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直列ツインリニアスライダの

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直列ツインリニアスライダの
直 列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の
位置 決 め制 御 に関す る研 究
本田
英己
目
次
第1章
第2章
第3章2自
序 論1
1.1背
景1
1.2従
来 の 研 究 成 果 と 本 論 文 で 取 り扱 う課 題3
1.3各
章 の 概 要4
直 列 ツ イ ン リ ニ ア ス ラ イ ダ と 機 台 振 動 現 象6
2.1機
台 振 動 現 象6
2.2実
験 装 置9
2.3開
ル ー プ 実 験12
2.4考
察17
2.5ま
と め17
由 度 制 御 系 の 設 計18
3.1ス
3.22自
3.3実
3.4ま
第4章
ラ イ ダ 間 の 干 渉 を 考 慮 し た 制 御 モ デ ル18
由 度 制 御 系 の 設 計20
3.2.1制
御 系 概 略20
3.2.2フ
ィ ー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 の 設 計21
3.2.3フ
ィ ー一
・ドバ ッ ク 補 償 器 の 設 計23
験 結 果25
3.3.1制
御 モ デ ル に よ る 比 較25
3。3.2指
令 加 減 速 が 異 な る 場 合 の 比 較28
3.3.3ス
ラ イ ダ 負 荷 が 異 な る 場 合 の 比 較30
と め33
仮 想 受 動 関 節 モ デ ル を 用 い た 適 応 形 予 測 制 御34
4.1直
列 ツ イ ン リ ニ ア ス ラ イ ダ の 仮 想 受 動 関 節 モ デ ル34
4.2開
ル ー プ 応 答 比 較 に よ る 妥 当 性 の 検 討39
4.3適
4.2.1開
ル ー プ 応 答 結 果39
4.2.2考
察39
応 形 予 測 制 御 系 の 設 計42
4,3.1離
散 時 間 モ デ ル の 導 出42
4.3.2適
応 形 予 測 制 御 の 概 説45
4.3.3適
応 形 予 測 制 御 系 の 設 計46
4.3.4適
応 パ ラ メ ー タ 調 整 則49
4.4適
4.5ま
第5章
応 形 予 測 制御 系 の シ ミュ レー シ ョン 結 果50
4.4.1指
令 加 減 速 が 異 な る場 合 の 比 較50
4.4.2ス
ラ イ ダ負 荷 が 異 な る 場 合 の 比 較52
とめ55
結 論56
謝 辞57
参 考 文 献58
付 録Aス
ライ ダ の 摩 擦 が 変 化 した場 合 の2自
1i
由度 制 御 系 の性 能 検 討62
第1章
序論
1.1背
景
日本 の 産 業 基 盤 を 支 え る 製 造 業 に お い て,工
は,そ
作 機 械 を は じ め とす る各 種 製 造 機 械 の 発 達
の ま ま 日本 産 業 の発 展 と密 接 に っ な が っ て い る。 中 で も,い
わ ゆ る 「メ カ トロ ニ ク
ス 」 技 術 は,製 造 機 械 の 発 達 に 大 き く貢 献 して き た。
「メ カ トロ ニ ク ス(MECHATROMCS)」
とい う言 葉 は,1975年
ま れ た も の で あ る。 これ は,"Mechanics"と"Electronics"が
ご ろわが 国 にお い て生
合 成 され た 造 語 で あ る が,単
機 械 技 術 と電 気 技 術 が 合 成 され た も の を さす の で は な い 。 一 般 に は,コ
だ 制 御 装 置 が,機
械 の す ぐ側 に あ る,も
に
ン ピ ュ ー タ を含 ん
し くは 機 械 に 組 み 込 ま れ て い る よ う な機 械 シ ス テ
ム に 対 し用 い られ る よ うで あ る 。代 表 的 な設 備 と して は,NC工
作 機 械 や 産 業 用 ロ ボ ッ トが
挙 げ られ よ う。
メ カ トロ ニ ク ス機 器 の 最 も基 本 的 な シ ステ ム は,被 加 工 物,も し くは 加 工 す る ツ ー ル を,
2次 元 平 面 内 も し く は3次 元 空 間 内 に お い て 移 動 させ 位 置 決 めす る,い わ ゆ る 「リニ ア ス ラ
イ ダ シ ス テ ム」 で あ る。2次 元 も し くは3次 元 に直 交 す る直線 軸 に よ って構 成 され,ア
クチ ュ
エ ー タ と して は,電 動 モ ー タ,油 圧 ア クチ ュ エ ー タ,空 気 圧 ア ク チ ュエ ー タ な どが 用 い られ
て き て お り,送
り要 素 と して は,従
来 は 多 く の 場 合 ね じが 用 い られ て い る(す べ りね じ,
ボ ー ル ね じ,静 圧 ね じ,空 気 静 圧 ね じな ど)(1)。NC工
作 機 械 に お い て,1967年
モ ー タ と ボ ー ル ね じが 組 み 合 わ され た リニ ア ス ラ イ ダ シ ス テ ム が 開 発 され,以
ご ろ にDC
来 電 動サ ー
ボ モ ー タ を用 い た リニ ア ス ラ イ ダ シ ス テ ム は,工 作機 械 分 野 の み な らず,特 に1980年
ごろ
よ り電 子 部 品 実 装 装 置 な どの 各 種 メ カ トロ ニ ク ス機 器 の位 置 お よ び 速 度 の 制 御 に 利 用 され
て い っ た(2)。 近 年 は特 に,生 産 性 向 上 を 目的 と した 高 速 ・高 精 度 位 置 決 め 要 求(3)に
す る た め,ボ ー ル ネ ジ の ハ イ リー ド化 や,モ
対応
ー タ 角 度 の み な らず ス ライ ダ位 置 も フ ィ ー ド
バ ッ クす る な どの 改 善 策 が 施 され て き て い る(4) 。 しか し,要 求 仕 様 と して ス ラ イ ダ の 速 度
が2m/sを
て は,一
超 え る もの,あ
るい は 位 置 決 め 精 度(分 解 能)が1μm以
下 で あ る もの に対 し
般 に ボ ー ル ネ ジ で は そ の 構 成 上 の特 徴 に よ り限 界 に 近 く,リ ニ ア モ ー タ が 採 用 さ
れ て き て い る。
リニ ア モ ー タ は1841年
に 英 国 で 誕 生 した が(5),最
初 の110年
間 程 度,リ
ニ アモ ー タの
応 用 は 試 行 錯 誤 的 に な され て い た に 過 ぎ な い 。 製 造 技 術 的 な 問 題 に よ り,回 転 形 モ ー タ と
回 転 直 線 変 換 機 構 の組 み 合 わ せ に は 太 刀 打 ち で きず,応
用 が 限 られ て い た 。 しか し,1980
年 代 に 回 転 形 モ ー タ とボ ー ル ね じの 組 み 合 わ せ に よ る リニ ア ス ライ ダ シ ス テ ム が 多 用 され
る 中 で,各
種 リニ ア モ ー タ の 適 用 ・運 用 法 が 体 系 化 さ れ,リ ニ ア モ ー タ が 注 目 され る よ う
に な っ た 。 特 に,情
報 機 器 分 野 の プ リン タ,磁 気 デ ィ ス ク や そ の 後 の ハ ー ドデ ィ ス ク の
1
ヘ ッ ド送 りで は,高 速 ・高 精 度 へ の ニ ー ズ に 対 し,回 転 形 モ ー タ と運 動 変 換 機 構 の 組 み 合
わ せ で は 脈 動 や 寿 命 な ど に よ り限 界 とな っ た た め,リ
ニ ア モ ー タ化 が 検 討 され,そ
の性 能
の よ さの た め一 気 に 実 用 化 が 進 ん だ(6)。
リニ ア モ ー タ に よ る ス ラ イ ダ 直 接 駆 動(ダ
イ レ ク ト ドラ イ ブ)機 構 は,ス
ライ ダ と ア ク
チ ュ エ ー タ 問 に,ば ね 要 素 を 有 す る カ ップ リ ン グ,ボ ー ル ね じや 減 速 機 が 存 在 しな い 。 こ
の こ と か ら機 構 系 を 高 剛 性 化 し易 く,高 速 度 化 要 求 に 対 して 有 利 で あ る 。 実 際,従
位 置 ・速 度 ル ー プ 制 御 系 で 運 転 評 価 を 行 な っ た 結 果,非
来型の
常 に ハ イ ゲ イ ン 化 が 図 れ,高
速 ・
高 応 答 な サ ー ボ 系 が 実 現 で き る こ とが 報 告 され て い る(7)。 加 え て ス ライ ダ位 置 を 直 接 計 測
す る こ と が で き,外 乱 が 少 な い 環 境 下 で は 精 度 も出 しや す く な る。 更 に 同 軸 上 に 複 数 の ス
ラ イ ダ を配 置 す る こ と も容 易 で あ り,コ ス ト的 に優 位 性 を 見 出 す こ と も で き る 。表1.1に
リ
ニ ア モ ー タ駆 動 の特 長 を,回 転 モ ー タ+ボ ー ル ね じ駆 動 の 場 合 と対 比 して 示 す 。
表1.1リ
方式
ニ ア モ ー タ駆 動 の 特 長(6)
リニ ア モ ー タ 駆 動
項 目
回 転 モ ー タ+ボ ー ル ね じ
駆動
清浄性
ク リー ン環 境 確 保 容 易
ボ ー ル ね じ潤 滑 シ ー ル 困難
等 速 安定性
ボ ー ル ね じ脈 動 な し
ボ ー ル ね じ脈 動 あ り
メ ンテナ ンス
メ ン テ ナ ン ス フ リー
定期 的 メ ンテ要
実 現容 易
制約 あ り
高加 速度 性
モ ー タ ・負 荷 の み で 決 定
モ ー タ ・負 荷 以 外 の 影 響 大
静音性
リニ ア ガ イ ドの音 の み
ボ ー ル ね じの 音 大
ス トロー ク
制約 な し
制約 あ り
拡 張性
マ ル チ ヘ ッ ド容 易
マ ル チ ヘ ッ ド困難
高 速性
、
しか し,リ ニ ア モ ー タ 駆 動 を採 用 した 際,ク
ロ ー ズ ア ップ され る 問 題 点 の 一 っ と して ,
ス ラ イ ダ に 加 え た 力 が 、 ダ イ レ ク ト ドラ イ ブ に よ りそ の ま ま 反 作 用 と し て ス テ ー タ に加 わ
る た め,ス テ ー タ が 固 定 され て い る機 台 全 体 が 振 動 す る とい う,い わ ゆ る 「
機 台振 動 」 現
象 が あ げ られ る(8)(9)(10)。
特 に,高 速 で のPointtoPoint(以
下,PTP)位
置 決 め仕様 の
よ うな,急 峻 な推 力 変 動 が 生 じ る場 合 に お い て 顕 著 で あ る。
機 台 振 動 の 問題 は,リ
ニ ア モ ー タ 駆 動 機 構 が 早 くか ら採 用 され て き た 露 光 装 置 に 代 表 さ
れ る 半 導 体 製 造 加 工 装 置 に お い て 当 初 よ り問 題 視 され て お り,機 台 振 動 抑 制 専 用 の 新 た な
構 造 的 対 応 や,制 振 装 置 の 付 加 な ど の 対 策 が 施 され て き た(11)(12)。
一 方,汎
用 の メカ ト
ロ ニ ク ス 機 器1こっ い て は,従 来 採 用 され て きた リニ ア ス ラ イ ダ シ ス テ ム が 回 転 形 モ ー タ+
ボ ー ル ね じ機 構 で あ り,加 減 速 度 も1G程
らず,ま
度 だ った た め,顕 著 な 機 台 振 動 現 象 も生 じて お
た 半 導 体 関 連 装 置 ほ ど の 精 度 も 要 求 され て こ な か っ た た め,さ
して 問 題 視 され て
こ な か っ た。 しか し,近 年 汎 用 設 備 に も 高 速 化 ・高 精 度 化 要 求 か ら リニ ア モ ー タ 駆 動 の 採
2
用 が 増 加 し て お り,設 備 の 小 型 化 と相 ま っ て 機 台 振 動 問 題 が 顕 在 化 して き た 。 と こ ろ が,
汎 用 の機 械 設 備 で は,半 導 体 露 光 装 置 の よ うな機 台 振 動 抑 制 専 用 の 機 構 を 別 途 設 け る こ と
は,コ
ス ト面,ス ペ ー ス 面 か ら困 難 な の が 実 状 で あ り,実 際,設 備 を リニ ア モ ー タ で 駆 動
し始 め て 機 台 振 動 の 問 題 が 無 視 で き な く な っ た,と
こ れ ら に お い て は,ス
い う例 も多 い 。
テ ー タ は 装 置 の 機 台 に 固 定 され て お り,機 台 質 量 が ス ラ イ ダ 質 量
に 比 較 し十 分 大 き けれ ば,ス
ラ イ ダ を 高 加 減 速 で 駆 動 して も,機 台 の 振 動 量 は 微 量 で あ る
た め ス ライ ダ の 位 置 決 め に対 し大 き な 問 題 と は な らな い(10)。
と ころが装 置全 体 の コス ト
削 減 と設 置 場 所 を省 ス ペ ー ス に す る 要 望 か ら,機 台 は 軽 量 化 され,ス
ライ ダ に対 して十 分
な 質 量 が あ る と は言 い 難 い 状 況 に な っ て き て い る。 こ の 状 況 下 で は,機 台 振 動 の ス ラ イ ダ
位 置 決 め へ の 影 響 を考 慮 す る 必 要 が 生 じる 。 つ ま り,機 台 質 量 が 小 さ く な る こ と で 機 台 変
位 量 は 相 対 的 に 大 き く な る。 ま た,機
台 の 振 動 は装 置 全 体 の 振 動 で あ る た め に,位
置決 め
