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協会ニュースH27-3 - 日本医療社会福祉協会
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
NEWS
(公社)日本医療
社会福祉協会ニュース
IATION OF SOCIAL WORKERS IN HEALT
H SERV
SE ASSOC
E
N
A
P
ICES
A
THE J
No.H27-3 2015.10.31
Topics
ソーシャルワークデータシステム
「MANBO」について
調査研究部データシステム担当チーム 担当理事 飯島 望
ソーシャルワークデータシステ
ブライト・コミュニュケーションズ
これまで講演会・体験会を開催
ム(以降データシステム)は、
(株)との業務提携によりファイル
し、データシステム2010の評価と
2009年度から長寿社会福祉助成金
メーカー版の開発を行っていま
ファイルメーカー版の作成経緯、
を受け2010を開発し、全国の医療
す。これは、名称を「MANBO」
小野沢先生による実践的な活用法
機関に配布しました。その後、
(Medical Assets Network Board)
の説明と実演、実際に操作を体験
Ver. 2、2014年 に は QI( ク オ リ
とし、2016年4月の運用開始に向
していただきました。ここでは体
ティーインジケーター)と介入必
け準備しております。
験版の CD-R を配布しております。
要基準を導入した Ver.3を開発
ファイルメーカー版では、これ
なお、今後の予定は以下の通り
しました。しかし、これまでの
までのデータシステムの成果であ
となります。10月下旬頃〜平成28
データシステムは Excel ベースで
る援助項目、業務量の時間的なカ
年3月トライアル版公開予定、11
あったため、膨大なデータ量に対
ウントや集計、個別以外の業務な
月頃トライアル版を使用していた
応できない等の不具合が発生し、
どを踏襲しました。また、経過記
だいた方へアンケートを実施、平
集計作業が行えない等の問題があ
録の記載や関係機関のマスタ登録
成28年4月
「MANBO」
運用開始。
りました。そこで、昨年度から当
などの機能を追加し、
電子カルテへ
協会理事小野沢先生(北里大学病
の接続も可能です。
この
「MANBO」
ルメーカーPro が必要になり、5
院)
を中心に、
専門業者であるフュー
は、ソフト自体は無償で提供し、
台以上での利用にはファイルメー
サポート体制の充実を図ります。
カーサーバーが必要になります。
CONTENTS
無 償 配 布 で は、 協 会 サ ポ ー ト
Topics
ソーシャルワークデータシステム
「MANBO」について
地域医療構想策定の議論開始にあたって
2016年度全国大会のご案内①
都道府県協会からのメッセージ㉜
会員リレー㉕
関東・東北豪雨災害における茨城県
ソーシャルワーカー協会の活動
日本医療社会福祉協会は石巻支援を
平成29年度まで継続します!
仲村優一先生のご訃報に接して
各部・各担当チーム活動報告
研修インフォメーション
あなたに贈るこの1冊②
(メールサポート、週1回の電話
1
2
3
4
5
5
6
7
7
11
12
サポート)が含まれます。
正規版「MANBO」にはファイ
今後、協会 HP 等で「MANBO」
についての情報を公開します。
最後に、このデータシステム
また、フューブライトとの直接
は、 グ ル ー プ 病 院 や 複 数 の SW
サポートを契約していただくこと
がいる病院等、多くのデータ運用
で、協会サポート以外に専門的な
に適しています。また、SW 業務
サポートを受ける(技術的な相
の実績を解析し、効果的に表すこ
談、訪問時等は実費が発生しま
とができ、専属サポート契約を行
す。)ことができ、電子カルテ等
うことでより力を発揮します。ト
への接続については医療機関の状
ライアル版をお試しいただき、是
況に応じ設定を行います。
非、導入をご検討ください。
1
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
地域医療構想策定の議論開始にあたって
理事 伊藤 正一
昨年より始まった病院機能報告制度ですが、皆さんの所属先には第2回(今年度分)の報告に向けた案内が通
知され、その対応をしている頃かと思います。昨年の通常国会で「医療介護総合確保推進法」が成立して以後、
地域包括ケアシステム構築に向けてのより具体的な道筋が示されたことにより、所属先にもそこに従事する医療
ソーシャルワーカーにも少なからず影響があり、様々な変化が生じてきているのではないでしょうか。
この4月から都道府県においても2025年の地域の医療需要の将来推計や病床機能報告制度等により医療機関か
ら報告された情報等を活用し、構想区域(2次医療圏が原則)ごとに、各医療機能の必要量等を含む地域の医療
提供体制の将来の目指すべき姿を示す地域医療構想の策定がスタートし、それにより地域医療構想調整会議が設
置され、厚生労働省が3月に発出した『地域医療構想策定ガイドライン』を参考にして地域医療構想策定に向け
ての議論が本格化しつつあります。
そんな中、6月15日に内閣府の医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会は各都道府県の地
域医療構想の策定に先立って『第1次報告~医療機能別病床数の推計及び地域医療構想の策定にあたって~』を
公表し、
「2025年の医療機能別必要病床数の推計結果(全国ベースの積み上げ)」(資料1)が示され、2013年時
