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はじめに 広島県の平成18年度の二酸化炭素排出量は,平成2年度と比較して 17.2%増加しています。このため,広島県では,環境家計簿の普及や 環境学習の推進,大規模事業者の温室効果ガス削減計画書の作成などに 取り組んでいますが,より一層の排出削減に向けた取組の一つとして, 事業者・県民へのカーボン・オフセットの制度の普及を促進しています。 しかし,現在増加しているカーボン・オフセット付きの商品・サービ スはまだ試行的段階にあり,数量,期間,品目が限定的であることから 県内の消費者の目に触れる機会が少ない状況にあります。また,本来, カーボン・オフセットのメリットを受ける消費者が,その費用を負担す るという販売形態がとられていることも少なく,消費者自らがオフセッ トを実行したという意識を持ちにくいといった問題もあります。 自治体では,カーボン・オフセットの普及促進の観点から,県が実施 する「環境の日」ひろしま大会や広島市地球温暖化対策地域協議会の温 暖化防止キャンペーン,福山市のばら祭りなどのイベントで発生する温 室効果ガスのカーボン・オフセットに取り組んでいます。カーボン・オ フセット付きの商品・サービスを企画する企業側については, 「興味はあ るが具体的な計画はしていない」という状況が大半であり,今後,企 画・商品提供につなげるための契機になるものが必要となっています。 このため,広島県ではカーボン・オフセットの概要や活用の意義・効 果,活用に向けた具体的な手続き及び全国や県内の活用事例を編集した ガイドブック(手引書)を作成し,制度の理解と活用促進を図るととも に,温室効果ガスの削減や低炭素社会の構築に向けた取組の参考資料と して活用していただきたいと考えています。 (単位:万t-CO2 , (%) ) 部 門 H2基準年度 全国 広島県 産 業 61,300 2,488 運 輸 21,700 577 家庭 12,700 371 業務 16,400 235 2,270 28 114,370 3,699 民 生 廃棄物 合計 H17実績 (基準年度比) 全国 広島県 58,820 2,680 (▲4.0) (+7.7) H18実績 (基準年度比) 全国 広島県 59,120 2,869 (▲3.6) (+15.3) 25,400 675 25,700 651 (+18.4) (+12.8) (+17.1) (+17.0) 16,600 502 17,400 491 (+37.0) (+32.3) (+30.7) (+35.3) 22,900 260 23,800 270 (+45.1) (+14.9) (+39.6) (+10.6) 3,380 29 3,350 29 (+47.6) (+3.6) (+48.9) (+3.6) 129,070 4,121 127,400 4,335 (+12.8) (+11.4) (+11.4) (+17.2) ※産業にはエネルギー転換(発電施設等の自家消費) ,工業プロセス(セメント生産など)を含む。 H17→H18 増減率 全国 広島県 +0.5 +7.1 ▲1.2 +3.7 ▲4.6 +2.2 ▲3.8 ▲3.7 +0.9 ±0 ▲1.3 +5.2 目 次 カーボン・オフセットについて知りたい Q1 カーボン・オフセットとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 Q2 どれくらいの取組事例があるのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 Q3 個人でどんなことに取り組めるのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 Q4 カーボン・オフセットの仕組みは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 カーボン・オフセットに取り組みたい Q5 カーボン・オフセットまでの手続きは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 Q6 カーボン・オフセットに利用するクレジットとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 Q7 カーボン・オフセットの手続きを省力化するには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 Q8 カーボン・オフセットに取り組むには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 1 カーボン・オフセット会議・イベントの開催(プロバイダーを利用)・・9 2 カーボン・オフセット商品の販売(プロバイダーを利用)・・・・・・・・・・・10 3 自己活動のカーボン・オフセット(プロバイダーを利用)・・・・・・・・・・・11 オフセット・クレジットを売りたい Q9 国内の削減活動によるクレジットを得るには ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 Q10 J-VER認証取得に取り組むには ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 Q11 1 ボイラー燃料代替プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 2 森林管理プロジェクト(間伐促進等森林経営・植林)・・・・・・・・・・・・・・・14 J-VER制度における手数料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 カーボン・オフセットや国内クレジットの事例を知りたい カーボン・オフセットの取組事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 J-VER認証・発行・活用の国内事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 出典・用語解説 出典・用語解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 カーボン・オフセットとは 電気やガスを使ったり,移動のために飛行機や自動車に乗ったり,こ れらは私たちの生活に欠かせないもので非常に便利なものですが,こう した日常生活やオフィスでの電子機器の使用や工場で製品を製造する際 にも温室効果ガスは出ています。 