仕 様 の 整 定 時 間 と比 べ る と低 周 波 数 の振 動 とな り,一 旦 機 台 振 動 が誘 発 され る とな か な か
減 衰 せ ず,ス
ラ イ ダ位 置 決 め整 定 時 間 に 多 大 な悪 影 響 を与 え る。
以 上 を ま とめ る と,以 下 の よ う に な る。
1)従
来,リ
ニ ア ス ラ イ ダ シ ス テ ム に は 回 転 型 モ ー タ と ボ ー ル ね じが 組 み 合 わ さ
れ た シス テ ムが主流 で あっ た。
2)近
年 は,生
産 性 向 上 を 狙 っ た 高 精 度 化 ・高 速 化 の 要 求 に伴 い,ダ
ラ イ ブ 化,つ
イ レク ト ド
ま り リニ ア モ ー タ の 適 用 が 進 ん で き た 。 こ の 結 果,機
台振 動 問
題 が ク ロ ー ズ ア ップ され て き た 。
3)機
台 振 動 問 題 に対 して は,汎 用 設 備 で は コ ス ト面 な どか ら別 途 の 制 御 系 を 組
む こ とな く,制 御 手 法 に よ り対 策 を 打 つ こ とが 重 要 で あ る。
1.2従
来 の 研 究 成 果 と本 論 文 で 取 り扱 う課 題
こ れ らの 背 景 を 踏 ま え て,筆 者 ら は,こ
の 汎 用 設 備 に 対 す る機 台 振 動 問 題 に つ い て,い
ち 早 く研 究 をす す め て き た 。
ま ず,機
台 振 動 系 に対 し適 応 制 御 系 を構 成 し,機 台 と ス ライ ダ 間 の 相 対 位 置 偏 差 を評 価
し,適 応 フ ィ ー ドバ ック ゲ イ ン を導 入 す る こ と で位 置 決 め性 能 を 改 善 す る 制 御 手 法 の提 案
を した(13)。
ま た,機
台 振 動 の 影 響 を 外 乱 と と らえ,ロ バ ス トな 離 散 時 間 モ デ ル を 用 い た
フ ィ ー ドバ ッ ク制 御 系 を 構 成 し,機 台 とス ラ イ ダ 間 の 相 対 位 置 を 良 好 に 制 御 す る方 法 を提
案 した(14)。
しか し,こ れ ら の 手 法 で は相 対 位 置 偏 差 の み を評 価 した た め に,機
台振動 そ
の も の を抑 制 す る こ とが で き て い な い 。 そ こ で 固 定 子 上 に一 個 の ス ライ ダ を 有 す る 機 台 振
動 系 に 対 し,機 台 振 動 モ デ ル を 導 出 し,そ の モ デ ル を 用 い た2自
とで 機 台 振 動 を抑 制 で き る こ と を 示 した(9)(15)。
由度制 御 系 を設計 す る こ
さ らに,フ ィー ドバ ッ ク補 償 器 に ロ バ ス
ト補 償 器 を用 い る こ とで 質 量 変 化 な どに 強 い 制 御 系 を 提 案 した(16)。 ま た,2自
3
由度 制御 系
で,適 応 機 構 を導 入 す る こ とに よ り機 台 振 動 を抑 制 で き る こ とを 示 した(17)(18)。
しか し,
これ ら制 御 系 は機 台 上 に一 個 の ス ラ イ ダ の み を 有 す る 系 を制 御 対 象 と し て い る た め,マ
チ ス ラ イ ダ 構 成 の 設 備 に は,そ
て は,機
ル
の ま ま適 用 で き な い 。 リニ ア モ ー タ 駆 動 の ス ラ イ ダ に お い
台 に 固 定 され た 一 個 の ス テ ー タ 上 に 複 数 の ス ラ イ ダ を搭 載 す る こ とが 容 易 で あ り
(表1.1参
照),近 年 で は マ ル チ ス ラ イ ダ構 成 の 設 備 が 増 え て い る(19)。 こ れ らの 系 で は,
一個 のス ライ ダ動作 が
,機 台 振 動 現 象 を 通 じて 他 の ス ラ イ ダ の位 置 応 答 に悪 影 響 を 及 ぼ す,
い わ ゆ る 干 渉 問 題 が 発 生 す る た め,ス
ライ ダ ー 個 の み の モ デ ル で 設 計 され た 制 御 手 法 で は
対 応 で きな い。
そ こ で 本 論 文 で は,機 台 と設 置 面 に ば ね 要 素 を有 し,機 台 に 固 定 され た 一 個 の ス テ ー タ
上 に 二 個 の ス ライ ダ を 配 した,リ
位 置 決 め 制 御 を取 り扱 い,機
ニ ア モ ー タ駆 動 の 直 列 ツイ ン リニ ア ス ラ イ ダ シ ス テ ム の
台 振 動 の 起 こ りや す い 急 峻 な ス ラ イ ダ 動 作 に 対 して も,良 好
な 制 御 性 能 を 得 る こ と を 目的 とす る。
1.3各
章 の概要
2章 で は,直 列 ツイ ン リニ ア ス ラ イ ダ の構 成 とそ の 特 徴 に つ い て 述 べ る。 ま ず,機
め た リニ ア モ ー タ 駆 動 ス ラ イ ダ 系 の数 学 モ デ ル を 導 出 す る。 次 に,リ
イ ダ に2可
台 も含
ニア モ ー タ駆 動 ス ラ
動 子 が 搭 載 され て い る場 合 の数 学 モ デ ル を 導 出 し,可 動 子 双 方 の 駆 動 に よ り位
置 決 め に干 渉 が 起 こ る現 象 を 解 析 す る。 さ らに 実 験 機 に お い て,イ
ンパ ル ス 応 答 に よ る 開
ル ー プ 実 験 を 実 施 し,導 出 した 数 学 モ デ ル の 妥 当性 を 検 証 す る。
3章 で は2自
由度 制 御 系 に よ る 制 御 性 能 改 善 を検 討 して い る(20)(21)。
ま ず,シ
ステ ム
構 成 か ら考 え て,制 御 対 象 を3慣 性 系 モ デ ル と して 近 似 し,そ の モ デ ル の 逆 伝 達 関 数 を用
い る こ と に よ っ て,非 干 渉 化 で き る フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド補 償 器 を 設 計 す る 。 し か し ,
フ ィ ー ドフ ォ ワー ド補 償 器 の み で は モ デ ル 化 誤 差 や 外 乱 の 影 響 に 弱 い た め,ロ バ ス ト性 を
考 慮 して フ ィー ドバ ッ ク補 償 器 を 設 計 し,制 御 系 全 体 を2自
用 い て,従
由 度 化 す る。 次 に,実
験機 を
来 用 い られ て き た 種 々 の制 御 則 との 比 較 検 証 を行 い,提 案 手 法 の 有 効 性 を 検 証
す る。 ま た,ロ
バ ス ト性 を 検 証 す る た め,指 令 加 減 速 度 や ス ライ ダ負 荷 が 変 更 され た 場 合
に つ い て の 実 験 も行 い,本 提 案 手 法 の 有 効 性 と問 題 点 を考 察 す る 。 そ の 結 果,指
令加減速
度 が 制 御 パ ラ メー タ 調 整 時 よ り も 高 い も の に変 更 され た 場 合 に,位 置 決 め 性 能 が 劣 化 す る
こ と が 認 め られ た 。 ま た,ス
ラ イ ダ 負 荷 が 変 更 され た 場 合 も,負 荷 変 更 され た ス ラ イ ダ の
み ば か りで な く,変 更 され て い な い 方 の ス ライ ダ の位 置 決 め性 能 も劣 化 す る こ と が 認 め ら
れ た 。 これ ら の 現 象 に 対 して は,そ
の 条 件 ご とに 制 御 パ ラ メ ー タ を再 調 整 す る こ とで 性 能
を 改 善 す る こ とは 可 能 で あ る。
4
4章 で は,更 な る 制 御 性 能 の 改 善 を 目指 し,仮 想 受 動 関 節 モ デ ル に基 づ く制 御 系 設 計 を行
う。 ま ず,仮
想 受 動 関 節 モ デ ル 化 手 法 に よ り,ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の 数 学 モ デ ル を誘 導
す る。 さ らに 適 応 機 構 を搭 載 した ロバ ス トな 制 御 系 を 構 成 す る こ と を検 討 す る(22)(23)。
仮 想 受 動 関 節 モ デ ル は,モ
デ ル 次 数 を容 易 に 上 げ る こ とが で き る反 面,仮 想 的 に マ ス ・ば
ね ・ダ ン パ 系 を 直 列 に 挿 入 す る た め,モ デ ル の パ ラ メ ー タ を 一 意 に 決 定 す る こ とが 困 難 で
あ る。 そ こ で,制 御 系 に 適 応 機 構 を 設 け る こ と と し,仮 想 受 動 関 節 モ デ ル の パ ラ メ ー タ 同
定 お よ び ス ライ ダ負 荷 変 動 に 対 す る ロバ ス ト性 の 両 方 の 課 題 を 改 善 す る こ とを 検 討 す る 。
シ ミュ レー シ ョン に よ り,指 令 加 減 速 度 が 変 更 され た 場 合,ス
ラ イ ダ負 荷 が 変 更 され た 場
合 で も,再 調 整 を行 な う こ と な く 良好 な制 御 性 能 が示 され る こ とを 確 認 す る。
5章 で は本 論 文 を 総 括 し,本 研 究 に よ っ て 得 られ た 成 果,解
め る。
5
決 され た 事 柄 に つ い て ま と
第2章
直 列 ツイ ン リニア ス ラ イ ダ と機 台振 動 現 象
本 章 で は,直 列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の 構 成 とそ の 特 徴 に っ い て 述 べ る 。 リ ニ ア モ ー タ
駆 動 ス ラ イ ダ の マ ル チ ス ライ ダ 化 が 搬 送 系 の トレ ン ドと な っ て い る こ と は1章
で も述 べ た
が,ま ず は1固 定 子 ・1可 動 子 の ス ラ イ ダ に つ い て,機 台 も含 め た リニ ア モ ー タ 駆 動 ス ラ イ
ダ 系 の 数 学 モ デ ル を 導 出 し,近 年 位 置 決 め 系 に お い て 問 題 とな っ て い る機 台 振 動 現 象 に つ
い て 概 説 す る。 次 に,リ
ニ ア モ ー タ駆 動 ス ラ イ ダ に2可 動 子 が 搭 載 され た 場 合 の 数 学 モ デ
ル を 導 出 し,可 動 子 双 方 の 駆 動 に よ り位 置 決 め に 干 渉 が 起 こ る現 象 を 解 析 す る 。 さ ら に今
回 用 い た 実 験 機 を 示 し,そ の 実 験 機 にお い て,イ
ン パ ル ス 応 答 に よ る開 ル ー プ 実 験 を 実 施
し,導 出 した 数 学 モ デ ル の妥 当 性 を検 証 す る。
2.1機
台振動 現 象
高 速 で のPointtoPoint(以
下,PTP)位
置 決 め仕 様 が 要 求 され る機 械 設 備 に お い て は,
いわゆる 「
機 台 振 動 」 現 象 が 発 生 す る こ とは 知 られ て い る(8)・(9)・(10)。
機 台 振 動 を 有 す る リニ ア ス ラ イ ダ の位 置 決 め 系 を2慣 性 系 と し て あ らわ す と,以
下の よ
うに な る(9)(10)。
ス ラ イ 客M,
雛.論
ト'
賦 窺1聯
.xガ
蒋 蟻 趨 舜1-一
輸1朗
Kc機
図2.1リ
x:ス
M,:機
XB:機
Kc:機
/:モ
騰 紺
台/接 地 間 の ば ね 要 素
ニ ア ス ラ イ ダ にお け る機 台 振 動 系 概 略 構 成 図
ここで
M:ス
イ ドレー ル
一→ 〉
ライ ダ の 質 量[kg】
ラ イ ダ の 機 台 に 対 す る位 置 【m】
台 の 質 量 【kg]
台 の 接 地 面 に 対 す る位 置[m】
台 と接 地 間 の ば ね 要 素 の ば ね 定 数 【Nlm]
ー タ に よ りス ラ イ ダ に発 生 す る推 力 【N]
6
で あ る。
こ の と き,ス
ラ イ ダ に発 生 す る 推 力 か ら ス ラ イ ダ の 機 台 に 対 す る位 置 ま で の 伝 達 関 数 は
以 下 の よ うに 表 す こ とが で き る。
x(・)一〔歯
坤 ㍍
(X(S)=ム(t),F(S)=之
〕F(・)(2・
ア(t)(L:ラ
上 式 に お い て,右 辺 か っ こ 内 第1項
・)
プ ラ ス 変 換))
は 剛 体 の 位 置 挙 動 を 表 し,第2項
は機 台 振動 を表 し
て い る。
産 業 界 に お い て,特 殊 な 用 途(例
め,機
え ば,半 導 体 露 光 装 置 な ど)で そ の 精 度 を 獲 得 す る た
台 振 動 影 響 を 除 去 す る た め に 様 々 な 対 策 を とっ て い る(例 え ば,機
設 備 の 設 置 され た 基 礎 の 外 部 へ 逃 が す,別
台振 動 の影 響 を
途 機 台 振 動 を 抑 制 す る ア ク チ ュ エ ー タ を 取 り付
け る な ど(11)(12))。
しか し,そ
うい っ た 特 殊 用 途 の 機 械 設 備 に 比 して 安 価 な機 械 設 備(例
装 装 置 や 取 り出 し装 置,基 板 検 査 装 置 な ど)は,コ
途 の,機
え ば,電
子部品実
ス トダ ウ ン を 目的 と して そ うい っ た 別
台 振 動 を 抑 制 す る た め の 設 備 を付 加 す る こ とは 一 般 に は 行 な わ れ て い な い 。 よ っ
て,高 加 減 速 指 令 を用 い た 場 合 に機 台 振 動 の 影 響 が 位 置 決 め 時 に 顕 著 に 現 れ る こ とが あ る。
