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日本の不動産投資市場 2011 日本の不動産投資市場 2011
日本の不動産投資市場 2011 2011年1月 株式会社 野村総合研究所 コンサルティング事業本部 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビル 不動産投資市場の活性化と透明性の向上を目指して 本資料は情報提供を唯一の目的として作成したもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。本資料は、信頼できる情報に基づいて作成さ れていますが、野村総合研究所は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。本資料に記載された意見およびデータは、作成時点 における判断・情報であり、予告なく変わる場合があります。このレポートのいかなる部分も一切の権利は野村総合研究所に帰属しており、電子的または機 械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 1 不動産投資市場に関する野村総合研究所の 研究領域と分析フレームワーク 究領域 析 マクロ経済環境 金融政策・資本市場環境 経済成長率、企業業績、物価、デモグラフィック動向・・・ 政策金利、長期金利、各種規制、政治動向・・・ 賃貸市場 売買市場 ①不動産の需要 ②不動産の供給 ⑤投資家動向 テナントの床需要はあるか? どうい た業種で増えるか? どういった業種で増えるか? どのエリアの需要が高いか? ・・・ 新たに竣工する面積は? 取り壊される面積は? どのようなアセットに どの程度の投資意欲が あるのか? ⑥レンダー動向 ⑦セルサイド動向 どのような案件に どのような条件で 融資しうるのか? 誰がどのような アセットの売却を 進めうるのか? ③空室率の動向 ⑧売買成立の可能性 上昇傾向か?下降傾向か? どのような物件の売却が成立し、どのような物件は成立しないのか? ④賃料水準の動向 ⑨キャップレートの動向 賃料は上昇傾向か?下降傾向か?どの水準か? どの程度のキャップレートで売買が成立するのか? 不動産価格は上昇するか?下落するか? 不動産価値の評価 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2 日本の ク 経済環境 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J REIT市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 3 日本の ク 経済環境 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J REIT市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4 日本のマクロ経済環境 日本の人口は少子高齢化に伴い減少しており、世帯数も今後減少に転じる 人口は2005年を境にピークアウトした。世帯数は現在も増加し続けているが、2015年には減少に転じる見通し。 人口は2005年を境にピ クアウトした。世帯数は現在も増加し続けているが、2015年には減少に転じる見通し。 日本の人口と世帯数の推移 人口(千人) 世帯数(千世帯) ←実績 実績 予測 → 140,000 70,000 120,000 60,000 100,000 50,000 80,000 40,000 60,000 30,000 40,000 20,000 20,000 10,000 0 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 65歳以上人口 15~64歳人口 0~14歳人口 世帯数 出所:人口問題研究所より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 5 日本のマクロ経済環境 日本の経済成長率は低く、今後の大幅な経済成長は見込めない 主要国の実質GDP成長率の推移 (%) 15 0 15.0 ←実績 予測 → China 10.0 India 5.0 Japan US UK United States United States Japan 0.0 United Kingdom China India ‐5.0 ‐10.0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 出所:IMFより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 6 日本のマクロ経済環境 それでも、日本の経済規模は依然として大きく、投資対象として無視し得ない市場である 名目GDPは中国に抜かれ世界第3位となったが、 高成長が続くインドやブラジル、 高成長が続くインドやブラジル、ロシアには2020年時点でも追い付かれない見込みである。 シアには2020年時点でも追い付かれない見込みである。 主要国の名目GDPの推移 (Billion USD) 25,000 ←実績 予測 → US 20,000 China 15,000 Japan U it d St t United States United Kingdom 10,000 China Japan 5,000 India UK India 0 2005 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2010 2015 2020 注: 2015年まではIMF予測、2020年までは2011年~2015年の成長 率(CAGR )が続くと仮定し試算 出所:IMFより野村総合研究所作成 7 日本のマクロ経済環境 日本企業の競争力は高く、業績が回復しつつあることも好材料である 日経の集計によると、2009年度の経常利益は2期ぶりにプラスに転じた。業績予想によると2010年度には売上高もプラスに転じる見通し。 また、2010年度第1四半期には、経常利益が、リセッション前(2008年度第1四半期)の約9割の水準にまで回復した。 但し、今後も円高基調が続けば、業績が下振れする可能性もある。 上場企業の売上高および経常利益の増減率の推移 (%) 60 売上高増減率(前期比) 経常損益増減率(前期比) ←実績 上場企業の経常利益の推移 (1Q08=100の指数) 120.0 予測 → 100.0 40 80.0 20 60.0 40.0 0 20.0 ‐20 0.0 ‐40 ‐20.0 ‐60 ‐40.0 ‐60.0 ‐80 FY2007 FY2008 FY2009 FY2010e 注: 年次、上場767社日経集計 出所:日本経済新聞より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 1Q FY08 2Q FY08 3Q FY08 4Q FY08 1Q FY09 2Q FY09 3Q FY09 4Q FY09 1Q FY10 注:四半期、上場559社日経集計 出所:日本経済新聞より野村総合研究所作成 8 日本のマクロ経済環境 一方で、巨額の財政赤字が課題であり、低位安定していた金利も将来跳ね上がる恐れがある 現在の日本の金利水準は、格付けが日本より高い米、英、独よりも低い水準にある。格付けと金利の乖離が縮まるとすると、日本の金利は、 AAA格の国と同程度の水準か、あるいはそれ以上の他の先進国並みの水準になるとも考えられる。 主要国の対GDP比債務残高の推移 主要国の長期金利(10年国債)の推移と格付け (%) 300 (%) 7.00 ←実績 予測 → 6.00 250 Japan UK AAA/Negative/A-1+ 5.00 200 4.00 150 US 100 UK Germany AAA/Stable/A-1+ 3.00 US AAA/Stable/A-1+ 2.00 Germany 50 1.00 0 0.00 Japan AA/Negative/A-1+ 2000 出所:IMFより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 注: 格付けは2010年9月現在 出所:Bloomberg, S&Pより野村総合研究所作成 9 日本のマクロ経済環境 但し、国内に資金がとどまり循環し続ける限り、財政破綻の可能性は低いとの見方が強い 個人金融資産は、貯蓄率の低下に伴い、2006年をピークに減少していたが、2009年には下げ止まった。 個人金融資産は、貯蓄率の低下に伴い、2006年をピ クに減少していたが、2009年には下げ止まった。 日本は恒常的に経常黒字である。また2000年前半の為替介入により外貨準備高が大幅に積み上がっている。 これらの全てが国債消化に充てられるわけではないものの、急激な海外への資金逃避による財政破綻は起こりにくい。 日本の個人金融資産の推移 (兆円) 2,000 日本の経常収支と外貨準備高の推移 (十億ドル) 1,200 1,000 1,500 800 600 1,000 400 500 200 0 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 経常収支 出所:日本銀行より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 外貨準備高 出所:MOF,IMFより野村総合研究所作成 10 日本のマクロ経済環境 都市別にみると、東京はGDPと人口の点で世界最大の都市であり続ける 2020年の都市別GDP・人口予測 2020年の 都市別GDP規模 (Billion USD) 1,800 Tokyo New York 1,600 1,400 1,200 1,000 Los Angeles 800 London Chicago 600 400 200 Mexico City Paris Osaka/Kobe Sao Paulo Buenos Aires Buenos Aires Shanghai Mumbai 0 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 2020年の 都市別人口 (千人) 出所:PricewaterhouseCoopers、UNより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 11 日本のマクロ経済環境 東京は、Fortune500企業が最も集まる都市である 東京に本社を置くFortune Global 500企業 都市別のFortuneGlobal500企業数(2010年) Tokyo, 49 Beijing, 30 Paris, 25 , New York, 19 London, 18 Others, 335 Seoul, 9 Osaka, 8 T Toronto, 7 7 日本郵政グループ NTTグループ 日立製作所 ホンダ ソニー 東芝 第一生命 セブン&アイホールディングス 三菱UFJフィナンシャルグループ 東京電力 JXホ ルディングス JXホールディングス 富士通 三菱商事 明治安田生命 三井物産 NEC 東京海上ホールディングス 新日本製鉄 KDDI 6位 31位 47位 51位 69位 89位 119位 124位 126位 128位 136位 138位 146位 158位 164位 185位 186位 191位 193位 注: 数字は2010年のランキングを表す 出所:Fortune Global 500 (2010)より野村総合j研究所 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 12 日本のマクロ経済環境 日本全体では人口が減少する一方、東京圏には人口が流入し続けている 社会増だけでなく、自然増も依然として続いており、東京圏の人口増、世帯増は長期的に続く見通しである。 