とした創造・育成機能の強化により、桜木町・野毛エリアを文化芸術により
地域の活性化、にぎわいづくりに繋げ、創造界隈形成を図る。
(1) 舞台芸術を中心とした幅広い文化芸術の拠点
(2) 地域とアーティストが交流する拠点
運営団体(アートネットワーク・ジャパンと ST スポット)の掲げる基本方針
4 つの基本方針(6 つの事業展開)
① アーティストが明確な「目標」を持てる街、横浜の実現
(稽古場運営事業、レジデント・アーティスト事業、クリエイティブシティ・ネットワーク事業)
② 「桜木町・野毛創造界隈」の形成に向けた行政・NPO・アーティストの協同
(プラットフォーム事業、市民アートコミュニティ活性化事業)
③ 舞台芸術のプロフェッショナルの養成と人材集積
(舞台芸術プロフェッショナル人材育成事業)
④ 舞台芸術を支える成熟した市民社会の実現
(プラットフォーム事業、市民アートコミュニティ活性化事業)
29
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
イ
今年度の活動実績と運営団体による自己評価
○運営団体の決定
・ 本委員会の委員 2 名を含む 5 名の専門委員からなる「舞台芸術創造拠点〔旧老松会館〕(仮称)
運営団体選考委員会」を設置し、
「舞台芸術創造拠点〔旧老松会館〕(仮称)運営団体公募要項」
において定めた選考基準に従って 6 月 15 日から 8 月 7 日にかけて 2 段階の選考が行われた。
選考に関しては応募団体から提出された提案書類を審査し、公開ヒアリングにおける質疑応答
を踏まえ、優秀提案者として「アートネットワーク・ジャパンと ST スポット」が選考された。
・ 審査講評:明確な提案内容、新たな人材発掘の視点、堅実な収支計画など現実的な経営を考え
ていることが伺えた。提案内容や実績、ヒアリングから実現性が高い提案との評価がなされた。
これまでの施設運営の経験から、問題点を顕在化させ現実的に対処していくノウハウが伺えた。
ただし、他の複数の施設を運営している現状で、当該施設において、提案している事業を担う
人材を確保できるのか。また、横浜で活動する演劇団体との連携や地域の文化活動との連携を
進める必要性が指摘された。
運営団体による自己評価
事業実施
事業実施の考え方:基本方針と事業展開
・稽古場運営のシステム整備
・最小限の事業実施
(オープニング事業、マンスリーアートカフェ、4 人目のレジデント・アーティストの公募選定)
・来年度の飛躍に向けたスタッフとレジデント・アーティストの関係の構築
今期はオープンから 6 ヶ月間、急な坂スタジオの基本的機能である稽古場運営のシステムを整え、稽古場
としての機能性を高めるための施設面・運営面のルール作りが徹底して行われた。運営団体においては、
公募時に設定した稽古場利用料のみが自主財源であるなかで、稽古場としての質を下げずに管理コストを
下げるための細かい努力をスタッフ一丸となって行ってきた。結果、この 6 ヶ月で稽古場管理に関する基
本的な体制が整い、来年度以降、自主事業の大胆な展開を行える体力とスタッフ間の連携体制が整ったと
いえる。
一方この間、自主事業は最小限に留まっている。10 月から 11 月のオープニング事業を除いては、12 月か
ら月 1 回のマンスリーアートカフェの実施、また 4 人目のレジデント・アーティストの公募および選定が
主たる自主事業となった。しかし、これらの企画を実施する中で、当館が横浜や日本の舞台芸術において
果たすべき役割、地域との関わり方、またレジデント・アーティストの存在を軸とした創造活動のあり方
と展望について、スタッフとアーティストが議論を重ね、次なる着地点をともに模索するプロセスを共有
することができた。外部的には地味な事業展開だったかも知れないが、運営団体としては来年度以降の飛
躍に向けた必要不可欠なプロセスであったと考えている。
来年度以降、こうしたプロセスの中から生まれたユニークで斬新な企画アイデアを、2009 年 3 月の契約終
了時までの中期的ヴィジョンのもと、着実に実施し、その成果を厳しく問いかけていくことが必要である。
今期に実施した事業とその実績・課題:
□オープニング事業
運営団体決定からオープンまで実質 2 ヶ月未満という厳しいスケジュールの中で準備を進め、10 月 23 日
のオープニング・パーティでは 142 名、11 月 4 日のオープニング・シンポジウムでは 93 名の来場者があ
った。名実ともに注目度の高いオープニング事業となり、野毛・桜木町、横浜にとどまらず日本の舞台芸
術界からの高い関心と期待を感じることができた。一方で、野毛・桜木町、横浜、というローカルな地域
において館が果たすべき役割については、パネリストや参加者から課題が挙げられ、それにどのように答
30
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
え成果を出していくかを問う良い機会となった。
□稽古場運営事業
10 月から 3 月の利用団体は 31 団体、延べ利用者数は約 2500 名、稼働率はスタジオ利用:39 パーセント、
コミュニティ利用:18 パーセントとなっている。
「長期間利用すればするほどお得」というコンセプトに基づき、長期利用を前提とした舞台作品創造の支
援を間接的に行った。1 週間以上の長期利用のおかげで集中した作品づくりができるという声が、多くの
利用団体より届いている。
一方、稽古場の稼働率は、オープン 6 ヶ月を経た今でも時期によって大きな格差がある。半年に一度の公
募で、稽古場利用空き状況は概ね半分以下の状況で、コミュ二ティ・ルーム利用については、決まった曜
日の決まった時間の利用者が出てきたが、全体としてみたときに稼働率はスタジオ利用に比べ大幅に落ち
込んでいる。
スタジオ利用、コミュニティ・ルーム利用とも、全体的な稼働率を高めるため、空室状況をネット上で公
開し、短日でも利用を促す仕組みも整えられた。今後はこういった仕組みをより効率的に運営しつつ、急
な坂スタジオが稽古場として運営していること、また単なる稽古場ではない魅力を併せ持つ舞台芸術のた
めの総合拠点であることをもっと強くアピールする一方、稽古場以外の自主事業でも来場者を増やし、横
浜内外での知名度向上に努めていくことが求められている。
□レジデント・アーティスト事業
レジデント・アーティスト 3 名は、それぞれ作品作りの場として急な坂スタジオで稽古を行なった。レジ
デント・アーティストの中には、自身が主宰するカンパニー以外にも、実験的に急な坂スタジオで稽古を
行ない、横浜市内の会場で発表を行なうもの、あるいは執筆活動に急な坂スタジオを利用するなど、レジ
デント・アーティストにとって稽古場を得たことでより表現の幅に広がりがもたらされているような利用