点で全国に134.7万床ある病床数を様々な仮定で推計した結果、2025年の必要病床数(あるべき姿)を115~119
万床と発表しました。報道などでは医療費削減のため政府が病床の削減目標を提示など大々的に報道され記憶に
残るところですが、その実、多くの地域で人口が減少傾向にあることや地域による疾病構造や社会資源量に差が
あることから、都道府県および構想区域の特性に応じた差(資料2)を見て取ることができます。また、平成29
年度末で医療療養病床の一部(看護師配置基準25対1)と介護療養病床の廃止が予定されている慢性期の病床機
能については、在宅医療等の医療需要を一体として推計する(資料3)とされ、2013年時点で35.2万床ある病床
数を2025年には24.2~28.5万床に、併せて介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療等で追加的に対応する患者数
を29.7~33.7万人と推計しました。厚生労働省ではこれらを踏まえ、患者像を含めた今後の療養病床における医
療等の在り方と療養病床以外の医療・介護サービス提供体制の在り方について検討するために、この7月に「療
養病床の在り方等の検討会」を設置し年
資料1
内を目途に報告書をまとめるとしていま
す。
地域医療構想については最終的には前
述した地域医療構想調整会議で決定され
るべきものですが、今後の所属先の機能
の方向性と併せてどの様に議論が進めら
れていくか、自らの地域を知りそこで活
躍する医療ソーシャルワーカーだからこ
そ注目して直接的、間接的を問わず関
わっていって欲しいと思います。
※資料1〜3は、当協会ホームページの協会ニュー
スに掲載しますので、ご覧ください。
出典:
『第1次報告〜医療機能別の推計及び地域医療構想の策定にあたって〜』
(医療介
護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会・平成27年6月15日)
より
2
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
2016 年度全国大会のご案内①
第64回 公益社団法人日本医療社会福祉協会全国大会
第64回 公益社団法人日本医療社会福祉協会全国大会
第36回 日本医療社会事業学会
第36回 日本医療社会事業学会
2016
5
26 28
(木)
(土)
大会テーマ
生きる力に寄り添うソーシャルワーク
生きる力に寄り添うソーシャルワーク
∼現在・過去・未来∼
∼現在・過去・未来∼
会場:朱鷺メッセ(新潟県新潟市中央区万代島6−1)
会場:朱鷺メッセ(新潟県新潟市中央区万代島6−1)
新潟大会まであと7か月となりました。今年行われました、京都大会にも実行委員として参加し、大会の運営
やプログラムの構成について学ばせていただきました。実行委員会も昨年から計4回開催し、着々と準備を進め
ております。交流会では新潟ならではの企画も検討中です。チームワークも良く、徐々に士気が上がってきてい
るところです。
さて、今回の大会テーマ「生きる力に寄り添うソーシャルワーク~現在・過去・未来~」とあるように、新潟
大会ではソーシャルワークの本質、意義を再確認したいと考えています。私たちソーシャルワーカーはクライエ
ントの全てを理解することはできません。“ 理解したい ” という思い、“ 寄り添いたい ” という姿勢がソーシャル
ワークを実践する上で大切だと日頃から感じております。しかし、日々の多忙な業務の中では、ついこのことを
忘れがちになってしまいます。ぜひ、この新潟大会をきっかけに一度立ち止まってみてはいかがでしょうか?自
分自身のソーシャルワークを見つめ直す良い機会となり、そして全国の医療ソーシャルワーカーの熱き想い、真
摯な実践に触れることで「また明日から頑張ろう!!」と前向きな気持ちになって頂けたら幸いです。
なお、僭越ながら、この新潟大会は当協会の60周年記念事業でもあります。礎築いた先輩方の意志を引き継い
できた県内の医療ソーシャルワーカーたちの底力を全国に発信したいと考えています。
大会の会場となる朱鷺メッセのすぐ近くには長野県に端を発する日本一長い信濃川が流れており、そこに架か
る萬代橋は国の重要文化財に指定されています。また、日本海に沈む夕日は風光明媚です。新潟の美味しい日本
酒、コシヒカリ、海の幸を用意し、新潟美人が数多く在籍する県協会一同、皆様の参加を心よりお待ちしており
ます。
<信濃川に架かる萬代橋と朱鷺メッセ>
<日本海に沈む夕日>
新潟大会実行委員会
3
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
都道府県協会からの
一般社団法人愛知県医療ソーシャルワーカー協会からのメッセージ
副会長 野田 智子
愛知県医療ソーシャルワーカー協会は、2015年5
間の研修スケジュールを早期に決め、総会時に会員
月23日に一般社団法人としての第一歩を歩み始めた
に周知しています。研修回数は年間延べ20回開催
ところです。愛知県は1950(昭和25)年に全国で最
し、会員参加数は延べ907名という研修実績を誇り
初に医療ソーシャルワーカーの協会が誕生した県で
ます。今年は3年間の評価を行う時期でもあり、単
もあり、今年はちょうど65年の節目に当たる年でも
年度ではなく経年度で積み重ねて行う研修としての
あります。創立当時の会員は52名でしたが、現在は
質を問いつつ、卒後研修の体系化も視野に、法人化
700名を超える規模となり、組織的な運営体制もこ
組織としての研修という意味合いも含め進化してい
の実態に合わせて事務所を構え、社会的な認知も得
きたいと担当理事・委員一同力を合わせています。
当協会がさらに目指すものは、財政基盤の安定化
