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第5章 温室効果ガスの 削減目標

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第5章 温室効果ガスの 削減目標
第5章
温室効果ガスの
削減目標
第5章では、下関市が目指す将来の姿(イメージ)
を示した上で、短期・中期・長期のそれぞれの温室効果
ガス削減目標を定めています。特に、中期目標(2020
年)については、将来推計や削減見込み量の積み上げ
等を行い、削減目標を設定しています。
5-1 下関市が目指す将来の姿 ..............................................36
5-2 温室効果ガス排出量の削減目標 ................................40
− 35
−- 35
第5章 温室効果ガスの削減目標
5-1 下関市が目指す将来の姿
「温暖化防止のためだから」と言っても、省エネ対策のために我慢や不便ばかりを強いていては、
取組を長く続けることは困難です。
本計画では、将来を見据えて挑戦的な対策技術を取り入れるなどしつつ、文化や生活に犠牲を
強いることなく、真に豊かな生活を実現しながら、温室効果ガスの排出が抑えられる低炭素社会の
構築を目指します。また、このことは、下関市環境基本計画に定める本市の望ましい環境像である
「人と自然が共生する環境みらい都市・しものせき」を、低炭素社会の側面から実現していくことに
もつながります。
こうした本市が目指す低炭素社会の構築に向けた中長期的な将来の姿を、「暮らし」、「産業」、
「まち」の 3 分野の視点から以下に整理しました。
(1)暮らし
●エコライフの定着
環境に配慮した行動を実践している人々を社会的にも高く評価する価値観が定着し、多くの市
民が楽しみながらエコライフを実践しています。
●環境に配慮した消費行動の定着
地産地消やカーボンフットプリントの考え方が消費者に浸透し、日々の買い物では、環境のこと
を考えながら商品やお店を選ぶ習慣が定着しています。
●住宅の環境性能の向上
断熱性能や省エネ性能の高い住宅が普及し、エネルギーに多くを頼らなくても誰もが快適な生
活を送っています。
●省エネを楽しみながら、自宅で発電
再生可能エネルギーの電力買取制度が定着し、各家庭では省エネによるコスト削減を楽しみな
がら、太陽光発電などに積極的に取り組んでいます。
●クルマの賢い使い方の定着
市民や事業者一人ひとりが、環境負荷の尐ない自動車の使い方を自発的に考え、実践に努めて
います。市の中心部では、公共交通の利便性が向上し、自転車の走行環境も整備され、通勤・通
学・買い物等において、自動車よりも公共交通や自転車、徒歩での移動が中心となっています。
−
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第5章 温室効果ガスの削減目標
●環境負荷の少ない自動車の普及
CO2 をほとんど排出しない電気自動車などが市民に普及しています。急速充電施設が市内各所
に整備されているほか、各家庭でも充電が行われています。
●もったいない精神の定着
「もったいない」精神が市民に定着し、一人ひとりがごみの減量化、再利用、再資源化に取り組ん
でいます。そして、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済システムから脱却した環境負荷
の尐ない循環型社会が形成されています。
− 37
−- 37
(2)産業
●環境負荷の少ない働き方の定着
オフィスでのクールビズやウォームビズが定着し、一人ひとりが季節に応じた服装の工夫を楽し
みながら、エアコンの適温設定を励行しています。また、サマータイムのような季節の変化に応じた
環境負荷の尐ない働き方が定着しています。
●オフィスにおける省エネの定着
IT 技術の活用によって、オフィス機器や空調設備の無駄のない使い方が定着しています。また
機器の省エネ性能も向上しています。
●環境負荷の少ない商品の製造・販売の定着、環境と経済の好循環
環境に配慮した消費者が増えたことにより、市内のメーカーや小売業では、環境負荷の尐ない
商品を製造・販売することが商業的にも合理的となり、環境と経済が好循環しています。
●モーダルシフトの定着
製品や資材の輸送にあたり、鉄道貨物や船舶など、環境負荷のより尐ない輸送手段の選択が定
着しています。
●産学官の連携による環境・エネルギー分野の人材育成
市内の企業や大学と市が連携し、環境・エネルギー分野における人材育成が進められていま
す。
●環境・エネルギー産業の定着
環境・エネルギー産業が本市の主要産業の 1 つとして成長するとともに、多くの市民が従事して
います。
−
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第5章 温室効果ガスの削減目標
(3)まち
●サイクルタウン下関の実現
自転車走行空間の整備や駐輪場の確保、自転車の走行・駐輪マナーの向上などにより、都市
部を中心に、自転車が子どもから高齢者まで、誰もが利用できる身近な移動手段として定着して
います。
●公共交通(バス等)の充実
市民の身近な交通手段であるバスの路線が拡充されて、交通不便地域が解消されることにより、
通勤・通学や通院、買い物など様々な機会に利用されています。
●良好な地域コミュニティの形成、都市農村交流
誰もが地域のコミュニティに溶け込み、地域の一員としてお互いに支えあっています。地域は活
力にあふれ、環境保全をはじめとしたボランティア活動などが積極的に行われています。
都市地域と農村地域の交流が頻繁にあり、資源、エネルギー、食などの地産地消が促進され、