の仕方をするものが出てきた。こういったハード面での便宜・利点から派生する展開に加え、今後は当館
のスタッフが制作面・技術面でこれらのアーティストと事業やコラボレーション、実験の場を仕掛けてい
くことが望まれる。
また 4 人目のレジデント・アーティストを公募したところ、28 名の応募があった。当館に対する注目の高
さを実感した一方、既に知名度も実績もあるアーティストが複数応募してきた状況は、首都圏における稽
古場の不足や中堅アーティストの新展開の難しさが露呈され、今回の公募の意味を改めて問い直す良いき
っかけとなった。レジデント・アーティスト 3 名およびスタッフの協議を経て、新規レジデント・アーテ
ィストとして、若手演出家の仲田恭子を選出した。利賀演出コンクールで最優秀賞を受賞するなど一定の
評価を得ているものの、新たな展開を模索している仲田とともに、アーティスト同士の交流から創造のプ
ロセスにおける実験と共有まで、急な坂スタジオならではの展開を探っていきたい。
□マンスリーアートカフェ
12 月より 3 月まで毎月実施し、毎回約 30 名~50 名(のべ約 120 名)の参加を得ている。レジデント・ア
ーティストや、地域との連携、アートマネジメント全般の問題など、様々なトピックを通して問題意識を
発信することに、今のところ成功しているといえる。企画のテーマ性をはっきり打ち出すことで、地元の
新聞社などから注目を得ることができ、かなり大きな紙面を割いて紹介してもらうことができた(新聞社
掲載件数:5件、その他ウェブ媒体多数)
。今後もマンスリーアートカフェを急な坂の外向きの顔となる定
期的なアウトプット事業と位置づけ、レジデント・アーティストやスタッフとの議論を経て、タイムリー
な話題について議論し考える場としてより有機的に機能させていきたい。
運営
組織体制
現在、2007 年 5 月をめどに新規NPO設立を神奈川県に申請している。この新規NPOの設立によっ
て、経理面・組織面でANJ・STからの独立が図られる一方、引き続きANJ・STのもつ経営的・
人的リソースを適宜活用しながら柔軟な運営を目指す。
31
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
新規NPOの概要:
名称:NPO法人アートプラットフォーム
代表理事:相馬千秋
理事:加藤弓奈、根本ささ奈、若林朋子
監事:柄田明美
職員体制
現在は 4 名の常勤シフトスタッフが実質的な館の管理・運営を担う一方、ANJ・STからそれぞれ 1
名ずつ、非常勤の職員が館のディレクションや事業の企画を行っている。今後、館の管理業務・受付
業務をマニュアル化しアルバイト職員に委託できる体制を整え、常勤職員は自主事業の推進力として
動けるような体制作りが望まれる。
・
・
・
非常勤職員:新規NPOの代表理事、および理事 1 名が非常勤で勤務
常勤職員:シフトスタッフ 4 名 (ANJ出向 3 名、STスポット出向 1 名)
アルバイト職員:2 名 (今後、夜番のできる男性スタッフを増やす予定)
日常運営体制
通常の開館時間(10 時~22 時)に加え、和室の 24 時間利用を暫定的に試みた。利用したアーティス
トからは、稽古に集中できるのみならず、安価で快適な創作環境だったと好評を得た。今後、24 時間
利用について、管理体制を再検討し、スタッフの負担とセキュリティ面のバランスを鑑みつつ、利用
者のニーズを叶えるガイドラインを作っていきたい。
防犯面については、今後オフィス部分とエントランス部分に間仕切りを設置することで、セキュリテ
ィを向上させる計画である。
その他
改修工事および備品購入
本年度は限られた予算の中で、各スタジオの床、防音壁の設置、鏡の設置、シャンデリアの撤去など、
稽古場機能を満たすための必要最低限で出来る限りの改修を行った。また、リノリウム、バレエバー、
プロジェクター、音響機材など、当館で舞台作品の創造を行うのに必要不可欠な備品を購入すること
ができた。さらに、これらの機材を使いこなし、アーティストのクリエーションを支える技術的スキ
ルと対話力をもった人材を内部に複数名確保することができたことは、当館の今後にとって極めて大
きな財産となっている。
来年度は横浜国立大学が主導する横浜建築学校との連携のもと、エントランス部分・カフェテリア部
分、ラウンジ部分、オフィスとラウンジの間仕切りを大胆に改修し、カフェ・ライブラリー・交流ス
ペース機能を併せもつクリエイティブな空間づくりを行いたい。そのためのプロセスとして、急な坂
スタジオのレジデント・アーティストとスタッフ、横浜建築学校の学生とのワーキングチームを組織
し、急な坂スタジオが目指すアートプラットフォームという概念を、空間として提案するべく検討を
重ねていく。
32
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
主な定量データ(2007 年 3 月末現在)
来館者数
ホームページアクセス数ほか
稽古場利用
3,890 人
事業来場者
510 人
ページビュー
52,451
メールニュース登録者数
350 人
スタジオ稼働率
利用カンパニー
広報実績
計 4,400 人
11 月~1 月
2 月~3 月
スタジオ平均
43%
76%
ホール
46%
94%
コミュニティ・ルーム
2%
40%
利用団体数
58 団体(うちレジデントアーティスト 3 名)
延べ利用団体数
420 団体
延べ利用者数
3,890 人
新聞掲載
7件
雑誌ほか掲載
8件
テレビ放映
4件
ラジオ放送
2件
その他 WEB 等でも随時紹介
33
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
ウ
活動実績と自己評価をふまえた評価と今後の課題
【総評】
・ 提案書やオープニングのシンポジウム等で発表された内容は高く評価できるが、まだマニフェ
ストであり、それをどう実現し、地域の人たちとコンセンサスをどうとっていくかが今後の課
題である。この事業は舞台芸術の振興という観点からは、インフラの基盤整備という非常に重
要で貴重な仕事であり、運営団体への期待は大きい。
・ 運営団体の実績もあり、開館して間もないにも関わらず、業界の中で十分に注目を集めている。
まだ 2 か月ではあるが、運営は順調な滑り出しであると思われる。
・ 将来的に演劇界や横浜の舞台芸術を担う、美術での BankART のような存在になる可能性は多く
感じられる。開館して間もないにも関わらず多くのことを着実にやろうとしている姿勢をまず
は評価したい。
【特に評価する点】
○稽古場運営の方向性について
・ 信頼できる人だけに限ってという形で、24 時間の稽古を許可する体制を整備されたのはよい。
○レジデント・アーティストについて
