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協会ニュースH25-4 2014.2.28

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協会ニュースH25-4 2014.2.28
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
NEWS
(公社)日本医療
社会福祉協会ニュース
IATION OF SOCIAL WORKERS IN HEALT
H SERV
SE ASSOC
E
N
A
P
ICES
A
THE J
No.H25-4 2014.2.28
Topics 「ソーシャルワーカーが学び続ける環境を」
副会長 林 真紀
2013年11月30日、東京都内にお
ソーシャルワーカー1年目、当協
今、ミクロレベルのソーシャル
い て、 協 会 設 立60周 年 記 念 講 演
会の医療ソーシャルワーカー初任
ワーク実践を根底に、メゾ、マク
会・報告会が開催され、厚生労働
者講座を受講した時、そして2年
ロレベルの実践が求められていま
省 原徳壽医政局長を始め、関係
目、厚生省主催医療ソーシャル
す。ソーシャルワーカーの成長の
団体、歴代会長の皆様、会員の皆
ワーカー初任者講習会(現在の基
支えになり、且つ、質の担保に研
様など多数のご出席をいただき、
幹研修Ⅰ)を受講した時、どちら
修はとても重要です。2011年に付
盛会に終わりました。今日までの
でも、講師を担うソーシャルワー
与を開始した当協会の認定医療社
道のりを支えてこられた歴代の会
カーの大先輩から、この言葉を頂
会福祉士制度では、第3期まで
長の皆様の前で、
「生涯研修制度
きました。クライアントやその周
289名の認定医療社会福祉士が誕
の歩み」を報告するにあたり、協
囲の人々の大事な時間に関わる重
生しました。認定医療社会福祉士
会に課された使命、現任研修の持
み、多職種から寄せられるソー
制度は、全国研修のみが対象では
つ意味を改めて実感いたしまし
シャルワークへの期待、それが大
なく、都道府県協会の研修等も対
た。
きな重圧であっても、研修で学
象になります。
「給料の一割を出して学ぶ」
CONTENTS
Topics
「ソーシャルワーカーが学び続ける環境を」 1
「アルコール健康障害対策基本法」の
成立と医療ソーシャルワーカーへの期待 2
厚生労働省の政策について
~「一部改正」情報に注目!!~
3
2014年度全国大会のご案内③
4
都道府県協会からのメッセージ㉕
5
会員リレー⑱
6
患者の権利オンブズマン東京を紹介します 7
各部・各担当チーム活動報告
研修インフォメーション
び、研修を共にしたソーシャル
「給料の一割を出して学ぶ」決
ワーカーと繋がり、凌ぎ応えよう
して容易なことではありません
とする力を得るのではないかと思
が、保健医療分野のソーシャル
います。
ワーカーを対象とした生涯研修制
一方で、雇用形態の多様化や、
度を、自身の研鑽に、そして積み
多忙を極める現場から、参加費の
上げた実績を自身の糧としてご活
負担、業務の調整に努力している
用ください。2016年度までが経過
会員の声も聴きます。当協会では
措置期間です。申請手続きの詳細
ソーシャルワーカーが研修に出や
をホームページでご確認のうえ、
すいよう、毎年4月「研修要綱の
沢山のソーシャルワーカーに活用
ご案内」を、全国の医療機関や老
されることを期待しております。
人保健施設に送付し、研修への参
8
加を啓発し、また、チーム医療推
11
進協議会等関連団体との活動で
インドネシア災害ワークショップを開催して 12
は、ソーシャルワーカーが学ぶ環
境維持への理解と協力を、これか
らも求めていきます。
1
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2013.2.28
「アルコール健康障害対策基本法」の成立と
医療ソーシャルワーカーへの期待
アルコール健康障害対策基本法推進ネットワーク幹事 稗田 里香
アルコール依存症患者さんの多くは、飲酒によって自らの健康や生活を脅かされている原因がアルコール依
存症という病であることを知るのに、数年から数十年かかっています。この長い患いの間、健康、仕事、家族、
地位、名誉、プライドなどを失い、人生のどん底を嫌というほど経験します。生きていくことすらも危うくな
るところまで追いつめられ、ようやくアルコール専門治療・支援の存在を知ります。「底つき体験」と呼ばれ
るこの体験は、患いの経験者やその家族、関係者と医療者・支援者との間では回復へ向う重要な契機になると
認識され、この体験なくしては回復できないとさえ言われています。しかし、「底つき体験」は、大きな代償
が伴います。例えば、深刻な合併症、家族離散、失業、多重債務など、「もうこれ以上失うものは無い。ある
とすれば、命だけ」という崖っぷちの状態です。ここまでくると、いくらアルコール依存症という病を知り、
治療や支援を受ける機会を得たとしても、社会復帰に困難が伴い、中には命を失うという悲惨な結果に至るこ
とも、残念ながら決して珍しいことではありません。さらに深刻なのは、アルコール依存症とは知らず治療や
支援の機会を得ることなく命を落とす人々が、回復している人々の数をはるかに上回っているという現実です。