1都3県への人口純流入数の推移 Kanagawa 200,000 Tokyo Chiba Saitama total 150,000 100,000 流入 50,000 0 流出 ‐50,000 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 ‐100,000 出所:住民基本台帳移動報告より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 13 日本の ク 経済環境 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J REIT市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 14 不動産投資市場の概要 日本は世界で第3の規模を持つ市場であり、東京が市場の70%を占めている US、中国は圧倒的な市場規模を有しており、日本はそれに次ぐ位置にある。USや中国が広大な面積に市場が散っているのに対し、日本は狭 い国土に市場が集中している点が一つの特徴である。実に、投資対象となる不動産200兆円のうち、東京市場が70%以上を占める。欧州の多 くの国は、日本の半分ほどの規模である。 主要国と日本の各地域の不動産投資市場の潜在規模 7,000 6,000 5,000 4,000 6,900 3 000 3,000 4,255 2,000 1,000 349 1,662 1 1,390 390 1 1,221 221 1,195 1 195 158 724 2,195 964 Oth her Cities Osaka and d Nagoya Tokyo o Satellite To okyo CBD Japan France UK India Germany G China USA 0 出所:DTZ, EPRA, JPMorgan Asset Managementより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 15 不動産投資市場の概要 リーマンショックによりトータルリターンは急落したが、回復基調に入りつつある 2009年夏以降、キャピタルリタ 2009年夏以降、キャピタルリターンの下落にも歯止めがかかり、反転する傾向にある。また、リーマンショックの前後を含め、インカムリターンは ンの下落にも歯止めがかかり、反転する傾向にある。また、リ マンショックの前後を含め、インカムリタ ンは 5%の水準で安定を保っている。 日本市場のパフォーマンス推移 日本市場のパフォ マンス推移 20.0 Total Return Income Return Income Return Capital Return 15.0 10.0 5.0 0.0 ‐5.0 ‐10.0 Marr‐10 Dec‐09 Sep‐09 Jun‐09 Marr‐09 Dec‐08 Sep‐08 Jun‐08 Marr‐08 Dec‐07 Sep‐07 Jun‐07 Marr‐07 Dec‐06 Sep‐06 Jun‐06 Marr‐06 Dec‐05 Sep‐05 Jun‐05 Marr‐05 ‐15.0 出所:IPDより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 16 不動産投資市場の概要 キャップレートは2005年の水準まで再び上昇し、その後は模様眺めの状況が続く 2008年前半まで、日本市場のキャップレ 2008年前半まで、日本市場のキャップレートは低下の一途をたどったが、その後は上昇に転じている。直近では横ばい状態にあり、当面はこの トは低下の 途をたどったが、その後は上昇に転じている。直近では横ばい状態にあり、当面はこの 傾向が継続する可能性が高い。 アセットクラス間、エリア間のキャップレートのスプレッドは大よそ一定に推移している。 日本市場におけるキャップレートの推移 日本市場におけるキャップレ トの推移 8.0% 7 0% 7.0% オフィス 東京丸の内 オフィス 大阪御堂筋 6.0% 商業 東京銀座 住宅 東京城南 5.0% 4.0% Feeb‐10 Oct‐09 O J un‐09 Feeb‐09 Oct‐08 O J un‐08 Feeb‐08 Oct‐07 O J un‐07 Feeb‐07 Oct‐06 O J un‐06 Feeb‐06 Oct‐05 O J un‐05 Feeb‐05 Oct‐04 O J un‐04 Feeb‐04 Oct‐03 O 3.0% 出所:JREI日本不動産研究所より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 17 不動産投資市場の概要 買い手としての欧米投資家のプレゼンスは急減 2009年以降活発に投資を進めているのは、LaSalle Investmentとドイツのオ Investmentとドイツのオープンエンドファンドなどに限られる。 プン ンドファンドなどに限られる。 欧米系投資家は、今後売り手に回る公算が高い。 欧米系エクイティ投資家による主要トランザクション 2007年 2008年 2009年 2010年 ANAホテル13棟 2,800億円 全 本空輸 全日本空輸→モルガン・スタンレー ガ 天王洲シティグループセンター 480億円 シティグループ→モルガン・スタンレー グ プ ガ パシフィックセンチュリープレイス 1400億円 Da Vinci→Secured Capital Japan 那須ガーデンアウトレット NA 大和地所他 大和地所他→LaSalle Investment ホテル日航那覇グランドキャッスル他 NA 日本航空→ローンスター 新生銀行本店ビル 1,180億円 新生銀行→モルガン・スタンレー ロジポート流山 NA 流山ロジスティック→LaSalle Investment グラスシティ渋谷 NA Da Vinci→LaSalle Investment ティファニー銀座本店ビル 380億円 ティファニー→ゴールドマン・サックス ダヴィンチ神谷町 170億円 DAオフィス投資法人→コメルツ・リアル シンプレクス・インベスメント・アドバイザーズ 5,000億円 渋谷デュープレックスタワー 160億円 SPC→ユニオン・インベストメント 日興コーディアル→ ゴールドマン・サックス、エートス・ジャパン 柳橋ファーストビル NA NA→フランス系CLSA マンションQiz広尾 広 100億円 モリモト→GEリアル・エステート 出所:各種資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 18 不動産投資市場の概要 その一方で、アジア系投資家の勢いが活発になりつつある 韓国、台湾、シンガポ 韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、中東などの投資家が日本への投資を活発化させている。こういった投資家の投資対象はオフィスや商 ル、マレ シア、中東などの投資家が日本 の投資を活発化させている。こういった投資家の投資対象はオフィスや商 業施設など伝統的なアセットクラスに限らず、幅広いアセットクラスを投資対象としている。 ただし、投資規模は100億円以下が中心であり、市場全体の流れを変えるファクターとなるかは現時点で定かでない。 アジア系エクイティ投資家による主要トランザクション 2007年 ホークスタウン 1,000億円 億円 Colony Capital → GIC Real Estate 2008年 ウェスティンホテル東京 770億円 億円 モルガン・スタンレー → GIC Real Estate 2009年 2010年 KDX豊洲グランスクエア 350億円 億円 ケネディクス→韓国NPS、カーライル エーザイ本社ビル他 約 約100億円 億円 NA→韓国NPSなど(Kenedix Fund) リエトコート アルクスタワー 130億円 Da Vinci → クウェート系のMartins ウ 系 ロジパートナーズ柏第二物流センター 約43億円 NA→シンガポール系Mapletree ポ 埼玉・千葉の物流センター 約130億円 NA→シンガポール系Mapletree 老人ホーム5物件 約30億円 Kenedix→シンガポール系Parkway Life REIT ニセコヴィレッジ(ホテル) 約60億円 NA→マレーシア系YTL Corporation Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所:各種資料より野村総合研究所作成 19 不動産投資市場の概要 一方で、国内機関投資家が攻めに転じる兆候はない 日本の年金基金は従来より不動産投資に対して消極的である。2007年頃には不動産投資を積極化する動きがみられたが、その後の金融危機 を経て、投資意欲は再び減退している。 都市銀行、地銀、信金、生損保などの金融法人の多くが既に不動産投資に取り組んでいる。今後、投資を積極化させる姿勢は感じられない。 国内年金 金融法人の不動産投資状況 国内年金・金融法人の不動産投資状況 100% 90% 33 1% 33.1% 80% 70% 58.0% 64.8% 55.0% 63.9% 60% 35.5% 実施予定なし 71.8% 6.5% 4.8% 50% 検討中である 40% 30% 25.2% 23.6% 18.2% 59.7% 8.7% 20% 10% 60.4% 12.8% 16.8% 17.0% 21.4% 23.3% 19.4% 05年・年金 06年・年金 07年・年金 08年・年金 09年・年金 実施している 0% 08年・金融法人09年・金融法人 出所:大和ファンド・コンサルティング資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 20 不動産投資市場の概要 レンダーの貸出態度は最悪期を脱したものの、数年前よりは厳しい 国内金融機関の貸出態度は徐々に柔軟になりつつある。分譲マンションデ 国内金融機関の貸出態度は徐々に柔軟になりつつある。分譲マンションデベロッパーが用地の取得を再開するなどの動向からも、金融機関の ロッパ が用地の取得を再開するなどの動向からも、金融機関の 貸出態度が改善していることがうかがえる。 ただし、メザニンなどを中心に外資系金融機関による貸出が減少し、LTVは50~70%の水準にある。2005~2007年のLTV95%などの案件はなく、 レバレッジにより高い利益を得るOpportunisticモデルの再現は難しい。 国内金融機関の不動産関連融資に関する貸出態度の変化 40 貸出態度が緩い (緩いという回答が 厳しいを上回る) 30 20 10 0 ‐10 貸出態度が厳しい ‐20 (厳しいという回答が 緩いを上回る) ‐30 T l Total 不動産業全体 L Large enterprises i S ll Small enterprises i 不動産大企業向け 不動産中堅企業向け 2010.1Q 2009.4Q 2009.3Q 2009.2Q 2009.1Q 2008.4Q 2008.3Q 2008.2Q 2008.1Q 2007.4Q 2007.3Q 2007.2Q 2007.1Q 2006.4Q 2006.3Q 2006.2Q 2006.1Q ‐40 出所:日本銀行短観より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 21 不動産投資市場の概要 投資家の厚みは減り、レンダーの融資基準も厳しく、数年前の活況には簡単には戻らない これまでと現状との不動産売買市場の差異 れま と現状と 不動産売買市場 差異 2003~2007 ⑤投資家動向 国内系 9 J-REIT 40社超 9 大手デベ 7社 9 新興デベ 30~50社 9 独立系AM 10社 9 その他 外資系 9 米系IB 9 米系AM 9 欧州AM 9 アジア系 5社 30 50社 30~50社 10~20社 5社 2009~2011 ⑥レンダー動向 ⑦セルサイド動向 ⑤投資家動向 ⑥レンダー動向 ⑦セルサイド動向 9 国内メガが不動産向け 融資に積極的 9 2004年までは金融機 関の不良債権処理、製 造業のリストラなどが活 発に進み、不動産を放 出 国内系 9 J-REITはスポンサー企 業物件を中心に取得 9 大手デベは取得済み 案件に注力 9 新興デベは壊滅 9 生保や鉄道はアドホッ クな取得に止まる 9 国内メガは不動産向け 融資に消極的 9 金融危機以降は売り手 が少ない状態続く 9 地銀や外資は完全撤 退 9 2010年秋以降は、外資 系フ ンドや国内メガが 系ファンドや国内メガが 