・ 開館時からの 3 人のレジデント・アーティストは、他のレジデント・アーティストとこの拠点
の中で共に活動できるという前提のもとに、ここでしかできないアウトプットをしたいという
意欲とそれを裏付ける才能や実績があるアーティストだと言える。
・ 4 人目のレジデント・アーティストの公募を行い、若手の方に決まったとことは喜ばしい。将
来的にフェスティバルなどを構築していく際にも、レジデント・アーティストが中核的人材と
なっていくにも、やや若手の人が上の世代の恩恵を受けるようなシステムがいくつも重なり伝
統のようなものが生まれると、次々といいアーティストが出て、充実した形につなげていくこ
とができる。
【課題・問題点】
□レジデント・アーティスト事業について
・ 公共の施設で若手アーティストばかり揃っているのも不自然に感じる。横浜には深い意見を持
つアマチュア活動者も多いので、その中の一人をあえて引きずり込むことで、市民アートコミ
ュニティ活性化にもつながってくるのではないか。若者、年配、プロ、アマチュアが混じって
いることで何か新しい関係が生まれてくるかもしれない。
□地域との交流
・ 急な坂スタジオは稽古場という機能であり、施設の使命そのものが、「漠然とした市民に間口
を広く」ということではない。発表施設ではなく創造拠点ということであれば、不特定多数の
34
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
市民ではなく、特殊な状況を鑑みたアウトプットに軸を絞らざるをえない。何をもって地域と
の交流について急な坂スタジオの地域での活動が評価されていくのか、その軸を意識する必要
がある。
・ ある意味で非常に限られた、一部の人たちを対象とした施設であるという機能面からは、外に
対しての発信が難しい。舞台芸術の業界には知られていても、市民には知られてにくいことも
ある。地元との接点の部分を今後の課題としてどう捉えるかは考えて頂きたい。特に活用指針
にある「市民とアーティストの交流の拠点」は目に見える形での実施を希望する。
□横浜の演劇団体とのつながり
・ 公募の際に、最も大きな課題として指摘されたのが、地元の演劇団体との関係や地元とのつな
がりの少なさであり、今年度の評価でもその点は触れざるをえない。
35
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
エ
来年度の運営・事業についての助言
○稽古場事業の重要性について
・ まずは稽古場として、着実に稼働率の向上をはかるという基本的な部分を丁寧に行っていくこ
とが望ましい。稽古場事業が安定することで、新規事業のマンパワーや事業費の確保が望める。
・ インフラの整っているホール部分は稼働率が高いが、スタジオ部分に関しては、特に競争相手
と比較し、問題を整理して、どうすれば更に魅力的になり集客できるかというアイデンティテ
ィを確立するための戦略を作るといいのではないか。
・ 単なる稽古場だけではなく、例えばアーティスト同士の交流が自然に行われるように、エント
ランスの部分を改修し、情報ライブラリーなどを作り、映像を見られたり、お茶も飲めたりと
いった雰囲気も作る計画については、是非その方向で進めて頂きたい。
○舞台芸術の創造のための稽古場という機能と、運営についての外部に対する説明責任について
・ 評価の項目や指標は実施事業数だけではないが、レジデント・アーティストなど定量評価ので
きない事業については、専門家以外の人にとっても説得力をもつように、例えば「エデューケ
ーションプログラムは年間 10 人の若手の演出家に勉強させています」など数値も含めた形で、
若手の育成は重要な要素として実施しているというような説得の目玉材料を作るとよい。
・ 地域との関係においても、タイアップした小学校数やプログラムへの参加生徒数などの説得材
料をいくつか作る必要がある。近隣地域のために小学校や老人ホームのプログラムを実施した
等、公式の評価の中で説明がつくことは取り組むべきである。
○稽古場という外には見せにくい機能と、地域交流の両立について
・ ターゲットを絞った地域交流が必要。例えば、市民活力推進局と財団が実施している教育プロ
グラムや地域づくり事業との連携を検討されたい。
・ 近隣施設の「ふりーふらっと野毛山」や、隣の老人福祉センターとの関わりも持つことが望ま
れる。知名度を地域で上げていくにはそういった取り組みが必要。地域に、こちらからも出て
行っている姿を見せることが、近道になっていくのではないか。
・ 何を地域交流と考えているかを、今後、市と委員と運営団体の間で共有していく必要がある。
○横浜アマチュア演劇界との関係について
・ 横浜のアマチュア演劇すべてをカバーするのは無理だし、その必要もない。しかし一人又は一
組とでも関係をつくっていけば状況の変化をきたすはずである。個別にでも横浜のアマチュア
演劇界へのアプローチはすべきだ。
○まちづくり、環境整備との連携について
・ 舞台芸術の活動者は、その活動だけで生活が成り立つ人は極めて少なく、アルバイト等、他の
仕事をしていることが多い。将来的に横浜の舞台芸術が世界に発信できるレベルになるために
36
第2章
都心部歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開
2 各拠点における展開―(4)急な坂スタジオ
は、活動者の生活の成立が最終的な目的とはいえ、そのプロセスでは、芸術創造を目指しなが
ら生計を立てるための仕事口が稽古場の近くにあることが必要。そういった周辺整備も含めて、
市のバックアップをお願いしたい。それはこのスタジオだけの問題ではない。
○発表機能について
・ 稽古場事業の性格上、レジデンス事業等生産に当たる部分を行っており、広報や宣伝を工夫し
ても、一般の方に向けての発信・鑑賞ができないので、活動が見えにくい。何をやっているか
がよく見えるところまでの連動した事業展開ができることが望ましい。
・ 発表施設は 2009 年に出来る神奈川県の新ホールも含め市内にも数か所あり、そうした施設と
のネットワークも検討されたい。
・ 将来的にはフェスティバルの開催なども視野に入れながら、活動を進めていかれたい。
○改修工事について
・ 予算の関係で稽古場としてのインフラ整備が完璧でないのならば、今後の改修実施の可能性に
かかわらず、現在の問題点は明確に顕在化させておくべき。
○宿泊(他施設との連携)について
・ ここで作品を作るアーティストが長く滞在する場合の宿泊については、急な坂スタジオに宿泊
させるというよりも、寿町や桜荘などの横浜市の持つ宿泊施設とタッグを組むことが期待され
る。演劇関係者は、急な坂スタジオにいるというだけではなく、横浜市全体に色々な層が出来
るとよい。