られる団体へと発展させています。
法人化した背景には、「専門職としての医療ソー
と医療分野の専門職団体として、愛知県や名古屋市
シャルワーカー(以下 MSW と略)の社会的認知の
など対外的にも会員の質の向上につながる組織とし
拡大」の他に「理事個人への負担の増大」
「備品の
てのステージアップです。そして、これらの取り組
保管場所の必要性」
「会計事務処理上の課題」など
みが、最終的に患者とその家族・医療機関の方々の
がありました。このことは、どの県においても共通
利益につながる組織でありたいと考えています。
する課題ではないでしょうか。最終目標は専門職と
しての社会的認知の拡大と共に、事務職員の配置、
理事業務と事務業務を整理できることです。また、
会員に対する満足度を高める活動の運営に向けて努
力しているところです。
ここ数年の協会活動で特に注目すべき点は、ひと
つに「社会的な専門職団体としての期待の高まり」
です。愛知県や名古屋市から協会への依頼内容も増
加し、理事を中心とした会員を派遣し、MSW とし
ての発言や協力を求められる事業が多く出てきまし
た。愛知県在宅医療従事者能力向上研修会、愛知県
児童虐待対応医療機関連絡会、愛知県自殺未遂者支
援地域連携事業、名古屋市在宅医療・介護連携推進
事業、名古屋市における在宅医療・介護連携ガイド
ライン作成検討ワーキンググループなど、多方面に
わたります。各分野における MSW という専門職を
巻き込んだ形での取り組みや働きが期待されている
と感じてきました。
また、会員の質の向上を目標に「研修の充実」を
目指しています。研修の3カ年計画を立案し、1年
4
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
会 員 リ レ ー 25
●西陣病院の紹介●
医療社会福祉課 新保 一葉
京都市北西部にある西陣病院は、西陣織が盛んであった地域の320床・透析125床の急性期病院です。
ソーシャルワーク部門は、病院のソーシャルワーク・在宅介護支援センターとしての地域の相談窓口・居宅介
護支援業務の3つの機能を有しています。日々の実践の中で大切にしていることは、①困難を抱えた方がどこか
らでも相談室に繋がるよう、間口を広げかつ集中させる②居宅介護支援事業所を併設することで介護保険に精通
し、退院支援を地域のケアマネジャーだけに依存しない③院内の委員会に積極的に参加し、患者支援の視点を
病院運営に生かす機会を逃さない④400名の透析患者は全員担当制とし、固有の生活問題にも対応する⑤医療
チーム充実の担い手となる(治療への参加)⑥緩和ケア検討委員会の事務局活動を通して、患者の意思決定や医
療の在り方を模索するチームの中核を担う⑦病院外の関連団体に役割
を持って参加し、実践に根差したソーシャルワークを発信し続ける意
識を持つ⑧ともに支えあい高めあえる「相談室文化」を発展させると
いったことです。
今年度、現場を去られる山本みどり前課長の「ソーシャルワーカー
のすべての行動はクライエントのために」という言葉を真ん中に据
え、目まぐるしく変わり続ける臨床の場から逃げない実践を積み重ね
られるよう、目の前のクライエント一人ひとりから始まるソーシャル
ワークを大切にしていきたいと努力しています。
関東・東北豪雨災害における茨城県ソーシャルワーカー協会の活動
報告者:茨城県ソーシャルワーカー協会災害対策委員長 飯島 望
DMAT ミーティング
茨城県ソーシャルワーカー協会(以降当協会)では、東日本大震災以降、災害対策
に力を入れ、規定、ガイドライン、マニュアルを整備。会員への周知ツールとしてメー
ル配信サービス、FAX 等を活用し災害対策について準備してきました。9月10日に発
生した関東・東北豪雨災害では、会員がボランティアとして44名参加し以下の活動を
行っています。
当協会では、今回初めて DMAT、JMAT、JRAT ※と共に災害急性期から活動を開
始することができました。そして、それ以降も継続して体制を整えながら活動してい JMAT チーム同行
ます。
9月12日〜17日、災害急性期における避難者の医療・福祉ニーズのスクリーニング
と支援を実施。医療支援チームからの要請により同行。
ダンボールベッド
9月18日〜27日、フェーズが変化し医療支援チームは終結。その後は JRAT との活動
に参加し、生活場面における環境アセスメントとニーズの発掘及び支援を行いました。 避難所一人1帖の居室
10月5日〜現在、SW が避難所で常駐し、ここで住人に対し福祉ニーズと生活ニー
ズへの支援を行い、地域移行支援として避難所からの退所支援を行っています。また、
現在は市町村、NPO 法人等との連携により、災害救助法の適応を受けた福祉避難所の
設置が行われており、ここで SW は生活相談員としての常勤配置が可能になりまし
SW の常駐の事務所
た。当協会は、230名と少人数の協会ですが、
「茨城での災害を県協会で支援する」こ
とを目標に日本医療社会福祉協会、他の専門職団体とつながりを持つことで実践して
います。全国各地域で発生した災害に対し、都道府県 MSW 協会が対応するためには、 相談コーナー
今後、各協会が共有の情報を持つことが望ましいと感じています。
最後に、初期のミーティングについて情報提供いただいた日本医療社会福祉協会の皆様と、活動にご支援、ご助言い
ただいた多くの皆様に深く感謝申し上げます。
※ DMAT:災害派遣医療チーム JMAT:日本医師会災害医療チーム JRAT:大規災害リハビリテーション支援関連団体協議会
5
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
日本医療社会福祉協会は石巻支援を平成29年度まで継続します!
