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カナケの井戸水のろ過方法 第3版
カナケの井戸水のろ過 第 3 版 ※ 変更点1・・・ろ過器の段間に吸出し防止材を追加しました。 ※ 変更点2・・・植木鉢の底の穴を増量しました。 ☆ ろ過設備の名称 ヒシャク 混合タンク 混合タンク台 ろ過器 貯水タンク バスポンプ 水受けタンク この写真は、実用実験の時の設備であるが、こんな簡単な設備でも 1 日当たり約 300 ㍑の ろ過が可能である。 ☆ 準備する材料 ・ 混合タンク用ベランダスットッカー120 ㍑(写真は、85 ㍑を使用) ・ ポリタンク用の蛇口(蓋と蛇口部を分離できる物に限る) ・ ヒシャク(アルミ製は、腐食する恐れがあるので、避けたほうがよい) ・ 混合タンク台(高さ 80 センチ程度の作業台を使用) ・ 植木鉢4個(直径 25 ㎝程度) ・ 植木鉢スタンド 1 個(植木鉢の底が地上から 25∼30 ㎝の高さになる物) ・ 珪砂 5 号又は 7 号、各植木鉢 2 杯分程度、ゼオライト 1.5kg、活性炭 ・ 厚さ 10mm 吸出し防止材(建材屋で、2m幅の 10mロール単位でしか買えない) 吸出し防止材の HP http://www.geo-tanaka.co.jp/shohin/01_b.html ・ クッキングペーパー(何度も洗えて使える物が経済的で良い) ・ 水受けタンク(70 ㍑程度の衣装ケースを使用) ・ 貯水タンク(用途に応じて貯水量を検討し、準備する) ・ バスポンプ(水受けタンクから、貯水タンクあるいは目的物への送水用) ・ 次亜塩素酸ナトリウム(カルキ)工業薬品販売店で購入するのが良い。 ☆ ろ過設備の製作 1. 混合タンク ベランダスットカーの底から 2∼3 ㎝上 に蛇口の穴を開ける。ろ過時間を短縮す る場合は、蛇口を 2 個取付けるとよい。 ベランダスットカーは、本来水入れでは ないので、満水にすると膨れ上がり、破 損や変形の恐れがある。出来れば、水専 用の容器を混合タンクにするのが望ま しい。 ポリタンク用の蛇口を分解し、タンクの 内側と外側にゴムパッキンを入れ、取付 ける。(蓋の部分は使用しない。 ) 水道の蛇口は、水圧が少なくなると、止 まってしまうので、なるべく避けたほう が良い。 混合タンクの内側に、10 ㍑ごとに目盛 りを付けておく。残量や、少量ろ過する 場合に便利。 実際に、10 ㍑ずつ水を入れ、目盛りを 付ける。 ※ 完成すれば、水を入れ漏水がないかを確認する。 2∼3 ㎝ 2.ろ過器 ろ過器に使用する植木鉢を選ぶ際は、直径 25 ㎝位が適当な大きさだ。これより大きな 植木鉢にした場合、重たくてしかたがない。しょっちゅう上げ下ろしするので、軽いほ うがよい。どちらかといえば、幅より、深さのほうが重要で、水が通過する砂層の厚み があるほど綺麗な水になる。 ろ過速度が速くなれば、ろ過した水にカナケが残り、赤く色づくし、ろ過速度を遅く すれば、綺麗な水になるが時間がかかりすぎる。 ろ過器の通過時間が、ろ過のポイントといえる。 準備する材料で、吸出し防止材の入手が困難ではないかと思う。 運良く売っていたとしても、1ロール2m×10m(20㎡)単位だ。ろ過器1基に 必要な量は、洗い替えを作ったとしても3∼4㎡もあれば十分だ。 吸出し防止材とは、厚さ1㎝、絨毯のような、繊 維くずを圧縮したもの。(写真参照) もし、代替品を検討する場合は、水で腐敗しない 様な物を選ぶ。 入手困難でお困りの方は、当方の在庫をお分けし ます。メールでお問い合わせください。 ○ ろ過器の作り方 1 段目(最上段、マット層) 植木鉢の底からクッキングペーパー3 枚 重ね、吸出し防止材円形にカット(植木 鉢より 1 回り以上大きいサイズ) 吸出し防止材切れ端 3∼4 枚重ね。 