アルコール依存症から回復しているご本人やご家族は、「もっと早く、アルコール依存症と知っていれば」
と口をそろえて訴えます。
この訴えに何とか応えたい。その重要な鍵を、一般医療機関が握っているということは余り知られたことで
はありません。
「アルコール依存症はアルコール専門病院で」という認識が定着していますが、実は、多くの
アルコール依存症患者さんが、専門病院にたどり着く前に、幾度となく一般医療機関の受診を経験していま
す。ただし、アルコール依存症を根本的に治すのではなく、飲酒に起因する臓器障害の治療を目的としている
ため、結果的には、臓器障害が回復すればまた飲酒が始まり臓器障害が再び悪化して治療を受け、再び飲酒す
る悪循環を繰返し、ライフ(life:生活や命)が脅されることとなります。
このような実態から、一般医療機関のソーシャルワーカーに対して、大きな期待が寄せられています。
一般医療機関に、アルコール依存症の早期発見、早期治療・支援(初期介入)システムを機能させることに
よって、アルコール依存症の悪化を防ぎ、アルコール関連問題の発生を予防し、社会的費用の損失を減らすこ
とに貢献しうるという期待です。
さらに、その期待に応えるための強い見方として、「アルコール健康障害対策基本法」が、昨年12月に成立
しました。条文には、
「医師その他の医療関係者は、国及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策
に協力し、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止に寄与するよう努めるとともに、アルコール健康
障害に係る良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない(第八条)」と、「医療従事者の責務」が明記
されました。
我が国のアルコール医療・支援の歴史上に残る「アルコール健康障害対策基本法」の成立に向け組織された
「アルコール健康障害対策基本法推進ネットワーク(アル法ネット)」には、当事者やご家族の方々をはじめ、
数多くの職能団体、学会、議員の方々等のご賛同とお力添えを頂きました。とりわけ、日本医療社会福祉協会
がいち早く賛同団体に名乗りを上げてくださったことは、ソーシャル・アクションを行う上で、大きな励みと
なりました。この場をお借りして、心よりお礼を申し上げます。
内閣府には、すでに「アルコール健康障害対策推進準備室」が立ち上がり、平成26年度の本格稼働に向けた
政府のアルコール健康障害対策関係者会議の構成員候補に、日本医療社会福祉協会が推薦されています。会員
の皆様には、引き続きご協力、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
なお、法律の詳細情報は、「アル法ネット」のホームページ(http://alhonet.jp/)をご覧ください。
2
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
厚生労働省の政策について〜「一部改正」情報に注目!
!〜
業務執行理事 木川 幸一
1.がん診療連携拠点病院の整備に関する指針の一部改正について
このことについて、標記指針の一部改正が行われた旨、厚生労働省から、都道府県へ通知がありましたの
で、お知らせします。
なお、この度の改正により、既指定の拠点病院に係る指定期間は、一律に平成27年3月末までとなることに
留意されるとともに、次回指定更新に際しては、この度の改正に係る指定要件について、それぞれ適切な時期
までに充足することが必要となりますので、院内体制の整備等に遺漏のないよう配慮願います。
新たながん診療提供体制の概要として、現行の課題と対応案が示されました。主なものとして①拠点病院間
の格差の存在に対して、人材配置要件、診療実績要件等の強化、相談支援体制の充実によるさらなる質の向上
及び一定の集約化、②拠点病院未設置の空白の2次医療圏の存在に対して、緩和ケア、相談支援及び地域連携
等の基本的がん診療を確保した地域がん診療病院の新設、③特定のがん種に特化した診療を行う病院の存在に
対して、特定のがん種に対し高い診療実績を持ち、都道府県内で拠点的役割を果たす特定領域がん診療連携拠
点病院の新設、④がん診療提供体制に関する PDCA 体制の構築に対して、国立がん研究センター、都道府県
拠点病院による各拠点病院への実地調査等や各拠点病院での院内の PDCA サイクルの確保(患者 QOL 把握・
評価等による組織的改善と実施状況の報告・広報体制の整備等)としている。
新指針による相談員に関する要件の変更については、地域がん診療連携拠点病院では相談員研修・基礎(1)
~(3)を修了した専従及び専任の相談支援に携わる者をそれぞれ1人ずつ配置、相談支援センターの業務と
して就労に関する相談(産業保健等の分野との効果的な連携による提供が望ましい)、医療関係者と患者会等
が共同で運営するサポートグループ活動や患者サロンの定期開催等の患者活動に対する支援、相談支援セン
ターの広報・周知活動、相談支援に携わる者に対する教育と支援サービス向上に向けた取組が新たに加わりま
した。都道府県拠点病院に関しては、相談支援機能強化に向けた要件として①相談支援業務として、都道府県
内の医療機関で実施されるがんに関する臨床試験について情報提供を行うとともに、稀少がんに関しては適切