地球温暖化防止のため,様々な取組がなされていますが,どんなに頑 張って削減努力をしても,どうしても減らせない温室効果ガスはありま す。こうしたどうしても削減できない温室効果ガスを別の場所での削 減・吸収活動に資金を提供したり,別の場所で自ら削減・吸収活動をす ることで埋め合わせしようというのがカーボン・オフセットです。 排出削減・吸収量は,クレジットと呼ばれるものに換算されて取引さ れています。 自己活動範囲(バウンダリ)での排出量 削減努力 資金等の支援 削 減 努 力 どうしても 減らせない 排出量 +CO2 埋め合わせ =オフセット 別の場所での 削減・吸収量 -CO2 削減・吸収量(クレジット) 削減努力 出典:カーボン・オフセットフォーラムホームページ カーボン・オフセットに取り組む意義として, 第一には,カーボン・オフセットの取組は, 「排出量の把握→排出に対 する認識→削減に向けた努力→削減できない部分の埋め合わせ(オフセ ット)」という流れを作り出すことで,低炭素社会にシフトする契機とな ります。 第二には,カーボン・オフセット商品の購入や植林活動へ参加するこ となどによって,国内外の温室効果ガスの排出削減・吸収,持続可能な 開発を実現するプロジェクトの資金調達等に協力・貢献することになり ます。 私たち一人ひとりもカーボン・オフセットの仕組みについて理解し, カーボン・オフセット商品の積極的購入など生活の中にこの仕組みを取 り入れてみてはいかがでしょうか。 −1− どれくらいの取組事例があるのか 国内の取組件数 カーボン・オフセットの取組は年々増加しており,約8割が商品やサ ービスの提供及び会議やイベントの開催などによるオフセットに利用さ れています。 (件) 450 2009年2月末現在 約390件 400 350 300 洞爺湖G8サミット 250 1年で 約350件 増加 200 150 100 50 0 1月 2月 3月 4月 5月 ∼ 2007 年 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2008年 1月 2月 2009年 累積件数(カーボン・オフセットフォーラム調べ) 特定者間完結型 17% 市場流通型 (自己活動) 12% 市場流通型 (会議・イベント開催) 15% 市場流通型 (商品使用・サービス利用) 56% カーボン・オフセットの取組類型別割合 (2008年10月末時点 J-COF調べ) 【市場流通型の例】 ①商品使用・サービス利用 旅行,年賀状,バナナ,作業服,定期預金,ガソリン,LPガス, 自動車,レンタカーなど ②会議・イベント開催 サッカーの試合,洞爺湖サミット,コンサート,環境イベントなど ③自己活動 オフセット商品の購入やオフセット・クレジットの購入 【特定者間完結】 上記活動のうち,市場を通さない直接の取引など −2− 個人でどんなことに取り組めるのか 私たち個人では,直接排出権を購入することはできませんが,カーボ ン・オフセット付きの商品の購入やサービスの利用によって,削減活動 に協力することが可能です。 また,カーボン・オフセットされた排出量は,プロバイダーや商品・ サービスを提供した事業者から日本政府に譲渡されるので,京都議定書 の目標達成に貢献することにもつながります。 現在,カーボン・オフセットは試行的段階にあり,提供される商品や サービスも数量,期間とも限定的なものが多く,今後,こうした商品の 購入やサービスの利用が増えると,より多くの品目や年間を通しての購 入,利用が可能になります。 ■商品 ■旅行 カーボン・オフセット年賀状 カーボン・オフセット旅行 年賀状購入者の生活に伴って排出される CO2の一部をオフセット ●お中元商品,バナナ,紙おむつ ツアー代金にオフセット料金を上乗せして, 航空機等の使用によるCO2をオフセット ●海外旅行,修学旅行 ■エネルギー・燃料 ■スポーツ観戦 カーボン・オフセット ガソリン 消費者の自動車使用に伴うCO2を オフセット ●灯油,LPガス スポーツイベント等でのオフセット 事例:FIFA W杯 ドイツ大会 ■作業着,ネクタイ ■定期預金 ●オートローン,住宅ローン −3− カーボン・オフセットの仕組みは カーボン・オフセットはどういう仕組みで行われているのか,その代 表的な事例として,カーボン・オフセット商品やサービスが消費者等に 購入・利用されるまでの流れを次に示します。 1 商品の購入・サービス利用,会議・イベントでの オフセット概要 温室効果ガス 削減事業 消費者 参加者 開発途上国の排出削 減支援(水力・風力 発電設備 支援など) 排出量削減に貢献 オフセット商品の購入・ 利用,イベント参加 資金 ¥ ¥ ¥ 購入 クレジット 購入・負担 (料金上乗せ,寄付) 排出権 商品・サービスの提供 企業等イベント主催者 プロバイダー (仲介業) 年賀状,食品,旅行など の消費者やイベント参加 者に代わってオフセット 排出権(クレジット) 調達,販売,無効化 クレジット譲渡 日本政府 京都議定書の削減 実績に算入 消費者やイベント参加者は排出権(オフセットクレジット)を商品の 購入や参加費への上乗せ負担によって,国内及び海外での排出削減活動 に間接的に貢献します。 商品・サービスの提供者やイベントの主催者は,消費者や参加者に代 わって温室効果ガス排出量をオフセットする手続き(クレジットの購入) をします。 プロバイダーは商品・サービスの提供者やイベントの主催者からの注 文に応じて国内及び海外からクレジットの調達やクレジットの重複利用 を防ぐため,国にそのクレジットを譲渡(無効化)する手続きの仲介を 行います。 −4− 2 自らの活動のオフセット ¥ 企 業 資金 温室効果ガス 削減事業 開発途上国の排出削 減支援(水力・風力 発電設備支援など) クレジット 製品の製造,事務所の 運営で使用するエネル ギーをオフセット ¥ 購入 資金 排出権 ¥ 排出権 プロバイダー (仲介業) 排出権(クレジット) 調達,販売,無効化 クレジット譲渡 クレジット 譲渡 日本政府 京都議定書の削減 実績に算入 企業活動など自らの活動に伴って排出される温室効果ガスをプロバイ ダーからのクレジットの購入や削減活動に直接資金提供して,排出権を 獲得することによってオフセットします。 −5− カーボン・オフセットまでの手続きは カーボン・オフセットに取り組むにあたっては,①日常生活や産業活 動などによって排出される温室効果ガスの量がどれくらいなのかを計算, ②削減に向けてどういったことに取り組み,その結果どれくらい排出量 を削減できるのかを計算,③その結果,どうしても減らせない排出量を 確定し,それをオフセットする方法を決定,④クレジットの取得・購入 によりオフセットするという段階を踏むことが必要です。 具体的な事例に基づく,オフセットの方法についてはQ8で紹介します。 家庭やオフィス,移動(自動車・飛 行機)での温室効果ガス排出量を 把握する。 排出量の把握 オフセット対象(会議,イベント,製品 製造)を特定し,それに係る電力,燃料 等の使用により排出される温室効果ガス 排出量を算定 省エネ活動や環境負荷の少ない交 通手段の選択など,温室効果ガス の削減努力を行う。 削減努力 省エネ活動の推進,省エネ設備への更新, 新エネルギーの導入など,排出抑制に向 けた取組の実施 クレジット購入 など 削減が困難な排出量を把握し, 他の 場所で実現したクレジットの購入な どを実施する。 削減しきれない排出量について認証 を受けたクレジットの購入や認証を 受けた削減・吸収活動への資金提供。 カーボンオフセット付き商品の購入 オフセット完了 クレジットの無効化 対象となる活動の排出量と同量の クレジットで埋め合わせ(相殺)す る。 購入したクレジットや資金提供によっ て得た削減・吸収量により排出量の 埋め合わせ及び無効化(他の事業者 へ転売できない。権利の使い切り) クレジットの購入や無効化は,オフセットの実施や取組を支援するカーボン・オ フセット・プロバイダーを活用すると,手続きの省力化を図ることができます。 −6− カーボン・オフセットに利用するクレジットとは カーボン・オフセットに用いられるクレジットには,現在下の表中①, ②,③の3種類あり,そのほとんどが,①の海外(発展途上国)で実施 した温室効果ガスの削減・吸収活動によって得られた京都メカニズムに よるクレジットです。今後,②の環境省自主参加型国内排出量取引制度 や,③の国内認証制度(オフセット・クレジット(J-VER)制度)によ る排出枠・クレジットが利用される取組の増加も期待されます※。 イベントや会議でよく利用されるグリーン電力証書は,現在,J-VER 制度における対象プロジェクトとしての追加を前提に,グリーン電力の 利用による削減効果の検証,削減量の算定方法などについて検討されて います。 (平成21年9月現在) 1 2 3 京都メカニズム 国内排出量取引制度 国内認証制度による クレジット(CER) によるクレジット クレジット(J-VER) クレジットの概要 京都議定書に定めら 環境省自主参加型国 れた手続きに基づい 内排出量取引制度で て発行されるクレジ 用 い ら れ る 排 出 枠 ット(主にCER※) (JPA) 現在,利用されてい るクレジットの主流 国内の自主的な温室 効果ガス排出削減・ 吸収活動から生じた 排出削減・吸収量で 認証を受け,発行さ れたクレジット クレジットの特色 海外の環境保全活動 国内企業の省エネや へ の 支 援 で あ る が , 設備改修による削減 安 価 で まとまった ク 活動への支援につな レジットの入手が可能 がる 国内のバイオマス利 用促進や植林・間伐 といった森林経営の 支援につながる 削減・吸収活動の場所 世界 国内 国内 信頼性 高 高 高 京都議定書目標に 算入可能か ○ × × 自主行動計画目標に 算入可能か ○ ○ × CER(Certified Emission Reduction) :先進国が開発途上国に技術・資金等の支援を行い温室効果ガス排出量の 削減又は吸収量の増加が図られた場合,その削減量をクレジット化した もの ※現在,オフセットに用いるクレジットの新規創出を目的に,以下の取組がJ-VER認証対象活動 として,検討されています。 化石燃料から未利用木質バイオマスへのボイラー燃料代替 化石燃料から木質ペレットへのボイラー燃料代替 プロジェクトの種類 木質ペレットストーブの使用 廃食用油由来のバイオディーゼル燃料の車両における利用 小水力発電による電力代替 下水汚泥由来バイオマス固形燃料による化石燃料代替 −7− カーボン・オフセットの手続きを省力化するには カーボン・オフセット・プロバイダーを利用すると必要なクレジット の購入,または無効化する手続きが代行できます。クレジットの価格は プロバイダー,購入時期によって変動します。現在(平成21年9月時点), 日本に約40の事業者(気候変動対策認証センターホームページ http:// www.4cj.org/index.html参照),県内では2事業者が活動しています。 また,健全なプロバイダーを育成するための「あんしんプロバイダー制 度※」もあり,プロバイダーを選ぶ上での参考になります。