災害支援チーム 統括責任者 笹岡 眞弓
東日本大震災から4年7か月が経過しました。石巻市の平成27年9月時点での死者数は3178人、行方不明者は
422人です。県外に移住した人も含めて人口は1万人以上が減少し、仮設住宅に居住する人もまた1万人以上い
ます。復興公営住宅への移行が始まるにつれ、社会的な問題もまた顕在化してきました。
平成27年度より仮設住宅被災者自立生活支援事業が開始されています。その背景には「発災当時に比べ、多く
のボランティアは撤退し、仮設住宅団地で立ち上げた自治会もトラブルや会員の退去等による解散が進むなど、
コミュニティの崩壊や心のケア、など様々な問題が生じている」が挙げられます。仮設住宅被災者の中には、自
ら自立する方法、時期等について判断できない高齢者、障害者等の自立困難世帯が多く、仮設住宅の解消に向け
た自立支援が必要な状況であり、仮設住宅の空きが増え、虫食い状態になった仮設団地では、自立困難世帯や高
齢単身世帯等の仮設住宅への残留が顕著となりつつあり、仮設住宅における高齢者等の引きこもりが再び懸念さ
れています。こうした状況への対応策として、石巻市は、自立支援のための支援員(福祉専門職ほか)等を配置
し支援するとしてこの事業を企画したのです。当協会の医療ソーシャルワーカー(以下 MSW)への期待は熱く、
困難事例への対応には、熟練した MSW が重要だと行政が認識しています。だからこそ、当協会の支援活動をあ
と2年、せめて復興公営住宅に大多数の人々が移行するまで、上述の状況に対応することが MSW としての使命
だとして、支援継続が決定されました。
3.11からこれまでの支援経緯を振り返ると、活動を開始した遊楽館(福祉的避難所;80名規模)では、5000
名の会員の約4%の200名の MSW が活動しました。避難所閉鎖までの180日間で延べ約700名が活動し、退所者
は次の生活場所に「退所サマリー」を持って移行しました。こうした活動を契機に、当協会の活動は地域に拡大
していきました。現在までに延べ4000人以上の MSW が、仮設住宅居住者、在宅被災者への個別支援、復興公営
住宅説明会への協力、引きこもりの子を持つ親の会の運営、社会福祉協議会地域生活支援員からの困難ケース支
援、自治会組織への協力など、地域の復興に貢献しています。
コミュニティの再生には少なくとも10年以上はかかります。再生に向けた肝心の時、我々の支援が効果的に定
着できるよう、残りの2年半も努力します。
人員は不足しています。全国から2年間、1年でも石巻の常駐 SW として活動してみたい方!募集していま
すので是非一度協会事務所まで話だけでも聞きに来て下さい。お待ちしています。そして常駐できなくても、こ
の活動を理解し、応援して下さることを期待しています。
復興公営住宅
石巻の事務所がある集会場
6
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
仲村優一先生のご訃報に接して
公益事業統括責任者 坪田 まほ
平成27年9月28日 AM10:11 仲村優一先生が老衰のため永眠されました。93歳11か月のご生涯でした。
仲村先生はクリスチャンでいらして告別式は新宿の淀橋教会でしめやかに行われました。
40歳未満の会員の方には先生の名前をご存じないという方もいらっしゃるのでここで改めて先生のご略歴を示
させていただきたいと思います。先生は1921年10月29日東京にて出生。東京帝国大学経済学部を卒業され、その
後広島の原爆とのかかわりもおありになったことから社会福祉の世界に入られました。1961年に日本社会事業大
学の教授となられ、72年には同大学長を務められ87年に定年退官。その後も放送大学、淑徳大学で教鞭を執られ
ました。日本学術会議会員、中央社会福祉審議会委員でもあられ、1964年日本社会福祉学会の設立にも参加され
た日本を代表する社会福祉学者であられました。著書も「ケースワーク」(誠信書房)をはじめ非常に沢山おあ
りになります。
個人的に教えを受けた方々も多いかと思いますが、当協会と先生のご縁は、先生が会長をされていた日本ソー
シャルワーカー協会と当協会、日本社会福祉士会、日本精神保健福祉士協会の職能4団体で構成される「社会福
祉専門職団体協議会」(以下「社専協」)を通してが主でした。そもそも社専協は、ソーシャルワーカー協会が単
独で加入されていた IFSW(国際ソーシャルワーカー連盟)に日本の職能団体が一緒に一国として参加すること
によって相互理解を図ることを企図して構成された組織でいわば先生の遺産です。IFSW では世界大会、地域会
議を含めると毎年、国際会議が開催されています。先生は IFSW50周年会議までほぼ毎年参加されていました
し、世界中のソーシャルワーカーからも敬愛されていらっしゃいました。ご訃報に際し先生が残してくださった
