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2.社会科

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2.社会科
2 社 会 科
1
集団宿泊活動に導入する場合の大切な視点
教室の学習では、資料は与えられることが多い。宿泊活動で行う社会科の学習は、見たり聞いた
りして自分の足で歩き回って資料を作り、それを基にして学習することができる。
青少年教育施設の周辺には、社会科で扱うべき教材が豊富に存在する。こうした教材を取り上げ、
フィールド学習を活用した現地学習を組み立てることは容易であり、体験的な学習や問題解決的な
学習を充実させることができる。つまり、観察・調査を通して必要な情報を入手し的確な資料を作
成する学習や、自ら作成した資料をもとにして比較・関連付け・統合しながら再構成する学習、さ
らに、考えたことをまとめ伝えあい、お互いの考えを深める学習を展開することができる。
2
学習指導要領
第 5 学年の社会科( 2 )「我が国の農業や水産業」のウ「食料生産に従事している人々の工夫や
努力、生産地と消費地を結ぶ運輸の働き」の取り扱いについて、学習指導要領では次のように示さ
れている。
・農業や水産業の盛んな地域の具体的事例を通して調べることとし、稲作のほか、野菜、果物、
畜産物、水産物などの中から一つ取り上げるものとする。
また、第 6 学年の社会科( 1 )「我が国の歴史上の主な事象」の具体的な対象としてアからクま
でが示され、その内容の取り扱いについてオでは、次のように示されている。
・キリスト教の伝来、織田・豊臣の天下統一、江戸幕府の始まり、参勤交代、鎖国について調べ、
戦国の世が統一され、身分制度が確立した武士による政治が安定したことが分かること。
具体的に江戸幕府の始まりや参勤交代、鎖国などの江戸幕府の政策を調べる学習を行うように
なっている。
66
Ⅳ 集団宿泊活動で行われる各活動を教科等の教育課程に位置付けた展開例
社会事例1「私たちの生活と食料生産」
○対象:5年生
○時数:全30時間
時数
事前
宿泊活動
事後
14時間
6時間
10時間
場所
学校
施設
学校
内容
食料のふるさとを調べよう
農家に出向いて調査しよう
これからの食料生産を考えよう
○宿泊活動で扱う学習概要:
農家や販売店に出向いて体験、取材・調査を行い、日本の農業について学んだことを活か
し、水産業やこれからの食料生産について考える。
社会事例2「戦国の世から江戸の世へ」
○対象:6年生
○時数:全16時間
時数
場所
内容
学校 戦国の世が治まっていく経過をまとめよう
5時間
施設 街道・宿場を歩いて調査しよう
8時間
学校 身分制度の確立、鎖国を学ぼう
3時間
○宿泊活動で扱う学習概要:
戦国の世が治まっていく経過を学び、江戸の街道・宿場町を実際に歩いてみることを通し
て、徳川家光が行った政治や政策について考える。
事前
宿泊活動
事後
1
単元を設定する上での基本的な考え
社会科の学習では、観察や調査・見学などの体験的な活動やそれに基づく表現活動の充実を図る
ことが求められている。
高学年の産業・歴史や政治の学習では、日本全体のことを各種の資料から読み取り、知的理解を
図ることが中心になる。ほとんどの時間が座学になり、しかも実感が伴わない知識や概念だけが教
え込まれがちである。ある調査において、高学年の社会科が児童の嫌いなワースト 2 となっている
集団宿泊活動として取り上げることのよさ
集団宿泊活動における体験学習では、フィールドの選定、そこでの教材開発が極めて重要である。