○舞台芸術関係のネットワーク構築について
・ 他の文化施設や舞台芸術関係のネットワークの構築が望まれるが、市のネットワークの枠組み
の中に入っていくより、急な坂スタジオが「県や実際の活動者まで含めた演劇やドラマメイキ
ングに関するネットワーク」を持っている方が事業を推進しやすいかと思う。
37
第3章
創造界隈形成推進のための今後の施策
1 東横線旧桜木町駅跡地
第3章 創造界隈形成推進のための今後の施策
1
東横線旧桜木町駅跡地
・東横線跡地活用懇談会の設置および進め方について基本的に了承。
・東横線の跡地の活用についても、他の創造界隈事業と連携した活用方法が議論されることを期待する。
参考:
東横線跡地活用懇談会の設置
1) 趣旨
廃線となった、東急東横線の横浜~桜木町駅間については、国庫補助を導入しながら、用地等を取
得し、
「自転車も通れる遊歩道」及び「駐輪場」としての整備を基本に、地元からもご意見を頂きなが
ら決定していくこととしており、平成 23 年度の供用を目指し、整備をすすめている。
この整備によって生じる高架下空間や壁面、旧桜木町駅舎等は、地域の活性化につながる貴重な空
間であることから、地域関係者や学識者、近隣施設、行政からなる懇談会を設置し、創造拠点などを
中心とした活用方法を検討する。
(2)検討内容
ナショナルアートパーク構想提言書を踏まえ、以下の内容を検討する。
①旧桜木町駅舎の暫定活用策
活用期間:平成 19~21 年度まで
②高架下の活用策
活用期間:整備工事終了後
③壁面の活用策
活用期間:整備工事終了後
*参考「NAP 提言書」
□東横線アートウォーク
・東横線跡地を活用し、横浜都心部を貫き、横浜駅から桜木町駅を経由し、既設の「開港
の道」をはじめ、関内、関外地区のプロムナード、歩行者空間とのネットワークを形成
することによって、回遊性を高め、都心部における長大な歩行者軸を形成する。
・以下のような方針に沿って、空間整備、機能導入を検討する。
上部は、鉄道の記憶を残したプロムナードとして整備。リニアな空間特性ならではの
機能の導入。
高架下については、暫定的には展示等のイベントスペースとして活用。
将来は、駅空間を含めて、アーティストの創作空間として整備。
38
第3章
創造界隈形成推進のための今後の施策
1 東横線旧桜木町駅跡地
(3)構成メンバー
有識者(創造界隈形成推進委員会委員)、地域の代表、近隣施設、行政
*懇談会の中にワーキングを設置する。
(4)スケジュール
2月
懇談会(3 回程度)
ワーキング(4 回程度)
3月
4月
5月
6月
7月
8月
3/8
3/27
工事
駅舎の活用
運営準備・利用方法等検討
39
暫定活用
9月
第3章
創造界隈形成推進のための今後の施策
2 アーツ・コミッション
2
アーツ・コミッション
・アーツ・コミッションの設置および進め方について基本的に了承。
・創造都市事業本部の今後の展開を見据えての、市と芸術文化振興財団による実施に関しても理解。
・ただし、アーツ・コミッションが位置づけられることになる「(仮称)創造都市横浜推進協議会」に
ついては、企画委員会、アーツ・コミッション、ビジネスマッチング、エリアマネージメント等、
数多くの組織が混在しており、もう少しシンプルに整理されたい。
・また、具体的な設置や進め方を検討するにあたって、市の外部にも相談相手を置くことが望ましい。
参考:アーツ・コミッションの概要
■アーツ・コミッションとは
創造の担い手であるアーティスト、クリエーター、NPO 法人、企業、市民が自主的に活動を行う
ための中間支援を行う組織である。
創造の担い手が、横浜で創作、発表、滞在(居住)するにあたっての相談窓口を設置するほか、
市内の芸術文化情報の集積の場、創造の担い手の交流の場とする。
平成 19 年度に立ち上げる、「(仮称)創造都市横浜推進協議会」の文化芸術部門の実行組織として、
ア-ツ・コミッションを設置する。
1 目的
文化芸術創造都市の実現に向け、創造の担い手が創作、発表、滞在(居住)しやすい環境を作
り、集積を図るとともに、市民との交流の場を増やし、芸術創造活動の活性化を図る。
2 内容
(1)ワンストップ相談窓口
空きオフィス・倉庫等の活用可能な場の情報提
供、展覧会会場や助成制度の紹介等、創造の担い
手(アーティスト、クリエーター、NPO 法人、企
業、市民)に対する相談窓口の設置。
このため、アーティストの登録制度、物件情報
や各種助成制度などの基本となる情報をデータベ
ース化を行う。
また、市内の芸術文化情報を集積し、常に、創
造の担い手がここに出入りし、交流が生まれるよ
うな場所とする。
(2)芸術不動産事業
横浜を拠点としたいアーティストやクリエーター、企業に対し、活動場所・居住場所の相談や
提供ができるシステムを構築する。
40
第3章
創造界隈形成推進のための今後の施策
2 アーツ・コミッション
(3)アーティスト・イン・レジデンス
台北ほかのアジア諸国とのアーティスト交流事業、滞在活動拠点の充実を図る。
(4)芸術人材育成事業助成
都心部における芸術系及び建築系学校等の人材育成事業、アートNPOの育成につな
がる事業等に対する支援、助成制度を創設する。
(5)創造都市プロモーション機能
創造都市横浜のPR活動を行なう。
(6)創造都市への提言、事業の企画実施
創造界隈形成推進委員会、アーツパートナーズ(アートNPOなどの活動団体等)等
との共同による創造都市への提言を行なう。
アーツパートナーズからの企画提案による事業を実施する。
3
運営方法
市と芸術文化振興財団が共同で実施
4
スケジュール
19 年 4 月
7月
アーツ・コミッション開設準備会立ち上げ
アーツ・コミッション開設
41
第4章
創造界隈形成に関する助言
第4章 創造界隈形成に関する助言
○各拠点運営団体に求めること
・拠点運営団体には、事業計画や実績を報告するだけではなく、横浜の創造都市を推進していくため
に「次にこんなステップが必要ではないか」という、ミッションを具体化するための提案をして欲
しい。その声が現場から出てくることも必要である。
○コミュニケーションの場の設置
・情報がないが故の無駄が生じないように、各拠点施設の運営団体相互のコミュニケーションを充分
にとってほしい。そのことで互いにプラスになる面が必ずあると思われる。
○都市計画と連動したエリアとしての創造界隈の検討
・市の事業であり、拠点(ポイント)だけではなく、その周辺(エリア)を含めた環境整備について、
例えば、都市計画やサイン計画も含めたデザインを総合的に考える必要がある。
・資金不足で事業や改修ができないという発想ではなく、「アイデアがあるからこそできる」ことが、
この創造界隈の形成にとっては最も大切な考え方。
○都心部歴史的建造物等活用事業のより広い認知