図2.2は,あ
る機 械 設 備 ス ラ イ ダ の位 置 決 め時 の 位 置 応 答 で あ る(24)。
50
冨
40
S30
ロ
這'20
ミ
b"10
ニ
島o
§-10
バ
8-20
.冒
山
8-30
一40
-50
00.050.10.150.20.25
Time【s]
図2.2あ
る機 械 設 備 ス ライ ダ の 位 置 決 め 時 応 答
7
図 よ り,大 き な 残 留 振 動 を 生 じ て い る こ とが わ か る。 詳 細 な振 動 測 定 に よ り,こ
は 機 台 振 動 の影 響 に よ る も の で あ る こ とが わ か っ て い る。 機 台 振 動 は,振
こ と が 特 徴 で あ り(10∼30Hz),こ
一方
の振 動
動 周 波 数 が低 い
の た め,一 旦 発 生 す る とな か な か 収 束 しな い 。
,生 産 性 の 高 効 率 化 を 目指 して,搬 送 系 の ダ イ レク ト ドライ ブ 化,多
だ 結 果,リ ニ ア モ ー タ の適 用 が 増 加 し,さ らに1固
機 能 化 が進 ん
定 子 上 に複 数 の 可 動 子 を 有 す る 直 列 型
マ ル チ リニ ア ス ラ イ ダ が 登 場 して き て い る。 一 例 を 図2.3に
あ げ る。
図2.3に お い て,直 列 マ ル チ ス ラ イ ダ は,い わ ゆ る フ ィ ー ダ 軸(も
呼 ば れ る個 所 で 使 用 され て お り,複 数 の ス ライ ダ を有 す る こ とで,多
し く は デ バ イ ス 軸)と
品 種 ・大 量 の チ ップ
を 一 台 の 設 備 内 に 搭 載 す る こ とが 可 能 な よ うに して あ る。
しか し,直 列 型 マ ル チ ス ラ イ ダ に機 台 振 動 が 存 在 す る場 合,従
来 の 機 台 振 動 系 よ りも よ
り複 雑 な 挙 動 とな る こ とが 懸 念 され る。 以 下 に そ れ を 説 明 す る。
懸義
懸蕪
蕪
。i聡
蕪購 藪譲 蕪
暴
畿1魏 蓼
…璽謬'
亨叫
FeederげF
eeder
RotarylnsertHead
撫 鎌難灘 嘉誌
薫 繍 鱗毒
難,
Feeder'Feeder
RotarylnsertHead
図2.3高
速 型 チ ップ マ ウ ン タ に お け る直 列 ツ イ ン リニ ア ス ライ ダ
こ こ で は,マ ル チ ス ライ ダ の 最 も基 本 的 な構 成 とな る 直 列 ツ イ ン ス ラ イ ダ に つ い て考 察
す る 。 図2.1よ
り考 察 して 直 列 ツ イ ン リニ ア ス ライ ダ の概 略 モ デ ル を 検 討 す る と,図2.4の
よ う に表 す こ とが で き る。
スライ郷
髄
勝
・ ・
・
スライダ 堀
飴1輪
一 ・乞x
Kc機
図2.4直
・μ
台/接
地 間の ばね要 素
列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ概 略 図
8
陶
レ
こ こで,
Mi:ス
ラ イ ダ1の 質 量[kgl
M2:ス
ラ イ ダ2の 質 量[kg]
.MB:機
台 の 質 量[kg】
κ1:ス ラ イ ダ1の 機 台 に 対 す る位 置 【m]
x2:ス
ラ イ ダ2の 機 台 に 対 す る位 置[m]
XB:機
台 の 接 地 面 に 対 す る位 置[m】
Kc:機
台 と接 地 間 の ば ね 要 素 の ば ね 定 数[N/m]
fi:モ
ー タ に よ りス ラ イ ダ1に 発 生 す る推 力[N】
f2:モ
ー タ に よ りス ラ イ ダ2に 発 生 す る推 力[N]
で あ る。
こ の と き,ス
ライ ダ1の 機 台 に 対 す る位 置Xl,ス
ライ ダ2の 機 台 に 対 す る位 置X2の,推
力 云 お よび 乃 か らの伝 達 関 数 は 以 下 の よ うに 表 現 され る。
x,(s)一〔歯+
蜘
x・(・)一
〔ゐ+粛
(X,(S)=ム1(t),X、(S)=ム
㍍
〕F,(s)+榔1+輪
+Kc〕F・(s)+煽
≒
君③(2・3)
、(り,F,(S)=Lf,(t),F2(S)=9,(の)
(2.1)式 と,(2.2)お よ び(2.3)式 を 比 べ る と,右 辺 第2項
項 は,他
罵③(2・2)
が 増 え て い る こ と が わ か る。 こ の
方 の ス ライ ダ 推 力 に よ る 干 渉 項 で あ る。 つ ま り,双 方 の ス ラ イ ダ に 任 意 の 位 置 指
令 が 入 力 され る こ とを想 定 す る と,位 置 応 答 κ1およびx2は 常 に こ の 項 の 影 響 を受 け る こ と
が わ か る。
2.2実
2.1で
験装置
述 べ た,直 列 ツイ ン リニ ア の ス ライ ダ 間 の 干 渉 影 響 を検 証 す る た め に,図2.5に
示 す 実 験 機 に よ り,実 験 を 行 な っ た。
本 実 験 機 は,機 台 と接 地 面 との 間 に板 ば ね を挿 入 し,産 業 用 機 械 設 備 に お け る機 台 部 と
接 地 間 の ば ね 要 素 を模 擬 させ た 。 機 械 諸 元 を 表2.1に
ま た,実 験 機 シ ス テ ム構 成 を図2.6に
示す 。
示す 。
ま た,実 験 機 に用 い た サ ー ボ コ ン トロー ラ の仕 様 を表22に
9
示す 。
♪
・".""'iiN,.,ゴ
曙 『『 ず1欝1∵
繋;鶏
∫:無鑑鳥 争 評 一1璽
華1
国
■
…
拡大
爾
..1 、
機台
心
図2.5直
板ばね
列 ツ イ ン リニ ア ス ライ ダ 実 験 機 概 観
表2.1直
列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ 諸 元
RatedForce(peramover)80[N]
Max.Force(peramover)220[N]
Massofa七ableMi,M23
.9[kg]
MassofaBaseMB42.0[kg】
The丘equencyofabase16【Hz](SpringConstant;
vibrationKc:505324Nlm)
Viscouscoef丘cient(shders)10【Nslm]
Visbouscoe」
笛cient(Base)1000[Nslm]
ResolutionO.5μmlpulse(]M[over)
ofalinearsensorO.1μmlpulse(Base)
Resolutionofa9830!80N
D/AConverter
10
・国 阻
蓬
Personal
Computer
Command
And
.DataServoController
CPU
EncoderCounter(10MCPS)DIA(±10V/16bit)
む
kForce壽
撫C聾
認
鋸
ServogServo
IE
Amp・
羅Amp.
§
韓
叢 論ll
SerialTwinLinearSlider
図2.6実
表2.2コ
験 シ ス テ ム構 成 図
ン トロ・
一 ラ(ServoColltroller)諸
元
CPUSH7750(SH・4;Hitachi)
MemoryF・ROM2Mbyte
S・DRAM16Mbyte
SRAM512kbyte
DIAResolution16bit(2ch)
Outputvoltage±5V
or±10V(Switched)
CounterResolution24bit(2ch)
A,B,CphaseInput(10Mpps)
SamplingTimeO。00025[s]
CommunicationUSBandSerial
Port
11
以 上 の よ う な 実 験 機 を 用 い る こ とに よ り,機 台 振 動 現 象 が 再 現 され て い る か ど うか 確 認
した 。 そ の 結 果,1可
動 子 の み を用 い た 位 置 決 め指 令 に よ る 実 験 で,図2.7の
よ うな 結 果 を
得 る こ とがで きた。
20
冨15
婁1。
§5
尊。
爵3.13.23.33.435
暑
一5
尾 一10
-15
-20
Time【s】
図2.7実
験 機 に よ る位 置 決 め 時 の応 答 例
これ に よ り,本 実 験 機 に よ っ て,機 台 振 動 現 象 が再 現 され て い る も の と判 断 され る。
2.3開
ル ー プ実 験
こ こ で は,一 ス ラ イ ダ の駆 動 に よ り他 方 の ス ライ ダ に そ の 影 響 が 伝 わ る か(干
渉 す る か)
ど うか につ い て,開 ル ー プ 実 験 を行 っ た結 果 を示 す 。
一 つ の ス ライ ダ に
,図2.8に
示 す 推 力 指 令 を与 え る も の とす る。
図 の よ うに,実 験 開 始 か ら1秒 後 に0.1秒 間,40Nの
を与 え,そ の 際 の ス ライ ダ1,ス
図2.9に
推 力 指 令(定 格 推 力 に対 して50%)
ライ ダ2お よ び機 台 の 変 位 を 計 測 した 。
ス ライ ダ1の 位 置 変 位 を,図2.10に
ス ラ イ ダ2の 位 置 変 位 を,図2.11に
位 置 変 位 を示 す 。 各 図 と も に(a)が応 答 全 体 図,(b)が1∼2秒
12
間 の拡 大 図 で あ る 。
機台の
45.O
i
40.0'
35.0
30.0
冨25.。
サ
£20.o
ゆ
呂15
£
.O
10.0
50
0・Bb1
.02.。3.。4.05.。6。O
Time[s]
図2.8ス
ラ イ ダ1に
与 え る 推 力 指 令(イ
13
ン パ ル ス 状)
O.9
0.8
0.7
0.6
軍o.5
8
qO.4
§
●60
.3
£
σ2
0.1
σ901D2
.03.04.05.06.O
Time[s]
(a)応 答 全 体 図
81618.0
16.0
頷14.o・
・
白
署
遇12.o
●
蓉
幽
10.0-一
一一
一__一
一一__一..一.
81608.0
1.01.21.416182.O
Time【s]
(b)拡
図2.9ス
大 図
ラ イ ダ1の
14
位 置 変 位
1.0
0,5
&
:ゴ0
.0
ヨ
8
8
山
一〇
-1
.5
.0
0.01.02.03.04.05.06.O
Time[s】
(a)応
答 全 体 図
4.0
3.0
2.OLL
謬1.o-一
一一
…
8
qO.0-一
§毯
一 一 …
一1
.O・
一一一
…
…
一
・
一
一一一 一・ …
店
一2
一3
-4
.0-一
。
一・一
.0
・9
.01.21.41.61,82.O
Time[s]
(b)拡 大 図
図2.10ス
ラ イ ダ2の
15
位置 変位
一一
一…
・
…
一
3D
2.0
眉1,0
乙
暑
・
・
8
m-1
榊
.0
-20
-3
・9。1
.0203.。4.05.06.O
Time[s】
(a)応
答全 体 図
ID
O.5LL
眉
1σ ・-M
自
一
〇
.5-一
一一 一。 一
一一
一
一1♀
0121.4161,82
.O
Time[s】
(b)拡
図2.11機
大図
台の位 置変位
16
2.4考
察
2.3に
て 示 した 開 ル ー プ 応 答 に 対 し,以 下 が 考 察 され る。
図2.9よ
り,ス ライ ダ1に 対 し与 え られ た イ ンパ ル ス 状 の 推 力 指 令 に よ り,ス ラ イ ダ1は
ス テ ップ 上 の 位 置 変 位 を起 こ して い る が(図2.9(a)),拡
大 図 よ り,推 力 指 令 が な く な っ た
後,残
ラ イ ダ1が 発 生 し た 推 力 の 反 力 に
留 振 動 が 発 生 して い る こ とが わ か る 。 これ は,ス
よ り機 台 が 振 動 し,そ の 影 響 が,機 台 との 相 対 位 置 で あ る ス ラ イ ダ1の 位 置 変 位 に 現 れ た
も の で あ る。 そ れ は,図2.9(b)の
拡 大 図 と図2.11(b)の 拡 大 図 を 比 較 した と き に,位
相 が反
転 した 状 態 で 且 つ 同 じ振 動 周 期 で,双 方 が振 動 して い る こ とか ら もわ か る 。
次 に,ス ラ イ ダ2の 位 置 変 位 に つ い て で あ る が,図2.10よ
り,ス ラ イ ダ2は
無制 御 状態
で あ っ た に もか か わ らず,機 台 振 動 の 発 生 と同 期 して,振 動 が 発 生 して い る こ と が わ か る。
これ も,機 台 の 振 動 現 象 に よ り,機 台 との 相 対 位 置 で あ る ス ラ イ ダ2の 位 置 変 位 に 振 動 が
乗 っ た も の で あ る。 これ は,図2.11(b)の
機 台 変 位 の 拡 大 図 と図2.10(b)の 拡 大 図 と を 比 較 し
た と き,位 相 が 反 転 した 状 態 で 且 つ 同 じ振 動 周 期 で,双 方 が 振 動 して い る こ とか ら あ き ら
か で あ る。
以 上 よ り,機 台 振 動 を有 す るス ラ イ ダ に お い て,1固
る 場 合,一
定 子 上 に2つ 以 上 の ス ラ イ ダ を 有 す
ス ラ イ ダ の 挙 動 に よ り,他 の ス ライ ダ の 位 置 決 め に 干 渉 影 響 を及 ぼ す こ とが,
開 ル ー プ 実 験 に よ り明 らか と な っ た 。 よ っ て,全
て の ス ラ イ ダ が 任 意 に 駆 動 す る 場 合,何