担当教師にとって、各学校の宿泊施設がある地域において活用できる教材や設備を徹底して捜し出
すことが肝要になる。ここでは、長野県の軽井沢施設での宿泊学習を事例として 5 年生の日本の農
業と、6 年生の江戸時代にかかわる単元展開を紹介する。
(1) 産業に携わる人々、史跡を保護する人々の思いを感受できる
日本の農業の現状は実に厳しいものがある。「ネコの目のように変わる農政」の言葉に代表され
るように農業の在り方、農家の生き方は苦悩の連続と言える。TPP をめぐっても大きな課題がある。
実際に日本の農業の学習を終えた児童には、
「悩める農業、苦悩する農家」との認識が強く、明る
い未来の展望が持てないでいる。
こうした認識を助長しているのが統計グラフ等に基づく農業の現状を把握させる学習方法にあ
る。農家の人々の働きや営みが見えない、いわば人間不在の農業学習に課題がある。厳しい現実に
直面しながらも、地域の特色を生かしたり、新しい経営を生み出したりして、気概を持って農業に
67
集団宿泊活動で行われる各活動を
2
教科等の教育課程に位置付けた展開例
の息遣いが伝わるような学習が実現できるように単元展開を試みる。
Ⅳ
のも、ここに一つの原因がある。そこで、産業に携わる人々や、歴史を築き、発展させてきた人々
取り組む人々の営みを教材化していく必要がある。まさに宿泊活動での農業体験や農業に携わる
人々との直接の触れ合いは、暗い農業ばかりではなく、持続可能な農業について児童の認識や心情
を揺さぶることにつながる。
また、江戸時代の学習では幕府の大名統制の一つとして参勤交代を取り上げる。児童は、旅や大
名行列の大変さ、幕府の政策の厳しさを第三者的に捉えたり、現代的な視点から批判的に捉えたり
しがちである。しかし、現地で宿場等の設備を見学・調査したり、実際に旧街道を歩いてみたりす
ることで、旅人や諸大名にとって当時の施設がいかに行き届いた機能を持っていたかを追体験でき、
またその時代の人々の「旅の知恵」を肌身で実感できるよさがある。さらに、何よりも宿場や旧街
道を保存・保護している人々の取組、史跡ガイドの人々の取組に触れられることが最大のメリット
である。具体的な事柄を通して日本の文化・伝統のよさを感得できる絶好の機会となるからである。
(2) 現地の人々との直接的な交流ができる
本事例では、5年生は農業に携わる人、特産物を活用して町の活性化に努めている人からお話を聞
き、取材し、体験活動を行う。6年生は、街道歩きや宿場巡りの史跡ガイドの方、宿場・街道の史跡
を保全・保護するために取り組んでいる人に一緒に行動してもらい、活動の様子を教えていただく。
このような交流を通して、現地の人々の熱心な指導ぶりや温かなもてなしに触れ、宿泊先の地域
とそこに住む人々への親しみが生まれてくる。また、この体験が自分たちの住む地域のよさや愛着
について問い直すきっかけにもなる。まさに「ふるさとは遠きにありて想うもの」との言葉通りに、
自分の地域を見直し、地域の構成員としての在り方を考える良い機会になる。
(3) 異学年の学び合い(学習交流)が可能になる
集団宿泊活動では、5 年生と 6 年生の異学年が一緒に行う場合もある。その際の学び合いとして
は、どうしても生活や人間関係を深めることに重点が注がれる。しかし、活動を工夫することによ
り、学習での学び合いが可能になる。5 年生にとっては学習成果を上級生に評価してもらい、次年
度の目標が持てる。6 年生は前年度の学習の振り返りをすることで自己の成長を感得できる。相互
にとっては、相手意識を明確にして言語化・表現化することで思考力・判断力・表現力の育成につ
ながるよさがある。
3
指導計画作成の留意事項