ものの重みを改めて心に問いたいと思いました。
各
部・
各担当チーム活動
報 告
総務部
調査研究倫理指針について
総務部担当理事 梅崎 薫
このたび、日本医療社会福祉協会における「調査研究倫理指針」を定めましたので、ご案内します。
また、皆さまもご存じのとおり、平成 26 年 12 月、文部科学省及び厚生労働省により「人を対象とする医学系研究
に関する倫理指針」が制定され、同 12 月 22 日官報にて告示されました(同時発表:厚生労働省)
。平成 27 年3月
には「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」も示されるなど、保健医療領域での調査研究には大幅
な具体的配慮が求められています。
研究者だけでなく、研究に協力する医療従事者や機関の長にも、大きな責任が課されるようになっています。会員の
皆さんは十分にこれらの社会情勢を意識して、必要な配慮に努めてください。患者さんに関する情報は医療機関に属す
る情報です。医療ソーシャルワーカーとして知りえる情報やアクセスできる情報等について、なぜ、医療ソーシャルワー
カーにアクセスが許されているかを考えなければなりません。使用目的が援助でないときは、目的外使用になりますの
で、患者さんや利用者の方に許可を得ることが必要です。
アンケート調査においても何を目的とした調査で、どのような成果が得られるのかきちんと説明できる調査が求めら
れており、
できるだけ調査協力という負担をかけないように配慮することが求められています。専門職に対するアンケー
ト調査でも同様です。調査と研究は計画が重視され、計画には収集した情報の取り扱いと保存場所・保存期間を記載し
なければならないことになっています。
院内に倫理審査委員会がある場合には、できるだけ院内の倫理審査を経てください。所属機関内に倫理審査委員会が
ない場合、日本医療社会福祉協会の倫理審査委員会に審査請求することができます。その場合、今般定めました「調査
研究倫理指針」
を準用することになっています。ご心配な時にはお気軽に協会の倫理審査委員会へお問い合わせください。
7
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
社会活動部
NPO在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 第21回全国の集いin北海道 報告
社会活動部担当理事 上田 学
2015 年 10 月 11 ~ 12 日、
「地域を支えるための育てあい」をテーマに札幌にて開催、全国より約 500 名の参加
がありました。当協会は長くこの NPO の会員でもあり、社会活動部は今回大会に2年前より参画、大会二日目の午前、
「地
域包括ケアシステムと在宅医療連携を支える福祉専門職の役割」と題したシンポジウムを企画・実施しました。当日は、
札幌市医師会、札幌市介護支援専門員連絡協議会、地域包括支援センター、北海道医療ソーシャルワーカー協会(当協会
岡村調査研究部長)の4団体よりテーマに沿って発言していただきました。当事者の在宅療養への支援に「医療従事者」
や「地域」の理解が足りないケースも多く、
当事者の権利擁護が欠かせないことが指摘されました。当職は座長として、
「権
利擁護が必要な環境をしっかりアセスメントした」うえで「権利擁護できるソーシャルワーカー」が地域包括ケア推進に
不可欠であることをフロアと共有させていただき、次回大会以降も引き続き「育てあう」ことが確認されました。
全体をとおして、
「地域包括ケアシステムづくり」と「事前教育、卒後教育」を中心とした報告と討議がなされ、医療ソー
シャルワーカーとして多くの学びを得、地域ケアを支える多職種との交流を深めることができました。次回、鹿児島大会
も盛会に開催されますよう、地元県協会をはじめ会員の皆様のご協力をお願いいたします。
「生活保護行政と医療ソーシャルワーク」研修案内
社会活動部長 葛田 衣重
シリーズ7回目となる今回は、改正生活保護法と生活困窮者自立支援法を学び、同事業の実践からソーシャルワークの
課題を検討することをねらいとし、2016 年1月 31 日(日)千葉市に於いて千葉県福祉3団体(千葉県医療社会事業
協会、千葉県社会福祉士会、千葉県精神保健福祉士会)の共催をいただき開催します。
内容は、法政大学布川教授による生活困窮者自立支援法の制度的特徴、実施状況、生活保護の課題についての講義、支
援事業担当者の実践報告、グループワークによる課題の検討としました。グループワークでは、医療、精神障害領域、地
域での実際を共有し、支援の課題を多角的に検討し行動宣言に至れるよう、実行委員会で検討中です。詳細と申込は当協
会ホームページをご覧下さい。皆様の参加をお待ちいたします。
認定事業部
『認定医療社会福祉士』の更新要件が変更されました!
