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異文化障壁を乗り越える対話と 交渉能力の育成
異文化障壁を乗り越える対話と 交渉能力の育成 -シミュレータ教材の開発と開発ツール- 2010. 7. 28 大阪大学 小島 一秀 岩成 英一 目次 はじめに 教材のご紹介 教材の作り方 教材の評価 開発ツール まとめ 2 はじめに 3 はじめに 文部科学省現代GPに選定された大阪大学 (選定時は大阪外国語大学)の取り組み 「異文化障壁を乗り越える対話と交渉能力の育成」 によって実施 高度な言語運用能力、深い異文化理解を基 礎とした誠実な対話とタフな交渉能力の育成 対話と交渉を疑似体験する教材 19言語、134教材を開発 実際の授業で活用し評価 4 19言語 朝鮮語 フィリピノ語 ウルドゥー語 スワヒリ語 デンマーク語 フランス語 スペイン語 モンゴル語 タイ語 ペルシア語 ロシア語 スウェーデン語 ポルトガル語 インドネシア語 ヒンディー語 トルコ語 ハンガリー語 ドイツ語 イタリア語 5 本取り組みが計画された理由 大方針:外国語の会話だ けでなくタフな交渉まで踏 み込みたい。 組織の現状 × 大規模な情報システムの開発と 運営 情報系の教員は極少数 語学系の教員や学生は多数 ○ ゲーム的な要素 ゲーム開発経験者あり eラーニングシステムの現状 × 学習管理 商用、オープンソースともに、非常に 有力な開発陣による開発がすでに進 行中 ○ 新しい形態の教材 情報処理技術ならではと呼べる教材 は発展途上 × ただのデジタル教材 その時代の配布手段を選んだに過ぎ ない。 対話や交渉に関する新しいゲーム的な教材の みに集中(×学習管理) 6 対話と交渉とeラーニング 対話と交渉の特徴 相手の対応はこちらの 対応で変化 リアルタイムでの変化 教員による指導が必須 書物、ビデオでは学習 が困難 コンピュータによって 「ある程度」再現可能 eラーニングなら同時に 多数の学生に対応可能 eラーニングに最適かつ必須 7 教材のご紹介 8 実際の教材をご覧ください。 9 学習管理 10 対話交渉シミュレータの特徴 物語は海外滞在経験の豊富な教員や学生に より作成 ネイティブスピーカーによるチェックと出演 映像 学習者視点 現地の写真と合成 その国の小物を登場 11 対話交渉シミュレータの特徴 自在に操作できる得点などのパラメータと条 件処理による複雑な展開 操作の制限時間や自動進行によるリアルタイ ム性 言語の理解と文化まで考慮した判断を要求 学習管理機能との連携 教材作成に学生が参加することによる教育 効果 12 教材の作り方 13 開発の流れ シナリオ 原案作成 シナリオ データ作成 撮影台本 作成 エンコード 編集や合成 撮影 14 シナリオ原案作成 学習内容として何を取り上げるかを決定 ある程度イメージが決まったら、物語の分岐 なども含めて具体的に記述 効率化 専用用紙をA3で作成しプロジェクトルーム に配置 マニュアルや事例の配布 15 シナリオ原案作成 トルコ語の例 16 シナリオ原案作成 トルコ語の例 17 シナリオ原案作成 分岐 選択肢と 分岐 18 シナリオデータ作成 目的 原案をデジタルデータにする。 シミュレータ教材に必要なデータを用意 曖昧さの解消 手間のかかる撮影段階に入る前に、誤りや、 抜け落ちを防止する。 教材作成に必要な情報を入力する。 考案者、承認者、撮影者などを入力して問 題発生時の連絡をスムーズにする。 19 撮影台本作成 映像の内容を決定 絵がうまいかではなく、 不可能な構図でないか 注意 実際に撮影するために は必須 20 撮影 撮影 DVテープに記録、DV形式 取り込み i.Linkを利用 編集や合成 Final Cut Pro 時々、Adobe Premire 21 撮影 撮影台本に従って撮影 シナリオデータの台詞 を使った演技 一部の教材ではコマ撮 りアニメーション(右は 撮影テスト) コマ毎に映像が変化 するため自動機能は OFF 22 撮影 準備 打ち合わせ、場所の利用許可 音声 雑音が入らない様に カメラと別のマイクを用意 マイクがカメラに入らないように 23 撮影 24 映像編集と合成 撮影した映像を編集 必要なら合成処理 25 合成用の背景の撮影 合成される人物などが配置される手前側を 空けておく。 