・都心部歴史的建造物等活用事業の創造界隈全体への波及効果を考える上でも、市担当課のみではな
く、担当部局以上のセクションや地域とも、各拠点施設の活用指針が共有化されていることを期待
する。
○来年度以降の本委員会の運営について
・歴史的建造物等活用事業各拠点についての評価、助言にとどまらず、対象施設以外の創造界隈の拠
点施設について、更には横浜市のクリエイティブシティとしての投資や海外発信等大枠の方向性な
ども議論していけるとよい。
・各拠点個別のことは、分科会で議論し、全体委員会では、大枠の戦略なども議論する方向で委員会
を運営した方がよい。
以上
42
参考資料
参考資料
・委員会設置要綱
・委員名簿
・委員会開催経過
第1回
創造界隈形成推進委員会議事録
第2回
創造界隈形成推進委員会議事録
第3回
創造界隈形成推進委員会議事録
第4回
創造界隈形成推進委員会議事録
43
創造界隈形成推進委員会設置要綱
制定
平成18年5月22日
(趣旨)
第1条 この要綱は、創造界隈形成推進委員会(以下「委員会」という。)の設置及
び運営に関し、必要な事項を定めるものとする。
(設置目的)
第2条 アーティストやクリエーターが創作・発表・滞在(居住)することで、街の
活性化を図る「創造界隈の形成」を進めるため、都心部の歴史的建造物や倉庫、空
きオフィスなどを創造的活動の場に転用する歴史的建造物等活用事業(以下「活用
事業」という。)の評価を行なうとともに、文化芸術による創造界隈形成の推進に
関する助言を行なうことを目的として、委員会を設置する。
(活用事業対象施設)
第 3 条 この要綱における「活用事業」の対象施設は、別表のとおりとする。
(役割)
第4条 委員会の役割は、次の事項とする。
(1)活用事業対象施設の活用方針に関すること。
(2)活用事業対象施設において、具体的に事業運営を行なう団体(以下、「事業
運営団体」という。)の選考に関すること。
(3)活用事業対象施設の事業計画及び予算に関すること。
(4)活用事業における事業運営団体の活動評価及び助言に関すること。
(5)活用事業の評価に関すること。
(6)文化芸術による創造界隈形成の推進に関する助言に関すること。
(7)その他各号に付随する事項。
(組織)
第5条 委員会は、委員8人以内をもって組織する。
2 委員は、学識経験者等のうちから適切な人材を充てることとし、市長が委嘱する。
3 委員の任期は、平成21年3月31日までとする。ただし、委員が欠けた場合に
おける補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委員長等)
第6条 委員会には、委員長及び副委員長を置く。
2 委員長及び副委員長は、委員の互選によって定める。
3 委員長は、会務を総理する。
4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議)
第7条 委員会の会議は、委員長が招集する。
2 委員長は、会議の議長となり議事を進行する。
3
4
5
委員会は、委員総数の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数の場合は議長の決するところによる。
委員会は、必要に応じて会議に委員以外の者の出席を求め、意見又は説明を聞く
ことができる。
(分科会)
第8条 活用事業対象施設の活用開始にあたり、事業運営団体の選考を行なうなどに
関して、分科会を設置することができる。
2 分科会は、委員会委員の一部及び各施設における専門分野の有識者、地元代表者
等で組織する。
(委員の責務)
第9条 委員は、委員会を通じて知り得た情報を公表してはならない。その職を退い
た後も同様とする。ただし、横浜市及び委員会が公表した情報についてはこの限り
ではない。
(委員会の公開、非公開)
第10条 横浜市の保有する情報の公開に関する条例(平成 12 年 2 月横浜市条例第
1 号)第 31 条の規定、及び横浜市審議会等の会議の公開に関する要綱(平成 12 年
6 月市市情第 44 号)により、会議の公開、非公開を決定する。
(事務局)
第11条 委員会の事務を処理するため、事務局を開港 150 周年・創造都市事業本部
創造都市推進課に置く。
(その他)
第12条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長
が委員会に諮って定める。
附 則
(施行期日)
1 この要綱は、平成18年5月25日から施行する。
(経過措置)
2 この要綱施行後最初の委員会の会議の招集は、市長が行なう。
(別表)
歴史的建造物等活用事業対象施設一覧
名称
旧第一銀行横浜支店
日本郵船倉庫
旧関東財務局・旧労働基準局
旧老松会館
初黄・日ノ出町文化芸術振興拠点
東急東横線旧桜木町駅
所在地
中区本町 6-50-1
中区海岸通 3-9
中区日本大通 34
西区老松町 26-1
中区黄金町 2-7-2
中区桜木町
創造界隈形成推進委員会委員名簿
(敬称略)
委員長
吉本 光宏
Yoshimoto Mitsuhiro
副委員長
加藤 種男
Kato Taneo
委員
菅野 幸子
Kanno Sachiko
国際交流基金情報センターライブラリー文化情報コーディネーター
委員
北山
恒
Kitayama Koh
横浜国立大学教授
委員
鈴木 伸治
Suzuki Nobuharu
委員
近澤 弘明
Chikazawa Hiroaki
委員
久野 敦子
Hisano Atsuko
委員
若林 朋子
Wakabayashi Tomoko
(株)ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室長
(財)横浜市芸術文化振興財団専務理事
横浜市立大学国際総合学部ヨコハマ起業戦略コース準教授
横浜中法人会会長
(財)セゾン文化財団プログラム・ディレクター
(社)企業メセナ協議会シニア・プログラム・オフィサー
第一回 創造界隈形成推進委員会 議事要旨
■ 日
時:2006 年 5 月 25 日 14 時 30 分~16 時 30 分(13 時 15 分~14 時 30 分 施設視察)
■ 場
所:BankART Studio NYK 2 階
■ 出席者:
【委 員】加藤種男、菅野幸子、北山恒、鈴木伸治、近澤弘明、久野敦子、吉本光宏、
若林朋子
【説明者】(財)横浜市芸術文化振興財団開発事業グループ
BankART1929 代表
藁谷、
池田
【事務局】開港 150 周年・創造都市事業本部
創造都市推進課
【傍聴者】4 名
■ 議
題
1.委員会設置要綱について
2.委員長、副委員長の選出について
3.委員会の公開について
4.委員会の進め方について
5.ZAIM の事業運営方針、事業運営団体、補助金について