らか の 干 渉 影 響 除 去 の 手 法 を 検 討 しな けれ ば,良 好 な制 御 性 能 は獲 得 で き な い 。
2.5ま
とめ
本 章 で は,直 列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の 特 性 を,数 学 モ デ ル の 導 出 及 び 実 験 に よ り解 析
した 。 得 られ た 結 果 は 以 下 の 通 りで あ る。
・1可
動 子 ・1固 定 子 の リニ ア ス ラ イ ダ の 数 学 モ デ ル と,2可
動 子 ・1固 定 子 の ツ イ ン リニ
ァ ス ライ ダ の 数 学 モ デ ル を 導 出 し,比 較 した 結 果,他 方 の推 力 項 が位 置 応 答 に 加 わ る こ
とが 明 らか と な っ た 。
・ 直 列 ツイ ン リニ ア ス ラ イ ダ の 実 験 機 を 用 い て
,イ ンパ ル ス応 答 を 取 得 し,位 置 応 答 を解
析 した 結 果,可 動 子 間 で影 響 を及 ぼ しあ っ て い る こ とが わ か り,従 来 の1可
動 子 ・1固
定 子 の リニ ア ス ラ イ ダ に対 す る制 御 手 法 を適 用 した だ け で は,制 御 性 能 が 劣 化 す る こ と
が わ かった。
17
第3章2自
近 年,指
由度 制 御 系 の設 計
令 応 答 性 と外 乱 応 答 性 の 両 方 を 同 時 に 改 善 し得 る 制 御 系 と して,2自
系 が 注 目 され て い る 。2自
由度 制御
由 度 制 御 系 の フ ィー ドフ ォ ワー ド補 償 器 設 計 に お い て は,制
御
対 象 の 数 学 モ デ ル の 妥 当性 が,制 御 系 の 有 効 性 を左 右 す る た め 問 題 とな る。 そ こ で 本 章 で
は,直
列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ を,ま ず シ ステ ム構 成 か ら考 え て3慣 性 系 モ デ ル と して 近
似 し,伝 達 関 数 を 導 出 す る 。 そ の 伝 達 関 数 を用 い て,逆 伝 達 関 数 演 算 に よ り非 干 渉 化 す る
フ ィ ー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 を設 計 す る。 さ らに,ロ
償 器 を 付 加 して2自
3.1ス
バ ス ト性 を 考 慮 し,フ ィ ー ドバ ッ ク補
由 度 制 御 系 を構 成 し,そ の 性 能 を 実 験 に よ り検 証 す る(20)(21)。
ラ イ ダ 間 の 干 渉 を考 慮 した 制 御 モ デ ル
こ こ で は2章 で 示 した 図2.4が,直
列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の ダ イ ナ ミク ス を あ らわ して
い る と して,以 下 に数 学 モ デ ル を 導 出す る。
編
蕪議 雛 翫 ク ド
レ
…
鰯 牝 湾 灘 鱗 蕪 機台M謎
無;蛇
Kc機
図3.1直
台/接
雛.嬢
地 間の ばね要 素
列 ツ イ ン リ ニ ア ス ラ イ ダ の 制 御 モ デ ル(図2.4再
こ こ で,
Mi:ス
ラ イ ダ1の
質 量[kg]
M2:ス
ラ イ ダ2の
質 量 【kg]
MB:機
台 の 質 量[kg】
Xl:ス
ラ イ ダ1の
機 台 に 対 す る 位 置[m】
κ2:ス
ラ イ ダ2の
機 台 に 対 す る 位 置 【m]
)CB:機
台 の 接 地 面 に 対 す る 位 置[m]
Kc:機
グ
台 と接 地 間 の ば ね 要 素 の ば ね 定 数 【Nlm】
fi:モ
ー タ に よ り ス ラ イ ダ1に
発 生 す る 推 力[N]
f2:モ
ー タ に よ り ス ラ イ ダ2に
発 生 す る 推 力[N】
18
掲)
で あ る。
ス テ ー タ を 含 め た トー タル 質 量MBの
台 上 に そ れ ぞ れ の 質 量 がMi,M2の
機 台 が ば ね を 介 して基 礎 に 設 置 され て い る 。そ の機
リニ ア モ ー タ 駆 動 され る ス ライ ダ が 搭 載 され て い る 機
構 と な っ て い る。
ス ラ イ ダ と機 台 の 間 に は 現 実 に は 機 械 摩 擦 も存 在 す る し,機 台 と基 礎 との 間 の ば ね 要 素
に も減 衰 要 素 が 存 在 す る。 しか しな が ら こ れ ら の 項 は 周 辺 環 境 に よ っ て 変 化 す る 不 確 か な
も の で あ る。 そ こ で あ え て 今 回 は これ ら の 項 が な い も の と して モ デ ル を 考 え,そ
れ を元 に
フ ィ ー ドフ ォ ワー ド制 御 系 を設 計 す る こ と と した。
そ れ ぞれ の ス ライ ダ に 与 え られ る 推 進 力 を そ れ ぞ れ 云,乃 とす る と直 列 ツ イ ン リ ニ ア シ
ス テ ム モ デ ル は 図3.2の
ブ ロ ック線 図 で示 す こ とが 出 来 る 。
fi1κla十
κl
MiS2
十1XB
MBS2
Kc
f21」C、
詑x2
M2s2
図3,2直
列 ツイ ン リニ ア ス ラ イ ダ ブ ロ ッ ク線 図
こ こで,
κla,x2、:そ れ ぞ れ ス ラ イ ダ1,2の
絶対位 置
で あ る。
ブ ロ ック 線 図 よ り,以 下 の 伝 達 関数 が 求 め られ る。
1
X・a(s)=i7;
,・F,(s)(3・1)
1X
・a(s)=M
、s・F・(s)(3・2)
x・(s)一
輪
、≒(F,(s)+F2(s))(3・3)
19
蝋
爺+rk、
・+Kc〕F,(s)+坤≒
蝋
☆+rk、
・+Kc〕F・(・)+聯
≒
(Xia(S),X2a(S):κla(t)お
3.22自
恥)(3・4)
恥)(3・5)
よびX2a(t)の ラ プ ラ ス 変 換)
由度 制御 系 の設計
3.2.1制
御 系概略
基 本 構 成 は2自
由 度 制 御 系(25)を
用 い,機
台 に 対 す る ス ラ イ ダ の 相 対 位 置 指 令x1,efと
κ2refに対 して そ れ を 実 現 す る た め の 推 進 力 指 令fiとf2を
算 出 して,制 御 対 象 に 供 給 す る。 今 後,フ
フ ィ ー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 に て
ィ ー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 の 式 の 展 開 は フ ィ ー ド
フ ォ ワ ー ド補 償 器 で あ る こ と を 明 示 す るた め各 状 態 量 に は サ フ ィ ック スfを つ け る 。
しか し な が ら後 述 す る よ うに相 対 位 置 と推 進 力 との 間 に は 不 安 定 零 点 が 存 在 す る た め 逆
関 数 を 実 現 す る こ とは 出 来 な い。 そ の た め 実 現 され る相 対 位 置 は 相 対 目標 位 置 に 関 数 を 乗
じた も の とな る。
図3.3に
制 御 系 の 基 本 構 造 を示 す 。
云
Xlref-FF
悔
補償器
乃
Xl十
.愚
難{鰻
姜
図3.32自
由度 制御 系
モ デ ル 化 誤 差 が な く 、 双 方 の リニ ア ス テ ー ジ が 干 渉 を 起 こ さず に動 作 で き た 場 合,以
20
下の
よ う に 目 標 相 対 位 置 と相 対 位 置 の 関 係 が 示 さ れ る こ と に な る 。
X1(s)・ ・Gi(s)X、ref(s)(3・6)
X、(s)-G、(s)X,ref(s)(3・7)
(Xiref(S),X2ref(S):κ1,ef(t)お
よ びX2ref(t)の
ラ プ ラ ス 変 換)
フ ィ ー ドバ ッ ク 補 償 器 は モ デ ル の 相 対 位 置 と 実 際 の 相 対 位 置 が 偏 差 を 有 す る と き の み 動
作 す る こ と に な る。
3.2.2フ
ィ ー ド フ ォ ワ ー ド補 償 器 の 設 計
直 列 ツ イ ン リニ ア シ ス テ ム が 図3.2の
り,以
ブ ロ ッ ク 線 図 で あ る と し て 設 計 を 行 な う 。図3.2よ
下 の伝 達 関 数 が 導 か れ る。
M,・・x,・(・)=鷺叢
轡
M…x・ ・(・)=@繋
・③+誰`譜
麦1瑞 胴+誰`
・⑬)(3・8)
瑞 胴(3・9)
上式の逆伝達関数 は以下の通 りである。
M,(M・+MB)
F,・(・)一璃 舞
、・+MIS・M,M・S・
+恥
+iX,・ ③ 一 嘱+誇
葦助+iX・f(・)
KcKc
(3。10)
M・(M,+M・)
S・+M、S・M,M・S・
F・・(・)一嘱 ξ鉱
+塑
KcKc
+iX・f(・)-Mi+Mξ
肱
♂+iX,・ ③
(3.11)
21
上 式 が成 立 す る よ う に推 力 を 与 え れ ば,実 機 とモ デ ル との 間 に 誤 差 が な い 状 況 下 で は,
xlref(t)-xlf(つ 一Xl(t)(3・12)
・、ref(t)=x、
ノ(t)=x、(t)(3・13)
とな り,相 対 位 置 指 令 と相 対 位 置 は 一 致 し,し か も双 方 の動 作 に干 渉 が 起 こ ら な い こ と に
な る。
しか し,(3.10)式 と(3.11)式 は安 定 限 界 で あ り,そ の ま ま 逆 伝 達 関 数 で 必 要 な 推 進 力 を 実
現 す る こ と は で き な い 。 必 要 な 推 進 力 が 得 られ る よ うに す る た め に は,相 対 位 置 と指 令 が
以 下 の よ うな 関係 式 で 表 せ る 場 合 の み とな る。
(M1+M・+MB)、
x,f(s)一
・+1
些乱
(s)x・ref(・)(3・
(M1+M・+M・)、
x・ ・(s)一
・4)
・+1
笠
(s)x2ref(s)(3・
こ こ でGiO(s),G20(s)は
・5)
設 計 者 の 設 定 す る 安 定 な 関 数 で あ る。
ここで,
GiO(s)=G20(s)=1(3.16)
G、(、)=G,(s)一(M,+M・+M・)、
・+1(3.、7)
Kc
とす れ ば,推
進 力 指 令 は 相 対 位 置 指 令 κlrefとx2refに
対 し て 以 下 の 式 で 与 え られ る こ と に な
る。
F,・(・)一{嘱
讐
嶋)s4+M・S2}X・
・ef(s)-A{E'li(2LM2s`X2,.f(s)(3・
22
・8)
F・・(s)一{警
軸+M・s2}x2
ref(s)讐
轍)(3・
・9)
実 現 され る相 対 位 置 は,相 対 位 置 指 令 に 対 して 前 述 した(3.14),(3.15)式
を満 た す こ とに
な る。 す な わ ち,実 現 され る相 対 位 置 は 指 令 に た い して 誤 差
凡 ③ 一璃+笠+輪
端
③
ろ ③ 一璃+笠+嶋
鵡
げ③
を有 す る こ と に な る。 この 誤 差 は 指 令 の2階
微 分 成 分 が0に
な っ て い る場 合,誤
以 上 述 べ た2自
微 分 に相 当す る も の で あ る か ら,指 令 の2階
差 は 発 生 しな い こ とに な る 。
由 度 制 御 系 の フ ィー ドフ ォ ワ ー ド制 御 系 は,逆 伝 達 関 数 を 用 い て 推 力
フ ィー ドフ ォ ワー ド指 令 を 各 ス ラ イ ダ の相 対 位 置 指 令 よ り作 成 す る 方 法 に て 設 計 さ れ て い
る。 前 述 した よ うに,推 力 指 令 は(3.18),(3.19)式
指 令 が4階
で 与 え られ る た め,少
な く とも相 対位 置
微 分 で き る こ とが 実 現 可 能 な条 件 と な る 。 ま た,相 対 位 置 は 相 対 位 置 指 令 に 対
して(3.14),(3.15)式
の 関係 に あ る た め,指 令 と一 致 す るた め に は2階
とき で あ る。 よ っ て,導
微 分 成 分 が0と
なる
出 した 制 御 系 は,上 記 条 件 が 満 た され な い とき に は 推 力 フ ィ ー ド
フ オ ワー ド指 令 が 算 出 され な い こ とに な る。 つ ま り,全 体 の 制 御 系 は 図3.3の
よ うに フ
ィー ドバ ッ ク 制 御 系 を 持 っ て い る た め,位 置 決 め 自体 は フ ィー ドバ ック 制 御 系 に よ り実 施
され る が,非 干 渉 化 等 の動 作 は実 現 され な い こ と に な る。
よ っ て,今
回 は,任 意 の位 置 指 令 が 入 力 され た 際 に少 な く と も上 記 条 件 を 満 た す 指 令 と
す る必 要 が あ る た め,4次 の ロー パ ス フ ィル タ を 介 して 相 対 位 置 指 令 を作 成 す る こ と と した 。
3.2。3フ
ィー ドバ ッ ク 補 償 器 の 設 計
産 業 界 で 使 用 され て い る サ ー ボ コ ン トロ ー ラ の 多 く に は,何
らか の 形 で 一 般 に ア ドバ ン
ス ト制 御 と 呼 ば れ る制 御 系 が 搭 載 され て い る(26)。 フ ィー ドバ ッ ク制 御 系 に 関 して も,オ
ブ ザ ー バ に よ るサ ン プル 時 間 遅 れ 補 償 や 制 振 制 御,ま
