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応急処置について
【応急処置】 Ⅰ 手足のケガ 1)捻挫・打撲・肉ばなれ ①患部を安静にする ・無理に動かしたり、歩いて体重をかけたりすると、痛みが増したり、悪化したりするこ とがある。 ・始めに無理をすると、ケガが長引くことになる。 ②氷で冷やす ・内出血や炎症を抑えるために、氷で冷やす。 ・氷を当てているうちに、だんだん“冷たい”感覚がなくなる。そうなったら、一度氷を 外し、再び痛みが出てきたら氷を当てる。 ・太ももの裏の肉ばなれのときは、膝を曲げて筋肉を緩めて冷やす。 ③包帯などで圧迫する ・出血、腫れを防ぐために圧迫する。氷を当てる前や、氷を固定するのと同時に行っても よい。圧迫した部分の先が青くなったり、しびれたりしない程度に、圧迫の強さを加減 する。 ④患部を高く上げる ・ケガをした部分を自分の心臓より高い位置に持ち上げる。椅子や台、クッション、座布 団、枕等手頃な高さの物を探して患部を乗せておく。 ※帰宅後も冷やし続ける。また、寝るときも患部を高く上げておく。冷湿布は、痛みや炎症を 和らげる成分を浸透させるもので、冷やす効果は期待できない。 2)突き指 ①まず固定する ・ケガした部分を動かさないように、隣の指と一緒に固定する。 ②氷で冷やす ・固定したまま氷やアイスパックで冷やす。指は骨折や脱臼していてもわかりにくく、放置 して変形や曲がらない、伸びないなどの後遺症を残すことがあるので注意が必要である。 3)脱臼(肩や肘などの関節が外れて動かなくなる) ①固定する ・ケガした本人が一番楽な姿勢のまま三角巾などで吊り、さらに固定する。 ②冷やしてすぐに外科、整形外科で受診 ・ケガした部分を氷などで冷やす。関節が外れたときに、靱帯や近くの骨を損傷しているこ とが多いので、関節を自分で元に戻そうとせず、必ず専門医を受診する。 4)骨折を疑うとき 次のような症状があるときは、骨折を疑い、骨折しているものとして処置する。 ①腫れがひどく、ケガした部分を触ると激痛がある。 ②ケガした部分の隣の関節を動かせない。 ③変形している 5)骨折の処置 ①できるだけケガをした人がしている姿勢のまま固定して、病院へ行く。 ②固定には『副子』を使う。ない場合はいろんなもので代用する。 (例)新聞紙・ダンボール・雑誌・バスタオル・傘・バット・ペンなど Ⅱ すり傷・切り傷 1)すり傷 ①流水で傷口をきれいに洗い流す。 ②マキロンなどで消毒する。 ③出血がある場合は、きれいなガーゼを当てて圧迫すると、たいてい止まる。 ④バンドエイドまたはガーゼを薄く当てておく。 ・止血用の粉などを付けるとかえって悪くなることがある。 2)切り傷 ①滅菌ガーゼを当てて、出血を止める。 ②傷口が大きい場合または傷口が小さくても深い場合は、縫わなければいけないときもあるの で、外科、整形外科を受診する。 Ⅲ その他のよくあるケガ 1)鼻出血 ①何かにぶつかったり、転んだりして出血した場合は、鼻の変形がないかどうかを見る。 ②変形がなければ、出血しているほうの鼻を、鼻の中央の壁に向かって5∼10分押さえる。 焦らず安静にして鼻の上を冷やす。 2)やけど ①すぐにやけどした部分を流水で冷やす。 ②水ぶくれができていても、つぶさない。 ③清潔なガーゼを当てておく。 Ⅳ 頭(顔)のケガ 1)頭の打撲 ①意識があるときは、打撲した部分を冷やしながら、安静にする。 ②打撲の直後から2∼3日の間に次のような症状があれば、すぐに受診する。 ・何度も吐く。 ・強い吐き気が続く。 ・手足がしびれる。 ・起きていてもすぐに眠ってしまう。 ・打撲した部分にひどい頭痛がある。 ③意識がないときは「Ⅶ 意識がないとき」を参照。 2)眼の打撲 ①打撲した部分を冷やしながら、少し頭を高くして安静にする。 ②次のような症状があれば、すぐに受診する。 ・ものが二重に見える。 ・視界が狭くなっている。 ・眼が開かない。 ・眼の動きがおかしい。 3)歯・あごの打撲 ①口の中から出血している場合は、清潔なガーゼを当てて止血する。 ②うがい薬で口の中を消毒する。 ③歯が折れた場合は、折れた歯を牛乳または自分の口の中に入れて、すぐに受診する。 ④出血がない場合は、打撲した部分を冷やす。 ⑤次のような症状があれば、すぐに受診する。 ・歯が折れている。 ・口の中の傷が外まで貫通している。 ・痛くて口が開けられない。 ・変形している。 Ⅴ 熱中症 1)比較的症状が軽いとき ①風通しのよい涼しい場所に連れて行く。 ②食塩水(水 500ml に食塩小さじ1杯)か、スポーツドリンクを飲ませる。 2)症状が重いとき(めまい、吐き気、高体温、けいれん、昏睡など) ①濡れたタオルで全身を濡らして、うちわで扇ぎ風を送る。または氷嚢を首の後ろ・脇の下・ 足の付け根に当てて冷やす。 ②意識がない、またはもうろうとしている場合は、救急車を呼び、 「Ⅶ 意識がないとき」を参 照に、回復体位のまま冷やす。 Ⅵ その他のよくある症状 1)脳貧血 脳へ流れる血液の量が一時的に減少してしまう状態を言う。冷や汗、吐き気があり、急に気 分が悪くなって倒れる。 ①衣服を緩めて、足を高くして寝かせる。 ②倒れたときに頭や胸などを打撲していないか注意する。 2)過換気症候群 息苦しい、顔や手足のしびれ、頭がボーっとするといった症状がある。不安や悩みが原因で 起こる。 ①安静に寝かせて、ペーパーバッグを鼻と口を覆うように当て、ゆっくり深呼吸させて、自分 の吐いた息を吸わせる。 ②同じような状態で、顔色が悪く、唇が青紫に変色している場合は、肺機能の低下による呼吸 困難の可能性があるので、ペーパーバッグを当てると逆効果になる。すぐに病院へ。 Ⅶ 意識がないととき 1)意識の確認 倒れている人の肩をたたいて呼びかける。揺すってはいけない。 ①意識が戻った場合 … その状態に応じた手当をする。 ②意識が戻らない場合 … 一人は救急車(先生)を呼ぶために走り、もう一人は落ち着いて 呼吸があるかどうかを確認する。 2)呼吸の確認 ①気道を確保する。 ②気道を確保しながら倒れている人の胸を見て、動きがあるかどうか、自分の耳と頬で呼吸音 があるか、吐く息を感じるかを観察する。 ③充分な呼吸をしていれば、回復体位にして、観察を続ける。 3)回復体位 ①倒れている人を横向きにして、上側の足の膝を曲げて前へ出す。 ②上側になっている腕の肘を曲げて、あごの先を突き出して、手の甲に乗せて気道確保する。