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概要版 - 横浜市
平成 18 年度の創造界隈形成推進事業の評価と 今後の展開について (概要版) 平成 19 年 3 月 創造界隈形成推進委員会 創造界隈形成推進委員会とは 委員会の役割 創造界隈形成推進委員会は、横浜市の目指す新たな都市ヴィジョン「文化芸術創造都市クリエイティブシティ・ヨコハ マ」*の実現、またそのプロジェクトの一つとしてのナショナルアートパーク構想**の実現に向けて、その大きな政策のひ とつである「馬車道」、「日本大通り」、「桜木町・野毛」の創造界隈モデル地区において、文化芸術によるまちづくりの視 点から、創造界隈形成の方向性や推進のための施策を検討することを目的に設置された委員会である。 創造界隈形成を推進のための大きな施策の一つとして、「都心部歴史的建造物等活用事業」があり、本委員会では特 に、それぞれの事業運営団体あるいは拠点施設を対象とした事業評価を実施し、文化芸術による創造界隈形成の推 進を行うための施策を策定していくための一環とする。 */**: 「クリエイティブシティ・ヨコハマ」「ナショナルアートパーク構想」については、創造都市推進課ホームページを参照 (http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/kaikou/souzou/index.html) 創造界隈形成事業の概要 □創造界隈形成事業: 創造界隈とは創造的な活動を発信する拠点として活用する歴史的建造物や倉庫などを中心に、アーティストやクリエーター が、創作、発表し、滞在・居住する一定の領域感を持ったエリアを意味するもので、平成 18 年度より都心の旧市街地エリアに おいて、官民協働で事業を展開する。地域資源を活用し、核となる施設の整備やアートの創造発信拠点の拡充、創造的産 業の集積を図り、界隈としての発信性を高めるとともに、地域の活性化を目標とする。 □各モデル地区の方向性: 馬車道創造界隈 日本大通り創造界隈 桜木町・野毛創造界隈 他地区や外延部 地域資源が集中するエリアで創造界隈のモデル地区。東京芸大大学院をはじめ創造発信拠点を核 に映像系産業等の集積を促進。 象の鼻地区へ続く魅力的な街並みを生かした賑わいの創出。既存展示系 施設の連携や大通りの 空間そのものの活用。 文化芸術による地域の活性化、賑わいづくり。地域に根ざした文化の育成と舞台芸術を中心とした創 造・育成機能の強化。 上記3地区での試みを先導とし、他地区での展開や、各創造界隈を補完する特定の機能などの都 心外延部での確保を目指す。 □創造界隈形成のための事業: ・都心部歴史的建造物等活用事業: 文化芸術の振興及び文化芸術によるまちづくりを推進するための拠点形成 ・クリエーター等立地促進助成事業: 対象地区の既存の民間建築物に新たに入居するアーティスト等に助成 ・海外とのアーティスト交流事業: アジアを中心とした海外とのアーティスト・イン・レジデンス交流事業 ・アーツ・コミッション: アーティスト等に対する相談・情報提供等の活動支援を行うアーツ・コミッションを設置 都心部歴史的建造物等活用事業の評価 事業評価に関する基本的な考え方 本委員会による評価は、細目の数値を検討し判断するのではなく、各拠点が目的に沿った活動や運営が出来ている か、「文化芸術創造都市クリエイティブシティ・ヨコハマ」の実現のためによりよい方法はないかを検討することを重視 し、今後の展開のための課題を指摘するという姿勢で評価に臨むものとする。 各拠点における展開 上記の考え方をふまえて、3 つの点に着目し各拠点施設における事業展開の評価を行う。 ①施設の活用指針の確認 ②今年度の活動実績と運営団体の自己評価をふまえた評価 ③来年度の運営・事業計画等についての助言 ・評価の対象拠点施設:BankART1929Yokohama, BankART Studio NYK、BankART 桜荘、ZAIM、急な坂スタジオ 1 各拠点における今年度の事業展開 BankART 1929 Yokohama,BankART Studio NYK 施設の概要 ・ 既 存 施 設: ・ 所 在 地: ・ 面 積: ・ 所有者/財産形態: ・ 事 業 運 営 団 体: ・ 開 館: (1929Yokohama)旧第一銀行、 (StudioNYK)日本郵船倉庫 (1929Yokohama)中区本町6‐50‐1、(StudioNYK)中区海岸通り3-9 (1929Yokohama) 約 2,000 ㎡、 (StudioNYK) 約 1,800 ㎡ (1929Yokohama)横浜市所有、 (StudioNYK)日本郵船と賃貸契約締結(~H.21 年度) BankART1929(平成 19 年 4 月 NPO 法人格取得予定) (1929Yokohama)平成 16 年 2 月、 (StudioNYK)平成 17 年 1 月 施設の活用指針と今年度の事業目標 平成 16 年 2 月より平成 17 年度末まで「都心部における歴史的建築物等の文化・芸術活用実験事業」として運営が行 われており、本格実施となる平成 18 年度から 20 年度の事業計画についても、横浜市の設置した「実験事業の都心部 歴史的建築物の文化・芸術活用実験事業推進委員会」(H.15.10~H.18.03)にてすでに承認を得たものである。 その運用方針は 3 年計画において、以下の 3 つの指針にまとめられている。 「経済的な自立」 「他都市および国際的なネットワークの構築」 「創造界隈プロジェクトのパイオニア的存在としての自覚」 今年度の活動実績 今年度は 3 年計画の初年度としての活動が展開された。 □指針1 「経済的な自立」 ・受付、ショップ、スクール、カフェ&パブ、スタジオ、コンテンツの各事業の安定化と展開 ・館外での(経済の動きを伴う)コーディネート事業の派生 □指針2 「他都市及び国際的なネットワークの構築」 ・『大地の芸術祭 2006』参加作品「BankART 妻有」での活動 ・「開港五都市モボモガを探せ!」の展開 ・国際関係事業の増加 □指針3 「創造界隈プロジェクトのパイオニア的存在としての自覚」 ・リーディングプロジェクトとして個性ある展覧会(ランドマークプロジェクト、食と現代美術、大野一雄メモリアル等)の実施 ・BankART 桜荘との連動 ・創造企業等の誘致、北仲アフターへの寄与 活動実績と自己評価を踏まえての評価 昨年度までの実験事業の実績を活かし、かつ運営方針に沿った適切な事業・運営がなされている。 特に評価する点 課題・問題点 国際的なネットワークや創造都市間ネットーワークの構築は、世界的にも注目されており、高く評価できる。 また、創造界隈のプロジェクトのパイオニア的存在として、BankART という施設の中にとどまることなく、アー ティスト・クリエーターの創造拠点であった『北仲 BRICK&WHITE』の受け皿施設である『本町ビル 45(シゴカ イ)』等、街の中へ活動の場を広げたことも今期の実績と言える。 BankART Studio NYK については、昨年度は建物の使用継続の決定が遅れたため事業の立ち上がりが 約半年間遅れた。事業の継続性の担保は必要である。また、今後は市内の施設や活動グループとのネットワ ークづくり、他の文化施設や文化事業とのコミュニケーションの場の整備も望まれる。なお、歴史的建造物で あるがゆえに、建物の外観が重厚で、外部に活動内容が伝わりにくい点により留意し、街を歩く人にも活動を アピールできるような工夫を積極的に検討されたい。 来年度の運営・事業についての助言 ○地元との結びつき:産業やまちづくりへの展開、アートとものづくりの関係等を考えた事業・広報面での工夫を望む。 ○市との連携:港湾エリアについては、公共空間としての場の重要性を、市と団体もよく理解することが必要。 ○「経済的自立」という指針:具体的な数値目標を市と共有し、それを達成した上で、さらなる収入がある場合は、運 営や事業への再投資に充てることを検討されたい。サポーターの仕組などの上手な利用も望まれる。 ○来年度の事業:大きな催し物は BankART の定番的なものになってきている。このままの継続を期待する。 2 各拠点における今年度の事業展開 BankART 桜荘 施設の概要 ・ 既 存 施 設: ・ 所 在 地: ・ 面 積: ・ 所有者/財産形態: ・ 事 業 運 営 団 体: ・ 開 館: 初黄・日ノ出町文化芸術振興拠点 中区黄金町2-7-2 約 50 ㎡ 民間所有、中区が民間と賃貸契約締結(~H.21 年度) BankART1929(平成 19 年 4 月 NPO 法人格取得予定) 平成 18 年 6 月 施設の活用指針と今年度の事業目標 市の示す 活用指針 運営団体の 基本方針 文化芸術を活用し、まちのにぎわいの創出やアーティストが活動しやすい環境づくり等をめざす (1) まちのにぎわいの創出 (2) アーティストが活動しやすい環境づくり (3) まちの特色の打ち出し (4) 地域と一体になったまちづくりの推進 会話する生きられた家へ―ふたつの日常の挿入 ① 建物の地域への開放と協働 ② アーティストがまちに住む 今年度の活動実績 今年の 6 月にオープンし、周囲との関係も含め、様子を見ながら、慎重な形で徐々に事業が進められている。 □改修工事の実施 ・既存の建物を建築家集団「みかんぐみ」の曽我部昌史氏の率いる神奈川大学建築学科が設計施工を担当し、改修。 ・1F は昼間は常にオープンし誰もが立ち寄れる空間として、2F はアーティストの居住スペースとして活用。 □地域の財産を生かすともに外からの視点も取り入れたスローペースの事業の進行 ・毎週金曜日「これからどうする?」ミーティング ・地域の要人を招いての「桜荘夜話」 ・「桜荘ニュース」の発行 □桜プロジェクト ・遊歩道整備のために伐採された桜の古木を使って、ベンチ等作品をつくるプロジェクトを、整備された橋・船着き場・遊歩道等の 完成にあわせ、実施。 活動実績と自己評価を踏まえての評価 運営開始から間もないが、目標に沿った方向で適切な事業が推進されている。地元との連携は慎重な配慮が重要。 特に評価する点 運営団体の費用負担により実施された改修は、まちの状況を鑑み建物の外観を変えた点でも、アーティストを 場所に引き寄せるためのインフラ整備という点でも高く評価できる。地域での協力者の増加もよい方向である。 課題・問題点 1 つの施設ではなく面的な展開が大切な地域である。桜荘の成功をビジネスモデルとして、横浜市がこのよう な事業をサポートするシステムをつくることが期待される。横浜市が全庁的に取り組んでいく初黄・日ノ出町の プロジェクトにも期待したい。 来年度の運営・事業についての助言 ○宿泊利用における配慮:未だ問題の多い地域ではあり、初年度ということも念頭に、慎重な配慮を希望する。 ○他のプロジェクトとの連携の推進:横浜市立大学のまちづくりプロジェクト、京浜急行線の高架下プロジェクトや横浜市 が今後設置する拠点との関係も視野にいれた、地域全体のプロジェクトとしての計画の推進が必要。 ○来年度の事業計画全般について:引き続き、地域との関係をうまく築く必要がある拠点であることを十分考慮の上、事 業を推進することが望まれる。 3 各拠点における今年度の事業展開 ZAIM 施設の概要 ・ 既 存 施 設: ・ 所 在 地: ・ 面 積: ・ 所有者/財産形態: ・ 事 業 運 営 団 体: ・ 開 館: 旧関東財務局、旧労働基準局 中区日本大通34 約 5,200 ㎡ 横浜市所有 (財)横浜市芸術文化振興財団 平成 18 年 6 月 施設の活用指針と今年度の事業目標 市の示す 活用指針 運営団体の 運営目標 トリエンナーレステーションとして、市民に横浜トリエンナーレの足跡を紹介するとともに、現代美術を始めとする芸術文 化に関心を持ち、自主的に様々な活動を行う市民団体、企業等を増やし、そのネットワークを形成する。その結果、次 回横浜トリエンナーレに向け、地元横浜市の機運を高め、合わせて「創造界隈形成」に寄与する。 (1)トリエンナーレ次回展に向けた新たな芸術文化・創造発信 (2)アーティスト・クリエーターの創造拠点 (3)市民とアートの交流できる場所 (4)地域と一体になったまちづくりの推進 ①横浜トリエンナーレ、現代美術を始めとする芸術文化に理解と関心を持つ市民の増加 ②文化団体やアーティストのネットワークが拡大する中から、新たな芸術文化活動が市内のあちこちで誕生 ③利用者同士の共同制作によるジャンル横断的な企画など、実験的で斬新な活動が生れ ZAIM の独自性を発信 ④BankART の活動などとの相乗効果により、「創造界隈」の形成を促進 今年度の活動実績 事業展開:初年度の目標として以下の 5 つを軸に事業を展開し、計画されていた事業が概ね実施された。 □ZAIM の存在周知・アピールする(オープニングフェスティバル、ZAIM de Festa 等の開催、ホームページの充実) □施設の使い方を例示する(異ジャンルの複合・融合イベント「ZAIM マンスリーアートフェスタ」の実施(毎月 1 回)) □運営目的に合致する新進アーティストの発掘・育成、新しい芸術の創造、市民サポーターの活動促進 □ZAIM をアトリエやオフィスとして継続的に利用する団体を募集し、ZAIM を拠点とする創造活動・市民活動を支援する □財団や横浜市の他の事業との連携(YOKOHAMA EIZONE、横浜ジャズプロムナード、創造都市交流事業等の連携) 運営:アーティストの創造環境を重視し、年中無休 24 時間の利用に対応するなど、柔軟な運営が行われた。 その他:日本大通り活性化委員会に入会し、オープンカフェやイルミネーション事業に参加。 活動実績と自己評価を踏まえての評価 開館して半年間、全体としては活用指針に沿った適切な運営がなされている。 特に評価する点 課題・問題点 入居者・団体の公募にあたっては明確な選考が行われ、入居後は ZAIM に対する満足度も高く、活動状況 も充実している。