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VRを応用した感覚強化システムの開発
産学官連携フェア2016みやぎ ~ビジネスマッチング展示会~ VRを応用した感覚強化システムの開発 東北福祉大学 情報福祉マネジメント学科 大内 誠 研究室 ここ数年注目を集めているバーチャルリアリティ(Virtual Reality : VR)は、 人間のさまざまな感覚に作用し、疲労・ストレス・加齢などによって低下した感 覚を元に戻したり強化したりすることができると言われています。今回は、VRを 応用した感覚強化のためのシステムを開発しましたので展示いたします。 1-1. 高齢ドライバーの危険察知・回避能力を回復する運転シミュレータ 近年、高齢ドライバーによる運転事故が多 高齢ドライバー向け運転シミュレータ 発しており、社会問題化しております。 後期高齢者の運転免許自主返納の呼びかけも なされていますが、なかなか進展しないのが 現状です。 特に問題なのは、危険を察知し、回避する 能力が低下してるにもかかわらず、多くの高 齢ドライバーが、それに気づいていないどこ ろか、運転に自信さえを持っている点です。 一方、地方の交通事情を考えれば、高齢者が運転せざるをえない状況にあるのは明か であり、安全に運転できるスキルを維持・回復することこそが重要と考えます。 そこで、私たちは、高齢ドライバーの危険察知・回避能力を回復する運転シミュレー タを開発しました。 1-2.高齢ドライバー向け運転シミュレータの特徴 数多くの危険シチュエーション ①対向車の多い狭い道路 ②駐停車中のクルマの陰からボールや子どもが飛び出す ③左折や右折中に自転車や人が急に飛び出す ④道路情報の看板、標識の設置 ⑤雨や雪の悪天候 視線の移動範囲を測定 高齢ドライバーは、周辺視機能が若年者に比較して著し く低下します。そのため、シミュレータ運転中の高齢者の 視線を計測し、周辺を意識的に見られるようトレーニング します。 シミュレータ操作中の様子 開発ツール Unity5,Tobii EyeX(アイトラッカー) 実証実験(予定) 運転シミュレータを用いての訓練を数日間行い、その前 後における視線の移動範囲、危険回避回数、事故遭遇回数 などを比較します。 開発者 工藤詩乃、鈴木貴大、太宰寛登(4年生) 産学官連携フェア2016みやぎ 雨天運転の画面 本研究に関するお問い合わせ先: [email protected] 大内誠 産学官連携フェア2016みやぎ ~ビジネスマッチング展示会~ VRを応用した感覚強化システムの開発 東北福祉大学 情報福祉マネジメント学科 大内 誠 研究室 2.VRアクアリウム・セラピー・システム「U-まりん」の研究と開発 アクアリウム・セラピーとは アクアリウム(aquarium)は、水生生物の飼育設備のこと を指します。一般に、水槽の中に観賞魚や水草、オブジェ などを入れ、鑑賞します。アクアリウムを鑑賞することに よって、緊張や不安といったストレスを軽減することがで き、これをアクアリウム・セラピーと呼びます。 アクアリウムの問題点 ①設置するためのスペース、時間、費用がかかる ②アクアリウムを維持するために、観賞魚の世話、水槽の 清掃、水温や水質の管理などを行う必要がある ③アクアリウムの維持そのものがストレスになる VRアクアリウムとは VRアクアリウムは、PCとHMD(Head Mounted Display)など を用いてVR(Virtual Reality:人工現実感)空間上に創りだ されたアクアリウムのことです。アクアリウムをVR化する ことによって上記の問題点のほとんどを解決することがで きます。また、立体視化することによって、両目の輻輳角 を変化させリラックス効果も期待できます。 「U-まりん」の特徴 様々な観賞魚、クラゲ、水草、オブジェなどを用意しま した。これらの中からユーザが自由に選択して好みのアク アリウムを作ることができます。 なお、VR酔いをする場合は、HMDではなくPCのディスプレ イに表示することも可能です。 VRアクアリウム 「U-まりん」 開発ツール Unity5,HMD 実証実験(予定) 私たちが開発したVRアクアリウムに緊張や不安 などのストレスを軽減する効果があるかどうか、 以下の実験を行います。 ①VRアクアリウム鑑賞中の脳波を測定する ② STAI(State-Trait Anxiety Inventory:特定 不 安尺度)による心理検査を実施する ③唾液アミラーゼによるストレス検査を実施する 開発者 菊地宇宙、黒澤和樹、須藤凌平(4年生) 3.ロボットによるレクリエーション支援の可能性についての基礎研究 高齢者施設でロボットは使えるか? 本研究の目的は、老人ホームなどで働く介護スタッフの 労働負担を軽減し、かつ、高齢者に喜ばれるロボットを実 現するためにはどのような要素を取り入れることが必要か を調査し、アプリケーションソフトを試作することです。 使用したロボットの特徴 本研究で使用したロボットは、DMM社のPalmiです。二足 歩行が可能なヒューマノイド型ロボットです。顔認識、音 声認識、合成音声による発話、触覚センサなどの機能を搭 載しており、ユーザがプログラムを開発することも可能で す。価格は30万円ほどで維持費もかかりません。 開発した3つのレクリエーションソフト 調査の結果、高齢者施設で利用できるオーソドックスな レクリエーションソフトを3つ開発することにしました。 ①しりとりゲーム:ロボットと人間が対戦できるしりとり ゲーム ②むすんでひらいてゲーム:ロボットが歌う「むすんでひ らいて」に合わせて手拍子するゲーム ③後出しじゃんけんゲーム:ロボットが出したじゃんけん の手を見てから、勝ったり負けたりする手を後から出す じゃんけん 産学官連携フェア2016みやぎ ロボットとレクリエーションしている様子 開発ツール Palmi,Visual Studio 2015(C++) 実証実験(予定) 高齢者施設において、ロボットを利用していただ き、介護スタッフの支援ができるかどうか、また、 高齢者に喜んでいただけるかどうか、実験を行いま す。 開発者 佐々木俊介、佐々木翼、中野伶奈(4年生) 本研究に関するお問い合わせ先: [email protected] 大内誠