市全体が活気にあふれています。
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−- 39
5-2 温室効果ガス排出量の削減目標
'1(将来推計
・ 現状から特に対策を行わなかったと仮定すると、2020 年には 1990 年に比べて温室効果ガ
スが約 13%増加すると想定されます。
部門別に現状から特別の対策を行わない場合(現状趨勢ケース)における 2020 年の温室効果
ガス排出量の将来推計を行いました。
将来推計は、各部門における温室効果ガスの排出量と関連性が深いと考えられる指標を用い、
各指標の 2020 年における予測値の増減率を現況年である 2008 年値に乗じることで求めました。
その結果、現状趨勢ケースでは、基準年である 1990 年に比べ 2020 年は温室効果ガスが約
13%増加すると想定されます。
表 5-1 部門別将来推計結果'現状趨勢ケース(
基準年
'1990 年(
部門
産業部門
CO2
単位:千t-CO2
増減率
現状趨勢ケース
増減率
'1990→2008 年(
'2020 年(
'1990→2020 年(
現況推計
(2008 年)
1,866
1,950
4%
2,007
8%
民生業務部門
287
428
49%
461
61%
民生家庭部門
440
583
33%
653
48%
運輸部門
532
629
18%
562
6%
31
26
-17%
28
-12%
180
82
-54%
82
-54%
49
33
-33%
32
-34%
3,385
3,732
10%
3,826
13%
廃棄物部門
エネルギー転換
その他ガス
合計
(千t-CO2(
4,000
3,732
3,385
3,000
31
基準年比:
+10%
3,826
28
26
562
629
その他ガス
532
653
583
440
2,000
287
基準年比:
+13%
461
428
エネルギー転換
廃棄物
運輸
1,000
1,866
2,007
1,950
民生'家庭(
民生'業務(
産業
0
基準年
現況推計
現状趨勢
1990
2008
2020
図 5-1 部門別将来推計結果'現状趨勢ケース(
−
- 40 -−
− 41 −
上記より、2020 年の本市における削減見込量は 865 千t-CO2 であり、「(1)将来推計」で求め
た現状趨勢ケースからこの削減見込量を差し引いた場合(対策ケース)、2020 年における排出量
は 2,962 千t-CO2 となります。これを 1990 年(基準年)と比較すると 87%(13%削減)となります。
表 5-3 中期目標年'2020(における対策ケース時の部門別温室効果ガス排出量
単位:千t-CO2
基準年
'1990 年(
部門
産業部門
CO2
現状趨勢ケース
'2020 年(
対策ケース
(2020 年)
基準年比
'1990→2020 年(
1,866
1,950
2,007
1,731
-7%
民生業務部門
287
428
461
332
16%
民生家庭部門
440
583
653
404
-8%
運輸部門
532
629
562
411
-23%
31
26
28
28
-12%
180
82
82
69
-62%
その他ガス
49
33
32
27
-44%
森林吸収
0
0
0
-40
3,385
3,732
3,826
2,962
廃棄物部門
エネルギー転換
合計
'%(
120
温室効果ガス排出量の増減
'基準年を100とした場合(
現況推計
(2008 年(
100
対策による
削減見込量
113
110
-13%
100
80
87
現
状
趨
勢
ケ
ー
ス
60
40
20
対
策
ケ
ー
ス
0
1990
基準年
2008
現況年
2020
中期目標年
図 5-2 温室効果ガス排出量の増減率の推移
−
- 42 -−
基準年比
13%削減
第5章 温室効果ガスの削減目標
'3(削減目標の設定
1(温室効果ガス削減目標
上記までの検討結果を踏まえ、短期(~2015 年)、中期(~2020 年)、長期(~2050 年)のそれ
ぞれについて、温室効果ガス総排出量の削減目標を設定しました。
中期目標は前項で削減見込量の積み上げにより設定した対策ケース時を参考に、短期目標は
中期目標達成に向けた中間目標と位置づけて設定しました。また、長期目標は国の長期目標 ※を
参考として設定しました。
※ 国は「低炭素社会づくり行動計画」(平成 20 年 7 月 29 日閣議決定)において、2050 年の長期的な目標として、1990 年比で
60~80%削減することを表明しています。
■温室効果ガス削減目標
目標対象
基準年'1990年(比削減目標
短期'2015年(
中期'2020年(
長期'2050年(
2%削減
13%削減
80%削減
市域からの
温室効果ガス総排出量
2(市民及び事業者の原単位目標
本市では、2015 年の目標人口を 30 万人としており、また、業務部門では、下関駅周辺で進む
市街地再開発等の影響もあり、今後も延床面積の増大が予想されます。
こうした本市の状況を踏まえ、今後、温室効果ガス削減に向けた対策の効果を的確に把握して
いくために、市民と事業者の原単位当たりの目標を設定しました。
■市民及び事業者の原単位目標
目標主体
目標対象
原単位
市 民
市内の家庭生活'自動車利用以外(
に伴う温室効果ガス排出量
事業者
市内の民生業務部門からの
温室効果ガス排出量
基準年'1990年(比削減目標
短期'2015年(
中期'2020年(
世帯
当たり
7%削減
25%削減
延床面積
当たり
5%削減
18%削減
− 43
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