物件の売却処理を加速 する 9 地銀などもシンジケート ロ ンに積極参入 ローンに積極参入 9 外資勢が深いメザニン などを提供し、LTVは 95%以上に 9 2005年以降は、不動産 プレーヤーが売り手に 転じるも、全体として売 り手不足に 9 CMBS市場もフル回転 外資系 9 米系はLaSalle、Elliott などに減少 9 韓、台、新、中東などア ジア系は急増 9 CMBS市場は大幅に縮 小し 程度 低下 9 LTVは50%程度に低下 し、スプレッドも拡大 9 ドイツのオープンエンド ファンドMS P2 Value F dなどは全不動産 Fundなどは全不動産 売却を正式に表明 ⑧売買成立の可能性 2005年くらいまでは売買が容易に成立、それ以降は大都市では売り手不足に ⑧売買成立の可能性 おおよその物件は売買が成立する状況にあるものの、品川シーサイドの 大型案件に代表されるとおり、買い手と売り手の目線に開きがある ⑨キャップレートの動向 流動性回復により5%台に低下し、その後売り手不足により4%台に低下 流動性回復により 台に低下し、その後売り手不足により 台に低下 ⑨キャップレートの動向 流動性を期待できる 億未満の物件に関しては、買 手が多 ものの、 流動性を期待できる100億未満の物件に関しては、買い手が多いものの、 買い手が乏しい数百億円の物件は、キャップレートが上昇する懸念もある 出所:野村総合研究所 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 22 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J REIT市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 23 オフィス市場 東京のCBDエリアは都心5区 東京のCBDは、5㎞四方の限られた領域、すなわち都心5区に集中している。しかし、この限られた空間に多数のオフィスが集積し、1都3県の 3 300万人が利用している それによ て 東京は世界でも類を見ない巨大都市として機能している この都市機能を実現する上では 郊外も含 3,300万人が利用している。それによって、東京は世界でも類を見ない巨大都市として機能している。この都市機能を実現する上では、郊外も含 めた良好な住環境と、高度に発展した交通システムが果たす役割が大きい。 Adachi Itabashi Kita Katsushika Arakawa Toshima Saitama 718万人 Bunkyo Taito Sumida Nakano Tokyo 1,304万人 Kanagawa 901万人 Edogawa Shinjuku Chiyoda Chiba 620万人 Chuo Shibuya Koto 30 km MInato Setagaya Meguro Shinagawa Ohta 30 km Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所:各種資料より野村総合研究所作成 24 オフィス市場 日本の賃貸オフィス市場において、東京都内が56%のシェアを持つ 日本の賃貸可能なオフィスはおよそ8,800万㎡のストックを有する。それ以外にも賃貸には利用されにくい小規模なオフィスを含めれば、日本の オフィス総床面積は1億6,000万㎡に達する。東京都はそのうち56%(4,900万㎡)を占め、圧倒的な市場規模を持つ。 さらに、東京の賃料水準は他の都市よりも大幅に高い。したがって、日本のオフィス総賃料のシェアにおいては、東京は64%を占めるというデー タもある。 賃貸オフィスビルの地域別シェア 100.0% 90 0% 90.0% 80.0% 15.3% 70.0% 60.0% 5.0% 50.0% 1.2% 102万㎡ 2.2% 193万㎡ 5.9% 1.2% 2 1% 2.1% 109万㎡ 185万㎡ 1 9% 1.9% 166万㎡ 3.9% 347万㎡ 2.8% 243万㎡ 519万㎡ 444万㎡ 20.0% 56.1% 212万㎡ 大阪圏シェア 18.6% 1,348万㎡ 主要12都市合計 8,814万㎡ 40.0% 30.0% 2.4% 東京圏シェア 64.5% 4,946万㎡ 10.0% 0.0% Tokyo 東京都区部 Yokohama Saitama 横浜市 さいたま市 Chiba 千葉市 Nagoya 名古屋市 Osaka 大阪市 Kyoto 京都市 Kobe 神戸市 Hiroshima Fukuoka 広島市 福岡市 Sapporo 札幌市 Sendai 仙台市 出所:JREIより野村総合研究所作成 ※調査時点は2009年末 ※各都市の調査地域は主要オフィスエリアに限定される ※東京・大阪・名古屋は5,000㎡以上、その他都市は3,000㎡以上が調査対象 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 25 オフィス市場 東京の空室率は急上昇し、歴史的な水準に達している 「オフィスの2003年問題」を軟着陸した結果、東京オフィス市場の空室率は2005年から2007年にかけて急速に低下していった。しかし、リーマン オフィスの2003年問題」を軟着陸した結果、東京オフィス市場の空室率は2005年から2007年にかけて急速に低下していった。しかし、リ マン ショックにより状況は一変した。底堅いと思われた東京のオフィス需要は激減した。現在も空室率は歴史的に高い水準が続いている。 東京都心5区の空室率推移 12.0% 12.0% 10.0% 港 10.0% 渋谷 新宿 8.0% 8.0% 中央 6.0% 6.0% 千代田 4.0% 4.0% 2.0% 2.0% 0.0% 0.0% 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 新宿 港 渋谷 中央 千代田 Dec‐09 Jan‐10 Feb‐10 Mar‐10 Apr‐10 May‐10 Jun‐10 Jul‐10 Aug‐10 Sep‐10 出所:三鬼商事より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 26 オフィス市場 空室率の上昇に伴い、賃料は下落傾向が鮮明である 各エリアともに、過去10年の中でもっとも低い水準まで下落しているが、歯止めがかかる兆候は見えていない。 各 リアともに、過去10年の中でもっとも低い水準まで下落しているが、歯止めがかかる兆候は見えていない。 東京都心5区の賃料推移(万円/月・坪) (万円/月・坪) 24000 24,000 22000 22,000 20000 港 20,000 18000 18,000 中央 16000 16,000 14000 14,000 12000 12,000 10000 10,000 千代田 渋谷 新宿 千代田 渋谷 港 中央 新宿 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 Dec‐09 Jan‐10 Feb‐10 Mar‐10 Apr‐10 May‐10 Jun‐10 Jul‐10 Aug‐10 Sep‐10 出所:三鬼商事より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 27 オフィス市場 CBDエリアを中心にした今後の大量供給は、空室率・賃料の悪化材料になる 東京23区内で2010年以降に完成する延べ床面積1万㎡以上の大規模オフィスビルの計画は126棟、総延べ床面積では約760万㎡に達する。 東京23区内で2010年以降に完成する延 床面積1万㎡以上の大規模オフィスビルの計画は126棟、総延 床面積では約760万㎡に達する。 ピークとなる2012年に完成するビルは28棟、244万㎡に及ぶ。大手町、丸の内のほか、中野、お台場など周辺エリアにおいて大量供給が見込 まれている。 東京23区におけるオフィスビル供給面積・棟数の推移 供給面積(万㎡) 供給棟数 300 70 250 供給面積(万㎡) 供給棟数 244 60 216 50 200 162 40 150 30 108103 89 87 100 57 50 20 10 0 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016~ 0 出所:森ビル、日経不動産マーケット情報より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 28 オフィス市場 現時点においても40%以上の大手企業がB、Cクラスオフィスを利用している 今後、大量に供給されるオフィスビルを吸収する需要の 今後、大量に供給されるオフィスビルを吸収する需要の一つとして考えられるのが、Bクラス、Cクラスオフィスを利用している大手企業である。 つとして考えられるのが、Bクラス、Cクラスオフィスを利用している大手企業である。 日本企業の多くが現在においても、老朽化した旧設備のビルを利用している。こういった企業は耐震や分散したオフィス拠点の統合などを経営 課題としている。そういった課題認識が顕在化すれば、都心のSクラスビル、Aクラスビルの需要に変わる可能性もある。 上場企業が入居するビルの分布 上場企業が 居するビ 分布 (調査対象は東京のみ、2008年5月調査) 非常に広い 広い (フロア席数200名以上) (フロア席数100~200名 300 150 中程度 狭い (フロア席数50~100名 75 (フロア席数50名未満) 25 0.2% 1.高層ビル (おおよそ21階以上) 10.4% 5.1% 2.2% 135000㎡ 67500㎡ 33750㎡ 2.中高層ビル 2 (おおよそ11階~20階程度) 3.8% 6.0% 5.6% 1.5% 67500㎡ 33750㎡ 16875㎡ 5625㎡ 3.中低層ビル (おおよそ6階~ 階 10階程度) 3.4% 6.0% 12.1% 12.1% 36000㎡ 18000㎡ 9000㎡ 3000㎡ 2 9% 2.9% 3 3% 3.3% 6 3% 6.3% 19 1% 19.1% 6750㎡ 3375㎡ 1125㎡ 4.低層ビル (おおよそ5階以下) 出所:野村総合研究所 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 29 オフィス市場 キャップレートは上昇したものの、依然として5%を下回る水準にある 2000年頃より東京のオフィス市場のキャップレ 2000年頃より東京のオフィス市場のキャップレートは急速に低下した。国内外の数多くのエクイティ投資家が東京オフィス市場に参入し、レン トは急速に低下した。国内外の数多くの クイティ投資家が東京オフィス市場に参入し、レン ダーからの資金調達が容易であったことがキャップレートを押し下げるドライバーであった。2006年以降は、丸の内のキャップレートは3%代にあ り、実質的に取得不能なレベルのキャップレートであった。 リーマンショック後、キャップレートは上昇に転じたものの、2009年に入ると落ち着きを取り戻し、現在は一定水準を維持している。 