様 々 な 工 夫 が 凝 ら され て お り(27),一
に よ り,ア
た 可 変 ノ ッチ フ ィ ル タ な ど を 代 表 に,
部 専 用 コ ン トロー ラ につ い て は,シ ス テ ムLSIな
ど
ドバ ン ス ト制御 が 実 現 され て い る例 も あ る。
しか しな が ら,量 産 機 種 で あ る 以 上,汎
用 の サ ー ボ コ ン トロ ー ラ に つ い て は 汎 用 性 も大
切 な フ ァ ク タ ー で あ る 。 そ の た め,現 在 汎 用 製 品 が 基 本 と し て採 用 して い る,速 度 制 御 系
23
が 比 例 積 分 制 御,位
置 制 御 系 が 比 例 制 御 で 構 成 され たPID制
御 の 形 か らは 将 来 も大 き く 逸
脱 しな い と考 え られ る。 そ こ で今 回 の フ ィー ドバ ッ ク制 御 系 は,リ ニ ア モ ー タ位 置 を フ ィー ド
バ ッ ク量 と し,速 度 制 御 系 は 比 例 積 分 制 御,位
置 制 御 系 は 比 例 制 御 とい う最 も基 本 的 な も
の と した 。
図3.4に
ス ラ イ ダ1を 例 と して フ ィー ドバ ッ ク制 御 系 の 構 成 を 示 す 。
ん
琴Kp+
-Kv〔1+K's〕
嘱
醸+fi
s
Xl
図3.4PIDフ
ィ ー ドバ ッ ク 制 御 系
24
3.3実
験結果
こ こ で は,第2章
で 示 し た 実 験 機 を 用 い て 行 な っ た 実 験 結 果 を 示 す 。 表3.1に
コ ン トロー
ラの各設 定値 を示す。
表3.1コ
ン トロ ー ラ 設 定 値
PositionLoopP・Gain(1(p)【1/s]80
SpeedI、oopP-Gain(1(v)[11s】400
SpeedLoopI・Gain(K)[11s]60
Cut・off丘equencyofthe4th-orderlow・pass80
filerforpositioncommand[Hz]
3.3.1制
御 モ デル に よる比較
こ こ で は,2自
の3種
由 度 制 御 系 の フ ィ ー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 設 計 に 用 い る 制 御 モ デ ル を,以
に よ り,比
下
較 検 討 した 。
①
剛 体モ デル
②
機 台振 動 系モデ ル のみ
③
機 台 振 動 系+ス
指 令 は,図3.5に
ラ イ ダ 間 干 渉 モ デ ル(本
示 す よ う に,産
を 用 い た 。 最 高 速 度 は1m/s,加
稿 提 案 手 法)
業 界 に て 位 置 決 め 仕 様 時 に 多 用 さ れ る,速
減 速 時 間 が0.05[s](加
は こ れ を 積 分 し て 求 め ら れ る 。 こ の 指 令 を2軸
減 速 度20mls2)で
同 方 向,同
反 力 影 響 が 最 も大 き く な る場 合 を 想 定 して い る。
15
1.0
一
辺
〇.5
囲
蔭oo
§
>o-Q5
-10
-18
103.123.143163.183.20
Timels1
図3.5速
度指令 波
25
度 三 角波 指 令
あ る。 位 置 指 令
時 に 与 え る 。 つ ま り,機
台へ の
3.3.・1-(1)実
験結果
図3・6に ① 剛 体 モ デ ル を用 い て フ ィ ー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 を 設 計 した 場 合 を ,図3.7に
機 台 振 動 系 モ デ ル の み を用 い て フ ィー ドフ ォ ワー ド補 償 器 を設 計 し た 場 合 を ,図3.8に
案 手 法 の 場 合 の,各1軸
分 ス ラ イ ダ の位 置 決 め 応 答 を示 す 。
5.0
40'
3.Oi
_2.0'
日i&
1.Ol
コ
-1
90'
o,
ロ
リ
●
毯 一1
β→1
-2
ロ
ゆ
・o・i
.0'
-3
.0'
-4
.Ol
-59
。3.23.43.6384.。
Time[s]
図3.6ス
ラ イ ダ 位 置 決 め 時 応 答(①
剛 体 モ デ ル)
5.0
4.0
3.0
2.0
眉
PID
宮
1σo
暑
む
一1。
Pt-2
・
.0
-3
-4
一5
.0
.0
・903
.23,43.63.84.O
Time【s〕
図3.7ス
ライ ダ位 置 決 め時 応 答(② 機 台 振 動 系 モ デ ル)
26
②
③提
5.0
4.0
3.0
_2,0
日&
1.0
§
昌
qO.0
'お
£
一1
.OLL
-2 .0
-3 .0・
-40・
-S
・9
.。3.23.43.63.84.O
Time[s]
図3.8ス
ラ イ ダ位 置 決 め時 応 答(③ 本 稿 提 案 手 法)
3.3.1-(2)考
図3.6よ
れ は,機
察
り,① 剛 体 モ デ ル を 用 い た もの は残 留 振 動 が 大 き く生 じて い る こ とが わ か る。 こ
台 振 動 の 影 響 を考 慮 せ ず に フ ィー ドフ ォ ワー ド補 償 器 が 設 計 され て い る た め,機
台 が 大 き く振 動 し,相 対位 置 に 振 動 的 な 変 位 を 生 じ させ た た め で あ る。 また 図3.7よ
機 台 振 動 モ デ ル の み を 用 い た2自
由 度 制 御 系 で は,③
の 本 提 案 手 法 に 対 し4μm程
り,②
度の
オ ー バ ー シ ュ ー トが 見 られ る。 これ は,同 時 ・同 方 向 駆 動 に よ り,他 ス ラ イ ダ の 推 力 影 響
が 位 置 決 め 時 に外 乱 と して 入 力 され た た め,機 台 に 対 す る相 対 位 置 が 目標 位 置 を オ ー バ ー
して しま っ た もの と考 え られ る。③ の 本 提 案 手 法 の結 果 を 示 す 図3.8に お い て は,オ ー バ ー
シ ュ ー ト量 が2μm程
度 は ±1μmで
度 で あ る が,本 実 験 機 に 用 い て い る ス ラ イ ダ の繰 り返 し位 置 決 め 精
あ り,汎 用 機 器 の 位 置 決 め 仕 様 と して は,十 分 良 好 な位 置 決 め が な され て
い る。
以 上 よ り,フ ィー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 に 用 い る モ デ ル と して は,③ の 提 案 手 法 の よ う に
干 渉 影 響 ま で 考 慮 した モ デ ル が 有 効 で あ る こ とが わ か っ た 。
27
3.3.2指
令 加減 速 が異 な る場合 の比較
実 際 の 設 備 にお い て は,そ
の 作 業 内 容 毎 に位 置 指 令 パ タ ー ン が 変 更 され る の が 通 常 で あ
る 。 そ こ で こ こ で は,本 稿 提 案 手 法 で あ る 機 台 振 動 系+ス
ライ ダ 間干 渉 モデ ル を用 い た
フ ィ ー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 に っ い て,指 令 加 減 速 を 変 更 して 実 験 した 結 果 を 示 し,そ の 性
能 を検 証 す る 。 制 御 パ ラ メ ー タ は加 減 速 度20mls2で
バ ス ト性 を 検 討 す る。 指 令 は,3.3.1の
は,10rnls2,20mls2,30mls2の3種
揚 合 と同 様 ,速 度 三 角 指 令 を 用 い,加
験結果
図3.9に 加 減 速 度30mls2時
を,図3.10に
加 減 速 度20皿 ノs2時を,図3.11に
分 ス ライ ダ の位 置 決 め応 答 を示 す 。
5.0
40
30
_2DI
日
&1.0
昌
qo
.o
暑.1
.。
£
-2 .O
-3
.O
-4 .0し
一S
・8
.03.23.43.63.84.O
Time[s]
図3。9ス
減速 度
で あ る。
3.3.2-(1)実
時 の 各1軸
調 整 され た もの を用 い,他 指 令 で の ロ
ラ イ ダ 位 置 決 め 時 応 答(加
28
減 速 度30m/s2)
加 減 速 度10m/s2
5.0
4.O"1
3Diii
_2,0iii
日iii
81.Oiii
FiI馳
コ
コ
■
コ
コ
ロ
ロ
コ
ロ
ロ
qO.0'"
Olll;
サ リ
'お
ロ
コ
一1
Ollll
β咽
.O。,、,
・,,,
-2
.Oiiii
-3
.0''"
-40iiii
-S
・903
.23.4363,84.O
Time[s】
図3.10ス
ラ イ ダ 位 置 決 め 時 応 答(加
減 速 度20m/s2)
5D
4.Oiiii
3.Oiiii
E2・o…
め
61
F→
…
ロ
.Oiiii
…
…
コ
コ
■1●'
80・Oilii
馨 一1.・i}i}
Ptilll
-2
-3
.0、,、.
.Oiii
.i
-40
-S
1き,,
・9
.03.23.4363.840
〔Hme【S】
図3.11ス
ラ イ ダ 位 置 決 め 時 応 答(加
29
減 速 度10m/s2)
3.3.2-(2)考
図3.10お
察
よび3.11で
加 減 速 度 が30mls2の
は,位 置 決 め 時 の振 動 もな く良 好 な 応 答 を示 して い る が,図3.9の
場 合 は,位 置 決 め 時 に残 留 振 動 が 発 生 して い る こ とが わ か る。これ は,
本 来 振 動 を 抑 制 す る よ うに 働 くフ ィ ー ドフ ォ ワー ド部 の機 台 振 動 に 関 す る モ デ ル 部 が,加
減 速 度 の 変 更 に よ り実 系 と合 わ な くな っ て い る もの と考 え られ る。 これ は,実 験 機 の ば ね
要 素 で あ る 板 ば ね 部 が,高
加 減 速 に よ る 強 い 反 力 が 加 わ っ た 場 合 に は 非 線 形 な 特 性 を示 す
の で は な い か と考 え られ る 。
しか し,実 系 に っ い て も線 形 な 特 性 を 有 す る ば ね 要 素 の み とは 限 られ ず,複
数 の部 品 に
よ り機 械 設 備 が構 成 され て い る 以 上,加 減 速 の 違 い に よ り振 動 特 性 が 変 わ っ て く る こ と は
良 く知 られ た 現 象 で あ る 。 本 実 験 に よ り,本 提 案 手 法 で は そ れ に対 す る ロ バ ス ト性 が 課 題
とな る こ とが わ か っ た 。
3.3.3ス
ラ イ ダ 負 荷 が 異 な る場 合 の 比 較
実 際 の 設 備 に お い て は,ス
ラ イ ダ 上 に 何 らか の 負 荷 が積 載 され,且
つそ の負 荷 は作業 に
応 じて 変 更 され る。 そ こ で こ こ で は,本 稿 提 案 手 法 で あ る機 台 振 動 系+ス
デ ル を 用 い た フ ィー ドフ ォ ワー ド補 償 器 に つ い て,ス
ラ イ ダ1の
ライ ダ間 干渉 モ
ス ラ イ ダ負 荷 を 変 更 して
実 験 した 結 果 を示 す 。 制 御 パ ラ メー タ は,負 荷 無 しで 調 整 され て お り,負 荷 変 動 に 対 す る
ロバ ス ト性 を 検 証 した 。 指 令 は,3.3.1の
は20mls2と
場 合 の2種
し た 。 負 荷 に っ い て は,ス ラ イ ダ1に1.72kg積
載 した 場 合,3.34kg積
減 速度
載 した
に つ い て 比 較 した 。
3.3.3-(1)実
図3.12に
場 合 と同 様 速 度 三 角 指 令 を 用 い,加
ス ラ イ ダ 負 荷1.72kgの
験結 果
場 合 を,図3.13に
ス ライ ダ負 荷3.34kgの
場 合 を示 し,
共 に(a)に ス ライ ダ1の 位 置 決 め 時 応 答 を,(b)に ス ライ ダ2の 位 置 決 め 時応 答 を 示 す 。
30
1.0
0.8
'0
.6
0.4
90.2
b
昌0
.0
8
娼
願
お
一〇.2
出
一〇.4
-0 .6・
-0 .8
-i
・9
,03.23.4363,84.O
Time【s]
(a)ス ラ イ ダ1の
位 置 応 答
1.0
0.8i
O.6i
ロ
O.4,
ギo.2i
Ol
■o・Ol
Ol
コ
IE-0.21
の,O
Pt-O
l
.4,
-0
-0
-i
.61
.8し1
・8
.03.23.43.63.84.。
Time【s]
(b)ス ラ イ ダ2の
図3.12ス
ラ イ ダ1の
位 置 応答
ス ラ イ ダ 負 荷 が1.72kgの
31
場合
1.0
0.8
0.6
Q4
眉
マ0
.29
口QO
.自
莞
一〇.2
Pt
-O
む
.4
-O
.6r
-0
.8L
-i9
.。3.2343.63.84。
Time[s】
(a)ス ラ イ ダ1の
位 置応答
1。O
Q8
σ6
_0.4
日
80.2
二
§
qO.0-
'お
一 〇
£ -O
.2・
.4
一σ6f
-0
-1
.8L
・903
.23.4363.84.O
Time[s】
(b)ス ラ イ ダ2の
図3.13ス
ラ イ ダ1の
位 置応答
ス ラ イ ダ 負 荷 が3.34kgの
32
場合
3.3.3-(2)考
図 よ り,ス
察
ラ イ ダ負 荷 が フ ィー ドフ ォ ワー ドモ デ ル と異 な っ て い くほ ど に ,ス
の 位 置 決 め 応 答 性 能 が 悪 くな っ て い く こ と が わ か る。 これ は,フ
が,モ