認定事業部担当理事 野口 百香
現在、第6期申請者の受付を行っている『認定医療社会福祉士(当協会認定)
』ですが、昨年度までに 384 名の皆
さんに認定証を交付することができました。一方、早くも5年更新の時期を迎えた第1期申請の皆さんには、更新のた
めの案内を送付しています。
『認定医療社会福祉士』を更新し続けることがソーシャルワーカーとしての研鑽と社会貢
献につながるよう、この度、更新要件を一部見直しました。
【変更された更新要件は、以下の4点です】
①更新に必要なポイントは、180 ポイント以上
⇒ 100 ポイント以上
②ポイント認定後に課されるレポート課題は、2編 ⇒1編
③ポイント基準に新項目を追加
⇒「地域活動・社会貢献」活動をポイントの対象に
④受付期間は、毎年6月1日~翌年1月 10 日
⇒毎年8月1日~翌年の1月 10 日
期間内に更新申請ができない場合は、
『更新延長の申請』を1年毎に2回まで(最長2年間)行うことができます。
この期間の認定は停止となりますが、要件を満たした時点で更新申請を行うことができます。期間を過ぎてしまった場
合は、改めて新規申請を行ってもらうこととなります。
なお、申請の要件が一部緩やかな経過措置による申請受付は、2017 年1月までとなっています。詳しくは協会
HP で確認下さい。ひとりでも多くの「認定医療社会福祉士」が誕生することを願っています。
8
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
調査研究部
調査研究部長 岡村 紀宏
人生の最終段階における意思決定支援研修会
厚生労働省では平成 26、27 年度、患者の意思を尊重した人生の最終段階における医療を実現するための適切な体
制のあり方を検証するために
「人生の最終段階における医療体制整備事業」を実施しています。本事業では医療ケアチー
ムで患者の意思決定に対する相談に対応することとされ、医療ソーシャルワーカーへの期待が高まっています。
そこで、日々、現場の医療ソーシャルワーカーが行っている「人生の最終段階における意思決定支援」を更に深く理
解していただくことを目的に、東京会場(平成 28 年1月 30、31 日)、愛知会場(平成 28 年3月 5、6 日)の2ヶ
所で研修会を開催することにいたしました。
研修内容は、厚生労働省「人生の最終段階における医療体制整備事業」における相談員研修会のプログラムを参考に
構成いたしました。ホームページにて募集案内を開始しております。多くの方の参加をお待ちしております。
なお、今年度の厚生労働省の事業は全国5医療機関が採択を受け、取り組んでいます。厚生労働省ホームページ「患
者の意思を尊重した人生のおける医療体制について」をご確認ください。
http://www. mhlw. go. jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/
地域包括ケア病棟・病床における在宅復帰支援担当者の実態調査報告
前回の診療報酬改定により新設された「地域包括ケア病棟・病床」における在宅復帰支援担当者の実態把握を目的に
平成 27 年4月に全国の「地域包括ケア病棟・病床」を届け出ている医療機関を対象に調査を行いました。在宅復帰支
援担当者が「社会福祉士」であることで、地域から入院・退院が円滑に行えている、地域での連携活動が積極的に行わ
れているなどの効果性が推察されました。本調査結果は次回診療報酬改定の要望事項として要望書に記載したほか、9
月に開催された第 25 回日本医療社会福祉学会の演題発表(報告者:山﨑まどか理事− JCHO 新宿メディカルセンター)
で報告しました。診療報酬改定の要望内容は当協会ホームページ(協会各部・調査研究部)にも掲載しておりますので、
ご確認ください。
次年度は診療報酬改定です。今回も全国数ヶ所で説明会を開催いたします。決まり次第、お知らせいたします。
組織運営部
第 64 回全国大会(新潟大会)
会員企画の募集について
組織運営部長 木川 幸一
全国大会では、会員の皆さんが大会運営への参画、会員自身のアイデンティティづくりとなるような自主的な活動に
対して、会場提供を支援し応援します。支援対象活動としては、教育交流活動、研究活動、地域貢献活動、ボランティ
ア活動などです。採用件数は、2件程度の予定です。
応募できるのは、日本医療社会福祉協会の会員です。応募希望の際は、日本医療社会福祉協会事務局へメールでお問
い合わいただき、送付します応募用紙を提出してください。全国大会担当チーム内で総合的に評価し、採択を決定しま
す。
応募期間は、2015 年 10 月1日~ 11 月 20 日までです。
会員の皆さん、たくさんの応募をお待ちしています。
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(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
事務局
事務局からのお知らせ
事務局長 中川 功
◇理事会報告
ホームページに掲載しますので、ご覧ください。
