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岡山大学 VnmrJ 3.2 測定マニュアル
1. コラボレーション棟 102 号室(NMR 室)への入室
・102 号室は土足厳禁ですので、備え付けのスリッパに履き替えて入室して下さい。
・入室時に酸素濃度計を確認し、酸素濃度に異常がないか確認をしてください。通常は 20%以上の数値を示し
ています。
・測定室の温度計を確認し、測定室内が 25℃以下であることを確認して下さい。測定室内が 25℃以上である場
合は空調機の異常が考えられますので、温度異常がある場合は指導教員に報告をした後、管理者に連絡をして
下さい。
・測定室内には 5 ガウス以上の強い磁場、強いラジオ波が発生している場所があります。致命的な影響を受け
る心臓ペースメーカや動脈クリップを装着している方は危険ですので、入室できません。
・時計やクレジットカードは強い磁場で破損しますので持込まないで下さい。
・ネクタイピン、ヘアピンやピンセット、書類を留めているクリップやステープル等の鉄製品はマグネット内
に飛んでいく危険がありますので、マグネットに近付く際には体から取り外していることを再確認してくださ
い。
・NMR の利用には機器予約が必要です、あらかじめマシンタイムを確認し、予約をして下さい。
予約は機器利用時間のみとし、無駄にマシンタイムを占有しないで下さい。マシンタイム予約をするというこ
とは、機器使用の意思があるということですから、予約をしたにもかかわらず測定を行わないようなことは絶
対にしないで下さい。他ユーザーの機器を利用する機会を奪ってしまいます。予約に責任を持つように心がけ
て下さい。
2. 装置利用前の確認
設置してある NMR 装置はワークステーションにセットアップしてあるソフトウェア VnmrJ3.2 で制御します。
NMR 装置には前の測定者が標品であるエチルベンゼンを挿入しています。モニターには測定結果がグラフィ
ックキャンバスに表示されており、装置に異常がないことを示しているはずです。通常はオフセットとシムが
正確に調整されたチャートが示してありますので、利用前にはサンプル回転も含め、必ず装置に異常がないこ
とを再確認するようにしてください。
3. サンプルの交換と挿入
マグネットには標品サンプル(封管 NMR チューブ, ethylbenzene in CDCl3)が挿入してありますので、持込
んだサンプルと交換してください。
・VnmrJ3.2 より「取出し」をクリックするとサンプルがマグネット上に浮上します。
・サンプルロータに汚れが付着している場合、装置内部を汚染しますので、ロータの汚れを確認するようにし
てください。備え付けの布で拭いても汚れが取れない場合は管理者に連絡をしてロータを交換してもらってく
ださい。
・持込みサンプルには汚れが付着している場合が多いです、必ず備え付けの布でサンプル管を拭くようにして
ください。
・サンプル位置調整は必ず行って下さい。間違った位置で調整しサンプルロータを
マグネットに挿入した場合、マグネット内部でサンプル管を折損します。
・マグネットサンプル挿入口より十分なエアが出ていることを確認し、ゆっくりと
サンプルロータをセットして下さい。サンプルロータが浮上することを確認してか
ら手を離すようにしてください。
・VnmrJ3.2 より「挿入」をクリックするとサンプルがマグネット内に取り込まれ
ます。目視でサンプルがマグネットに取り込まれたことを確認して下さい。
4. 溶媒設定と Z0 探索
サンプルに用いている重溶媒を選び、
「ハードウェア設定」をクリックします。
Z0 はサンプルに用いている溶媒によって異なります。CDCl3 を用いたサンプルの場合、標品と溶媒条件は同じ
で、Z0 の値は同じ位置を示すので、ロック値(重水素シグナルレベル)が上昇し、ロックはかかった状態とな
ります。
サンプルの溶媒条件が異なる場合、たとえば DMSO-d6、Acetone-d6、Methanol-d4 などを用いたサンプルの場
合、Z0 は異なる位置にあるため、
「Z0 探索」で Z0 を求める必要があります。
「Z0 探索」をクリックすると図のように探索中の画面に切替わります。VnmrJ は実験領域でシーケンスを展
開して測定を行いますので、「Z0 探索」をクリックすると FindZ0 のシーケンスが読み込まれて動作します。
FindZ0 は重水サンプルで初期設定を行うため、設定時の溶媒条件が画面には反映されています。FindZ0 が動