手前が空きすぎていてもそれほど困らない。 手前に物がある 26 合成用の背景の撮影 水平でないと人物が斜めに立つことになる。 目線の高さにしないと身長が変化する。 映像に入れたいものに気を取られない。 低すぎ 上半身用の服をかける低いハン ガーの上部が水平、すなわち目 線の高さが低い。 27 合成用の背景の撮影 画角を変えない。 人物が背景から浮かんでいるようになる。 動画であるなら一定以上の長さが必要 28 合成用の前景の撮影 ブルーバック、グリーンバックを活用 服装や目の色に合わせて選択 青い目、ジーンズが非常に普及している フィリピン 背景に濃い影ができないように照明を行う。 複数の照明を活用する。 またの下にできる影がやっかい。 29 教材の評価 30 シミュレータ教材の評価 シミュレータ教材を授業で活用した学生 219人 自主申告 31 評価-リスニング能力 1% 12% 26% 変化なし 少し向上した 向上した 無回答 61% 「向上した」と「少し向上した」:73% 32 評価-反応力 1% 12% 31% 変化なし 少し向上した 向上した 無回答 56% 「向上した」と「少し向上した」:68% 33 評価-面白さ 6% 19% 36% それほど面白くない 適度 ある程度は面白い 面白い 39% 肯定的な回答:94% 34 学習者の感想 語学だけでなく、文化についても学べることが良かったと思 います。ただ選択肢を選ぶ時にもたもたしていると、答えられ ないまま進んでしまうのが困りました。 異文化摩擦のケースを追体験できるのが良かったです。ど のような状況で摩擦が生じうるのかを知り、またその場合の 対応について学ぶことができました。ネイティブの先生方の ご協力により美しい発音でのインプットができたことも良かっ たです。映像が停止しながらなのはやや見づらかったです。 ためになるカリキュラム&システムだと思います。家でまた 練習してみます。 使いにくい。東京外大のe‐learningを手本にしてみては?1つ 前の画面に戻れないから不便。会話のスクリプト全部作って おいてほしい。容量(動画の)大きすぎ。 外大で見た初めてのハイテクでした。感動しました。面白 かったです。 35 開発ツール 36 シナリオデータ作成 実施環境 多くの言語(最大24言語)で多くの教材を開発 教員のみによる入力は不可能 入力者はその言語を理解が必要 外国語を専攻する学部学生や院生による入力 少しでも実態に合った使いやすく、 初心者に考慮したデータ作成ソフトが必要 37 実際の開発ツールをご覧ください。 38 開発ツール シミュレータ教材は構成要素、データ構造とも に複雑 効率的で初心者にも優しい開発ツール 自動修正、自動チェック 教材の開発段階に応じた機能 組織の生産性も向上 全ての教材データを一般の文系学生が作成 大きな問題は発生せず ツール開発者に対する質問も非常に少数 39 開発ツールの応用 高度外国語教育全国配信システムの構築 高度な外国語eラーニングシステムを構築 大阪大学 外国語+IT 講座 社会人向けの講座 その他 40 まとめ 41 まとめ-シミュレータ教材 海外経験者による実際的な物語 ネイティブスピーカーによるチェックと出演 学習者視点の映像 外国の映像や小物を活用した 臨場感ある映像 文化や交渉を考慮した判断力の要求 現実的な時間制限 学習者の操作や複数の得点により変化する 複雑な展開 学習管理との連携 42 まとめ-評価結果 219人にアンケート リスニング能力に効果 反応力に効果 十分な面白さ 43 まとめ-開発ツール 自動修正と細やかな自動チェック 教材の開発段階への細やかな対応 開発組織に対する生産性の向上 44 45 46 開発ツール シミュレータ教材は構成要素、データ構造とも に複雑 初心者でも使える開発ツールにより生産性の 向上 47 「撮影前チェック」 チェックと自動修正 物語の矛盾を自動的に発見 撮影のやり直しを削減 「完成」 最後に使用 「撮影前チェック」の機能 動画ファイルの存在チェック 48 開発ツール 全ての教材データを一般の文系学生が作成 大きな問題は発生せず ツール開発者に対する質問も非常に少数 49