な相談を行うことができる医療機関への紹介を含め、相談支援を行うことが望ましい。②相談支援に携わる者
のうち、原則として少なくとも1人以上は相談員指導者研修を修了していること。③地域拠点病院、特定領域
拠点病院、地域がん診療病院の相談支援に携わる者に対する継続的かつ系統的な研修を行うこと。
2.心臓機能障害(ペースメーカ等植え込み者)及び肢体不自由(人工関節等置換者)の認定基準の見直しに
ついて
このことについて、標記認定基準の見直しが行われた旨、厚生労働省ホームページに情報が掲載されていま
す。当協会ホームページでご確認ください。
心機能障害の障害認定においては、ペースメーカ、体内植え込み型除細動器(ICD)等(以下「ペースメー
カ等」という。
)を植え込んだ方については、一律1級としてきたとこと、また、肢体不自由の障害認定にお
いては、人工関節、人工骨頭(以下「人工関節等」という。)を置換された方については、股関節・膝関節は
一律4級、足関節は一律5級としてきたが、平成26年4月から関係通知の改正等が行われます。
3
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
2014 年度全国大会のご案内③
第62回 公益社団法人日本医療社会福祉協会全国大会
第62回 公益社団法人日本医療社会福祉協会全国大会
第34回 日本医療社会事業学会
第34回 日本医療社会事業学会
茨城県ソーシャルワーカー協会30周年記念事業
2014
5
22 24
(木)
(土)
もう一度見つめよう私たちの存在
もう一度見つめよう私たちの存在
∼いのち(生命・生活・人生)に寄り添うソーシャルワーカー∼
∼いのち(生命・生活・人生)に寄り添うソーシャルワーカー∼
会場:日立シビックセンター(日立市)
会場:日立シビックセンター(日立市)
いよいよ全国大会の開催が迫って参りました。
開催まで残すところ約3ヶ月となり、実行委員、県協会会員全
力をあげて準備に取り組んでおります。細かい内容は現在詰めて
いるところですが、1日目は総会、2日目には基調講演、日本協
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会企画災害対策チームシンポジウム、茨城県協会企画シンポジウ
ム、記念講演、交流会を開催し、3日目には厚労省教育講演、分
科会、日本協会企画、茨城県協会30周年記念講演など盛り沢山の
内容となっております。
今回は、開催地である茨城県の魅力をご紹介させていただきま
す。
まず、会場となっている日立市には日立かみね公園がありま
す。県内唯一の動物園もあり、動物達に癒されながら太平洋の大海原を眺めるこ
とができ、お隣にはファミリーで楽しめる遊園地もあります。会場である日立シ
ビックセンターでは科学とプラネタリウムをぜひ体験して下さい。
大会時期である5月の国営ひたち海浜公園では、400万本のネモフィラが咲き
誇ります。金沢の兼六園、岡山の後楽園と並ぶ日本三名園のひとつ偕楽園。日本
三名瀑に数えられる袋田の滝等々。
茨城ならではの魅力が沢山ありますので、ぜひ足をお運びいただき、実際に感
じて頂ければと思います。そして、今回の大会が実りある学びの機会となります
よう実行委員一同邁進して参ります。
たくさんの方々のご参加を心よりお待ちしております。
偕楽園(水戸市)
袋田の滝(大子町)
国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)
4
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
都道府県協会からの
富山県医療ソーシャルワーカー協会からのメッセージ
富山県医療ソーシャルワーカー協会 副会長 袴谷 敏実
【活動状況】
【設立は?】
51年の間にわたり、富山県民の福祉の向上を目的
○昭和37(1962)年5月11日
にその活動を行ってきました。
○富山県医療社会事業協会として発足
○県内7医療機関の医療ソーシャルワーカーが集ま
この間、社会福祉士法や精神保健福祉士法の成
り県内から80名強の関係者が参集し設立総会が開
立、介護支援専門員の成立など資格制度の波にもま
催されたと聞いています。
れてきましたが、県内で「ソーシャルワーク」を展
【名称変更へ→】
開していく団体としての使命を果たしてきたと考え
ます。
昭和58(1983)年5月27日の定期総会にて「富山
主な活動としては
県医療ソーシャルワーカー協会」と名称変更されま
・定期総会(6月第1週に開催)
した。
・定例研修会(各月に開催)
名称変更の理由として、医療ソーシャルワーカー
・ 保健医療福祉連携研修会(富山県からの委託事
の「専門性」を強く意識し、その考え方を名称に示
業)(11月頃に開催)
したと聞き及んでいます。 ・社会福祉士会・精神保健福祉士会との3団体合同
私が入会した頃の記憶では、
「専門性」という言
研修の開催(2月ころ開催)
葉がしきりと理事会の場面で話されていたように思
・石川県医療ソーシャルワーカー協会との合同研修
います。
【会員数】
会の開催(2から3月頃開催)
・広報(協会ニュース、MSW とやまの発行)
会員数は設立当初の7名から、私が加入した昭和
・概ね5年毎に「保健医療福祉のハンドブック」の
63(1988)年ころに約40名へ。近年は190名前後で
編 集・ 発 行 を 行 っ て い ま す。( ※1990年 創 刊、
推移しています。