6.BankART の事業運営方針、事業運営団体、補助金について
7.初黄・日ノ出町文化芸術拠点の事業運営方針、事業運営団体について
8.旧老松会館の活用方針、事業運営団体の公募について
■ 議事要旨
1.委員会設置要綱について
・ 事務局案を承認。
2.委員長、副委員長の選出について
・ 委員長に吉本委員、副委員長に加藤委員を選出。
3.委員会の公開について
・ 原則公開、個別評価を行う時は非公開の場合もある。
4.委員会の進め方について
・ 全体を議論する本委員会は、年 4 回程度開催予定。
・ 委員は、対象となる 5 施設の担当を決め、分科会を開催した場合は、担当委員が議論の
内容を本委員会にフィードバックさせていく。
5.ZAIM の事業運営方針、事業運営団体、補助金について
・ 入居者に施設の運営を任せる仕組みはできないか。ZAIM に限らず、市の施設なので、経
費は出来うる限り低廉で抑える努力をすべき。
・ 「北仲 BRICK&北仲 WHITE」の代替施設とするには、ZAIM が期間限定である点と事業開始
時期の関係で困難。
・ 公的な施設である ZAIM で、どういう視点で入居者を選定していくのか。どういう活動を
している人に入居して欲しいかを戦略的に明確にしたい。
・ 誰でもが平等に利用できる施設ではなく、運営団体が意図を持ち、その主旨にあった色々
な活動をコーディネイトしていく施設にしていく必要がある。
・ ZAIM も含めた複数の拠点整備施設の活動内容の関係性を考え、差異化することが必要。
人や団体を育成するには相当の労力も必要。場所があるからというだけでなく、育て活
力につなげる為の戦略を考え、どう実行するかを考えないといけない。
・ 日本大通りという横浜でも重要拠点に位置しており、建物的にも歴史的価値がある。永
続性を持たせることを考えているか。
→
2 年間の実験活用の中から生まれたものを施設の改修内容やその後に繋げていく
(事務局より)。
・ ZAIM の運営を財団に任せることになった経緯をきちんと説明する必要がある。
・ 印刷物などは、クリエイティブなイメージを打ち出すものにして欲しい。
・ 公的な施設なので、パブリックであることは絶対に必要。透明性・公平性のあるポリシ
ーが公開されている必要がある。
・ ZAIM に関しては、今日の議論を踏まえ、分科会でもう少し具体的な検討を行い、6 月中
に募集をしていく。
6.BankART の事業運営方針、事業運営団体、補助金について
・ 地元との繋がりが弱い。もっと一般の方に分ってもらうよう広報面での工夫が必要。
・ アートがものづくりと結びつくと一般の方に分りやすくなる。
・ これまでの 2 年間で地元とつながりを作るのは困難。事業継続となったこれからが本当
の評価の始まり。
・ 経営努力で収入を得た分は、補助金削減分に充てるのではなく、事業拡大に充てられる
ようにしてほしい。
・ BankART の事業計画については、この内容で進めてもらう。
7.初黄・日ノ出町文化芸術拠点「BankART 桜荘」の事業運営方針、事業運営団体について
・ 地元との連携が必要な場所である。
・ 改修経費がかかっているが、BankART 全体でまかなっていくのか。
→
そうです(説明者より)。
・ BankART 桜荘の事業計画については、この内容で進めてもらう。
8.旧老松会館の活用方針、事業運営団体の公募について
・ 後日、担当委員を中心に議論を行い、その内容について各委員から意見等をもらうこと
とする。
以上
第 2 回 創造界隈形成推進委員会 議事録
■ 日
時:2006 年 7 月 27 日
10 時 00 分~12 時 00 分
■ 場
所:ZAIM 交流サロン
■ 出席者:
【委 員】加藤種男(副委員長)、菅野幸子、北山恒、鈴木伸治、近澤弘明、久野敦子、
吉本光宏(委員長)、若林朋子
【説明者】BankART 代表 池田
(財)横浜市芸術文化振興財団開発事業グループ長 藁谷
【事務局】開港 150 周年・創造都市事業本部
創造都市推進課
【傍聴者】2 名
■ 議
題
1.委員会の役割と事業評価について
2.第 1 四半期の事業報告および第 2 四半期の事業計画について
ア.
BankART 1929 Yokohama, BankART Studio NYK
イ.
BankART 桜荘
ウ.
ZAIM
■ 議事要旨
1.委員会の役割と事業評価について
【委員会の役割について】
・ 委員会の役割について、ナショナルアートパーク構想の中の一部である創造界隈形成の
推進のための施策の検討を行うということだが、市が行っているほかのナショナルアー
トパーク構想と関係する会議(クリエイティブシティ・横浜研究会)との役割分担や違
いが不明確。全体的なナショナルアートパーク構想の中での位置づけの整理を事務局に
お願いしたい。
・ 具体的に行うことが都心部歴史的建造物等活用事業の評価と方針、助言ということだけ
だと、創造界隈全体を考える役割を見失ってしまいがちである。一つ一つの施設にとど
まらない、全体の形成に関わるような議論も積極的にしていきたい。
・ 一つ一つの施設の具体的な話をしていても、議論の中で施設間の関係性が問題になって
くれば、自然と都市全体をどうするかという議論に発展するはずであり、個々のネット
ワークをきちんと見ていくことで、広域のコントロールにもつなげていきたい。
・ 委員が運営団体の構成員に就任している場合の取扱いについては、横浜市の方針(別添
資料)に沿い、透明性を持って委員会運営を行う。
【事業評価について】
・ 委員という外部の立場からは見えない現場のこともあり、各運営団体が行う自己評価を
重視するのはよい。
・ 点数をつけて良し悪しを判断するのが目的ではなく、どのようにしたらクリエイティブ
シティや都市の活性化、芸術文化振興が実現できるのかが目的であり、そのために第三
者として言うべきことがあれば付け加えるという観点を持って評価に臨みたい。
1/2
2.第 1 四半期の事業報告および第 2 四半期の事業計画について
ア.
BankART 1929 Yokohama と BankART studio NYK
・ 新潟と連携してサミットの誘致をしており、新潟との交流事業を実施していることを確
認。
・ BankART studio NYK の利用の決定が遅れ、事業の立ち上がりが遅れたことについて確認。
イ.
BankART 桜荘
・ 現在、スタッフが交代で宿泊し、状況を確認した上で8月以降アーティストが宿泊する
ことを確認。
・ 地域での協力者が増えてきていること、今後とも地域のイベントへの参加などを続けて
いくことを確認。
・ 当該地域においては、桜荘一つではなく、面的な展開が大切。桜荘が成功したら、それ
をビジネスモデルとして、横浜市がこのような事業のサポートをするシステムを作るこ
とが期待される。
ウ.