また、全館フェスティバル等の事業企画も、入居者同士の協働を創発することが期待され、 高く評価できる。ホームページの日英表記や動画配信なども充実している。 各入居者の活動のアピールだけでなく、ZAIM という一つの施設として一貫したイメージづくりがやや不足して いる。入居者間のコミュニケーションは出来ていても、団体としての協働が生まれるには至っていない。ファ サードの見せ方やサイン計画も含め、施設の活動を一体化して伝えていく工夫が必要である。例えばアート 系専門媒体への告知等、創造拠点としての ZAIM を売り込む戦略を持つべきである。また、残念ながら今年 度はトリエンナーレ次回展のディレクターが決定していない段階であり、トリエンナーレ関係の事業は十分に 積極的展開は出来なかった。 来年度の運営・事業ついての助言 ○活用指針・事業目標の見直し:利用年限の延長もふまえ活用指針等の見直しが必要。(トリエンナーレステーション としての位置づけだけでなく、アーティスト・クリエーター等の活動支援としての役割) ○事業・運営全般:事業計画は実施数より印象に残る事業を実施することが大切。人材育成も含め、運営面での人員 拡充が必要なことも併せ、事業・運営計画は無理のないように検討する。 ○入居団体:活動状況によっては入居団体の見直し、再公募も考えられる。芸術不動産事業との連携も望まれる。 ○広報活動:通信社や専門誌を含め、どの媒体に何を載せるかなど、戦略を持ったプレスリリースの作成が必要。 ○撮影利用について:非営利目的と営利利用を整理し、利用料金を収入源とする方法を検討する。 ○カフェについて:ZAIM の活動を伝えるインフォメーションセンターであるという付加価値を持った運営を望む。 4 各拠点における今年度の事業展開 横浜アートプラットフォーム 急な坂スタジオ 施設の概要 ・ 既 存 施 設: ・ 所 在 地: ・ 面 積: ・ 所有者/財産形態: ・ 事 業 運 営 団 体: ・ 開 館: 旧老松会館 西区老松町26-1 約 1,500 ㎡ 横浜市所有 アートネットワーク・ジャパンとSTスポット(平成19年4月、別名称NPO法人格取得予定) 平成 18 年 10 月 施設の活用指針と今年度の事業目標 市の示す 活用指針 運営団体の 基本方針 結婚式場として役割を終えた施設を転用し、舞台芸術を中心とした幅広い芸術活動の創造拠点、また地域とアーティ ストが交流する拠点として再生、活用する。さらに、舞台芸術を中心とした創造・育成機能の強化により、桜木町・野毛 エリアを文化芸術により地域の活性化、にぎわいづくりに繋げ、創造界隈形成を図る。 (1)舞台芸術を中心とした幅広い文化芸術の拠点 (2)地域とアーティストが交流する拠点 ①アーティストが明確な「目標」を持てる街、横浜の実現 ②「桜木町・野毛創造界隈」の形成に向けた行政・NPO・アーティストの協働 ③舞台芸術のプロフェッショナルの養成と人材集積 ④舞台芸術を支える成熟した市民社会の実現 □6つの事業展開:稽古場運営事業、レジデント・アーティスト事業、クリエイティブシティ・ネットワーク事業、 プラットフォーム事業、市民アートコミュニティ事業、舞台芸術プロフェッショナル人材育成事業 今年度の活動実績 事業展開:オープンから 6 カ月、稽古場運営のシステム整備を中心に来年度以降の飛躍に向けたプロセスであった。 □稽古場運営のシステム整備 □4 人目のレジデント・アーティストの公募・選定(28 名の応募から、若手演出家の仲田恭子氏を選出) □その他事業実施 (オープニング事業、マンスリーアートカフェ(毎月実施)等での外部へのアウトプット) 運営:新規 NPO 設立の申請、和室の 24 時間利用の暫定的な試みなど、組織体制・ガイドラインの整備が行われた。 その他:稽古場機能を満たすため、必要最低限の改修工事と備品購入が行われた。 活動実績と自己評価を踏まえての評価 提案書やオープニングシンポジウム等で発表された内容は高く評価できるが、それをどう実現し、地域とのコンセンサ スをどうとっていくかが今後の課題である。この拠点の運営は、舞台芸術の基盤整備という非常に重要で貴重な事業 であり、将来的な可能性を感じられる運営団体への期待は大きい。 特に評価する点 課題・問題点 開館して間もないが、運営団体の実績もあり、業界では十分に注目を集めている。将来的な可能性は感じら れるので、まずは開館してからの短期間に多くのことを着実に実行している姿勢を評価する。4 人目のレジデ ント・アーティストの選定結果も、今後の人材の積層を期待できるものであった。柔軟な運営も評価できる。 稽古場という施設機能ゆえに、外部(特に一般市民)に対しての発信が難しい。