(1) 実施時期と単元の選び方 まず集団宿泊活動の実施時期が現地での学習活動を規定する。しかも 5 年生と 6 年生が同時に宿
泊することを前提とするので、学習内容の選択が重要な課題になる。相互がどの単元を選択するか、
学習進度を適切に押さえた上で活動を考えることが重要なポイントとなる。この事例では 5 年生が
日本の農業を終えた時期、6 年生が江戸時代の学習を始めた時期に当たる 9 月初旬での実施単元と
して設定する。
(2) 5年生の農業の取り扱い方
5 年生の第 2 単元「わたしたちの生活と食料生産」( 全 30 時間)は、5 つの小単元で構成される。
具体的には①食料のふるさと調べ、②米作りの盛んな庄内平野、③日本の農業を考える、④水産業
の盛んな枕崎、⑤これからの食料生産、となる。1 学期までに食料生産の中で、稲作・野菜・果樹・
酪農等の農業の学習を終えている。そして 9 月以降は水産業の学習へと移行する。学校での農業学
習、とりわけ小単元「日本の農業を考える」の前半において、「悩める農業、苦悩する農家」の事
68
Ⅳ 集団宿泊活動で行われる各活動を教科等の教育課程に位置付けた展開例
実をしっかりと認識させ、
「今後日本の農業や農家は大丈夫なのか?」という問題意識を十分に醸
成しておくことが肝要になる。教室での問題意識に対して現地での体験学習から解決の手がかりを
つかむ指導計画となる。学習成果は、施設において 6 年生の前でグループ発表できるようにまとめ
を仕上げる。
(3) 6年生の江戸時代の取り扱い方
9 月初旬は、江戸時代の学習に入ったばかりである。学校の学習で大名統制の一政策として参勤
交代があること、そのために 5 街道や宿場が整備されたことは学習させておく。その上で現地では、
まず施設で史跡ガイドの方に中山道とその役割、宿場の位置、実際に歩き見学する場所の説明等を
受けた後、フィールド学習を実施する。フィールド学習の成果は、施設の中でグループ発表内容と
してまとめ、5 年生との学習交歓会に臨む。
4
具体的な展開1
(1) 単元名「私たちの生活と食料生産」
(2) 単元の目標
① 我が国の農業や水産業について、様々な食料生産が国民の食生活を支えていること食料生
産物の分布や土地利用の特色、食料生産に従事する人々の工夫や努力を理解すること、そう
した内容に関心を持つようにすること
② 我が国の農業や水産業について、地図や地球儀、資料などを活用して調べ、新聞などに書
き表すこと、自然環境と深いかかわりのあることを考えられること
(3) 評価規準
体的に調査し、地図
人 々 の 工 夫 や 努 力、
果たし、自然環境と
帳・統計資料などの
各種の食料生産や生
割を果たしているこ
深いかかわりがある
基礎的資料を活用し
産物の分布、食料生
とに関心を持ち、進
ことを知り、これか
たり、調べたりして
産を支える運輸の働
んで調べようとして
らの食料生産につい
いる。
き、食料生産が国民
いる。
て思考・判断したこ
生活を支える役割を
とを言語などで適切
理解している。
に表現している。
(4) 施設で学習活動を組む上での配慮事項
まず施設では、JA 軽井沢の方に高原野菜の歴史や現状、地元の特産物についてお話いただく。
レタス栽培が高原の気候に合い、それに商品作物となるまでに苦労したこと、様々な特産物を基に
町の活性化に努めていることを話の中心にしてもらう。それには JA の方との事前打合せでよく相
談しておくことが重要になる。
なお施設での学習の前半は、一斉学習として実施する。終末には、翌日の農家や特産物の加工所
の見学先別グループに分かれて、見学のポイントや諸注意などを確認させる。そこで施設の大広間
や全員が入れる研修室を確保するなどの工夫も必要である。