植木鉢の底は穴を多くし、水の通過が良 いようにする。(植木鉢の形状により、 不要な場合がある) 2 段目(ゼオライト層) 植木鉢の底からクッキングペーパー2 枚 重ね、吸出し防止材円形にカット(植木 鉢より 1 回り以上大きいサイズ) 吸出し防止材切れ端 1 枚 その上にネット入り活性炭5袋、ゼオラ イト 1.5kg(白バケツ内がゼオライト) ゼオライト・活性炭は軟らかいので、水 洗いは、やさしく、濁りが取れる程度に しておく。 3 段目(砂層) 植木鉢の底からクッキングペーパー1 枚、吸出し防止材円形にカット(植木 鉢より 1 回り以上大きいサイズ) 珪砂は濁りがなくなるまでよく洗っ てから使用する。 水の通過が早ければ、クッキングペー パーをもう 1 枚入れ、遅ければ無しに し、時間調整する。 4 段目(最下段、砂受け層) 植木鉢の底から吸出し防止材切れ端。 この段は、ろ過が目的ではなく、3 段目 からオーバーしてくる砂を受け止める ためのものである。 ろ過器を水受けタンクにセットしたと ころ 1段目に石の重りを入れ、マットが浮き 上がるのを防いでいる。 マット層とゼオライト層、ゼオライト層 と砂層の間に吸出し防止材(段間マッ ト)を敷くことにより、ゼオライト層と 砂層の汚れを低減でき、また、段間マッ トが汚れた場合、取替えることにより、 ろ過速度を回復させることが出来る。 ※ 2 段目のゼオライト+活性炭の効果は、はっきり言って眉唾モノ。しかし、山砂よりろ 過速度が 2 倍早く、ろ過した水は山砂層と同じくらい綺麗だったので、採用することに した。 ろ過作業手順とポイント 1.事前準備 ○ 次亜塩素酸ナトリウム(以下カルキと記載)を入手する。 薬局で販売している家庭用は、濃度が 6%物で、600cc 入りが約 600 円する。実験用 ならよいが、実用にはコストが高くつきすぎるので、工業用の濃度 12% 20kg 入り約 1,800 円を販売しているところを探す。 販売していると思われるところは、 ①.工業薬品取扱店(薬局で尋ねるか、電話帳で調べる) ②.井戸のメンテナンスを行っている水道屋 ③.インターネットで通信販売(送料が必要なので、2,500 円位になってしまう) ヤフーオークションで「次亜塩素酸ナトリウム」で検索すると出品されていること がある。 他には愛知県の㈱折松さんが扱っている。 http://www.orimatsu.com/index.html ○ カルキの保管場所を確保する。 カルキは、強力な殺菌・漂白剤でもあり、劇薬を扱うような取り扱いが必要だ。 保管は、子供の手が届かない場所、直射日光が当たらず、高温にならないような所を 確保する。 ○ カルキの添加量を決める。 カナケ・マンガンの量やカルキの劣化により添加量は異なるため、自分宅の井戸は下 記の試験により添加量を求める。この方法は、カルキの劣化を調べる場合も有効だ。 〈参考データ〉 我が家では、カナケ 39mg/㍑+マンガン 0.8 mg/㍑の場合、12%濃度 を 0.12%(100 ㍑の井戸水に対して、120cc のカルキ)を添加。 ①.バケツに井戸水 4 ㍑(正確に計量する)を入れ、スポイド等でカルキを入れる。 (我 が家の場合は約 5cc) ②.よく攪拌し、カナケが沈殿するのを待ち、ペットボトル 2 本分ろ過する。 ろ過は、コーヒー用ペーパーフィルタを用いて、綺麗になるまで 2 度、3 度と繰り 返し、1.5 ㍑(2 ㍑)のペットボトルへ入れ、上から覗き込み、濁りが水道水と変 わりがないくらいか?を確認する。(横から覗いた場合、少し濁りがわかり難い) ③.ろ過した水に 1∼2cc カルキを入れ、よく振る。 