ZAIM
・ 入居団体選考の過程、分科会での議論の報告。
(アーティスト・クリエイターの創造拠点
として活用する。そのためには入居者公募・選考の際に、どのような人に来て欲しいか
を明確に打ち出し、協働が期待できる多分野にわたるような選考を期待したい、等)
・ ZAIM の使用の年限については、市は出来るだけ早く次のステップを明確にすべきである。
・ アーティストやクリエイターのみでなく経理等の専門性を持ったアートプロデュースや
マネージメントをするオフィスが入っているのかの確認。
(説明者からの回答:そのよう
な団体も入居予定だが経理等の専門性は持っていない。全体のコーディネート等は運営
者側も積極的に行っていくつもりである。)
■ その他
報告事項 2 点(事務局より)
ア. 旧老松会館運営団体の公募について
イ. クリエイター等立地促進助成事業の募集について
以上
2/2
H18.7.27
創造都市推進課
創造界隈形成推進委員会委員のNPO等団体の役員就任に関する横浜市の方針
■
委員会の目的および委員の役割
ナショナルアートパーク構想の実現に向けて、その大きな政策のひとつである、「創
造界隈の形成」は、特に日本大通り、馬車道、桜木町・野毛地区をモデル地区として進
めている。
推進委員会の目的は、創造界隈の形成の施策の大きな柱である歴史的建造物等活用事
業(以下、活用事業)の評価を行うともに、文化芸術を活かした街づくりの視点から、
界隈形成の方向性や推進のための施策を議論し、助言や支援を行うものである。
助言や支援内容としては、界隈毎の特性に応じた拠点の評価、界隈に活動を広げるた
めのアドバイスや提案を行う。運営団体および市は、委員会の結果を尊重し、施策を実
行する。
■ 委員がNPO団体の役員を兼任している場合の横浜市の方針
以上のような考え方のもと、創造界隈形成推進委員会を運営しているため
BankART1929、BankARTNYK、ZAIM、BankART桜荘、旧老松会館等の運営団
体の構成員に推進委員が就任している場合は、次のような取り扱いとする。
なお、運営団体公募の際は、選考委員が経営又は運営に直接関与している団体は、応
募できない旨を公募要項に定めている。
(1) 構成員に委員が就任している運営団体の事業計画および予算、評価に関する決定
には参加しない。ただし、その委員は会議の場に同席し、他の委員の求めに応じ参
考意見を述べることができる。
(2) 活用事業全体の評価および創造界隈形成の推進に関する助言等については、議論
し、委員会としての決定に参加するものとする。
(3) 他の委員から委員の属する団体についての要望、意見等があった場合、団体構成
員の立場から、推進委員会の意見を尊重し、運営団体の今後の活動に反映させるよ
う努力する。
第 3 回 創造界隈形成推進委員会 議事録
■ 日
時:2006 年 10 月 31 日
15 時 00 分∼17 時 00 分
■ 場
所:創造空間万国橋 SOKO 内
バンタンキャリアスクール会議室
■ 出席者:【委 員】加藤種男(副委員長)、菅野幸子、北山恒、近澤弘明、久野敦子、
吉本光宏(委員長)、若林朋子
【説明者】BankART 代表 池田
(財)横浜市芸術文化振興財団開発事業グループ長 藁谷
急な坂スタジオ
相馬、加藤
【事務局】開港 150 周年・創造都市事業本部
創造都市推進課
【傍聴者】3 名
■ 議
題
1.第 2 四半期の事業報告および第 3 四半期の事業計画について
ア.
BankART 1929 Yokohama, BankART Studio NYK
イ.
BankART 桜荘
ウ.
ZAIM
エ. 急な坂スタジオ
2.アーツ・コミッションについて
■ 議事要旨
1.第 2 四半期の事業報告および第 3 四半期の事業計画について
ア.
BankART 1929 Yokohama と BankART studio NYK
・ BankART studio NYK の賃貸契約と今後の交渉について確認。
・ 港湾のエリアは、ある意味では公共の部分を残しながら、なおかつ人もいるという場所
を作っていければよい。かつては、港湾は運輸のために公共的であったが、これからは
市民のための公共空間をどうやって確保するかが市として重要なことだろう。
イ.
BankART 桜荘
・ 事務局より、現在全庁的に初黄・黄金町のプロジェクトを行っていることについての報
告を受ける。
ウ.
ZAIM
・ 入居団体の交流会の開催方法についての確認。
・ 小破修繕の程度についての確認。
・ 別館利用者の募集方法や、リーフレットの作成状況、ホームページ掲載についての確認。
・ トリエンナーレアーカイブについて、自由な閲覧が出来ることも大切だが、ロングスパ
ンでの大切な資料になっていくものを大切にアーカイブして欲しい。
(美術館と ZAIM で
仕分けをすることを確認。)
1/2
エ. 急な坂スタジオ
・ 運営団体選定についての報告。
(全体にいい提案を頂いたが、選ばれた団体のものが最も
クリアだった、地元の演劇人のネットワークが出来たことは期待が持てる、選考委員会
の中でも大きな意見の違いがなかった、等)
・ 改修工事の内容について確認。(改修の進行状況、音漏れ、部屋ごとの相違、等)
・ レジデントアーティストの選定方法とサポートする年限についての確認。
・ 運営団体の NPO 法人化についての進行状況の確認。
・ 山下町に新設される新県民ホールとの連携への意識を確認。
・ 運営体制(専属職員、契約職員)についての確認。
・ 稽古場の料金体系やアクセスによるニーズの有無や、そのリサーチ状況について確認。
・ 舞台芸術の活動者は、それだけで生活が成り立つ人は極めて少なく、アルバイト等の他
の仕事をしていることが多い。この施設の存続はもとより将来的に横浜の舞台芸術が世
界に発信できるレベルになるためには、活動者も他の仕事をしなくても生活が成り立つ
ようになるのが最終的な目的である。プロセスとしてはそれを考えていく必要がある。
そういった意味での周辺整備も含めて、市のバックアップをお願いしたい。
・ 舞台芸術の創造拠点を運営するこのような事業は芸術の基盤整備として非常に重要。
・ 駐車場の利用についての確認
・ 24 時間利用についての確認。
(稽古と宿泊は切り離して考える、申込み制ではなく、稽古
を行う人の仮眠室のような役割の方がよいのではないか、等)
・ 宿泊については、寿町や桜荘などの横浜市の持つ宿泊施設とタッグを組み、演劇関係者
も急な坂スタジオだけではない、横浜市全体に色々な層が出来るとよい。
2.アーツ・コミッションについて
・ 組織論については財団と市の間で今後議論を進めていく必要がある。
・ 建築系学校等の人材育成事業に対する支援とあるが、アーツ・コミッションの中で建築
文化のマネージメントをしてくれると非常にありがたい。
・ アーツ・コミッションのような事業は人次第なので、コミッショナーの人選が大切。組
織を作る以上は、組織になるだけの理由が必要で、名前も含め、曖昧では意味がない。
・ 海外のクリエイティブシティの成功事例を見ると、中長期にわたって行政側が一貫した
方針を堅持できることと、複数のコミッショナーにそれぞれある部分については全権を
委ねている。一人にある部分を委ねない限りは上手くいかない。
・ アーツ・コミッションの設置については引き続き検討が必要である。
■ その他
報告事項 2 点(事務局より)
(1) 北仲 BRICK&WHITE の移転状況について
(2)
次回の予定と分科会の開催について
以上
2/2
創造界隈形成推進委員会(第 4 回)議事録(HP 版)
第 4 回 創造界隈形成推進委員会 議事録
■ 日
時:平成 19 年 3 月 26 日(月)14:00~16:00
■ 場
所:急な坂スタジオ
スタジオ 3
■ 出席者:【委 員】加藤種男(副委員長)、菅野幸子、北山恒、近澤弘明、久野敦子、
吉本光宏(委員長)、若林朋子
【説明者】BankART 代表 池田
ZAIM (財)横浜市芸術文化振興財団開発事業グループ長 藁谷
急な坂スタジオ (アートネットワーク・ジャパン)相馬
【事務局】開港 150 周年・創造都市事業本部
創造都市推進課
【傍聴者】非公開
■ 議
題
1.平成 18 年度創造界隈形成推進委員会報告書について
2.歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開について
ア.