また、実地踏査においては教師自身が体験活動を経験してみることが肝要である。現地の方々に
69
集団宿泊活動で行われる各活動を
生活を支える役割を
を確保する重要な役
教科等の教育課程に位置付けた展開例
業が国民の食料生産
Ⅳ
社会的事象への
観察・資料活用の
社会的事象についての
社会的な思考・判断・表現
意欲・関心・態度
技能
知識・理解
○我が国の農業や水産 ○農業や水産業が国民 ○食料生産の現状を具 ○食料生産に従事する
指導を受けることで、児童の立場になって本番での活動をイメージできる。
さらに、レタスの収穫体験、藍染め体験を取り入れるために、現地の生育状況を確かめたり、天
候の良い日を選んで実施したりするなどの配慮も必要になる。
(5) 単元構成 全30時間
① 学校での学習活動「食料のふるさとを調べよう」(14時間)
単元の展開と主な学習活動
1 食料のふるさと調べ( 4 時間)
指導上の留意事項
○主な農産物がどこで生産されているかを調べ、
2 米作りの盛んな庄内平野( 8 時間)
白地図などに分布の様子を表現させる。
○主食である稲作の盛んな庄内平野を事例地と
3 日本の農業を考える<①> ( 2 時間)
して生産の工夫・努力を把握させる。
○生産量の減少、就業人口の減少、高齢化など
農業・農家の苦悩をつかませておく。
② 施設での学習活動「農家に出向いて調査しよう」
(6時間)
単元の展開と主な学習活動
4 日本の農業を考える<②>
ア、軽井沢の農業について
イ、レタス農家、特産物店の見学
ウ、調べたことをまとめよう。
指導上の留意事項
○軽井沢の主たる農産物の変遷と人々の工夫・
努力の姿をお話からつかみ取らせる。
○見学・体験を通して農家の人や特産品販売を
している人の生き様を知り、表現させる。
③ 学校に戻ってからの学習活動「これからの食料生産を考えよう」
(10時間)
単元の展開と主な学習活動
水産業の盛んな枕崎 5
( 6 時間)
指導上の留意事項
○水産物の確保の努力の様子や水産業が抱える
6 これからの食料生産 ( 4 時間)
問題点をつかませる。
○食糧自給、TPPと日本の農業にも触れて食
料生産の在り方への考えを持たせる。
(6) 施設で実施する学習活動の細案(全6時間)
○ねらい:軽井沢を例にして、日本の農業を考えよう
○準 備:講話のための音響設備、ワークシート、地域マップ、見学・体験場所のしおり、見
学カード、発表用の用具・文房具
学習の流れ
学習活動と内容
指導の工夫
学校での学習を 1 日本の農業にはどんな ○悩める農業、苦悩する農家の現状を思い起こさ
振り返り、現地
問題があったかを発表す
学習の目標を
る。
はっきりさせる
・いろいろな課題を抱え
(1/6)
せる。
ている
・暗いイメージで将来が
心配になる
2 現地学習のねらいを確 ○軽井沢の農業・農家も学校で学んだことと同じ
認する。
かどうかという問題意識を生かして活動の導入
とする。
軽井沢の農業はどのように変わり、今
はどんな様子かを聞き取ろう
70
Ⅳ 集団宿泊活動で行われる各活動を教科等の教育課程に位置付けた展開例
現 地 学 習 の グ 3 軽井沢の農業の歴史に ○本時の学習課題を明確にした上で、JA軽井沢
ループ分けを行
ついて、JA軽井沢の方に
い見学の準備を
お話を聞く。
する
・保温苗代で稲作にもチャ
レンジ
の方にお話を伺うようにさせる。
○高冷地という自然条件により商品作物が定まる
までに並々ならぬ苦労があったことをつかませ
る。
・モミの木栽培にもチャ ○この中でレタスやキャベツの栽培が安定してき
レンジ
ていることを把握させる。
・ようやく高原野菜にた
どりついた