(平成21年7 月現在7事業者がこの制度に参加) オフセット実施者 クレジット無効化 手続代行 ¥ 国別登録簿(国) 消費者 クレジットの提供 コンサルティング等 クレジット 調達 オフセット・プロバイダー 【 約40事業者 銀行・商社 】 商社等 出典:カーボン・オフセットフォーラムホームページ カーボン・オフセット・プロバイダーを利用するメリット 手続きの流れ 口座の開設 クレジットの調達 クレジットの無効化 証書発行 自ら実施する場合 プロバイダーを利用する場合 事業者名義の口座の 不要 開設手続き(有料) (プロバイダーの口座) 一般に1000トン 単位での購入 オフセット実施後, 口座から償却 自己完結のため, 透明性の確保必要 費用計上等の会計処理 小口など,ニーズにあった クレジット購入が可能 不要 (プロバイダーが実施) プロバイダーによる透明性確保 会計処理不要 ※ あんしんプロバイダー制度:オフセット・プロバイダーの過去一定期間の排出削減量クレジットの取り組み方等 を確認した上で,ウェブサイトにおいて公表することによって,消費者等がオフセ ット・プロバイダーの信頼性を識別できる取組。 事業者はhttp://www.4cj.org/label/provider.htmlで確認できます。 −8− カーボン・オフセットに取り組むには 1 カーボン・オフセット会議・イベントの開催(プロバイダーを利用) 企 画 ①オフセット会議(イベント)の企画 ・目的 ・対象活動の選定(会議,イベントで使用する電気等,来場等参加者の移動時 の排出量など) ・参加人数,会場,開催期間(日数,時間) ・クレジットの種類,調達方法・時期など ・クレジット調達の費用(主催者負担,参加者負担) ・削減努力する内容 対象活動による 排出量を算定 ②削減努力,対象活動で発生(削減)する温室効果ガスを算定 ・会議を開催する際のエネルギー(照明,冷暖房等に伴う電気,送迎バス,来 場者が使用するガソリン・軽油など)の使用によって発生する温室効果ガス を算定。 ・第三者機関に算定を認証してもらうと透明性が高まります。 広 告 開 催 ③開催案内,開催時の情報提供 ・次の事項を開催案内,ホームページ等で参加者に情報提供 ①カーボン・オフセットの仕組み ②オフセットの対象活動と温室効果ガスの算定量・方法 ③オフセットする量 ④使用するクレジットの種類(CER,J-VER等) ⑤クレジット対象プロジェクト(国名・地域,プロジェクトのタイプ(風 力・水力発電,フロンガス回収など) ) ⑥クレジットの調達方法及び無効化方法 ⑦オフセット費用の負担(チケット等参加者負担の有無) クレジット購入 ④プロバイダーを通じて,必要なクレジットを調達 ・CER,J-VER等のクレジットの種類,クレジットの基になった活動を選択 (例 開発途上国の風力発電や水力発電整備など)し,プロバイダーに購入 を申し込みます。 オフセット証書の 取得 ⑤プロバイダーによる購入クレジットの無効化 及びカーボン・オフセット証書の取得 ・プロバイダーからのオフセット証書の取得 ・取組が完了したことの情報提供(取組の成果,証書の公表) 終了後の 情報提供 ⑥取組(実施)結果の情報提供 ・取組の完了,成果の公表(ホームページ等) ・カーボン・オフセット証書の公開 −9− 2 カーボン・オフセット商品の販売(プロバイダーを利用) 企 画 ①オフセット商品の企画 ・目的 ・対象商品の選定と対象活動(製造時,廃棄時の排出量など) ・販売数量 ・販売期間 ・クレジットの種類,調達方法・時期など ・クレジット調達の費用(販売者負担,消費者負担) ・削減努力する内容 対象活動による 排出量を算定 ②削減努力,対象活動で発生(削減)する温室効果ガスを算定 ・商品を製造・販売,旅行する際のエネルギー(製造,移動に伴う電気,重油, ガス,ガソリンなど)の使用によって発生する温室効果ガスを算定。 ・第三者機関に算定を認証してもらうと透明性が高まります。 広 告 販 売 ③広告時,販売時の情報提供 ・次の事項を広告,商品包装,ホームページ等で消費者に情報提供 ①カーボン・オフセットの仕組み ②オフセットの対象活動と温室効果ガスの算定量・方法 ③オフセットする量 ④使用するクレジットの種類(CER,J-VER等) ⑤クレジット対象プロジェクト(国名・地域,プロジェクトのタイプ (風力・水力発電,フロンガス回収など) ) ⑥クレジットの調達方法及び無効化方法 ⑦オフセット費用の負担(販売価格への転嫁の有無) クレジット購入 オフセット証書の 取得 終了後の 情報提供 −10− 3 自己活動のカーボン・オフセット(プロバイダーを利用) 対象活動の 決 定 ①対象活動の決定 ・目的 ・対象活動(事務室で使用する電気,社用車で使用する燃料等) ・取組期間 ・クレジットの種類,調達方法・時期など ・削減努力する内容(省エネ電球への交換,ハイブリッド車の導入等) 対象活動による 排出量を算定 ②削減努力,対象活動で発生(削減)する温室効果ガスを算定 ・業務・事業を実施する上で必要なエネルギーの使用によって発生する温室効 果ガスを算定。 ・第三者機関に算定を認証してもらうと透明性が高まります。 広 報 クレジットの購入量・ 購入先の検討 ③広告による情報提供 ・次の事項をCSR報告,ホームページ等で外部に情報提供 ①カーボン・オフセットの仕組み ②オフセットの対象活動と温室効果ガスの算定量・方法 ③オフセットする量 ④使用するクレジットの種類(CER,J-VER等) ⑤クレジット対象プロジェクト(国名・地域,プロジェクトのタイプ (風力・水力発電,フロンガス回収など) ) ⑥クレジットの調達方法及び無効化方法 クレジット購入 オフセット証書の 取得 終了後の 情報提供 −11− 国内の削減活動によるクレジットを得るには オフセットに活用できるクレジットには,Q6で紹介した主に3種類の クレジットがありますが,ここでは,国内の削減活動によって得られる オフセットクレジット(J-VER)について紹介します。 バイオマスボイラー等を導入し,化石燃料の燃焼による温室効果ガス の排出を削減しようとする事業者や,間伐・植林等によって吸収量の増 加を図ろうとする事業者等が認証クレジット(J-VER)を得るためには, 次の流れによる申請手続き等が必要です。 ① J-VER基準の 策定・提供 ③ ⑥⑦ 環境省 気候変動対策認証センター プロジェクト 申請 J-VER発行 口座a 口座b 無効化 確 認 口 座 口座c プロジェクト 認証 ② 無効化 GHG:温室効果ガス GHG削減事業者a ④ J-VER登録簿 GHG削減事業者b GHG削減事業者c 口座開設 カーボン・オフセット等に 活 用 事業の検証 認定された検証機関A ⑤ 認定された検証機関B 出典:環境省気候変動対策認証センターホームページ ①認証対象活動リスト(ポジティブリスト)・方法論等の設計・公表【認証運営委員会】 J-VER制度の対象プロジェクトを特定し,プロジェクトの種類ごとに適格性基準・方法論を明示 ②プロジェクトの計画,申請【認証取得希望事業者】 様式に従い申請書を作成し,認証センターに提出。事業者は申請に際し手数料が必要 ③プロジェクトの受理・審査・登録【認証運営委員会,認証センター】 認証センターが受理しパブリックコメントを募集するとともに,ポジティブリストや適格性基準 への整合性等を審査。審査後,認証運営委員会は適切なプロジェクトを登録する。 事業者は登録に際し手数料が必要 ④削減状況の計測【認証取得希望事業者】 申請時に承認された手法に則って削減量の計測を実施し,モニタリング報告書を作成 ⑤削減状況実績報告書の検証【第三者検証機関】 モニタリング報告書を検証し,検証報告書を作成後,認証運営委員会に提出 ⑥排出削減・吸収量の認証【認証運営委員会】 検証機関から提出された検証報告書等に基づき,排出削減・吸収量を認証 ⑦J-VERの発行【認証運営委員会】 認証された排出削減・吸収量分のJ-VERを発行 事業者は発行を受ける前にJ-VERを管理する登録簿の口座を開設。口座開設には手数料が必要 −12− J-VER認証取得に取り組むには 1 ボイラー燃料代替プロジェクト 対象活動として 申請 ボイラーで使用する化石燃料を未利用林地残材に転換するプロジェクトで,次の4 つの条件を全て満たしているもの。 ①燃 料 代替の対象となるボイラー燃料は,化石燃料であること。 ②対象ボイラー 既存ボイラーに加え新規ボイラーも対象とし, 次のいずれかの場合であること。 審査 承認 登録 ・既存ボイラーをそのまま使用する。 ・既存ボイラーを新たなボイラーで置換する。 ・既存ボイラーの一部を新たなボイラーで置換する。 ・新たなボイラーを導入する。 ③燃料となるバイオマス 日本国内で産出された未利用林地残材(間伐材,枝葉,等)であること。 ④経済性 投資回収年数が3年以上であること。 <投資回収年数の計算方法例> 投資回収年数=設備投資費用÷((化石燃料年間使用料×価格−バイオマス年間使用料×価格)−年間運転費用) 削減量の 計測・報告 発行されるクレジットの算定方法 林地残材が使用されなければ消費されていたと考えられる化石燃料の排出量(ベ ースライン排出量)から,排出削減プロジェクトを実施することで排出される排出 量(プロジェクト排出量)を差し引いて算出する。 排出削減量=ベースライン排出量−プロジェクト排出量 排出活動 ベースライン 排出量 温室効果ガス 説 明 林地残材が使用されなければ,バイオ 化石燃料の使用 CO2 林地残材の運搬 CO2 林地残材の事前処理 CO2 マス使用量と熱量等価となる量の化石 燃料が消費され,CO2が排出される。 林地残材をトラック等の車両で運搬す 検証 認証 プロジェクト 排出量 る場合,運搬過程で化石燃料が消費さ れ,CO2が排出される。 林地残材を事前処理する場合(破砕, 選別等),その処理過程で化石燃料や電 力が消費され,CO2が排出される。 出典:環境省気候変動対策認証センターホームページ ・既存ボイラーの改修,更新工事に伴うCO2排出量の算定は不要 ・林地残材の燃焼に伴うCO2排出量の算定は不要 ・林地残材の運搬に伴うCO2排出量の算定・計測が必要 ・林地残材の前処理に伴うCO2排出量の算定・計測が必要 口座開設 登 録 ・口座でクレジットを管理 ・プロバイダー,オフセット取組事業者へのクレジット販売 ・自己活動へのクレジット活用 ・クレジットの無効化(償却) −13− 2 森林管理プロジェクト(間伐促進等森林経営・植林) 京都議定書に定める森林吸収源対策(3.8%)の定義に即した活動が対象で,クレジット 発行対象期間は,京都議定書第1約束期間終了(2012年度)までとしています。森林吸収 J-VERは京都議定書の削減目標に直接活用できませんが,間伐等を推進するものであり,森 林吸収源の目標達成を側面的に支援することにつながります。 対象活動として 申請 CO2吸収量の永続性の担保に資する措置 ○森林経営プロジェクトでは,以下の3つの条件のいずれかを満たすことが必要 ①森林法の森林施業計画 審査 承認 登録 ・森林法に基づいて市町村等に より認定された計画 ・5年ごとに計画を更新 ・伐採・造林の届出書を提出 (森林伐採後の確実な更新を担 保し,炭素ストックを維持) ②森林認証制度 ③都道府県等の「企業の森 づくり」制度(+①or②) ・第三者機関によって持続的な 森林経営を認証 ・毎年の審査と継続的な認証の 更新 (森林伐採後の確実な更新を担 保し,炭素ストックを維持) ・都道府県等によって認証され た森林所有者と企業の間の森 林保全協定 (森林施業計画or森林認証制度 によって,炭素ストックが維 持されることを担保) ○CO2吸収量の永続性を担保するため,クレジット発行対象期間終了後10年が経過するまで以下の措置 を講ずる。 ・本制度の事務局を務める気候変動対策認証センター(4CJ)が発行されるクレジットの3%を「バッファー管理口座」で確保・管理する。 ・毎年,4CJにおいて,統計等を用いて自然攪乱や土地転用等に伴うCO2吸収効果消失率を算定し,発行済みクレジットの累計値に乗じ た量のクレジットをバッファー管理口座から無効化口座に移転することにより,制度全体で発行済みクレジットの有効性を担保。 ・4CJがバッファー管理口座にクレジットを保持する等の年限は,吸収量を永続的に担保する観点,制度の実効性の観点,プロジェクト 事業者の負担を軽減する観点から,クレジット発行対象期間終了(2012)後10年とする。 ・不適切な主伐や土地転用により吸収量が失われたときの対応を別途定める約款に基づき講ずる。 削減量の 計測・報告 発行されるクレジットの算定方法 ○京都議定書でのCO2吸収量の算定方法に準じ, ※ 「グロス−ネット方式 」を採用。 ※グロス−ネット方式 施業を行った対象地での(全ての)CO2年間吸収量を 計上する方式。(一方,プロジェクトが実施されなか った場合の吸収量との差分のみをCO2年間吸収量とす る場合はベースライン&クレジット方式という。 ) 検証 認証 吸収量(5年目) 吸収量(4年目) 炭 素 ス ト ッ ク 量 吸収量(3年目) 吸収量(2年目) 吸収量(1年目) プロジェクト 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 開始時 ○持続可能な森林経営促進型プロジェクトでは,主伐量に応じ,CO2排出量を減じる。 ○吸収量の算定に際しては,京都議定書に基づく吸収量の算定で用いている方法(樹種毎に統一したバイ オマス拡大係数,容積密度数などの係数を使用する方法)を基本とし,幹材積の年間成長量については, 各地域の樹種別・地位別収穫表を適用して樹齢に応じた材積を求める。 ・小規模森林所有者の施業をとりまとめて申請することも可能にする予定 ・自治体独自の認証制度もプロジェクトとして認証を受けるとJ-VERの発行を可能にす る手続きを検討中 口座開設 登 録 ・口座でクレジットを管理 ・プロバイダー,オフセット取組事業者へのクレジット販売 ・自己活動へのクレジット活用 ・クレジットの無効化(償却) −14− J-VER制度における手数料 J-VERの発行を受けるためには,プロジェクトの申請から登録,認証 発行及びJ-VERを管理する口座の開設などに係る手数料が必要になります。 平成21年度の暫定手数料は以下のとおりになっています。森林施業計 画の件数にもよりますが,平均30万円から40万円の手数料が必要です。 1. J-VER発行にかかる暫定手数料(平成21年度) 申請手数料 ※森林経営プロジェクトの場合は,森林施業計画2件まで含めることができ るが,3件目以上はバンドリング手数料が生じる。植林プロジェクトの場合 は,3市町村域まで含めることができるが,4市町村域以上はバンドリング 手数料が生じる。 バンドリング手数料 147,000円(税抜140,000円) 森林経営:森林施業計画追加 63,000円/件(税抜60,000円) 植林:市町村域追加 42,000円/件(税抜40,000円) 登録手数料 105,000円(税抜100,000円) 固定部分[1回あたり] 認証発行手数料 21,000円(税抜20,000円) 84円/tCO2(税抜80円/tCO2) 変動部分[発行量あたり] 2. J-VER登録簿にかかる手数料 21,000円(税抜20,000円) 口座開設手数料 残高証明書発行手数料 2,100円(税抜2,000円) 移転証明書発行手数料 2,100円(税抜2,000円) 無効化証明書発行手数料 10,500円(税抜10,000円) 3. 振込先 みずほ銀行 神谷町支店 口座種別:普通 口座番号:1177006 口座名義:社団法人海外環境協力センター 気候変動対策認証センター 平成21年度は,J-VER制度を活用する事業者に対する支援制度があ ります。 (今後の支援制度については,環境省に確認してください。 ) 環境省による事業者支援事業(平成21年度) 平成20年度第2次補正予算(追加経済対策)における「森林起源二酸化炭素排出削減・吸 収量認証促進事業」(1億2,000万円)のうち,7,000万円を活用し,オフセット・クレ ジット(J-VER)制度を活用する事業者に対する支援を実施。 支援体制 三菱UFJリサーチ&コンサルティング カーボン・オフセットフォーラム(J-COF) 制度全般に関する問い合わせ対応 森林吸収プロジェクト 木質バイオマス以外の排出削減プロジェクト 三菱総合研究所 木質バイオマスプロジェクト 申請書作成支援 モニタリング報告書作成・受検支援 申請書作成指導・事務局審査(バリデーショ ン)への対応(計30事業者程度を選定) 「申請書作成の手引き」の作成 など −15− モニタリング報告書作成指導・検証機関の紹 介,検証への対応,検証費用一部支払い 「モニタリング報告書記入要領」の作成 など カーボン・オフセットの取組事例 旅行商品など一部を除き,現在のところ消費者に費用を負担させる事 例は少ないようですが,消費者がオフセット商品を選択的に購入してい る事例もあることから,今後,購入者の負担も含め,様々な商品・サー ビスの展開が期待されます。 商品・サービス名 カーボン・オフセット付き年賀状 オフセットの内容 1枚に付き10円の資金をCDMプロジェクトに寄付 排出権は国に無償譲渡 使用クレジット 京都メカニズム CERプロジェクト オフセット効果 38,175t-CO2 負 担 額 1枚につき,購入者5円,事業者5円 計10円 備 考 1枚につき,約2.5gのCO2をオフセット イ ベ ン ト 名 オフセットの内容 「環境の日」ひろしま大会 イベントで使用する電気の使用により発生する温室 効果ガスをオフセット ※ 使用クレジット 国内グリーン電力証書 オフセット効果 335kg-CO2 負 担 額 10,500円 備 考 ※グリーン電力証書によるカーボン・オフセットに ついては,現在J-VERプロジェクトへの追加につ いて検討中 イ ベ ン ト 名 福山ばら祭り2009 オフセットの内容 イベントで使用する電気・軽油,シャトルバスで使 用するガソリン,参加者の自家用車のガソリンの使 用により生する温室効果ガスの一部をオフセット 使用クレジット 京都メカニズム CERプロジェクト オフセット効果 14.6t-CO2の75% 負 担 額 53,339円(イベント参加者468名の募金) 備 考 −16− 商品・サービス名 カーボン・オフセット付き紙おむつ オフセットの内容 紙おむつ1パックにつき,その焼却により排出され る二酸化炭素3kgをオフセット 排出権は国に無償譲渡 使用クレジット 京都メカニズム CERプロジェクト オフセット効果 4,260t-CO2 負 担 額 購入者0円 備 考 2009年6月5日∼2009年7月10日の間実施 商品・サービス名 カーボン・オフセットバナナ オフセットの内容 バナナ1房(4∼7本)買うごとにCO2を1kg削減 