東京オフィス市場のキャップレート推移 8.0% 7 0% 7.0% 東京 丸の内 6.0% 日本橋 日本橋駅周辺 六本木 六本木駅周辺 5.0% 港南 品川駅周辺 西新宿 東京都庁周辺 4.0% Feeb‐10 Oct‐09 O Ju un‐09 Feeb‐09 Oct‐08 O Ju un‐08 Feeb‐08 Oct‐07 O Ju un‐07 Feeb‐07 Oct‐06 O Ju un‐06 Feeb‐06 Oct‐05 O Ju un‐05 Feeb‐05 Oct‐04 O Ju un‐04 Feeb‐04 Oct‐03 O 3.0% 出所:JREI日本不動産研究所より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 30 オフィス市場 羽田空港の国際化により利便性が向上する臨海エリアの活性化が期待される 各地域のファンダメンタルズ ①池袋 悪い 特に変化の材料はない 普通 ⑨上野 良い 特に変化の材料はない ②新宿 ⑩秋葉原 Toshima 三菱地所の東新宿PJTなどが動き 出し、供給量はさらに増える 大手町、丸の内エリアの賃料が下 大手町 丸の内エリアの賃料が下 落する場合、影響を被る懸念がある Bunkyo ③赤坂・虎ノ門 Taito Nakano 外資企業の減少などにより、空室率 も高い水準 Chuo Shibuya MInato ファッション、ITなどの床需要は弱 く、好材料が乏しい 三井不動産など、引き続き大型物 三井不動産など 引き続き大型物 件の供給が見込まれる 大量供給が控えており、需給悪化、 賃料低下の懸念がある Chiyoda ⑤渋谷 ⑥大崎 ⑪丸の内・大手町 Shinjuku ④六本木 外資系企業に依存度が高いことが 課題である Sumida Koto ⑫日本橋 三井不動産などが推進するプロ ジェクトによりオフィス集積は進展 ⑬有楽町・新橋 大手町、丸の内エリアの賃料が下 落する場合、影響を被る懸念がある Meguro ⑭豊洲・晴海・有明 Shinagawa オフィス立地として競争力が低く オフィス立地として競争力が低く、 発展可能性は低い ⑦品川・天王洲 ⑮浜松町・田町 現在は空室率が高く、賃料も弱含 みであるが、羽田国際化の恩恵を 受けやすい 都心部や空港へのアクセスの良さ から底堅いエリア ⑧蒲田 羽田に近接する交通の要所であ り、オフィスとしての価値も上昇する ポテンシャルを持つ Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 羽田空港 2010年10月より国際化し、アジア 都市と東京を直結する機能が増大 ⑯お台場 オフィス立地として競争力が低く、 発展可能性は低い 31 オフィス市場 大阪は構造的な需給悪化により、ファンダメンタルズは悪化の一途をたどっている 大阪市場においては、2008年、2009年の大量供給により、空室率が10%まで上昇している。さらに、2010年、2012年も大量の新規オフィス供給 が続き、空室はさらに増加することが懸念される。 需給悪化は構造的な変化である。大阪のオフィスワーカ・セールスワーカは全国に先駆けて、ピークから著しく減少している。中長期的に空室 率は高い水準が持続すると考えられる。 大阪のオフィス供給面積と空室率の推移 主要都市のオフィス・セールスワーカ数推移 供給面積(万㎡) 空室率 40 34.32 35 万人 15.0% 160 13.0% 140 30 10.3% 11.0% 120 1986 25 24.09 9.0% 100 1991 7.0% 80 5.0% 60 20 18.15 13.53 15 10 8.25 3.0% 7.59 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 ‐1.0% 1994 0 1993 1.0% 1992 5 1996 2001 2006 40 2011 20 2016 0 札幌 仙台 横浜 名古屋 大阪 福岡 予測 出所:ニッセイ基礎研究所 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所:ニッセイ基礎研究所 32 オフィス市場 地方においても、構造的な需給悪化が進んでおり、改善を期待することは難しい 地方を中心に、大量の不動産ストックが需要不足の状態に陥り、新規物件と既存物件とが賃料・稼働率を食い合う状況が続く。 地方を中心に、大量の不動産ストックが需要不足の状態に陥り、新規物件と既存物件とが賃料 稼働率を食い合う状況が続く。 地域別の中期的なオフィス供給傾向 新規供給比率→ オフィス新規供給→ 6.3% 19.3 オフィスストック→ 307 9.2% 2009~2011年の 供給量がストックの 19.4% 5.1% 2.1 41.0 14.5% 14 5% 4.5 31.0 札幌 仙台 9.1 9.4% 12.4 64.0 横浜 52 5.2 99.0 55 名古屋 大阪 福岡 出所:ニッセイ基礎研より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 33 オフィス市場 地方のキャップレートは上昇傾向に歯止めがかかっていない 東京オフィス市場や住宅市場のキャップレ 東京オフィス市場や住宅市場のキャップレートが横ばいになりつつあるのに対し、大阪など地方オフィス市場のキャップレートは上昇傾向が続 トが横ばいになりつつあるのに対し、大阪など地方オフィス市場のキャップレ トは上昇傾向が続 いている。ファンダメンタルズへの不信感がキャップレートを上昇させる要因となっている。 地方オフィス市場のキャップレート推移 地方オフィス市場のキャップレ ト推移 8.0% 7 0% 7.0% 札幌 駅前通り 6.0% 仙台 青葉通り 名古屋 名駅周辺 5.0% 大阪 御堂筋沿い 福岡 天神 4.0% Feeb‐10 Oct‐09 O Ju un‐09 Feeb‐09 Oct‐08 O Ju un‐08 Feeb‐08 Oct‐07 O Ju un‐07 Feeb‐07 Oct‐06 O Ju un‐06 Feeb‐06 Oct‐05 O Ju un‐05 Feeb‐05 Oct‐04 O Ju un‐04 Feeb‐04 Oct‐03 O 3.0% 出所:JREI日本不動産研究所より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 34 日本の ク 経済環境 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 35 住宅市場 賃貸住宅の空室率は地方が下降傾向にある一方、東京では上昇に向かっている 東京は6%前後でゆるやかに推移していたが、リーマンショック後は8~10%まで上昇を続けている。 東京は6%前後でゆるやかに推移していたが、リ マンショック後は8 10%まで上昇を続けている。 リーマンショック以前は概して地方の方が東京よりも高い水準にあったが、今年に入ってからは逆転し、東京の空室率が地方を上回っている。 レジデンシャルREITの空室率推移(地域別) 14% 12% 10% 8% 都心3区 東京23区 6% 4% 札幌市 仙台市 大阪市 2% 福岡市 0% ※確定値:~2009年12月 、準確定値:2010年1月 、速報値:2010年2月 ~2010年6月 出所:ARESより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 36 住宅市場 優良物件を多く保有するREITの中でも、一部は空室率上昇に苦しんでいる 各レジデンシャル系REITの空室率推移 14.0% 12.0% 日本レジデンシャル投資法人 10.0% アドバンス・レジデンス投資法人 8 0% 8.0% 日本アコモデーションファンド 本 デ シ ド 野村不動産レジデンシャル 6.0% ビ・ライフ投資法人 4.0% ※2010年3月に日本レジデンシ ルは ※2010年3月に日本レジデンシャルは 2.0% アドバンス・レジデンスと合併 9月 7月 5月 3月 2010年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2009年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2008年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2007年1月 11月 9月 7月 5月 3月 0.0% 出所:各社資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 37 住宅市場 ただし、低迷する分譲マンション市場に比べると、賃貸住宅市場は持ちこたえている 首都圏の分譲マンション販売戸数、賃貸住宅着工件数推移 (戸) 180,000 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0,000 0 2000 2001 2002 2003 分譲マンション販売戸数 2004 2005 2006 2007 2008 2009 年間賃貸住宅着工数(首都圏) 出所:不動産経済研究所、国交省建築着工統計より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 38 住宅市場 また、所得の低下も住宅取得を控えさせ、賃貸需要を後押ししている 1世帯当たり1ヶ月の平均実収入、及び首都圏における年間賃貸住宅着工数 世帯当たり 月 平均実収入 及び首都圏における年間賃貸住宅着 数 実収入(円) 着工数(戸) 620,000 700,000 首都圏における分譲マンションの供給数推移2000~2008 600,000 600,000 580,000 500,000 560,000 400,000 540,000 300,000 520,000 200,000 500,000 100,000 480,000 0 1995 1996 1997 1998 1999 1世帯当たり1ヶ月の平均実収入 2000 2001 2002 2003 2004 年間賃貸住宅着工数(全国) 出所:統計局家計調査、国交省建築着工統計より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 39 住宅市場 日本人の嗜好として賃貸住宅を好む傾向も増えている 日本人の持家志向は根強いが、現実的には賃貸を選択する場合も多いという、理想と現実のギャップが存在している。 「理想の住まい」と「現実的な住まい」 100 90 賃貸住宅が肯定的に捉えられる理由としては、金銭面での負担が小さい ことが大きい。(住宅ローン、初期負担、天災の際被る経済的負担等) 80 70 賃貸 他、隣人や地域とのトラブル、家族構成の変化や職場の変化があった 際にもフレキシブルに対応できることがあげられる。 60 持家 50 40 30 20 ※「理想の住まい」‥最も暮らしたいと思う住まいのタイプをアンケート調査(単一回答)、 「その他」以外の回答を分類 「現実的な住まい」‥住み替えを行う予定のある人を対象に、現実的に選ぶと思う住まい のタイプを調査し(単一回答)、「その他」以外の回答を分類 10 0 理想の住まい(N=1,866) 現実的な住まい(N=851) 出所: NRI「住宅選択に関するアンケ NRI「住宅選択に関するアンケート調査」(09年6月) ト調査」(09年6月) Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 40 住宅市場 地方市場に関しては、どの地方も2006年を境に住宅着工数は減少傾向にある 人口が密集する東京が突出するなど住宅着工数に差はあるものの、各地方別に見た着工数の増減傾向は一致している。 人口が密集する東京が突出するなど住宅着工数に差はあるものの、各地方別に見た着工数の増減傾向は 致している。 (戸) 都道府県別着工新設住宅戸数(総数) 200,000 180 000 180,000 160,000 北海道 140 000 140,000 宮城 120,000 東京 100 000 100,000 愛知 80,000 福岡 60,000 , 40,000 20,000 0 2004 2005 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2006 2007 2008 2009 出所:国交省着工統計より野村総合研究所作成 41 住宅市場 売買市場は比較的活発であり、流動性が高いことが一つの特徴である 投資家層が厚く、キャップレートが上昇すれば、いつの時代も投資家が参入してくる。 投資家層が厚く、キャップレ トが上昇すれば、いつの時代も投資家が参入してくる。 (件) 250 売買事例数 (価格帯) 200 100 mil US$~ 50 ‐100 mil US$ 150 30 ‐50 mil US$ 20 ‐30 mil US$ 100 15 ‐20 mil US$ 10 ‐15 mil US$ 5 ‐10 mil US$ 50 1 ‐5 mil US$ ~1 1 milil US$ 0 例: 出所:各種資料より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 42 住宅市場 キャップレートは4.5%から7%の間でゆるやかに推移している 東京における住宅のキャップレート 8 0% 8.0% 7.0% 1ルーム(城南) 6.0% 1ルーム(城東) 5.0% ファミリー(城南) ファミリ (城南) 4.0% ファミリー向け(城 東) Apr‐10 Jan‐10 Oct‐09 Jul‐09 Apr‐09 Jan‐09 Oct‐08 Jul‐08 Apr‐08 Jan‐08 Oct‐07 Jul‐07 Apr‐07 Jan‐07 Oct‐06 Jul‐06 Apr‐06 Jan‐06 Oct‐05 Jul‐05 Apr‐05 Jan‐05 Oct‐04 Jul‐04 Apr‐04 Jan‐04 Oct‐03 3.0% 例: 出所:JREIより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 43 日本の ク 経済環境 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 44 商業施設市場 リーマンショック以降、日本の小売市場の苦境が続いている 近年、百貨店の年間売上高は継続して減少していたが、リーマンショック以降、急速に対前年増減率が下がっている。 近年、百貨店の年間売上高は継続して減少していたが、リ マンショック以降、急速に対前年増減率が下がっている。 売上高 (十億円) 増減率 (%) 2 百貨店年間売上高の推移 10,000 (十億円) 9,000 -0.47 8,000 , 7,000 0 -0.83 -0.91 -1.80 -2 -2.81 -2.66 -2.79 -2.87 6,000 -4 -4.20 5,000 -6 4 000 4,000 3,000 -8 2,000 10 -10 -10.80 1,000 0 -12 2000 2001 2002 2003 2004 年間売上高(全国) 2005 2006 2007 2008 2009 対前年増減率 出所:日本百貨店協会より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 45 商業施設市場 消費者心理は継続して冷えこんでいる 今後の暮らし向き等に関する消費者意識を表す消費者態度指数は、2007年より急速に悪化した。 今後の暮らし向き等に関する消費者意識を表す消費者態度指数は 2007年より急速に悪化した 昨年春より回復基調についてはいるが、同年夏からは再び伸び悩んでおり、依然として消費動向は厳しい状況にある。 消費者態度指数 60 50 40 30 20 10 7月 4月 2010年1月 2 10月 7月 4月 2009年1月 2 10月 7月 4月 2008年1月 2 10月 7月 4月 2007年1月 2 10月 7月 4月 2006年1月 2 10月 7月 4月 2005年1月 2 10月 7月 2004年4月 2 0 ※消費者態度指数:今後の暮らし向き、収入の増え方、耐久消費財の買い時等の消費者意識指標につ き、消費者の意向を調査し景気動向判断の基礎調査とすべく内閣府により作成される。 出所:内閣府より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 46 商業施設市場 ただし一方的な「引きこもり」ではなく、消費者は使うべきところにはお金を使う傾向にある 全体的な消費傾向は芳しくないものの、ただ安いものを志向するのではなく、ライフスタイル 全体的な消費傾向は芳しくないものの、ただ安いものを志向するのではなく、ライフスタイルへのこだわり、機能性の高さの志向などが高まって のこだわり、機能性の高さの志向などが高まって いる様子。 基本的な消費価値観の推移 できるだけ長く使えるものを買う 多少値段が高くても、品質の良いものを買う 安全性に配慮して商品を買う 2000 2003 2006 自分のライフスタイルにこだわって商品を選ぶ 2009 環境保護に配慮して商品を買う とにかく安くて経済的なものを買う 0 10 20 30 40 50 60 70 (%) 出所:野村総合研究所「生活者一万人アンケート調査」(2000年、2003年、2006年、2009年) Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 47 商業施設市場 日本は構造的なデフレにあると言われているが、主な要因は耐久消費財にある 日用品などはデフレ傾向にない。 消費者物価指数(2005年=100とした指数値) 160.0 140.0 120.0 総 合 財 サービス 耐久消費財 半耐久消費財 非耐久消費財 100.0 80.0 60 0 60.0 40.0 20.0 0.0 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 出所:統計局より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 48 商業施設市場 リテイル市場を活発化させる一つの材料は中国人観光客の急増 近年急増している中国人観光客は、他国からの観光客に比 近年急増している中国人観光客は、他国からの観光客に比べ日本での消費額が大きく、中でも買い物代に費やす額が飛びぬけている。 日本での消費額が大きく、中でも買い物代に費やす額が飛びぬけている。 訪日中国人観光客 (人) 1,200,000 (万円) 14 1人当たり訪日外客消費額 1 12 1,000,000 0 2 10 0 800,000 2 8 600,000 1 0 6 400,000 4 4 5 2 200 000 200,000 2 2 0 0 韓国 出所:日本政府観光局(JNTO) より野村総合研究所作成 9 0 1 その他 2 買い物代 娯楽サービス費 2 0 1 0 1 0 1 1 台湾 2 3 2 香港 飲食費 宿泊料金 0 1 1 交通費 1 0 1 5 4 1 中国 英国 米国 注)1人あたり訪日外客消費額(内訳)は、購入率×購入単価より算出している。 集計処理が異なるため、内訳別平均値の合計値は平均総消費額と微少の差が生じている。 出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2010年4月~6月期)より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 49 商業施設市場 賃料は東京が最高水準にあるが、その中でもエリアにより大きな格差が存在している 東京の中でも銀座 東京の中でも銀座・表参道周辺・新宿の3エリアが特に高い。東京以外で高い水準を持つエリアとしては、第二の商業都市である大阪の心斎橋 表参道周辺 新宿の3 リアが特に高い。東京以外で高い水準を持つ リアとしては、第二の商業都市である大阪の心斎橋 エリアが目立つ。 プライムビルの賃料相場(円/坪) (1階を含む2階もしくは3階)(2008) ※高低線の上端・下端はそれぞれ高値・下値を表す ※高低線の 端 下端はそれぞれ高値 下値を表す 250 000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 銀座 表参道 新宿 渋谷 池袋 梅田 心斎橋 京都 神戸 原宿・青山 東京都 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 大阪府 京都府・兵庫県 出所:CBREより野村総合研究所作成 50 商業施設市場 キャップレートは上昇傾向に歯止めがかかっていない 都心型専門店よりも郊外型ショッピングセンターの方が、また、三大都市の中では名古屋が最も高く、東京が最も低い。 都心型専門店よりも郊外型ショッピングセンタ の方が、また、三大都市の中では名古屋が最も高く、東京が最も低い。 都心型専門店のキャップレート 郊外型ショッピングセンターのキャップレート 8.0% 8.0% 7.0% 7.0% 東京 東京(銀座、 ( 高級専門店) 6.0% 6.0% 名古屋 名古屋 5 0% 5.0% 5 0% 5.0% 4.0% 大阪 Mar‐10 Aug‐09 Jan‐09 Jun‐08 Nov‐07 Apr‐07 Sep‐06 Feb‐06 Jul‐05 Dec‐04 May‐04 Oct‐03 Mar‐10 Aug‐09 Jan‐09 Jun‐08 Nov‐07 Apr‐07 Sep‐06 Feb‐06 Jul‐05 Dec‐04 May‐04 3.0% Oct‐03 3.0% 大阪 4.0% 出所:JREIより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 51 商業施設市場 空室率は今年に入り上昇が目立つが、1%と依然低い水準を保っている 商業系REITの多くが核テナントであるイオンやヨ 商業系REITの多くが核テナントであるイオンやヨーカドーと長期契約を締結している。したがって、空室率は全体として低い傾向にある。ただし、 カド と長期契約を締結している。したがって、空室率は全体として低い傾向にある。ただし、 昨今は大型スーパーマーケットの退出や、小型テナントの退出が増え始めており、こういった動きに着目する必要がある。 コマーシャルREITの空室率推移 (%) 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 2010/07/01 2010/04/01 2010/01/01 2009/10/01 2009/07/01 2009/04/01 2009/01/01 2008/10/01 2008/07/01 2008/04/01 2008/01/01 2007/10/01 2007/07/01 2007/04/01 2007/01/01 2006/10/01 2006/07/01 2006/04/01 2006/01/01 2005/10/01 2005/07/01 2005/04/01 2005/01/01 2004/10/01 2004/07/01 2004/04/01 2004/01/01 2003/10/01 2003/07/01 0 出所:ARESより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 52 商業施設市場 ビッグディールは近年減少傾向にあるが度々はなされており、流動性は枯渇していない 案件名 売買額 売り手 買い手 売 売買額100億円以上の売買案件 売 買収額(円) 100億~500億 年 2007 2008 銀座本店 ル 銀座本店ビル 380億円 ティファニー ゴールドマン・サックス ビックカメラ池袋本店 ックカ ラ池袋本店 290億円 ビックカメラの組成したSPC ビックカメラ ダイヤモンドシティ・リーファ 299億円 有限会社コンパニア・フロール 日本リテールファンド投資法人 ダイヤモンドシティ・テラス 203億円 アイシティ 日本リテールファンド投資法人 キッズパーク 216億円 大阪市 阪市 関西テレビ 渋谷デュープレックスタワー 160億円 有限会社スカイ・ライン 有限会社 ラ ユニオン・インベストメント 500億~1000億 1000億~ 恵比寿ガ デンプレイ 恵比寿ガーデンプレイス 500億円 株式会社恵比寿ガーデンプレイス モルガン・スタンレーグループ 銀座東芝ビル 1610億円 東芝 東急不動産 ホークスタウン 1000億円 Colony Capital (米) GIC Real Estate 三越池袋店 750億円 三越 越 シンプレクス・リート投資法人 アリオ鳳 190億円 イトーヨーカ堂 日本リテールファンド投資法人 2009 イトーヨーカドー東大和店(信) 116億円 ミカノハラ・ベータ・スリー有限会社 フロンティア不動産投資法人 2010 (1月~9月) ラフォーレ原宿 218億円 森ビル 森ヒルズリート投資法人 ららぽーと磐田 ぽ 152億円 三井不動産 フロンティア不動産投資法人 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所:日経不動産マーケット情報より野村総合研究所作成 53 日本の ク 経済環境 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 54 物流不動産市場 自動車輸送貨物量は減少し続けており、国内貨物の市場縮小が進んでいる 自動車輸送貨物量は、近年は特に自家用自動車による輸送を中心として減少傾向となっている。 順調に推移していた営業用自動車の輸送量についても、2000年前後をピークに頭打ちの傾向が見られる。 