4 レタス栽培が盛んな理
由を聞く。
・高冷地の気候に合う
・交通の便が良く東京へ
の出荷が増加した
・ 農 家 の 人 の 工 夫・ 知 恵
がある
翌日の訪問先や体験活
5
動の内容を確かめる。
グループ別に体 1 今日の活動のめあてを ○目的意識を明確にし、積極的に学び取ることが
験、取材・調査 確かめる。
訪問先への感謝の行動につながることを確認さ
に出掛ける
・農家や販売店の取組を せる。
(2∼4/6)
取材する
・体験をさせてもらう
2 次の 3 つのグループに ○訪問先が距離的に少し離れているの で、バス
分かれ、施設周辺の訪問先 の乗車計画、活動時間などを事前に綿密に検討
に行く。
をしておく。
訪問先(農家、特産物販売店)の方々か
ら軽井沢の農業に対する考えを聞き取
ろう
集団宿泊活動で行われる各活動を
教科等の教育課程に位置付けた展開例
71
Ⅳ
3 3 つの場所に分かれて ○まとまった人数の児童が体験活動をするには活
体験活動を行う。
動のスペースが必要になる。そこで店等ではな
活動を行う
< A: レ タ ス・ キ ャ ベ ツ の く、公共施設を借用する場合もある。訪問先と
①体験活動
収穫体験 (農家又はJA浅間 の連絡・調整を十分実施したい。
②取材・調査活
軽井沢)>
動
・ 集 積 場 の 見 学、 収 穫 体
見学のまとめを
験をする
する
・農家の人の高原野菜に
かける思いや農業の将
来について聞き取る
<B:藍染め体験(町内)> ○農業や農産物の加工、販売に寄せる熱意、意気
・藍染め体験をする
込みを語ってくれる人材確保こそが肝心である。
・ 昔 は 藍 を 栽 培 し、 伝 統 実地踏査で人材を発掘するように努力したい。
産業であった
・ 地 域 の 産 業 は 保 存・ 保
護したい
<C:蕎麦打ち体験(中山間
地事業組合、JA婦人部)>
訪問先で実際の
・蕎麦打ち体験をする
・特産品の蕎麦を守ってい
きたい
4 見 学 で 分 か っ た こ と、
感じたことを見学カード
にまとめる。
訪問先で学んだことを 6 年生に伝えよ
う
調べたことをま 1 体 験 し た こ と、 取 材 し ○思考力育成や言語活動の重視の観点から、まず
とめて発表の準 た こ と、 分 か っ た こ と を 個人の考えをまとめた後で、グループとして整
理させる。
各自で整理する。
備をする
整理した結果を
学習交歓会で 6 2 グループとしての発表 ○発表内容は、「軽井沢の農業は大丈夫か?」とい
年生に発表する
内容を討論してまとめる。 う問題意識に立ち返ってまとめさせる。
(5∼6/6)
3 交歓会でグループ毎に
発表し、6 年生の意見やア
ドバイスを受ける。
5
具体的な展開2
(1) 単元名:戦国の世から江戸の世へ
(2) 単元の目標
① 戦国大名の群雄割拠の状態から豊臣秀吉が全国を統一した後、江戸幕府が政治を行った時
代に至るまでの人物の業績を調べ、その全容を捉えることができる。
② 身分制度が確立し、政治が安定したことが捉えることができる。
(3) 評価規準
社会的事象への
観察・資料活用の
社会的事象についての
社会的な思考・判断・表現
意欲・関心・態度
技能
知識・理解
○ 信 長、 秀 吉、 家 康、○ 4 人の武将が果たし ○ 4 人の武将の業績や ○ 3 人の武将の働きで
家光の 4 人の武将に
た役割や、家光の時
実施した政策の持つ
群雄割拠の時代が治
興味を持ち、それぞ
代までに幕府の基盤
意味について、地域
まり、全国統一が完
れの人物の業績を進
が確立し、安定した
を的確に調査したり、 成したことや、家光
んで調べようとして
政治が行われるよう
遺跡や文化財などの