ライ ダ1
ィー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器
デ ル ベ ー ス の 補 償 器 で あ る た め に,モ デ ル の パ ラ メ ー タが 異 な る ほ ど に 性 能 が 劣 化
して い る も の と考 え られ る 。 ま た,ス
め 性 能 も,ス
象 が,2章
ラ イ ダ 負 荷 を変 え て い ない ス ライ ダ2の
方 の位 置決
ラ イ ダ1の 負 荷 変 化 に応 じて 劣 化 して い る こ とが わ か る。 こ れ は,本
制御 対
で も述 べ た よ うに ス ラ イ ダ 間 に干 渉 影 響 を有 して い る た め に,生 じ て い る も の で
あ る。 実 際 の機 械 設 備 で も,ス
ライ ダ は 様 々 な 負 荷 を搬 送 す る こ とが 予 想 さ れ,そ
の たび
に フ ィー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 の パ ラ メ ー タ を切 り替 え られ る 制 御 系 な ら 良 い が,す
べ て負
荷 が 既 知 で あ る場 合 ば か りで は な い と考 え られ る の で,そ
の よ うな 場 合 が 本 提 案 手 法 の 課
題 とな る と考 え られ る。
3,4ま
とめ
本 章 で は,直 列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の位 置 決 め 制 御 系 に 対 して2自
由 度 制 御 系 を構 成
し,そ の 性 能 を 実 験 に よ り検 証 した 。 以 下 に 得 られ た 結 論 を示 す 。
・ シ ス テ ム構 成 か ら考 え て ,直 列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ を3慣 性 系 と して 近 似 し伝 達 関 数
を 導 出 し,そ の 伝 達 関 数 を用 い て 逆伝 達 関 数 演 算 に よ る フ ィ ー ドフ ォ ワー ド補 償 器 を設
計 した 。
・ フ ィ ー ドバ ッ ク 補 償 器 を付 加 す る こ とで ロバ ス ト性 を有 す る2自
由度 制 御 系 を 構 成 し
た 。 フ ィー ドバ ッ ク制 御 系 に は位 置 比 例 ・速 度 比 例 積 分 補 償 器 を 用 い た 。
・ 実 験 に よ り,種 々 の 制 御 モ デ ル に よ る補 償 器 と比 較 し,提 案 手 法 を 最 も有 効 で あ る こ と
を 明 らか に した 。
・ ロ バ ス ト性 の検 証 と して ,指 令 加 減 速 度 が 変 更 され た 場 合,ス ライ ダ負 荷 が 変 更 され た
場 合 に っ い て も実 験 を行 い,有 効 性 と課 題 の 検 証 を行 な っ た。
な お,ロ
て,摩
バ ス ト性 の 検 証 項 目 と して は 摩 擦 に対 す る検 討 が 上 げ られ る が,実
験 機 にお い
擦 影 響 を 定 量 的 に変 更 す る の は 非 常 に 困 難 で あ るた め ・ シ ミ ュ レー シ ョン に よ る 検
討 を 行 な っ た 。 結 果 は 付 録Aに
詳 述 して い る が,フ
を 良 好 に 抑 制 で き る こ とを確 認 した 。
33
ィ ー ドバ ック補 償 器 に よ り・ 摩 擦 影 響
第4章
仮 想 受動 関節 モ デル を用 いた適 応形 予 測制御
3章 に お い て ・ロ バ ス ト性 の検 証 と して 指 令 加 減 速 を 変 更 した 場 合 や ス ライ ダ 負 荷 を 変 更
した 揚 合 の 実 験 を行 な っ た 。 産 業 界 に お け る メ カ トロ ニ ク ス機 器 の 使 用 状 況 を 考 え れ ば
,
これ ら の 条 件 変 更 に対 して も,新 た な 調 整 をす る こ とな く,良 好 な 制 御 性 能 が 得 られ る こ
と は 重 要 で あ る と考 え る 。 そ こで,本
章 で は,仮 想 受 動 関 節 モ デ ル に基 づ く制 御 系 設 計 を
行 い,適 応 機 構 を 導 入 す る こ とで ロ バ ス トな制 御 系 を 構 築 す る こ と を検 討 す る。 さ らに,
シ ミ ュ レー シ ョン に よ り,提 案 手 法 の 有 効 性 検 討 を行 な う。
4.1直
列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の 仮 想 受 動 関 節 モ デ ル
前 章 で は 機 構 系 の 構 成 か ら,機 台 振 動 を有 す る 直 列 ツ イ ン リニ ア ス ライ ダ を3慣
性 系で
あ る と して モ デ リ ン グ し,そ の モ デ ル を用 い て フ ィー ドフ ォ ワー ド補 償 器 を 設 計 し実 験 に
よ り効 果 の確 認 を行 な っ た 。 制 御 モ デ ル と して,剛 体 モ デ ル,機
台振動 系 の み のモ デル で
比 較 検 討 した が,本 稿 に て 提 案 す る モ デ ル が も っ と も性 能 が よ い こ とが わ か っ た 。
しか し,図3.9お
よ び 図3.10よ
指 令 加 減 速 を30m/s2に
り,20m/s2の
指 令 加 減 速 で パ ラ メ ー タ を 調 整 した の ち,
あ げ る と位 置 決 め性 能 が 劣 化 す る こ とが わ か っ た 。 こ の こ とか ら,
特 に機 台 部 に 関 して,前 章 に て モ デ ル 導 出 で 想 定 した 条 件 で は不 十 分 で あ る こ と が わ か る。
この こ とは,実 験 機 の 開 ル ー プ応 答 か らも わ か る。図4.1に2ス
ラ イ ダ 同 時 ・同 方 向 に イ
ンパ ル ス 状 の 推 力 指 令 を 与 え た とき の 機 台 変 位 を 示 す 。
これ に 対 し,前 章 に て 導 出 した モ デ ル に 同 様 な イ ンパ ル ス 状 推 力 指 令 を 与 え た シ ミュ
レー シ ョ ン結 果 を,図4.2に
示す 。
34
日2000
譜
∈81000
且
'δ
昌
seO
曇 一1000
£
02Time[s]46
図4.1機
台 変 位(実
験 結 果;イ
ン パ ル ス 応 答)
署
a2000
遷
婁1000
鼠
昌
箪0
篶
ぎ
一1000
c[1-2000
0246
Time[S]
図4.2機
図4.1と
図4.2を
果 で あ る図4.1で
台 変 位(シ
ミ ュ レー シ ョン結 果;イ
比 較 す る と,図42で
ン パ ル ス 応 答)
は 残 留 振 動 が 単 純 減 衰 して い る の に 対 し,実 験 結
は 残 留 振 動 に 複 数 の モ ー ドが 存 在 して い る こ とが わ か る。
これ は,機 台 部 が 単 一 の マ ス ・ば ね ・ダ ンパ 系 で は 正 確 に 表 現 で き な い こ と を 表 して い
る。 しか し,2章
に 示 す 実 験 機 の 物 理 的 構 成 か ら,別 途 マ ス ・ば ね ・ダ ンパ 系 を 想 定 して モ
デ ル を 構 築 す る こ とは,非 常 に 困 難 で あ る 。
そ こ で,仮 想 的 に マ ス ・ば ね ・ダ ンパ モ デ ル を 接 続 す る こ とで,柔 軟 構 造 物 な ど をモ デ
リ ン グ す る こ との で き る仮 想 受 動 関 節 モ デ ル(28)∼(31)を
用 い て,直 列 ツイ ン リニ ア ス ラ
イ ダ をモ デ リン グす る こ と を 考 え る 。
図4.3に
直 列 型 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の,想 定 した仮 想 受 動 関節 モ デ ル の 構 成 図 を示 す 。
35
騨
囚業
Mb2転
k,
d,
"Z3
k,
d4
図4.3仮
想 受 動 関節 モ デ ル 概 略構 成 図
こ こ で,
Ml:ス
ラ イ ダ1の
質 量[kg]
M2:ス
ラ イ ダ2の
質 量[kg]
Mb:機
台 の 質 量[kg]
M3:機
台 部 の 振 動 モ ー ド を 再 現 す る た め に 挿 入 さ れ た 仮 想 的 な マ ス の 質 量 【kg】
Xl:ス
ラ イ ダ1の
機 台 に 対 す る 相 対 位 置[m]
x2:ス
ラ イ ダ2の
機 台 に 対 す る 相 対 位 置[m]
Xb:es台
の 地 面 に 対 す る 位 置 【m]
fi:ス
ラ イ ダ1に
か か る 推 力 【N]
f2:ス
ラ イ ダ2に
か か る 推 力[N]
d、(i=1,2,3,4):各
k,,k4:各
ダ ン パ 定 数 【Nslm]
ば ね 定 数 【Nlm】
で あ る。
図4.3よ
り,以
下 の 運 動 方 程 式 を得 る。
36
〃11Xl十MbXb+dlab,=ノi
Ml¥1 ・+(M1
.tMb+醜
楠
・X・+d・ 幅)+k・(・
・一 ・・)一 ・(4.、)
m・X・+M、Xb+4、X、=f2
M3x3-d3(xb-x3)+d3x3-k,(xb一
κ3)+k
3x3=0
(4.1)式 よ り以 下 の 状 態 方 程 式 を 得 る 。
*(t)-Ax(t)+Bf(t)(4
.2)
ここで
S(t)一[PUiX、XbX、21)e、abbti,]T
f(t)=[fif2]T
OOOOlOOO
OOOOO100
00000010
00000001A
=
00053a54a55a56α57a58
00a63a64a65066a67α68
00a73a74a75a76a77a78
00a83a8400a87as8
00
00
00
00
Bニ
b51b52
b61b62
b71b72
bslb82
。53-k・,a54-一
玉,α55-一(Ml+m・)d1,a56-一.d・
〃2b〃2b"21"2b"Zb
。57一 生,a58-一.d・,a63-k・,a64-一
玉
〃Zb"lb"Zb"2b
37
。65-一
孟,。66」
・+Mb)d・,。67一
玉,α68=五
Mb〃z2〃2b"%"2b
ん3ん3d,
・a74二
a73=一'.一
一
・α75=『
〃lb"lb"2b
α76一
生,。77--4,。78-d・,
〃lb"lb"2う
α83-.ん
・,α84=上k・,。87』
〃13〃23"23"13
。88--d・+ん
わ51-Ml+m・,わ52-.!,わ61-⊥
"Zl"lb"2b"Zb
ゐ62-m・+Mb,わ71--L,わ72--1
M2〃2b"2う"Zb
で あ る。
38
・
4.2開
ル ー プ応 答 比較 に よ る妥 当 性 の 検 討
4.2.1開
(4.2)式
た め に,実
ルー プ応答結 果
に よ り表 され た 動 特 性 が,実
機 の 開 ル ー プ 応 答 と,シ
際 の 系 を ど の程 度 反 映 で き て い る の か を 確 か め る
ミ ュ レー シ ョン で の 開 ル ー プ 応 答 を 比 較 し て み る 。 た
だ し,仮 想 受 動 関節 モ デ ル の パ ラ メ ー タ を 一 意 に 決 定 す る の は,そ
常 に 困 難 で あ る た め,こ
こで は 実 機 の 開 ル ー プ 実 験 結 果 の 入 出 力 デ ー タ を 用 い,MATLAB
のSystemIdentificationToolboxを
4.2.2考
の 自 由 度 の 多 さ か ら非
使 用 し て シ ミュ レー タ の 同 定 を行 な っ た 。
察
実 験 機 に よ る 開 ル ー プ 応 答 と,仮 想 受 動 関 節 モ デ ル を 用 い た シ ミ ュ レー タ に よ る 開 ル ー
プ 応 答 結 果 と を 比 較 す る と,特 に 機 台位 置 応 答 に 関 して,図4,2で
は 再 現 され て い な か っ た,
残 留 振 動 に お け る複 雑 な 振 動 が 再 現 で き て い る こ とが わ か る 。 ス ライ ダ1お
よび ス ライ ダ
2の 挙 動 に 関 して は 実 験 結 果 お よ び シ ミ ュ レー シ ョン 結 果 と も に違 い は ほ と ん ど見 受 け ら
れ な い 。 よ っ て,3章
に て 議 論 した3慣
性 系 の モ デ ル よ りも,仮 想 受 動 関 節 モ デ ル に よ り,
冗 長 な マ ス ・ば ね ・ダ ン パ 系 を挿 入 した,図4.3で
再 現 で き て い る と考 え られ る。
39
示 した モ デ ル の 方 が,よ
り実 機 を正 確 に
8200000
ヨ
書150000
轟
⊆∼100000
遇
」∋50000
む
.室
巷0
mO246
Time【s】
(a)ス ラ イ ダ1の
位置応 答
『
碧200000
貫15。 。。。
自
憲100000
薯
づ
」∋50000
.目
莞0
む
PtO2
Tim。[、 】46
(b)ス ラ イ ダ2の
位 置応 答
屈
の
づ2000
日
ゴ1000
⇔
霧
10
暑
む
塁 一1000
mO2
Tim。[、]4-6
(c)機 台 の 位 置 応 答
図4.4実
験 機 に よ る 開 ル ー プ 応 答(実
40
験 結 果)
署
書200000
器150000
窟
2100000
畠
g50000
§
コの
80
02Tim。[、
】46
(a)ス ラ イ ダ1の
位 置応 答
冨
暑200000
a150000
喚
P.
