Comments
Description
Transcript
温室効果ガスの削減目標
4章 温室効果ガスの削減目標 第 4-1 岡崎 市が 目指 す“ 低 炭素 社会” の 姿 地球温暖化防止のためには、温室効果ガスの排出を極力減らした“ 低炭素社会”の実現が 不可欠です。本市が目指す“ 低炭素社会” は、対策技術の高度化や人々のエコ意識の定着、 環境配慮を前提とした社会経済システムの確立などにより、誰もがエコで快適で便利な暮らし を享受できる社会です。 そうした本市が目指す低炭素社会の実現に向けた中長期的な将来の姿を、「都市・交通」、 「 市民生活・ 暮らし」、「 事業活動・ オフィス」、の3分野の視点から以下に整理します。 (1)市民生活・暮らし ●エコライフの定着 環境負荷の少ない生活、環境に配慮した行動を実践する人々を高く評価する社会的な 価値観が定着し、多くの市民がエコライフの実践に努めています。 ●省エネで快適な住環境 私たちの住宅は、高断熱化や照明・空調設備の高効率化・ 省エネルギー化、太陽光や自 然風などを取り込んだ心地よい環境共生型建物の普及などにより、 一年を通じて、エネルギ ーをあまり消費しなくても快適に過ごせる住環境が確保されています。 ●環境に配慮した消費行動の定着 地産地消(*)やカーボンフットプリント(*)の考え方が広く一般の消費者にも浸透・ 定着し、 商品やサービスを選択する際の主要な判断指標の一つとなっています。 -32 - (2)都市・交通 ●コンパクトで自動車に頼らずに移動できる都心の形成 中心市街地である康生地区から岡崎駅周辺までの都心において、様々な都市型産業や 都市機能がコンパクトに集積し、自動車に頼らず移動しやすい都市構造を形成していま す。 ●都心における身近な移動手段としての自転車利用の定着 上記に示すコンパクトに集積した都心の周辺では、自転車走行空間の整備や駐輪場の 確保、自転車の走行・駐輪マナーの向上等もあり、自転車が、子どもから高齢者まで、誰も が利用できる身近な移動手段として定着しています。 ●利便性のよいバスや鉄道の充実 バスや鉄道などの公共交通の利便性が非常に高く、通勤・通学や通院、買い物など、様 々な機会で市民の移動手段として利用されています。 ●緑に囲まれた住みよいまちの形成 住宅やビル等の建築物の低炭素化、街区の緑化が進み、緑に囲まれた美しく住みよいま ちが形成されています。 -33 - (3)事業活動・オフィス ●環境負荷の少ない働き方の定着 オフィスにおけるクールビズ(*)やウォームビズ(*)が定着し、一人ひとりが季節に応じた服 装の工夫を楽しみながら、エアコンの適温設定を励行しています。また、季節の変化に応じ た環境負荷の少ない働き方が定着しています。 ●国内外で高い競争力をもつ環境調和型産業への発展 市内の製造業、特に基幹産業である自動車産業などでは、高度な技術と高い環境性能 が「 強み」 となり、国内外で高い競争力をもつ環境調和型の産業へと発展しています。 ●環境負荷の少ない商品の製造・ 販売の定着、環境と経済の好循環 カーボンフットプリントやグリーン購入(*)の概念が消費者に定着したことにより、市内のメ ーカーや小売業では、環境負荷の少ない商品やサービスを積極的に扱うようになり、環境 と経済が好循環しています。 -34 - 4-2 将来 推計( 現 状 趨 勢 ケ ー ス : こ の ま ま 何 も 対 策 を 講 じ な か っ た ら ) 第3章で示した温室効果ガス排出量の現況推計と同じ部門を対象に、現状から特段の対策 を行わない場合( 現状趨勢ケース) の2020年における将来推計を行いました。 将来推計は、各部門における温室効果ガスの排出量と関連性の深いと考えられる値の202 0年における予測値の増減率を現況年である2007年値に乗じることで求めました。 ※増減率の設定に用いた指標値等は資料編に掲載予定 現状から特に対策を行わなかったと仮定すると、2020年には1990年に比べて 温室効果ガスが約14%増加すると想定されます。 