の時代までに武士の
いる。
になった要因につい
資料を活用したりし
政治が安定したこと
て思考・判断したこ
て、必要な情報を集
などが分かっている。
とを言語などで適切
めてまとめようとし
に表現しようとして
ている。
いる。
(4) 施設で学習活動を組む上での配慮事項
第一に、社会科の学習進度を調整しておくことが大切になる。なぜなら現地でのフィールド学習
の前に、基礎的な知識を獲得させておく必要があるためである。中でも、徳川家光が実施した大名
統制やその具体策として行った参勤交代の制度は、あらかじめ学校で学習させておく必要がある。
72
Ⅳ 集団宿泊活動で行われる各活動を教科等の教育課程に位置付けた展開例
第二に、実地踏査の段階での史跡ガイドや宿場など、案内や説明をしてくれる方々との打ち合わ
せを綿密に実施しておく必要がある。街道歩きや史跡巡りが効果的にでき、また時間に無駄がない
ようにするためである。さらに打ち合わせを通して、児童に実際にどんな活動ができるかを相談し、
指導者側が当日のイメージを創り出すためである。
第三に、街道歩きや史跡巡りは、実際に実地踏査をして、丁寧な記録を残しておくことが肝要で
ある。所要時間、休憩やトイレの場所、危険箇所、見学のポイント、入場料、見学先での諸注意な
どを事前に把握し、1 日の日程表・行動計画に反映させる必要がある。こうした諸準備が現地での
学習を安全かつ充実したものにする。
第四には、現地での活動を現代の視点ではなく、江戸時代を追体験させる工夫が大切になる。江
戸時代の旅人になりきるための小道具を用意したり、大名行列の往来を想定させたりすることを考
えたい。少なくとも体験の後では、当時の人々になって旅日記を書く、大名行列や宿場の様子の実
況レポートを作成するなどの言語・表現活動を取り入れたい。
(5) 単元構成 全16時間
① 学校での学習活動「戦国の世が治まっていく経過をまとめよう」(5時間)
単元の展開と主な学習活動
指導上の留意事項
○全国統一までの歩みを業績と関連付け、解説
1 学習問題作り ( 1 時間)
・戦国の世が治まっていく経過をまとめよう。 を加えた年表などに表現させる。
2 信長、秀吉による全国統一( 2 時間)
○家康による大名配置、江戸幕府の仕組み作り
3 家康の行った政治( 1 時間)
などの意味を捉えさせる。
○進度の関係から家光が行った政策のうち、大
4 家光の行った政治<①> ( 1 時間)
名統制についてのみを取り扱っておく。
② 施設での学習活動「街道・宿場を歩いて調査しよう」
(8時間)
単元の展開と主な学習活動
街道・宿場を歩こう
5
指導上の留意事項
○中山道等の役割、宿場の働きと保存について
○体験・見学を通して当時の様子を知り、時代
に身を置いて表現させる。
③ 学校に戻ってからの学習活動「身分制度の確立、鎖国を学ぼう」
(3時間)
単元の展開と主な学習活動
6 家光の行った政治<②> ( 2 時間)
指導上の留意事項
○家光が行った身分制度の確立、鎖国など他の
7 まとめの学習 ( 1 時間)
政策について捉えさせる。
○単元はじめの学習問題に対する自分なりの考
えを意見文としてまとめる。
(6) 施設で実施する学習活動の細案 (全8時間)
○ねらい:街道を歩いて特色を見付けよう
○準 備:講話のための音響設備、ワークシート、街道・宿場マップ、見学・体験場所のしお
り、旅のレポート、発表用の用具・文房具
学習の流れ
学習活動と内容
指導の工夫
学校での学習を 1 家光の大名統制の政策、○学校の学習で使用した大名行列や五街道の図を
振り返る
(1/8)
参勤交代制度を思い出す。
活用する。