自動車輸送貨物の推移 (百万トン) (百 ) 7,000 Private Commercial 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 FY50 FY55 FY60 FY65 FY70 FY75 FY80 FY83 FY84 FY85 FY86 FY87 FY88 FY89 FY90 FY91 FY92 FY93 FY94 FY95 FY96 FY97 FY98 FY99 FY00 FY01 FY02 FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 0 出所:国土交通省「交通関連統計資料集」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 55 物流不動産市場 新規供給はひと段落だが、企業の物流機能集約による施設の大型化が進んでいる 近年、物流施設の供給棟数は減少しているが、一棟当たり床面積は拡大傾向にある。 近年、物流施設の供給棟数は減少しているが、 棟当たり床面積は拡大傾向にある。 大型化している背景には、企業がコスト削減のためにSCMへの対応や集約化を推し進めており、新型・大型施設のニーズが高いという要因が ある。 リセッション以降新規供給が途絶えていたこともあり、現在では新型・大型施設には供給不足感が出てきている。 全業種に関する倉庫の棟数と一棟当たり床面積 (棟) (㎡) 60,000 600 50,000 500 40,000 400 30,000 300 20,000 200 10,000 100 Warehouse FYY09 FYY08 FYY07 FYY06 FYY05 FYY04 FYY03 FYY02 FYY01 FYY00 FYY99 FYY98 FYY97 FYY96 FYY95 FYY94 FYY93 FYY92 FYY91 FYY90 FYY89 0 FYY88 0 Gross floor space per sq. mt 出所:国土交通省「建築統計年報」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 56 物流不動産市場 空室率は依然として高止まりしているが、新規大型物件の空室消化は好調である 2008年上期に川崎や横浜の湾岸地区で新規供給が相次ぎ、それ以降空室率は高止まりしている。 一方で、 SCMへの対応や統廃合による高スペック・大型施設への移転ニーズは底堅いため、新規物件の空室消化は比較的順調に進んでい る。 物流不動産の平均空室率の推移 物流 動産 均空室率 推移 (首都圏の大型マルチテナント型物流施設) 25.0% 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% Mar‐04 Jun‐04 Sep‐04 Dec‐04 Mar‐05 Jun‐05 Sep‐05 Dec‐05 Mar‐06 Jun‐06 Sep‐06 Dec‐06 Mar‐07 Jun‐07 Sep‐07 Dec‐07 Mar‐08 Jun‐08 Sep‐08 Dec‐08 Mar‐09 Jun‐09 Sep‐09 Dec‐09 Mar‐10 Jun‐10 0 0% 0.0% Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 注 注: 首都圏:1都3県 大型マルチテナント型物流施設:延床面積10,000坪以上 出所:CBREより野村総合研究所作成 57 物流不動産市場 空室率が急上昇した08年以降、大型物件を除き、市場全体の賃料は下落し続けている 直近では千葉県で上昇に転じたものの、市場全体では依然として賃料の要求水準は厳しく、本格的な賃料回復には至っていない。 他方で、新型・大型物件は底堅いニーズに支えられ、賃料は値崩れしていない。 (円/坪) 物流不動産の月額募集賃料の推移 (首都圏の中大型物流施設) 6,000 5,000 4,000 3,000 東京都 都 神奈川県 埼玉県 2,000 千葉県 1,000 0 注: 中大型物流施設:募集面積1,000坪以上の物流施設 出所:CBREより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 58 物流不動産市場 売買件数は回復しつつあり、特に外資系投資家による取得や開発が再活性している リセッション以降落ち込んでいた売買件数は、2009年上期を境に増加に転じた。特に2010年に入ってからは、外資系による取得が増えている。 外資系投資家では、LaSalleのような従来の欧米系に加え、最近ではシンガポールのMapletreeといったアジア系の投資家も積極的である。 また、プロロジスは日本での新規開発に注力しており、2010年の開発案件数は前年比2倍、グローバルの新規開発予算の半分(350~400億 円)を日本に割り当てている。 物流不動産の買主別売買件数の推移 2010年の外資系投資家による取得事例 20 18 Mapletree Investment 柏第二物流センター 仙台センター 岩槻物流センター 岩槻物流センタ 入間物流センター 野田物流センター 16 14 12 10 44.6億円 14.9億円 48.0億円 34.0億円 48.0億円 8 LaSalle Investment Management 東京湾岸エリア3物件 (金額は不明) 6 4 2 0 2008_1H 2008_2H 2009_1H 2009_2H 2010_1H 2010_2H (As of Aug.) 外資系 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 国内 出所:日経不動産マーケット情報より野村総合研究所作成 59 物流不動産市場 2008年後半から続いたキャップレートの上昇は、2010年に入りひと段落した 物流不動産のキャップレート(期待利回り)の推移 8 00% 8.00% 7.00% 6 00% 6.00% 東京・シングルテナント 5.00% 東京・マルチテナント 4 00% 4.00% 千葉・シングルテナント 3.00% 千葉・マルチテナント 2 00% 2.00% 1.00% 0 00% 0.00% 注: シングルテナント:階層2~3階、延床面積10000㎡程度 マルチテナント:階層3~4階、延床面積50000㎡程度 出所:日本不動産研究所より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 60 日本の ク 経済環境 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. ホテル市場 金融危機、新型インフルエンザの影響があった09年も、宿泊者数は微減に留まった 2009年は金融危機後の景気後退(企業の出張費削減に伴う出張旅行の減少)や新型インフルエンザの影響があったものの、延べ宿泊数は微 減に留まった(09年度比 -2.7%)。 内訳を見ると、日本人宿泊者は安定的に推移(09年度比-1.5%)する一方、外国人宿泊者は大幅に減少(09年度比 -17.8%)した。 国内宿泊者市場(日本人/外国人延べ宿泊者数) [百万人泊] 350 309 300 23 +0.1% -1.8% 310 22 -2.7% -17.8% 301 18 250 200 200 150 287 +0.3% 287 -1.5% 外国人延べ宿泊者数 [百万人泊] 系列1 283 日本人延べ宿泊者数 [百万人泊] 系列2 100 50 0 2007年 年 2008年 年 2009年 年 出所:観光庁「宿泊旅行統計」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 62 ホテル市場 直近は、金融危機前の水準まで戻りつつある 日本人客は金融危機後も安定的に推移している。人口減少や高齢化の影響から、今後も引き続き、低位安定的に推移すると考えられる。 外国人客も直近、金融危機前の水準まで回復しつつある。 日本人延べ宿泊者数 [百万人泊] 外国人延べ宿泊者数 [百万人泊] 90 7 80 6 70 5 60 2007 50 2007 4 2008 40 2009 30 2010 2008 リーマンショック、 新型インフルエンザの 影響により大幅減 3 2 2009 2010 20 1 10 0 0 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 出所:観光庁「宿泊旅行統計」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 63 ホテル市場 現在、国を挙げて外国人客誘致に取り組んでおり、今後の増加が期待される 現在、国は観光産業を国の重点産業の一つ位置づけ、今後、2020年までに2,500万人を達成することを目標としている。 現在、国は観光産業を国の重点産業の つ位置づけ、今後、2020年までに2,500万人を達成することを目標としている。 訪日外国人客推移、及び政府目標値[万人] 政府目標(2010~) 実績(~2009) 3,000 2,500 2 500 2,500 2,000 2,000 1,500 1 500 1,500 1,000 1,000 679 500 20 019 20 016 20 013 20 010 20 005 20 000 1995 1990 0 出所:日本政府観光局(JNTO)より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 64 ホテル市場 特に中国人客のポテンシャルが大きい 中国人の海外旅行者数(1,277万人)は既に韓国(1,200万人)や台湾(847万人)を上回るほどに成長しているが、人口当たりの出国比率(出国 率)は依然として低い水準(1.0%程度)にあり、今後も成長余地は大きいと考えられる。 主要国・地域の出国者数[千人]と人口に対する出国率[%] 出国者数[千人] 系列2 出国率[%] 系列1 80,000 160% 70,000 , 140% 60,000 120% 50,000 100% 40,000 80% 30,000 60% 20,000 40% 10,000 20% タイ インドネシア 豪州 香港 注( ) シンガポール 台湾 インド スペイン 韓国 中国 メキシコ 日本 オランダ 5 0% ) 3 フランス カナダ 注( イタリア 2 ) ) 1 ロシア 米国 注( 英国 注( ドイツ 0 注1 注2 注3 注4 注5 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. ヨーロッパ域内域を含んだ英国人出国者数 カナダ、メキシコ行きを含んだ米国人出国者数 米国行きを含んだカナダ人出国者数 香港、マカオ行きを除いた中国人出国者数(含、日帰り客) 中国本土行きを含んだ香港人空路出国者数(除、マカオ行き) 出所:日本政府観光局(JNTO)「日本の国際観光統計2009」より野村総合研究所作成 65 ホテル市場 実際、金融危機後も中国人客は一貫して増加傾向にある 外国人延べ宿泊者数(主要国別) [百万人泊] 5 4 韓国 系列1 3 系列2 中国 2 系列3 香港 台湾 系列4 1 アメリカ 系列5 0 2007年 2008年 2009年 出所:観光庁「宿泊旅行統計」より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 66 ホテル市場 観光ビザの発給条件の緩和により、今後も引き続き中国人客は増加していくと考えられる 個人向け観光ビザ発給条件が緩和した直後の2010年07月~08月で、成田空港から入国した中国人が前年比1.8倍に増加した。 中国人向け観光ビザ規制緩和状況 2000年09月 団体旅行(4人~) ビザ発給対象地域 2004年09月 団体旅行(4人~) ビザ発給対象地域拡大 2005年07月 団体旅行(4人~) ビザ発給対象地域拡大(全地域) 2008年03月 家族旅行(2人~) ビザ発給(試行) 2009年07月 2010年07月 個人旅行 ビザ発給 ※富裕層(年収25万元(約350万円)以上) 個人旅行 ビザ発給条件緩和 ※中間層 (年収6万元(約80万円)以上) 数千 万人 約4億人 出所: 各種公開情報より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 67 ホテル市場 羽田空港国際化に伴い、東京のホテルマーケットの吸引力は大きくなる 2010年10月に羽田空港の国際線ネットワ 2010年10月に羽田空港の国際線ネットワークは拡大する。