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NGOとの協働試みる欧米企業② ―― 認証制度の開発

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NGOとの協働試みる欧米企業② ―― 認証制度の開発
欧州レポート(14)
NGOとの協働試みる欧米企業②
―― 認証制度の開発、市場開拓の動きが進行
企業のマーケット力にNGOが期待
近年、
途上国では観光施設建設のために先住民の土地や生活の糧が奪われたり、
宿泊施設などからの排
水やごみで自然が荒らされたり、
性産業の発展などで地域の習慣やモラルを破壊する一方、
地元民には
収入がもたらされないなど、
多様な問題が引き起こされている。
南米コスタリカ南岸のタラマンカ地域は、
熱帯雨林や貴重な野鳥類などの生物多様性に恵まれるとと
もに、
多様な先住民族が暮らす。
ここで、
米国の環境NGO、
熱帯雨林連合
(RA)
が2002年より持続可能
なツーリズムの普及に当たっている。
持続可能なツーリズムとは、
自然をできるだけ破壊せず、
宿泊・観光
施設からの環境影響を最小限に抑えるとともに、
地元の生物多様性や伝統文化といった財産を生かし、
地域社会に雇用と経済的便益を公正な形でもたらすものを指す。
コスタリカでは政府観光局が、
こうした新しい自然・地域社会と調和した観光を世界に先駆けて推進す
るべく、
持続可能なツーリズム認証
(CST)
制度を設け、
地元の観光業者を0∼5の6段階に分けて審査
している。
RAでは観光業者に対し、
熱帯雨林や野生生物の保護や施設の環境管理についてトレーニン
グを施し、
高いレベルの認証を取れるよう指導する役割を担っている。
だがNGOにとっての課題は、
先進国の観光客をどう呼び込むかという商品化とマーケティングの部
分。
RAと関係の深いオランダの環境コンサルティングが仲介し、
ドイツの旅行代理店大手TUIのオ
ランダ支社がパッケージ旅行として売り出すことになった。
この過程で、
3者が共同で観光施設などの
持続可能性を判断するための評価基準を策定し、
他社や他地域でも使える
「持続可能なパッケージツア
ーのためのツールキット」
も開発した。
同支社ではツアーの高評価を受け、
インドネシアのバリ島でも同
様のツアーを開発している。
最新海外レポート
CSRアドバイザー
待場 智雄
認証制度の導入が加速
CSRを商品・サービスとして具現化するものとして最も一般的に普及しているのは、
フェアトレ
ード
(公正貿易)
や有機栽培など、
製造過程での環境や労働・人権に配慮した商品とそれに伴う認証制
度の開発であろう。
当初はNGOが基準・認証制度を制定し、
独自の商品化・マーケティングを行うケ
ースが主流だったが、
次第に企業とNGOの協働による認証制度の開発や市場開拓の動きが進んでい
る。
英ホームセンターチェーンのB&Qと世界自然保護基金
(WWF)
との協力で始まった森林管理評
議会
(FSC)
の認証による持続可能な木材製品は、
日本を含めて世界中に普及している。
日本でもFSC認証製品をはじめ、
RAなどの認証による外食用コーヒー、
トステムと
「ユニバーサ
ルデザイン生活者ネットワーク」
による製品開発、
サラヤの
「持続可能なパーム油ラウンドテーブル」
(RSPO)
への参加など、
徐々にNGOとの協働を生かした商品開発が進んできており、
今後この分
野での進展が期待される。
待場 智雄
(まちば ともお)
CSRアドバイザー
新聞記者を経て、
英サセックス大国際開発研究所で修士号を取得。
1997年から2002年まで、
「ト
リプル・ボトムライン」
を提唱したジョン・エルキントンが運営するサステナビリティ社
(英
ロンドン)
で、
経営戦略コンサルティングやステークホルダー・コミュニケーションなどに携
わる。
02年秋よりオランダに事務局を置く国際NGO
「グローバル・リポーティング・イニシ
アティブ」
(GRI)
で、
GRIガイドラインほか各文書の開発・普及、
CSR報告書の調査な
どを担当。
05年1月に独立し、
フリーのCSRアドバイザーに。
GRIアソシエート、
サステナ
ビリティ社ファカルティー・メンバー。
アムステルダム在住。
【企画・制作】 日本経済新聞社広告局
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