2009年度 第4版発行)
【課題と展望】
①会員数は増加したものの、協会活動への参加率が
高まらない。
②研修の体系化が図れていない。
③対外的な役割が増えた。一方で財政基盤が弱い。
そして組織的な対応が困難。
以上、課題ばかりの団体ですが、51年間の歴史を
振り返り、日本協会や会長会から刺激をうまく活用
して、「きときとな」協会活動を行っていきます。
【会費】
(※きときと 富山弁で「いきいきとした」といっ
た意味)
入会金 2,000円
個人会費 3,000円、賛助会費 6,000円
年度予算 おおよそ1,500,000円
5
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
会 員 リ レ ー 18
●公立 八鹿病院の紹介●
地域医療課 医療ソーシャルワーカー 森本 千恵
当院は、兵庫県の北部(養父市)にある中核病院です。高齢化率が32.2%と高く、一人暮らしや老人世帯
が多く、交通が不便な山間部で冬には降雪に見舞われる地域です。一般病床358床(回リハ50床・障害者病
床38床、緩和ケア20床)
、療養病棟55床、結核病床7床のケア MIX 病院であり、介護老人保健施設、訪問
看護ステーション、居宅介護支援事業所、看護学校と関連施設も兼ね揃え、検診バスや人間ドッグ等の実施、
薬剤師、栄養士、歯科衛生士、音楽療法士などが在宅への訪問も行っており、予防から在宅ケア・教育に至
るまでの総合的地域医療を担っています。“地域に
暮らす人々と共に、心あたたかな医療を進めたい”
S21年病院開設以来、大切にしてきた心です。そ
の心で多くの職種が一丸となり、一つの病気一人
の患者に対応できる体制を育んできました。
SW は現在、病院に5名(回リハ1名)
、老健に
2名の体制で、院内連携はもちろんの事、院外連
携においても、医師会やケアマネジャーとの会議
などにも積極的に参加し、
「顔が見える連携」が
できるよう励んでいます。当院の多機能を有効に
活用した支援体制が地域住民の安心につながるよ
う、SW はチームの一員として役割を果たし、必
要とされる SW を目指し1事例1事例を大事に
し、日々研鑽していきたいと思っています。
●国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター●
地域医療連携室 田部 佳子
当院は、戦前に戦艦大和が建造された町として有名な、広島県呉市にあります。救命救急センター、母子
医療センター、緩和ケア病棟、精神科病棟等を持つ35診療科、630床の高度総合医療施設で、地域がん診療
連携拠点病院の指定も受けています。現在、ソーシャルワーカー(以下 SW)は7名在籍しています。
退院支援については、電子カルテのスクリーニングシステムを利用した退院支援カンファレンスを全病棟
で行っています。高齢化率が約30%と高い当地域では、退院直後の安心をどう確保するかに日々格闘してい
ますが、これは地域全体の医療と介護の課題であると感じています。近隣には SW のいない療養型病院も多
いため、転院後の生活支援体制についても当院入院中
に相談し、具体的な見通しを立てた上で転院ができる
よう、3次救急病院の限られた入院期間の中で支援し
ています。また、HIV カンファレンスや虐待対策委員
会を医師の協力を得て立ち上げ、チーム医療の充実に
も取り組んでいます。今後も、難病やがん、その他様々
な療養に伴う困難さを抱える方々の課題に向き合って
いきたいと思います。
なお、相談記録は、平成16年以来 SW 独自の記録
システムの充実に努めてきましたが、平成23年に、
電子カルテの部門システムに発展させ、ケース管理や
業務統計の作成に活用しています。
6
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
患者の権利オンブズマン東京を紹介します
監事 木下 正一郎
前に「患者の権利法をつくる会」を紹介しましたが、同じく総会議案書にある「患者の権利オンブズマン」
も???ですよね。今回は私が関わっている「患者の権利オンブズマン東京」を中心に説明・紹介します。
●患者の権利オンブズマン東京とは
患者の権利オンブズマン東京(以下、本会といいます。)は、「苦情から学ぶ医療をめざして」を標語に、
患者の自立的な行動によって患者の権利の促進をはかるとともに医療・福祉システムの改善と質の向上をはか
ることを目的として2002年12月15日に発足した、ボランティアの市民団体です。
このような活動は、NPO 法人患者の権利オンブズマンが福岡で活動を開始し、大分、熊本でも相談室を設
置して活動しています。
2004年には患者の権利オンブズマン関西が発足し、各地に活動の範囲を広げています。
●相談・同行支援事業
本会は、患者・家族の苦情が医療機関等との誠意ある対話により迅速・適正に解決されるように、患者自
身の自立的な行動を支援しています。重要な支援活動が相談事業と同行支援事業です。
本会の相談では、医療・福祉を利用して患者・家族が不満を持つに至った苦情を広く相談対象としていま
す。説明や診療記録の開示に応じてくれないとか、こういうことをしてほしかったのにしてくれない、事前に
説明されていた結果と違う等、苦情は様々です。
相談は、1回40分、すべて無料で面談形式で行います。事前に電話予約をしていただきます(3月より毎