2011年度には発着回数ベースで、羽田空港(東京)は成田国際空港(千葉)・関西国 クは拡大する。2011年度には発着回数 スで、羽田空港(東京)は成田国際空港(千葉) 関西国 際空港空(大阪)に次ぐ国際空港となる。 羽田の離着陸数が増加することで、特に東京のホテル市場の吸引力はますます大きくなる。 空港別国際線発着回数 [万回] 20 拡張後の羽田国際線ネットワーク 17 15 15 9 10 7 6 5 3 ロンドン パリ 2 2 1 羽田空港(~201 10年度) 福岡空港 福 中部国 国際空港 羽田空港(2011年 羽 年度~) 関西国 国際空港 羽田空港(2014年 羽 年度~) 0 成田国 国際空港 バンクーバー バンコク クアラルンプール 北京 上海 香港 羽田 ソウル ラ シ サンフランシスコ ニューヨーク ロサンゼルス 台北 コタキナバル ホノルル シンガポール 黒: 既存路線 青: 10年10月21日以降新規就航国際線 出所: 各種公開情報より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 68 ホテル市場 外国人客増加による恩恵は、東京が最も享受すると予想される 中国人の約7割、外国人客全体の約6割が東京に訪れる。 訪日外国人の訪問率(出身国別)(2009年) 出身国・地域 韓国 (N=3,716) 台湾 (N=2,286) 中国 (N=2,068) 香港 (N=1,100) 米国 (N 1 516) (N=1,516) 訪日外国人全体 (N=15,355) 1位 2位 3位 4位 5位 東京 (45.0%) 大阪 (21.6%) 福岡 (20.3%) 京都 (11.1%) 神奈川 (9.7%) 東京 (44.3%) 大阪 (23.7%) 京都 (15.8%) 千葉 (15.8%) 神奈川 (15.0%) 東京 (70.8%) 大阪 (41.6%) 神奈川 (30.1%) 京都 (29.4%) 千葉 (23.1%) 東京 (53.7%) 大阪 (19.6% ) 北海道 (17.3%) 千葉 (13.9%) 京都 (10.2%) 東京 (66.5%) (66 5%) 京都 (20.4%) (20 4%) 神奈川 (20.3%) (20 3%) 大阪 (17.2%) (17 2%) 千葉 (11.2%) (11 2%) 東京 (58.8%) 大阪 (24.4%) 京都 (20.6%) 神奈川 (16.7%) 千葉 (12.7%) 出所:日本政府観光局(JNTO)より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 69 ホテル市場 稼働率は金融危機前の水準まで戻り、特に東京の稼働率は高い水準にある 2010年の月別のホテル客室稼働率は2007年や2008年前半の水準には及ばないものの、2009年を上回る水準が続いている。 地域別の客室稼働率を比較すると、東京都の稼働率はもっとも高く、増加率ももっとも改善している。 客室稼働率推移[%] 地域別 客室稼働率 [%] 100 2010年07月 2009年07月 東京都 80 80.7% 76 2% 76.2% 4 5% 4.5%pt 大阪府 56.1% 59.7% -3.6%pt 全国 65.0% 60.8% 4.2%pt 出身国・地域 増減 80 60 2007年 2008年 40 2009年 2010年 20 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 出所:全日本シティホテル連盟より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 70 ホテル市場 金融危機以降、ホテルの開発ペースが落ちている 2006年点のホテル新・増設計画は客室数ベースで4万室以上あったが、2010年06月時点では約3万室まで減少した。 2006年点のホテル新 増設計画は客室数 スで4万室以上あったが、2010年06月時点では約3万室まで減少した。 地区別にみると、東京、近畿、沖縄の開発計画が多い。 新・増設ホテル計画確認客室数の推移[室] 100% 80% 70% 1,755 60% 50% 3,286 1,727 40% 30% 6,389 20% 九州 601 東北 0% 2,806 1,273 関東 10% 北海道 調査時点 10/06 08/06 06/06 04/06 02/06 0 東京 10,000 東海中部 15,194 2,594 4,696 近畿 23,467 越北陸 甲信越 30,000 568 四国 31,357 20 000 20,000 5,662 5,66 90% 37 502 37,502 40,000 沖縄 43,242 中国 50,000 地域別ホテル新・増設計画(客室数) (2010年06月調査時点 合計31,357室) 出所:「週刊ホテルレストラン」(オータパブリケーションズ)より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 71 ホテル市場 政府目標が達成された場合、東京のホテルの供給能力は逼迫する ホテルの余剰供給能力と政府目標達成時の需要増[千人泊] (日本全体) 150,000 ホテルの余剰供給能力と政府目標達成時の需要増[千人泊] (東京都) 20,000 10年06月時点 17,000 新・増設計画分 15,000 100,000 10,000 09年時点 未稼働客室 123,000 3,500 14,400 50,000 5,000 9,000 44,000 0 0 1 余剰供給能力 2 需要増(~2019年) 訪日外国人2,500万人達成時 1 余剰供給能力 2 需要増(~2019年) 訪日外国人2,500万人達成時 出所:観光庁、日本政府観光局、 「週刊ホテルレストラン」(オータパブリケーションズ)より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 72 ホテル市場 金融危機以降、100億円以上の大型ディールは成立していない 近年の主なホテル売買事例 売買時期 物件名称 売買額 売主 買主 2002年04月 ホテルオークラ神戸 165億円 ホテルオークラ AIG関連会社 2004年2月 新神戸オリエンタルホテルほか 125億円 ダイエー モルガン・スタンレー 2004年11月 ウェスティンホテル東京 500億円 サッポロホールディングス モルガン・スタンレー 2006年1月 ホテル日航アリビラ 197億円 フランクフォートインベストメント ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人 2006年2月 幕張プリンスホテル 132億 西武鉄道 アパグループのSPC 2006年4月 ロイヤルホテル 150億円(株の40%) ロイヤルホテル 森トラスト 2006年9月 ホテルオ クラ神戸 ホテルオークラ神戸 190億円 ラムダ プロパティ ズ ジャパン インク ラムダ・プロパティーズ・ジャパン・インク 森トラスト総合リ ト投資法人 森トラスト総合リート投資法人 2007年2月 六本木プリンスホテル 407億円 西武鉄道 住友不動産 2007年3月 ホテルプレジデント青山 164億円 中央物産 ダヴィンチ・アドバイザーズのSPC 2007年4月 ANAホテル13棟 2800億円 全日本空輸 モルガン・スタンレー 2008年2月 ウェスティンホテル東京 770億円 モルガン・スタンレー GIC Real Estate 2008年12月 ホテルグレイスリー田町 41億円 合同会社イーホテルズ・エスビー 阪急リート投資法人 出所: 各種公開情報より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 73 ホテル市場 金融危機期以降、期待利回りは増加傾向にある 他エリアと比較すると、東京の期待利回りは低い水準にある。但し東京の期待利回りも近年増加傾向にあり、10年04月時点で6.4%程度。 他 リアと比較すると、東京の期待利回りは低い水準にある。但し東京の期待利回りも近年増加傾向にあり、10年04月時点で6.4%程度。 ホテルの期待利回り推移[%] 8.0% 東京 系列1 7.0% 札幌 系列2 6.0% 名古屋 系列3 5.0% 4.0% 大阪 系列4 3.0% 福岡 系列5 2.0% 1.0% 0 Feb‐10 Oct‐09 Jun‐09 9 Feb‐09 Oct‐08 Jun‐08 8 Feb‐08 Oct‐07 Jun‐07 7 Feb‐07 Oct‐06 Jun‐06 6 Feb‐06 Oct‐05 0.0% 出所: 各種公開情報より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 74 日本の ク 経済環境 日本のマクロ経済環境 日本の不動産投資市場の概況 オフィス市場 住宅市場 商業施設市場 物流不動産市場 ホテル市場 J-REIT市場 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. J-REIT市場 2001年9月にスタートしたJ-REIT市場の時価総額は、ピークから約3兆円まで半減した J-REIT市場は、2001年9月に2銘柄が上場し、時価総額2,500億円でスタート。現在では36銘柄、約3兆円の規模になっている。 J REIT市場は、2001年9月に2銘柄が上場し、時価総額2,500億円でスタ ト。現在では36銘柄、約3兆円の規模になっている。 J-REITの時価総額の推移 (10億円) 7 000 7,000 6,000 5 000 5,000 4,000 3 000 3,000 2,000 1,000 0 2001/09/10 2002/09/10 2003/09/10 2004/09/10 2005/09/10 オフィス特化型REIT 2006/09/10 住宅特化型REIT 2007/09/10 2008/09/10 2009/09/10 その他REIT 出所:Bloombergより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 76 J-REIT市場 東証REIT指数は、TOPIXと同様の動きを示し、不動産業指数よりも安定的に推移している 東証REIT指数は、東証不動産業指数よりも安定的に推移しているが、2007年5月の最高値からは、大きく落ち込んでいる。 東証REIT指数、TOPIXと東証不動産業指数の推移 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1 000 1,000 0 2003年3月 2003年12月 2004年9月 2005年6月 2006年3月 東証REIT指数 2006年12月 TOPIX 2007年9月 2008年6月 2009年3月 2009年12月 2010年9月 東証不動産業指数 注)2003年3月を1,000とする 出所:Bloombergより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 77 J-REIT市場 J-REITの配当利回りは、リーマンショックを除けば、3.0~6.0%前後で推移している J-REITの配当利回りは、2008年9月に大きく上昇したが、現在では約6%前後で推移している。 J REITの配当利回りは、2008年9月に大きく上昇したが、現在では約6%前後で推移している。 J-REITの予想配当利回りの推移 14 0% 14.0% 12.0% 10 0% 10.0% 8.0% 6.0% 4.0% 2.0% 0.0% 2001年9月 2002年9月 2003年9月 2004年9月 総合 2005年9月 オフィス特化型REIT 2006年9月 2007年9月 2008年9月 2009年9月 住宅特化型REIT 出所:Bloombergより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 78 J-REIT市場 金融危機の顕在化により、国内個人投資家と外国人投資家の投資動向が大きく変化した サブプライムローン問題の顕在化前後で、外国人投資家が買い越しから売り越しへと大きく投資行動を変化させた。 