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のんびりゆったり路線バスの旅 「春 日南の海をゆく 」

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のんびりゆったり路線バスの旅 「春 日南の海をゆく 」
2014年3月30日(日)放送
のんびりゆったり路線バスの旅
「春 日南の海をゆく 」
路線バスにゆられて、のんびりゆったり旅をしたい。
今回の舞台は宮崎県の南部、太陽輝く日南です。
早春からプロ野球やサッカーチームのキャンプ地として
賑わう日南。今シーズンもがんばろう!と新しくエンジン
をかける場所。エネルギーに満ちた南国です。
初めての宮崎にやって来たのは島根県出身の俳優、
青山草太さん。
宮崎空港を出発して日南海岸を南へ向かった3日間。
みんなが仲良く暮らすための楽しみを守る人々、
毎年家族のきずなを胸に刻んで成長する子どもたち。
青空の下、南の海辺で温かい春に出会いました。
旅人:俳優 青山草太
【お問い合わせ情報】
(旅程)
宮崎空港を出発、亜熱帯性植物群落に覆われた青島で早速南国の空気を吸います。
全国のサーファー憧れの日南海岸、点在するサーフポイントのひとつ伊比井(いびい)で下車
し82歳のサーファーに遭遇。ご自宅に招かれ愛情いっぱいの豚汁をご馳走になりました。
バスはいったん内陸の終点・飫肥(おび)へ。風情ある城下町では焼酎を飲めば飲むほどさえ
わたる弓の達人たちに出会い、熱心な手ほどきを受けるうち草太さんの驚くべき才能が開花!
2日目、飫肥を出発して再び海辺へ戻り南下。港にズラリと並ぶ漁船の雄姿に思わず下車した
のは目井津。かつお1本釣りで名高いこの港から、明日出航するという若き船長さんに出会い
ました。魚群を追って三陸沖まで駆け上がる漁。また家族と離ればなれの日々が始まります。
3日目の朝、ご家族と共に船出を見送りました。手を振る船上の
お父さん、防波堤のお母さんと子どもたち。互いへの愛情と信頼
がその笑顔にあふれていて、胸打たれる草太さん。
日南海岸のバスの終点は幸島(こうじま)入口です。芋を
海水で洗って食べるサルの存在が世界中の研究者を驚かせた
幸島。渡し舟で上陸し、自然のままの姿を観察することができる
のですが…?
草太さん思わず「また来たくなりました!」とつぶやく旅のゴールでした。
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※運賃について
今回は全て宮崎交通のバスに乗車。
同社の「1日乗り放題乗車券(1,800円)」を利用しました。
【1日目】
① 宮崎空港→青島 (宮崎交通 宮崎線 飫肥方面行き)
所要時間 22分
宮崎空港前のバス乗り場から乗車。フェニックス並木に青い空、眩しい太陽…をイメージして
来た草太さんでしたが、大雨の中の出発となりました。気温は6度!
でもバスには大好きなチームや選手を応援しようと全国から駆け付けた野球ファン、サッカー
ファンの皆さんがたくさん乗車されていて、熱気にあふれていました。この日はキャンプが
お休み。学生時代に九州1周旅行で訪れた青島に行ってみる、という女性と出会い草太さん
も途中下車してみることに。
バス停近くのお店の前で地元の方と思しき皆さんにおすすめの場所などお尋ねしようとしたら
「私たち秋田県人ですから全然わかりません!」と爆笑。高校野球の審判をされている方々
で「キャンプでも選手じゃなく審判ばかり見てた」とまた大笑い。
秋田県からもはるばるみえる、青島は宮崎県を代表する人気の
スポットです。国指定特別天然記念物の亜熱帯性植物群落に覆わ
れた青島。周囲1.5kmのその中央に青島神社があります。
島を囲む波状岩「鬼の洗濯板」を眺めながら進み、参拝しました。
ビロウ生い茂る元宮では磐境(神の御座所)に素焼きのお皿を投げ
入れ、開運祈願ができると聞いて草太さんも真剣に願いごと。
お皿は見事、磐境に入りましたね!