作している際には正常終了するまで別の操作は行わないで下さい。FindZ0 が正常に終了すると画面表示はもと
の状態に戻り、積算状況は Idle と表示されます。ロック値(重水素シグナルレベル)は上昇しますので、確認
をして下さい。
5. NMR におけるサンプル測定部位の磁場校正
NMR 装置では強い磁場をもつマグネットほど分解能は良いですが、
Shim name
Function
サンプル周辺の磁場が均一でないと大きく分解能が低下します。通常、
Z0
Z1
1-main field
Z
超伝導マグネットは超伝導磁石が強い磁場を発生し、超伝導シムコイ
Z2
2Z2-(X2+Y2)
ルで磁場を混合することで均一な磁場を発生しています。マグネット
Z3
Z{2Z2-3(X2+Y2)}
Z4
8Z2{Z2-(X2+Y2)}+3(X2+Y2)2
Z5
48Z3{Z2-5(X2+Y2)}+90Z(X2+Y2)2
X
Y
ZX
ZY
XY
X
Y
ZX
ZY
XY
X2-Y2
X2-Y2
設置する際に、初期設定としてこれらの作業は行われていますが、さ
らに分解能を向上するため、複数のシムコイル(電磁石)で精密に磁
場を調整しています。一般的に大きなマグネットほどシムの数は多く
なる傾向にあります。
X 軸や Y 軸は NMR スタッフが定期的に調整を行いますが、Z 軸はサ
Z2X
X{4Z2-(X2+Y2)}
ンプルごとに測定者が調整を行う必要があります。岡山大学の NMR
Z2Y
Y{4Z2-(X2+Y2)}
装置ではパルス磁場勾配(PFG)法を用いたグラジエントシムによる
ZXY
ZXY
Z(X2-Y2)
Z(X2-Y2)
X3
X(X2-3Y2)
Y3
Y(3X2-Y2)
自動シム調整が可能ですので、VnmrJ3.2 の「グラジエント自動シム」
をクリックすることで Z 軸のシムを自動調整できます。
「グラジエント自動シム」をクリックすると実験領域にグラジエントシムのシーケンス gmapz が読み込まれて
動作します。gmapz はシムマップ作成を行う際に重水サンプルで設定を行うため、設定時の溶媒条件が画面に
は反映されています。gmapz が動作している際には正常終了するまで別の操作は行わないで下さい。
gmapz が動作中にはグラッフィックキャンバスには矩形波が表示されます。これはサンプルの重水素を観測し
ており、磁場の均一性を表しています、通常は gmapz シーケンスが 2 回程度動作することで磁場校正を正確に
行うことが出来ます。
サンプル液面が不足している場合は、矩形波上端が斜めに欠けたり、サンプル中に固形物がある場合は矩形波
上端が波打つ場合があります。正常に終了すると画面表示はもとの状態に戻り、積算状況は Idle と表示されま
す。ロック値(重水素シグナルレベル)は上昇しますので、確認をして下さい。
6. パルスシーケンスの読み込みと測定
・メニューの実験よりパルスシーケンスの読み込みが可能です。ここでは Proton 測定のシーケンスを読み込ん
でいます。サンプルの濃さによってレシーバーゲインの値は異なりますので、分からない場合は Autogain チ
ェックボックスにチェックを入れてください。レシーバーゲインが分かっている場合は手入力で設定すること
も可能です、予備測定の手間が省けるため、測定は Autogain ありの測定に較べ、早く終わります。
・積算回数を選んで下さい。通常は 16 回で十分ですが、サンプル濃度が低く、検出が弱いのであれば、回数を
増やして下さい。
・ブロックサイズを指定すると中間データの閲覧が出来ます。積算回数が 16 回であれば、ブロックサイズは 4
回と入力することで、積算回数 4 回ごとにデータを画面に表示してくれます。
・「Go!」をクリックすると測定が開始します。
・ADC overflow と警告が継続して出ている場合は「積算停止」をクリックし積算をすぐに停止してください。
通信エラーで分光計がフリーズすることがあります。
7. 測定の終了と標品の測定
測定が終わった後は次の測定者に装置が正常動作していることを保障する必要があります。標品であるエチル
ベンゼンを測定し、初期状態に戻してください。結果をグラフィックキャンバスに表示し、オフセットとシム
が正確に調整されたチャートを示すようにしてください。
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