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第2 業務仕様書 別紙1 マルチメディア教材「みんなの学校プロジェクト
第2 業務仕様書 別紙1 マルチメディア教材「みんなの学校プロジェクト」内容(コンセプト)(案) コンポーネント名 (時間等) 用途、対象 内容(コンセプト) 撮影場所 備考 一般向け教材(みんなの学校プログラム紹介) 児童、住民・保護者、教員など、地域の教育開発の関係者が一緒に なって、「みんなの学校」を作ることによって、学校が作られ、子 昔のシーン、現在のイン 一般の方、JICA どもが就学でき、よりよい教育が受けられるようになったことを、 みんなの学校を目 関係者(例、国 多くの異なった人々の言葉で、繋ぎながら語っていく。 ニ ジ ェ ー 指して 際会議、シンポ (例:学校運営委員会(COGES)が機能することにより子どもが就 ル 、 セ ネ ガ (長さ 8~10 分) ジウム、セミナ 学できるようになり、その後、看護師になった元女子児童の言葉か ル ー等) ら物語が始まる、9 年前のビデオに写っている女子児童のその後を タビュー父兄・住民への インタビュー、教員への インタビュー、児童(お よび元児童)インタビュ ー 追う) みんなの学校の紹介、ニジェール、セネガルの学校でのインタビュ みんなの学校のモ デル (長さ 8~10 分) JICA 関係者、教 ーを通して、現在アフリカの学校が抱える問題を浮き彫りにした 育関係者、専門 後、みんなの学校がそれぞれの問題にどんな解決策を持っているか 家、プロジェク を紹介する。基本モデル(COGES 活性化戦略ミニマムパッケージ) 、 ト関係者 応用モデルを簡単に紹介する。 ニ ジ ェ ー 視覚教材として作成さ ル 、 セ ネ ガ れた各コンポーネント ル を短く編集する 研修教材 学校運営委員会活 JICA 関係者、 プ 機能する学校運営委員会の概要の説明 性化(選挙、活動計 ロ ジ ェ ク ト 研 (ミニマムパッケージの三要素) 画、モニタリング、 修用 ① 民主的選挙研修、②学校活動計画策定研修、③モニタリングの 1 セネガル ニジェール ミニマムパッケージに は、過去の映像を再編集 する。 連合モデル(長さ 概要 連合の意義は複合的な 10 分) ・学校運営委員会連合の概要、意義・役割、活動、成果 ので、それを視覚的に説 ・モニタリングに関連して、連合モデルの説明、第一次研修、設立 明する。 研修のやり方。 住民参加による質の改善のための戦略ミニマムパッケージ概要説 質のミニマムパッ JICA 関係者、 プ 明(要素、実施プロセスなど)、算数ドリルの紹介(概要、ファシ ケージ、算数ドリル ロ ジ ェ ク ト 研 リテーション) 、成果・効果、意義、住民参加による質の改善活動、 (長さ 10 分) 修用 実施プロセス、留意点等 住民参加による質のミ ニジェール ニマムは、児童の学習効 セネガル 果だけでなく、他の効果 も多い 住民参加による質の改善のための補助金の有効利用へ向けた戦略 質の改善へむけた学校 補助金モデル(長さ JICA 関係者、 プ 紹介。インパクト評価の結果の紹介。補助金モデルの 2 つの能力強 10 分) ロ ジ ェ ク ト 研 化(リソース管理・リソース運用にかかる活動計画策定)の内容紹 ニジェール 修用 フォーラムモデル (長さ 10 分) JICA 関係者、 プ ロジェクト研 修用 介(概要、プロセス等) 。 レベルの資源の有効利 用のための住民参加手 法を説明 連合の機能を使った教育フォーラムの概要、意義、実施例、成果(行 ニジェール フォーラムの成果も複 政と住民の連携)教育フォーラム開催の流れの説明 合的である点を示す 2 セネガル 第2 業務仕様書 別紙2 みんなの学校プロジェクト概要 みんなの学校プロジェクト -住民参加による教育開発の取り組み1.プロジェクトの変遷 JICA は 1999 年より住民参加型学校運営改善の協力を開始し、これまで約 15 年間、16 カ国で学校運営 改善(School Based Management)の支援を実施しています。特に世界でも教育指標が著しく悪く、最も状 況の厳しい西アフリカ地域において、日本は,学校・コミュニティ・行政が一体となって,包括的な学習環 境改善を行う基礎教育支援モデル「School for All(スクール・フォー・オール)モデル」を提示し、同モデ ルの下、父母やコミュニティの参加を得た みんなの学校プロジェクトの変遷 教育改善に取り組んできています。 