月第2、第4木曜日13~15時、080−7700−1626で受付)。相談は研修を受けたボランティア(市民相談員2名
と弁護士の法律専門相談員(弁護士)
)が担当します。助言としては、患者・家族自身が苦情の解決に向けて
行動ができるよう、どういう行動をとれば良いか、事案に応じてできるだけ具体的な行動の仕方を提示します。
同行支援は、相談者が医療機関等に説明を求める場合、相談員が同行して話し合いの席に同席するという
支援です。医療機関等との直接の対話にもとづき、問題を適正に解決されるように側面から支援するものです。
●調査点検事業
本会は患者・家族の苦情について調査点検も行っています。調査点検とは、患者の苦情についてオンブズ
マンが中立公正な第三者として患者の権利という観点から理由があるかを調査判断したうえで、その調査結果
から医療の質の向上を図るために相手方医療機関に改善を求める点があればこれを勧告するという活動です。
本会では、これまでに4件の苦情調査活動を実施しています。
● MSW の皆さんの支援を(毎度同じ言葉で締めくくっていますが)
そのほか本会では、ニュースレター「医療と人権」を2か月に1回発行して会員に配布し、患者の権利促進、
医療全般に関わるタイムリーな記事を紹介するようにしています。
このような活動をしている団体ですので、医療機関等で相談担当等にあたっている MSW の皆さんと共通
する活動も多いと考えます。ですので、皆さんには相談員等で本会の活動に参加いただけると、本会にとって
はもちろんですが、皆さんが日常業務を遂行する上でも有益ではないかと考えています。
また、本会はボランティアの任意団体ですので、財政は会員の方々の会費によって支えられています。で
すので、団体あるいは個人として本会の会員になっていただき本会を支えていただければうれしい限りです。
患者の権利オンブズマン東京のホームページ http://kanjakenri. com/
7
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
各
部・
各担当チーム活動
報 告
社会活動部
研修報告 [第3回医療機関と生活保護シンポジウム]開催 in 名古屋
今回は、
「生活保護政策と医療ソーシャルワーク」をテーマに、平成 26 年
社会活動部理事 長谷川 敦
1月 26 日(日)午後、
愛知県名古屋市の総合上飯田第一病院にて開催しました。
参加者は 40 名で、シンポジストには NPO 法人朝日訴訟の会理事朝日健二氏、
名古屋市南区社会福祉事務所小池直人氏、総合上飯田第一病院総合支援セン
ター課長権田吉儀氏をお迎えし、それぞれの立場から生活保護制度との関わり
と、医療ソーシャルワークについての提言をいただきました。
講演の中で、朝日氏からは、あらためて朝日訴訟[人間裁判]詳細と東京裁
判の判決、憲法第 25 条生存権とは「人間に値する生活の保証」であることな
どをふまえ、近年の保護基準の動向や、保護基準引き下げに関して、相談者に寄り添う MSW の機転が国を動かした
例などをお話しいただきました。小池氏からは、
「福祉事務所から見た医療現場」と言うことで実践現場の実情をお話
いただきましたが、現在の福祉事務所→福祉のない(社会福祉の専門性がない)事務所等のお話しが印象的でした。最
後に、権田氏より、生活困窮者自立支援法・生活保護法改正案について説明があり、私達医療ソーシャルワーカーが実
践現場の中で視点がぶれないようにとの提言をいただきました。会場とのデイスカッションにおいては、どうすれば担
当区域ワーカーと上手く連携ができるか等の質問があり、シンポジストより、粘り強く数回に分けてのアプローチも重
要との意見がありました。社会活動部では、今後も生活保護に関するテーマを取り上げまいります。
次回は5月 23 日・24 日の全国大会(茨城県日立大会)において開催予定で、現在、内容を検討しております。ご
参加くださった方々と共に作り上げるプログラムにできればと考えておりますので、皆様の多くのご参加をお待ちして
おります。
総務部
総務部長 飯島 望
1. 平成 26 年度『医療と福祉』投稿論文のご案内
いつも『医療と福祉』につきまして、論文を投稿いただきありがとうございます。平成 26 年度における投稿等の概
要が決まりましたのでご案内致します。是非、未投稿の実践や研究を投稿いただきますよう、お待ちしております。尚、
募集内容等の詳細は協会ホームページ「医療と福祉」をご確認頂き、不明な点がございましたら協会事務局までお問い
合わせください。
①投稿募集期間
第1回 2014 年3月1日(土)~4月 30 日(水)、第2回 2014 年8月1日(金)〜9月 30 日(火)
2. 協会ホームページについて
①協会ホームページに検索機能を付けました。
協会の情報をいち早くご確認いただける様、インターネットソフトのホームに協会ホームページを設定できるよう
にしました。(方法は、インターネットオプションで http://www.jaswhs.or.jp/ と入力し、ホーム画面に設定する
事ができます。
)
②会員マップの更新を行っております。
8
(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
調査研究部
調査研究部理事 篠原 純史
調査研究部では、平成 26 年度の診療報酬改定に向けて、会員の皆様への調査をはじめ、各チーム(在宅拠点、救急、