BankART 1929 Yokohama, BankART Studio NYK
イ.
BankART 桜荘
ウ.
ZAIM
エ. 急な坂スタジオ
3.創造界隈形成推進のための今後の施策について
ア. 東横線跡地の活用策について
イ. アーツ・コミッションについて
ウ. その他
4.創造界隈形成に関する助言
■ 議事要旨
1.平成 18 年度創造界隈形成推進委員会報告書について
・報告書の構成について事務局案を承認
2.歴史的建造物等活用事業の評価と今後の展開について
ア.
BankART 1929 Yokohama, BankART Studio NYK
・ 全体としては期待以上の成果があったとみてよい。特に国際的なネットワークや創造都市間ネッ
トワークの構築によって、拠点としても世界的に高く評価されている。
・ 経済的な自立という意味では、むやみに自立を目指すのではなく、具体的な数値目標(自己調達
資金率 50%等)を設定し、それを市と共有し、あとは内容の充実を図って頂く方がよい。
・ サポーターの仕組みの構築(BankART Club)を検討されたい。
・ BankART の施設内の活動にとどまることなく、本町ビル45(シゴカイ)等、創造界隈プロジェ
クトのパイオニア的存在としての自覚を持った活動は今年度の実績として評価できる。
・ 建物の外観について、イベントをやっている際はそれが垣間見えるのでよいが、普段は何をやっ
1/3
創造界隈形成推進委員会(第 4 回)議事録(HP 版)
ているかわかりにくい。1929 は重厚なビルで、NYK も海側からはよく見えるが、もうひと工夫し
ていただきたい。
・ 来年度の事業計画については、大きな催し物は BankART の定番となり、よいと思う。このままの
方向で進めていって頂きたい。
イ.
BankART 桜荘
・ 横浜市大でも 60 ㎡くらいの小さな拠点をつくり、市民と一緒に防犯まちづくりのプロジェクトを
行っていく予定なので、何らかの形で連携しているプログラムが出来ればよいと思う。
・ 市で行っている京浜急行の高架下の活用や、拠点の増設とも連携して進めることが望まれる。
・ 事業計画についてはこのままの方向で進めて頂きたい。
ウ.
ZAIM
・ 今年度の事業評価として、入居団体の活動についてのアンケートをとって頂いたことはよかった。
・ アンケート結果については、ZAIM に入居したこと、ZAIM での活動、ZAIM スタッフの対応などの
満足度が高いが、全く使用しない団体があるのは問題。入れ替えについても柔軟な対応ができる
よう、ウェイティングリストなどを用意するとともに、年限を明確にすることも必要。
・ 広報が弱いと感じていたが、ZAIM de Festa 等のチラシをみると変わってきているように感じる。
統一イベントや統一プロモーションについては来年度も続けていただきたい。
・ 広報については、確かに ZAIM 自体について書かれた記事は少ないが、ネットや、イベント会場と
して ZAIM の名前が目につく機会が増えた。総合的な露出度としては多く、運営団体と入居団体の
活動の成果だと思う。
・ カフェは、ZAIM にとっては重要なプレゼンテーション空間であるし、一般の人にとっては、ここ
に入ったら ZAIM のアクティビティがわかるというインフォメーションセンターでもある。ZAIM
の面白さがうまく伝えられるものとして検討してほしい。
・ カフェの南側、中区側のシャッターが閉まり続けているのは、街を歩いている人には印象が悪い。
何らかの形でプレゼンテーションの場として使っていくことを検討されたい。
・ 運営期間が延期できそうだとのことで、上記の指摘点について工夫しながら運営していって頂き
たい。
エ. 急な坂スタジオ
・ 開館して間もないにもかかわらず、多くのことを着実にやろうとしていることは評価したい。将
来的な野望もあるかとは思うが、まずは、着実に稼働率を上げていくことが大切であり、今十分
に注目を集めているので、丁寧に進めていって頂きたい。
・ 急な坂スタジオの伝統のようなものが生まれるためにも、レジデントアーティストのうち若手が
前の人の恩恵を受けてその層が積み重なっていくことが大切だと思う。その意味で、4 人目の公
募と選考を行い、若手に決まったということは喜ばしい。
・ 改装等が不十分であるのであれば、まずその問題点を明らかにしておく必要がある。
・ レジデンス事業や稽古場事業にはつきものだが、事業の性格上、舞台芸術の振興には最も大切な
基盤整備をしているにも関わらず、外部からはよく見えないという問題を抱えている。何をやっ
ているかが一般の方や海外に見えるところまでの連動した事業展開が必要であり、そのためには
横浜市内の発表施設を利用したフェスティバルの構築を期待したい。
・ 将来的には収支のバランス面でも自立を図ることが望まれるが、初期投資の充実は望まれる。公
2/3
創造界隈形成推進委員会(第 4 回)議事録(HP 版)
募の範囲内のルールに従ってやっていくのはやむをえないが、BankART が色々なものを市の他の
プロジェクトに結び付けていったように、急な坂スタジオからの提案も上手に結びつける形で市
には調整をお願いしたい。
・ 来年度の事業計画については、上記の指摘点について工夫しながら運営していって頂きたい。
3.創造界隈形成推進のための今後の施策について
・ 東横線跡地活用懇談会の設置及びアーツ・コミッションの概要について承認。
・ 横浜トリエンナーレ 2008 の調整状況について事務局から報告を受ける。
4.創造界隈形成に関する助言
・ 市全体の課題として、横浜市内のネットワークが少なく、他の拠点や今後展開されるであろう文
化施設や文化事業との情報提供の場を持つための仕組みが必要だと感じる。
・ 拠点というポイントだけでなく、周辺のエリアを考えた環境整備、都市計画、サイン計画も含め
たデザインを横浜市は総合的に考えていく必要がある。
・ 最近、国からアジアゲートウェイ構想が出されたが、この中には横浜市の考えておられるクリエ
イティブシティの方向性とかなり合ってくる部分があると思う。この委員会の位置づけによって
も変わってくるが、文化力、知的創造力等というのを取り込んだ形で、そこに対しての投資や見
た目をどのようにし、それをどう海外に発信していくかといった、もっと大枠のところも考えて
いく必要がある。
・ 歴史的建造物等活用事業以外の施設についても、創造界隈形成推進委員会として議論していくべ
きではないかと思うので、今後事務局でご検討いただきたい。
・ 来年度以降は、各拠点個別のことは分科会で議論し、この全体委員会は大きな戦略を話す会にす
るという方向でご調整頂きたい。
■ その他
報告事項 2 点(事務局より)
(1) 来年度の委員会の開催について
(2)
報告書のとりまとめについて
以上
3/3
平成 18 年度の創造界隈形成推進事業の評価と今後の展開について
発
行
平成 19 年 3 月
創造界隈形成推進委員会
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