赤く色が付けば、カルキ不足。 ④.ペットボトルに半分程度ろ過した水を入れ、新鮮な井戸水を入れ、よく振る。 赤く色が付けば、カルキ過多。ただし、少しの色付き程度は適量といえる。 ∴ ③,④の結果により、再度①のカルキ添加量を調整し、適量を調べ、カルキ添加量を 決める。 カルキは、100 ㍑に対して、10cc(0.01%)少ないと色残りが出てしまうし、10cc 多いと 「カルキ臭い!」や「洗濯物の色落ちがする!」とクレームが付く。計量を正確にしない と、ろ過結果にばらつきが出てしまう。 2.ろ過作業 ○ タンク台、混合タンクのセット タンク台は水平にセットし、ガタツキが無いかを確認する。 ○ 混合タンクへの水を入れる。 電動ポンプの場合、5 分間ぐらい水を流した後の新鮮な井戸水を入れる。 混合タンクに井戸水が半分ぐらい入った時点で、計量したカルキを投入する。 満水になった時点で、井戸水を止め、ヒシャクでよくかき混ぜる。 5∼10 分後、沈殿しかけたところを再度かき混ぜる。それから約 1 時間沈殿のため休憩。 △ ポイント カルキとカナケが反応すると、炭酸飲料のような細かいガスが発生する。 これを放置すると、せっかく沈殿したカナケが浮き上がり、水が濁ってしまう。 沈殿しかけたところを、かき混ぜてしまうのは、もったいない感じがするが、後で ボコボコとカナケが浮き上がってくることを考えると、とにかく最初のかき混ぜが 大切だ。このガスは有毒らしい。 写真は、混合タンクに井戸水を溜 めたところ。 水面に、カナケとガスが浮いてい る。赤潮のような雰囲気 よくかき混ぜ、とにかくかき混ぜ が大切。 満水にすると、混合タンクが変形 している様子がわかる。 写真は、5∼10 分後のかき混ぜ不 足で、沈殿していたカナケが「ボ コ」と浮かび上がってきた様子。 こうなると、カナケがろ過器に送 られてしまい、目詰まりが早くな ってしまう。 ○ 受けタンク、ろ過器のセット 受けタンクをセットし、その内側に植木鉢スタンド、ろ過器(上から吸出し防止材、 珪砂、砂、活性炭)を水平に安定するよう積み重ねる。 蛇口から、ろ過器まで、水道ホースをつなぐ。 (ホースを取付けると水の出がよい) バスポンプをセットし、目的物や貯水タンクへの送水の準備をする。 ○ ろ過の開始 混合タンク内を覗き、カナケが沈殿していることを確認してから、蛇口のカランをひ ねり、水をろ過器に入れる。 ろ過器から出る水と混合タンクから出る水のバランスを取り、ろ過器からあふれない 様に注意する。 混合タンク内の水が減ると水の出が弱くなる。途中で吐出水量を調整してやる。 △ ろ過の効果 左側は、混合直後の水 中央は、カナケ沈殿後の上澄み水 右側は、ろ過後の水 ※ カルキは日々濃度低下してしまうので、同じ配合でも徐々に色残りする場合がある。 そのような場合は添加量を 0.1%程度増量すれば、また綺麗にろ過できる。 3.ろ過器のメンテナンス 水をろ過するうちに、ろ過材にカナケが溜まり、ろ過速度が落ちてくるので、定期的に ろ過材を水洗いする必要がある。 特に 1 段目と段間マットは、「遅いっ!」と感じたときが洗い時(交換時)だ。 カナケの量により、洗うタイミングが違うと思うが、我が家の例を紹介すると、 1 段目(吸出し防止材) 約 480 ㍑ろ過毎 2 段目(ゼオライト+活性炭) 約 4,000 ㍑ろ過毎 3 段目(珪砂) 4 段目(吸出し防止材) 約 4,000 ㍑ろ過毎 気が向いたとき 上記の例は、ろ過器を 2 基使ってろ過しているので、実際は半分のろ過量で水洗いが必 要になると思われる。 また、1 段目は頻繁に水洗いが必要になるので、多量の水をろ過する場合、もう 1 セッ ト洗い換えを用意しておくと便利だ。