◇会員数について
正会員 5,025名 賛助会員
(個人)
199名 賛助会員
(団体)
24団体 合計 5,248 (2015年10月15日現在)
◇事務局からのお願い
・12 月 29 日(火)~1月3日(日)まで協会事務局は、年末年始休業となりますので、ご了承ください。
・会員の皆様のうち、氏名、所属(退職を含む)
、連絡先等が変更になった方は、至急事務局に変更届をご提出ください。
変更届はホームページに「会員情報変更届」
(PDF)を添付しております。
< マイナンバー制度開始に伴うご協力のお願い >
社会保障・税制度の効率性・透明性を高めいわゆるマイナンバー制度がスタートしました。
これに伴い今後当協会では、研修の講師、執筆者など謝金や原稿料をお支払いする関係者の皆様には、支払調票の作
成などを行うためにマイナンバー(個人番号)および本人確認書類の提供をお願いいたします。
つきましては、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
なお、重要な個人情報であるマイナンバーの収集・保管・利用に当たっては、一層安全確保に努めてまいります。
研修部
2015 年度 ソーシャルワーク スキルアップ研修「面接技術~ソリューション・フォーカスト・アプローチ~」に参加して
東京医科歯科大学医学部附属病院 阿部 靖子
本研修は、3回に渡って東海大学 菱川愛准教授より講義および面接技術を学んだ。また、全ての研修に先輩 MSW
も出席され、事例に沿ってソリューション・フォーカスト・アプローチ(以下 SFA)の使い方、ライフモデルに沿っ
た質問をロールプレイから考える等、実用性の高い研修であった。
今までの私はケースに対しどのような問題があるのかを探り、どう改善したら良いのかを意識したばかりに、クライ
エントの持つ強みやこれまでの努力を見出そうとしていなかったのではないかと感じるきっかけとなった。またクライ
エントに沿った SFA の質問を考えたことも、私の中でこれまでにはない新たな視点を得ることにつながった。更に短
期間で情報を集めるための的確な質問を同じ研修生から得られたことは非常に有意義な時間だった。
今回の研修を通じて、ライフモデルに沿った面接技術を習得し、よりクライエント主体の援助を心がけたいと感じた
とともに、医療機関の組織の一員としてクライエントの問題解決に専門性をもって励んでいきたい。
横浜市立市民病院 妹尾 静香
私は MSW 経験5年目で、現職場では2年目となります。新人の頃から面接技術は、OJT の中で先輩の背中をみて
学んできました。後輩指導を行う経験年数になり、自分の支援の根拠を言語化して伝えられるのか、意図をもった言動
ができているのか、自信がありませんでした。正直日々の業務に追われ休日は休みたい思いもありましたが、現状から
一歩踏み出すきっかけになればと思い、研修に参加をすることにしました。
研修では、クライエントの自信、習熟、価値を知ることで、クライエントと一人の人間として向き合えること、そこ
から MSW の個別的な支援につながっていくこと、これまでと違った角度からクライエントをみるという視点を得る
ことができました。
今までの経験だけでも面接を行うことはできるかもしれませんが、今回 Off-JT として3日間の講義を受け、
“専門職”
の MSW として一歩進んだ「クライエントのための面接」を行うことができると感じています。
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(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
順次受付開始!プログラムは、ホームページでご確認ください。
11月1日から会員システムサイトより研修申込をすると、入力項目が軽減されるようになります。
この機会に会員システムサイトをご活用ください。
ソーシャルワーカーとコミュニティデザイン
【開 催 日】2016年2月7日(日)10:00~16:30
【会 場】京都リサーチパーク西地区(京都府京都市下京区中堂寺粟田町93)
【対 象 者】実務経験3年以上の現任の保健医療分野のソーシャルワーカーが望ましい。
【募集人数】50名
【受 講 費】正会員・賛助会員(個人)7,000円 賛助会員(団体)・非会員14,000円
【申込受付】2015年10月19日(月)~11月27日(金)先着順で定員になり次第締め切ります
医療ソーシャルワーカー基幹研修I【兵庫会場】
(第73回医療ソーシャルワーカー初任者講習会)
【開 催 日】2016年2月10日(水)~2月14日(日)
【会 場】スペースアルファ三宮(兵庫県神戸市中央区三宮町1−9−1)
【受講資格】現に保健医療分野のソーシャルワーカーとして従事する者であって、
2016年3月末現在において実務経験3年未満の者。
【募集人数】100名
【受 講 費】正会員・賛助会員(個人)38,000円 賛助会員(団体)・非会員58,000円
【申込期間】2015年10月12日(月)~11月20日(金)