急性期、がん診療連携拠点、回復期リハビリ、介護(老健)
)を中心に検討を重ね、診療報酬改定に関する要望書につ
いて取り纏めました。平成 25 年7月 23 日、厚生労働省へ提出した要望内容については、ホームページの左側「政策・
提言」をご確認下さい。
また、平成 26 年度の診療報酬改定に係る個別改訂項目にて新設予定である「地域包括ケア病棟入院料」の在宅復帰
支援担当者に、
「医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)」の明記を求める根拠資料として「亜急性期入院医療管理料届
出医療機関に対する在宅復帰支援担当者の厚生局届出職種並びに実務担当者職種の調査」を急遽実施致しました。全国
医療ソーシャルワーカー協会会長会をはじめ、会員の皆様には急な調査にもかかわらず、多大なるご協力をいただき、
ありがとうございました。
診療報酬改定後は、会員の皆様からの質問への回答や疑義解釈等の情報提供と共に、今回の要望内容と平成 26 年度
診療報酬改定内容について確認をし、平成 28 年度の診療報酬改定に向けて取り組んでまいります。
◇診療報酬説明会を開催致します。
平成 26 年度診療報酬改定を受け、4月から全国6会場で「診療報酬説明会」を開催致します。
厚生労働省の方をお招きしての説明のほか、調査研究部からも説明をさせて頂きます。
<開催地(予定)>
北海道(札幌市)
、東北(宮城県)
、関東(東京都)、東海・関西(大阪府)、四国(高知県)、九州(鹿児島県)
※その他、各都道府県協会から、説明会のご要望がありましたら、対応致しますのでお問合せください。
<問い合わせ先>
調査研究部 岡村(西岡病院 電話(代表)011 - 853 - 8322)
認定事業部
認定事業部理事 片岡 靖子
本事業部では、前回お知らせしましたように、認定社会福祉士認証・認定機構への研修認証の申請を 2013 年 10
月 31 日付で行いました。申請した研修は下記の表−1のとおりです。
表−1.認定社会福祉士認証・認定機構へ申請した研修一覧(2013 年 10 月 31 日現在)
科目区分
科目の群
科目名
単位数
研修の名称
共通専門
ソーシャルワーク
ソーシャルワーク理論系科目群Ⅰ
理論系科目Ⅰ
インテグレイティヴ・ショートターム・トリー
2単位
トメント(ISTT)/アセスメント
共通専門
実践評価・実践研究系科目群Ⅰ
実践評価・実践研究系
1単位 ソーシャルワーク研究・発表セミナー
科目Ⅰ
共通専門
対象者別科目群
対象者別科目
共通専門
ソーシャルワーク機能別科目群
地域における生活支援 1単位 退院支援専門ソーシャルワーク
共通専門
サービス管理・人材育成・経営系
人材育成系科目Ⅰ
科目群Ⅰ
1単位 NICU入院児ソーシャルワーク研修
1単位 スーパーバイザー養成認定研修
今後も本協会の研修を見直し、認証・認定機構へ申請数を増やして行く予定です。情報として、実習指導者講習会を
研修認証の対象としていくこととなり、研修の修了証の提出により単位となります。
また、スーパーバイザー登録については、28 名の本協会会員が登録されています。是非、HP でご確認ください。
(http://www.jacsw.or.jp/ninteikikou/contents/06_supervision/05_list.html)
認定医療社会福祉士(協会認定)についても、2012 年度より 2016 年度までに取得した会員は、特別研修(認定・
認証機構)の受講により、認定社会福祉士の申請が可能となります。是非、積極的に本協会の認定医療社会福祉士の申
請を行って頂きたいと思っております。
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(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
組織運営部
全国医療ソーシャルワーカー協会会長会の報告
全国医療ソーシャルワーカー協会会長会事務局として御報告致します。
組織運営部長 木川 幸一
平成 20 年に 28 協会で発足した当会長会は、新たに岐阜県ソーシャルワーカー協会の入会により平成 26 年1月
現在 44 都道府県協会と日本協会が参加し、45 協会の代表者で構成しています。
第 12 回会議についてご報告します。
日時:2013 年 12 月1日(日)9:30 〜 14:00
会場:日本教育会館 第三会議室(東京都千代田区一ツ橋2−6−2)
出席:北海道、岩手、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、石川、福井、長野、
岐阜、静岡、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、鳥取、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐
賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄、日本協会
欠席:青森、宮城、秋田、奈良、島根
議事録は当協会ホームページ内の会長会ページに掲載しております。ご覧ください。
◇フレッシュ医療ソーシャルワーカー1日研修
本年は東京、大阪と鹿児島で開催予定です。詳細決まり次第、協会ホームページに掲載いたします。
事務局
◇理事会報告
ホームページに掲載しますのでご覧ください。