部門別将来推計結果( 現状趨勢ケース) 基準年 (1990 年) 部門 産業部門 現況年 (2007 年) 単位:千t -CO2 増減率 現状趨勢ケース 増減率 (1990→2007) (2020 年) (1990→2020) 1,320 1,079 ▲18% 1,126 ▲15% 民生家庭部門 316 472 50% 540 71% 民生業務部門 456 651 43% 706 55% 運輸部門 435 591 36% 517 19% 廃棄物部門 34 59 72% 63 84% その他ガス 54 41 ▲25% 41 ▲25% 2,614 2,892 11% 2,992 14% 合計 3,000 ( 千t−CO2) 2,892 2,614 34 基準年比: +11% 59 2,992 基準年比: +14% 63 517 591 435 706 2,000 456 651 その他ガス 316 540 472 1,000 廃棄物 運輸 1,320 1,126 1,079 民生(業務) 民生(家庭) 0 基準年 現況推計 現状趨勢 1990 2007 2020 -35 - 産業 4-3 削減 目標 の設 定 削減目標の設定にあたり、以下に示す要素を総合的に勘案し、 本市の特性を踏まえた挑戦 的かつ実現可能性のある対策導入量( 率) を設定し、 温室効果ガス削減見込量を推計しました。 ① 本市の自然的・ 社会的特性を踏まえた市内への対策技術の導入可能性 ② 現在における対策技術の普及状況 ③ 市民や事業者の対策技術導入への意識・ 意向 ④ 中長期ロードマップ※で示された対策技術の将来導入見込み量 など ※「 地球温暖化対策に係る中長期ロードマップの提案∼環境大臣試案∼」 ( 2010年3月31日) 2020 年における削減見込量の設定に用いた対策導入量【削減シナリオ】 分野 住宅 対策・施策 高効率給湯器 削減対象部門 削減 全体 見込量 割合 (t -CO2) 導入量 (∼2020年) 43,474 潜熱回収型 50% 他 運輸 民生業務 民生家庭 産業 対 策 7% ヒートポンプ 33% コージェネ 2% ● ● 住宅・建物の高断熱化 新築 100% 既設 30% 省エネ家電の普及 照明・その他電気製品の高効率化 90% 9,836 2% ● ● 98,808 16% ● (エアコンの高効率化は 80%) 計測・制御システム(HEMS(*))32% 家庭の省エネ行動 ● 2,959 0% 10,932 2% ● 158,213 25% ● 計測,制御システム導入 等 BEMS(*)32% 23,974 4% ● 市の実行計画 2020 年までに 15%削減 16,772 3% ● 製造業 新エネ導入,省エネ改修 事業所 各製造業種毎の対策 製造業事業所の 50% 65,528 10%● 製造業種ごとに 57∼80% 16,331 3%● 自動車 次世代自動車の普及 市内保有自動車数の 30% 61,489 10% ● 燃費効率改善 市内保有乗用車数の 60%※ 38,376 6% ● エコドライブ・ エコ通勤 新規エコドライブ実践 40% 15,076 2% ● 4,997 1% ● オフィス 建物の断熱化 建築物 設備の高効率化 HEMSを導入していない家庭 60% ● ● オフィスの 80% ※ 電気 HP空調・照明・電気機器 90% ※ ● ※ (高効率給湯器は 80% ) バイオ燃料の普及 新エネ 太陽光発電導入 ルギー +太陽熱利用機器の設置 市内保有トラック台数の 80% ※ 住宅、公共施設、事業所、産業施設の 5%∼15% その他 トラック輸送の効率化・ITSの推進・農業機器の効率改善・家畜排泄物 管理・HFCの適正回収・その他の新エネルギー導入など 削減見込量 合計 ※国のロードマップで想定している導入量に対する比率を示す -36 - 31,491 5%● ● ● 37,910 6% 636,166 100% ● ● ● ● 上記より、2020年の岡崎市における削減見込量は636千t CO2となります。 「4−2将来推計」 で求めた現状趨勢ケースからこの削減見込量を差し引いた場合( 対策ケ ース)、2020年における排出量は2, 356千t CO2となります。