草太さんの願いはきっとかなうでしょう。
② 青島→伊比井 (宮崎交通 宮崎線 飫肥方面行き)
所要時間 21分
青島から再びバスに乗り日南海岸を南下。車内では路線バスで青島のしょうゆ蔵に社会科
見学に行ってきたという小学3年生が「できたてのしょうゆは甘くておいしかった」と教えてくれ
ました。3年生と4年生あわせて7人、海辺の小学校前で降りる子どもたちを「しっかりしてる
なぁ!」と感心して見送る草太さん。
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さてバスの通り道にサーフポイントが点在する日南海岸。実はこの日、車内でいろんな方から
「このあたりがちょうど絶景」「海の美しさは特別」「全国からサーファーがやってくる」と教えて
いただいたのですが、あいにくのお天気でバスの窓が真っ白に曇っていてサーファーも海も
一切見えません。そこで伊比井バス停で下車し、海を見に行きました。すると浜には先客が。
波の様子を見に来ていた投山猛さん82歳です。退職後、宮崎市内から伊比井に移り住み
71歳からサーフィンを始めたという投山さん。今も大切な仲間、という若いサーファーたちに
勧められて初めてボードに立ってからというもの身も心も健やかになり「海は恋人」とにっこり。
その若々しさに驚く草太さんを、雨の中の旅は大変だろうとお宅に招待してくださいました。
迎えてくださったのは北海道出身の妻・昭子さんです。平坦ではなかったという投山さんの
人生に寄り添い支えてこられたそうです。熱々の野菜たっぷりの豚汁を「実家の味に似てる!」
とおかわりする草太さん、「ありがとう!」と優しい笑顔で見守る昭子さん。
心が温かくなりました。
③ 伊比井→飫肥城下 (宮崎交通 宮崎線 飫肥方面行き)
所要時間 58分
伊比井から乗車。車内で出会ったのは出張で港町・油津へ向かうという男性。空港から乗り換
えなし1本でOKだし、車窓風景が美しいのでいつもバスで移動されているとのこと。この路線
はそのまま乗っていると油津からいったん内陸の飫肥へ入っていきます。
飫肥藩5万1千石の城下町・飫肥に到着した
草太さんは四半的射場を発見。四半的は
飫肥伝統の弓術で、的の大きさが4寸5分、
的までの距離が4間半、弓と矢の長さが4尺
5寸と、すべて「四半」。
心が落ち着く城下町・飫肥
四半的射場
初めてでも大丈夫、射場では指導員の方が丁寧に教えてくださいます。
草太さんを熱血指導してくださった四半的保存会の高橋秀子さん、学生時代はソフトボールの
選手で四半的を始めたのは7年前。ご主人が庭で練習しているのを見て「ちょっとやらせて」と
チャレンジしたら見事的中。以来、めきめきと腕を上げ、今では全国1,2位という腕前です。
飫肥では夜になるとあちこちの公民館にご近所の皆さんが集まり、焼
酎を飲みながら四半的で腕を競い合っておられる…と聞いて、高橋さ
んの地元へうかがいました。
芋焼酎を酌み交わし、愉快な冗談に笑い合う楽しい先輩方!
しかしひとたび弓矢を手にするとのんびりムードは
一転!最年長92歳菊市さんの「さぁいこう!」の
掛け声でスッと背筋が伸び、放たれた矢は静寂を
切り裂きビシーッ!と的を貫く。
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ただただ、皆さんの腕前に驚く草太さんでしたが、芋焼酎の魔法(?)と何より皆さんのご指導
のおかげで急成長!次々と的を射抜く姿は凛々しい若武者。
最後はわずか2寸の的をも見事射抜き、大いに盛り上がりました。
熱心に教えてくださり、外れたら励まし、当たれば我がことのように大喜びしてくださった
飫肥・倉掛の皆さんの温かさにハートを射抜かれた夜でした。
「とにかく姿勢がいい!」と
お褒めのことばを頂戴した若武者。
的中した時のドヤ顔、いや笑顔が
すてきでした
【2日目】
① 飫肥→目井津海岸通り (宮崎交通 一木線 幸島方面行き)
所要時間 39分
バス旅2日目、晴れました!