2 本時のねらいを確認す ○史跡ガイドの方を紹介し、街道歩きや宿場案内
る。
をしてもらうことを説明する。
73
集団宿泊活動で行われる各活動を
ウ、調べたことをまとめよう。
教科等の教育課程に位置付けた展開例
イ、街道歩きと宿場めぐり
史跡ガイドの話から読み取らせる。
Ⅳ
ア、中山道、北国街道と宿場について
中山道の役割や宿場の様子を聞き取り、
街道歩き・宿場めぐりの計画を立てよう
3 史跡ガイドの方に中山 ○中山道が追分宿で北国街道と分岐することを確
道 の ル ー ト、 役 割 や 主 な 認する。
宿場についてお話を聞く。 ○宿場名を記入した地図を用意し、施設のある軽
・中山道は東海道の裏街 井沢と見学する宿場の位置を記しておく。
道、 皇 女 和 宮 も 利 用 し ○東海道と違い「川止め」がなく女性の旅に好ま
た、69の宿駅がある。
れたことも説明してもらう。
4 翌 日 の 街 道 歩 き、 宿 場 ○現地のフィールドワークへの期待を高めさせる。
巡りの仕方についての説
明を聞く。
江戸の街道・宿 1 今日の活動のめあてを ○ 当時の人になり、追体験をできるように働き
場町を実際に歩 確かめる。
かけ、表現活動を工夫させる。
いてみる
・旅人になったつもりで
(2∼6/8)
歩いてみる。
・宿場の様子をレポート
しよう。
江戸の宿場を歩いて、様子をレポート
しよう
①宿場の見学と <中山道・北国街道(追分宿)> ○宿場町の見学・散策が 3 カ所で、所要時間が 1
町めぐりをする 2 追 分 宿 郷 土 館、 分 去 れ 時間ずつかかるので、バスの運行や見学先との
②史跡ガイドの
の見学
説明を聞く
・中山道の軽井沢宿の次 ○ 6 年生全員がバスで移動しながら、中山道・北
③宿場町を保
護、保全してい
が追分宿
・中山道と北国街道の分
連絡を適切に行う。
国街道の追分宿、小諸宿、海野宿を見学散策す
る計画を立てる。
る人々の取組に
岐 点 が 分 れ、 道 標・ 枡 ○実地踏査の段階で、歩くコース、見学箇所、ガ
ついて取材する
形の茶屋が残る。
イドの説明ポイント、宿場の方に説明を聞くポ
イント確認しておく。
見学・散策のま <北国街道(小諸宿)>
3 江 戸 時 代 の 城 下 町、 小 ○史跡の保全・保護している人々の取組について、
とめをする
諸 城 大 手 門 本 陣 主 屋、 地
十分に取材できるように時間を設定し、メモを
形を生かす町作りなどの
取れるよう配慮する。
見学
・この宿場は小諸城を持
つ 城 下 町 で も あ り、 面
影が今も残る。
・本陣は大名の休泊所で
あった。
<北国街道(海野宿)>
・ 町 屋、 本 陣、 店、 旅 籠
等の町並みが見事で保
存地区の指定を受ける。
・ 保 存 会 の 活 動、 取 組 に
ついてたっぷりと話が
聞ける。
4 見 学・ 散 策 し て 分 か っ
たことや感じたことを旅
レポートにまとめる。
74
Ⅳ 集団宿泊活動で行われる各活動を教科等の教育課程に位置付けた展開例
宿場歩きの様子をグループで 5 年生に
伝えよう
調べたことをま 1 見 学・ 散 策 し た こ と、○旅レポートを手がかりに個人の考えをまとめさ
とめて発表の準 取 材 し た こ と、 分 か っ た せる。
備をする
ことを各自で整理する。 ○ 3 つの宿場別のグループを編成し、現地の実況
整理した結果を 2 グループとしての発表 レポート風に発表内容を整理させる。
学習交歓会で 6 内容を討論してまとめる。
年生に発表する 3 交歓会でグループ毎に
(7∼8/8)
発表し、5 年生の感想やア
ドバイスを受ける。
集団宿泊活動で行われる各活動を
教科等の教育課程に位置付けた展開例
Ⅳ
75
Fly UP