$100000
冒
&50000
む
8
●
お
'お0
山0246
Time[s]
(b)ス ラ イ ダ2の
位 置 応答
屈
宕
書2…
41000
9
窃
丁0
&
馨
8-1000
PtO2
Tim,[、]46
(c)機 台 の 位 置 応 答
図4.5仮
想 受 動 関 節 モ デ ル に よ る 開 ル ー プ 応 答(シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果)
41
4.3適
応形 予測 制御 系 の設 計
前 節 に て,仮 想 受 動 関節 モ デ ル を 用 い る こ とで,よ
り実 機 に 近 い モ デ ル を扱 え る こ と を
示 した 。 しか し,前 節 で も述 べ た とお り,仮 想 的 に マ ス ・ば ね ・ダ ンパ 系 を挿 入 す る た め,
一 意 に そ の パ ラ メ ー タ を決 定 す る こ とは 困 難 で あ る。 ま た,3章
な よ うに,ス
ライ ダ とい う搬 送 系 で あ る 以 上,ス
の 実 験 結 果 か ら も あ き らか
ライ ダ負 荷 の 変 動 に 対 して,何
らか の 対
策 を 打 つ こ と も 重 要 で あ る。
そ こ で,こ
こ で は,導
出 し た仮 想 受 動 関 節 モ デ ル に 対 す る 制 御 系 に,適 応 機 構 を もた せ
る こ とを 検 討 す る 。
一般 に
,機 台 振 動 系 を 離 散 化 した 場 合,そ
の モ デ ル は 非 最 小 位 相 系 と な る こ とが 多 い た
め,適 応 制 御 系 に て も っ と も よ く 扱 わ れ る モ デ ル 規 範 型 適 応 制 御 系(ModelReference
AdaptiveControlSystem;MRACS)(32)∼(38)を
そ こ で こ こで は,非
そ の ま ま適 用 す る こ とは 困 難 で あ る。
最 小 位 相 系 に 対 し て も適 用 可 能 で あ り,位 置 決 め 系 に 対 して 良好 な
性 能 を期 待 で き る 適 応 形 予 測 制 御 系(40)(41)(42)を
4.3.1離
設 計 す る こ と を検 討 す る 。
散 時間 モデ ルの導 出
こ こ で は 制 御 対 象 の離 散 時 間 モ デ ル を 導 出す る。
(4.2)式 よ り,以 下 の 運 動 方 程 式 を導 く こ とが で き る。
MX(り+DS(t)+Kr(t)=f(t)(4・3)
ただ し
慌 嚇1
唯鴛劇
42
0000
0000
K=
00k3-k,
00一
κ、
ん3+k4
f(t)=[fKt)f2(り00r
X(t)=[PUi(りX、(t)Xb(t)X,(t)r
で あ る。
(4.3)式 をEulerの
差 分 近 似 に よ り離 散 化 す る と 次 式 を 得 る 。
M△2x(k)+D△x(k)+K匿(k)=f(k)(4
.4)
ただ し
△
=
1_z-1
τ
ガ1:遅
れ 演 算 子,T:サ
ン プ リン グ時 間
で あ る。
(4.4)式 か ら △ を 展 開 す る と 次 式 を 得 る 。
(M+n)+T2K)・(k)一(2M+m亟(k-1)-M・(k-2)+T2f(k)(4.5)
よ っ て,x(k)に
つ い て解 き 直 す と以 下 を得 る。
・(k)一(M+m+T2K)-1(2M+m》(k-1)
(4.6)
一(M+n)+T2K)-1M・(k-2)+T2(M+m+T2K)"if(k)
よ っ て,(4.6)式
か ら ス ラ イ ダ1と
ス ラ イ ダ2の,機
る こ とが で き る。
Xe(k)=H・(k)(4・7)
こ こで
43
台 に 対 す る 相 対 位 置xeは
次 式 で求 め
H-[1989](4
.8)
で あ る。
こ こ で(4.6)式
を 以 下 の よ うに 置 き 直 す 。
x(k)=Ax(k--1)+Bx(k-2)+Cf(k)(4
.9)
た だ し,
A-(M+m+T2K)"(2M+m)
B-一(M+m+T2K)"M(4
.、。)
C-T2(M+m+T2K)"
A,B,C∈R4x4
で あ る。
入 力 に,1サ
ン プ リ ン グ の 演 算 遅 れ を 考 慮 す る と,(4.9)式
は 以 下 とな る。
x(k)ニAx(k-1)+Bx(k-2)+Cf(k-1)(4
上 式 よ り,以
.11)
下 の パ ル ス 伝 達 関数 を得 る。
(1-A・'1-B・-2亟(k)-Cf(k-1)
・。(k)-H(1-A・'1-B・"2)"'Cf(k-1)(・.・
・。(k)一 邸))
(4.12)
(4.12)式 を 展 開 す る と,以
x・1(k)一
害1多
下 の 式 を得 る。
≒
篶
x・2(k)一
δ
爵 多壽 睾
静 一1)+∂
鶏 多≒
∴(k-1)+ゐ踪1≒
筈
静 一1)
三ll募(k-1)
(4.13)
44
4.3,2適
応 形予 測制御 の概 説
適 応 形 予 測 制 御 の 基 本 とな っ て い るモ デ ル 予 測 制 御 は,概 念 と して"制 御 量 の 将 来 の 動
き を 予 測 し,そ の 予 測 す る動 き が 希 望 と して い る動 き に な る よ うに 操 作 量 を サ ン プ ル 時 刻
ご とに 決 め 直 して い く"の で あ り,そ の概 念 図 を 図4.6に 示 す 。
PastFutu「e'll
P・esetR,,_一
一 一r_…
一
㌦薮 つ 鰹,
horizon
」一
"p"tu㈹1
一一一
一一
一t
〃,
ControI
horizonTime
kk十1k十Lk十L十P-1
図4.6モ
ま ず,現
時 刻kに
お い て,ア(k)を
デ ル予 測制御 概 念 図
観 測 し,ア(k)を
始 点 と し て,設
定 値Rに
近 づ く 目標 値
の軌道
ア,(k+ノ),(L≦k≦L+P-1:評
価 区 間)
を 計 算 す る 。 これ は,出 力 を 一 気 に 設 定 値 に も っ て い こ う とす る の で は な く,あ
る 滑 らか
な 軌 道 に 沿 っ て最 終 的 に設 定 値 に到 達 させ る手 法 で あ る 。 そ の 軌 道 を参 照 軌 道 と呼 ぶ 。
軌 道 を 決 め た後,さ
ら に,ア(k)を
始 点 と してLス テ ッ プ先 の 未 来 か らPス
る 出 力 の 値,アP(k+L),…,yP(k+L+P-1)を
プ ロセ ス モ デ ル を使 っ て 予 測 し・ そ の評 価
区 間 で 予 測 値 が 参 照 軌 道 に 近 く な る よ うに,Mス
算 す る。 計 算 した 入 力 の う ち,u(k)の
テ ップ に わ た
テ ップ の 入 力u(k),…,u(k+M-1)を
み を 用 い,時 刻(k+1)に
お い て 出力y(k+1)を
計
再び
観 測 す る とい う も の で あ る(39)。 これ に 適 応 の概 念 を 導 入 した 手 法 が 適 応 形 予 測 制 御 で あ
る.こ こ で 設 計 す る翫
イ ダ位 置 の 予 測 愉
形 予 測 制 御 系 の 目的 は,設 定 した 言
平価 区 間 匹
叩 が ス ラ イ ダ位 置 の 目標 イ
直・詰
45
瑚}・ お い て,ス ラ
等 し くな る よ うにす る こ とで あ る・ こ
れ は,評 価関数
」[N,,N,】=麹
包 侮
か
㌔(k+ノ
∫包(ん 功
一x
。d(厨)}
ノ=1w且
を最 小 にす る 雌)を 求 め る こ とで あ り,堆)は
次 式 よ り得 られ る。
a1(Ni,N,)
=0
∂f(k)
4.3.3適
応形 予測制 御 系の 設計
こ こで は,前 節 に て 導 出 した 離 散 時 間 モ デ ル に 対 し,適 応 形 予 測 制 御 系 を 設 計 す る(40)
(41)
。
(4.13)式 を 整 理 す る と 次 式 を 得 る 。
x・(k)-YT(k-1ト[㌃1)劃[:1](4
・
・4)
ここで
YIT(k-1)一[・,1(k-1),・
・',・,1(k-8),fi(k-1),…,fi(k-7),f2(k-1),・
Y∫(k-1)=[)ce2(k-1),…,xe2(k-8),
・1-[al
と,相
.fi(k-1),…,fi(k-7),f2(k-1),・
・',f2(k-7)]
,1,…,al,8,bl,1,…,b,,,,b、,1,…,b、,,]T
・、一[a、
で あ る 。 よ っ て,適
・',f2(k-7)]
,1,…,a,,、,b、,1,…,b,,,,ろ 、,1,…,b、.,]T
当 な 推 定 則 を 用 い て 導 出 さ れ る パ ラ メ ー タ ベ ク トル の 推 定 値 δ を 用 い る
対 位 置 の 推 定 値 愈。(ん)は,以
下 で 表 され る 。
愈6(k)ニYT(k-1)G(k)(4.15)
よ っ て,実
値 と 推 定 値 の 差 で あ る 推 定 誤 差 ε(k)は,(4.14),(4.15)式
46
よ り以 下 で 定 義 され る 。
ε(k)=Xe(k)一 愈。(k)
-YT(k-1){6-G(k)}(4・16)
これ は,誤 差 方 程 式 の 一 般 形 で あ る の で,種 々 提 案 され て い る適 応 ア ル ゴ リ ズ ム に よ り,
ε(k)→0(k→
次 に,現
。o)が保 証 さ れ る 。
時 点 の 推 定 誤 差 と 現 時 点 よ り先 の 推 定 誤 差 は 一 定 で あ る と考 え,ノ 時 点 先 の 相 対
位 置 の 予 測 値x。p(k+ノ)を
次 式 で 推 定 す る。
x。p(k+ノ)=i。(k+ノ)+£(k)(4.17)
こ こ で,各
ス ラ イ ダ の 推 力 未 来 値 は,現
点 の 予 測 値 に 等 し い,す
時 点 の 推 力 と 等 し く,相
対位 置 の未 来値 は現 時
な わ ち,
f(k+ノ)=f(k),x。(k+ノ)=x。,(姓
ノ)(4・18)
で あ る と 仮 定 す る 。 未 来 の 推 定 パ ラ メ ー タ と 現 在 の 推 定 パ ラ メ ー タ を 一 定 と 考 え る と,
(4.17)式 か ら ノ 時 点 先 の 予 測 値 は 次 式 で 与 え られ る 。
・叩(k+ノ)ニ9、(k)f(k)+h、(k)(4・19)
gノ(k),hノ(k)は
以 下 で 表 され る。
9,(k)一薯{[al'.9
h,(k)一薯{[a6'
,,]g」-i(k)+[1::1:::]咋}(4・2・)
a9,]㌧(k)+[1:::1:::掃
た だ し,
卿=[ll](ノ
≦1)
47
綱(4・2・)
恥一{蒔 ノ
望;①
ho(k)=Xe(k),h
_1(k)=Xe(k-1)
h _2(k)=】Ke(k-2),h_3(k)=Xe(k-3)
nj一 機+ノ
ー1)1留
で あ る。
こ こ で,設
計 す る 適 応 形 予 測 制 御 の 目的 は,設 定 した 評 価 区 間[N,,1>2]に
お い て,相 対
位置 の予測値 】
【
。pを,相 対 位 置 の 目標 値Xedと 等 し くす る こ とで あ る 。 これ は,評 価 関数
」[N,,N、]=]ii](x,,(励
一x。d(k+ノ 翫(k+j)一
㌔ 鮒)}(4.22)
ノ=Nl
を 最 小 に す る こ とで あ る。(4.22)式 を 最 小 に す る制 御 入 力,す
a」(N,・N・)
=o
∂f(k)
を満足す る制御入力は,次 式で与えられる。
[∫亘(ん)乃(ん)]一{蕩1剛
陰
勘(k)(4・23)
た だ し,
9、(k)一[91、(k)9、
、(k)}91ノ(k),9、
勘(ん)一[翻
襟:摘
ノ(k)・R2xl
劉
で あ る。
48
なわ ち
4.3.4適
応 パ ラ メー タ調 整 則
こ こ で は 以 下 の 適 応 パ ラ メ ー タ 調 整 則 を 用 い る こ と とす る(42)。
8(k)ニ{}(k-1)一
H(k)一
皿(k-1)Y(k-1)1五
。(k)ε(k)(4.24)
ろ1ゐ)[n(k-1)-n(k-1)y(k)(
4.25)
・』(k)A;1(k)+YT(k)皿(k-1)Y(k)1'YT(k)皿(k-1)]
また,ε(ん)は次式で求めることができる。
。㈹=』+Y・(k-1)・
・(k-1)Y(k-1)]'-1[yT(k-1)・(k-1)-xe(k)1(4・26)
49
4.4適
応 形 予 測 制 御 系 の シ ミ ュ レー シ ョン 結 果
前 節 ま で の べ た 仮 想 受 動 関 節 モ デ ル を用 い た 適 応 形 予 測 制 御 系 につ い て,2章
験 シ ス テ ム で 実 現 し よ う と試 み た が,現 状 サ ン プ リン グ 時 間 が1msを
で 示 した 実
超 え て しま い,離 散
化 に よ る 誤 差 が 大 き く制 御 性 能 が 悪 化 す る こ とが シ ミ ュ レー シ ョ ン に て 分 っ て い る た め,
こ こで は3章 に て 示 し た 実 験 結 果 と同 じ250μsの
サ ン プ リン グ 周 期 に て シ ミュ レー シ ョ ン
した 結 果 を示 し,そ の 効 果 を確 認 す る。
4.4.1指
こ こ で は,仮
令加 減速 が異 な る場合 の比 較
想 受 動 関 節 モ デ ル を用 い た 適 応 形 予 測 制 御 系 に つ い て,指 令 加 減 速 を変 更
して 実 験 した 結 果 を 示 す 。 指 令 は,3.3.1の
速 度 は,10mls2,20m/s2,30m!s2の3種
場 合 と同 様,速 度 三 角 指 令 を 用 い,加
減
で あ る。
15
1.0
_05
の
主
蓋Qo
§
の
タ
ーo.5
-10・
-18
103.123143.163.18320
Time[s]
図4.7指
令 加 減 速20m/s2の
場 合(図3.5再
掲)
適 応 形 予 測 制 御 の コ ン トロ ー ラ 初 期 値 は 以 下 の と お り で あ る 。
trn(0)=1000,H,=1,ろ=1,A2=1
推 定 パ ラ メ ー タ の 初 期 値 は,最
初 す べ て0か
作 を 示 して い る 。
50
ら 開 始 し,本
結 果 に つ い て は2往
復 目の動
4.4.1-(1)シ
図4.8に
ミ ュ レー シ ョ ン 結 果
加 減 速 度30mls2時
時 の 各1軸
を,図4.9に
加 減 速 度20mls2時
を,図4.10に
分 ス ライ ダ の位 置 決 め応 答 を 示 す 。
5.0
40i
3.0,
H2.Oi
ほ
コ
91.oi
目'
.90.0…
一一一…
の
コの
8-1
・,
コ
ロ
.oi
ρ→1
-2
.Oi
-3
.0卜
一4
.oi
-59
03.23.43.63.840
Time[s】
図4.8シ
ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果(加
減 速 度30m/s2)
5D
4.Oii
3.Oi
2.O,
目i
P1
o・
の
■
.0、
む
の
の
信
の,
Ol
Pt-2
ミ
σOl
ロ
ロ
一1.0し,
,0
-30
-4
一5
.0し
・9D323
.43.63,84.。
Time[s】
図4.9シ
ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果(加
51
減 速 度20mls2)
加 減 速 度10血!s2
5.0
4.0
3.0
2.O
P1
.09
10.o
.9
該
一1.08
m-2
.0
-3
-4
-5
.O
.0
・9・
3.23.43.63
.84.。
Time【s]
図4.10シ
ミ ュ レー シ ョン 結 果(加
4.4.1-(2)考
図4.8∼4.10よ
り,3章
減 速 度10m!s2)
察
に て示 し た2自 由 度 制 御 系 の もの よ りも,指 令 に 対 す る追 従 性 能
が 良 い こ とが わ か る。 これ は,2自
由度 制 御 系 の 場 合,ど
う して も4次 の 指 令 フ ィル タ の影
響 で応 答 が 遅 れ て しま うが,予 測 制 御 系 の 場 合 は 指 令 の,こ の 場 合 は6点
先 を評 価 して 入
力 を 決 定 して い る た め,指 令 に 対 し遅 れ な く追 従 して い る も の と考 え られ る 。 た だ し,位
置 決 め 後 の 残 留 振 動 に つ い て は,本 結 果 の 方 が若 干 悪 い 。 これ は,適 応 則 が 常 時 働 い て い
る た め に,偏 差 が 生 じて い る 限 り,パ ラ メ ー タ を 調 整 し よ うと し,そ の 結 果,入
力 が 常時
出 力 され っ づ け るた め で あ る と考 え る。
4,4.2ス
こ こ で は,適
ライ ダ負荷 が異 な る場合 の比 較
応 形 予 測 制 御 系 に つ い て,ス
結 果 を 示 す 。 指 令 は,4.4.1の
ラ イ ダ1の
場 合 と同 様,速
の み で あ る。 負 荷 に つ い て は,ス ラ イ ダ1に1.72kg積
2種 につ い て 比 較 した 。
52
ス ライ ダ 負 荷 を 変 更 して 実 験 した
度 三 角 指 令 を 用 い,加 減 速 度 は20m/s2
載 した場 合,3.34kg積
載 した場 合 の
4.4.2-一(1)シ
図4・11に
ミ ュ レー シ ョ ン 結 果
ス ラ イ ダ 負 荷1・72kgの
共 に(a)に ス ラ イ ダ1の
場 合 を,図4.12に
位 置 決 め 時 応 答 を,(b)に
ス ラ イ ダ 負 荷3 .34kgの
ス ラ イ ダ2の
位 置決 め時応 答 を示す 。
1.O
Q8
0.6
_0.4'
日
乙0.2
昌
qσO
霧.σ2
む
山
一〇
-O
.4
.6.