排出権は国に無償譲渡 使用クレジット 京都メカニズム CERプロジェクト オフセット効果 7,200t-CO2※ 負 担 額 店頭価格1房250円程度(うち5円程度が排出権調 達費用)で購入者負担は0円 備 考 ※年間40万箱(18房)入りを販売した場合 商品・サービス名 カーボン・オフセット付きボトルコーヒー オフセットの内容 ボトルコーヒー1本(1.5R)につき1kgの温室効果 ガスを削減 排出権は国に無償譲渡 使用クレジット 京都メカニズム CERプロジェクト オフセット効果 1600t 負 担 額 購入者0円 備 考 160万本を販売 商品・サービス名 カーボン・オフセットユニフォーム オフセットの内容 作業服1着を購入すると5kgの温室効果ガスを削減 排出権は国に無償譲渡 使用クレジット 京都メカニズム CERプロジェクト オフセット効果 − 負 担 額 購入者 備 考 −17− 商品・サービス名 個人向けクレジットの販売 オフセットの内容 コンビニエンスストアの店頭端末から200kg・ 500kg・1tの単位でクレジットが現金または会員 カードポイントで購入できる 排出権は国に無償譲渡 使用クレジット 京都メカニズム CERプロジェクト オフセット効果 − 負 担 額 消費者:200kg:1,050円,500kg:2,500円, 1t:4,500円 備 考 商品・サービス名 カーボン・オフセット付き定期預金 オフセットの内容 定期預金1,000万円につき1t-CO2の排出権を金融 機関が購入 排出権は国に無償譲渡 使用クレジット 京都メカニズム CERプロジェクト オフセット効果 100万円につき330kg-CO2 1,000万円につき1t-CO2 など 負 担 額 預金者の負担無し 備 考 ※金融機関によって様々であるが,定期預金の募集 規模は30∼60億円 商品・サービス名 カーボン・オフセット付き旅行 オフセットの内容 旅行で発生する二酸化炭素を旅行代金の一部で購入 したグリーン電力でオフセット 使用クレジット グリーン電力証書※ オフセット効果 − 負 担 額 利用者100% 備 考 ※グリーン電力証書によるカーボン・オフセットに ついては,現在J-VERプロジェクトへの追加につ いて検討中 −18− J-VER認証・発行・活用の国内事例 J-VERの認証を受けた初めての事例として,高知県と地元森林組合, 地元企業が協力して成立させた事例があります。高知県が取得したJVERのうちの一部は,JR東日本の駅ショッピングセンター事業を展開 している㈱ルミネに販売されました。 2008年4月からの6ヶ月で発行されたJ-VERは1,039t。 県内では,森林バイオマスによる排出削減プロジェクトとして,庄原 市東城町の「リフレッシュハウス東城」が約380tのクレジットを取得 予定です。 オフセット・クレジット(J-VER)制度 認証第1号プロジェクト (高知県木質資源エネルギー活用プロジェクト) セメント工場のボイラー燃料について,化石燃料から未利用林地残材に代替することで実現される温室効果ガスの排出 削減量をクレジットとして認証を受けるもの。(平成20年12月3日申請,平成21年3月10日認証。2008年4月∼9 月で1,039t。) 〈ボイラーでの利用〉 〈破砕処理〉 〈間伐等〉 〈トラックによる搬出〉 森林組合 住友大阪 セメント(株) 化石燃料から木質バイオマス への燃料代替による温室効果 ガス排出量の削減 木質チップ化等 未利用林地残材 (伐倒されたまま森林 に放置された木) 間伐材利用委託 高 知 県 オフセット・クレジット(J-VER)制度に基づく申請 認証 オフセット・クレジット(J-VER)認証運営委員会 ル ミ ネ の 取 組 資金 ¥ クレジット 環境先進企業等 ・目 的:社員の環境意識の更なる改善(自己活動のオフセット) ・対象活動:新宿店・ルミネエスト店・本社社員,協力会社スタッフの通勤によって排出されるCO2 ・取組期間:2008年8月∼10月 ・削減努力する内容: 社員等の通勤経路を検証し,よりエコなルートを選定 (交通機関の乗車区間を短縮(一駅分歩く等) ・よりエコとなる交通手段の選択(自動車より電 車を利用するなど) ・エレベーター・エスカレーターを使用しない) 冷房温度を28℃に設定,ノー残業,コピー用紙の削減,階段利用 −19− 出典・用語解説 1 出 典 ○ 我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)(環境省) (http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/guideline080207.pdf) ○ カーボン・オフセットの対象活動から生じるGHG排出量の算定方法ガイドライン(環境省) (http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/guideline-cmghg.pdf) ○ カーボン・オフセットの取組に係る信頼性構築のための情報提供ガイドライン(環境省) (http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/guideline-info.pdf) ○ カーボン・オフセットの取組に対する第三者認証機関による認証基準(環境省) (http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/cc-tpc.pdf) ○ オフセット・クレジット(J-VER)全国説明会説明資料(環境省・林野庁) (http://www.env.go.jp/earth/ondanka/jcap/brief2009.html) ○ カーボン・オフセットフォーラムホームページ (http://www.j-cof.org/) ○ 気候変動対策認証センターホームページ (http://www.4cj.org/jver/index.html) 2 用語解説 ◆京都メカニズムクレジット 京都議定書に定められる手続に基づいて発行されるクレジットをいう。