特殊な状況を鑑みたアウト プットに軸を絞って、地域・市民とアーティストの交流を目に見える形で実施する必要がある。また、レジデン ト・アーティストとして若手アーティストがそろっているが、老若、プロアマが混じる場も必要ではないか。 来年度の運営・事業についての助言 ○稽古場事業の重要性:新規事業のマンパワーや事業費の確保のためにも、着実に稼働率の向上を図る必要があ る。部屋によって稼働率に差があることも踏まえ、利用増加のための戦略を練る必要がある。 ○地域との関係:ターゲットを絞った地域交流が必要であり、近隣地域の小学校のための企画や、「ふりーふらっと野 毛山」「老人福祉センター」といった施設との連携を通した、地域での知名度向上を期待する。 ○横浜の演劇団体との関係:全てをカバーする必要はないが、関係を作っていくアプローチは積極的に行う。 ○発表機能について:稽古場事業の性格上、広報宣伝を工夫しても発信には限界がある。外部から見える発表・鑑賞 まで連動した事業展開が望ましい。市内の発表施設とのネットワークづくりも検討されたい。 5 創造界隈形成推進のための今後の施策 東横線旧桜木町駅跡地 東横線跡地活用懇談会の設置*および進め方について基本的に了承。 なお、この跡地の活用についても、他の創造界隈形成事業との連携、歴史的建造物等活用事業の 3 つの拠点運営団体 とも何らかのかかわりのある形で進められることが望ましい。 *:「東横線跡地活用懇談会の設置」については、創造都市推進課ホームページ (http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/kaikou/souzou/new/070305.html)を参照 アーツ・コミッション アーツ・コミッションの設置**および進め方について基本的に了承。 創造都市事業本部の今後の展開を見据えて、市と横浜市芸術文化振興財団の協働による運営方法を確認。 ただし、アーツ・コミッションが位置づけられることになる「(仮称)創造都市横浜推進協議会***」については、数多くの組 織が混在した構想になっており、もう少しシンプルな整理が望ましい。また、具体的な進め方を検討するにあたって、行政 外部に相談者を置くことが望ましい。 **: 「アーツ・コミッションの設置」については、創造都市推進課ホームページ (http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/kaikou/souzou/project/vicinity/commission.html)を参照 ***:「(仮称)創造都市横浜推進協議会」については、創造都市推進課ホームページ (http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/kaikou/souzou/project/artpark/ccy.html )を参照 創造界隈形成に関する助言 ○各拠点運営団体に求めること ・拠点運営団体には、事業計画や実績を報告するだけではなく、創造界隈事業全体に関わる事業提案も積極的に行っ てほしい。横浜の創造都市を推進していくために「次にこんなステップが必要ではないか」という声が運営の現場から出 てくることも必要である。 ○コミュニケーションの場の設置 ・情報がないが故の無駄が生じないように、各拠点施設の運営団体相互のコミュニケーションを十分とることが望ましい。 そのことで互いにプラスになる面が必ずあると考えられる。 ○都市計画と連動したエリアとしての創造界隈の検討 ・市の事業であり、拠点(ポイント)だけではなく、その周辺(エリア)を含めた環境整備について、例えば、都市計画やサイ ン計画も含めたデザインを総合的に検討する必要がある。 ・資金不足で事業や改修ができないという発想ではなく、「アイデアがあるからこそできる」ことが、この創造界隈の形成に とっては最も大切な考え方となる。 ○都心部歴史的建造物等活用事業のより広い認知 ・都心部歴史的建造物等活用事業の創造界隈全体への波及効果を考える上でも、市担当課だけではなく、担当部局以 外のセクションや地域とも、各拠点施設の活用指針が共有化されていることを期待する。 ○来年度以降の本委員会の運営について ・歴史的建造物等活用事業各拠点についての評価、助言にとどまらず、対象施設以外の創造界隈の拠点施設につい て、更には横浜市のクリエイティブシティとしての投資や海外発信等大枠の方向性などが議論されることが望まれる。 ・各拠点個別のことは、今後、創造界隈形成推進委員会の分科会で議論し、全体委員会では、大枠の戦略などを中心 に議論する方向で委員会を運営する。 6