撮影:青山草太さん
早朝、飫肥城址まで散歩。草太さん、可愛いメジロの写真を撮り、木漏れ日が美しい飫肥杉の
木立に心癒されました。飫肥藩が植林を始めた飫肥杉は樹脂を多く含み軽くて丈夫なので
船の材として用いられたそうです。
バスの発車時間ぎりぎりに飛び込んだのは厚焼き卵のお店。ご主人が
店頭で炭火で焼いている、その丁寧な手仕事に見とれたのですが、
いただいてまたびっくり。うっとりするほど滑らかです。1時間かけて
じっくりと焼かれた卵焼きは極上のプリンのよう。殿様に献上されたと
言われるのも納得の、贅沢な味わいでした。
さて飫肥バス停から乗車、内陸から再び海辺に出て海岸沿いを
南下します。入院中のお義母さんのもとに毎日、同じ時間の
バスに乗って通っているという女性と乗り合わせました。
差し出されたのは看病日記のノート。母が喜ぶから励ましの
メッセージをと頼まれ、草太さんは心を込めて書きました。
車窓には日南の青い海。日々違う表情を見せる海を眺め、大切な方を思いながらバスに
揺られる女性。おかあさまが1日も早くお元気になられますように。
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眼下に美しい日向灘をのぞんで走っていたバスは
やがて緩やかに坂道を下り、港のすぐ近くまでやって
きました。目井津(めいつ)漁港にさしかかると、
草太さんは思わず降車ボタンを。
「かっこいいなぁ!何の船だろう?」
精悍な姿で並んでいたのはかつお一本釣り漁船でした。
日本近海でのかつおの一本釣りがさかんな日南市、中でもここ
目井津は中心的な港です。漁は毎年2月から12月ごろまで。各地
の港で水揚げしながらかつおの群れを追って三陸沖まで駆け上が
ります。5月を過ぎると地元には戻らずしばらく家族に会えません。
船に荷物を積み込んでいた倉永大志さんは明日が今年の初出航。
30歳で草太さんより年下ですが船に乗って15年、船長として信頼
を集め、家庭では7歳と3歳の男の子の頼もしいお父さんです。
中学時代からのお付き合いという妻の恵佳さんは大志さんが出航すると、毎晩息子さんたちの
様子を知らせるメールを送るそうです。送られた時は圏外なので、水揚げのためどこかの港に
入るたび何十件というメールを受け取る大志さん。恵佳さんがそうやって家族の時間や子ども
たちの成長を大志さんと共有しようと努めているので、子どもたちはお父さんが帰ってくると
「なんでそれを知ってるの?」と驚き、喜ぶそうです。
同年代で同じサッカー尐年だった大志さんに共感を覚え、その胸中を思う草太さんでした。
【3日目】
船出の朝、皆さんと一緒に港へ。船と見送りの人々をつないでいた紙テープがそっと切れて
船が出ていくと、家族は防波堤を走って船を追いかけます。
笑顔で手を振る船上のお父さんたち。思いをこめて「いってらっしゃい!」と声をかける家族。
夫を送り出す恵佳さんの力強い表情に打たれました。海と共に生きる人々のもとに毎年訪れる
春。切ないけれど決して悲しいのではない、感動が草太さんの胸に湧き上がり心を揺さぶられ
ました。航海の安全、大漁そして留守を守る恵佳さんと子どもたちの健康を心から祈りました。
後日、草太さんのもとに大志さんからメールが。ハッとするほど青い海の写真が添えられて
いました。
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① 目井津海岸通り → 幸島入口 (宮崎交通 市木線 幸島入口行き)
所要時間 43分
目井津を後にし、いよいよ終点の幸島
入口へ。最後のバス、まるで贈りもの
のように美しい車窓風景です。
幸島はおよそ100頭のニホンザルが暮らす島で、現在もその生態について調査が行われてい
ます。私たちも渡し舟で上陸し、ルール(エサを与えない等)を厳守すれば自然のままの様子を
観察することができます。が、この日は時化のため船が欠航!
「残念…でもまたおいでってことなのかな?」
旅人はまた路線バスに揺られて
あったかい皆さんのもとに帰ってきます。
幸島入口バス停から海辺へ出ると、目の前に幸島
(お問い合わせ)
【路線バスについて】
宮崎交通(株)お客様バス案内センター 0985-32-0718
【青島など宮崎市の観光について】
宮崎市観光協会 0985-20-8658
【伊比井・飫肥・目井津など日南市の観光について】
日南市観光案内所 0987-31-0606
【幸島など串間市の観光について】
串間市観光協会 0987-72-0479
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