この京都メ カニズムクレジットは,京都議定書に基づく削減目標達成のために使われるものであ り,①各国に割り当てられるクレジット(Assigned Amount Unit, AAU)②共同 実施(Joint Implementation, JI)プロジェクトにより発行されるクレジット (Emission Reduction Unit, ERU)③クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism, CDM)プロジェクトにより発行されるクレジット (Certified Emission Reduction, CER)④国内吸収源活動によって発行されるクレ ジット(Removal Unit, RMU)の4種類がある。 ◆グリーン電力証書 風力,太陽光,地熱等,自然エネルギーから発電された電気のグリーン価値部分を 証書として発行したもの ◆温室効果ガス(GHG) 京都議定書における排出量削減対象となっていて,環境省において年間排出量など が把握されている物質としては,二酸化炭素(CO2),メタン(CH4),一酸化二窒素 (N2O),ハイドロフルオロカーボン類(HFCs),パーフルオロカーボン類(PFCs), 六フッ化硫黄(SF6)の6種類がある。 −20− ◆クレジット(温室効果ガスの排出削減・吸収量) 温室効果ガスの排出を削減又は吸収するプロジェクトを通じて生成される排出削 減・吸収量の総称。第三者機関によって認証されているクレジットとそうでないもの がある。カーボン・オフセットには,京都メカニズムクレジット,京都メカニズム以 外のVER,JVETS,グリーン電力証書などがある。 ◆クレジットのダブルカウント ダブルカウントとは,クレジットの購入によって排出量を埋め合わせる(オフセッ トする)場合に,ある一つのクレジットが複数の異なる排出活動を埋め合わせる(一 つのクレジットで何度も違うものをオフセットしてしまう)のに用いられることをい う。 ◆自己活動オフセット 市民,企業,NPO/NGO,自治体,政府等が,他の場所で排出削減・吸収を実現 するプロジェクトからのクレジットを購入することで,自らの活動に伴って排出され る温室効果ガス排出量をオフセットするもの(費用は基本的に市民,企業, NPO/NGO,自治体,政府等が自己負担)。例えば,家庭の電気・ガスの使用,企業 の本社ビルの電気使用等に伴う温室効果ガス排出量のオフセット等をいう。 ◆国内排出量取引制度(JVETS) 環境省が2005年度から開始している,試行的な国内排出量取引を実施する制度。 自主的に温室効果ガスの削減目標を立てて排出削減を行う事業者を対象としている。 具体的には,自ら定めた温室効果ガスの排出削減目標を達成しようとする事業者に対 して,補助金を交付し経済的インセンティブを与えることで,事業者自らの排出削減 だけでなく排出枠の取引を活用することで削減目標を達成することができる仕組み。 ◆償 却 京都クレジットを「償却する」とは,京都クレジットを京都議定書第1約束期間の 約束達成に用いるために,日本の国別登録簿上の償却口座へ移転することをいう。京 都クレジットを移転する口座は複数あり,日本を含む京都議定書附属書Ⅰ国が京都議 定書に基づく削減目標を達成するには,償却口座に目標量が移転されていなければな らない。このため,目標達成は実際の第1約束期間中(2008年∼2012年)の排出 量と償却口座内のクレジット量の比較により判断される。一方,京都クレジットを 「取り消す」とは,京都クレジットを京都議定書第1約束期間の約束達成には用いない ために,国別登録簿上では取消口座に移転することをいう。このため,京都議定書第 1約束期間中に国内で排出される温室効果ガスをオフセットする際にクレジットを取 り消した場合には,京都議定書の目標達成とは別に世界全体での温室効果ガスの削減 に貢献したことになる。 −21− ◆低炭素社会 化石エネルギー消費等に伴う温室効果ガスの排出を大幅に削減し,世界全体の排出 量を自然界の吸収量と同等のレベルとしていくことにより,気候に悪影響を及ぼさな い水準で大気中の温室効果ガス濃度を安定化させると同時に,生活の豊かさを実感で きる社会をいう。 ◆排出削減・吸収の確実性・永続性 商品,サービス,イベント,自己活動等からの排出量が確実に埋め合わされている ことを担保するためには,排出削減・吸収プロジェクトにより確実な排出削減・吸収 があり,かつこの排出削減・吸収が将来にわたって永続的であることが必要となる。 例えば,植林プロジェクトによる温室効果ガス吸収量でオフセットすることとしても, 実際に植栽された樹木が管理不足で枯死してしまった場合には,想定していた吸収量 は発生しないことになるため,適切な管理を継続的に行う等,永続性を確保すること が必要です。 ◆バウンダリ(カーボン・オフセットにより埋め合わせる対象となる活動の範囲) カーボン・オフセットを行うには,どの範囲の行為・活動からの排出量を埋め合わ せるのかを決めて,更にその排出量を算定しなければならない。例えば,会議・イベ ントの排出量を算定する場合,主催者及び関係者側の活動のみを算定の対象とするの か,参加者が目的地まで移動する際の排出量まで含めるのか等を事前に決めないと, 当該会議・イベントからの排出量を埋め合わせるのにどれくらいの量のクレジットの 購入等が必要か決まらないことになる。 ◆無効化 オフセットで使用したクレジットが再販売・再使用されることを防ぐために,無効 にすることをいう。例えば,京都メカニズムクレジットの場合,国別登録簿上の償却 口座又は取消口座に移転すると再度口座から持ち出すことはできないため,無効化さ れることになる。 ◆VER(Verified Emission Reduction「認証を受けた排出削減」 ) 京都議定書,EU域内排出量取引制度等の法的拘束力をもった制度に基づいて発行 されるクレジット以外の,温室効果ガスの削減・吸収プロジェクトによる削減・吸収 量を表すクレジット。このVERについて,いくつかの民間団体が独自の認証基準を設 けている。日本国独自のVERをJ-VERと呼んでいる。 −22−