-08・
-1
・90
32343.63.84.O
Time【s】
(a)ス ラ イ ダ1の
位 置応答
1.O
O.8
06
一Q4
日
乙02
昌
口QO
舞
一〇.2L
8
Pt-Q4
-0
.6r
-Q8
-1
・90323
.4363.84.。
Time【s】
(b)ス ラ イ ダ2の
図4.11ス
ラ イ ダ1の
位 置応答
ス ラ イ ダ 負 荷 が1.72kgの
53
場 合 を 示 し,
揚合
1.0
0.8●
…
O.6i
Eo・4i
ヰ
と)Q2i
じ
回■1,
ロ
自QO
く
コ
ロ
ぐ
コ
コ
莞
一Q2i
ol
βtl
-o
.4i
-06r'
-O
-i
,81
・8
.03.23.43.63,84.O
Time[s]
(a)ス ラ イ ダ1の
位 置 応 答
1.0
0.8i
O.6i
EO・4i
や
と)0.2i
コ
F司,
コ
50.0'1
暑.o.2・i
o.
βtl
-0
.4,
-Q6r影
一〇
.8Ll
-19
03。23.43.63.84.O
Time【s】
(b)ス ラ イ ダ2の
図4.12ス
ラ イ ダ1の
位 置応答
ス ラ イ ダ 負 荷 が3.34kgの
54
場合
4.4.2-(2)考
察
図4・11お よ び 図4・12よ り・ ス ライ ダ1の ス ライ ダ負 荷 が 変 化 した場 合 で あ っ て も ,3章
の2自
由度 制 御 系 の よ うな位 置 決 め 応 答 の 差 が で な い こ とが わ か る。 これ は,適 応 則 に よ
り変 更 され た ス ラ イ ダ 負 荷 に 対 す る パ ラ メ ー タ が,良 好 に 調 整 され て い る た め と考 え られ
る。 ま た ・3章 で み られ た ス ラ イ ダ2側
の干 渉 影 響 差 も こ こで は 見 受 け られ な い 。 これ も,
適 応 則 に よ り,良 好 に 抑 制 され て い る も の と考 え られ る。
4.5ま
とめ
本 章 で は,仮
想 受 動 関節 モ デ ル 手 法 を 用 い た 適 応 制 御 系 の 設 計 を検 討 し,シ
ミ ュ レー
シ ョ ン に よ りそ の有 効 性 を検 証 した 。 以 下 に 得 られ た 結 論 を 示 す 。
・ 仮 想 受 動 関 節 モ デ ル 化 手 法 に よ.り,直 列 ツ イ ン リニ ア ス ライ ダ の数 学 モ デ ル を 導 出 し,
イ ンパ ル ス応 答 の シ ミュ レー シ ョン結 果 と実 験 結 果 と を比 較 す る こ とに よ り,数 学 モ デ
ル の 妥 当性 を検 証 した 。
・ 得 られ た数 学 モ デ ル よ り適 応 形 予 測 制 御 系 を構 成 し,シ ミュ レー シ ョン に よ り,指 令 加
減 速 が 変 更 され た 場 合 や ス ラ イ ダ負 荷 が 変 更 され た 場 合 で も条 件 に か か わ ら ず,パ
メ ー タ調 整 をす る こ とな しに 良好 な制 御 性 能 が得 られ る こ とが わ か っ た 。
55
ラ
第5章
結論
本 論 文 で は ・ 近 年 の メ カ トロ ニ ク ス 機 器 搬 送 系 の トレン ドで あ る直 列 ツ イ ン リニ ア ス ラ
イ ダ を制 御 対 象 と し,ま ず そ の 特 徴 と位 置 決 め 制 御 時 の課 題 点 を 明 らか に した 。 そ して,
そ の 課 題 を 解 決 す る べ く,二 つ の 制 御 手 法 を検 討,提
検 証 す るた め に,実
案 した 。 さ ら に提 案 手 法 の 有 効 性 を
験 お よび シ ミ ュ レー シ ョン を 実 施 した 。 以 下 に 本 研 究 で 得 られ た 成 果
を示 す 。
1)直
列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ と機 台 振 動 現 象
直 列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ の特 性 を,数 学 モ デ ル の 誘 導 及 び 実 験 に よ り示 した 。 そ の 結
果,1可
動 子 ・1固 定 子 の ス ラ イ ダ の 場 合 とは 異 な っ た 特 徴 が 明 らか とな っ た 。 実 験 結 果 よ
り,導 出 した 数 学 モ デ ル の 妥 当 性 を確 認 した 。
2)2自
由度制御 系 の設計
直 列 ツ イ ン リニ ア ス ラ イ ダ を,シ
ス テ ム構 成 か ら考 えて3慣 性 系 モ デ ル と して 近 似 し,
伝 達 関 数 を 導 出 した 。 そ の 伝 達 関 数 を 用 い て,逆 伝 達 関 数 演 算 に よ り非 干 渉 化 で き る
フ ィ ー ドフ ォ ワ ー ド補 償 器 の設 計 法 を示 した。 さ ら に,フ ィー ドバ ック 系 に位 置 比 例 速 度
比 例 積 分 型 の 補 償 器 を 用 い,ロ
バ ス ト性 を 有 す る2自
由度 制 御 系 を構 成 した 。 実 験 で の 効
果 検 証 に際 して は,従 来 用 い られ て き た 種 々 の 制 御 則 と の性 能 比 較 を 実 施 した 。そ の 結 果,
提 案 した2ス
ラ イ ダ の 干 渉 モ デ ル が も っ と も良 い 性 能 を示 す こ とが わ か っ た 。
提 案 手 法 の ロ バ ス ト性 検 証 を 目的 と して,位 置 指 令 加 減 速 を 変 更 した 場 合 や,ス
ライ ダ
負 荷 を変 更 した 場 合 の 検 証 も行 っ た 。 これ ら に対 して は 条 件 ご と に 制 御 パ ラ メ ー タ を 調 整
す る こ と で 良 好 な 性 能 を確 保 で き る。
3)仮
想 受 動 関 節 モ デ ル を用 い た適 応 形 予 測 制 御
指 令 加 減 速 が 変 化 した 場 合 や ス ライ ダ 負 荷 が 変 化 した 場 合 で も有 効 な 制 御 系 設 計 を 目指
す,適
応 制 御 系 を 設 計 し た 。 この 適 応 制 御 系 は,仮 想 受 動 関 節 モ デ ル に よ る モ デ リ ン グ手
法 に よ っ て お り,シ ミ ュ レー シ ョ ン に よ り位 置 決 め 性 能 が 良 好 で あ る こ とが 確 認 で き た 。
以 上 よ り,直 列 ツ イ ン リニ ア ス ライ ダ の位 置 決 め 制 御 系 につ い て設 計 手 法 を 提 案 し,実
験 お よび シ ミュ レー シ ョン に よ り提 案 手 法 の 有 効 性 を示 した 。 これ らの 設 計 手 法 は,今
後
の メ カ トロ ニ ク ス機 器 に 用 い られ る次 世 代 搬 送 系 に 対 して も十 分 有 効 な 設 計 手 法 で あ る と
考 え られ,各
種 製 造 機 械 の 発 達 に 貢 献 で き る もの と期 待 す る。
56
謝辞
平 成14年
て 以 来,今
度 に 本 学 情 報 工 学 研 究 科 情 報 科 学 専 攻 博 士 後 期 課 程 に入 学 し,本 研 究 に 着 手 し
日に 至 る ま で,終
始 懇 切 な ご指 導 を 賜 りま した,九 州 工 業 大 学 情 報 工 学 部 シ ス
テ ム 創 成 情 報 工 学 科 大 川 不 二 夫 教 授 に対 し,謹 ん で 感 謝 の意 を表 しま す 。
ま た,本 研 究 を遂 行 す る に あ た っ て,貴
重 な ご意 見 と ご指 導 を賜 りま した 九 州 工 業 大 学
情 報 工 学 部 シ ス テ ム 創 成 情 報 工 学 科 小 黒 龍 一 助 教 授 に深 く感 謝 い た しま す 。
本 論 文 を ま と め る に あ た り,有 益 な ご助 言,ご 討 論 を賜 りま した 九 州 工 業 大 学 情 報 工 学
部 シ ス テ ム 創 成 情 報 工 学 科 平 城 直 治 教 授,延
山英 沢 教 授,お
よび マ イ ク ロ化 総 合 技 術 セ ン
ター 浅 野 種 正 教 授 に 深 く感 謝 い た します 。
本 研 究 は,株 式 会 社 安 川 電 機 開 発 研 究 所 在 任 中 に社 会 人 学 生 と して 遂 行 した も の で あ り,
株 式 会 社 安 川 電 機 開 発 研 究 所 宮 原 範 男 所 長,モ
ル ー プ 長,同
ー シ ョ ン制 御 技 術 開 発 グ ル ー プ 冨 田浩 治 グ
グ ル ー プ 制 御 技 術 チ ー ム 中村 裕 司 チ ー ム リー ダ を は じめ,多
く の 方 々 に ご協
力 を い た だ き ま した 。 こ こ に 謹 ん で 感 謝 の 意 を表 しま す 。
本 研 究 を行 な うに あ た り,温 か い ご理 解 と ご配 慮 を 賜 りま した 九 州 工 業 大 学 情 報 工 学 部
シ ス テ ム創 成 情 報 工 学 科 小 林 順 助 手 お よ び 大 川 研 究 室 の皆 様 に深 く感 謝 い た しま す 。
最 後 に,甚 大 な る感 謝 の 念 と共 に,本 論 文 を 両 親 と,私 の研 究 活 動 の 支 え で あ る 妻 と三
人 の 息子 達 に さ さ げ ま す 。
57
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真 髄 へ の ア プ ロ ー チ 」,産
業 図 書,
付 録Aス
ラ イ ダの 摩 擦 が 変 化 した場 合 の2自
由度
制 御 系 の性 能 検 討
3章 の2自
由 度 制 御 系 で 用 い た 制 御 モ デ ル に は,摩 擦 項 が 含 まれ て い な い 。 実 際 の メ カ
トロニ ク ス機 器 に お い て は,エ ア ー ス ラ イ ダ を採 用 して い る よ うな 一 部 の 特 殊 な機 器 で な
い 限 り,当 然 摩 擦 が 存 在 し て い る が,3章
の 実 験 に お い て は そ の影 響 は フ ィ ー ドバ ック 補
償 器 に よ り良好 に 補 償 され る 結 果 と な っ た 。 こ こ で は,摩 擦 に対 す る ロバ ス ト性 を 検 討 す
る た め に,実 験 機 で は 摩 擦 を 変 化 させ る こ と が 困 難 で あ る た め,シ
ミュ レー シ ョ ン に よ り
摩 擦 を 変 化 させ,検 討 した 結 果 を 示 す 。
シ ミ ュ レー シ ョ ン条 件 と して は 以 下 の3種 の 条 件 を設 定 した 。
条 件i)ク
ー ロ ン摩 擦 お よ び 粘 性 摩 擦 な し。
条 件i)ク
ー ロ ン摩 擦 お よび 粘 性 摩 擦 実験 機 諸 元 相 当
条 件 血)ク ー ロ ン摩 擦 お よび 粘 性 摩 擦 実 験機 諸 元 の2倍
これ は,実 験 機 の ク ー ロ ン摩 擦 が 定 格 推 力 の10%程
度 と,汎 用 の メ カ トロ ニ ク ス 機 器 で
用 い られ て い る リニ ア ス ラ イ ダ の標 準 的 な 値 で あ る の に 対 し,さ らに2倍 の 摩 擦 力 を設 定
す る こ とで 摩 擦 影 響 の 大 き い機 器 に 対 して も提 案 手 法 が 有 効 で あ る か ど うか を確 認 す る も
の で あ る。ま た粘 性摩 擦 に つ い て も,実 験 機 で は 最 高 速 度2mls時
摩 擦 を 有 す る の に 対 し,定 格 の50%程
図A.1に
条 件i)摩
に 定 格 推 力 の25%程
度の
度 の 粘 性 摩 擦 を想 定 して検 討 の 幅 を持 た せ た 。
擦 無 しの場 合 の シ ミュ レー シ ョン結 果 を,図A2に
実 験 機 諸 元 相 当 の 場 合 の シ ミュ レー シ ョン結 果 を,図A.3に
条 件i)摩
擦iが
条 件iii)摩 擦 が 実 験 機iの2倍
相 当 の 場 合 の シ ミ ュ レー シ ョン結 果 を 示 す 。 い ず れ も 一 軸 分 の ス ライ ダ の 位 置 応 答 を 示 し
た もの で あ る。 摩 擦 以 外 の シ ミ ュ レー シ ョン諸 元 は 実 験 機 と 同様 と し,直 列 ツ イ ン リニ ア
ス ラ イ ダ の機 械 諸 元 に つ い て は2章 表2.1,コ
ラ メ ー タ と して は,3章
表3.1の
ン トロー ラ諸 元 と して は2章 表2.2,制
とお り と した 。
62
御パ
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4.0
3.O
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3.23.43.6384.O
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図A.1シ
ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果(条
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03.23.43.63.8生
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Time[s]
図A.2シ
ミ ュ レー シ ョ ン 結 果(条
63
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.23.43.63.84.O
Time[s]
図A.3シ
ミュ レv--Lシ
ョン結 果(条 件hi)
○考 察
図A.1よ
り,摩 擦 が な い 場 合,つ
な 位 置 決 め が な され て い る。 図A.2よ
様,位
ま りモ デ ル とお な じ条 件 を想 定 して い る 場 合 は,良 好
り,実 験 機 相 当の 摩 擦 が あ る場 合 は,実 験 結 果 と同
置 決 め 時 に 若 干 の 振 動 を生 じて い る も の の 大 き な残 留 振 動 を生 じ させ る こ と な く,
位 置 決 め を 完 了 して い る。 さ らに,図A.3よ
度 時 に 定 格 推 力 の50%程
い る が,2μm程
り,定 格 推 力 の20%の
クー ロ ン摩 擦,最
高速
度 の 粘 性 摩 擦 を 有 す る 場 合 で も,位 置 決 め 時 の 残 留 振 動 は 生 じて
度 の オ ー バ ー シ ュ ー トで 収 ま っ て お り,通 常 の 汎 用 設 備 にお け る 制 御 仕 様
に 十 分 収 ま っ て い る と考 え る。 よ っ て,汎 用 設 備 の 場 合 に お い て も,本 提 案 手 法 の 有 効 性
が 期 待 で き る。
64
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