具体的には、2004 年からニジェールを 皮切りに「みんなの学校プロジェクト」を 開始し、現在まで西アフリカ地域で約 2 万 8 千校にスクール・フォー・オールモデル を普及し、教育改善に貢献していいます。 今後、更にマダガスカルをはじめ、アフリ カ各国にこのような事業が展開していく ことが期待されます。 2.プロジェクトのコンセプト 「みんなの学校プロジェクト」のコンセプトは、〝地域と行政と学校の信頼(Trust)関係を構築し、3 者 が一体となり「みんな」で子どもたちが学べる学校づくりを実現する″ことです。このコンセプトを実現す るために 4 つの柱があります。 学校運営への地域住民の参加 (地域住民のニーズを反映) 徹底した情報共有による信頼関係の構築 すべての子どもがより質の高い教育を受けることの できる学習環境づくりの支援 経験共有による学び合いの促進 この 4 つの柱を実現する中心となる場が、学校運営委員会です。各学校に学校運営委員会を設置し、行 政や地域住民を巻き込んだ学校運営体制を確立することは、教育の重要性への認識を高め、行政、学校、地 域住民間の信頼感を醸成し、地域の持つ資源の活用を促し、結果として就学率や修了率の改善、男女格差の 是正などに貢献します。また、地域の様々な問題を住民自身で解決する能力を向上し地域社会の自立的な発 展に貢献するとともに、住民間の相互理解を促進し多文化共生にも貢献します。 3 3.コンセプトを実現する秘訣 (1) 「みんなの学校プロジェクト」の1つ目の成功の秘訣は、地域住民が学校運営へ参加する際に、どん な学校環境でも適用可能な最小限の投入で最大限の効果をもたらす仕組み(ミニマムパッケージ) を導入したことです、ミニマムパッケージは、住民と学校の情報共有を確保し、住民のニーズを反映 した学校活動改革の実施により実現され、子どもにとってのよりよい学習環境づくりを実現などに成 果をあげています。 (2) 2 つ目の成功に秘訣は、住民を含む関係者間の学校運営、教育環境に関する質の高い「情報共有」を 可能にする機会の確保による関係者間の信頼関係の醸成です。例えば、学校レベルの情報共有は住民 総会で確保され、そこで集まった情報は、市レベルでは、学校運営委員会の代表が集まった会合で共 有され、その情報は県レベルでは、行政官間の会合、国レベルでは、地方の行政官と中央の会合で共 有されます。また中央レベルの情報は、逆のルートで住民まで共有されます。これらの上から下まで のもうけられた情報共有機会が、関係者の参加に繋がり、さらに信頼を醸成します。 (3) 3 つ目の成功の秘訣は、すべての子どもがより質の高い教育を受けることのる環境境づくりのため理 解しやすい研修コンテンツ、実用性の高い有効なツールの開発・提供と関係者への適切な能力強化 です。能力強化は住民だけではなく、行政官にも行い、住民参加改善や教育の質の改善に貢献してい ます。 (4) 4 つ目の成功の秘訣は、学校間、地域間の経験共有による学び合いです。この学びあいを促進するこ とによって高いレベルの学校運営や教育改善の実践がより広い範囲で広がっていきます。 4 4.具体的な活動および成果 (1)住民参加の向上による入学率の改善 みんなの学校プロジェクトのミニマムパッケージを導入することで学校運営への住民参加が拡大して、住 民による教室建設などにより一般的に就学機会が向上します。例えば、ニジェールでは、ミニマムパッケー ジの全国への導入以来、住民の支援により 2 万教室以上が毎年建設され、2007 年から 4 年間で、入学率が、 66%から 99%に向上しました。教室建設の他にも、机・椅子等の修繕、教員住居の建設、トイレの建設と いった施設整備は、各国の教育環境の改善に重要な役割を果たしています。 (2)女子の就学促進・留年/退学防止 女子の就学や通学継続の促進は、学校運営委員会が最も得意とする取 り組みのひとつです。例えばニジェールのタウア州では、2014 年 10 月期の新学年度開始に向け、男女比を考慮した入学児童登録をはじめと するキャンペーンを実施しました。その結果、女子が前年度比で 5,671 人 (15.1%) 増となる 43,312 人、 男子が 3,280 人 (6.2%)増となる 56,281 人と、男女ともに新入学児童数が飛躍的に増加したうえ、男女比率が 0.70 から 0.77 へと大幅に改善しました。 (3)学力向上(補習授業・算数ドリル) ニジェールとセネガルでは、地域住民が支える学校活 動計画の一環として、放課後の補習授業等の機会を利用 した、算数ドリルによる基礎学力の改善に取り組んでい ます。セネガルの対象 16 校の児童約 3,200 人が、2014 年 12 月より 5 か月半ドリルを実施した結果、例えば小 学 2 年生の単元別合格率の比較でみると、 「数の概念」 で 41%から 79%、 「1 桁同士の足し算」 で 7%から 42%、 と、飛躍的な改善が確認されました。 実力テスト学年別合格率推移 (左図:数の概念 / 右図:1 桁同士の足し算) (4)分野横断的な取り組み ブルキナファソでは、住民が信頼を寄せる学校運営委員会を通じて、 周辺国で猛威を振るっていたエボラ出血熱に関する啓発活動を 2015 年初めに行いました。中央の教育行政官 4 名で始めたカスケード方式 の啓発研修が、4 州 3,764 校の学校運営委員会を通じて児童約 76,000 名、そして住民約 674,000 名に浸透しました。研修では、現 地語の活用はもちろんのこと、手洗いの方法を、お馴染みの「誕生日 の歌」の替え歌に仕立てるなど、正確な情報を確実に伝えられるよう 工夫を凝らしました。 手洗い啓発ポスター 5 5.行政能力の強化(学校運営委員会連合とフォーラムアプローチ) 「みんなの学校プロジェクト」では、学校レベルの教育開発を担う学校運営委員会の取り組みを広域的に 盛り上げていくために、様々な工夫を取り入れてきました。その要が、市町村など同じ行政区域内の全小学 校の学校運営委員会をグループ化した組織、学校運営委員会連合(以下「連合」)の設立です。域内の各委 員会の代表者が集う連合総会は、委員会同士の情報交換や経験共有といった「横のつながり」、その地域を 管轄する教育行政や自治体と委員会の間の連絡調整およびモニタリングといった「縦のつながり」を促進す る場となっています。さらに、連合自身が就学キャンペーンや模擬試験などの活動を実施し、学校を超えた 広域的な教育開発に貢献しています。 こうした連合の強みを、県や州など、より広範囲の 教育開発につなげていく仕組みが、 「みんなの学校」 式教育フォーラムです。連合、教育行政、自治体など、 地域の教育関係者が一堂に会する集会(フォーラム) で、就学促進や学力向上など共通の教育課題について、 自らの資源で実現可能な解決策を導き出します。フォ ーラム決議は、連合総会を経て域内の学校運営委員会 に、そして各地の住民に伝えられ、フォーラム参加者 の協力を得て活動が進められていきます。ニジェール やセネガルでは、県や州のレベルで、女子就学の改善 県フォーラム や小学校修了試験の成績向上など、フォーラムを通じ て具体的な成果を上げてきました。また、活動を通じ て異なる関係者間の協力関係が強化され、より長期的 な教育開発に必要な基礎が構築されつつあります。 6.その他の取り組み (1)インパクト評価の結果概要 「みんなの学校プロジェクト」では、学校運営委員会に対する補助金の供与および能力強化研修のモデル を新たに開発し、その有効性を検証するためにランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial: RCT)を 実施することが主要な活動の一つとなっています。RCT において、(1)介入を行わないコントロールグル ープ 60 校、 (2)補助金の供与だけが行われる 60 校、 (3)補助金の供与と能力強化研修が行われる 60 校 の 3 つのグループをランダムに割り当て統計分析を行った結果、補助金供与に加え能力強化研修の実施(プ ロジェクトの介入)が、教育の質(子どもの学習到達度)と因果関係があることが明らかになりました。 (2)他ドナーとの連携(世銀・GPE) セネガル、ブルキナファソでは、開発パートナー(世界銀行、教育のためのグローバルパートナーシップ (Global Partnership for Education: GPE)など)の資金を活用してプロジェクト活動での成果(モデル)の面 的拡大を実現しました。また、上記、補助金モデルも、GPE の資金により普及されています。日本の技術協 力により有効なモデルを形成し、他ドナーの資金でスケールアップを図るアプローチが重要であり、他ドナ ーとの連携により、プロジェクト成果を広げ、JICA だけでは成し遂げられない課題解決へ貢献していくこと が可能となっています。 6