これを1990年( 基準年)と比 較すると90%( 10%削減)となります。 中期目標年(2020 年)における対策ケース時の部門別温室効果ガス排出量 種類 CO2 部門 産業 1990 (基準年) 2007 2020(中期目標年) (現況年) 現状趨勢ケース 対策ケース 基準年比 1,320 1,079 1,126 1,045 ▲21% 民生(家庭) 316 472 540 363 15% 民生(業務) 456 651 706 501 10% 運輸 435 591 517 374 ▲14% 34 59 63 50 48% 54 41 41 27 ▲50% 0 0 0 -4 2,614 2,892 2,992 2,356 廃棄物 その他ガス 新エネルギー 合計 基準年比 0% 11% 14% ▲10% 0% 11% 14% ▲22% ▲10% ※ <参考>基準年比 (電力排出係数の改善を含む) ※電気事業連合会が「環境行動計画(2009.09)」にて発表した中期目標(2020 年度)におけるCO2排出原単位を踏ま えた場合、削減見込量は965千t -CO2となりますが、削減量全体の1/3を占めるため、市の施策の効果によらず排 出係数だけで全体の排出量が左右されてしまうことになります。また、市民・事業者の行動、市の施策効果の進捗状 況を明らかにするためにも、電力排出係数による改善分を除いた削減見込量を積上げることとしました。 対策による 削減見込量 温室効果ガス排出量 ( 1990年を100とした場合) 140% 120% 100% 100% 111% 基準年比 10%削減 114% 90% 80% 60% 実績 40% 現状趨勢ケース 20% 対策ケース 0% 1990 ( 基準年) 2007 ( 現況年) 2020 (中期目標年) 図 1990年を100とした場合の2020年における温室効果ガス排出量の推移 -37 - 4-4 温室 効果 ガス 削減 目 標 (1)温室効果ガス削減目標 上記までの検討結果を踏まえ、短期(∼2015)、中期(∼2020)、長期(∼2050) のそれ ぞれについて、温室効果ガス総排出量の削減目標を設定しました。 中期目標は前項で削減見込量の積み上げにより設定した対策ケース時を参考に、短期 目標は中期目標達成に向けた中間目標と位置づけて設定しました。また、長期目標は国の 長期目標※を参考として設定しました。 ※ 国は「低炭素社会づくり行動計画」(平成20年7月29日閣議決定)において、2050年の長期的な目標として、1990年 比で60∼80%削減することを表明しています。 ■温室効果ガス削減目標 基準年(1990年)比削減目標 目標対象 短期(2015年) 市域からの 温室効果ガス総排出量 中期(2020年) 長期(2050年) 2%削減 10%削減 80%削減 (2007年比11%削減) (2007年比19%削減) (2007年比82%削減) (2)市民及び事業者の原単位目標 本市では、2025年頃までを目処に人口及び世帯の増加が見込まれています。また、業 務部門では、岡崎駅周辺で進む市街地再整備等の影響もあり、今後も延床面積の増大が 予想されます。 こうした本市の状況を踏まえ、今後、温室効果ガス削減に向けた対策の効果を的確に把 握していくために、市民と事業者の原単位あたりの目標を設定しました。 世帯、延床面積の増大から、家庭部門を15%の増加、業務部門を10%の増加に抑制す るためには、原単位あたりでは大きな削減が必要です。 ■市民及び事業者の原単位目標 目標主体 目標対象 原単位 基準年比(1990年) 削減目標 短期(2015年) 中期(2020年) 世帯 16%削減 27%削減 当たり (2007年比20%削減)(2007年比31%削減) 市 民 岡崎市内の家庭生活(自動車利用 以外)に伴う温室効果ガス排出量 事業者 岡崎市内の民生業務部門からの 延床面積 温室効果ガス排出量 当たり 18%削減 29%削減 (2007年比) (2007年比) ※事業者については 1990 年の額田町の延床面積が把握困難なため 2007年比とする。 -38 -