◇会員数について
正会員 4,721 名 賛助会員(個人)
151 名 賛助会員(団体) 16 団体 (2014 年2月 12 日現在)
研修部
都道府県研修担当者会議のお知らせ
研修部長 林 真紀
都道府県協会研修担当者会議は、2001 年より、全国大会会期中に開催しております。各都道府県協会研修担当者
が一同にそろう貴重な機会でもあります。各都道府県協会の研修企画実務に関わる方ばかりですので、研修概要や、学
生対象の研修、SV 研修の実施状況や、研究発表支援の体制など、その年々のテーマについて各都道府県よりご意見や
ご報告をいただいており、昨年は、各都道府県研修担当者より、他の社会福祉専門職団体との研修開催状況について報
告されました。また、認定医療社会福祉士のシラバス申請や、ポイント審査、認定社会福祉士認証認定機構との関連な
どもお知らせをしております。
今年度は、茨城大会会期中 2014 年 5 月 24 日 ( 土 ) に予定しております。改めてお知らせいたしますので、都
道府県協会研修担当の皆様の出席をよろしくお願いいたします。
全国大会終了後、研修講師のためのセミナー「受講者のニーズに即したワーカー研修プログラムの組み立て方」を開
催します。研修インフォメーション をご覧いただき、ご出席ください。
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(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
研修講師のためのセミナーのご案内
全国大会後の企画です!
組織内外或いは都道府県協会等で講師を担うソーシャルワーカーを対象に、教授法やプレゼンテーション、パ
ワーポイント資料の作り方などについて学ぶセミナーを開催してきました。今年度は、
「研修プログラムの企画」
を取り上げます。企画者が意図する内容、参加者のニーズ、それらをどのように考え、プログラムを企画するか、
研修プログラム評価を専門とする講師の先生をお招きし、ニーズ評価やプログラム評価、アウトカム評価の考え
方、シラバス(研修企画書)の作り方など、学びをよりよいものにするための工夫を学びます。どうぞ奮ってご
参加ください。
テーマ:
「受講者のニーズに即したワーカー研修プログラムの組み立て方
―効果的な研修に向けたプログラム評価の理論・方法の活用―」
【プログラム】
(予定)
・プログラム評価の基礎的な考え方
・研修プログラム計画 演習 意見交換
講 師:日本社会事業大学 准教授
社会事業研究所 社会福祉先端技術開発センター 福祉プログラム評価開発ユニット ユニット長
贄川 信幸 氏
開 催 日:2014年5月25日(日)9:30~12:30
会 場:日立シビックセンター(茨城県日立市幸町1−21−1)
受講資格:保健医療分野のソーシャルワーカーの現任者。または教育的立場にある方
募集人数:50名
申込期間:2014年3月3日(月)~4月11日(金) (先着順で定員になり次第締め切ります)
なお、申込期間前の申込は一切お受けいたしませんので、ご了承ください。
受 講 費:正会員・賛助会員(個人)
3,000円 賛助会員(団体)・非会員 6,000円
ソーシャルワーク スキルアップ研修
「面接技術~ソリューション・フォーカスト・アプローチ~」
ますます増大するソーシャルワーク業務の中であっても、「面接」技術のスキルアップはソーシャルワーカーに
とって重要課題であることは誰もが認めるところと考えられます。
ブリーフセラピーの一つであるソリューション・フォーカスト・アプローチにつきましては、2001年に医療
ソーシャルワーク研修会を実施し、その後初任医療 SW 講座の面接技術セッションでお伝え致しました。2006
年度から3回に分けて学んで頂く機会としました。2014年度は北海道で開催致します。ふるって参加ください。
講 師:菱川 愛 氏 (東海大学 健康科学部社会福祉学科 講師)
開催日時:①2014年6月1日(日)
10:00~16:30(予定)
テーマ「ソリューション・フオーカスト・アプローチとエンゲージメントの段階」
・相談援助の面接構造について理解する
・エンゲージメントの段階の技法を学ぶ
・ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)の質問の型を理解する
②2014年7月6日(日)
10:00~16:30(予定)
テーマ「ソリューション・フォーカスト・アプローチとソーシャルワークの情報収集段階」
・1ヶ月間の試みを共有:理解的聞き方 Appreciative Interview(AI)
・社会福祉の理論の枠組みに沿った情報収集を SFA の質問の型を援用して行う
③2014年8月3日(日)
10:00~16:30(予定)
テーマ「ソリューション・フォーカスト・アプローチとアセスメント・プラクティス」
・1ヶ月間の試みを共有:AI
・アセスメント・プラクティス:
「SFA の質問を使った情報収集→アセスメント→フィードバック(プ
ラン)→契約」の整合性を考えたフィードバックをつくる
受講要件:全3回を受講できること。
対 象:経験3年以上の現任の保健医療分野のソーシャルワーカーが望ましい。
会 場:独立行政法人国立病院機構北海道医療センター(北海道札幌市西区山の手5条7丁目1番1号)
募集人数:50名
申込期間:2014年3月3日(月)~4月11日(金)(先着順で定員になり次第締め切ります)