NICU 入院児ソーシャルワーク研修
【開 催 日】2016月2月27日(土)~2月28(日)
【会 場】KFC Hall 2nd(東京都墨田区横網1丁目6番1号)
【対 象 者】周産期・新生児医療施設を有する病院で勤務するソーシャルワーカー。
【募集人数】40名
【受 講 費】正会員・賛助会員(個人)14,000円 賛助会員(団体)・非会員28,000円
【申込受付】2015年11月2日(月)~12月11日(金)先着順で定員になり次第締め切ります
医療ソーシャルワーカー基幹研修Ⅱ【大阪会場】
【開 催 日】2016年3月19日(土)~3月21日(月)
【会 場】新大阪丸ビル別館(大阪府大阪市淀川区東中島1丁目18番22号)
【対 象 者】保健医療分野のソーシャルワーカーの実務経験3年以上の現任者。
【募集人数】70名
【受 講 費】正会員・賛助会員(個人)25,000円 賛助会員(団体)・非会員45,000円
【申込受付】2015年11月30日(月)~2016年1月8日(金)先着順で定員になり次第締め切ります
研修講師のためのセミナー
【開 催 日】2016年3月27日(日)10:00~16:30
【会 場】KFC Rooms(東京都墨田区横網1丁目6番1号)
【対 象 者】保健医療分野のソーシャルワーカーの現任者・または教育的立場にある方。
※2011年・2012年度の研修講師のためのセミナー受講者は対象外です
【募集人数】50名
【受 講 費】正会員・賛助会員(個人)7,000円 賛助会員(団体)・非会員14,000円
【申込受付】2015年12月7日(月)~2016年1月15日(金)先着順で定員になり次第締め切ります
当協会ホームページの研修情報、または研修スケジュールの受講申込書フォームに必要事項をご記入の
研修の申込方法 上、お申込みください。
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(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H27-3 2015.10.31
あなたに贈るこの
あなたに贈るこの1
1冊
冊②
②
古川 孝順,岩崎 晋也,稲沢 公一,児島 亜紀子/著
『援助するということ─社会福祉実践を支える価値規範を問う』
(有斐閣)
国立病院機構まつもと医療センター中信松本病院 植竹 日奈
気づくと病院を職場にして30年目になりました。いろいろ悩んだなあ。辞めようと思ったことなんて何回ある
かわからないほど。でも、たくさんの笑顔も思い出します。「援助するということ」が何かわからなくなってい
た時に出会ったこの本は混沌とした毎日の中で何度も自分の中に浮かんでは解決できない問いをほどくための確
かな手ごたえをくれました。本の初版の帯には、「なぜ、目の前にいる人を援助しなければならないのか?」「な
ぜ、利用者の自己決定を尊重しなければならないのか?」「なぜ、特定のニーズだけを支援するのだろうか?」
そんな言葉が書かれています。
「序」において岩崎普也氏は「こうした問いには絶対的な答えはない。なぜなら
いずれも、この社会をどうとらえるのかという社会観や、人間を人間たらしめている価値は何かといった人間観
によってその答えは変わるからである」とします。そして「そもそも社会福祉学は、問題を認識し、認識した生
活問題を解決するためのものであると述べたのは岡村重夫であった。まず問題を認識するためには何らかの価値
規範に照らしてそれを問題ととらえなければならない」と続いています。
わたしたちソーシャルワーカーが何を、なぜ、援助するのか。実はその問いには答えはないけれど、ないから
こそ、クライエントと共に悩み、歩き続けていくんだよ。私にはそんなふうに聞こえました。この本を、長い旅
を続けていく理由と勇気をくれるそんな一冊としてご紹介したいと思い
ます。
【目次】
序 なぜ援助するのか=岩崎晋也
第1章 社会福祉援助の価値規範──社会と個人の交錯するところ=古
川孝順
第2章 なぜ「自立」社会は援助を必要とするのか──援助機能の正当
性=岩崎晋也
第3章 援助者は「友人」たりうるのか──援助関係の非対称性=稲沢
公一
第4章 誰が「自己決定」するのか──援助者の責任と迷い=児島亜紀子
2002年06月発行
(2,200円+税)
このコーナーでは、ソーシャルワークの専門書として、また関係職種や一般市民にソーシャルワークを語るときに役立つ書籍
を紹介します。執筆はリレー方式で紹介いただく予定です。
全国の会員の皆さんの心にフィットする1冊が見つかれば幸いです。
発行/お問い合わせ
公益社団法人
日本医療社会福祉協会
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-20 四谷ヂンゴビル2F
TEL:03-5366-1057 FAX:03-5366-1058 E-mail:[email protected] URL:http://www.jaswhs.or.jp/
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