サブプライム ン問題の顕在化前後で、外国人投資家が買い越しから売り越し と大きく投資行動を変化させた。 J-REITの投資部門別売買動向の推移 (10億円) 200.0 150.0 買い越し 100.0 50.0 0.0 売り越し -50.0 -100.0 -150.0 2003年4月 2003年12月 2004年8月 2005年4月 生保・損保 2005年12月 銀行 2006年8月 投資信託 2007年4月 事業法人 2007年12月 国内個人 2008年8月 2009年4月 2009年12月 2010年8月 海外法人・個人 出所:東京証券取引所より野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 79 J-REIT市場 J-REITは割安という意識が支配的 2007年までは割高であると感じる国内機関投資家が多かったが、現在は割安と考える機関投資家が約50%に達している。 国内年金・金融法人のJ-REITの価格水準に対する認識 100% 90% 80% 38.0% 40.8% 70% 60% 50% 43.2% 5.8% 3.7% 23.1% 10.8% 33.1% 2.5% 20.6% 10.6% 0% 06年・年金 割安である 18.1% 33 6% 33.6% 23.7% 20% 05年・年金 18.2% 8. % 適正水準である 37.0% 18 6% 18.6% わからない どちらかというと割安 4.1% 6.8% 43.2% 30% 21.8% 41.6% 5 5% 5.5% 40% 10% 22.4% 29.6% 07年・年金 2007年までは 割高という評価 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 17.0% 43 6% 43.6% どちらかというと割高 30.5% 割安という 認識が主流に 6.7% 6.4% 11 2% 11.2% 2.9% 2.7% 2 7% 6.2% 0.9% 2.2% 8.2% 1.8% 08年・年金 09年・年金 08年・金融法人 09年・金融法人 割高である 出所:大和ファンド・コンサルティング資料より野村総合研究所作成 80 J-REIT市場 2008年11月以降、数多くのJ-REITが合併を繰り返し、合従連衡が進展している J-REIT銘柄一覧(2008年10月) NO. コード 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 8951 8952 8953 8954 8955 8956 8957 8958 8959 8960 8961 8962 8963 8964 8965 8966 8967 8968 8969 8970 8972 8973 8974 8975 8976 8977 8978 8979 8980 8981 8982 8983 8984 8985 8986 8987 3226 3227 3229 3234 3240 3249 投資法人名 日本ビルファンド投資法人 ジャパンリアルエステイト投資法人 日本リテールファンド投資法人 オリックス不動産投資法人 日本プライムリアルティ投資法人 プレミア投資法人 東急リアル・エステート投資法人 グローバル・ワン不動産投資法人 野村不動産オフィスファンド投資法人 ユナイテッド・アーバン投資法人 森トラスト総合リート投資法人 日本レジデンシャル投資法人 インヴィンシブル投資法人 フロンティア不動産投資法人 ニューシティ・レジデンス投資法人 クレッシェンド投資法人 日本ロジスティクスファンド投資法人 福岡リート投資法人 プロスペクト・リート投資法人 ジャパン・シングルレジデンス投資法人 ケネディクス不動産投資法人 積水ハウス・SI 投資法人 ラサール・ジャパン投資法人 FCレジデンシャル投資法人 大和証券オフィス投資法人 阪急リート投資法人 アドバンス・レジデンス投資法人 スターツプロシード投資法人 エルシーピー投資法人 ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人 ジャパン ホテル アンド リゾ ト投資法人 トップリート投資法人 ジャパン・オフィス投資法人 ビ・ライフ投資法人 日本ホテルファンド投資法人 日本賃貸住宅投資法人 ジャパンエクセレント投資法人 日本アコモデーションファンド投資法人 MIDリート投資法人 MIDリ ト投資法人 日本コマーシャル投資法人 森ヒルズリート投資法人 野村不動産レジデンシャル投資法人 産業ファンド投資法人 運用資産 オフィスビル特化型 オフィスビル特化型 商業施設特化型 総合型(オフィスビル中心) 複合型(オフィス+都市型商業施設) 複合型(オフィス+住居) 複合型(オフィス+商業施設) オフィスビル特化型 オフィスビル特化型 総合型(オフィス+住居+商業施設+ホテル) 総合型(オフィスビル中心) 住居特化型 総合型(住居中心+オフィス等) 商業施設特化型 住居特化型 複合型(オフィス+住居) 物流施設特化型 総合型(商業施設中心) 総合型(住居+オフィス+商業施設) 複合型(住居+ホテル等) 総合型(オフィスビル中心) 総合型(住居+商業施設中心) 総合型(オフィス+商業施設中心) 総合型(住居+ホテル等) オフィスビル特化型 総合型(商業施設中心) 住居特化型 総合型(住居中心) 総合型(オフィスビル・住居中心) ホテル特化型 総合型(オフィス+商業+住居) 複合型(オフィスビル中心) 複合型(住居+商業施設) ホテル特化型 住居特化型 総合型(オフィスビル中心) 住居特化型 総合型(オフィスビル中心) 複合型(オフィスビル+商業施設) 総合型(オフィス+商業施設+住居) 住居特化型 複合型(物流施設+インフラ施設) Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. J-REIT銘柄一覧(2010年10月) NO. コード 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 8951 8952 8953 8954 8955 8956 8957 8958 8959 8960 8961 8963 8964 8966 8967 8968 8972 8973 8975 8976 8977 8979 8981 8982 8983 8984 8985 8986 8987 3226 3227 3229 3234 3240 3249 3269 投資法人名 日本ビルファンド投資法人 ジャパンリアルエステイト投資法人 日本リテールファンド投資法人 オリックス不動産投資法人 日本プライムリアルティ投資法人 プレミア投資法人 東急リアル・エステート投資法人 グローバル・ワン不動産投資法人 野村不動産オフィスファンド投資法人 ユナイテッド・アーバン投資法人 森トラスト総合リート投資法人 インヴィンシブル投資法人 フロンティア不動産投資法人 平和不動産リ ト投資法人 平和不動産リート投資法人 日本ロジスティクスファンド投資法人 福岡リート投資法人 ケネディクス不動産投資法人 積水ハウス・SI 投資法人 FCレジデンシャル投資法人 大和証券オフィス投資法人 阪急リート投資法人 スタ ツプロシ ド投資法人 スターツプロシード投資法人 ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人 トップリート投資法人 ジャパン・オフィス投資法人 ビ・ライフ投資法人 日本ホテルファンド投資法人 日本賃貸住宅投資法人 ジャパンエクセレント投資法人 日本アコモデ ションファンド投資法人 日本アコモデーションファンド投資法人 MIDリート投資法人 日本コマーシャル投資法人 森ヒルズリート投資法人 野村不動産レジデンシャル投資法人 産業ファンド投資法人 アドバンス・レジデンス投資法人 運用資産 オフィスビル特化型 オフィスビル特化型 商業施設特化型 総合型(オフィスビル中心) 複合型(オフィス+都市型商業施設) 複合型(オフィス+住居) 複合型(オフィス+商業施設) オフィスビル特化型 オフィスビル特化型 総合型(オフィス+住居+商業施設+ホテル) 総合型(オフィスビル中心) 総合型(住居中心+オフィス等) 商業施設特化型 複合型(オフィス+住居) 物流施設特化型 総合型(商業施設中心) 総合型(オフィスビル中心) 総合型(住居+商業施設中心) 総合型(住居+ホテル等) オフィスビル特化型 総合型(商業施設中心) 総合型(住居中心) ホテル特化型 総合型(オフィス+商業+住居) 複合型(オフィスビル中心) 複合型(住居+商業施設) ホテル特化型 住居特化型 総合型(オフィスビル中心) 住居特化型 総合型(オフィスビル中心) 複合型(オフィスビル+商業施設) 総合型(オフィス+商業施設+住居) 住居特化型 複合型(物流施設+インフラ施設) 住居特化型 81 J-REIT市場 2010年の物件取得動向は、前年同期比の約2.6倍にまで回復 J-REITによる資産売買は、2009年第3四半期に大きく低迷したが、2010年に入ってからは、やや回復基調にある。 J REITによる資産売買は、2009年第3四半期に大きく低迷したが、2010年に入ってからは、やや回復基調にある。 J-REITの資産売買額の推移 (億円) 3,000 2,395 2,500 2,000 図表題 フォント:MSPゴシック サイズ:14 色:黒 2,259 例)東京オフィス市場の賃料推移 1,975 1,669 1,404 , 1 500 1,500 1,084 826 1,000 522 521 500 36 0 -500 -168 -306 -665 -1,000 -477 -91 -53 -262 -544 -605 -1,230 -1,500 2008 2Q 2008 3Q 2008 4Q 2009 1Q 取得 2009 2Q 譲渡 2009 3Q 2009 4Q 2010 1Q 2010 2Q 2010 3Q 差引額 注)2010 3Qは8月分まで 出所:ARESより野村総合研究所作成 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 82 執筆者一覧 金 惺潤 SungYoon KIM 主任コンサルタント、[email protected] 【執筆担当】不動産投資市場全般、オフィス市場 【執筆担当】不動産投資市場全般 オフィス市場 【専門領域】不動産企業の経営戦略、機関投資家のリ アルアセット投資研究、不動産市場研究 石原 大輔 Daisuke ISHIHARA 副主任コンサルタント、[email protected] 【執筆担当】ホテル市場 【専門領域】住宅、不動産、レジャー・ホスピタリティ分 野における市場環境分析、及び事業・経営戦略立案 谷山 智彦 Tomohiko TANIYAMA 主任コンサルタント、[email protected] 【執筆担当】J-REIT市場 【 【専門領域】不動産等のオルタナティブ投資市場に関 】 ブ 資市 する調査研究、金融商品開発、事業戦略 小口 敦司 Atsushi KOGUCHI 副主任コンサルタント、[email protected] 【執筆担当】物流不動産市場 【専門領域】不動産、交通・物流を代表とするインフラ 企業の事業・経営戦略立案、市場環境分析 荒木 康行 Yasuyuki Araki コンサルタント、[email protected] 小石川 祥子 【執筆担当】マクロ経済環境、物流不動産市場 【専門領域】不動産・インフラ分野における投資環境 分析・事業戦略立案 【執筆担当】住宅市場、商業施設市場 【専門領域】不動産・インフラ分野における投資環境 分析、事業戦略 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. Shoko KOISHIKAWA コンサルタント、[email protected] 83 Copyright(C) 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 84