なお、申込期間前の申込は一切お受けいたしませんので、ご了承ください。
受 講 費:正会員・賛助会員(個人)
21,000円 賛助会員(団体)・非会員 42,000円
研修の申込方法
当協会ホームページの研修情報、または研修スケジュールの受講申込書フォームに必要事項をご記入の
上、お申込みください。
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(公社)日本医療社会福祉協会ニュース No.H25-4 2014.2.28
インドネシア災害ワークショップを開催して
国際事業担当代表 小原 眞知子
2014年1月27、28日にインドネシア、ジャワ島にあるバンドンで災害ワークショップが開催されました。こ
れは国際ソーシャルワーカー連盟アジア太平洋地域(AP-IFSW)から日本の社会福祉専門職団体協議会(社
専協)の国際委員会が3年間の災害プロジェクトを委託され、これまで企画開催を行ってきました。2011年度
は香港で開催された IFSW 世界大会にて、2012年度はフィリッピンでおこなわれた IFSW アジア太平洋地域
会議が開催されました。2013年度はインドネシアソーシャルワーカー専門職協会が実行委員として準備をして
く だ さ り、“Building Disaster Resilience: Strengthening the Collaboration among Asian Pacific Social
Workers”(災害リジリエンスの構築:アジア太平洋地域のソーシャルワーカーの連携強化を目指して)をテー
マとしました。
2日間の短い期間でしたが、インドネシア・アジア太平洋地域のソーシャルワーカーやソーシャルワーク専
攻学生など80名ほどの参加者があり、パネルディスカッションとグループディスカッションが繰り広げられま
した。一日目はインドネシア社会省事務局長の Toto Utamo の来賓の挨拶があり、パネルディスカッションで
は国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)プジ氏によるアジア太平洋地域における災害と気候のリスク:
地域のリジリエンスの構築のソーシャルワークの貢献(Landscape of Disaster and Climate Risks in Asia and
the Pacific: Social Work Contribution in Regional Resilience Building)というテーマで話されました。アジア
太平洋地域で生じている自然災害、それによる経済的な損失などを世界全体で位置づけなど総論に加え、コ
ミュニティでのリジリエンスの構築、アジア太平洋地域全体の協力、そしてソーシャルワーク貢献について話
されていました。フィリッピンソーシャルワーク協会会長のエバ氏からは「フィリッピンにおける災害マネジ
メント」のテーマで2013年11月の Yolanda 台風の悲惨な状況、身内に死者や家が流されるなどの被害に遭い
つつも、人々を支援している現地のソーシャルワーカーの状況、そしてフィリッピンソーシャルワーカー協会
の活動内容などが報告されました。これらのパネルディスカッションを受けて、フロアーの参加者から多くの
質問があり、現地ソーシャルワーカーの熱気溢れた議論が繰り広げられました。
2日目の午前中は、再度、パネルディスカッションがあり、インドネシアの地理と災害の状況やアジア太平
洋地域のソーシャルワーク支援の現状や支援の方法などの発表がありました。午後は3つのグループでディス
カッションがおこなわれました。私は、当協会の災害支援のことを例に出して、緊急支援を行いながら助成金
の獲得方法や資金集めの方法、災害事務所を設置することや常駐職員を置くことで、1日も途切れることな
く、リレー式支援がおこなわれていることを話しました。この事例について多くの方々が関心を示し、詳細を
聞かせてほしいと依頼がありました。
周知の通り、インドネシアは、過去にスマトラ沖地震と津波、ジャワ島中部地震がありました。それらの経
験を経て、現地ソーシャルワーカーは災害に対する専門的支援を真剣に模索していることがよくわかりまし
た。このような自然災害支援はアジア太平洋全体の課題でもあります。まずは、アジア太平洋地域のソーシャ
ルワーカーが連携して、どのように支援できるかを考えていかなくてはなりません。私たちが経験した2011年
の東日本大震災では多くの命が奪われました。当協会では宮城県石巻市における災害支援活動を行ってまいり
ました。現地の生活復興に向けた中・長期専門的支援継続のために、これまでと変わりなくバトンを渡し続け
る支援が必要となります。当協会の実践がアジア・太平洋地域のソーシャルワーク災害支援の先駆的成功事例
となることを願っています。
発行/お問い合わせ
公益社団法人
日本医療社会福祉協会
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-20 四谷ヂンゴビル2F
TEL:03-5366-1057 FAX:03-5366-1058 E-mail:[email protected] URL:http://www.jaswhs.or.jp/
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